○
政府委員(
亀井光君)
只今政務次官からお話のございましたように、去る三十日に答申がなされまして、引続きまして本月の六日、東京におきまして、七日大阪におきましてそれぞれ
公聴会を開きました。我々としましては、
中央労働基準審議会の答申並びに審議の経過及び
公聴会におきまする労、使、
公益側の
意見等を参考といたしまして、事務的な素案をこれから作るように着手いたしたいと、かように思
つております。一応政府が提案いたしました
諮問案の主な点と、それに対しまする
審議会の審議の経過及び
答申等につきまして御説明をいたしたいと存じます。
第一は五十一ページを御覧頂きますると、これが政府が
中央労働基準審議会に答申を求めました
改正案要綱でございます。第五条、これは
労働基準法の第十五条によりまして
労働者を雇入れます際に、
労働契約を結びます際に明示をしなければならない
労働条件の範囲を定めておるのであります。法律の十五条では、賃金、
労働時間その他の
労働条件を明示しなければならない
規定にな
つております。そこで賃金、
労働時間は別としまして、その他の
労働条件がどの程度のものを明示すべきかということをこの五条で書いてあります。
現行法におきましては
就業規則に掲げておりまするすべての棄項、法律の八十九条に書いてございます。その中で九号は、
労働者のすべてに適用される定めをした場合においてはその定めを示すようにという趣旨でございますが、この九号の中には
労働条件でないものも含まれておりまするし、或いは
労働条件であると認められるものも含んでおります。ところがそのすべてを示すということは非常にその内容があいまいでございまするだけに、法律の十五条の
規定から言いますとそういうあいまいなものを罰則まで示して明示させることは少し無理ではないかということで、この
就業規則の最後の九号を削除するというのが第二号の改正であります。
もう一つは
事業附属寄宿舎規則の内容を
労働者に示すということが第三号にな
つておりますが、
事業附属寄宿舎規則と言いまするのは
労働者の
私生活におきまする内容を定めましたものでございまして、これが直ちに
労働条件であるかどうかということにつきましてはいろいろ問題があるわけでございます。我々の解釈から申しますと、この問題は
私生活の自由を定めたのでございまして、
労働条件とは認められがたいのではないだろうかということでこれを削除する原案を出したのであります。
審議会におきましてはこれらの問題について審議をいたしました結果、九号を削除するといたしましても、九号の中に先ほど申しました
労働条件と見られるもの、例えば休職に関する条件、これあたりは明らかに
労働条件とみなされまするので、九号を削除することは差支えないが、それに代
つて休職に関する定めを明示するようにしたらどうだろうかということで二号につきましては
意見が一致しました。それから三号の
寄宿舎規則につきましては
審議会で
寄宿舎規則が
労働条件になるかどうかということを論議することは避けまして、
寄宿舎規則が
労働条件でないということを
はつきり結論を付けないまでもこれを示すことは必ずしも適当ではない、併しながら
寄宿舎に入りまする場合と出る場合、即ち入舎と退舎の場合の条件はこれは
雇用関係と結び付いて参りますから、これだけを示すことにして、
寄宿舎規則の内容は
事業附属寄宿舎規則の中で今度これも改正をいたす予定で準備いたしておりまするが、その中に一条を設けて、
労働者を寄宿させる場合にはこれを明示させるという
規定を置いたわけであります。というのでこの点は三者御
意見が一致をいたしました。
それから次に大きな問題は三番目の十六条の問題でございます。これは御承知のように法律の第十三条の
規定によ
つて時間
外労働及び休日の
労働につきまして労使の協定によ
つて定ま
つて参りまする性質のものでございまして、法律のその
規定は命令にその期間の制限について何ら委任をいたしていないのに、規則の十六条におきまして
労働協約による場合は一年、その他の場合は三カ月を超えてこの協定並びに協約を締結してはならないという制限があるのであります。
従つてこの
規定は法律の根拠が薄いということで削除を我々としてはいたしたいということで
意見を問うたのでございますが、これにつきましては三
者意見がまちまちでございまして、
労働者側は絶対反対である。と申しまするのは、八時間
労働制に対する例外であるから、これはできるだけ制限をすることが適当であるという御
意見であります。
使用者側は法律に根拠がない
規定であるからこの
規定を削除することに賛成する。
公益側も結論的には
労働者側と同じ
意見で、現状のままで改正することは適当でないという結論になりましたが、
公益側だけの審議の過程におきましては、この問題について法律の根拠のないことはこれはまあ明確であるから削除することも考えられるが、併し削除すれば無制限に延びて参る、無期限の協定になるのでこれは適当でない。
