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1954-04-07 第19回国会 参議院 本会議 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月七日(水曜日)    午後一時三分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第三十号   昭和二十九年四月七日    午前十時開議  第一 奄美大島復帰後の振興対策に関する請願委員長報告)  第二 離島航路整備に関する請願委員長報告)  第三 兵庫県沼島の離島振興対策実施地域指定に関する請願委員長報告)  第四 鹿児島県大島郡の復興促進に関する請願委員長報告)  第五 兵庫県灘村の離島振興対策実施地域指定に関する陳情委員長報告)  第六 電源開発に伴う総合開発事業促進に関する陳情委員長報告
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 私はこの際、汚職問題に関する犬養法務大臣態度につきまして緊急質問をいたしたいと思います。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 私は、只今亀田得治君の動議に賛成いたします。
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 亀田君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。亀田得治君。    〔亀田得治登壇拍手
  8. 亀田得治

    亀田得治君 私は日本社会党を代表いたしまして、汚職問題に関して犬養法務大臣がとつておられる態度、この点につきまして重要な点を二、三質問をしたいと存じます。  今回の造船汚職中心としたたくさんの汚職、これは生長期にある日本のデモクラシーにとつて非常に大きな危機を招来しておる。こういうことは、日本の国内の輿論だけでなく、海外の論調においてもそういうことが認められておる。そういう意味で心ある国民なり、或いはまじめな政治家がこの問題を非常に心配をしておる。そういう立場から、こういう汚職問題についてはうやむやにしないで一時も早く徹底的に一切を明らかにする、そうしてその責任の所在を明白にして行く、こういうことが今日国民の要望になつておるのであります。こういう状況の中にありまして汚職の追究という問題について重大な関係のある犬養法務大臣、この大臣行動というものが、ややもすると疑惑の念を以て見られる。私はこれは非常に遺憾なことだと考えておる。例えば今年の一月の中旬、山下汽船横田社長丁度造船疑獄で検挙される二、三日前、一月十三日の午後八時頃中川という料亭で山下太郎氏と大臣は会うた、これだけでも世間は非常な疑いの目を以て見ておる。或いは有田二郎君に対する逮捕許諾が先般衆議院で問題になつた、その間のいきさつにつきましても、大臣行動について割り切れない感情を持つておる人が甚だたくさんおる。或いは犬養法務大臣自身のことに関しても、これは大臣も金額の点は認められておるようですが、昨年の四月、二十万円もらつた。こういう問題は、恐らく大臣自身検察庁から少くとも最低限、事情の聴取くらいはされるべき問題ではないかと私ども考えておる。そういうふうに大臣個人の問題なり、或いはこの一連の汚職関連いたしまして、どうも法務大臣の動きというものが、世間からいろいろな目で見られておられる、そのとき、丁度今回改めて検察庁当局から、衆議院岡田五郎君、關谷勝利君並びにほか一名、こういうものの逮捕請求というものが出て来た。これが四月の三日でありますが、ところが最後には、五日の日に結局は、衆議院岡田關谷両君の二名にこれがなつた。これは新聞が逐一報道しておる通り、非常にこの点は私ども不可解に考えておる。昨日この点につきましては、衆議院法務委員会において我が党の猪俣議員よりも質問が出ておりまするから、私は本会議であり、時間も甚だ短かいので、端的に一つ二、三点この問題について伺いたい。初めのほうは前置きですから、そういうことに時間をとらんようにして、今から申上げる点について具体的に一つ答弁をお願いしたい。  