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1954-05-20 第19回国会 参議院 労働委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十日(木曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君    委員            吉野 信次君            阿具根 登君            吉田 法晴君            寺本 広作君            市川 房枝君   国務大臣    通商産業大臣  愛知 揆一君    労 働 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    通商産業省石炭    局長      佐久  洋君    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  實君    労働省労働基準    局長      亀井  光君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (石炭産業における労働問題に関す  る件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開きます。  公報でお知らせいたしました通りけい肺法案並びに労働情勢一般に関する調査の件を議題といたします。  けい肺法案の審査は後刻に譲りまして、先ず労働情勢一般に関する調査を行いたいと思います。  前委員会において問題となりました石炭産業における労働問題等に関しまして、労働省資料の提出を求め、且つその対策についての説明を要求いたしておりまするので、先ず労働省側から委員会要請に基く発言を求めたいと思います。
  3. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先般の委員会におきまして、最近におきまする石炭企業不振並びにその結果としての失業の問題について種々御質疑があり、資料を提出するようにということでございまするので、ここに一括いたしまして、お手許に差上げたものについて主管局長より御説明を申上げることにしたいと思います。
  4. 江下孝

    政府委員江下孝君) お手許に差上げてあります資料の「石炭産業整理による失業発生とその対策について」というのがございますが、これを若干補足して説明いたしたいと思います。  石炭産業では昨年御承知通り大手筋中心といたしました企業合理化が大幅に行われまして、相当数労務者が減つたわけでございますが、更に最近におきましては、需要減と申しますよりは、石炭に代ります重油或いは電化等影響が強くなりましたために、主として中小炭鉱に圧迫を加え、この面から相当労務情勢が悪化しつつある傾向が見られるわけでございます。(ロ)に書いてございますような、二十四年、三十八万七十九百とありました労務者の数が、二十八年の一月には三十六万、ずつと減りまして、二十九年の一月には三十二万で、ここで一応大手筋企業整備は済んだわけでございますから、その後におきまして、二、三、四で、主として中小炭鉱中心といたしまする企業整備によりまして、若干労務者が減つてつておるわけでございます。  なお、これを労働省調査によります石炭鉱業失業保険初回受給名数、それから、企業整備状況推移という点から見ましたのが二ページにあります表でございます。これによりますと、先ず失業保険初回受給者でございますが、おおむね平時におきましては石炭産業は三十から四千程度自然減耗があつたのでございますが、二十八年は三月、四月頃から企業整備が始りましたためにずつと殖えまして、一応十一月頃で済んだわけでございますが、今年の三月には六十六百というふうに多少平時より殖えております。これは先ほど申しました事情によるものと存じております。企業整備状況は、二十八年の一日から三月はこの程度でございましたが、最近は零細中小企業が非常に体廃止するものが殖えておりまして、その情勢がここではつきり出ておるわけでございます。  次の(ハ)に一人当り出炭能率を書いてございますが、通産省の統計によりまして一応こういうふうに上つておるということを書いておるのでございます。  出炭実績も、昭和二十七年度が四十三百七十五万トン、二十八年度は整理が行われたにもかかわりませず、四千三百五十四万トンとおおむね同程度能率が上つておるということが言えると思います。次に石炭需要がだんだん減少して来ておるということでございますが、需要を見ますと、二十七年は四千三百三十九万トン、二十八年は四千四百六十三万トンと若干の増加は見せておりますけれども、本年の二月には三百三十七万トン、二十八年の平均に比べましても相当需要が下廻つておる。従いまして貯炭も本来二百万トン前後のものがずつと殖えまして、四月末には三百一万トンということになつております。  次の表に掲げておりますのは、いわゆる休廃止鉱山、二十八年四月から三月までの状況でございますが、総数にしまして百八十九となつております。それに従事しております労務者は九千六百五十一名、ただ内容を見ますと、生産実績は月に十万トン、一鉱山当り月産五百六十三トンという比較的小さいものでございまして、平均五十人程度企業が整備されておるということが言えると思います。ただこれの整理されました者が全部必ずしも失業者というわけには参らんのでありまして、帰農その他に転化するということも考えられるということでございます。現在中小炭鉱労務者数は十一万程度、今後これはどういうふうになりますか、それは結局石炭需給動向如何によつて決定するというふうに私ども考えておるわけであります。通産省あたり中心になりまして、重油消費調整措置等考えられておるようであります。労働省といたしましてはこれに対しましてどうするかということでございます。ここで昨年の大手筋炭鉱整理の際に特に石炭労務者に対する失業対策というものにつきましては強力な措置地方にも指示いたしまして推進をして来ましたので、現在それによつてつているわけじございますが、併し今後の見通しからしまして、休廃止もこの程度では納まらないだろうという予想の下に、更に私どもとしましてはこの対策を強化して参りたい。  そこで後ほどこれはお話があると思いますけれども職業安定所のみならず労政局基準局とタイアップいたしまして、中央、地方石炭労務その他企業整備産業等に対しまする強力な労務対策機関を設置いたしまして、そうしてそこで金融の問題、失業対策の問題、配置転換問題等を協議して適策事業というものへの吸収もその際には問題になつて来るというふうに私ども考えておる次第であります。  これを以ちまして一応説明を終ります。
  5. 亀井光

    政府委員亀井光君) 最近の炭鉱における賃金払状況につきまして御説明をいたします。  本年の一月から三月まで主要炭鉱県であります北海道福島、茨城、山口福岡佐賀長崎の七県におきまして、労働基準局を通じて把握しました状況は、件数におきまして八十七件、金額にしまして約一億、当月中に支払わせました金願は三千七百万円という数字になつております。四月につきましては次のページの三に書いてございますが、山口佐賀長崎、この三県につきましては速報が参つておりますが、そのほかの県につきましてはまだ手許資料が届いておりませんが、この三県の状況だけを見ましても、四月末におきましては不払件数が五十四件、金額は一億五千万円というふうに上つておるのでございまして、四月には相当賃金の不払額が殖えるのではないかという予想が付くのでございます。一月から三月までのこれらの賃金不払の原因を或いは規模を見てみますと、八十七件のうちで経営不振に原因するものが三十一件、売掛金の回収難によりまするものが二十件、金融難によりますものが十七件、販売の不振が十一件というふうなものが主な原因でございまして、産業界一般不況或いは金融引締め等の影響がここに現われて来ておるものと考えられるのであります。規模別に見ますと、労働者百人以上の大事業場が二十三件、労働者百人未満十人以上の中事業場が四十五件、それから十人未満の小事業場が十九件というところで、中の規模炭鉱におきまして一月から三月まで賃金不払の大きな件数を示しておるのでございます。  一般的な状況につきましては第二表に掲げてございます。各月の新規の発生分を見ますと、一月から三月まで、件数としましてはそれほどの殖え方はいたしておりませんが、金額におきましては一月の三億、二月の三億六千万円、三月の五億五千万円というふうに金額相当増加をいたしております。このことは大規模事業場に不払が出て来ておることを示すものではないかというふうに考えられるのでございます。又解決いたしました金額も、例年の実績から見ますと、成績が挙つていないのでございますが、これも問題のむずかしさをここに示しておるのではないかという気がいたしております。第二表の2は、昭和二十四年三月以来の累計を掲げてございます。一月末で累計として不払金額は五億一千万円でございましたのが、二月では六億二千万円、三月では七億九千万円というふうに金額も殖えて参つておりますことは、先ほど申上げましたいろいろな原因がここにあるのではなかろうかという気がいたすのであります。以上。
  6. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 四月の件数はわからないわけですか。
  7. 亀井光

    政府委員亀井光君) それはまだわかりません。そこで炭鉱だけ、山口佐賀長崎と参つておりますが、大体一カ月ぐらい遅れて参ります。
  8. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それから一の表と、第二表との数字が違うのは……。
  9. 亀井光

    政府委員亀井光君) 一は炭鉱だけ、山口佐賀長崎の三原の数字でございます。二表は炭鉱を含めまして全国賃金払状況の表でございます。
  10. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 全国産業ですね。
  11. 亀井光

    政府委員亀井光君) そうです。全国産業でございます。
  12. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと三月を見ますと不払の金額が三千三百六十三万四千七百五十九円とこうなつておりますね。件数二十六件で、第二表を見ますと、三月の不払金額というのは、新増加払額から解決金額を差引いたものになるわけですね。それが大体一億七千万円になりますね。そうしますと、石炭企業の不払の全産業に対する比率は相当高いということが言えますね。
  13. 亀井光

    政府委員亀井光君) そういうことがあります。
  14. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 全労働者数から言うと相当高いことになりますね。
  15. 亀井光

    政府委員亀井光君) そうです。
  16. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連して伺いますが、炭鉱賃金払状況を、四月末現在で三県で一億五千万円、一億六千万ばかりですが、これは新らしいのか累計かはつきりいたしませんが、累計ですか。
  17. 亀井光

    政府委員亀井光君) 累計でございます。
  18. 吉田法晴

    吉田法晴君 それから中小炭鉱従業員十一万と大体推計されている、九州だけで未払が六十億とまあ言われておる、これは今月の初め頃の新聞記者調査です。これは勿論賃金だけでなくてほかのものを含めたものですが、恐らくこの六十億と言われる中でも中小炭鉱がその大部分の四十億ぐらい、そうすると一億といいますとこれは大分……。もつと多い数字予想されるのですが、北海道も入つておりませんからその違いもありましようが、この前私が質問したあれからいいますと、金券を渡しておる、その金券も本当は不払金額に入るのだと思いますが、それはこの中に入つておるのですか、それともそれは別だとして計算されておるのでしようか、その辺はどうですか。
  19. 亀井光

    政府委員亀井光君) 金券の問題は只今調査をしておりまして、その件数がどの程度になりますか、或いは金額にしましてどの程度になりますか、まだ正確につかんでおりません。この中には金券は入つていない数字でございまして、現金の未払額数字でございます。
  20. 吉田法晴

    吉田法晴君 現金で払わないで金券で払つておれば、現金としては不払金額に入るはずなのです。ところが数字を見るとそうじやないような気がする。例えば仮に九州での中小未払四十億として、その何%ずつになるかは推算できませんけれども、半分近いものが賃金関係になるのじやないかという予想もできるのですが、電力さえとめるというのですから、資材、電気代賃金などを含めまして、仮に六十億に近い数字だとすれば、一億やそこらの賃金払額でないということだけは言えると思うのです。それが十億でありますか、二十億であるかということはまあ問題としても、相当一億の数字……九州だけの未払額を六十億としますと、その間にはもつと隠された大きな数字がある、この表に出て来ないものがある。それが金券でありますか、或いは時間的なずれであるか、時間的なずれを見ても、四月末で一億幾らというのです。そして新聞数字は五月の初めですからそう大した差もありません。そこでどういう工合にしてその差が出て来たのだろうと考えられるのですが、一応この調査でいうと、金券で払つたものは一応払つたものだと、こうなつておると解釈してよろしうございますか。
  21. 亀井光

    政府委員亀井光君) そうでございます。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ資料を頂いておるのですが、今吉田委員言つたように、もつと資料以外にも相当件数があると私たちは思うのです。失業者のほうを見ますと、昨年の十一月以降随分落着いて来たのが、三月以降又ぐつと殖えて来ておる。又基準局長お話を聞けば、炭鉱の三県だけでも一億五千万からの不払賃金が出ておる。その解決がうまく行つておらないところに非常にこのたびのむずかしさがあるのだ、こういうことを言つておられるのですが、この前私たちが質問しましたのも、そういうむずかしい中にあつて労働省としてはどういう対策を持つておられるかということをお聞きしたわけなんです。それで当然これに連なつて労働省としてはどういう対策を立てておるのだという資料がここに出て来るはずだと思つてつたのですが、それに対してどういうふうに労働大臣はあのとき御解釈になつたのか。資料をもつて揃えるということで楽しみにしておつたのですが、ただこれは実態の報告、それも私たちが感じておるよりも少なめの報告のように、新聞等で比較してみて考えるわけですが、その報告だけであつて、それではこうなつておるからどうするのだという対策は何も労働省としては資料を出しておられない。これについて労働大臣にお尋ねいたしたいと思うのですが……。
  23. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先般も申上げましたように、やはり石炭企業そのもの国内に持つ比重は非常に大きいのでありますが、これを何とかせにやならんという国の要請と、それから国の経済を正常に引戻して、物価を安定させ、輸出を振興して、国際的に日本の経済を信用あるものとし、安定せしめるという要請と、この要請の二つの間にあるずれをどうして調整するかという問題であります。これはやはり産業全般政策から見てどうするか。石炭自体にして言えば、外炭輸入をどう見て行くのか、或いは重油輸入をどう見て行くのか、或いは国内の一年間の石炭需要見込をどう見るかということであつて、これは私も意見を述べ、通産大臣ともいろいろお話をいたしますけれども、決定する主務省というのは通産省でありますので、これはよく御協議してみるということを申上げたのでありますが、一方こういう状態がなぜ顕著に出ているかと申しますと、これは非常に政府均衡予算ということは実はこれから始まるのであります。金融引締というほうが先に来ておる。日銀を中心とするところの金融政策というものの現われ方が、政府健全予算の執行ということよりも早く来ておる結果、四月になつてこ状況が急に現われて来た、こういうことであろうと思います。  そこでこの金融政策を全体の産業政策とマッチさせるにはどうすればいいかということで、これはその関係当局とも又話をする、こういうふうに申上げておつたわけであります。労働省といたしてみますと、そういうことを関係各省にいろいろ掛合うことはいたしますが、そのほかにやはり失業保険関係或いは失業対策費関係、結局この点について遺憾なからしむるということが私どもとして直接にすべきことである。或いは又これは昨年末に初めて実行してみて相当に喜んで頂いだことでありますが、労働金庫というものがあつて、この活用もできるだけ考えてみたいと思います。併しこれもなかなか金融でございまするからそう無制限に金を貸すということも、回収見込のないものに対しての金融は非常に困難を伴う、その限度をどう調整するかという問題がありまして、これらにつきましてよく検討してみたいということを申上げたわけであります。  今日すぐ対策ということになりますと、まだそれではこうするのだということを今申上げたような諸関係で簡単にお答えができないのでありまして、私ども今日申上げまするのは、この資料を御提出申上げることと同時に失業推移というものについて私ども現在持つていることを申上げる、こういうことになろうかと思うのでございますが、そこで失業推移対策というものについて、これもお手許資料を差上げてございまするが、これを一つ御検討願いたいと思います。
  24. 阿具根登

