○国務大臣(
小坂善太郎君) さようでございますか。なお簡単に最近の
状態を申上げておきまするが、十月六日以来、工場構内に作業で宿泊して従事しております第二
組合員が、十三日午後四時工場の正門から帰宅をいたしまして、十六日以来は工場正門の所に第一
組合員が一千名乃至一千三百名がピケを張
つております。連日の工場入場は室蘭埠頭から海路を通じて行われておるという
状態でありまして、一、二の殴打
事件等も発生しております。併しこのほかさしたる暴行
事件も今のところわか
つておりません。
なお富十製鉄の室蘭労組が富士製鉄の室蘭製鉄所の副所長に対しまして、労使一体とな
つて日鋼争議のために斡旋役を
会社側に引受けてもらいたいとの要請がありました。併し
会社側は即答を避けておる。而も態度は本日に至るまで明確にな
つておらない、こういう状況でございます。
なお北海道の中労委が八月の二十二日臨時総会を開きまして、斡旋は今後継続する。併し斡旋の時期、
方法については
議長に一任するということにして
事件の推移を見守
つておる、かような状況でございます。
なお山梨銀行の争議でございまするが、これは
組合員が六百九十八名で、本年三月の二十日
給与体系の合理化と併せて賃上げ、
退職金の増額
要求等を掲げまして、数度にわた
つて交渉して参りましたのであります。七月三十日になりまして、全銀連傘下各単組は、大会の
決議に基きまして全国的な賃上げ闘争を開始したのでありまするが、これに呼応してこの労組も強力な
交渉を始めまして、八月三十日、全銀連の指令のリボンの着用戦術を実施したのであります。なお九月二十六日
組合は
スト権の中執委委譲を打ち出さんとして
組合側の執行部は臨時大会を開いたのでありますが、たまたま
反対派が議事進行直前に執行部不信任案を提出したのでありますが、七十五対四十五で否決されたのでありますが、そのとき以来、
反対派四十名で否決されまして、大会は流会になりました。十月四日に
組合は組織分裂を完全ユ二オン・シヨツプで阻止しようとの
要求を掲げまして、完全ユニオン・シヨツプの締結を
要求しておるのでありますが、これは果して銀行側として拒否するところとな
つております。そこで銀行側は五%の賃上げ、それからなおシヨツプ制は完全ユニオンということを回答いたしました。併し
組合側はこれに対して
会社側の回答を拒否して坐り込み集会戦術等守の闘争戦術強化を決定しております。十月十六日総評の高木事務局長が同労組の応援のために到着いたしまして争議指導を行な
つたのであります。その後第一
組合は難航を続けましたが、物分れになりまして、更に二十一日朝闘争
委員会を開き、地労委の幹旋を申請することを決定して、二十二日午前零時から県下三十二支店の二十四時間事業放棄を指令いたしたのであります。地労委もこれにつきまして幹旋をいたしました。四月以降総額七十万円、平均五%に相当いたしますが、この賃上げと、完全ユニオンは、第一、第二の
組合が統合されるように努力し、その実現を待
つて考えるという斡旋案を出したのであります。併し銀行側はこれに対して回答をしましたが、
組合側は不満といたしまして、予定
通りストライキに突入して、更に二十三日、二十四日
ストをいたしまして、これを無期限
ストに切換えました。なお
ストライキは県の労連、全銀連の応援を得まして、銀行内に泊り込み、第一
組合は
スト前夜から銀行内に泊り込んで、
スト当日も第二
組合によ
つて行われておるのでありまするが、これを拒否する第一
組合との間にトラルブが発生しているのであります。かような状況でございます。
更に証券取引所の争議でございまするが、東京証券取引所は二十九年の四月三十八日に
組合を結成いたしまして、
組合員が六百五十五名、
委員長が組谷節也という人であります。八月三十日、
組合はユニオンシヨツプ制の
労働協約の締結、九月期の生活補給金として現行基準一万九千円を二カ月分支給せよ、高校卒業生の十八才初任給九千円の
給与体系の確立、現在は初任給が七千一百円で、約三割のアツプということになるのでありますが、こういう
要求書を提出いたしておるわけであります。九月二日の第一回
交渉で理事者側はユニオンシヨツプ制は
原則として認めることを回答いたしまして、九月期の生活補給金の支給の新
賃金の
給与体系は問題が大きいから更に検討したい、かようなことを回答いたしておるのであります。九月三日の第二回の団交では、理事者側は生活補給金一・八カ月を最低として支給することを回答、
組合側もこれを了承いたしたのであります。九月十八日生活補給金一・八カ月分を一律支給として協定書の調印が行われ、その後の
交渉では
労働協約の逐条審議が行われましたが、シヨツプ制、平和条項問題で
交渉が進展いたさなか
つたのであります。更に十月の十二日、
組合が
交渉を促進させるために臨時全員総会を開きまして、賃上げ六〇%の
要求、完全ユニオン・シヨツプの締結の二点を更に強力に推し進める
方針を確認いたしまして、十八日までの回答期限を付けて十三日理事者側に
要求書を提出いたしました。そこで団交が開かれまして、理事者側は次の五項目を回答いたしたのであります。即ちユニオン・シヨツプの
原則は認めるが、ユニオン・シヨツプ制は若干の例外規定を設けるべきものと
考える。賃上げは平均一万六千九百一円、即ち二一%アツプに相当いたしまするが、右
賃金は非
組合員を含む全従業員の平均で、
昭和二十九年十月の昇給分をその中に含んでおる、かような状況であります。家族
手当は最高三千円、交通費は全額支給、かようなんでありますが、これに対しまして、闘争
方針を協議いたしました
組合では、
ストライキ権の確立を行な
つたのでありまして、その後十九、二十、二十一日まで連日団交が持たれましたが、進展をいたしませんで、理事者側は都労委の斡旋によらなければ解決の
方法がないとして、都労委の斡旋申請を
主張いたしたのでありますが、
組合側はまだ団交の余地ありとして都労委の斡旋に強い
反対をいたしたのであります。
一方都労委は二十一日午後三時から総会を開いてその対策を協議した結果、斡旋態勢に入れるように木村清司、三鬼陽之助等労、使、公益の各側より二名より成る斡旋
委員が内定しました。なお二十二日に歩み寄りが見られませんでしたので、理事者側を招きまして
事情聴取を
委員会としては行いました。更に
組合側を招いて聞こうとしましたところ、
組合側はこれを拒否いたしましたので、都労委は斡旋をするということについての対策を協議した結果、この争議が行われれば社会的、経済的影響が重要であるから、都労委、斡旋委立会の下に速かに団交を開いて、事態を収拾したいとの申入れを行な
つたのであります。そこでこの申入れに対しまして理事者側は即座にかかることに応ずるという旨の回答をしたのでありますが、
組合側は難色を示しまして、そこで
労働者側の斡旋
委員は種々説得した結果、午後一時申入れに応ずる旨を回答し、労使双方の申入れによりまして、二十六日午後四時から開かれまして、なお引続いて開かれることにな
つておりましたところが、
組合側といたしましては、昨日これは決裂したと
言つて退席をしたのであります。
労働委員会側といたしましては、
一つ双方の争点の内容を明らかにして、双方の
要求の具体的な十項目について明瞭にしてもらいたい。それによ
つて何とか斡旋案をまとめて行きたいという申入れをしたのでありますが、理事者側はこれに承諾したのでありますが、
組合側はその説得を聞かず、争議に今暁より入
つております。かようなことでございます。
なお他に全駐労の問題もございますが、これは今朝ほどお聞き取り頂いたことのようであります。
以上を以ちまして御
報告といたします。