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1954-11-16 第19回国会 参議院 労働委員会 閉会後第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十六日(火曜日)    午前十一時五分開会   —————————————   委員の異動 十一月八日委員相馬助治辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長 において指名した。 十一月十日委員石川清一辞任につ き、その補欠として菊田七平君を議長 において指名した。 十一月十五日委員具根登君及び菊田 七平君辞任につき、その補欠として藤 田進君及び石川清一君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            早川 愼一君            藤田  進君            吉田 法晴君            赤松 常子君            石川 清一君            大山 郁夫君            市川 房枝君   国務大臣    労 働 大 臣 小坂善太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巖君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    調達庁次長   山内 隆一君    労働省労働政務    次官      佐々木盛雄君    労働省労政局長 中西  実君    労働省労働基準    局長      亀井  光君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○参考人の出頭に関する件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (駐留軍労務者の労働問題に関する  件)  (石炭鉱業における不況対策及び失  業対策に関する件)  (最近における労働争議経過に関  する件) ○けい肺法案吉田法晴君外十二名発  議)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 労働委員会を開会いたします。  ちよつと速記をとめて下さい。    十一時六分速記中止    ——————————    午前十一時五十二分速記開始
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。  明日、明後日の両日に亘りまして、ピケ・ラインの正当性の限界に関する小坂労働大臣の声明及び労働省次官通達につきまして学識経験者、労使の代表及び中央労働委員会公益側委員参考人といたしまして招致することにつきましては、只今懇談を願いましたような事情でございまするので、中央労働委員会関係は後刻理事会に再度諮ることにいしまして、その他の件は御懇談を願いました通り委員長において処理いたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) さように決定をいたします。いずれ中央労働委員会公益側委員を招くことにつきましては、理事会の結果を改めて御報告申上げまして、委員会で御決定を頂きたいと考えます。
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それからこの前の委員会におきまして、駐留軍労務者退職金、その他失業対策等につきまして委員会決議をいたしまして、内閣総理大臣申入れをすることになりました。その取扱いは委員長に御一任を頂いたわけでございますが、私は十月の二十九日に緒方総理に面会をいたしまして、参議院労働委員長といたしまして、委員会申入れの文書をお渡しをいたしまして、善処要望いたしました。緒方総理におかれましても、等委員会の空気を私から詳しく御報告申上げましたところが、緒方総理のほうにおかれても、その間の事情は、当委員会で話題になつた程度のことは大体御了承のようでございました。大変この問題の解決が遅れていることにつきましては心配をしておられました。善処をするというお約束を頂いたわけであります。この点併せて御報告申上げておきます。
  6. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは議事に入りたいと思いますが、最初駐留軍労務者の労働問題に関しまして、当委員会はすでに九月、十月の二回の委員会亘つてその解決促進について政府善処要望する決議を行なつているような次第であります。つきまして、この委員会要望に応えられて政府当局がどういう工合にその後処理し、促進のために努力しておられるか、その経過について御報告を求めます。
  7. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 只今委員長お話によりまして、駐留軍労務者退職手当解決方につきましてその後の経過内容を申上げたいと思います。  一番最初の、その後の最初の重要問題は、十月二十三日に極東軍司令部におきまして、軍と調達庁との二者会談開催いたしたのであります。組合側希望としては早く三者会談を開くようにという切なる希望が再三申出があつたわけでありますが、なかなか三者会談にすぐ入る段取りになりません。軍としましては、どうしても使用者側の軍と調達庁側意見をもう少し調整しなければ意味をなさないのではないかという考え方で一歩も譲りません。組合側も無論この点について了承されまして、二者会談を先ず開いてもらいたいということをかねがね要求をいたしておりましたが、なかなかその開催も思うように進行いたしません。併し何としても早く開いてもらわなければ困るというので、いろいろ各方面の御協力を得まして、漸く二十三日に開くことになつたわけであります。それから次の会合は十一月二日に第二回開催をいたしまして、その後は正式の会合というものはいたしておりません。どちらかというと軍のほうで検討して返事をするという形になつておりまして、三回目というのはやりませんが、その間外務省労働省においてもこの問題の解決のためにいろいろの面から熱心に御協力になつているように承知をいたしております。  そこで内容につきましては、十月二十三日の二者会談から極くかいつまんで申上げたいと思います。この会談においては、調達庁としましては今まで数回に亘つて書面やり取りをいたしておりましたので、今度は直接会つてその調達庁主張の要点を十分説明して、軍の首脳部に御了解を願いたい、これがこの当面の目的であつたわけであります。軍のほうとしましては、会談の冒頭から再三の書面やり取り十分調達庁意向を承知しておる。併し如何に調達庁意向を数回に亘つて書面で見、検討してみても、何ら当初の方針を変える必要を認めない。これ以上原則的な問題の話は必要ない、こういうような非常に強い意向を初めから述べられまして、もうこれ以上取りつく島のないような格好なつたわけでありますが、それでは困るので、今まで書面でまだ言い尽せない分もありますし、非常な重要な問題についてかなり大きな意見の開きがあるから是非聞いてもらいたいということで漸く聞いてもらうことにいたしまして、そこで内容説明に入つたわけであります。  問題となつておりますのは、前にもここで申上げたかと思いますが、大体三つございまして、一つ国家公務員駐留軍労務者との給与差がある。この給与差がどうも向うとしては余り納得が行かんというような気持を持つておるのでありますが、調達庁側としては給与差は当然これは心要なものであり、又沿革的にもずつとついておる。その点軍も了承して、絶えず国家公務員ベース・アツプに当つては同じように同時同率ベース・アツプをする。或いは夏李手当とか年末手当の場合ともやはり国家公務員と同じに扱つて来ておる。結局当初から今日まで同じような給与差の比率を保つて来ておる。それは現実の事実だからどうしても認めてもらわなければならんし、又必要であるということも御了解願わなければならんという立場で説明をいたしたわけてあります。それから解雇手当解雇予告手当を出しておる。これは当然退職手当の額のうちに加えるべきだという軍の主張に対して我々の側では解雇予告手当退職手当に加うべきものではない。何となればただ予告するだけのことで、それだけがどつちかというと労務者側利益になると言えば利益になりますけれども、併し手当はどこまでも働いたものに対する対価としてもらうだけで、退職手当としての性質というものとは違うということを主張したわけであります。それから次に重要な問題としては、退職手当比較において、失業保険法による保険金退職手当の中に入れて比較すべきだという軍の主張に対して、私ども失業保険金退職手当とは根本的に違うのだ、従つて退職手当比較に当つてはそんなものは入れるべきではないということであります。それについて十分説明したわけでありますが、前の二つは以上の説明で略しまして、失業保険退職手当についてもう少し深く入つて申しますならば四つ、五つについて大きな迷いのあることを指摘いたしたのであります。失業保険におきましては、退職失業して公共職業安定所就職斡旋の申込をした場合においてのみ給付されるものである。併し退職手当失業の有無にかかわらず給付される、これが第一点であります。第二点の違いは、退職失業中の失業保険退職失業中の生活保障基礎としている。従つて勤務年限には関係なく支給されるものである。然るに退職手当は在職中の勤務に対する勤務褒賞性質を多分に特つているので、勤務年限の長い者ほど有利な支給条件になつておる、こういう違いがある。第三点においては、失業保険のほうでは退職しても失業するかどうかは、不確定である。失業しても就職までの期間はおのおの人によつて違うので、給付額は不確定である。ところが退職手当につきましては退職時に給付額はもう確定しておる。第四点としましては、失業保険は国と事業主労務者の三者が負担する社会保障制度一つである。併し退職手当事業主の一方的の負担となつてつて社会保障制度ではない。これがまあ大きな違いでありますが、なお日本においては両者は沿革的にも実際的にも、違つた観念の下に取扱われておる。現に失業保険法が施行されましても、会社等におきまして退職手当制度を別にその際に変えていない、両立して存在している。こういうようなことを説明をいたしたわけであります。然るにそれに対して依然として、もうそういう原則的なことを論ずる必要はない。ただ今後まだ交渉をするというならば、駐留軍労務者国家公務員の同じ職種であり同じ勤続年限を持つている者を具体的に拾い出して、そうしてその退職手当の計算をして駐留軍労務者国家公務員退職手当に比べて少いということが明らかになつた場合にのみ今後折衝に応じ、考慮を払う。こういう言い分を繰返しておりますので、そこで比べる場合にどういう枠内で比べるかということが大きな問題、であつてれその枠がきまらんでどうして比べるかということを盛んにやつたわけでありますが、向うは依然として今の言を繰返しております。従つてこちらとしては、資料を出せば必ず今後ずつと又検討してもらえるというふうに考えましたものですから、それではその数年を出すから又今後もそれによつて一つ検討してもらいたいということで別れたわけであります。  第二回は当然今の関係がありますので、その数字を作つて出したわけでありますが、ただ私どものほうの作つて出した数字というものは、軍の言われる同種、同勤務年数の者を具体的に個人的なものを拾い出して比べるということは殆ど不可能である。仮にタイピストという職種をとつて見ましても、勤続年数としては同じものもあるでしようけれども、併しこれも極めて少いということと、もう一つは同じタイピストであつて勤務状態が全然違う、いろいろの点から給与の建て方も違つているので、極めて僅かな例で、而もそういうふうに事情が違つているので、それで以て全体をすくうわけには行かないというようなことから、実はそういう数字はもう殆んど意味をなさん、できないというので、人事院とも相談した場のですが、人事院でも軍の労務者国家公務員というのは非常にいろいろな点で違うので、そういうことは恐らく至難でしようという人事院意見もありますので、それは作つて出しません。  そこでやはり駐留軍労務者国家公務員全体についての平均給与基礎として、それに対するいろいろな手当等を加えたものについてそこで退職金の場合は軍の主張通り駐留軍労務者については失業保険法による保険金の問題も加え、解雇手当のことも加え、これらはいろいろ労働省の持つております過去の実績によるデーターを基礎として計算し、国家公務員につきましてもそれに相応するためには当然やめた場合のいわゆる退職手当のほかに共済組合のほうの給付とか或いは恩給法による一時給付とか、或いは最近は待命給付をいたしておりますので、そういうものもやはり実質的な、或いはいろいろな平均等を算出しまして、それを全部入れて勤務年数ごとに、六ヵ月ごとに区切つたものを表を作つて説明を付して提出したわけであります。それによりますと、各勤続年数ごと国家公務員のほうが幾分上廻つているという数字が出たわけで、これを作つて説明をいたしたわけであります。それに対して軍としては検討して返事をするということに、十一月二日の会合でなつているわけであります。その返事がまだ参りません。極力又補足的の説明等は、改まつ会談みたいじやなくても、必要の資料を出すとか、或いはその他担当者説明するとかいうようなことはいたしております。外務省等におきましても非常にこの問題の解決には協力をいたしてもらつておりまして、外務省から大使館等にもいろいろ話をして、大使館あたりでもこの問題について非常な興味を持つて好意的に考慮して頂いておるように聞いております。大体今までの折衝経過内容は以上の通りでございます。  もう一つ委員長お話にありましたが、駐留軍労務省の、殊にもうすでに前から退職予告を出し、現に退職いたしております数も多いのですが、それらの人々に対する就職斡旋状況はどうかという問題であります。一般失業対策は差控えまして、調達庁としましては、その退職すべき人々就職斡旋の問題に限つて極く簡潔に申上げますならば、調達庁長官から保安庁次長のほうにいろいろの懇請の書面を出して、自衛隊のほうで優先的に必要な職員採用してもらうようにお願いした。これは四月の五月付で当時の情勢からもうすでに出してあります。八月十三日には更に今度は具体的の問題として調達庁長官から防衛庁次長に更に出しております。それから調達庁長官から北海道地区補給所所長に宛て就職採用方についての依頼を出してあります。更に又調進庁労務部長から九月十三日付で自衛隊のほうの各地方の駐屯地司会に対しても依頼書面を出しております。又労務部長からは九月十三日付で知事宛てにも出してあります。  さようにいたしまして、現在極く最近、十一月一日現在の駐留軍労務者自衛隊部隊職員採用願を出して、その選考なり或いは、試験の結果の数字を申上げますならば、今のところ先方の募集人員千百五十五名に対して、応募者は千四百三十六名あつたわけでありますが、書類選考の結果、合格が九百十九名、それから身体検査によりまして大分落ちまして、合格が五百八十七名、更に筆記試験面接試験等を経ましてその合格が三百名、こういうような工合になつております。  以上極く簡単でありますが御報告申上げておきます。
  8. 吉田法晴

