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1954-05-31 第19回国会 参議院 労働委員会 第28号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年五月三十一日(月曜日) 午後一時五十四分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
栗山
良夫
君
理事
井上
清一
君
田村
文吉
君
田畑
金光君
委員
阿
具根
登君
吉田
法晴
君 大山 郁夫君
市川
房枝君
政府委員
調達庁長官
福島愼太郎
君
事務局側
常任委員会専門
員 磯部 巖君
常任委員会専門
員
高戸義太郎
君
説明員
労働省労政局労
政課長
有馬 元治君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
継続審査要求
の件 ○
労働情勢一般
に関する
調査
の件 (
特需工場
及び
駐留軍労務者
の
労働
問題に関する件)
—————————————
栗山良夫
1
○
委員長
(
栗山良夫
君)
只今
から
労働委員会
を開会いたします。 先ずお諮りを申上げたいことがございます。実は
けい肺法案
及び
労働基準法
の一部を改正する
法律案
につきましては、当
労働委員会
といたしまして、過日
継続審査
に付することに御決定を頂きました。そうしてその
継続審査
に付します
理由
を、別途に本
会議
において
口頭報告
をいたすように併せて御決定を頂いております。
口頭報告
の
内容
につきましては、
委員長
において起草いたし、
委員会
にお諮りをするように約束をいたしておりまするが、漸く
委員長
の案ができ上りましたので、一応御
報告
を申上げて御承認を得たいと、こう存ずるわけでございます。
只今
からその案について朗続を申上げます。
只今
から
けい肺法案
及びこの
法案
に伴う
労働基準法
の一部を改正する
法律案
に対し
労働委員会
が
継続審査
を要求するに至りました
理由
を申上げます。 先ず
けい肺法案
でありますが、これは条文にして僅か三十五条から成る比較的小さな
法律案
でありますが、
けい肺症
という特殊な
職業病
を対象とした
保護立法
でありまして、
内容
的には、この
法案
が提出されますや各方面に多大の反響をもたらした事実が物語るように、大きな問題を含んでおります。又
労働基準法
の一部を改正する
法律案
は、
障害補償
、
遺族補償
、
葬祭料
及び
打切補償
について、
休業補償
と同様に
平均給与額
が百分の百二十を越え、又は百分の八十を下る場合、その上昇し又は低下した比率に応じて
平均賃金
を
スライド
することを規定したものであります。而してこの二つの
法律案
は、
参議院
の
議員立法
として、過ぐる第十六
国会
に
吉田法晴
君外十二名の議員が
発議者
とな
つて
同時に提案され、以来四
国会
に
亘つて
引続き
労働委員会
において
審議
をいたして参りましたことは御承知の
通り
と存じます。 そこで、先ず
けい肺法案
でありますがもともと
けい肺そのもの
は
職業病
であり、
労働災害
の一種でありますから、
従つて
現在でも
労働基準法
及び
労働者災害補償保険法
によ
つて補償
がなされており、その
予防
に必要な
措置
も
一般
的な
基準
に基いて一応は行われておるのであります。それにもかかわらず、
けい肺
について特別の
立法措置
を講じなければならないとする
理由
がどこにあるかと申しますと、それは
けい肺症
が持
つて
全く特殊な病理から出て来るのであります。詳しくは申上げませんが、
けい肺症
というのは
遊離けい酸
を飛散する作業場のある
金属鉱業
、
石炭鉱業
、窯業、
土石工業等
の
事業
に働く
労働者
が宿命的に負わされる
疾病
でありまして、一度これに罹れば、現在の
医学
では
治療方法
がないままに、最後には自己の用と弁ずることもできず、ただ病床に臥して生涯を終らなければならぬという悲惨な
職業病
であります。 こうした特命を持つ
けい肺
の災厄をできるだけ少くするためには、どうしても
治療医学的方法
以外の
予防対策
が
一般
の
職業病
に対する以上に必要なことは申すまでもありません。その上更に
けい肺
は他の
疾病
と異
つて
慢性的且つ自動的な
進行
を続けるという特殊な性格を持つ病気でありまして、
従つて
その
療養期間
は極めて長期に亘り、而もその間において
医学的治療
を加える
期間
が断続いたします
関係
上、
療養期間
についても特別の考慮を払わなければならんのであります。こうした点を考えますと、
けい肺
を
一般
の
職業病
と同一に扱うことは不適当であり、どうしても特別な
措置
を講ずる必要があるというので、
労働基準法
及び
労働者災害補償保険法
の
特例
としてこの
法案
が提出されたわけであります。 次に、本
法案
の
内容
を概略的に申上げますと、その構成は第一章から第六章まで、及び附則から成
つて
おり、第一章は総則でありまして、目的、
適用事業
の
範囲
、用語の定義、
症状区分
とい
つた
法案
の前提になる定義が書いてあり、第二章には、
予防措置
として、
発塵
及び
粉塵
の防止並びに
健康診断
を行うこと、
粉塵作業
からの
排除措置
を講ずることとい
つた
けい肺病
の発生及び
進行
を
予防
するための
措置
が書かれてあります。第三章は、
けい肺症
に対する特別の
補償
でありまして、
療養期間
の
延長
、それに伴う
休業補償
の
期間
の
延長
及び増額、
転換補償
、
栄養補給
、
厚生年金
における
障害年金
の取扱の
特例
とい
つた
事柄が規定してあり、第四章には、この
法案
を実施する物合の
施行機関
として、
けい肺指導官
及び
けい肺診断官
を輝き、別に
けい肺審議会とけい肺研究所
を設けるとい
つた
ことが書いてあり、第五章は雑則として手続的なことを規定し、第六章が罰則とな
つて
おります。なお附則が十一項ありますが、そのうち第二項から第八項までは従前の患者に対する
措置
を規定したもので、これは本文の第
三軍けい肺補償
を遡及して行うという実体的な
内容
であります。 この
法案
のうちで
基本
になるのは第二章、第三章の
予防措置
と
補償措置
でありまして、これは
労働基準法
及び
労働者災害補償保険法
によ
つて
現在行われておる
予防措置
、
災害補償
の上に積み重ねられる性質のもので、
予防措置
としては、これを技術的なもの、
健康管理
によるもの、
労務管理
によるものと段階的に書き分け、先ず第五条で
発塵
の
防止措置
として
粉塵
の量の
減少義務
を課し、発生した
粉塵
が
労働者
の肺の中に入らないための
措置
として第六条において
保護具
を備え付けることと、
保護共
の
使用
を義務付けることを規定しております。 そのようにしても、なお且つ
けい肺発生
の虞れがないと言えませんので、
健康管理
による
予防措置
として、八条から十一条に
亘つて
、
早期発見
に努めるための
健康診断
と
診断
の統一について規定し、第十二条において、
けい肺発生
の原因を作る
粉塵作業
から
けい肺
に罹
つた者
を別の職場に転換させる
措置
を規定しております。 次に
療養期間
の
延長
について、現在の
職業病
に対する
療養補償
が三年で打切ることにな
つて
おるのを五年とすること、又この
療養補償期間
の
延長
に併せて
休業補償期間
も同時に五年に
延長
することを十三条、十四条で規定し、更に
けい肺症
の特性である
治療不能部分
の
進行
を阻止するための手段として
栄養補給
を五年間やるということを十六条で規定しております。 このほか重要な点としましては、本
法案
では
補償
の責任が
使用者
にあるという
一般
の
職業病
に対する考え方のほか、国が三分の一の責任を持ち、
使用者
が三分の二を持つことにいたしております点が甚だ特徴的であります。以上で大体本
法案
の骨子を申上げたことになります。 次に本
委員会
における
審議
の状況を申上げますと、本
法案
が
国会
に提出されましたのは、過
ぐる昭和
二十八年八月、第十六回
国会
当時のことでありました。以来、今
国会
に至るまで毎回
継続審査
として当
労働委員会
で
審議
を続けて参り、今
国会
だけでも前後八回に
亘つて
本
法案
のための
委員会
を開いております。 今その
経過
を極く簡単に申上げますと、今年二月十一日の
委員会
において改めて
提案理由
の
補足説明
並びに
逐条説明
を聞き、同十六日には
学識経験者
の
意見
を聞くということで、
労働科学研究所
の
佐野博士
、順天堂大学の
山本教授
並びに早稲田大学の房村教授の
意見
を伺い、引続き同二十三日に労研の勝本副所長、
けい肺労災病院
の
大西院長
及び
東大工学部長
の
青山博士
から
参考意見
を聞きました。次いで、今度は
関係労使代表者
の
意向
を聞くということで、三月四日及び十一日の二回に
亘つて使用者側
四名、
労働者側
五名を招いて、それぞれ御
意見
を伺いました。これで一応
参考人
の
意見聴取
を終ることにし、同月十六日の
委員会
では、
井上理事
から御
意見
が出て、今後
けい肺法案
の
審議
については
懇談会
の形で話を進めることに
申合せ
ができまして、以来、四月六日、八日と二回に亘り
懇談会
を開きました。この二回の
懇談会
では
委員会
の
審議
と違い、本
法案
に対する各会派の
意向
がはつきり打ち出されたという点で大いに意義があ
つた
と思うのであります。例えば、これも詳細な点は省略をいたしまするが、六日の
懇談会
では本
法案
に対する
委員会
の
態度
を何らかの形で取りまとめたいという立場で、費用の点とか他の
職業病
との釣り合いの
問題等
について各
委員
の間で突込んだ話合いがなされましたし、更に八日の
懇談会
では特に衆議院の
持永議員
が
自由党政調会
の
労働対策部長
として
出席
をせられ、
小坂労働大臣
も少時間ではありましたが、
出席
せられまして、
自由党
としての
態度
は昨日の
政調会
で
検討
の結果
意見
の
一致
を見たと挨拶されました。この
自由党政調会
の
意見
というは、席上
持永委員
が言明されたのでありますが、要するに、本
法案
には
予算
も伴うので、本年はどうかと考える。又費用がどのくらいかかるか、
中小企業
の負担はどのようになるか等は明らかでない。故にもう少し
検討
を加えたい。
労働省
の
けい肺対策審議会
の
結論
を早く出すことにして、経費もはつきりさせ、
政府案
として三十年度の
通常予算
に間に合うよう提出してもらおうということに
意見
の
一致
を見たというのでありまして、これが
自由党
の
態度
だということは、御
出席
の
榊原委員
も裏書きされたのでありました。この
自由党
の
態度表明
をきつかけに、それぞれ各
委員
の
意向
も明らかにされました。即ち
田村委員
は、
予算
を伴う
議員立法
はやらんという原則を尊重し、特に
参議院
としてはこの点に気を付けるべきである、本
法案
の
内容
についてはまだ
研究
を十分していないが、大局的に見てよいのではないかと思う。できれば
政府
において
予算
も
研究
して早く案を提出してもらうことにしたいという趣旨であり、
吉田委員
は、この案は党としてはまだ諮
つて
いないが、併し幾らかの
修正
によ
つて
各会派
一致
した
修正案
ができるならば、
修正
についても責任を持つ、又本案を撤回してもよいという
態度
の表明があり、
田畑委員
からは又、私のほうもまだ党には諮
つて
いないが、
修正
には応ずるから是非今
国会
で成立させたいという
意向
が明らかにされました。又
寺本委員
からは、
自由党
と
緑風会
はすでに
態度
をきめておられるし、社会党のほうは譲歩されると言
つて
おられる。現在の
国家財政
の
見通し
では一年待
つて
もなかなか困難だろうと思うから、むしろ
補償
の増額という点を
あと廻し
にして、
予防
を中心として考えることにしてはどうかという
意見
が開陳せられ、又
市川委員
からは、鬼怒川の病院を視察して患者と懇談した際、
法案
の成立を首を長くして待
つて
いるのを見た、多少の
修正
はしても、この際早く成立させたい、こういう
希望意見
が披瀝せられました。 当日の
懇談会
ではその
あと立案
に参画した
法制局
から詳細な
逐条説明
を聞いて質疑を行うことにし、第一章の分だけを終り、次回から引続き逐条的に
問題点
を拾い出して
研究
を進めることとし、更に
懇談会
も続開して、
委員会
としての
審議
を急ぐことにな
つたの
であります。 併しその後の予定された
委員会
、
懇談会
では、各会派の代表が全部お揃いになる、こういう機会がないままに、遂に去る五月二十五日の
委員会懇談会
に至り、もはや会期も接近したことであり、
委員会
として本
法案
に対する今後の取扱い方をきめねばならんとして、協議の結果、次のように
意見
の
一致
を見たのであります。 即ち一として、本
法案
を
継続審査
に付すること、その二は、次回の
委員会
で
質疑応答
を改めて行い、本
法案
の今
国会
におけるけじめを付けること、又その際には
労働大臣
の
出席
を求めて、本
法案
に対する
所信
を確めること、その三は、
継続審査
に付する
理由
を本
会議
で
口頭報告
することという三点でありました。 そうして去る二十七日の
委員会
では、その
前々日
に行われた
委員会懇談会
における
申合せ事項
を確認した
あと
、直ちに
労働大臣
の見解を求めたのでありますが、その際