    ○阿具根登君 私はこの資料を検討するということでなくて、これは数字に現われた労働省で取られた数字でありますけれども、これ以上にもつと出ておつて現実はもつと深刻だ、もつと苦しんでおるのだということをこの前率直に申上げたはずなのです、それに対して労働大臣も納得されて、何らかの対策を立てなければできない。例えば労働金庫にも出す金は出さなければできない。併し相手金融機関で、相手が自分の所管でないから、ここで幾らということは答えられないという話であつたわけです。労働大臣の御説明もわかるのですが、国務大臣として今度の緊縮政策或いは産業政策にタッチされておるならば、こういう事態が起らないように相当な御意見も出されたということも聞いているのです。ところがそれだけでやりつ放しでは、生れた子は誰が処理するかという結果になつてしまうのであつて、その場合にでも、結局そういう政策を立てられたならば、こういうしわ寄せが炭鉱労働者に寄つてしまつて、それでこういう不況になるのだということは当然そのときお考えになつておると思うのです。二十六、二十七、二十八年の重油輸入状態から見表しても、国内需要炭状況から見ましても、国内生産炭状況から見ましても、当然かかる状態が来るということはすでに御承知であつたと思うのです。そうなれば今度はそのしわ寄せされた労働者をどうすべきかということは当然考えておらねばできない。そうでなかつたなれば、この政府政策のために炭鉱労働者は餓死してもしようがないのだと、こういうような、強い者は生きて行け弱い者は死んで行けというような、池田さんが言つたよう中小商工業の一、二倒れるのは止むを得ないじやないかというような、やりつ放しの政策じやないかとしか我々には思えない。  それでこの前申しましたように、こういう実情の現実を今どうするかという問題では、これは労働金庫でも使つて、そうして出せる金は出してもらいたい、こういうところで労働大臣にも御賛成願つたと思うのです。今まで僅か二日か三日しかたつておりませんので、その金額まで出なかつたかもわかりませんけれども、これだけの賃金の遅配、欠配があり、又炭鉱休廃止が続出している今日、何らかの手をもう考えておいでになるはずと思うのですが、それでどういうように考えておられるか、その点を率直にお聞きしておるわけなのです。
  25. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お気持はよくわかるのであります。そこで今申上げましたように、主務省ともいろいろと話をいたしておりまするのでございますが、実は一昨日の調査でございますので、そう的確なことを申上げる段取りになりませんのは遺憾に存じております。まあ御参考までに申上げますと、大体輸入重油抑制でございまするが、これは二十六年に入れました重油が、石炭に換算いたしまして百二十五万一千トンでございます。それから二十七年に入れましたものが、やはり石炭に換算いたしまして三百二十九万八千トン、二十八年度のものが六百九十六万四千トン、こうなつております。  で、これを石炭のほうで国内消費が、これは二十八年度は四千三百万トンでございますが、二十九年度として四千五百万トンという消費見通しが立てられておりますようでありますが、全体として考えて、これは非常に産業緊縮政策によりまして、輸出が非常に伸びて行けば別でありますが、それまでの期間に約二百万トンの石炭需要というものを殖やし得るかどうかというところにも一つの問題はあるでありまして、又重油が六百九十六万四千トンという二十八年度の数量をそのままに押えておりまする計画が少し無理じやないかということで、こういう点については通産省側にも再考を求めておるのであります。  ただ一部には意見がございまして、そういう労働政策側意見もわかるけれど、重油を使うということによつて、非常に使いいいものでありますから物価が下りつつあるという面も否定できないと思います。それを抑えて、再転換をさせて、非常に高いコストを呼ぶということが一体政策上いいかどうか、こういう議論もあるのでありまして、私どもはそういう点は合理化によつてそうした物価高を呼ばんような方策を考えて、とにかく国内産のものを使うという方針でやつてもらいたい、こういうことを考えておりますが、まだ決定の段階には至つておりません。
  26. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 今のお話の中の二十八年度の六百九十六万トン換算というのは、実際の輸入キロ・リットルでございますか。
  27. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) キロリッター、全部でございますと五百三十七万キロリッターでございます。それを石炭部門使つたのが三百四十八万キロリッターそれを石炭に換算いたしますと六百九十六万トンでございます。
  28. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうするとその差額だけは自動車とかそういうものに使われたという意味ですか。
  29. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういうことです。
  30. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これは実際は五百三十七万よりもつと多いのじやありませんか、七百五十万ぐらいじやありませんか、輸入量の総額は……。それはあとで通産省の方に伺うといたしまして……。それで只今具根君からも質問が出ておりましたが、今日の目的は、現状を聞くというよりも、現状をお聞きして、更にそれに対する総合的な対策考えたいということであつたわけでありまして、労働大臣お話によりますと、対策をまだ通産省等と打合せをする時間的な余裕がなかつた、こういうお話のように私は承わるのでございます。いずれ間もなく通産大臣にこの席へ来て頂いて、通産省としてのお考えを伺うことになつております。それを伺いましてから、労働省のほうへ当委員会がお願いをいたしました点で欠けている点についてもう少し勉強を願つて対策をお考え願いたい、こういう考えでございます。  その中で、今お出しになつ基準局の表について一つだけお尋つをしておきたいのは、第二表には全国産業状況が載つていると伺つたのですが、従つて第二表の中には第一表の石炭関係で抜けている北海道福島福岡も入つているわけでございますか。
  31. 亀井光

    政府委員亀井光君) それは四月の分はまだ来ていないのでございます。四月分としてまとまつたの山口佐賀長崎しか来ておりません。
  32. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) いやいや、私のお尋ねするのは、第二表の中に北海道福島福岡は入つておるかということでございます。
  33. 亀井光

    政府委員亀井光君) 三月分までは勿論入つております。
  34. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 三月までしか入つていないのですか。
  35. 亀井光

    政府委員亀井光君) 三月までは入つております。四月分につきましては、先ほど申しましたように川口、佐賀長崎しか速報が入つておりません。
  36. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうすると第二表に対照して石炭だけを全部見られるものはこの一ページの不払金額、その合計ということでございますか。
  37. 亀井光

    政府委員亀井光君) そうでございます。
  38. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうしますと北海道福岡を抜いたのではこれは意味がないので、何とか一つ概略の数字でもいいですから、次回までにお届けを願えないでしようか。私今見まして余りにパーセンテージが大きいので、二表と第一ページの比率を取つてみました。而も四月になつて第一表がぐつと殖えているということがあれば、なお更大変なことだろうと思います。
  39. 亀井光

    政府委員亀井光君) 只今電報でまだ速報が来ていないところを催促いたしております。近く参ると思います。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 そこでこういう四月の分についても大宗であります福岡北海道がなくて、実態がよくつかめないままに対策を立てようと言つたつて対策は立たんだろうと思います。そこで通産省石炭局長も来ておられるようですから、賃金の未払状況がどうであるかということはおわかりになつておらんかも知れんと思うのですが、全国炭鉱の未払状況、その中で資材或いは電力量或いは賃金という点については大まかな数字はお持ちだろうと思いますが、傾向を見ます点から言つても、わかつておるだけ一つお教えを願いたいと思います。
  41. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 電力料金が総額を申しますと、これは中小炭鉱という部類に属するものだけの調査でありますが、電力料については、三月末では一億、それから失業保険料、労災保険料、健康保険料、厚生年金、そういうものの滞納が六億八千万円、それから租税公課でありますが、これは法人税、所得税、鉱区税、鉱山税、固定資産税、市町村民税・源泉所得税、こういうものを全部入れまして四億二千七百万円、それから労賃の関係は、これははつきりしたところが実は労働省と同じようでつかめないのでありますが、これはいずれ調査の上ではつきりさせたいと思つております。それから資材代、木材代とか金属代、工具、機具、機械代、請負工事代、その他こういうものを入れまして二十九億ほどになります。この間私が九州へ行きましたときには、九州だけで五十六億の未払になつておると、こう言つておりましたが、只今申上げたのは中小、つまり大手を除いたものだけの数字ですが、この間九州へ行つて聞きました五十六億というのは大手も含めてのものだという話であります。併し調査の時期が少し違つていますので、それを差引いた数字だけが大手の未払ということにはならんと思います。
  42. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと今の中小全国でしようが、その総計は労賃等を含んでも幾らかということはわかりませんか。中小の総計、電力とか保険金だとか、そういうような項目別に言われましたが、その総計は……。
  43. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 総計は五十億ぐらいになりますね。
  44. 吉田法晴

    吉田法晴君 五十六億ですか。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 今、局長の言われたのは、どこから数字をとられておるのかわからないのですが、四月の二十一日に、これもあなたのところから出た資料だと思うのですが、中小炭鉱を百八十九企業、三百四十五炭鉱調査の結果、電力料金二億四千七百万円、保険料六億九千百万円、税金九億四千四百万円、賃金五億二千七百万円、資材代金四十億円、鉱業共託金三千百万円、その他合計六十四億四千万円というのが四月二十一日の日に発表になつております。その数字と随分違うようですが、これはあなたのところの発表じやないのですか。
  46. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) それは新聞ですか。
  47. 阿具根登

    ○阿具根登君 新聞です。あなたが何か局長を集めて会議をやられたときのやつについてですよ。
  48. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) それは中小だけではないのでしよう。
  49. 阿具根登

    ○阿具根登君 中小だけです。ちやんと中小炭鉱の三百四十五炭鉱調査した結果だとはつきり注釈が入つておりますよ。相当開きがあるようですがね。
  50. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) それは恐らく石炭部長会議をやつたときは、大手も含めての調査しか持つて来てないですからね。
  51. 阿具根登

    ○阿具根登君 併しちやんと中小炭鉱百八十九企業、三百三十五炭鉱調査の結果と註釈まで入つておるし数字もはつきり出ておる。それで合計が六十四億四千万円と……。
  52. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) それは大手も含めてです。その中から中小だけを摘出したのが今申上げた数字なんです。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 それではこれは間違つておるということになるのですね。あのときのものですが、三月末現在の各種未払金、括弧して中小炭鉱云々とちやんと大手は引抜いたということがはつきりしてある。
  54. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) それは石炭部長会議のときの資料の発表であれば大手も入つておる、それは明らかです。
  55. 阿具根登

    ○阿具根登君 私たち調査機関持たんからわからんですが……。
  56. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると数が違いますが、今阿具根君が挙げた数字が六十四億、私がもらつた数字は五十二億、その中で五億の労賃支払分を含む、これは中小炭鉱滞納未払状況というのですが、これも大手を含んでいるのですか。
  57. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) いや、それは中小だけです。
  58. 吉田法晴

    吉田法晴君 中小だけですか。そうすると六十四億と五十二億という違いはありますけれども、大体似たようなものですか。
  59. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 大手も入れればですね。
  60. 吉田法晴

    吉田法晴君 差額が、これによると調べた日にちが違いますが、四月末か或いは三月末現在で一カ月のずれがありますが、その一カ月の差を無視しても、一億幾らというのは大手になる……、大手の滞納はもつと殖えているでしよう。そうすると五十二億という数字の四月末現在というのは中小炭鉱の滞納金額だと見てよろしうございますね。
  61. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 大体そうだと思います。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 これによりますと労賃の支払遅延が五億五千五百四十三万円とちやんと出ております。四月の末に石炭局では……。これはあなたのほうで電報で各基準局へお問合せになつたのですが、標準賃金調査ばかりやつておられて、直ぐに正確な資料が出て来るのもいつになるかわからんと思うのです。ちやんとそれがこの中に出ているのですから、四月末なら四月末で、今、申上げましたような中小炭鉱賃金払額というのは出ているのだから、その上に立つて急速に案を出してもらいたいと思うのですが、それでちよつとお聞きいたしますが、賃金支払遅延額というものが、四月末で中小炭鉱だけで五億五千五百万円、それから金券の問題を先ほどちよつと出しておつたのですが、これはどういうことになりましようか。この中に入るのですか、別になりますか。
  63. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 私もちよつとそこまで調査しておりませんが、恐らく全券は別じやないかと思います。
  64. 吉田法晴

