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1954-03-16 第19回国会 参議院 労働委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十六日(火曜日)    午後一時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            榊原  亨君            阿具根 登君            寺本 広作君            大山 郁夫君            市川 房枝君   政府委員    通商産業省鉱山    保安局長    森  誓夫君    労働政務次官  安井  謙君    労働省労政局長 中西  実君    労働省労働基準    局長      亀井  光君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件けい肺法案吉田法晴君外十二名発  議)(第十八回国会継続) ○労働基準法の一部を改正する法律案  (吉田法晴君外十二名発議)(第十  八回国会継続) ○労働情勢一般に関する調査の件  (労働金庫に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  本日の委員会に付しまする事件は、けい肺法案並びに労働情勢一般に関する調査でございます。労働情勢一般に関する調査につきましては田畑委員から発言を求められております。又けい肺法案につきましては、本日この法律案取扱いにつきまして、委員会として一応御意見を同つてから決定をいたしたいと、こういう工合考えておるわけであります。間もなく中西労政局長が来られますので、暫らくお待ち願いたいと思います。ちよつと速記やめて下さい。     〔速記中止
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をつけて。定例の工場視察につきましては明日の予定になつておりましたが、明日の本院の議事の都合によりまして、来る十九日金曜日に延期をいたしたいと思います。参りまするところは前にお話を申上げました東洋製罐と日本ビールの両工場でございます。さよう御了承を願います。
  4. 田畑金光

    田畑金光君 中西労政局長労働金庫の件で二、三御質問いたしたいと思います。  先ず第一にお尋ねしたいことは、労働金庫検査の件でありますが、すでに東京労働金庫等検査が終了し、追つて他労働金庫にも実施されるということも聞いております。それに関しまして、この際当局方針を明らかにして頂きたいと思うことは、労働金庫法の九十七条によりますと、銀行法の二十条二十一条の場合は大蔵大臣労働大臣はそれぞれ単独にその権限を行使することができる、こう明確に謳われておりますので、両省がそれぞれの立場において検査を行使することも法律上は、これは当然の措置だと、こう考えまするが、併し検査を受ける労働金庫立場からいたしますならば、一定の定められた手続、或いは目的方針の下に検査を受けるということでなければ、必要以上に業務の煩瑣を招くし、当初金庫法の制定に対する趣旨からいたしましても、非常に矛盾する点が出て参りますので、労働省といたしましては、金庫検査に対しまして、どういう基本的な方針でおられるか、先ず第一点これをお尋ねしたいと思います。
  5. 中西実

    政府委員中西実君) 只今田畑委員のおつしやいましたところは、誠に御尤もでございまして、仰せのごとくすでに東京一カ所は済ませました。更に現存地方数カ所に亙つて検査をいたしておりますが、東京の場合もそうですし、今やつておりますのもそうでございますが、大蔵省関係と常に一緒にやつております。この方針は大体今後も是非そうやりたいと思つております。同じところに両方から同じようなことを調べる、この重複は何としても避けたい。今後ともこの検査はできるだけ両者が一体になりまして同時に一緒に行つて頂くという方針でございます。
  6. 田畑金光

    田畑金光君 同じく検査に関連いたしますが、昨年の十月一日の政令三百十九号の労働金庫法規定による主務大臣権限都道府県知事委任する政令によりますと、都道府県知事に対する委任事項の中には、法第九十二条及び九十三条の規定による権限、即ち検査に関する権限であります。同時にその法第九十四条において準用する銀行法第二十条及び同法第二十一条の規定による権限都道府県知事委任されるわけでありますが、併しこれらの検査に関する権限については、主務大臣がみずからその権限を行うことを妨げるものではない、こういうふうな趣旨政令が出ておるわけであります。この政令を読みますると、労働金庫検査等に関する行為等も、原則としては都道府県知事委任するが、併し場合と事情によつて主務大臣がその権限を行使することも妨げない、こういうように読めるわけであります。そういたしますと、労働大臣大蔵大臣といたしましては、この政令に基いて原則としては都道府県知事、こういう考え方検査等委任されるのかどうか。先ほどの御答弁によりますると、両名が協力して重複することを避けるというようなお話でありまするが、府県知事検査権限本省検査権限とは、どういう工合品に今後併用され、或いは調整されて行こうとなされるのか、この点承つておきたいと思います。
  7. 中西実