従つてそういう場合においては解約の申入れをする
手続規定を入れる必要があるのじやないだろうかというふうな御
意見もございましたが、結論としましては現状のままで差支えないのではないかということでございます。
それから二十四条は、集団的に入坑或いは出坑する場合の時間計算の問題でございまして、個々の
労働者について時間の計算をやりまするのが
労働基準法の建前でございます。炭鉱或いは
鉱山等におきましては一団とな
つて入出坑をいたしまするので、その場合にその団に属します
労働者の
労働時間を個々について計算しないで、その団として計算して行くという方式を、
現行法におきましては、
労働基準監督署長の許可を受けた場合にそういう方式がとれるという
規定でございます。許可を受けまするについては法律の上で何ら根拠がないのでございまして、我々としては
許可制を廃止をして、
国際労働条約で定めておりまする方式をとりたいというので諮問をいたしたのであります。これについては労使、公益三者の
意見が一致をいたしまして、現行の
規定はそのまま残し、二項に
国際労働条約と同じ
規定を設けて選択をさせることにしたらどうだろうかという結論になつたわけでございます。
それから次は二十五条でございます。これは
有給休暇の資格がつきました場合におきましては、その直後直ちに
労働者が請求する時期を
使用者が聞かなければならないというのが
現行規定でございます。ところが法律の三十九条にはそういう場合の義務を命令に譲
つておりません。
従つて法律の根拠のない新しい義務を
使用者に課することは
国家行政組織法第十二条に違反することになりますので、これは削除したいというのが原案であ
つたのであります。これについて
労働者側は削除すること自体については異存はないが、併しとかく
有給休暇というものは忘れられがちになるから、
使用者が一年経過後、お前は今年は何日間
有給休暇を取れるのだというようなことを
労働者に知らせることを
規定すればいいのじやないだろうかという
意見もあり、
使用者側は
政府原案に賛成である。
公益側もこの
意見が分れまして、法律に根拠がないので削除すべきであるという
意見と、わざわざ削除する必要もない。いわば
訓示規定じやないだろうかということで、現状のままで差支えないのじやないかという
意見がございまして、
意見の一致を見ませんでした。
二十五条は技術的な改正でございます。ただ二項におきまして
有給休暇に支払われる賃金を
有給休暇の資格が出ました後賃金の
締切日前に払うか或いは次の
賃金締切日に払うか、その選択を
使用者に任せておる
規定でございますが、
賃金締切日前に賃金を支払わなければならんという
規定は法律の第二十四条から出て来ないのでございます。
従つてこれを削除することを提案をいたしたのであります。これについて
労働者側は
有給休暇に対して支払われる賃金というものは過去一年間において
労働した成果に対して支払われるので、すでに労務の提供はなされておるから事後に支払われる。即も
賃金締切前であ
つても事後の支払になるのであるから差支えないじやないかという御
意見、
使用者は法律に根拠のない新しい義務、
基準法の第二十四条の
規定にない新しい義務を課しておるので削除すべきではないかという御
意見、
公益側もこの問題につきましては二つにやはり分れまして、結論が得られなかつたところでございます。
第七番目は新しいと申しますか、規則の二十六条で一昼夜
交替制を運送の
事業に認めておる。その中で
自動車……列車、電車は現在一昼夜
交替制をと
つておりません。手続上の問題はございません。
自動車、特に
ハイヤー、
タクシーなどが一昼夜
交替制をと
つておりますために、午後十一時以後において朝からの勤務の疲れが出まして、事故が非常にその時間以後、午前二時頃までに亙
つて事故が出るということで、一般の
労働者の保護ということを兼ね合せて
一般公衆に対してそういう危険を防止するという趣旨から一昼夜
交替勤務の
例外措置を認めないということにしたいというのが原案の趣旨でございます。これに対しまして
労働者側は賛成でありました。ただ直ちにこの
規定を実施しますると、現在の
ハイヤー、
タクシーにおける
給与体系の
問題等からいたしまして、
賃金手取りが非常に低下して行く、
従つて直ちにやりますることは
却つて労働者のために有利にならないから一定の
猶予期間をこの施行について設くべきではないかという御
意見でございます。そしてその
猶予期間としては或いは六カ月とか一年とか、はつきりした
猶予期間を置くべきではないかという御
意見、
使用者側は
ハイヤー、
タクシーにつきましては大体
労働者側と
意見が一致をいたしました。ただ
区間路面自動車運送というような
事業、
長距離輸送の、例えば東京から名古風まで