    吉田法晴君 私どもの聞いたところでは明らかになりませんけれども、恐らく金券使つておらんのは、中小炭鉱の中で殆んどあるまいと言われておるところから見まして、金券による支払額も、厳密に言えば賃金の支払遅延になると思うのです。それが五億や十億ではないと思う。ですから五億五千万円というものを一応全国中小炭鉱現金による不払額だといたしましても、金券を含めますと、恐らく二十億を越すだろうということだけは現在の調査なり或いは目の子算用で大体できるだろうと思います。基準局長は頭をひねりなさいますが、それなら別に数字を出して下さい。
  65. 亀井光

    政府委員亀井光君) 金券につきましては、先ほど申上げましたように今調査しておりますが、正確な数字はまだ把握しておりません。ただ従来具体的に情報として報告が参りましたものを見ますと、一〇%から二〇%金券で出しておるという実例で、今まで情報として得ましたものはそういう割合になつております。ただ総数でどのくらいありますかはもう少しちよつと……。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 ちよつとそれるのですが、その点局長に伺つておきたいのですが、大体五億幾らという四月末までの炭鉱の不払賃金があるとして、そのほかに金券で支払うところがおよそどの程度あろうかということを、今一〇%、二〇%という基準局長お話がありましたから、あなたの聞いておられるところを参考に伺つておきたいと思います。
  67. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 全体を平均して何パーセントになるかということは私にもちよつとわかりませんが、この金融引締のために非常に苦境に入つた炭鉱でありますが、最初二月でありましたか、半分の五〇%を金券で渡したという話を聞いたことがありますが、全体が何パーセントかちよつと私にもわかりません。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 これはあなたの知つておられるところでのお話なんだけれども基準局長が言われるような一〇%、二〇%でなかろうということは、これは今一例なんですけれども、一月、二月なら知りませんが、併し五月になつた現在、一〇%や二〇%でないということだけは言えると思うのですが、どうでしよう。
  69. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) そうですね、そこらのところは、まあパーセンテージは三月、四月、だんだん殖えているだろうと思いますが、何パーセントだということは私ども想像がつきません。
  70. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと吉田君に御了解を得たいのですが、問題はどうせ予想数字になるわけですから、それを今ここで究明することも困難かと思いますが、私が今伺つている感じでは、この全炭鉱入れて丑月末の不払が三千三百万円、四月になるとそれがもう山口佐賀長崎で一億五千八百万円、これは約五倍にはね上つておるわけです。従つてこの四月に一番この炭鉱の集中しておる北海道福島福岡を入れればもつと大きい額になると思うのですね。そうすると四月はそうであるが、併し五月はどうなるのか、六月はどうなるのか、これのやはり一応の見通しを立てなければこれは対策は立たないということが言えると思います。こんなに急激に殖えて行くものであるとすれば……。  それからもう一つ通産省関係ですが、石炭の需給から見た安定というものをどういう工合にとるかということを先ず考えなければ労働省としては対策は立たない。需給安定をどういう工合にしてとるのか、そして今の濫売が行われているのが、そういう国の政策によつて自然的に消滅し得るかどうかというような見通しというものは、やはりこれは通産省から出してもらわなければ労働省としては立てにくいじやないか、そういうものが立たなければ、今の金融引締をやつているときに、一部面に対して金融を若干緩めて石炭の安定をやろうということも、これもできないだろう。従つてどうしても通産大臣に御出席を願つて通産省としての石炭対策というものをはつきり一つお聞きして、それを元にして基本対策を立てなければならんとこう私は思う。これは石炭局長にもお考えつておきたいのですが、今労働省から労働問題としての石炭対策を伺う予定をしておりましたところが、非常にまだ不完全な資料で以て只今一応の御説明を承わつたわけです。これは時間的にも余裕がなかつたから止むを得ないと思いますが、そういうことになつていると思います。従つて今日は通商産業省のほうからも石炭政策というものをもう少し現状分析と、将来に対する対策というものをはつきりしたものを伺つて、若し伺うことができなければ、成るべく近い機会に更に御研究を願つて対策をお聞かせ頂きたい。その中で通商産業省と労働省とが調整をせられて、労働省でも安心をする。それから石炭経営者も安心をする。又石炭使つている他のいろいろな産業も一応安定する。こういうような対策を国会を演じて明らかにせられたい、こういう意図を持つているわけなんです。従つてそういう含みで大臣にも一つ御相談願つて、これからおいでになるのであれば御答弁を得たい、こう考えるわけです。
  71. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私のほうとして対策を具体的に例えば数字を挙げてこうするんだということを申上げることは、今も委員長からもお話がありましたように非常に困難でございます。方法といたしまして、こういうことを考えて行きたいという方法を一つ対策として申上げまするならば、やはりこの問題に関連いたしまするものは財政当局又は金融機関、例えば日銀のごとき金融機関、或いは労働省の中でも労働基準局賃金不払に関係する、或いは県の労働部というものがある、こういうふうに考えます。中央地方を通じては、仮称いたしますれば労務対策協議会というものを作つて実情の把握を先ずやつてはどうか。その把握を完全にした上で対策を至急に立てるということが趣旨ではなかろうかと思うわけでございます。先ず私どものほうとして考えておりますのは、そうした趣旨で各県の知事に対しましてそういうものを、現地における日銀或いは大蔵省の財務局或いはこちらの労働奉準局乃至県の労政担当局、又通産省の出先機関というところの間において知事の斡旋でそうした対策協議会をおいたらどうか、こういうふうな通牒を出して行きたいと考えております。
  72. 田村文吉

    ○田村文吉君 伺いますが、通産省石炭局長さんお見えになつておりますか。ちよつと私は労働対策をお立てになる前に根本的なことを伺いたいのであります。  石炭の原価ですね、価格というものがほかの物価に比べて非常に高くなつている、こういうふうに考えております。というのはまあ今日一トン石炭が七千円とか八千円とかいう、最近まではそういう高い値段をとつてつたのでありますが、戦争の始まつた当時において一トン十円幾ら石炭であつたものが七百倍、八百倍までに暴騰したということ自体に石炭鉱業の非常に大きな危機が来ておる、こういうふうに私ども考えております。つまり外油というものが入つて来て石炭の代りをするという不自然なことが行われること自体が、すでに石炭鉱業が重大な危機に遭遇しておるというふうに考えるのであります。  これは一体どういう経過でこんな高い石炭になつたのか、又これを根本的に直すにはどういう点を直したらばノーマルな状態になり得るのか。例えば四百倍とすれば或いは四十円とか、そういうぐらいの価格で、四千円、四千五百円とかの価格で炭価が引合うようになればこれはもう問題ない。外油の輸入なんというものは禁止してもいい。まあ特殊の用途は除きましてですね。そういうことになり得るんですが、どうも今の根本の問題が石炭鉱業、まあそのほかにも類似の鉄鋼業なんかあります。ありますが、石炭が根本をなしておるのですが、この問題を一体どうお考えになるか、どういう理由でこんなふうに高くなつたのか、又これを下げる方法というものはあるのかないのか、こういう点が今後の石炭行政の上に非常に大きな問題になる。従つてこれが労働上の対策を立てる大きな問題になると、こう思うのですが、局長さんはどういうふうにお考えになつていらつしやるのですか、ちよつとお伺いいたします。
  73. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと待つて下さい。田村委員にちよつと申上げますが、間もなく通商産業大臣がここへお見えになりますので、その点をお含みの上……。
  74. 田村文吉

    ○田村文吉君 私間もなく退席いたしますので、ちよつと……。
  75. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 石炭昭和十年前後においてはトン十円程度、それが現在は炭種によつて違いますが、平均して一番高いときに六千八百円ぐらい、現在は山元の販売価格というと四千円前後というふうになつております。で、高くなつ原因は、坑内の自然条件、まあ炭鉱独自の状況ですが、戦争中の濫掘のために企業の若返りというか、合理化というか、そういう点がやれなかつた。専ら数量を出すということで、無理をして坑内をどんどん奥へ深く入つてつた。そのために必要な金は戦争中ならば戦金で幾らでも出そう、或いは戦後ならば復金の金を出そうというようなことで、専ら数量に追われたために、企業自体としては非常に不合理な企業をやつていたということが大きな原因だろうと思います。そのほかに炭価の高い原因としては、要するにまあ炭価というものは最終消費者は渡るときの価格のことですから、輸送賃の値上りというものはこれは見落しできないと思います。現在福岡から横浜あたりまで持つて来るとすれば千二百円、北海道から持つて来れば千五百円というものが山元原価にプラスされるわけですから、これが相当大きな原因だと思います。それから先ほど申した坑内が深くなれば、そのために例えば電力量で申しますと、以前のトン当りについて二倍半ぐらいの電力量が要る。或いは輸送距離からいいましてもトン当りの坑内輸送距離というものは八割ぐらい延びておる。そういうような個々の問題について相当原価がどうしても高くならざるを得ないというような制約があるわけです。そういうために原価が上つておりますが、販売価格自体としては原価の値上りほどの値上りはしておりません。昭和十年前後を基礎において原価の値上りというのが六百五十倍ぐらいになつておると思います。販売価格の値上りは四百六十倍になつておるということで、その数字からいうと炭価そのものが高くても企業自体の利潤は戦前に比べて低いということは言い得ると思うのです。  これの解決策ですが、これは恐らくこの労働委員会でも、私、前に御説明申上げたこともあるかも知れませんが、根本的には成る期間を持つた長期的な合理化計画、大企業については竪坑政策というものを今推進しております。これは五カ年計画で以てやつておるのでありますが、昨年が竪坑だけに使われた金額として開銀融資のざつと半分であります。それから本年度は開銀融資それ自体が非度に圧縮されましたので、予定通りの計画は進みませんが、昨年度の継続工事だけは是非完成して新らしいものを更に五本ぐらい着手したい、こういう計画であります。それから中小につきましては機械化、技術の改善、こういう方面に主力を入れまして、中小の一部について開銀融資が出ておる。そのほかに中小企業金融公庫のほうからそういう資金の流し方をしておる、こういうことでございます。  差当りこの炭価の高いのを解決する策としてはやはり生産数量を増すという、逆に言うと石炭と競合する外国炭とか或いは重油というものの輸入を抑制する、それによつて原価を下げて行く、こういう方法がとらるべきだと思つております。  それで最近の炭価の値下り、先ほど申しましたひどいものについては、山元原価で二十八年度の原価が一カロリー当り七十五銭平均です。それが最近はひどい例を申上げますと、三十銭ぐらいで役げ売りされておる。これはもう決して安定した価格ではありませんの。やつぱり合理的な価格というものに返す必要があるんじやないか。その方法としては先ほど申しましたような長期的な、長期的と言つてもまあ竪抗計画については一応五カ年計画というものを今持つておりますが、そういう方面を改善して行くと同時に、石炭企業性というか、需給のバランスを回復して、それによつて価格の安定を図つて行く、こういうふうに考えており荒す。
  76. 田村文吉

    ○田村文吉君 御尤もなお話でございますが、どうもちよつと本末を転倒していらつしやるんじやないかと、こう思うんですが、今お話の約四千五百円程度で売買されておるというんですが、第一にその四千五百円程度で売買されるということは、そろばんに乗つて中小炭鉱或いは大炭鉱ではそれで引合うという値段なんでありますか、ちよつと先ず第一に……。
  77. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 山元原価で四千五百円程度であれば引合うと思います。
  78. 田村文吉