小坂労働大臣
は次のようにその
所信
を表明せられました。「
けい肺対策
の
重要性
については今更申上げるまでもないところでありまして、
労働省
といたしましては
労働衛生行政
上最も重要なものの一つとしてこれを取上げ、昭和二十三年以来地区の
けい肺巡回検診
を実施して、
罹患労働者
の把握に努めると共に、
けい肺労災病院
及び
けい肺研究室
を設置して、患者の
療養とけい肺
の
予防
並びに
治療
を目的とする
研究
を行い、又都道府県における
監督機関
によ
つて予防
のための施設の改善、
健康管理
の
徹底等
について
推算監督
の実を挙げるべく努力を続けて来たところであります。併しながら御承知の
通りけい肺
の
予防
並びに
治療
について十分その実効を挙げるためには、現在遺憾ながら学問的に種々未解明な問題が残されておりますと同時に、
作業環境
の
改善等
の実施については、企業における多大の
経済的負担
を必要とする場合が多い等の事情に上り、その
対策
が必ずしも万全を期する段階に至
つて
いないことは、これを認めざるを得ないところであります。去る十六
国会
において
けい肺法案
が
議員立法
として提出せられ、当
労働委員
今において慎重に御
検討
がなされており、これが
けい肺対策
を推進する上に大いに貢献していることは認めるの第ありますが、同
法案
に対する
政府
の見解としましては、同
法案
が
政府
の
予算措置
を伴うものであり、又
政府
としては
けい肺対策全般
につき、
目下けい肺対策審議会
に
審議
を煩わしておりますので、同
審議会
の
結論
を待
つて予防
、
診断
、
補償等
についての
立法措置
を講じたいと考えているものであります。
けい肺対策審議会
におきましては、
目下予防
、
診断
、
厚生対策
、
粉塵恕限度
の各
専門部会
を設け、回を重ねて慎重なる
調査検討
を行な
つて
いるのでありまして、更にその
審議
を促進し、速やかに
結論
が得られますように督励いたすつもりでありますが、その
結論
を速やかに得ることが困難な場合におきましては、
政府
としましても諸般の黄河を参酌し、速やかに
立法措置
について善処いたしたいと考えております。 以上は
立法
に関する
政府
の見解でありますが、なお行政上の
措置
といたしましては、
品下調査研究
に着手しております
労働安全衛生規則
の改正において、
予防
上必要な規定を挿入したいと考えておりますし、又
石工等
に対する
労災保険
の適用の拡張或いは
巡回検診
の推進、
けい肺病床
の
増設等
の
措置
を行い、
立法
上の
措置
がなされるまでもなく、行政上の
措置
によ
つて
も
けい肺対策
の万全を期したいと考えております。 以上が
労働大臣
の
所信
として述べられた全部であり、この
あと
更に
安井政務次官
並びに
亀井基準局長
に対して各
委員
から
質問
がありましたが、その
質問
は
労働大臣
の
所信
として述べられた点を質すとい
つた
趣旨のものであり、これに対する
答弁
はおおむね
大臣所信
の
範囲
と同様のものでありましたので、ここでは殊更申上げません。ただ
労働大臣
の
所信表明
に関連して、この際
大蔵当局
の
意向
を質す意味において、
大蔵大臣
の
出席要求
が
委員
から出されました。その結果
大臣
に代
つて
出席
された
植木大蔵政務次官
から、
大蔵当局
としては
労働省
から
予算
の折衝があり次第善処したい。前年度の
予算
の
関係
もあり、金額の点についてどれだけかということは明言できないが、とにかくできるだけ御期待に副うようにしたいという趣旨の
答弁
のありましたことを、この際申添えておきます。 なおこの間
提案者
に対する質疑が行われたのでありますが、その主なる点を御
報告
いたしますると、先ず、従来
職業病
の中から
けい肺
だけを取上げて、
労災保険法
の
特例
としてこの
法案
を提出した
理由
は理かという
質問
がありました。これに対し
提案者
は、先ほど本
法案
を提出する
理由
の中で御
報告
申し上げたような
理由
を述べて
答弁
され、次に、この法律の
適用事業
の
範囲
について更に
検討
する必要はないのかという
質問
に対しては、各方面の
意見
を十分聴取し
検討
してかように決定したのであるが、例示してある
事業
以外についても必要があれば、政令で指定することができるように
措置
してあるとの
答弁
がありました。又、
使用者
に義務付けられた
けい肺健康診断
は厳重過ぎはしないかという
質問
もありましたが、それに対する
答弁
は、
けい肺
は
早期発見
が最も大切であり、そのためには
胸部X線
直接撮影が是非必要である。そこで
けい肺健康診断
にはこの
胸部X線
直接撮影を要件としている。而して
健康診断
は一回限りでなく
継続
して行わなければ効果がないので、
粉塵作業
に雇入れる際に行うほか、
粉塵作業
に従事中は毎年定期的に行うように規定した。なお、
けい肺
は一度罹れば現在の
医学
では治す
方法
がないという
疾病
であるから、その
予防
こそ最も重要であり、
予防措置
の一環として
健康診断
が行われるのであるから、厳重過ぎるということはないと思うとの
答弁
がありました。 更に、
配置転換
の強制は、
労働者
を離職せしめ、且つその後の就職の途を塞ぐことにはならないかという
質問
もあ
つたの
でありますが、それに対する
答弁
は、そのようなことのないよう第十二条第三項、及び第四項において、
使用者
は転換後も引き続き
使用
するように努力すべきことを規定しておるということでありました。又更に
けい肺休業補償
を
平均賃金
の百分の八十とした
理由
如何という
質問
に対しては、
けい肺
の特質から
けい肺協定
に基いて現在行われている
措置
を法的に裏付けたわけであるとの
答弁
がありました。 なおこのほか、
転換補償
をする
理由
は何か、又
栄養補給
をする
理由
如何という
質問
があり、更に
けい肺補償
について国がその三分の一を負担する
理由
は那辺にあるかとか、この
法律施行
前の思考をも救済することの根拠をいずこに求むべきかとか、或いは又
各種補償
の
算定基準
となる
平均賃金
の
スライド
は、
保険経済
に重大な影響を及ぼすわけだから、
スライド
は
現行通り休業補償
についてのみ行うということで十分ではないかとい
つた
質問
が次々に発せられ、これに対して
提案者
から一々詳細な
答弁
があ
つたの
でありますが、詳しくは
速記録
を御覧願うことにいたしまして、ここでは省略させて頂きます。 このようにして、今会期中における本
法案
の
審議
は当日の
委員会
を以て一応打切ることとし、
あと
は
継続審議
に付して、更に
審議
を続けることに決定し、なお
継続審査
に付するにいたしましても、単に本院に
継続審査要求書
を提出するという通例の
事務的取扱い
のみにとどむることなく、この際本
法案
の
重要性
に鑑み、又この
法案
が第十六
国会
以来
引続審査
を続けておるという事実から見て、何らかの形において本
会議
の席上
委員長
から
継続審査
に
至つた理由
を
報告
する必要がありはすまいかということで、協議の結果、本日ここに私から御
報告
申上げることに相成
つた
次第であります。これを要しまするに、なお二、三の重要な点について
意見
の食い違いもあり、それらについては更に
委員
の間で十分
研究
するを要すべきものと思います。 なおこれ以上に重要なことは、本
法案施行
の前
提案条件
であり、問題の焦点でありますところの
予算措置
について、
政府
は先ほど申上げましたように三十年度
予算
において
措置
するという含みを以て
労働大臣
が言明いたしておるのでありますが、これは
胞くま
で将来のことでありまして、それまでの
間ただ政府
の
措置
を持
つて
いるというだけでは、本
法案
を付託された
労働委員会
として義務を果すゆえんではないと信ずるのであります。 更に先ほどの
労働大臣
の言明によれば、
予算措置
を講じて、別に
政府
から提案するやの
意向
に受け取られるのでありますが、
政府
において
只今
のところ確固たる成案があるとも聞いていないのであります。いずれは
けい肺対策審議会
の
経過
に伴い、
政府
としても何らかの
研究
をなさるのでありましようが、当
労働委員会
においては、すでに申述べましたように、数年前から各般の
実情調査
をも行な
つた
上で、昨年以来
具体的案成
について熱心なる
審議
を続けて参
つたの
でありますからして、
けい肺法
の
立法化
に関する限り、
国会
のほうが一歩進んでいるとも言えるのであります。それ故にいずれ
政府
が別個に提案をするとしましても、
内容
的、技術的な面において、第十六
国会
以来
審議
を重ねて参りました本
法案
にその場合、重大なよりどころを求められるであろうということは容易に察せられるところであります。さればこそなお更私どもといたしましては、この際更に本
法案
の
審議
に万全を期さねばならぬと存ずるのでありまして、これが当
労働委員会
の
全会一致
を以て本
法案
を
継続審査
に付することに決定いたしました
理由
であります。 以上御
報告
申上げます。
只今
私が朗読いたしましたのが、
継続審査
を要する
理由
として、本
会議
におりて
口頭報告
を申上げたいという
内容
の全部でございます。
田村文吉
2
○
田村文吉
君 ちよと長いと思いますが、大
変名文章
で結構であると思います。
井上清一
3
○
井上清一
君 私も
田村
一
委員
の御
意見
に賛成でございます。
栗山良夫
4
○
委員長
(
栗山良夫
君)
速記
をとめて。 〔
速記中止
〕
栗山良夫
5
○
委員長
(
栗山良夫
君)
速記
を付けて下さい。 次に、
労働情勢一般
の
調査
といたしまして、
駐留軍労務者
の
労働
問題につきまして
調査
いたしたいと考えます。本件につきましては去る十六
国会
以来、当
委員会
としては
継続
をして
調査
をいたしておる問題でありますが、当時予定をいたしましたように、本問題の全面的な解決をいたすという
段階
には
只今至
つて
いないように私
ども
は理解をいたしております。従いまして先ず
調達庁
のほうからその後の
経過
について一応御
報告
を頂きたいと存じます。
福島愼太郎
6
○
政府委員
(
福島愼太郎
君)
労務基本契約
は
只今
交渉
しております。これを新
労務基本契約
と申上げたいと思いますが、新
労務基本契約
の
交渉
の
経過
並びに
見通し
ということでございますが、もともと
安保条約
に基いて
日本国
に駐留する
アメリカ合衆国軍隊
のために
労務
を提供することを
内容
とする
日米両国政府
間の
労務基本協定
を改めるという問題につきましては、一日も早くこれの実現を図ることが必要でございまして、あらゆる
努力
を払
つて
参りました次第であります。新
契約
につきましては、その主文でございますところの、
基本協定
と、そのほかに当初計画されました
附属書
が
四つ
、
労働政策指令等
が七つほどございまして、それらから成り立
つて
お
つた
わけでございますが、
基本協定
のほうは、財務に関します
条項
と申しますか、
アメリカ側
より支払を受ける、
償還
を受くべき
労務管理費
に関します
規定
の
内容
、又
償還
の
方法
、時期とい
つた
点一、二が当時妥結に達しません。それを除きましては、
基本協定
につきましてはすべて
合意
に達しまして、十月九日に
調達庁
と
米軍
との間に調印を了したわけであります。 その後
基本協定
中の残りました
部分
、それから
附属書
その他について
折衝
を重ねて参
つた
わけでございまして、
基本協定
中保留とな
つて
おりました
条項
も殆んど全部
日米政府
間においては
合意点
に大体達しております。
目下
は従いまして
附属書
と
労働政策指令
について
交渉
を集中しておるような次第でありますが、
両者
間の
意見
はだんだん調整せられておるわけでございます。
只今
のところ
附属書四つ
につきましては、大体相当の進捗を見まして、
附属書四つ
と申しますのは、
アメリカ側
の案そのままの形で
四つ
と申しておるのでありまして、
付属書
一、二で、
給与規定
に関する制度を設ける。
附属書
の三におきまして、雇用の
管理手続
を定める。
附属書
の四におきまして
船員関係
の
手続
を定める。こういうことにな
つて
おるわけでありますが、
附属書
の三につきましては、大体
両者
間の
意見
が最終的な調整のところまで参
つて
おります。
附属書
の四、
船員関係
の問題につきましては、事務的な処置が一番遅れてお
つたの
でありますが、最近
アメリカ側
の第二次案と申しますか、
先方
から最初に提出いたしました案に、
日本側
の案を提示して、これを
先方
に返しまして、更に
アメリカ側
がこれに対して
意見
を整えるという
段階
にまあ至
つて
おるわけでございます。結局
附属書四つ
でございます。中の一、二が給与に関する制度ということになりまして、最も重要な点になるわけでありまして、恐らくこの
基本
契約
関係
の全部の
交渉
中で、場合によりましては主文と申しますか、すでにでき上りました
基本協定
以上にこの
附属書
一、二をどう扱うかということが重大問題になるわけでございます。
基本協定
のほうには、主義、原則の問題といたしまして、
労働
三法を尊重するとか或いは保安解雇についての
規定
を設けるとか、そういう主義、原則上の点は確かにすでにでき上りましたところの
基本協定
にあるわけでありまして、これにつきましては日本
