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1954-05-11 第19回国会 参議院 労働委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十一日(火曜日)    午前十一時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田畑 金光君    委員            吉野 信次君            阿具根 登君            吉田 法晴君            寺本 広作君            市川 房枝君   政府委員    通商産業省石炭    局長      佐久  洋君    労働政務次官  安井  謙君    労働省労働基準    局長      亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (労働基準法施行規則及び女子年少  者労働基準規則改正に関する件)  (石炭産業危機対策に関する件) ○連合委員会開会の件   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開きます。  委員の方にお諮りいたします。先に井上理事が当労働委員会委員を一時辞任されまして、理事が一名欠員のままになつておりましたが、井上君が再び労働委員になられましたので、井上君を理事に指名をいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御異議ないものと認めてさよう決定いたします。   —————————————
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 次に、労働情勢一般に関する調査を議題に供します。先ず労働基準法施行規則の一部改正につきまして中央労働基準審議会から労働大臣宛答申がなされておりまするので、これに対する一応の解明並び労働省としてとられようとする処置等につきまして説明を聴取したいと存じます。
  5. 安井謙

    政府委員安井謙君) 只今委員長からお話のございました労働基準法施行規則及び女子年少者労働基準規則改正に関しまして、一応の労働省といたしまして事務的な試案を作りまして、これを中央労働基準審議会の御意見を伺つたわけでございます。御承知通り答申案が出ました。この中には相当数三者の御意見一致して政府試案に対して御賛成を表せられておる向きも相当多数ございます。又一部にはまだ御議論のある点もあるように見受けております。この答申案意見につきましては、今後労働省といたしましても十分慎重に検討いたしまして、今後の結論を出したいと思つております。只今のところまだこの答申案をそれじやどういうふうに扱うかという最後的な検討の結果の決定はまだ見てない次第でございます。なお、主な点で若しあらかじめ総括的に御説明申上げたほうがよろしければ、基準局長から重点だけでも御説明いたしたいと思います。
  6. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは亀井基準局長から答申案内容につきまして主な点の説明を補足的に求めたいと思います。
  7. 亀井光

