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1954-10-27 第19回国会 参議院 労働委員会 閉会後第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十七日(水曜日)    午前十一時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     栗山 良夫君    理事            井上 清一君            田村 文吉君            田畑 金光君    委員            吉野 信次君            阿具根 登君            吉田 法晴君            相馬 助治君            市川 房枝君            大山 郁夫君   国務大臣    労 働 大 臣 小坂善太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    警察庁長官   斎藤  昇君    労働政務次官  佐々木盛雄君    労働省労政局労    働法規課長   石黒 拓爾君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○労働情勢一般に関する調査の件  (新経済政策労働政策に関する  件)  (東京証券取引所における労働問題  に関する件)  (日本製鋼所室蘭製作所における労  働問題等に関する件)   —————————————
  2. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今から労働委員会を開会いたします。  速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。  最近の情勢によりますと、失業問題は更に重要度を増しているやに見られます。そこで当委員会といたしましては、従来調査を続けて来ました方針に従いまして、更に調査を続行するわけでありますが、本日は一般的な失業情勢とその対策を承りまするほかに、特に労働省から石炭産業、それから造船業等の、不況産業、更に安定法の発動、或いは発動せられようとしておりまする中小企業等の関連におきまして、相当失業者が出る情勢にありまするから、そういうものに対する対策並びに呉市等が代表的だと思われますが、地域的に特殊な事情によつて、集団的な失業者が出、又出つつある地区かございます。そういうようなところに対しましての救済対策、更に自由労務者に対する対策、こういうものにつきまして従来以上の格段の失対施策をしなければならん状況に立至つておるように考えられますので、これらの諸点について労働省としての見通し対策等を、先ず最初にお聞きいたしたいと思います。
  4. 江下孝

    説明員江下孝君) 最初に最近の雇用失業の現況、それから今後の見通しということを申上げたいと思います。  雇用失業の問題を論じますときには、常に生産関係中心になるわけでございます。生産指数状況でございますが、鉱工帯生産指数を見てみますと、本年に入りまして、三月に急に生産指数が上りまして、四月頃からぼつぼつと低下をいたしております。これは当然の結果でございますけれども、それほど大きな下降数字を辿つていないということか言えると思います。七月に、至りまして昭和九—一一年を一〇〇といたしまして、一五九・五という数字になつております。それから卸売の物価指数でございますが、これもおおむね頭打ちという様子でございます。三、四月頃から大分下降いたして参りまして、最近は頭打ちという状態になつております。  次に毎月勤労統計によります雇用指数でございますが、これは御飛知通り三十人以上の労務者を仙つておる工場、事業場の実態でございますが、これによつてみますと、鉱業関係で非常に大幅な人員整理が行われましたために、全般としてはやや下降をいたしておりますけれども、それほど大きな下降数字を示していないという状況でございます。大体今年の一月か一〇〇・五で、八月に一〇〇・二でございますから、殆んどまあ動きがないという状態でございます。それから先ほど御指摘のありました石炭工業労務者数でございますが、これは昨年以来逐次減少をいたしまして、昨年の二十八年、月平均三十四万というのが今年の一月に三十二万、八月には二十八万七千ということになりまして、これは相当数減少でございます。  これらを総合いたしまして、完全失業者の数がございますが、私どもも心配いたしておりましたが、この七月に六十四万となりまして、八月には戦後の最高の七十一万という数字を示しております。この点については相当失業情勢悪化して来ているという点が見られるのでございます。  それから失業保険状況でございますが、これも前々申上げておりますように、漸次増加傾向を辿つて参つておりまするが、ただ注意すべきことは、初めて百を切られまして、失業保険をもらいに行くという、毎月の初回受給者の数は、大体この六月頃がピークでございまして、七、八月とやや減つて参つております。つまり企業整備の最も盛んな時期は一応過ぎた、今はそういう時期に入つておるということが申上げられると思います。  それから安定所の窓口の求人求職状態でございますが、これも一般雇用情勢悪化を反映いたしまして、求人求職の開きが例年よりは大幅に出て参つております。ただこれも数学的に見ますと、そうもの凄い大きな数字というわけではございません。まあ相当悪化状況を示しておる。この原因はやはり石炭造船という方面で特別に企業整備が行われておるという結果によるものだと考えております。  それから企業整備の結果でございますが、これも七月に三万という数字を示しましたが、八月には二万一千、九月も大体同じ程度数字でございます。これもちよつと落ちて参つております。企業整備最盛期が過ぎたという情勢じやないかと思います。  次に日雇労働者でございます。一般求職者最後に落ちて参ります日雇労働者状況でございますが、これはこの一月に三十七万二千、四月に三十五万一千というふうに減つておりますが、七月に三十七万三千、八月に三十七万一千と極く微増の価向にございます。これも前々申上げておりますよりに、失業情勢悪化最後に出て参りますのは、どうしてもこの日雇労働者という形になつて参りますので、この統計で非常に悪化傾向を示すというのは、もう少し先のことじやないか、私ども考えでは大体来年の一月—三月頃が中心になつて参るのじやないかというふうに考えております。  以上が概略の失業情勢という点でございますが、総括的に見まして、やはり全体として若干悪化傾向が見えております。ただ注意すべきことは、御承知の通り、この失業情勢というものは、全国画一的に同じような形で現われるものではございませんので、例えば農村を背景といたしますような地帯におきましては、先ほどの悪化要因というものは現在見出されておりません。むしろ大都市方面、或いは特殊なこの企業整備を必要とするような産業の密集しております地帯において特別に悪化情勢が見られる。そこで全国的な統計によりますと、それほど大きな数字にはなつて参らないという状況でございます。  そこで今後の対策といたしまして、これも申上げておることでございますが、申上げてみますと、先ず失業対策事業でございます。失業対策事業は当初予算十六万三千を以ちまして、実施をいたしておるのでございますが、最近の失業情勢悪化に伴いまして、相当この予算が窮屈になつております。で、現在は十七万五千人を割当てをしておるという実情でございます。そこでまあ将来この予算等につきまして、不足を来すということになりますれば、当然これは増額措置をとらなければならんというように考えております。先ほど申上げましたように、これも必ずしも全国的にどこもここも失対事業が殖えるというわけではございませんので、やはり重点的に大都市炭鉱地帯という特殊地域実施をするという方向考えて行きたいと思います。そこで、まあ来年一—三月という点を中心雇用失業措置をして参りたいというふうに考えております。それからこれもこの前大臣から申上げたことでございますが、失業対策事業を全国の都市で行います場合に、財政問題がございまして、負担が困難であるということがございます。これらに対しましては、これは地方財政の問題とも関連いたしまして、非常にむずかしい問題でございますが、失対事業の面では特別交付税の配付という面を先ず第一に考え、更に一定規模以上の失業対策事業実施しておるという地帯におきましては、特別に補助率等についても考えて行くということで、目下この点は関係方面とも話合い中でございます。先ほど申上げましたように、地域的に非常に偏つた失業情勢が出て参りますので、これらに対しまして従来の失業対策事業一点張りでいいかという点でございますが、なかなかこれだけでもカバーできないという点がございます。そこでこれらに対しては当然公共事業重点的な実施ということが考えられるわけでございます。先般実施いたしました炭鉱地帯におきまする鉱害復旧事業の繰上の措置もその一貫のものでございます。ただ何と申しましても、公共事業といいますのは、専業効果のほうをまあ中心に置きますので、失業者救済という点から見ますると、どうしても欠けるところが出て参ります。そこでまあ私ども現在考えておりますのは、失業対策事業について特別の失対事業というものを一つ打出してみたのでございます。これは現在の失対事業の欠けております点、例えば資材費等が非常に僅少なために大規模失事業ができないということも言われております。そういつた点の十分欠点を是正した一つの失対事業というものをこの際新たに起すということを考えております。これも関係方面と近く折衝を開始したいというふうに考えております。なお、この点につきましては、失業対策審議会におきましても同様趣旨答申が出ておりますので、その点も尊重して実施したいと考えております。そこでまあそういたしましても、なお公共事業というものへの失業者の吸収ということは、これはやはり法律の建前、日本の岡の現在の雇用情勢から見まして当然私どもとしては考えて行かなければならんと考えております。そこでこれについても先般閣議決定をいたしましたけれども、なお、今後ともこの点を推進をして参りたいというふうに考えておるのでございます。  それから自由労務者の問題でございますが、これは結局失対事業運営ということでございますが、先ほど申上げましたような方法で、自由労務者のできるだけ生活確保を図りつつ失対事業というものを運営をして参りたいというふうに考えております。  簡単でございますけれども一応説明を終ります。
  5. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今局長が言われた対策の中で、地域的に偏在をしておる向があるので、そういうところには特別な対策を講じたい、こういうことでありますが、そういうように特別の対策を講じなければならないように考えられておる地区ですね、主なる地区はどういう所を考えられておるか、若しわかつておりましたならばお述べ頂きたい。
  6. 江下孝

    説明員江下孝君) まあ全国的に統計的な基礎で考えて参りたいと思つておりますが、例えば特定の市町村でございまして、その市町村規模からいたしまして非常に不相応な失業者を出しておるというような地帯が私は中心になるのじやないか。それともいま一つはやはり大都市、特に失業者が密集いたしまする大都市というものが中心になつて考えらるべきではないか。御指摘のような呉地区或いは石炭筑豊地帯というような点はやはり私どもとしても当然考えて行かなければならんというふうに考えております。
  7. 阿具根登

    ○阿具根登君 職安局長説明はこの前の委員会で聞いたのと殆んど変つておらない。何ら見るところはない。ところが失業者はこの前言われたよりもぐんと殖えておることは、今御説明のように、戦後最大の七十一万というような数字が出ておる。それに対して何ら変つた対策一つもとつておられない。而も最後に言われた地方的に財源的に非常に困つておる所は何とかするということは、この前から言つておられるけれども、その地方から市長なり議員、なり或いは自由労務者陳情東京へ続々と上つて来ておる。こういうことまでに現在なつておるのに、抽象的なことばかり言われて、地方ではちよつとも心配しておらないようなことで、こういうことに本当に関心を持つておらない人が聞いたならば、何だ品木はそんなに失業問題で苦しんでおらんじやないかというような感覚を与えるような局長説明だと思う。もつと私は詳細な対策を持つておられると思つてつた。もう少し詳しくどうするかという対策見通しはつきりさしてもらいたいと思う。今の説明ではこの前約一カ月半前に聞いた説明と何ら変つておらない。何。進行しておらない。失業者がどんどん殖えておる。もう少し具体的に詳細に対策を述べてもらいたい。
  8. 江下孝

    説明員江下孝君) まあ具体的にというお話でございますが、例えば失業対策事業予算の枠でございますが、先ほど申上げましたように、失業対策といたしましては現在失業保険なり失業対策事業というものを一応最低の基準として実施をいたしておりまするので、私といたしましては、先ず失業対策事業が根幹である。できるだけ失業対策事業運営によつて失業者の解消をして頂くということでございますので、まあその点について先ず第一に重点をおいて行くということでございます。先ほど申上げましたように、予算的に不足を来たしますならば、当然これは増加をして参るという考えでございます。ただこの点について御了解を願いたいと思いますのは、北九州にいたしましても、その他の地帯にいたしましても、従来さほど深刻な失業情勢になかつた。ところが急激に石炭の問題その他が起りましたので、現在政府でやつております施策を軌道に載せて参るという点に相当むずかしさが実はあるのであります。個々に市町村長なり県知事に会つて話をすればよくわかるのでございますが、何しろ急激に参りましたので、政府でこういう施策をやつて、こういう方法でやればいいのだというような点について、実はまだ十分浸透していなかつたという点もあるのでございます。そこで地方から私のところにも再々陳情が見えるのでございますが、私といたしましては、現在政府は何もやつていないというようなお話をよく聞くので、とんでもない。実は失対事業というようなものもちやんとやつて予算も我々持つて、枠はあります。おやりになるならばどんどんやつて頂くというようなことも実は申上げております。その際、お話のように財政上の問題があるとかいうようなことも聞きますけれども、私は失対問題がそれほど重大問題ならば、市町村としても当然第一義的に考えてこの問題を実施さるべきじやないか。そういう点について先ず市町村なり府県としても十分努力さるべきじやないかという点を、実は申上げておるのでございます。そこで今御指摘のように、実は補助率の問題も特別失事業の問題もまだ実を結ばないという点は御尤もでございます。これは私も先ほど申上げましたように、できるだけ早く一つ実現するように努力をいたしたいと思います。
  9. 阿具根登

    ○阿具根登君 例えば炭鉱の問題が出ておりますが、それほど重大な失業対策であるならば、市のほうも町のほうももう少し積極的に財政を使うべきであるというようなお口振りつたと私は思うのですが、例えば石炭の問題にいたしましても、最も百を切られて失業者が殖えておるのは石炭都市である。ところがその市はですね、鉱産税その他の税が殆ど入つておらないので、市自体運営ができないような現状にある。それに対して、失業対策がそれほど重大であるならば、市はもつとそれに重点的な考えを持つべきであるというような、地方責任を転嫁されるような口振りであるならば、それは地方財政の困難な所に対してはどういう対策を立てておるか、どういうことを考えておられるか。すでに各市から失業対策失業人員と市の財政状態は詳細に報告になつておるものと思う。そうすれば大牟田市なら大牟田市をとつてみた場合に、三千数百名の失対事業をやつて行くのに、市の負担としてはどうしても堪え切れない。そういう場合には、どれだけの財源補助を国としてやるのか、そういう点を一つはつきり示してもらいたいと思う。そうしなければ責任市町村にあるかのごとく我々は考えられる。
  10. 江下孝

    説明員江下孝君) 先ほど申上げましたように、市町村だけに私は責任があるということを申上げておるわけじやございません。勿論国も当然この失対事業の枠を拡げてやるということは申上げておるわけでございます。市町村も従来比較的安穏であつたために、失対問題等について比較的認識が薄かつたんじやないか、この際、市町村においても、もう少し国の施策と相順応して、この点に重点を置いて考えてもらいたい、こういうことであります。そこでまあ国として大牟田その他の非常に困つて心地帯があるということについては、私も十分承知いたしております。そこで補助率の問題或いは特別失事業の問題が実を結はないという点が、結局問題になるのでございますが、先ほど来申上げておりますように、この点については今後急いで一つ折衝いたして施策実行して参りたいと考えております。
  11. 田畑金光

    田畑金光君 労働大臣にお尋ねしたいのですが、只今具根君からも質問かありましたように、先ほど安定局長説明を承わりまして、政府考えかたというものが、前の委員会の当時におけるそれと殆んど変らないのです。我々も毎月委員会を開きまして、その度毎に質問をやつておりますが、質問をやることがどうも勇気をそがれるような感じをするほど事態は少しも改められていないような印象を受けるわけなんです。問題はなるほど安定局長説明によりまして、当初十六万三千人の枠が十七万五千名に広げられたこのことは、たしかに大きな進歩だと考えます。併し先ほどの説明にもありましたように、八月末の完全失業者七十一万、失業保険金受給者四十八万幾ら、こういう厖大数字を前にいたしまして、殊に地域的にみましても、或いは大都市におきましても、厖大失業者が出ておるわけであります。現在の当初予算も今のような形で行きますと、どの程度財源不足するのか、先般大蔵大臣が一—三月の失業対策費は繰上げて実施してもよい、殊に失業対策中心とする社会保障費については、当然追加予算を考慮すべきである、こういうような談話も我々は見ております。恐らく政府は現在の一兆予算の枠をくずすことはやらんと思いますが、併し先般実行予算によつて、約二百億前後の節減をやつておるわけであります。当然こういう予算の中から失対事業失業対地予算というものは計上されるものと考えておるわけですか、労働省といたしましては、労働大臣大蔵大臣とこういう予算面について、どういう話を進めておられるか。当初予算見通等について、先ず第一点に承わりたいと思います。
  12. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 失業の問題につきましては、我々も非常に努力をいたしておるつもりでございまするか、なんといたしましても、今お話のように、十六万三十人を十七万五千人にしたということたけでは、それでは従来のような規模で、従来のような形で、やつていくということだけであつて、なにかそこに新らしい情勢に対処する適当なものはないかと考えて、私どもとしてはこれでいいとは思えないのであります。そこで失業対策審議会答申もございました。私どもも従来さようなことを考えておつたことでありますが、特別失事業を考慮しようということで、大蔵省とはこの点につきまして、財源の点で折衝いたしておるのであります。これは従来の日雇労務関係のこととは少し違つた質的な労働力を持つた新たなる失業者が出てくる。こういうものに対処いたしまして、なにかもう少し資材もつける、補助率も上げた形で、而も相当建設事業的なものを考えるということでございますけれども、その原資につきましては、今お話の中にもありましたように、先般来の二百億の節約で現在百九十七億くらい残つておるのであります。風水害その他に使いましたあと……。その中から勿論私ども使つておるわけでありますが、現在のところ百九十七億、その他予備費関係も四十億見当ございます。それらの中から十分私ともの考えをまとめるだけに必要な原資は獲得するように、大蔵省話合をいたしております。これもほどなく決定するたろうと思うのでございます。そんな関係でそういう方向に向つて努力をしておるという段階でございます。ただそれがまだ実現してないことは私ども残念に思つておりますか、なんとか速やかにそうした措置ができまするように努めたいと考えております。
  13. 田畑金光

    田畑金光君 答弁趣旨そのものは了解できますけれども、いつの委員会のときでも、政府構想そのものは、我々といたしましても納得できますが、いつそれが実現できるかという時間の問題だと考えます。例えば地方財政が非常に逼迫しておる。尤も地方財政の今日のあり万については、我々は一つ批判を持つておりますけれども、事実において四十数府県のうち七府県が黒字であつてあとの三十数府県が赤字を出しておる、こういう府県を相手にいたしまして、失業対策事業の積極的な施行をやるにいたしましても、地方財源がこれに伴わない。そこで政府地方交付税増額とか或いは補助率の引上を考慮されておる。これ又自治庁との話合大蔵省との話合になつて来ようと思うのです。そういたしますと、労働省としての構想そのものは結構だが、自治庁大蔵省というものが一体どの程度協力しようという熱意があるのか、どの程度話合になつておるのか、この点をお聞きしたいのです。いつ頃そのような仕事が実現する見通しにあるのかというこの問題であります。例えば一例を申上げますと、先般失業対策審議会からの答申案の中に、賃金欠配等の未払賃金について特段の考慮を払う、こういうような問題か一つ出ております。地方府県におきまして、財政資金の中から地方労働金庫を通じて例えばそういう中小企業賃金欠配の融資をしておる。ところがこういう府県に対しまして、自治庁はどういう態度をとつているかというと、それだけの余裕財源があるならば、先ずそういうものを切つて府県財政に充てたらどうかというようなことで、却つて地方の自治体においては積極的な労働施策をとるわけに行かない。自治庁というものは一つブレーキ役をやつているわけであります。こういうようなことを見ましたときに、労働大臣の今の御答弁はどの程度自治庁大蔵省話合がなつておるのか、いつ頃の見通しなのか、時間の問題を抜きにいたしまして、一つ構想図のみをえがいてみても、これは意味がないと思うのです。この点に関して、見通し一つお聞かせ願いたい。
  14. 江下孝

    説明員江下孝君) 先ほど来の新しい構想の実現の時期でございますが、これ大蔵省ともよりより話を実はいたしております。ただ問題は、いろいろほかにもそういう財源措置を要するものもございますので、大蔵省としても、そういう問題を併せて一緒にきめたいという意向があるように聞いております。そういたしますと、時期を私がはつきりいつまでと言うことは、なかなかむずかしいのでございますが、十一月中には大蔵省といたしましても、遅くともこれはどうせきめなければならん問題であるというふうに考えております。
  15. 田畑金光