政府
の主張、
労働
組合の主張が多分に盛り入れられたことになります。
基本協定
に関する
交渉
に関します限り今回の
交渉
というものは相当に成功したということが言えるわけでございまして組合
方面
でもこの点には満足しておるということでございます。ただ
基本協定
がさようにでき上
つて
も、現実に給与に関連する
附属書
において苛酷な条件が定められるならば、これは何もならないということになりまするし、又組合の幹部の諸君はともかくとして、十八万に達します全
労務
者にとりましては、人によりましては、主義、原則の問題よりも、給与
関係
のきめ方がどうなるかというほうが切実なる問題になる。こういうことでありますが、この
附属書
の扱い
方法
は極めて重要なことになるわけであります。 従来の給与
関係
を律しましたのは、我々のほうでは、まあスケジユールAと申します
給与規定
を設けてあるわけでありますが、従来の
契約
にありました
給与規定
に代りますのに、
アメリカ側
では昨年新らしい
附属書
一、二の形で、
駐留軍労務者
の給与というものが非常に統一が取れていないから、これを理論的に統一のある形にするというわけで、職務職階表を
提案
して参
つた
わけであります。これは新らしい
アメリカ側
の
提案
というものは、理論的には誠に整然としたものにな
つて
おるわけでありますが、従来の、現在施行しております給与規則に比べて整然たるものにはなりまするけれ
ども
、さりとて整然となるということによ
つて
、現在の給与が下るという犠牲を払いたくないという自然の要求があるわけでありまして、理論的に整然たる職階にはめる、従来の規則がその都度その都度附け足しをして参
つた
、職種が殖えるたびに附け足しをして参
つた
ということで、或いは実情に合
つて
いるかも知れませんが、整然としておらない。それに対しまして
アメリカ側
の
意見
というものは、この際職階職務の
規定
を整然たるものにする。従来の枠から見て余分に取
つて
お
つた
人には、その間新らしい規則に
従つて
給与が減るのに対して
補償
規定
を設けて、従来との差額は
補償
する。制度は首尾一貫したものを活かそう。本人には損失のないようにしよう。こういうことを
提案
してお
つた
わけでありまするけれ
ども
、必ずしも実際問題としては
補償
ということに安心が持てないという面な
ども
ございまするし、
アメリカ側
の
提案
いたしました職階表その他に基きまして、これは一番深刻なる議論が重ねられて参
つたの
であります。組合側からも相当な
修正
意見
もございましたし、私
ども
はそれに対しまして、これは
米軍
の最高首脳部にまで直接
交渉
いたしました結果、端緒が開けて参
つたの
でありますが、主文その他についてすでに
交渉
が済んでおる。
附属書
について残るところはこの給与
関係
の
附属書
一、二である。併しながらこれを完全なる
交渉
をこれについて済ませるということになれば相当時間もかかるし、又問題も細かくもなり、且つむずかしくもなるのであります。そこで
附属書
の一、二に関する限りアメリカ案は撤回しないかということを強行に主張いたしまして、最近に至りまして
付属書
の一、二に関する限りアメリカ案を撤回しようということに漸く同意するに至
つた
わけなんであります。そこでそういたしますると、自然現行の
給与規定
そのままが出て来るということにまあなりまするので、これは考えようによれば、
アメリカ側
としては現実の職務職階、その他の金銭に関する
部分
で伺い主張する程度で、主文に関して字句上の面について
日本側
に相当譲
つた
と考えられる。それが済みましてから
日本側
が開き直
つて
、給与
関係
のアメリカ案の撤回を要求するということでは相当そろばんも違
つたの
ではないかと思われる節もありまするので、とにもかくにも遂に撤回することになりまして、ただその撤回に伴いまして現行の
給与規定
そのままでいいかどうか、多少相当不揃いな点があるので、新らしい
提案
にまでな
つた
いきさつもありますので、多少現行の給与、附け足しで少しずつ積み上げてできましたところの現行の給与制度というものを少しは調整しようというような考え方もありまするので、
アメリカ側
がアメリカ案の
附属書
一、二を撤回するのに伴いまして、現行の
規定
を若干手直しをする、どの程度までやるか、
アメリカ側
としては若干の手直しという話を持
つて
参
つた
わけでありまするが、我々のほうとしてもかねて主張しております給与の不均衡を是正するという話もありますので、
アメリカ側
のその話に乗りましても必ずしも不利益ではないと考えまして、その話に応じまして、現行の給与制度の手直しという話に最近な
つて
参りました。これができ上りますると、この話が終りますると、大体両管理軒側、日本
政府
、アメリカ
政府
との間の
意見
の統一が大体できまするので、その上は組合側にも参加して頂きまして、いわゆる三者の会談ということで最終的な妥結まで打
つて
行きたい、こういうふうに考えておる次第でありますので、私
ども
、当面の目安といたしましては、六月一ぱいを以て諸事完結としたいというふうに考えておる次第であります。 なお申し加えますと、新
基本
契約
は、全部ができ上りましてから
基本協定
はできておるのでありますが、
附属書
類その他が全部ができ上り出してから、三十日の
期間
を以て効力を
発生
するということにな
つて
おります。従いまして効力の
発生
ということは、六月一ぱいに
交渉
を仕上げることができまして、七月早々にでも調印することができますれば八月一日から効力を
発生
するということになるわけであります。 更に附加えて申上げますと、さような効力の
発生
ということは相当に遅れることもありますので、若干でも
日本側
に有利にきまりました
基本協定
が効力の
発生
を待たれるという
関係
もございますので、
基本
契約
のうち、最も従来の或いは現行の
契約
と形の変りました保安解雇につきましては、
アメリカ側
の制限を加えるという
条項
につきましては、これは
部分
的に現行
契約
の追加といたしまして、本年の初めに別に調印をいたしまして、これはすでに効力は
発生
しておるということになるわけでございます。
部分
的に効力を
発生
させたことがあるわけであります。いろいろな面で私が
交渉
に当りましてから十カ月近くになります。それ以前には二カ年近く行われてお
つた
ような非常に、長い
交渉
経過
でありまするけれ
ども
、漸く最終的の
段階
に到達したというふうに考えておる次第であります。 取りあえずこれだけ御
報告
いたします。
田畑金光
7
○
田畑
金光君 昨年の第十六
国会
におきまして
駐留軍労務者
の雇用
関係
につきましては、本
委員会
において相当真剣に取上げられて、当局にその方針等を質して参
つた
わけでありますが、
労務基本契約
に関しましては、御
承知
のように占領下に締結された
労務基本契約
がそのまま六カ月ごとの更新で今日まで
継続
されて参
つた
わけであります。この
基本
契約
改訂に関しましては、昨年の八月に駐留軍
関係
の
労務
者は四十八時間のゼネストをやりまして促進を図
つて
参
つた
わけであります。その後
只今
の説明の
通り
に、客観的な情勢に刺激されて、当局としても日米
労務基本契約
の改訂については非常に誠意が認められたと申しますか、熱意を帯びた
態度
で促進を図
つて
参られたわけであります。今お話のように、昨年の十月に
労務基本契約
の本協定については、
基本協定
については調印を見たにかかわらず、その後
付属書
の問題並びに
労働政策指令
の
問題等
で今日に延びて参
つた
わけでありまするが、どうも我々といたしまして、この間の時間の
経過
を見ました場合に、昨年の八月前後のあの頃のような熱意がなくな
つた
ように見受けられているわけであります。而も今日に至るまでも保安解雇に関しての
部分
発効以外には、
基本協定
は結ばれたが、その他の発効が何らなされていない、この点は非常に遺憾に考えるわけであります。どういうわけで
附属書
びに
労働政策指令
がそのように難渋を続けて今日延び延びとな
つて
参
つたの
か、今日までの
折衝
の過程におきまして困難とされた点を御説明願いたいと思うわけであります。
福島愼太郎
8
○
政府委員
(
福島愼太郎
君)
只今
御指摘を頂きました点、誠に御尤もなのでございますが、
附属書
の
交渉
になりましてから、かれこれ半年近くかか
つて
滞るという点は誠に遺憾でありますが、その第一の原因は分量でございます。協定
附属書
並びに
労働政策指令
の分量と申しますのが、
基本協定
に入ります分量のまあかれこれ十倍近くなるという単純なる
理由
が一つございます。それから又附属協定の
内容
をなしますものは、原則的なことよりも、定めるとい
つた
ような切実な問題を含んでいる点が多いということ、職種は私は正確に知りませんけれ
ども
、七百幾つか、千近くあります職種の一つ一つについて、それぞれの人の給与がそこのどへはま
つて
不均衡を生じないかとい
つた
たちの
検討
をして参りますといろいろ議論も起
つて
参る。それにいたしましても半年かかれば大抵のことはできなければならないわけでありまするけれ
ども
、
附属書
のうちには、
附属書
と申しますると重さが違うようではありますが、実際には
基本協定
以上に重要な、給与を如何に定めるかとい
つた
ような問題、ここは昨年の
国会
においても問題とされましたところの特別退職金とい
つた
問題もこの
附属書
のうちに含まれておるわけでありまして、それについて
日本側
と
アメリカ側
との
意見
が、ああいうふうになかなか合致しない。最近では
附属書
のうちで問題となります
部分
の討議を残して、問題とならない
部分
、
意見
の
一致
し得る
部分
の討議をどしどし
進行
させまして、最後に数点、
只今
ちよつと申上げました特別退職資金の問題な
ども
含めまして、それから職階職務表、
附属書
一、二の取扱いその他の数点の問題が来月半ば頃に最後に残
つて
参る。その数点の問題を最終的に、場合によりましては譲るべきものは譲らなければならんという線も出て参るかも知れませんけれ
ども
、最終的には
アメリカ側
との間に妥結に達したいということで参りまして、十月の半ば頃に
基本協定
を済ませまして以来、十二月一ぱい、それから一月一ぱいはその
部分
発効という問題にいささか追われた傾向にありまして、二月の初めに
部分
発効、いわゆる最後の保安解雇についての
部分
発効を成立させることができたわけであります。その当時予定しておりました
部分
発効につきましては、その他に
労務
者の責に帰する
理由
による解雇の
手続
に関する件とか、多少あ
つた
わけでありますが、本質的に申上げれば
基本
契約
が遅れている状況を多少でも
部分
的なものを発効するからということでまあ恰好を付けるという意味におきましては、その他の問題についても
部分
発効が行われるといいと思
つて
おりましたのでありますが、実質的な利益を確保するという意味におきましては保安解雇の
部分
発効に比べるほどの問題ではなか
つたの
でありまするし、まあ
アメリカ側
も
部分
発効よりも全般的な問題を急ごうというような空気も認められましたので、全般的な問題を急ぐという点で
部分
発効問題、重要な問題以外につきましては計画したものができなか
つた
という点はあるわけであります。二月初めに
部分
発効問題の解決ができましてから以来、
附属書
の本格的な
交渉
に入
つた
ということになるわけであります。二月、三月、四月、正月と、かれこれ四カ月近いものが
附属書
の
交渉
に充てられたわけであります。その間にいろいろの問題も、
交渉
自体も行われてお
つた
わけでありますが、その間にこれは従来から若干予想されてお
つた
傾きもありますけれ
ども
、
アメリカ側
の総司令部における
交渉
はともかくとして、陸海空の三軍の
関係
員の調整も思わしくないとい
つた
ようなことで難渋いたしまして、殊に最も多数の雇用者を持
つて
おりますところの陸軍などの
態度
が十分でない、思わしくない、無理解であるということが、これがもともと駐留軍
労務
の
関係
を困難にしておる一番大きな原因なのでありますが、具体的な問題、朝鮮から帰
つて
来る船員の解雇における
交渉
とか、具体的
交渉
その他が本年度末におきまして相当
発生
をいたしまして、さようなことで遅れているわけでありますが、又その間最も時間を食いましたものが陸軍の
関係
を根本的に是正しなければ、陸軍の
態度
が根本的に改ま
つて
来れなければ、
附属書
の
交渉
も満足に行かないのみならず、満足な解決ということも予想できないというような判断をいたしまして、実を申上げますと、この三月、四月一ぱいくらいは陸軍の担当者と、忌憚なく申せば我々との喧嘩で時間を空費したというような形もありまして、遂に我々の主張をハル大将、ハリソン参謀長までも貫きまして、陸軍の
労務
部長を罷免してもらうという事態まで捲き起しまして、最近陸軍の
労務
部長が罷免となりまして、全部全員入替えということになりまして、陸軍の担当者も上級者になりましたし、又人も完全に替りましたので、これからの
交渉
には相当期待が打てるというふうに考えておる次第であります。人が全部入れ替
つて
しま
つた
ということで時間的に我々も相当な犠牲を払
つた
ということになりますが、将来の成果という意味におきましては、又
日本側
との
交渉
に対する
態度
というもの、
アメリカ側
担当者に印象を与えるという意味におきましても、
日本側
の
交渉
自体に権威を付けるという意味におきましても、
先方