    ○田村文吉君 それではそういう点については若しそういうことが事実であるとするならば、私は石炭に対して相当に有望と考えていいと考えます。ただ先刻お話のございました、私が石炭一トン十円と申上げたのは、大体京浜地帯における価格を申上げたんです。ですから山元の価格になりますと、昔はまあ極くひどいときは四円、三円ということもございましたけれども、そういうことは私は除外例としましても、少くとも山元でやつぱり六、七円しておつたろうと思うんですが、六、七円のものを七百倍としましても四千二百円、そういうことでありまするから、それで四千円から四千五百円程度で若し引合うということになるならそう失業者を出さんでも、簡単に重油輸入というものを或る程度制限することによつて救済する方法が立つて来ると思う。こういうことになると思うんですが、私はそういう点について通産省とし、もつと根本的に石炭の救助をお考えになる必要があるんじやないか。昭和二十二年に社会党内閣の当時において石炭の国管をやつた、国管をやつて企業合理化というようなことでやかましく言われたんです。私どもこれは失敗すると思つた。思つたんですが、そういうようなことで、いや竪坑をやるとか何をやるということはもうお題目で毎年々々聞かされておる。そういう合理化の問題は当然炭鉱主はなすべきでありますが、ただ徒らに政府の金を借りることだけを目標とした企業合理化であつてはならんので、そういうことのために、私は石炭鉱業というものは非常な今日苦しい時代が来たことを実に残念に思つておるのでありますが、で、もう少し通産省としては根本的に石炭の価格は如何にあるべきか、又それによつてそれが合理的で諸物価に比べて決して高いものでないならば、外国から重油というようなものは入れないようにして、これを石炭に又再転換させるということも必要だろうと私ども思うんです。併し高い京阪地方に持つて来て、六千円だ六千五百円だという高い石炭使つて正油を使つてはならんと言われても、これは経済の自然に反するのでありますから、これはなかなか困難です。そういう点はもう少し石炭局でお考え頂いて、根本方針をお立てになるべきじやないか、それが立てばおのずから又一時間の問題なら救済の方法も労働対策として立つと思うのですけれども、根本が立ちませんというと一時的に労働対策を立ててみましても、これはなかなか根本の解決にならんです。そこで今日は多分通産省と両方のお立会で御検討ということになつたと思うのであります。今の合理化について竪坑という問題も始終これは承わるのでありまするが、無論こういうことは政府がおつしやらなくても、各企業会社はこれは何とかして生産費を切下げるためにやつておるのでありますが、私はそれ以外にまだ炭価というものの非常に割合が高くなつたというところにはほかに大きい原因があると思うのでありますが、そいうことについてのお考えはありませんですか。
  79. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 先はど申しましたようにこれは竪坑のお話はしばしばあるけれども実現しないということでありますが、現実に各企業についてどの程度の工事をやり、どの程度の効果を挙げているかということ、又今後の計画がどういうふうになつておるかということを余り詳細な資料は私どもはありませんし、その計画に基いて現在進捗いたしておるのであります。  それからどの程度に炭価を安定させればいいかということは、例えば国内の原料炭と米国の原料炭と比べると一割五分から二割ぐらいの値下りである。それから重油なんかにつきましては、最近の値下り炭価から見れば、むしろカロリー当り重油のほうが高いということが言えると思いますが、昨年あたりの状況から見ると、重油の効率その他を考えて、或いは人件費が省けるとかというような点を考えてみると四割ぐらいの開きがあるところもある。例えばガラス工業というようなところについても製品が非常に均一であるとかロスが少いというような関係で四割ぐらいの効率のところも見られるというようなことを言つておりますが、これは勿論国際価格と申しますか、米炭なら米炭を国際価格に下げるというのは、今直ぐ下げるという方法は、これは誰が考えてもないと思います。或る期間の計画の下にそういう価格にしわ寄せをするということをまあ考えております。
  80. 吉田法晴

    吉田法晴君 大臣二人揃われましたからこれから対策について伺うわけですが、その前にちよつと委員長からお話になりました件で、基礎資料、少くとも今日もらえなかつた例えば賃金の遅欠配の実情調査にしても、それから失業者の調べにしても、これはまあ所管局長は、文書にありますように「将来を必しも手ばなしに楽観するものではないが、現在の段階においては今直ちに変改を加える必要はないと考えている」と、こういう趣旨なのでありますが、同じ貸料の中にありますように、炭鉱で毎月五万人減つておるというこういう数字は、恐らく四月以降の数字によつておると思う。ここに出ております三月の数字、それらを見ても、これは失業者増加して来たということは間違いのない事実であります。それに炭鉱の月々五万人出ておる、これをどうするか。なお出るだけでなくて、働いておる炭鉱労働者の生活をどういう工合に是非とも安定させるか、こういう問題でございますが、今日頂きました資料は不十分なので、対策を立てるについては現状を急速に把握して立てられるべきだということを一応申上げて、資料の点についての私の質疑は終りたいと思います。
  81. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今愛知通産大臣がお見えになりましたので、通産大臣から通産省としての石炭危機打開に対する対策をお聞きをいたしたいと思います。お聞きをいたします前に、私ども労働委員会通産省においで願つて石炭不振に対する対策をお聞きしようと考えましたその理由をちよつと御参考までに申上げておきたいと思います。  実は御承知通りに最近石炭の極端な不振が全国的に現われまして、失業者が出るだけではなくして、就労をしておる労働者諸君に対する賃金の不払等も非常に起きておるわけであります。只今労働省から提出された資料を見ましても、非常に完全な資料ではございませんが、今年の三月を例にとりますと、全炭鉱地帯で不払金額が三千三百万円、こういうものが四月になりますというと、その中で山口佐賀長崎だけで一億約六千万に上つております。それで北海道とか福島福岡というような主たる炭鉱地帯を除かれたものもこうであります。恐らく全部合計すれば五億を越すだろうということが今言われておる。更に五月の状況、六月の状況等を予測しますというと、実に憂慮に堪えないものがあるのであります。これを根本的に安定し、解決するためにはですね、労働省に盛んに私ども対策の立案を要請しているのでありまするが、お聞きをすると労働省だけでは大変御無理であろう。やはりどこから対策のスタートを切るかということになりますと、やはり通産省石炭行政というもののはつきりした方針がきまらない限りは立たない。で今のこの不安定な状況を将来何カ月後に安定点へ持つて行くように努力するか、こういうことが先決されなければ立たない。こういうことに大体見通しが立つたわけであります。  そこで一番問題になりますことは、非常に只今経済が不振だと言われておりますけれども、昨年度の、二十八年度のごときは、国内石炭需要量四千三百万トンを越しておる。それに重油石炭換算にいたしまして約五百万トン近いものが入つておる。(「七百万ですが」と呼ぶ者あり)そうするとそれだけでも五千万トンを越えておる。そのように産業規模というものがそんなに縮小されておる。従つて重油というもの占める役割が非常に大きく響いておるということは通産大臣も認められると思うのです。この重油をどうするかという問題、それとそれを考えながら石炭の需給の安定というものをどういう工合にしてとるかということ。これをはつきり先ず最初にきめられない限りはあらゆる計画は立たないと思う。それが立ちましてから、初めて然らばこの混乱状態に入つた不振を或いは融資の町において、或いは就労の面においてどういう工合に解決すべきものかどうかという対策が立つのではないかと、こういう工合に考えております。特に私ども今懸念しておりますのは、重油にいたしましても、通産省が放送せられましたために、すでに重油そのものについて若干思惑、勝貴的な考慮が行われているやに私ども見受けております。従つてこういうことが行われますというと非常に不振な業界にあるにもかかわらず、極めて頭のいい業者は、この混乱の中でやはり不当な利得を上げておるというような誠に好ましくない現状が出ております。石炭価格が非常に濫売価格になつておりますが、この濫売価格の中でも要領のいい人は非常な不当な利益を貧りつつある。そういう現象が起きておる現在の混乱を、徒らに激発しておるような状況でありますので、そういう点から通産省として一つはつきりした方針を聞かせて、で若しお聞かせ願つた点で我我の意見と違つた点がありますれば、それを確めまして、そうして労働省通産省と一体になつてこ石炭の不振の対策を労働問題として一つ解決して行きたい。そういう工合に考えておるのであります。その意味で一つ御発言願いたいと思います。
  82. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) それでは私から只今委員長からのお求めのございました点を概略御説明申上げまして、なお御質問にお答えするようにいたしたいと思います。  只今も御指摘がございましたように、石炭の問題は私どもの理解しておりますところは、総合的な燃料対策というところから出発しなければならない。又対策もそこに一番の根本対策がある。こういうように理解いたしております。併しながらそれと同時に現在の石炭不況対策につきましては、特に九州方面等においては非常に焦眉の急を要するものがございますから、平行的に対症療法としての対策を具体的に進めなければならない、こういうように考えましていろいろの手を打つておるつもりでございます。  そこで先ず第一に総合燃料対策の問題でございますが、これは今国会の最初のうちに、今年の一月頃かと思いますが、当委員会におきましても概略御説明したことがあると思いますが、三月の末にその当時見通し得る状況を基礎にいたしまして、先ず石炭のいわゆる適正出炭規模というものを確立しなければ総合燃料対策の手は打てない。そこででき得れば四千八百万トンということに目標をおきまして、そうして石炭合理化を図りたい。労使両方の協力を求めたい。その半面におきまして重油消費の規制を考えなければならないということで、重油のほうにつきましてはその当時外貨予算の編成と相関連して大体五百三十七万キロリッター程度を以て一つの基準にする。その範囲内と外貨の割当をやる。併しながらそのためには現在の重油消費量に何らの規制を加えないで放置しておきますると六百七、八十万キロリッターに恐らくなるであろうと予想せられましたので、たまたま両院において国際的に供給不足する物資についての法律を、その期限を一年延長して頂くことに両院の議がきまりましたので、その法律を基礎にして今年の十月以降において或る種の別途については重油消費を規制する、これは法的基礎でございますが、これをやることにいたしまして予告をすでにいたしたわけでございます。それから外貨予算もその方針に従つて上期は配当することにいたしたわけでございます。ところがその後御承知のように石炭につきまして状況がその当時の見込よりは更に悪化して参りました。そこで再びこの重油との関連におきまして総合対策について更に一段前進をしなければならないというような段階になつて参りました。  そこで御関心の深い問題と思います重油の点について先ず申上げますると、これは外貨の割当をして、そうして輸入業者から元売業者を通じて消費市場に出るわけなんでありますが、今年の三月、四月頃の実情から申しますと、月にやはり五十万キロリッター近くのものが市場に出ております。従つてこれから、この五月の下旬になりました只今から考えますると、その五百三十七万キロリッターという範囲内においても、毎月の割当ということからすれば相当これを減して行かなければならないわけでありますから、その点も勘考いたしまして、大体今後におきましては月別にいたしまする原油の国内消費市場に対する供給量は三十数万キロリッターという程度にしなければならないと考えております。従つてその今後の毎月の三十数万キロリッターという点を延ばして一年間に計算してみれば四百万キロリッターにも及ばないという程度消費を規制して行かなければならないだろうというように考えまして、これらの点につきましては需要者のほうの立場も十分考慮して参らなければなりませんが、主要産業別に重油消費を自制して頂きたい、各具体的な割当基準というものを現在鋭意業界の協力を得て検討し、且つ具体的に策定をいたしておるようなわけでございます。  で、これと照応して、又逆に今度は石炭のほうに返りまして、私の意見といたしましては、将来長きに亘る日本経済自立の根幹としての石炭の適正出炭規模はどうしても四千八百万トンというこの線を私は落したくない。ここに将来の石炭対策の根幹があるものと私は信ずるのであります。併しながら二十九年度について申上げますると、率直に申しまして、この数量は或る程度調整を要すると考えております。で、今申しましたように、一面において重油消費規制についても、これは御承知のように、過去において政府におきましても重油転換策をとつたというようなこと、或いは業界がそれに協力して重油を使う設備をわざわざ作つたということ、或いは価格における差というようなこと、いろいろとむずかしい問題もございますが、大体今申しましたような線で協力を求めざるを得ない、こう思いますので、非常に困難な仕事でありますが、これを具体的に推進したいと考えております。  で、翻つて、そういうような状況でございますから、石炭関係の各位に対しましても四千八百万トンということは二十九年度においてはちよつと無理であろう、若干のこれは調整を加えて行かなければならんということについて理解をお願いしたいというふうに考えておるわけでございますが、これは只今申しましたように、重油のほうの各産業別の消費の割当と申しますか、これの具体的数量等が最終的に見通しがまだついておりません。いろいろ業界その他からの意見を求めて毎日作業いたしておりますのでありますが、これが大体きまり次第、これはそんなに長い日数を要さないと思いますが、この一方においての二十九年度の四千八百万トンをどの程度調整して行くかということをきめたいというふうに考えておるわけであります。全体の燃料対策につきましては、概略以上申上げましたようなことが率直に申しまして今日までの我々のとりました態度並びに考え方であります。  それからいま一つは、先ほど申述べました通り九州、西九州山口方面、その他の地方における石炭不況状況につきましては、只今お示しがございましたように賃金の不払状況相当なものでございます。それから公租公課の滞納も数億円に上つております。電気料金の不払も数億円以上に上つております。それから各種保険の掛金等の不払も相当の額に上つております。それから地方公共団体等においてはこの税収等の関係から地方行政の執行についても相当な暗影を役じておる。それから社会問題として小学校の児童等の昼弁当を持つて行かないというようなことも常識になりつつあるというような状況等、これらは事態が非常に楽観を許さないというよりも非常に窮迫しておるように思いましたので、先般来石炭局長を現地に派遣いたしましてつぶさに調査をして参りました。その結果或いはそれに基く所見等につきましては、すでに石炭局長からもお聞き取り願つたことと思います。  これを要約いたしますと、先ほど委員長からお話がございましたが、通産省のみを以てしてもこの対策は全きを期し得ない。政府の各部門或いはその他の部門に関係のある点が非常に多いのでありますが、概略を申上げますと、先ず第一に優良な経営体であり企業であつて、而も融資に事欠いておるようなものにつきましては、どうしてもこれは融資を促進しなければならない。で特に地方的には金融機関等に対する資金源を補給してやる必要がありますので、そういう面につきましては大蔵省と密接に協力をいたしております。速日事務当局間においても話合いを進めておりますし、又私どもも大蔵大臣その他最高の責任の方々に対して現状を訴えて対策を求めておるような状況であります。  それから金融の問題につきましては、できれば整理資金とか貯炭金融とかというような要果も熾烈でございます。貯炭金融のごときは現在の金融対策の問題としてはなかなか取上げにくい性格の問題でありますが、併しケース・バイ・ケースに各業態の実情や金融機関との関係、或いは石炭の売捌き先等の協力等によりまして、できることは進めて参りたい。  それから同じく大蔵省の関係では、国税庁の関係でございますが、これは業界に対しまして税の分割払又は延納ということを考慮してもらわなければならないと考えております。又労働省に対しましては、労災保険料の分割払、延納といつたようなことも要望事項の一つになつておるわけでございますが、それから農林省の関係で食糧庁、食糧管理等でございますが、米穀の配給、販売等についての考慮を要請するということも一つの題目に相成つております。それからやや根本的対策現実の焦肩の急を要する対策との中間に位するものかと思いますが、建設省に対しましては特に公共土木費の優先配付をお願いしつつあるわけでございまして、同時にやはり金融関係として日本銀行に対しましては資金引揚げの緩和、これは御承知の預託金等が地方銀行その他に入つておるのが他の金融機関と同列において引揚げをやらなければならないわけでございますが、特に資金源を殖やしてもらうために、引揚げを緩和するということを具体的に要請し話合いが進んでおります。  それからその他の対策としては、国鉄に対する関係でございます。これはできるだけ速かに適正な炭価を決定してもらうということが第一のお願いになつておるわけであります。それから電力会社に対しましても石炭の買取量の増加を依願しなければならんわけでございまして、これは通産省の内部におきましても、電力会社の関係でございますから、いろいろと話を進めております。それから一般的に売掛金が相当つております。これを回収するということにつきましても関係方面の協力を得なければならない。いろいろ細かいことが非常にたくさんあるのでありますけれども、かいつまんで申上げますると、以上のような各分野に亘りまする対策につきましては、先般来できるだけの努力を払つておるわけでございます。なお今日も現地の通産局長も来ておるのでございまして、現地側のほうとの政府部内としての話合いも推進に努めておるような次第でございます。  概略以上申上げましたものが今日の実情でございます。
  83. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこで大体御苦心のほどはわかりましたが、問題は若干混乱状態に入つておるかに見える石炭の業界の始末を、大体どれくらい先を目標にして一応の安定を得させるように御努力になるか、その時期的な見通しについてちよつとお尋ねしたいと思います。
  84. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 時期的な見通し只今申しましたように、恒久的なものと具体的なものと、両方ございますが、恒久的にはこれは一つ基本的な考え方を打ち出すということによつて一つの安定感といいますか、苦しい中にも一つ見通しを持つて頂くという点において、やはり非常に基本的なものだと思いますが、このほうは大体総合的な、例えば重油消費問題等から関連して来る一切のものの処理ができますのは、大体私は一月頂ければ十分と思つております。併しこれはちよつと言い過ぎかも知れませんが、石油の問題については大体こういう方向だということが報道されたような関係で、先ほど委員長から御指摘のあつたような影響もあつたようではございますが、同時に或る程度一部からはすでにこういうふうな方向へ行つてくれれば何とか対策が立つというような空気も上つておりますから、大体このほうは一月頂戴できればいいのじやないかと思つております。それから具体的な問題については関係方面が多いので、これは何日までと申しますことはちよつと言い切れないのでありますが、ものによりましては数日後に解決するものもございましようし、ものによりましては、……その数日後というのは、例えば国鉄との折衝というようなことについてはそんなに永い日時はかかるまいと思いますが、それから一時税を勘弁してもらうというような話合いはそう永くかかるまいと思います。ものによりましては一月、或いはそれ以上かかるものもあろうかと考えます。
  85. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからもう一つは、金融、資金措置などは一番重要な問題の一つでありましようが、要するにこれだけ各省に亘つている仕事なので、経済閣僚懇談会或いはその他で御相談になると思いますけれども、最終的にはやはり閣議の重要な案件としてこれは御検討になることと私は思うのでありますが、そういうような御用意があられるかどうか、この点も伺つておきましよう。
  86. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その点は実は、正確な日にちはちよつと覚えておりませんが、数回前の閣議のときに、先ず第一に九州状況を、憂慮憾に堪えないような状況だと認められましたので、閣議に概略報告して、各閣僚の関心を求めたわけでありますが、次いで先ほど申しました石炭局長が出張いたしまして報告がありましたので、早速その報告の概略を説明いたしますると共に、関係閣僚の協力を求めたわけでございます。それからその後、これは随時やつているのでありますが、先ほど申しました国鉄の関係は運輸大臣に、それから金融、税の関係は大蔵大臣に、或いは建設省関係につきましては、これは大蔵省と建設省と両方の事務当局と関係するのでありますが、そういうもの、或いは日銀との関係等については、随時これは必ずしも会議体によらずに手配をいたしておるようなわけであります。今後におきましても随時これは経済閣僚懇談会という考え方もございましようが、やはり政府全体としての大きな問題と思いますので、対策ができるに従つて閣議に報告をし、或いはものによつては閣議決定を求めるような行き方をいたしたいと考えております。
  87. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ただ私もう一遍念のために……。まあ、これは通産大臣はよく御承知のことだから、私から申上げるまでもないことですけれども労働委員会としてお願いをしておきたいことは、例えば今大臣が述べられたところで、金融関係の問題一つだけをとりましても、これは非常に私は現在の内閣の政策から考えると困難な問題が一つある。例えばデフレ政策をとつておるときに、こういう特定の企業を救うために金融措置を講ずるというようことは、これは非常に問題なんです。これが若し一つ切れれば恐らく造船の問題も起きて来る、その他いろいろな問題が派生して来るので、やはり相当な決意がなければこれはでき得ないことです。そういう意味で閣僚全体の問題にしたいとおつしやつたことについては私は賛意を表しますが、相当強いこれは決意と措置を要することじやないかということが一つ。  それから第二は、日銀の関係ですから、先ほど労働大臣もおつしやつたのですが、今日こういう事態を招いたのは、政府のデフレ政策に先行するに日銀の金融引締政策があつたからだということを指摘されたのですが、私もほぼ同感なわけです。それで日銀が今資金の吸上げをどんどんやつおりますが、これと逆行するような政策只今石炭救済のためとろうというわけです。而も財政と金融とが或る程度最近は分離の形が出ておるときに、政府が日銀に対してそれだけ強い圧力が加え得るかどうかというようなことも大分問題である。従つてこういう点からして、是非とも内開全体の問題として方針が一つ一つ私は閣議で決定されて強行せられるぐらいな御決意がないと実効が挙らないのじやないかということを心配するので、その点は私の意見を申述べると共に重ねて一つお伺いしておきたいと思います。
  88. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その点は全く御尤もございまして、率直に申上げるのでありますが、非常にこれはむずかしい問題ですから……。併し考えようによりますと、これはまあ具体的に銀行の名前を挙げることは如何かと思いますが、例えば福岡銀行を初め従来とも中小炭鉱についてはいろいろ御批評はありましようか、随分これは私どもから見ると金融上協力しておつたのであります。そういう立場を考えてますとかなり問題は具体的なんでありまして、日銀が何と言いますか、多少の資金の尻の世話をこういう銀行に対して見ることとか、或いは先ほどちよつと申上げましたが、政府が預託金を引揚げる、その引揚げを少し猶予するとかいうことは、これは割合具体的に取上げやすい問題でございますから、そういうところも併せて、先ずできる可能なところから手を著けて行くということで、さつき申しましたように、全体として非常に一月以上もかかるかも知れませんが、できることは片端からやつて行くということで、相当事務的にも問題は解決し得る面も多いと思います。
  89. 阿具根登