    吉田法晴君 北海道駐留軍移駐に伴います解雇以来の駐留軍労務者解雇状況を簡単に数字を挙げて御説明願いたい。
  9. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 解雇者数字についての資料は持つて参りませんので、ここに参つておりまする人は給与二課長でありますので、その数字は承知いたしていないようでありますが、今日になりまするというと全体で一万九千数百人に決定されたそのうち、半分以上はもう具体的に解雇予告を受け、そのうち相当の数が退職しておるものと承知いたしておりますが、詳細の数字はわかりませんので、いずれ調べてお知らせいたします。
  10. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは数字がわからなければ……、今保安庁自衛隊採用の分をお話になりましたが、おおむね千四百三十六名のうち実際に採用したのは三百、三割にも充たん実態です。それから一万九千数百の解雇の仕方にも問題があると思うんでして、例えば福岡等でも整理基準等中央で相談せられましたものと違つておるということでいろいろ問題を起しました。恐らく整理或いは解雇について、解雇自体についてもいろいろ問題があり、それから調達庁労働者側折衝或いは紛争を続けて来たと思うんですが、その転職或いは就職については通牒を出したというだけで、殆んど就職斡旋と申しますか、或いは失業対策については見るべき措置は講ぜられておらん。少くとも結果から見てこれだけのことをしたということがないと極言をしてもいいと思うんです。前にもお話を申し上げましたけれども、最近のこういう情勢の中で、労働組合自体職業補導をやる、或いは北海道で倉庫をもらつて仕事をあれするとか、或いは生業資金の貸付を県の歳計現金を預託することによつて願うとか、大変な……、中央で施策が立たないものですから、末端で労働組合や個々の労働者が非常な苦労をしておる現状でありますので、まあ結果から見てでありますけれども調達庁として或いは政府として、大変怠慢だと言わなければならんと思う。その点は厳重な警告をして今後この次の機会には具体案を持つて臨んで頂きたいと思うんです。それからもつと具体案はとうの昔に立つて、一万何千名、或いは今後も出て来るかも知らん解雇者或いは整理者に対して対処せられるように強く要望しておきたいと思うんです。  それから退職金問題についても実はこの前のときに決議をいたしました。前に大変同情を以て実は調達庁苦労を見、そして又決議にもなつたわけですが、その後今までの説明にとどまつて、何ら新らしい進展の要素が見えないというのは大変に残念に思うんです。努力は願つておると思うんですが、見通しについてどういう工合に思つておられるのか。国家公務員との或いは共済金、或いは恩給待命給付等を含んで比較表を出して検討を願うことになつておるけれども、その結果はまだ何も出て来ない。片一方で北海道移駐に伴います解雇以来一万九千名、一万名近く解雇されておる。それの退職金というのは現にまだ片付いておらん。そうしますと、これはこの間朝霞でも問題が起りましたけれども、ああいうゼネスト等を以てでも解決の推進をせざるを得ないという状態になつて来ることは、これはもう誰が考えてもそういう見通ししかない。そして問題が起り、紛争が起る。こういうことを心配して私ども決議もし、或いは緒方総理を通じて政府に強い要望もしたわけですが、実際には何ら解決の曙光が見えないというのでは大変に残念に思う。一応の見通しについてもう少し御説明を願いたいと思います。
  11. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 私の先ほどの説明では御心配になることは御尤もでありますが、私見通しの点について全然触れておりませんというのは、正直なところまだ向うとして数字についての検討は確かにしておりまして、かなり熱心に数字説明等は聞いてもらつておりますけれども、何としても軍の上層部のほうでそれに対して多少でも今後増額支給ができるというような意味表現は全然まだいたしておりませんので、殊に一番の上層部のほうが非常に固い考えを持つておるということは前に申上げたこともありますが、その考え方はどうもまだ上層部が変つていないように見受けられる。ただ事務的に私のほうの説明をよく聞いてもらつておる。そして説明をするときには、これはまあ手前味噌の言い分じやなく、私ども正しいと思つておりますので、説明する内容に対してはかなり頷いて聞かれておる状況を見ますれば、決してそう悲観をすべきでない。ますます今後いろいろ必要な資料を補助的に出して説明して、そして有利に解決するようにいたしたいと考えて折角努力いたしておりますが、何としても上層部が多少でも見通しをはつきり申上げるような意味表現はいたしておりませんので、その点についてはまだ見通しははつきりいたしませんと申上げるほかないと思います。できるだけ努力して有利な解決をいたすようにいたしたいと考えております  それから失業者就職斡旋の問題でありますが、お言葉ではありましたが、一万九千何百というのは、軍のほうで予算削減による解雇予定数として発表したところでありまして、まだその全部が予告の通知を受けたわけではありません。約半分強ぐらいと私承知いたしておりますが、はつきりした数字がありませんので、その点も申上げられませんが、先ほどはいろいろ書類を出したことだけを申上げたので、非常に努力が足りないというお叱りを受けたのでありますが、実は書類を出しただけではないのでありまして、保安庁に向つて採用方針なんか向うはかなり固い条件がありますけれども、  それに対して駐留軍に働いておつた者については特例を設けてその条件緩和をしてもらうような、具体的にこういう緩和をしてもらいたいというようなことも出して折衝をいたしておりまして、保安庁としましても或る程度考慮を払つて頂いておるようでございますが、どうもかなり採用について固いのでありまして、私どものお願いをそのまま入れて頂くわけにはまだ至つておりませんので、そんな関係合格者が少いと思いますが、そこに若干でも採用方針を変えて頂ければ又相当の数が加わり得るということになるわけでありまして、そういう点についてもなお努力を続けて参りたいと考えております。
  12. 吉田法晴

    吉田法晴君 伺つておりますと、例えば書類を出して、それについては検討を頂いておる、こういうお言葉であります。これは事務的な範囲だと思うのです。それは従来もそういうあれはあつたと私も聞いておるのです。事務的な折衝で片付かないから政治的に政府として大きく動いて頂きたい、こういう要望をしたのです。何ら今最高司令部の分野においては変つておらん云云ということですし、政治的な政府としての努力がどれだけなされたのか、或いはどれだけ効果があつたのかというようなことも全然今のところ答弁の中では少くともゼロである。そういうものについてはどういうあれが行われたのか、併せて一つ、承わりたいと思います。
  13. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 二者会談がなかなか開かれないで困つてつた際に、二十三日に二者会談が開かれるに至つたいきさつ等から見ますれば、そこにすでに決して事務的に話しただけじやなしに、相当に政治的に上のほうから、或いは大使館等にもお願いするというような方法でいろいろの方面から交渉した結果、二者会談を二十三日にきめてもらつたと私どもそう考えておりまして、決して調連庁事務的の折衝だけでここに至つたとは考えていないのでありますが、なおその後の、先ほど申上げましたやり方、数字を出して説明をしているという問題は、どこまでも事務的の数字を出して説明をしているわけでありますが、これは実は大局からこの問題をすぐに解決しようとしましても、先ほど申しましたようなわけで、原則問題は論ずる必要がないと言つて向うとしては突きはねているような格好で、このままだと取りつく島がなくなつてしまうのが、漸く数字の問題についてまだ折衝の余地を残してもらつたような格好でありますから、その問題についてどこまでも食い付いて深く掘り下げて行く。そしてその数字を出して説明する場合には、第三回の二者会談ごときは両方から頭が出ることは却つてまずいじやないか、案外簡単にあしらつて話されるようなことになつて却つてまずい。むしろ調達庁としても労務部長以下の、本当の事務を中心にやつている者が、みんな関係者つて向う行つて向うのほうでもテンプル少将を除いて、それ以下の者でよくそれぞれ専門々々に、或いは事務的によく説明をし、説明を聞いてもらうということのほうがそうして或る程度下のほうからだんだんと数字的に専門的に積上げて、そうして最後の締括りにだんだんと近寄つてから適宜又政治的の折衝等をやることのほうがいいのじやないか、そういう意味で、今のところ数字を出して説明するのは専ら事務的にやつているようなわけでありまして、決して政治折衝というものをやらないとかという意味では毛頭ございません。その点御了承願いたいと思います。
  14. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは最後に伺いますが、事務的な折衝をしてそれを積上げて政治的にそれを認めてもらう、こういうやり方のようですが、今テンプル少将の名前も出ましたが、駐留軍の首脳の考え方は変つておらん、そうすると事務的に折衝をして積み重ねて行くものは動き得るものとしても小さいものだという感じしかいたしません。そうすると例えば失業保険金を算入するとか、或いは公務員でいいますと共済金或いは恩給といつたものを別に考えるといつたような根本問題が解決するかどうかは極めてわからん、こういう状態だと思うのですが、調達庁が考えておられます最低保障を含む退職金問題についての案が通る、自分たちはこれは国家公務員に比べて最低保障なり何なりが得らるべきだと考えておられるわけですが、その調達庁の案が実現をする、一万九千という数字はこれは一応予定された数字かも知れませんが、実際にはやはり一万を越す人間がすでに解雇或いは整理されている。これはどうするかというこの事態の前に大きな不安があるわけでありますが、  調達庁として調達庁が考える最低保障なり、或いはこの程度調達庁が考える退職金は支給し得る、こういう工合にお考えになりますのか、或いはそうでないのか、その点を一つ承わりたいと思います。
  15. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 第二回目の三者会談の後に、他の省もいろいろ協力されておると申しましたが、実は調達庁としましても、第三回会談というような無論意味のものではありませんが、数字を出していろいろ説明しておりますというと、自然その話の中から、やはりこういう資料を出したほうがなおいいかなと、或いは先方でどうしてもこの資料だけは無理をしてでも、同じものがなくとも類似のものでも何でも出さなければならんかというような、そのときどきの本当に事務的に個個にいろいろの話合いの工合によりましてそういう感じを持つわけで、今後私どもが今作りつつあつて、近く又出して説明したいと思う資料としましては、どうも給与差の問題が上のほうで相当強くされておる。そこで給与差というものがこの程度になつておる、これが至当であるという理由等をよく資料としてまとめる。従つてこれは歴史的と申しますか、沿革的に初めからこういうふうにできておるのた、或いはどういう理由でこれだけの開きがあるのかというようなことを十分説明するような資料を作つて出そうと、それからなお先ほど申しました向うの言う、その上層部のどこまでも出せと言つた同一職種とか或いは同一の勤務年数の者の個人別の比較表を出せということに対しては一応断つてはありますが、これは技術系統については到底そういうものはできません。そこで事務系統の労務者について比較的類似のものもまあないではないと思われますので、同じものはありませんけれども比較的類似のものを選んで、僅かでありましても、同じ学歴とか同じ勤務年限等のものを拾い出して、そうして比較した表を作成して出して説明しようということで、それも今やつております。そんなわけで、極力事務的に成るほどと思わせるようにいたしたいと、それはただ事務的の問題じやなくて、話は事務的に下のほうでやつておりましても、自然上のほうの意向が入つて来ると思いますので、今申しました資料ごときは、これは必ず上のほうからそういうような希望があつて事務的な話を通じて、成るほどそういう資料を出す必要があるかなというようなことを私どもが感じたわけであります。さようなことにして努力を続けて参りたいと思います。  そこで先ほど申しました通り見通しとしてまあはつきり申上げることはできないまだ段階でありますので、重ねてのお言葉ですけれども、どういう表になるかというようなことは申上げかねます。仮に或る程度の、向うとしては成るほどと思われましても、調達庁の案そのものを呑むというようなことはどうも困難であろう、かように見ております。
  16. 赤松常子

    赤松常子君 ちよつと簡単な質問でございますが、今の交渉の経堀を伺つておりますと、大変もどかしいような思いをするわけです。というのは、向うでは失業手当の性格だとか、退職金の性格すらわわらない人を相手にいろいろ交渉をしておられるようですが、駐留軍がもう駐留いたしまして十年になろうというのに、向うの軍ではこういう労働問題に専門の人がいないのではしようか、そういう交渉に当る人は一体どういうふうに向うが選出しておるのでしようか。困つておいでになるように思うのですが、その辺の事情をちよつと伺いたいのです。
  17. 山内隆一

    説明員山内隆一君) こちらに参つおるものの中にいろいろのこのほうの専門家が全部揃つておるとは思いませんけれども、やはりかなりこういう問題についても先方で携わつてつたとか、或いはそういう知識のかなりあるような人もおるわけでありまして、決してこちらの話が、話そのものの理解力がないというようなことはないと思つております。話をしておる途中で大体それは見当が付くと思います。ないと思つておりますが、何としてもアメリカのそういうことに関する制度と日本の制度が非常に違うものですから違うことと、それからもう一つ、その生活状態、生活程度というようなもの、或いは失業というものに対するまあ非常な恐怖心、そういうことなんかも殆んど比較にならないほど違いがあるのじやないかと想像されるわけで、そんなことから私どもの深刻に考えているほど向うは考えていないのじやないか。その辺が事柄そのものを話して、それがわからんわけじやないけれども、最後になるというとなかなかそんなに出す必要がないじやないかというような気持になるのじやないかと考えられるわけであります。   なお上層部のほうでは、そのほかにもつと又いろいろ或いは予算経理の問題等も、これはよく金がないというようなこともまあちよつと笑いながらそんなようなことも言うこともありますので、笑い話でなくて、本当に或いは予算の問題もあるのじやないかとも想像されますが、今話をしているのは、予算がないから出せんというような意味で断つておるわけじやないのです。根本の理論から言つて向うはどうも今言つたような事情が影響してか、もう理論的には君らの言うことはよくわかつているが、わかつているけれども、我々の方針を変える理由はないのだというようなことで、どこまでも突つ張つておるわけであります。大体そんなような考え方であります。
  18. 藤田進