貨物自動車で貨物を運送する、こういうような場合には一昼夜
交替制でやりますることが現実の面として必要にな
つて来る。
ハイヤー、
タクシーは差支えないが、この
区間路面運送事業については一昼夜
交替制をと
つてもらいたいという御
意見で、この点についてのみ
意見が一致いたしておりません。二番目は、一昼夜
交替勤務をとります場合に、
夜間継続四時間以上の睡眠を取らせなければならないというのが現行の
規定でございます。労研で実験をいたしました結果、或いは
国鉄等で実験をしました結果、継続三時間で継続五時間と申しますか、二分割いたしまして、三時間継続、あとの二時間を一定の間隔を置いて又二時間、結局五時間、継続五時間でやりましたのと継続四時間でやりましたのと、実験の結果それほど睡眠の深さ或いはそれによ
つて参りまする疲労の回復の
度合等において差がないから、国鉄の
ダイヤの編成その他の
勤務割から言いまして、この二つに分けるほうが実情に即するのではないかということで原案を提案したのであります。
労働者側は本質的に反対ではないが、ただその実験のデータがまだ
十分納得が行かない。もう少し実験を広くや
つて頂いて、その結果について納得が行くならばあながち反対ではないという
意見、
使用者側はすでに
労研等での実験の結果が出ているから直ちにこの改正を実施して差支えないのではないかという御
意見、
公益側も大体
労働者側と同じように、実験の成果というものについてまだ十分の自信が持ち得ない。もう少し広く実験をして、その結果について納得が行くならば改正して差支えないという御
意見、
意見の一致しなかつたところであります。
三番目は、列車、電車に乗務します
予備乗務員、これは
運転士、
乗務員に事故がありましたときに臨時に出た場合、或いは電車、
列車等の
衝突事故その他の事故の場合に臨時に
ダイヤを編成して運転するための予備の
乗務員を置いておるのであります。それらの
予備乗務員につきまして法律の第三十二条の二項による変形八時間制の定めをしました場合に、一般の
労働者でございますと、特定の日において八時間を超えて
労働させる場合或いは特定の週において四十八時間を超えて
労働させることの定めをあらかじめしまして、
労働者にその
就業規則を知らせておくことができるのであります。
予備乗務員という特殊な性格からして、そういうように特定の日、特定の週と予定をいたしますことが困難であるということから考えて、
予備乗務員につきましてはそういう日を特定しないで、場合を特定する、事故の発生されるというふうな場合を特定することによ
つて平均四十八時間制を取れることにしたらどうだろうかという原案でございます。これにつきまして三
者意見が一致いたしまして、
改正案に賛成である。ただ
予備乗務員というものの範囲について一定の制限を加えないと適当でないというので、これらの点について明確な範囲を限定されたいという条件を付けて三
者意見が一致いたしました。
次は二十七条でございます。これは物の販売、配給の業務につきまして
現行法では常時十人未満の
労働者を使用する
事業におきましては、八時間
労働制に対して例外的に九時間
労働制を認めておる。それを常時三十人未満に拡大してはどうだろうかという原案の趣旨でございます。これは
東京等で
実地調査をいたしましたところ、十人と三十人とにおきましては、
労働者の
労働実態が相異がないのでございます。三十人を超えますと非常にそこに差が出て参りますが、差が出て来ないので、この点はこれまで拡げて差支ないじやないかという原案の趣旨であります。これに対しまして
労働者側は勿論反対であるのであります。むしろこの常時十人未満というものも削除すべきではないだろうかという御
意見、
使用者側は常時三十人でも少いので、これを常時五十人未満ぐらいに拡大
すべきじやないかという御
意見であります。
公益側はこれにつきましては結論的に反対であるという
意見にはなりましたが、その
審議経過におきましては、これらについて或る程度緩和することも考えられるが、然らばこれは何人が適当であるかということになりますとなかなか根拠がつかみ得ないので、一応
現状維持ということで結論的にはそういうことにな
つております。
従つて公益側が
労働者側のほうの
意見と同じになり、一致しなかつたところであります。
次の第三十条は八時間
労働制に対しまして例外として十時間
労働制をと
つておりまするもの、先ほど申しました運送の
事業とか或いは三十人未満を雇用いたします
電信電話の
事業或いは消防、警察官というふうなものにつきまして、女子についてのみ三十六条の時間外或いは休日
労働の協定を認めないというのが現行の
規定であります。この
規定は法律の第三十六条によりますると男子、女子の区別をせず、時間外並びに休日
労働の協定を認めておりますので、その三十六条の
規定に違反するのではないか。而も又事実上二十七条におきましては、時間