    政府委員中西実君) こういつた地方に或る一定権限を委して、併しながら中央で更に自分自身でもやれるというふうに保留する場合は、この場合ばかりでなしに、ほかのものにも相当あるわけでございます。原則はこの政令にもございますように知事にやらすということでございます。併し事情中央が取上げて直接やる必要のある場合には、やはり主務大臣がやることができるようにしておく必要があるのじやないか。併しその場合も地方に一応委してございますので、知事から何分の話があるとか、或いはそうでなくても、知事十分連絡の上、その必要のある場合に行うということで、受けるほうの側で、これが重複して受けるというふうな感じをもつようなやり方は絶対避けて行きたい。若し直接やる場合でも、これはよんどころない事情で、而もその場合には知事も勿論そうしてほしいと思うようなときに行う、こういうやり方でやつて参りたいと思つております。
  8. 田畑金光

    田畑金光君 そういたしますと、重ねてお尋ねいたしますが、金庫検査については、政令三百十九号の文字通りの解釈に従つて、第一次的には都道府県知事であるけれども、時と事情、問題によつては、但書の通り主務大臣検査権を行使する、こういうふうなことでよろしうございますか。
  9. 中西実

    政府委員中西実君) そういうふうに考えております。なお東京の場合と今やつております場合、一般検査の場合も、できれば地元の知事の手足、これも或いは参加さして、日頃一応金庫業務内容事情というものを知らしておくというふうな方法で、十分知事にも日頃から事情はわかつておりまするから、従つて今の問題につきましても おつしやるように十分な緊密な連携の下にやつて行きたいという考えでございます。
  10. 田畑金光

    田畑金光君 先般労働省訓令第一号として労働金庫検査規程ができ上つておりますが、第三条によりますると「労政局労働金庫検査官本名以内を置く。検査官は、金庫検査実施する」こういうふうになつておるわけでありまして従いまして、労働省労働金庫検査実施される場合には、これらの検査官がその任に当るものと考えられるわけであります。ただここで問題となつて来ますことは、労働金庫金融機関という使命と、その公共性維持の点から、検査を行うということになつて参りますると、金融業務でありまするから、当然金融経験金融に関する識見等寸金庫業務会計内許等について一般的な知識が、当然これらの検査官には必要かと考えるわけであります。そういうような場合に、金融専門家等意見を聞きますると、本当に検査能力を持つには、やはり数年の金融上の経験が必要であるとこういうことを言われておりまするが、労働金庫検査官労政局に置かれておる検査官は、そういうような一応の水準というものを、水準というか、能力を持つておられる人を充てておるのか、これが一つ疑問になつて来るわけであります。  それともう一つ、先ほどの局長の御答弁によりますると、府県知事原則として金庫検査をやるといたしますると、当然に今日の府県庁の中に検査官というものがあらかじめ予定され、又訓練を受けなければならんと考えますが、府県庁になつて参りますると、只今労働省労政局の下に置かれておる労働金庫検査官以上に我々は不安を持つわけでありますが、こういうような点につきまして当局としてはどういう考え方をお持ちになつているか、この点についてお伺いいたします。
  11. 中西実