    ○阿具根登君 通産大臣から詳しくお聞きいたしまして、非常に感謝しておるのですが、私が考えるのは、政府が総合燃料対策でとつたあとのしわ寄せが炭鉱に来た。その繕いをやつておられるような感じしか私は受けないのです。なぜかならば、石炭の生産能力というものは年間五千万トン越すぐらいの能力があると思うのであります。而もそれの消費は五千六百万トンからある。その中に当然国内炭ではできない点もありますので、重油輸入炭で一千百五十万トンぐらい入れられておる。そうするならばこういう結果になつて来るということはわかつておるわけなんですが、例えば二十六年度は二百十万キロリッター重油が入れられておる。二十七年度は三百四十五万キロリッター、二十八年度になつて五百三十七万キロリッター、倍数を入れるというような大きな数字になつて来るならば、そのしわ寄せが石炭に来るどいうことは、これは当然のことなんだ。そういう見地から私たち考えておりましたところが、通産大臣は二月十六日に、こういう恰好ではまずいから四千八百万トンは確保するのだ。そのためには断固たる処置をとつて行くというような決意のほどをお聞きして、非常に私たち楽しんでおつたわけであります。なお又四月の二十四日にもいろいろな方の御質問に対して一国内消費炭は四千八百万トンは使うのだということを言つておられる。ところが只今お話では、四十八百トンということは考えておるけれども現実面としてこれは少し崩さなければできない、こういうことを言つておられるけれども、一貫して流れておりますのは、重油の五百三十七万キロリッターは二十九年度中に使うのだ。これが膨脹して六百八十万トンにもなるようなやつを抑えておるのだ、こういうことを言つておられると私は思うのです。そうすれば政府が去年打つた重油政策の今度はさきがけというか、そのはしりを抑えるだけの大臣の考え方であつて、何ら去年とは考えが変つておらない。そうして四千八百万トンがどのくらいずれ国内消費炭になるかということになりますと、今のお答えでは四千三百万トン以外に出ないということしか私はならないと思う。どうすればそれでは例えば四千六百万トンなら四千六百万トン、幾ら今お考えになつておるかわかりまやんけれども、それを確保するためにはどうするかという対策をはつきりお聞きしませんことには、しわ寄せになつて来てしまつたやつを、やれ国鉄の七百円もの値叩きをそれじや余りむちやじやないかと言つて交渉してもらうとか、或いは石炭がうんと貯炭になるから、先を見通して買わない電力会社に対してもう少しうんと買つてくれということは枝葉末節で、根本的の問題にはなつておらんと私は思うのですよ、その点をはつきりお聞きしたいと思うのです。
  90. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その点は先ほど申上げましたのでありますが、外貨の割当は現実には半年々々にやつております。今年の後半期においてどれだけやるかということについては、改めて又検討し直さなければならないと思つております。でありますから差当り六月、七月というような、これは比較的非需要期ではありますが、三十万キロ強というような程度にいたさなければ到底石炭のほうを、今お挙げになりましたが、私は四千三百万トンということは考えておりませんのでありますが、それをできるだけ四千八百万トンに近付いたところで、今年の適正出炭ということは到底できないと思うのです。そこでこの切り方なんでありますが、これは通産委員会でも、どこまで重油を切つて各業態別に、そしてそれが石炭需要量にどれだけ増加になつて来るか、その各業態別の表を出すように御督促受けておるのでありますが、まだ実はちよつと少し時間を頂かないとできないのでありますが、それらの表をいずれ御覧になつて頂きますと、大体私ども考え方がおわかり頂けると思います。  私は率直に申しまして、先も申しましたが、従来の考え方よりも一般の重油については相当思い切つた措置をとらなければこの問題は解決できない、こういうふうに考えております。
  91. 阿具根登

