○国務大臣(小笠原三九郎君) 大体お示しの
数字でありますが、
ちよつと私のほうで調べた
数字を最初から申しますと、所得税、法人税の合計額が二十九年度で四千七百五十二億円であります。全体の租税収入に対しますると五・一六%に
なつているのであります。従いまして戦前
昭和九、十、十一年の平均二二%に比べますと、終戦後はいわゆる直接税中心主義がとられまして、
従つて全体の税収入の中に占める所得税、法人税の割合が多く
なつたのでありまして、一番多く
なつたのは
昭和二十六年度でございまして、この時には五六・六%と
なつたのでありますが、その後直接税を
幾らか減税するという方針をと
つておりまするので、その割合が漸次低下して来ておるのであります。
日本の経済の
事情から見ますと、これは田村さんの
お話のごとく、実際は直接税の割合がなお高いように私は思います。従いまして漸次これを間接税、特に今
お話のありました奢侈的なものの方面へ進むべきふると思いまするが、併しこの間接税の増徴というもおのずから限度があることでありますし、又今度のごとく例えば繊維品で奢侈維維品と言
つても、すぐにどういうものか大衆課税だ、大衆課税だというようなことが言われるのです。そうすると中身を調べずに大衆課税だというふうにすぐこれに反対する人があるというような工合でございまして、
従つてよほど中身についてのことを調べなければなりませんが、併し大体においてやはりもう少し間接税の方面を増徴することのほうが
日本経済の
実情に合
つたもののごとく私は感じております。
なおその次に公共事業費等でありますが、これはどうも
日本の公共事業費という中には治山治水等、根本的な分が相当含まれているので、これを削減するということは困難でありますけれ
ども、やはり国費の按配を行う上から見ると、重点的にこれをや
つて効果を挙げるという方面にもう少し頭を注ぐことにして、公共事業費等からの負担は漸次少くして行きたい。まあ少くとも本年以上
余り大きい
増額をさして行きたくないと、かように
考えております。
それから財政投融資につきましては、これは私よく繰返して申します
通り、これは私
ども漸次少くすべきである、これについては全然反対の御
意見もよく伺うのでございますが、これは資本の蓄積が民間だけじや十分でないから、止むを得ず
政府のほうで財政投融資をや
つて、国策上必要な産業にこれを投融資しておるのであるが、これは漸次
縮小するのが本来の姿だということはこれ私たびたび申しているので、本年も
一つその
考え方を具現したもの、尤も財源
関係もありまして、思うに委せなか
つた点もありますが、そういうふうに
考えております。
それからいわゆる特定産業その他の補助、助成の点であります。まあ造船についてはいろいろ疑獄問題等があ
つて、誠に不愉快な問題も起
つておるのでありますが、せめて金利ぐらいは世界的水準で同じぐらいに……
日本だけが足駄を履いておる、よその国では靴を履いているというのでは競争ができないから、金利ぐらいは同じくらいに持
つて行きたいというのが金利の補助に
なつておるのでありますが、これがよく言われているいわゆる竹馬の経済と言われるゆえんでありまして、こういうことはでき得れば漸次これを避けて参るようにいたしたい、かように
考えておるのであります。
なお自衛力漸増についての
お話は全く御同感でございます。ただ、現在の
日本の自衛力に使
つております費用は、
国民所得の点、或いは租税のうちに占める部分等から見ましても、世界各国とは比較にならんほど少額であります。併し今
日本経済の
実情等から見ますと、急激にこの負担が増加することはこれは耐え得るものではございません。従いまして
日本の
国民生活を低下させず、又
日本の経済力とマッチした自衛力以上の漸増はこれは断じてやるべきでない。この点は飽くまで自主的に
日本の国防は
従つて考えらるべきである、かように
考えておる次第でございます。