○大矢半次郎君 只今議題となりました
所得税法の一部を改正する
法律案ほか十四
法律案の大蔵委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
先ず最初に、今次の税法改正の基本方針について申上げます。御承知のごとく、
昭和二十九年度税制改正の方針といたしましては、租税負担の調整と資本蓄積の促進を図り、併せて奢侈的消費の抑制、国際収支の改善等に資するために、所得税、法人税等の直接税の負担を軽減合理化すると共に、他方奢侈高級品を中心とする間接税の増徴、新設を行い、その他課税の適正、簡素化及び地方財源の偏在是正を図ろうとするものであります。以下、上程順序に従いまして、各法案について御報告申上げます。
先ず、
所得税法の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案の主な改正点を申上げますと、第一点は、主として低額所得者の負担の軽減を図るため、基礎控除額を現行六万円から七万円に引上げ、扶養控除額を、最初の扶養親族については現行三万五千円を四万円に、二人目及び三人目については現行二万円から二万五千円にそれぞれ引上げようとするものであります。但し
昭和二十九年分については、この改正を四月から実施したものとして計算した金額とし、給与所得に対する源泉徴収は四月以降の分についてはこの改正後の平年度の金額により計算した税額によることとしております。第二点は、資本蓄積の促進に資するため生命保険料の控除額を現行八千円を一万二千円に、但し
昭和二十九年分については一万一千円に引上げると共に、又別途租税特別措置法の改正によつて個人の長期の定期性預貯金等の利子並びに配当所得に対する源泉徴収率をそれぞれ引下げようとするものであります。第三点は、退職所得及び山林所得の負担の軽減合理化を図るため、退職所得についての現行二十万円の控除額を勤務年数が十年を超えるものについては、勤務年数に応じて最高五十万円まで引上げることとし、又山林所得については、他の所得と分別して五分五乗の方式により課税しようとするものであります。第四点は、青色申告の普及に資するため、青色申告者についての専従者控除の限度額を基礎控除額と同額まで引上げると共に、配偶者についても専従者控除を認めることとしようとするものであります。第五点は、申告所得税について手続の簡素化を図るため、予定申告制度を予定納税制度に改めて、前年分の所得税額を基礎とした税額により申告を要しないで予定納税することにしようとするものであります。このほか変動所得の課税方式の簡素化を図り、又第三者通報制度を廃止する等、所要の規定の整備を図ろうとするものであります。
さて本案審議に当つては、他の租税関係法案と共に税制一般に関する公聴会を開くほか、特に間接税関係法案については参考人より意見を聴取する等、慎重なる審議が行われたのでありまするが、その詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
質疑を終り討論に入りましたところ、成瀬委員より、今回の措置は何ら勤労者の税負担を軽減するものではなく、むしろ圧迫するものであるとの反対意見が述べられ、採決の結果多数を以て、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
法人税法の一部を改正する
法律案について申上げます。
法人税について、資本蓄積の促進、資本構成の是正及び輸出振興に資するための所要措置は、別途提案されている租税特別措置法の改正によることとし、本案においては同族会社の積立金に対する累積課税制度を廃止し、一定限度を超えて新たに利益のうちから積立てた場合には、その年度において一回限りその積立てた一定の金額に対して百分の十の税率により課税することといたすと共に、又同族会社の範囲についても、現在株主の一人が株式の三〇%以上を有している場合に同族会社に該当することとなつているのを、五〇%以上を有している場合に改めようとするものであります。このほか中間納付額の還付規定の整備、第三者通報制の廃止等、所要の規定を整備いたそうとするものであります。本案審議においては大法人と中小法人との間に租税負担の不均衡が生じていること、協同組合の収益を非課税とすべきではないか等について種々熱心なる質疑応答が交されたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知願います。
かくて質疑を終局し、討論に入りましたところ、小林委員より、「租税特別措置法等により、法人の租税負担には相当の開きが見られるので、法人税の軽減については一律的に効果を図り得るような引下げを強く要望する」との希望を付して賛成の意見が述べられました。