    政府委員中西実君) 只今の点、金庫監査について最も重要な点でございます。我々もこの監査をする能力につきまして非常に心配をいたしておるのでございます。現在一応労政局の中に検査官を命じておるものが数人ございます。これにつきまして、先般来多年の経験を持つ、主としては大蔵省関係検査官、これあたりから相当な日数をかけまして講習をいたし、更に又実地にいろいろと見習もして勉強をいたさしております。おつしやるように、これが習熟するには相当の期間を必要とすると思うのでありますが、併しこれは直ちにそういうものを得ることは困難でございます。幸い大蔵省と共管でございまして、大蔵省専門検査官が多数おります。現在は常にこの検査能力の点からいたしましても、一緒検査をするということでないと若干の不婆があるので、この而からも先ほど言いましたように重複したばらばらな検査はしないということも出て来るのでございます。ただ私らも報告を聞いておりまして、実地に当つたわけではございませんけれども、これが習熟いたしますれば大体間違いなくやれるのじやなかろうか、検査のためのいろいろな方法なり或いは報告の様式、その他詳細なものが大蔵省多年の経験によつてできておりまするので、これを基にしましてやりますれば、しかく数年を要せずして、やはり或る程度のレベルに来るのじやなかろうかというふうに考えております。  なお、府県職員につきましてはおつしやるように、中央以上に能力において欠けるのでありまして、これから更に本式の講習をしなければならんと思つております。今ときぞれやりまする場合に、見習のために府県職員を連れて廻つておりまするけれども、これはなかなか一本立として今すぐものになるものではございません。府県職員訓練は全くこれからということでございまして、従つてその能力に応じたことしかやらせない。府県にはそういつた内容的な監査につきましてはやらさない。そうして我々のほうとしましても、常に大蔵省一緒になりましてやる、そのうちには習熟いたしまして、大蔵省と行きましてまずまず大過なくやれるようになるのじやなかろうか、目下はおつしやるようにこの訓練期という時期にあると存じております。
  12. 田畑金光

    田畑金光君 先般大蔵省銀行局長労働省労政局長名で、都道府県知事に通牒が出ておりますが、これによりますと別紙として、労働金庫検査実施要領が掲載されております。その中に、大蔵省及び労働省が協議して検査基準並びに検査計画を立てるが、これに従つて都道府県知事検査実施するように、こういう文書が載つておるわけであります。両省が協議して定められるこの検査基準或いは検査計画というものはできているのか、或いはできていないとすれば、いつ頃できるのか、更に今の局長の御答弁によりますると、都道府県における検査官が習熟する、訓練通じて立派な検査官たり得る、こういうような認定が下されるような段階になるならば、先ほどの政令に基く趣旨に基いて県の検査官が将来は労働金庫検査に当るというようなことになるのかどうか、そのような構想で労働省は進めておられるのか、或いは大蔵省の話合いになつておるのか、この点について改めてお尋ねいたします。
  13. 中西実

    政府委員中西実君) 検査基準は、これは大蔵省は多年銀行その他の金融機関検査をずつとやつて来ましたので、その基準は大体労働金庫の場合にも使えますので、すでにできておりまして、その検査基準によつてつておるわけでございます。それから検査計画というのは、大体予算の関係もございますので、四半期ごとにどことどこを検査するというようなことをきめましてやる。これは大蔵省労働省四半期ごとに協議して実行するということになつております。府県の問題につきましては今のところは全く大蔵労働両省本省がやりますのに、くつついて見ているというようなことで進めておるのであります。
  14. 田畑金光

    田畑金光君 先ほど申上げましたように、労働省訓令第一号の労働金庫検査規程でありますが、これを読んで見ますると、成るほど検査官に対する注意事項、或いは検査官心構え等々を、主として規定されておるのであります。従つてそういう点から見ると、訓令形式をとられておることも一応御尤もだと、こう考えます。併し例えばこの規定の第十八条でありますか、「検査官は、妨害、拒否その他の事故により検費実施が困難であると認めたときは、検査を停止して、直ちにその旨を労働大臣報告し、指示を受けなければならない」第十八条は、労働金庫の、本法によりますると、当然法第百条の第三項に基いて、これは要するに検査に際し、帳簿書類の隠蔽、不実の申立て方法により検査を妨げたということになりまして、一年以下の懲役、十万円以下の罰金に処せられる、こういうようなことになつて来るわけであります。そういたしますと、成るほどこれは一例でありまするが、この訓令というものは、労働省内における検査官心構えを示すものであり、又各条文とも、検査に当つて金庫側意思等を十分に尊重するように、そういう形式は踏まれておりますけれども、今申上げたように、一例でありますが、第十八条等は当然に本法によつて処罰対象になるのだと、違反した場合に処罰対象になるのだ、こういうことになつて参りまするが、こういうような趣旨規定というものは、いわゆる訓令形式ではなくして、むしろ行政法規法規命令の形で、少くとも省令、こういうような形式を踏むべきじやなかろうか、こう考えるわけです。その点私はこの規律について若干疑問を持つわけでありまするが、労働省といたしましては、検査規程訓令形式で妥当であるかどうか。この点についての御意見を承わつておきたいと思います。
  15. 中西実