その質問の第一点は、犬養法務大臣佐藤検事総長に対し、今回の問題につき衆参両議員逮捕請求を同時に行うことは、両院の議院運営委員会で同時に説明することができないから、先ず衆議院だけにして、参議院は一両日待つてもらいたい。こういう要求をされたということが、これはあらゆる新聞が確信を持つて報道しておる事実でありますが、この点は、昨日も猪俣議員より質問をされておりまするが、これに対して明確な答えが出ておらない。この新聞記事は全然嘘だというのか、或いは幾らかそれに似通つたことがあるというのか、この点を明確に一つ形容詞を抜きにしてお答えを願いたい。  質問の第二点は、四月三日の検察庁会議におきましては、逮捕請求を決定したのは、岡田關谷両君並びに参議院某氏一名でございます。合計三名でありますが、これが五日には二名になつております。この点に関して、やはり衆議院において昨日質問が出ておりますが、それに対する大臣答弁等をいろいろ検討いたしすると、検察庁からはどうも五名の要求が来たようでございます。これは私は、その答弁の全体を推測してそう判断するのでありますが、それが刑事局長の手元で二名に減らされて、そうして犬養法務大臣のところに正式に書類が来たどきには二名しか載つていなかつたように答弁全体がなつておるのでございまするが、果してこれは事実かどうか。若しそういうことが事実だとするならば、犬養法務大臣も毎日、新聞を御覧になつておる通り、この三日の検察庁における会議の決定というのは、衆議院の二名とあと一名が附加わつておることは誰でも見ておる。これに対して法務大臣は二名しか自分のところに来ない場合は、あと一名は一体どうなつたのかと、これは当然重大な問題でありまするから聞くべきであると思いまするが、そのような御検討をなされたかどうか。この点をはつきりしてもらいたい。私はこの問題は、結局大臣責任の追及を恐れて井本刑事局長責任を負わしておるような恰好をとつているのじやないかと想像するのでございまするが、その間の事情を明確にお答えを願いたい。  質問の第主点は、参議院某氏一名、本朝の新聞によりますると、或いは本日中にも追加の請求が出るのではないかという記事もございまするが、この点は大臣として如何ように見通しを持つておられるか、お伺いしたい。  質問の第四点、汚職問題に関する取調べ、これはだんだん最終の段階に入つて来ておりまするが、法務大臣として、造船汚職中心にした今回の汚職全貌を、この際キヤツチしておられるだけの資料に基いて明らかにしてもらいたい。そして同時にこれらの多くの汚職問題につきまして法務大臣としては如何よう態度を今までとつて来られたのか。これを特に検察庁法第十四条との関連におきまして、法務大臣態度というものを一般的に御説明願いたいと存じます。この点は、極めて重要でありまするから、大臣答弁を聞きまして、更に私は質問をいたしたいと考えます。  時間が非常に少くなつて来ましたので、この際関連をして、わざわざ出席願つた緒方総理に二点だけ質しておきたいと思います。  副総理は、或いは吉田総理も、今回の汚職事件事態が明確になつた上で責任をとる。こういうことが従来言われて来ておるのであるが、事態が明確になるとは如何なることか。今日のこの段階においても、なおそれはその段階でないと考えるのか、これをはつきりお答え願いたい。先日も、社会党第二控室の小林君もこの点を実は質問されたが、あなたは欠席で答えておらないので、この際一緒に答えてもらいた  質問の第二点は、保守合同をあなたが盛んにやられておりますが、国民感情といたしましては、これは汚職問題の責任を回避するためにやつておる。こういうふうに考えておられますが、あなたはその点で、やましい思いはないかどうか。この点をはつきりとお答えを願いたい。  以上で、一応私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  9. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) 最初に、政府はいわゆる汚職事件について今の段階において責任をとる考えはない、如何なる場合に態度を明確にするかという御質問でありましたが、政府といたしましては、この事件全貌司直の公正なる取調べによりまして明確にされ、その汚職内閣に及び、政府判断といたしまして政府責任を明らかにしなければならないと考えるときに責任をとるつもりであります。  