○藤原道子君
一つ一つの事例を申上げなくとも、すでに大臣はおわかりだろうと思います。本当に大臣が誠心誠意以て今この困窮者の
ために、或いは結核患者の
ためにお
考え頂かなければ、絶望した国民はどういう
方向へ走るかわからないのでございます。こういう点から
考えまして、是非とも生活保護法の適正なる運営という点には十分御努力を願わなければなりません。時間がございませんが、大臣は大丈夫だ大丈夫だと言
つてお
つてもいろいろな問題が起きておるのであります。
只今の問題にいたしましても、昨年私たちは九カ条の条件をつけて可決した。成るほど生活は全額国庫負担で見て頂くことになりましたけれ
ども、秘密の保持はやるのだ、強制収容はしないと言
つておりながら、これが各所で問題を起しておる。
一つの例といたしましても、大阪の布施におきまして夫婦二人の家庭で、夫がらい病に
なつたからというのでみずから自発的に入院したのです。妻も揃
つて附添
つて入院して、帰
つてみたらば係官が白衣を着て家庭に侵入しまして、それのみかメガホンで近所の人に「らいが出ましたから消毒します」と大きな声で触れ廻
つておる。これは秘密保持を厳重に規定したらい予防法の精神に反しないでしようか。結局両隣りの両軒共大消毒をして帰
つたということでございます。妻が愛生園から帰
つてこうした実情に会いまして、非常にびつくりして悲観をして家にばかり籠
つておる。らいというものの特異性から申しましても、かようなことは絶対にしないということはあなたは言明したけれ
ども、こういうことが現に起きているのでございますから、十分法の適用においてもつと真剣にお
考えを願わなければならない。このことを強く要望しておきます。いずれ分科会で又詳しく申上げたいと思います。
そこで大蔵大臣に私お願いがある。真剣にお願いがある。この
委員会でこういう問題は殆んど
審議されないので、だから大蔵大臣は御承知ないのじやないかと思う。結核の問題にいたしましても、或いは生活保護法を受けておる人にいたしましても、或いは精神薄弱児の問題にいたしましても、或いは保育所の問題にいたしましても、幼児院の問題にいたしましても、軒並み今度は減額でございます。精神薄弱児のごときも、児童数が三千五百六十七万いて、その中で今日八十万からの精薄児童がいるのでございます。現在直ちに入院させなければならん子供たちが四万人はいる。これを適正に特殊教育とか精博の養護
施設等へ入れまするならば、
相当な社会的な使命の果せる子供に成り得ることは大臣もおわかりだろうと思う。これが
予算がないから、あれは馬鹿だ馬鹿だと言われながら、これがひがんで大きな社会悪を起しておる。こういうこともお
考えになりまして、もつと生活面に
予算を十分に渡して欲しい。先ほどお聞き及びのように、
予算が足りないから看護婦の寄宿舎に大切なベツドが使われておる、こういう例がある。こういうことによ
つてどうも生活政治が私はなおざりにされているのじやないだろうか。住宅の問題もそうです。らいの問題もそうです。結局数え上げれば切りのない問題でありますので、生活面においてもつともつと真剣な政治がなされたい。
従つて私はこの際こういう不幸な人たちに対してどうか生活保護法等の適用を十分にしてもらいたい。一部ボスの手によ
つて濫給があるのです。濫給はボスと繋が
つているところにのみあるのでございますから、そういうボスの支配に置かれないような
方法にや
つて行くのは厚生大臣のお力だと思うのでございます。この点は私は強く要望いたしますと同時に、最後に私は猪方副
総理にもお伺いをしたいと思います。
以上申上げましたような事由で、社会の下積みにな
つておる者は、ものを言うこともできないままに消えて行かなければならない
状態に放置されております。どうぞ結核
対策におきまして、あなたの大方針をこの際示してもらいたい。
それから時間がなくなりましたので、ただ
根本的な問題だけをお伺いしたいのでございますが、児童福祉法におきましても、法律は死文に等しい
状態にな
つておる。ところがこの児童福祉法ができながら少年法というものと二つにな
つて可愛いい子供たちに対するその
対策は二分されております。これを私は少年法と児童福祉法、或いは保育所と幼稚園、これらは非常にダブ
つておるような組織でございますので、この際児童問題を一本化する決意がおありにならないか。保育所と幼稚園はやはりこれを一本化しまして、幼稚園は幼児教育が必要だから幼稚園が必要なんだ、こういう答弁をしばしば伺うのでございますが、私は幼児教育が必要ならばやはりこれは勤労者の子供にも幼児教育は必要だろうと思う。こういう詭弁でなくて本当に児童
対策はどうするのか。結核
対策に対してのあなたの
政府としての大原則、これを
一つこの際お示しを順いたい。
政府はとかく今回の
予算にいたしましても耐乏生活を強要いたしております。
イギリスにおいてすら耐乏生活をしているのだから、だから
日本も耐乏生活と、こういうことを言われておるのでございますが、私は
イギリスのような耐乏生活ならば喜んでしたいと思う。
イギリスにおきましては、揺り籠から墓場までの生活の保障がなされておる。そして上のほうが耐乏生活をし、下のほうはぐつと上げられた生活をいたしております。こういう点で
日本のように料理屋に高級自動車が列をなしておるような、一晩に数十万の金が費消されているかと思えば、その料理屋の隣には病気だけれ
ども入院ができないような困窮者がいる、こういう姿は
イギリスにはないのでございます。
従つて耐乏生活はあなたはどういうふうにお
考えにな
つておるか。耐乏生活はむしろ上層部においてなすべき問題であ
つて、それが範を垂れてこそ国民も又
考えるということになるのではないか、こう思うのでございますが、あなたのお
考えを私は伺いたいと思うのでございます。