    政府委員中西実君) この検査親程は検査官に対する訓令でございまして、この十八条も御指摘の法百条の各号、殊に第一項の三号、これに当るようなときたは労働大臣報告して指示を受けろと、これ又検査官に対する訓令でございます。そのあとどうなるか、その他の関係は、これは法令で規定しなければいけませんが、そういつた事態が起きたときに、検査官がどう措置するかということでございまするので、この事項はやはり検査規程の中に、検査官に対する訓令でいいだろうと、形式としてはこれでいいのじやなかろうかというふうに考えております。
  16. 田畑金光

    田畑金光君 訓令の例えば当初に「労働金軍法第九十二条第三項、第九十三条第二項及び第九十四条において準用する銀行法第二十一条の規定に基き」と、こういうように、法律委任に基いて、この規程ができておるわけであります。従いまして法律に基く委任命令、これがこの規程性格ではないかと考えるわけであります。そういうような点から申しますると、法律に基く委任命令という性格であるとするならば、やはりこれは法規命令、いわゆる行政権による法規形式で制定すべき性格のものではなかろうか。行政規則でこれを規定するということは、成るほどこれを読んでみますると、なかなかうまくできておりまするけれども、例えば十六条等を見ますると、検査官は、検査を行うに当り、必要がある場合には貸付先、退職した役員又は職員その他の関係者に対し、そこにまあ任意説明という、任意という文字がありますので、これをうまく切抜けておりますけれども、要するにそういうような人がたに対して説明答弁又は書面の提出を求めることができると、こういうようなことになつておりますので、そうしますと、当然に第三者権利義務関係にも相当の影響を来たしておる、こういうことが言えようかと思うのであります。そういうようなことを見ました場合に、成るほど任意ということで第十六条も逃げておりまするが、性格から見ますと、訓令形式というものはおかしいのではないか、こう考えるわけでありますが、この点についてどうお考えになるか。
  17. 中西実

    政府委員中西実君) 今もおつしやいましたように、法律規則というふうに法規規定します事項というのは、いわゆる第三者一般国民義務を課する場合にその必要があるわけでございます。この検査規程はこれはすべて検査官に対する執務上の心構え、部内の上司の、係官に対する訓令でございます。御指摘の十六条は、これは任意説明ということで、結局強制力はございませんが、併し必要があれば、こういうことをしてその実際を調べる必要があるぞということを申しておるのであります。この検査規程は、大体大蔵省検査官に対する規程ができておりますので、若干違いますけれども、大体それを写したものでございまして、大蔵省検査規程においても、この規定はございまして、れはりこれは検査官に対する執行上の上司命令ということで、差支たいのではないのではないかというふうに考えております。
  18. 田畑金光

    田畑金光君 只今の点については私なお疑問が残るわけでありますが、この点は更に後日に研究を進める、又お昇れする機会を持ちたいと思います。  ここで私一つ労働省にお尋ねしておきたいことは、労働金庫に対する今後の労働省の御方針、これを承わつておきたいと思います。というのは、労働金庫法によつて労働金庫の基盤が確立され、一応生活金融としての体系が確立されたことは、金庫の将来に大きな発展の素地を作つたことは事実であります。併しながら今日の経済状態、殊に金庫会員である中小企業における労働組合労働者生活状況考えましたときに、実質的に、政府としても労働省としても、労働金庫の強化のための具体策があつて然るべきじやないだろうかと考えるわけであります。そういうような観点から考えましたときに、第一に私、問題となつて参ると思いますことは、労働金庫中小企業における賃金遅払いに際し、資金融資するという場合が多々今日起きておるわけであります。併し中小企業質金遅払い労働金庫が金を貸すということは、事実は経営者の責任で払うべき賃金遅配欠配であつて中小企業のいわゆる企業存立にかかわる問題でもあるわけであります。又半面から見ますると、賃金遅払い資金を供給するということは生産そのものにも影響することであります。で、そういう観点から考えて来ましたときに、労働金庫賃金遅払いの起きておる中小企業に金を貸すということは一つ危険負担も当然にあるわけであります。そこで中小企業信用保険法というものがあつて金融機関中小企業に金を貸す、併し非常に危険があるというような場合には、この法律に基いて金融機関危険負担というものは相当程度軽減されておる、こういうような場合に労働金庫中小企業資金融資をするような場合には、当然中小企業信用保険法対象として取扱うことが金庫の運営上非常に重要なことになつて来ると考えます。こういうような点について労働省としてはどういうお考えを持つておられるか、或いはこういう法律について労働金庫の場合も適用するようなお考えは持つておられるかどうか、この点について承わつておきます。
  19. 中西実