    田畑金光君 只今安定局長お話によりますと、十一月中には今言つたような問題も片附ける見通しにある、こういうわけでありますので、少くともこの次の臨時国会あたりまでには問題の解決がなされて、我々はこういうふうに実行をしたのだという報告がなされることを期待いたしております。そうでなくして、ただ今までのような、その場限りの答弁に終つていたのでは、到低これが問題の解決にはならんと、こう考えております。政府労働政策ももう少し積極的な町においてや、ることはやつて、そうして指導の面においても適切を得るということならば、我々も納得行くわけですが、やるべきことは付らやらないで、ただ組合運動の行き過ぎを是正する、こういう思想であつては何ら前進はないと、こう考えておるわけであります。でありますので、一つ只今局長答弁は、我々は飽くまでもその実行を見守つておりますので、速やかに達成のために努力を払つて頂きたいと考えております。それからもう一つ関連いたしますか、特別に失業者の多い地帯重点的に失対事業を施行するという、この問題であります。例えば九州地区におきましては、鉱害復旧事業七億の繰上げ実施、こういうことがなされておりまするが、炭鉱の場合を考えましても、九州の炭田、或いは常磐炭田、或いは北海道の炭鉱地帯、当然に問題になつて来ようと思うわけであります。こういうような地帯に対しまして、政府はどういう特殊な考慮を払つておるのか。或いは現在の十七万五千の枠につきまして、特別の考慮を払つているのかどうか。この点一つお聞かせ願いたいと思います。
  16. 江下孝

    説明員江下孝君) お話通り失業の深刻な地帯というものは全国的にあちこちとあるのであります。それにつきましては、先ほど申上げましたように、失業対策事業の枠の拡大という措置を以て措置し得るものにつきましては、できるだけそれによつてつて頂く、それについての枠の拡大は十分いたしたいと思つております。なお、特定の地域等で失対事業のみを以てしては失業の緩和がむずかしいという地帯につきましては、特別の失対事業というものを考えて行く。それについては、先ほど申上げましたように、大体その地区のおのずから市町村規模、或いは府県規模というものがございますが、その規模を越えて著るしく失業者を発生しておるという、こういう地域を考えておる。それで現在のところ、どこどこをそれではやるかということについては、確定いたしておりませんが、そういう点についても併せて折衝の上きめて参りたいと思つております。
  17. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 関連して伺いますが、枠の拡大を十七万五千に拡大をした。更に枠の拡大については考慮するがごときでございますが、これと予備費或いは先ほど百九十七億ですか、二百億ばかり節減した中で、百九十七億の余裕がある。こういう話がありましたが、そのいわゆる予備費なり、それから百九十七億の原資の中から枠の拡大をなおおやりになるつもりがあるのかどうか。と申しますのは、十七万五千で、就労日数にもよりますが、二十一日で計算して、或いは二十三日になるのか、その辺は全国的な平均が何日になるか、二十一日と計算しましても、三百六十七万、そうするとこれは地方負担もございましようけれども、今までの就労日数から見て差額があります。地方の要望に応えて枠の拡大はして行くというのですから、十七万五千をもつと拡大をする、こういうことも考えられるのです。十七万五千を更に拡大する予定があるのか、その数字をどの程度見ておられるのか、それは予備費から出されるのか、或いは補正予算を必要とするのか、その点についてお尋ねいたします。
  18. 江下孝

    説明員江下孝君) 更に将来必要ならば枠の拡大をいたすと申上げたのでありますが、日雇労働者の就労日数は、民間公共事業を入れまして、全国平均二十一日という線で現在実施をいたしております。従つて地域によりまして、この二十一日が著るしく落ちるというふうな場合がある。或いは全国的に非常に平均を下廻るという場合には、当然枠の拡大をいたさなければならない。そこで今後の結局失業情勢の如何にかかるわけでございます。その場合にどの程度それでは失業者が出て、どの程度予算増額するかという点は、今私のほうでまだ申上げる段階でないのでございますが、いずれにいたしましても、その分については予備費その他の方法を以て増額をいたさなければならんと思います。
  19. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 十六万三千を十七万五千に拡大されてもこの完全失業者増加数、或いは失業保険をもらつている者が切れて来る者が日雇労務者の最後に落ちて来る。従つて増大して行くという点はお認めになつたと思うんです。従つて枠の拡大の必要性があるということなんですが、それはそのときになつての話ということではないと思う。すでに年の半ばを過ぎて、初めは楽観をしておつたけれども、その後予想以上に失業者も出て来た、或いは従つて失対事業も拡大しなければならん、こういう事態に追込まれ、血も現在あります失業保険をもらつている者、或いは完全失業者の数からして拡大をしなければならんという点は、これは陳情を俟つまでもなく、全国的な情勢として認めておられると思う。ですから枠の拡大という方針は、これは少くとも今後の推移を見てということじやなくて、必然であるということは間違いのないところたと思う。その点はお認めになつておりましよう。
  20. 江下孝

    説明員江下孝君) 現在のような情勢が続いて参りますと、先ほど来申上げましたように、来年の一—三月は相当深刻な事態が参る。ただ問題は失業対策事業だけに、これがしわ寄せられますか、或いはほかのほうで又この問題の緩和の手が差延べられるかということになりますが、現在のところ一—三月には相当悪化するのじやないかというふうに考えております。
  21. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 失業対策事業なりその他従来の狭義の失業対策について論議がなされているので、失業対策事業の枠の拡大というものを問うたわけであります。これはその他の言われるような公共事業とか、或いは特別失事業というのじやなくて、雇用を増大する、或いは産業政策全般について完全雇用を実現するような方向については、これは後で質疑をするわけですが、それについては殆んど労働省としては余り関心がない、失業対策事業、拡大されたものとして公共事業体、或いは特別失事業考えられているわけです。そこで述べられたことについて、具体的に尋ねてやつているわけですか。
  22. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  23. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて。
  24. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 途中で話が切れちやつて……。お尋ねをしておつたのは公共事業なり、或いは特別失事業にどの程度に金をかけて、言い換えれは、予備費の中からか、或いは恐らく補正予算を要するのたろうと思うのですが、その所要金額の措置ですね、これをどういう工合になさるのか。恐らく組まれるであろう補正予算の中に入るのたろうと思うのですが、その中で、どの程度考えて計上しておられるのか、それを一つ大臣でもいいし、承わりたいと思います。
  25. 江下孝

    説明員江下孝君) 予算をどのくらい増額するかという金額につきましては、先ほど申上げましたように、失対事業といたしましては若干不足する見込でございますので、これは増額をしなけりやならんと忠つておりますが、額についてはまだはつきり最終的にはここで申上げる時期ではないと思います。  なお、特別失事業その他につきましての予算の金額は御遠慮をさして項きたいと思います。
  26. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それじやその人員の点についてはどうなんですか。特別失事業なり、或いは公共事業でどのぐらいの人員を吸収する計画であるのか。
  27. 江下孝

    説明員江下孝君) 先ほど来繰返し申上げておりますように、今後の失業情勢如何にかかつておるわけでございますので、今仮に私がそれを申上げましても、又すぐ訂正をしなきやならんという事態に立ち至るかも知れませんので、現在のところは確定な数字は遠慮さして頂きたいと思います。
  28. 相馬助治

    ○相馬助治君 連関して……、今の問題は事務当局としてはそういう答弁のほうが案外いいかと私は思うのですが、大臣に今の吉田さんの質問についてやはり明確にお答えを願つておきたいと思います。  私もそれと連関してお聞きしたいことは、このデフレ予算が成立したときに、これは全野党が当時改進党まで含めて失業対策費が少いということは指摘した通りです。労働省自身としても、最初の原案は、失業対策費に廻し得る金額をもう少し大きく算盤を弾いたようだが、大蔵当局との折衝の結果、現在規模によつて、その後の失業対策費が出ておることは我々承知しております。そこで今年の予算の非常な特色は予備金が少いということですから、さなきだに少い予備金が例の三派協定で又減つてしまつて、今年はこの予備金をどういうふうに各省が分捕るかということが非常に大きな政治問題だと私は考えております。そこで今安定局長のおつしやつていることに連関して、失業対策に関する費用を新たに生みだす場合に、労相としては大蔵当局と予備金使用についての大体の内交渉をし、承諾等を得ておるのかどうか。又そういう事態がないとするならば、いずれの機会かに補正予算を提案するという労相自身としての意思をお持ちであるかどうか。これが打開の第一点。  それから第二点は、さつき安定局長答弁の中に非常に意味深長な言葉があります。それは失業対策費増額して、失業対策工事その他の規模を拡大するほかに、いろいろな方法を以てやはりこの種の問題の解決を図らなければならない、他の方法という言葉が出て来ておりますが、抜本的に、失業の現在の規模に対して姑息な財政的な措置だけでなくして、何か特殊な構想を以てこれに対応する労働大臣の御構想があるかどうか。あるとするならば、概略でいいから承つておきたいと思います。この二点を一つ伺いたいと思います。
  29. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 失業対策費に対する考え方については、只今指摘のような点はまさに肯綮に当つておると私は思つております。ただこの予算を組みます当時には、政府としての審議庁の考え方その他といたして、全体として予算全体が均衡はしておりますが、やや揚超の形になる。政府資金は引揚超過の形になるというような予想であつたわけであります。ところが予算を執行して行きます世程において、現在御承知のように、散布超過になつている。併し一般にデフレ、デフレと言つている。  予算の形としてみれば決してデフレ予算でない恰好に実はなつて来ている。これは大麦の生産が非常によかつたことが原因ですが、併し結果においてはデフレ的な様相になつている。これはどうかというと、まあ金融閥係にあるわけで、金融引締め策というものが相当厳格に、而も早期に出発してとられておるということに起因すると考えますわけであります。そこで企業の整備とか或いは失業者の出て来るという状況が、特に考えましたよりは時期的に早目に出て来た。大体下期において予熱したものが三カ月乃至四カ月早目に出て来たという状況かあるのでございます。そこで私どもそういう情勢も察知いたしましたので、一方全体的に卸売価格が下つて来ておりますから、公共事業その他におきましては、資材費の値下りがある。そしてそれは節約しなければならんのじやないかというので、御承知のように二百億円の節約をいたしておるわけでございます。そこで予備金と節約額とを合せますると、二百五十億程度のものを持つわけでありますが、現在そのうち七、八億円ほど使つておる恰好になつております。そこであとのものを以ちまして風水害対策等もございますけれども失業対策には相当重点をおいて考えなければならんということで、幾らまで枠をとるというところまで、実は率直に申しましてけじめはついておりませんのでございますが、併しこれは第一に考えるという話だけははつきりとつけております。従つてその形を予備金支出にすれば、予算的には何の形も変えないでいいわけでございますが、節約額を費目を振替えて失業対策費に当てるということになりますと、そういう意味での予算の構成とか、そういうものはあると考ええます次第でございます。新たに財源を見つけて補正予算を組むことはございませんか、今申上げしましたような趣旨の予算構成はあると、そういうことはしなければなるまいし、私は是非その点については失業対策費において万全の対策を講じたい。かように考えておるわけであります。  それから失業対策全般についての考え方でございまするが、一番簡単なのは公共事業をうんと起して、そこで失業者を吸収して行く。併し企業自身はできるだけすつきりした形になつて国際競争に耐え得るように、そして日本の健全な外貨収支をバランスさせるように、こう持つて行くのが本筋であろうと思うのでありますが、ただ公共事業を起すという場合に、財源を何に求めるかということに問題があるかと思います。一番普通に考えますのは二つの方法で、一つは税金によつて財源を求める。一つは公債によつて財源を求める。こういう方法でございますが、現財税金を殖やすということは到底考えられません。私ども政策としては減税ということいたして来ておりますので、この線は堅持したいと考えております。それから公共事業を公債財源によつてやるという場合百なりますと、これも無理やりに公債を押付けるという方法はとれませんので、とかく赤字公債になりやすい、これはインフレの原因になりますので、折角やつた政策は何にもならないことになつて失業者が出て騒ぎを起すというだけになつてしまうのであります。そこで期待しておりまするのは、いわゆるMSAとかFOAによるところの援助資金というものの汎用、それによる円資金の増資ということが期待を持たれる点ではないかと考えております。これは併しまだそれ以上のことを申し上げることは、私として少し差控えるべき点がございますので、大体そんなような構想公共事業をして行く、円資金をそれによつて調進する。そういうふうに考えている次第であります。
  30. 相馬助治

    ○相馬助治君 御発言についてはそれぞれ議論がありますけれども答弁答弁としてよくわかりました。納得したというのではないのです。わかつたということです。
  31. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうしますと、問題のMSAなりFOAなどで公共事業をやつて行くという点について、今の相馬君ではありませんが、これはそれで本当の失業を出さなくする。或いは失業を吸収するということが正しい日本経済の自立、従つて失業をなくするゆえんではないと思うのですが、その他の点について……、その点は争いません、時間がないから……。が、その他の点についてこういう方法もある、こういう方法もあるということが前から言われて来ている。ところがそれについてまだ金もどのくらい出すか、或いは補助率の引上げ等もやりたいと言いながら、結局金にならなければやるかやらんかはわからんじやないか。こういうことで阿具根君のような非難が出て来るわけです。私どももそういうことを申上げたい。そこでもう今になつてはこういう方法があります、こういう方法がありますというのじやなくて、具体的に政策として特別失事業については、この程度のことをやりたい、或いは人間についてなり、或いは金額についてなり、或いは補助率の引上げについても、この程度のことをやりたいというのが、現に出て来なければならんと思う。それがないから先ほどのような批判と非難等しているわけでありますが、まあ質問をしても今言うより以上に出ませんから、批判だけにとどめておきたいと思うのです。
  32. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をとめて。    〔速記中止
  33. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それでは速記を始めて……。  一時半まで休憩いたします。    午後零時三十二分休憩    —————・—————    午後二時十分開会
  34. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 休憩前に引続き会議を開きます。  先ほどお打合せをいたしました順序に従いまして議事の進行を計りたいと存じます。速記をとめて下さい。    〔速記中止
  35. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。
  36. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は委員会が明日まで延ばされるのは余り好まない。併し委員長からの要望も非常に好意的で、僅か十分でも二十分でもいいから来てくれという要請に対しても、来られないということは私はどうしても肯定できないのです。それで明日の一時から二時までの間なら来るというのは、何かしらそらぞらしい気が私はするのであります。先ほど私の動議に対しまして相馬君から意見がありまして、井上君からは四時になつてもきまらなかつたという場合には、明日まで延ばしてもいいのだというような発言がなされましたが、すでにはつきり公務のため来られないという返事があつたとするならば、四時にならなくても、向うかそれだけの考えであるならば、私たちは一日延長して、そして明日の一時から二時までに緒方副総理に聞くべきである。私はこういうふうに考えます。それで本員会の一日延長を一つきめてもらいたい。そして緒方副総理に昨日の問題を十分説明してもらう、私はこういうふうに考えます。
  37. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記をとめて。    〔速記中止
  38. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を起して下さい。  只今具根議員から都合によりまして明日更に一日委員会を延期いたしまして、緒方副総理の出席を求めたい、こういう御発言がございました。この件につきまして只今御懇談を申上げましたところ御賛成を頂きまして、各委員とも御異議がございませんので、さように決定いたしたいと思いますが、よろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 御異議ないものと認めまして、さように決定をいたします。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  40. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 速記を始めて下さい。只今石炭局長の登院がちよつと遅れておりまするので議事の差繰りをいたしまして、東京証券の争議に関する調査を先にいたしたいと思います。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  41. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) じや速記を始めて下さい。
  42. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 昨日閣議で了承を求められて、ピケに対する労働大臣の談話が発表せられ、その発表の内容について重ねて質疑をいたし、ここで労働大臣から同様の発表があつたわけです。これについて質疑をいたしております間に大臣も都合で退席をされる、労政局長等はどこに行かれたかわからん、こういうことで若干の質疑を労働省の法規課長にいたしておりました。法規課長との質疑の過程を通じまして、労働大臣談話の中で事務所に占拠しておると申しますか、事務所の入口でピケを張つておるのか必ずしも非合法とは言えない、こういう法規課長の答弁もございました。それから一昨日の晩は大したことないというので、労働省においても遅くまで居残りはなさらなかつたが、昨日の十時頃、大臣から要請かあつて、ピケに関する談話のこの行政解釈を取りまとめられた、こういう点が明らかになつて参りました。それから委員会が続行できませんので、私どもも現地に参りまして多少見聞きするところがございましたが、時間が正確でございませんけれども、三時過ぎに警察の実力行使があつて、そして署長が先頭に立つて人口のピケを排除して中に入ろうとした。或いは梶棒が振われたり或いは窓ガラスが割られたり、そういう事態もあつたし、それからそこにおりましたピケの隊員の中から七名ほど検束をされた。或いは不退去罪ということであつたのかどうか知りませんか、検挙をされて本日に至るまでなお留置せられておると聞いておるのであります。そこで或いはこれは私ではございませんか、私どもか警察署長に聞いたところでも、警察官の介入は、政府の要望ではなくして、証券取引所側からの要望によつて出動し或いは実力行使をした、こういうことでございます。それから警察の責任者、大臣でありましたか、或いは警察庁長官でありましたか、従来のスト或いはピケに対すると同じような態度をとつておるのであつて、東証の争議であるから、特に警察官が速かに介入をする、或いは東証のピケであるから、これに対して実力行使をするといつたような特別扱いをしておるものではない、こういう話もあつたと聞いております。それから検事総長等についても同様の見解であつたかと思うのでありますか、併し労働大臣談話の今日頂きました印刷物によると、業務の妨害として労働者が争議行為として使用者の設備を占拠することも、これは正当なものとは解されない。或いは使用者の意思によつて退去を要求されたにもかかわらず、作業場内にとどまり或いは占拠をなすのは違法行為なること明白である、こういう言明と、それから現地における実力行使、或いは公務執行妨害という罪名か或いは不退去罪というのか知りませんが、検挙いたしました事実との間には、これは明らかな符号がございます。従いまして吾妻光俊、当時ではございませんが……政府が東証争議に介入をした、この点は客観的に見て明らかだと思うのでありますが、それらの点について、もう少し大臣なり或いは警察庁長官も来ておられますし、承わりたいと思うのであります。  先ず大臣から御答弁を願いたいと思うのですが、閣議の了承を得られた点、或いは大臣談話が、昨日は否定をせられましたけれども、警察がああいう実力を以てピケを突被する、或いは検挙をする、不退去罪か或いは公務執行妨害という名前であつたか知らんか、そういうことを期待せられた。そうして東証争議を実力を以て、争議弾圧の意図があつたのではないかという点は、これは客観的に考えまして明らかではないかと思うのでありますが、その点について先ず労働大臣答弁を……。
  43. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 閣議のことをいろいろ言われますが、私は労働大臣といたしまして、労働法規に対する解釈を下す責任と義務を持つておりますが、何も閣議の了承を得て、その結果の必要、必須の条件ではないのでありまして、私の責任においてなし得るのであります。ただそうした解釈を下します場合に、閣僚の全員が知つてつたほうがいいという場合もありますし、又世間的にいろいろ問題になつておる事実等について、閣僚諸君が了知しておられるほうがいいという場合もございますので、そういう際にはその実情等について話をいたす慣行といたしておるのであります。そこで私は昨日も申上げましたことを繰返えすことになるのでありますが、このピケの合法性の限界というものにつきましては、従来からしばしばこれを具体的に明示することが必要ではないかという御意見を私も承わつておりまするので、これはいつか労働大臣としての解釈を明らかに発表する必要があろうということは思つてつたのでありますが、このことは、事務当局におきまして、関係各省との間にも御連絡をして相談をいたしておつたのでございますが、たまたまこれが成案を得ましたので、そこで昨日これを発表いたしたのでございます。その中で、今御指摘のように、設備を占拠することが不当であるということは、これは当然のごとでございますが、労働者が争議行為といたしまして、使用者の意に反してその設備等を占拠し、損壊し若しくは除去する等のことによつて、その業務を妨害し、又使用者若しくはその指揮を受けて行なつている業務を暴行、脅迫、座り込み等によつて妨害することは、正当なものとは解されないということを発表いたしたのでありますが、これは私は当然のことを言つておると考えております。それに対して何か特に悪いことでもしたようなお歳でございますが、そういうことはないのでございます。私は法律の解釈を明らかにしたと、こういうことなんでございます。あと法律の解釈に従いまして、その場を如何に処理されるかということは、それぞれの当局があるわけでございますから、その責任において善処するということは、これは当然のことだと考えております。  なお、争議に政府が介入した云々ということでございますが、やはり政府は法の威信と秩序を守る責任を持つておるのでありますからして、如何なる名におきまして如何なることか行われても、それが秩序の維持に関連があるということでありますれば、その当局はその当局としての処置をとると、こういうことは当然のことと考えます。
  44. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあ語るに落ちたと申しますか、政府の介入が何が悪いか、或いは法規解釈をするのが何か悪いか、こういうことでありますが、介入その他悪いことをしたという気持があるから、昨日にしてもやや緊張をしたり、或いは本日にしても政府の介入が何が悪いかと、こういう言葉が出て来るのだと思うのでありますが、法規解釈を発表するのに何の遠慮が要るか、或いは悪いことかあるかと、いういうお話でありますか、先ほど申上げたように、かねての研究が発表される、行政解釈がなされる、こういうこと全体を申上げるのではないのでありますか、昨日の朝になつて、にわかに東証争議と関連をして行政解釈がなされた。而もその行政解釈と関連をして警察が実力行使をする、或いは検挙をする。而も話の内容は、閣議において了承をされただけではなくして、或いは小笠原大臣も、或いは小原法相も、或いは木村保安庁長官まで話があつたということでありますが、閣議で論議をして、そして法規解釈、或いは実力行使、それらの一連の動きが、東証争議に政府が介入するという実体になつたのではないかと、こういうことを申上げておるのであります。政府の介入という点は認められたのでありますが……、最後の業務の妨害云々という点であります。これは一般的にこういう問題を言われたと昨日は考えておりましたが、今の答弁からいたしましても、実際には東証争議の実態に関連して行政解釈がなされたということを労働大臣みずから表明されたわけであります。東証問題について、証券会社でストライキがなされるということ、或いはピケが張られる、こういうことについても、これは大臣として御否定になるのでありますか、それともストライキをやること、或いはピケをやること、これは法律によつて認められていることであつて、それは何らとやかく言うべき筋合ではないと、こういう工合に言われるのか、先ずそこから伺いたいと思います。
  45. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 昨日もそのことは申上げたのでございまするか、ストライキというものは、これは法律によつて認められておるのであります。ただそのストライキというものは、できる限り避けてもらいたい、平和のうちに話合によつて事を解決してもらいたいとは、私ども思つておるのであります。東証の場合も、御承知のように、そうした関係から都労委において十分斡旋をいたしまする気持でおつたのであります。さればこそ斡旋団交という形をとりましたのでございまするが、二十七日、即ち本日の午後二時に斡旋案を出す、併しその裏付けとなるところの双方の争点について、明らかに自分たちとしても認識を得たいから、そうした材料を出してもらえないか、こういう申入れに対しまして、理事者側はそれを承諾し、組合側は十分そこそこでそれ蹴つて、直ちにストに入つた、こういう行き方は、私たちとしては余り感心していない。どうか話をしてもらいたいと、こういうことは昨日も申したのであります。  なお、このピケというのは、その争議を有効にする手段として認められておるのでありますが、そのピケが非合法にやられてはいかん、如何なる運動にしても、労働運動の名の下に行われても、暴行、脅迫、そしたような暴力は、これは否定されておるのでありまして、職場の占拠も、今お話がありましたように、使用者から立退いてくれという要求をされたにもかかわらず、なお、不当に工場内にとどまつて占拠するというようなことは、これは違法行為であることは明白であると思いますので、そうした点を申したのであります。なお、介入云々ということを言われますが、あなたが介入したのではないかと言うから、介入しておりませんということを申したのであつて、私は法規解釈を明らかにしておるのでありますということを申したのであります。
  46. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 先ほどは介入が何が悪いかとこう言われるから、それでは介入したのではないかと、こういうふうに言つたのであります。争議をやること、或いは争議の進行が平和的に進むことが望ましい、或いは斡旋等が行われておるならば、平和裡に進むことか望ましいという、その望ましいという気持までをとやかくは申しません。併しながら、具体的に争議がどう行われておる、その争議の一つ一つについて、あれはよい、これは悪いと、そういう個々の争議について介入をするということは、これは果ましいとは恐らくはお考えにならないだろうと思う。一般的な暴行、脅迫は、これはいかん、こういう点は労組法上に書いてあることだから問題はない。そういう一般的な問題と関連をして、例えば占拠の話が出ておりましたが、談話の中にも出ておりますが、昨日の場合に斡旋で済まなかつたことが望ましいかどうか知らんが、これはあなたの望ましいという話は別問題にして、蹴つた理由の中には、これは都労委の態度というものも若干あつたかも知れません。併し、それをとやかく言うべき筋合には政府としてもなかろうと思う。三十四時間ストライキをやると、経営者のほうからロツク・アウトを行なつた、ロツク・アウトをやつたということは、これは私は業務を放棄したことだと思うのでありますか、ロツク・アウトをしておいて、そうして争議状態の中で取引を進めたい、そのために、ピケを破つて中に入ろう、こういう動きに対してピケが張られると、これらの点については大臣としてどういう工合にお考えになりますか。そういう状態の中で張られたピケを、非合法であるとか、或いはこれを実力を以ても中に入ろうとする使用者側の態度は、これは行過ぎである、或いはロツク・アウトをやりながら、なお事業を強行に再開しようとするあれは、事態を紛争せしめる事態ではないか、こういう感想を第三者として持たれるのが当然だと思うのでありますが、これらの点についてはどのように労働大臣としてお考えになるか。
  47. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は、どういう意思でピケが張られたか、ロツク・アウトが行われたかということは、個々の争議にそれこそ立ち至ることになるのでありまして、そういうことを想像していろいろ解釈をいたすということになると、これは一つの介入になると思うので、そういうことは考えませんが、ただ現実に張られるピケの限界というものは、飽くまで平和的な説得の範囲にとどまるべきものである。そうすると、その平和的な説得の範囲ということは前から育つておるわけものは、ピケッティングというものはでありますが、それを承認しながら、組合に対するストの統制である、即ちなかなかそういう範囲が守られないということが実情であるわけでありまして、もう少し噛み分けて、こういう点とこういう点があれば、これは違法でありますと、こいう解釈をすればいいと、飽くまで法規解釈を言うのであります。
  48. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、法規解釈については、個々の争議について介入する意図はない。事実は、昨日のピケ或いはピヶをめぐります争議において、警察が介入し、或いは検挙された事実があるわけです。従つて、そこの論理的なといいますか、法律的な動きわれて、ロック・アウトがなされた、それに対して、スト破りを防ぐためにピケが張られた。それを押して事業を再開しようとした東証の態度については、これは好ましくないといいますか、或いはそういう場合のピケが不当である、こう判断をされないと思うのでありますが、その点について御答弁を求めます。
  49. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は具体的にどういう意図でなされたことがいいとか悪いとかいうことを言つているわけじやないのです。要するに、私の出しました法規解釈、行政解釈というものは、ピケッティングというものは組合に対するストの統制である、即ち対象は組合員のみに限らるべきものであつて、而もそのピケというものは、使用者とか、或いは、出入の商人とか、顧客とか、そういうものに及んで一切合切とめてしまうのだ、而もそこに暴行、脅迫というようなヴアイオレンスがあるとすれば、それは違法だということを申したのでございます。なお、先ほど検挙者の話がありましたが、どういうかたが検挙されたかということを実は聞かしてみたのでございますが、これはお話のように七名おります。その一人は早稲田大学の学生、もう一人は京橋の商業学校の教員、もう一人は築地の運送業の運転手、猛一人は国鉄労働の書記、もう一人が東証の労組員、あとの二人は黙秘権を行使しておる。こういう状態でございまして、私どもは常識的に考えますと、どうしてもこの争議をやるので、スト破りをなんとしても抑えなければならんと思つて、あなたの御心配になるようなそうした非常な止むに止まれん気持から、或いは激情のほとばしるところ、こういう状況になつて来て、皆東証のかたかと思つておりましたら、そうでもない。この点を、私は実はちよつとこれを聞きまして、そういうものかなあと、こう思つた次第でございます。
  50. 相馬助治

