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国務大臣(
小笠原三
九郎君) これは、私は二十九年度
予算、これを中心としての、いわゆるインフレを絶対に阻止して、まあ将来日本の経済を安定させるのみならず、物価を引下げて、国際収支に持
つて行く、それは一
予算のみではなくして、
予算が第一の手段であ
つて、金融の引締めとか、或いは生産コストの引下げとか、或いは外貨
予算の
関係とか、各種のことについては
お話申上げているからここにこれを繰返しておくことはやめますが、
一つ木村さんと違うことは、あなたがたはいつも軍事費を全部やめてしまえ、保安庁費など出すからそういうことにな
つて行くと言われるが、この点は
考え方が違うので、まあ私はインフレそのものが、これはあなたが言われる
通り軍事費そのものからいろいろ生れて来ることも、これは疑わないのですが、これはまあ
程度問題であ
つて、日本の今の
財政規模で、例えば国民所得の点かから見て、僅かに二分数厘に過ぎないようなものを、又、恐らく日本の
財政規模から見れば、これも今年は千三百七十六億でしたか、でありまするから、やはり一割何分しか過ぎないとい
つたような、よそに比べては非常に少いものであるから、これがそういうふうに日本のみ特有なものとは私は
考えてない。ただ経済問題は申すまでもなく
程度の問題であるから、
程度を越して、大きな国防費を弁ずるときには、そういうときにはそういうものを懸念されることは当然でありますが、そのときは又そのときにそういうような施策を立てて行
つたらいいのじやないかと思うのであります。
それから今の
お話の二十八年度の問題であります。この二十八年度第三次
補正予算は、これはあなたの前で私は出す意思はないということを繰返してお
つて、この点はあなたに対しては不明を謝するよりほかないのでありますが、併しこれは政治情勢が然らしめたので、何しろ私
どもが絶対多数を持
つているわけではないので、又党内のうちでも、これは余り内輪のことを申さんでもあなたはよく知
つておられるが、なかなか大都市の議員等の暗躍、活躍等も加わ
つて、それこれこれが通らなく
なつた、
審議をてんでしなか
つたようなこと等もあ
つて、これは力さえあれば、絶対多数ならば、
一つの党の統制の下にはつきりしたのでありますが、どうもそう行かなか
つた点については、誠に私は遺憾であると思うが、この上は、我々が早く志を同じうする政治勢力を合して、一大勢力になる以外に途はないと
考えているのであります。ただ今回の
予算におきましても、私
どもといたしましては、今までの費用の中から出す。つまり一兆二百七十二億のこの
予算規模が一切大きくしない、このことで今度の
予算を出している次第でございまするが、他方この間より繰返して申しておりますが、私
どもは自然増収等を二十八年度でも見ておりません。今度の
予算にも計上しておらんのはその
一つの
考え方でありまして、本二月の五日でありましたか、私はたびたび申すようでありますが、本当に厳格な二十九年度
予算編成方針と同じ
方針の下に、各費目に亘
つて各省庁に対しまして、この
予算の節減方を求めているのであります。そうして期末にややもすれば行われがちな、例えば旅費その他の使用、或いは又各種の物品を購入したり何かする、そういうようなことは一切
予算があ
つてもやめてくれるように、又必要があればこちらも検査に行くというようなことまでや
つて、相当やかましくて、閣議でもそれほどまでと言われるようなことを実はや
つておるのでありまして、これは明らかに私は相当なその点から費用の節減をなお見ることと
考えております。
考えておりますが、そこに計上した二十七億八千万円の分はこれははつきりとした分で、例えば保安庁で申しますれば、保安庁の人員の採用が遅れたためにそれだけの人件費が浮いて来ておる分を約二億二千百万円たしか計上している。それから今の国立学校のほうで、それは教授その他の
不用な分がありましたので、それを国立学校と両方で約一億円見ておるのであります。そのほかにつきましては同様に 例えば恩給など見て、これはどうかと言われますが、これも第三四半期等の実績から見て全然
不用なものなので、そういうものを見ております。そういう工合に全部確実に
不用と見得るものを挙げておるのでありまして、そのほか今申上げた
通りこの二十八年度
予算の使用についても非常に厳格な要望をいたしておりまするから、なお相当私は使い残りは出て来るものと実は
考えておるのであります。二十八年度
予算そのものが多少インフレ的傾向を生んだことはこれは私も率直に認めざるを得ないのみならず、当時から私はこういうやり方は困
つたものだと実は思
つてお
つたのであります。
従つてこの点はあなたが言われると全然同感なんでありまして、但しそれを今ここで何とかもつと思い切
つた処断する方法をとれと言われるので、その点については今のように二月五日の閣議でありましたか、その決定を私が特に得まして、各省庁の協力を求めておる次第であり、なおそのほかにももつと新らしい何か政策を盛り込んで二十八年度でもやるべきじやないかというお
考えかも知れませんが、これは日にちもなし、二十九年度
予算で相当
考慮されておりますので、まあその点についてはなおたくさん問題があるかとも
考えますが、いずれにしましても第三次
補正予算をお願いすることは私
どもとしては甚だ不本意なんであります。不本意なんでありますが、さつき申したようにこれは力及ばざるのいたすところでありまして、誠に止むを得んことと実は存じておる次第でございます。