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1954-02-15 第19回国会 参議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十五日(月曜日)    午前十一時三十四分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第九号   昭和二十九年二月十五日    午前十時開議  第一 議員派遣の件     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  去る十二日、金属物理学界世界的権威であられました本多光太郎君が逝去せられました。誠に痛惜哀悼の至りに堪えません。つきましては、同君に対し、院議を以て弔詞を贈呈することとし、その弔詞は、議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  議長において起草いたしました本多光太郎君に対する弔詞を朗読いたします。  参議院は、日本学士院会員 東北大学名誉教授 文化勲章受領者 理学博士 正三位勲一等 本多光太郎君  の長逝に対しまして、謹んで哀悼の意を表し、恭しく弔詞を捧げます。      ——————————
  5. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第一、議員派遣の件。  外務委員長から、国際情勢等に関する調査の一環として保安隊浜松航空学校の実態を調査するため、静岡県に團伊能君、高良とみ君、曾祢益君、加藤シヅエ君を明十六日から二日間の日程を以て派遣されたい旨の要求書が提出されております。  委員長要求通り議員を派遣することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて委員長要求通り議員を派遣することに決しました。      ——————————
  7. 東隆

    東隆君 私はこの際、千葉県県豊海町における米軍漁船威嚇射撃に関する緊急質問動議を提出いたします。
  8. 藤田進

    藤田進君 私は只今東隆君の動議に賛成いたします。
  9. 河井彌八

    議長河井彌八君) 東隆君の動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。東隆君。    〔東隆登壇拍手
  11. 東隆

    東隆君 去る十二日の朝刊は、一斉に、九十九里浜禁止海域漁船米軍威嚇射撃をしたことを報じております。「日米行政協定で立入りが制限されている千葉県山武郡豊海町にある米軍豊海射場、これは元片貝射場言つた所でありますが、この沖合の禁止区域を侵す漁船に対して、これまで基地及び県当局から再三にわたつて警告が発せられていたが、十一日午後二時、同射場では禁止区域に出漁中の漁船に対して、ついに威嚇射撃実力行使を行い、退去を求めた。」こう千葉発として四段抜きで大きな活字で見出しを書いてあるのであります。これは朝日新聞説明文でありますが、この記事が出ておりましたので、私どもは事の重大さを考えまして昨十四日、現地に参りまして関係方面に質し、そして事のいよいよ容易ならざるのを痛感いたしましたので、この事態を早急に解決をいたしたいために、私は緊急質問をするものであります。  今回の実弾射撃、これは一部の漁民に言わせますと、大抵の場合に、船が沖におりましても射撃をやつていると、こう申しているのであります。十一日の場合は、県庁の言分によりますと、極めて少い射撃であつた。こう申しておりますし、新聞も、五、六発程度威嚇射撃をしたのだと、こう報じておるのであります。併しいろいろな状況を勘案して見ますと、当日は決して五、六発くらいの弾を射つたのではなくて、相当な弾を射つておるのであります。而も私の聞いたことでありますが、沖に出て漁をいたしております船の二百メートル近くの所に不発弾が落ちまして、約十メートル以上もの水柱が立つたのを見たと、こういうふうに私にその目撃者が言つておるのであります。  こういう事態がなぜ起きたかと、こう申しますと、これは非常に漁業が困難でありますので、漁民が非常に困つておる。そこでここでは月曜日から木曜日までの四日間は、正午から午後の六時までの間禁止時間になつておりますが、この間でも、いわしが見つかつたときには、どうしてもそれを追つかけて獲らなければ、機会を逸しますので、それを続けるのであります。そういうような状態が頻々としてあるので、この機会に、これをどうしても一掃しなければならんと、こういうので、私は計画的に威嚇射撃をやつたと、こういうふうに大きく見出しを書いて、新聞その他に表現をして、その後の工作をしようとしたのであると、こういうふうに見ておるのであります。で、当日の或る婦人から聞いた話でありますが、扉が何ぼ閉めてもあくので、今日はいつもよりもひどい射撃をやつておるなと、こういうようなことを言つておるのを私は聞いたのであります。