    ○相馬助治君 事実問題を二、三労働大臣に伺つておきたいのですが、政府としてピケその他今度声明されたことはよくわかりますが、今の吉田委員との話衣聞いておりますと、原則的たことをただ法解釈を出したのであつて、今度の東証争議に介入する意思はなかつたというお話ですが、そのことは一応了解するとしても、東証争議という現出にある大きな事件のさ中に、労働大臣がこのような解釈を出したことは、あなたの意図するとしないとにかかわらず、東証争議に大きな影響を持つことについては、労働大臣も否定し得ないと思うのです。そこで、一般的な問題についてやつたので、今度の東証争議については別に考えていないということですけれども、後にこの東証争議の実態の御報告をそれぞれ係官から受けたと思いますが、現実的に今度の争議で、どういうり点が、あなたが法解釈したとの尺度に照して、違反事項に該当いたしますか。その具体例を御調査になつて手許に資料がありましたら、一つ聞かせて頂きたいということが第一点。  それから第二点は、このような法解釈をこの際発表したということは、誰のためにどのような目的を持つて出されたのでしようかということであります。即ち、労働組合に対して啓豪的な意味で間違いのないようにという意図か、或いは警察権が介入するような場合において、警察官は労働争議を取締るのが指名ではなくて、法の建前によつて社会の秩序を守るためにあるものでして、それがこの際、取引所から出動を求められれば、警察官としては、これはむげにこれを断わるわけには参らないでしよう。そういうふうな場合に、警察がこの事態を判断するためにも、こういうふうな解釈がはつきりしていたほうがいいと、こういう意味でこれは発表され、同時にこのことは警察筋にも正式にお流しになつているのかどうか、この二つのことを先ずお尋ねしておきたいと思います。
  51. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 具体的な事例につきましては、まだ私の手許に十分報告が参つておりませんのでございますが、ただこのピケに対する後段の御質問、何のためにどういう目的を持つてこういう談話を出したかというごことでございますが、最近非常に争議に暴力が伴つているという事態が殖えて来ておりまして、これは非常に憂慮いたしておるのでございますが、不法事件の件数を年度別に申上げますると、昭和二十五年に八十四件、二十六年は四十八件、二十七年に百六件でございましたものが、三十八年になりまして百七十九件となつております。なお、二十九年度に至りまして、この半年の間に百三十件と、非常に労働争議に伴う不法事件というものが大きくなつて来ておりますので、これはどうも大体がピケをめぐつての不法事件でございますので、やはりピケに対するところの合法性の限界というものは明瞭にしておかなくちやいかん、これは何も法を破るつもりでやつておる人はないのでありますけれども、法律の如何たるものかを知らないで、知らずして法を犯すというようなことがあることは、これは非常に私どもとしても遺憾なことと思いまするので、これはよく知らしめるということが必要である、こういう考えもございまして、このことは一つ研究しようじやないかということでやつておりまして、その成果が大体できましたわけでございますので、昨日これを発表したのでございます。そこでそれがどういうふうに作用したかということについて御質問がございましたのでございまするが、まあああした事案が、ございまして、そこで成るほど現実にやつてみれば、こういう点とこういう点は法律に触れるということが明らかになりますれば、今後の労働運動について不法事件の起き方が少くなる。希望に申しますれば、起きなくなるということに対して非常によい影響を持つのではなかろうか、こんなふうに考えております。
  52. 相馬助治

    ○相馬助治君 労働省の今般の見解でも、基本的には労働者の団結権、団体交渉その他団体行動権は法の保障することであると、これは認めている、これは、言わずもがなで御尤もでございます。そこで労働者が持つております。ストライキ権というものは、これは使用者に何らかの痛手を与えるものでなけばスト・ライキというものは認められておるはずです。そこで私は聞きたいのですが、この「業務の妨害」というところに「労働者が争議行為として使用者の意に反してその施設、設備等を占拠し」、これだけでも悪いとこうおつしやるのですか。それともこの文章はずつと後段に出て来る「暴行、脅迫、座り込み等によつて、といわゆる占拠することに、こういう暴行、脅迫、座り込みというようなことが伴つた場合に悪いということなのですか、どちらなのですか。
  53. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) お答えを申上げますが、私どもの解釈によりますれば、設備等を占拠することだけでも悪い、こういう解釈をいたしております。何となれば、労働者が職場に入りますということは、そこにおいて債務の本旨に従うことは、労働する、労働を提供するということでございます。その職場というものは、そこでただ座り込んだりするためにあるものではございません。使用者の意に副うて職場にあるということが労働の本旨に副うものと心得まするので、意に反して占拠することは不法である、こういう考えであります。
  54. 相馬助治

    ○相馬助治君 それは非常に重大なことだと思うのです。労働者の置かれている地域社会というもの、それからその職場というものによつていろいろですが、労働者が労働力の提供を放棄したそのことが使用者に対して致命傷的な被害を与える場合もあります。ところが東証のような場合には、労働者が労働力の提供を中止したそのこと自体が使用者に重大な損害を与えない場合があり得ると思うのです。従つて好ましいことではないけれども、そうして又将来かようなことがあつては国のためにもならんことではありますけれども、東証の労働組合の諸君が使用者の反省を求めて、みずから行うストライキに効果あらしめるためには、どうしてもこの場合には施設、設備を一応占拠する、こういう形が勢いとられて来ると思うのです。従つてこの場合に東証の労組諸君が、施設、設備を占拠したことが、不法であるという労働大臣の御見解ですか、そうしますと東証の労働組合の諸君が持つておる一体ストライキ権というものは、自分の労働力の提供を中止するという効果的にいえば極めて消極的なものしかないのだ、こういうふうにお考えでしようか。質問が少しまずいのですが、事実問題としてお尋ねしたいのです。
  55. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いやよくわかります。私はストライキ権の意義というものは労務の、不提供ということであると思います。そこで労務を提供しない、即ちストをやれば経営者に対しましては当然にそれだけ必要とする労務が提供されないのでありますから、損害を与えることになると思います。それを全然無価値なもの、その労務を提供することをやめるということによつて何らの痛手を与えないということは私は考えられない。それを与えないことによつて更に次の団体交渉に移るという方法は幾らでもとれると思うのでありますか、場所を占拠するということになりますと、今申上げたように、使用者がその場所を持つておるのは、そこにおいて業務の正常な運営をするという目的を持つておるのでありますから、それを使用者の意思に反して占拠してしまうというようなことは、やはり暴力的事案を伴いますし、これは今申上げたように処置すべきである、こう考えております。
  56. 田畑金光

    田畑金光君 関連いたしますけれども、昨日もお尋ねいたしましたが、ストのさなかに労働大臣がピケの合法性の限界に関して談話を発表された、このことであります。政府が法解釈をなすこと、或いは法の執行を厳正に行うということは当然の職責だと考えます。併しこういう深刻なストのさなかにおきまして、労働大臣の談話発表というものか如何なる心理的な影響を与えるかという問題であります。若し政府におきまして、最近の争議行為に伴ういろいろの問題があるので、当然にピケについての解釈を下すべきであるという認定があつたとするならば、なぜもう少し平静の時期にやられなかつたのかという問題であります。昨年の炭労の年末闘争のときかと思いますか、部分ストか行われた。で、ストに参加する以外の職場に働く者に賃金の支給がなされるかどうか、こういうような問題で紛議があつたはずであります。これかまた労使の間で、紛議の段階にある。使用者もまだ確定解釈を下してない、明確な態度を打出してない。そういうさなかに労働大臣がノー・ワーク、ノー・ペイの原則を明らかにして、そうして当時の労働組合に対する一方的な不利な情勢を作つている。今回の場合も丁度似通つた事例だと見るわけであります。而も労働組合は結成後二カ月にしかならない。経験においても未熟であるし、組合の団体交渉等のあり方を見ましても不慣れである。更に経営者より一層労働組合自体を殆んど頭から否定しておる。こういうような労使の正常な慣行等の成熟というものは到底期待できないところにおいて、今回の争議が起きた。このような場合に、労働大臣が一方的に解釈を下された、このことが、一体心理的な影響を与えないという考えを持つておられるのか。心理的な影響というものがこういう労使の紛争議に何らの影響も与えないという考え方でおられるのか。この点について労働大臣考え方を承わつておきたいと思います。
  57. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 只今お話のように、世間一般では東証の争議というものは、労使共に労働運動には非常に、不慣れであるということを言つておる。で、不慣れであればあるほどに、法律というものはどういう解釈をなすべきかということを言うことは、これはいいことだと思うのです。争議かどうなるということよりも、私どもは法律が適正に運営されるということを守る責任があるのでございますから、そういう問題があれは、そういう不法事件を起すような慮れがないように措超するということのほうが、私どもとしても必要なことであると思いますので、その時期がいい悪いということは、これは見解の相違がございますかも知れませんが、私どもとしては法律解釈というものは、いつ出してもそれは然るべきじやないか、その解釈がときによつて抂げられるなら、これは別でありますけれども、いつ出しても正しい法の解釈は一つなのであります。その解釈を出すということは、それはいつ出してもその時期というものは別に問題にすべきものじやない、かように考えております。
  58. 田畑金光

    田畑金光君 只今労働大臣答弁というものは非常に不可解であります。あなたのお話によりますと、政府か解釈を下すのに如何なる時期を選んでもこれは自由である、そのことが政府のなすべき道である。こういうような御答弁でありまするが、大臣考え方の中には、少くとも前提が抜けておると思います。労使の争議関係か現に深刻に行われておるということであります。而もこの争議関係においては、先ほど申上げたように、労使の慣行がまだ未成熟であり、不慣れな相互関係の中にあるということであります。而もこういう情勢において政府が一方的な解釈を下す、一方的なというよりも、組合の争議に直接的な影響をもたらすような解釈を、まさに争議の白熱化しているさなかにおいて下した。更に又政府は警察権の介入ということも陰に陽にこれに対してタツチしておる。こういうような時期に労相の談話というものが心理的な影響を労使の関係に与えないかどうかということを私はお尋ねしているのです。争議の関係におきましては、人間関係です、心理的な問題です。心理的な問題に影響を与えないような解釈であると労働大臣はお考えになつておるか。このことを私は先ほど来お尋ねしているわけであります。炭労の争議の場合でも、今回の争議の場合でも、解釈を下されること自体を、私たちは政府の立場を理解しないじやないのであります。併しそれは時期があろうと思うわけであります。なぜそのように、正しい労使関係を確立しようとするならば、行政解釈を平常の時期においてなさないのかということであります。而もあなたの今回出されました内容をよく検討してみますならば、例えば平和的な説得だけがピケツテイングのすべてであるというようなことになつて来るわけであります。組合員以外に対する統制力は全然ないということ、或いはスキヤツプもこれは協約にない限りは合法的であつて、不当労働行為にも該当しないということ、或いは職場の占拠はすべての条件においてこれが違法であるというようなこと、こうなつて参りますならば、労働組合は動こうにも動けない、動く余地は一歩もない、こういう解釈を争議のさなかに下していて、これが争議の介入でないと言い切れるかどうかということであります。それが心理的な影響によつて組合に何らの効果も及ぼさないかどうかという問題であります。労働大臣にしては、余りにもそれはしらじらしい態度だと、こう考えるわけでありまするが、人間関係であり、労使の関係であり、感情的な関係であるということを考えたときに、こういうような解釈が、果して間接的に労使の問題に、争議の関係に影響を及ぼさなかつたかどうか、もう一度お尋ねいたします。
  59. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 田畑君の前半の質問に敷衍をして私からお尋ねをいたしますけれども、昨日の閣議のあとたと思うのでありますが、小笠原大蔵大臣からこういう談話が発表されております。今新聞記卒が手許にありません、それの要所を書いたのでありますから多少通うかも知れませんが、おしまいのほうは間違いありません。銀行や取引所など公共的機関については、これはこの争議について、争議が好ましくないといいますか、まあそういう意味のことを述べて、政府として理事者側から立入禁止の処分が求められるならば、政府として義処したい、それからピケラインが取引所の業務を妨害するようなことになれば、これを厳重に取締る、こういう談話が発表せられておる。で、法規解釈といわれますか、その法規解釈も昨日の朝になつて急遽法規課から取りまとめて閣議に出された。そうしてその意図か閣議での了承事項或いは小笠原大蔵大臣の今の新聞談話等から判断するならば、この解釈を通じてピケに介入する、或いは争議に介入するという意図は明らかであります。
  60. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ずその御質問の前提が、政府のこの行政解釈か間違つておるというような前提で、間違つたものを出すから非常によろしくない、労使の権衡を失わせるようにするというようなそういうお気持かあるように承われるのでございますが、行政解釈というものは、これは行政府の役人か普遍的な立場から各国の立法例も参考にいたしまして慎重に練つたものでございまして、決してお言葉にあるように一方的なというものではない。非常に普遍的な立場からいたしておるものでございます。  なお、識者等が意見を述べております新聞等を見ましても、ああした形の争議はイギリス等においては百年前に卒業しておるというようなこともあつたように存じます。各国において暴力的なピケというものは、それは幾多の経験を経て、これはいかんのだということに現在なつておる。この解釈というものは普遍的な基礎の上に立つものであると私は考えておる。それ故に不法行為というものが行われる事態があれは、そういうことがないように、できるだけこういうことを防ぐ意味においても、ああいう形の争議が起きれば、そのときの法解釈というものはこうなんですと言うことは、むしろ行政府としては親切な考え方であるし、むしろ私どもの立場からすれば責任と義務を持つておる、こういうふうに思うのであります。
  61. 阿具根登

