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木下源吾君 それでこの
要求をしておる基本はですな。昨年の三月の
民間給与との差ですね。それから
標準生計費の
上昇、こういうのがつまりあなたのほうからも
報告にな
つておるし、それが
基礎にな
つておると聞いております。併しそれだけでは
勧告の
要素は不
確定だ、こう言われておりますが、その中でも著しく
生活に影響するのは
標準生計費です。
物価は
横ばいだとあなた今おつしやるが、その後においても実際
本当に
公務員諸君が
生活に必要なものですね。こういうものは上
つておるのです。
卸売価格だとか、それから
基礎資材だとか、こういうものは若干下
つておるものもおります。それでこの間も、そういうものとみんなごつ
ちやにして下
つておるとか或いは
横ばいだとかいうことを
大蔵省でも言
つておりましたが、そのときに
官公労の
諸君が言
つておりました。下
つておると言うが、どうか。豆腐は下
つておりますか。納豆は下
つておりますか。四月になれば又ガスやら何やらが上るというではないか、電気も……。その間において我々の直接
生活に必要なものは皆上
つておるんだ、こう言
つております。これが実際問題だ。で、私はそういう面からも
勧告は
考慮せられなければならん、こう思います。それと今
公務員の
生活の
実態、それも
考えねばならないが、同時に
納税者も
考えねばならない。これは政治的な問題だと思う。そういうことを言われると、果して今日の
デフレ政策というものが、どうこうという論議になるので、これは
人事院の
所管外ではないか、こう私は
考える。
人事院としてはそういう余りにも政治的な問題に関係すべきではないということが、おつしやる
通りの
中立だということだと思うのでありますが、果してそうであるならば、この
経済生活の面にウエイトを置いて、そうしてお
考えにならなければならないのではないか。殊にその他の
要素が不
確定だということは、
デフレ政策、即ち
デフレ政策というのは、今日ではもう言うまでもなく、
日本経済の構造を変えなければならないし、この
デフレ政策が続く限りにおいては、
中小企業或いは
労働者、こういう人々がその極端なしわ寄せによ
つて苦しむんだということは、これはもう定説なんです。でありますから、その他の
要素は不
確定だということは、はまらない。ますます
中小企業勤労階級、農民がしわ寄せされて苦しむんだということが、これが
見通しの上においても、理論の上においても、
経済政策においても、もう
はつきりしておるのでありますから、こういう場合においては、ひたすらに
公務員の
生活の
実態に触れて、そうしてこれを解決してやろうというのが
人事院の
職責でなければならない。いわんや
公務員法の命じておる二十八条によ
つて当然行わなければならんところの義務は速かに私は遂行せられるべきだと、こう
考えます。そうでないと、
人事院が政治的に非常にその渦の中に捲き込まれておる、こういう一般的な観察は、同時に
人事院の否定ということも言われることになろうと思うのです。私
ども人事委員会としては、そう
思つても
らつてはいけないのではないか。折角この
制度が確立しておる以上は、
人事院としては飽くまでも政治的な面に深く立ち入るのではなく、
本当のいわゆる
中立的な
立場に立
つて、
中立的な
立場というのは、
政府対
公務員ではなく、
公務員の
本当の
生活の、
経済生活の面にですね。この点に対してのみ注意を深く傾けて、そうしておやりになることが私は
政治的中立性を保つ
ゆえんだ、かように
考えておりますが、これはまああなたから言わせると、私
どもとは
見解が違う、こうおつしやるかも知れんが、少くとも
納税者の
立場で
考えるということになれば、これは大きな政治的な面に介入するということにならなければならない、こう思います。何はともあれ、今日の
公務員諸君の収入、そうして
生活の
実態、これは明らかに法の面から見ても、
人事院としても
勧告をしなければならないという、こういう時期に私は到達しておると思いますから、もう一段と
一つ御
考慮を
願つて、あの
諸君が今も
実力行使を以て闘
つておることは、一面これは理由があるのであるというところに留意をせられて、
自分のところへ直接来ておらんからという、対岸の火災視することなく、
勧告というこの
一つの段階は通らなければならない、この問題を解決するにはどうしても通らなければならんところの問題でありますから、
勧告について御
考慮を願いたいと思う。その点について今どういうようにお
考えにな
つておるか、これを
一つお尋ねしたいと思います。