の担当者罷免要求というようなこと、それに相当の時間を私も空費と言えば空費してはおりますけれ
ども
、決して不ためにはならなか
つた
と考える次第でありまして、多分に時間のかかり過ぎた点誠に申訳ないと思
つて
おります。今後全力をあげましてできるだけ早い機会に処理完結したいと考えております。
田畑金光
9
○
田畑
金光君
只今
の
調達庁長官
のお話を承わりまして、
政府
当局としても非常に誠意を以て促進されているということは、一応私たちも了解付くわけでありますが、先ほどの御説明によりますると、四
附属書
のうち一番問題となりまする
附属書
一、二の問題、給与表と職種表の問題は非常に問題が複雑で多岐に
亘つて
いるので、一応現行の給与体系でこれを若干調整する程度でや
つて
行こうというような御説明もあ
つた
わけであります。そういたしますと残りますのが
附属書
の三の管理、
手続
の問題と
附属書
四の
船員関係
の
手続
の問題が大体話が一応付く
段階
にな
つて
来た。こういうような御説明を承わ
つた
わけであります。 そういたしますと、一番問題となる
附属書
三、二の問題が、今までの長期の
折衝
の
努力
にもかかわらず、具体化することができないで、現行の給与体系を若干調整する程度にとどめようということにな
つて
参りますと、過去数カ月というものが全く空費されたような印象を受けるわけであります。更に又私たちの新聞紙上その他を通じて見ますることは、
駐留軍労務者
につきましては、昨年米国の陸軍
予算
の削減によりまして、現実には解雇者が出ているわけであります。昨年八月から本年二月に至る間約一万名の解雇者が出ているというようなことを聞いているわけでありまするが、こういう解雇者に対しましては、現実の
附属書
が協定されない
段階
におきましてどういう処理をや
つて
来られたものであるか、この点について私は承わ
つて
おきたいと思うわけであります。殊に御
承知
のごとく
駐留軍労務者
は占領下の時代におきましては国家公務員の特別職という形で処理されて参
つた
わけでありまするが、その後
法律
改正によりまして国家公務員から除かれて
一般
雇用
労働者
と現実的には変りのない状態におかれたわけであります。併しながら実体においては占領下におけるものと殆んど変りがない。こういうことを考えてみまするときに、例えば国家公務員等の例を見ますならば、昨年は特別待命制度というものが設けられたり、今回の定員法改正におきましては臨時待命制度等が行われたり、更に又特別退職金等の
措置
もとられているわけであります。こういうような点を考えてみましたときに、
附属書
の協定が実を結ばなか
つた
というこの
期間
におきます
駐留軍労務者
の退職のような場合の管理と申しますか、
手続
等はどういうふうに現実的に処理を運んで来られたものであるか、この点について承わ
つて
おきたいと思います。
福島愼太郎
10
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 最初の、さつき御指摘のありました
附属書
一、二の点でございますが、これは私の申上げ方も不十分でありましたのですが、十分御理解を頂きたいと思いますが、
アメリカ側
の案として出して参りました
附属書
一、二と申しますのは、給与制度をシステマテイツクに理想的なものにするということに名をかりまして、現行の給与が下るという案であ
つた
わけであります。従いまして恰好は非常によくできている。又これでや
つて
行けば、これが若し初めから行われてお
つたの
で、あれば非常に不公平もない、いい制度である。併し現実の一人々々の給与から比べると一応下らなければいかん、こういう案なんであります。これを長い間かかりまして、この欠点を一つ一つ論破いたしまして、とうとうこのアメリカ案の一、二を撤回させることに成功いたしまして、現行の
規定
でそれではやろうという話合いにな
つた
ということでありますので、長い間かかりまして話合いがまとまらなか
つたの
ではなくて、長い間かかりまして
先方
の案を撤回させるのに成功したということでございますので、これはもう是非とも御理解を頂いておきたいと思います。成功をいたしましたのでありますが、まあ一から十までこちらの言い分というわけにも参りませんから、現行の制度に若干の手直しをそれではしてやろう、又若干の手直しをするという意味合いにおきまして、我々のほうで考えている不均衡是正もするというふうに考えておるわけでありまして、給与制度に関する限り
交渉
としてはその
目的
を達したと考えておる次第であります。 アネツクス一、二が当面問題とな
つて
おりました、初めからまあ私といたしましては、一応さような
交渉
の仕方も考えまして、アネツクス一、二を十分こちらで対抗するだけの議論をした上で、収拾が付かなくなれば撤回を要求するということに恐らくなるだろうということは、まあ組合の諸君にもひそかに漏らしてお
つた
ところでありまして、大体これは余りあつちこつちで申上げておるわけではありませんが、大体
交渉
としては、方式としては、まあ私
ども
に対する、又組合側の諸君に言わせればいろいろ御
意見
もありましようが、少くとも
アメリカ側
から考えられれば、これはまあやられたと考えておるだろうと考えておるわけであります。 なお続けて御指摘のございました人員整理に関する件でありますが、これは昨年の八月以来一万名とは実は考えておりませんが、昨年の暮の例の問題となりました人員整理が問題となりまして、
国会
においてもいろいろ御注意を賜りました節には、五千という人員整理が出たわけでありまして、これが年末手当の支給とか、いろいろなまあ現行の制度によ
つて
でき得る限りの有利な解決をするということでありますので、必ずしも十分とは申せませんでありましようが、少くとも現行の
契約
に基きます扱い方としては、組合の諸君の納得の行くような解決を、まあ完全ではありませんが、相当の程度まで速成いたしまして、あの年末におきます五十人の整理の際の問題は一応
経過
したわけであります。その後整理がじりじりと出まして、或いはもう二千三千殖えたかとは考えておりますが、これは私
ども
例の年末の解雇以来
アメリカ側
に要求いたしましたことは、特に人員整理ということで人をやめさせ、一方においては新規採用が行われるとかいうようなことは困る。自然の減員というものも月に十人近くはあるので、これを確保して
配置転換
その他によ
つて
整理は行わない。その代りに新規採用が行われなくても仕方ないというようなことで処置して参
つたの
でありますので、減りは減
つて
参りました。現に四月から五月に移ります機会には十八万弱の雇用数の中で二百ちよつとの整理が出てお
つた
と思います。減員の数が出てお
つた
と思いますが、これらは自然減ということだろうと思います。問題となりました五十人の整理以後大規模な整理が行われたことはないはずでございます。ただ小規模の整理といえ
ども
、とかく問題となりますのは、五人でも十人でも人を減らさなければならんという際に、誰がやめなければならんか、誰をやめさせなければならんかという問題でありまして、これにつきましては我々の考えといたしましては、まあ経歴順により、不公平のないように並べる、職種の間で区分けして経歴順に並べるとい
つた
ような問題について問題を起して相当にもめたこともございまするし、又これだけの大規模の整理でない以上は、事前に希望退職者を募
つて
みたらどうかという問題が円滑に行われないために、組合との間に数次
交渉
したこともありまするし、主にこれが陸軍の
関係
でありまして、そうい
つた
具体的な事態が動機となりまして、陸軍の
労務
当局と我々と正面衝突したということにもなるわけであります。年末、
国会
で御
審議
の際に御指摘を頂きました大量解雇以後は自然減員と見るべき解雇以上に特段の解雇が行われておるとは実は考えてないわけであります。ただそういうような解雇にいたしましても、これに対しまして国家公務員の退職に関連する給与が苦しく
改善
せられたのに比べまして相当不利であるということは、これは間違いない事実でありまして、昨年の当
委員会
の御
決定
も我々頂いておるわけとありまして、特別退職資金制度何とかという
交渉
は、先ほどから申上げております
付属書
関係
の
交渉
について二、三重要な点が最後に、やはり政治的な、政治的と申しますると語弊がありますが、最終的にどうするかという決断を、日米
両者
の首脳者間にきめます際にアウトスタンデイングな問題として特別退職の問題は出て来るであろう、かように考えております。特別退職制度に関します
日本側
の案と申しますのは、これは組合側もよく知
つて
おるのでありますが、
附属書
三のうちに入
つて
おりまして、これに対しては
附属書
の三、その他の
部分
についてはおおむね
アメリカ側
との
意見
が合
つて
おる。特別退職手当の件についてはまだ
意見
が合
つて
おらない。
従つて
我々はこれにこだわ
つて
附属書
全体の執行が遅れては困るからということで、この問題は
あと
で、事務当局と離れて、上のほうで解決するから別に残しておいてほしいということで残してある問題にな
つて
おります。事務的な
交渉
の
段階
におきましては、特別退職手当の件は
アメリカ側
の同意するところとならず、併しながら我々のほうもその主張は降ろさずに最後の多少上級の
折衝
においてこれを解決しよう。そのときにほかに出て来る問題はもう一つ、二つ出て来るであろう。それらと合わせて何とか有利に解決したいというふうに考えておる次第であります。
田畑金光
11
○
田畑
金光君 只令の御
答弁
のうちに、
附属書
一、二の点については、
アメリカ側
の実際には給与引下げになる職階制度に対して、これを突き破るために、或いは撤回させるために
努力
を払
つた
という点については、私たちもその労を多とするわけであります。 私、この際話の順序が戻りまするが、
労務基本契約
については、軍、
政府
並びに
駐留軍労務者
の三者の
会議
において
審議
し、
意見
の
一致
を進めて行こうというような方式がとられていたと考えるわけでありまするが、而も
労務基本契約
の
基本協定
についてはそのような
措置
がとられて参
つた
わけであります。併しながらこの
附属書
並びにその他の
労働政策指令
の
問題等
については、形式としてはそのような
措置
がとられていないように見受けておるわけでありまするが、これは三者構成というものは
基本
契約
のみについてそのような構成で、
審議
をするということにな
つて
いるのかどうか、これが一つであります。 第二にお尋ねいたしたいのは、先ほどの調進庁長官の御説明は、四
附属書
につきましては今日までの
折衝
の
経過
と現状についての御説明がありましたが、五
労働政策指令
につきましてやや説明が不十分でありましたが、この五
労働政策指令
の具体的
内容
と申しますか、この点につきましてはどうな
つて
おるのか、御説明を願いたいと存じます。
福島愼太郎
12
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 三者会談ということがこの
基本
契約
の
交渉
には行われておりまして、
基本協定
主文に関します
部分
の妥結は、
アメリカ側
、
日本側
、それに組合側と三者のいわゆる三者会談というもので最終的に妥結してきめたわけでございます。それから
附属書
につきましてもそれと同じ方式できめる予定でおります。併しながら非常に分量が多いのです。のみならず細かいことを
規定
しておりますので、これを初めから三者会談でやりますれば、まあ文句を言うわけじやありませんけれ
ども
、恐らく一つ一つ組合の諸君も議論をせざるを得ないでしようけれ
ども
、早くまとめるという
趣旨
に恐らく合致しないであろう。而もその間に日本
政府
とアメリカ
政府
との
意見
も又合致しておらない。三者が集るたびに日本
政府
はとかく日本の組合の味方をするというのが形式的な表面に現われて、毎回々々日本
政府
と組合と一緒にな
つて
アメリカ側
と喧嘩をするという形式の
会議
を重ねましても、或いは感情的に
アメリカ側
との工合が悪くな
つて
、
会議
を成功させるということになるまいというふうに考えましたので、三者で
意見
が全然
一致
しないものが三巴にな
つて
争
つて
もいたし方ないという考え方から、のみならず新らしい
基本
契約
は日米相互の共同管理という精神がかなり貫かれておると思いますので、これを具体的に
アメリカ側
に示すためにも、管理者側の
意見
を先ず以て
一致
させた上で、組合に参加してもら
つて
三者会談をやろう、そのほうがいいだろうという、それから又アメリカも組合に言われるととかく反撥することがあ
つて
も、日本
政府
の
意見
ということではまあ案外角が立たずに話が進むとい
つた
ようなことも、これは余りいいことではありませんけれ
ども
、そういう事例もありまするので、先ず以て日本
政府
と
アメリカ側
との話を付けるという建前で、現在は
両者
間の
交渉
の時代にな
つて
おるわけであります。これができ上りましたならば、当然組合の諸君にも入
つて
もら
つて
三者会談ということにもなるわけなんであります。にもかかわらず現在の二者会談の状況下におきましても、日本
政府
が如何なる案を以て
アメリカ側
と掛合
つて
おるかということは、組合の諸君には全部通じてあるはずでありまして、又組合の諸君の
意向
を汲んだ
内容
を日本
政府
の案として
交渉
はしておるわけでありまして、実質的には組合の
意見
を反映させておるつもりであります。併しながらそれを以て三者会談を今後省略しようという考えは毛頭ないのでありまして、その点は御了承を得たいと思います。 なお四