    ○阿具根登君 それで私が只今申しましたように、政府重油政策石炭コストの引下げ政策、二十八年度打たれた手は、これは角を矯めて牛を殺すような結果になつて来つつあると思う。そうすると今度は四千八百万トンということは今年は不可能だ。その二十八年度の重油輸入額から或いは重油需要量から考えてみて、どうしてもこれは駄目だとするならば、四千六百万トンから四千七百万トンか、或いは……、そういう点をはつきり一つ大臣のほうで指示してもらつて、それによつて重油を規制して行かなければできないと思う。二十七年度までは重油使つておらない。二十八年度で使つてこういう結果が出ているけれども、それをそのまま踏襲することになれば、決して私は大臣が考えておられるような結果にはならない。そこで大臣が断固たる措置考えられておるのは、四千八百万トンは必ず国内炭を使用するのだということで、二十七年度の考え方を持つておられたかと思つておりましたところが、それが違つているとするならば、それなら二十九年度に対してはどれだけの石炭を使うのだという大臣のはつきりしたことがあつて初めて一般事業家もそれに対する措置をいたして行くのだ、かように思うのですが、それがはつきりせんことには、これは銀行としましても融資に当りまして先行きの明るくない炭鉱に対しての融資はとても望めないと思いますし、今のような現状が続いて行くならば、到低炭鉱の再建というものはこれは考えられず、いい炭鉱だけ残つて、少し工合の悪い炭鉱は全部沈んでしまう、こういう結果になると思うのですが、その点をはつきり大臣から、四千八百万トン自分は使いたいと思つているけれども、現在ではそれはできないけれども、何トンは必ず使うのだ、そのためには重油はどのくらい削減するのだという、これが第一にお聞きしたい点です。
  92. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) それは誠に御尤もで、先ほど申上げましたように、各事業者別に先ず重油を切り、それからそれに代つて石炭をこれだけ使つてもらえばこういう姿になる、その総量が四千八百万トンは二十九年度はむずかしいと思いますが、できるだけこれを減らす、量を少くしようということで、各部門別に現在作業しております。これはもう数日中に御覧頂けると思います。その四千八百万トンにするのか四千六百何十万トンにするのか、或いは四千何百万トンになるのかというところは、ここ数日中に打出したいと思います。これを打出さないと、今阿具根さんおつしやる通りなんでありまして、ほかのことがなかなかうまく行つてないのでありまして、非常に今急いでおります。
  93. 阿具根登

    ○阿具根登君 大臣のお考えを聞きまして、私も炭鉱労働者と共に少し明るいような感じを持つたわけでありますが、只今も御覧のように、山元から炭鉱関係の人は押しかけて来ているわけなんです。それが自分自身に明るい見通しがない。政府がはつきりした政策を示してくれん限りには非常に暗い気持でやつている。而も大量の首切りが終つてやつと落ちついた昨年の暮から、又々三、四月になつてたくさんの失業者が出ているということは、只今所管の方から報告のあつた通りでありまして、炭鉱は危機に喘いでおる。それで数字は二、三日中に発表するとおつしやいましたので、それによつて重油の削減かたもはつきりわかると思いますが、私たちが今まで新聞その他で見たところでは、非常に重油関係の方の御意見も強いようでありまして、そうして五百三十七万キロリッターから減らすということは非常に困難な情勢にあるというようなことを新聞等で見ておりますが、これにつきましても、やはり通産大臣としては断固たる処置で去年の例にならうのではないのだというお考えであるかどうか。
  94. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) この問題は、これを私が申上げたいと思いますのは、先ほども申しましたが、これから上半期数カ月の間においては、毎日毎日一つ在庫の調査でも徹底的に月末にやつて、そうして毎月の使用最が三十三、四万キロリッターですか、それくらいに抑えたいと思つております。従つてそれに十二倍をかけて頂けば、先ほど申しましたような四百数十万トンしかならない。併し過去において、今年度に入つてからだけを申すわけではございません。申せば四月だけしかないのでありますが、その前二・三カ月の間を振り返つて見ますというと、相当のものが入つてつたのではないか。従つてその当時を基礎にして十二カ月にしてみれば、五百三十七万をもつとオーバーするような結果になる。そして私はざつくばらんに申上げるのでありますが、五百三十七万キロリッターという数字は、余り大した基準にならなくなつたのであります。現状におきましては、こういうことを申しましたところが、私ども事務当局みんなそういう考え方なのでありますが、そうすると、それは何か人によつて説明を変えるのか、いい子になるのかというような新聞記事が出たり何かして甚だ私ども迷惑しておるわけでありますが、実情なり考え方は今申上げた通りなのであります。  なお外貨の割当は、下半期についてはまだやつておりません。二十九年度上期外貨予算を閣僚審議会できめただけでありますから、後半の六カ月ばかりはまだ全然白紙なのであります。今後数カ月の様子を見てそのほうの手配をいたしたいと思います。併しながらお断りしておきますが、四十何百万トンという目標だけは、私はここ数日中に或いは最近の機会においてはつきり打出したい。それと併せて直酒の消費量というものもそこで出して参りたいと思つております。
  95. 吉田法晴

    吉田法晴君 産業別に、今数字重油の規制と申しますか、消費目標数を出して、それが累計幾らになる云々というお話でありますが、石炭にどれだけ影響すると……、が、今の一応三月以降六月まで、或いは更に七、八、九と、それからその後の点についても一応これは予想はできると思うのですが、数字を託しておられるところから見ても、どの程度の節約が概算せられるかということは、これはおわかりになると思うのです。四十八百万トンという点から言えば、最初愛知さんが施政方針演説のときに言われた数字から言えば、百五十万キロリッターと申しますか、石炭換算三百万トンという数字が出て参る。その三百万トンが減つてつて百万キロ、その百万キロも少しあやしくなつて来た実情でありますが、大体どのくらいほど……、とにかくその数字は頭の中にあるわけですけれども、どの程度今のところ考えておられるか、一応承わります。
  96. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その頭の中にありますものを、一つ鉱山局長から数字で御説明申上げます。
  97. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 昨年の五百三十七万キロリッターという実は実績というのは、これは昨年度の予想でありまして、実は三月、二月頃更に使つておりまして、使つているというのは、四月以降の外貨を食つているという形になつているわけなんですが、三十五、六万キロリッター、このくらい余計に使つております。従いまして五百三十七万キロリッターというのは、実際は五百八十万くらいに昨年は使つているという状態になつています。私のほうとしましては、外貨予算の面においては一応二十九年度は五百三十七万キロリッターに該当する重油の外貨を付けるということで、この前外貨は一応きまつたのですが、それが先ほども申上げましたようにすでに三十五、六万程度が三月までにもう入つちやつて使われているというような状況になつております。それから四月以降におきましては、この四月の実際の販売実績と申しますか、これを消費量というふうに見ますというと、四十八万キロリッター使つております。五月におきましては四十五万キロリッター、こういうふうに使つております。従いましてこの四月、五月において相当我々が計画した以上に大幅に使つております。で、先ほど申しました五百三十七万キロリッターということで二十九年度行きますというと、これは上半期・下半期に一応分けて、いるんですが、上半期の一応月別の計画としましては、月平均四十二万キロリッターくらい使うという予定になつていたのであります。ところが先ほども申上げましたように、四月にすでに四十八万キロリッター使つた。それから五月に四十五万キロリッター使つた。それから更に三月までに四月以降のものを三十六万キロリッターも食つたというようなことになつておりますので、これではどうしても石炭との関係もあり、又外貨等の関係もあつて、この際急速に締めなければとてもいけないというふうに考えましたので、一応私のほうの計画としましては、九月末まどの在庫を、これは或る程度の布庫を持つていなければなりませんので、これを大体三十六万くらいというふうに踏みまして、そういうことで而も上半期のその外貨を一応決定しました。五百三十七万キロリッターのベースでやりまするというと、六月・七月、八月というものは三十一万くらいになる。月平均三十一万くらいになるということに相成るわけでございまして、それが六月、七月、八月、九月、これまで大体三十一万くらいになる、月々。そういうことに相成るわけでありまして、これでこの九月までは私のほうとしましては絶対に締めて行くというふうに考えております。そうしますというと、先ほど大臣がおつしやいましたように約三十何万ですか、これを仮にそのままずつと来年の三月まで続けて行くということになりますと、年間の消費量というものは、それは四百万そこそこというようなことに相成つて行くというわけでございます。私のほうとしましては、大体その実勢としましては、最近の状況は、先ほど申上げましたように、この一月、二月、三月、四月、五月というような状況をとりますというと、大体四十五、六万から五十四・五万というような実勢になつております。ところがその実勢を先ほど申上げましたように五百三十七万キロリッターのベースで行きますというと四十二万キロ・リツターということになるわけですが、この四十二万キロリッターというものを更に我々はもう使い込んでおりますので、その使い込んだものはあとで全然補充しないという考えで行きたいと思つておりますので、そういうことにしますというと、六月、七月、八月、九月というものは三十万そこそこというようなことになるわけでございます。大体四十二万といたしますと、そのうち十六万程度がこれは絶対に重油でなければいけないという農村、漁村、及び船舶用でございます。従いまして三十一万くらいということになりますと、半分程度は農村、漁村、船舶用に食われる。そうしますと残り大体十六万くらいというものは一般の陸上の工場関係に行くということになるわけでありまして、これは非常な大きな削減になるというふうに考えております。これらの計数につきましては、なお若干我々検討しなければならない点もありますし、又需要者のほうの事情、原局のほうの意見もありますので、これは若干数字は違う点が出て来るかも知れんと思うのですが、私のほうとしましては、少くとも九月末の在庫を三十五、六万というふうに押えまして、この在庫は絶対に持たせるということにしまして行きますというと、月々大体三十一万くらいしか配給がないというようなことになるかと思うのであります。そうして一方においては農水産関係はこれは絶対に確保する。この確保の方法につきましては、もうすでに四月の初めに各地に通牒を出しまして、確保の措置は講じてありますが、これを確保をしますというと工場関係は非常に少くなつて来るということに相成ると思うのであります。この状況を見まして、そして下期の外貨につきましては大体九月にきめることになつておりますので、それまでの間に情勢も十分検討した上で、その外貨をきめる際におきましては、今大臣からおつしやいましたようなことを十分考えまして我々としてはきめたいというふうに考えております。
  98. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうすると月々のあれはいいんですが、五百三十七万ベースなのか、それとも九月末三十六万キロの在庫ということにして、その調子で行くと月々三十一万程度、その半分が農産用というお話でございましたが、それで行きますと年間四百万キロ云々、こういうお話でしたが、五百三十七万なのか、それとも四百万なのか、その点……。
  99. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 五百三十七万というのに我々は拘泥してないのでありまして、これは今大臣がおつしやつたようにもうすでに五百三十七万というものが、三月までに先ほど申しましたように約三十五、六万食われております。ですから今仮に残つておる外貨、仮に決定しております外貨というのは五百万キロリッター程度に該当するものが残つておるが、そのうちすでに四、五月に四十八万なり、四十五万食つておりますから、そうしますというと六月以降においてはぐつと減つて来るというわけでございます。
  100. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますとそれは上期の外貨の割当、下期の外貨の割当はまだ全然問題になつておらんが、その重油消費実績のその予想から言うならば、上期のしまいに三十一万トン、こういう数字になるが、そのまま押して行くと四百万になる、こういうお話なんでございますか。その押して行く方針なのかどうか、そこのところを伺いたい。
  101. 川上為治

    政府委員(川上為治君) そういうわけでありまして、私どものほうとしましては、これでできるだけ一つ押して行きたいという考えを持つております。ただ先ほども申上げましたように、これは需要する産業のほうが非常に極端に実は切られておるということになりますので、その中でもどうしてもこの重油を使わなければならんという部面もありますので、そつちの関係、いろいろな点、それから又大体この救果は先ほど大臣からお話がありましたように、一月後におきましてだんだん現われて来るのじやないかというようなお話でありましたが、我々のほうとしましては、少くとも七月頃になりますとその状況がはつきりと現われて来ると思いますので、そういう状況も睨んで、下期の外貨は今おつしやいましたような考え方に副つて進めて行きたいというふうに考えております。
  102. 吉田法晴