    ○阿具根登君 労働大臣の御説明で行政解釈をいつ出してもそれは自由だということを言つておられますが、それに対しましての反論は各委員から申述べられておりますので、私は重複を避けますか、現在各所でストが起つておるのに、殆んど警察を利用してこの解決をされておるという現実、なお、又東証のストに対しましては、昨日の朝閣議で労働大臣より報告をされて、それか了解されて、そのあとで警察官の出動ということになつておる点を考えてみましても、これは東証の争議に対して政府が大きく介入をしたのだと、こういうことを私たちは考えざるを得ないのであります。  で、その問題になつておりまするピケの限界と申しますか、これは相当、一年以上も前に論争された問題でありますが、それを今まで研究して来て、そうしてその研究の実が実つたから、ここで発表するのたと言つて、たまたま東証の争議のど真ん中にこれを発表された。これも他意はないと言われるかも知れないけれども、起つておる現実から見る場合に、大きく労使の関係に対して影響されたという譏りは免れないと私は思うのです。この点について解釈は当然今まであつたと思いますが、一応答弁を願うことにいたしまして、その次にピケの解釈になりますと、説得による事業場侵入の阻止も、原則としてスト中の組合員に限るべきであつて、使用者や争議に関係のない第三者にはそういうことはやつてはいけない、説得もやつてはいけない、こういうことを言われておりますか、組合員が民主的な機関に諮つて、組合の決定に背いて就労をするという人に対する説得は勿論のことであります。併しそのほかにあなたが言われるように、法律を知らなくてそして法を犯すものかあつてはいけないというような、そういう気持と同じに、何がためにピケを張つておるかということがわからなくて、ピケを破らんとする第三者に対する説得は当然だと私は思うのでありますか、その点についてはどういう御解釈で、こういうことを発表されたか、お尋ねいたします。
  62. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 後段のほうからお答えいたしまするが、第三者に対するものでございまするが、従業員以外の第三者に対するピケとは、要するにこれらのものの出入や、正常の業務を妨害することは許されないのでありまして、日分らはストライキをやつているのだから一つ協力して下さい、いや、おれは用があつて入るのたからと言われたときに、そうですかということになつてしまう、何でもいけないのだと言つて、これを強引に押付けたり、人が十重二十重になつてつて、どうにも通れないような実情に押付けてはいけない、こういうことでございます。  それから発表の時期は今申上げたように、私どもはピケの問題というのは、先般来から各省で関係者の間によつて協議をしておることであるし、先ほど申上げましたように、非常に不法事案が多くなつて来ておりますし、そういう状況下におきまして、やはりできるだけ不法な事案の起きないようにするには、どうもこの解釈が明確でなかつたのじやないかと思うので、これを適当な時期に発表すべきたというようなうちに、ああいう状況になりますれば、これはむしろそういう事態が起きないようにしてあげるほうが、法を知らずして法を犯すということのないようにする、そういうことは私ども責任であり、又義務でもある、こう考えておるということは、先ほど申上げた通りであります。
  63. 阿具根登

    ○阿具根登君 非常に御親切な労働者に対する思いやりのお言葉をお聞きいたしまして、私もそれを肯定したいのでありますが、それだけの親切な気持かあり、或いは労働者が法を犯さないようにというような、そういう御親切なお心があるならば、もつとこの発表の時期は考えらるべきであると私は思うのです。本当に労働者のことを考えておられるならば、この発表によつて、これを基礎にして警察官が出動して行つた。こういうことは、私が当初述べたように、すべての争議を警官の介入によつて解決せんとしておる、こういう結論にしかならないと思うのであります。  それから考え方そのものか当然ではない、何か誤解されておるようでありますが、労働大臣考えそのものか、ピケというものは組合員を説得することに限るのた、それを原則としておる、こういうことであります。私か先に申上げたのはそうでない。これは当然のことであります。自分たちが民主的な機関に潜つて、民主的に決定された線に従わないというのは、その人が悪いのであります。それは当然であります。併し何がためにピケを張つておるか、何がためにストライキをやつておるかわからなくて、そこを破るような人かあつた場合に説得するのも、当然のことたと私は思つておるのであります。ところが第二項になつて、今度はスキヤツプを入れてこれを破るということは当然である、こういうことを言われておる。その場合のスキヤツプというものは、あなたが言われる争議に関係のない、或いは経営者に関係のない第三者であるとスキヤツプをお考えになるかどうか、御質問申上げます。
  64. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ピケというものが第三者に及ぶというふうには私は考えていない。要するに労働組合の団結権に基くところの統制力というものは、原則として組合員の範囲であるというふうに私どもは解釈をいたしておるのであります。従つてこの統制力の範囲外にあるものに対しては、強制力を労働組合は持たない。一つ、ストたからと言つて御協力下さいという程度は結構でございましようが、だからと言つて、これを強制する、その出入を強制的に阻止するということは、これはいけない。その解釈については、残念ながら阿具根さんとちよつと見解を異にいたしますが、なお、スキヤツプについては、これはできれは労働協約において、スキヤツプは争議の際に入れないというような協約があれば結構だと思います。但しその場合、経営者が保安要員というものは、組合側も争議の際、保安要員というものは、これは争議の際も確保する、こういうことになるのが普通の形だと思つております。併し原則的にどうか、そういう労働協約のない場合には、どうかということをここで謳つておるわけであります。業務の代替者は入れられるということであります。
  65. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が質問申上げておるのは、スキヤツプは大臣が言われるように第三者であるか、完全な第三者であるかどうかということをお尋ねしておる。スキヤツプというのは、争議にも、或いは経営者側にも、どちらにも関係しておらない第三者であると解釈されておるかどうかということをお尋ねしておるわけであります。
  66. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 要するにスキヤツプであれば入れてもかまわんということでございます。業務代理者であれば……。
  67. 阿具根登

    ○阿具根登君 入れてもかまわんというのは、これは争議にも関係がないし、経営者のほうにも関係がない、完全な第三者であるから入れなさいということであるかどうですかということを尋ねておるわけです。
  68. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 細部のことでございますので、私から御説明申上げますが、スキヤツプという言葉が非常にいろいろに使われておるわけでございます。いわゆるスト破りを目的として新たに雇い入れるというような問題につきましては、いろいろ問題がありますので、只今労働大臣より御説明申上げましたように、協約で以てあらかじめきめておくことが望ましいと考えております。併しスキヤツプと申しましても、例えば会社の施設のために、どうしても重要だ、これを運転しておかなければ、例えば溶鋼炉がこわれてしまうというような場合に、保安要員を組合が出してくれなければ、これは臨時に人を雇つてでも使用者は操業を、最小限の保温だけはしておかなければならんというような実情にあるわけであります。そこでスキヤツプということは悪いような語感を与えるようなわけでありますが、そういうふうに臨時に必要に応じて人を雇い入れるということ自体は、別に不当労働行為ではないということをちよつと申上げただけでございまして、別にこれが非常に好ましいとか、奨励するとか、絶対にいかんということを言つておるようなわけではございません。
  69. 阿具根登

    ○阿具根登君 質問に対してそういうお答えしかできない。それ以上のお答えをしたらとんでもないことになる。併しこういう発表は、そういうお答えになつておらない。スキヤツプというのは飽くまでもストを破るためのものである。スキヤツプに雇われた人は、経営者から金をもらつて雇われた人は、ピケを張つておる人が何ぼ説得しても、その説得に乗るわけがない。相手はそれを破るために来ておる。そうすれば、相手は挑戦しておるのじやないですか。ピケは説得するためのものである、ピケは説得するために来ておるけれども、スキヤツプはそのピケを破るために雇われておる。そういうのはあなたかたは当然だと認められておる行為たと言うのです。そういうことかどうして当然ですか。どちらが当然ですか。ピケは必ずしも暴力とは言つておらない。ピケの暴力は我々は否定しておる。そのピケに対して、ピケは説得するものだと私たちは思つておる。それに対してあなたかたの言うスキヤツプは、ピケを破る任務を持つておる人たちです。そうすればあなたがたは暴力を奨励しておるようなものではありませんか。どういうお考えですか。
  70. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) スキヤツプは、例えばピケラインを暴力で蹴散らそうというような目的で以て雇われましたスキヤツプは、これは不当労働行為とか何とかいう問題を超越した暴力でありまして、勿論そういうことは許されないことでございます。併しスキヤツプに対しまして、お話のごとくにスキヤツプと申しましても、そういう暴力を雇い入れてピケを蹴散らすというのではなくて、必要な代替業務を行うために雇う、これは雇う自由は使用者にありまするし、又雇われることは、一般労働者としてこれ又自由でございます。それに対しまして、そういうものが就労することは、ストの効果を減殺する、甚だ好ましくない、これは組合員としては当然お考えになることでございましよう。そこにおいて説得を試みられる、これ又労働組合として自由でございます。併しその場合におきましても、組合員に対して例えばスト破りをすれば除名にするぞというような強制力を加える立場には組合はない、暴力その他の実力を以てスキヤツプを阻止することはいけないというふうに考えるわけでございます。
  71. 阿具根登

    ○阿具根登君 暴力を以てスキヤツプを阻止するというのはあなたがたの想定の下にやられておるものであります。ピケというものは説得するためにある。ところがスキヤツプというのはそのピケの中に人づて仕事をするためにある。而もそれを一時でもありますけれども雇用条件としてそれは雇われておつて、飽くまでもそれをやらなければならない任務を持つておる。而もこれは暴力を振うことはできないということがわかつておりますから、暴力の代りに警官を使つてこれをやるのが順当だというのがあなたがたの解釈だ、そうすれば先ほど労働大臣が言われたように、ピケはストをよりよく効果あらしめるためにやるのであるということを、先ほど相馬君の質問答弁されたと私は思つておる。そうすればそういう説得するためのピケはあなたかたは二重にも三重にも破る対策を立てておつて、そうしてストを有効ならしめるべきピケを弱体ならしめるべく努力しておる、こうしか解釈されないのですが、どうですか。
  72. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 想像を加えて、暴力的なピケを張つていると想像を加えて言つているというようなお話でございましたが、私どもそういうふうな意図で申しておるのではございませんので、ストの場合に代替用員を雇うのは使用者の自由であるし、使用者の対抗手段である。それを雇つても不当労働行為ではないということ々申しておるたけでありまして、そういうスキヤツプか、平和的に説得を試みるものに対して、一度にどつと突破しようとするときに、警察官が押して来るとか何とかというようなことまで私どもが想像しておるのでは毛頭ございません。
  73. 阿具根登

    ○阿具根登君 今の答弁を頂いてはつきりしたと私は思います。スキヤツプを雇い入れてそうして事業者が経営するのは当然たと私はおつしやつたと思います。そうするならば労働者のスト権、団結権というものをふみにじることは当然だ。ピケを張つている人たちを見て御覧なさい。誰が一人兇器を持つておる、誰が暴力をせんとしておる、そういう人たちを破る人たちは、そういう金で買収されるとか、或いはスキヤツプは当然であると言われるならば、当然の措置を経営者がとることはこれ又自然であります。そうすればその人たちのスト権は剥奪されたと同じことである。ストを効果あらしめるためにピケを張つておる。そのピケを相手側は代替労働者を雇つてつて経営してもいいという定義ならば、そのスト権を、団結権を破られたと、破壊したと、こうしかないじやありませんか。どこの国にこういうことを認めておる国がありますか。  私今日新聞を見ておりますと、アメリカにあつたようでありますが、不当労働行為としてそれはできないことになつた、こういうことが出ておつたと思います。一遍そういう経験があつた国さえもそういうことをやつていない。まして日本の労働組合がどういう現状にあるかということは皆さん御承知の通りです。而も今の労働環境はどういうふうになつておるか、七十幾万からの失業者を出しておる。こういうときに相手がストを破ろうとしてスキヤツプを雇うならばどれだけでも人聞は集ると思う。組合がそこまで力強くなつておらないということは、極めて私も残念でありますが、そういうときにこういう解釈を下したということは、私は労働省の労働行政に携わつておる労働大臣として全く遺憾の極みだと言わざるを得ないと思うのですが、労働大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  74. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 只今法規課長が申上げましたように、使用者が争議中スキヤツプを入れてどうしても必要な業務を行いたいということは、これ自体不当労働行為ではないということを申しますことは当然だと私は考えております。組合が争議をやる、その争議を有効ならしめるためにピケを張る、これは認めておるところであります。ただそれは暴力に亘つてはいかん、その暴力の事犯というものは、こういう場合はいかん、こういう場合はいかんという規定を私どもはいたしておる、法律というものはそういう精神で立てられておるという解釈を下しておるというわけでございます。
  75. 阿具根登

    ○阿具根登君 こういうことですね、ピケを張つてつて、それにスキヤツプを入れて経営者がやることは正しいのだ、こういうことになれはどちらか有利か、これはすぐわかると思う。どちらが有利とお考えになりますか。例えば第三者が通行する場合においても、或いはそういうスキヤツプが入つて来た場合も説得する、ピケ側としては説得するために万全の努力をするでしよう、暴力ではなくて……。ところか相手はそれに説得されることのできない任務を持つておる。とするならはお互いの暴力は許されておらない、とするならは非常に長時間そこで話があるに違いない。ところがそれは警官によつて押し分けられて入つて来ておるのが現実である。こういう点から考えた場合に、こういうことを、これがピケの限界であるということを労働省が発表したならば、いずれが非常に有利であつていずれか非常に不利になるかということははつきりすると思いますが、どうですか。
  76. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) いずれか有利になるか不利になるかということよりも、現在行われておるピケか非常に暴力事犯が発生しつつある。こういう範囲でピケというものは解釈せらるべきものであるということを明定したのが私の解釈なんであります。これは必要なことだと私は思つております。なおスキヤツプについてのお話がございましたが、これは法規課長が言いましたように、何もスキヤツプを雇い入れろということを奨励しておるわけでは全然ないのであつて、(「奨励しているじやないか」と呼ぶ者あり)要するに使用者がスキヤツプを雇い入れて、どうしても必要な業務を続けるということは、対抗手段として不当労働行為には該当しない、こういう……。
  77. 阿具根登

    ○阿具根登君 労働大臣が言われることは、例えば人命に危険を与えるとか、そういうような場合は組合と会社は十分話合つてつておるはずなんです。ところがそういうことでなくて、ストをやれは一番痛いからストをやる、先ほど相馬君の話にもあつたように、痛くも無くもないのに自分の賃金を棒に振つて誰がストをやるか、それかストの狙いです。ところがそういう場合にはスキヤツプを入れてやるのが当然だというふうな解釈がどうして成り立つかというのです。そうしたならば、労働者は如何に団結権を与えられておろうとも、スト権を与えられておろうとも、これはやすやすとピケは踏み破られて行く問題である。それで私はこれは由々しい問題であるので何回もくどいようですが言つておるわけなんです。その点もう一度くどいようですか労働大臣からお答え願いたい。
  78. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 ちよつと関連して、もう少し具体的に話をしますが、今のスキヤツプの点、代替業務を遂行させるためにスキヤツプを入れることが不当労働行為というわけに行かん、好ましくはないけれども不当労働行為ではない、こう言われる。これは阿具根君が言うようにスキヤツプの奨励ということになると思います。具体的に例を挙げましよう。今銀行関係で山梨の中央銀行で争議が行われておる、これは証券争議或いは銀行争議が好ましくないと大蔵大臣なり或いは政府考えられておるようですが、中央銀行においてはそのスキヤツプに鳶職その他を入れて、この鳶職が暴行と申しますか、喧嘩をしてやつて、怪我人も出しておる。こういうものについて、これは銀行の業務を再開するためにそういう代行業務ができるかできんかわかりませんが、スキヤツプを雇い入れたことについて労働大臣としては、それは不当労働行為と認められん、こういう解釈であるのか。これもまさか鳶職で代替業務というわけには行かんだろうと思いますけれども炭鉱のストライキの際に嘉穂鉱業で起りました事実ですか、労働者がストライキをやつた、そのあれに職員を入れろ、それからスキツプなり、スキツプと言つてもわからないかも知れないが、ボタ捨てなり何なりに仕出しておるいわゆる組夫というか、直接の従業員ではなくて、いわば臨時夫みたいな者、或いは請負でやつてつたような配下の人間を坑内に入れようとして問題を起したことがある。これはまあ保安関係云々ということもありましようが、坑内に入れてどこまで代替ができるかわからないが、明らかに代替業務に従事させようという意図かあつたと思うのですか、これらの例を挙げてみると、代替業務をさせようとしてスキヤツプを入れることは不当労働行為でないということになると、これは殆んど不当労働行為ではない、或いはそれは認められるとこういうことになりそうでありますが、大臣なり或いは法規課長からはつきりした一つ返答を聞きたいと思います。
  79. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) スキヤツプを入れて代替業務をやらせるということについて非常に誰でも代替業務ができるというふうなお考えだと思いますが、そう誰を入れても代替業務ができるものでもなく、なお暴力団即ちスキヤツプというようなお考えもあるようでありますが、暴力団を入れるということはこれはもう争議以前の問題でありまして、暴力団というものを入れるということは勿論これはスキヤツプを入れるということにはならんので、それ自体不法であり違法であることは明瞭であります。  なおこのスキヤツプというのは外国にはないような話がありましたか、外国では認められておると私は聞いております。なおこの部分ストの際に学者の公述を聞いたことがございましたが、その際に松岡参考人はスキヤツプを入れたらいいじやないか、こういう話をしておつたと記憶しておるのでございますが、さように特別のことではないのでありまして、代替業務をしなくちやならんという場合に、それを入れるということがすべて不当労働行為であるということになれは、これは今の均衡論からいいますと、非常に今度は組合側に著しく有利になり過ぎると思います。
  80. 相馬助治

    ○相馬助治君 ちよつと今の大臣お話、松岡三郎ですか、駒吉ですか。
  81. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 松岡三郎氏です。
  82. 相馬助治