附属書
以外、
労働政策指令
について説明が足りませんで申訳なか
つたの
でありますが、
労働政策指令
につきましては大
部分
話がまあ済んでおるのでありまして、
労働政策指令
と申しますのは七つ、五つという時代がございましたが、その後追加を受けまして、追加の案が出まして現在では七つあるのであります。その第一が
労働
政策原則、第二が従業員団体との
関係
、第三が訴願、苦情の処理
関係
、第四が保安の
関係
の
手続
、第五が人員整理の
関係
規定
、第六が制裁
規定
、第七が解任の
規定
、
規定
と申しますか、一応こういうことが指令として、訓令として各部隊に配付される。こういうことなんでありますが、この大
部分
につきましては話合いが実は付いておるのであります。現在付いておりませんのは、特に顕著に付いておりませんのは、この苦情処理とい
つた
ような問題に、
アメリカ側
の第二次案も出ましたのですが、それを更に突返しまして、向うの返事を待
つて
いるというようなところでありますので、形式的には付いていないという血がありますが、これは苦情処理の
関係
に
日本側
の発言権というものをもう少し確保したいという点だとか、或いは第二の従業員団体との
関係
とい
つた
ようなものも、これも話の付いていないほうでありますが、これも併しながら全部が話合いが付いてないのじやないので、その間の一つ二つが、つまり組合活動、基地内における組合活動ということにまあこれがなるわけなのであります。組合専従者が基地内に立入れるかどうかとい
つた
点の
規定
がちよつと我々としては感心しない、感心しないと申しますよりは、前の了解と違う。これは許可制度ではあるが、認めるということに九月の話合いにおいては話が付いてお
つた
はずである。それを取りまとめて印刷して来ると、その点が落ちているじやないか。
先方
もその点を認めておるのでありまして、これは
修正
して返して来いということにな
つて
おります。この七つの
関係
は殆んど大
部分
事務的には済んでおるわけでありまして、その間それぞれに一つ二つずつ前に話合いが違うとか、表現が現わしくないとい
つた
関係
で
アメリカ側
に再考を要求しているというものがあります。今後の
進行
上の問題といたしましては、
労働政策指令
の
関係
で全体の
進行
が遅れるということは想像しておらない次第でありまして、むしろアネツクス、
附属書
三におきます今申上げました特別退職金の問題とか、或いは
附属書
一に代ります現行給与制度の手直しの問題とか、そういう問題で相当大所でなお非常な
努力
を要すると思
つて
おりまするが、その間これらの問題は大体主として
折衝
の
経過
におきましても事務的にや
つて
おりまして、私がこれは殆んど
関係
せずにや
つて
おるくらいでございまして、大体大所の問題の片付きます頃までにはこれらの問題は調整し得る。これらの問題のために全般のことが遅れるということはないと考えております。
田畑金光
13
○
田畑
金光君
只今
の御説明によりまして、
労働政策指令
が七つであるということ並びにその
内容
等についても一応全貌というものが了解できるわけでありまするが、これらの点につきましては
目下
事務当局で話合いの上大体
結論
ができそうであるということで、この
答弁
を了承したいと存じます。ただこの点に関しまして希望として、要望として申上げたいことは、日米
労務基本契約
の中心的な思想が、飽くまでも
労務管理
は日米共同の下になされるべきであるということと、並びに
労働
組合法、
労働基準法
等は
米軍
の保安に支障ない限り飽くまでも日本の
法律
が遵守さるべきであるというこの原則と、第三の問題といたしましては、日米対等の原則が貫かれてなきやならんというこの三つの大きな
基本
的な筋は
附属書
にも、
労働政策指令
の中にも強く貫いて頂きたいということであります。更に又
只今
の御
答弁
によりまして、三者構成の問題に関しまして、どうも
附属書
並びに
労働政策指令
の
折衝
の中に三者構成が取入れられていないのは、時間の節約或いは話合いを促進するための便宜的な
方法
であるし、事実問題としては組合側の
意向
に取入れておる。日本
政府
は
アメリカ側
と
折衝
しておるというような御
答弁
で了解されるわけでありまするが、飽くまでも
労働
組合側の主張
意見
等を十分に取入れられて、今後とも
アメリカ側
と強く
折衝
されることを要望したいと考えるわけであります。 それに関連いたしまして私もう一つお尋ねしておきたいことは、御
承知
のように本年度の国家
予算
を見ますると、自衛隊の強化のために二百億の
予算
増加
措置
がとられているわけであります。保安隊が自衛隊に切替えられ、更に世上伝えられる再軍備五カ年計画がだんだんと強化され、起動に乗
つて
参りますならば、当然に駐留軍の削減という問題が出て参ろうと考えるわけであります。すでに
政府
の本
会議
或いは防衛二
法案
審議
の際における内閣
委員会
等における
答弁
を見ましても、日本の自衛力の強化の度合に応じて駐留軍は撤退すると、こういうことを明確に申しておるわけであります。こういうような
日本国
内における再軍備の強化の方向を考えましたときに、又他面アメリカの国家
予算
を見ましても軍事費は削減されつつあるということ、同町に又アメリカの戦略が原子力戦略の方向に進みつつあるということ、こういうことを見ましたときに、アメリカの世界政策・極東政策を分析しましても、当然に陸軍部隊の削減ということが予測されて参るわけであります。こういうことを考えて参りましたときに、
駐留軍労務者
の退職の問題或いは退職に伴う
配置転換
の問題、失業
対策
の問題というのは
駐留軍労務者
にと
つて
のみならず、我が国全体の
労働
政策上由々しい問題にな
つて
来ようと考えられるわけであります。こういうことを考えて見ましたときに、この退職手当制度を速やかに確立するということが重大な問題だと考えるわけでありまするが、先ほどの御
答弁
によりますると、退職手当制度が非常に重大な問題であ
つて
、而も予測としては政治的な
折衝
に待たねばならん、こういうような御
答弁
の
趣旨
でありまするが、この点につきましていま少しく詳しく退職手当の本質と申しますか、
交渉
が難関にぶつか
つて
いる点等について御説明を願いたいと思います。
福島愼太郎
14
○
政府委員
(
福島愼太郎
君)
駐留軍労務者
の退職手当と申しましても、私はまあ本当は現行の制度そのものは詳しくは知りませんですが、希望退職と軍の命令による退職と、この二つになるわけであります。希望退職の場合の十割増というのが軍命による退職のまあ現行なんです。ですが、希望退職の退職金というものが普通の公務員並みにもらえておれば、制度としては希望退職の十割増でありますから問題ないということが言えるのではないかと思いますが、十割増は結構だけれ
ども
、その元が大体普通の半分くらいしかないということがこの問題の起りになるので、従いまして現在の組合の諸君の申しておられるのは、軍命解雇が十割増にな
つて
おる。それを更にもう八割増せということにまあなるわけです。問題のむずかしい点は特別退職、希望退職以外に特別の退職手当を認めろというだけではいけない。これは認めているじやないか、倍じやないかとアメリカでは言
つて
いる。それではいけない。退職手当制度全体が公務員その他とバランスが取れておらない。公務員とバランスが取れておらないというよりも、これはまあ公務員の待遇は最近において急激によくな
つた
。アメリカの知
つた
こつちやない。
駐留軍労務者
との間は併し給与ベースその他はすべて同時同率という原則じやないか。同時同率と言
つて
も、それはいわゆるベースについては同時同率にする。同率に上げる、同時に上げるということを言
つて
いるのであ
つて
、何から何まで同じではない。第一公務員の給与ベースと
駐留軍労務者
の給与ベースが違う。ベースがかなり高いわけです。平均給にいたしまして二万二千円ぐらいになるのじやないかと思います。ですから何もかも、退職制度も何もかも公務員と一緒にするならば、大体賃金ベースそのものから公務員と一緒にしてくれなきや困るということを言うわけでありまして、それに対して公務員と違
つて
、短期、いつなくな
つて
しまうかわからないという特殊な雇用
関係
ではないか。
従つて
ベースが公務員と違うという点も短期特殊の雇用
関係
であるからということで承認されている。それまでも公務員と同じにしなければ退職制度が工合が悪いということにはまあならないと思うとい
つた
たちの議論にどうしてもなるわけでありますが、でございますから、単純に希望退職以外の軍命解雇の制度が全然できていないという議論ではちよつと工合が悪い。どういう工合に持
つて
参りますか、アメリカというものが最終的な形としてどういうことになりますか、現在の
交渉
、我々の案と申しますのは、これは組合案と全然同じたちの要求をしておるわけでありまして、これは御
承知
の
通り
でございます。先ほど申上げました十割増に更に八割増という案なのであります。これがなかなか通らない場合に、まあどういう考え方があり得るかということになりますが、そうい
つた
仮に軍命解雇であ
つて
も通常の退職金制度、希望退職の退職金制度以外に、さつとアメリカ軍が帰
つて
しまう場合には、これは会社がつぶれるのと同じことなんですから、特別の
措置
というものが考えらるべきではないか。或いは軍命解雇であ
つて
も、単純な一つ一つの軍名解雇と違
つて
全日本的にネーシヨン・ワイドに行われるとい
つた
ような整理とい
つた
ものと又種類を区別して考えなければいかんのではないかとい
つた
ような議論になりまするし、現在のところは組合と殆んど同じような案を向うに提示しましてなかなか事務的にも片付かないものでありますから、問題を
あと
から僕ら直接議論するから任しておけということにな
つて
そのまま寝せておりますが、
先方
の議論の過程というものがまだ明瞭でない傾向がありますけれ
ども
、まあいろいろ事態の予測をしまして、我々の主張というものもまあ練
つて
おるわけであります。単純な特別退職資金制度というのでは、最後までそれだけの主張ではちよつと工合が悪い面も出て来やせんかと思
つて
おります。さりとていわゆる特別退職金制度で認めさせるということになりますと、一番簡単な希望退職の元を上げてくれれば一番いいのでありますが、この問題に関連して希望退職金の元を上げさせるということまで発展させますと、問題の解決が非常にむずかしくな
つて
来やしないか、希望退職の点は現状
通り
にとどめておいて、整理による退職金の問題とどう取組むかという問題にな
つて
参るわけでございます。 現状の
交渉
状況としましては組合の考えておりますような線が
アメリカ側
に突き付けてありまして、そのまま話が付かずに問題が来ておるというのが状況でございます。将来私
ども
はまあ直接
アメリカ側
と話いたします際には、或いは日本におけるアメリカ軍というものはいつ何どき全部、若しくは三分の一とか五分の一とかさつと帰らなければならない性質の軍隊であり、
従つて
そういう特殊の性格を持
つた
雇用
関係
というものをどう扱うかとい
つた
、かなり本質的な議論をしなければならないじやないか、まあ私個人の
見解
といたしましては、もともとアメリカ軍が一生末代日本にいるわけでもない。アメリカ軍の雇用というものをそもそも始めますときに、さつと帰るときにどうするかということが置き忘れられてお
つたの
じやないか。でまあアメリカがさつと帰るときにはどうなるかという議論から逐次発展させて参りまして、特別退職金制度というのを何とか実らせたいというふうな考え方でおる次第でございます。
田畑金光
15
○
田畑
金光君 もう一点、それじやまあ今の特別退職手当金の制度の確立と申しますか、そのような制度を確立しておくことが現
段階
においては大事なことだと、こう我々は考えるわけでありますが、その点に関しまして
只今
の
答弁
で、この特別退職手当制度の特殊な性格についての二長官の
答弁
は、その限りにおきまして我々も了解されるわけでありまするが、この
見通し
であります、私のお尋ねしたいのは。先ほどの前の私の
質問
に対する御
答弁
の中で、特別退職手当制度については問題を先ず残しておいて、上司の政治的な
折衝
に待たねばならん、こういうような
趣旨
の御
答弁
があ
つた
と考えるわけでございまするが、この点に関しまして、政治的な
折衝
と申しまするとどういう機関と機関の話合いを予測されておられるのか。殊に承わりますると、この
交渉
を難渋にする或いは複雑にしている一つの要素は、
アメリカ側
の内部情勢にあることも聞いておるわけであります。そういうようなことを考えましたときに、
アメリカ側
の如何なる機関と日本
政府
の如何なる機関との話合いが最終的な政治
折衝
としてこういうような制度確立につきましての重要な締括りになるのか、この点と、それから然らばいつ頃の時期にこの協定の締結がなされ得るかという
見通し
につきまして、この際長官の明確なる
見解
を承わ
つて
おきたいと考えるわけであります。
福島愼太郎
16
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) まあ最終的な
段階
におきまして上層部の
交渉
としてというふうに申上げましたのですが、これはまあ最終的な
段階
は是非とも六月の末までには持
つて
行きたいと考えておるわけでありますが、その際にこの特別退職資金のほかに現在アメリカが問題としておりますのは、過去において間接雇用に切替えました、平和条約発効時に身分の切替を行いましたときに一遍払
