○
衆議院議員(
鍛冶良作君) 私はこの
立案者の一人にな
つて作りましたので、これのでき上りますまでの経過を御
参考に申上げて、
あと細かい
法律上の点は
三浦法制部長から
説明をすることにさして頂きたいと存じます。
このたび
提案せられました
選挙法の
改正は、今
委員長の
提案理由にもありました
通り、六月の第十九
国会が済みましてから、直ちにいわゆる
自粛三法を中心として
臨時国会を開こうということが当時の五党、今の四党の間で話合いがきまりましたので、そこでこの
立案にかか
つたわけでございます。ところがその
立案に当りまして
対象と
なつたものは、第一は第十五
国会において
衆議院を通過いたしまして、
参議院へ送
つてありましたうちに
解散になりましたので
審議未了になりましたもの、これを第一といたしまして、その後
参議院からいわゆる
緑風会案と称せられる大きな
改正案が出ておりましたので、これを
議題として研究し、そのほか
参議院から細かい点でありまするが、
連座強化の問題並びに
政治資金規正法の
改正でしたか、二つ出ておりました。又
衆議院からも同様のものが二つ出ておりましたので、これら五つのものをも
対象として研究しようとこういうことで、すべてを網羅して、その
対象といたしたわけでございます。それからいわゆる
選挙法の
改正の是非やらなければならんという根本は、何としても金のかからない、而うして
違反のない
選挙をやるように
改正しよう、こういうことだと
考えましたので、この二つの大眼目に向
つて進めるようにしたいという
考えから
審議に入
つたわけでございます。
そこでいろいろ
考えました結果、大きな
考え方といたしましては、でき得るだけ
選挙運動は
公営にしてやろう、私
個人の
考えでは
完全公営にして
個人の
選挙運動ということを極端に
制限しよう、その狙いは一番金の要るのは我々が
選挙をや
つて知
つておりますが、金が要るのは
選挙事務所を持つからで、
一つ選挙事務所を持たんでもいい
法律案にしよう。その次は、
選挙違反はいろいろありまするが、
候補者一人ではなかなか
違反をやろうとい
つてもやれない、やはり
個人の
運動員を使うからだ、そこで
運動員も使わんことにしてやろう、こういうことが私の
考えておりました
完全公営でございます。こういうことを目標にしてやりたい、こういうことで進んだわけでございます。
従つて、それについては
公営をずつと拡めますると同時に
個人の
選挙運動をずつと減らし、それともう
一つは、
最後に今いわゆる
政党政治とな
つておりまするが故に、自分の所属する
政党から
政治運動をしてもらうことはこれは大いに伸ばそう。それから又
政党の権威をあらしめるために、
政党で公認せらるるものでなか
つたら当選できないようなことまでもやりたいと、こういう
理想を持
つてや
つたわけでございます。これは
あとでいろいろ出て来まするし、又途中でなかなか私の
理想が思うように行かんので、だんだんへこまされて参りましたけれども、その精神をも
つてや
つたことだけを
一つ前提として御
参考に頭において頂きたいと思うのであります。
そこで、お手許へ
要綱が参
つておりましようから、この
要綱の順序について問題のあ
つた点だけをお話申上げたいと思います。
第一は、
選挙管理事務の
整備に関する
事項でございます。これは主として
自治庁の
選挙部から出ました案、それから各地の
選挙委員会から要望のあ
つた点を拾い集めてできておりまするので、第十五
国会で
衆議院を通過してこちらへ参
つておりましたものが全部でございます。従いまして、これは
説明を省かせて頂きまして、なお御疑問がありますれば、質問に応じて答えることにしたいと
考えます。
その次は、
選挙運動の
適正化に関する
事項でございます。その一は
選挙運動の
公営。その(1)の
立会演説会、(イ)「
事情の許す限り
値数を多くすること」、(口)
班別編成の
方法も採用できることとすること」、(ハ)「
私設の
立会形式の
演説会を禁止する建前のもとに、
候補者共同主催以外に
第三者が
候補者のために
合同して行う
演説会を認めないこと」、こういうことにいたしました。この(イ)の点は
説明するまでもありませんが、これは実は一日に少くとも三回以上やれというのを最初の原案に出しておりましたが、そうどうも法定してやられては、所の
事情によ
つては行われんこともあろうしするから、でき得る限り多くするということで止むを得んだろうというので、こういうことになりました。それから
班別編成の
方法も採用できることとする、これは現在においても、事実その地の
