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政府委員(堀岡吉次君) お手許に配付いたしました
昭和二十九
年度予算要求額調というガリ版刷の資料に基いて御
説明申上げたいと思います。
先ず差上げました冒頭に、二十九
年度の
予算要求額を掲載いたしております。七百七十八億三千二百九十四万七千円という数字でございまして、二十八
年度と比較いたしまして四十六億四千五再六十二万四千円という
増額に
なつております。四十六億と申しますのは、先般二十八
年度の
予算におきまして、第三次補正
予算を
提出いたしておりますので、その結果
厚生省所管におきまして二十八
年度一億の減額になりましたのでさような数字に相成る次第であります。
それから
事項別に次に申上げたいと思います。主な
事項別に申上げますのは、第一番の人口問題
審議会、次の頁でございますが、これは
厚生省に設置されております人口問題
審議会の所要の
経費であります。若干の減額は
旅費等の
庁費相当分の減額でございます。
第二の医薬分業
審議会の
経費は、今般
昭和三十年一月から医業分業を実施するということに
なつておりますので、これの実施面の技術的な
事項の
審議に当るというために
審議会を作る、その
審議会の
運営の
経費でございます。
それから三番の科学研究費
補助は前年同様であります。
四番の国際
会議其他諸費、これはWHOの
分担金等でございまして、前年より若干の減額に
なつておりますのは、二十八
年度におきましてはWHOの極東
委員会が東京で開催されましたので、その
経費を減額した
関係でございます。
それから五番の厚生行政広報宣伝費、前
年度と大した差はございません。
六番の
国立公園等の
経費でございますが、右のうち主なものは、(1)の
整備費のすぐ下の欄にあります
国立公園
施設整備補助金、これが府県等に対しますところの
国立公園内におけるところの
施設整備補助金でございますが、
補助金等の減額の
関係上、約一割一千万円を減額計上いたしたのでございます。その他前年と大した変りはございません。
それから七番の厚生統計調査費、これは
厚生省所管の諸統計を統計調査部という所でや
つておりますが、それの
事務費でございます。一千三百四十九万の
増加に相成
つておりますのは、非常勤の賃金
職員を常勤
職員に切替えしたためによる
増加が主たるものであります。
八番の優生保護の
経費でございますが、(1)の優生手術
交付金は、二十八年十二月からの保険点数
引上げによる
経費増を見込んだのであります。
九番の受胎調節の費用でございますが、そのうちの1の優生保護相談所
事業補助は、前年と比較いたしまして九百二十八万円ばかりの減をいたしておりますが、右はその優生保護相談所の初度調弁費
補助金でございまして、二十七年、八年を以て殆んどこれは執行済みでございますので、
新規二十カ所分だけの計上でありますので、金額としてはかなり大幅に減額いたしたのでございます。
十番の精神衛生対策でございますが、(1)の精神病院療養所
整備費でございますが、これは備考欄に記載しておりますように、備考欄の左側が二十八
年度、右側が三十
年度の計画なんでございますが、
国立の病院、療養所、それから
公立法人にそれぞれ内訳を記載しておりますが、これは千二百ベツドを、二十九
年度においては二百ベッドを作りたいということで計上いたしたのでございます。それから(2)の精神病院療養所経営費でございますが、これは逐年療養所等のベッドが
増加いたしますので、ベッド数の
増加に伴うところの
運営費が
増額計上されましたこと、それからここに従事します
職員の
人件費であるとか、或いは米価改訂による患者費の増というふうなことで、前年対比二千八百六十四万何がしという金額を
増額計上いたしたのであります。それから(8)の精神衛生
補助費におきましては、これは
公立病院の
関係でございまして、
只今申上げましたことと内容が同様であります。それによる
増額を計上いたしたのでございます。それから
国立精神衛生研究所におきましては、これは若干の器具を備える、実験研究用の器具を備えるということが主たる内容でございます。それから(5)の精神障害者実態調査費というのは、
新規に百七十三万二千円を計上いたしてております。御案内のように、精神障害者につきましての正確なる実態調査は在来までございません。従いまして二十九
年度におきまして
新規百七十三万円の金額を、計上いたしましてこれが基礎調査を行いたいということで、所要の
経費を計上いたしましたのでございます。
次は十一番の結核対策でございますが、第一番の療養所の
整備費、これは二十八
年度と同様に一千ベッドを作りたいということで、所要の
経費を計上いたしたのでございます。
国立或いは法人立等の内訳は摘要欄に別途記載しておりますので、御覧おき願いたいと思います。次の結核療養所の経営費でございますが、これもその精神療養所の経営費におきまして申上げましたと同様に、逐年ベッドが
増加いたしますので、それに伴う患者費とか、或いは
人件費、或いは米価改訂による患者の賄費というようなものの経営費の