つて
おるのを問題にしておるというやつであります。こいつを取り返したい。それから退職金というものはもともと一つの
基本
金額に年数がかけられて計算さるべきものである。プラス・アルアアということがあらゆる退職金を計算する方程式であるべきである。その一を
駐留軍労務者
については二度取られることにな
つて
おる。少くとも一を取り返したいとアメリカ軍は考えておる。これも理論上は考えられないことではない問題なのであります。併し我々のほうでは
労務
者諸君にもうや
つて
しま
つた
ものであ
つて
、今更取返したくないというふいに考えておりますが、これがまだ
償還
金の返還という題目の下に今問題にな
つて
残
つて
おる。それと将来の退職金制度、これらにどういう問題がまだ現在の事務
段階
から残
つて
参りますか、それら二、三をどう処理するか、過去の清算とのかね合いで、このほうは多少譲
つて
も、将来の退職金のほうを確保するという踏切りを付けるか、両方とも
目的
を貫徹するように
交渉
するかということになるの、でありますが、その辺の判断というものはそのときに近くなりましたら申上げるというより、私自身、私
ども
自体がそう早急に考えをきめる必要はないのである。両方とも貫徹するという精神でや
つて
おるわけでございます。でまあその際に政治
折衝
と申しますか、政治
折衝
と申しますといささか口はば
つた
いことになるのでありますが、まあ私と
先方
、アメリカ極東軍司令部の参謀長との間の話合いは相当のところ付くのではないか。併しながら
基本
契約
を最終的にきめますときには、
労働大臣
と当時のクラーク司令官、ハリソン参謀長、こうい
つた
形の
関係
まで引出しました
関係
もございますので、或いは同じような形をとるに至るかも知れないと思
つて
おります。できるだけ私と参謀長程度の間のところで話をまとめるようにしたいと思
つて
おります。それなら今からでもそれができそうなものだということになるのですが、これさえできれば全部ができるということになりません、となかなかそういう問題は片付きませんので、つい
あと
に残
つて
おるという問題になりますので、御了承願いたいと思います。
吉田法晴
17
○
吉田法晴
君 ちよつと関連して。今のお話を承わ
つて
ちよつと疑問が残るですが、先ほど
付属書
の中で退職金制度の問題はおいておくという、まあ方針と申しましようか、気持だというお話と、それから今のまあ政治的の
折衝
を含めて
只今
の
答弁
は相関連するがごとく考えられますが、そこのところを実際にどういう工合にお運びになりますか、アネツクスと関連して御
折衝
になり或いは御
協議
になるというのか、或いは別に
附属書
の他の協定が終りましても、残しておいて別にお片付けになるという
態度
でありますか、ちよつとそこのところがあいまいになりましたので。
福島愼太郎
18
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 大体こういうふうにいたそうかと考えておるわけであります。大体
アメリカ側
も一応それを了承しておりますが、
附属書
の三について大体事務的に
交渉
を進めて行く、
交渉
した
部分
もございますが、話合の付いた
部分
もございますが、その中で特に
只今
申上げております特別退職とい
つた
ことがきま
つて
ない、その
部分
だけ白紙にいたしまして、話の付いたものを全部片を付けて、事務的に終
つた
ということにしてしまう。そういたしますと、
附属書
三が大体片付いておると申上げましたのは、その一つ書いてない
部分
があるという前提でございます。
附属書
四につきましては、書いてない
部分
までこしらえないでよかろうと思う。それと一、二のきまり方、これは最終的に片付きません。つまり現行制度の手直しという問題、これは
目下
熱心に
交渉
中の問題であります。それと債務
条項
に関連します退職金問題で、過去の支払についてまで触れて来ますので問題が
あと
に残る。取出しました問題は
附属書
の三なら三でブランクで残しておく、ブランクを含んだ
附属書
三を事務的に仮調印でも何でもする。全般を通じまして二つ三つなら非常に結構と思いますが、二つなり三つ残りました問題を最後的な
検討
をしてもらう、そういうような考え方をしておるわけです。
吉田法晴
19
○
吉田法晴
君 今までのまあ新
労務基本契約
の発効のために、或いは
部分
発効をしたり或いは
附属書
の、技術的に今のような一部を除いても発効を急ぐという経緯からしまして、その点了承いたしますが、先ほど
田畑
君もお話をいたしましたが、今後漸減方式をとることはこれは明らかです。或いはこれは日本がどうなるのかわかりませんけれ
ども
、アジアから二個師引上げるという話を聞いておる。或いは現に朝鮮事変の停戦後、駐労
方面
で人員減が行われておる。それも実情は、事実は向うの都合によると思うのですが、実際には希望退職を求めるという形で整理が進められておる現状であります。そこで
駐留軍労務者
の緊急の問題として、或いは関心事として、
基本
契約
の問題もさることながら、今すでに退職しつつある者或いは事実上整理されている者、今後或いは本年中にまあ二箇師引揚げるというと、それが漸次
駐留軍労務者
の身辺に及んで参るという点をどう対処するかという問題は、これは緊急な問題として現在現われておるし、又進みつつある。そこで
労務基本契約
に関連して
附属書
の問題としてはなかなか進展しがたいと、こういうお考えだと思うのでありますが、議会
方面
にも陳情があり、或いは衆議院においても退職金
規定
について立案のあれが進められているということは御
承知
だと思います。或いは
参議院
においてもこれは人事
委員
の中で考慮されつつあるように私
ども
聞いておるのであります。情勢の推移或いは規則制定の必要からするそういう
国会
方面
の動きも御
承知
であると思いますので、今までのいきさつからする御
意向
というもの、これはまあわかりますけれ
ども
、これらの点についてどういう工合に
調達庁
としてはお考えにな
つて
いるか、或いはお進めになられるか、その辺一つ併せて御
答弁
願
つて
おきたいと思います。
福島愼太郎
20
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) まあアメリカ軍が全面的でなくても、相当の
部分
近々にでも帰りやせんかという問題があれば、これに関連しまして人員整理の問題が大問題になることはこれは必至でありますが、私
ども
の現在の事務面に現われて来ます状況では、現在、今年になりましてからの退職数というものは必ずしも多くないのでありまして、昨年の末に十八万人をちよつと割りましたのです。現在でも十七万六、七十はあるのでありまして、その間の減り方というものは自然減少よりも少いくらいで、若干の新規採用をむしろしているくらいじやないかと思われるのであります。 そこで私
ども
としましては、自然減というものが月最低十以上はあるわけであります。これをできるだけ確保しよう、これはまあ我々の仕事が楽になるという意味ではそれは多少消極的な仕事かも知れません。新規採用を拒絶するということでしのぎを付けておる恰好にな
つて
おりまして、最近は人員の十八万をちよつと下廻
つて
おります。人員からの変動を総数としては見せていないということになります。 ただ私
ども
は余り詳しくは存じませんけれ
ども
、保安庁
関係
の増強その他で移動するようなことがありやしないか、アメリカの軍の所在地がですね。そういたしますと、まさか北海道に勤めてお
つた
労務
者が九州まで転勤するわけにはいかない。従いまして総数は変化はないけれ
ども
、やはり整理問題は起るというようなことはちよつと想像をして
研究
しておるところなのであります。全般的に今の移動
関係
は、若干頭を悩ましている面もありまするが、アメリカヘこの際一箇師団でも二箇師団でも帰
つて
しまうということから
発生
して来る問題は、これは将来当然起ることではありまするけれ
ども
、当面の問題としては実は予定しておりません。実は
調達庁
といたしましては、
労務
関係
以外に施設
関係
、施設の提供の
関係
もいたしております。合同
委員会
の
関係
から、最近は施設特別
委員会
というものを日米間に作りまして、私が担当しているという
関係
もありまして、施設としてアメリカが大体どの程度のものを要求しているかというようなこともかなり早目に私としては
承知
をしているつもりでありますので、
従つて
人員を減らす計画との関連も、或る程度見当が付きます。ここ当面は人員が急激に減るという
関係
は、これはいいことか悪いことか知りませんが、先づないであろうと考えております。従いまして将来アメリカ軍がかなり大規模にいなくなるまでに駐留軍
労務
関係
の退職金の制度なり何なりもつとしつかりしたものを作らなければならないと思い、又それの時間的な余裕はあるであろうと、当面の問題としてそれができないうちに巻き起
つて
来るであろうというふうには考えておらない次第でございます。
田畑金光
21
○
田畑
金光君 まあ私も大体
質問
したいことも一応尽きたような感じがいたしますが、まあ最後に一つ退職金の制度確立の点でありますが、先ほど私が申上げましたように
駐留軍労務者
の退職或いは失業ということは、或る一つの将来の
見通し
を以て判断いたしますときには一つの宿命的なものであると、こう言ひ得るかと考えるわけであります。従いましてこの点に関しましては、折角
調達庁
におかれまして
附属書
並びに
労働政策指令
についてもそれぞれ近く妥結をする
段階
まで漕ぎ付けた。ただ最も困難な問題として退職手当制度のみが時期がずれるような
見通し
でありまするが、こういうような一つの制度の確立ということは、やはり時期或いは勢いというのがあろうかと考えるわけであります。この点に関しまして、殊に
駐留軍労務者
という不安定な職場に働く諸君は、強くこの制度の確立を求めているわけであります。
発生
的に見ましても
経過
的に見ましても、
駐留軍労務者
の雇用主が
政府
であるというようなこの制度の性格から見ましても、国家公務員と同じような、むしろ国家公務員とはその
期間
の
問題等
におきまして不安定だという性格の面から申しまして、特殊の考慮の下にこの制度の速かなる確立を図
つて
頂くことを要望しておきたいと考えます。 この点につきましてはこの程度で実は終りたいと思いまするが、
あと
もう一点だけお尋ねしておきたいと思います。 それは御
承知
のように公務員に関しましては夏期手当の要求が
政府
当局に強くなされているわけでありますが、同様にこの
駐留軍労務者
におきましても先般来
調達庁長官
宛に対しまして夏期手当の要求がなされているはずであります。御
承知
のように昨年末からの
米軍
予算
が減らされたことや、
事業
量の減少等に伴いまして
労働
時間も短縮され、実質的に給与が低くな
つて
おるということも否定できない現状だと見るわけであります。こういうような状況下におきまして
駐留軍労務者
のほうから夏期手当の要求がなされているわけでありまするが、この点に関しまして長官といたしましてはどのようにこの要求を処理されようとする御方針であるか、この点に関しましてどのようなアメリカ当局との話合いを付けられようとする御
所信
であるか、この点承わ
つて
おきたいと思います。
福島愼太郎
22
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 夏期手当の件は御指摘の
通り
組合からもお話が参
つて
おるわけであります。組合の要求自体にはわからん点はないのでありまして、了解はできる次第でありますが、ただアメリカ軍との間に
駐留軍労務者
の給与は給与ベースこそ違え、
あと
の取扱いは同時同率の原則という約束にな
つて
おりますので、国家公務員に対して夏期手当が支給された、それと同率を
駐留軍労務者
に支給するということには間違いありませんけれ
ども
、それ以上に
駐留軍労務者
だけに
アメリカ側
に支出せしめるということは
先方
としても固く拒否して譲らない点もありますし、又我々のほうとしてもそれ以上の率に取るということはできかねる次第でありますので、国家公務員の夏期手当の件が解決いたしました
通り
に
駐留軍労務者
の問題も扱えるという保証は
はつ
きりいたしておりまするが、国家公務員の持越以上だ、夏期手当の率を定めるということは、これは先ずちよつと不可能であろうと脅えておる次第であります。
吉田法晴
23
○
吉田法晴
君 そうすると今の点は国家公務員について
予算
〇・七五、要求は一ということですが、いずれにしても国家公務員がそういう率できま
つた
ならば、その率は
駐留軍労務者
についても支給できると、こういう御
答弁
と解してよろしうございますか。
福島愼太郎
24
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) その
通り
でございます。駐留軍側に対しましては国家公務員の支給率は〇・七五ということにな
つて
おるが、それに対してもう〇・二五殖やせという要求もあり、又案等もあるわけなので如何ようにきまるかわからない。併しながらいずれにきま
つて
も、国家公務員と同率を出すという用意はしておる次第であります。
吉田法晴
25
○
吉田法晴
君 ちよつと特別退職金制度の問題に帰りますが、何度も長官は繰返し同時同率というお話でございますから、退職金問題についても講和発効当時争われました退職金を支給すべきである。或いはまあ総額がどうなるかは別問題にして、或いは率等がどうなるかは別問題にしまして、日本人の或いは公務員、或いは
労働者