    政府委員亀井光君) 只今政務次官からお話のございましたように、去る三十日に答申がなされまして、引続きまして本月の六日、東京におきまして、七日大阪におきましてそれぞれ公聴会を開きました。我々としましては、中央労働基準審議会の答申並びに審議の経過及び公聴会におきまする労、使、公益側意見等を参考といたしまして、事務的な素案をこれから作るように着手いたしたいと、かように思つております。一応政府が提案いたしました諮問案の主な点と、それに対しまする審議会の審議の経過及び答申等につきまして御説明をいたしたいと存じます。  第一は五十一ページを御覧頂きますると、これが政府が中央労働基準審議会に答申を求めました改正案要綱でございます。第五条、これは労働基準法の第十五条によりまして労働者を雇入れます際に、労働契約を結びます際に明示をしなければならない労働条件の範囲を定めておるのであります。法律の十五条では、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない規定になつております。そこで賃金、労働時間は別としまして、その他の労働条件がどの程度のものを明示すべきかということをこの五条で書いてあります。現行法におきましては就業規則に掲げておりまするすべての棄項、法律の八十九条に書いてございます。その中で九号は、労働者のすべてに適用される定めをした場合においてはその定めを示すようにという趣旨でございますが、この九号の中には労働条件でないものも含まれておりまするし、或いは労働条件であると認められるものも含んでおります。ところがそのすべてを示すということは非常にその内容があいまいでございまするだけに、法律の十五条の規定から言いますとそういうあいまいなものを罰則まで示して明示させることは少し無理ではないかということで、この就業規則の最後の九号を削除するというのが第二号の改正であります。  もう一つは事業附属寄宿舎規則の内容を労働者に示すということが第三号になつておりますが、事業附属寄宿舎規則と言いまするのは労働者私生活におきまする内容を定めましたものでございまして、これが直ちに労働条件であるかどうかということにつきましてはいろいろ問題があるわけでございます。我々の解釈から申しますと、この問題は私生活の自由を定めたのでございまして、労働条件とは認められがたいのではないだろうかということでこれを削除する原案を出したのであります。審議会におきましてはこれらの問題について審議をいたしました結果、九号を削除するといたしましても、九号の中に先ほど申しました労働条件と見られるもの、例えば休職に関する条件、これあたりは明らかに労働条件とみなされまするので、九号を削除することは差支えないが、それに代つて休職に関する定めを明示するようにしたらどうだろうかということで二号につきましては意見が一致しました。それから三号の寄宿舎規則につきましては審議会寄宿舎規則労働条件になるかどうかということを論議することは避けまして、寄宿舎規則労働条件でないということをはつきり結論を付けないまでもこれを示すことは必ずしも適当ではない、併しながら寄宿舎に入りまする場合と出る場合、即ち入舎と退舎の場合の条件はこれは雇用関係と結び付いて参りますから、これだけを示すことにして、寄宿舎規則の内容は事業附属寄宿舎規則の中で今度これも改正をいたす予定で準備いたしておりまするが、その中に一条を設けて、労働者を寄宿させる場合にはこれを明示させるという規定を置いたわけであります。というのでこの点は三者御意見が一致をいたしました。  それから次に大きな問題は三番目の十六条の問題でございます。これは御承知のように法律の第十三条の規定によつて時間外労働及び休日の労働につきまして労使の協定によつて定まつて参りまする性質のものでございまして、法律のその規定は命令にその期間の制限について何ら委任をいたしていないのに、規則の十六条におきまして労働協約による場合は一年、その他の場合は三カ月を超えてこの協定並びに協約を締結してはならないという制限があるのであります。従つてこの規定は法律の根拠が薄いということで削除を我々としてはいたしたいということで意見を問うたのでございますが、これにつきましては三者意見がまちまちでございまして、労働者側は絶対反対である。と申しまするのは、八時間労働制に対する例外であるから、これはできるだけ制限をすることが適当であるという御意見であります。使用者側は法律に根拠がない規定であるからこの規定を削除することに賛成する。公益側も結論的には労働者側と同じ意見で、現状のままで改正することは適当でないという結論になりましたが、公益側だけの審議の過程におきましては、この問題について法律の根拠のないことはこれはまあ明確であるから削除することも考えられるが、併し削除すれば無制限に延びて参る、無期限の協定になるのでこれは適当でない。従つてそういう場合においては解約の申入れをする手続規定を入れる必要があるのじやないだろうかというふうな御意見もございましたが、結論としましては現状のままで差支えないのではないかということでございます。  それから二十四条は、集団的に入坑或いは出坑する場合の時間計算の問題でございまして、個々の労働者について時間の計算をやりまするのが労働基準法の建前でございます。炭鉱或いは鉱山等におきましては一団となつて入出坑をいたしまするので、その場合にその団に属します労働者労働時間を個々について計算しないで、その団として計算して行くという方式を、現行法におきましては、労働基準監督署長の許可を受けた場合にそういう方式がとれるという規定でございます。許可を受けまするについては法律の上で何ら根拠がないのでございまして、我々としては許可制を廃止をして、国際労働条約で定めておりまする方式をとりたいというので諮問をいたしたのであります。これについては労使、公益三者の意見が一致をいたしまして、現行の規定はそのまま残し、二項に国際労働条約と同じ規定を設けて選択をさせることにしたらどうだろうかという結論になつたわけでございます。  それから次は二十五条でございます。これは有給休暇の資格がつきました場合におきましては、その直後直ちに労働者が請求する時期を使用者が聞かなければならないというのが現行規定でございます。ところが法律の三十九条にはそういう場合の義務を命令に譲つておりません。従つて法律の根拠のない新しい義務を使用者に課することは国家行政組織法第十二条に違反することになりますので、これは削除したいというのが原案であつたのであります。これについて労働者側は削除すること自体については異存はないが、併しとかく有給休暇というものは忘れられがちになるから、使用者が一年経過後、お前は今年は何日間有給休暇を取れるのだというようなことを労働者に知らせることを規定すればいいのじやないだろうかという意見もあり、使用者側政府原案に賛成である。公益側もこの意見が分れまして、法律に根拠がないので削除すべきであるという意見と、わざわざ削除する必要もない。いわば訓示規定じやないだろうかということで、現状のままで差支えないのじやないかという意見がございまして、意見の一致を見ませんでした。  二十五条は技術的な改正でございます。ただ二項におきまして有給休暇に支払われる賃金を有給休暇の資格が出ました後賃金の締切日前に払うか或いは次の賃金締切日に払うか、その選択を使用者に任せておる規定でございますが、賃金締切日前に賃金を支払わなければならんという規定は法律の第二十四条から出て来ないのでございます。従つてこれを削除することを提案をいたしたのであります。これについて労働者側有給休暇に対して支払われる賃金というものは過去一年間において労働した成果に対して支払われるので、すでに労務の提供はなされておるから事後に支払われる。即も賃金締切前であつても事後の支払になるのであるから差支えないじやないかという御意見使用者は法律に根拠のない新しい義務、基準法の第二十四条の規定にない新しい義務を課しておるので削除すべきではないかという御意見公益側もこの問題につきましては二つにやはり分れまして、結論が得られなかつたところでございます。  第七番目は新しいと申しますか、規則の二十六条で一昼夜交替制を運送の事業に認めておる。その中で自動車……列車、電車は現在一昼夜交替制をとつておりません。手続上の問題はございません。自動車、特にハイヤータクシーなどが一昼夜交替制をとつておりますために、午後十一時以後において朝からの勤務の疲れが出まして、事故が非常にその時間以後、午前二時頃までに亙つて事故が出るということで、一般の労働者の保護ということを兼ね合せて一般公衆に対してそういう危険を防止するという趣旨から一昼夜交替勤務例外措置を認めないということにしたいというのが原案の趣旨でございます。これに対しまして労働者側は賛成でありました。ただ直ちにこの規定を実施しますると、現在のハイヤータクシーにおける給与体系問題等からいたしまして、賃金手取りが非常に低下して行く、従つて直ちにやりますることは却つて労働者のために有利にならないから一定の猶予期間をこの施行について設くべきではないかという御意見でございます。そしてその猶予期間としては或いは六カ月とか一年とか、はつきりした猶予期間を置くべきではないかという御意見使用者側ハイヤータクシーにつきましては大体労働者側意見が一致をいたしました。ただ区間路面自動車運送というような事業長距離輸送の、例えば東京から名古風まで貨物自動車で貨物を運送する、こういうような場合には一昼夜交替制でやりますることが現実の面として必要になつて来る。ハイヤータクシーは差支えないが、この区間路面運送事業については一昼夜交替制をとつてもらいたいという御意見で、この点についてのみ意見が一致いたしておりません。二番目は、一昼夜交替勤務をとります場合に、夜間継続四時間以上の睡眠を取らせなければならないというのが現行の規定でございます。労研で実験をいたしました結果、或いは国鉄等で実験をしました結果、継続三時間で継続五時間と申しますか、二分割いたしまして、三時間継続、あとの二時間を一定の間隔を置いて又二時間、結局五時間、継続五時間でやりましたのと継続四時間でやりましたのと、実験の結果それほど睡眠の深さ或いはそれによつて参りまする疲労の回復の度合等において差がないから、国鉄のダイヤの編成その他の勤務割から言いまして、この二つに分けるほうが実情に即するのではないかということで原案を提案したのであります。労働者側は本質的に反対ではないが、ただその実験のデータがまだ十分納得が行かない。もう少し実験を広くやつて頂いて、その結果について納得が行くならばあながち反対ではないという意見使用者側はすでに労研等での実験の結果が出ているから直ちにこの改正を実施して差支えないのではないかという御意見公益側も大体労働者側と同じように、実験の成果というものについてまだ十分の自信が持ち得ない。もう少し広く実験をして、その結果について納得が行くならば改正して差支えないという御意見意見の一致しなかつたところであります。  三番目は、列車、電車に乗務します予備乗務員、これは運転士乗務員に事故がありましたときに臨時に出た場合、或いは電車、列車等衝突事故その他の事故の場合に臨時にダイヤを編成して運転するための予備の乗務員を置いておるのであります。それらの予備乗務員につきまして法律の第三十二条の二項による変形八時間制の定めをしました場合に、一般の労働者でございますと、特定の日において八時間を超えて労働させる場合或いは特定の週において四十八時間を超えて労働させることの定めをあらかじめしまして、労働者にその就業規則を知らせておくことができるのであります。予備乗務員という特殊な性格からして、そういうように特定の日、特定の週と予定をいたしますことが困難であるということから考えて、予備乗務員につきましてはそういう日を特定しないで、場合を特定する、事故の発生されるというふうな場合を特定することによつて平均四十八時間制を取れることにしたらどうだろうかという原案でございます。これにつきまして三者意見が一致いたしまして、改正案に賛成である。ただ予備乗務員というものの範囲について一定の制限を加えないと適当でないというので、これらの点について明確な範囲を限定されたいという条件を付けて三者意見が一致いたしました。  次は二十七条でございます。これは物の販売、配給の業務につきまして現行法では常時十人未満の労働者を使用する事業におきましては、八時間労働制に対して例外的に九時間労働制を認めておる。それを常時三十人未満に拡大してはどうだろうかという原案の趣旨でございます。これは東京等実地調査をいたしましたところ、十人と三十人とにおきましては、労働者労働実態が相異がないのでございます。三十人を超えますと非常にそこに差が出て参りますが、差が出て来ないので、この点はこれまで拡げて差支ないじやないかという原案の趣旨であります。これに対しまして労働者側は勿論反対であるのであります。むしろこの常時十人未満というものも削除すべきではないだろうかという御意見使用者側は常時三十人でも少いので、これを常時五十人未満ぐらいに拡大すべきじやないかという御意見であります。公益側はこれにつきましては結論的に反対であるという意見にはなりましたが、その審議経過におきましては、これらについて或る程度緩和することも考えられるが、然らばこれは何人が適当であるかということになりますとなかなか根拠がつかみ得ないので、一応現状維持ということで結論的にはそういうことになつております。従つて公益側労働者側のほうの意見と同じになり、一致しなかつたところであります。  次の第三十条は八時間労働制に対しまして例外として十時間労働制をとつておりまするもの、先ほど申しました運送の事業とか或いは三十人未満を雇用いたします電信電話事業或いは消防、警察官というふうなものにつきまして、女子についてのみ三十六条の時間外或いは休日労働の協定を認めないというのが現行の規定であります。この規定は法律の第三十六条によりますると男子、女子の区別をせず、時間外並びに休日労働の協定を認めておりますので、その三十六条の規定に違反するのではないか。而も又事実上二十七条におきましては、時間外労働の協定を認めておる。只今申しました販売、配給の場合……、然るに先ほど挙げました運送事業或いは電信電話事業或いは消防、警察というふうな面に認めない、調整が取れないじやないかということが一つであります。実害としましては、運送の事業には女子も殆んどおりませんし、又警察、消防等におきましては国家公務員法或いは地方公務員法等の適用がございまして問題はございません。問題は三十人未満の郵便局におきます電信電話事業でございます。これに従事しまする女子労働者も数が僅かでございますし、そう実害がないということで削除の原案を出しております。労働者側はこれは二十八条の電信電話の場合だけについて外すことは、三十条を削除することは異存はないが、但し二十八条についてこの十時間労働を時間外労働が認められている年間百五十時間というものの制限をこの十時間労働について条件を付けるならば賛成であるという意見使用者側は法律に根拠がないという趣旨で原案に賛成である。公益側もこの点二つに御意見が分れまして、大部分は削除賛成ということになつたのでございます。一部はまあ現状でも差支えないのじやないかという御意見もありました。  次は大きな問題としましては四十三条、これは遺族補償を受けまする順位について規定をいたしておりますが、現行の規定でございますると、労働者が死亡しました当時、労働者の収入によつて生計を維持された者が血族関係がなくても、血族関係のある、併し労働者の収入によつて生計を維持されていない血族関係者、即ち子、父母、孫、祖父母よりも優先するということが規定されまして、これは社会通念から申しましても、いわゆる居候が家族の者に優先するということは順位として適当でないということで、その順位を変更いたしまする原案でございます。これにつきまして使労、公益三者が意見の一致をいたしました。そのほかは手続的な規定でございまして、これにつきましてはそれほど御議論がございません。大体一致いたしました。  ただ四十九条、就業規則を届出ます際に労働協約を添付しなければならないという規定がございます。これは手続規定でございますが、労働協約を添付しなければならないということについては法律に何らそういうことを命令に委任していないのでございます。これを添付を要しないこととして、様式を廃止したいというのが原案の趣旨でございます。これについては労働協約を添付しないことは差支えないが、様式を削除することによつて就業規則について労働者の過半数の意見を求めることになつております。その意見が正しく提出されたかどうかについての証拠がつかめないのではないか。従つてその意見についての記名、捺印の手続をとらしむるならば、こういうふうにして原案通りに改正することに異存はないというのが労働者側意見使用者側は原案に賛成、公益側は原案に賛成、あとは大したことはございません。  次は女子年少者労働基準規則の改正でございますが、第二条は戸籍の証明、労働者の年齢を証明するために戸籍抄本を提出させる。現行の規定ではそれを十八才に満たない児童に提出させる義務を課しておるのであります。ところが労働基準法規定によりますると、使用者側が無料で戸籍証明書を請求することができる規定もございます。又基準法全体の建前が、使用者に義務を課しておるのが原則的な建前でございます。それを児童に義務を課することはその本則に反するので、この規定は削除するということの原案でございます。これにつきましては労使、公益三者の意見が一致いたしました。  それから三条から八条までは、十五才未満に満たない児童を使用する場合の許可或いはその手続等規定いたしております。この建前もすべて児童がそれらの手続をその児童の住所地を管轄する監督署長に対してするような形式をとつておるのでございます。これを労働基準法一般原則に戻りまして、児童を使用する使用者にそういう許可を受けさせる手続をとらせることにして、又児童の住所地を管轄する監督署長ではなくして、その事業所の所在地を管轄する監督署長の許可を受けさせるということがより児童を保護をいたしまする際に便宜ではないかということで、そういう点から改正をいたしたいという原案を提出したのであります。これにつきましては三者の意見が一致いたしました。ただそれについて住所地監督署長意見を聞くことも又人身売買等の場合もあつて必要ではないか、従つてそういうことを規定の中に一条入れることによつて者意見が一致をいたしました。  十一条の二は女子の深夜業につきまして中央労働基準審議会の議を経て女子の健康福祉に有害でない場合規則におきまして規定をすることができることになつております。その法律の第六十二条の四項の規定を受けまして映画の製作事業における演技、スクリプター及び結髪の業務、これらにつきまして深夜業を認めることについては三者の意見が一致をいたしました。  それから二番目の新聞、放送の事業における取材員、放送又はテレビジヨンの事業におけるプロデューサー、アナウンサー及び美粧職の業務、これらにつきましては労働者側意見は反対である。できるだけ女子の深夜業というものは厳格にすべきであるという趣旨から反対であります。使用者はこういう知能労働、いわゆる女子の知能労働については認めても健康福祉の点からいつても差支えないじやないかという御意見で原案に賛成、公益側は二つに分れまして、こういう女子の高度の知能を要する職業についてその職業の範囲を狭めることは女子のためにも適当でないし、これらの事業に従事する女子の範囲も少く、又それらの者は当然自分自身健康管理をなし得る教養のある女子であるから、健康福祉の上からいつても差支えないじやないかという御意見と、それだからといつてもやはり女子の深夜業というものはできるだけ厳格にすべきじやないかという御意見で、公益側意見が二つに分れました。  第三番品に牛乳、牛酪乳、乳醤、そういういわゆる乳製品を作りまする、牛乳製品を作りまする第一加工の業務と、かに、いわし等急速に腐敗又は損敗しやすい生鮮魚介類の第一次加工の業務について女子の深夜業を認めるということにつきましては、労働者側は先ほどの二号の場合と同じような趣旨で反対である。使用者側はこれらの業務は通常女子を主体とするのであつて、而も又その時間が短時間であるから差支えないではないかという御意見でありました。公益側におきましてもこの点意見が分れまして、牛乳製品についてはこれは必ずしも女子でなければならないという理由に乏しいのでこの点は反対であるが、かに、いわし等の罐詰はこれは急速に腐敗しやすいものでございます。又国際輸出品でございまして、その規格が非常に厳重に統制される性格のものでございます。而も地理的或いは季節的な関係から言つて女子でなければならないというほどの強い性格はないが、男子の労働力を得られない地域、或いは季節的に行われる性質のものであるから認めても差支えないではないかという御意見、そういう事情もあるにしましても、やはり女子の深夜業というものをできるだけ制限すべきではないかという御意見から、この改正について反対であるというふうに意見が分れました。  十三条は年少者、十八才未満の者の就業の制限をいたしておる規定でございまするが、三号、五号、七号乃至十四号と申しまするのは主任者の業務の制限をいたしております。例えば三号で申上げますると、汽罐の据付工事の作業主任者の業務が現行法におきましては制限されておりまするが、その汽罐の据付工事自体は十八才未満の者にも認めておるわけでございます。ただ主任者の業務だけを禁止をする措置は適当でないではないか、それは使用者の労務管理上の問題であつて十八才未満の者であつてもそれだけの能力があれば主任者につけさせてもいいのではないかというのが三号、五号、七号から十四号の規定を削除いたします原案の趣旨でございます。  五十三号は酒類の醸造の事業でございます。これも特別危険有害という事業ではなく、むしろ杜氏等で年少のときからこれに携わつておらなければ立派な杜氏になれないという実情もございまして十八才未満の者でも認めて差支えない。  第五十三号のほうは焼却、清掃又は屠殺の事業になつておりますが、屠殺は明らかに危険有害な性格を持つておりまするからこれは別として、清掃、焼却は差支えないではないかというのが原案でございます。これについて労働者側公益側使用者側全部、焼却は人体焼却を含むのでこれは年少者に少し無理ではなかろうか、従つて焼却を除きましてその他は全部原案に賛成だということになつております。  それから十四条は十八才以上の女子について先ほど申上げました主任者の業務の制限をいたしております。これも十三条の趣旨と同一趣旨で労務管理上の問題でもあるから差支えないじやないかということで削除する原案を提案したのでありますが、これは三者意見が一致をしました。  十六条は生理休暇につきまして、第三項でございますが、「生理日の就業が著しく困難な女子が生理休暇を請求したときは、使用者は、その者を就業させてはならない。」という規定であります。これは法律の六十七条にそのままの規定がございます。従つて法律規定とそのままダブつておる規定でございますので削除をしたいという原案でございます。使用者側公益側は賛成、労働者側も趣旨としては反対はないが、生理休暇というものがなかなかとりにくい現状であるので、これに関する報告義務を使用者に課するという条件を付ければ削除に賛成であるということになりまして、公、使意見は一致しましたが、労働者側意見は一致しなかつたわけであります。以上主な点だけを御説明いたしました。
  8. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 一応説明は終つたのですがね、問題は三者構成の委員会で意見一致した部分は問題ないと思いますが、意見一致を見なかつた部分について労働省がどういう工合にこれを調整し、これを処理しようとしておるか、そこが一番問題なところだろうと思いますね。だからそういうような点を中心にしまして若干の質疑を行なつておいたほうがよくはないか、こう考えますが、如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それからそういう意見一致しなかつたものについてこれから一般的な方針を承わり、個別的に入るわけですが、公聴会等を開いておられます。東京と大阪で開いておられますが、そこでも恐らく関係者の意見労働者側或いは公益と申しますか、第三者の意見は恐らく審議会の場合と同様であつたろうと思う。それをどういう工合に評価されるか。従つて審議会それから公聴会等を通じて労働者側或いは公益と申しますか、或いは第三者と申しますか、そういう者の反対の強かつたものについて、恐らくそれを押し切つて原案そのまま改正せらるるということはないと思いますけれども、その辺の一般的な方針或いは個別的な意見を先ず聞いておきたいと思います。
  10. 亀井光