    ○相馬助治君 非常に重大な問題で、相互に食い違いがあるので、これはどうも話がまとまらんようですが、場所を占拠すること自体は不法行為でないと我々は思つておりまするところに、大臣はそれだけでももう不法行為だ、こういうことですし、スキヤツプが入つての代替業務というものは許されるんだ、暴力団が入るというのはむしろ特殊な例なのだと、こういうことですが、それは暴力団がピストルや短刀を持つて来れば、それは別の法律でピストルや短刀を持つていることがいけないといつて取締るのはいい、これはもう明らかだと思うのですが、私はこの問題についてざつくばらんに労働大臣の御所見を承わつておきたいと思うのですが、それは今度の東証の争議のように事金融に関する特殊な業態を持つている場所に労働争議が起きた場合には、これは鉱山に起きたり或いはその他民間の工場に起きたことと比べて特殊な影響を持つから何か政府としてはしなくちやならない、こういうふうに考えていたやにも聞いておりますが、たまたまこういう事件が起きた。そこでこの際というのでこの声明が出されたということは、どういうふうに御弁解になろうとも、悪意であるか善意であるかということを暫らくおくとして、我々としてはさように解釈されるのです。  そこでこの近江絹糸の場合なんか凄惨なピケが張られたけれども、いち早く警官が出てこれを取締つたというような実例を聞いておりません。そのピケのところで殴る、蹴る、或いは人命も危いという状態が出て、初めて警官がそれというので出動して、これはもう労働争議の問題でなくて、法の秩序という点からさような暴力に対応しなくちやならないから警官が出ることはこれは当然だと私ら思うのです。今度の場合にはもう大変にタイムリーに声明書は出される、警官は出て行くと、誠にお見事なお手並だというので問題が非常に、我々から言わせますと、どうも政府考えていることについては妥協できないと、こういう気持を強くさせておるんですが、東証の争議だからこういうピケというものについても特に重要に考えて、このピケの破られることも止むを得ないというふうにお考えなのですか。即ち私先ほど御質問したように、労働力の不提供だけでは東証は参らない。むしろ場所を占領されてしまうということが東証争議の場合には大きな問題だ。そこで場所を占領されちやならんというところから、東証争議のような或いは銀行争議のような場合にはどうもこういうふうな法解釈もあるのだぞ、こういうところに実はウエートがかかつておるのですが、影響は全部の争議に及んで来るので、先ほど阿具根君も烈々として述べているように、我々は見ているのですが、一つざつくばらんにこの際御見解を承わらして下さい。あなたの答弁によつてはこれは夜を徹しても我々は事態を明確にならしめなければならない。答弁によつて一つ我々自体もとつくりとあなたがたと共に考えてみたいと思う点でもあるわけです。
  83. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ピケの合法性の限界につきましては、従来からしばしば問題になつておることで、私どもも研究しておつて、とにかく平和的説得の範囲を超えざることということは、一応公開の席でも明らかにいたしましたし、種々の機会に申しておるのでありますが、さて、それでは具体的にどういうことかということにつきまして、なかなかああいう争議というような興奮した状態の際でもあるので、ここまでが平和的で、ここから暴力的だということもなかなかその場その場においては区別しにくいというようなことであるから、もう少し具体的な例を示したらいいではないかということを、しばしば私はまあ意見の表明をしているのでございます。  そこで近江絹糸の問題が今ございましたが、近江絹糸の際にも確かにそういう点につきまして甚だ不徹底ではないかという御批判もしばしば承わつておるのでございますが、これは何とかしなければならんというので、今度の法解釈の声明になつたわけでございますが、近江絹糸の際においても組合側に対しては、ピケはこういう程度までということはしばしば文書によつて通告したり口頭で希望しておつたのでございますが、そうした過程を経て今回法解釈を明定し、これを声明する必要を現実に生じた、こういうふうに私は考えておるわけでございます。  なお組合につきまして非常に政府が不利に扱おうというような考えがあるようにお考えのかたも一部にはございますけれども、私は、この日本の組合というのは非常に保護されているというふうにも思うのです、併し、だからといつてこれをどうしようというのじやないのですが、大体一番組合運動のむずかしい点は、先ずABCから申しまして、組合員を獲得する、近江絹糸の場合には第一、第二組合というのがあつて、ああいう状態になりますと、発狂者があるくらい組合員の獲得というものには懸命になる。日本の場合はユニオン・シヨツプ、まあ尻抜けユニオンということになつておりますが、皆会社に入ると組合員になつてしまう。次に組合費の徴収という問題も非常にむずかしい問題でありますが、併しこれも会社の経理係がいて組合費をちやんと差引いて徴収するということによつて組合が維持できるようになつておる。だからそういう条件を備えておるのだから、争議という際にもピケを非常にヴイオレンスに亘るようなことは……、一つこのくらい組合も種々の経験を経て来たのであるから、もうこの辺ではつきり平和的説得の限界というものを守つてもらいたい、こういうふうに切に考えておるわけでございます。
  84. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今労働大臣の発言の中に、近江絹糸の争議の場合に、このピケの限界について、どちらに出されたか知りませんが……。
  85. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 労使双方に勧告しました。
  86. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) とにかく勧告したということを言われましたが、それについて一つその写しで結構でありますが、その資料を御提出願いたいと思います。
  87. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) それは私、文書或いは口頭と申しましたが、全部口頭であつたとのことであります。
  88. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 口頭であればその口頭の内容を文書にして提出して頂きたい。と同時に出された先は地方の基準局或いは警察当局、そちらのほうに出されておるかどうか。
  89. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは組合に警告した。
  90. 石黒拓爾

    説明員(石黒拓爾君) 近江絹糸の際には全繊同盟及び近江絹糸の組合のかたがたと私どもと非常に接触する機会が多うございましたので、会うたびに問題がありますれば、これは少し行過ぎではないか。暴力的なのは是非やめてくれ、或いは公務執行妨害に当るようなことは絶対にいかんというようなことを会うたびにあらゆる機会を捉えて申しておりましたわけでございます。それでいつどういう内容のというふうにちよつと紙に書けと言われましても、実はちよつと今……、内容がそういうような趣旨のものでございますから……。
  91. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 私が特に発言に関連して質問をしておるのは、大体そういう事情であることを私知つているから申上げておるんです。文書では何ら出てないはずです。而も近江絹糸のときには、あれだけ強力なピケを張つてもなお且つ問題があれだけ遷延して解決しなかつた。近江絹糸の封建性を打破するためには容易なことではなかつた。或る意味においては労働省もこの争議に対しては支援をされたはずである。支援というと語弊があるかも知れませんが、とにかく封建制度を民主化するということについては御異論がなかつたと思う。それだからこそあの四県に亘ります各工場の争議において鉄条網を張るがごとき強いピケを張られても、あの鉄条網の撤回について、別に云々せられたことはなかつたと思う。特に警察官の出動をしばしば近江絹糸の会社側から要請いたしましても警察で出動してくれなかつた、特別な場合を除いて。乱闘事件、刑事事犯が起きるまでの間においては出ていないはずです。そういう争に対する見守り方をして来た労働省が、突如としてこういうものを出すということは、先ほど阿具根君の心配されておる点が今後の労働運動に非常な悪影響を及ぼす、こういうことが考えられる。だから逆に私は反問したいのですが、この新しい解釈を出された以後に近江絹糸の争議が若し勃発したときには、あの近江絹糸の争議はあれだけ恐らく労働組合は闘争ができない。そしてあの近江絹糸の争議というものは今日の状態にはなつていない、こういう工合に考えるのですが、そういう工合に労働大臣はお考えになりませんか。
  92. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 解釈は御自由でございまするが、私は仮定でいろいろ考えてみることは避けたいと思います。要するに近江絹糸の場合等についても種々その後において私のほうに対してピケの合法性の限界というものに対しては、やはりこれは行政解釈かできないと知らずして法を犯すものがたくさん出て来る。これはやはり解釈を明瞭にするほうがよかろうという世論が相当ありまして、時期が熟したと申しますか、そういうことになつたと、こう御了解願いたい。
  93. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今労働大臣はやはり答弁を私は外らしておると思うのです。私が委員長として申上げるのは失礼かも知れませんが、とにかく仮定の問題ではない。近江絹糸がやつた争議の事実というものは、ピケの事実というものは明らかになつているのだから、あのピケというものは、この解釈を下せは当然できなくなる、こういうことについては見解の表明ができるはずです。この点を私は重ねて答弁を要求したい。  それから斎藤警察庁長官に伺いますが、近江絹糸のときのあの警察官の態度、あの態度というものが、このピケの限界の解釈が出ましたあとにおいては堅持できるかどうか、これを斎藤長官にお伺いしたい。
  94. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は近江絹糸の争議が通法なピケで、肯定したとは考えておりません。違法なものは飽くまでよろしくないという忠告はしておるのでありますが、それについて世論からいたしまして、ああいうものはいかんということが強く言われておることは御承知の通りであります。
  95. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) それではこの問題とこの解釈とは別ですよ、この解釈とは別で、近江絹糸があの争議中に行いましたピケですね。ピケは合法であると断定されるわけですね。
  96. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ああいうことは場合々々によるのでありますが、何も一般的に全部が全部悪いということはありませんが、場合によつてはこれは行過ぎだ、こういう点は直してもらわなければ困るということは警告もいたしましたし、そのことについては法規課長から、事実その責任の衝に当つておる者として先ほどお話があつた通りであります。
  97. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) わかりました。それでは重要ですから労働省に要求しておきますか、近江絹糸の争議期間を通じて、全工場の争議を通じてピケの実態をずつと整理せられて、合法であつた状態、非合法であつた状態、これの資料を一つ提出を願いたいと思います。よろしうございますか。
  98. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 要求は、委員会が要求なされば政府は提出いたします。
  99. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 委員会が要求しなくても私がお願いしてもできます。従来そういうことは幾らでも例かあります。
  100. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ですから委員長委員会としてそういうお話があるならそれは無論結構です。できる限りのことをいたします。先ほども申上げたように口頭でやつておりますから、どういうふうになつておりますか、私もはつきり場合々々知つておりませんから、いついつかどうした……。
  101. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) いや、これに照して、今これが変つてないとおつしやるのですから、この新しい解釈に照して、近江絹糸の争議のときのピケラインについて、これは合法である。これは合法でない、こういうことを当時と今と労働省考えは変つてないとおつしやるから……。
  102. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 要するに、当時の種々の体験にも照して十分研究いたしましたる結果成案を得た、こういうことは先ほどから……。
  103. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) そうすると当時の近江絹糸の労働争議の関係当事者、国警その他ここへ来てもらつて、そしてこれを研究すれば一目瞭然にわかります。この解釈と当時やつた状態とは、これは事実なんだからこれはどうしようもない。これは写真もとられておりますし、映画にもなつておりますから、これは証拠は純然たるもんです。ですから重ねてもう一遍伺つておきますが、近江絹糸の争議中に、張られたピケについて、警察官が法規上不都合だというので出動されたピケは……、出動をせられなわつたものは、労働省としては或いは国警当局としては合法であつたと、私はこう解釈する以外に途はない。特に昨日などはまだスト宣言をして二十四時間たたないうちでも、東証においては警察官が出動して実力行使をしているのです。あの長期の近江絹糸の争議においては当然やろうと思えばできる、それをしなかつたことは、合法であることを認めておられる。従つてそういう解釈を我々が下してよろしいかということを労働大臣に伺つておきます。  それから斎藤警察庁長官には取締当局としてこれは明確なる言明を願いたい。
  104. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 先ほどからお伺いをいたしておりますると、昨日の東証の争議に対して警察官が出動をいたしましたのは、労働大臣が新しくストの限界というものを発表され、それによつてつたものではないか、或いはそれに影響されておるのじやないかという点が先ず主なあれだつたと思いまするか、私どもといたしましては、これはさような点には何ら影響は受けておりません。従来からの労働争議に対する警察のあり方をそのままに行なつたのみに過ぎないのであります。  実は矢目労働大臣がピケその他に対して基本的なお考え方をお話しになつたということを聞きましたのです。これは大臣からお話がありましたように、かねがね争議の際にどこまでが合法で、どこから合法の線を逸脱するか、これをはつきり一般の人たち、争議に関係する人たち等にも知らせておいたほうがよろしいというお考えで、労働省、それから警察或いは法務省と話合つてつたのでありますが、併しこれらはそういつた意味の、何と言いますか、一般的に周知をさせるということでやつてつたのでありまして、我々の取締に新解釈を下すという趣旨ではなかつたのであります。従いまして大臣が昨日、丁度東証がストに入つたというときに、閣議でもストの限界はどうだといういろいろ質問が出て、こういうふうに考えておるということを御披露なすつたに過ぎなかつたのであろうと我々は考えておるのであります。我々としましては、併し大臣の新聞等に対する談話が我々の今までの取締に対する限度というものと非常に違つておるということであれば、或いは問題ではなかろうかという感じがいたしましたので、私は早速労働省のほうにそういつたものが発表されたものがあるなら、それを至急にこちらのほうに廻して頂きたい。私の事務部局のほうにもそれを受取つて、今までの方針と取締の面から変つておるかどうか検討してみてくれいう話をしたのですが、いやそれはちつとも変つておりません、前々から話合つておる通りの事柄をお話しされただけに過ぎないのだ、というようなことでありますから、私はここで詭弁を弄しておるわけじやございません。東証の争議に対する警察官の出動、実力行使のやり方というものは、新らしい昨日の大臣の声明によつて特別な行動をしたという点は一つもないのでありして、その点は御了承頂きたいと思います。  で、我々といたしましても、ピケの限界は、平和的説得というのが限界であつて、それを越えれば違法になるという解釈は以前からとつてつたのであります。ただ労働争議にできるだけ警察は介入しない、できるだけじやありません。文字通り争議そのものに介入してはいけないという至上命令と言いますか、警察といたしましてはこれを至上の金科玉条といたしておるのでありまするが、その権限の下に当然収締らなければならない場合においてさえも取締りをしないというようなことであるならば、一方から見れば、警察は争議に介入をしないという口実の下に取締るべきことを全然やつておらんじやないかというような非難を受けるようなことがあつてはいかんのじやたいか。先ほど近江絹糸のお話がございましたが、近江絹糸の争議の大要、これに対する取締等を後に仔細によく検討してみますると、警察といたしましては、本来ならばやはりもう少し取締らなければならなかつた事態があつたのじやないかということを感じておるのであります。従いましてあの当時の争議の状態がすべて合法であつて、労働争議の場合にはああいう事柄が公然と今後も行われてもそれは当然で、何ら取締の対象にならないのだというようなことになつては相成らない、かように我々今日考えておるのであります。最近の争議には、先ほど労働大臣から計数を挙げて御説明がありましたように、非常に警察の取締の対象になる事件が殖えておる際でもありますので、そういう点は慎重に検討いたしておるのでございます。近江組糸のストの場合におけるいわゆるピケが私は全部が行過ぎではなかつたとは申しませんが、この際には第三者が入る入らないという問題で非常に熾烈なあれがあつたことが割に少かつたのであります。昨日の東証の場合は、これはいわゆる証券取引所の中で業務を行おうという者が中に入る、それをピケ・ラインで阻止をするという場合であつたのでありまして、同じ第一組合と第二組合との。ピケ・ラインにおける争いというのよりは若干趣きを異にしておる、かように考えます。警察といたしまして当然中に入つて業務をする権利を持つた者に対しましては平和説得の限度もおのずから緩でなければならないと思うのであります。
  105. 相馬助治

    ○相馬助治君 議事進行。発言中済みませんが、議事進行、長官もお忙しいでしようし、我々も忙しいので、むしろこの際問題点を私どもも整理してお尋ねしたいと思うので、委員長におかれては先ず質問をお許し願つて、それに対して斎藤長官よりお答え願つたほうが相互にいいのじやないかと思うのです。委員長如何でしようか。
  106. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今、私が先ほどちよつと質問したことについて答弁せられておるわけです。(「少し長いな」と呼ぶ者あり)
  107. 相馬助治

    ○相馬助治君 併しその答弁からだんだん敷衍して一般的なお話にまでなつておりますので、(「答弁中々々々」と呼ぶ者あり)答弁中誠に失礼ですけれども、やはり答弁だけされて、あと質問に譲られるようにお取計い願いたいと思います。
  108. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) よくわかりました。私もそのつもりで申上げておつたのでありまして、近江絹糸の取締の状況と昨日の大臣の声明との間に、若しあの声明をその通りやるとすれはどれだけの差異があるかということを聞かれたわけですから、それを説明しておつたわけであります。従いまして近江絹糸の場合のスト、いわゆる第一組合と第二組合の対立の際におけるピケ・ラインの問題と、昨日の東証のようなああいう場合のピケ・ラインの扱いとは警察のほうも若干趣を異にしておると、かように申上げておつたのであります。
  109. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 関連して、解釈と申しますか、警察の態度は従来と変らん、こういう趣旨がございましたが、質問に入ります前に、昨日の事態に対して警察の実力行使が行われた、七名ほど検束されたといいますか、検挙されたといいますか、身柄が拘束をしてあるわけであります。そういうのはどういう理由で、或いはどういう名目で実力行使がなされたか、或いは七人の身柄を拘束なされたか、その点を一つ前に御説明を願いたいと思います。
  110. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 昨日の東証の場合に警察が実力行使をいたしましたのは、正当に業務を遂行するために、あの建物の中に入りたいという人たちを入らせないというようにしている、これは平和説得の限度を超えて、どうしても入らせない、一方入りたいという者が、それなら窓を破つてでも入ろう、こう言つているわけでありますから、ピケ・ラインを突破しようとすればここに傷害事件が起るでありましようし、而もあの建物の中には証券取引所に出入りする人以外の人たちも入る残物であつたわけでありまするので、そういう事態を説明をいたしまして、これ以上ピケ・ラインを解かなければ業務妨害になる。従つて早くピケ・ラインを解くようにというように交渉をいたしましたが、その交渉が成立をしないというので、実力行使をいたしまして、七名の人たちは業務妨害と不退去罪という名目で検挙をしたと報告を受けております。不退去罪は、証券会社の経営者のほうから退去の要求が出ておる、それにもかかわらず退去をしないという名目であろうと考えております。
  111. 相馬助治

    ○相馬助治君 総括的に私尋ねておきたいと思うのですが、今度の問題でいち早く警察権がこの争議に介入されたというのは未だ前例を見たいことであろうと思うのですが、この際斎藤長官にお尋ねしておきたいことは、質問の第一点は、警察自体の判断で防犯的な意味を以て警察権が出動したのですか。或いは何者かの要望に基いてどのような理由を以て出動したのですか、それを承りたいのが第一点です。それから第二点は、今回の警察権の介入に関して出動したものの規模はどのようになつておりますか。即ち指揮した岩の職種氏名及び出動した警官の人員、これについて第二に承わつておきたいと思います。  それから第三に、検束された者の数及び検束の理由については、今の吉田委員質問について答えられましたが、数が七名ということですが、先ほど労働大臣から氏名が発表になりましたが、それに間違いがございませんか。そして現在身柄が拘留されているということでございまするが、拘留されてから後に調査したことについて何か御報告願う点がございますか。即ちまだ当分これに拘留しておくとか、或いは黙秘権を使つている者が云々とかいうような詳細についてのことを承わつて置きたいと思うのです。それから第四番目には、今度のこのピケ破りは、近江絹糸などと違つて第一組合、第二組合の争いではないということですが、我々もさよう聞いておりますが、そのピケ破りには証券会社の職員のような者が立会をするためにその場所に入りたいというて争いが起きたとは承わつておりますが、それに取引所側が、いわゆる使用者側か頼んた暴力的な者が含まれておりませんでしたか。又いたとしたならば、その人数、いたかいないか、まだわからないというならば、そのわからないということたけで結構ですから、以上私は四点承わつておきたいと思います。
  112. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 第一点は誰の依頼で出動したかというお尋ねであろうと思いまするか、警視庁の方私みずからの判断でやつた考えております。勿論その経過におきましては、取引所側から中で取引をやりたいという人たちが十名ばかり集まつて、これらの人たちがどうしても入る、このままピケ・ラインを突破すれば必ず事件が起るかも知れない。従つてそういう際には暴力事件の起らないように警察は善処してもらいたいという要求があつたそうでありますから、必ずしもその要求かあつたから出たというのではなくて、あの事態は警察としても要求があるなしにかかわらず非常にはつきりそこから見られた事件でありまするから、正当に建物の中に入りたいという者を実力によつて阻止をするのが違法である、こういう見解から出動したと報告を受けております。  それから警官の人員は、一番多いときには約八百名、こういう報告を受けております。現実に現場を指揮いたしましたのは日本橋の警察署長でございます。  それから被検挙者の職種は先ほど労働大臣がお述べになりました通りであります。繰返して申しますると、東証の職員が一名、国鉄組合の書記が一名、早稲田の学生が一名、それから京橋商業の教員が一名、それからどこかの運送会社の運転手が一名、黙秘権を行使して氏名職種の不明なのか二名、年齢が三十五、六歳と七、八歳と認められる者が二名という状況であります。罪名は業務妨害罪と不退去罪であります。また警察に身柄留置中でございまするが、取調べの内容はまだ報告に接しておりません。  それから暴力団を証券取引所側が雇い入れたかどうかというお尋ねでございまするが、これにつきましては報告を受けておりません。
  113. 相馬助治

    ○相馬助治君 ちよつと関連して。第一のお答えは、防犯的な立場から警察自体が判断をして出したのであるというふうな御答弁で、まあさようにわかりましたか、その際にピケ・ラインか張られている、そこに入りたいという者がある、そしてそこに暴力行為が起きるかも知れない、従つて起きるかも知れないから防犯的な立場で警官が出ていたんたというふうな意味にも最初のことは取れるが、ところがあなたの答弁の中に、ピケ・ラインは、入る者を阻止すること自体がもう違法であると、こういうふうに思つたから出しておいたのだと、いわば労働大臣の見解と揆を一つにするここに長官としての考え方が述べられておりますが、それは警察長官としても、ピケ・ラインを突破して証券会社の書記或いは従業員等が中に入るということをとめること自体がもう違法であるというふうにやはりお考えであるかどうかを確認しておきたいことが一点。  それから第二点は、学校の先生が検束されているということですが、それは検束された時間、それからこの学校の勤務の時間というものとの関連を聞いておかないと考えようがないのですか、どのような教員か。御承知のように学校の教員の中には常勤教員と非常勤教員というのがある。それは月曜日と火曜日とに三時間講座を持てばそれでよろしい、あとは自由だという教員もある。それから毎日行かなくちやならない教員もある。それでこれは常勤教員であるか非常勤教員であるか、そしてつかまつた時刻は何時であるか、こういうことを一つ尋ねておきたいと思うのです。私の質問はそれだけです。
  114. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 必ずしも防犯……、最初は防犯的な意味で警察官が出動して行つたわけであります。或いは交通取締、防犯的な意味で……、それからだんだん事態が切迫し、殊に業者がどうしても入るという決意を固くし、一方ピケ・ラインは絶対通さないという決意を固くした。実力によつてどうしても通さないということは、これは違法な状態である、かように警察が考えたのは当然であつて、さように考えて実力を行使したというのであります。  それから教員は検挙せられましたのは夕方の六時過ぎ前後ではなかつたかと思います。夕方であつたと思います。正確な時間は只今私存じません。それからそれは学校としての勤務時間中であつたかどうかということも存じませんので、御必要でございましたら、後ほど取調べまして御答弁いたします。
  115. 相馬助治

