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委員外議員(上條愛一君)
委員外の
質問をお許しを願いたいと思います。私は主として厚生
関係のことを申上げたいと思うのでありまするが、先ほど来
小坂労働大臣の御
答弁の中で、私腑に落ちない点がありまするので一点だけ御
質問を許して頂きたい。
それは今回の問題は、
大臣もおつしや
つている
ように、労働
条件の維持改善の問題でなく、憲法が保障されているかどうかという人権擁護の問題と、それから労働
基準法が適正に守られておらないという点、いま
一つは御用組合であ
つて、自主的の労働組合がなかつた、団結権の問題であります。そこで議会として、我々
国会の議員の一人として重要に
考えたい問題は、我々が
国会において作られたるところの法律が適正に行わておらないというところから今回の争議が起
つておるという点であります。そこで同僚議員から、この点について
小坂労働大臣は責任を
感じないのかという
質問があつたわけであります。ところが労働
基準局長は、これらの点については調べたけれ
ども、事実が挙がらないから困難であつた、こういうお答えでありました。そこで私も事案を似て申上げたいのでありますが、例えば寄宿舎において、労働
基準法によりますれば、一人は一・五の畳の広さを要する、こういうことであります。ところが事実において十二人きり収容できない部屋に十五人を収容しておるという投書があ
つて、訴えがあ
つてそれを
基準局で取調べに行
つております。そうすると、会社は部屋の前に十二人きり草履を置くことを許さないのであります。それで
基準局が来たらば十二人でございます、こう言え、
あとは知りませんと言え、こういう命令を下しておるのであります。そこで
基準監督官は、一応形式的の調べによ
つてこれを終
つておる。ところがこれはもう少し熱意を持
つて調べられれば明らかに事実はわかる。何故ならば、寄宿舎の畳数というものは
はつきりしておる、それから人数は幾人収容しておるかという問題は、配給米その他を
調査をすればこれは明らかになるのであります。そこでその収容しておる人数と畳数とをお調べになれば、これは明らかに
基準法違反であるかどうかということは簡単にわかるわけであります。それからいま
一つ私がずつと廻
つて参りましたうちの二、三の点を申上げれば、中津川工場のごときは、寄宿舎の部屋へ入
つて見ると、布団を畳んで部屋の隅にみな置いてある。これはどうしたかと言うて
質問するというと、布団をしまうところの押入がないというわけであります。かくのごときはこれは明らかに見てわかる
基準法の違反である。それから又寄宿舎のすぐ脇の二階の廊下の所に原綿を積んであるのであります。この
ようなことは明らかに
基準法の違反であ
つて、これは現在も行
つて頂けばすぐわかるのでありますが、こういう事実が存在しておる。それから又顔を洗う場合に、顔を洗う人数に応じてその水口がこれは幾つあつたら間に合うかという
ようなことは、これはわかるはずであります。ところが中津川などへ行
つて見ると、洗顔用の水口が少いために、規定の時間に起きたのでは出勤に間に合わないと言うのです。これは二時でも三時でも、便所に行つたときに顔を洗
つて又寝ておる、こういう
ような実情であります。それから又長浜工場のごときも、これも行
つて御覧になればすぐわかります。洗面所と洗濯所とが同じであります。その脇にすぐ食器洗場というものをちやんと明示して洗場ができておるという、こういう実情であります。こういう例を挙げろと言えば私は幾らでも挙げますが、かくのごとき、明らかに調べなくても行
つて見ればわかる。
こういう
基準法の違反というものを今日そのままに放置されてあるということは、これは
一つは今日の争議の原因をなしておると言わなければならない。我々は先般内閣
委員会において、
基準監督官を減らそうという行政整理の問題が起つたときに、我々としては、今日なお
基準法が中小工場において適用されておらないという事実があるので、
基準監督官というものは現在よりも殖やすべきであ
つて、減らすという
ようなことでは、折角我々が議会において作つたこの
基準法というものが死文化してしまうのじやないかという
質問をしたときに、
労働省の当局は、いや、それは数の問題じやなくて質の問題だという御
答弁をなさ
つておつたのであります。今日この
ような
情勢に放置せられておるということは、国民はもはや、殊に労働階級は、法治国として法律があ
つてもこれを信頼できないということなんであります。この甚だしいものが
近江絹糸であると言わなければなりません。私
どもは現在中小企業においてこの
ような状態に放置されている幾多の実例を知
つております。併しこれは中小企業として非常に経済的に逼迫しているという事実もありまし
ようから、これは別といたしまして、
近江絹糸のごときは、御承知の
通り戦後これは非常な利益を挙げて発展したところの、一万二千以上の従業員を持
つておるところの会社であります。この
ような会社が、この
ような福利施設ができないという実情ではないのであります。それを今日
労働省所管においてこの法律が適正に行われておらんということが、これが今回の争議の原因であります。この点について
労働大臣は、今日までの処置について責任を
感じないとおつしやるならば、これは非常な、我々この問題がどの
ように一時解決がつきましても、
政府がこの
ように議会において作られたる法律が適正に行われないところの事実があ
つても、これを責任を
感じないという
ようなことであれば、これは将来において由々しい問題でなければならないと、こういうふうに私は
考えるのであります。
いま
一つ、今回の争議が起りましてからの
一つの問題として、私はこれは
労働大臣に報告して、指示を仰いでもらいたいということを申上げた問題でありまするから、
労働大臣も御承知だとは思いますが、今回の争議において寄宿舎を追い、それから食堂を閉鎖して給食を