    吉田法晴君 まだ少し下期のところがはつきりしないのですが、五百三十七万ベースにこだわらないというお話ですが、一応それで三十一万ぐらいに七、八、九となる目標で行けば、そうしてその下期もその程度で行けば四百万上廻る、こういうことになりますと五百三十七万から四百万を差引いた百三十七万、これの節約というか削減になる。こういうことで、それが石炭換算でこれはどのくらいになるかという計算が出て来るわけですが、一応今のままで行くけれども、下期はどうかわからんということになりますと、これは数字は出て来ない。言い換えればこれはもの石炭問題に関連して重油転換という点が出て来ますから、その数字をそれじやどのくらいになるか、これはまああとの影響その他はありましよう。或いは産業別に云々という点もありましようが、少くとも今まで言われたところからいつて、今まで説明しておられたところからいつてどういう工合に理解しておられるのか、総合的に大まかなところをお尋ねしているんです。
  103. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 実はその五百三十七万というのは、五百万になつているということは先ほど申上げた通りです。二十九年度についてはその五百万のうちで、第一この上期におきまして五百三十七万のベースで行くとしますというと、先ほど申上げました通り、もうすでに相当な使い込みがあるので、六月以降におきましては三十万ぐらいになるということも申上げたのですが、私のほうとしましては、この三十万ぐらいのベースで一つ今後押して行きたいというふうに考えておりますが、それで行きますと、今申上げましたように、大体四百万ちよつとということになるかと思うのであります。ただこれはやはりその六月、七月頃の状況そのものを十分見まして、そうして情勢を見まして、又石炭情勢というものを見まして、やはり私どもは九月以降の外貨のはつきりした数字はきめなくちやいかんのではないかというふうに考えておりますが、我々としましては、少くとも六月、七月、八月、九月をこういうようなペースでずつと進めて行きたいという気持を持つております。
  104. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 長期の見通しというか対策なんですが、将来下期から月三十万トン・ベースという言葉が当るか当らないか知れませんが、三十万ベースと仮にいうと、それでずつと押して行くんだという方針と理解していいわけですか、従来のことはまあ不問に付しまして、月三十万ベースで行くんだ、そうして来年の例えば上半期になつた場合には不需要期になれば三十万トン、それは更に切れるかも知れません。最盛期で三十万トン、こういうことで行けるかどうか、こういうことですね。
  105. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) それでは私からちよつと申上げたいと思いますが、これは先ほど来申しておりますように、本当に各業態別に年度を通じて来年三月までどういうふうにやるかというはつきりした数字を是非見て頂きたいと思つております。それで今私の気持はこうなんです。とにかく六月、七月、八月頃は不需要期でもありますから、徹底的に一つしぼつて行きたい。それから九月、十月以降は石炭も油も両方とも需要期に入りますから、特に油について果して三十数万キロリッターでやつて行けるかどうかということは、もう少し作業を進めてみて、或いは需要者である業界の協力が求められ得るかどうか、もう少し話を進めてみませんと、実ははつきりした自信を持つて申上げられないのであります。気持はできるだけ上期のベースで押して行きたいという気持で作業をして行きたいと思いますが、恐らく出て来るところはもう少し上廻るのじやないかと思います。若し上廻つた場合には、これは御批評がいろいろありましようが、四千八百万トン・マイナスXの、そのXがどの程度になるということにかかつて来るわけでございます。それを気持としてはマイナスを少くしないようにしたいというそういう気持を持つて作業をして行きたいと思います。
  106. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そこでですね。今大事なことをおつしやつたのですが、需要がついて来るかどうかという問題ですね。これは私はやはり経済問題の面では重要だと思います。そのときに使い方の便利さとかそういうことは全然度外視しまして、熱救率だけから考えて、一体重油を主とした場合に重油をベースにとつたときに、今の石炭というものはカロリー大体何円であれば丁度パ一となるのか、これはやはりおつかみになつておりましようか、ここがやはり一番問題になるだろうと思います。先ほど田村委員もその点を一本釘をさして退席しておりますから、この点を一つつておきたいと思います。
  107. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) ちよつとその前に、私が大事なことを言つたと仰せられましたが、これは何と申しますか、要するに話合いというか、相当強力に協力を求めなければなりませんので、或る程度はそれは言うことを聞かなければならんと思います。政府側としては……。併し或る程度は、私の本当の基本的な気持から言えば、国内産の石炭対策というものが先ず第一に重要なのであるから、その点を押して行つて需要者を引張つて行きたい、こういう気持でおりますから、その点は一つ御了解願います。
  108. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 最近の重油価格が一万一千円から一万二千円ぐらいですから、カロリーとしては一円十銭或いは一円二十銭ということになると思います。それから石炭平均してカロリー、横浜市場とか神戸市場、あそこらを見ると六十五銭ぐらいが平均じやないかと思います。従つてカロリーだけを比較すれば、もう十分に石炭重油との対抗ができるわけです。特に北海道九州の産地では輸送費がかからないということと、逆に重油のほうが輸送費がかかつて、これはもう石炭を使つたほうが遥かに安く行くわけです。それが急に転換できないというのは、設備の転換資金が問題になるので、そこが一つの困難だということになるわけです。
  109. 吉田法晴

    吉田法晴君 そうしますと、三十万キロ・ベースという言葉が委員長から出ましたが、できるだけ協力を得てそういうことにしたいということになりますと、四百万キロリッターが多少動くとしても、大体そこが目標だ、そうするとこれは、三人お揃いですが、重油にして百万程度のところが目標だ、こういうところで、組かくいうと五百三十七万から四百万引いて百五十七万になりますが、はしたの点は多少動くかも社れませんが、百万ぐらいは削減できる、こういうように目標がなされておると理解してよろしうございますか。
  110. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) その点は必ずしもそうだとは申上げることはできない、と言いますのは、今年の来月以降のところをとつてみて、それを一年に伸ばしてみればそれはそういうことになるかも知れません、現実の今年の四月、五月を入れての十二カ月の実績がどうなるかということになりますと、必ずしもそうは行かない、こういうことですね。
  111. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ通産大臣の言われるのはわかりますけれども、一応育つておられるのは需要の方面を非度に考えて言つておられる。これだけやつてみてどういう結果が出て来るかということを非常に考慮に入れておられると思うのであります。それも私わかるんです。併し石炭というと、これはもう御存じのように上半期といつても九月までなんです。これが一年間の計画も立たずに石炭を出すということは非常に困難なんです。半年たつてみて、今度は石炭がまだ貯炭が多過ぎたから又減らすとか、或いは殖やすとか、今まで、終戦直後三千五百万トン出せ、或いは四千万トン出せということでしよつちゆう政府から指示されてやつて来ておるわけです。ところが今度は需要面から考えて、そして一応やつてみなければ確たる数字が出ないということに落着きそうでありますが、燃料対策として、石炭は今年はどれくらいだということを打出して、初めて重油はどのくらいになるのだということがはつきりわかると思うのです。私は先ほど通産大臣が言われたように、例えば三十万キロにすれば、それに十二かければわかるじやありませんか、四百万そこそこだとおつしやつたが、その通りだと思つてつたところが、何かそれは非常に最低の希望的な数字であつて、或いはもつと殖えるのだというようなぼやかしたところがあるから、吉田委員からもそれは百万キロリッターというものを目標にしているかということを言つておられるわけであつて、やはりここまで不況になつて来た石炭事情から見て、もう重油のカローリー当りの値段もそれより下つているというような現実を見ておつても、まだ石炭はどれくらい使うのだというところの目標が出ておらんということで、何か又需要の結果から見てどうするのだということになれば、やはり計画は石炭としては立てられない、こういうような感がするわけです。それで先ほど大臣が言われたように、石炭はどのくらい使うのだ、そのために重油はこのくらい辛抱してもらいたい、こういうことになつて来ると思う。需要家のほうにもいろいろあるでしようし、私どももそういう面を考えなければできないけれども、それは国内産よりも安いものを入れたほうが物価が吹くなるのだということになれば、もつともつと中共、ソ連とも貿易をやり、或いはその他とも貿易をやつて見れば、それは日本の生産品は太刀打ちできないものばかりかも知れない、がそういうことも考えて、それでは今一番犠牲になつて、しわ得せになつている石炭に対してどういう抜本的な対策を立てるのだということを今聞いているのであつて、何かぼけたようなところがあるから又質問をぶり返しているわけです。その点はつきりして頂きたい。
  112. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) そういう御疑問をお持ちになるのは御尤もだと思うのでありますが、私伺もかも正直に申上げているので却つて何か隠しているのじやないかというふうな御疑問をお持ちになるのかと思うのです、率直に申しまして……。それは私ども考え方は、四千何百万トンというものを一時も早く打立てなければならない。併しそれには各業態別に石炭を何ぼ使つてもらえるか、その辺が、石油を何ぼ削れるかということを作業をし、且つでき得るならば各業界の大体の御納得を得た上で示したいのです。そうでないと、私ちよつと自分からまずかつたと実は思うのですが、四十八百万トンということはそれは随分その当時検討はいたしたのでありますけれども、すつかりきちつと押え切れんうちに申しましたために、この点が今崩れて来ているのは非常に私申訳ないと思つているのであります。その代り今度は本当にもつと突き詰めてやつてみたい。そして出て来る数字が四十六百万トンと出て来ますか、四千六百五十万トンと出て来ますか、それはできるだけ四千八百万トンに近い数字をはつきり出したい。そういうことで、重油はどれだけにきめるかということは、もう少しかすに時日を以てして頂きたい、こう申上げておるのでありますから、決してわざとぼやかして申上げておるわけではないのであります。
  113. 吉田法晴

    吉田法晴君 愛知通産大臣のまじめさは私どもも買うのですが、四千八百万トンに責任を感ずることも大変私ども結構だと思うのです。四千八百万トンを一応約束されたから、重油のほうを百五十万キロになさい、それ以外には方法はないじやないかということは一応言えます。一応言えますが、苦心されるような、石炭なり或いは重油に対する実需、そういうものから総合して数字を出して行こうという点はわかります。わかりますが、石炭のこれだけの逼迫と、それから先ほど挙げられたような窮状に対して対策を立てる、そしてその一番基本的なものは何かというと、石炭の需給関係を明らかにすることだ。そこで四千八百万トンが目標であつたとしても、実際に四千五百万トンになるか或いは四千六百万トンになるのか、それは四千五百万トンでも六百万トンでも、これだけはとにかく消費されるのだという点を明らかにすることが、その他の施策の基礎にもなるのだ、こういうことでお急ぎを願つておるのですから、そこで例えば五百三十七万キロリッター、それが或いは四百万になるのか云々という点は、それと関連してここで検討し、又皆さんもお考えを願つているんです。それが又もうすでに五百三十七万がしぼろうとしても、今までの実績から五百万になつて来る。これから六、七、八、九と、三十万くらい出さなきやならん。それが四百万、それを実際にやつてみて云々というのはわかるのですが、今出ている点から言いますと、そういう必要性から石炭需要幾らあるんだ、これを打立てようとするときに、重油消費抑制措置は一応きまつて新聞に出たわけですね。ところがそれがいつになるかわからん。今のところかすに一週間くらい待つてくれとおつしやいますが、一週間くらいたちますと、国会も再延長したとしても再々延長したとしても或いは済まんかも知らん。私どもは折角取上げたこの問題ですから国会開会中にその細かい数字はとにかくとして、目標だけは出してもらいたい。それから労働省についてもそうですけれども対策を立てて、この次の委員会に持つて来てもらいたい、こういうことを申上げておるわけなんです。従つてその概数でもいいが、或いはこれから数字を各産業別に検討されて集計されるんでありましようが、品的の四千幾らになるんだという点から考えるならば、もう大体大よその数字は出てるんですから、大体この辺は目標にし得るんだと、こういう点を述べて頂きたいと、こういうことを申上げるわけです。
  114. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 今の吉田君の御発言は大体今日の委員会の結論のところへ行かれたと思うのですが、それで確かに出炭目標を早く確定せられたいということは、これはあらゆる対策の基本になることですから、従つて来週は、まあ国会が第二次の延期になることはほぼ確実でしようから、来週成るべく早く一つ委員会に御発表を願いたい。
  115. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 実は四千八百万トン問題のときも、衆議院のほうは通産委員会の小委員会が主体であつたのですが、こちら側の資料も全部あれしまして、非常にこれはもうまじめに全く同じレベルで協力して頂いて、そうしてあの数字なり考え方をでつち上げた。ところがもつと悪い状態なつたような経緯もございまして、今度の、私ども別に、回避というお話があつたので、ちよつと私もびつくりしたんですが、決してそれを避ける意味は毛頭ないので、できるだけ早く飽くまでも何だつたら生のまんまででも御相談いたします。そうしてできるだけ早く目標を確立して、それにできるならば本当に皆さんの御協力を願つて、それが遂行できるようにして頂きたい、私もそう考えますから、これはもう本当に急いでやります。
  116. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その点いいですね、出炭目標の確立の点は。来週は国会延長必至でしようから、成るべく早く出して頂きたい。  それから最後にちよつと両大臣にお聞き願いたいのですが、大体労働大臣としても、今通商産業のほうからの施策が大体明らかになりましたので、労働省としての対策も私はお立て願えるんじやないか、こういう工合に考えます。昨日からの、一昨日ですか、議論がありまして、今日の報告されました実情を救済するような一つ対策を更に掘り下げて立てて頂きたい。要するに通産省のほうが出炭目標を確定せられ、更にあらゆる施策をコンクリートにされて国会で御表明になると同時に、労働省のほうも一つおやりを願いたい。失業対策或いはその他をおやり願いたい、こういうことです。  それからそれと同時に、非常に今山元で全国的に動揺して社会問題にもなつておるわけですから、政府としてでも結構ですし、或いは労働省通産省として、それぞれでも結構でございますが、労働者或いは企業者も含むかも知れません。或いは山元の一般大衆も含むかも知れませんが、とにかく石炭企業の不振打開のために、政府というものはこういう措置をとるんだと、従つて決して動揺する必要はないという意味の然るべき政治的な措置をおとりになつて頂きたいと思いますが、そういう御用意がおありになるかどうか。この点を一つ両大臣にお尋ねします。
  117. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 只今通産大臣から非常に詳細なお話がありまして、私どももよくしようとされることは了解したのでありますが、ただこの出炭目標を明瞭にするということ、これは非常に根本的な問題でありますが、もう一つこれに対する融資ですね、この問題が確定しないと全体の把握が困難かと思います。これも今委員長お話もあり、皆さんのお話もありますので、できるだけ財政当局にも話して、勿論金融は別だということは金融機関も言うようでありますけれども、これは併し一体性を保つてもらわんとどうもならんものでありますから、ですからよく話しまするが、更にこの政治的な措置という点ですね。これはどうでございましよう。先ほど私考えの一端を申上げた際に述べましたように、山元の属する県の知事に対して、例えば通産省或いは労働省の出先或いは大蔵省の出先、更にその金融機関又は県の労働機関、これが協力して、何かこの実態の円満なる収拾と言いますか、これをできるだけ円滑に持つて行くための対策の協議会を作られたいと、こういうような通達でも出すというようなことをしては如何かと私は思つています。どうもここで具体的にどういうふうにして幾らやるんだ、そう早急に答えを出せとおつしやられましても、ちよつとこれは私も自信を持つて、期間を切られますと申上げにくいんじやないかという気がするんであります。
  118. 吉田法晴