    政府委員中西実君) この労働金庫中小企業金融部門と非常に影響を持ち合うものであるということは、お説の通りでございます。ただ労働金庫は設立の趣旨から考えまして、や仕り労働者の主として生活維持向上のための金融機関というのが根本のあり方ではなかろうか、その面から見まして、若しも質金遅払い等によりまして、生活が困窮するという場合には、労働組合或いはその構成分子である労働者に対して融資をする、そのために御承知のように、年末には特に国庫から府県を通じて金庫にそのための資金を融通したという例も作つたわけでございます。併しながら中小企業それ自体に直接融資するということは、これはやはりそれぞれの専門金融機関が又別個にございますので、やはりそのほうに任したほうがいいんじやなかろうか、非常に密接な関係がございますけれども、やはり労働金庫の本質からいたしまして、今の法の建前で行くべきじやなかろうかというふうに、現在のところは考えております。
  20. 田畑金光

    田畑金光君 局長お話通り労働者に対する生活余融労働金匠業務の第一義である、この点については同感であります。全く同様であります。中小企業における賃金遅払いの起きた場合に、労働命露を通じ労働組合労働者に貸付けるということも、これは実態においては労働者生活金融であつて、何ら違いはないわけであります。ただ後者の場合に賃金遅払いが起きた場合に、労働組合或いは労働者個々資金を貸付けるということは、実態から言うと、その中小企業者自体労働金庫融資をしておることと変りはないわけであります。その賃金遅払いの起きた中小企業者が他の金融機関から金を借りて来て、そうして労働者賃金遅払いに充てる、或いは運転資金に充てる。そのような場合と内容においては何ら興つてないわけであります。ただ一般金融機関から中小企業者が金を借りて来る場合には、中小企業信用保険法という制度によつて金融機関の危険がカバーされておる。ところが労働金庫の場合には生活金融という、こういうような性格からして、こういう法律の適用がなされていない。そういうような場合に、労働全庫の危険負担行為について何らかの補償併置というものがとられて然るべきではないか、この点を私はお尋ねしておるわけであります。
  21. 中西実

    政府委員中西実君) おつしやるように賃金遅払い等のために融資をする場合に、それは中小企業業者そのもの融資するのと実態変りない、これはそう言えるかと思うのでありますが、やはり建前といたしまして、労働金庫というものの存在理由というものが労働者生活のための融資、これを目的といたしておりますので、ちよつと中小企業業者それ自体対象にすることはむずかしいのではなかろうか。ただ組合に貸します場合に、業者か或いは親業者の支払い、債権というものの補償として出すというようなことは、これは別にどうということはないかと思いますが、中小企業業者そのもの自体融資対象にすることは、労働金庫建前から言つて避けたほうがいいのじやなかろうかというふうに考えております。
  22. 田畑金光

    田畑金光君 相関連いたしますが、労働金庫会員には、消費生活協同組合も入つておるわけであります。この消費生活協同組合につきましては、中小企業信用保険法の第二条では、中小企業者としての取扱いをしておるわけであります。従いましてすでに金庫会員である生活協同組合については、同様の取扱い中小企業者としての取扱いを受けておる。そこで私の特に強調したいことは、今日のような経済状況においては、労働金庫実態というものが、生活金融を通じて即企業存立に繋がつておる。この点を考えたときに、当然に労働金庫に対する補償措置或いは助成措置或いは政府資金の導入、こういうような点等についても、積極的な施策がなされて然るべきだと考えるわけですが、こういうような観点に立つて労働金庫の将来をどう労働省考えておられるのか、この点を更にこの立場から一つ御所信のほどを承わつておきたいと思います。
  23. 中西実