討論を終了し採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
酒税法の一部を改正する
法律案について申上げます。
酒税につきましては今次の税制改正の一環として増徴を図ろうとするものでありますが、現在の
酒税の負担の実情等に鑑みまして、今回は高級酒類を中心として、清酒、特級及び第一級、ビール並びに雑酒特級についてその税率を五分乃至一割程度引上げようとするものであります。本案の審議の詳細は速記録によつて御承知願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、菊川委員より、「
酒税の引上げを行うことは物価引下げを標榜する政府の方針に逆行するもので、少くとも政府で決定し得るものについては現状維持に据置くべきである」との反対意見が述べられ、採決の結果多数を以て、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
印紙税法の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は、
昭和二十三年以来現行税率が据置かれておりました印紙税につきまして、その後の物価の上昇等を考慮して今回定額課税の税率を、委任状については二円を五円に、受取書等については二円を十円に、それぞれ相当程度引上げる等の改正を行おうとするものでありますが、他方免税点を現行千円から三千円に引上げることとし、三千円未満の小額の受取書等には課税されない措置を講じようとするものであります。委員会における審議の詳細は速記録によつて御承知願います。
質疑を終了し、討論採決の結果、多数を以て、原案通り、可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
砂糖消費税法の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は最近の砂糖の消費状況等に鑑みまして砂糖消費税の増徴を図ろうとするものてあります。即ち樽入黒糖及び樽入白下糖を除いた含蜜糖、分蜜糖、糖蜜等についてそれぞれ二割程度の増徴を行おうとするものであります。本案の審議の詳細は速記録によつて御承知願います。
質疑を終り、討論に入りましたところ、成瀬委員より、「砂糖は家庭必需品であるから今回の値上は結局大衆課税となること、及び三カ月以内の延納を認めている優遇措置は取りやめるべきである」との反対意見が述べられました。
討論を終り、採決の結果、多数を以て、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
揮発油税法の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は、最近における揮発油の消費の状況並びに租税負担の程度等を勘案して、その税率を一キロリツトルにつき現行一万一千円を一万三千円に引上げようとするものであります。本案の審議の詳細は速記録に譲りたいと存じます。
質疑を終局し、討論採決の結果、多数を以て、原案通り、可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、米国対
日援助物資等処理特別会計法等を廃止する
法律案について申上げます。
米国対日援助物資等処理特別会計は、米国対日援助物資等の取得及び処分等について、政府の経理を明確ならしめるために
昭和二十五年に設置されたのでありますが、
昭和二十六年七月一日以降米国の対日援助の打切り、更に同年九月一日以降軍払下物資の払下打切り等の経緯を経まして、現在は未収金の回収、残存物資の処理等の清算段階に入つているのでありまして、この特別会計設置の目的も達せられましたので、
昭和二十八年度限りこの特別会計を廃止することとし、その資産及び負債について一般会計に帰属せしめる等所要の規定を設けようとするものであります。
本案の審議に当りましては、一般会計に帰属する予定の資産及び負債の内容、なかんづく未収債権の回収の方針及びその見通し等について執心な質疑応答が交わされましたが、詳細は速記録によつて御承知を願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、菊川委員より、「未収債権はややもすると自然消滅の危険があり、その回収を十分図つた上でこの特別会計を廃止すべきであると考えるので本案に反対する」との意見が述べられました。
討論を終り、採決の結果、多数を以て、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
製造たばこの定価の決定又は改定に関する