増加を計上いたしたのでございます。それから(3)の結核予防費におきましては若干の減額に相成
つております。これは健康診断費と予防接種費、それから患家指導費におきましては、人口増を見込みましての基礎計算に基きますので、特別に申上げることはないかと思いますが、その次の欄の医療費でございますが、これは特殊治療でございますので、これに伴いますところの医薬品の値下りのためにこの欄におきまして一億三千万円程度の減額を計上いたしたのであります。対象数の減は見込んでおりません。それから消毒費、物件廃棄費等については、前年同様でございます。それから(4)の結核回復者の後保護
施設、これは二十八年同様二カ所を予定いたしております。金額の増は単価増でございます。それからその他の欄では、備考欄に記載しておりましたように、主なるものは保健所の
関係の結核の
経費、それから結核予防従事者究修委託費、これは結核予防会の結核予防に従事しておりますところの技術者の技術研修を委託しております
経費でございます。それから結核予防会
補助金は大体前年同様でございます。それから結核実態調査につきましては、二十八
年度に引続きまして調査をいたしますものの所要の
経費でございます。
それから十二番目の癩対策費でございます。癩については、昨年御案内のようないろいろ問題がありまして、それらの結果いろいろとこまごまとしたことを記載いたしておりますが、第一番に、二十八
年度におきましては癩の療養所においてベッド一千ベツドを
増加いたしたのであります。二十九
年度におきましてはベツドの増は、取りやめにいたしました。在野患者の収容に主力を注ぎたいというので、二十九年、度におきましてはベッドの
増加は計画いたさなかつたのでございます。但し療養所の内部における諸般の
整備につきましては、いろいろ行いたいというので、備考欄に紀戴いたしましたように、
高等学校、
中学校、それから保育所、作業所等の新設を記載いたしました
通り、それぞれ行いたいということを計画いたしておる次第であります。なお備考欄の(5)宿舎八十五戸と計上いたしておりますが、御案内のように癩療養所につきましては、
職員の
充実がやはり非常に先決問題でありまするが、宿舎の不足のために、これの
充実を期しがたいという面が相当ございますため、二十九
年度におきましては八十五戸の宿舎を建設して、
職員の
充実を図
つて行きたいというふうな考えから、所要
経費を計上いたしたのでございます。それから次は(2)の癩療養所経常費でございますが、これは先ほど申上げましたように、二十八
年度においてベツドが一千ベッド殖えます。従いまして基礎ベツド数が若干殖えるわけでありますが、これらに所要の
経費のほかに、二十八年の、昨年夏のいろいろ問題がありました患者の慰安金でございますとか、不自由者慰安金を
新規に設けるとか、或いは作業賞与金の単価を
引上げますとかいうふうなことをそれぞれ取入れたのであります。なお私立の癩療養所等につきましては、これは健康保険の点数によ
つて全額国が負担しております。それに所要の
経費と、そのほかに慰安金としまして、なお
新規に一人
月額五百円、なお生活物資購入費等を
新規に計上いたしましたので、それらの所要計費を一括療養所の
経費として十四億なにがしという金額を計上いたしたのであります。次に(3)、癩研究所
整備費、このあと(4)、癩研究所経営費でございますが、これも昨年いろいろ問題がありました点は、経緯は御案内の
通りであります。そこで癩研究所を新設しまして、専ら癩の治療の研究に当るという意味で
建物を
整備し、これの所要の経営費を計上いたしたのでございます。最初は非常勤等を入れまして、二十人と思いますが、小さな規模で出発するわけでございます。初
年度でもありますので、取りあえず出発するということに重点を置いて所要の
経費を計上いたしておる次第でございます。それから次に(5)の癩患者の家族生活援護委託費でございますが、これも二十八年夏の際における問題の中心点でありまして、癩の患者を収容するに当りまして非常に大きな問題は、残された家族の生活問題が大きな問題であることは御案内の
通りであります。なおいま一つの問題は、病気の性質上、その秘密を保持するということが大きな問題でありますので、在来生活保護法において執行いたしておりましたものを、この方面に
制度を切替えまして、第一点は県庁の衛生部において直轄所管をするということが第一点でございます。それから第二点は、生活保護を地方庁が二割を負担いたしておりますが、この費用につきましては、全額国が負担する、従
つて委託費は府県に流すという点が第二点。それから第三点としましては、家族の病気につきましては、医療券の発行に、わざわざ、たとえて言いますならば癩、そういう目印を付けるということは、秘密保持の点を破るということのために、医療につきましては、これは生活保護法、但しこの点につきましては、県庁の衛生部と民生部と密接な連絡をとりまして、その秘密の保持に万全を期するという点で執行いたしたいと思
つております。詳細につきましては、別途癩予防法の
改正を提案いたしますので、その際に御
審議願えたらいいかと思います。