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国務大臣(
愛知揆一君) 第一のこの
デフレ政策と新らしい
政策との
関係でございますが、これは全然背馳するものではございませんで、冒頭にも申上げましたように、
デフレ政策は最近までの
成果に鑑みても是非これを続けて行きたい。更にこれを推進し補強する。それから歪みがあるような場合にはそれに具体的な
措置を講ずるというようなことで参りたいと思
つておりますことは先ほど来縷々申上げた
通りでありまして、更に将来に亘
つての
一つの
経済自立に行くべき途を我々としては描いてみたい、こういうふうな
考え方でございます。なお、私といたしましてはできるだけ近い機会にそういう
政策というものを発表したいと思
つております点を念のために申上げておきたいと思います。
それからその次の、然らばその
デフレ政策はどこまでやるのかというお尋ねでございますが、これは当初来
考えておりますことは、大体総じて申しますならば
物価を昨年暮なり、今年の正月くらいの
程度の
物価を大体二割見当は下げて参りたい。併し余りにドラスティツクなことをやるべきではございませんので、この
昭和二十九年度は総じて五乃至一〇%の
物価の引下げということを狙
つてや
つて参つたわけであります。その後の経過に鑑みますと、例えば繊維その他のものを比較してみますと、繊維のごときはすでに国際水準というものまで行
つている、或いは下廻
つているとさえ言えるわけでございますから、そういうふうにいろいろの
物価について具体的な結果が現われて来、その間には不均衡も起
つておりますから、これらの今度は具体的な
施策といたしましては、例えば
価格が
相当下つたというものについては需給の安定というふうなことを
中心にした
施策を打たなければなりませんし、又十分下が
つていると思われない、例えばセメントのごときものに対してはその購売の
方法の
改善、その他も加えまして、業界とも了解を進めて建値を引くということの工作をするとか、いろいろやるべき
施策は具体的に今な
つて来ているわけであります。そして私は大体今後一年或いは一年半という
程度でこういう
関係がずつと調整されて、そして
日本経済の基礎というものがかなり強靱な体格になるのではなかろうか。その強靱な体格の上に、一方将来の構図を今から
考えておきまして、その積極面かその強靱に
なつた体格の上に組立てられるように準備と
努力を今から進めておこう、こういうような気持でおるわけであります。
それから縮小
生産とその他の
関係の話が出ましたが、これは本年初頭以来
国会におきましてもその当時縷々御
説明申上げましたように、そうして又先ほど
ちよつと申上げましたように、純粋な理窟だけで言えば
生産活動はもつと急激に減らなければ本当の
デフレ効果は現われて来ないと思うのであります。併し
政策とし政治といたしましては、
只今物価の点も申上げましたようになだらかに、余りにドラステイツクにならん
程度において
政策を進めなければなりませんから、自然この
生産活動の上昇過程を下降向けにするという
努力なりテンポなりはそう急激にいたすべきじやない、こういうふうに
考えているわけでございますし、事実がそういうような結果に現在な
つていると思うのであります。
それから中小
企業の問題につきましては、これはいつも申すことでございますが、この
対策を
一つやればそれで万全の効果が現われて来るというようなそういう名案は私はないと
考えております。
従つて言いふるされたことが非常に多いのでありますが、ありとあらゆる
考え得る
措置を取上げて参りまして、総合的な効果を期待することが最も適当だと
考えております。
第一に中小
企業自体についてはその
企業の組織化をすることが私は一番基本的な必要な
施策ではなかろうかと思います。そのために
政府のほうのやるべきこととしては
企業診断というようなことに非常な今力を進めているつもりでございまして、すでに数万件の
企業診断の
実績ができております。又それはただ単に診断をしてカルテを作ればいいのではないのでありまして、診断をするに応じて組織化ということに向けるような
努力と、更に
政府の斡旋によりまして特殊の中小
金融機関からの融資ができるだけ円滑に流れるようにという