それから保守合同の問題でありますが、別に私は盛んにやつておりません。これは汚職とお結び付けになりましたが、汚職の噂です。噂の如何にかかわらず、政府としては政局安定のためにこれは終始努力すべきことであり、先般鳩山自由党復帰に際しましても、政府はその意思を発表いたしましたが、今後におきましても、保守合同ということは政局を安定する有力なる事態を作るゆえんであると考えましてやつて行くつもりであります。(拍手)  それから四月五日の本会議場におきまして、小林亦治君から御質問がありました。たまたま私出席しておりませんでしたので、ここにこの機会に御答弁いたします。  四月五日の本議場における小林議員の御質問のうち、私に対する部分についてお答えいたします。お尋ね要点は、いわゆる造船疑獄等関連し、内閣政治責任をどう考えておるかということであると存じまするが、この点につきましては、しばしば申しました通り政府としては現在司直の手で取調中の事件については、事実の全貌が明確となつた上で善処いたしたい考えであり、現在はむしろ軽々に決定的な言動に出ることを慎しみ、緊急を要する施策の推進に万全の努力をいたすことが政府責任であると考えております。(拍手)    〔国務大臣犬養健登壇拍手
  10. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 亀田君にお答えを申上げます。  最初に、法務大臣としてはできるだけ厳正公正であつて社会疑惑を招かないようにという御意見は、全然同感でありまして、素直な心持で傾聴いたしました。  それから汚職問題は、一刻も早く徹底的に捜査して社会の期待に応えるようにと、これも私は同感でございまして、かかる不祥事をのんべんだらりと何ヵ月もかかつて、際限がなく、どういう態度当局はやつているかというような疑惑が起りましては、法務省社会に報ゆるゆえんではございません。できるだけ夜を日に継いで、文字通し健康を第一線の職員が害しても、それを忍んで徹底的に今捜査を進めておりますから、その点御了承を願いたいと存じます。  それから次に、今般誠に不幸なことでございますが、衆議院議員岡田氏、關谷氏に対して逮捕請求を裁判所を通じていたしたのでありますが、それに関しまして、初めは新聞紙が三人と言つているではないか。それを二人に減らしたのは如何なるゆえんであるか。又減らし方もお前は責任を回避して、下僚の井本刑事局長責任のように答えているように聞こえるが、その真相はどうであるかと、こういうことでございます。これについては、事柄も重要なことでございますし、或る部分は当院にも御関係のある部分でございますから、できるだけ誠意を以てお答えをいたしたいと思います。  御承知のように、特に重要な事件につきましては、法務省は、関係書類を一切挙げて検察庁からこれを受取りまして、主として刑事局長がこれを熟読いたしまして、大変厖大書類の場合には一々法務大臣が読むということも不適当な場合がありますので、要点を摘出いたしまして、それを逐一報告いたしまして、法務大臣指揮を請うことになつております。これは御指摘もありましたが、検察庁法第十四条に基礎を置いている次第でございます。そこで今般も、岡田關谷議員についての逮捕請求に関する書類、これは四月の、三日の土曜日にかけて、日曜日も費したようでありますが、逐一、詳細且つ丁寧に読みました次第でございます。そうして四月の五日の午前に私の補佐役なつております清原法務次官井本刑事局長最後の私の判断を請いに来たのでございますが、正式にその場合に逮捕請求の対象となりましたのは、御指摘のように關谷岡田の両議員でございます。これは私はいつ如何なる場合にも、この点は真実として申上げる次第でございます。  それで、そのほかに何名あつたか、それをどうして二名に限つたかというようなことは、捜査の秘密に属します。殊に国会議員個人の名誉に関係するところ多大でございますから、ここで申上げる限りではないと思うのでございます。(拍手)  それからその際に、二名以外についていろいろ事情を聞いたかと、亀田議員は他の一名というお言葉をお使いになりましたが、二名に関するほかにも、いろいろ関係事項報告が勿論ございまして、私は検事総長を通じて指揮をする必要上、勿論いろいろの質問をいたしておりますが、その質問の内容を今日ここで申上げることは、これも事個人の名誉に関係いたしますので、省かして頂きたいと存じます。