こういう状態、これを私は威嚇射撃と、こういうような言葉で以て表現をすべきものではなくて、その背後には、いつも漁業をしておる。それを何とかして撤去させるために計画的にやつたことだと、こう考えざるを得ないのであります。従つてこの問題は、威嚇のために射撃をしたということよりも、もつとその奥には人道的に大きな問題が伏在をしておるのであります。即ち漁をしておる我が国国民生命が危険に晒されておるという事実があるのであります。これを我が政府は、この事実を知つておるかどうか。私は単にこれは威嚇のために射撃をしたのではなくて、従来漁を続けておつたのを、それをこの機会に徹底的になくしよう。そういうことをやるためにやつておるのだと、こういうふうに見て参つたのでありますが、このことについて、政府はどういうふうにお考えになつておるか。これを聞きたいのであります。而もこれを計画的に進めるためには、海上保安庁の巡視船を派遣したり、いろいろなことをやつておるのであります。このことについても、私はお尋ねをしたいのであります。  沿岸の漁民は、前に申しましたように非常に窮乏をいたしております。禁止区域であつても、魚群を見付けたときには危険を冒して漁をやつておるし、今後もこのようなことはやらなければ食つて行けないんだ。こう言つております。生命の危険を冒して漁をしておることは容易ならざることでありますが、これに対しては政府は、このような状態を今後続けさせる考えであるかどうか。或る外務省責任者は、この禁止区域撤去陳情に行つた或る漁民代表に対しまして、問題が起きていないからそのままに放置しておくのだ。こう豪語しておるのであります。これが外務大臣の部下である人の言う言葉であります。その漁民代表は、関係漁民を動員して外務省に押しかけることも我々としてはできないし、とんでもない非常識なことを言うものだと切歯腕をいたしておりました。このことは陳情者と、陳情を受ける者との間に交わされた言葉でありますが、これは重大な私は意味を持つておると思うのであります。即ち政府は、事なかれ主義で、問題を持出さなければ解決に乗出さぬという消極的な態度を示しておるのであります。政府はあらゆる機会に、国民生命財産を保護する必要があると思いますが、このような場合にも、なお媚態外交以外の何ものでもないようなやり方をやろうとするのか。私は断固として撤去をするようにやるべきでないかと、こう思うのでありますが、これに対する積極的な態度を伺いたいのであります。  その次に、私はこの漁業中心地、即ち九十九里浜いわしの三大漁場の一つでありますが、この地域の真中に禁止区域ができておりますので、非常に困難をしておる。又安い価格の蛋白、脂肪に富んだものが供給されないので、国民としては大きな損失であります。こういうような所が、占領後非常に簡単に私は射場として決定を見たと、こう考えますが、この間に当つて漁民の反対の抵抗、或いは農林省がこれに対して換地をどういうふうに斡旋をしようとしたか。又外務省はこれをどういうふうにして取払おうとしたか。そういうような努力を私はしたであろうと、こう推察をいたしますが、その辺のことをよくお聞きをして、そうして積極的にその方向に動いて頂きたい。こう思うのであります。その点についてお尋ねをするわけであります。  又個々の補償については、昨年の四月から十二月までに二億三百万円の補償をしておりますが、これは二戸に対一して一年間三千円から七千円くらいであります。このようなものでは食つて行けるものではありません。従つてどうしてもこれは微衷をするか、大きく補償をしなければなりません。而も大蔵省は、二十三年頃の漁獲を中心にして、現在二十八年に八百万貫獲れておるから、補償をしなくてもよいんだと、こういうようなことを言つておるそうでありますが、併し制限をされておる時間でありますから、少くとも現在の倍額くらいは漁業について補償しなければならない。これについても、大蔵省はどういう補償基準でやつておるか私は聞きたいのであります。又漁業が困難になることによつて、陸上の者が非常に大きな損失を受けておる。これに対する補償はどうするか。又軍が所在をしておるために道路も悪くなつておる。又爆撃のために学校の教育もできないような事態も起きておるし、それから瓦や壁が壊れてしまつておる。こういうようないろいろな、これは間接ではないのです。直接の被害がたくさん現われておりますが、そういうようなものに対するところ補償は一体どう考えるか。これを総括して大きく補償に対するところ基準大蔵省はどういうふうに考えておるか。これを私ははつきりとお聞きをしたいのであります。  私はこういうような問題を通して第一のことは、これを撤去することが、これが最善の方法である、このためにどういうようなことが過去においてとられておつたか。これを私は聞きたい。  更にこの撤去がどうしてもできないならば、大きく補償をする方法考えなければならんと思いますが、この補償に対する基準は極めて冷淡である。従つてこの機会に私は補償の問題、それから過去における折衝の経過、そうしてこれに対するところの今後の考え方、これをはつきりと私はここから関係の閣僚にお伺いをする次第であります。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男登壇拍手
