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政府委員(
小野吉郎君)
郵便貯金の増強の面につきましては、すでに前年度に例をと
つて見ますと、増加目標八百億であ
つたのでありますが、実際に実績として現われましたものは八百三億の増強を上げておりますので、一〇〇%幾分か、パーセンテージとしては非常に僅かでありますが、一〇〇%は行
つておるわけであります。他面
銀行預金等の
関係で見ますと、昨年中に増加すべく期待しておりました目標に対しまして、ざつと六〇%ぐらいしか行
つておりません。従いまして四〇%は予期した
通りに伸びなか
つたということは言えます。その原因はいろいろ商業の活動の
状況、そうい
つた面に影響がありまして、
銀行預金と言い、
郵便貯金と言い、それぞれ同じ預
貯金とは言われておりますが、階層は全然別種とは申しかねるとは思いますが、まあ大体におきまして、預
貯金の対象を異にしておるということは言えるわけであります。
銀行方面におきましては、多少純然たる貯蓄に該当するものもありましようが、その大
部分は商業的な、営業的な活動に基因する
預金でございます。
郵便貯金にはこのようなものが非常に少いのでありまして、その辺は昨年度の成績から見ましても、
郵便貯金についても、やはり六大都市とい
つたような大都市では成績が思うように上
つておりません。市町村、これは六大都市を除きました市町村、こうい
つた方面並びに農村方面もかなり成績としては予定以上に上
つておるわけでありまして、やはりこの
郵便貯金が大衆の
貯金であり、零細の
貯金であり、而も純然たる
意味における
貯金であるということが、この成績の面からも言い得るのではないかと思います。とはいえ、
銀行預金と
郵便貯金との
関係を比較いたしてみますと、現在高で比較いたしますと、
郵便貯金が今日ざつと三千五百億弱でありますが、
銀行預金は総体で二兆七千億に達しております。その点から言いますと、
銀行預金に対する
郵便貯金の割合は二二%見当になるのでありまして、この
銀行預金と
郵便貯金とのパーセンテージの比率は、長い目で見ますと、いろいろ変遷があります。日本の経済、金融
関係が非常に順調であり、安定しておりました
昭和五、六年当時を比較いたしてみますと、その当時は
郵便貯金の
銀行に対する割合は、一五%から一六%、こうい
つた比率を占めてお
つたのであります。その後支那事変を起点といたしまして、戦争中いろいろ
郵便貯金の、隣組を通ずる活動等が非常に活溌でありましたので、この比率も漸次
郵便貯金は高ま
つて参りまして、最高、
銀行預金に対して三八%ぐらいまで行
つたのでありますが、
終戦後漸次下降いたしまして、今日ではざつと一三%、その一三%と申しますと、最も日本のあらゆる方面が安定してお
つた時代における比率の一六%から見ますと、多少下
つておるようにも見えますが、これは
銀行預金方面における、今日その当時になか
つた特殊な
預金もありまして、いわゆる両建
預金とか、そうい
つたようなものもありまして、
銀行預金もその当時の
預金内容よりはややほかの方面でふくらんだものがあります。そういう
関係でまあ一三%とい
つたような数字が出ますが、
内容を正確に当れば、大体落ちつくところに今日の成績は落ちついておるのではないか、大体去年一年間について見ますと、
銀行預金は確かに振わなか
つたのでありまして、その原因は昨年度における、いわゆるいろんな経済活動の面における取引の不活溌、こうい
つた面が
銀行預金に反映をいたし、
郵便貯金としては、そうい
つた面に期待するところが余り多くありませんので、順調に
貯金が行
つた、かように
考えております。
なお、補足いたしますと、先ほど
大蔵省からの申入れにつきましては、我々の面におきまして、若しそうい
つた民間をひどく無用に刺激するものがあれば遠慮してほしいということと同時に、
郵便貯金以外に民営の
金融機関の活動で行き過ぎのものがあり、
郵便貯金が、ために非常に不利の条件に陥るものがあれば、それは改めるから遠慮なく申入れてくれ、こういう付け書きも来ておるので、
新聞に報道されましたような
内容とは、
真相は相当変
つておるのであります。