    ○相馬助治君 それは非常に必要なん…  まで行けば結論が出ずに、これで終つたというふうに印象付けられても困議論が尽されんと私は思うのです。そうすればほかのかたが日鋼の争議の問題或いは石炭問題等は今日一日しかないのに討議できない。それで質問もすでに警察のほうに移つておるようであるから、私は今日は結論まで出さずに又調査続行したい、こういうことです。
  116. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 只今の阿具根委員の御発言は、委員長は、こういう工合に理解しております。当委員会はもうすでにピケの限界の問題については、正式に党委員会調査案件として取上げて、法理論的な解釈を明確にいたしたいという努力を今日まで続けて来ておりまして、まだ終了いたしておりません。従つて只今の阿具根君の御趣旨はそのまま当委員会の趣旨であろうと思います。ただ時たまたままだ明確な当委員会の結論が出ないうちに労働省として大臣から一応の基本的な考え方というものを公けにせられたので問題の重要性がクローズ・アップせられて来た、こういう工合に理解してよろしいと思いまするから、従つて只今の阿具根委員の発言は、当然当委員会で再確認せられておる、こういう工合に理解いたしたいと思います。
  117. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 それは再確認するまでもなく、ピケの限界と申しますか、域いは正当性の問題について当委員会ですが、そういう確認の下に東証問題についてここで打切ることにはちよつと異論がございます  なお今の斎藤匡警長官の答弁に対しても二、三質問をいたしたいと思いますし、それから労働大臣に対しても異論があることは、例えば占拠なら占拠といつたような問題について、先ほど委員長は近江絹糸の場合の実例を挙げて言われましたけれども、こういう行政的な解釈が事実に即しないのだ。或いは先ほど普遍安当性と言われましたけれども、普遍安当性を持つておらないという点は若干明らかにしなければ、このまま進みますと、それは明日やるかいつやるかわかりませんけれども、一応今日のところでは、答弁を聞いて聞き流したという形になりますから、それではちよつと困ります。もう少し明らかにして次の問題に移つて頂くことを希望したいと思います。
  118. 阿具根登

    ○阿具根登君 それではどうせこの問題にも入つて来ますが、その前に斎藤警察庁長官がお見えになつておりますので、一、二私が疑問に思う点をお尋ねしたいと思います。簡単に申上げ求すから、簡単にお答え願います。  警察官が梶棒を持つているのは何のためであるか、一つ説明を願いたいと思います。
  119. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 警察官が棍棒を持つておりますのは、或いは自己防備或いは職務執行のために必要最小限度の防禦をしなければならない場合もあります。さような意味で持つております。  それから先ほど相馬委員の御質問で、何時頃であつたかというお話でありましたが、三時半でございます。
  120. 阿具根登

    ○阿具根登君 警察官が梶棒を持つておるのは自己防御である、或いは職務執行上持つておる、私もそうだと思います。そうすると東証の昨日のピケの場合に、八百名の警官が出て行かれた。私はあそこの現場を見ておりません。ここで委員会をやつておりましたから、現場は知りませんけれども、警官が梶棒を持つて行かなければならないほど、警官の身に危険があつたかどうか、或いは職務執行ができなかつたかどうか、これをお伺いいたします。
  121. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 警官はいつでも棍棒は持つておるのでありまして、特別な何らかの理由で棍棒を外さなければならんという、特別な場合があればさようなことをやる場合もあり得ますけれども、通常の状態においてはいつでも棍棒を持つておるような状態であります。
  122. 阿具根登

    ○阿具根登君 私が言つておるのは、棍棒を腰に下げておるのを外して丸腰で行けという意味じやない。腰に下げておるならいいけれども、腰から外して振上げて行く姿はどういうことかということです。これは東証に限らず、どの写真を見ましても、警官のほうはみんな頭に棍棒を振りかざして、相手は何か棒を持つているか或いは自己防禦するための武器を持つているか、何も持たずにピケを張つている労働者に対して棍棒を振りかざして対決しているということはどういうことですか。
  123. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) いつも振りかざしているとおつしやいますが、普通例えば多勢の群衆を解散させたり、或いは道を開けさせるという際には、棍棒を両手に持つてやるというのが通常の状態でございます。或いは群衆との入り乱れになるような際には、片方の手か離れるというような場合もあり得るたろうと思いますが、全部が幌棒を振り上げて叩き付けるような形が若しどこかにあつたとすれば、それは私はいいやり方ではないと思います。
  124. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると警官が入つて行く場合において、どういう場合に……或いは会社側から要請をされた場合に入つて行かれる機会が非常に多いと私は思うのです。ところか東証の場合においては、先ほど相馬君の質問にもありましたが、丁度労働大臣の見解と同じことを言つておられる。その場合にピケの限界と言いますか、あの問題にはお聞きになつておられたかどうか、それをお尋ねしておきます。
  125. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 我々はかねがねピケは平和説得の限度でなければならないというように解釈をいたし、かような解釈を下部の警察にも流しております。
  126. 阿具根登

    ○阿具根登君 少し話は飛びますか、先ほどピケの問題で、労働大臣はスキヤツプを入れるということは当然であると言われたその説明の中に、労使双方協定をそういう場合は持つておくべきである、こういうことを言われた。そういう協定があつた場合には当然スキヤツプなんかは入れてはいけないのた、こういう説明がその中にあつたと思う。ところか日鋼の争議においてはそういう協定かあるにもかかわらずスキヤツプが入つた。それに対して警察官が応援してそれを人れた。組合からこれは協定違反である、協定違反であるから警察は入つてくれるな、こう言つたところが、協定違反は労使間の問題であつて、我々の関知すべきところでない、我々は要請によつてこれを入れるのだということで警察官が入れて、スキヤツプが仕事をする、こういうことがありましたか、どういうふうにお考えになりますか。
  127. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 室蘭の日鋼の場合に、協定にあるにもかかわらずスキヤツプを入れたとおつしやいますのは、恐らく船に積込む際の運送業者の話であろうと思いますか、あれは会社が常時雇う契約をしている者であつて、新たに雇い入れた者ではない、従つて協約にも違反をしていない、かように承知をいたしておりまするし、我我といたしましては、あの際には船に積込む事柄を妨害をする、実力を以て妨害をするということのないための措置、執達吏によつて港内に入ることを禁止せられておることの違反を犯さないということのために警察が出動をいたしたと承知をいたしております。
  128. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 労働大臣は今日よんどころのない都合で五時には退席をしたいという申出がありますから、労働大臣に特にまだ質問の、質疑の残つておられる委員はその前にお願いしたいと思います。
  129. 阿具根登

    ○阿具根登君 労働大臣にそれでは質問いたしますが、スキヤツプの問題でこれはもつと質問があるのですけれども労働大臣が立たれるというから一言だけ質問したいと思うのは、スキヤツプを入れるからスト破りだというのではなくて、これは真に止むを得ない場合だと、こういうことを言われた。そうするとそういう場合に、人命に関するような問題という表現で私は質問を申上げたと思うのですか、そういう場合にはどういうのがあるか、一応お帰りまでにお示し願いたいと思います。
  130. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) スキヤツプを入れる場合には、その業務を続けることが必要であつて、而もその業務を停止されているから代替者を入れることがふさわしいと思われるようなものについて入れるわけです。誰でもスキヤツプというわけではないのでございますが、具体的な例を示せというお話でありますから、これは一つ担当課長から……。
  131. 阿具根登

    ○阿具根登君 課長から聞く必要はないのですか、只今言われたことをすれば、経営者が自分に必要だということになりますれば自由にスキヤツプを入れていいようになる、これをやめてもらつては困るというところにストの意義があると思う、先ほどもつたように。ところが経営者は、これは困るから代替労働者は雇つているのた、こういう見解になるならば、私が先ほど言つたように、これは団結権もスト権も認めておらない、こういう意見を繰返す以外にない。今大臣答弁から考えまして、やはり新聞て発表されたその通りに、この問題は東証問題だけでなくて、全ストライキのピケに対する見解であつて、我々に対しては大きな問題を投げかけておる、こういうように私は解しますので、このあと質問は今後に、先ほど再確認を願いましたので、十分審議して行きたいと思います。
  132. 田畑金光

    田畑金光君 労働大臣の談話に関しましては、これは重要な問題が多々ありますので、今後に当然残されねばならんと考えておりますか、その問題は後に保留いたしまして、当面労働省は東証の争議に対しまして如何なる助言或いは指導の下に早期解決努力をされようとする御方針であるか。と申しますのは、昨日の労働大臣の談話発表によりまして、而も折角燃え上つておりました組合の争議態勢も二十四時間のうちに解かれた結果になつておるわけであります。この結果というものは、恐らく公平に見まして、使用者側に対して利する点が多いものと判断せざるを得ないわけであります。正常な労使関係であり、又使用者側か労働組合の組織或いは任務、こういうようなものを理解する場合でありますならばとにかくでありますか、聞くところによりますると、証券市場における理事者側というものは組合に対する理解というものが殆んどない、薄いということを聞いておるわけであります。こういうことを考えてみましたときに、労働大臣は、先ほど来労使関係は常に均衡を維持せしめなくちやならん、こういう御発言でありましたが、均衡関係から見ますると、すでに失われておるとみなさざるを得ないわけであります。労働省といたしましては、単にこれを都労委の斡旋交渉に委ねるという行き方で行くのか。それとも政府みずから実質的にはもはや関与いたしてれるとするならば、飽くまでも労使の正常な均衡関係の上に立つて当然早期解決を図つて行こうとなさる方針であるか。この点を第一点として承わります。  第二点といたしまして、私はこの際お尋ねしておきたいことは、近江絹糸の争議以来或いは大阪証券市場の争議、名古屋、神戸、或いは今回の東証の争議に入つたわけであります。こういうような一連の争儀というものか最近の争議の特色を示しておるわけであります。近江絹糸に見られますような人権争議、こういう性格が今回の証券市場の争議におきましても、或いは地方銀行争議の中にも見られるわけであります。このことは何を意味するかと申しますると、私はこういうような遅れた封建的な雇用関係がなお根強く日本には残つておるということであります。少くとも労使関係を近代化させ、明朗な職場を作るということが労働政策の重大な一面であると考えざるを得ません。こういう点から見ましたときに、こういう事態が次から次へと起きて参つておるということは、当然小坂労働行政の貧困の結果だと言わざるを得ませんか、この点につきまして労働大臣はどういう責任を感じておられるのか。  更に第三点としてこの際伺つておきたいことは、財界等の意見を聞きましても、今回の証券市場における争議等は、労務管理が非常に貧困である、労務管理の欠如ということを言つておるわけであります。従いましてこういう遅れた労務管理に対しまして、労働省といたしましてはどういう指導をやつて行こうとなされるのか。  更に関連してお尋ねしておきたいことは、先ほど来の労働大臣の御意見を承わりますると、最近の争議というものが芳しくないと、こういうことで談話を発表したのだと、どうもこういう思想というものはだんだん発展さして行きますると、或いは今とにかく財界等でも言われておる、こういう金融機関、証券市場等における労働組合活動に対しまして単独立法を以てこれを抑えて行こう、或いは又労働法の改正に伴うて公益事業の枠の中にこれを拡大して行ごうではないか、こういうような危険性が多分に窺われるわけであります。昨年の十六国会においてスト規制法案か制定されたときに、労働大臣は飽くまでもこういうスト規制法案というものは炭鉱と電気産業に限定する、少くとも私が労働大臣であるからには……。こういう強いまあ意思表示もなされたわけでありまするか、我々はその言葉を今以て信じております。ただ併し昨日の労働大臣のあの唐突とした談話の発表を見ましたときに、又今の客観的な情勢の発展を見ましたときに、そういう憂いなきにしもあらず、政府の反民主主義活動対策協議会、こういうような通常等を見ても、我々はその危険性を感ずるわけでありまするか、労働大臣といたしましてはどういう方針でおられるか、この際承わつておきたいと思います。
  133. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 先ほどから申上げておりますように、ピケの合法性の限界というものに対しまして、これを明らかにしたほうがよかろうという意見は非常に多いのであります。従来の争議が暴力事犯を含んで参りまして、本年になりましてからも、先ほど数字を挙げて御説明申上げましたように暴力事犯が多くなつておる。これは何も不法行為をしようと思つてしている人が多いのでなくて、法律の解釈も明瞭でない。その明瞭ならざる点か却つてその、不法事犯を起すとすれば、これは政府としては法律の解釈はかくあるべしということを明瞭にするのが、善意の方に知らずして不法事犯を犯させるというようなことを避けられるというので、この問題については関係各省の間でずつと研究いたして参りましたものを発表いたした次第でありますることは御承知の通りであります。いずれに利するという考えよりも、むしろ法治国として、法律があるのだから、これはこういう解釈をやつておるということを申しますことは私どもの義務、責任であると、かように存じておる次第であります。  なおこの争議を如何にするかというお尋ねですが、幸いにいたしまして都労委の斡旋を又受けられるような事態になりまするようでございまするが、是非とも都労委の諸君も中正な立場からごの斡旋に努めて頂くことを期待いたします。そうして労使双方において、労使の関係というものはできる限り平和に、お互いに一緒の職場で働いておるのでございますから、封建的なものというもの、或いは時勢に非常に容れない、自分だけのことを考えているというような人はやはり社会的に制裁をされるという批判がおのずからあるものなのでありまして、そういうものはだんだん淘汰されるのでありますから、そこは自分だけかよくて他が悪いというのじやなくて、お互いに話合つて、こういう点は無理である、こういう点は直してもらいたいということを十分に話合つて行かれたらよろしいと思うのてありまして、又会社側と言いますか、理事者側といたしましても、労務管理については今後特に注意をされるものと期待をいたしておる次第であります。  なお、ああした証券とか銀行とかでストがあるということは世界中に極めて稀な例でございまして、こういうことがないようにしろと、即ち今お話のようなスト規制というようなことを考えたらどうたというような御意見も随分私のところに参りますのでございますが、あのスト規制法というものは御承知のように電産、炭労の争議によつて国民が苦い経験を嘗めたわけでございまして、こういうことを放つて聞いてはいかんという国民の澎湃たる世論を背景としてあの法律ができたのであります。併し現在の状況を以ていたしましては、私はまだそういうところまで購切るのは早いのではないか。私としてはそういうことにならないように、特に労使双方の善処を要望したいと思つております。私におきまして現在そのような意思を持つております。
  134. 田畑金光