    ○藤田進君 一点だけ。十一月二日に諸般の資料を追加を出されて、まあ何分検討をした上回答しようと、こうなつて、それからあと切れているわけですね。これはやはりもう二週間にもなるわけで、一つ督促をするなり、早く更に十一月二日の資料以後の交渉を打つて頂きたい。
  19. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 先ほどちよつと申しました通り、二日の資料をよく検討して返事をすると言つてそのままになつておるわけじやないので、先ほどのお尋ねに対しても申上げたようなわけで、第何回会談というような意味じやないが、絶えず行つてせつついておるわけであります。そんなことからなおこういう資料を出せ、ああいう資料を出せと、十一月二日に出したもののほかに次々と必要と思うような資料を、向うの要求すると思われるような資料を作つて出しつつあるわけであります。
  20. 藤田進

    ○藤田進君 だから十一月二日には正式に検討した上で回答しようと言つたという今説明があつた。その後資料を取るばかりで、いわゆる解決というものの緒というものは全然私はないように聞いたわけですね、質問して。私はそういう意味で十一月二日に最後にはつきり回答すると言つたならば、資料も出したのでしようから、その後少し進めてもらいたい。赤松さんじやないが、何かもどかしい気がしますな、全く。
  21. 山内隆一

    説明員山内隆一君) 十一月二日に出した資料についてなお検討して返事をすると向うでは言つたわけですけれども、まあその後もこちらが促進かたがた、個人的にまあ知つている顔で、或いは又自分と同じような仕事をやつているところに行つて話をしているときに、なお又資料を出したほうがいいとか、或いは向うで何かこういう資料が欲しいというようなことを言われて出しておるようなわけで、向う返事をするというにはなお又話をして資料を出さなければならんとか、或いは又あとで気付いて資料を求めるとかいうようなわけで、それらを総合して返事をするというようなことにも自然なつているかと思います。
  22. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 労働大臣は一時から二時の間出席を本日はせられるという約束になつております。いろいろ聞きたいこともたくさんありますが、議事の進行がありまするので、この辺で一応休憩に入りまして、それからすぐ理事会を開きまして、一時若干過ぎるかも知れませんが、成るべく早く一つ委員会の再開になりますように御協力をお願いいたしたいと思います。   では暫時休憩いたします。     午後零時四十分休憩    ——————————     午後二時三分開会
  23. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員会を再開いたします。   ちよつと速記をとめて下さい。     午後二時四分速記中止    ——————————    午後二時三十七分速記開始
  24. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。議事を進行いたします。  只今労働大臣が出席せられましたので、本日の議事予定中、労働省関係した部分につきまして進行を図りたいと思います。今日は労働省に質しまする点は、石炭鉱業不況対策、特にその失業対策労働者の生活条件が非常に低下しておりますから、これらに対するところの改善対策というような点につきまして後ちほど通商産業省のほうからも説明を聴取することになつておりますが、労働省としてのこの問題に対する取扱い、所信等について伺いたいと思います。それから最近問題になつておりまする労使の紛争問題につきましての具体的な経過並びにその解決見通し等について説明を求めたいと思います。  特に当委員会として要請をいたしたいのは、東京証券の問題、山梨中央銀行の問題、日本製鋼の室蘭製作所の問題、港湾労組の問題、近江絹糸の問題等であります。それから第三番目には、これは特に労働大臣から明白なる所信を表明せられたいと思いますが、けい肺法案のその後の労働省における処理の進展状況について説明を求めたいと思うわけであります。この法案の取扱いにつきましては、前国会の終り頃に特に労働大臣から言明がございまして、三十年度の通常国会には労働省として法律案を国会へ提案を願うように約束ができておるのでありますが、通常国会もその召集が非常に追つて参りましたので、この際労働省として御努力を願つておりまする今日までの経過、並びに法案が国会へ提出せられまするまでの処理に対する予定等について明らかにせられたい。こう考えるわけであります。  さような工合に一応予定をいたしておりまするので、適当に労働省として御発言を頂きたいと、こう思います。
  25. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) それでは最初にけい肺法のことについて申上げたいと存じますが、かねて御承知のようにけい肺対策審議会におきまして種々意見を交わしておられたのでございまするが、どうも結論に至りません。去月二十六日審議会の会長をいたしております大西博士より中間報告を私のところへ提出されたのでございますが、それによりまして私のほうといたしましても中間報告は中開報告として、承わりまして、更にこれにつきまして如何にするかということについては、お約束の趣旨もございまするから、労働省におきまして原案を作成するという段階に入る考えで目下検討いたしておるのでございまするが、やはり従来の経過もございまするから、原案ができました際には審議会にこれを一応諮りまして、そして本院にお諮り申上げる、かような段階になるかと思うのでございます。  一応私の受けました報告について若干申上げてみたいと存じまするが、御承知のごとく昭和二十五年の二月にけい肺対策審議会が設置せられましたのでありまするが、この開設以来、けい肺対策上の諸問題につきまして鋭意調査審議を進めて来られたようでございます。昭和二十八年八月に第八回の審議会におきまして、特にけい肺対策上の問題十四項目を取上げしまして、これを審議することを決議いたしたのであります。この十四項目をそれぞれの専門部会において調査することになりまして、予防専門部会は四回、診断専門部会は二回、厚生対策専門部会は四回、粉塵恕限度専門部会は五回に亘りまして調査審議を重ねまして、昭和二十九年三月第九回の審議会におきまして審議経過の報告が行われたのでございます。昭和二十九年六月第十回の審議会におきまして、継続して今のお話申上げた十四項目についての審議を行うことを議決いたしまして、それぞれの部会において審議をしたのであります。本年度に入りまして診断専門部会は三回、厚生対策専門部会は三回開催いたしまして、その審議経過は九月の第十一回本審議会において報告されたのであります。なお十月の第十二回審議会におきまして、これまで審議されて参りました審議内容を私、労働大臣に中間報告することを議決されたのでございます。  さような経過で非常な御苦心を頂いておるのでございまするが、このけい肺対策審議会に本問題がかかりまして以来、けい肺という問題に対する非常な一般的な関心を高められまして、このけい肺問題に対する医学的な研究、又これが対策につきまして非常に大きく世論を動かし、又医学的な研究におきましても更に深く、広く研究をする端緒になつて、今後において非常に大きな貢献をすることを確信をいたす次第でございます。併し全般に見まして御報告申上げましたように、労働者側を代表する者の意見使用者側を代表する者の意見、それが一致点を見ないのでございまして、これにつきましては私どものほうといたしまして原案を作つてこれを審議会に示すよりほか方法はなかろうか、かような状態になつている次第でございます。  次に石炭鉱業に対する問題でございまするが、これは御承知のようにもう石炭の問題に関しましては本委員会においても種々御討議を頂いているのでございますが、何と申しましても石炭は国の産業の基本たるべき非常に重要な地位を持つたものでございますが、これが生産につきまして役所といたしましても種々の生産の増強につきまして意を用いて参りましたのは御承知の通りでございまして、現在四千八百万トンということを目標といたしまして生産は営まれているのでございます。  併しながら実際のこの使用実績等について見てみますと、最近この経済引締策、いわゆる経済の地固め政策を遂行して参りました関係もございまして、需要方面がそれほどこれについて伸びて参りません。現在大体四千二百万トン前後の消費、それもなかなか種種問題点を含むような状況であるのでございます。そこで私どもといたしましては、やはりこれが合理化を考えねばならんというので、相当石炭鉱業の合理化につきましては思い切つた案を考えねばならんというふうに考えまして、これを恒久策と応急対策とに分けて、応急対策といたしましては恒久対策の樹立を待つていたすわけでございますけれども、差当りこの対策といたしましては、財政資金を吸い上げる点を、個々の企業の資金事情を開発銀行において十分精査いたしまして、合理化工事の遂行に支障を来さないためにその実情に応じて返済について特に考慮をするということ。又最近貯炭の投売が炭価を極端に悪化せしめている実情に鑑みまして、余剰貯炭の処理計画を確立した企業につきましてはつなぎ融資の措置をとる、こういうことを考えておりますのであります。財政資金の返済にいたしましても、つなぎ資金の金にいたしましても、やはり一般論としてやるということではなかなか他に問題も発生いたしますから、いわゆるケース・バイ・ケースによつて十分今申上げましたような趣旨で計画の立つたものについて資金の確保を斡旋して行こう、こういうことでございます。  なお重油が一方において使われておりますので、この重油を規制するということにつきましては特段の意を用いているのでございますが、なお二十年度以降における外貨事情基礎といたしまして、早急に今申上げたような総合燃料対策を確立すると共に、これに基いてできるだけ速かに適正な措置を実施する、かような考えでおりますのであります。なお竪坑の開さく工事にいたしましても、一般の合理化工事にいたしましても、生産体制をできるだけ集約化いたしまして、非能率坑は休廃止する、或いは鉱業権を整理するという制度、又新たに坑口開発工事をいたします場合には許可制度を布くというような点を考慮いたしておりまして、通産省といたしまして国会にこうしたものを含む石炭の合理化対策というものについての特に法案を御審議を頂くという考えでおるのでございます、なお合理化の効果を炭価に反映せしめるために、毎年合理化計画の進捗度に応じて基準炭価というものを決定し、公表いたしまして、炭価水準を明らかにすると共に取引炭価が著しくこれを上廻りますときには炭価引上げの勧告を実施するというようにいたしまして、石炭の需要というものを安定せしめる。そうしてこれが価格を安定せしめて、そして石炭企業そのものを安定せしめるということによりまして、石炭に働れるかたがたについても安定を期する、かような方針でおりますのでございます。一方現在のような貯炭が相当にある、四百万トン以上にも上るというふうな状態で、できるだけ今申上げたような政策をとつて投げ売り防止等について意を用いて安定を期してはおりまするが、一方において失業或いは失業に至らざるも非常に賃金不払い、金券を支給されるというような事情もございますので、これの対策といたしましては、御承知のごとくすでに発表いたしましたような鉱害復旧事業を繰上げて実施する、或いは又特に失業対策事業を重点的に地方的に行なつて行く。又今大蔵省と折衝いたしておりますることでありまするが、特別失対事業を考慮するとか、かようなことをいたしたい。又資金につきましても、今まで金融公庫の融資の枠が一口一千万円というものを石炭に限つて二千万円に拡大するというようなことで資金的にも面倒をみる、かような対策をとつておりまする次第でございます。  他は事務当局等から又逐次御説明を申上げます。
  26. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今の御説明の中でいずれ質問があろうかと思いますが、けい肺法案只今労働省で予定されておる原案の内容の主なる点ですね、これをお聞きしたいことと、それから第二点は、石炭関係でアメリカから数百万トンの石炭の売り込みがあるということを聞いておりますが、この重油の規制のほかに石炭の売り込みについて国内石炭との関係でどういう工合に考えられておるか、この点は通商産業省との関係もありますので、通商産業省から石炭政策についてはやはりあとで一括して述べて頂きたいと思いますが、労働省のほうもお考えがあろうかと思いますが、これをお聞きをいたしておきたいと思います。
  27. 亀井光

    説明員(亀井光君) 目下私のほうで調査研究をいたしておりますけい肺法案内容でございまするが、予防と補償、補償と申しまするか、給付と申しまするか、けい肺に罹りました労働者に対する保護の方法及びこれが実施に関しまする機関の問題、例えはけい肺診断部会、こういうふうなものを主体として研究を進めておるわけでございまして、まだ成案が得られておりませんので、ここで申上げる段階に至つていない次第であります。
  28. 吉田法晴

    吉田法晴君 あとからまあ伺うことにいたしますが、聞くところによると今のけい肺問題については要綱がすでにできておつて、労働対策協議会ですか、には本明日かけられるかのようなお話でございますが、そういうことはないのですか。
  29. 亀井光

    説明員(亀井光君) まだそこまで運んでおりませんのでございます。労働問題協議会の今後運営の問題も、実は今日の同委員会におきまして御決定になると思います。即ち具体的に申しますと、今後労働省で制定を予定いたしまする新しい法律の内容につきましては一応同委員会の議を経ると申しまするか、或いは承認を経ると申しまするか、そういう手続を経ることがいいかどうかということについて本日の同委員会において御決定になると思います。それが御決定になりますれば、或いはけい肺法案というような新しい法律でございますので、これに一応委員会にかけるというような手続になるかと思います。
  30. 吉田法晴