    政府委員亀井光君) 先ほども政務次官から御答弁のございましたように、意見一致を見なかつたものがやはり一番問題になろうかと思います。我々もこの問題をどういうふうに取扱つて参りまするか、慎重に今検討をいたしておるところでございまして、まだ結論を得ていない現状でございます。法律的に見ましてもいろいろ問題のありまするところでございまするし、実情から見ましても又いろいろ問題もあろうかと思いますので、そういうものを十分考えながら慎重に検討いたしたいと思つております。
  11. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 恐らくここで今個別にこれだけ厖大なものを質疑を終えるということは非常に困難だと思いますので、ただ方向だけを承わりたいと委員諸君もお考えだろうと思う。問題は労使公益のこの三者の意見ですね、意見が不一致といつても、その不一致なものについて労働省として今後研究をして或いはとり或いは捨てるわけでしようけれども、その場合に一番やはり問題になるのは公益委員意見、こういうものを尊重せらるるかせられないかということが私は一番問題になると思うですね。或いは資本家の意見だけ聞いてきめてしまうとか、或いは労働者意見だけ聞いてきめてしまうということであれば、公益委員というものは要らないわけです。そこで公益委員というものが相当一致して意見を述べたことについては、労働省はこれを確実に尊重してやるというような心がまえがあるかないか、そういうようなところを一つ承わつておけばいいのじやないかと思います。
  12. 安井謙

    政府委員安井謙君) その審議会の御意見或いは公聴会の御意見について特に公益側委員の御意見を非常に尊重しなきやいかん建前は十分承知しております。又そうするつもりでおります。ただ公益委員の御意見の中にもいろいろニュアンスがありまして、賛成反対、或いはいいような結論が出ましても、その中には条件付であつたり、いろいろとこみいつた議論が出ておるように伺つております。その点十分検討いたしました上で慎重に善処いたしたいと、こう考えております。
  13. 田畑金光

    ○田畑金光君 そうしまずと、基準審議会答申案が出されて、意見一致を見たものはそれを尊重されること、これは当然だと思いますが、三者の意見がそれぞれ食い違つた場合には公益側意見を尊重されるということも又これ当然のことだと思うのですが、併しまあこの当然の措置をおとりになる御意思があるかどうかという問題ですね。  もう一つの点は、一体労働省としましてはこの答申案が出されて、先ほど説明された通りの結果になつておるわけですが、これらの答申案を見られ、或いは公聴会等をお開きになつてその御意見等お聞きになつて、今後労働省としてはこれらの上に立つていつ頃この規則改正ということを実際におやりになる御予定なのか、こういうような点も併せてお尋ねしておきたいと思います。  それからもう一つは、基準審議会というまあ一つ諮問機関でありまするがこれに対しまして従来この基準審議会がどういうような役割を果して来たか。具体的に申しますと、従前この基準審議会意見を取入れられて規則改正等をなされた実例があるかどうか、この点等も一つ基準審議会の性格と労働省がどの程度これを尊重して来られたかという過去の実績等がおありになるならば一つ説明撒いたいと思います。
  14. 安井謙

    政府委員安井謙君) 田畑委員おつしやる通りにでき得る限りこの審議会の御意見を尊重いたしまして、慎重に検討をしたいと思うのでありますが、労働省の態度決定はいつになるかというお話でありますが、今まあ鋭意研究中でございまして、極く最近公聴会もあつたばかりで、まだ十分な資料の整備もつきかねておるような次第でありまして、恐らく今月一ぱいではむずかしいのじやなかろうかというふうに見通しを立てています。審議会委員なり従来の経過の具体的な実例につきましては基準局長から御説明申上げます。
  15. 亀井光

    政府委員亀井光君) この審議会の性格は労働大臣の諮問機関でございまして、労働大臣の諮問を受けまして、それについて意見を述べ答申いたしまするのが本来の職務でございます。そのほかに必要な事項につきましては審議会みずから決定をしまして労働大臣に建議をすることもできる権能も持つております。過去におきましては法律及び附属省令の改正につきましては必ずこれを審議会諮問をいたす建前をとつておりまするし、又基本的な各種の問題、全国に亙る基本的な各種の問題につきましても、審議会の議を経て出す建前をとつておるわけであります。最近におきましては去る昭和二十七年の第十三国会に労働基準法の一部改正を提案をいたしましたその際におきましても各方面、労使双方から出されました意見を中心として検討がなされまして、意見一致を見まするとそのまま取上げまして改正法律案として国会に提案をいたしました。その附属省令につきましては意見一致をしましたものはそのまま省令として改正をいたしました。ほかに二つの点だけ、これは労使公益、三者意見一致しなかつたものがございます。と申しますのは、公益の中で二つ意見が分れておりました問題がございます。その問題につきましては労働省が独自の立場から改正をいたしました実例がございます。それが最近におきまする審議会の動きであります。
  16. 田畑金光

    ○田畑金光君 そういたしますと答申案に対する労働省の態度としてはこういう態度であると解釈してよろしいかという点ですが、幸いに三者構成の意見の統一のできた点についてはその意見を採用して規則改正に当るということ、第二の問題といたしましては、三者の意見の或いは食い違いがあつたり或いは二者の意見一致は見たが、三者としての意見の食い違いが出たというような場合に、そういうような場合には公益者側の意見一致を見た点を規則改正においても尊重して取入れる方針であるということで行かれるか。それでただ問題として残ることは、第三の場合として、三者構成それぞれの意見の食い違いがあり、更に公益側意見の中にも食い違いがあつた場合に、労働省労働省の立場でその問題となつた点について独自の見解を以て臨むのかどうか。まあその三つに仮に集約されるといたしました場合、第二の場合、三者構成のそれぞれ意見が食い違つたが、そのような場合には公益側意見を取入れて規則改正に当るのだ、こういう方針で労働省はおいでになるのかどうか、この点繰返して又お尋ねしたいと思います。
  17. 安井謙

    政府委員安井謙君) 先ほど申上げましたように三者の中の特に公益側意見を十分尊重しなければいかんと心得てやつております。ただ公益側意見と申しましても、先ほども申上げました通りいろいろニューアンスがございまして、同じきまり方でありましても、その過程にいろんな議論条件とかその他についてあるものでございますから、そういつた点も十分検討いたしました上で御趣旨に副うようにいたしたいと考えておる次第であります。なお三者がばらばらの場合につきましてもそれぞれの内容について検討しました上、これは労働省でいいと思われるような決定に持つて行きたいと思つております。
  18. 阿具根登

    ○阿具根登君 この審議会委員の選考はどういうような径路でどう選考されたか、それを伺いたいと思います。
  19. 亀井光

    政府委員亀井光君) 労働者側につきましては、昨年まで協議会がございまして、総評の中に総同盟も入りまして推薦協議会が作られております。その協議会から推薦を受けた方をそのまま、普通原則は倍数の推薦を受けまして労働大臣がその中から定員の七名を選定するというやり方をとつております。それから使用者側につきましては、日経連に委嘱いたしまして、日経連からやはり倍数の候補者を出して頂きまして、その中から労働大臣が選定する。公益側は、これは労働大臣が一方的に委嘱するのでございます。たた労働基準法の分野から申しまして、安全関係の専門家と労働衛生関係の専門家二人、それと女子の代表、これは必ず入れなければなりませんので、そういう制約は受けますが、労働大臣が一方的に委嘱するという形になつております。
  20. 阿具根登

    ○阿具根登君 倍数の中から労働大臣が委嘱したとおつしやるけれども、それは労働大臣が一人できめるのでなくして、次官、局長が当然参加されておると思いますが、この労働者の代表一つを見ましてもあなた方もこれはおかしいとお思いになると思う。日本全国の労働組合の中から選ばれたのでありますが、金属関係から二名、国鉄から二名出ておる。ところが今審議されたその内容お話になりましたが、第二十四条関係だけでも、これは炭鉱労働者にとつては実に重大な問題である。ところが今の説明を聞いてみると炭鉱の何たるかを知らない人が審議しておる。いわゆる入坑時間、これが作業をした労働時間だ、こういうようなまるで炭鉱の実態を全く知らない人が審議しておる。余りにもこういう偏頗な、十四名の中から七名選考したというが、これは何か他意があつたのか、どういう理由でされたか、お聞かせ願いたいと思います。
  21. 亀井光

    政府委員亀井光君) 先ほどは倍数ということを原則論で申上げました。現実的には労働者側委員の推薦につきましては、七名の推薦を受け、そのまま任命したという具体的の事実になつております。原則は倍数というのは、従来司令部がおりました当時からでございまして、我々も倍数の依頼はいたしたのでございます。現実には七名しか出て来なかつたのであります。その七名をそのまま任命いたしました。
  22. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 問題は施行規則でございますから、制度の上から言えば国会に相談すべきことでないかも知れませんが、労働基準法改正してもらいたいという日経連或いは経済界の要望を政府が取上げて、法の改正は国際的の影響もあつて困難だから、そこで実質的に施行規則で今の労働基準の水準を下げたい、こういう意図で基準法施行規則改正に着手されたというふうに大体見てよかろうと思うが、それを御否定になるならば御答弁を願いたい。そして施行規則改正案を作つて諮問されたと思うが、最近の諮問の仕方を見ておりますと、或いは米価審議会にしてもそうですけれども、まあ他の省のことは言わなくても、最低賃金制等の諮問等において諮問というものをそう尊重なさらないのが最近の政府の実績じやないか、そういたしますと来月になつたらということでありますが、今月一ぱい無理だから来月以降ということでありますが、労働省施行規則改正をおやりになる、それも意見一致を見たところは勿論これ幸い、それから意見一致しなかつたところでも公益委員の中で意見が分れておれば、政府側の原案に多少でも賛成するような意見が弱くてもあれば、それを取上げて公益委員の中にもこういう意見があつたということで改悪をなさろうとする危険性がこれはあると考えられる。ところが職業安定法の施行規則改正にいたしましても、これは一昨年であつたかと思うのでありますが、恐らく職業安定審議会にかけられたでしよう、その議論の詳細は知つておりませんけれども、その職業安定法の施行規則改正によつて今日どういうような状態が起つておるか。或いは労働ボスの萌芽がそれによつてできておるということは、これは委員会の別の機会に私ども指摘して参つたところであります。同様の危険性が基準法関係に現われることを私ども非常に心配をするのであります。従つて審議会意見一致しなかつたものについて十分尊重せられるだろうかということを申上げるのです。労働委員会としては、労働省自体が労働基準法を守る或いは水準を守つて行く、或いは基準法は最低であつて、実際にはそれ以上に労働関係がよくなることについて努力せらるべきだと思うのであります。そういう逆に施行規則改正等を以てやられようということはこれは何としても納得が行かん。そこでそれについての心がまえを伺うわけでありますが、慎重審議、或いは審議会意見も十分参酌しましてという言葉の中には、話が具体的でございませんので、今までのような危険性を感ずるのであります。これらの点についてもう少し納得の行く御答弁が願えれば一般的に承わつておきたいと思います。  或いは先ほど伺つておりまして、これは曾つてこの委員会で赤松委員からも御指摘がありましたが、寄宿舎はこれは労働条件には関係しないのだ、あれは福利施設だと、こういうことから私生活については規律をしないのだとして野放しにすることによつて、野放しにすると申しますか、或いは入舎、退舎についてはとにかく、あとは放つて置くということが、女子寄宿舎をどういう工合にするかはこの間委員長初め二、三の議員と鐘紡の工場について見たところでありますが、労働条件と申しますか、或いは私生活の低下を来たすことは自明の理ですが、そういう点で寄宿舎労働条件じやない、私生活だという考え方には私ども賛成することはできませんが、或いは先ほどからの説明にもありました問題点で、女子年少者の労働基準規則改正の関係で、例えば十一条の二等について、かに、いわし等については余り異議がなかつた、併しその他という言葉があつて、これはその解釈が一方的に労働省によつてどんなにでも拡大せられるのじやないか。その他という文句に非常に危険性を感じたりするのでありますが、全体を通じて一々拾つて行くわけには行きませんが、挙げますと、施行規則の二十七条関係の十人以上を三十人以上に改める、これについても相当異論があつたのです。で厚生年金でさえも適用範囲を拡大すべきだということを厚生委員会は急速に調査をして、そうしてその実現のために努力しよう、予算を計上せよと、こういう決定をしております際に、基準法の適用範囲を狭めることは、これは基準法の精神から言つて逆行だと思うし、或いは今のような事例からしましても、時代逆行だと思うのでありますが、二十七条関係について審議会反対意見のありましたことは先ほどの御説明通り、特に労働者公益代表も現状のままとすべきだという意見がありましたが、この二十七条関係についてどういうおつもりでありますか。  それから十六条関係の時間外協定の問題、これも労働者代表或いは公益代表は現行のままとするということでありますが、心配されるのは、こういう期間定め削除いたしますと、恐らく労働協約もできておらんところが大部分、これは大きいところにしてもそう、それから特に中小企業の場合に協約はもとより、今までの規則で三カ月ごとに、或いは協約の場合一年ごとに改訂をすると、こういう相談をしておる。こういうことになつてつても、実際には殆んど無視されて会社側の言いなりになつて来た点から考えれば、こういう条項を削除して危険なしということになりますと、十時間労働或いはそれ以上のものが時間外協定ができて、或いはそれが野放しに有効だということで、恐らく時間外労働の十時間労働、それ以上の労働の実態になつて来る。今日でも十二時間労働を実際やつておるところもありますが、そういう危険性がこれは歴然と出て参ります。そういうところに心配があるわけでありますが、この十六条関係等についてどういうように考えておられますか。慎重審議というのは曲者です。慎重審議というのを一つ具体的に御答弁を願いたいと思います。
  23. 亀井光