法律の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は、日本専売公社
製造たばこの最高価格を定めている価格表のうち、両切紙巻たばこピースの最高価格十本当り四十円を五円引上げて四十五円に改定しよううとするものであります。
本案の審議に当りまして各委員から執心な質疑が行われましたが、その主なものについて申上げますと、「財源確保のためピースの価格の引上げを行うとあるが増収見込額は何ほどか」との質疑に対し、「ピースの値上で若干その需要がひかり移行することを見込み、その両者で国庫納付金の増四十五億円を見込んでいる」との答弁があり、又「現行専売益金制度はこの際再検討して、
製造たばこの価格を製造原価に企業利益を含めた販売価格と消費税に相当する税金に分けるべきではないか。この研究方を二年前から当局に要請してあるが、未だに結論を得ていない。大蔵大臣はこの問題をどう考えるか」との質疑に対し、「この問題については、最近設置された公共企業体合理化審議会で研究中であり、今後半年以内にその意見が申出られることになつておるので、これに基いて善処したい」との答弁がありました。その他
製造たばこ、特にゴールデンバツト、みのりの品質の改善の問題、専売公社の庁舎新営の問題等についても質疑応答が行われましたが、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入り、菊川委員及び東委員より、それぞれ反対の意見が、平林委員、小林委員及び堀木委員より、それぞれ賛成の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て、原案通り、可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
財政法第四十二条の特例に関する
法律案について申上げます。
安全保障諸費は、
昭和二十七年度一般会計予算に五百六十億円計上されましたが、駐留軍の都心より郊外への移転等が予想外に遅れたため、又連合国財産補償費は同年度一般会計予算に百億円計上されましたが、補償の請求書が平和条約発効の国ごとに発効後一年六カ月までに提出されることに法定されており、且つその審査は技術的に相当困難を伴うものがあるため、この両経費の相当額が繰越明許費として
昭和二十八年度に繰越されたのであります。
財政法によりますと、繰越明許費については、事故繰越として更にその翌年度へ繰越ができることになつておりますが、事故繰越をするためには、当該年度中に支出負担行為をなさなければならないことになつております。然るに安全保障諸費の経費は、対外交渉によつて処理する必要のあるものが大部分であつて、政府の一存を以て支出することが困難であること、又連合国財産補償費の経費は、大半の補償請求書の提出が期限間際であつたこと、及びその審査上の困難等の事情のため、本年度中に支出負担行為をなし得ないものがあると考えられるのであります。本案は、右の事情に顧みまして、
昭和二十七年度一般会計予算に繰越明許費として計上された両経費で
昭和二十八年度内に支出を終らなかつたもののうち、事故繰越以外の経費も
昭和二十九年度まで繰越して使用することができることとしようとするものであります。
本案の審議に当りまして、各委員から熱心な質疑が行われましたが、その主なものについて申上げますと、「この特例法によつて、
昭和二十八年度から
昭和二十九年度に繰越して使用される額は何程であるか」との質疑に対し、「その額は安全保障諸費で約九十二億円、連合国財産補償費で約七十億円の見込である」との答弁があり、「安全保障諸費の繰越額のうちには、目下折衝中の営繕関係のものがあり、その額は四十億円にも及ぶとのことであるが、この繰越額は更に次年度に繰越さなければならないことになりはしないか」との質疑に対し、「安全保障諸費支弁の諸工事はすべて
昭和二十九年度中に完了させる考えであるので、事故繰越の経費以外は次年度に繰越すことはない」との答弁があり、又「安全保障諸費は全額を支出しなければならない約束になつているため、
昭和二十九年度への繰越額は全部使つてしまわなければならないようなことになりはしないか」との質疑に対し、「そのような約束はないから、全額を使わなければならないことはなく、又使つてしまうというような気持もない。今後の物価の動向によることであるが、国民の血税で賄われているのであるから、極力節約を図りたい」との答弁がありました。その他安全保障諸費の使用状況及び今後の使用見込、安全保障諸費と防衛支出金との関係、連合国財産補償法による補償請求処理状況、特に株式に対する損害額の算定方法、繰越額と一兆円予算との関係等についても質疑が行われましたが、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、小林委員より、「かかる特例を設けることは