と同じように退職金を退職の際に支給すべきであるという点はもう問題ないというふうに確立されておるといいますか、了解されておると、こう解釈してよろしうございますか。
福島愼太郎
26
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 同時同率ということはすべてに
亘つて
同時同率ということにまだ必ずしもな
つて
いない傾向もあるのですけれ
ども
、
駐留軍労務者
に対しまして退職金制度というものがあることはこれは明瞭であります。そのきまり方が国家公務員に比べて不利である。これと同時同率の原則というものがどう両立するかという点が問題になるわけで、これに対しましての理窟は一番肝腎の給与ベースが違う、これが
駐留軍労務者
の場合は国家公務員より遥かに高い。これは事実であります。同時同率を
胞くま
ですべての点に貫くならばすべてについて同じにしたらどうかという切返しを食う虞れもありますので、多少首尾一貫していない点があるわけでございます。
吉田法晴
27
○
吉田法晴
君 お尋ねしたのは、退職金の問題について、同時同率という言葉にはこだわりませんけれ
ども
、退職金を
駐留軍労務者
についても出すべきだ。それが日本の公務員なり或いは他の
労働者
と……、まあ特に公務員ですが、比較にはなるかと思いいますけれ
ども
、出すという点については
基本
的に了解は付いておるかとお尋ねしましたのでありますが、それについては大体付いておると、こういうふうにお答えを頂いたように思うのですが、そう解してよろしうございますか。
福島愼太郎
28
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 退職金を払うべしということは異存ございません。現にその制度もあるわけでございます。
吉田法晴
29
○
吉田法晴
君 それから先ほどまあ現に
労働者
の総数は昨年末に十八万、十七万六、七千と、若干のあれはあるけれ
ども
、総数として我々が心配するような大きな減員は今のところないし、或いはここ暫らく考えられない、こういうまあお話でございましたが、先ほど申上げましたように希望退職というような形も含めて朝鮮停戦後各地で減員の企図があり、それを
転換
その他で如何に減そうかと、こういうことで苦心しておるということは、これは御存じだと思うのであります。末端で非常に苦労をその点はいたしております。なおこれは
労働
組合で、今後のこういう減員或いは退職とい
つた
ようなことに備えて組合自身で職業補導をや
つて
おる、こういうこともまあ御存じだと思います。
従つて
不安は現実にあるわけでございます。それが退職金
規定
を従来調達局によ
つて
まあ実現を期待して参りましたけれ
ども
、それが先ほど述べられたような実情でなかなか退職全問題については
見通し
がすぐには立ちかねる。こういうところに議院に特別
立法
をも請願すると、こういうことにな
つて
おる。これが現状だと思います。
従つて
これに対する
態度
をお伺いしたいわけでありますが、
一般
的なお答えしか頂きませんですが、退職金
規定
をこれは
議員立法
でいたすといたしましても、結局は調達局なり或いは
先方
の
アメリカ側
の
意向
等もこれはあ
つて
最後の結着を見ると思うのであります。それは調達局で案を立
つて
米軍
側と
折衝
してきめられるか、或いは最初の原案を議院が考えましようとも、行き驚くところは大体同じと思います。筋道を通します点は……。
従つて
それらの点についてはこれは早急に確立することが、減員を望むわけではございませんけれ
ども
、不安をなくして、現在の仕事に安心して働かせるゆえんだと、こう考える、そのことについてはこれはもう御異存はなかろうと思います。
従つて
或いは従来の
労務
部の中で管理
関係
についてやらせている担当官でなくて、別にお考え願うということも一つの
方法
であろうかと思うのであります。組合とそれから
折衝
を願いたいと思うのでありますが、その点について
国会
方面
の動きも勘案して具体的な御
意向
と申しますか、方針等を承わることができれば結構だと思います。
福島愼太郎
30
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) この退職金制度の問題はなかなかむずかしい問題ではあります。
国会
方面
で御心配灰いているということも
承知
しております。
国会
方面
で若し現行の退職金の例えば八割増というようなものを特別の退職金として支給すべしというようなことになりますると、そういう仮に法令ができるということになりますると、
調達庁長官
といたしましては当然これに従うわけでありますので、
労務
者には当然その退職金は渡ることになるわけであります。問題は
アメリカ側
から我々が金を返してもらうという構想のところへ出て来るわけであります。それがまあそういう場合に返してもらえるかどうかということになりますが、これは
先方
にうんと言わせませんと、
先方
の承認を得なければ……。でないと払うこと自体には異存はなくても簡単に
償還
してくれるかどうか。これは曾
つて
の講和発効時における切替の際の退職金と同じ問題になるわけであります。その増加しました
部分
だけが過去の問題と同じ取扱いにな
つて
、
あと
はおせおせに残るだろうと考える次第でありますが、いずれにいたしましても
国会
方面
の御成案が確実になるに従いまして、私
ども
アメリカ側
との
交渉
の度合いを強めて参りたいと考えております。 ただこの退職金の問題、むずかしい問題ではございますが、極めて率直に申上げますと、やはり日米間においてかなり本質的な根本に触れた話合がないとなかなか解決しない問題ではないか。現に希望退職制度と希望退職金というものがありまして、それの十割増の減員解雇に対する退職金制度というものがあるわけであります。これは普通の
企業
から言えばこれで大体当り前の制度は済んでいるではないかということであります。これに対しまして我々のほうの考えといたしましては、十八万人ぐらいの雇用
関係
が一遍にぱつとなくな
つて
しまう時期がないとも限らん雇用
関係
ではないか。そういう場合に普通の退職金を以て律することはできないのではないか。又日本の
一般
の
労働
関係
にも動揺を与えるのではないか。又駐留軍の如何なる
事業
といえ
ども
、これに従事する人は、辛抱すれば一生安泰に暮らせるとか、少しぐらい伸びて行こうということを頭に描いてや
つて
いる、これだけは二年か三年、長くて五年ぐらいでばつさりなくなるかも知れないということを考えてや
つて
いる職業ではないか。そういう意味で普通の退職の
関係
で律することはできないのじやないか、日本のみにあ
つて
アメリカにない
労働
問題、日本のみに十八万人ぐらいの
労働者
というものが、さつとアメリカ軍が帰
つて
しまうという問題を残してあるのじやないか。この原因はやはりアメリカ軍が日本にいるということにあるわけであります。そうい
つた
ような点から、やはり単なる退職金制度を問題とするのでなくて、もつとしつかりした切り込んだ日米間の話合いができませんとまともな解決は私はできないのじやないかというふうに考えておりますのです。併し微力を尽しまして、日本におりますアメリカ軍と私
ども
との間の
交渉
で何らか恰好を付けるまでにしたいと考えております。本当はもう一段上の問題であるような気もいたしているわけであります。
吉田法晴
31
○
吉田法晴
君 その
基本
的な点もございますのでそういうお尋ねをしたわけでありますが、それらの問題を含みまして、実情はお話のように総員が維持されている。或いはこれは暫らくこのままで参るだろうということではないようで、組合自体が、これは調達局であろうが或いは
労働省
であろうが
政府
でありますが、
政府
が考えるべきところを組合自体が職業補導までも考えているということにな
つて
参
つて
おりますので、その点について
基本
的な問題、或いは退職金制度、特別退職金制度を確立するためにもつと具体的に一つ
対策
を立てて頂きたい。或いは十八万人一遍にやられるときのことを考えるだけではなくて、実際にはこれは漸減だということになると思います。或いは今年二万、二個師団引揚げるとしても……。或るいは一個師は朝鮮から日本に移す、或いは日本自体は余り変らないということになるのかも知れません。今後の方針はこれはお互いに知
つて
いるところでありますので、その点についての不安なからしめると申しますか、或いは万遺憾なからしめるように一つ御
努力
を願いたいと思うのであります。これは要望であります。 それから先ほど大体
田畑
君から一
通り
聞くべきところは聞いてくれたように思うのでありますが、従来
基本
契約
の発効がないということでいろいろ問題が起
つて
おりました。或いは地労委の救済命令が拒否されるとか、或いは身上
調査
などが行われて保安解雇が行われるとか、或いは人員整理の事前通告も行われずになされる、こういうことが、言われて参りました。
部分
的発効によ
つて
そういう問題はなくなるはずだ、こういう御
答弁
もありましたようでありますが、実際にはなおいろいろあります。当
委員会
でも佐世保のガードの問題についてこれは阿
具根
君から取上げて
委員会
で論議をいたしまして、これは問題は片付いたようであります。或いは食堂その他、これは
基準
法施行問題になるかと思いますけれ
ども
、婦人或いはメード、個人の
使用
いたしておりまするメードが我々の論議の対象になるかどうかは別として、食堂等に働いております問題につきましては我々の問題であるということは間違いない。実際には依然として問題がなかなかなくならん。そこでこれは日本の国内
労働
の場合でもなくならんのでありますから、これはそういう意味においては仕方がございませんけれ
ども
、或いは保安解雇であるとか或いは整理について云々、或いは地労委の云々とい
つた
ような点については、これは
基本
契約
なり或いはその
部分
発効ということに関連はいたしますが、
部分
発効問題はなくな
つた
とお考えにな
つて
おりますか。それとも実際には君子あるけれ
ども
、これは
部分
発効後なくなるべきだ、こういう工合にお考えになりますか、その辺細かいことでありますけれ
ども
、お尋ねをしておきたい。
福島愼太郎
32
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 保安解雇の件につきましては
部分
発効をみたことは申上げた
通り
でありますが、この発効をみましても、何やかにや問題は、実を申上げると絶えないわけでございます。根本的には、例えば空軍のごときは、
部分
発効をいたしました
規定
を読みそこな
つて
誤解をしておるというような事態が最近
発生
しました。これを読直させるために大骨を折りまして、やつと
先方
も了解したというようなわけでありますが、空軍
関係
の扱いました保安解雇も多少ありましたが、これは一切、
手続
が間違
つて
お
つた
、これは真させることにな
つて
おる。陸軍
関係
につきましては元に遡
つて
の間違いはないのでありますが、このほうは間違いではなくて、本当に扱い者の素質が必ずしもよくなか
つた
ために若干悪質の保安解雇事件な
ども
ありましたり、又これが地労委その他の問題になりましたときに、陸軍のほうはとかくひねくれまして、最後まで、裁判まで持
つて
行
つて
争うという持
つて
行き方をする、ろくな資料も提供しないというために、中労委のほうでも負けるとい
つた
ような問題も起すとか、実際上には予定いたしました
部分
発効をいたしましたにもかかわらず、若干のトラブルがあることはもう確かにあるわけでございまして、御指摘の
通り
であろうと思います。併しながら起りましてその都度では泥縄のようで甚だ工合が悪いのでありますが、起りまして我々の品にとまりました以上はすべて定めました
通り
是正させているつもりでございます。又空軍の
関係
は一応
先方
も了解し示した。今後は起らないと思いまするし、事態は是正されて参ると思いますし、又具体的な事例についても間違
つた
ものは飽くまで直させるという考え方を変えずにや
つて
参りたいと考えております。
吉田法晴
33
○
吉田法晴
君 それに関連いたしまして、これは正規のものかどうかはわかりませんが、各地に、部隊があります現地に三者構成の
委員会
があるところもある、まあないところもある。こういう具体的な解決の方策と申しますか、これは恐らく通牒その他あなたのほうの
関係
には行
つて
いると思うのでありますが、この
部分
発効をいたしました
基本
契約
の
部分
について問題を解決する具体的な万策は、現地の合同
委員会
と申しますか、或いは三者
委員会
と申しますか、そういうものはこれは作
つて
、個々に問題が起
つた
場合に処理をする。或いは起らないようにするという
努力
をなされておりますかどうか、その点併せて伺いたいと思います。
福島愼太郎
34
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 現地で三者
協議
団体を、
協議
会を持
つて
や
つて
いるところが多少あるわけでありまして、これを奨励しているわけであります。軍の、その現地々々の担当者の考え方等もありまして、できてないところもあるわけでありますが、併し今日までの経験で大体間違いの起りやすい場・所には大体
協議
方式が徐々に確立しておると考えております。
吉田法晴
35
○
吉田法晴
君 これは奨励していると申しますか、或いはそういうのを推進しているというお話でありますから、それを更に推進されることを希望いたしまして、なお
基本
契約
に関連をいたしまして、今まで