    政府委員中西実君) 只今中小企業業者自体に対する問題、この点につきましては更に勿論我々のほうとしましても、十分に検討はしてみたいと思います。今の気持としましては、先ほど申しましたように、一応労働金庫法第一条のこの趣旨に限定して考えたほうが混乱がなくていいのじやなかろうか、中小企業振興策につきましては、それぞれ所管官庁において十分考慮中でございます。併しながら、おつしやるように、この中小企業問題と、それからそこに働く労働者の場合、これは大企業の労使の場合と違いまして、極めて紙一重の関係でございまするが、これらは総合して運用して行くことは私にも異議ございません。ただ今の段階におきましては、一応労働金庫本来の第一条の趣旨従つて運用して行つたらどうかというふうに考えております。
  24. 田畑金光

    田畑金光君 労政局長はどうも金庫法第一条のみを固執し、又主張しておられますが、私の質問する趣旨金庫法第一条の趣旨に基いて質問を進めているわけであります。ただ私の強く主張し、又考えてもらわなくちやならんと思う点は、生活金融である労働金庫の活動というものは、それ自体を通じて企業実態に繋がろものである。従つて企業生産そのものに重大な影響を持つものであるということであります。こういう点から見た場合、生、活金融が半面からいうと生産金融そのものに通じている面があるということであります。半面の性格を一持つておるということであります。そのことを一つ考慮に置いてもらいたいということ。  第二に考えてもらわなくちやならんことは、今日の金融引締政策によつて相当程度の規模の企業体でも、金融の引締めが行われて設備資金或いは運転資金も非常に険路を感じておる、これが現実であります。そのようなことが必然に生活金融という面を通じて労働金庫にしわ寄せが来ておる、こういうことは金庫の経営の実情からいつて事実として我々は見ているわけであります。そういうようなことを考えて見ましたときに、今日の経済の動きというものが、敏感に市中銀行を通じ、更に又労働金庫にも波及しておる、こういうことであります。そういうことを見て参りましたときに、例えば先ほど申上げましたが、中小企業信用保険法或いは信用保証協会法、こういう法律によつて、勿論中小企業を振興するという目的のために、中小企業金融しておる銀行等の危険負担行為というものも相当程度カバーされておるということであります。こういう点から見たときに、労働金庫法は飽くまでも第一条に基く運営をなされねばならんが、労働省としても、大蔵省としても、当然に他の金融機関との公平の原則から言つても、労働金庫に対する危険負担の排除について、或いは又一般金融のしわ寄せが労働金庫にまで来ておるという実情等からして積極的な資金導入等の手が打たれて然るべきではないか、検査を厳にされ、金庫公共性維持会員や預金者の保護を通じ、金庫の経営の堅実性を保証されることも願わしいことであるが、半面においてそういう積極的な面も労働省大蔵省においても考慮して然るべきではないかと考えるが、この点について改めて局長の所信を承わつておきたいと思います。
  25. 中西実

    政府委員中西実君) 金融機関でございますので、問題は信用でございます。我々幸いにして金庫は着々堅実な歩みを続けておるというふうに考えておるのであります、従つてこの信用度が高まれば、それぞれいろいろの金融機関利用の一つの機関として何かと活用されるようなことになると思うのであります。住宅金融公庫の出先機関としても活用されるごとにもなりつつありますし、更にこれが国庫の融資を受けてするというふうにも発展するかと思います。第一条の消費生活協同組合、これがおつしやつた中小企業信用保険法中小企業に入るかどうか、これが若干疑問でございますので、会下の法制で直ちにそういつた措置がとられるかどうか、問題でございます。問題は金融機関として確実なる基礎を持ちますれば、いずれはそういうことにもなり、法文に疑問がございますれば、その点もはつきりされることと思うのでありまして、問題は実態を確立するというところにあるのじやなかろうかと思います。将来はそういう方向に発展することを私どもとしましても願つておる次第であります。
  26. 田畑金光