努力を併せ用いるというようなやり力をや
つております。
それからその次の
考え方として中小
企業安定法の運用につきまして先ほども縷々触れたのでありますが、いわゆる調整組合につきましての自主的な調整の
強化の指導ということが必要ではなかろうかというように
考えているのでありまして、これにつきましてはその業種その他について具体的に
行政上の問題といたしましてその手を進めている次第でございます。それから中小
企業金融の円滑化の問題でございますが、例えば
石炭につきましても中小
企業金融公庫に対しまして特に先般来九州
方面の
石炭業については特殊の指令を出しております。これは再建
計画が十分であり、優良なる中小炭鉱の場合におきましては
相当の活用が願えるのじやなかろうか、又
相当の効果を挙げているように
考えております。
それからその次のお尋ねは、
石炭と
重油の
関係でございますが、この点について
国会休会中においても私どもとしては誠意を尽して
対策を立て、又その結果なり中間的な御報告を申上げるということをや
つておりましたのでありますが、七月早々の当
委員会には他の案件等のために私は
出席できませんので甚だ申訳なかつたのでありますが、その後の経過をざつと申上げますと、数字等について若し何でございましたら事務当局から補足して
説明いたしたいと思いますが、六月に入りましてから
重油の出荷の
実績は大体三十八、九万キロ・リツターの
程度でございます。これは前回にも申上げたと思いますが、これは
政府が期待いたしておりましたよりもほんの少量だけ出荷の
実績がオーバーしておるのでありますが、まずまず大勢としては
消費者側にも
相当御
協力が願えたのではなかろうかと思
つております。それから一方
石炭につきましては、御案内の
通りと思いますが、七月の
実績がまだ私の手許にもございませんが、大体上、中旬のところから私がざつと勘ではじいたところによりますと、
生産は三百三十万トンぐらいではなかろうかと思います。そして荷渡しが恐らく三百二十万トン
程度になるのではなかろうか、
従つて貯炭の増が十万トン
程度で七月は推移したのではなかろうかと私は想像いたしております。貯炭の増が六月までよりも大分減
つて参
つております。で、だんだんと全体の傾向といたしましては、勿論非常にまだまだ大問題ではございまするが、多少好転する兆候が見受けられるように思
つております。今後のところ各用途別に、各工場別は勿論でございますが、例えば使用の用途別に、鉄の
関係で言えば、例えば平炉用がどのくらいになるとか、或いは加熱用がどのくらいになるとか、或いはボイラー用がどのくらいならいいであろうかというような点について更にずつと作業を続けて、全体の推移と睨み合せて作業を続けておりますので、八月一ぱいぐらいの間にはかなり具体的な数字を挙げて御
説明することができ、又将来の
目標を
お話申上げることができるかと、こういうふうに
考えております。
それからその次の問題は電気料金のお尋ねでございますが、これは経過につきしては今いろいろお尋ねがございましたが、一番最終の
政府として決定いたしました結論を先ず御
説明申上げたいと思います。この問題につきましては、
政府といたしましても随分長くの日数と非常に慎重な検討を重ねまして、次のような基本的な
考え方を結論としてまとめたわけでございます。未だこれによりまして現実の料率表等を作りますまでに至
つておりませんので、本日のところは
考え方だけを御披露することにいたしたいと思います。明年の三月末目までは全国平均といたしましては現行料金ベースに据え置くのでございます。それから来年四月以降の料金につきましては、電力会社側の一層の
企業努力を期待いたしまして、更に細部に亘りまして
政府側としても検討いたしたいと思います。それから一方税及び金利負担の軽減等の
措置によりまして、低
物価政策の趣旨に基いて再検討を行うことをきめたわけでございます。それからその次に本年十月以降におきましては、現行の
割当制度を廃止いたしまして、これに伴いまして料金制度を合理的に
改正いたしたいと
考えております。併しこの
改正に際しましては、その
影響については十分調整
措置を考慮しなければならないということを申合せておるような次第でございます。
大体以上のお尋ねであつたかと思います。