  12. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) お答えをいたします。  アメリカの駐留軍が日本におることは、勿論日米安全保障条約に基いて我が国を守るためでありまするが、そのためにはやはり必要な訓練や演習はやらなければならないのであります。従いましてこの九十九里浜等におきましては、このため漁業ができないことになりますので、例の漁業補償をいたしておるわけであります。で、この額につきましてはいろいろ増額の話も陳情等を受けております。外務員としましても、本来これは只今調達庁の所管ではありまするが、できる限り漁民の満足するように外務省としても努力をいたすつもりでおります。この演習場の移転につきまして外務省の係りのものが言つたということをお述べになりましたが、私の承知するところでは、このような事実はないのでありまして或いは何か言葉の行き違いがあつたかも知れませんけれども外務省といたしましては、この問題についてもまじめに考慮をいたして来ておるのであります。ただ九十九里浜の漁場か重要であるからということで、いろいろ研究をいたしましたが、現在直ちにこれを移転するということにつきましては、適当な換地が見付からないために困難であると考えております。その理由は、あそこで演習をいたしておりまする部隊は、京浜地区から行のでありまするが、演習が終ると直ちに戻つて京浜地区の防衛に当る部隊でありまするので、非常に遠距離へ行くことができないのであります。そうして而も空に高射砲の弾が飛びますので、航空路に当る所では危険でありますので、例えば京浜地区であるとか湘南地区であるとかいうような航空路線に当る場所ではできないのでありますので、勢い千葉県の海岸等を選ばざるを得ないのが実情でありまするが、この問題につきましては、当初より漁業重要性に鑑みて外務省としてもいろいろ研究をいたし、又米軍に対してもての事情を篤と調べて来たのでありまするが、現在のところ、さような結論になつております。従いまして、でき得る限りこの漁業に妨げにならないようにということに努力をいたしておりまして、今でも大漁の場合のようなときは、米側連絡いたしますと、米軍側もできるだけ射撃等を待つようにいたすことになつております。  ただ今回の場合、どうも連絡が不十分であつた考えられますが、今後類似の事態が起るときにはどうするか。これにつきましても、只今の警告する射撃というようなことは避けるべきであるのが当然でありますので、何らか他の伝達方法をきめて、それによつて必要な措置を講じたい。例えば海上保安部監視船をそちらに配置するとか、或いは漁船のほうと陸のほうで無線連絡ができるようにするとか、こういうような措置考えつつあります。本日からは、海上保安部監視船現地に出ているはずであります。できるだけ政府といたしましても、漁民の満足の行くような方法でこの事態解決したい。  かように考えております。(拍手)    〔国務大臣保利茂登壇拍手
  13. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 片貝演習地域の問題は、外務大臣お答えになりましたところで尽きているわけでございますが、私どもとしましても事態を調査いたしまして、更に善処いたすべきことにつきましては善処いたすように用意をいたしているわけでございます。(拍手)    〔国務大臣小笠原九郎登壇拍手
  14. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) お尋ねの件でございますが、この漁業補償については先に外務大臣より話がありました通りであります。  然らば米軍射撃等による損害補償についての基準はどうなつているかと申しますると、療養に対しましては、その療養に要した費用の全額、それから又傷害に対しましては大人の賃金の千日分、最高金額では百三十四万円を限度として補償を払うということになつております。遺族に対しましては、百万円を限度として補償を行う。それから(「そんなこと聞いてない」と呼ぶ者あり)葬式費用としては一万円を補償する。家財、住居の損害に対しては、時価を参酌して全額補償する。さつきの漁業補償につきましては、先ほども申上げた通り調達庁で過去の漁業補償等の実際に則りましてこれを決定している次第であります。(拍手
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十九分散会      —————————— ○本日の会議に付した事件  一、故本多光太郎君に対し弔詞贈呈の件  一、日程第一 議員派遣の件  一、千葉豊海町における米軍漁船威嚇射撃に関する緊急質問