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1954-01-30 第19回国会 参議院 本会議 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年一月三十日(土曜日)    午前十時十二分開議     ━━━━━━━━━━━━━  議事日程 第七号   昭和二十九年一月三十日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件(第四日)  第二 昭和二十七年度及び昭和二十八年度参議院予備金支出の件(委員長報告)     ━━━━━━━━━━━━━
  2. 河井彌八

    議長河井彌八君) 諸般報告は朗読を省略いたします。      —————・—————
  3. 河井彌八

    議長河井彌八君) これより本日の会議を開きます。  日程第一、国務大臣演説に関する件。(第四日)  昨日に引続きこれより順次質疑を許します。小林孝平君。    〔小林孝平登壇拍手
  4. 小林孝平

    小林孝平君 私の本来の質問をいたします前に、我が党荒木議員質問に対する吉田総理答弁が未だなされておりませんので、この点について吉田総理の具体的な御答弁を求めるものであります。現在諸般政策に関連して、いわゆる愛国心の実体が何であるかを明確にする必要に迫られておるのであります。この点について一昨日荒木君より質問いたしましたのに対し、吉田総理はまともな答弁をされなかつたので、議長は、院議に諮り、その措置を決定し、政府議長間に完全なる了解点に達し、総理より再答弁をいたすことに相成つていたのであります。然るに吉田総理は、昨日の本議場において荒木君の質問に対し、私の答弁言葉が足りなかつたことをここに認めて申し添えますとのみ申し添えられたのであります。この本院の要求を無視した態度は許しがたいものであると共に、改めてここに明確なる御答弁を重ねて要求するものであります。(拍手)  更にこの際強く総理に反省を促したいことは、国権の最高機関である国会において、かかる独裁者のとるがごとき態度を捨てて理性ある謙虚なる態度質問答えられんことを申し添えるものであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  5. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをします。  愛国心が何ものであるかということに対して返事をしろということでありまして、余り漠然でありますから、私のお答え漠然たらざることを得なかつたのであります。故に、余り漠然過ぎるでなかつたかというのであれば、言葉が足りなかつたというお答えをいたしたのであります。(「何を言つているのだ、わからないじやないか」「わけがわからん」「質問者の言うことをよく聞いておらないから駄目だ」「愛国心を知らないのか」「もう一遍聞け「答え切れんのだよ、もう聞く必要はない」と呼ぶ者あり)    〔小林孝平登壇
  6. 小林孝平

    小林孝平君 私は日本社会党を代表いたしまして、総理大臣初め各大臣演説した施政方針に対し質疑をなし、その所信を質さんとするものであります。  昭和二十九年度予算案は、一言にして言えば、MSA受入れによる実質的再軍備計画をいよいよ本格的に実施するために、防衛費を大幅に増額し、そのしわ寄せをすべて民生費文化費削減を以てした、民生文化を破壊する予算案であります。この一兆円再軍備予算のもたらす結果は明らかであります。即ち、今後予想される内外経済情勢の悪条件に対して何らの対策がとられていない結果、MSAに隷属した日本経済は深刻なる事態に直面せざるを得ないのであります。一九五四年度においては、アメリカ経済景気後退が必至であると伝えられております。アメリカ景気が後退した場合、その影響としては、先ず直接日本の対米輸出を減少させるばかりでなく、世界各国はそれぞれ輸入削減輸出強化政策をとることは明らかであります。特に東南アジアの市場を狭くし、ここにおける日本西欧諸国との輸出競争を激化させるでありましよう。現状においては、日本がこの輸出競争に勝ち得る見通しは極めて悲観的であります。これは現在の日本国際収支危機を致命的なものにするに違いないのであります。アイゼンハワー大統領年頭白書及び予算教書を貫く方針は、財政支出を引締め、特に対外経済援助を打切り、海外駐屯米軍地上部隊を漸減する方針であります。現に韓国駐屯米軍二個師団の引揚げが声明され、今後も日本及び朝鮮周辺米軍に同じ方針がとられることは明らかでありましよう。このことは日本経済外観的繁栄の切札であつた特需が減することを意味します。域外買付韓国復興特需も同じ運命にあると考えなければならないのであります。又、MSA協定を結ぶことによつてあたかも経済援助が期待できるかのように大いに宣伝されたのでありまするが、今日ではそれが空しい期待であることは、アメリカランダル委員会が先般報告したところによつても明らかになりました。