    吉田法晴君 それでは一応大臣に申上げておきますが、けい肺法の問題につきましては、この参議院の労働委員会で、昭和二十五年頃からだと思いますが、調査を進めて参つて、議員提出で案もできたいきさつからいたしましても、要綱が労働委員会説明される前に、労働問題協議会等に提出されるということは、今までの経緯を私は無視するものだと思います。そういうことのないようにお願いをしておきたいと思います。いきさつもそうでありますし、それから国会と政府と申しますか、行政権との関係から言いましても、国会を無視して、労働問題協議会に出されるということは、これは筋が違つておろうと思います。この点は一応警告だけ申上げてあとは事務当局に伺います。
  31. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) ちよつとそれではその問題で……。私は何も国会を軽視するというような、そういう思想は全然ないので、もとより国会において御審議を願うほうは国会の御意見によつて左右されるべきだと思うのでありますが、私は労働問題の、殊に法律案をかけるというような際には新しい行き方でございまするが、労働問題協議会は労使並びに一般の良識を代表するかたがたによつて構成されておりまするので、十分御審議は本院においてお願いするのでありまするけれども、こういうことを政府で構想して一体どういう影響があるだろうか、何もけい肺い限らず、あらゆる法案について、そういう問題について労働問題協議会の良識といいますか、そういうものを問うという考え方はどうか、こういうふうに考えております。そういうふうにお考えにならずに、私の考えておるところをお認め願いたいと考えております。
  32. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 労働大臣は退席を急がれておりますので、大臣に御質問のあるかたはどうぞ一つ……。
  33. 田畑金光

    ○田畑金光君 あと事務的の問題は当局にお尋ねすることにいたしまして、石炭問題について二、三お尋ねしておきたいと思うのです。  只今労働大臣の御説明によりますると、次の国会に具体的な法案提出の用意がある、こういうようなお話があつたわけであります。先般もこれはさる新聞で発表されたわけでありますが、政府与党といたしましては、鉄鋼、石炭のてこ入れについて緊急対策が通産当局と自由党の政務調査会との間に意見の一致を見た、こういう記事が出ていたわけであります。その中で石炭鉱業については、例えば開発銀行の融資の元利、返済について一定期間棚上げするとか、或いは現行の九分乃至九分五厘の利府を五分乃至、五分五厘に引下げるとか、或いは貯炭が九月末現在四百三十万トンに上つておるが、正常貯炭二百五十万トンとして、そのうち百万トンに対しては取りあえず三十億前後の貯炭融資をやろう、こういうような石炭に対する緊急施策が話がついたと、こういうことを聞いております。今の大臣の説明にもありましたが、次期国会に、こういうような内容の法案が政府としては必ず提案されるのか、どうか、この点を先ず第一に承わつておきたいと思います。
  34. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 法案を提案するということにつきましては、先ほど申上げたように考えておるわけでございます。ただその内容につきまして一部の新聞に出ておりましたことについては、これは確定的なものではありませんので、例えば今お話の中にありました貯炭融資というような問題、これは貯炭融資、いわゆる滞貨融資という考え方は、これは全般に影響する問題でもありまするから、先ほど申上げたように整理計画が立つたものについてその合理化資金を出すと、こういう考え方一般的であるわけであります。なお税制、金利の問題等につきましては、これは財政当局とも折衝中の問題でございまして、まだ決定を見ておりません。併しそうしたものを含んだいわゆる合理化法案というものを提案する考えでおることはその通りであります。
  35. 田畑金光

    ○田畑金光君 又大臣の御説明の中に不良非能率炭鉱の休廃山或いは坑口の閉鎖等、いわゆる能率のいい炭鉱に生産を集中する。言葉を換えて言いますと、大手筋の炭鉱を中心に今後の石炭産業を活かして行こう、こういうような結果になると思うわけでありまするが、いわゆる炭鉱の買いつぶし、中小炭鉱の要するに鉱業権等の買収、こういうようなことについて政府は考えておられるというお話でございまするが、これも今お話の法案の中に含んでおるのかどうか。こうなつて参りますると、当然財政資金というものも相当多額に上ると思いますが、今のデフレ政策とそういうような点において矛盾するかと思うわけでありますが、この中小炭鉱の買収についてどの程度の成案になつておるのか、次期の国会において法制化を通じ必ずこれを実現するという政府決定として進められておるのかどうか、この点お尋ねしておきます。
  36. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) この非能率炭鉱の休廃止ということを直ちに大手中心というふうにお取りにならんように願いたいと思うのです。これは大手においても非能率のものは能率化するという趣旨から、いわゆる集中的に傾斜生産的に能率のよいものに生産を集中して行くと、こういう考え方でありまして、何も企業別に大手に集中するとか、大資本に集約するとか、さような考え方で申しておるのではないのでありまして、要しまするに、この計画を完成いたしまするときにおいての適正生産規模というものが、今の四千七百万トン乃至西千八百万トンと思料されまするから、これを目途として能率炭鉱で能率的な生産ができるようにする、こういうことでございます。従つてそうした非能率の炭鉱の休廃止というものを促進する必要の合理化資金というものは、融資条件とするような考え方でございまするけれども、これを如何なる基準で如何ほどのものにするかということはまだ決定をいたしておらん段階であります。
  37. 田村文吉

    ○田村文吉君 今の御質問に対して大臣のお答えになつたことは、一方で合理化をやつて原価は安くするということにはなるかも知れないが、それによつて失業者というものの救済にはならんのだ、こういうふうに私ども考えるのですが、そこでこういうときには、要するに需要を殖やすか、生産を殖やすかということを或る程度やらなければ今の差迫つた問題の救済にはならんと思う。或いは国の大きな方策としてデフレの一環としてはできるだけ合理化して炭価を安くするのだということも考えられないでもありませんが、今日の石炭企業というものの分布の状態及び構造を考えて来ると、或る程度までやはり当面は生産をコントロールし、需要を殖やして輸入するほうを制限するということが、どうしてもこれは当面行われて行かないことにはこの救済にはならない、こういうふうに考えるのですが、今後その合理化によつて順次おやりになるのはそれでよろしい。今差当つてはそういう問題については思い切つて労働省として、通産大臣というよりは労働省としてこの問題に手をお打ちになる必要があるのじやないか、こういうふうに考えるのですが、どうですか。
  38. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) おつしやる通りでございまして、重油なり外炭なりというものについてはでき得る限りこれを減らして国内生産、それを石炭の需要に変えて行く、こういう方針でおりますることは前にも申上げた通りでございます。そこでただ一般的に申しまして、非常に輸入して来る石炭、外炭よりも非常に内地の石炭のほうが高い地位にある、価格が高いということがいつまでもそういう態勢のままで持つて行くことができんものでございますから、できるだけこれはやり競争力のある炭鉱にして行かなければならんといたしますると、需要も人為的に殖やすわけに行きませんので、一般ができるだけ需要しやすい炭価に持つて行くというふうな方向をとつて行くように考えておるわけであります。併しこれも何もドラスチツクに一遍に休廃山をやるとか、そういうことを積極的に一遍にやつてしまうということは今お示しのあつた、派生的な種々の問題を生みますので、この間の事情というものは両々相待つて行かなければならん、かように考えておるわけであります。
  39. 田村文吉

    ○田村文吉君 筋を通して行くという点から言えば御尤もではあるのだが、私は当面差迫つて来ておる失業の問題等から考えて来ると、この際は労働省としては、石炭は無理にでも一つ国内のやつを使いなさい、輸入は一つ制限しなさい、同時に大メーカーにも小メーカーにもこの際休出炭を制限して、四千二百万トンにするかということをやつて、この当面のピンチを切り抜けて、而して後順々に一つ合品理化の線をとつて行く、こういうことにならないというと、私はその前に社会不定であるとかいろいろの問題が起こつて来て、実際のデフレーシヨン政策をしおやりになさろうとしてもやり切れなくなるのじやないか、こういうことを恐れる。それで通産大臣としては或いはそういうことを考えられるか知れないが、労働者としては思い切つてそういう点について強硬に御主張頂いて行くということが、社会不安をなくし、失業者をなくし、そうして炭価は或る程度まで復活して、そうして国内で切抜けられるというように私は思うのでありますが、これは特に一つ、私はこれ以上申しませんが、労働大臣としてはよほどこれは重要にお考えになつて頂いてお願いしたい、こういうふうに考えるのであります。
  40. 吉田法晴

    吉田法晴君 関連してそのところを二、三尋ねたいと思うのですが、先ほど委員長から吉田総理外遊に関連していわゆるMSA石炭でありますが、これについて御質問がありましたが、答弁がございません。答弁がないということは、そういうアメリカから余剰小麦みたいな石炭を受入れるあれはない、こういうお話でございますのか、その一点を明確に一つ開いておきたいと思うのであります。それから成るほど四千八百万トンでしたが、四十八百万トンの消化需要がない、こういうことで自主統制なり或いは坑口閉鎖とか或いは鉱業権の買上げというものを考えておられるが、それでは何千万トンに石炭を考えられるのか、石炭の生産は何十万トンにしようという御計画なのか、その点も一つ大臣から伺いたい。そうしますと或いは坑口閉鎖或いは鉱業権の買上げというものは、出炭にも直ぐにでも影響して来ますが、今田村さんのお話ではありませんが、労働者の数にも影響して参ります。通産大臣の代理として、石炭の生産問題或いは需要問題においても考えられるでありましようけれども、そういう工合に坑口閉鎖或いは鉱業権の買上げをする、そうして出炭が減るということになると労働者がどうなるかということは、これはすぐお考えになるべきことであります。現にデフレ政策なんかで何万という労働者がその生活に困つて、或いは栄養失調になつており、或いは川がにを食つたり悲惨な生活をしていることは御承知の通りであります。それがだんだん深刻化して、労働問題から治安問題にまでなろうとしている現状でありますが、この労働者に対しても十分の対策も立てられない。或いは先ほども言明がありませんでしたが、今後の炭鉱の労働対策についてはどういうようになさろうとしているのかその点を一つ承わつておきます。
  41. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほどの輸入炭のお話は、事務当局からという委員長お話つたので、私は答弁を申し上げなかつたのですが、これは大体御心配にならんでいいのじやないかというふうに思つております。これはまだ愛知通産大臣が帰つて来る前でありますから、特に詳しいあれは申上げないほうがよかろうと思いますが、大体御心配要らない、こういう点だけでお答えに代えさせて頂きたいと思います。  それからなお私は恒久対策と応急対策と分けて申上げたのでございますが、石炭の合理的な集中生産方式は、これは筋を通すという意味から恒久対策を考えて行かなければならん、こういうことを申上げているので、差当りの問題といたしましては、今お挙げになりましたような種々な派生的な問題を十分考慮いたしましてやつて行かなければならん。何といたしましても炭価の安定されることが必要であるし、一方においては需要の喚起ということが必要でありますので、例えば渇水時におきましていろいろ電力会社等の需要いたします石炭等につきましても、できるだけこれを早期に買入れますように今指導をいたしておりますような状況で、できるだけ今後需要を殖やして参る、かような考えに立つておるのであります。
  42. 吉田法晴

    吉田法晴君 需要を喚起する或いは価格の安定を図る、これは応急対策でもそうですが、恒久対策でも考えられるでありましようけれども、併し何と言つても今の当面の問題は価格の安定とか合理化ということでしよう。ところが坑口の閉鎖とか或いは鉱業権の買上げといつたような政策が出て来る。而もそれを法案に出そうというのですから、それなら四千八百万トンと言われた石炭の生産をどの程度に消化しようとされるのか、これは恐らく数字が出ているだろうと思います。でなければ何百万トンとか鉱業権買上げ云々という結果が出て来ない、関連して参ります。そうしてそれに伴つてそれでは労働者はどうなるのだ、こういうことは先の話ではないので、今通産省なら通産省で立てている政策に関連して出て来る、それについては何も考えていない。考えていないなら考えてないでかまいませんが、今特に苦しんでおる、窮迫している労働者の生活の問題もありますが、今の政策に関連した労働問題をどういう工合に考えておられるか。
  43. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 今申上げた通り坑口の閉鎖というような問題について或いは鉱業権の整理制度というような問題は、これは法案を出して御審議を願つて、そうしてそのものを通してやや恒久的な筋を通すという問題だと思うのであります。  差当りの失業対策はどうか。こういう点でございますが、これは先ほど申上げましたような失対事業、特に地域的に重点的に例えば遠賀川の流域或いは福島県の常磐炭鉱の地方に置くとかいうようなことで、公共事業をできるだけ場所的にも明間的にもそうした方面に重点的に行なつて行く、かようなことを考えておるわけでございますが、何といいましても企業そのものに能力をつけてやることが必要なので、金融の斡旋等も努めておるし、石炭そのものの買上げにつきましても、需要家にできる限り内地の石炭を使いますように、通産省として使用を奨励をいたしておる、こういうことでございます七
  44. 田畑金光