駐留軍労務者
のみについてお話がございましたが、当
委員会
等でも特需
関係
の
労務
者等についても取扱
つて
参りましたが、その際も
基本
契約
との関連が結局問題になり、或いは
基本
契約
の人事
条項
が特需
契約
の人事
条項
にそのまま移る、こういうこと十で実際には
関係
があるわけであります。このほうについてはどうい工合にせられ、或いは片付けつつありますのか、それから事実問題といたしまして、国連
関係
についても先頃協定が結ばれましたが、国連
関係
についても、何と申しますか、同様に進んでおりますのか、或いは今までございました不円滑な点についてどういう工合に進められておりますのか、併せて承わりたいと思います。
福島愼太郎
36
○
政府委員
(
福島愼太郎
君) 特需
関係
の
労務
者につきましても、私自身は余りどうも明瞭でない
部分
が多いので甚だ恐縮でございますが、私の知
つて
おります限りでは、実は
調達庁
にもう一つ
契約
調停
委員会
というのがございまして、これが日本の業者と軍との間の
契約
上の紛争を調停するという合同
委員会
の一分科
委員会
になるわけでございますが、これが主として特需
労務
者の問題を処理する場合には、
契約
主であるところのその工場とアメリカ軍との間に
契約
が突如として打切られたとか、更新せられないとか、そういうのを根源にいたしまして、
労務
者のほうの待遇の問題も自然起
つて
来るわけでありますので、そのもとになります
契約
の紛争の調停とか、若しくは打切りました場合の場合の
補償
の
方法
とか、そういう
方面
に力を入れておるわけであります。最近
契約
調停
委員会
から成案を得まして、合同
委員会
の承認を得ました。そうい
つた
場合の損害の
補償
の
方法
その他で、その保護は自然
労働者
のほうにも及んで来るであろうというように考えております次第でございます。
契約
特需
関係
の
労働者
の直接の問題といたしましてはそれ以上私もちよつとお答え申上げかねます。そのもととなるべき業者と駐留軍との間の
契約
の保護については相当の向上を見たということは言えるのじやないかと考えております。国連軍
関係
の
労務
者も漸く国連協定の成立を見まして、現在のところでは七月一日を百標として間接雇用に切換えるということにいたしております。間接雇用に切換えますれば、当然
労働
条件としては旧来の直接雇用のときよりは現行のアメリカとの
基本協定
の線に従いました暫定協約が一応準備してありまして、これを調印いたしまして、
労働
条件としては安定することになります。給与の状況におきましては、国連軍の直接雇用をしている
関係
は、現在のアメリカ軍
関係
よりも若干下廻
つて
いると聞いております。取りあえず切換えに際しましてこれをどうすることもできませんので、切換えに際しまして下るということはない、これを先ず以て
補償
の第一条件といたしまして、切換えましてから逐次、少くとも現在のアメリカ
関係
の
労働者
の線にまで向上させて参りたい。又その後はアメリカ
関係
の
労務
者の
労働
条件の
改善
と相待ちまして、国連軍
関係
の
労務
者の
労働
条件も改是されて行く方角に持
つて
参りたいと考えている次第でございます。
有馬元治
37
○
説明員
(有馬元治君) 保安
条項
の改訂の問題でございますが、これは御
承知
の
通り
に、昨年の六月当
委員会
におきまして、役務
契約
の中の人事
条項
の問題としまして御指摘がありました。その後我々も
労務基本契約
の保安
条項
の
基準
と
手続
に準じまして、
労務基本契約
と同様な形と以てこの人事
条項
を改訂してもらいたいという申入れを米側にいたしまして、ずつと去年の八月以降、改訂
交渉
を進めているんでございますが、現在のところ、最終
段階
に至りまして、まだ最終的な
決定
までには実は至
つて
おらないのでございます。 で、極く最近の
交渉
経過
を申上げますと、先ほど福畠長官からお話がございました
通り
、二月の初句に
基本
契約
の中の保安
条項
につきまして
部分
発効を見ましたので、その機会に私
ども
といたしましても、
労務
委員会
を開催いたしまして、
先方
の
責任
者も来て頂きまして、日米双方のこの問題に関する討議を行な
つた
わけでございますが、大体
労務基本契約
の保安
条項
に準じた考え方で以てこの問題を律しようというところまで実は進んでいるのでございますが、ただ
手続
の点におきまして、
基本
契約
の場合と
一般
の役務
契約
の場合と若干異りますが、考え方の筋途は
基本
契約
並みという原則で議論しているんでございますが、その点で若干
先方
がまだ了解点に達していないというふうな現状でありまして、これは一昨日も外務省を通じまして、至急にこの人事
条項
の改訂について
結論
を出すべく
委員会
を持とうという申入れを
先方
にしているのでございます。で、今回、今年の七月一日の改訂時期には是非ともこの人事
条項
の改訂をいたしたいという目標で現在
交渉
を進めております。 なお申添えておきますが、現在の役務
契約
の中に含まれております人事
条項
は、御
承知
の
通り
非常に日本の役務業者、特需業者にとりましては非常な不利なような書き方にな
つて
おりますのですが、この保安
条項
の改訂問題が起りまして以来、現実には現行
契約
の下に起りました保安解雇におきましても、富士自動車の例のごとく、まあ非常に長い
期間
いろいろの
折衝
過程を経まして、現実には
基本
契約
で認められました保安
条項
の精神に則りまして、さほど従前のようなひどい一方的な保安解雇という事例はできるだけ是正しつつございますので、この点もお含みおき願いたいと思います。
吉田法晴
38
○
吉田法晴
君 この特需
関係
の
労務
条項
、特に保安解雇に関しまする人事
条項
、それから
基本
契約
に関連する、先ほど福島長官の
答弁
によると、
労働政策指令
の第二、従業員団体の基地内の活動、こういう問題はこれは直接繋がりがございます。それから私
ども
が富士自動車で会いましたミスター・ドーテイの言うところでも、
労務基本契約
と、それから
特需工場
の
労務
条項
と申しますか、これは直接
関係
があると、こういう点は明らかでございますので、当然二月に
部分
発効を見ますと、その
通り
にすでに直
つて
おるものだと実は考えてお
つたの
であります。なお最終
結論
に到達せず、七月一日からその線に
従つて
実施いたしたいと、こういうことでありますが、まあいたしたい方向は了承いたしますが、なお
協議
について最終に至らず、二、三問題があるかのような点、甚だ了解に苦しむのであります。どういう点が問題にな
つて
おりますのか、もう少し具体的に御
答弁
を頂きたい。
有馬元治
39
○
説明員
(有馬元治君) 保安解雇の
基準
につきましては、これは
基本
契約
の中にあります保安
条項
の三項目の
基準
と同じ
基準
を我々も持出しておりますし、
先方
もこれについては余り異存がないようでございます。ただこの
基準
に当てはめて保安解雇をいたします場合の
手続
の点につきまして、まだ
先方
との了解が最終的にできていない。その一番大きな問題は、
契約
当事者の間に保安解雇という問題につきまして
意見
の
一致
を見ない場合の
措置
をどうするかという点でございます。で、御
承知
のように
基本
契約
におきましては、下の
段階
から逐次上の
段階
に持
つて
行きまして、最終的に合同
委員会
に付託するというふうな
手続
規定
にな
つて
おりますが、この最終
段階
の事案を合同
委員会
に付託して、そこで最終的な
決定
をする、それに両当事者は従うというふうに我々も
手続
として持
つて
行きたいと考えまして、そういう案を出しておるのでございますが、この点につきまして、
先方
におきましては現行の日米
行政
協定の十八条の七項の合同
委員会
の
規定
の読み取り方響につきまして若干呉論がございまして、個々の最終的な
手続
段階
の点でまだ了解点に達していない、この点が一番大きな問題ではないかと、かように私は考えております。
吉田法晴
40
○
吉田法晴
君 それでは
問題点
、それから解決の方向は
基本
契約
及びこれに関連いたします
附属書
なり或いは
労働政策指令
の方向で片付けたい、こういう点は了承いたしますが、七月一日を目標にして云々ということでありますが、まあ七月一日までに、言い換えますと六月一ぱいまでかかるという点は、大変私
ども
、問題が問題だけに、
基本
契約
できめられた方向に従うんだ、こう言
つて
おいて、特需
関係
という、多少舞台が違うだけで話が違うんだという点は非常に理解に苦しむんで、御
努力
願うといたしまして、具体的に例えば冨士自動車の場合にその後保安解雇等が起
つて
、而もその
手続
が考えられておるような
手続
によらないで問題を起した、大変意外に私
ども
聞いて参
つて
おるのであります。それから或いは赤羽等におきまして、従業員の組合の基地内の活動問題について、その当時これは
参考人
なり、或いは
実情調査
等で知
つて
参
つたの
でありますが、大変理解しがたい実情であ
つた
と思うのであります。その後この点については
改善
せられて参りましたかどうか、ついでにお尋ねをいたしたいと思います。
有馬元治
41
○
説明員
(有馬元治君) 昨年赤羽の問題が起きましたときに、基地内における
労働
組合の活動の制約と言いますか、自由と言いますか、そういう問題が本
委員会
で問題にな
つたの
でございますが、あのときに
労働省
の
見解
といたしまして、
米軍
の基地内におきましても
労働
法の
適用
があるんだという
見解
をお述べいたしまして、ただ基地内におきましては、
米軍
の基地の特殊性から、他の民間産業の施設内における組合活動とは若干興りまして制約がある、これは止むを得ないというふうな
見解
をお述べしたかと思いますが、その若干の制約或いは基地の特殊性ということを前提にして考えますならば、あの当時いろいろ問題があ
つたの
でございますが、これも成る程度は是認されると言いますか、認めざるを得ないという
結論
に
労働省
といたしましてな
つて
おるのでございます。その後この基地内におきまして
労働
組合の活動の制約の問題が現実に起
つて
おるというような話は私まだ聞いておりませんので、具体的に現実に起きた場合におきましては具体的な問題といたしまして、我々も組合側の言分をよく聴取いたしました上で、渉外と言いますか、外務省等を通じまして
先方
とよく話合を付けたい、かように思
つて
おります。その後
一般
的な傾向として基地内の組合活動が非常に弾圧を受けておるというふうな印象は我々としては持
つて
おりません。
吉田法晴
42
○
吉田法晴
君 これは去年の事例ですけれ
ども
、富士自動車の中でも或いは許可をとる、或いは例えば食堂で云々とい
つた
ような、基地内の組合活動だという、若干の制限があることは我々も知
つて
おり、或いは幾らかの制限があるということはこれは認めるとしても、全然赤羽の場合にはなか
つた
。そういうところに問題があ
つた
わけであります。問題が提起されないということで、
労働省
はうまく行
つて
いるだろう、こういうお考えでありますが、これは認識が違
つて
おります。 そこで先ほど
労働政策指令
の第二の、何と申しますか、協定の
内容
については、長官からお話があ
つた
わけでありますが、基地内の活動については許可制、許可の制度の下にこれを許可する云々というお話がございましたが、その点については
労働政策指令
の推移と、これに
従つて
特需
契約
についても十分
労働
組合法なり何なりの行きますように一つ御
努力
を願いたい。この点については
労働省
は勉強が足らんと思う。一つその点を警告しておいて
質問
を終りたいと思いますが、なお長官も来ておられますからもう
質問
はやめて、一応希望を申述べておきますが、
一般
公務員については、これは人事院制度ができまして以来、最近に至
つて
或いは
部分
的には大変人事院活動の後退する部面もございますが、先ほど給与の問題について
附属書
の中で一、二の分について言われましたけれ
ども
、或いは給与準則が出るとか或いは恩給制度が出るとか、この面はやつぱり
一般
公務員について発展している部面です。アメリカ軍に使われておるということで、最初
一般
的な給与の水準は高か
つた
かも知れないけれ
ども
、特別職をやめて以後、そうした人事院に該当するような機関がないせいもございますが、これも
調達庁
がひとり担当をしてもら
つて
いると思うのでありますが、むしろどんどん後退をして参
つて
、そうして公務員なりこれに関連いたします或いは公社その他のあれからいたしますと、むしろどんどん悪くなる一方、或いは
附属書
に関連いたします給与の問題に関しましても、或いは退職金の問題についても、大きなギヤツプができつつあるというのが現状じやないかと思うのです。そこで
交渉
の仕方にしましても、向うの案を持
つて
これに批判を加え或いはこれを是正させる、こういうやり方のようでありますけれ
ども
、一歩進んで、これは
労働者
がどうあるべきか、或いは公務員がどうあるべきかという観点から一つ強い御
折衝
をお願いをしておきたいと思うのであります。時間がございませんので十分な
質疑
を尽すことができませんけれ
ども
、従来の誠意と
努力
とは認めますが、更に一層一つ御
努力
願いますようにお願いをしまして、
質疑
を終りたいと思います。
栗山良夫
43
○
委員長
(
栗山良夫
君) 本
会議
が開会されるようでありますから、本日はこれにて散会いたします。 午後四時三十二分散会