    吉田法晴君 その点は一つのそれも構想だと思うのですが、先ほど委員長から質問の中に出ましたけれども政府はこの石炭危機の問題について、閣僚懇談会と言いますか、或いは対策協議会と申しますか、そういうものを作つて、来週なら来週までに総合的な対策を立てるんだ、こういう態勢を整えることが先だと思う。そこで中央でもこうやつた、それで地方でもこういう線に沿つてこういう工合に協力願いたい、こういうことが私は順序ではないかと思う。これは私見になりますけれども、物事の順序としてはそういうことではないかと思います。
  119. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) よく研究してみましよう。
  120. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私がわざわざ両大臣にお願いした点は、成るほど重油消費規制の問題が新聞に出ておるようでありますが、その他石炭そのものに対するいろいろな、或いは行政的に或いは政治的に新聞を賑わしておることはその通りです。ですけれども、そういうことを中心にして国会でも問題になり、又政府自身も非常に責任を感じて善処しておる、こういうことがやはり政治的に取上げられるには、通産省或いは労働省が時を同じくしてそうして強い施策を講ずることにしたからということがやはり天下に発表になり、それが相次いで実行せられて行くというところに、やはり山元の動揺を防ぐことができると思うのですね。従つてそういうことは当然おやりになると思うのでありますけれども、念のためにおやりになる用意があるかどうかということをお尋ねしておるわけです。
  121. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 今のお話の点は私も労働大臣と御相談して御趣旨に副うようにできるだけ研究いたします。
  122. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に労働大臣にお尋ねしたいと思うのですが、これは別の問題です。最近大臣の命によりましてか労働統計の調査もやつておられるようでありますが、これは今までの調査と違いまして、個々の労働者について職種別、性別、学歴別、勤続年数別、経験年数別、年齢別等の賃金の詳細な実態を明らかにする、こういうことで本年の四月分の賃金について五月一ぱいにこれを調査しろ、こういうことを基準局長あたりからやつておられるようであります。基準局は、先ほど局長もおつしやいましたように、石炭だけ見ても、四月だけで一億五千万円にも上るような不払賃金もできておるし、又中小企業にも相当そういう問題が起きておると思いますけれども基準局の局員の人たちは非常に多忙であろうと思つております。ところが私たちが聞いた範囲内におきましては、基準局の殆んど総力を挙げて、五月分の従来の作業は渋滞してもかまわないから、これを徹底的に調査しろ、こういうような厳命が地方では下されておるようであります。これにつきましていろいろ見方もあるようでありますけれども、私たちは何のためにここまでこういう忙しい重大なときに基準局の人を使わねばできないか。又その基準局の局員においては、従来の仕事を時間外にやらなければ一般労働者に対して非常に申訳ないし、一般労働者からも責められるし、これは残つてつておる、こういうような実情にあるようでありますが、これについてどういうふうにお考えになつておるか、お尋ねしたいと思います。
  123. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) このことにつきましては、先般予算委員会の際にも申上げ、又その以前にも申上げたことがあると思いますが、我が国の賃金の実態に関する国勢調査ということは、できるだけ賃金が一体現実どうなつておるかということを知らんで労働政策というものは立てにくい。そこで今お話のような年齢別、経験別というような深く掘り下げた実態の調査をしたいと、こういうことで本年度は予算もそのようなことで請求して承認願つておるわけであります。その賃金調査をしたいということでございます。これはやはり地方の基準監督署において一番出先機関としまして、地方別に労働者各位の実態に触れる機会が多いので、それに依頼しよう、こういうことだと考えております。何も本来の仕事を放つてということではないと、私はこういうように了解しております。
  124. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうしますと、それは当然大臣として、最高責任者として賃金の実態を承知なさろうとするのはこれは当然だと思います。併し四月分の賃金を五月一ぱいに調査しろ、而も七万個所からの作業所を指定しておられるということになれば、限られた局員では恐らくこれは非常に無理な仕事であろうと、かように考えますし、なお又この統計調査は統計調査法によつてこれは秘密になつておる。例えば労働基準監督員が基準法違反を発見してもこれに対する処罰もできない、こういう達しがあつておるようでありますが、事実そういうことであるかどうか、或いは五月一ぱいに限られた基準監督賞でそういうことができるかどうか。
  125. 亀井光

    政府委員亀井光君) 御質問の中に二つあるわけでありますが、一つは、調査に参りました場合に基準法違反を発見した場合に、統計法・指定統計でございますので、統計法の第十四条によりまして、それを基礎として摘発することはできないという法律の規定がございます。併し我々の取扱いとしましては、そういう場合に注意をすることは、これは可能だと考えております。又再監督の方法もございまして、却つてそういう違反の事実をその場合に発見するとしますると、当然そういう悪質の使用者でございますと引続きまあ違反が継続されるものと考えます。そういう場合には再監督によりましてその措置がとれるものと考えております。ただ、その日の、調査に参りましたその日の違反の事実を以て摘発できないというだけでございますので、これは措置としてはできるのじやないかと考えます。  それから超勤の問題、これは今度の調査の予算の中には実は織込んでいないのでございます。と申しまするのは事業所、調査の実施は事業所自体がやるのでございまして、大体事業所は五時半で終るところが普通でございますので、恐らくそれ以後に亘るところはないだろう。問題は、点検をいたしまする仕事としては、これはまあ基準局でやるわけであります。これについては一般の超勤の規定が、予算がございますが、それによつて出したいという措置を講じておるわけであります。  それから又一般の基準行政に影響が来たさないようにスケジュールを細かく組みまして、超勤の要らないような一応の机の上の計画を立て、それを地方に示しておる。そこで地方の実情でいろいろ違うと思うのでございますが、若し万が一どうしても所定の期日までに調査の点検その他ができないという場合におきましては、個別的に統計調査部と私のほうと地方の希望を聞きまして、その締切日を延期しまして、職員に対する過重な負担を避けるようにこれも措置をいたしておるわけでございまして、そういうことをいろいろ考えながら措置をいたしておりますので、多少の影響はありましようと思いまするが、それほど御心配になるような影響はないものだというふうに、私たちは又そういうほうに影響のないように措躍をいたしております。
  126. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあ統計の完全を期すためと思いますが、各事業所に対して調査部長から書類が行つておるのには、はつきりとこれは、この調査票は労働基準監督署或いは徴税等の統計調査以外の目的に使用されることは全然ありません、そういうことはありませんということまで附加えられておる。これは或る意味では先ほども申しましたように、隠したことのないように実際の賃金状態を把握したい、こういうようなお考えもあるかと思いますけれども、その衝に当る局員はそういうことは非常にできかねるであろうと思うのです。こういう書類が入つてつて調査する、その場合に自分たちの本来的な職業から、これは労働基準法違反じやないかということを見出しても、それは翌日に行けばいいじやないか、或いはこの次にすればいいじやないかと言つても、そういうことは非常にできかねると思いますのと、基準監督局長としてこれだけの厖大な資料を集めるために、而も五月一ぱいでこれを調査せよということになれば、これは相当な無理を強いられておる。そうでなかつたならば、これは基準監督署は相当まだ余裕のある労働力を持つておる、こういうふうに考えられざるを得んのだ。ところがこの前の労働委員会でも指摘されましたように、基準監督署が管内の事業所を見て廻るのはもう極く健かである。非常に人手が足らないので、もう極く一部しか見ておらないのだ。こういうこともはつきり言われておるわけですね。そういう非常に人手が足らなくてそして困つておる人たちが、七万カ所もの事業所を詳細に精密に年齢別に学歴別に勤続年数別に調べて行くということは並み並みならん問題だとこう思うのですが、それが基準局長としては五月一ぱいにできるとお思いになつておりますか、それともそれだけの準備ができておる、こういうことですか。
  127. 亀井光

    政府委員亀井光君) 先ほど申上げましたように、一応机の上でスケジユールを組みまして、署の活動のスケジュール、或いは点検をしまする局の仕事のスケジュール、そのスケジュールに乗つて参りますれば、一応の目標の日時までには調査は完了するものというふうに私は考えております。ただ同署の都合によりまして、そういうスケジュールそのまま実行できない場合もあろうかと思います。そういう場合は、先ほど申上げましたように期日の延期その他によりまして、事務量が急激に加わることを防ぎたいという措置をとつております。
  128. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は最後に労働大臣にお尋ねいたしますが、これはもうこの調査労働大臣として必要かも知れませんけれども、この真意は、標準賃金というようなお考え賃金のストップを考えてこういう調査を命じられておることではございませんか、お伺いいたします。
  129. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) このことについてはときどき御質問炉ありますのでございまするが、いわゆるその賃金ストップということについて統制をするというようなことを法的に考えるという意図は私は全然持つておりません。ただ私は率直に申しまして、こういうことは必要だと思うです。なぜかならば、この賃金全国におけるその動態的な実態、これを見ようとしましても何ら基礎はないのでありまして、こういうことは私がやるのではなくて、これはどなたが政府になられてもやはりやられるべきものではなかろうか、こういうふうに思つておるのでございます。これを今御指摘のような非常ないわゆる弾圧方針に使おうとか、そいうような気分は私は持つておりません。非常に必要なことであるというふうに考えておる次第でございます。
  130. 吉田法晴

    吉田法晴君 まあどういう工合にその資料を使われるか、或いはどういう意図を持つておられるかということは、これはまあ標準賃金の構想ということで、今国会の初めにも承わり、又私どもも思案して参りました。これは今後その資料の活用によつてどういう工合に活用されるかということで、私ども考えて参りたいと思いますが、問題は七万カ所からも選んで、厖大なと申しますか、或いは非常に大きな仕事をなさろうというのに、話を聞いてみますと殆んど予算らしい予算というものは付与せずにやらせようとされておる、そこに問題が起つて参る。或いは超勤、或いはオーバー労働、或いは本来の業務が困難になつておる、こういう結果が来ていると思うのです。これは局長じやないかも知れませんが、中間でこれは賃金ストップの必要を認めて作るんだ、本来の仕事が犠牲になつてもかまわん、こういうことを言つた人もあるようです。それを一々取上げて参りませんけれども、何と申しますか、大臣のお気持を遥かに付度をしてそういうものが出てるのも無理もないと思うのです。そこでとにかくこれだけの大仕事をやらせようとするのに幾ら予算を計上しておられるのか。それからそうでなくてさえ本当の基準監督業務が疎かになつておる。これは定員のその他からいつて、これはしばしば委員会で指摘されたところでありますが、監督もできない、それが中間の責任者の指示で、本来の業務を犠牲にしても調査をせよ、こういう結果になる虞れがある。或いはそういう事能も起つておるということが言えると思うのです。これは労働大臣としても相当不可能を強いられた実態になつておるのじやないかと考えられる。従つて基準局自身が基準法違反を恐らくおやりになつておる結果が出て来ておると思います。そういう点について重ねて一つ警告を申上げますが、御答弁を求めます。
  131. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いわゆる基準になる賃金と言いますか、基準賃金という言葉でおつしやいましたが、賃金が実態とどうなつておるかということを正確に把握するということは、これはもう科学的に労働行政をやろうという場合には当然必要なことだろうと思います。あらゆる政策についてそうだと思いますが、実態を知らずして目の子で政策を立てるということはないのでありますから、私はむしろこういうことをやらないほうが今までどうかしておつたというくらいに強く考えておる。この予算につきまして私どももできるだけ多くをそれは望むのでございますけれども、本年度のところは三千万円という予算をもらつております。
  132. 吉田法晴

    吉田法晴君 なお又基準行政の運用については別にお伺いをする機会もあると思いますが、この程度で遅くなりますから留保しておきます。  それから最後に、一つ労働大臣に念を押しておきたいと思いますが、先ほど来通商大臣に御同席願つて、当面の石炭危機に対しまする或いは労働者の生活危機に対しまする対策を立てて頂くことをお願いをし、労働省だけでなしに、政府において対策を立てるというお約束を頂いたわけでありますが、それが来週、成るべく近い機会において当委員会においてお示しを頂けるということでありますが、問題の重要性から考えまして、大臣の出席は当然私どもも期待し得ると思います。その点について重ねて一つ態度を表明願つておきたいと思います。  申上げますが、労働大臣労働委員会をサボられると、これは下の次官、局長もやはりサボりまして出席が悪い、或るときのごときは殆んど出ておらんという事態もございますので、是非一つこの重大な石炭危機に対しまする対策につきましては、大臣から一つ御出席を願いたいと思います。
  133. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  134. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。委員会を休憩いたします。    午後一時五十九分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた