○上條愛一君
只今上程せられました
清掃法案及びあ
へん法案につきまして、厚生
委員会における
審議の経過並びに結果を御
報告いたします。
先ず
清掃法案について申上げます。現在清掃事業の
根拠法規たる汚物掃除法は明治三十三年に制定せられましたものでありまして、五十数年後の今日の情勢に即応した清掃事業を行う上において、もはや十分にその機能を果すことができなく
なつたので、清掃事業の効率的な運営を図るため、新たに本
法案が
提出されたのであります。
本
法案の主たる内容は次の
通りであります。第一は、清掃事業における市町村、都道府県及び国の責務を明らかにすると共に、
国民の積極的な協力についても規定を設けたことであります。第二は、清掃の対象となる汚物について、実態に即応して若干の変更を加えたことであります。第三は、清掃の必要性の地域差を考慮し、特別清掃地域の制定を設けると共に、観光地、キャンプ場、スキー場、海水浴場等季節的に多数人の集合する地域については、期間を限
つて季節的清掃地域の制度を設けたことであります。第四は、特別清掃地域及び季節的清掃地域においては濫りに汚物を投棄することを禁止すると共に、ふん尿は一定の方法によるものでなければ
肥料として使用してはならないこととしたことであります。第五は、清掃施設に関し、し尿浄化槽、し尿消化槽の維持管理の
基準を定め、これらによるふん尿の処理が不完全であると認めるときは、都道府県知事が必要な
措置命令をすることができることとしたのであります。第六は、特別清掃地域内においては、市町村の作業の計画的運営に支障なからしめるために、汚物取扱業は市町村長の許可を要することとしたことであります。第七は、全国的に生活環境の清潔保持を図るため、公共の水域、一定の海域には、濫りにふん尿を捨てることを禁止し、又大掃除の施行について規定をいたしました。
以上が
政府提出案の要点でありまするが、衆
議院においては、技術的及び財政的援助、ふん尿の使用方法の制限による
農家への影響、汚物取扱業に対する許可制、特殊汚物の処理、清掃施設に対する補助並びに融資等について、大幅な修正が加えられたのであります。
衆
議院における修正の要旨は、第一に、清掃地域にあ
つては、業務上その他の事由で多量の汚物を排出する場合には、当該経営者その他に対し、市町村長がその汚物を処分することを命じ得るようにしたのであります。第二には、清掃地域においては、市町村長が農業経営に支障のないように必要な施設を設置するよう責務規定を設けたこと。第三に、施設の整備を図り、災害時の清掃事業の徹底を図るため、国庫補助の規定を設けたことと。清掃施設の設置に要する資金を融通斡旋すべき国の責務を明らかにしたこと等であります。
厚生
委員会におきましては、
政府案並びに衆
議院修正点について慎重
審議が重ねられましたが、更に
農林委員会及び
通産委員会から、修正若しくは要望等の申入れがありましたので、環境衛生と
農家経済又は企業関係との調整或いは清掃施設の整備に対する財政的裏付け等の諸問題、更に罰則に対する
異議申立等については、特に熱心なる質疑検討が行われましたが、その詳細は、速記録によ
つて御了承願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、
堂森委員より、修正
動議の
提出がありました。その修正案の要旨は、一、市町村又は市町村長とあるのは、特別区の存する区域については、それぞれ都又は都知事とすることを明瞭にしたこと。二に、多量の汚物又は特殊の汚物の処理に関する市町村長の
違反命令に不服のある者は
異議の申立をなし得ること等であります。
又湯山委員よりは、本案に対する附帯決議の
動議が
提出されました。案文は次の
通りであります。
附帯決議
清掃事業の徹底を期するため、清掃施設の整備に対しては、
昭和二十九年度以降地方起債の増額を認むる等、資金融通の途を拡大すると共に、国庫補助の増額
措置を講ずることを要望する。
以上を以て討論を終結し、採決に入りましたところ、
堂森委員
提出の修正案及び湯山委員
提出の附帯決議案は、全会一致を以て可決せられ、次いで修正部分を除く
衆議院送付案も全会一致で可決せられました。よ
つて本案は、全会一致を以て修正議決すべきものと決定いたしました。
次に、あ
へん法案について申上げます。明治三十年に制定されました阿片法は、
昭和二十年連合軍総司令部の覚書によ
つて、けしの栽培が禁止され、事実上死文化し、
昭和二十三年麻薬取締法の制定に当
つてこれが廃止せられて今日に及んでおるのでありますが、あへんの国内保有量は逐次減少するに至りましたので、今後国が輸入の途を講ずると共に、終戦直後禁止されましたけしの栽培を復活する必要が生じて来たのであります。又我が国は、一九五三年に調印された国際条約の要請に基きまして、あへんの輸入、
輸出、一手買取り及び売渡しの権能を国に専属せしめる義務も生ずることになりましたので、この際、
国民医療の万全を期するために、その適正な調整を図ることと相成つた次第であります。
本
法案の主たる内容を申上げますと、第一は、けしの栽培についてはあへんの
生産計画及び取締上の観点から、栽培区域並びに栽培面積を指定し、栽培の経営能力等を有する者に栽培許可を与え、けし耕作者に対しては播種前における収納
価格の公告、モルヒネ鑑定前の概算払及び災害補償等の制度を設けてあへんの
生産を行わしむることといたしております。なお学術研究のため研究栽培者の制度も併せて考慮いたしております。第二は、国は、けし耕作者等の
生産したあへんをすべて収納し、あへんの
生産事情、輸入
価格及びその他の
経済事情等を考慮して適正な収納
価格を定めることにいたしました。又収納したあへんは、輸入あへんと共に国が保有し、国内需給
事情に即して適正な数量を麻薬製造業者に売渡し、医療用麻薬の適正な
生産を期しております。第三は、あへんは医療上欠くべからざる麻薬原料でありますが、その半面に恐るべき有害作用がありまするので、従来麻薬取締法に基いて
行なつて来た取締と同様の取締をこのあ
へん法案においてもなすことにいたしたのであります。特にけしの栽培、あへん、けしがら等の取扱に関し、新たな取締規定を整備すると共に、あへん監視員制度を設けたことであります。
以上が本案の大要でありまするが、厚生
委員会におきましては、四回に亘り慎重
審議が続けられ、あへん行政と取締関係等については熱心に質疑が行われましたが、その詳細につきましては、速記録を御覧願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論に入りましたところ、大谷委員より、本法の施行期日を五月一日に改め、大蔵省設置法の第七条第十七号を改めることの修正
動議が
提出せられました。
以上で討論を終結し、採決を行いましたところ、大谷委員の修正
動議は、全会一致を以て可決せられ、次いで修正部分を除く
衆議院送付案についても、これ又全会一致を以て可決せられました。よ
つて本案は、全会一致、修正議決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御
報告申上げます。(
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