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1954-12-03 第20回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十二月三日(金曜日)     午後二時四十三分開議  出席委員    委員長 中井 一夫君    理事 加藤 精三君 理事 熊谷 憲一君    理事 佐藤 親弘君 理事 岡本 忠雄君    理事 鈴木 幹雄君 理事 西村 力弥君    理事 門司  亮君    青木  正君       灘尾 弘吉君    前尾繁三郎君       保岡 武久君    山本 友一君       吉田 重延君    池田 清志君       阿部 五郎君    石村 英雄君       北山 愛郎君    中山徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 塚田十一郎君  出席政府委員         自治政務次官  石村 幸作君         総理府事務官        (自治庁財政部         長)      後藤  博君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁長官官         房長)     柴田 達夫君         総理府事務官         (自治庁財政         部財政課長)  柴田  護君         専  門  員 有松  昇君         専  門  員 長橋 茂男君     ————————————— 十二月三日  委員首藤新八君辞任につき、その補欠として斎  藤憲三君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十九年度地方交付税総額等特例に  関する法律案内閣提出第一号)  昭和二十九年度修正地方財政計画に関する件     —————————————
  2. 中井一夫

    中井委員長 これより会議開きます。  この際御報告いたしたきことがございます。すなわち、昨日委員長より提出いたしました国政調査承認要求書に対し、同日議長より承認がありましたので、この点御報告申し上げておきます。  本日は昨日に引続き昭和二十九年度地方交付税総額等特例に関する法律案質疑を進めることといたしますが、本案質疑に先だつて、まず昭和二十九年度修正地方財政計画について政府より説明を聴取し、その後において本案に対する質疑を続行いたしたいと存じます。  なお、ただいま開会前の理事会におきまして、本案に対する質疑は本日をもつて一応終了いたすことに申合せができましたから、そのおつもりで質疑をお進め願いたいと存じます。それでは政府より昭和二十九年度修正地方財政計画についての説明を聴取いたします。塚田国務大臣
  3. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 ただいまお手元に配付いたしました昭和二十九年度修正地方財政計画について簡単に御説明申し上げます。  本年度地方財政計画におきましては、その規模を当初九千六百七十八億三千八百万円と定めたのでありますが、その後において、都道府県警察費是正、本年発生災害復旧事業費増加等、当初地方財政計画策定後に生じて参りました事情の変更により、これが修正を行う必要が生じて参つたのであります。修正のおもなる要因は、これを大別すれば、都府県警察費是正、本年発生災害に対する措置及び生活保護費増加等その他の国の補正予算に伴う修正三つでありますが、修正を行うに際しましては、地方交付税制度の本旨に基き、経常経費中道府県警察費是正分については、それが地方交付税の率の決定基礎に生じた誤り是正であることにかんがみその財源地方交付税に求め、地方交付税国税に対する率を修正することとし、別途所要予算補正案及び法律案を提出し、御審議いただくこととするほか、生活保護費の増、交付公債利子支払額増等爾余財政需要額増加額に対しましては、普通国庫補助金節減に伴う地方経費減少額をも考慮の上、できる限り、地方財政自体の中における財源振替または地方税増収見込みにより措置することとし本年発生災害に伴う復旧事業費増加額失業対策事業費増加額道路整備五箇年計画に伴う措置費鉱害対策事業費増加額等臨時的事業費増加額については、公共事業費節減により生ずる余裕財源振替をも考慮の上、その大部分を地方債をもつて措置することといたしたものであります。  今回行いました修正による歳出増加額は、道府県警察費是正に要する額五十六億二千四百万円、道路整備五箇年計画に伴う措置費増加額三十八億円、交付公債利子支払額増加額六億三十七百万円、国の補正予算に伴う生活保護費増加額八十七億八千一百万円、国の補正予算に伴う失業対策事業費増加額十四億三百万円、炭鉱労務者緊急対策に係る鉱害復旧費増加額四億四千万円、災害復旧費増加額十八億七千万円、  合計、百二十五億五十六百万円でありますが、他面国の予算節減に伴う国庫補助負担金の減により百五億二千四百万円を減じますので、差引百二十億三千二百万円が増加することになりますが、これに、歳入歳出の増減に伴い生じて参ります地方交付税の不交付団体における超過財源増加額四億八千一百万円を加えた百二十五億一千三百万円が今回の新規増加経費となるのであります。これに対し、国庫補助負担金の増二十一億九十七百万円、地方交付税の増四十億円、地方債の増(交付公債を含む)二十三億七千七百万円、地方税収入の増三十九億三千九百万円、  合計百二十五億一千三百万円を充てることにより所要財源措置を講ずることといたしたのであります。なお、右の地方税収入増加見込額は、国税法人税自然増収に対応する法人事業税及び道府県民税法人税割並びに市町村民税法人税別増収見込額と、たばこ消費税減収見込額との増差額であります。  以上により修正後における昭和二十九年度地方財政規模は、九千八百三億五千一百万円となるものであります。  地方財政現状は、昭和二十八年度決算において四百億円を超える赤字を生じており、その前途必ずしも楽観を許さないものがありますが、幸いに地方団体における健全財政への努力も日増しにその実をあげつつあるのでありまして、今回策定いたしました修正地方財政計画の実施を通じ地方財政健全性の回復にさらに努力いたして参りたいと存じております。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同賜わりますようお願い申し上げます。
  4. 中井一夫

    中井委員長 これより質疑を進めます。門司君。
  5. 門司亮

    門司委員 これは昨日からの続きでもありますし、今大臣説明の要旨について一応お聞きしたいと思いますことは、今の大臣説明によりますと、二十九年度地方財政計画というよりも、将来の地方財政計画についての見通しについて、私どもは一応お伺いをしておきたいと思います。  それは政府方針が、二十九年度御存じのように、その年度限りの収入がかなりたくさん見込まれております。たとえば道路費に充てて参りますガソリンの消費税の譲与というようなもの、それから来年度は当然大きな欠損を来すであろうところの今年もも問題になつております入場税の税率の引下げというような問題がからんでおります。従つてわれわれに来年度のというか、将来の地方財政計画については非常に大きな不安を実は持つておるわけであります。その上にまたここに四十億の、当然来年あるいはその翌年度地方に配付さるべきものを繰上げて、本年度財政計画の中に織り込まれておる、こういうことをいたしておりますと、一体将来の地方財政計画はどうなるかということに、われわれは非常に大きな不安を持つておる。今説明書最後をお聞きしておりますと、必ずしも楽観を許さないものがありますというようなことで一応ごまかしてありますが、われわれは必ずしも楽観どころではなくて、前途必ず大きな悲観を持つておるのでありますが、これに対する大臣の心構えはどうなんですか。こういうことをやつておつたら地方財政は全然わやになつて収まりがつかないと思いますが、何か見通しがありますか。
  6. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 門司委員が御指摘になりました点はまつたく同感なんでありまして、修正財政計画並びにことしの補正政府が目下御審議願つておるような形できまつたのでありますけれども、しかしあそこまでおちつきます裏面におきまして、私が大蔵省側といろいろ折衝いたしました気持といたしましては、御指摘の点を十分考慮して折衝いたしたつもりであります。たとえば昨日もちよつと問題になりましたことしの交付税の増というものは、将来当然地方に入つて来るものを今繰上げてことしの財源に入れたにすぎないじやないかと言われる点、まさに御指摘通りであると思うのでありまして、私もその点は強く主張し、最後最後までかんばつて、まだ最終的な結論には到達いたしていませんが、大蔵省側の意向を自分としてはまだ了承しておらぬわけであります。とりあえずことしの財源措置は何とかつけまして、来年度以降に問題を浅して検討したい、こういうふうに考えておるわけであります。従つて年度以降の予算策定財政計画策定にあたりましては、むしろそういう現在想像されますいろいろな困難の個々の解決をどうするかという問題よりも、むしろ基本にどういう考え方地方財政計画を健全にして行くかという考え方、そしてその考え方をどこまで強く主張して大蔵省側に賛成を求めるかという考え方が、今後の地方財政が健全になるかならないかという問題を左右する大きな要因であると自分考えておりますので、自分といたしましては今度の補正予算にとりましたような強い態度でもつて三十年度予算策定に対しては大蔵省側と折衝したい、こういうふうに考えておるわけであります。現在すでに折衝が部分的には行われておるのでありますが、しかし三十億度の分につきましては具体的には決定を見ておるものはまだ何らありませんけれども気持はそういう考え方で、そして結論として申し上げますならば、昨日も予算委員会でお答え申し上げましたように、二十八年度までの累積した赤字再建整備で、二十九年度は今度の補正予算を通じて赤字の出ないように、三十年度以降は新しく生じておるいろいろな要員を頭に置きながら赤字の出ない財政計画を組む、もちろんこれには自治体側の御協力を得なければとても成就しないものが多々あるのでありますが、少くとも政府として措置を必要とするものに措置をする、そうしてその上に地方団体協力を得て財政計画——地方財政赤字を克服し、財政を健全に建て直すという強い決意を持つて実は臨んでおるわけであります。
  7. 門司亮