日本経済がこのような危機に瀕しているのに、本予算案はこうした深刻な事態に対して何らの有効且つ計画的な対策を示していないと言わざるを得ないのであります。又この予算内容国民生活犠牲において防衛費の大幅の増額を行なつていることが基本的特徴であることは、冒頭述べたところであります。政府は、従来しばしば国力に応じて自衛力漸増すると言明されて来ました。又総理は今回の施政方針演説でも、国力に応じて自衛力漸増する方針に変りないと言つておられます。こんな国民をごまかす欺瞞的な言葉はないと存ずるのであります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)この政府の言い分によれば、自衛力漸増、具体的には防衛費漸増するためには、その前提として経済力漸増がなければならないことは当然でありましよう。然るに来年度国民所得の規模は、愛知経審長官が述べられたように、五兆九千八百億円程度で、本年度と大差ないのみならず、逆に我が国経済は、小笠原大蔵大臣財政演説で率直に懺悔されたように、過去の吉田内閣の誤まれる政策によつて重大なる危機に直面し、国民耐乏を強いなければならない実情であるではありませんか。かかる状態にあるにもかかわらず、昨年に比べ防衛費を大幅に増額したのは、政府の従来の言明と全て矛盾していると言わなければなりません。この一兆円予算を組むに当つてアメリカ大使館政府は折衝されたようでありますが、その経緯に鑑みると、この予算が我が政府によつて自主的に組まれたものとは考えられない節が多いのであります。国民は、予算編成権日本にはなくて、アメリカ大使館にあるという印象すら受けているのであります。(拍手政府はこの際なぜ「国力に応じて自衛力漸増する」という主張を忠実にこの予算に盛らなかつたのかを、又なぜ突如一兆円予算を組むに至つたのかを、国民の前に明確に示す義務があると存ずるのであります。この予算案を実施すれば、再軍備の強行が原因となつて国民生活が苦しくなることは、政府耐乏国民に訴えていることで今や明らかであります。然るに国民大衆から起る怨嗟の声を抑えるために、一方では政府は、警察機構を改め、教員の政治活動を弾圧し、保安庁法を改正して、機密保持のため言論を抑圧し、更に知事公選を廃止して官選にして、旧憲法下中央集権制を再現し、政府の思うように国内体制を切りかえようという、極めて用意周到な陰謀が着々進められているのであります。国民財政面から栄養失調に追い込んでおいて国民が文句を言おうとすれば、すでに口には猿ぐつわがはめられているというのが政府やり方であります。(拍手)以上述べました観点に立つて、私は総理及び関係閣僚に対し、以下数点お尋ねをいたしたいと存ずるのであります。  先ず第一点は、政府財政経済に関する基本的な方針についてであります。政府は昨年二十八年度予算編成に当り、その財政方針について「従来の財政収支総合均衡方式を固執する必要はなく、むしろ財政金融を通じ弾力ある運営を図り、或る程度過去の蓄積資金を使用しても、財政基礎の拡充を期することが必要である」と述べておるのであります。(「吉田大臣よく聞け」と呼ぶ者あり)これによつて政府は二十八年度において従来の財政方針を大きく転換したのであります。ところが僅か一年にして今度はこの方針を一擲し、これと全く逆な超緊縮均衡予算をここに組まざるを得ない事態に立ち至つておるのであります。これこそ吉田内閣財政政策の無計画方針を如実に示すものであり、その不見識を暴露したものであると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)かかる根本的政策一大転換をする以上は、単に過去を口先だけで反省するのでなく、国民を窮乏に追いやつた責任上、内閣は総辞職して再出発するのが、政治道義上当然でありましよう。(拍手)なぜたつた三人の伴食閣僚更迭でお茶をにごしておられるのか。総理はなぜ思い切つて総辞職されなかつたのか。この点に関する総理所信を承わりたいと存じます。  第二点は、このように無計画方針政策をとつておるから、お題目のように、輸出の振興、経済の樹立を何遍唱えても、少しも実績が挙らないのであります。この目的を真に達成し、又過去の誤まりを繰返さぬためにも、政府はこの際、計画的な総合的経済政策を打立ててこの難局打開に当るべきではないか。併せて総理所信を承わりたいと存じます。  次に第三点として、国際収支均衡及び物価政策についてお尋ねいたします。いつになつたら政府の考えておるような収支均衡へ持つて行けるかということであります。政府部内においてすら、楽観的に見て一億ドル、悲観的に見れば二億ドルも赤字を予想しておるのでおります。併し問題の本質は国際収支均衡しさえすればいいというのではないのであります。経済体制内容をどう持つて行くかであります。弱小産業を潰し、失業者を大量に作り出しながら、収支均衡したと喜んでおつても始まらないではありませんか。一兆円予算の効果を促進するためには、経済体制に国が成る程度の総合的計画的な配慮が必要であると思うが、やはり総理は今のまま野放しにしておいたほうがよいと考えておられるのかどうか。