    ○田畑金光君 大臣の御説明を聞いておりますと、炭鉱の現在の窮況に対して何らかの打開の途が講ぜられるような感じもいたしますが、併し問題は時間の問題だと思うわけであります。先ほど来の説明によりまするというと、一つの対策を立法を通じて実施をする、こういうわけでありまするが、併し立法といいましても、これは相当期間も考えなくちやならんと思います。現在のような状態で参りますると、来年三月末には五百三十万トンの貯炭ができて、石炭企業が破滅的な打撃を受ける、こういうような状況に直面しているわけであります。例年でありますると炭の受要期に入つておるにかかわらず、炭価は国鉄の納入炭を見ましても或いは電力会社に対する納入炭を見ましても却つて引下げられており、貯炭は殖えて行くばかり、こういうような状況でありますから、現存当面の行政措置として何らかの具体的な抽出がとられて然るべきじやないかと考えるわけであります。そういうような点に関しまして、先ほど融資の問題等がありましたが、例えば炭鉱の合理化についてそれぞれの企業において一つの計画ができ上つておる。或いは貯炭についての消費についても見通しができた。或いは出炭の制限について一つの計画が樹立された。こういうような企業に対して当面行政措置として金融面からするつなぎ融資の問題とかこういうような点が考えられないのかどうか。この点当面の問題として金融措置等について何か成案があるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  45. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 先ほど申上げたように、金融措置につきまして一般的な滞貨金融というのは非常に業界その他から御希望が多いのでありますけれども、この石炭について滞貨融資を認めて行くということになりますことが及ぼす全般的な影響を考慮いたしまして、このことは少し困難である。ただ申上げたようにケース・バイ・ケースで見通しを計画的にきちんと立てられたところについては融資をする。それで石炭業というものに担保なしに金融をし得るという対策を立てておるわけでございます。この点につきましては大体閉鎖のほうとも話をつけておるのであります。
  46. 田村文吉

    ○田村文吉君 関連問題ですが……。昔でありますとこういうような場合吉は業者がおのおのセルフーコントロールして、お互いが話合いをして、出炭を制限して、そうして数量の調節をとつたわけなんですが、今はそういうことは独禁法の関係からできないのでありますから、政府のほうとしてそういうことをやらなければならないようなところまで来ておるのじやないか。私は元来一体石炭が法外に上り過ぎたということが、私はどういう原因から来たかということについて先般来いろいろ申上げたり、又追及も申上げたわけなんでありますけれども、今日のような情勢になつて来ていると、如何んせん純理論で、なぜ石炭がこんなに上がり過ぎたか、これをどうして下げるかということについて最も根本的な対策を考えなければならんが、今当面したこういう労働問題、非常に人が余つてつたりしておる際においては何かそこに一つコントロールしなければならない。その場合にはお互いの石炭業者がやるということは今日ではなかなかできませんから、どうしても労働者或いは通産省あたりが或る程度の出炭をこのくらいにしろというようなことでもなさらないと、これは恐らく助からないのじやないか、こういうような気がするのでありますが、そこまで一つ行かないとなかなか資金の調整くらいおやりになつて見たところで根本的には直らん、こう思うのですが、如何ですか。
  47. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 御承知のように業界で話はし合つて、出炭の数量等について話はしておるわけであります。公取のほうの意見としては協定を結ぶという段階でなければ独禁法の関係はなかろう、こういうような解釈であります。事実上といたしまして話合いによる出炭の目途をつけて行くということはやつておるわけであります。
  48. 田村文吉

    ○田村文吉君 それは今の業者自体がそういうことをやろうということになると面倒になりますが、通産省としてこれ以上にそう余計出してはいけないのだというところで通産省自体が乗り出して一つ制限をする、こういうところまでなさらないというとこの問題は解決できない、なかなか金を少しぐらい融通しておやりになつて解決できないことは火を見るよりも明らかで、なまなかお金を出すと、目先の早い者だけが金をもらつて、結局十分に行かない。それより大きな炭鉱が主として犠牲になつて出炭制限をしてこのところを切り抜けるという方法が先ず第一必要ではないか。然る後に恒久対策として合理化の問題に漸次推し進めて、或る程度までデフレーシヨンに対して自心を入れて行くということが必要ではないか、こういうことを考えておりますので、この点を一つ労働大臣として特に御考慮頂きたい。
  49. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) それはよくわかりました。
  50. 藤田進

    ○藤田進君 労働大臣は退席されるのですが、この間から、通産委員会でも非常に急がれたようでしたから、今日はこつちに廻つてわざわざお尋ねしたいと思つていたのですが、今日は駄目だとして、明日、明後日はこつちに参考人を呼んでおるわけで、そうなると今のは中途半端になつて来ますから、十八日に何とかなれば今日は我慢しますが……。
  51. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 十八日午後は衆議院のほうに行きますが、午前中はこつちに参ります。
  52. 藤田進

    ○藤田進君 それでは委員長そういうようにして頂ければ私はやめます。
  53. 田畑金光

    ○田畑金光君 どうも質問しようと思うといつも中断されまして、なかなかどうも質問が少しも進まないのですが、労働大臣の時間の許すときもう少し一つ質問したいのですがね、それは今のお話ですと十八日の午前というのですか。
  54. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) そうです。
  55. 田畑金光

    ○田畑金光君 十九日はどうなんですか。
  56. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 十九日はこちらにおりません。だから来週でも。
  57. 田畑金光

    ○田畑金光君 来週は困るね。
  58. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 衆議院のほうとかち合つておりますしね。
  59. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 労働大臣にちよつと私最後にお願いして置きたいと思うのでありますが、明日からピケ・ラインの小坂声明、或いは次官通達について学識経験者或いは労使の代表者からここで意見を伺うことになつているわけであります。恐らくその意見が伺えましたあとで、国内の代表的な意見というものを尊重しながら恐らく各委員諸君から労働大臣に対して質問が私は展開されると思うのですがね、従つて今日はピケ・ラインの問題については全然議題に取上げていないのはそういう見通しからです。要するに各界の意見を聞く前に労働大臣に質疑をするということは参考人を呼ぶ趣旨にも反しますので、そういう予定をしているわけであります。従つて是非とも明日、明後日の労働委員会のあとで労働大臣が出席をせられて、そうして質疑に答えられるように御用意を願いたい、こう思うのであります。速記をとめて。    〔速記中止
  60. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  61. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 検討の材料は十分にありますが、確固たる決定には、至つておりません。十分検討の材料としていろいろ出ております。
  62. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は、時間がありませんので是非この際伺つておきたいと思うのでありますが、この間労相談話が発表されて、それから次官通達に同じものが出たのでありますが、これと裏腹をなすような不当労働行為の限界について通達を出されるというような噂を仄聞するのですが、そういうことがありますのかどうか、その点だけ。
  63. 小坂善太郎

    ○国務大臣(小坂善太郎君) 今考えておりません。
  64. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは議事の進行ですが、先ほどのけい肺法の内容の問題を、基準局長、もう少し、政務次官と御一緒に一つ御答弁願いたい。それからあと石炭問題、それからあとに、今起きておりまする労使の紛争問題をやる、こういうことにいたしたいと思います。
  65. 亀井光

    説明員(亀井光君) 先ほども御答弁申上げましたように、まだ調査研究の段階でございますので、結論を得ていないのでございますが、その調査研究の対象としましては、先ほど委員長から申されました事項につきまして、我我も検討の材料としまして研究を進めております。又一方、けい肺対策審議会の中間報告に盛られました事柄並びにけい肺対策審議会で中間報告を得まするまでに審議をいたしました会社の側の意見というようなものも考慮に入れながら、検討を進めておるのであります。一つは適用範囲をどの範囲に認めるか、一つは予防法の問題、一つは、けい肺にかかりました労働者の保穫の問題、一つはこのけい肺法を実施するために、必要な機関の問題、或いはこれに対しまする国の援助の方法の問題、こういう問題を主体にしまして、検討をいたしておる次第でございます。
  66. 吉田法晴

    吉田法晴君 問題だけ出されたのでありますが、けい肺法を単独立法として制定をしたい、こういう参議院の動きから、政府においても、脊髄骨折を含みましようが、けい肺法等についての法律ができる、こういうことで、或いは鉱山その他、けい肺患者の発生いたしします作業場と申しますか、事業場と申しますか、ここで、けい肺患者の診断その他を抑えよう、表に出るのを抑えよう、こういう動きがあるかに仄聞するのであります。そうしますと、けい肺等に関しまして考えられておる法の中で、診断機構をどうするかという問題、診断なり診断機構なりというものが入りませんと、折角作りました法律の対象が抑えられるということになりますと、これは折角の立法の趣旨を没却することになります。その点をどういう工合に法の中でお考えになりますか。  それからもう一つ、法案を考えました際に、私どもがいろいろな問題について考えていました項目の中で、特に補償関係について、配置転換、それからその配置転換に関連いたします補償、それから給料保証について、現行協定によつて八〇%或いは一〇〇%の給料保証の増率を協定上で実施されておりますが、そういつた給料保証の面に関します。増率に関連して、どのように法案の中で構想せられようといたしているか、この点についてお尋ねしておきます。
  67. 亀井光

    説明員(亀井光君) 診断機構につきましては、先ほどもちよつと触れましたように、けい肺診断官制度というものを、我々として研究を今いたしておるわけであります。けい肺の早期発見と的確なる診断ということを目標といたしまして、けい肺診断官制度をどういうふうに組織するかということも一つ検討の材料にいたしております。又御質問にございました配置転換の問題或いは給料保証の率の増加の問題等につきましても、研究の対象としまして検討いたしておりますが、まだ結論は得ておりません。
  68. 吉田法晴

    吉田法晴君 それじやもう一つお尋ねをいたしますが、予防の点につきまして、法の規定の如何によつては、或いは、予防の責任と申しますか、或いは負担と申しますか、これが労働者に転嫁されると申しますか、そういうことに相成つては、或いは責任が労働者なら労働者に一方的に課せられるということになつては、折角の法の精神に反すると思うのです。これらの点については、具体的な構想はとにかくでありますが、そういう虞れのないような規定にはなつているかどうか、その点をお尋ねいたします。
  69. 亀井光

    説明員(亀井光君) けい肺の予防につきましては、すべて使用者の責任におきましてこれを実施して頂くつもりでございまして、労働者の負担において実施いたしますることについては考えていないところでございます。
  70. 吉田法晴

    吉田法晴君 それからもう一つ、先ほど委員長が三度以上云々と、こういうお話であります。従来二度以上がこの労災の対象に考えられたわけでありし致すが、その三度云々という点に関連をいたしますが、そうなりますと、軽症で結核を持つておりますものについては、これは従来労災の対象として考えられておりましたが、新しくできます法案の中でまさか従来より以上に軽く取扱われるということはないと思うのでありますが、軽症といえども結核を伴つておりますものについては法の中で十分考えられているかどうか、その点を一つお尋ねいたします。
  71. 亀井光

    説明員(亀井光君) けい肺の度合につきましては、御承知のように、現在要領一、要領二、要領三というふうな取扱をいたしておりまして、これを民需にいろいろ検討が診断部会においてなされたわけであります。その結果、大体現在の要領一、要領二、要領三の考え方で行くのが国際的に見ましても適当であるというふうな中間的な報告もございました。我々が現在施行しておりまする要領三の治療の者の補償、並びに要領一、要領二でありましても結核症を合併しております場合は、補償の対象といたしておるわけでございまして、これらの症状の程度につきましては現在取扱つておるものをそのまま踏襲いたしたい、かように考えております。
  72. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと中間で大変恐縮ですけれども、午前の委員会の御決定によりまして理事会開催いたしておりますので、その結果を御報告申上げます。  明日吉、明後日のピケ・ラインの正当性の限界について参考人を招致いたしまする中で、中央労働委員会公益側委員を呼ぶという問題につきましては、理事会のほうで改めて意見をまとめるようにということでございました。理事会を開きましていろいろと意見の交換をいたしました結果、中央労働委員会公益側委員という資格で呼びましても、公益委員の七人の一致した意見を述べるということは困難であろう、個人発言になりまするから。そこでこの際は学識経験者という立場で公益側委員を呼ぶことにしたら如何かと、従つてそういうことになりますというと、いろいろ公益委員の中にも御意見の相違があるでありましようから、二名をお招きすると、こういうことに意見の一致を見たわけであります。そこで具体的な人選としましては、佐々木良一氏とそれからもう一人小林直人氏、この二人にお願いをいたすことにいたしまして、只今折衝をいたしております。佐々木良一氏が御都合が悪い場合には、更に七人の公益委員の中から代りのかたをお願いする、こういうことにいたしたいと思います。さように決定いたしてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは御異議ないものと認めましてさように決定をいたします。  それではどうぞ。  そうすると、けい肺法の問題は一先ずこれでよろしうございますか。
  74. 藤田進

    ○藤田進君 ちよつと席を外しましたが、あれはどうですか。通常国会に出すような努力目標なのか。どうも今度の場合、非常に手が込んでいるように私は伺つて、通常国会がスムースに一体あるのかどうか。これは政治問題は別ですが、あるものとすれば出せるのかどうか。どうですか。
  75. 亀井光