選挙管理委員会で協議の上でや
つておるそうでありますが、や
つたほうが便利だろうから、やり得るということを法定しておくことと、こういうことになりました。これは
説明せんでもわかるだろうと思いますが、
一つの
選挙区で全部の
候補者を一所でやるというよりか、西と東くらい分けまして、西の
候補者は西のほうでやる、東の
候補者は東のほうでやる、こういうふうにや
つたほうが便利であろう、こういうことでございます。その次の(ハ)は、これは新しく設けましたので、
私設の
立会形式の
演説会はこれを認めない、これは今まで随分我々は経験しまして、甚だどうも因
つた点でありましたので、これを入れたのです。今
公営の
立会演説会が始まりますると、一日二回にいたしましても、又これから多くな
つて三回にでもなればなお更でありますが、ずつと時間がきま
つております、
最後まで。ところがその間で
新聞社で主催するからや
つてくれとか、又おれの村は小さいと
思つてやらなか
つたから、おれの村でや
つてくれと、こう
言つて青年団等で主催してやられる。誠に有難いことだが、一方には時間のきま
つたものがあるから、出ようと
思つてもどうしても出られない。出られないとなると、あいつが出なか
つたと、こうい
つて攻撃を受けます。それは又善意のものですが、もつと悪いのになると、或る
一定の
候補者だけの時間の
都合を聞いて、ほかの
候補者の時間の
都合を開かないできめます。そうすると、出られないのがわか
つている。それを出なか
つたから、あいつは出ないと、こういう
攻撃に会うという実例がありましたので、この
規定を設けたわけであります。それから
あとのほうも、これは
ちよつと
説明を要しまするが、二人以上の
合同演説会とい
つて、これは各
候補者が
個人演説会を
一つの所でやるということになれば自由だと、こう申しますが、
候補者がやろうという
意思で時間を
都合してや
つたのならいいけれども、そうでなくて、
第三者がそれじや
立会演説はできません、
個人演説会としてここでや
つて下さいと、こう言うても同じことになります。そういう意味で、
候補者の同意のないものを
第三者が一切や
つてはいかん、こういうふうに
規定したわけでございます。
それからその次は
個人演説会でございますが、これにつきましても随分
議論はございましたが、結局
議論し
議論して、仕方がないから
現行通りにしようというので、
回数は
現行通りになりました。それからその次の(イ)は六十回、それから(口)は「
個人演説会用公営施設に公民館を加えること」、これは問題ないと思います。実はこの間に随分
議論のあ
つた問題がありますのは、
婦人会、
青年会等の集会、
映画、
演劇等の
幕間、又は
会社、
工場等の休憩時間などを利用して行う
演説会は、これは
個人演説会とみなすべきではないか、こういうことと、
従つて立会演説会、
個人演説会及び
街頭演説会のほか、
演説は一切禁止するものとすること、という
規定を置こう、こういう
議論があ
つたのであります。これは
ちよつとこれだけ
説明しますと当然のことのようですが、随分
議論のありますのは、
立会演説は問題ありません。それから
個人演説は、これは
候補者が届け出まして、それで
公営で前の
立看板だけを出してもら
つて、そうして
告知ビラを張
つてやる
演説会、それから
街頭演説会は旗を持
つて街頭でやることでいいようですが、今申しました
婦人会、
青年会、それから
映画、
演劇の
幕間、殊に多いのは
工場の体感時間を利用してやるのは、これは
個人演説会でもない、
街頭演説会の延長のようなもので、
個人演説会以外の
演説だ、こういう
議論がありまして、いろいろ
議論の結果現在はそれを
演説会に入れないで認めているそうです。そこで問題が出ますので、そういうことになると、もう
個人演説会というものとそういう
演説というものとの区別がなくな
つてしまう。六十回ということの
制限をしたことの効果がなくな
つてしまうから、それは
演説をやることはよろしいが、
個人演説会として取扱うべきものだ、こういう
議論です。これは前回の
改正の際に私は念を押して、そういうものを
回数の中に入れるのだと言
つてできたことは間違いないのでありましたが、いつの間にか解釈でそういうことになりましたので、そういうことをやめよう、こういうことです。又
個人演説会の
回数の
制限が無効になるだけではありませんで、そういうことになると、一部の人だけにはやらせるが、ほかの人にやらせん。いわゆる
機会均等を失するという弊害も認められますので、やるなら止むを得ず
