○滝井
委員 そういうぐあいに言うのがほんとうなのです。たとえば国際収支の赤字でも九千万ドルの赤字が出るであろう、こういう御説明を前に開いた。ところが年の終りにな
つて、一日の閣議決定で発表された
ように、国際収支は内輪に見積
つても一億七千八百九十万ドルの黒字なのだ。これをもつと弾力をも
つて見ると、年度末には三億ドルくらいの黒字になるかもしれないということが
新聞にいわれておるわけなのです。そうすると、これはあなたが明らかに赤字であるという見通しを持
つてお
つたものが黒字に転化して来るし、あるいは失業者という
ようなものもこんなに多くは出ないだろう――小坂労働大臣は三十五、六万だろうと私の
質問で答えてお
つた。ところが
現実には五十万くらいの失業保険を払う者ができる、
現実には七十一万も出て来ている、こういうことで、ある程度
政府の見通しというものが甘か
つたということを率直に答えてもちつともはずかしいことではない。なぜはずかしくないかというと、元来経済政策というものは
一つの大きな特徴を狩
つていると思うのです。それはどういう特徴かというと、経済政策というものは政策の効果が合目的的であるということなのです。それが分目的的に達成されるかどうかということを保証できないということに、この人間社会における経済政策のむずかしさがある。たとえば物価が下
つた、貯蓄も順当に増加しておる、国際収支も改善ができた、これはあなたの方がその目的をも
つてやられたことは確かに正しいと思うのです。いわば経済政策は
一つの正鵠を得たと思うのです。ところがあにはからんや、その裏面においては、七十一万の失業者が
現実に出た、これは明らかに経済政策が合目的性を持たなか
つた一つの面が現われて来ているわけなのですから、私は
政府の見通しがこの人間社会で誤
つてお
つても、それを追究するつもりはない。
政府はこういう点を見誤
つておりましたと率直に言えば、われわれ野党もなるほどそうか、これは野党としてもそういうぐあいに御協力を申し上げなければならぬと心得るわけです。そこを今言
つたように、
政治責任を
日本の
政治家が喪失しておるところになげかわしい
状態があるということです。今後は、大臣私の
質問に率直に答えていただかなければならぬ。私も率直に――この重体の
日本を救うためには起死回生の妙薬を与党と争をと
つて探すことは、お互い
政治家としては当然のことでありますから、ひ
とつ率直に
お答えを願いたい。
次に通産大臣に伺いたいのですが、
政府のデフレ政策というものが最も端的に現われておるのはどこかと言うと、これは炭鉱業なんです。もちろんこれをもつと普遍的な
言葉で申しますならば、消費財を生産する産業よりか基礎産業に現われて来ました、これは事実です。それから経営者よりか勤労者にはげしく現われて来ている、大企業よりか小企業にその影響というものは深刻に現われて来ておるのであります。その端的な集中的な形をと
つて現われたのは私は石炭産業だと思う。そこでその石炭産業について御
質問をしたいと思うのですが、それに関連していろいろ失業対策その他もお尋ねいたしたいと思うのです。先般この
予算委員会で私は通産大臣に警告的な御
質問を申し上げた、多分二月十一日の
予算委員会だ
つたと思う。当時石炭産業というものは二百四、五十万トンの貯炭をかかえてすでに金融引締めの影響を受けてデフレ政策の先走りの現象が現われておりました。たとえば炭鉱を持
つておる地方自治体の中に深刻な赤字が出ておるということ、あるいはその炭鉱地帯における中小企業者が倒産を始めておるということ、しかもその地区にある学校の児童の中には欠席児童ができ、あるいは弁当を持たない児童が出て来ておるということ、あるいは労働者に金券が支払われておるということ、しかもその労働者が労災の保険料が順当に納入せられていないために給付の制限を受けて、労働者が公傷を受けたにかかわらず保険金さえも順当に事業主から払われてないという
ような
状態が出て来ておるということ、あるいは炭を掘
つたり、鉱害が放置されて、祖先伝来の美田、家屋が倒壊しておるのが放置されておるという
ようなこと、こういう具体的な問題を私は指摘をして、急速に石炭の対策を立てなければならないということを御警告を申し上げた。そのときに通産大臣は就任早々でもありましたけれ
ども、早急に総合燃料政策を立てます、現在立てる作業もや
つておりますという御
答弁を私は得たのでございます。
そこでまずその総合燃料政策をお聞き申し上げる前に、先般大臣はアメリカにおいでになりました、当時
日本の
新聞にも出ておりましたが、アメリカの余剰農産物をいただいて参
つたわけなんですが、それと一緒に余剰石炭の問題が出てお
つたと思うのでございます。現在アメリカはすでに余剰農産物とともに余剰兵器、ことに余剰石炭でアメリカの石炭産業というものはある程度苦しんでおります。たとえば
昭和二十五、六年ごろにアメリカから
日本に入
つてお
つた石炭は一トン三十ドルしておりましたが、現在は多分十八ドルくらいで入る
状態で、価格は半額にな
つております。こういう
状態から
考えて当然アメリカの余剰農産物とともに余剰石炭の問題というものが論議をされるということは、これは想像できるわけなんでございますが、アメリカの余剰石炭というものが今後
日本に入ることがあるのか、そういう話をしたのかどうか、これをまず先に御
答弁願いたい。