    説明員(亀井光君) 大臣も先ほど御答弁がございましたように、通常国会を目標にして準備を進めております。予算的な大蔵省との折衝もさような目当てでやつております。
  76. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると、やはり、休会明けというか、明年の一月か、二月になりますか。
  77. 亀井光

    説明員(亀井光君) その時期は、はつきりここで申上げかねまするが、御承知のように、けい肺法に関連しましては、けい肺対策審議会、それから労働基準審議会、それから労災補償審議会、三つの審議会が全部関係があるわけでありまして、おのおの審議会の合同審案という形に持つて行かなければならん性格のものでございまして、そういう面の審議が名少暇がかかるのではないか。併し通常国会に間に会うようには我々として是非仕上げたいというふうに存じておる次第であります。
  78. 藤田進

    ○藤田進君 ですから、一月、二月が無理だとすれば、四月頃になつて出るというようなことになるわけでしようそうすると、通常国会とはいいながら、実際問題として出せるかうかという疑問が出て来るわけですね。通常国会といえば五月そこそこですがね。延びれば別ですが……。
  79. 亀井光

    説明員(亀井光君) 二月になりますか、三月になりますか、審議会の審議の経過を見なければわからんと思いまするが、通常国会において審議が十分行われる程度の期間には提出のできるように我々準備したいと考えております。
  80. 田畑金光

    ○田畑金光君 今の点ですが、予算の問題とこれは関連すると思うのです。来年度の予算をいつ政府は出すかということでありますので、当然事務当局としては事前にこの法案の準備がなければ予算の要求はできんと思うのです。四月ということになつて参りますと、丁度、十九国会においても、四月項になつてこの法案を通すかどうかというような論議の際に、もう予算措置がきまつておるから、こういうわけで予算の面から一つは制約があつたことも一因になつているはずです。予算の問題と法案とは、当然、併行せなくちやならんと、こう考えますると、三月四月ということじや、これはとても問題にならんので、むしろ、法律案として、政府案としては本年一ぱい、遅くとも来年早々はそういう各種委員会を通じて政府案とならなければならんと、こう思うのですが、この点についてどういうふうなお考え方でおられるか。
  81. 亀井光

    説明員(亀井光君) 申すまでもなく予算との関連もございまして、お説のような心配も我々として考えないではないのでございますが、その間におきましては、十分審議会のほうを督励をいたしまして、それに間に合いまするよう我々としては審議を進めて頂くという考えでおるわけでございまして、予算の審議と法の審議とが並行的に行われまするように我々としては念願をいたしておるわけであります。
  82. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  83. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  84. 吉田法晴

    吉田法晴君 さきほど予算の点に関連しまして、三億というお話がございましたから、その構想について若干加わりたいと思います。予算としての三億、言い換えますなら国の負担が三億というのであるのか、或いは経営者の負担その他を考えて、けい肺等補償について総額どの程度の計算をしておられるのか、確定的なものではないと思いますが、一応の考え方の大綱を若しお聞きすることができるならばお伺いしたいと思います。
  85. 亀井光

    説明員(亀井光君) 予算は結局けい肺にかかりました労働者の保護をどの程度にするかということで非常に差が出て来るわけでございます。従いまして我々としまして、今何億になるのか、最終的なものとしましてはまだ決定を実はいたしていない。ただ大蔵省に対しまして、概算といたしましては一応要求はいたしておりますが、これは内輪のことでございますから、その数字その他につきましてお答えをすることは差控えさせて頂きたいと思います。   —————————————
  86. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは時間が大分たちましたので、最後の議事としまして最近の労使の紛争問題に対する具体的な案件について、説明を一応煩わしたいと思います。  それから石炭の問題、駐留軍の問題只今の問題等はいずれあとに残りまするので、参考人の公述を求めたあとに労働大臣に質疑が展開されると思いますから、その委員会のときに譲りたいと思います。ご了承願います。  それでは特に中西労政局長にお願いいたしますが、未解決の問題、或いは解決はしたが、あとに尾を引いておる見通しにつきましては、それの処理等の見通しについて、完全解決をすることの見通しついて言及せられたいと思います。
  87. 中西実

    説明員(中西実君) 先ず日本製鋼所室蘭の争議その後の状況について申上げます。実は表面発表にはならなかつたのでありますけれども、内々争議が非常に長引いて参りましたので、中労委の中山会長に労使からの斡旋方の依頼もありまして、新聞にも最近では出ておりますが、中労委の労働側委員北川氏と、日鋼の会社側会長の石塚氏と三者会談で事を運んでおられるようでございます。問題は非常に原則論について双方の意見の対立がございまして、—応中労委の仲介によつてものことを解決したいということにつきましては一致しておるようでございますが、更に原則論において若干の三者会談におきまする話合いは一致いたしておりません。今日の中労委の総会でこれを正式に取上げるかどうかということもきまるように聞いております。いずれにしましても、やはり中山中労委会長を中心とした斡旋によつて解決されるようなことになるのじやなかろうかというふうに考えております。  それから次は、近江絹糸の問題は、一応九月十六日の中労委斡旋案で労使ともこれを受諾いたしまして、妥結したのでございますが、その後細部に亘りましての団体交渉が相当円滑を欠いておりまして、そのために労使間にいろいろとトラブルが起りつつございますが併し、懸案でございました近江絹糸の労働管理のスタツフ、即ち労務担当重役或いは労務部長というような人の人選もきまりまして、これら新陣常を擁した会社側と組合との話合いということがいよいよこれから始まるということになりました。従つて漸次細部の問題も解決をして行くのではなかろうかというふうに考えております。  それから東京証券取引所の争議でございますが、これは御承知のように都労委の斡旋によりまして、今月の五日都労委の斡旋案、現行ベース一万二千三百九十九円を二七%アップする、但し十月の昇給分一〇%を含む、なお或る程度の例外規定を設けて、ユニオン・シヨツプ制を認めろという内合の調停案、これを双方が受諾いたしまして一応問題は解決をしたのでございます。ただこの争議の最中におきまして、十月二十六日二十四時間ストに入りました際に、そのストが限度を越えたということで、これに対して使用者側からの要請もあり、実力を以てピケの入口を開きまして、中へ立会人等が入つた。で、その間に七名の検束者を出した。目下検察当局において調査が行われつつございます。  次に山梨中央銀行の争議、これは銀行の争議が主として中央銀行を中心に全国的に次々と発生したのでございますが、山梨中央銀行につきましては、今年の二月二十二日から、給与体系の合理化と賃上げ、更に退職金増額要求を掲げて団体交渉が重ねられて来たのでございますが、他の銀行が次々と解決しましたのに、これが最後に残りまして、遂に十月の二十三日から二十四時間スト、二十四日からは四十八時間スト、二十六日から無期限ストというふうに実力行使に入る事態になりました。その間、地労委が一度斡旋を行なつて斡旋案を出したのでありますが、銀行側は呑みましたが、組合側がユニオン・シヨツブ制の即時締結ということを斡旋案において認めてないということが不満で、今申したような実力行使に入つたようなわけであります。このユニオン・シヨツプにつきましては、実はそれより先、十月十三日に執行部反対派が第二組合をつくりまして、山梨中央銀行職員組合約七百名弱のところへ二百五十名の第二組合ができたわけであります。従つて第一組合と第二組合との争いがこの争儀を更に解決困難なものにしたのでございます。このストに対しまして、銀行側は十月二十三日に占有解除の仮処分の申請を行なつております。二十六日に仮処分の決定がなされまして執行されたのでありますけれども、併しながら山梨中央銀行職員組合の第一組合と全銀連だけが対象のように仮処分に書かれておりましたので、他の外郭団体がこれは処分決定の対象外であるとしてピケを続けるということで、相当我々から見ましてもき過ぎの争議の事態があつたわけでございますが、更に地労委が両斡旋に入りまして、十月三十一日山梨地労委が斡旋案を出しました。これは大雑把に申しまして、賃上げにつきましては、九月三十日までは月額七十万円、十月一日以降は九十万円増額するということで、賃上げの問題はそういうことで解決するようになつた。更にシヨツプ制につきましては、銀行と組合は直ちに次のような労働協約を結べ、但しその効力の発生は十一月二十日として、その間に組合は山梨中央銀行職員との統一に努力するというわけであります。「次のように」と申しますのは、「銀行の従業員は銀行、組合間で認めたものを除いてすべて組合の組合員でなければならない。銀行或いは組合から脱退又は除名された者を直ちに解雇しなければならない。」現在聞くところによりますと、第一組合と第二組合が三百六十対三百四十でございますか、殆ど半々の事情にございまして、今月の二十日までにこれが一緒になつてそうして会社とユニオン・シヨツプ制を結ぶという内容になつておるわけでございますが、すでに二十日も間近いのでございますけれども、今のところその両者が円満に統一しそうもないような事情に見ております。従つてその点が若干、一応の会社との間の争儀が済んだようなものでございますが、組合間のそういつた不一致のために会社との協約を締結する運びに至らないのじやないかということを心配いたしております。なおそのほかに退職金の問題或いは厚生資金の問題等についても斡旋案が触れておりますが、これは若干細かい点になりますので省略いたします。  次は港湾労働の紛議でございます。これは問題は昨年六月から全港湾労働組合が、ベースアツプ要求をして来たのであります。ところがその相手方の港湾運送業者というのが全国で約二千ばかりあるのでありますが、この港湾荷役につきましては、船内荷役それから艀、それに沿岸と、それぞれの荷役につきまして地方によつて違いますけれども、一トン当り幾らという公示価格があるのでございます。ところが今申しましたように業者の数が非常に多いというようなことで、競争激甚でありまして、この公示価が守られていない。ところによつて違いますけれども、大体公示価格の平均二割くらい値引して運送業者が運送を引受ける。そのために運送業者の経理が非常に悪い。従つて従業員が賃上げ要求しても実現できない。そこで労働組合としましては、それは先ず根本である運送業者の競争というものを或る程度規制して、そうして公示価格が守られるようにしなければいけない。これが第一だということで、その点について業者に迫つてつたのであります。ところがなかなか埓があきませんので、組合としましては、つい最近に重点的に輸入食糧の輸送部門について一つストをやろう、こういうことになつたのであります。港湾従業員全国で八万でありますが、全港湾に属しておるのが一万五千くらいございます。而もそれは艀荷役が多いというので、そのストの効果が全体でどの程度ひびくかは詳細にはわかりませんが、併し輸入食糧だけを重点的にやるということになりますと相当な被害が出る。そこで労働省としまして或いは若干出過ぎるかも知れませんけれども、輸入食糧を所管しております農林省の食糧庁と、それから港湾行政をやつております運輸省の港湾局、この方面からも事情をよく聞いたわけであります。輸入食糧は、これは米の値段のほかに、運賃、保険料、それからその港湾荷役の費用、これを公示価格そのままをなかへ織り込んでちやんときめてしまつておりまして、そうして一定の倉庫に納まつたものを食糧庁が買取る、こういうことになつておるわけであります。そこで結局は輸入商社が公示価格を下廻つた港湾荷役を要求して、そうして結局港湾運送業者がそれを辛抱しておるという恰好になつておるわけであります。そこで一応我々としまして、公示価格がある限りは、やはりこれは守られなければならない、それが守られないで、そのしわ寄せが関係労働者に来ておるということは、これは我々としましても遺憾と存じますので、そこで近く労使、つまり労働組合と運送業者、それに食糧庁、それから運輸省の港湾局、それに米を輸入する貿易商社、この五者を寄せまして我々オブーザーバーで、一つよくその間の話合いをして、そういつた不合理と言いますか、労働側にしわ寄せされておるような状況は排除できないものだろうか、十分話合いをして事を解決したいというので、実は労政局で斡旋役を買つて出ましてやつておると、こういう事情にございます。  大体最近の主なる紛争につきまして以上のようでございます。
  88. 吉田法晴

    吉田法晴君 大体御報告を頂いたのでありますが、我々文書等で頂かなかつたので正確なことはわかりませんが、その中で東証争議に関連をして、先ほど御報告の中にも、あの労相談話の出た日、警察の実力行使があつてピケを破つた、そのときに七名ほど現場から検挙されたと云々と、こういう話があつた。なお取調べが行われておるということでありましたが、あの日の警察の出動要請も、取引所の理事者側から行われた。いわゆる使用者側から行われた。それからそのあとの検挙或いは取調べについても、先ほど話があつたように、使用者側から告発と言いますか、まあ局長は要請という言葉を使いましたが、要請があつたと聞いている。普通、争歳がありまして、そのあとで問題が片ずくならば、これらの問題も一結に片ずくのが普通の従来の行き方であつたと思う。あの日のピケ、それから警察が入つた云々という問題が、これはあとでピケの限界の問題について参考人意見も聞き、あとで政府にも質疑するということになつておりますから、その点はここではおきますが、会社側の要請によつて出動した、或いは実力行使をした、そうしてそのときに検挙された、そしてそれが告発があつたのか、なお取調べられていると、こういう状態が争議が解決したにもかかわらず残つておる。こういう点は、従来の争議等の解決のあとの姿とは違うと思う。これは労政として見られて、争議中は争議中、解決したら一切片ずくのが理想の姿であることは、これは私が申上げるまでもないことでありますが、山梨の場合にも、あと協約問題等について多少残つているという点、遺憾だとも言われましたが、東証の問題のごときも、現在残つておるこういう問題について甚だ遺憾だと思う。労政局長としてどういう工合に考えられるか。或いは、当日の警察の出動、或いは労政と申しますか、労働省もこれに大分関係されておるようですが、その後片ずいた後の点についても労政問題として無関心ではなかろうと思う。どういうふうに考えておりますか承わりたいと思う。
  89. 中西実