(「それは新聞に出ている」と呼ぶ者あり)  又、新聞に出ているというお話がございましたが、新聞社は今日におきましては、私が勿論政治的圧迫をしたことでもなく、或る別の理由、ほんの事務的な理由で以て二名になりたということを承知しておるのでございます。又私が、政治的に不当に圧迫いたしますならば、勿論身分を保障され、独立の誇りを持つて働いております検察庁が、ただ、唯々諾々として従うわけはございません。その信ずるところを飽くまでも私に主張することでございましよう。逮捕請求に関する衆議院議員が二名ありました後も、検察庁を仔細に御調査下さるならば御了解を得ると思いますが、どこの隅にも不平の影はございませんことを断言申上げる次第でございます。  最後に、これは附随して申上げて御了解を得たいと思いますが、私自身が、山下汽船から二十万円をもらつておるということがございましたら、私は政治責任をとりたいと思つておりますが、さようなことはございません。(拍手)    〔亀田得治君「まだ答弁が残つていますよ」と述ぶ〕
  11. 河井彌八

    議長河井彌八君) 亀田君の登壇を求めます。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 答弁を先にやつて下さい。捜査状況法務大臣態度ですね、それから最初新聞記事を否定するのかどうか。    〔国務大臣犬養健登壇拍手
  13. 犬養健

    国務大臣犬養健君) 最初の、新聞記事を否定するかどうか。勿論新聞人というものは、それぞれ非常な勉強、努力で以て、自身としては根拠ありと思つて書かれる点でありますから、直接の批評は避けますけれども、今日においては先ほど申上げましたように、二名になつたことについて、何ら不正な政治的圧迫がないということは、承知しておられるということを私は承知しておる次第でございます。(「これはどうも本当らしいな」と呼ぶ者あり)  それから汚職に関する一応の概略を申上げたいと思います。そうしてそれに関する私の態度を申上げたいと思います。お尋ねのいろいろの不正事件につきましては、すでに御承知のように、造船に関する事件鉄道会館その他陸運に関する事件保全経済会に関する事件等でございますが、第一に造船に関する事件関係につきましては、昭和二十八年八月二十八日に東京地検に対して森脇将光より江戸橋商事株式会社代表取締役志賀米平日本特殊産業株式会社取締役猪股功の両名に対しまして、詐欺商法違反等の告訴がありまして、その捜査中日本特殊産業株式会社日本海運株式会社山下汽船株式会社等から多額の不正融資を受けていることが判明いたしましたので、これに関する捜査を開始いたし、その結果現在までの処理状況は次の通りでございます。  先ず、日本海運株式会社関係につきましては、社長塩次鉄雄ほか一名を逮捕いたしまして、塩次商法違反即ち特別背任として公判請求いたしました。  山下汽船株式会社関係につきましては、社長横田愛三郎ほか三名を逮捕いたしまして、同人らを商法違反贈賄等公判請求をいたしました。  第三に、日本通運株式会社関係につきましては、元東京支店長、現在の交通協力会長でありますところの近藤順二ほか五名を逮捕いたしました。近藤ほか二名を商法違反として公判請求いたしました。  次に、株式会社名村造船所関係につきましては、同社取締役社長名付源ほか四名を逮捕いたしまして、名付源ほか一名を贈賄として公判請求いたしました。  飯野海運株式会社関係につきましては、社長俣野健輔ほか五名を逮捕いたしまして、うち三名を商法違反贈賄等公判請求いたしました。  次に、東西汽船関係に関しましては、社長北村正則ほか一名を逮捕いたしまして北村贈賄として公判請求いたしております。  運輸省関係につきましては、官房長壺井玄剛はか四名を逮捕いたしまして、壺井ほか五名を収賄等公判請求いたしております。  ほかに経済審議庁審議官井田研二郎商法違反、教唆で公判請求をいたしております。  なお名村造船関係につきましては、有田衆議院議員について贈賄として公判請求をいたしておりますが、その他につきましては、現在捜査中でございます。  