個人演説会として
制限すべきものだ、こういう
議論がありましたが、これは先ほど言うのを忘れましたが、
只今通
つて来ましたのが前の五党、今の四党間で話のあ
つたことだけ通
つて来たのです。話の合わないものは
各党で
提案すればよろしい、こういうことにな
つておりますので、この点は私のほうの自由党と民主党とで
合同で、
あとで別個に
提案いたしておりますので、後刻
衆議院を通過してこちらへ参ることと思いますから、前以てこの点を御
説明申上げておきます。来ましたらどうかよろしくお願いいたしたい。
その次は
無料葉書で、これも随分
議論があ
つたのでありますが、
議論し
議論して、
現行通り一万枚にしよう、こういうことに相成りました。
その次は
ポスターでございますが、
ポスターは、これもいろいろのいきさつはありましたが、結局現在のところでは
演説会の
告知用ポスターを五千枚としよう、こういうことに相な
つたのであります。これを殖やすとか殖やさんとかという
議論がありましたが、
あとで出まする
連呼行為を禁止いたしました結果、今までや
つて歩きました、
自動車で今晩どこそこで
演説がありますからおいで下さいというあの
連呼をやめようということにな
つたのですが、それがないならば、今までよりかもつと多くの
告知をやらなければならんだろう、こういうことになりました。それともう
一つは、この前千二百枚で
制限があ
つたものですから、いろいろ
創意工夫をせられる方々がありまして、
演説会の
告知用ポスターであ
つたが、これに裏打ちをして貼らないで引かけて歩く、そうしてどこへでも何遍でも転用する、そこまではまだよろしいのだが、今日はここにおいて
行つて、又その次へ
行つて一つお願します。又二日か三日経
つて、又別のところへ
行つてお願いします。立派な戸別訪問にこれを悪用しておるという実例がありまして、こういうのでその転用を禁止する、こういうことにいたしましたから、そこで殖やそうと、五千枚に殖やしたわけであります。従いまして、これを
演説会告知用以外のいわゆる氏名
告知に
使用することも転用でございまするから、いけないわけでございます。それからいろんな方面へ転用することもいけない、こういうことに相
なつたわけでございます。それから
ポスターは
公営で刷
つてもら
つたものをもらいまして、この前と同じです。名前だけをブランクにしてありまするから、それはこちらのほうで然るべく入れて見やすいようにお入れになることは、これは自由だろうと、こういうことでございます。
それから新聞広告は今まで一回であ
つたやつを二回にしてスペースを増す。
放送についてもいろいろ
議論がありましたが、なかなか
回数を殖やすとい
つても事実上不可能であろうというので、なるべくみんなが聞ける時間にや
つてもらう、或る放送局においては午後十一時から放送したというようなことを聞いたが、そういうことのないようにするということで、とどめたわけでございます。
選挙公報は、今まで千五百字でありましたものを二千字と、
写真も載せることにしよう、こういうことにいたしました。これも二度にしたらどうだという
議論がありまして、最初に取りあえず
写真と経歴だけを載せたものを出して、そして
あと選挙の五日前ぐらいに政見を載せることにしたらという
議論があ
つたのですが、どうも二度や
つても大した効果がない、一遍に相当実のあるものを出したほうがよかろう、こういうことで一回に
なつたわけでございます。
それからその次は氏名の掲示ですが、これは今まで役場の前であるとか、町角、村角へ出ておりまするが、あれが誠にどうも申訳的に貧弱なものですから、なるべくこれを立派なものにして、人によく見えるようにしよう、私は、これさえ完全にやるならば、もう
ポスターなどは要らんという
考えを持
つてお
つたのでありまするが、なかなかこれ予算の
関係等もあ
つて思うようにいかんから、できるだけ予算の許す限り立派なものにしてもらおう、こういうことで落着いたわけでございます。
それからその次は供託金について、
公営納付金を入れるかどうかという
議論も随分あ
つたのでありまするが、結局
現行通りにいたしましたから、
説明を省略いたします。
それから今度は一般の
選挙運動、これもいろいろ
議論はありましたが、大した変更がありませんので、
選挙事務所を表示するため
一定の標札を掲げなければならないものとすること、これだけを加えました。
全国参議の
選挙事務所の閉鎖命令は、
都道府県の
選挙管理委員会もできるようにすること、これは事務的のことでございます。
その次は
飲食物の
提供ですが、これは大体随分