    説明員(中西実君) 十月二十六日の争議の当日、先ほど経営者側からの要請で警察が出たというふうに申上げましたが、経営者側から連絡があつて警察も待機したことは確かでありますが、いよいよ警察側が実力行使をいたしましたのは、もとより警察が違法な状況があるという独自な判断でやつたということでございますので、その点はそういうふうに御了承頂きたいと思います。  一般の争議の場合は、大体済んでしまえば、その途中であつたいろいろないざこざは一応まあ水に流して、両方笑つて仕事を始めるということが、最も望ましいことでもあり、又それができればよいと思うのでありますが、併しながら、事、刑事問題にまで及んだようなものは、もとより、ものにもよりますけれども、これはやはり一応別ではなかろうか。従来とも、争議は済みましたが刑事問題は残つたというのは、これはもう数限りなく例もございますので、従つて今度の東証の場合、検挙された七人について警察当局がどういう意図で更に取調べをやつておりまするか。これは我々も実は聞いておりませんし、関知いたしておりませんが、又これは刑事関係の別な面から問題が残る。これは争議ではなくてもう別の問題であるというふうに我々は考えておるわけであります。  なお、当日、その前後、労働省か非常に関与したようなお話でございますが、そういうことはございませんので、その点は一つ御了承頂きたいと思います。
  90. 吉田法晴

    吉田法晴君 当日のことは私も或る程度正確に知つておるつもりでありますが、労働省が関与したという工合に言うけれどもそうではないと言いますが、現場に山崎組合課長外課長が二人もおいでになつたということ、これはまあ事実であります。その労働省の課長が警察の出動を要請された、或いは実力行使を要請された、こう言うのではない。或いは検挙について示唆されたと、こう言つておるわけではないのであります。併し私の質問に答えて労働大臣は、談話は談話、警察のほうは私は担当をやめたので、警察は警察で独自の判断をするでしようと、こういうお話でありました。ところが新聞によりますと、あとで出られた労働問題協議会では、警察は適当にやるだろうと、こういうことで、暗に労相談話なり或いは通牒の精神で動くことを示唆されたと言いますか、答弁をされたのであります。新聞に労働省或いは労働大臣の態度が揶揄されて書かれておつたことは、御記憶に残つておるだろうと思います。刑事問題は別問題だろうと、こういうお話でありますが、七名現場から検挙いたしました中で、一人は全然関係のない学生が入つてつたということですぐ釈放された。或いはその中に教官も入つてつたというので、これもすぐ釈放された。一名ほど黙秘権を使つておるというので、そのまま残されておる。それでは、その釈放された三名にいたしましても、その他にいたしましても、どういう理由で勾留されておるのか、或いは取調べられておるのかといえば、これはピケを張つてつて、そうしてそれが中に入つて立会をしようとする立会人に対して業務の妨害をしたと、こういう通牒なり或いは談話なりが出ております精神によつて行われた。あの通牒なり談話は、教育の資料、或いは行政解釈と、こういうことでありますが、ピケを張ることは正当だと言われておる。ピケの入口のところにおつたというだけで引つ張られておる。或いは留め置かれておる、こういう点を考えますならば、刑事問題といつても、従来から言う刑事問題とは中身が違うことは、これは誰の目にも明らかであります。それで先ほど申上げたのは理事者側の告発したものがあつた、或いは取調べが行われておる云々ということは、これは大体間違いのないことだと思いますが、そういうことが労政当局として妥当である、労政当局として望ましいかどうか、問題が片付いたならば、これに関連いたします問題等も一緒に併せて解決せられることが望ましいということは、これは私はその態度であろうと思つたので、先ほども御質問申上げたのです。なおこの問題について関心がないのか、或いは片付くべきだという工合に考えられないのか、重ねて一つお伺いいたしたいと思います。
  91. 中西実

    説明員(中西実君) その具体的な争議の場合で、一律には申せませんけれども、とにかく労働争議というものは結局多衆の行動を伴いますので、その間往々にして行過きがあり勝ちでございます。そのときどきの事情によつては違いましようけれども、若干の行過ぎは、これは円満に事が済んだときには、それで水に流すということでいいと思います。従いまして、その間に何が行われておつても、解決さえすれば全部御破算だ、これはそうは行かないので、殊に問題が刑事事件になりますれば、これはこれでやはりはつきりと処置しませんければ、法治国としての或いは民主主義社会としての秩序は保たれないのではないかというふうに考えております。
  92. 吉田法晴

    吉田法晴君 次官もおられますが、これは労政局長の問題かも知れませんが、事実については多少先ほど私は触れたのです。労政局としてそういうことが望ましいと思つておられるのか、或いは今残つておりますような点が望ましいことではない、或いは問題が片付いたならば一緒に片付けるべき問題である、かように考えられますかどうか。次官もいなさることですから……
  93. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) 労働紛争解決すれば、それに伴つて一切のものを水に流して、元の平和に返つて来ることがもとより望ましいことは申すまでもございません。併し今も労政局長から申しておりましたように、さりとて、争議中に起つた行為が、如何に不法な行為であつても、全部これを御破算にしてしまうのだ、こうは法治国においては行かないと思います。従つて刑事上の問題が起つて、更に例えばその証拠書類の押収であるとか、その他確証を掴む上から必要なことを警察当局がやるということは、これは労働運動とは別の範疇において行われるのであつて、我々の立入るべき筋合いのものではなかろう、というふうに考えております。
  94. 吉田法晴

    吉田法晴君 私は告発の問題を実は中心に言つたんでありますが、問題が片付いたならば告発は取下げられるべきではないか、こういうことを申上げておるのであります。それについてどう考えられるか。それから不法云々ということを言われますが、その不法の実際の姿は、これは本当に、或いは暴行があつたとか、或いは誰が見てもあれは不法だ、こういうことがあればとにかくでありますが、これは談話、通牒とも関連いたしますが、それでも、通牒のなかでも多衆の威力を発揮することは、それは必ずしもすぐには違法であるとは考えません。或いはピケを張ること自体は認めておる、或る程度においてはスクラムを組むことも私は通牒といえども認めておるのではないかと思うのですが、あの程度のピケであろうと、それから或いは具体的なああした事例に対して、それが刑事問題として措置されることを望んでおる。これは多少通牒、談話等にも関連をいたして参りますが、これについての労働省の見解を一つ承わりたいと思います。
  95. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) 労働争議の最中に警察権を発動しなければならんということが望ましくないことは申すまでもないことでございます。併しあの場合の具体的な実情は、私はつまびらかに存じませんが、例えば場立人というのは純然たる第三者です。第三者が中に入つて行こうというのを、殊更に実力を以て阻止しようというときに、その入口を、開けようとすることは、私は当然そのために警察権を発動しても差支えなかろうと思います。告発したのを取下ぐべきではないかということでございますが、成るほど親告罪の場合等においては、本人が取下げればそれまででございます。それを越えた、もつと深い根拠を持つた刑事上の問題になると、告発の如何を問わず、刑事当局というものも当然適法に処するのが当り前だと、こう思います。
  96. 吉田法晴

    吉田法晴君 それは原則論です。告訴したしないにかかわらず、明らかな刑事問題については、これは告訴が取下げられても、検察当局なら検察当局で調べて行くでしよう。併し実際にあの場合に暴力が行われたわけではない。これは誰でも明らかです。ただピケに立つておる、だから、七名の中で全然関係のない学生、或いは教師等は釈放されておる、ほかの者はどうしたかというと、私詳しく知りませんけれども、入口に立つてつたということだけは間違いない。今言われたように、第三者が入ろうとしたものを、入口に立つて阻止したということで業務妨害、こういうことで検挙しただろうと思います。その場合に不退去罪といつた理由で初め考えられておつたようですが、入口に立つてつたということだけで、不退去罪の現行犯である。こういうことで不退去罪の罪名をとつておるように私は承知しております。そうすると例えば不退去罪の問題について言われますように、入口にピケを張ることが不当であるかどうか、或いは不法であるかどうか。これは誰が考えてみても、人口でピケを張ることが認められるならば、その入口が、例えば取引所の一部分であろうと、或いは使用者の建物、或いは土地であろうと、それを以て不法占拠或いは退去を求められても退去しないからといつて不退去罪とするのは、これは行き過ぎである、こういう判断ば恐らく出て来るだろう。そうすると、あの入口に立つてつた、それだけで業務妨害、こういうことで検挙した、或いは勾留しておる、こういうことになりますれば、これは刑事問題といつても、或いは疑いを以て、いわば検挙したといたしましても、これは、或いは裁判になつつて恐らく私は、仮に起訴して裁判にかかつたとしても、起訴猶予というか、罰金というか、罰金の執行猶予くらいがせいぜいのものです。誰が考えても、そういう事態に対して告訴を取下げないである。なお告訴を取下げないだけでなくて、或いは組合長なり或いは執行委員に対して、会社側から、或いは警察側から、相当組会運動を抑圧する動きが行われておる。これはもうはつきり不当労働行為でありますが、その不当労働行為が行われておるということを聞くと、争議は解決したのにかかわらず、なお会社側の何と申しますか挑戦といいますか、或いは不当労働行為が続けられておる。これは怪しからんじやないか。或いは労働省としてそういうことが望ましいと考えられるか。私は恐らく望ましいとは御答弁になるまいと思つて実は質問したのであります。一向どうも原則論だけで御答弁が頂けませんので、もう少し具体的に政府から答弁を願いたいと思います。
  97. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) 入口に立つてピケラインを張ることが法律の許すところであることは、大臣談話でありますか、次官通牒にも明らかに述べておる通りであります。ピケラインを入口に張つておることは合法的であつても、その中へ第三者が入ろうというものを、実力を行使し、そしてこれを入れないということは、おのずから別の問題であります。その時に使用者側において通路を開いてくれ、こういう要請があり、又当然その通路を開けるのは当り前のことでありますから、そのときに実力を以て暴力を以てこれに肯んじないという者があつたときに、これは適法な処置をするということは当然のことであると思うのであります。又会社側に今おつしやるような不当労働行為があつたというようなことにつきましては、私自身はまだ承知いたしておりませんが……、御存じの人もあると思うから一つ聞いて頂きたいと思います。
  98. 吉田法晴

    吉田法晴君 それならば労政局長にもう一遍意見を聞かして頂きたいと思うのですが、今御承知の通り、さつき次官も認められておりますが、入口に立つてピケを張つておる。で、場立ちをしたいそこで開けてもらいたい。こういうことで、まあ開けないから警察が実力行使をした。あのとき実力行使をして中に入つた。それから争歳が片付いた。ところが残つておるのは、あそこでピケを張つてつて入れなかつた。こういう業務妨害だけが残つておる。そうすると、これは警察官或いは警察権が入つておる。その警察権は俺の管轄じやないと言われる。労働争議の実態として入口に立つて防いでおつた。それだけで検挙された、或いは取調べておるのであると思います。これはまあ黙秘権を使つてつて調べられぬ云々というなら別問題です。そういう点の問題なら別問題ですけれども、ただピケを張つて入れなかつた。それについて警察が開けた。或いはそういう問題もいろいろあつたけれど問題は片付いた。そうしてなお残るのは、或いは不退去罪だとか或いは業務妨害といつたものが、勾留或いはそれを起訴するかどうかということで問題が残るということは、これは望ましいことじやない。これは恐らく問題は労政当局として意見があるだろうと思う。これは私の考えで見ても、問題が片付いたその程度のものであるなら、これは釈放される或いは取調べるということが、今までのあれからして、一応検挙したなり或いは拘束したのだから調べなければならんという点はわかります。併し釈放もしないということが不当であるというか或いは望ましくないというか、或いはその問題が、告訴が残つてつてそうして調べられる、こういうことが不当であるということは、これは言い得ると思います。更に先ほど不当労働行為のことを申しましたが、組合長なり執行委員なり組合員に対して、組合活動の抑圧といいますか或いは制限といいますか、これは裏からも表からもいろいろ行われておりますが、そういうものの繋りにおいて考えるならば、勾留をしておるということ或いはなお業務妨害で問議をするということが不当というか或いは望ましくないということくらいのことは、これは私は労政当局としても言い得ると思うのですが、どうですか。
  99. 中西実

