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国務大臣(
石井光次郎君) お答えいたします。第十次造船は、
予算が
通りますると私
どものほうがこれを実施に移す責任が出て来るわけでございますが、さつき申しましたように、全部初め予定されておつた
通りに参りましても二十万トンくらいである。これに対しまして、保安庁の船をどれだけこしらえますか、大体商船のトン数に直しまして五万トンそこいらじやないかと思うわけでございます。外国からの注文の船がどのくらい出て来るか、本年は約十万トンを予定しておりましたところが、鋼材補給その他のことが効果を挙げまして、約十二万トンくらいな注文を受け得たのであります。来年はこれだけ持ち得るためには、又それよりもよくして行くためには、造船そのものの合理化も必要でありまするが、一番の問題でありました鋼材の補給というものが行われなければひどく打撃を受けるのではないかと思うております。
ついででありますから、この外航船の問題を申上げて置きます。外からの注文の問題を申上げて置きたいと思うのでありますが、日銀の別口外貨貸の金利を下げてもら
つておりまして、それによ
つてトン当り七千五百円の減額にな
つておつたわけでございます。それと鉄鋼会社が努力いたしまして、千八百円ほど又下げまして、合せて九千三百円であります。これでイギリスあたりの造船吊鉄鋼値段に一万円の差があるということが大体埋合せできるということになりましたので、注文を引受けられるような現状にありまするが、これが別口外貨貸の制度がやめになることにな
つておるのでありますが、これがやめにな
つて全部元の
通りになれば、僅か半年ぐらいしかやらないで、消えてなくなることは
日本のプラント
輸出の大宗を占めておる船の
輸出に大きな
影響を及ぼす問題であるというので、それがやめになるのが、それに代るべき何らかの方法をと
つてもらいたいということで、今それぞれ話を進めておる状態でございますから、何とかして今年ぐらい、十万トンぐらい少くとも獲得して行きたいのでありまするが、船の現在建造されておる状態を見ますというと、この五、六月頃には殆んど全部でき上
つてしまうというような形に大体なると思います。詳しいことは
あとで船舶局長から申上げますが、そういう状態でありますので、来
年度の計画造船、第十次造船はできるだけ早くしてもらわなければたまらないというのが造船所、並びに造船所に働いておる人たちの殆んど問題なく、挙
つての
希望であります。これは言われるまでもなく私はそういうことを頭に入れて相談を進めておつたわけでございます。ところが不幸な造船汚職問題が起りまして、そのために世の中の批判が非常にきびしいものでありまするから、船会社そのものが少しく二の足を踏むと申しまするか、どうも乗気が薄いのでございます。もう少し様子を見てというようなことで、できるだけ先のほうにな
つて注文をするならば注文をしたい。どこかが一遍急いでやるということになれば、それに遅れちやならんということで出て来ることもこれは実際におきましては起り得ることでありまするけれ
ども、まあ船会社同士の話合で、もう少し様子を見ようじやないか、様子を見て注文を差控えるということになりますれば、造船所並びに造船所に働いている人たち、造船
工業の問題から
日本の一つの大きな
経済組織の上にひびが入るのだが、どうなんたという話をいたしますと、船会社のほうは、それはもうよくわかるから、できれば成るべく早くとも思うけれ
ども、自分たちの心持としてはゆつくり行きたいというような心持である、総合いたしますと私にはそういうふうに聞きとれるのであります。銀行のほうになりますると、昨年の造船の時分から、担保力を開銀よりも目分のほうに、市中銀行に優先的に与えてもらいたいというようなことを言
つておりましたが、さつきもちよつと話が出ましたが、開銀はなかなかやかましいので、殆んど市中銀行と同じように担保力担保力とやかましく申されますから、今までも殆んど対等の立場でや
つて来ております。
昨年頃市中銀行は、担保力をもう少し増してもらいたいということと、できれば昨年九次の後期に三割であつたものをできるだけ少くしてもらいたいというような
程度の
希望であります。ところが今度のような問題が起りまして、先頃から私は各方面の人に順次集ま
つて、汚職は汚職、この仕事は仕事なんだ、しつかり皆元気を出して、
日本の国策としてこれが必要なら皆力を合せてや
つてくれなければ困るというのでいろいろ話をいたしまして、その際に、市中銀行の諸君の言うことは、金がなくな
つて参りました、而も二十九
年度においては緊縮の財政方針、これに応ずるために市中の金融というものがうんと引締められますので、船のほうにはこれ以上なかなか出せんということが第一、担保力もだんだん減
つて来ております、併しこれはだんだんいろいろ調べて見れば、担保力のあるところは探し出せるかも知れませんけれ
ども、できれば今後は
政府だけでお造り願えんでしようか、というような意味のことを、これは
最後的ではございませんが、意見だけ私今聞いておるような次第でありますが、そういうようなことであります。これを集めて
考えますると、又日銀の総裁とか、開銀の総裁とかは、新聞紙上で発表しておるように、海運、造船の合理化が先決問題で、整理統合が行われなければ十次造船もなかなかだというような声を挙げておられるようでありますが、これらの人たちにも会
つての話の工合、又開銀とは実は今日会うつもりでおりましたが、来週に延びておりますが、そのほかは従来会
つて見たところを総合いたしますと、去年あたりまでは造船には皆同じ方向に向
つて進んでおりました、ところが今度はちぐはぐだと、急ぐというのは造船所と造船所に働いている人たちだけであります。
あとは金融機関に至
つては今度は一つその間から抜けさしてもらえるなら抜けたいというような調子で歩調が全然合
つていない形であります。この歩調を合せることが先ず第一の問題に私
どもとしてはな
つておるわけでございます。何とかしてそこいらにまとめるものをこしらえまして、一日も早く造船にかかれるようにしなければ、これは私はただ海運界がどうとかこうとか、船が多いとか少いとか、要る、要らんとかいう問題以上の問題がここに起り得る、社会問題としてこれはがつちり
考えなければならん問題であるということを
考えまして、成るべく早い機会に一つこしらえてしまいたいと思
つておりますけれ
ども、今申上げておりますような状態でありますから、いつそれが、例えば今月末にはスタートいたします、四月中には契約いたすようにいたしますというようなことを、はつきりしたことを申上げるまでに至
つておりませんけれ
ども、御質問の趣旨と、私
どもの
考えておることは全然同じ方向のことだと存じます。一日も早くどんな形かで造船にかかれるような方向に向いたいとは
考えており、又その方向でいろいろ相談もしておるわけであります。船台がどういうふうにな
つておるかという
状況は船舶局長からお答えいたします。