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加藤シヅエ君
犬養法務大臣の女性に対する御理解というものは、まあ自由党の
政府の大臣方の中では非常に進歩的でいらつしやると思います。(笑声)併し
只今の御
答弁によりまして、
只今の零細農家の問題が、財産の均分相続の影響を受けているというような御理解は、これは甚だ当
つていないのではないかと思います。もとより法務大臣は法務関係でいらつしや
つて、農業関係でいらつしやいませんから、まだ十分に御検討なさ
つていらつしやらないのかも知れないと思いますけれども、今日私はこのことを
質問いたしまして、十分御検討なさ
つて御
答弁をして頂きますように、特に
答弁の資料を申上げておいたはずなんでございますけれども、今の御
答弁を伺いますと、一向勉強なさらないで御
答弁をなすつたということがわかりまして非常に遺憾に思うのでございます。今日は農林大臣に対して私
質問いたしておりませんので、私も農業の問題については決して十分に知
つているわけではございませんで、権威者として申上げるわけには参らないのでございますけれども、農林省の農政局が発行をいたしました農家相続の実態という資料がございまして、農家別にこれを調査したものがございます。これは二十七年の三月に出ているものでございますが、これは大学教授約二十人のかたが特にこの農業資産の特例法というものを出すことの当否というようなことをお
考えの中に入れて、将来若しかすると、この農業資産に関する限りは農家資産が零細化するということは、これは誰が
考えても困ることでございますから、これは極力避けなければいけない。その避けるのには農業資産相続特例法というような
法律、あれは衆議院を通過いたしまして
参議院で
審議未了にな
つております。こういうような
法律を
只今いわゆる逆コース時代になりましたので、もう一度これをお持ち出しになるんじやないかということを私どもは非常に心配するのでございます。こういうことを、特に零細農家が殖えるということが困るという理由の下にこれをお出しになりますと、一たびこういうものが出されてここに特殊の特例というものが設けられますと、この全体の民法に対してひびが入る、こういうことにな
つて参りますと、折角の新らしい民法の家族の関係を
規定したものが
一つ破れますと、そこからだんだん破れて来る。これを私ども女性は非常に恐れますが故に、今日は特にこの点を御勉強なさ
つておいて頂きたいと
考えていたのでございます。で、私から
ちよつとこのことについて法務大臣に申上げておかなければならないのでございますが、御
承知のように今の農家の一戸当り耕地面積は約八・二反にな
つております。これは決して大きい農地とは申せませんですけれども、このように
日本に零細農家が殖えて来たということは、決してこの均分相続の結果ではないというその証拠といたしましては、この均分相続を
規定いたしました現行民法が施行されましたのは、
昭和二十三年の一月一日からでございます。ところがその前の年の
昭和二十二年の農家一戸当りの耕地面積は七反でございます。七・二反と、こういうことにな
つております。で、それから八年を経過いたしまして、この均分相続の民法の下において一戸当りの耕地面積は八・二反と、こういうふうに一反だけ殖えておるのであります。ですからこの均分相続にな
つてから、更に農地が細分化されたということにはならないということが、ここで証明が付くと思います。では、なぜ
日本の農家がこういうふうに零細農家が多いかということは、申上げるまでもなく、農村の人口の重圧のためにこうな
つているということを私は詳しく調べておりますけれども、今私がここで
犬養法務大臣にレクチユアを申上げるつもりでございませんから、又いずれほかの機会によくこのことを申上げたいと思いますけれども、どうもこういうようなわけでございまして今日いろいろの学者の実態調査もございますし、
参議院で、この農業資産特例法を
審議いたしましたときの速記録を私は全部目を通しておりますけれども、たくさんの公述人が来られまして、全部のかたがこういうような
法律を作ることは却
つて非常に
日本の農家の
状態を束縛するものであ
つて、こういう
法律を作らなくとも
日本の家族が美しい譲り合う精神によ
つて、現実の問題としては長子が相続しているのが現状であるということが十分に八年の間に証明されておりますので、この点は特に留意して頂きたいと思います。
次に、法務大臣に伺いたいのは、例の売春問題でございますが、あれは先
国会でたびたび各婦人議員から非常に熱心な
発言がございまして、法務大臣におかれましては黙認の時代は過ぎた、今度は禁止の
法律を出し、又保護政策も
考えなくてはならないというはつきりした御
発言があ
つたのでございますが、今
国会にな
つても一向この
法律が出て参りませんけれども、これはどういう御
事情にな
つているのでございましようか。