○
国務大臣(愛知揆一君) それでは私から
只今委員長からのお求めのございました点を概略御
説明申上げまして、なお御質問にお答えするようにいたしたいと思います。
只今も御指摘がございましたように、
石炭の問題は私
どもの理解しておりますところは、総合的な燃料
対策というところから出発しなければならない。又
対策もそこに一番の根本
対策がある。こういうように理解いたしております。併しながらそれと同時に現在の
石炭の
不況対策につきましては、特に
九州方面等においては非常に焦眉の急を要するものがございますから、平行的に対症療法としての
対策を具体的に進めなければならない、こういうように
考えましていろいろの手を打
つておるつもりでございます。
そこで先ず第一に総合燃料
対策の問題でございますが、これは今国会の最初のうちに、今年の一月頃かと思いますが、当
委員会におきましても概略御
説明したことがあると思いますが、三月の末にその当時
見通し得る
状況を基礎にいたしまして、先ず
石炭のいわゆる適正
出炭規模というものを確立しなければ総合燃料
対策の手は打てない。そこででき得れば四千八百万トンということに目標をおきまして、そうして
石炭の
合理化を図りたい。労使両方の協力を求めたい。その半面におきまして
重油の
消費の規制を
考えなければならないということで、
重油のほうにつきましてはその当時外貨予算の編成と相関連して大体五百三十七万
キロ・
リッター程度を以て
一つの基準にする。その範囲内と外貨の割当をやる。併しながらそのためには現在の
重油の
消費量に何らの規制を加えないで放置しておきますると六百七、八十万
キロ・
リッターに恐らくなるであろうと
予想せられましたので、たまたま両院において国際的に供給不足する物資についての法律を、その期限を一年延長して頂くことに両院の議がきまりましたので、その法律を基礎にして今年の十月以降において或る種の別途については
重油の
消費を規制する、これは法的基礎でございますが、これをやることにいたしまして予告をすでにいたしたわけでございます。それから外貨予算もその方針に
従つて上期は配当することにいたしたわけでございます。ところがその後御
承知のように
石炭につきまして
状況がその当時の
見込よりは更に悪化して参りました。そこで再びこの
重油との関連におきまして総合
対策について更に一段前進をしなければならないというような段階にな
つて参りました。
そこで御関心の深い問題と思います
重油の点について先ず申上げますると、これは外貨の割当をして、そうして
輸入業者から元売業者を通じて
消費市場に出るわけなんでありますが、今年の三月、四月頃の実情から申しますと、月にやはり五十万
キロ・
リッター近くのものが市場に出ております。
従つてこれから、この五月の下旬になりました
只今から
考えますると、その五百三十七万
キロ・
リッターという範囲内においても、毎月の割当ということからすれば
相当これを減して行かなければならないわけでありますから、その点も勘考いたしまして、大体今後におきましては月別にいたしまする原油の
国内の
消費市場に対する供給量は三十数万
キロ・
リッターという
程度にしなければならないと
考えております。
従つてその今後の毎月の三十数万
キロ・
リッターという点を延ばして一年間に計算してみれば四百万
キロ・
リッターにも及ばないという
程度に
消費を規制して行かなければならないだろうというように
考えまして、これらの点につきましては
需要者のほうの立場も十分考慮して参らなければなりませんが、主要
産業別に
重油の
消費を自制して頂きたい、各具体的な割当基準というものを現在鋭意業界の協力を得て検討し、且つ具体的に策定をいたしておるようなわけでございます。
で、これと照応して、又逆に今度は
石炭のほうに返りまして、私の
意見といたしましては、将来長きに亘る日本
経済自立の根幹としての
石炭の適正
出炭規模はどうしても四千八百万トンというこの線を私は落したくない。ここに将来の
石炭対策の根幹があるものと私は信ずるのであります。併しながら二十九年度について申上げますると、率直に申しまして、この数量は或る
程度調整を要すると
考えております。で、今申しましたように、一面において
重油の
消費規制についても、これは御
承知のように、過去において
政府におきましても
重油転換策をと
つたというようなこと、或いは業界がそれに協力して
重油を使う設備をわざわざ作
つたということ、或いは価格における差というようなこと、いろいろとむずかしい問題もございますが、大体今申しましたような線で協力を求めざるを得ない、こう思いますので、非常に困難な仕事でありますが、これを具体的に推進したいと
考えております。
で、翻
つて、そういうような
状況でございますから、
石炭の
関係の各位に対しましても四千八百万トンということは二十九年度においてはちよつと無理であろう、若干のこれは調整を加えて行かなければならんということについて理解をお願いしたいというふうに
