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説明員(徳永久次君) この百貨店の問題につきまして、
法律をどうするかという問題と実際問題と考えて見まして、私ども百貨店の売場面積に関連する問題は今のようなふうに
現実を見ておるわけでありますが、あとその営業のし振りに関する規制の仕方につきましては、これは仮に百貨店法を作りましても、現在ありまする独禁法でカバーしておるもの以上のものは実質的にそう期待できないというふうなことが考えられますので、そういたしますると、その点は暫らく現にありまする独禁法によりまする運用の充実といいますか、線にエネルギーを注ぎ込んだほうがより実際的ではなかろうかということ、それから更に若しそれを補完するといたしまするならば百貨店の発足につきまして、独禁法の特殊
指定その他による運用上の問題のほかに、まあ事が商事的なケースでございますので、小売商と百貨店との間の独禁法の運用に至らない前の問題もいろいろと摩擦面というものがございましようし、或いはこの
法律の運用ではデリケートできちんと捕捉しにくいというようなケースもございましようし、そこの問題を実際的に処理するような裏付を何か考えるのも一案ではないかと、例えばこれを商工
会議所に
一つの小売商対百貨店の問題を主としました商事仲裁的な機関を設けてもらいまして、そこで独禁法の運用で行く面と、それからそれの補完的な面とそのほうに期待するというようなことも
一つの実際上のこの問題の解決になるのではなかろうかというので、私ども商工
会議所にもそういうことの問題の取上方について検討を願
つておるわけでありまして、これは商工
会議所に限るわけではありませんで、或いは役所が直接やるのも一案ではありますが、役所がやるよりも、事の性質がより商工
会議所向な仕事のように思いますので、そういうことを考えてもらうことをお願いしておるわけでありますが、まあそういうことで片付くかと思うわけであります。
法律ができるできないよりも、現にある
法律及び行政的なそういう
措置のほうがより実際的であり、より効果的である。その面に
関係者が
現実的な努力を注ぎ込んで問題を実際的に手取早く解決して行くということのほうがより適当ではないだろうかということで私どもいたしておるわけであります。
それからもう
一つ法律事項で規律できない問題として、常業時間の問題が問題にな
つておるわけでありますが、これも
法律はないわけでありますが、事の解決上ややともいたしますと、
法律的な背景がなければ一〇〇%できないということも言い得るかとも思うのでありますが、ただこの点につきましては御承知のように従来或る程度の、営業時間につきまして百貨店のはつきりした申合せとか協定とかいうことでございませんが、戦時中からの百貨店法がありました規約を中心とした、いわば既成事実としての或る秩序というものができておりますが、従前のそれからはみ出すことが、
中小企業の立場から見てはいわば百貨店の攻勢というふうに受取られて問題にされておりましたのですが、そのことは百貨店側としても、そういう大企業としてのおのずからの良識といいますか、自粛といいますか、そういう精神で調節して然るべき問題でもあると思いまするし、幸いに過去におきまして或る秩序のあ
つたことでもありまするし、その秩序の範囲の線に調節して行くということが、問題を実際的に解決することになるのじやなかろうかということで、今百貨店協会にそういう線に沿
つた措置振りを私ども勧告いしておるわけです。まだ問題がセツツルいたしていないわけでありますが、私どもそういう線でセツツルすることを期待いたしておるわけでありまして、これが先般も商工
会議所で問題に
なつたのですが、商工
会議所としてもこのことを問題にしておりまして、場合によりましては商工
会議所がその問題にも立入ろうというようなこともありまして、おのずから解決するような
方向に向うことを期待しておるわけであります。まあそういたしますれば問題になる点が
現実に実際的に解決されて行く、そうしますると、新たなる
法律とな
つてこれ以上の問題がなさそうにも思われますので、私ども結論的に見ますと
法律を用意するという段階には来ておりませんが、ただ問題を現行法なり或いはその他の行政的
措置によりまして、事態のより円満な解決、妥当な解決のほうに前進せしめるだけの
措置はとりたいというふうに考えておるわけであります。