支給しないという問題が起りました。これは単に合繊に入
つてストライキに参加したという理由によ
つてこの
ような処置がとられておるわけであります。私が申上げるまでもなく、ストライキをや
つて全繊に入つたということであ
つて、雇用契約は継続されておるのであります。従
つて居住権を奪い、而して給食を断
つてその生活を脅かすという問題は、これは人道上の問題のみならず、私のここに特に
労働大臣に申上げたい問題は、これは明らかに労働
基準法の違反であると言わなければならないのであります。幸いにして富士宮においても津においても、その
ように寄宿舎を出て新らしい組合に参加された諸君が、寄宿舎を追われ、そうして食事を断たれましたけれ
ども、これはまあ全繊同盟が幸いにしてこれに居住を与え、食物を給したからよろしい
ようなものの、これはどういたしますか、十七、八歳の小さい
子供らがこの
ような処置にされてどうするかという問題は重大な問題だと私は思う。
そこで私は事実を申上げますると、私が参りましたときに、中津川工場においてすでに貼出しが出まして、今後は食堂を閉鎖する、銘々材料をやるから各自煮て食え、こういうことでありました。大垣工場に参りましたときにも同様な掲示が出されました。それは朝のことであります。昼の食事までは供給するが、夜の食事からはそうせよということでありました。その前日にも同様なことが貼出されて、これは千八百名の全繊の組合員が夕方食堂に参りまして、我々は食事を供給してもらいたいということで頑張りましたので、漸くにして夜の十時から午前二時の間に夕飯が給供されたという事実であります。そこで岐阜の
基準局長にお目にかかりまして、午後二時であります。それでこういう問題が起つた、これは明らかに私は労働
基準法の違反だと思う。何故ならば、
事業附属寄宿舎規定によれば第二十四条において、三十人以上を寄宿舎にとめておく場合においては食堂を設置すべしと、こう書いてある。そうして二十五条において、その食堂にはこれこれの設備をしなければならないという衛生、通風、その他の事項十七項目を掲げてあるわけであります。そこでこれを裏から見れば、寄宿舎の食事というものは食堂を通じてやらなければならないと、こういうことであります。そこでお前たちに対しては食堂は閉鎖するけれ
ども材料はやるから煮て食えと、こういうことであります。併し材料が揃
つておるかというと、焜炉も私が参りましたときに続々外から持ち運んで来るという現状であります。而も夜からは食事を出さないと、こういうことでありますから、
基準局長に会いまして、直ちに
労働大臣の指示を仰いでもらいたい。こういう
ような不当なことをや
つておるのに
労働大臣が放任するというのであれば、我々は法治国とは認めない。これを報告した
あとに、こういうことを付け足しております。私が、若し
労働大臣がこの
ような不当な処置に対して黙認しておるということならば、これは止むを得ないから、我々千八百名の組合員を見殺しにできないのであるから、食堂を管理して組合で食堂を通じて食事を供給するからそういうことを承知してもらいたいということを、報告の
あとに付け足してもらいたいということを私は申上げました。併し
労働大臣の指示を仰いでいると時間がかかる、併し事は今夜の問題である。そこで
基準局長に
基準法の適正なる実施をすることはあなたたちの責任であるから、この大垣工場の今夜からの食事についてはあなた方の権限において会社に指示してもらいたいということを私は依頼いたしました。それで
基準局長は工場長に向
つて食事は従来
通り供給すべしという申入れをいたした
ようであります。ところが工場長はこれを蹴りましたので、私
どもは止むを得ず八時に食堂を管理いたして食事の用意をし出しました。そうすると会社が折れましてそれでは従来
通り暫時暫定的に供給し
ようと、こういうことでありまして、工場長が今留守だから工場長の帰るまでということでありました。翌々日工場長が帰りまして、依然として従来
通り食堂を閉鎖する、銘々勝手に食えと、作
つて食えと、材料だけはやると、こういうことでありましたので、止むを得ず中津川においても、大垣工場においても組合が管理いたしまして食堂を通じて食事を供給したという事実であります。
そこで私が申上げたいのは、会社は成るほど食料を絶つたのではない。給食を絶つたのではない。それは材料をやるから、食堂は閉鎖するけれ
ども材料はやるからお前たち銘々が食事を作
つて食えと、こういう言い逃れであります。ところが御承知の
通り寄宿舎というものは食事を作る設備はありません。洗面所とそうして洗濯所以外には水を供給する場所はないのであります。それから又焜炉で、石油焜炉或いは普通の炭の焜炉で煮炊きをして食えと、こういうのであります。この
ようなことを千八百名、大垣のところは二千数百名おる従業員おのおの寄宿舎において焜炉を使
つて食事を作るという
ようなことになれば、これは火事の憂いが十分ある。私はこの点については警察署長にもお目にかか
つて、この
ようなことは、あなた保安上責任を持てますかということを警察署長にも申上げました。併しこういうことの報告は、これは
労働大臣の手許に行
つて指示を仰いでおると思いまするし、又指示がなくても、この
ようなことは御
調査の結果おわかりにな
つておると思うのでありまするが、この
ような問題に対して、
労働大臣の先ほどからの御
答弁を聞いておりまするというと、争議最中であるから、いろいろな点については処置を控えておる。そうしてこの争議が早く解決することに全力を注ぐべきであると
考えておる、こういう
お話でありましたが、私はこの
ような労働
基準法の違反が行われておるのに対して、争議中といえ
ども労働大臣は適切なる処置をとるということが、この争議をやはり早く適正に解決する途であるというふうに私は
考えておるのでありますが、果して
労働大臣はこの
ような問題に対して報告を受けられたかどうか、報告を受られたのに対してどの
ような処置を指示せられたかどうかということを先ず第一に一点お伺いいたしたいと思います。