財政法の建前上好ましくない、今回の措置は容認するが、
昭和三十年度以降は、この種特例を設けることは厳に慎まれたい」との附帯決議を附して賛成するとの意見が述べられ、次いで菊川委員、季林委員及び東委員より、それぞれ反対の意見が、木内委員及び堀木委員より、それぞれ賛成の意見が述べられ、採決の結果、多数を以て、原案通り可決すべきものと決定いたしました。
次いで小林委員提出の附帯決議案を採決の結果、これ又多数を以て、本委員会の決議とすることに決定いたした次第であります。
次に、
関税定率法の一部を改正する
法律案について申上げます。
今国会において先に成立を見ました関税法案は、現下の諸情勢に鑑みて近代的な法制にするため、全文改正を行なつたのでありますが、本案も同様の見地から、輸入税表を除く本則を全文改正し、複関税制及び免税規定等について整備を図る等の改正をしようとするものであります。
主なる改正点を申上げますと、第一は、将来ガツト等の協定に加入する場合を考慮して、従価一〇〇%以下の複関税制を設け得る規定を設けたことであります。第二は、現行法では性質の異なる免税を一括して無条件免税として規定しておりますのを免税の性質に応じまして、無条件免税、特定用途免税、外交官用貨物等の免税及び再輸出免税等に分類整理し、新たに増殖用動物を無条件免税とし、携帯輸入品の取扱について、具体的に明確な規定を設けようとすることであります。第三は、輸入された貨物が違約品であるため、返送する際においては一定の場合に戻税できる規定を設けようとすることであります。第四は、製造用原料品の減免税規定に、輸出綿布等ののり付け仕上げに必要とされますコーンスターチ製造用のこうりやん及びとうもろこしを新たに加え、輸出貨物の製造用輸入原材料の滅免税又は戻税を行う場合、輸入原料品と国内産料品を混じて使用する場合の便宜取扱を認めようとすることであります。第五は、金鉱業用機械等の免税規定を廃止し、重要機械類及び児童給食用乾燥脱脂ミルクの免税措置を
昭和三十年三月三十一日まで一年延期し、別表甲号に新たに大衆建築用材でありますヘムロツクその他のつが属のもので厚さが二百ミリをこえないものを加え、別表甲号及び乙号に掲示された物品の免税及び減税措置を、
昭和三十年三月三十一日まで更に一年延期する等の関税率の暫定的な調節を図ろうとすることであります。
委員会におきましては、カーボンブラツクについて参考人より意見を聴取する等、慎重審議をいたしたのでありまして、本案とガツトとの関係、本案によつて一年間免税となります木材、活生炭及び新聞用紙等の需給状況、関税率審議会の委員の任命、密輸出入取締の状況等について質疑応答が交わされたのでありますが、詳細につきましては速記録によつて御承知願いたいと存じます。
質疑を終り、討論に入りましたところ、小林委員より、「カーボンブラツクの輸入税率は、更に
昭和三十年三月三十一日まで二割を一割に軽減することとして別表乙に掲げられているが、参考人の意見等に表明されたことく、同表の他の品目とは異なるものであり、今後その減税期間については別個に検討されたい」との希望を附して賛成意見が述べられ、平林委員より、「本案の審議は、衆議院の審議状況に制約されて時間的余裕がなく、十分審議がなされず、本院の本質にもとるものであるから、職責上遺憾ながら反対せざるを得ない」との反対意見が述べられ、次いで堀木委員より、「本案の内容はおおむね妥当と考えるが、ガツトに仮加入した今日、複関税制は絶対必要な規定であり、その適用について当局の熱意あるところを表示されたい。カーボンブラツクについては、小林委員と同様の見解から今後善処されることを希望する」との賛成意見が述べられました。
討論を終了し、採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
相続税法の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は主として中間資産層に対する負担を軽減するため、最低税率を引下げる等累進税率の緩和を図ると共に、生命保険金及び退職金に対する控除額を現行三十万円から五十万円に引上げることとするほか、相続財産である立木について所得税の負担を考慮して、立木の評価は取得時の立木の時価に百分の八十五の割合を乗じて算出した金額によることとし、評価の合理化を図ろうとするものであります。更に、
恩給法の規定による扶助料に関する権利を課税対象から除くこと、第三者通報制を廃止すること等所要の規定の整備を図ろうとするものであります。本案審議の詳細は速記録によつて御承知願います。