議論の結果こういうことに相な
つたのであります。ただ私は
選挙運動員というものを使わんことにしようとい
つたが、やはり
選挙事務所というものはなければいかん、こういう
議論になりまして、事務所がある以上は
運動員、私は
運動員と言うのはどうかと思いますが、事務員でもいいし、又は
労務者、そういうものが、出納の責任者がなければならん、こういうことになります。そこで、置くならばできるだけ少い数を置こう、こういうので、最初にこれを
制限する案が出まして、五人五人で十人、五人七人で十二人、十人十人で二十人説等がいろいろありましたけれども、若しこれを
制限するということになると、曽
つてえらい弊害があ
つたように、立札が倒れてお
つて起したから、
運動員でないものが
選挙運動をやるとい
つて叱られ、又
演説会場で誰もおらんからというので電燈をつけたからとい
つて叱られ、ござを敷いてや
つたからとい
つて、お前は
運動員でないのにとい
つて叱られるような弊害があ
つてはいかんから、結局、
あとで出ますが、
街頭演説に出る者だけの
制限をやれば、
あと一つ費用の点で
制限することでいいだろう、そうしなくちや窮屈でやれん、こういう
議論で、結局
運動員、事務員、又は
労務者というものの特別の法定の
制限をやらんということに相
なつたわけでございます。併し、それにしましても
選挙費用というものを、これは
あとから出ますが、我々は実際に要るものは実際に要るだけ出そう、そうしてその代りこれを超過したら厳罰に処する、延いては
連座制にも
つてくるということにするのだから、要るだけの費用はやらなければならん、そうすると、どれだけの人間を使うという標準がなければ出てこん、こういう主張をいたしまして、結局、それじや事務所で弁当を出されるものを
制限したらよかろう、こういうことで、ほかにその代りただで働いてくれる人がおれば、これはいくら働いてもら
つてもよろしい、こういうことになりまして、弁当で
制限する、こういうことに
なつたわけでございます。そこでここにありまする
通り、「
当該選挙の
選挙期日の公示又は告示のあ
つた日から
選挙の期日までの
期間に応じ一日十五人(
選挙事務所の数が一を超える場合にはその一を増すごとにこれに六人を加える)」、こういうもので算出した員数の三食分に相当する数を超えない
範囲内で出してよろしい、こういうことになりました。この十五人の標準は事務員五人、
労務者七人、
出納責任者一人、それに応援弁士平均二人、こういう標準で、これはただ単なる標準でありますが、そういう標準で出したわけでございます。それから弁当料につきましては、これもいろいろ
議論がありましたが、これは
あとで出て参りますから、
一定の最高額を法定して、その
範囲内でやるということに相な
つております。
それからその次は、
現行法は事務所においては湯茶以外の食事を
提供してはいかん、こういうことにな
つてお
つたのですが、湯茶とい
つたところが、どうも菓子を出さんというわけにいかんので、出すなとい
つたつて事実出しているのだから、なるべく簡素なお菓子を出してもいいということにしよう、こういうので湯茶を茶菓と直しました。その代り通常用いられる程度の菓子を言う、こういうことで、これは
あとで費用の計算で一日平均三十円を見てございます。
その次は
自動車、
拡声機及び
船舶の
使用でございますが、これもどうも随分廻り廻
つてこういうところへ参りました。最初は
選挙運動用の
自動車は一台限りにしよう、そしてそのほかは、事実上要るに違いないが要
つたらそれは雇えばいいのだ、その代り雇
つたら全部
選挙費用として書き上げることにしておけばよかろう、こういうことを
考えて原案を出しました。そこで、その次は
街頭演説会というものを認めるのですから、
街頭演説会に使う
自動車をどうするかというので、これはもつぱらトラツクをやめてくれ、乗用車だけにしようと、こういうことを主張したのです。ところが第一番に問題にな
つたのは、東北、北海道等で雪解け及び凍
つておる場合に乗用車で行けと言
つても行かれん、事実上だめなんだ、そうしてみると、そういう場合にはトラツクは認めてもらわなければ困るというので、それじやそういう場合に限り特に乗
つてもいいということで、それ以外は乗用車にしようと、こういうことでや
つたのですが、なかなかどうもいろいろ
議論がありまして、殊にこれは都会の
候補者方がやかましく言われるのは、その乗用者に乗
つて行つて、乗用車の中で
演説をやるわけに行かんから降りてやる、降りてやると、例えば新橋駅前であるとか渋谷駅前のような何千人何万人おる所で、