考えておるわけでございますが、これは
只今申しましたように、
重油のほうの各
産業別の
消費の割当と申しますか、これの具体的数量等が最終的に
見通しがまだついておりません。いろいろ業界その他からの
意見を求めて毎日作業いたしておりますのでありますが、これが大体きまり次第、これはそんなに長い日数を要さないと思いますが、この一方においての二十九年度の四千八百万トンをどの
程度調整して行くかということをきめたいというふうに
考えておるわけであります。全体の燃料
対策につきましては、概略以上申上げましたようなことが率直に申しまして今日までの我々のとりました態度並びに
考え方であります。
それからいま
一つは、先ほど申述べました
通り北
九州、西
九州、
山口方面、その他の
地方における
石炭の
不況の
状況につきましては、
只今お示しがございましたように
賃金の不
払状況も
相当なものでございます。それから公租公課の滞納も数億円に上
つております。電気料金の不払も数億円以上に上
つております。それから各種保険の掛金等の不払も
相当の額に上
つております。それから
地方公共団体等においてはこの税収等の
関係から
地方行政の執行についても
相当な暗影を役じておる。それから社会問題として小学校の児童等の昼弁当を持
つて行かないというようなことも常識になりつつあるというような
状況等、これらは事態が非常に楽観を許さないというよりも非常に窮迫しておるように思いましたので、先般来
石炭局長を現地に派遣いたしましてつぶさに
調査をして参りました。その結果或いはそれに基く所見等につきましては、すでに
石炭局長からもお聞き取り願
つたことと思います。
これを要約いたしますと、先ほど
委員長から
お話がございましたが、
通産省のみを以てしてもこの
対策は全きを期し得ない。
政府の各部門或いはその他の部門に
関係のある点が非常に多いのでありますが、概略を申上げますと、先ず第一に優良な経営体であり
企業であ
つて、而も融資に事欠いておるようなものにつきましては、どうしてもこれは融資を促進しなければならない。で特に
地方的には
金融機関等に対する資金源を補給してやる必要がありますので、そういう面につきましては大蔵省と密接に協力をいたしております。速日事務当局間においても話合いを進めておりますし、又私
どもも大蔵大臣その他最高の責任の方々に対して
現状を訴えて
対策を求めておるような
状況であります。
それから
金融の問題につきましては、できれば
整理資金とか貯炭
金融とかというような要果も熾烈でございます。貯炭
金融のごときは現在の
金融対策の問題としてはなかなか取上げにくい性格の問題でありますが、併しケース・バイ・ケースに各業態の実情や
金融機関との
関係、或いは
石炭の売捌き先等の協力等によりまして、できることは進めて参りたい。
それから同じく大蔵省の
関係では、国税庁の
関係でございますが、これは業界に対しまして税の分割払又は延納ということを考慮してもらわなければならないと
考えております。又
労働省に対しましては、労災保険料の分割払、延納とい
つたようなことも要望事項の
一つにな
つておるわけでございますが、それから農林省の
関係で食糧庁、食糧管理等でございますが、米穀の配給、販売等についての考慮を
要請するということも
一つの題目に相成
つております。それからやや根本的
対策と
現実の焦肩の急を要する
対策との中間に位するものかと思いますが、建設省に対しましては特に公共土木費の優先配付をお願いしつつあるわけでございまして、同時にやはり
金融の
関係として日本銀行に対しましては資金引揚げの緩和、これは御
承知の預託金等が
地方銀行その他に入
つておるのが他の
金融機関と同列において引揚げをやらなければならないわけでございますが、特に資金源を殖やしてもらうために、引揚げを緩和するということを具体的に
要請し話合いが進んでおります。
それからその他の
対策としては、国鉄に対する
関係でございます。これはできるだけ速かに適正な炭価を決定してもらうということが第一のお願いにな
つておるわけであります。それから電力会社に対しましても
石炭の買取量の
増加を依願しなければならんわけでございまして、これは
通産省の内部におきましても、電力会社の
関係でございますから、いろいろと話を進めております。それから一般的に売掛金が
相当溜
つております。これを
回収するということにつきましても
関係方面の協力を得なければならない。いろいろ細かいことが非常にたくさんあるのでありますけれ
ども、かいつまんで申上げますると、以上のような各分野に亘りまする
対策につきましては、先般来できるだけの努力を払
つておるわけでございます。なお今日も現地の通産
局長も来ておるのでございまして、現地側のほうとの
政府部内としての話合いも推進に努めておるような次第でございます。
概略以上申上げましたものが今日の実情でございます。