    田畑金光君 労働大臣の現存の気持としては、単独立法或いはその他の法改正を考えていない、この点は了承いたしました。  ただ、先ほど私第一の質問として申上げましたように、速かに平和裡に、而も力の公平な均衡の下にこの争議を解決するということが大事なことだと考えております。然るに只今労働大臣の心境は、都労委の斡旋、団交に待つというような態度でありますけれども、私はこの段階におきまして、この時期において労働省がただそれだけの第三者的な立場であつてよろしいかどうかという問題であります。すでに私は繰返し申上げましたが、昨日の談話発表というものは実質的に政府が第三者の立場というものを離れていると言わさるを得ないのであります。そういうことを見ましたときに、この争議の早期解決のためには政府といたしましては非常に封建的な、こういう職場における而も労務管理等において非常に前時代的な残澤が強く残つているとこるであります。そういうようなところに対しましては政府政府なりの肋言と協力をやるべきではなかろうか。近江絹糸の争議が世論の支持において、一応組合の大半の要求は満たされた形で終結をしている。又その間におきまして政府も又世論の背景の下にそれ相応の力をかしていることも事実だと思つております。やはり今回の証券市場における争議等を見ましても、政府は近江絹糸の争議の際に世論の支持の下に、或いは世論の批判の下にとつたと同じような心がまえの下に協力すべきであると考えるわけでありますか、この点に関しまして労働大臣はそういう考え方があるのかないのか、もう一度お尋ねしておきたいと考えます。
  135. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 声明を以て、声明というか、法規解釈をしたから争議に介入したように断定してのお話でありますが、これは見解の相違でありますが、私の見解は桁違いたしておりません。さように考えておりませんので、先ほど申上げたように法規解釈を以て明定することは政府責任であるという考え方から言つているのであります。争議の斡旋機関としては中労委、都労委とあるわけでありますか、まあ東京都の問題でありますから都労委に斡旋してもらう、こういう考え方でございます。政府にどうとおつしやいますが、これは非常に抽象的に封建性が残存している、こういうことを言われますか、いわゆる具体的にどういう点があるかというと、何となくそうだろうということが、封建性が残つていると言われている大きなところたろうと思います。それが実際どうなつているかということについては、政府としてもそれはいろいろ問題を具体的に提起せられれば調べまするし、又私どもも注意はいたします。注意はいたしまするが、そういう問題があると今一体断定することがいいかどうか、これは私は断定するのは早計てあろうと思うのでございます。澎湃たる輿論を背景としてと仰せられますが、現在の輿論はああした公共性の強いといいますか、特殊な立場にあるものがストライキをやるというようなことは、この場合できるだけ避けてもらいたいんだというのが非常に輿論のようでありまして、今お話のスト規制、ストライキを規制してしまう、こういう考え方をしろという声も相当に強い輿論の一部ではないかと思う。種々の輿論もございますから、私どもは冷静な能度でこの輿論を見守るという考えておるわけであります。
  136. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 時間がありませんから簡単に答弁を求めたいと思うのでありますが、政府の解釈に関連していろいろ質疑をいたしましたが、その中で委員長から指摘がされましたように、過去においてピケが張られた、或いは門の中といいますか、或いは建物の中といいますか、ピケが張られたりいたしましても、それが今まで不法であるとして、取扱つて来られなかつた。それをにわかに使用者の意思に反してピケを張る場合にはこれは非合法だ、こういう解釈は、これは従来の態度ではなかつたではないか、従来の態度が問題ていなければこの解釈が間違つておるんだ、或いはこの解釈が飽くまでも正しいというならば、過去においても間違つてつたのではないか、こういう質問もございました。  それから昨日の法規課長との質疑を簡単に午前中ちよつと求めましたが、法規課長といえども道路に立つておればあるいは道路交通取締規則というものかも知らん、或いは門の前に立つておれば、その門の土地か、或いは資産家の土地であるかも知らんけれども、併しそこでピケを張つておるということが必ずしも不法ではないということを昨日実は認めたのでありますが、そういう点について先ほど来の指摘を以てこの声明が必ずしも普遍妥当性を持つておらんではないか、こういう点はお認めになるだろうと思うのでありますが、如何でしようか、一つ念を押しておきます。  それから或いはピケの問題について昨日来の問題で、先ほど大臣の話に出ました、松岡三郎氏が毎日新聞に書いておられる。これは企業組合として、企業の外に組合の影響力を持たない、市場を独占しておらん日本の組合の場合に、スキヤツプに対する組合のスト権といいますか、或いは団結権を守るについては平和的説得のほかにプラス・アルファーが当然あるべきだ、その中にはスクラムも含まれるべきだという意見が入つております。或いは吾妻光俊氏が読売新聞に書いておられるところは、私が先ほど言うたような、政府が東証争議に関連して警察と一緒に事実上介入をしたという感じを持つ。それからピケの権限についても政府の見解とは違つた見解を表明せられておるのでありますが、或いは政府側が今のような介入をするならば、労働運動の解決を民主的ならしめるということを崩して逆行せしめるのではないか、こういう意見等もございますが、政府措置に対して批判的であることは間違いございません。従つて意見があり、普遍妥当性がないという点は、先ほどは今までの実績から或いは具体的な例を挙げて申上げましたが、論理的にも政府の意見が批判されておるという点をお認めになりますかどうか。  それから昨日も或いは東証側において、理事者側において、立会人だけでなくして他の、先ほど大臣の言葉を以てするならば暴力団という話がありましたが、そういうスキャップの使用というものが使われようとする傾向にあることは間違いないところでありますが、先ほど山梨銀行の話もありましたが、これは炭鉱の例もありましたが、そういうものを認める趣旨ではないという点はこれをお認め頂けるか、その点だけ大臣に尋ねて答弁を願いたいと思います。
  137. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 最初にピケを張る場所がないじやないか、道路に出れば交通妨害、中に張れば占拠、そんならどこへ張ればいいかという問題でございますが、大体常識の問題でございまして、門の前にピケを張つて五列にも六列にも並んで座つて動かんというままでありますと、これは認定の問題で、やはり一般の良識によつて判断するということになると思います。  それから更に批判についていろいろ仰せられましたが、この解釈そのものについては、私はまだ非常に多忙で、あらゆる新聞に出ております識者の意見といいますか、そういうものは、この解釈はこういうことだろうというようでございました。ただこういう解釈を先ほどからお話があつたようにああいう時期に出して、そして心理的な作用を狙うような印象を与えるからこれはまずいじやないか、もう少し労働運動は放つておいたほうがいいじやないかという見解の相違があるようでございましたが、これは私と見解を異にしておりましたが、私はさように思つておらないことは先ほどから縷々申上げた通りでございます。  なおスキャップの問題に関してのお話で、暴力団というものはこれは争議以前の問題でございまして、暴力行為そのものが禁止せられておりますから、そういうものは私の観念に入つておりません。
  138. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 最後に私は労働大臣に、スト規制云々の問題が出ましたが、もう一点だけお尋ねをしておきたいと思います。お尋ねするというより所信を伺うことになるかも知れませんが、お尋ねをしたいと思います。  実は先ほど来労働大臣のお考えを伺つておりますというと、東京証券のような職場の労働問題というものは、まあせいぜい労働委員会どまり、もう荒荒しいことはやめてもらいたいという根本的な思想が流れておるように私は考えるのです。併しそれで封建的な職場が民主化されるということであるならば、国民の世論もこれに従うだろうと思う。実は私はたまたま名古屋におりまして、名古屋証券取引所の争議の場合にもちよつと伺つたのであります。私はあそこの理事長の村瀬さんとは個人的によく知つておりまして、人格者、話のよくわかる人でございます。その人が理事長である名古屋証券取引所においてすら十一日間に実力行使を行をなければ、組合の要求の半分をちよつと越えるくらいだろうと思いますが、そのくらいの要求すら通らなかつた。十一日という実力行使をやつてすらそれでなければ通らなかつた、こういう事情があるわけです。ところが東京証券の場合を見ますると、その封建性が名古屋証券取引所よりも強いのか強くないのかは、私はここで申上げませんけれども、大体同じような傾向にあるとした場合に、先ほど阿具根君が言われた通り東京証券の組合員は七百名をちよつと割るそうでありますが、そういう組合員のかたがストライキに入つておる。而もこの証券の組合員の諸君は炭鉱の労働者であるとか或いは鉄鉱の労働者であるとか、こういう筋肉の労働者とは違いまして、或る意味ではホワイト・カラーの非常に弱い労働者である。そういう諸君が軽うじてせいぜいのところピケを張つて守るというところに、一方においては二千五百名以上の協和会の人がロック・アウトを宣言している事業場の中に入る、この入るのを阻止すれば業務妨害だというので警察官までこれに応援をして切開いてやる。こうしてやれば、労働大臣が何と言われようと、事実上ストライキというものはできなくなる。そうしてスト規正法を作る作らないは別として、結局のところにおいて労働委員会どまりの話合いによる解決以外には途はないということになる。そういう場合に私は何といいますか、こういうことによつて非常に立場の弱い労働組合の諸君の要求が抑えられて行くという傾向が多分に私は出ると思いますが、そういうことについてどういう工合にお考えになつておりますか、この点を一つ労働大臣として所信を表明しておかれたいと思います。
  139. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) まあ争議の調停機関として都労委、都の場合には考えておるのでありますが、都労委どまりというのは甚だ私としては実は意外なのでございまして、府県が跨つておりますれば中労委でも結構でありますが、決して下部機構、中労委より非情に権成のないものとは私は見ないのでございます。これは労働委員会の諸君はいずれも立派なかたでございまして、十分に考えておくことだろうと思います。ただその上に政府が直接介入するということは、これは争議の解決の、例えば待遇をどうするというような問題の中に政府が人づて行くということは、私ども建前としてよろしくないと考えておるのでございまして、なおこの名古屋の例を引いてのお話がございましたが、名古屋は九五%アツプの要求である。これは相当に大きな要求と言わざるを得ない。それほどに、そういう要求が出るということだけに、只今の御指摘のような労務管理に盲点があつたというような点が言えるのかも知れないと思つております。いずれにいたしましてもそうしたいわゆる一部で盲点ストなどと申されまして、非常に労務管理に経営者が意を用いることが少なかつたという点が指摘されておりますくらいでございまするから、そういう問題につきましてはこれを契機といたしまして、大いに労務管理に意を用いるという傾向が生ずる、そうするこは疑いのないことであると思います。我々としてはさような点を吟味するように、奨励をいたしたいと、こう考えておるわけでございます。
  140. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 大臣は立たれますから、次官とそれから警察庁長官がおられるからなお尋ねておきたいと思うのですが、最近争議に関連してまあ暴力事犯が多くなつた、こういうまあ大臣なり或いは斎峰長官も言われるのですが、これは斎藤長官の言葉の中にもありましたように初めは、組合法一条二項もあつて、争議に警察権なり或いは検察権というものか入らなかつた、従つて問題がなかつた。ところが私ども見えておりますが、昨年でしたか一昨年でしたか、例えば犬養法務大臣が電産争議に関連して、こうこうこういう場合には威力業務妨害罪に該当する場合があり得る、こういう話から威力業務妨害罪というのがストに関連して至るところで検察庁或いは、警察まで振りかざす、介入の口実になりました。これは恐らくお認めになるだろうと思います。ところが昨日の長官なり或いはその他警察の上のほうの話によりますと、従来と変わりがない、こう言われるのですが、それからまあ斎藤長官も一応労働大臣の行政解釈と私どものほうとは関係がないと言われますが、実際従来問題にならなかつた。ピケを警察で以て実力的にこれを排除する、こういうことが行われるのはこれも間違いがない。そうしてその名目が中に入つて業務をやりたい、それを妨げておるかり平和説得の限度を越えて業務を妨害しておるから実力で以てこれを排除して中に入るのだ、そうすると私はまあお尋ねしたいが、昨日も自分の判断で出たと、言われるけれども、長官そう言われるけれども、日本橋署長は東証の理事者側の要請に応じて出勤した、こう言われました。そうすると争議がある場合に会社側から要請があるならば、今後業務遂行のためにいつでも出られる方針に変つたのか。若しそうであるならば曾つてのように、争議の場合には要請されていつでも労働争議の鎮圧に出動するという、脅つての警察の姿にこれは明らかに帰ります。そういう大きな方針に転換がなされたのかどうか。或いは業務妨害として今まで争議に関連して処罰されたことはありませんか。これはストである以上業務の妨害になることは明らかであります。それを業務を妨啓するということでここで処罰をされるということになるならば、ストライキならばストライキに伴う一切の行動が業務妨害ということになるでしよう。極めて重大なこれは一例になりますから、詳しく承わつておきたいと思います。  それから不退去罪の問題については、私は曾つてこれも一昨年か一昨々年になるかと思いますが、人事院が勧告を用意いたしました。ベース・アップの勧告を用意した。勧告案ができておるということは皆知つておる。ところが人事院が政府の圧力に屈してその勧告を発表しない。そこで官公労が人事院に坐り込んでその勧告を出せ、こういう交渉をやつたことがあります。ところが初めはそうでもありませんでしたが、二日目でしたか、三日目でしたか、人事院総裁から神楽坂署であつたと思いますが、要請をして、そうしてこれを除けてもらいたい、こういうことで神楽坂署が人事院に行つてそうして退去を勧告された。退去しない。そこで、不退去罪の現行犯ということで神楽坂署に引つ張つてつた。私ども参りましてその際にも公務執行の職権濫用と申しますか、昨日のようなやはり欧つたり叩いたりした者が若干あつたと思いますが、昨日ほどではなかつたと思います。いろいろ話をして、これはその晩に釈放をされたのですが、不退去罪として私は処分をされたと思つておらん。その場合にも勧告をしないほうが悪いのか、或いは国家公務員法なり人事院規則に従つて五%物価諸経費に変動があつたならば勧告をすべきであるという人事院の任務をサボつておるのが悪いのか、それともそれを出せと言つたものが悪いのか、明らかに私は人事院のほうが出さるべきであつたと思うのであります。従来は適法と考えられておつたピケ或いはスクラム組んでおつたものが、業務妨害罪として退去を求められた。退去を求められたのに聞かない。恐らくこれは今後といえどもこういう場合に少くともスクラムを組んだ者は退去してもらいたいと言つても恐らくのきますまい。その場合に不退去罪としてどんどん処罰して行く方針なのか、大きく警察が、従来の民主警察から或いは争議に介入しないという警察の態度から、今後は争議についてはどんどん介入して、そうして会社の業務を妨害する者はどんどん業務妨害として検挙して行くのだ、或いは退去を求めた場合に退去しないならば不退去罪として弾圧して行く、検挙して行く、こういう工合な実際問題として動きになろうと思いますが、そうなのか一つ承りたい。  ついでに申しますが、昨日猪俣氏等は警視庁等にも参つて或いは検事総長等にもお目にかかつて話をしたそうでありますが、その際には検事総長或いは警視総監とは念を押して、立入禁止の仮処分が出ておるから今日争議に介入しようとは思つておらん、或いはなおそういつたような事能について処罰を以てこれに臨もうという考えはないという、言明がなされたのでありますが、これらの基本的な態度についてお伺いしたい。
  141. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 警察が経営者から頼まれたならば必ず出るのかという第一点でございますが、これは決してさようではございません。警察は独立の判断で出るだけであります。頼まれるということは、こういう事態にあるという事実をはつきり認識する一つの材料にするに過ぎません。どういうわけで出たか、こういう経過でそういう事実を明らかにしたから出たというので、頼まれたからということを安易に使うかも知れませんが、考え方はそうではありません。その点は誤解のないようにお願いをいたしたいと思います。  それから業務妨害と申しまするのは、ストをやることが会社なり事業場の業務を妨害するという意味ではございませんので、当然その建物とか惑いはピケ・ラインを通過をする権限のある者を平和的な説得を越えて拒否をすわ、その人に対する業務の妨害になる、こういう趣旨でございますから、その点も誤解のないようにお願いをいたしたい。  それから不退去罪と申しまするものは、これは工場、事業場等の管理者か自分の管理の区域から出て行つて、もらいたい、こういう要請をした、それにもかかわらず退去をしないという場合にはいわゆる不退去罪でありしまして、ピケを張つている、警察はそのピケを解くようにと言つても解かない、だからそこから退去しないから不退去罪、そういう意味ではございません。  又警察が取締をするにつきましては、取締をなすべきそういつた原因がどこから来ておるかということよりも、その事態自身が違法であるか適法であるかということによつて判断をするのであります。原因がどちら側にあるかということによつて判断をいたすということになりますると、これは警察としては行き過ぎた判断に相成りましよう。だから現象それ自体が適法であるか違法であるかということの判断によつて行動いたすのであります。
  142. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 昨日の結局事態にもなるのですか、事態の点から言うと、三時半ですか、実力行使をされたとか、或いは業務妨害罪、不退去罪として検挙されたのは三時半というのですが、初めは正権に知りませんけれども、午前中から警察が出ておられた、十時頃であつたかと思うのですが、そうするとそういう業務妨害なり或いは不退去罪というものが午前中からあつた考えて出動をしたのではなかつたか、恐らくその点は誰の要請によつて出動をされたかと言つたら、東証側の要請によつて云々ということですから、いわば、不法なり或いは違法があるとして、先ほど相馬君から防犯的な立場と申しましたが、防犯的な立場から出られたというならば、或いは昼間からなり、昼間になつて出動したというならまだわかる。併し午前中から云々というならば、それは警察に出て来てもらつて中に入りたい、中に入るのを実力行使……、理事者側の実力行使というものを初めから、午前中から予定をして、その援護として、或いはその先頭に立つて、例えば三時半の場合に警察署長が先頭に立ち、警察官が引続いて門を突破しよう、こうされたというのですが、そういう姿を最初から予想をして、理事者側の要請とそれから業務をやりたいという方向で警察が出られたということはこれは明らかだと思うのです。なおこれは十二時過ぎ或いは二時か三時頃であろうと思うのですが、衆議院の猪俣浩三氏或いは参議院の我が党の亀田得治君等が検事総長或いは警視総監にお会いしたときには、先ほど申上げましたように従来と何ら変りなく、立入り禁止の仮執行がなされてもおらんのに或いは介入をする、或いは衝突をする、こういうことは考えておらん、こういう話でしたが、先頭に立つてピケを排除して中へ入ろうというのは、これはその点は従来の態度と違つて労働大臣談話の線に従つておやりになつたのだ、こう考えられるのですが、業務妨害の解釈につきましては、ストライキが何でもかでも業務妨害として問うという方針であるというところまでは言うわけじやありませんけれども、ストライキ自身が業務を妨害する、ストライキに関連して団体行動権としてピケを張るならば、ピケによつて何らかの人間その効果を発揮しようとするならば、それは業務妨害にたることは当り前です。併し業務妨害になるとしても、それは正当な争議行為としてなされるならばこれを処罰しないというのか二項の精神であることは言うまでもない。従つて従来は処罰される方針にされて来ておらん、或いは不退去罪にしたつて同じで、その実体を言うならば、ピケを張つおつた、或いは建物の前であろうと或いは倉庫の前であろうと事務所の中であろうと、それは使用者の建物であろうけれども、それは労働者も今まで職場として管理についておつた、或いは占有権というか、或いは労働者として従来仕事をして来たあれから言つて、そこにおることが不法占拠にならない、或いはそこでピケを張ることは罪にならないのだ、そこでピケを張ることも団体行動権の当然の結果として認められて来た、こういうのが過去の実際だと思う。同様な場合に不退去罪として処罰されたことは会つてない。それを昨日からというか、或いは自治警もなくなつて国警になつてから、日鋼室蘭などについても第二組合が先頭に立つて、会社の意図の下にピケ・ラインを突破するために警察官が使われているようでありますが、そういう理事者の要請に応じてその利害の、先頭に立つてストライキを、やることを抑制しよう、こういう方針転換をなされたのかどうか、こういうことをお尋ねしているわけであります。重ねて御答弁を願います。
  143. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) ピケそのものが合法であるか違法であるか、これは先ほどからも労働大臣からお話もされております通りに、限度を越えるか越えないかという問題でありまして、その限度がどういう場合に越えるか、これは抽象的に言えば、平和説得の限度を越えた場合ということであります。従てそのピケ・ラインを通過したいという人の種類によつて私は程度が違うと考えています。東証の場合は、これはいわゆる協和会員でありまして、中に当然入つて仕事をしておる人たちでありまして、第一組合、第二組合と分れて、第二組合が突破をしようという場合でもないわけであります。こういう人たちに対しましては特に平和説得に緩でなければならないのであります。協和会の人だけがどうしても集団的に入りたいという決意をし、その通告をし、警察もこういう状態であるからこれ以上阻止をしてはいけないという警告も発し、それからそういつた事態が二時間、三時間ほど続いて、その後に実行行使止むなしとしてやつたことでありまして、たたピケの張り力が大仰であつたから、すぐこれが違法だと言つて解散せよというのではないのであります。当初警察官が出血いたしておりましたのは、当初の目的は、違法な事態が和らないようにというための警戒が主でありましたが、逐次実力を以て阻止をするような状況が始り、結局三時三十分になつて、実力行使をせざるを得ないという状態になつたものと考えるのでありまして、出血の目的は最初最後は変つております。さような次第でございまして、当初からピケ・ラインはもう昨日の場合は違法だから、あれで解散を勧めるという目的で出たものではございません。それから不退去罪、これは勿論仮処分がありました場合には、これを動かせば封印破毀罪が成立しますから当然やるべきでありますが、或いはさような仮処分がありませんでも、当該設備の等管理者が正当な理由に基いて退去を要請いたした場合に、退去をしないという場合には、これは不退去罪として処罰をするかどうかということは別でありますか、その不退去の事実をなくするということを警察官がやるのは私は当然であろうと思つております。何ら解釈を変更したのではないのであります。
  144. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 まあ事態についても少し強弁的な答弁でありましたが、初め出たときにはそれは警戒、警戒に八百名も或いは八百名近い警官が警戒に出るということは、これは今まで恐らくなかつたたろうと思います。漠然たる警戒のために武装をした警官が八百名も、ピケ・ラインよりも、労働者よりも余計集まつた。ですからまあ今後争議があつたらいつも警戒に八百名も出動されるかと実は聞いたわけであります。私は最初の要請、最初の出動のときから理事者側の要請に応じて出動されたと、こう聞いたわけであります。その辺も単なる警戒ではなくて、中に入るその援護のために出られたのだと、前場から取引をやりたいと、こういう希望のようでしたから、そうであつたと思うのですが、その辺は強弁だと思うのですが、なお核心的な部分については、これは多少、今不退去罪で処罰するかどうかはこれはまあきめたわけではない、こういう話で多少縦和はされましたが、先ほどお開き取りされたような近江絹糸なら近江絹糸、近江絹糸だけではなくて、従来ずつとそうであつたと思うのですが、ピケを張つておるものを業務妨害、或いは退去を求めたが追去をしない、不退去罪で、処罰をしたという事例は今まで殆んどない。もつとひどい事例についていろいろ問題になつたことはこれはございます。例えば我々も三越の場合等についてもあとで解雇の問題の事由になるかならんかということで判例があつたということもこれは知つてはおります。併しピケを張つてつた、そのピケはスト破りをやろうとする者についてのピケであることは間違いない。従来ただ人がばらばらと並んで平和的な説得だけで終つておる事例は恐らくなかろうと思います。それは松岡さんも触れられておるようにスクラムならスクラムを組むということが普通今まで伴つておる。従つて理論的にもスクラムを組むことは日本の場合にピケの中に入るべきだ。日本の組合が労働史上で占める地位から言つてこれは当然であろうと言われるように、事実過去においてはスクラムを組むことが認められて来た。それをこうした業務妨害で処罰をするというか、検挙をするというか、或いは求められるならば警察が先頭に立つてつて行くということになるならば、大きな方針の転換があるのじやないか。それは何と言われようとも警察の従来の考え方でなくて、閣議でも取上けられて、或いはこのために労働大臣談話を発表する、域いは小笠原大蔵大臣の談話を発表する。そうして証券取引所なり或いは銀行等でストライキをやることは好ましくない。或いはピケを張つて立会ができないようにするところまではそれは好ましくない、それは妨害するようなことになれば、これを厳重取締るという小笠原大蔵大臣の精神に従つて警察が動いたものだと解釈せざるを得ないのですが、もつと率直に、いろいろの矛盾した今まで表明が、表現がなされて来ましたが、そこを括つて一つ率直な御意見を述べて頂きたい。警察の従来の態度なり、従来の態度と変わらんという長官の誤答弁であるならば、昨日のように実力行使なり或いは検挙なりということが起らなかつたはずだと思います。それとも違つたものがあつてそういつたものをなされたのか、或いは基本的な方針の転換があつたのか、一つ重ねて御答弁を願います。
  145. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 基本的に方針の変更は先ほど申しておりますように、ございません。今までいわゆる何といいますか、集団的に第三者が正当にその中で業務を執行するためにどうしても入る、ピケ・ラインはどうしても通さないというような事件は私は余りなかつた思つております。従つて業務妨害として検挙はしなかつたでしよう。ただ併しながら出荷の場合とかいうような場合に。ピケをどうしても通さない、この際に業務妨害或いはそれに伴う執行妨害というのでやはり検挙した例は前にもあるわけであります。今度が初めてなわけではありません。
  146. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほど質問したのが今斎藤長官のに出ておりましたので申上げたいと思いますが、日鋼室蘭の争議について御質問申上げたいと思いますが、非常に室蘭についてはすでに八月から百五十名乃至二百名の警官がいつも中に入つてつたと、これはどういう意味でしようか、その点一つお尋ねいたします。
  147. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 日鋼室蘭の工場の中に警察官が、八月頃から警官が常時百名ぐらい入つてつたということは私は今まで聞いておりませんが、何かの間違いではありませんか。
  148. 阿具根登