更に、塩山船渠株式会社東西汽船日本船主協会日本造船工業会、日立造船日本油槽船大洋海運、新日本汽船浦賀船渠中野汽船播磨造船、新三菱重工、川崎重工、山陽造船、新日本海運、石川島重工業及び日平産業等関係につきましては、関係者三十数名を、いずれも商法違反贈賄、業務上横領等容疑で現在これは取調中でございます。  次に、鉄道会館をめぐる事件につきましては、東京地検におきまして造船に関する汚職事件捜査中に、新たに日本交通公社帝都高速度交通営団等役員等に、鉄道会館をめぐる贈収賄容疑が生じましたので、造船汚職関係とは別個に捜査を進めておりますが、現在までの処理状況は次の通りでございます。  即ち、日本交通公社関係につきましては、会長高田寛氏ほか二名を逮捕いたしまして、高田氏を贈賄として公判請求いたし、有田衆議院議員につきましては、更に収賄として公判請求をいたしております。更に藤田義光衆議院議員ほか、鉄道弘済会、帝都高速度交通営団日本交通文化協会第一商事株式会社等関係につきましては、関係者数名を贈収賄等容疑で現在取調中でございます。  それから保全経済会関係につきましては、去る一月二十六日東京地検におきまして、元同会理事長伊藤斗福ほか四名を逮捕いたしまして、同日から翌二十七日に亘り全国各地地方検察庁におきまして、保全経済会の本店、支店等二百数十カ所を一斉捜索いたしました。本年二月十七日東京地検におきましては、伊藤斗福望月京一井上俊吾中村五郎ウイスリー・ケー・大山等をそれぞれ起訴いたしました。その後同検察庁におきましては、本年三月十七日右伊藤斗福につきまして詐欺罪で、同月十九日右望月につきましては銃砲刀剣類等所持取締令違反で、それぞれ追起訴いたしました。現在各被疑者につきましては、全国各地地方検察庁におきまして、それぞれ余罪を捜査中でありますが、いわゆる政治献金についても目下併せて捜査中でございます。  それからこれら事件につきまして、私の態度如何というお話でございますが、先ほどもちよつと触れましたが、重要事項につきましては、検察庁から法務省、主として刑事局長に一件書類全部を送つて参りまして、刑事局長がこれを読んで要点を書取りまして法務大臣報告し、その指揮を受けることになつております。そうしてその指揮は、検察庁法第十四条に基きまして、検事総長を通じていたすのでございますが、実際の場合を率直に申上げまするならば、指揮ということは、勿論私の権限にございますが、事の円満に運びますために懇談をし、勿論私も、職責上不審の点については不審を質し、自分意見を言うことも勿論ございます。協議をし、懇談をいたして円満なる妥結の上に最後判断がおかれるように実際の努力をいたしておりまして、このやり方は今まで曾つて一度も齟齬を来たしておらないのでございます。昨日も委員会におきまして御質問がございまして、そういう場合に、検察庁法務省意見違つた場合は、法務大臣においてどういうふうに取扱つておるか、実際の状況を話せということがございましたので、この際、御参考までに申上げるのでありますが、中途経過におきましては、ままございます、法務省検察庁意見の違いのあることもございますが、意見の相違のまま、二つの相違したる意見双方を私の手許まで持つて参りまして、そのまま最後判断をしろという場合は実際はないのでありまして、私の手許事件が参りまして、私の指揮を受けるまでには、双方円満な話合いをいたしまして妥結をした形で持つて来ることになつておるのでございます。而してその場合でも、私は勿論不審の場合は不審を質し、私の意見を申すことがありますけれども、飽くまでも双方の円満な協議の下に、最後の結論をお互いに努力して助け合つて出し合うという形をとつておりまして、未だ私の指揮検察庁不平を招いたという報告を受けておりません。私はその点は最善を尽しておるという自信を持つているのでございます。併し今後とも、私にも落度のあることがございますから、十分それは気を付けまして、事柄の重大を自覚して検察行政を円満に且つ厳正公正にいたしたいと考えております。(拍手)    〔亀田得治発言の許可を求む〕
  14. 河井彌八

    議長河井彌八君) 亀田君。    〔亀田得治登壇拍手
  15. 亀田得治

