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政府委員(高橋一郎君)
只今のお尋ねに対して
お答えいたします。
公安調査庁関係では上田に起きた
事件がございます。この点につきましては、
永岡さんから三月三十日に本
会議でお尋ねがありまして、当時の法務大臣から
お答えいたしております。その後衆議院の郵政
委員会でも山花さんからお尋ねがありまして、私から詳しく事情を申上げてございます。更に五月十四日に参議院の法務
委員会でも同様の御
質問があ
つてお答えしておるのでありますが、本
会議の
お答えでは十分事情が徹底していなか
つたように
考えるのでありますけれ
ども、上田の
事件は確かに私
どものほうの落度と
考えて実は恐縮している次第であります。
事情は朝鮮人の
軍事組織に配布されます機関紙がございまして、その配布ルートについて、私
どものほうで別途相当確度の高い情報を得まして、併し私
どもの役所のやり方といたしまして、そういう
一つの情報で或る事実を確認するということはいたしておりません。いろいろな方面からこれ裏付けて、初めてそこに判断の基礎とすべき事実というものを認定するわけであります。この場合もそのような関係からして、その
軍事組織の機関紙が実際にそのように配布されているかどうか、これは結局
軍事組織を明らかにする
一つの重要な手段でありますけれ
ども、そういうことを調べる必要があ
つたことは、これは事実でございます。ただこの場合に、上田の
調査官がその
方法を誤りまして、
郵便局の
外務員に対して、その
管内の或る
特定人に対する
郵便物の配達の個数であるとか回数であるとか、
差出人とかいうようなものをお尋ねしたのが事実の概要でございます。いわゆる
信書の
内容を探知しようとしたというような事案とはちよつと事情が異なるのでありますけれ
ども、併し確かに広い
意味で
通信の
秘密というものに牴触する
疑いがありますので、私
どものほうとしては今後再びこのようなことのないようにという趣旨で終始
措置して参
つておる次第であります。
具体的の
措置といたしましては、四月の十四日に、私の名前で
永岡さんと法務大臣との本
会議での問答、その他資料を詳細に添えまして、
全国の
調査官に通知をしてございます。それから五月の十、十一日に、
全国八ブロックの局長を集めまして、その席で重ねてこの通牒の趣旨が全
職員に徹底するように申渡してございます。本人に対しましては
事件の起
つた当時及び四月の、日はちよつと忘れましたけれ
ども、中旬に上司を呼びまして、これを通じて厳戒に付してございます。大体において万全の
措置を講じたように
考えておる次第であります。