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政府委員(小滝彬君) 中共のほうは個別的引揚については今後も適当な取計らいをするということを日本の代表者に約束しておるのでありますから、その言明にして実行せられるものならば、特別な取計らいをしなくても順次帰さるべきものと
考えます。が、併し日赤の代表者のかたが李徳全女史を呼ぶように最善の努力をするということを向うに話されたというような
関係もあるようでありますから、外務省といたしましては、これが本当に引揚に有効な
措置であり、そうしてそれに重大なる弊害が伴わないということがはつきりいたしますれば、この点は十分その
趣旨にも副うように考慮いたしたいと目下検討しておるところであります。ただ感謝というような
意味で申しまするならば、国府のほうは、中国
政府のほうは何万人の人を即座に帰してくれたけれども、実は国府に対してはそういう
措置もと
つていないというような
関係もありますので、そうした面も十分検討いたしまして、この点を成るべく早く解決いたしたいと
考えております。なお四月二十六日からジユネーヴにおいて四大国の招請する会議が開かれることにな
つておりまするが、これは朝鮮事件の後始末、並びにできればインドシナの問題を解決するために開かれる会議のようでありまして、招請せられておりますのも、この軍事行動に直接
関係のあ
つた国ということに限定せられておりまするので、
政府といたしましては、
只今これに参加するということは
考えておりません。但しこれは極東に重大な
関係もある会議でありまするから、十分に注意をし、又自由主義
国家群の友好諸国とは絶えず緊密なる連絡をとりましてこの成行きを注視し、又必要に応じては何らかの申出をするということもあるかも知れませんが、参加は
考えておりません。殊に今おつしやいますような問題は、この会議の議題にはならないだろうというふうに私ども
考えております。殊にこの会議を開くについては秘密会議が持たれましたために、その
内容は十分わか
つておりませんが、新聞情報の報ずるところによれば、一応ソ連側は極東問題一般を論じたい、そうして五大国会議をしたいということを主張しましたのを、いろいろ妥協の末今の原案とな
つている、あの平和を阻害しておる事件を解決する問題だけに限定するということにきま
つたようでありまするから、そうした情報とも併せ
考えまして、目下のところはこの会議にこうした問題を取上げるというのでなしに、他の
方法で引揚を促進いたす
考えでございます。