    亀田得治君 あと四分しかありませんので、一点ずつお伺いをいたしたいと存じます。  それは、只今法務大臣検察庁法の十四条の運用につきまして非常に重大な事実関係の御説明をされました。で、一言で言いまするならば、検察当局とよく懇談をして、そうして事を運んでおる。これは非常に重大な問題だと思うのです。私どもが検察庁法第十四条、これを正直に見ますれば、法務大臣指揮権を持つておるわけなんですね。これは指揮したらいいのです、指揮を。指揮には二通りあるわけですね。前のほうに進む指揮とさがるほうの指揮と。問題によるのですね、問題に。例えば外国との関係事件とか、これは国際関係考えてこの程度にすべきだとか、そういう場合には、いくらかさがる場合もあるでしよう。ところがこういう汚職というような場合には、さがるほうの指揮では駄目だ。前進するような指揮権を十四条によつて法務大臣がとらなきや駄目だ。国会議員逮捕を、期間中院許諾を求める、これは決して破廉恥罪を擁護する意味じやないですからね。時の権力者から、政治家として大事な国会の会期中に議員逮捕される一種のクーデター的なことを防ぐ、こういうところに、この制度の発達というものが歴史的にあるわけです。そういうところから考えても、こういう破廉恥罪なんかの場合には、あくまでも法務大臣検察庁法の十四条によつて、しつかりやれと、こういうふうに鞭撻するような指揮をとらなきや駄目なんです。あなたの先ほどの説明を聞いておりますと、それがやられておらない。逆に何かいろいろ御相談をなさつておるようですね。結局はその相談というのは、それは私聞きますが、具体的に答えて下さい。そういう協議をするという、一体法的な根拠はどこにあるのです。ほかのことを言わないで、それを答えてもらいたい。あなたは指揮をするという権利は持つておるかも知れんが、そういう両者協議してやる場合には、両者協議してやるというふうに法律は書いてありますよ、こういう命令系統の場合には。それをふみにじつて、あなたが協議をされておる。結局それは協議の名にかりまして、十四条を悪用して実際はチエツクしている。これがあなた、世間が見ておるところの常識ですよ。これを一つ、あなたは法的にいかなる根拠で、そういうことをされているか。この際明らかにしてもらいたいと思う。  それから緒方総理に一点だけお伺いいたしますが、あなたは現在の段階では、まだ責任をとるような状況ではない。こういうことなんですが、私はいろいろそれに対する反駁もいたしたいのですが、まあそれは理窟になりますから、ただ一つ私が本日持つて参りました輿論調査ですね、これに対して、あなたがどういう考えを持つていられるか。この世論に対してあなたはどういうお答えをなさるか、答えてもらいたい。それは、あなたもすでに御覧になつたと思いますが、三月十八日、十九日の東京、大阪、横浜で行われた読売新聞の調査でございます。それによりますと、「あなたはこれらの汚職事件が起つたことについて吉田内閣責任をとるべきだと思いますか或いはとらなくともよいと思いますか」と、この質問に対しまして、責任をとるべきだと、はつきり出されたものが全体の六七%、責任をとらなくともよいと、あなたのようなお考えを述べられたのは一二%、これは先月の中旬なんですよ。その時とは、現在比較するならば、新らしく逮捕要求が出たりして事態は明らかに進展をしておる。私は、副総理には、こういう国民の声というものに対して、どういう一体はつきりとしたお答えができるか。これについてあなたの答えをもう一度求めたい。(拍手)    〔国務大臣犬養健登壇拍手
  16. 犬養健

    国務大臣犬養健君) お答えを申上げます。検察庁法第十四条の指揮に関して懇談するとはけしからんではないか、いろんな形容詞を付けずに、はつきり答えろということでございますが、懇談というのは、指揮の準備の協議でありまして、これは検察庁法十四条が指揮しか書いてないから、検事総長が入て来たら、いいとか悪いとか言つてあと出て行けと、そういうことでは、私は円満なことができないと思う。(拍手)恐らく亀田さんが司法大臣になられても、準備行為としての協議をなさることは断言して憚りません。又、明治以来の如何なる司法大臣でも、指揮の一言、イエスかノーか言つてあと出て行つてくれと、これ以外は、検察庁法に悖ると言うような人は一人もないと確信いたします。従つて私は、今日申上げる次第でございますが、今後といえども、飽くまでも円満に省務を運ぶために指揮の準備行為である協議はやつて行くつもりでございますから、ここに明言いたしておきます。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎登壇拍手