自動車から降りて低い所で
演説をや
つてもとても見えるものじやない。どうしても何かの台の上でやらしてもらわなくちやいかんと、こういう
議論が出まして、乗用者に箱をつけて行けばいいじやないかというような
議論も出ましたが、そんなことじやいかんというので、とうとうそれじや小型貨物車に限り許すということにしようとこういうことに相なりました。これはもう昨日これが通る瞬間までまだ反対論がありましたが、結局多数でこういうことにきま
つたわけであります。その代りにその車には一切の飾付けはしない、又その上へ乗るのは、
あとで出ますが、その上へ乗る人数は運転手を除いたほか
候補者を交えて四人だけにしよう、
候補者とそれからまあ前座をやる者を一人と、それからマイクがいたむと普通マイクを直す技術者、それに
あと旗を挙げたり、小使のような者、これだけいればいいのだから、これだけ乗せることにしよう、これは実際トラツクを使わんことの原則からこういうことを
考えたのです。そうして四人だけにしよう。ところがどうも一日朝から晩までや
つて歩いて、それが二十五日もやるということになると、一人の運転手ではやれんから、運転手を一人認めなくちやならんだろうということから、それじや助手というか代りの運転手を一人だけ認めて、その代り運転手は……助手というか、交代する運転手は
選挙運動を一切してはいかん。その運動のできる四人、
候補者とそのほかの三人に腕章その他特別の記章をつけておいて、それ以上やらんということに落着いたわけでございます。随分
議論もございましようが、結局まあまとめるためにはできるだけお互いに讓歩して、そういうことにとりまとめた実情でございます。それから
あと証明書の交付を廃止するとか何とか、これはもう事務的のことで大したことはございませんから、
説明を省略いたします。
それから小型貨物車というものは法定上きま
つておりまするので、これは
あとで事務のほうから出ましようから、これは交通取締規則できま
つておりますから、この点は
法律上は明瞭に相なります。それから先ほど言
つた候天の悪いときには大型を特別に許してもらう、こういうことに相な
つております。
拡声機は一そろいだけを許す、こういうことにいたしまして、専用でき得るものは一そろいにしたわけであります。今まで二そろいであ
つたやつを一そろいにしました。そこで問題は
個人演説会場において
拡声機を認めるかどうか、一そろいということになると、これは
街頭演説会に持
つて歩くのが原則ですから、一々下してやらなきやいかんから、そこでこれもいろいろ
議論がありましたが、許さんことにしようという
議論をしましたら、そうかとい
つて会場にもう備え付けてあるものがある、その備え付けてあるものまでこれをやめろとい
つても非常識な話だし、大きな
演説会ならなくては困る場合がある。その会場において一そろい使うぐらいは大した弊害がないだろう、こういうので
個人演説会場において一そろいだけ使うということを
基準にする、こういうことに相
なつたわけでございます。
従つて個人演説会を一晩に五カ所でやれば、五カ所で借りて使うことも差支えない、こういうことに相なるわけであります。
それからその次は先ほど言
つた自動車、
拡声機及び
船舶には文書、図画の一切を禁止する。それから
選挙事務所、
個人演説会及び
街頭演説会に用いる
ポスター、立札及び看板等はその規格を
制限する、これはもう向うから
公営でもらうことになりましたから、当然そういうことになります。
それから
ポスターの掲示の承諾、これは今まで
居住者だけであ
つたが、それだけでは困るから、管理者及び所有者の承諾ということに拡げたわけであります。
それから新聞紙及び雑誌の報道、評論は結局
現行通り制限するということに相
なつたわけでございます。その次はこの新聞、雑誌の
制限について
選挙期間と書いてあるものだから、
選挙の当日や
つてもいいんだというようなことでやる人もありましたから、
選挙当日もできないと、これは付け加えただけでございます。
それから有線電気通信
設備の
使用制限、これは共同聴取用の放送
設備などを使
つてもいいじやないかという
議論もありましたが、いつも出ます
機会均等を失することがあるからやつぱり使わんことにしよう、こういうことにいたしました。
それから
録音盤の
使用、これも
立会演説では禁止するが、ほかのものは差支えなかろう、こういうことでございます。
それから
連呼行為は一切禁止する。
それからその次は、
立会演説会開催当日の他の
演説会の
制限は、前後二時間の間だけ禁止することにして、それでよかろうということにいたしました。