    ○阿具根登君 それでは一つお伺いしたいのは、日鋼室蘭の周囲は一里からあると聞いております。私も現地に行つておりませんから知りませんけれども、周囲は一里からある。それにピケを張つているのは表門だけである。その。ピケを張つている表門からは百メートルぐらいの所には裏門もある。ところがそこはピケを張つておらずに会社の人たちは自由に出入りをしておるそうであります。第二組合ができて、第二組合が入る場合に、警官はその表門の中に二百名から待機をしておつた、そうして外におる警官と連絡をとつて誘導してそこへ入れて行く、こういうことをされておると聞いておりますが、事実でありますか。
  149. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 第二組合ができまして、第二組合の幹部八名が会社と団交をやるために入つて、これを阻止をするためにピケ・ラインが組まれて、そこで警察はこのまま放置をしておけば、泰力事件が起こる、かように認めましたが故に、ピケ・ラインを突破をして団交に入る者を通したという事実はございます。
  150. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういう場合に僅か百メートル先に工場に入る門があつて、而もそれは通行しておる、ピケを張つておらない、こういう事実がある場合に、何が故に警察はわざわざピケを張つておる所を突破するのか、警察官が本当なら衝突を避けてそうして円満にやろうと思うならば、百メーターそこそこの所ならば、この道を通つて来てもらいたい、或いはそこまでピケで防ぐようなことがあつたならば、或るいは一カ所くらい通さしてくれということくらいは言えると思うのでありますが、わざわざピケを張つておる所を何故に警察官は突破して行つたのか、その点をお伺いしたい。
  151. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 私は只今の事例の際に百メートル離れた所に門があつて、そこの出入は自由自在であつたということは初めて伺うのであります。この問題は先般衆議院の法務委員会でもこの事例について論議がありましたが、そのときにもさようなことは伺つておらなかつたわけでございます。従つて私といたしましては、入る所はそこだけであつたと、かように考えておつたのでございます。
  152. 阿具根登

    ○阿具根登君 私も現場の人から聞くまでは入る所は一カ所であるというような概念から聞いておりましたが、事実それでは会社の連中その他の人はその中を何も問題を起さずに中に入つてられるのはどういう実情かということを聞きましたところが、百メーター向うにもう一つ門があるのだ、まだそのほかに一里もの所にピケを張ろうと思つても、そういう人間もおらないし、入ろうと思えばどこでも入れるのだ。ところが警察官吏としては、ピケを張つておる正門だけを、ピケを張つておるにもかかわらず、正門だけを警官は破りに来る。而も会社側と十分話ができておつて、例えば入れられるような場合にも非常に巧妙に、やられておる。それがいい悪いは別といたしまして、一応警官が門の中から外に出る場合、外に出るから出してくれと、言えばそれを、容れて、そうですか、それじや外に出て下さいと四列縦隊になつて出て、そうして出て行つた四列か二列になつて、完全にトンネルを作つて、さあお入りなさいと第二組合と十分連絡の上にやつております。会社と十分連絡をとつてそういりような一つの門を作つてやられる。こういうことに対してどういうふうにお答えになりますか。
  153. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 当時の状況は非常に緊迫尖鋭化をいたしまして、警官がそういう措置をとらなければ傷害事件さえも惹起をしかねまじというような状況であつたと伺つております。いずれこれらの事実問題等につきまして、明日当院の地方行政委員会で現地の警察の責任者ま参つておりまするので、具体的な、百メートル先にあつた門が入り得る状態にあつたかどうかというようなこと等も、若し何でしたら私から尋ねて、後にこちらへ御報告を申してもよろしうございますし、或いは明日の地方行政委員会で御質問があれば答えができるかとも思います。
  154. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうするといろいろピケを張つておると思いますが、第二組合員は中に入つて仕事をしておると思いますけれども、どこから入つておりますか。
  155. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) その後は第二組合員は船で入つていた。で第一組合員の人たちもまあ艀から入るならば止むを得んじやないかというようなことであつたと聞いておつたのでありますが、二三日前でありますか、艀で入るのが如何にも不便であるから正門から入りたいということで、併し正門では。ピケがある。そこで今まで艀で入つていたのであるから、若し今おつしやいますように第二、第三の門からどうでも入るならば、そこから入つたならばいいじやないかということで、さような措置をするように聞いておりましたが、今自ですか、そちらの門もピケが張られるというような状況であるというようなふりに報告を受けております。
  156. 阿具根登

    ○阿具根登君 只今、お開きするように、艀からも入れる、その他の所からも入れる、こういうのを現地の警察官は十分知つておるはずであります。而も警察官はそういう誘導は絶対にせずに、そうして衝突をするようにするように誘導されておる。例えば負傷者も出ております。負傷者も出ておるけれども、その負傷者が出たから警察官が出たというようならこれは又わかる。或いはそういうことがないためにその前日からでも出ておつたというようならわかりますが、ずつとその以前から警察は出ておつて、そういう情勢を作つておる。而も第二組合ができるというなれば、第二組合の会場に対して、警察官が垣をめぐらして警戒しておる。こういうことを私は聞いておる。私も現場に行つておらないからどこまでどうだということは言えないけれども、新聞で見或いは現地の人から開くとこういうのです。すでに第二組合と警察官は話をして、而もそれの橋渡しをしたのは会社である、こういうようなことを聞いております。それはどうですか。
  157. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 九月の二十五日であつたと存じますが、その際は警察官が出ていなかつたのであります。そのために第一組合と第二組合が衝突いたしまして、御承知のように六名の重傷者、二百名に近い軽傷者を出しました。それ以後は特に警察はさようなことのないように予防の措置を講じておるのでございます。警察が誘導をしてピケのない所から入らしたらいいじやないかというお話もございましようが、私は警察はさような誘導といいますか、そんなことで、ここから入れ、あそこから入れというようなことは如何であろうかと思うのであります。ただ注意的にあそこから入るならば第一組合も何ら妨害をしないということを聞いておれは、そういうことを伝えることは、これはいいと思います。従つて昨日でありましたか、さような措置をしたというように聞いておるのであります。ところがそうなるとやはりそこもピケを張るようになつて来たという報告を受けております。決して会社側或いは第二組合と通じて、その便宜を図るというようなことはないのであります。警察の予防措置が、或いは第一組合に不利である場合もあるでありましようし、場合によれば第二組合に不利になる場合もありましようが、要は違法の事態が起らないように、或いは起つた場合にはこれを鎮圧をし、或いは検挙をするという態度は、北海道の警察も私は欠いていない、私はかように信じております。
  158. 阿具根登

    ○阿具根登君 先ほどの質問を蒸し返すようになりますか、九月二十三日ですか、半製品を組合員外の人が持出す場合に、これは組合との協定によつて組合員外の人は雇い入れないということを協定しておる。それだから持出してもらつては困る、入つてもらつては困るということを言うた場合に、警察はそういう問題は労使間の問題で、我々の関知するところにあらず、我々は要請されて半製品を積出すために人間を守なければならないと、こういうことでやつたということを私は聞いておる。先ほど長官にお尋ねいたしましたところが、これは協定内の人間であるということを長官はここで言明された。若しも協定外の人間でありましたならばどういうような措置をとられますか。
  159. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 協定外のもので若し仮にあつたといたしましても、警察はあの際に実力を以て協定外といわれる人たちを入れたということは私たちはないと思つております。ただ積荷をするために、これを妨害すべく入つて来る第一組合の人たちを阻止をするために警察が出動した。かような報告を受けております。
  160. 阿具根登

    ○阿具根登君 言葉を濁さないようにしてもらいたいと思う。私は現地で現地の警官がそういうことを会社の依頼を受けてやつた。ところか組合は、それは協定違反だから入つてくれるなという問題に対して、警察はそういう協定であることはよくわからないけれども、ここで紛争が起つてできないからというような、現地の言われた言葉は私は或る程度肯定できる。併し斎藤長官は、これは協定内の問題であるということをはつきりここで言明されたということについて、私はそれが若しも間違つてつたならはどういう責任をとるかということを言つているわけです。
  161. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 積荷の問題は九月の十六、十七、それから十九日ですか、この際に船が入つて、その船に会社が製品を積入れよう、かようにいたしたのでありますが、この際に第一組合の人たちが立人禁止の中へ入つて参りまして、この積荷を妨害をいたしました。このときは警察は実力の行使はいたしませんで、ただ警告にとどめたのでありますが、三日に亘つてさようなことか続きました。船は何も積むことができなくて出帆をいたしたのであります。  で、お尋ねの点はその後の二十二日の問題であろうと思います。で、この際に又さようなことがあつては、私はこれは会社の行う正当な業務だと思うのであります。会社にとつて製品を積込むことは、このことは協定違反にもなつておりません。これを妨害を又することがあつては犯罪を構成いたしまするから、さようなことのないように警察は出動をして警戒に当つたのでありまして、この際に積荷をいたしましたのは、たしか常時そこに雇われている何やら組という組員がやつた考えておりますが、この組員を入れるについてピケ・ラインを突破して入れたということは、これはありません。恐らく艀で港から入りましたのかどうか存じませんか、これについては恐らくはトラブルは何もないのであります。その組員が業務を行うについて警察が援護したという結果になつたのじやないかと、こうおつしやるのじやなかろうかと存じますが、これは結果としてはその通りであるかも存じませんが、これは協定違反でもありますまいし、又協定連反であつてもこれは民事の問題でありまして、警察といたしましてはそういつた積荷を実力で妨害をするという犯罪を構成させないための予防措置を講じたに過ぎない、当然のことであると私は思うのであります。
  162. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると協定違反であろうと協定違反でなかろうと、そこにまあ不穏な問題が起らないために組合のほうの言うのを退けて、会社の言うのを容れるのが警察官の務だと、こういうふうになりますか。
  163. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 協定違反であるかないかというよりも、今の問題は、恐らく私はピケ・ライン突破の問題であろうと思うのでありますか、併しこれはピケラインで起つた問題ではありません。協定違反の人夫を使つて会社か積荷をしようとしたということと仮定をいたしましても、これは協定に違反するかしないかという点は、これは刑事事件じやございませんから、それを協定違反だからといつて暴力を以てこれを阻止しよう、或いはそこで暴力事件が起るということになれは、どうしてもそこには傷害罪というもの、或いは業務妨害罪というものか成立するわけでありますから、さようなことのないように予防措置を講じた、かように説明をしているわけであります。
  164. 阿具根登

    ○阿具根登君 暴力ということを念頭に置いてやられるからそういうことになる。又暴力はどちらか使うかということをお考えになる場合に、入つて行く者は暴力を使わないものだ、遮る者が暴力を使うのだという前提に立つておられる。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)それが私は間違いだと言つている。どちらか暴力を使うかわからない。そうした場合に協定違反でもあるというようなことを組合が訴えた場合に、どうして組合だけが暴力を使うかも知れないからといつて、その製品を出す人だけを入れるように警察は努力しなければならないかということ、こういうことです。それをお尋ねしておるのです。  それからもう一つ、何回もお立ちになつてお気の毒ですから、もう一つお尋ねいたしますか、あの会社は立入り禁止をしておると思うのです。立入り禁止をしておるその点にも触れられたと思うのですが、立入り禁止をしておるならば、裁判所から入つてよろしいという許可のある人でなければ入つてはいけないと思うのですが、その点はどうですか。
  165. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 第二の点から申しまするか、立人り禁止区域には裁判所の許可のない者は立入つてはならないということは御所見の通り。それから第一点の問題は、何やら組と、これは協定違反か違反でないかという問題はありますが、これを入れる入れないで問題は起つておらんのであります。従つて質問は少し外れておるのじやないか。これを入れる入れないで問題が起つて、警察が出てそうして入れたという問題は起つておらん。
  166. 阿具根登

    ○阿具根登君 いや、入れる入れんで警察が暴力を振つたとか或いは組合が暴力を振つたとか、或いは入つて来る人か暴力を振つたという問題ではない。そういう場合に警察はどういう態度をとるべきかということを私は聞いたのであつて、それからあとの問題で、立入り禁止区域内には、これはもう会社の施設でも一応裁判所のほうに移つておるから、裁判所の許可がなければ入ることはできないということは今肯定されました。ところが先ほど、第二組合の八名が入るときは警官はわざわざ垣までしてやつて入れてやつたが、どこの許可書を持つてつたか、裁判所の許可書を持つてつたかどうか、お尋ねします。
  167. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) これは執達吏の許可を得ておつたという報告であります。
  168. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は受けておらないということをはつきり聞いておる。それから四時間も五時間もあとにあわてて受けたということを聞いておる。苦しも受けておらないならば、警察官自身が法を破つてそういうことをしたということをあなたははつきり認めますね。
  169. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 私は執達吏から見て入れるべきでないものを入れたという結論になれは、警察はここに疎漏があつたと私は思うのです。併しながらあれ自体は執達史が口頭で会社にその者を入れることはよろしいということを言い、会社がそのことを入りたいというように通告し、警察もそれを知つて入れたのでございまして、事実上執達吏はこれを入る以前に認めておつたことは事実でございます。これは先般の衆議院の法務委員会で御質問ありましたから、折返して実際の状態報告を求めたのでありますが、只今申上げた通り報告に相成つております。
  170. 阿具根登

    ○阿具根登君 いずれ明日地方行政委員会でもその点は究明されると思うのですか、どういう方面から入手されたか、それはまあわからないといたしましても、私たちが聞いておる範囲内では、その当時もこれの入る許可書は持つておるかということは追及された。そのあとであわてて連絡をされたと、そうして実際それか許可が下りたのは三時間か四時間あとのことであつたということを私は聞いておりますが、お互いに聞いた問題をここで論争しても仕方がないので、私はこれで賛同を終りますが、いずれにしても起つた問題をあとから言う場合には、非常にその現実が粉飾されておるというようなことを私たちは考えざるを得ない。そういう点について十分御注意を願いたいと思います。(「本日はこの程度で」と呼ぶ者あり)
  171. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 最後に、時間があれですので簡単に伺いますが、斎藤長官の答弁を聞いておつて、長官は私は従来個人としては大変に立派なかたたと思つてつたのですが、大分まあ最近の情勢の変化に応じて変られたかのように思う。本心は余り変つておられんだろうと思う。いつもと変らんとこうおつしやられる。例えば出荷の場合にしても、会社の重役が荷を担ぎはしませんが、非組合員か或いは課長でありますか、係長でありますか知りませんが、それを自分が担いで出せば問題はない。ところがそれをやろうとしないで、第三者を入れてそうして出荷をしようとする。それを阻止しようとする、そこにまあ問題が起るわけです。日鋼の問題はまあ明日論議されるとして、一般的な問題をお尋ねします。  従来の争議には介入をしないという線はなおこれは持つておられると思います。従つて或いは第三者といいますか、スト破り、それが何々組でありましようと、或いは第二組合を作つて切崩してストを破ろうとするか、それは労使の問題であつて、それに警察官か援護をし、或いは会社のために、或いは会社のために、スト破りをしようとする者に警察が援護をし、或いはこれをカヴアーする、或いはその業務をカヴアーする、先頭に立つてスト破りをやる、こういう態度でないという点は一つ明瞭にして頂きたいと思う。  それから昨日の問題については、これは先ほど労働大臣も、昨日閣議で取上げて論議をした、或いは行政解釈を昨日発表するということはどうであつたろうかという多少の反省はあつたようでありますが、次官として、先ほど来聞いておつたのでありますが、昨日一日のスト、而も従来のように、例えは、近江絹糸の例が出ましたけれども、何らの勧告と申しますか、或いは実力行使の前に、暴力或いは非道に亘らないようにという勧告もなされないで実力行使が行われた、そういう点について私どもは、行政解釈と、それから警察権の発動との間には結果から見て連関性があると思いますが、そういう点については、これは多少疎漏であつたと申しますか、或いは時期を失したというか、妥当でなかつたというか、そういう点はお認めになりますかどうか。  それから斎藤長官に昨日の点についてお尋ねいたしますが、不退去罪とか或いは業務妨害について、不退去罪で処罰をするということは別問題、従来の例からいたしますならば、恐らくこれは処罰はされない、或いは起訴はされないであろうということを昨日の検事総長なり或いは警視庁の長官から伺つておる意向、或いは斎藤長官の先ほどの言葉から伺いますが、そういう点については警察官が理事者側の意向に従つて動いたというような誤解は今後避けたい、或いは短兵急に実力行使をしたことについては穏当を欠いたと思われますか、或いは処罰までするというつもりはないと考えられますのか、その点をお伺いいたしたい。  それからもう一つ銀行、或いは証券会社についてストは好ましくないという気持が大蔵大臣その他にあるということはまあ事実でありますが、大臣はそれについて一部の意見に従つて銀行、証券のストを直ちに禁止する、或いは直ちにこれを行政的に抑えるつもりはない、こういうお話もございましたが、切迫をしておりますけれども、山梨中央銀行のストライキに関連をして、先ほど申しましたように鳶職を加えてスト破りに使おうとし、或いはそれに関連してスト破りのほうからは、暴力等が過去においてあつて怪我人等も出ている。なおそういう鳶職等のスト破りが今後問題を起す。或いはスト破りをやろうとする事態に対してそれをとめられるべき御意向があるかどうか、承わつておきたいと思います。
  172. 佐々木盛雄

    説明員佐々木盛雄君) 御質問の件は発表なさつた当事者、大臣がなさるのが最も適当かと思いますが、私に対する御質問でありますから、労働省の役人の一人としての私の考え方を申上げますが、昨日大臣が行政解釈を発表なさつたことは、先刻来私話を承わつておりまして、時期が悪かつたというようなことを大臣がおつしやつたように私は考えておりません。又私自身も発表した時期が非常にまずかつた、非常に悪影響を与えたというふうに考えておりません。大臣が繰返しおつしやつておられますように、労働争議の中でややともすれは起りやすいことで、而も不明確であつた不法な行為についていつか明らかにしようということで、省内でもいろいろ研究いたしておりましたところ、たまたまその成案を得ましたので発表いたしたというわけで、別に発表したことが非常な遺漏であつたとか、労働省として非常な手落ちであつたというふうに我々は考えておりません。又従つて警察が実力行使されたこととは何らの関係もないことも前に大臣がおつしやつた通りであります。
  173. 斎藤昇

    説明員(斎藤昇君) 警察は争議に介入しないというこの基本方針はどこまでも堅持をいたしたい、これは私の強い信念でございます。  それから昨日の実力行使は軽率であつたと認めないかというお尋ねでございますが、私は先ほど来申しておりますように、昨日の警察の実力行使はこれは適当な措置であつた、適宜な措置であつて、決して軽率というべきものではなかつたと思います。あれは放置しておけば私は警察はなすべきことをしなかつたという謗りを免れないと思います。  それから昨日検挙した者を処罰するかどうか、私はどういう状態において七名を検挙したか、詳しい報告にも接しておりませんので、昨日の件についての意見は申述べませんが、本日まで釈放しないところをみますと、相当のことかあつたのではなかろうかと、かように考えております。不退去の場合にすべて処罰をしておるというわけではないという今までの事例を申上げただけでありまして、昨日の問題とは問題をそれに類推して御解釈を願わないようにお願いをいたしたいと思います。  それから争議の際に暴力団的な者を雇い入れる、このことは私は厳にないようにしてもらいたい。警察はそのためにはできるだけの力を尽したい、かように考えております。
  174. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 佐々木次官の話等は明日も副総理に出てもらつて問い質すことにいたしまして、明日にいたしたいと思います。  警察問題についてはなお答弁不十分でございますけれども、時間も来たようでございますから、斎藤国警長官の言明は、従来の態度が変らないとするならば、或いはストには介入しないという基本的な態度がなお変らないならば、今のような御答弁は甚だ納得行きにくい。併し具体的な事例をなお明らかにして論及をしなければなりませんので、これも他日に譲ることにいたしまして、質問は今日はこの程度にしておきたいと思います。
  175. 栗山良夫

    委員長栗山良夫君) 本日はこれにて散会いたします。    午後六時十一分散会