  17. 緒方竹虎

    国務大臣緒方竹虎君) お答えをいたします。いろいろな噂、風説が飛んでおるような場合に、軽々に政府が進退をすべきものでないと考えております。政府は、この汚職が若し万一政府に及んだことがありといたしましても、政府判断によつて責任をとるべき段階にあると判断いたした場合に進退いたします。(「議会政治を忘れたか」「民意に反する政治だぞ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)      —————・—————
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一より第四までの請願及び日程第五及び第六の陳情を、一括して議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。経済安定委員長早川愼一君。    〔早川愼一君登壇拍手
  20. 早川愼一

    ○早川愼一君 只今議題となりました請願及び陳情につきまして、委員会の審査の結果を御報告申上げます。  請願第二百三十四号及び第千九百七十四号は奄美大島の復興に関するものでございまして、大島郡の現状は荒廃その極に達し、港湾、道路、学校、通信施設、交通機関等、速かに対策を必要とする問題が山積しており、これが復興は、赤字財政に悩む鹿児島県として、は容易ならざるものがあるから、島民の生活を内地なみに建て直すため、国の責任において万全の復興を図られたいという趣旨であります。  請願第七百六十一号は、兵庫県沼島は、淡路島から南四キロ、徳島から三十二キロ、和歌山から三十七キロの太平洋に面する離島でありますが、離島復興法第一条に該当すると考えられるから、離島振興対策実施地域に指定せられたいという趣旨であり、陳情第二百九十二号も、兵庫県離村は、淡路島の最南端に位置し、隣接町村と隔絶し、南は沼島と共に太平洋に面しており、交通、産業、文化、いずれの面におきましても島内他町村と比較にならない低劣な現状であるから、灘村を離島振興対策実施地域に指定せられたいという趣旨であります。  請願第五百二十九号は、香川県豊島村は、海上交通が極めて不便のため、島民の生活が極度に貧困化しているが、海上交通を改善すれば、産業、経済、政治、教育、文化等、あらゆる面で飛躍的な進歩向上が図られ、民生の安定が得られるから、離島振興法を適用して、航路を整備し、村民の困難を一日も早く解消せられたいという趣旨であります。  最後陳情第三百十三号は、産業の根幹をなす電源開発は、現今における緊要事であるから、北陸、近畿を通じての地勢的条件並びに電源の分配状態等を再認識して、福井県真名川上流、滋賀県琵琶湖、三重県宮川上流、和歌山県熊野川上流における各総合開発事業の早期完成並びに着工について善処せられたいとの趣旨であります。  以上請願四件、陳情二件につきましては、いずれもおおむね妥当なるものと認め、議院の会議に付し、内閣に送付すべきものと決定した次第でございます。  以上、御報告申上げます。(拍手
  21. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより採決をいたします。  これらの請願及び陳情は、委員長報告通り採択し、内閣に送付することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  22. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつてこれらの請願及び陳情は、全会一致を以て採択し、内閣に送付することに決定いたしました。  本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十八分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、汚職問題に関する犬養法務大臣態度についての緊急質問  一、日程第一乃至第四の請願  一、日程第五及び第六の陳情