    門司委員 内閣の命脈もあとそうないと思いますから、そうやかましく来年のことを約束してもしようがないと思いますから、来年のことの約束は一応このくらいにしておいて、あとは昨日からの問題でありますが、昨日は主として法案内答についての質問をいたしたのであります。この法案の内容に今の大臣答弁でも、ことしの二十九年度地方財政に対しては何とかこれを処置をするというお考えでありますが、これはほんとう警察費だけの処置でありまして、実際上地方から申しますと、当然政府が責任を持つて処置すべき当面の問題だけあつて、決してこれで地方財政処置がなされたとはわれわれは考えないし、また実は大臣考えてはいないと思うのだが、さつきはそういう口吻であつたから聞きたいと思います。地方財政の今日の窮情が、府県警察費だけを何とかすればそれでいいという政府のお考えであるように見受けられるのでございますが、決してそうではありませんで、府県と同じようにやはり市町村もかなり大きな打撃を受けているということであります。その中で一番直接に考えられ為ものは五大市財政であります。府県と同じような立場に立つておる五大市財政は、私は同じように処置さるべきだと考える。しかしその問題はあとまわしにして、市町村に対する財政処置考えなかつた政府の理由はどこにあるのか、一応聞いておきたいのであります。
  8. 後藤博

    後藤政府委員 今度の補正予算関係市町村関係のありますものは、災害関係はもちろんございますが、生活保護、失対等であります。災害は、これは市町村府県も同じように益定額基礎といたしまして、公共及び失業それぞれつけて行きたい。これは別にかわつておりません。ただ失対事業起債でありますので、これは起債措置する、できるだけ大きな起債資金でもつて措置する、こういうふうにいたしております。生活保護保護者にかかる経費の問題でありますが、これは八十七億ふえております。これは八割が国の補助であります。二割の分担はあるわけであります。ただ交付税制度建前からいたしまして、昨年とは考え方を違えまして多少の経費増加はやはりその範囲でやるという建前になつております。またこの経費御存じ通りすでにもう村当出しておるのであつて、補充費的な意味があるのであります。これはすでに税をもつて充てているというかつこうになつておりますので、税の増収、つまり一般財振替でもつてつて行く、これは公共事業及び補助金のそれぞれの節減によりまして約二十億円ばかりの一般財源がつくことになり、その一般財源のついたものと、それから法人税増収に伴うところの地方税法人関係の増がありますので、その三つをもちまして補填をして行こう、こういう考え方に立つておりますので、   〔委員長退席佐藤(親)委員長代理着席〕 特別に交付税の問題としなかつたわけであります。
  9. 門司亮

    門司委員 今の御答弁でございますが、政府も御存知のように、補助金その他かふえて参りますと、ここにそれだけの仕事の分量があるという見通しのもとに私は補助金の増額をされたと思います。そういたしますと、地方財政建前から参りますと、そのまま補助金を受入れただけで仕事のできるものは私は実質的にほとんどないと思う。ただ生活保護費、失対費等に対しまする負担区分の制合いだけでは済みませんで、地方自治体というものはそれだけの仕事がふえて来ればふえて来るだけ経費は増加するということがございまして、事業の量がふえたということを政府が認めている以上は、少くともやはり市町村に対しても税の伸びがあるとか、あるいはいろいろな財政があるであろうというようなことで、財政処置をしないということは、私は非常に大きな誤りであると思う。今のいろいろの答弁を聞いていると、二十億ばかりのものがどこからかあるだろうというお話ですが、地方財政はそういう余裕を持つておらぬだろうと思う。やりくり余裕を持つておれば大した問題は起らないと思う。しかしやりくりをするだけ余裕のないところに事業がふえたということに対して、財政措置をしなかつたということは私はおかしいと思う。もしそういうことが完全に行われておれば今のような——たとえばきようも全国市議会長会議をやつておりますが、行つてみればやはり財政の問題が中心議論がされている。知事が集まれば財政の問題を中心にして議論をしている。これらの問題は必ずしも今の政府答弁範囲ではないと思うので、今のような答弁でなくて市町村財政処置を講じなかつたということについての実際の数字的のものがありますならば、ひとつこの際はつきりしたものを示していただきたいと思う。そうしません地方財政はどうにもならなくなつて来る状態を私にきざしておると思う。  もう一つ、これは立つたついででありますから申し上げておきますが、それから来る全国都道府県並びに市町村の年末の、たとえば越年資金でありますか、賞与関係はたとい法律がきまつても支払うことが困難であろうという、実置的に困つている町村がかなりあると思う。それらの町村あるいは都道府県に対してはどういう処置をとられるつもりであるか、その点をひとつはつきりしておきたいと思います。
  10. 後藤博

    後藤政府委員 先ほど申し上げましたのは、特に市町村関係あります経費で、生活保護費が大きいのでありますが、財政需要額は、そこにありますように八十七億ふえております。このうち八割は大体国庫補助でありまして、要措置分としては大体十四億一千九百万円になるのであります。ところが一方、本年度の途中において公共事業が縮減されましたし、それから一般普通補助金が縮減されまして、それぞれ十億くらい財源的には余つているという計算になります。もう一つは先ほど申しましたように税が三十九億伸びて、このうち交付団体分が十九億ばかりございます。この三つを合せますと三十九億ございます。三十九億の財源がございまするので、大体見合つて行くのではないかというふうに私ども考えております。もとよりこまかい計算各市ごと特別交付税の際はじき直して行かなければなりません従つてその際に全然こういう財源を見ることができない市に対してに、やはり特別交付税措置する、こういうことに相なると考えておる次第でございます。  それからもう一つ、年末資金の問題でありますが、年末は手当が出ますので、給与関係は普通の月の倍以上いるわけであります。それから事業支払い関係がございます。従つて年末の資金は非常に増加するわけでありまして、府県市町村合せまして本年度は大体四百億ぐらいの資金需要があるのではないか、かように私ども考えております。そのうちで起債前借り——最近公共事業関係起債の割振りをいたしまして、約四百億近くやつたのでありますが、その起債ほんとうの許可のあるまでの前借りをある程度いたしたい。この前借りも二百五十億くらいいたしたい、あとの百五十億くらいを財政調整資金として郵政及び大蔵関係政府資金を借りたいという要望をいたしております。  総活的にはそういう方針交渉をいたしておりますが、個々団体につきましては、貸す方の立場からいたしまして、財政を相当引締めてまじめにやつておる団体を優先するという方針を従来資金の方でもとつておりますので、できるだけそういう団体については私どもは前から本年度赤字を出さないような計画、少くとも赤字を減小するような計画を立てるようにという指導をいたしながら、それぞれ個々市町村についてあつせんをいたしておるのであります。従来もそういうふうにしてあつせんをいたしておりますが、時に年末につきましては、ひどい団体もございまするので、できるだけあつせんいたしたい、かように考えておる次第であります。
  11. 門司亮

    門司委員 そうするとこういうふうに解釈してよろしゆうございますか。たとえば一番大きな問題は京都のようなところだと思いますが、あるいは岩手などがそれに次ぐようなことになりはしないかと思つておりますが、事実上給与を支払うに非常に困難だという場所がかなりたくさんある。それについては政府は必ず何らかの財政処置をするというふうに解釈しておいてよろしゆうございますか。
  12. 後藤博

    後藤政府委員 これは財政措置の問題ではなく、資金の融通をあつせんするという問題でありまして、私どもが金を持つているわけではございません。あつせんする場合に、政府資金が安いものですから政府資金をできるだけあつせんする。政府資金であつせんできないものは地元の銀行、金庫その他からできるだけ借りる。それから資金でありますが、この支払い関係をどうするかという問題があります。たとえば公共事業関係支払いを全部払うか、あるいはそれを半分くらい来年の一、二月に延ばすか、こういうふうな問題がありまして、その辺を個々団体についてこまかく、的確につかむことが私どもできません従つてわれわれは大まかな数字で、大体この県、この市はこのくらいの額がいる、細々の資金計画はそれぞれ持つておりますので、それと見合つて資金の放出をしてもらいたい、こういう交渉をいたしておるのであります。これを全部政府がやるという意味ではないのでありまして、できるだけ資金のあつせんをする、こういうことであります。
  13. 門司亮

    門司委員 私の聞いているのは、むろん財政処置を全部政府が背負つてしまえというのではない。あるいは今の言葉によるとあつせんという言葉になるかもしれませんが、いずれにいたしましても、ものは実現するようにならなければどうにもならぬのであります。従つて実現しようとするには、少くともそうしたところで——地方債と言いましたけれども市中銀行調達は私はなかなか困難だと思う。地方銀行でそういうところに調達をするということは、中小企業が非常に困つておりまする今日の現状から、そう簡単にできないと私は思う。地方公共団体仕事というものは、もうすでに十分御承知のように、大体国の仕事のつながりでありますから、やはり政府資金でめんどうを見てやるという態度をこの際表明していただきたい。あなたの方でそういうことはできますか。
  14. 後藤博