    説明員(中西実君) あの当日のピケが確かに行過ぎであつたことは、たしかでございます。単に突つ立つてつてそれで引張られたというのじやなくて、あのピケを排除して入口を開けた、その際に警察当局がどういう違反ということで引張つたか。つまり業務妨害或いは公務執行妨害その他いろいろあるだろうと思うのですが、どの者がどういう違反条項に違反したというので検挙されたか。これは実はよく承知しておりません。併し警察当局が見まして明らかに刑罰諸法規のいずれかに該当する疑いがあるということで検挙し、又その後引続いて諸般の調査、取調べをしておるというふうに考えておるのであります。従つて、おつしやるように奥に突つ立つてつたところが来て引張つて行かれたという意味ではないと思います。
  100. 田畑金光

    ○田畑金光君 ちよつと室蘭製鋼の争議の現状についてお尋ねしたいのですが、先ほどのお話によりますと、中労委の斡旋にかかつておる、こういうようなことでありますが順序から申しますと、当然北海道の地労委においてこの問題を取上げて一応処理すべきだと、こう思うのですが、地労委の段階を経て、地労委としては処理が失敗したとか或いは困難であるとかによつて中労委に持つて来られたのか、この辺の事情を承知しておりませんので、この点についてどういう経過で中労委に持つて来られたか、その点お尋ねいたします。  それから先般これは新聞で私ちよつと見まして記憶が明瞭でないのですが、中労委においても一応斡旋案が原則論について出されたように承わつております。その原則論というのは、たしか三項目に亘つていたと思いまするが、この原則論の内容について御説明つておきたいと思います。動時に又中労委の斡旋の今後の見通しについて、どういう状況になるか。この点について御説明つておきたいと思います。
  101. 中西実

    説明員(中西実君) どういうきつかけで、中労委といいますか、中山中労委会長のところへ持つて来られましたか、実は当時は極めて極秘に扱われまして我々にも知らされておりませんでした。で、相当あとになるまでそういう動きがあるということをうつすら聞いておつたくらいで、非常に内密に話合いが進んだように開いております。問題は、やはり相当長期にもなるし、殊に北海道のことであり、冬にだんだんとなつて参りますので、早く解決をしたい。殊に組合が二つに分れておるというようなこと、そこで中山会長の下へ第一組合のほうの側の人から、又会社側もそういう要請に対しては、つまり組合からのそういう要請に対しては受けて立つということで、お願いするというようなことで、中山さんと先ほど言いました北川氏と石塚氏と、三者の間で話合いが始まつた。中労委として正式に斡旋とかいうことじやなくて、全くまあいわば中労委の会長としての中山さんではありますけれども、私的な三者会合ということで、ずつと祕密裡に話が進んでおりました。それがだんだん組合側にも連絡するうちに漏れて来ましたので、つい最近になりまして、これが表面に出て来たわけであります。従つて三原則と俗に言われておりますのも、中労委の斡旋案じやなくて、三者の話合いの間で、一応こういうことなら中山さんとしても斡旋を始めてもいいという、いわば斡旋に入る前提の三原則というようなことのように承知しております。三原則は私も詳細には存じませんけれども、首切りの人員が七百八十四名、そのうちから希望者を募る、先ず第一にはそれです。第二には、希望者を募つて、そのほかに一定の解雇基準に照して、労使共にその基準に照して問題のないものは、それは甲という分題で解雇する。それから基準に当てはめるについて、又基準として採用することについて異論のあるものは乙類とする、それが第二の原則。それから第三としまして、そういうふうにずつと整理をして行きました結果、予定の七百八十四人にきつちりならなくとも、そこらは弾力性をもつて会社としても考える。こういうのが大体三原則のようでございます。  それで、先ほど言いましたように、今日、中労委の総会を開いて、この室蘭製鋼日本製鋼の問題を正式に斡旋するというふうになるかどうするかをきめる段階にあるようでございまして、組合側としましては結局その三原則をまるまる呑まないやはり会社が首切るという意向のあることを消化して云々というような表現をしておるようでありますが、組合側はもともと解雇絶対反対、条件闘争もいやだ、こういうことを言つてつたのであります。そこらの組合としての移り変りが非常にむずかしいらしく、従つてこの三原則を呑んだ上での斡旋なら、中労委会長として中山さんも出られるのでありましようがそれが全面的に認められなければ斡旋に出てもつまらないというので躊躇される。併しながら組合側としまして一応三原則を呑んだような呑まないような、そういう態度なんで、そういう曖昧なところでもかまわず中労委が正式に斡旋事案として取上げるかどうか。今日相談があつたはずでございます。
  102. 田畑金光

    ○田畑金光君 私の最初にお尋ねしたかつたことは、争議の実質的な解決促進できるならば、中労委が取上げてやるのも、これは中労委の機能、使命からして当然のことだと思うのです。ただその前提として中労委と地労委という機関があるとした場合に、一応地方的な問題は地労委の処理を経て、解決が失敗したとか或いは又事件の規模が非常に大きいので、全国的にも影響するというような問題からして、両者の話合いで中労委に移管した、こういうことはあり得ると思うのです。  私のお尋ねしているのは、そのような手続を経てなされたのかどうか。或いは又北海道地労委としてはこの問題の解決にどの程度の関与を払つて来たのかどうか。この点を第一にお尋ねしているわけで、これは純然たる労働委員会のあり方という本質論からしてお尋ねしているわけです。
  103. 中西実

    説明員(中西実君) この問題は、日本製鋼所の整理問題で、日本製鋼所は北海道以外にも工場を持つております。従つて全体としまして中労委が扱つてもいいようなものでありますが、ほかの工場の分は大体済みまして室蘭だけになりました。従つてこの問題は初めから北海道地労委において一応扱つて来たわけでありまして、途中におきましては斡旋案を出した経緯もございます。ところがだんだん争議が進展いたしまして到底北海道だけでは解決しない。そこで先ほど言いましたように内々中労委の会長にお願いするというようなことにもなつて来たわけであります。そこで中労委としましては、今お話にありましたように、北海道地労委との関係をどうするか、この点も非常に検対したようであります。そこで、このいきさつは的確には存じておりませんが、北海道地労委のたしか事務局長を喚びまして、そうして現状を話合い、更に又内々中労委についてこういう話があるのだけれども北海道地労委としてはどうかというような話合いも出されたようであります。相当長引きもするし、社会的にも相当な影響を与えている、従つて事態が北海道地労委よりも中労委で扱つたほうがいいということになりますれば、これは別段法規上も差支えがございませんので、大体北海道地労委とはこの点につきましては話合いがついたのではなかろうかというように考えております。従つて今問題は、中労委で先ほど言いましたような条件の下で正式に斡旋事案として取上げるかどうか、この点にかかつているように考えております。
  104. 田畑金光

    ○田畑金光君 その点は御説明で了解されましたが、次に近江絹糸の斡旋受諾後の紛議状態ですか、この点に関しましてちよつとお尋ねしたいと思うのですが、先ほどの局長の御説明によりますと、会社側のほうとしては、労務担当の重役陣営或いは労務管理の人がたを更新してこれから新しく発足をする、こういうような態勢がとられたという御説明があつたわけであります。そういたしますと、あの争議の最中におきましても一番問題となりました点は、要するに重役人事の問題、労務管理の問題だと記憶しております。今後新らしく人事が更新されたとするならば、今会社の内部において組合と紛議状況にありまするが、これは解決される見通しなのかどうか、解決の方向に好転する見通しにあるのかどうか、この点についてお尋ねしておきたいと思います。同時に又、中労委としても、斡旋案を出してそうして両者がこれを受諾しているわけであります。そういたしました場合に、当然中労委といたしましても、労使それぞれがその斡旋案をどう守つているかという履行の状況を監視する責任も当然あると思うわけでありまするが、このような点に関しまして中労委といたしましてはどのような態度を以て今日まで臨んで来られたか、この点についての御説明を承わりたいと思います。
  105. 中西実

    説明員(中西実君) 中労委が斡旋案を出しましたいきさつもありまして、その後の状況については非常な関心を払つておるのでありまして、その後、団体交渉も円滑に始まらない、或いは工場の職場規律が非常に乱れておるというような噂も聞きましたので、中労委の事務局次長が中心になりまして、主要工場を廻つて調査したということも行なつております。その後或る程度団体交渉も進みまして、大体九回ばかり行なつて来ておるようでありますが、併し肝腎の給与の具体的な問題の話合いが進展いたしませんで、そのために最近組合側は我々のほうに、或いは中労委にもいろいろと訴えて来ておるのであります。そこで先ほど言いましたように、労務重役或いは労務部長というような陣営ができまして、この新重役もこれから工場をずつと廻つて、或いは一時廻つたかも知れませんが、とにかく全体の状況を十分にこれから把握しまして、そうして組合にも対処しようという段階でありますので、中労委としましても今月一ぱい事情を見ようというふうに言つております。で、まあ陣容もできたばかりで、すぐにこれに対して大きな期待をしても無理なんで、今言いましたように、会社の実情を十分に視察したあと、できるだけ早い機会に話合いを始めて、円満に懸案事項を解消して行きたいというふうに考えておるようでありますので、我々としましてもそれに期待して暫らく見ておるという事情にございます。
  106. 藤田進

    ○藤田進君 いよいよ必要最小限度ということで、お尋ねして善処を煩わしたいのですが、鳥取或いは山梨、その他労働委員会三名のところを五名にしろというような非常に強い今要請があります。これは私ども考えてみても、あのいきさつから見て、別表に対する再検討をする時期に来ているのじやないだろうか。殊にデフレ政策といいますか、やはり末端中小企業その他に相当影響も与えつつあるので、事案はかなり増大する可能性もあるということで、この際労働省善処を煩わしたいと思うのですが、その点どういうふうにお考えか、今後の御所信を伺つておきたいと思います。これは労政局長から……。
  107. 中西実

    説明員(中西実君) この間の全国労働委員会協議会、全労委協議会、これにおきましても要望が出まして、これに対しましては我々も善処したいというふうに考えております。  ただ問題は忙しいからというのじやなくて、やはり労使の委員、或いはまあ公益もそうですが、片手間といいますか、別に本職を持つておやりになつておりますので、三人というと集りが悪くて委員会が成立しないというのがまあ一番お困りの原因のようであります。まあいずれにしましても、併し五名に戻してもらいたいと、こういうことであります。折角一昨年法律を改正しまして、これは当時労働関係法制の改正の審議会、三者構成で、三者非常に意見がまちまちで各般の点について意見がまとまらなかつたうちに、この点につきましては極めてあつさりとまとまつた一つの点だつたのであります。それにもかかわらず、去年あたりからもうすでに五人に復元しろという話が出て、我々も実はおやおやとこう思つておるのでありますけれども、併しまあどうしても五人必要だというお話なれば、我々としましてもこだわらずに考えたいと思います。  で、この問題につきましては、結局法律を改正しなければ工合が悪い。従つて近い機会にその改正をしてもいいのじやないか。で、これにつきましては衆議院の労働委員会の中でも非常に御熱意があつて、なんなら議員提出の改正案を出してもいいと、こういう話であります。若しそういうことになりますれば、我々としては反対じやございませんので、改正案を出して頂きまして変えたいと、こういうふうに思つております。
  108. 吉田法晴

    吉田法晴君 今の点ですね、ちよと関連してですが、これはかねてから言うとだけれども、地方の労働委員の何といいますか、手当というのですか経費というのがこれは非常に少くてまあ問題が起れば夜おそくまで、或いは連日御苦労を願つておる。而もその予算が足らん。で、これは終戦直後あたりは県会議員と余り変らなかつた。ところかずつと差が付いて来て、大変まあ気の毒な実情にありますし、来年度予算に当つてはこの増額のために努力願うことを要望しておきたいと思います。  それからあとは資料の要求ですが、最近は労働省方針が変つたのか、労働問題については政府が中立的な立場で臨んでおられるのかどうか、大変疑問を持つのですが、先ほど東証問題で、争議が終つた後も組合の切り崩しというか、或いは断圧というか、不当労働行為があるということを申上げたのですが、一向御存じない。この大きな争議の後に、先ほどいきさつについて報告がありましたが、その後問題の残つておる点について次の機会までに実情を資料にして一つ出して頂きたい。  それからもう一つ、例えば東証にしましても、或いは銀行なんかといたしましても、その原因が或いはまあ盲点と言われるような封建的な関係がある。或いは東証等についても忙しいとき居残りをしても、超勤手当も十分出しておらん。或いは女子も深夜業をさせておる。これは或いは証券会社においては、給料が安ければ株をやつて儲けろと、こういうことが行われているといつたような、いわば前時代的な労務管理が争歳の原因であつた点等もあります。争議に当つても組合活動についても、事態が改められないで不当労働行為が続く。或いは告訴も取下げられないということですが、そういう問題の残つておる点、それから労働条件がどういう工合に改善されたか、或いは改善されなかつたか等について、一つ資料を出してもらいたいと思います。
  109. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  110. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。  本日はこれにて敬会いたします。    午後五時七分散会