それからその次は、特定の建物及び
施設における
演説の禁止でございまするが、近頃
公営住宅という特別の町ができておるから、その場合に
公営住宅においても
演説できるようにするということにしたわけです。まあそのほかは大した
議論のあるところはございませんから省略いたします。
その次は
出納責任者のところでございまするが、これは最初のは発信主義にするということ、それから代行者も同一の責任があるようにする。その次は、職務代行者の
違反行為に対しては、
出納責任者と同様の罰則を科するようにすること、これは当然のことのようでございますが、これが連座の場合に
出納責任者と同一に大きな責任が生ずるから、ここでは大したことはないようですが、大変な大きな
改正でございます。
その次は
出納責任者の届出前の
寄附の受領の禁止
規定、これは現在の
法律では間違
つておりましたので、穴が見えましたから訂正しただけで、これは当然のことでございます。
その次の第三の
選挙の
公正確保に関する
事項、これは大変
参議院に
関係のあるところでございまするが、
参議院で提出せられておりまする
法律案によりますると、公務員の
立候補制限、知事の三選禁止という重大なものが載
つておりました。これをいろいろ研究いたしましたのでありまするが、抽象的にはこの二つは誰でも賛成なんです。賛成なんですが、いざそれではどういうことで禁止するかということにな
つていろいろ
考えて見ますると、容易ではございませんし、どうも憲法
違反になるという疑いがとれません。というのは、いわゆる身分、職業によ
つて特別の取扱いを受けないというのに、公務員であ
つたがために、二度知事をや
つたがためにという身分、職業上のために
立候補できないということにすることは面白くないじやないか、こういう
議論が出て参りました。それから一体それではこれを禁止しなければならんということはどこから出て来るのかと、こう
考えてみますると、結局その地位を利用して
事前運動をやる。その職責にあるうちにその次の
選挙を予想していろいろやられることが弊害があるのだ、こういうことに帰着するものでありますから、それならばそういう
事前運動をやらないことにすれば
目的を達するのじやないか、こういうことになりまして、今ここに出て参りました
規定に変えたわけでございます。
公務員等の地位利用による
事前運動の禁止、(1)国又は地方公共
団体の公務員が、その地位を利用し、第百二十九条(
事前運動の禁止)の
規定に
違反して
選挙運動をしたときは、二年以下の禁こ又は三万円以下の罰金に処すること。(2)日本専売公社の役員、若しくは職員、日本国有鉄道又は日本電信電話公社の経営
委員会の
委員、役員若しくは職員が、その地位を利用してこれをや
つた場合は同様である、こういうふうにいたしたわけでございます。そこでこの
規定を置きましたが、「その地位を利用し」、ということはどういうことかというと、地位を利用するには違いないが、それを具体的に表わしてこれを処罪するという場合には相当問題があるだろうということで、大変非難もございましたが、併しどうもそうかとい
つてないよりはあ
つたほうがよかろう。面倒なことは裁判所なり検察庁に任せるが、これを置かんよりは置いたほうが遥かにましであろう、こういうことで一応置いたわけでございます。
その次は
選挙運動費用でございますが、これも大変
議論がありましたのですが、結局先ほどから申上げましたような
法律を前提といたしまして、あらゆる運動に要る金をこれは
自治庁のほうで細かく予算を立ててもらいました結果、最初私らやりましたのは百十万円ほど要るという計算が出たわけでございます。それはその代り
自動車も両方みんな入れて百十万円になります。そこで百十万円ということになると、この基礎数字を約十一円ということにすればいいので、そういうのを
考えておりましたが、そこでいろいろ
議論が出ましたが、第一番には
候補者の乗る
自動車です。これは今までは、大分
議論はありますけれども、法定
選挙費用から除かれておりました。それを入れてやるというのでやりましたところ、どうもそれはおかしいじやないか、
候補者が
選挙運動をや
つて歩いて宿屋に泊
つたらどうするのか、それは入れない。小遣い使
つたらどうか、それも入れない。それならば
自動車に乗
つても同じじやないか、こういうことで、それならばやはり宿賃や旅費その他と同一に
選挙費用に入れないようにしよう、こういうことにしたわけであります。
次は今度は
選挙運動用の
自動車でございますが、これは理窟よりか、あまり一遍にそういう費用が多くなり過ぎては、今まで四十万円だ