    政府委員亀井光君) 只今御質問のございました条文の一般的なことにつきましては、先ほど政務次官から御答弁のありました気持で我々も事務的に考えてみたいと思います。お話のございました第五条の寄宿舎規則労働条件であるかどうかということにつきましては、審議会では深く掘下げられなかつたのであります。明示をすることはこれは必要ではないだろうか、ただ労働条件であるから、罰則を付けて明示しなければならないということになりますと問題があるので、明示をするということについては寄宿舎規定改正の際に一条をそこに入れて明示する措置をとつたらどうか。ところが寄宿舎からの入退舎はこれは雇用関係と結び付く問題だかこれは労働条件と見て差支えない、この程度でいいということで労、公、使一致した意見であります。考え方は先ほど政務次官から御答弁頂きましたように、結局公益側意見というものが我々今後の検討の大き柱になると思います。恐らく公益委員の中にも結論を得ますまでにいろいろな審議経過において出されました意見というものが各公益で皆違うのであります。形の上で方針としては現状のままとするということに一応なつておりますが、それまでに至りまするまでにはおのおの公益側委員の方々の御意見が出ております。そういうようなものを十分参考として我々今後の作業をいたしたい、かように思つております。
  24. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 例えば施行規則の十六条とか二十七条とかいうものを挙げて今後の考え方というものを伺つたわけです。
  25. 亀井光

    政府委員亀井光君) 五条の御説明は先ほど申上げました。十六条につきましては公益側の御意見についてはいろいろ議論が出まして、労働者側意見と同じように時間外労働というものは八時間労働制に対する例外であるから、できるだけ制限すべきである。法律根拠がないということはわかるが、併しないからということの形式的な理由だけで削除するのは実情に合わんではないかという御意見一つ。それから明確に法律根拠がないから削除してもよろしいという意見もございました。それから又削除すれば無期限の協定になるから、その場合には解約の申入れをする手続規定をここに設けて、その解約が自由にできるようにすべきではないかという意見。或いは労働協約のある場合には一年という現行法規定、それはいいとして、労働協約のない労使協定でその期間定めるについては現行法で三カ月の制限がございます。これを一年に延ばして、協定による場合、協約による場合、これを差を付けることが論理的に矛盾があるから、これを一本の一年にしたらいいじやないかという御意見があつたわけです。そういうふうにいろいろ公益側のほうについてもこの問題について意見がございまして、それらのものについても更にもう少し検討さして頂きたい、かように考えております。  それから、二十七条につきましても、公益側の中では工場法の制定当初原案として二十人という線があつて、その線から結果的には十人以上というふうに工場法の適用の範囲がきめられた経過もあるので、二十人ということも一つ考えられるのじやないか、或いは三十人にするにしても、法律の第四十条の規定で「公衆の不便を避けるために必要なもの」という法律根拠に基くものであるから、公衆の不便に支障のない事務所等まで拡大してこの適用を受けさせるのは適当でないので、三十人にするにしてもそういうものは除いておくべきである。つまり直接国民に物の販売配給をする商店等に限定をすべきじやないかという御意見もあつたわけであります。そういう意見がいろいろ各公益側の御意見の中で分れておりますので、そういうものも慎重に考慮いたしたい。  それからかに罐詰等の問題も先ほども申上げましたように、全然こういうものを拡げるのは適当でないという割切つた意見をされる方もあります。又かに罐詰のように輸出品でございまして、非常に規格が厳重に統制されております。従つて急速に処理しなければならない。而もそれが季節的に或いは地域的に制限された条件の下に行われる、そうすればそういうところで男子の労働力を得がたいのが通例であるので、女子でなければならないという職種ではないが、男子労働力を得がたいから女子をしてやらしめても差支えないし、又その労働時間もそれほどの長い時間ではないから差支えないじやないかという意見、全面的にこれを認めていいではないかという御意見牛乳関係のものはこれは男子で代替し得るので、そこまで拡げる必要はないのではないかというふうにいろいろ御意見が出ましたので、我々としてはそういう御意見の出ました理由或いはその経過等を十分研究させて頂きまして作業をいたしたい、かように考えております。
  26. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 さつきの説明を繰返されるだけですが、その他という点も問題がありましたけれども、基準法施行規則十六条或いは二十七条、これについては公益側委員にもいろいろあつたと書いてありますけれども、この私どもが頂いた答申書には、両方とも現行のままとすることという結論にはこれはどつちもはつきりしております。その中から改訂賛成だという意見を汲み取ることは事実上困難たと私ども考えられますので、こういう承要なものについてはつきり労働者側或いは公益側反対使用者側賛成と書いてあるけれども、そういうものについて十分公益側意見を参酌してと言われるけれども、実際にはどうするつもりか、こういうことをお尋ねしておるわけです。
  27. 亀井光

    政府委員亀井光君) 先ほども申上げましたように、これは公益側だけの集りで議論をいたしました際におきましても、決をとつてきめたものではございません。最終的には会長が公益の代表としてこういう原案を作つて、それを見せて了承を得たという形で公益側意見としては出て参るわけであります。そこで例えば現行のままとするという公益側意見と一応一致した形で答申はなされておりますが、その一致しまするまでには先ほど申しましたようないろいろ議論経過がございまして、又それが一致するについての採決をしてはつきりきめた性質のものでもない、全体の空気がそうであつたから、会長がそこで判断をして、こういう形で答申をなされたといういきさつもございまするので、我々としましては先ほど申しました審議経過におけるいろいろの議論というものが我々の今後この問題を取扱いまする大きな基礎になろうと思うのであります。そういう意味でこれらの議論をもう一度振り返つてみまして、慎重に検討をいたしたいと思つております。
  28. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと例えば二十七条関係についていうと、公益側委員においては別の意見があつたようにも書いてございません。私がここで読上げるまでもございませんけれども、「実質的には法律改正と同様の結果をもつ問題として考えられ、法第四十条の趣旨からみても、改正の理由が全くないと考えられるので、現行のままとする意見であつた。」こういうのが公益側結論です。  それから十六条関係では、官庁に届け出させるべきであるとする意見、或いは期間制限を一年にするという意見もあつたが、今回この点についてにわかに改正を行うべきではないと考えられるとして改正反対現行のままでよろしい、こう書いてあるのでありますが、経緯の中からそういう結論として公益側現行のままとするという意見であつたという点をとるのか、それとも今のお話を聞きますと、一律に一年とする意見もあつたという経緯の中からそれだけを取上げて或いは一年とする、こういう意見もあるかのように考えられるのでありますが、それらの審議会答申をどのように尊重せられるかということを先ほどから聞いておるわけです。
  29. 亀井光

    政府委員亀井光君) これは先ほども申上げましたように公益側の全員が出席して採決によつてきめたというふうな性格のものでは実はございませんので、欠席の方もありまして、結局指導性を持つたと言いまするか、会長の意見が指導性を持つて来たというふうな結果になつて来ておりまして、そういうことで総会、いれゆる三者揃つての席上における公益側議論並びに公益側だけ集まりました際における議論、こういうようなものが基礎になつてここにまとまつて来ております。そこで先ほども申上げました通りでございまして、そういう際におけるいろいろな議論の出ました根拠或いは理由というようなもの、或いはその経過というようなものを十分見まして我々としましては案を作りたい。又公聴会でも公益側の中に意見が分れまして、先ほど審議会における公益側意見説明を申上げましたようなこともございます。或いは全面的に政府原案賛成であるという御意見を出されました公益側もございました。公聴会でも実は公益側意見が分れておるのであります。そういうふうなことも考えながら最終案をまとめたのでございます。
  30. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ですから最終案を得るについてのまだ態度がきまつておらんからなかなかここで言いにくいと思うのですが、若し正規に言いにくければ速記をとめてもかまいませんが、労働省なり或いは基準局長の気持というものを聞いているわけです。それで審議の中でこういう意見もあつた、或いは原案に多少賛成意見もあつたからといつて、多くの中からそれだけとるという態度をとるのか、或いはそれは意見は途中にあつたけれども、結論が三者の中で二者反対、それから公益委員としては反対というか、現行のままとしたほうがよろしいというのならば現行のままとすると、こういうことなのか、その辺の態度を承わつておきたい。
  31. 安井謙

    政府委員安井謙君) 只今基準局長がしばしば御答弁申上げておりましたように、この答申案を十分検討した上でないと今どうするという方向はちよつと申上げにくいのでございまして、それから同時に三者構成のうち二者が態度決定したらそのまま呑むかどうかと言われますと、そのまま呑みますということをここで御確約することは少し困難であろうと思います。無論十分公益側の御意見というものを参酌いたしまして決定はするつもりで、いろいろ検討はさせておりますが、いずれにしろ検討中で、どういうつもりだと今直ちに御返事を求められましても、ちよつとその点の御返事はできかねるわけでございます。
  32. 田畑金光