外労働の協定を認めておる。只今申しました販売、配給の場合……、然るに先ほど挙げました
運送事業或いは
電信電話の
事業或いは消防、警察というふうな面に認めない、調整が取れないじやないかということが一つであります。実害としましては、運送の
事業には女子も殆んどおりませんし、又警察、
消防等におきましては
国家公務員法或いは
地方公務員法等の適用がございまして問題はございません。問題は三十人未満の
郵便局におきます
電信電話事業でございます。これに従事しまする
女子労働者も数が僅かでございますし、そう実害がないということで削除の原案を出しております。
労働者側はこれは二十八条の
電信電話の場合だけについて外すことは、三十条を削除することは異存はないが、但し二十八条についてこの十時間
労働を時間
外労働が認められている年間百五十時間というものの制限をこの十時間
労働について条件を付けるならば賛成であるという
意見、
使用者側は法律に根拠がないという趣旨で原案に賛成である。
公益側もこの点二つに御
意見が分れまして、大部分は
削除賛成ということにな
つたのでございます。一部はまあ現状でも差支えないのじやないかという御
意見もありました。
次は大きな問題としましては四十三条、これは
遺族補償を受けまする順位について
規定をいたしておりますが、現行の
規定でございますると、
労働者が死亡しました当時、
労働者の収入によ
つて生計を維持された者が
血族関係がなくても、
血族関係のある、併し
労働者の収入によ
つて生計を維持されていない
血族関係者、即ち子、父母、孫、祖父母よりも優先するということが
規定されまして、これは
社会通念から申しましても、いわゆる居候が家族の者に優先するということは順位として適当でないということで、その順位を変更いたしまする原案でございます。これにつきまして使労、公益三者が
意見の一致をいたしました。そのほかは手続的な
規定でございまして、これにつきましてはそれほど御議論がございません。大体一致いたしました。
ただ四十九条、
就業規則を届出ます際に
労働協約を添付しなければならないという
規定がございます。これは
手続規定でございますが、
労働協約を添付しなければならないということについては法律に何らそういうことを命令に委任していないのでございます。これを添付を要しないこととして、様式を廃止したいというのが原案の趣旨でございます。これについては
労働協約を添付しないことは差支えないが、様式を削除することによ
つて就業規則について
労働者の過半数の
意見を求めることにな
つております。その
意見が正しく提出されたかどうかについての証拠がつかめないのではないか。
従つてその
意見についての記名、捺印の手続をとらしむるならば、こういうふうにして
原案通りに改正することに異存はないというのが
労働者側の
意見、
使用者側は原案に賛成、
公益側は原案に賛成、あとは大したことはございません。
次は
女子年少者労働基準規則の改正でございますが、第二条は戸籍の証明、
労働者の年齢を証明するために
戸籍抄本を提出させる。現行の
規定ではそれを十八才に満たない児童に提出させる義務を課しておるのであります。ところが
労働基準法の
規定によりますると、
使用者側が無料で
戸籍証明書を請求することができる
規定もございます。又
基準法全体の建前が、
使用者に義務を課しておるのが原則的な建前でございます。それを児童に義務を課することはその本則に反するので、この
規定は削除するということの原案でございます。これにつきましては労使、公益三者の
意見が一致いたしました。
それから三条から八条までは、十五才未満に満たない児童を使用する場合の許可或いはその
手続等を
規定いたしております。この建前もすべて児童がそれらの手続をその児童の
住所地を管轄する
監督署長に対してするような形式をと
つておるのでございます。これを
労働基準法の
一般原則に戻りまして、児童を使用する
使用者にそういう許可を受けさせる手続をとらせることにして、又児童の
住所地を管轄する
監督署長ではなくして、その
事業所の所在地を管轄する
監督署長の許可を受けさせるということがより児童を保護をいたしまする際に便宜ではないかということで、そういう点から改正をいたしたいという原案を提出したのであります。これにつきましては三者の
意見が一致いたしました。ただそれについて
住所地の
監督署長の
意見を聞くことも又
人身売買等の場合もあ
つて必要ではないか、
従つてそういうことを
規定の中に一条入れることによ
つて三
者意見が一致をいたしました。
十一条の二は女子の深夜業につきまして
中央労働基準審議会の議を経て女子の
健康福祉に有害でない場合規則におきまして
規定をすることができることにな
つております。その法律の第六十二条の四項の
規定を受けまして映画の