つたやつを
候補者の車賃を引きましても十万円ほどしかないから、百万円ほど要る。それで従来
通り選挙運動用の
自動車だけは除いてもいいじやないか。そこでこの
自動車を予算の上で約三十万円に見てありましたものですから、それを除いて七十万の見当で基礎の金を七円、こういうことに落着いて現在出しましたわけです。今のところでは平均七十万円を
ちよつと超える費用に相な
つております。今日もまだ
衆議院で
議論がありまして、
候補者の専用車を認めて、それを費用から除くということはどこから出るのだ、こういう
議論がありますが、成るほどそういうのは特別に
規定はございませんが、
候補者の乗
つた船車馬賃は法定費用に入れない、こういうようにな
つておりますから、そこで
候補者が一遍ごとに雇
つて乗ろうが、一日中常用に雇
つて乗ろうが同様である、こういうことで結局専用に雇
つても差支えない、こういうことになるわけで、結局法定上
候補者の専用車を一台特別に認めるという
法律はないわけでありますが、要るときだけ雇
つても差支えない。これは続いて雇
つてお
つても常用にしてお
つても差支えない、それを俗に専用車であると言
つている、こういうふうに解釈して頂いてよかろうと思います。それから
あとは弁当料なり宿泊料等細かいのが入
つておりますが、これはお読み頂けばわかりますが、別にこれでやらなければならんというわけではないのでありまして、
自治庁のほうでも調べた結果、これくらいならどこでもやれるだろうから、この
範囲内でや
つてもらう、こういうことに相な
つているわけでございます。
次は
寄附の
制限です。
寄附の
制限の第一は、
現行法にありまする国又は公共企業体といたしましたので、公共企業体が殖えたのでございます。今までは国の
選挙に関しては、国の請負をや
つておる者、並びに国と特別の利害
関係ある契約を結んでおる者、当事者から
選挙に関して
寄附を受けてはならないと、こうな
つておりましたのを、公共企業体をこれに加えたのであります。日本国有鉄道、日本専売公社及び日本電信電話公社ということになります。これを加えたことが第一の
改正でございます。
それからその次は、これは新らしいものですが、「
候補者及び
候補者となろうとする者(公職にある者を含む)が
当該選挙に関し
当該選挙区内にある者に対し行う
寄附を禁止すること。この場合において通常一般の社交の程度を超える
寄附は、これを
選挙に関し行う
寄附とみなす旨の
規定をおくこと。但し、
政党等に対してする
寄附は、この限りでないこと」、こういうのを入れました。これはどうもお互い多年の経験の結果、これを入れたほうがよろしいということにいたしましたので、いろいろどうも
議員であるというと、これはまあ主として
議員ですが、
議員であるということを種にして
寄附の要請をされます。余裕があ
つて寄附をすることは一向差支えないようでありまするが、
議員なるが故に
寄附すべきものだという要求が非常に多いと我々は常に痛感しております。その意味で
議員なるが故に
寄附をするということは、それはなすべきことではないのだと、
議員の身分にある以上は、身体さえ達者であればこの次もう一遍やるということはもう既定の事実なんだから、そうすれば公職になろうとする者という意味で
寄附しないことにしよう。そのほか先ほどいう、禁止しようとする公務員だとか、三選する知事だとかも当然でございますが、そういう身分にある者が
寄附してはいかないということにする。併しどこでも身分あるということで
寄附してはいかんというのじやない。
当該選挙、自分の
選挙に関し、そしてその
選挙区内の者に
寄附するということに絞
つたわけであります。そこで、それはそれならば何もかも
寄附していかんのかと、こう言われれば、これもどうもどの程度で
制限するかということは随分
議論がありましたが、結局常識で通常一般の社交の程度と見られる
範囲ならばよろしいが、それを超した場合はいかないと、こういうことにしたわけでございます。そこで先ほども
衆議院で
議論がありましたが、通常一般というのは近隣の並合いを言うのか、近隣の並合いと言うても、その人の身分財産によ
つて又違いがあるが、その点をどう
考えるのかと、こういうむずかしい理窟がございました。これはやはり私は常識で
考えるほかないと思うのです。私の
考え方からすれば、財産があ
つておやりになるのならばよろしいが、
議員という身分なるが故にほかよりも余計出さなければならんということは私はいかんと、そういうことは私はそのために人より余計に出したとすれば、通常一般の社交の程度を超えたものと……。