    ○田畑金光君 私はちよつとこの際、本委員会において決定されて、委員長から内閣委員長に申入れてもらいたいと思うわけでありますが、それは御承知のように只今行政機関職員定員法の一部を改正する法律案が政府提案として出されまして、すでに衆議院は通りまして参議院に送付されているわけであります。この法律案によりますると、一般職の国家公務員の現在定員六十九万四千三百四十七名を六万一千二百九十八名整理して、新定員を六十三万三千四十九人にしようという法律内容であります。法律内容を見ますると、或いは臨時待命制度を取入れるとか或いは又警察職員の三万名城につきましては、今後三年間に整理をするというような方針がとられておりまするが、いずれにいたしましても六万一千名の国家公務員が整理をされるという内容を含んでいるのがこの法律案であります。今日御承知のごとく新年度の予算の影響或いは金融引締、或いは又外貨の割当の引締等によつて産業活動の規模が非常に縮小されて、中小企業等においては倒産か続出しておりまするし、殊に中小炭鉱なんかは殆んど休山、閉山というのが現在の状況でありまして、失業対策問題ということが当面最大の社会問題となつて出て来ているわけであります。然るに本年度の労働行政面における失業対策費等を見ましても、昨年二十八年度の全般の僅か五%増という予算しか昭和二十九年度においては組まれていないということ、並びに予算額におきましても昭和二十八年度より僅か十億を加えた二百五億の失業対策予算しか組まれていないということを見ましたときに、民間産業に今日属しておる失業対策をどうするかという当面の問題に加うるに、この定員法から六万一千名の国家公務員の失業者が出て来る。こういうことを考えてみましたときに、今回提案されておりまする行政機関職員定員法の一部を改正する法律案というものは、我々労働政策上由々しい問題をはらんでおると見ざるを得ないのであります。従いましてこの際本委員会の最も関心事である失業対策問題にも関連いたして参りまするので、行政機関職員定員法の一部を改正する法律案に関しましては、本委員会としましても内閣委員会との連合委員会を開いて連合審査をとられるような措置を図つて頂きたい。このことを私提案として申上げたいと思うわけであります。
  33. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) その前に議事の順序がありますから、ちよつとお断りしておきますが、労働基準法関係の施行規則の問題については、只今の田畑君の御提案、これを処理してからあとで続いてやりますから暫らくお待ちを願います。  ちよつと速記をやめて下さい。    午後零時二十八分速記中止    —————・—————    午後零時四十九分速記開始
  34. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。  それからちよつと御報告を申上げます。国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案について人事委員会と連合委員会を開くことになつておりましたが、五月十三日木曜日午前十時より連合委員会を開くことに決定をいたしたので、お知らせをいたします。  なお、当日出席を求める政府側の閣僚或いは政府委員につきましては、特に御要求がなければ、委員長に御一任を願いたいと思いますがよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それではさよう取計らいます。   —————————————
  36. 市川房枝

    ○市川房枝君 女子年少者労働基準規則改正要綱に対する答申案の中の第十一条の二の関係の問題ですが、「新聞及び放送事業における取材員並びに放送又はテレビジヨンの事業におけるプロデューサー、アナウンサー及び美粧職業務」、この項目は最初の諮問事項の中には入つていなかつたと思いますが、何かどこかから要求があつてお加えになりましたかどうか、それを先ず伺いたいと思います。
  37. 亀井光

    政府委員亀井光君) この問題につきましては、当初は入つていなかつたのでございまするが、審議経過におきまして公益側委員からの要求がございまして、或いは使用者側の要求がございまして、労働省といたしまして諮問に加えたような次第でございます。
  38. 市川房枝

    ○市川房枝君 直接この規定の適用を受けます婦人記者といいますか、或いは放送のほうの関係者、そういう人たちからの意見をお求めに、何か陳情か何かございましたでしようか。
  39. 亀井光

    政府委員亀井光君) 当初新聞関係の婦人記者のクラブで、この改正の実は要望がございまして、その後その決定は一部の婦人記者の意見であつて、全国の婦人記者の意見を代表するものでないという又意見の開陳がございました。最終的な意見につきましてはまだ聞いておりません。実は本日何か私に陳情したいというふうな連絡がございました。
  40. 市川房枝

    ○市川房枝君 この条項については、私は個人的にはこういう機能的な職業に従事している少数の婦人でありますから、その健康福祉には大して差支えはない、従つてこれを外しても差支えないと私個人では思つております。併し直接その適用を受ける人たちがこれに対して反対という若し意見の開陳がありますれば、そういうのに対してはどういうふうにお考えになつておりますか。
  41. 亀井光

    政府委員亀井光君) この問題は非常にデリケートな問題を含んでおるのでございます。具体的に申上げますと、現行法では深夜業は禁止されておりますが、現実に取材の場合におきましては、必要止むを得ない事態があるわけでございます。例えば羽田にインタビューに参ります。飛行機が延着をしまして十時過ぎになる。延着するからといつて十時で引上げるということもできない場合も多いようでございまして、その場合にすぐに基準法違反という形には、形式的にはなりますが、実質的にはそういう事情止むを得ないことが起る場合を我々としても事実上認めざるを得ないのではないか、その場合に問題はそれでは深夜の手当の問題が、法律的に出せるか出せんかという問題があるわけであります。現実の面といたしましては、法律上許されてないことでございますので、そういう場合の割増賃金をもらつていないというのが現実でございます。そこで婦人記者の中にはそういうことを明朗にしたい、明朗にしたほうがいいのではないか、はつきり法律上要求し得る権利として要求し得るものとするためには、こういう規定改正も必要ではないかという一部の意見もあるようでございます。まだ全国の全体の意向がどういうふうになつておりまするか、承知しておりません。
  42. 市川房枝

    ○市川房枝君 これは新聞及び放送と、こうなつておりまするけれども、仮に新聞のほうの直接適用を受ける記者たちは反対である、それから放送の場合には賛成だ、こういうような場合には、これを両方加えないで片方だけにするという考え方もありますか。新聞放送とこれは続けなくちやいけないのですか。
  43. 亀井光

    政府委員亀井光君) 業務内容は全く同じでございます。放送取材員、これは新聞の取材員と同じような仕事をやるわけでございます。これを片方は反対であつて、片方は賛成であるから分けたほうがいいのか、或いは両方とも公益側の御意見の中には賛成の御意見もございます。それに従つてこの規定を適用するようにしたほうがいいのか、或いは両方とも原案削除するほうがいいのか、いろいろ問題があろうかと思います。その点を慎重に研究させて頂きたいと思います。
  44. 市川房枝

    ○市川房枝君 やはり私はこの問題は適用を受ける人たちの十分意見を参照してといいますか、或いはまだ意見が熟し得なかつたならば、それまで多少待つ。非常にこれが早急を要する問題でなければ、そういうふうなこともお考えを願いたいと思つております。同じ深夜業の禁止でも、そのあとの、十三条の二の(3)の関係でありますか、牛乳だとか或いは乳製品、脱脂乳、それから或いはかに、いわし、このほうの深夜業の禁止を外すのは、これは健康福祉差支えがある、そうしてその適用を受ける人数は相当多い——「その他」ということで適用の範囲が漠然としておりますので、運営の仕方によつては相当範広範囲になるのではないか、そうしますと、これは婦人の深夜業を禁止した趣旨に反することになつて行くのではないかというので、この点は非常に反対でありますが、まあ公益委員の中にそういう意見も相当ありますし、これは婦人の側として特に御考慮を願いたいと思つております。  その他婦人或いは年少者の側から見ますと、今度の改正がそういう人たちの労働条件を低下させるという傾向にあるということを、非常に私ども残念に思うわけでありますが、これは基準審議会答申によつて労働省当馬も御考慮になるわけでありましようけれども、そういう点を一つお含みになつてお考えを願いたいと思います。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は次官と局長の両方にお尋ねするのですが、逐条には入りません。これはどうせあとでやると思いますが、基本的な問題でお尋ねしたいと思いますのは、現在の機構の中で、非常に労働者が圧迫されておる、この中で、労働者一つ頼りにしておるのは基準局だと私は思うのであります。これは憲法の精神から言つても、基準局とは何ものぞということになれば、ただ一つこういう機関の中で労働者を守つてくれる機関だ、こういうふうに労働者は思つておると私は思うのです。ところが今次出されたこの改正法案を見て、私は非常に心外に思うのは、使用者は全部賛成、而も公益のかたでさえも反対のかたがおられる、こういう改正をなさんとしておられるあなたがたの心境が奈辺にあるのか。労働基準監督局は、これは労働者を圧迫するためにあるのか、守るためにあるのか。使用者を守るためにあるのか、或いは産業経済そのものだけを考えて、そうして労働条件の低下をあえてやるのであるか、その点をはつきりとお一方から一つ御回答願いたいと思います。
  46. 安井謙

    政府委員安井謙君) 阿具根委員の御質問でございますが、これは当初から労働基準法関係諸規則改正の方針の際にもいろいろ御説明申上げました通りに、当時の規則、これは非常に啓蒙的な意味を含んでおり、そうして非常に煩雑であるといつたような点を修正しようというのが主たる目的でありました。決してその労働条件そのものを低下するというような一つの思想的なものとか、或いは内容的なものをそうひどく持つた改正をここで意図していないことは、これは今まで御説明申上げました通りでありまして、従いましてこの試案にいたしましても、約半分に近いものが三者御意見一致を見ておる。あとの半分ちよつとのものが今御意見が分かれておる、こういつたような形でありますので、その点については、先ほど来申上げております通り、慎重に検討をして結論を得たいと考えておる次第でございます。
  47. 亀井光

    政府委員亀井光君) 只今の政務次官の御答弁で尽きると思いますが、問題は占領治下におきまして制定されました省令の中で、法律根拠なくして国民に新らしい義務を課し、或いは権利を制限するという規定が司令部の当時の指導によりましてなされたものがあるわけでございます。従いましてこれらの問題は、国家行政組織法第十二条に違反をいたすのでございまして、法制局におきましても、そういう観点から、各省の省令について検討をいたして参つたのであります。労働省としましては、それらのことも勘案しながら諸規則の整備、合理的な整備という点に重点をおきまして検討を加えて参つたわけでありまして、只今政務次官からの御答弁がございましたように、労働条件を低下させるということを目的として改正を着手したわけではないのであります。
  48. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長の御回答には私は全く反対です。これはお互いの意見の相違だから仕方ないとは言いながら、基準局はそういうように整備というような言葉によつて労働者が圧迫を受けるようなことは、いやしくも考えるべきでない。整備のために労働者が益を得るならば、それこそ基準局としてはやるべきであるけれども、整備の名の下に一方を益し、一方を不利益にするようなことは私はとるべきでないとかように思います。  それから一つ質問いたしますが、二十四条の坑内の入坑口の問題についてはどういうようにお考えになつて、こういうことをやられたか。炭鉱の労働者、金属鉱山の労働者が坑内に下る場合には、坑口から先が作業場だと思つておられるのか。それならその闇の諸準備等はどういう恰好になるか、これだけを見れば非常に大きな問題も起つて来る。例えば人車等の場合も想定されておると思いますが、人車等の中で一審最初上つた人が、それが作業の終了時間とすれば、一審最後の車が故障して、そうしてこれが坑内言葉で言えば、人軍が走つたような場合には殆んど死んでしまう、或いは重大な怪我をする、こういう場合、これは作業外になつておる。こういう点についてどういうふうにお考えになつていますか。
  49. 亀井光

    政府委員亀井光君) 二十四条の実施状況を見ますと、現在監督署長許可を受けて、この規定の適用をいたしておりまするものは、炭鉱には実はございません。金属鉱山でございまして、昭和二十七年が十四件でございます。二十六年が二十四件でございます。僅かの数の金属鉱山が許可を受けましてこの集団入坑、出坑の場合の時間計算をしております。従つて炭鉱におきましては、お説の通り、恐らく個人々々計算で時間計算をなされていると我々考えております。そこで集団入坑の場合、許可を受けなければならないというのは、これは法律に実は根拠がないのであります。新らしい義務使用者に課することになるのでありますので、許可を外すとすれば、どういう規定が一番合理的であるかということで検討しました結果、国際労働条約定められておりますこういう入坑、出坑の場合における時間計算が国際的に使われております慣行でありますから適当ではないだろうかということで、実は原案を作成したのであります。ところが審議会では許可は勿論法律根拠がないのだが、許可を受けた件数も僅かだし、そのままこれをおいても、そう実情から言つて使用者によほどの負担をかけるものではない。又二項も国際慣行となつておるとすれば、これも又こういう計算の仕方も認めてもいいのじやないだろうかということで、一項は現行通りにおいて、この我々の原案を二項に新たに附加えるというのが三者意見一致したところであります。
  50. 阿具根登

    ○阿具根登君 三者意見一致したということに対して、私が当初御質問申上げましたように、坑内の実態を知らない人が審議しておるということを言つておるわけです。これがきまれば、坑口に最初入つた人が最初入つた時間から最初の人が上つて来た時間までが労働時間になるわけであります。坑内は皆さんのようにいい服を着てそうして机の上で仕事をするのではございません。自分の家から通つて、そうして今度は作業服に着替えてそうして諸準備をする、安全灯を借りる、番割と言いますが、作業割をやつてもらう。それから人車に乗つて下るのが、これが坑内です。その間のやつは作業じやないと、そういうものを全然考慮してたい。これがきまれば、こういうことを考えておられるとするならば、これは作業坑内に入るまでの間は全部自分の時間である、大変なことになると思うのです。そういう点もこれは坑内の労働を知らない人がこれを作つて審議しておる。特にこういうような場合には、炭鉱の組合その他の意見も聞かれたかどうか。炭鉱の会社の意見を聞かれたかどうか、この点をお尋ねする。
  51. 亀井光

    政府委員亀井光君) お説の通り金属鉱山の代表者でございまして、炭鉱の代表が労働者側の中に出ていないという御意見も全くその通りでございます。使用者側の代表は出ております。そこで我々としまして、この問題の取扱いにつきましてそういう方面の意見も実は聞きました。従つて使用者もこの規定原案通りやることについては反対が実はあつた。現在の現行法削除してこの規定と入れかえますことは反対であるという実は使用者側意見がありました。現在の規定は一項でそのままに残す。こういう計算ができるところであれば、これは労使協定の問題になりましよう。話合がつきましてこういう行き方も国際慣行として認められておるのだから、やること自体について差支えないじやないかということで、現在の規定を廃止することは使用者も実は反対でございました。従つてこういう形で答申がなされた。
  52. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が言つておるのは、こういうことをきめられれば、それでなくてさえも時間の延長、労働強化を搾取しておる現在の炭鉱の実情です。あと局長にも御質問いたしますが、そういう実情の中に、こういうことを基準局自体が考えておるということだけでも、非常に大きな圧迫を加えることであり、非常に大きな労働者に対する労働時間の延長に対する口実をはつきりと与えることになる。この点はまだ私は幾らでもあなたに質問するだけのあれを持つております。併しこれで時間もありませんからやめますけれども、この次のこれを審議する場合には十分一つ調査願いたいと思います。私も調査して参ります。
  53. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 一言、一分間だけ。これは要望でありますが、細かく審議する時間がございませんので、要望として審議会経過それから最初の諮問案答申はありますが、これは阿具根君或いは田畑君だけでなしに、市川先生もお話になりましたように、或いは私手許に新聞の記事もございますが、施行規則改正によつて労働条件が低下すると考えられる。朝日新聞で、これには労働条件低下の虞れと書いてありますが、低下する危険性があると考えておるのはこれは一般だろうと思う。そこで厳重にその点はお考え願つて、諸規則改正といえども、最小限度に願いたい。特に反対の強かつた、或いは労働者側のみならず、公益代表も現状がよろしいと考えておるところについては改正を御遠慮願いたい。或いは全体を通じて最小限にとどめられることを強く要望して、私は今日の審議は一応終りたいと思います。
  54. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 内容に入る時間の余裕がなかつたのですが、僕は政務次官に一つだけ尋ねておきたいのですが、普通労働大臣だけに限つたわけでありませんが、大臣の諮問機関の答申というものはややともすると一つの形式的に扱われるだけであつて、ちやんと行おうとするものは労働大臣なり各大臣が持つてつて、そうしてこれを決定してしまうというのが大体の慣習のように私どもは見受けるのですが、事労働問題については私はさようなお考えで労働省がやられるとは思いませんが、特に慎重を期してこの審議会答申というものは、私は十分に尊重されるようにやられたいということが一つ、そこで問題は期日は来月ぐらいになるだろう、今月にはできないから来月ぐらいになるだろうという改正の期日をお話になりましたのでございますが、その場合に、阿具根君が先ほど提起せられた問題は、これは非常に重要な問題ですから、別に一つ考えて頂くとして、そのほかの問題は三者が完全に意見一致を見たもの、これについては労働大臣も恐らく採択されるだろうと思います。従つて今回の規則改正は少くともこの三者が完全に意見一致を見たものはこの程度にとどめる、公益委員会の中にまだ意見の不一致もある或いは若干意見一致したものもあるようでありますが、そういつたようなものはやはり避けて、完全に三者意見一致したものに限つて規則改正を行う。これくらいの私はやはり態度を労働省がとられるべきじやないかと考えるわけです。仮に労働者側反対を抑えて意見の不一致のものを実行するにしても、少くとも公益委員が全部意見一致をしたというくらいの能勢のものでなければ具合が悪い。公益委員の一部、資本家の一部が賛成しただけのものをやられることは、将来にいろいろの禍根を残すので、そういうことのないようにして頂きたい。これは僕の意見ですけれども、もう一度政務次官の考え方を私は承わつておきたい。
  55. 安井謙

    政府委員安井謙君) 委員長の御意見につきましてはよく拝承いたしまして、御趣旨に副うように十分の努力をいたしたいと思つております。従つて審議会意見を尊重することは言うまでもないのでございますが、審議会が最後の決定機関でないということは、これは又制度上からもお認めの通りであろうと存じますし、只今申上げましたように、このいろいろな審議経過にニュアンスがあり、複雑な御意見もありますので、そういつた点については十分な検討の余地も残して頂きたい、こう考えておる次第であります。
  56. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 時間がちよつと遅くなりましたけれども、阿貝根君から通産省に対して質問要求がございますので、余り時間はとらないお見込みのようでございますから、これだけ終つて休憩に入りたいと思います。御了承願います。
  57. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 質問に入ります前にちよつと議事進行について……。通産大臣が初め僅かの時間でも来られるということでしたが、今伺いますと通産大臣は来られんという、それで実は佐久局長では私どもその方針というか或いは意図というものは或る程度知つております。通産大臣が来て是非吉田内閣の方針を実は承わりたい、或いは方針を通産省なら通産省の方針を遂行するについての鞭撻をしたい、こう考えるので、是非通産大臣の御出席を願つて質疑をしたい、こう考えておりました。今日は来られないでしようから、一応質疑を願うことにして、更にこれは別な機会に通産大臣に出てもらつて質疑せられるような機会を持つて頂くことを、これは委員長にお願いをし、それから佐久局長にもここで要望しておきたいと思います。
  58. 阿具根登

    ○阿具根登君 今吉田委員から言われましたように、通産大臣の出席を求めたのは一週間前であります。そのときの労働委員会でも、非常に多忙だからということで了承いたしておつたのでありますが、一週間前から申込んでおつた通産大臣の出席が先約があるからと言つて今日又出席がない。而も愛知通産大臣は当委員会のメンバーになつておる労働委員であります。そういう点から考えましても、何も私はそういう忙しい身体を一時間も二時間も引張ろうと夢にも思つておりません。十分間でよろしいから御出席願いたいということを私は再三お願いしております。それでもお見えにならないということは、労働委員会を軽視されておる。いわゆる労働委員会は暇だから、労働大臣は暇だからというような感覚を愛知通産大臣も持つておるものと私は思つておる。この点も一つ厳重に委員長において御通告方をお願いしておきます。  局長は最近九州にも行かれたということをちよつとお聞きしておりますので、内容は十分おわかりだと思います。簡単に質問いたしますが、二月の十六日の当委員会に愛知通産大臣が見えて国内消費炭を四千八百万トンから五千万トンを使いたいということを言われておる。これに対する私の質問は二十八年度は四千三百万トンしか使つておらない。四千八百万トン誠に結構であるけれども、それでは重油をどのくらい減らすつもりか、或いは国内でそういう消費する機構をどういうふうに考えておるのか、こういうことを、いわゆる絵に描いたぼた餅にならないように私は質問したはずであります。ところがそのときの通産大臣の答弁では、石炭業界と政府だけの手では到底できる問題ではない、こう思うので、政府側としても非常に勇気が要る。場合によつては断乎たる処置が当然必要だと思う、こういうこともはつきり言つておられる。それで通産大臣の断乎たる処置の意思が如何に石炭局のほうに伝つておるか、この間石炭局で聞いた場合に、局長は出張しておられなかつたけれども、石炭局で聞いた場合においては、四千八百万トンから五千万トンの石炭の国内消費は不可能であろう。四千三百万トンから四百万トンがぎりぎりだ、こういうことを言つておられる。とするならば、大臣の発言と局の考え方とは全く相反しておるわけであります。而も四月二十一日の新聞を見てみれば、佐久石炭局長それから椎野福岡通産局長或いは札幌、福岡通産局の石炭部長、その他が入られて、不況カルテルの指導をやられておる。そうしてそれには整理統合まで考えられておる。これは何のためか、いわゆる大臣は四千八百万トンから五千万トンということを言つておられるけれども、事実通産省にはそういう自信がない、対策も何もない。それで不況カルテルまで持出しておられる。弱肉強食、仕方がない、こういうような態度が通産局の中に現れておる、私はこう考えております。これにつきまして通産大臣が言われたようにか、佐久局長はどういう対策をそれに立てておられるか。現在の炭鉱の休廃止になつたものだけでも全国で二百坑あると思つております。賃金の遅払だけでも十億を越しておると思つております。失業者だけでも相当の数が、一万以上の数がここに出ておると私は思つておる。こういう企業が石炭ばかりではありません。併し基礎産業であり、原始的な産業である石炭にこの緊縮財政が非常にしわ寄せされて、そうして今まででさえも最も苦況にあつた石炭労働者を追い込んでしまつておる。これに対して通産省の石炭局長の考え方をお尋ねいたします。
  59. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 二月十六日の当委員会で通産大臣が四千八百万トン乃至五千万トンの生産をするという答弁をされたという事実は私よく知りませんが、速記を調べてみないとはつきりしませんが、省内における議論としては現在の日本の石炭の規模からいつて、四千八百万トンから五千万トン程度の生産規模を維持することが望ましい、そうすることが石炭企業の安定、延いて又労働者の生活の安定ということになるのだ、これを目標にして石炭政策というものを立てるべきである、こういう意見を私前々から申しておるのであります。それで勿論四千八百万トン乃至五千万トンという生産規模をできるだけ早く作り上げる、そういう安定した姿を早く現出するということが望ましいことでありますが、本年度の石炭の需要をほかの燃料の要素を考慮しないで考えて参りますると、最初私が昨年の暮あたりに考えました場合には四千五百万トンくらいの需要があるのじやないかというふうに考えたわけであります。それは鉱工業の生産活動、それを大体二十八年度と二十九年度横這と見まして、そのほかに火力発電設備が三十八年度の下から二十九年度の中頃に相当でき上ります。その火力発電の石炭需要増を見まして大体四千五百万トン程度の需要はあるのじやないかというふうに考えたのでありますが、一月、二月あたりからいろいろの資料をとつて調査いたしますると四千五百万トンの需要も危い。最近は四千三百万トンというようなことを言われますが、私はまだ四千三百万トンまでに落ちるとは考えておりません。大体四千四百万トン程度じやないかと思つております。そこで先般地方の石炭部長会議を急遽招集いたしましたのは、そういう今後の石炭の見通しが非常に悪い、而も昨年の暮あたりからの石炭の不況のために相当休廃止を余儀なくされている炭鉱が続出して来ている、労働者の生活も非常に不安に駆られておるということで、これについての対策を練るために石炭部長会議を招集したのであります。その際に出まし意見がいろいろこれはございます。前に遡つて申しますと、私は去年の六月頃の非常に過剰貯炭を抱えて苦しんだ当時に、この委員会で御説明申上げたと思いますが、要するに燃料政策としては日本で産出される石炭を基礎にして考えて、それで賄えないものを外国から入れる、こういうことが燃料政策の基本であるという私の考えを申上げたのであります。その考えに立つて実は昨年四月から具体的な政策としては国内の石炭生産を安定させて、炭価を下げ、同時に重油に浸蝕された部門をもう一度もとに返す。そうすることが外貨の節約でもあり、又日本の石炭企業というものを安定させるゆえんでもある、こういうことで終始一貫今日もその考えを捨てておらんのであります。ただ何度も同じことを申上げるものですから、実は栗山委員長からひやかされまして馬鹿の一つ覚えみたいだと言われたくらい私の考えは変つておらん、こういうことであります。そこでこの間の石炭部長会議のときに不況カルテルの指導をしたというのは、これは非常な誤解だと思いますが、やり方の問題としてはいろいろあるわけでございます。現在苦しんでいる石炭の不況、これは生産が過剰であつて従つて全くこれは買手市場に廻つておりますが、価格は叩き放題に叩かれておる。最近の投売の状況を見ると、若松からの情報では、石炭カロリー当りの山元値段はその場売りが三十銭くらいという状況であります。こういうことでは到底石炭企業というものは安定しませんから、それを直すには何としましても需給のバランスをとるということが先決でございます。需給のバランスをとる方法といたしましては、消極的には生産を減らして需要に合わしてゆくということ、もう一つは需要のほうを殖やす、生産にはさわらないで、需要のほうを殖やす、この二つしかない、消極的に生産を減らすという方法としては、自主的に各企業が判断しておのおのの判断で生産を抑制するということが一つ、もう一つは法的な根拠を以て生産を減らすという方法であります。その前の自主的な生産の抑制ということは、これは昨年の秋から各企業でやりましたけれども、結局失敗に終つて、最後には濫売競争に走つてしまつたということですから、今後においても需給のバランスをとる際に、自主的な生産抑制というものに期待することは私はできないと思つております。そうしますと、残る方法としては法的な基礎を持つた生産抑制、これは即ち不況カルテルです。不況カルテルと申しましても、私は今の状況では不況カルテルを結成してやれるという自信は実はありません。というものは、各企業、大きく分けますと、大手と中小の濫売競争というものは非常に強い状況でありますから、この際不況カルテルを仮に結成しても、今は成功の見込は余りないと思つております。それで先般大臣の命を受けまして、九州の実情を調査して帰つて参りまして早速大臣に報告しました。その報告書にも私書いておきましたが、そういう消極的な生産抑制という方法がいずれも成功の見込はないとすれば、積極的に需要を増して需給のバランスをとるという方法しかない、それには思いきつて重油の消費抑制をやらなくちやいかん、こういう結論でございます。これは大臣に報告いたしましたあとで、それじや幾ら減らすかという数字が実はきまつておらんのであります。今日まで通産省としてきまつた点を申上げますと、これは昨年の四月に私どもが重油に対する対策を通産省としてもつとはつきりさせるべきであるというときに、何らかの手を打つておれば、石炭企業がこんなひどい状況には実はならなかつたというふうに死児の齢を算えて歎いておるのでありますが、今まで通産省としてきまりましたのは、二十九年度の重油の輸入量を三十八年度の限度に少くとも頭だけ抑えよう、これはまあきまつた方針であります。そうして今後の重油の消費抑制というのは行政指導によつて或る時期をかけて行なつてゆこう、で、その行政指導をする際に一番大きく響いて参りますのは、暖厨房用であります。これは必ずしも外国から入つて来る油を使わないでも済むわけでありますから、暖厨房用については、少くとも下期になつて需要期に入つた場合には一キロもこれは渡さない、こういう規則が恐らく出されると思うのです。それからそれと反対に石炭と競合関係がなくて、而もどうしても重油でなければならんという農村、水産関係、それから船舶関係、これだけはもう消費規制をやることなしに確保させるわけであります。それからその中間過程にある一般鉱工業における重油ですが、これも三つに分れまして、重油だけを燃す設備を持つているところがあります、即ち重油の専焼設備、それから重油と石炭と両方使えるような設備もあります。それから石炭を使つてはおるが重油を混焼している設備があります。この三つがありますが、一番先に重油の混焼をしているもの、これについてはできるだけ石炭だけを勧奨する。それから重油と石炭との並用のもの、これについてもできるだけの勧奨をする。それから重油しか使えない設備を持つているもの、これは主として中小企業に多いと思います。それから大きな企業ではガラス工業、窯業関係、それから平炉関係、こういうのが多いと思います。これを急に石炭に転換させるというには相当の資金も要りますし、無理がありますので、これは或る程度の期間等もみなくちやならんわけです。こういう総合的な考えからして、一体幾ら減らしたら余り摩擦なしに行けるのかというのが、今通産省で検討しておる問題なのであります。これは二十八年度の使用量よりも三十万キロ減らす、それ以上は減らさないという意見もありますし、私はここだけで率直に申上げますると百万キロ削つてもらいたい、こういうことを強く主張しておりますが、大臣、次官或いはその他の首脳部関係でどういうふうな決定をされますか、相当今まで議論をした問題でありますので、もう大体私は結論を出さなくちやならん時期だと思つております。殊に現在のような石炭の不況対策というものは長く放任できませんから、少くもそういう態度をはつきりして、石炭の今後の見通しというものを明るいものにする、そうすることが今石炭に対する不況の対策としてこれは根本的な問題だと思います。そういう点を実は省内では検討しておる、そういう過程であります。
  60. 阿具根登

    ○阿具根登君 只今局長の御答弁で愛知通産大臣が言つたことが現行では不可能だということだけはわかるわけなんです。まじめに通産大臣は手を打つておらないということだけははつきりわかるわけです。それから局長としては、石炭の局長として責任のある立場で非常に石炭に対する理解もあるし、そういうお考えを持つのでありますけれども、事実はもう死児の齢をかぞえたと言われるほど、もう差し迫つておる。今から百万キロ・リットルの問題が出ても、これは二十九年度の下期になるでしようし、実際中小企業に現われて来るのはもう今年の暮になつて来ると思う。そのときになつて又死児の齢を重ねるようなことを又佐久局長はおつしやられるに違いないのです。それでそういう計画があつても、その計画を実際実現されるというのは、今でもまだ重油を節約して重油の輸入を制限する事もきまつておらない。こういうことであるなら、私は只今のところは、傍観しておる、いわゆる倒れるものは倒れて行け、失業者は出て行けという姿しか残つておらない、こう思うわけであります。それではそういう石炭局長が考えておる政策の立てられるまでには、どういう手をお考えになつておるかということです。恐らくこの問題は今ここで論議されておるけれども、それが三十万になるか五十万になるか、或いはあなたの理想のように百万キロになるか、これは恐らくそれが現われて来るのは今年の末だ。それまでに、もう今でさえも二百坑からの炭鉱が休廃坑をやつておる。そうすれば恐らくそのときには立ち上りのできないほど大きな打撃を受けておると思う。而も非常に優秀な炭鉱が倒れつつあるのはあなたが御承知通りです。これに対して今何をなすべきか、この問題をお聞きしたいと思います。
  61. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 今の石炭業に対する対策というものは緊急対策即恒久対策しか考えられないのであります。石炭になぜ急激に大きなデフレの影響が来たかという原因は、やはりいずれ私は今のような方法をとつて行けば、各産業とも大なり小なり相当大きな影響が出て来るのじやないかと思う。石炭だけに先に参りましたのは、よその産業と大分違いまして、石炭の需給バランスがもう前から大分崩れておつたというところへ、金融の引締めが大きく来たということが第一の原因だと思います。  それからもう一つは例えば織物、機屋さんというようなところは、殊に名古屋地区あたりの状況を見ますると、少し景気が出ると機を動かす、ちよつと悪いと暫く休むということが極めて楽にできますが、石炭企業においては、それができない。石炭が企業を休むということは飛行機が飛んでおると同じでありますから必ず落ちる、地上に足が付いておる産業と空中を飛んでおる産業では、それだけの違いがあるわけであります。相当な無理をしながらでもやはり企業を続けて行かなくちやならん、その無理が一たび金融引締めというようなことになると大きく出て来るということが原因であると思います’。  それからもう一つは資本構造からいつて、勿論デフレ政策というものは今日初めて実施されたわけではないので、前にも実施された例は幾らもあるわけですが、そのときは今ほど大きな影響は来なかつた。というのは、資本構成の違いが私はあると思います。以前は石炭鉱業の資本構成というものは、自己資本七〇%、他人資本、つまり借金が三〇%、従つて金融引締めが大きく響くのは三〇%に大きく響いて来るのであります。現在はその逆でありますから、七〇%が他人資本、従つて金融をちよつと引締めれば大きく響く、こういつたいろいろな原因が現在の不況を招いておると思います。  それでデフレから生じた影響に対して、それの対策を立てるということになればやはり問題は金融であります。現在各銀行が金融を非常に渋つておるというのは、これは私九州へ参りまして、各支店長にも全部会いまして意見を聞きました。共通した意見ですが、石炭の今後の状況について明るい見通しを欲しい、その見通しをもらえるならば決して自分らは金融をサボるものではない、こういう意見を持つておるわけです。殊に地方銀行、福岡銀行とか佐賀興業銀行とかいうものは、その財源の非常に大きな部分を炭鉱に投資しておる関係もありますので、特にその点は強調しておりました。この石炭の見通しを明るくするという方法としてはやはり先ほど申しましたように、石炭の需給のバランスを早くとるという方法としては、先ほど私縷々申上げましたように、重油の大幅なカットをやる、これを通産省としてはつきりした態度がとれるならば、私は一番大きな救済の策になる、こういうふうに考えております。
  62. 阿具根登

    ○阿具根登君 後段おつしやつた点について私も全く賛成です。明るい見通しを与えるということが一番金融面を緩和するのだと、私もそれは十分わかります。併し局長の話の全般から考えて見れば、需要供給のバランスという点で、或いは出炭を制限するのだ、こういう手もある、これが延いては不況カルテルまで持つて行くという手もある、一つは重油をカットする手もある、こう二つに分けられておるわけなんです。ややもすればその前者のほうをとりたがつておるのが現実ではないか、こういう考えを持つわけなんです。だから局長をせめてもしようがない、それで今日来てもらうのは通産大臣であつたわけですけれども、通産大臣はそれに対して断乎たる措置をとりますということまでここで大見栄を切つておりながら、何も断乎たる措置をとつていない。而も大臣の考え方とあなたがたの考え方というものは違うということがはつきり出て来た。例えば今あなたのおつしやつたように、今の対策が即恒久的な対策であつて、重油を百万キロ・リットル減らす以外には道はないのだ、こうおつしやるならこれを阻害しておるのは何であるか、どうすればいいか、これはわかつておるけれども実現できない障害はどこに横わつておるのか。そうしませんと、又先ほど言いましたように、半年も先になつたならばより以上な深刻な状態が炭鉱に来ることは当然であります。それで一日でも早くそういう手を打つてもらいたいというのが私たちの考え方である。又或いはそれでも万全でないとするならば、これは企業そのものを考えねばできない時期が来ておるのではないか、各国の炭鉱を見て見ましても、フランス、ドイツ、イギリス、ああいう資本主義の国であつてさえも、この炭鉱の作業だけはこれは国が相当な力を入れておる。個人企業ではない。こういう現実から見て、最も貧弱な日本において今のままの企業形態で成り立つて行けるのかどうか、そういう点についてはどういうお考えをお持ちですか。
  63. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 大臣の意見と私の意見が違うというお指摘ですが、これは数字の四千八百万トンという点を捉えてのお話だと思います。大臣がやはり四千八百万トン態勢に持つて行きたいということについて私と違つた考えを持つておるというふうには私は考えておりませんが、やはり私と同じように石炭企業安定のためには四千八百万トンなり五千万トンの生産規模というものを維持するようなそういう需要のついた、つまり生産をしてもそれがアブれないというような形に持つて行くということについては、私は、大臣も私も考えが一致しておると、こういうふうに考えております。  それから当面の対策として人員整理をやる心配があるのではないかということですが、これは実際に人員整理をやるという場合に、もう昨年でも新聞にもこれは問題が非常に大きく社会問題として出ましたし、この間私が九州に参りましたときも、急遽この石炭鉱山を持つておる四県の知事会議が招集されました。私その席に出ていろいろお話を伺つたのですが、整理というような方法で需給のバランスをとることはもう真平御免だ。先ほどお話がちよつと出ておりましたが、失業者が出る、それを救済する予算がもうない。失業対策費なども昨年に比べて僅か五%増だという程度で、而も石炭企業だけが失業者を出すもとであれば別ですが、今の状況から見れば筑豊あたりは関連産業も一面に駄目だ、これがやがてよその産業にも及んで来る。長崎あたりでも造船業だけの失業者も吸収し切れないということで、失業問題について非常に神経質である。而も今の、早く申しますと、政府のデフレ政策に当然伴う失業対策についての攻撃をいたしております。そういう最中で、石炭政策として人員整理によつて需給のバランスをとるのだということは私はとれないと思います。恐らく大臣もカルテルの結成ということで生産制限をして、そうして需給のバランスをとるのだということは、これは考え得る事柄ではないと、こういうふうに推察いたします。  それから重油が切れない、石炭局長のいう通り進まない原因がどこにあるかというお話でありますが、これは私の力が足りないということが第一の原因だと思います。通産省の中で石炭を掘るのは私のところだけでありまして、あとは全部使うほうでありますから、石炭にしろ重油にしろ非常に有利に安く使うほうがいいということは当然の話であります。重油が有利であればどんどん重油に転換する。それからもう一つは通産省がかつて二十六年の秋でありましたか、非常な電力危機に際しまして石炭の供給が間に合わなかつたときがあります。そのときにもう石炭に余り期待をしてもいけないから、重油でも何でも買つて焚いてくれというような指導をしたということがあつたそうです。併しその当時私は通産省におりませんでしたからよくわかりませんが、そういう指導をした過去の経緯から考えて、ここで又大幅に重油抑制というようなことが打出しにくいという気持が首脳部の中に相当あるようです。そういつたところが阻害の原因と言えば原因だと思います。それから勿論この通産省外の問題といたしましては現に重油を使つておる産業方面がかなり強い反対を重油規制に対していたしております。重油を供給するいわゆる油の業者ですが、これもまあ相当強い反対をしております。それから一審懸念されますのは農林水産関係の重油であります。これは重油の消費規制をやれば当然輸入量が減るのでありますから、普通の経済原則から言えば価格が騰る、価格が騰るということは農林水産関係は絶対反対であります。それからもう一つは、価格が騰るだけでなしに、金を持つておる者が結局奪合になつて、却つて金のある人間が量的に余計持つてるという結果になりはしないか、そうすると農林水産関係のかたは、油の業者から言わせますと、今までも非常に金払いが悪く困るというような状況であります。金を現金でも積んで来るところにどうしても油が流れるということになると、価格が騰る上に数量的に農林水産関係には流れ方がにぶるという懸念が出て来るわけです。そういう点を農林水産関係のかたが非常に心配をして規制に反対をしておる、こういつたのがまあ重油をカットすることについての阻害しておるという理由と思います。
  64. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで先ほど私の言つたのをちよつと誤解されているようでありますが、私が言つているのは、愛知さんは四千八百万トンを出すためには、これは画に描いたぼた餅であつてはできない。そういう意味のことを私は言つたときに、断乎たる処置をとるといつておるのは、そういうやつを排除して、そうして重油をカットするのだということを言われておると私は思うのです。それは三カ月前なのです。その大臣の言明を業者も労働者も信じて、そうして四千八百万トンの目標で石炭はどんどん出て来ておる。ところがその施策はちつとも行われないので、濫売になつて七十七銭カロリーにかかるのが、三十銭くらいに売られるような形になつてしまつた、こういうことなのです。それで大臣はそのときに、四千八百万トンから五千万トンを国内で消費することになれば、政府も非常な勇気が要る。そうして断乎たる措置をとらなければできません、こういうことを言つておられる。今局長の話を聞けば、局長もこれは百万キロ・リットルからの重油を制限しなければ、これは到底できない、意見一致しているわけです、大臣もあなたの意見も、……。そんなものは三カ月前に質問したように、あなたのほうも非常に賛成で、それが又画に描いたぼた餅にならないように、それを又信用して炭は四千八百万トンちやんと出ております。すでに三月、四月と出ている。そうすると、炭は出せといつたあなたがたの責任で、たくさんの炭が出て来る、そうして炭鉱は潰れて行く。こういう逆な現象が現われて来ているわけなのです。それで通産大臣もそれだけの肚を持つている、あなたもそれだけの熱意があるならば、やれないことはないと私は思うのです。それが新聞等で見れば、大臣はそういう断乎たる考えを持つていると私には言つて、大臣は四千八百万トン使うということをその後も何回も言明されている。ところが通産当局の中で、石炭関係の方々に聞いてみると、非常に消極的で、あなたがさつき言われた、第一項のほうで考えておられる向きが非常にある、それを私は心配して聞いているわけであります。それで大臣はあなたがおつしやつたように四千八百万トン使うということを考えておられるならば、あなたの考えと同じじやないですか。それならばただ措置いたしますと口で言うだけではなく、現実に一日も早くこれをやらなければ、もう追いつかないような結果になる、こう思うわけなのです。それに対して、大臣に対して本当に強力にあなたは今当つておられるかどうか、それをお尋ねしたい。
  65. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 先ほど大体今の御質問についてもお答えを申上げたつもりですが、昨年の四月の状況から申上げますと、実は私は最初千五百万キロ重油の抑制をやつてくれという意見を強く出しておつたのです。ところがそれが結局先ほど御説明申上げましたように、一応重油に対する方向だけはきまつた、数量がきまらない。ところがきまらないままに今のような状況にしておつたのでは、石炭の今後の見通しというものは、全く別の人にはわからんのであります。どういうことになるかわからんというのが正直な認識でありました。その認識を明るいのだという認識に変えるためには、ここではつきりした数字を出して、私は少くとも百万とかという数字をはつきり言つておりますが、そういう数字を出して欲しい。それで通産省の政策としてはつきりきめて、そうすると、各産業別に見て石炭の需要というものはこういうふうに伸びる、そうして石炭の需給というものは安定するのだという認識を与えられる。それが徒らに日が延びると収拾がつかないということを私は現在まで申しておるのであります。
  66. 阿具根登

    ○阿具根登君 局長のお考えは十分わかりましたので、あとは通産大臣の出席の機会に今の問題に関連して大臣から直接聞きたいと思いますから。
  67. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあ四千八百万トンは、最初言われたのと、それからあとで例えば省としては今目標だ云々と言われますけれども、四千八百万トン或いは五千万トンを維持するというまあ約束と申しますか、政府の態度は、これは変りはないわけです。そうしますと、今重油の抑制百万キロ・リッターと言われますけれども、前に考えておられたように百五十万キロ・リッター切らなければ石炭換算四千八百万トンという数字にはならんはずです。そこで四千八百万トンというものが約束であるならば、或いは確固たる方針であり、それを断乎推進するというのならば、百五十万キロ・リッター切ると、こういうことになると思うのですけれども、その点が一つ。それから質疑を聞いておりましても、それから実際問題として百五十万キロ・リッターか或いは情勢の変化で百万キロ・リッターに抑えなければいかんか知れませんけれども、重油の抑制についてのこれは具体的な方針、こうなるだろう、或いは暖厨房用については下期一キロ・リッターも渡さんようにすると、こういう漠然たる方針と申しますか、佐久局長の見通しでは、これは問題になりませんので、はつきりした省議にして一つ次の委員会に臨んで頂きたいと思うのです。なお、重油の抑制、規制、それからそれに関連いたします金融政策、今の揚超を抑制するといいますか、どんどん潰れて行つておる炭鉱の閉山、廃坑を防止するには金融でありますが、それが見通しもつけなきやならんということもわかりますけれども、重油削減に関連して金融対策をどうするのだ、或いは地方銀行に融資源を付与するという問題もございましようが、それらの金融対策、或いは価格の点等についても、国鉄用炭について御努力を願つておることは知つておるのでありますが、それらの恒久対策の性質を持つ緊急対策について、省議と申しますか、或いは省議が閣議了解も得なきやならんかも知れませんが、そういう方策を立てて来て頂かんごとには、本当の質疑にはならんと思うのでありますが、それはいつ頃可能になるのか、或いは次の委員会までに、そういう省議なり或いは閣議了解等をもつて臨むことができるかどうか、通産大臣が来ておりませんので、石炭局長を通じて答弁と申しますか、確約を願う以外にございませんが、これらの点について一つ御答弁を願つておきたい。
  68. 佐久洋

    政府委員(佐久洋君) 金融対策或いは重油の仰制の具体的方法というものについて省議決定をして出て来いと、こういうお話でありますが、これは私自身としてはもう至急にやならくちやならんというので督促をいたしております。ただ重油或いは金融というものについての私どもの要望事項は出し得ますが、特に金融問題については、省議で仮りに決まりましても、これは大蔵省との話がなかなか難問だと思いますので、これをいつというお約束をちよつと私今いたしかねると思います。重油に対する抑制の方法とかいうことについては、これは通産省たけでできることでありますから、できるだけ早い機会にそういうことに努力して参りたいと思います。
  69. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  70. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を起して。  それではこれから約三十分休憩いたします。    午後二時五分休憩    —————・—————    午後三時四十二分開会
  71. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員会を再会いたします。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  72. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を起して下さい。  午前中の委員会で懸案のまま残りました他の委員会と連合委員会を持つことにつきましては、只今御懇談を頂きました結果、意見一致を見ましたので、次のように取計らうことにいたしたいと存じます。  先ず行政機関職員定員法の一部を改正する法律案につきましては、内閣委員会と連合委員会を開催いたしまして、審議に入りたいと存じます。なお、連合委員会の持ち方につきましては懇談会で各委員諸君から御発言のありました趣旨に副いまして、内閣委員長と打合せをいたします。  第二の問題は、石炭産業危機対策に関する件でございます。これは調査案件でございまして、通商産業委員会と連合委員会を持ちまして、その対策について研究をいたしたいということでございます。この点もまだ通商産業委員会のほうへ何ら事前に打合せをいたしてはおりません。併し懇談会で意見一致を見ました通りに、通商産業委員会に申入れをいたしまして、当委員会が考えておりまする考え方については、通商産業委員長にもよく伝達をいたしまして善処を願うようにいたしたいと考えるわけであります。  以上二件連合委員会を申入れる件につきまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 異議ないものと認め、さように決定をいたします。ちよつと速記をやめて下さい。   [速記中止]
  74. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会