質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
酒税の保全及び
酒類業組合等に関する
法律の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は
昭和二十八年二月
酒税の保全及び
酒類業組合等に関する
法律が公布された後の同法実施の状況に鑑みまして、
酒類業組合等の実情に即した運営を図るため、
酒類業組合等の定めようとする協定の内容が、当該組合等が直接又は間接の構成員となつている連合会又は中央会が大蔵大臣の認可を受けて定めている協定と同一の内容であるときには、大蔵大臣の認可は必要とせず、届出を以て足りることとし、手続の簡素化を図ろうとするものであります。
本案審議においては、酒造業者の免許制度、滞納
酒税の処理状況等について執心なる質疑応答が交わされたのでありますが、詳細は速記録によつて御承知願います。
質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て、原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
国税徴収法の一部を改正する
法律案について申上げます。
本案は、最近における国税徴収の実情に鑑みまして、納税の便宜を図るため、収税官吏が納税者から歳入の納付に使用できる証券以外の有価証券で取立の確実なものによる納税の委託を受けることができる制度を設けようとするものであります。又、税関において徴収することとなつている輸入品に対する内国消費税の滞納による滞納処分につきましては、現在税務署において行なつておりますが、今回事務の簡素化を図る見地より、税関においても行うことができることとする等、所要の規定の整備を図ろうとするものであります。委員会における審議の詳細につきましては速記録に譲ることを御了承願います。
質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、
資金運用部特別会計法の一部を改正する
法律案について申上げます。
資金運用部特別会計法第八条第一項の規定によりますと、資金運用部特別会計において、毎会計年度の決算上剰余を生じましたときは、運用資産の価額の減損の償却等に充て、且つ残余のあります場合は、その二分の一に相当する金額を積立金として積立てることとなつておるのでありますが、現在はこの残余の額について毎年度予算の定めるところにより、一般会計の歳入に繰入れることができる暫定措置が講ぜられておるのであります。又、郵便貯金特別会計法によりますと、郵便貯金特別会計の歳入が不足ずるときは、その補填のため予算の定めるところにより、一般会計から繰入金をすることができる暫定措置が講ぜられておるのであります。本案は、この間の経理手続の簡素化を図りますために、
資金運用部特別会計法の一部を改正して、
昭和二十九年度以降においては、当分の間資金運用部特別会計の決算上生じます残余の額は、予算の定めるところにより、郵便貯金特別会計の当該年度の歳入不足額を限度として、資金運用部特別会計から直接郵便貯金特別会計の歳入に繰入れることができることとしようとするものであります。而してこの措置による繰入金につきましては、一般会計から郵便貯金特別会計に繰入れられたものとみなし、一般会計からの繰入金と共に、将来その額に達するまでの金額を予算の定めるところにより、一般会計に繰入れなければならないこととしようとするものであります。本案審議の詳細は、速記録によつて御承知願います。
質疑を終了し、討論採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
最後に、
国税収納金整理資金に関する
法律案について申上げます。
本案は、国税収入に関する経理の合理化と過誤納金の還付金等の支払に関する事務処理の円滑化を図るため、新たに
国税収納金整理資金を設置しようとするものでありまして、国税収納金等はこれを本資金に受入れ、過誤納等による還付金は、木資金から直ちにこれを支払うことができるようにし、当該還付金相当額を差引いた国税収納金等の額を歳入に組入れることとなつております。
なお、本案につきましては、衆議院において、附則で関税法の一部を改正する修正が行われたのでありますが、これは内国税の還付加算金の計算期間が改められますので、関税についても同趣旨の改正を行うこととしたためであります。
本案の審議の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、採決の結果、全会一致を以て、衆議院修正案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申上げます。(拍手)