    田畑金光君 局長の御答弁を私開いておりまして、非常に、如何にして今後揚げ足を取られんように答弁するかというようなことで汲々として答弁なされておる、誠に遺憾至極であります。労働金虚法ができて、先ほど申上げたように、労働金庫の将来の発展の基盤が確立されたということは喜ばしいことであるわけであります。同様に私は労働省金庫の堅実なる発展、或いは金庫の経営が強化されるように助言し、協力する、こういうような点に労働行政の施策の面から言つても黄点をおいて頂きたい、又おいてもらわなくちや困る。金庫業務とか会計の検査というようなことも勿論大事でありまするが、その半面そういう実質的な裏付けがなければならんと考えるわけであります。遺憾ながら労政局長の先ほど来の答弁には、そういう積極的な面が欠如しておる、血が通つていない答弁であります。誠に遺憾でありまするが、この点については又後刻質問の機会を持ちまして、更に詳細にそういうような面における労働省の積極的な施策について質問したいと思いまするが、本日は私一応ここで質問を保留することにいたします。
  27. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今田畑君の質問で労政局長が答えられた点は、確かに積極性が私が聞いておつてもなかつたと思いますが、今の段階では止むを得ないと思いますけれども、やはり労働金庫が発足して軌道に乗り出したところで、経済状態が非常に悪化をして、中小企業そのものが存立の危機にさらされている。こういう状態になつているので、やはり中小企業対策としても、事業面からと労働面からと、両方からバツク・アツプする必要が僕はあると思う。従つて信用の危険負担を国で何らかの補償措置を取るという一つの具体例として、田畑君が述べられたのですが、これはやはり労働省として積極的に考えてもらいたいと思います。  それから第二は、労働金庫危険負担に対して国の補償をどうするかということ。更に資金源としての融資をこれをどうするか、これはやはり資金部運用資金等の問題も出ておるわけです。その他厚生年金、失業保険金、いろいろなものが出ておりますから、そういうようなものと併せて融資源の獲得と、二つは是非労働省で真剣に考えてもらいたいと思います。
  28. 中西実

    政府委員中西実君) 只今の点御尤でございまして、先ほどもその点につきましてお話がございましたが、私どもは異論がございません。今の中小企業信用保険法の改正、これあたりで、労働金面も危険負担がいけるかどうか、これあたりも実は折衝中でございまして、今おつしやりました二点につきまして、我々としましても、努力することについては積極的に考えております。
  29. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは労働情勢一般に関する調査を一応打切りまして、けい肺法案の審議に入ることにいたします。本日はけい肺法案につきまして冒頭にお話申上げましたように、委員長及び理事打合会の話合をそのまま当委員会において御承認を得まして、その結果、水けい肺法案の取扱につきまして、一応委員会として御協議を願い、取まとめをいたしたい、こういう工合考えておるわけであります。お諮りを申上げますが、委員会のままで若干議論を願いまして、それから更に細部に亙つて懇談会に移りますか。いきなり懇談会で御懇談申上げますか。その点をちよつとお話を承りたいと思います。
  30. 井上清一

    ○井上清一君 委員会でいろいろ何するよりも、懇談会にすぐ移つて頂いて、いろいろお話したほうがよいと思います。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 この法案が議員立法で出されてから、十六、十七、十八、十九と四つの国会にかかつておるわけであります。殆んどもう関係者お話も伺つたでありましようし、現地視察もされて、あのなまなましい現実も御覧になつたことでもあります。相当時日も経つておりますので、一応の目途をやはりこの委員会において一つ立てて頂いて、そうしてそれからどういうような審議方法をやるとか、打合せをやるとかいうようなことをやつたらいいのじやないかと思います。
  32. 田畑金光

    田畑金光君 委員会で一応取上げて、然るのち懇談会に移るか或いは又早速懇談会に入るか、どちらでも私は結構だと思いますが、この間の委員会では、今週の火曜日に労働省からも関係者の御出席を願つて、当委員会の各位と懇談しようということになつているわけであります。ところが見渡しますと、亀井基準局長は見えておりますが、労働次官なんか来ていないじやありませんか。速かにやはり出席願つて一つ懇談会で以て、この取扱方を御相談願いたいと思います。
  33. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは今日は隔意なき意見を交換いたしたいと思います。直ちに懇談会に入ります。    午後二時四十六分懇談会に移る。    —————・—————    午後四時八分懇談会を終る。
  34. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) これにて懇談会を終ります。本日はこの程度で散会いたします。    午後四時九分散会会