製作事業における演技、スクリプター及び結髪の業務、これらにつきまして深夜業を認めることについては三者の
意見が一致をいたしました。
それから二番目の新聞、放送の
事業における
取材員、放送又はテレビジヨンの
事業におけるプロデューサー、アナウンサー及び
美粧職の業務、これらにつきましては
労働者側の
意見は反対である。できるだけ女子の深夜業というものは厳格にすべきであるという趣旨から反対であります。
使用者はこういう
知能労働、いわゆる女子の
知能労働については認めても
健康福祉の点からい
つても差支えないじやないかという御
意見で原案に賛成、
公益側は二つに分れまして、こういう女子の高度の知能を要する職業についてその職業の範囲を狭めることは女子のためにも適当でないし、これらの
事業に従事する女子の範囲も少く、又それらの者は当然
自分自身の
健康管理をなし得る教養のある女子であるから、
健康福祉の上からい
つても差支えないじやないかという御
意見と、それだから
といつてもやはり女子の深夜業というものはできるだけ厳格に
すべきじやないかという御
意見で、
公益側も
意見が二つに分れました。
第三番品に牛乳、
牛酪乳、乳醤、そういういわゆる乳製品を作りまする、
牛乳製品を作りまする第一加工の業務と、かに、いわし等急速に腐敗又は損敗しやすい
生鮮魚介類の第一次加工の業務について女子の深夜業を認めるということにつきましては、
労働者側は先ほどの二号の場合と同じような趣旨で反対である。
使用者側はこれらの業務は通常女子を主体とするのであ
つて、而も又その時間が短時間であるから差支えないではないかという御
意見でありました。
公益側におきましてもこの点
意見が分れまして、
牛乳製品についてはこれは必ずしも女子でなければならないという理由に乏しいのでこの点は反対であるが、かに、いわし等の罐詰はこれは急速に腐敗しやすいものでございます。又国際輸出品でございまして、その規格が非常に厳重に統制される性格のものでございます。而も地理的或いは季節的な関係から言
つて女子でなければならないというほどの強い性格はないが、男子の
労働力を得られない地域、或いは季節的に行われる性質のものであるから認めても差支えないではないかという御
意見、そういう事情もあるにしましても、やはり女子の深夜業というものをできるだけ制限すべきではないかという御
意見から、この改正について反対であるというふうに
意見が分れました。
十三条は年少者、十八才未満の者の就業の制限をいたしておる
規定でございまするが、三号、五号、七号乃至十四号と申しまするのは主任者の業務の制限をいたしております。例えば三号で申上げますると、汽罐の据付工事の作業主任者の業務が
現行法におきましては制限されておりまするが、その汽罐の据付工事自体は十八才未満の者にも認めておるわけでございます。ただ主任者の業務だけを禁止をする措置は適当でないではないか、それは
使用者の労務管理上の問題であ
つて十八才未満の者であ
つてもそれだけの能力があれば主任者につけさせてもいいのではないかというのが三号、五号、七号から十四号の
規定を削除いたします原案の趣旨でございます。
五十三号は酒類の醸造の
事業でございます。これも特別危険有害という
事業ではなく、むしろ杜氏等で年少のときからこれに携わ
つておらなければ立派な杜氏になれないという実情もございまして十八才未満の者でも認めて差支えない。
第五十三号のほうは焼却、清掃又は屠殺の
事業にな
つておりますが、屠殺は明らかに危険有害な性格を持
つておりまするからこれは別として、清掃、焼却は差支えないではないかというのが原案でございます。これについて
労働者側、
公益側、
使用者側全部、焼却は人体焼却を含むのでこれは年少者に少し無理ではなかろうか、
従つて焼却を除きましてその他は全部原案に賛成だということにな
つております。
それから十四条は十八才以上の女子について先ほど申上げました主任者の業務の制限をいたしております。これも十三条の趣旨と同一趣旨で労務管理上の問題でもあるから差支えないじやないかということで削除する原案を提案したのでありますが、これは三
者意見が一致をしました。
十六条は生理休暇につきまして、第三項でございますが、「生理日の就業が著しく困難な女子が生理休暇を請求したときは、
使用者は、その者を就業させてはならない。」という
規定であります。これは法律の六十七条にそのままの
規定がございます。
従つて法律の
規定とそのままダブ
つておる
規定でございますので削除をしたいという原案でございます。
使用者側、
公益側は賛成、
労働者側も趣旨としては反対はないが、生理休暇というものがなかなかとりにくい現状であるので、これに関する報告義務を
使用者に課するという条件を付ければ削除に賛成であるということになりまして、公、使
意見は一致しましたが、
労働者側と
意見は一致しなかつたわけであります。以上主な点だけを御説明いたしました。