    後藤政府委員 できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。ただ京都問題はちよつと事情が違つております。まだ年末手当など予算に載つけておらないのであります。これから予算に載つければこのくらいの金がいるという計画をして来ておりますので、予算に載つける方が先ではないかと思います。その前に大体どれくらいの予算を議決するのか、それもわかつておりません。それから本年度財政計画見通しそのものも、この前の府会以来はつきりしておりませんので、これは例外でありますが、そうでない、大体でも本年度財政計画をつくつておりますところは、御趣旨に沿つて措置いたしたいと考えております。
  15. 門司亮

    門司委員 それではもう一つ。こまかい問題でありますが、きのうの続きであります。きよう実は表をもらつたのでありますが、これを見てみますると、五大市の分は二十七万五十円、道府県が二十四万六千円ということになつております。この差は、私は当然あるべきものだと実は考えております。むしろこの差は総月割にして参りますると、少いくらいに実際はわれわれ考えております。もう少し差があつもいいんじやないかというような気が実はするのであります。そこでお聞きをしておきたいと思いますことは、ここに書いてあります自治体警察五大市警察の二十七万五千円という数字と、道府県の二十四万六千円の数字でありまするが、これは府県の方は一体全部——ここに見合うだけの、ずつと書いてあるようではありますが、警察費総額を割り出したものですか。私が聞きたいと思いますことは、もし総額を割り出したものだとすると、たとえばことしの警察費その他については、大体警察官一人に三十万六千円くらいの計算数字が出ておると思うのだが、それと著しく開きがあるように考えられるのだが、その点はどうですか。
  16. 後藤博

    後藤政府委員 門司先生のおつしやるように、三十万ということが単位費用に書いてあります。これは平年度計算であります。本年度府県警察は九箇月でありますので、附則の方で二十万四千五十円になつております。これと比較しなければならぬのであります。それと比較して府県の平均は二十四万六千七百八十六円、こういうことになつております。二万二千円の開きがございますけれども補助関係が入つておりますと補助金だけに引かなければなりませんから落ちて参ります。ちよつと低い数字になります。
  17. 門司亮

    門司委員 当然私は低い数になることがあたりまえだと考えるのですが、そうすると、差額はもう少し開きができると私は思う。開きができて参りまするが、昨日の御答弁では、税の伸びがあるとか交付税で見ておるとかいうことなのですが、一体交付税の算定の基礎には二十七万五千円という数字が当てはまるのですか——間遠いないのですね。
  18. 後藤博

    後藤政府委員 この計算ではなくて、交付税計算は、私どもがいたしましたのは、現在出ております交付税は、普通交付税計算をいたしましたときの基準財政需要額の九七%だけ見て、三%は特別交付税で見る。これは府県も同じでありますが、それをひつくり返してみますと、結局七十五、六億になり、五大市要求額基礎にいたしまして府県警察の新しい単価を使つてはじいた数字と、交付税のときに使いました計算とが大体同じくらいになつておるというりこと昨日も申し上げたのであります。従つて交付税はほとんど期待できない、こういうことになるのであります。
  19. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 塚田大臣は三時半から予算の方にまわるそうでありますから、質問趣旨塚田大臣に向けて、ひとつ先にやつていただきたいと思うのであります。
  20. 門司亮

    門司委員 この質問が終つて大臣に聞こうと思いましたが、先に結論を聞いておきますが、今の後藤君との数字のやりとりでありますが、これにわれわれはあまりふに落ちないことがあります。それはさつき言いましたように、どうも今の後藤君の答弁を聞いておりましても、算定の基礎数字が同じだとか違うとか言つておりますが、警察費の問題は理論的にどんな事情がございましようとも、少くとも警察府県移譲のために、税制改革が行われたということには間違いがないのであります。従つてこの間違いのないものを基礎にして考えて参りますと、その税制改革をして市か府県に移譲された税制がそのままたとえば五大市に残つておれば、今のような後藤君の答弁で私けつこうだと思う。しかしその税制を残しておいてもなお足らぬから何とかしてくれというならば、市の言い分が少し無理じやないかということもあるいは言えるかもしれない。しかしながらその税制を全部府県に取上げてしまつておる。だからこれは明らかにその税制分だけは少くとも五大市にはめんどうを見るべきである。その基礎の上に立つていろいろな議論をしてもらうことの方が正しいのではないか。たとえば川崎市のごときは実際上の問題から言うならば、県に警察を移したことのために、あるいは事実上相当もうかつておると思う。県がしよつてくれさえすれば、かなり助かつて来ると思う。そういう不公平が実に出て来る。だからどうしても五大市警察を持つておるということになれば、その税制改革によつて府県に吸い上げられた分だけは、最小限度としてもやはりこれを五大市に環元すべきであるという考え方を私は持つておるのでありますが、これに対する大臣考え方をひとつ聞いておきたいと思います。
  21. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 門司委員のお尋ねになつておる気持はよくわかりますし、また気持としては私もまさにその通りだと思うのであります。それではそういうことを頭に置いてそういう交付税の配分措置というようなものができるかどうかということになりますと、これはやはり今の制度がどうなつておるかということなのでありまして、御指摘のように今度の税制改革は警察は全部府県に行くという前提でいたしたのでありますが、その結果五大市には警察が残るということになりましたので、交付税の配分その他の配分におきましては、やはり五大市警察が残るということを頭に置いて配分はいたしておるのであります。そうして今の交付税制度ではそれ以外にこれは行かないという制約があるのであります。ただおつしやるように警察をやつてしまえば非常に楽だ、やらなかつたら困難だという事実は厳然として認めざるを得ないのであります。その結果非常に県の方にゆとりが出て市の方に困難が出て来たということも認められるのでありますが、これはやはり、今の制度自体で行きますと、あるところに富裕団体かでき、あるところに貧弱団体ができるのと同じ考え方から出て来るのであります。ですからこの制度の上でそれを救済するというならば、この制度自体を何か根本において考え直して行くのでなければいかない。やはり今の制度をそのまま是認して行く以上は総額がきまると、今の配分の基礎従つて配分をして行く、そうするとこういう結果になつてしまう。それは確かにお気の毒であるというので、昨日来申し上げておりますように、若干起債の面で考慮をしよう、これが今の政府としてできる最大限の措置であるというのが、今度考えておりますような結果になつたわけであります。これはもしも門司委員のお尋ねの気持をどこまでもやつて行くということにすると、その配分の仕方自体にもことしは特例を設けないと行かなくなると思うのであります。その辺は門司委員よく御承知なさつてお尋ねいただいておると考えるのでありますが、私どもは実はそういうふうに問題を考えて、非常にお気の毒な状態にはなつておるがやむを得ない、こういうふうに考えております。
  22. 門司亮

    門司委員 今の大臣の御答弁ですが、これは大臣が忙しいようですからそう長くは聞きませんが、大臣はあまりにも交付税なら交付税にこだわり過ぎておりはせぬか。ほかに方法があるのではないか。二十九年度だけは五大市には適用しないということを税制改正してもその問題は片づく。何も交付税交付税と無理にむずかしい交付税のところに問題を持つて行かなくても、大臣が解決するという腹さえあるならば私は解決すると思う。そうしてこれは起債だと言われておるが、起債で全額やられたら、起債あとで返さなくてはならぬ。返さなくてもいいのならばけつこうでありますが、返さなくてはならぬ。同時に市に警察を持つておる以上は、やはり市の自主的な財政の中からこれを支払つて行くということが一応正しいと私は思う。そうすれば税制改正でも事は足りたと思う。むずかしい交付税のところに問題を持つて行かなくても、税制改正をされれば事は済んだと私は思う。一体なぜ税制改正をされなかつたか、それをもう一つ聞かしておいていただきたい。
  23. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 これは御意見のように税法を改正するという方法も、一つの方法だとは思うのであります。しかし今の交付税もそういう場合には措置できるように、結局収入と支出のバランスを見て、国が地方団体に保証しております最低の線はやはりこの場合にも保証はされておるのでありまして、私ども考え方はそれにプラス起債でめんどうを見て差上げるということで、ひとつごしんぼう願う、こういう考え方で御了承願いたいと思うのであります。
  24. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 北山愛郎君。
  25. 北山愛郎

    ○北山委員 財政金額については昨日も質問したのですが、なお補足してお聞きしたいのは、この前地方財政の困つておる一つの例として佐賀県の問題がこの委員会でも取上げられたわけであります。これは警察が県議会に介入したというような問題として取上げられましたが、その際に参考人の口から聞いたところでは、あの佐賀県会の乱闘問題の発端をなしておるのは、県知事が三億円という節約案を県会に出した。これについて県会の中対立が生じてそれが、原因となつたのだというような話で、その三億円の節約案というのは、実は知事の口から聞けば、政府の方がどうしてもこの案をのまなければ金を貸してくれないというようなことを言われた、こういうふうな参考人の陳述があつたわけであります。従つてこれは一つの例でありますが、ほかの場合でもあるいは同様じやないかと、思うのですが、この節約案、再建整備案というものを政府の方から金を貸す場合に押しつけておるのではないか、そういうことのために各地方の議会では、いろいろな紛争なり問題が起きておるのではないか、かように考えるのですか、一体自治庁あるいは政府側としては、この再建整備案というものを持つて来さして、これでなければ金を貸さぬとか、そういうふうなきびしい条件で御指導をなさつておるその自治庁と大蔵省との関係とか、そういう点について承りたい。それからそういうような地方財政の指導について一体それが適当であるかどうか、これについて塚田大臣の見解を承りたいのであります。ちようど銀行がその傘下の企業整備について、こういう案をやらなければ、こういう節約案をやらなければ金を貸してやらないぞというようなことで銀行がよくやることでありますが、それと同じことを政府地方団体に対してやつておるのではないか、こういうことが適当であるかどうか、この点についての御見解を承りたいのであります。
  26. 塚田十一郎

    塚田国務大臣 再建整備計画というものは、必ずしも金を借りに来た団体だけでなしに、私どもとしましては赤字になつておる団体には全般的にひとつぜひ立ててほしいという考え方を持つております。従つて一層今金が足りないで金を借りたいというような御相談に来られるときには、やはりこれは一体計画はどうなつておりますのでしようかということを、当然貸してしかるべきであるかどうかということを判断する資料としてお尋ねをするのは、これはあたりまえだと思うのでありまして、まさに御指摘のように資金融通の御依頼があつたところに対しては、そういうものを出していただいて、それを検討の資料といたしておるわけでございます。しかしその検討の資料といたすのに非常に何か無理な、そういうことが実行できないような性質の再建計画というものをお願いをしておるか、もしくはそんなにしないでもいいものを強制してやつておるかというようなことでありますと、そういうことは毛頭ないと私は確信をしておるのでありまして、私どもとしましては、当然当該自治団体自分財政計画というものを健全に建て直そうというお考えをお持ちになつておるのであれば、それくらいの考慮はめぐらされてしかるべきはずのものであるという程度の計画をひとつ出してみてください。たとえば何年で今まで生じておる赤字は解消される見込みであるのか。また今度借りたいという資金は一体どういう需要に充てられる性質のものであるかというようなことをきわめて常識的に考えて、だれが考えても納得できるようなものとして地方団体がおつくりになることを要望しておるのでありまして、それ以上強く実現不可能なものをお願いしておるとは私は毛頭思つておりません従つてむしろ再建整備計画をお見せいただきたいというときには、それはたまたま私どもが融通を御依頼になつた機会に、そういつたことをお願いして出していただいておるのでございますけれども地方団体自体の立場からすれば、自分のところの税制計画が今健全に行つていないならば、それはそういう機会であろうがなかろうが、財政の再建計画というものはお立てになつてしかるべきものであると考えておるのでありまして、私どもはこの問題について北山委員が御指摘になりましたようにそれが行き過ぎであるとかあるいは不当なことをお願いしているというような考えは毛頭持つておらないわけであります。
  27. 北山愛郎

    ○北山委員 この問題に関連して、もう一つ具体的な例をお伺いしたいのですが、昨日も京都府の問題について大臣からお話がございました。京都府の場合は一応府の当局としては知事としては一応の再建整備案というものをつくつて、十月でしたかの議会に提案をしたところが、その議会でその案が通らなかつたということになつておるわけであります。先ほど財政部長の言葉からもふまじめな団体あるいはまじめな団体というお話がございましたが、京都府のような場合はあまり中央の信用は少いようであります。しかし団体としての意思がただちに一本できまるわけでなくて、その当局者もあれば議会もあるというようなことでその運営が簡単には参らない。そういうふうな例が京都府の場合だろうと思うのであります。その際に知事が出した再建整備案というものは、自治庁なり大蔵省の方で一応お認めになつて、これならばよろしいというような案であるのか。またそういうものを府の当局者が提案をして出さない、議会がこれを否決したというような場合に、自治庁としてはどういう御指導をなさるのか。そのままほつておくものであるか。何でも年末手当が一文もないということであります。あの案にはたしか一部の手当というものが非常に不十分な形ではあるが載つておつたように聞いておるのですが、それが否決になつたとすれば、あれは京都府の問題ではありましようけれども、各地方公務員の給与というものの一つの平準化といいますか、総体からながめてみて、さような極端な例が出るということは不適当なわけでありますから、それについて一体自治庁はどういうふうな御指導をなさるおつもりであるか、あるいはなさつておるか、それを承りたいのであります。
  28. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 北山委員に申し上げますが御質問の筋は国務大臣にお問いになるのが趣旨ですから……。
  29. 後藤博

    後藤政府委員 京都のお話が出ましたから経過を申し上げますと、京都の知事が来られまして、大体こういう考え方再建整備計画を立てたので、こういうふうに出したいというこまかい計画説明を受けましたので、私どもいろいろ事情を聞きますと大体やむを得ないのではないか、こういうことでその案を私どもついて大蔵省に持つて参りまして説明を申し上げたのであります。それを府会にかけましたところが、府会では否決されたのであります。その際には年末手当一・二五は〇・七六くらいになつておつたと思います。本当は資金も困つておるし、赤字も多くなつておるのでがまんをしてもらいたいというので〇・七六くらいにしたいという計画でありました。全体の物件費、人件費の節約の方針につきましても、ほかの団体に比べまして、私どもはもう少し強くやつてもらいたいという希望を持つておりましたが、いろいろ実情を伺いますと、私どもこの辺でやむを得ないのではないか、こういうことで自治庁も承認をした案というので大蔵省に持つ参りまして、いろいろ資金をお願いしたのであります。ところが結果は府会で否決されましたので、われわれのところで何とか援助をいたしたいと考えておりましても、そのもとになる案ができておりません。府会にかけなくてもできるものがございます。たとえば一般の人員整理は百五十人くらいやつたようであります。ところが教職員の関係がほとんど計画の三分の一以下になつておりますので、こういう関係から全体の計画がくずれて参つております。従つてもう一度計画を立て直してもらわないと、われわれも資金を出す方面に持つてつて話をするわけに行かない、こういう段階になつておるのであります。従つて年末も、それから本年度全体につきましても資金には困るし、赤字も増大いたしますので、何とか早く方針を立ててもらいたい、こういう希望を申しております。それから議会の方々もたびたび私どものところへおいでになりますので、そういう話を申しておるのであります。近く府会を開いて、そこに出されるということを聞いておりますが、私ども案の内容はまだ承知いたしておりません。伴つてどういう案になりますか、その案の内容を見ました上で大蔵省と郵政省の方に、いろいろ資金関係でお願いいたしたいと考えておる次第であります。
  30. 北山愛郎

    ○北山委員 京都の問題は、いろいろな経過があるでありましようが、何しろ一文も年末手当が出せないというような状態では、これはどうしても放置はできないのでありまして、ひとつまじめ、ふまじめというようなことを抜きにいたしまして、実際の地方団体が実施ができるという現実の問題として好意的な御指導をお願いしておきたいのであります。  それからなお修正財政計画についてでありますが、法人事業税等のはね返りの増収三十数億円を見ておるようでありますが、ところが一方においてはデフレ不況あるいは災害等のために相当税収が減つておるのではないか、こういうふうに思うのであります。またタバコの専売益金等についても、その影響が出て来て、その分については政府予算の方は補正されておるというようなかつこうになつておりながら、地方税についてはこういう減税は全然見込まれていない、ふえる分だけを取上げてこの財政計画がつくつてあるわけであります。どのくらい自治庁の調査では災害あるいは経済不況のために地方税の税収が減る見当であるか、そういう調査がございましたならば、ひとつ見込みについてこの際伺つておきたいのであります。
  31. 後藤博

    後藤政府委員 法人関係の税の増収を立つたのでございますが、これは国の方の法人関係の税の増収見積りが立ちますと同じ基礎を使つて、同じような方式でもって、税収の見積りをいたしておりますので、当然に私どもはふえると考えなければならないのであります。国の方のお考えでは前期の三月——四月決算が非常に計画以上に伸び過ぎまして——九月、十月決算は必ずしも予想したより多くないけれども、前期が非常に伸びたために法人の税が延びるのである、こういう説明を私ども聞いておるのであります。さらに、更正決定の分ももちろんございますけれども、そういう国の方針でありますので、私ともも法人関係の税だけを立てたわけであります。他の税についてはそう大した影響はないのではないか。ただタバコ消費税は私どもの方も十五億の減を立てております。これは国と同じように——国も専売益金の減を立てておりますので、私どもの方も十五億円の減を立てております。他の税はそう大きく影響はないのではないかというように考えております。
  32. 北山愛郎

    ○北山委員 ただいまのほかの税について大した影響がないというのはどの程度調査なさつて、そういうことになつているのであるか、やはり個々団体について見れば、現実に鉱山あるいは工業地帯の町であるとか、明らかに相当額の減収になつておるところが至るところにあるわけであります。そういうところをある程度調査なさつて、その上で減収にならぬというのであるか、何も調査はしないが、ただ見当でもつて減らないだろう、こういうようなことであるのか。何かその言葉だけでは非常に物足らない、普通の常識から考えて。相当の調査をしてみて、それでもなおかつこれこれだから減らないのだというのであるか、もう一ぺん伺つておきたいのであります。
  33. 柴田護

    柴田(護)説明員 私からお答えいたします。毎月自治庁では前々月の徴収実績というものを実はとつております。現在非常にその集計が遅れておりまして、本日ここに最近のものをお特ちする段階に至つておりませんが、ただ、私たち承知いたしておりますところでは、最近の地方団体の徴税状況というのは、徴税の方法等もだんだん改善されて参りました関係もあるのでございましようか、非常に前年度に比べまして徴収成績が上つております。ただ御指摘のように、町によりましては、あるいは地方団体によりましては、鉱産税等の徴収が昨年に比べまして非常に悪いというところもあることは承知いたしておりますが、全般的に見ました場合におきましては、今回修正いたしました程度の税収入は上るんじやないかというのが、現在自治庁として考えております見方でございます。
  34. 北山愛郎

    ○北山委員 その税収の点は税務署の方の関係もありますので、また別の機会に譲ります。  次に公共事業費の減少によつて地方負担の減るのは五十億と見ておられるわけであります。ところが今までの政府のやり方を見ておりますと、会費事業費の補助額の方は減らす、しかしその補助を薄めて、たとえば事務員というものを減らすとかあるいは補助の率を減らすとか、そういうことにして事業量そのものは減らさない、従つて補助額が減つただけ地方負担が逆にふえる、こういうが今までの普通のやり方じやないかと思います。この点については、たしかこの委員会でも特に本年注意されたおけでありますが、はたして本年の実績はそうなつておるかどうか。この公共事業費政府予算が減つたことに伴つて地方負担の方も減つておるか、あるいは逆にふえておるんじやないか、いろいろな話を私どもも聞くのであります。たとえば造林関係補助金にしても、四割補助事業量を減らさないで三制補助にして行く。そうなると、一割だけ地方負担がよけいになるというような結果になるわけであります。そういうようなことが公共事業費の事務費あるいは補助率ということについてむしろ逆の結果を来しているのではないかと思うのですが、その点を承つておきたいと思います。
  35. 後藤博

    後藤政府委員 お説のような問題がございますので、節約の際閣議でそういうことのないように、事業官庁の方に注意してもらいたいというお願いをいたしております。われわれも府県の方に、こういうお願いをしてあるから、やはり地方負担の範囲内でやるように、こういう指導をいたしております。どのくらいはみ出しの単独事業があるかということは私どももよくわからぬのでありまして、地方団体赤字をかかえている団体が相当多いのでありますから、そういう団体では、やはり予算の場合に地方負担額というものをはつきりきめまして、その範囲を出ないような事業の執行をしているところが相当ございます。従つて、富裕の団体は別でありますが、財政のよくない団体はやはり地方負担の範囲内で仕事をして行くようなふうに、私どもも指導いたしておりますし、府県そのものもやはり執行部の方に申しておるようでありますから、そう大きなはみ出しはないじやないか、かように考えておる次第であります。
  36. 北山愛郎

    ○北山委員 その点については自治庁として前から各事業官庁に対して注意をしておられるようでありますが、但しその結果はまだつかんでおらないじやないかと思います。この国会はどうなるかわかりませんが、自治庁としては本年の公共事業費のそういう関係が実際にどうなつているか、それぞれの費目ごとに御調査になつて実態をつかんでおる必要があると思いますので、そういうことを希望しておきます。  次にお願いしたいのは、再建整備の行政指導に関連してでありますが、地方団体には、この委員会でも再々問題になりましたように、普通の法令なりあるいは制度上当然その団体が負担をしなければならぬもの以外に、いわゆる義務外の分担金なりあるいは寄付金というようなものが相当ありまして、そのうちに国の施設あるいは事業に対しての地方団体の負担金があるわけであります。そういうことは地方財政法上もよくないというとになつておるわけでありますが、一方から見ればこの再建整備をしなければならぬ、赤字を出しており、普通の義務教育なりあるいは断然やらなければならぬ仕事をやるのについても金が足らぬというような団体が、国の施設に対して、事業に対して義務もないような負担金を払わなければならぬ、あるいは進んで払うというようなことすらいけないじやないか。まじめふまじめということになれば、そういう団体こそふまじめな団体ではないか。たとえば自衛隊の誘致について地方負担をするというような場合も——自衛隊の施設というのは当然国費でもつて全部まかなわなければならぬものであります。それに対して赤字団体自分で負担をして誘致するなどというようなことは、再建整備の指導という面からしても好ましくないじやないか、こう思うのですが、そういう点について将来どういうふうな指導をなさるつもりであるのか承りたいと思います。
  37. 後藤博

    後藤政府委員 義務外の分担金、寄付金のお話でありますが、私どもも何とかこれを規制したいと考えておりますが、なかなか名案がございません。実はこれを規制する方法として一種の許可制度のようなものをつくつたらどうかというお話のあることも承知いたしております。いろいろ研究いたしておりますが、任意寄付というものを絶対に認めない制度をとるかどうか、自治団体にそういう制度をつくつてよいかどうかという根本の問題にまでなつて来るのであります。そういう問題にならない前において、任意寄付を規制するという方法になりますと、どうしても各地方団体でそれぞれ抑圧するような方式を講ずる以外に、私は方法がないんじやないかと思う。最近では財政が苦しいからということで大分断つているようでありますが、しかし外郭団体的なものに対する寄付金も相当あるのでありまして、現実問題として私ども今非常に困つたと思いますのは、新しい市がたくさんできて参ります。町村が市になりますと負担金というのが非常に大きくなつて参ります。せいぜい百万円程度のものであつたのが、一つのまとまつた市になつて参りますと、五百万円とか六百万円とか、あるいは多いところは一千万円も新しい市で負わなければならぬ、その内訳をこまかく市長さんに聞いてみましても、それぞれ理由のあるものでありまして、国ばかりのものではなくて、それは各外郭団体に対する負担金的なもりが大部分であります。従つてこれをわれわれ制度上でどうして規制するかこいうことになりますと、非常にむずかしい問題になるのであります。ごく概括的な話を申し上げますと、たとえば各市町村関係団体が積雪寒冷地帯の何とか協議会とか、何とか炭鉱協議会とか、そういうふうな種類のものの負担金というのが相当あります。これはそういう団体に二十か三十くらいあるのではないかと思います。そういう団体だけ整理して、たとえば市長会とか知事会あたりに、町村長会もそうでありますが、集中しただけでも事務費が非常に助かるし、いろいろな経費の節約になるじやないかということで、最近それぞれの団体においてはそういう方向でもつて負担金を少くして行こう、こういう動きが出て来ております。従つてそういうふうになつて来れば、負担金も少くて済む、全然なくしないで、まず少くすることをやりながら、なくして行く方向をとるべきではないか、それは経常的な負担金でありますが、臨時的な負担金として、国とか、市町村の場合でありますと県のものがございます。これはいろいろな学校関係のものでありますとか、庁舎の関係とか義務てきなものでありまして、これをチエツクする方法というものは、現在のところちよつとないのではないかと私ども考えております。  それから地方団体の中で、公共事業に関連して市町村に対して府県が分担金を負わしておる例が相当あります。これは年額にしまして大体五、六十億ありはしないかと私は思つておりますが、市町村の方がそれだけかぶつておるわけであります。これは起債の方の配分の際に、その公共事業の分担金については、ことしは府県の方のわくにつけるか、その府県のつけた負担の充当率でもつて市町村におろして行け、こういう指示をいたしております。市町村の方がおいでになりますので、公共事業の分担金の起債はどうなつておるかということをよく聞いておりますが、大体府県から割つておろしておるようであります。そういうかつこうでもつて大きな操作のできるものは私どもの方で大きな操作をして市町村財政を助けるようにいたしておりますが、先ほど申しました任意寄付的なもの、しかも一年限りの任意寄付的なものというのを押えるのは、法律をつくりましてもなかなか困難ではないか、かように考えております。何か御名案がありますれば教えていただきたいと思つておりますが、私どもこれは十分に規制して行きたいと考えておる次第であります。
  38. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 ただいま北山委員のお説に、ある市町村補助金を出すとか、あるいは施設をしてやるという場合でございますから、ある特定の市町村補助金を出すとか、施設をしてやるというような、そういう恩恵的な事項を実施する場合には、それを内閣の中で統一して協議会みたいなものを開いて、そこを通して補助をしたり施設をしたりしてやる、こういうようなことか必要じやないか。で、われわれはむしろその役割を自治庁がやつてくれることを望むわけでありまするが、そういうふうにしましたら、その弊害がなくなるのではないか。各省の補助の指令を出す場合におきましては、自治庁の方を一応のぞく。そうして少額補助でもつて大きな経費をつくり出すような場合、財政に危険を与えるというような場合には、自治庁がそれに対して、異議を言うことができるようにする。  それから北山委員が例をおとりになりました自衛隊関係の施設の設置なんというのは、娘一人に婿八人くらいの競争になりますので、そういうような特別な地元の負担をもつて運動し、競争するようなおそれある事項は、これを政府の方であらかじめきめておいて、そういう事項については内閣の協議会ないし自治庁においてタツチするということにしておいたらいいのじやないかと思います。その点につきまして何か名案がないかと言われますので、意見を申し上げる次第であります。  しかしながら、それにもかかわらず税務署長の官舎をつくるから、市町村で金を出してくれとか金を集めてくれとか、あるいは裁判所を新築するから地元で土地だけは出してくれというようなものに、全部政府の方で目を光らせておることはできないと思いますので、こういうものにつきましては、各閣僚からその省々において十分自粛させるということしかないと思いますので、補助金や競争伴いがちな施設に対しての決定には、自治庁がタツチするということを始めたらどうか、それをまず第一に考えます。  第二には、これに非常に重要な事項でありますが、きようもたびたび問題になつ再建整備その他の指導と自治権の侵害に関する問題でありますが、財政が無制限に地方団体において使えるものであるならばいざ知らず、地方自治権、地方自治権といいまして——国の財政は一兆ですが、地方財政は実質的には一兆二、三千億です、そういう意味におきまして、国の財政の過半を占める財政について無政府状態に放任しますことは、金融関係、物価の関係その他の面から非常に重要な問題であろうと思う。自治庁は自治の振興、自治権の拡充を考える役所でありますから、自治庁にお願いしておいたら一向さしつかえないと思うので、国家の財政金融に支障を及ぼさないようにし、また赤字発生のおそれある場合に、これを抑制するという意味におきまして、地方自治法を改正しまして、財政の面に関しては従来指導はできても監督強制はできないという点につきまして、政府にある程度独制権を持たしたらいいのじやないか。そういうような自治法の改正をお願いしたいと考えております。
  39. 北山愛郎

    ○北山委員 いろいろ名案を拝聴したわけでありますが、私の申し上げるのは一般的なことでなくて、むしろ再建整備というものの行政指導に関連してでありますが、制度上についてはまたこれはいろいろとわれわれも考えるところもあるのですけれども、とにかく地方団体に今財政上の指導をやつておる際に、赤字が出ておる、その団体が実は人件費が少し多過ぎるのじやないか、人員を減らせ、そういう指導をやるのですけれども、その団体が本来負担すべからざる費用を進んで負担しておるというようなことは適当でないのじやないか。地方財政法上防衛あるいは警察、司法に関する経費というものは国の負担である。地方団体に負担されるような措置をしてはならないというふうに書いてあるわけです。かりにこれが自発的であろうとも、そのような余裕のない、人員の整理をしたり昇給をストツプしたりしなければならぬような団体が、そのような国の施設に対して金を出すというようなことに対して、自治庁として行政指導上そういうような無用な金を使つてはならないのではないかというような指導をしていただきたい。それが当然じやないか、こういう意味であります。ですから制度上の問題は、補助金等についてはまた別途に考えるべきだと思うのですが、そのようなことは、やはり再建整備の実際の指導をやつておる場合に、当然起つて来る問題じやないかと思うのですが、その点についての考え方を聞きたい。
  40. 後藤博

    後藤政府委員 おつしやいますことは私どもその通りだと思つておりまして、府県再建整備計画を持つて参りました際には、雑支出の内容等について詳しく聞いております。特に雑支出の内容におきまして切れるものがあつたら、それを当然切つて行くべきじやないか、こういうことを申し上げておきます。事実再建整備を強くやつておられますところは、そういう方針でもつてずいぶん切つて来られております。それを切るのがまず先で、府県市町村に対する補助金を切る前に、まず外部に出す任意的な寄付を切るべきじやないか、こういうことを私ども強く申し上げている次第であります。
  41. 西村力弥

    ○西村(力)委員 地方交付税法の本質的な立場からいいまして、本州度の特例を十九・六六、こうきめたということがまずいけないのですが、このたびまたそれを少し手直しをしておる。この手直しで結局四十億の費用増加から幾らか税率を上げなければならぬ、こういうことになつているが、こういうことは地方交付税法そのものを再度ゆがめることになるのではないか。なぜ二十なら二十——二十二ですか、本法の辺り二十二と思い切つてできなかつたか。そういう主張、そういう立場をあなたはとられたかどうか。これは大臣質問するのが適当だと思うのですが、そういう法の精神そのものの立場をもつて最初交渉をやられたかどうかということはいかがでございますか。
  42. 後藤博

    後藤政府委員 自治庁といたしましては、このたびの警察費是正につきましては、おつしやいますような方針で当然に率を改正すべきものである。絶対額は最後に四十億になりましたが、最初三十億ぐらいから話が始まつたのであります。いろいろこまかい単価の折衝をいたしました結果四十億になつたのでありますけれども、この額の問題とに別に、交付税法の建前からしてこれは当然元の率をかえるべきではないかという主張を貫いて参つたのであります。ところが一兆億の予算を堅持するという国の方針とぶつかりまして、その際に法人税の百五十億を一方に立てて、その百五十億を従来の六千百六十億という三税の見積りに足して行く、またわれわれの方の千二百六十億に四十億を足して割つて行くという結果にになつたのであります。われわれの主張はそうではなくて、千二百六十億に四十億を足して元の六十百六十億で割返すのが当然じやないか。そうなりますと二〇コンマ幾らになります。そういう話合いをしたのでありますが、本年度ふえますところの四十億という中には初度調弁的なものもあるではないか、初年度のいろいろな臨時的な経費もあるじやないか、こういう主張もありますので、それならそれを引いたものを使つて、これは大体三十数億になりますが、三十数億を足して割返して率を出すべきではないか。国が百五十億の法人税がふえたというので、それを足して割返すのはおかしいじやないか。この議論最後までやつたのであります。その結果がこういう結果になつて来ておるのでありまして、大臣が先ほども申されましたように、決算の場合の問題が残つているわけであります。私どもとしては、交付税建前に立つて、これは将来の問題にもなりますので、当初に返つて率の改正をすべきである、こういう主張を最後まで貫いて参つたのであります。
  43. 西村力弥

    ○西村(力)委員 吉田内閣の一兆円の予算堅持という方針法律建前を蹂躙しておる、こういう結論になるわけですが、この警察費の見積額等については閉会中というか、そういう際の委員会におけるときどきの質問に現われ、その答弁によれば大体百億円くらいの総額が見込まれるということを、警察庁側も自治庁側も言つておつたように私は記憶する。それが何かゆえに四十億まで圧縮せられたか。いろいろ不交付団体の問題とか、あるいは法律以上の仕事をやつていることによつて生ずる赤字、こういうような理由もあるがごとく聞いておるし、またそのことも実際あるだろうと思うのですが、前に聞いたのと、四十億に圧縮ということは、そこにあまり無理があるのじやないか、そういうことが考えられる。その点どういうぐあいになされたか。また警察庁の柴田房長もおられるので、そのうちの方もこれでよろしいと十分に納得せられたかどうか、こういう点をお尋ねいたします。
  44. 後藤博

    後藤政府委員 お手元に配付してあります修正地方財政計画の八ページをごらんいただきたいと思います。ここに都迫府県要求額財政計画額との比較が出ております。この都道府県要求額と申しますものの一番左に書いてある総額というのが三百五十四億九千四百万円で、これは公安委員会の経費を含まないものであります。これを含めますと三百五十八億くらいになると思います。公安委員会の経費は前からございましたので。この経費を除きますと三百五十四億九千四百万円になります。私ども財政計画額は二百四十九億幾らで約二百五十億でありますが、その差額百四億が府県要求額財政計画額との差額ということになるわけであります。この中で不交付団体分、これは交付金の行かない団体でありますが、これが百四億円であり、交付団体分が二百五十億でございます。今度修正されました財政計画ではその総額を三百六億にいたしたのであります。五十六億足したというのはここであります。二百五十億に五十六億足したのであります。その交付団体分が二百二十六億九千万円になつております。そのAとBとの差、つまり都道府県要求額交付団体分が二百五十億、それから新しい財政計画額の交付団体分が二百二十六億、その差が二十三億になります。右の欄にございますこの二十三億がほんとう財源措置を要すべきもので、財政計画とそれから都道府県要求額との差額であります。それでどこが違つておるかというのかその上に出ておりますが、人件費で過去の恩給を府県の方では警察費の中に組んであります。過去の警察官の恩給はわれわれの方では府県で払つておりますのでこれは別の方に入つております。従つて十一億が人件費で開いておりますが、この中には重複しておる分がございますのでこの大きな額になつております。それから次に物件費、これは庁費、被服費、赴任旅費でありますが、この中で大きく開きますものは二億五千万円の違いがある被服費であります。これは初度調弁的なものが相当入つております。それから次に大きく違うのは警察行政費であります。警察行政費というのは、二分の一が国庫補助でありまして、国庫補助を多く予想して府県が、要求額を出しております。従つて九億五千九百万円というのは国権補助額がもう少し大きくなればこういう差は出て来ぬのであります。これはわれわれの財政計画の方では国庫補助額を基礎にしてその二倍、こういうふうに見ておりまするので、その差額が出ておるわけであります。これは当然に修正さるべきものなのであります。それから行政整理に伴う増減額が二億四千万円、下に財政計画の方だけ載つておりますが、これは人件費ないしは物件費の中に含んでおるのであります。人件費の十一億、物件費の四億九十万円という差額分から二億四十万円を引かなければなりません従つて実質的に申しますると、各府県の要求の実情を見ますると、要求そのものの中に不確定なものが相当ございます。この要求の三百五十四億という中にはこれから補正予算を組もうとするものが三十七、八億あるのでありまして、これは全然査定を加えてない生の数字も入つております。それから概算で予算を組んでいるものもございます。そういう不確定な要素が要求自体の中にもあるのであります。われわれのこの前申しましたようなまじめな法人でもつて切りかえをいたしておりますところには、そう大きな差額はないと私ども考えているのであります。四十億あれば相当程度の交付税が普通のまじめな団体に対しては行く、かように私ども考えている次第であります。
  45. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 西村委員から警察の方の増加についてお尋ねがございましたのでお答えを申し上げます。ただいまの自治庁の後藤財政部長からお答えになりましたような経緯をもちまして、補正予算の計上の中に警察費の不足を計上することになつたのであります。かねがね申し上げておりますように、自治庁警察庁緊密に連絡いたしまして大蔵省も加わりまして実態調査をいたしました結果の数字を、ただいま後藤財政部長がお答えになりましたように合理的な基準で、地方財政計画の改訂として増額を要求する、こういう立場に立ちますので、実際なまの実態調査の数字をそのまま出していただけば、それは最も府県としては都合がいいのであります。警察活動の上でもそれで十分でございましようが、地方財政計画建前といたしましても、そのようなわけにいかないということで、ただいまお話がありましたような合理的な基準をどこに求めるかということにつきまして十分相談をいたしまして、大蔵省に折衝いたしたわけです。結果は御提案の通りになつておりますが、これをもちまして十分とは申すことはできないと思いますが、警察活動の上におきましても、まずまずこれをお認めいただきますならば二十九年度に関する限り支障のない活動ができる、かように警察庁といたしましても考えている次第でございます。
  46. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に収入の問題ですが、地方税収入額が三十九億三千九百万円増収になるわけでございまして、国の法人税伸びるから自然的に地方法人税割も伸びるのだ、こういうお話でございましたが、先ほど北山委員からも申しました通り、その他税収全般を見ますと、このだび補正予算に出している国の租税及び印紙収入増加額、それと比較しまして地方税増収をあまり重く見ているのではないかと思われる。国の場合は七十七百十八億二千万円、これだけが収入として見積られた。ところが今期においてに六十五億だけ増収になるというぐあいになつている。ところが地方税関係は三千四百九十二億というものに対して三十九億ということになつているので、あまりにその点過大見積りではないかと思われるのですが、やはりこの予算委員会の資料に基かなければわからぬでしようが、全体で減収になる部分というものは一つも見積られないで、ただ法人税割に対する分だけを見込んだ。減収分はやはり十分差引いて、その増加分三十九億三千九百万円でやつたのであるかどうか、これはどうですか。
  47. 後藤博

    後藤政府委員 地方税増収を三十九億立てたのでありますが、このうち法人関係の内訳を申しますと、法人事業税が三十五億、それから府県民税法人税割の増収が五億、市町村愚説の法人税割の増収十三億、逆にタバコが十億減りますので、差引三十九億ということになるのであります。法人関係の増をもちろん国と同じように立つたのでありますが、百五十億円国の法人税が増加いたしますともう少し多くなります。ところが法人税の増の内容を見ますと、更正決定分が相当あるようでございまして、この更正決定分はずれますので、私の方の地方税関係ではずれて来年に出て来るのがございます。従つてそのまま伸ばしたのでなくして少し内輪な数字になつているのであります。従つてどもは百五十億伸びる、五十三億ぐらい伸びるのじやないかという心配をいたしておりましたが、五十三億よりちよつと内輪になつております。これは更正決定分があるためであります。それからこれは当然に法人税と同じ方式をとつて同じ徴収率でもつてずつとはじいて参りますので、国で伸ばされて参りますと当然われわれの方も伸びて参りますので何ともしようがないのであります。国と同じ所得をとるという方式に今度の地方税法で改正されましたので、独自の決定ができなくなつたためにそういうことに相なるのであります。他の税はどうして立てなかつたという問題は、これは国税にもやはりある問題でございます。私どもの中でももちろんあるのであります。増減がありまして、昨年の徴税実績を見ましても、全体としてわれわれの財政計画は五十五億伸びております。その内訳を申しますと、法人事業税がわれわれの財政計画よりも、やはり百億ぐらい伸びております。毎年相当法人事業税伸びております。従つてほかの税は多少出たり入つたりしますけれども法人事業税伸びは毎年相当あるのであります。デフレ効果がわれわれが考えておりましたよりは、税の上にはずれて出て参りますので、本年の上半期の税収の成績からいうと、大体この程度に伸びるのじやないかと思います。しかし個々団体についてはやはり問題はございますので、側々の団体の法人につきましてそれぞれ一会社ずつ当つて、そうしてこれは特別交付税のときに計算のし直しをいたしたい、かように考えております。他の税で財政計画と合つていないものは遊興飲食税その他ございますけれども、これは幾ら減収になるかという見当が私どもにはつきませんので、従つてそのままにしてあるのであります。国の方もやはり所得税その他の税につきまして見当がつかないということで、そのままにしたのと同じような理由で、これは立てなかつたわけであります。
  48. 西村力弥

    ○西村(力)委員 地方財政計画において、当初においても本年度の税増収を大きく見積つておつたわけですが、このたびもこういうぐあいに見積つて行くことに、ますます地方団体財政を圧迫することになるではないか。それを政府側としますれば健全自治体としてのやむを得ざる育成というぐあいに冷酷に見られているのじやないかとも思われるのですが、しかしこういう国の施策が影響したものは中小企業、その次にというくらいに自治団体がその影響をきつく受けて、もうほんとうに苦しい状態に来ているわけです。こういう無理な計画はますます自治団体の本質をゆがめて行くと思われるのです。そういう点は十分今後も考えてもらいたいと思います。先ほどの京都府の問題、あのときに財政部長はこれこれの案を特つて来なければ、大蔵省に折衝ができないということでありましたが、一体自治庁は大蔵省から一つの厳命を受けて、その点にかなうようなことをやらなければ、もうあつせんできないのかどうか。地方自治団体の苦しい状態、そつちの方を救い上げてやるという立場で大蔵省にぶつかるのがほんとうじやないか。それをお前さんのところはこれこれのことをやつて来なければ、向うにも話を通ずるわけに行かぬというように態度をきめられておつたんでは、ほんとうに困るのじやないか。自治団体のいろいろ不健康な状態ということに対して苦々しくは思つておるでしようけれども、しかしそんなことを一挙に解決しようとするならば、重大な問題が起きて来るのではないか。自治団体が、あなた方が思われるように不健康であつても、それはやはり徐々に健全化の方向をとらなければならない。一挙に健全化を求めても、それを実現しなければ大蔵省にも行けない。大蔵省は薄情なお医者さんのように、瀕死の重病人が注射を打つのに、これこれを持つて来なければ注射を打つてやらないというぐあいに見ておるように見えますが、自治庁はそんな立場ではいかぬのではないか。私が質問をいたしましても、自治庁の立場はもちろん地方自治体を育成擁護する立場にあるのだ、こういうぐあいに答弁されると思いますので答弁は求めませんが、とにかくあのようなぐあいにして、一銭も年末手当給与も出ないというような状態に放置することはできない。これをどういうぐあいにして解決なさるつもりであるか、ひとつ財政部長、御答弁願いたい。
  49. 後藤博

    後藤政府委員 先ほどもちよつと申し上げましたように、私どものところに持つて来られた案を、私ども大蔵省に持つて参りまして、それでもつてひとつ金を貸していただきたいという要求をしたのであります。大分話が進んでおつたのでありますが、それを否決されましたので、平たい言葉で申しますと、私ども顔がなくなつてしまつたのであります。従つて今私どもが大蔵省に申しましても、一体自治庁はどういう案を基礎にしてそういう資金を要求するのだと言われたときに、われわれは返す言葉がないのであります。年末資金を含めた大きな資金繰りの要求を現在しております。しかし内容を見まして、こんなものは予算にないじやないかと言われますと、計画がまるつきりくずれて来るのであります。ですから府に対しては、早くあとの案をつくつてつて来ていただきたい、そうでなければわれわれがせつかく京都府のために努力しておることが何にもならぬじやないか、また京都府のためにも早く解決しなければ、困るのは職員だけじやないか、こういうことを申しておるのでありますが、なかなか府の部内の事情がそう簡単に解決するような方向にないので、私どもはそれを非常に遺憾に思つております。何とかそれを早く解決いたしたいと思つておりますので、私どものところに参りますいろいろ各党の方々に申し上げて早く話合いをつけて、そうして早く案を出して、年末の資金繰りに困らないようにしてもらいたいということを、むしろわれわれの方から積極的に呼びかけておるような実情なのであります。それに対して府の方は、まだはつきりした態度をとつていない。従つてわれわれは金を出してもらう人のところに行つて説明がつかぬ。何とかいたしたいと考えながらその方法がないので、実に困つておるのが実情であります。
  50. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほど京都の否決された案には教員の行政整理が入つていなかつたと、いかにも不満そうに言われましたが、年度途中で子供から教師を切離すという生木を裂くようなことは、あなたは役人としては承認されるでしようけれども、親としてはどうですか。ああいうことはやはり不満だというのですか、ああいうことをやらないと大蔵省と話か通じないというのですか。
  51. 後藤博

    後藤政府委員 先ほど私の申しました中に、教員の整理のことは入つております。教員の整理は五十人足らずしかやらなかつたが、元の案では二百人足らずになつておつたろうと思います。それからお話の年度途中の問題でありますが、京都府の財政をごらんになると、人件費が一番大きな要素であります。人件費以外は非常に節約しております。従つてこれから縮減して行くとすれば、人件費に手をつけざるを得ない。これは向うの予算を見てもすぐおわかりになると思います。教員の数をふやすとか減らすとかということを私どもは言つておるのではない。一人交代すれば三人つけられますから、教員の交代をする案というふうに考えております。
  52. 西村力弥

    ○西村(力)委員 税収の増収見積りが個々自治体によつて一律に行かないということは十分見るということはありましたが、京都府の場合は、遊興飲食税なり法人税なりが非常に減収になり、見積りを過大にされては困るということは、この間の京都府知事の発言にもあつた。そんな関係から今いろいろと京都府の問題に関連して話を進めておるが、これは一京都府の利益のために言つておるわけではありません。とにかく年末手当やそのほかの俸給につきましても、全国的な平均化ということはなかなか求め得られないようになりつつある。苦しいところほど平衡を失つた低い状態で押えて行かなければならぬことになつて来ますが、こういう場合に、国家公務員である警察官と府県警察官の給与差は非常に大きく出て来るのであります。さしあたつて年末手当は国家公務員である警官に対しては一・二五出る。ところが京都では、ゼロもしくはあの原案通りつても〇・六何ぼですか、そういうぐあいになつてしまう。そういう場合に警察庁としてはどういう立場をとられるか。全般的に親方の方がよけいもらつて子方の方が少くもらつておるということは、人を使うにに最も不適当なやり方だということになるわけですが、志気にも影響する。こういう現実の事態に対して、警察庁としては、どういうぐあいにしてその警察官全体の人心をうまざらしめんとする方策をとられるか、柴田さんに伺いたい。
  53. 柴田達夫

    柴田(達)説明員 たいへんむずかしいお尋ねでございますが、新制度のもとにおきましては、この警察庁とその出先機関である管区警察局とが国家公務員ということになつております。御承知の通り、各府県一般警察官は、府県警察という建前で身分も府県公務員という身分を持つておるわけであります。その給与関係府県公務員に関する限りは、府県にまかせてしまつたのがこの制度の建前でございます。もちろん警視正以上とか、あるいは警部とかいうことになりますと、警察庁、管区警察局におるわけでございますが、実際の第一線で活躍いたします警察官は、将来あるべき姿の十一万一千のうち、十一万が府県警察、一千が国家警察関係の定員になつておる、従いましてかつての国警と自治体警察の二つがまつたく地域を異にしてありましたときのように、自治体警察はこういう待遇だが、片方の国警はこういう待遇だというような開きは出ることには相ならぬかと思うのであります。しかし国家公務員と地方公務員との開きがそこに出て来る。これは給与全般につきましても、府県警察になりました関係上、府県給与負担をいたしており、その府県財政上、富裕団体と富裕にあらざる団体との差がございますならば、おのずから完全にその給与を統一して行くということはむずかしくなると思います。しかし御案内の通り警察法の建前からいたしましても、国家公務員の例を基準として待遇をいたすということになつておるのでございます。各府県はそういう国の公務員を基準として、それぞれ扱つていただけるものと私ども考えるのであります。ただお尋ねのお話はそういう法律上の建前ではなくして、現実に財政不如意のために待遇が国家公務員並みにできないときには、警察官の志気の統一上非常に困る問題が起るじやないか。確かにそういう大きな開きができました場合がかりに起りますならば、志気の統一上困る問題が起るかと存じます。しかしこれは地方財政上いろいろ皆様方のお力によりまして、さような事態が起らないようにしていただければこそ、この府県警察制度というものも何とかさような心配なしにやつて行けるものだと私どもは確信しているのでございます。お答えになるかどうか、はなはだむずかしい問題でございますのでこの程度で……。
  54. 西村力弥

    ○西村(力)委員 この警察法はあなたの方で出したのですから、こつちの方に責任を転嫁するようなことはあまりちようだいしかねるということと、それからやはり法律ができた以上、現実に起る問題というのは、警察庁の中の監督的な立場にある人々は十分に考えて行かなければならぬじやないか。これはやむを得ないとつつぱねるということはあまりに警察官としての、あるいはその監督官としての自覚が薄いではないか、かように思われるのです。われわれせいぜいそういうことのないように努力はいたしますが、しかし交付税法の建前を踏みにじつても、一兆億円を堅持するというような方法をとつておる現政府である限り、なかなか思うように参らぬと思う。そういうわけでありますので、私たちの方に責任を転嫁するのもいいですが、できないときはできないで、やはりそこのところは上手にコントロールして、そうして十分なる警察機能を果させるようにお願いしたいのです。いろいろお聞きしたいこともたくさんありますが、短期国会、先を急ぐことでありますので、以上で私の質問を終りたいと存じます。
  55. 門司亮

    門司委員 関連して、後藤君に聞きたいのです。資料の中でちよつとふに落ちないのが一つある。二ページの例の地方譲与税の当初計画の問題だが、これは修正計画による増減のところに何も書いてないからいいようなものだが、これは当然入場税譲与税の率が下つて来たので、当初の見込みよりは大分減つていると思いますが、どのくらい減りますか。
  56. 後藤博

    後藤政府委員 一番最初の計画は、入場税譲与税は百九十二億のうち一割を引きましたもので百七十二億だつたと思います。それがその後改訂されまして、少し端数がございますが、百五十五億になつております。百五十五億と七十九億のガソリン譲与税と合わせて二百三十四億、この数字になつております。このうち幾らとれるかという問題でありまして、国の方の今度の補正予算には三十五億の補正がなされて来ております。それから入場税譲与税の特別会計の方で借入れ限度をたしか三十五億くらいに引上けるということになつております。そうなりますと大体二百三十四億というものが確保できるというふうに考えましたので、ここでは自然増の中でこういう数字を出しております。これは前国会のときの約束がありまして、足りない分は全部借入れをしてでも、地方団体に払うということになつておりますけれども、そういう方策がやはり講ぜられておりますので差引なしということになつております。
  57. 門司亮

    門司委員 それはそれでいいんだが、税率を下げたことのために、実際にどのくらい足りなくなりますか。当時われわれは最初の百九十何億の場合に、あれだけ税率を下げれば五十億くらい減るだろうと思つたが、実際はそれ以上減つておるでしよう。
  58. 後藤博

    後藤政府委員 今のところで申しますと相当足りないのじやないかと考えております。しかしこれはまだ更正決定をやつていないところが相当多いようであります。従つて一応申告納入だけわれわれやつておりまして、更正決定が十分に行われますれば、まだ税額は上つて参りますし、それから入場税を一番多く上げているのは十二月、一月が非常に多いのでありますから、これを越して見ないとはつきりしたことが言えない。しかし全体的に申しますれば、私どもの方の見通しと大蔵省の見通しとでは、私どもの方の見通しに近い数字になつておるようであります。
  59. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 二十九年度でもらえるべきはずの交付税を、今回警察費財源に先食いしておるから、この先食いしておる分は、明年度または明後年度、国の決算が済んでから地方財源に繰入れることになつておるのですが、そのときには政府は繰入れてくださる、そういうことの言質をとりたいのです。これは採決の前に大蔵大臣の出席を求めまして、その言質をとつて法律案をあげたいという気持でございますから、政府においてその御用意をお願いしたい。
  60. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 ちよつと加藤委員に御相談申し上げます。先ほど理事会で申し合せたのでありますが、どこまでも大蔵大臣に出席を求めなければこれを採決しないという御意見でございましようか。
  61. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 採決の前に答弁を聞きたいので出席を求めているのです。
  62. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 ほかに本案に対する質疑はございませんか。——なければ理事会申合せ通り本案に対する質疑はこれで一応終了することにいたしてよろしゆうございましようか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 佐藤親弘

    佐藤(親)委員長代理 御異議がないようでありますから、本案に対する質疑はこれで一応終了することに決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会