この点、総理の心境をお聞きしたいのであります。  次は、物価政策についてであります。消費者米価を値上げし、次いで鉄道運賃、たばこ、酒、砂糖、各種織物、ガソリンなども上り、近く電気料金の値上げも行われる動きが強いのであります。ところが政府は、この緊縮財政金融引締めによつて一般物価を五分乃至一割見当引下げ国内物価割高是正を行うと言つておられるのであります。これでは国民には何が何だか分らないではありませんか。このように一部の国民生活に欠くべからざる主要物資を値上げするのは、高くすれば国民が手を出さなくなり、その結果、購買力減つて物価が下ると考えておられるようですが、今の物価情勢は上つたら上りつぱなしになる虞れが強いのであります。そこで政府は、物価が五分乃至一割見当下るのは、いつと考えておられるのか。それは一体、夏ですか、秋か、或いは年度末か。経審長官経済演説で、年間を通じて引下げると言つておられるが、物価水準が下るのか、どの物資が下るのか、又、官業料金米価も先へ行つて引下げるつもりなのかどうか。この点を明らかにして頂きたいと思うのであります。又物価が下らなかつたなら法的措置引下げるつもりであるかどうかも併せてお尋ねいたします。  なお、特にお尋ねしておかなければならないことは、政府がこの緊縮財政金融の引締めによつて一般物価引下げを行うと言つておられる点であります。即ち、このようにして計画的意識的に物価引下げるという政策を行えば、非常な混乱と摩擦を生ずることは必至であります。これを防ぐためには、政府は如何なる具体的方策を持ち、準備をしておられるのかということを、愛知経済審議庁長官及び小笠原大蔵大臣お尋ねいたします。  第四点は耐乏生活の問題であります。政府国民耐乏生活を要求しておられますが、その耐乏生活民生安定のためではなく、再軍備強化の必要から要求されておることは明らかであります。そこで、具体的に国民は如何なる程度耐乏をすることになるのか。又しなければならないことになるのか。国民の相当多数はすでにこれ以上耐乏生活をする余地のない最低生活をしておるのに、これらに対しこれ以上更に何を望んでおるのか。又この耐乏生活は今後どのぐらい続けなければならないのか。そして、それを続ければ民生安定についてどういう明るい見通しがあるのか。これらの点について少しも政府の説明は明確にされておらないのであります。政府国民耐乏を要求されるならば、少くとも以上の点ぐらいは国民の前に具体的にこれを示す必要があることは当然であります。これに関する総理及び大蔵大臣経審長官の御所見を承わりたいのであります。  又、国民耐乏生活を求めるなら、政府みずからが耐乏の実を先ず示すべきでありましよう。総理が先般九州方面へ旅行されたとき、東京から随行者が四、五十名もついて行き、而も特別仕立の飛行機で出かけられて、大名行列さながらだつたと言われておるのであります。新聞ではこの有様を見て、大名行列どころか行幸のようだと書いておるではありませんか。(拍手貧乏人だけに耐乏を押しつけるやり方は納得が行きません。高級自動車輸入をストツプし、国内から追放するのもよろしいが、一坪当七五十万円もかけるといつた贅沢な住宅の建築を禁止するなど、思い切つた措置を講ずるつもりはないかどうか。先ず首相みずからが、日本に何台もないような超高級の外国自動車国産自動車に乗りかえて範を示す気概が望ましいと存じます。(拍手)これに関する総理の御所見を特にお伺いいたしたいと思います。第五点は、行政整理中小企業対策及び失業対策についてであります。政府行政整理を毎年のように取上げ、今年もこれを取上げておるのであります。政府やり方の不手際のため、如何に関係者を不安動揺せしめ、行政能率を低下せしめているかということは、計り知れないものがあるのであります、総理行政整理は煤払いのごときものであると言われておりますが、人間と煤を同視するがごときはその政治感覚を全く疑わざるを得ないのであります。(拍手曾つて我が国封建制度の下において、各藩において幾たびか藩政改革が行われたのであります。藩政改革に成功したいやしくも名相名君と言われた人たちの事績をつぶさに調べてみますと、そのいずれにも共通した点があります。それは、改革に当つて人を整理しなかつたこと、首を切らなかつたことであります。逆に、その人たちに居残つてもらい、協力を求め、快く働いてもらうことによつて能率増増の成果を収めているのであります。最も封建的にして、ひたすら逆コースを辿りつつある吉田内閣も、同じ見習うなら、この各藩がやつた藩政改革のこの例くらいを学んだらどうかと考えておるのであります。(拍手)  行政整理の本筋は、如何にして行政事務能率化簡素化を図るかということでなければならないのであります。政府はこの点に力を注がないで、人員の天引整理のごとき小手先仕事に憂き身をやつしているだけであります。本末顛倒も甚だしいと言うべきでありましよう。政府は、行政事務能率化簡素化について如何なる構想を持つておられるのか。この点について総理所信お尋ねいたします。  次に、中小企業対策についてでありますが、デフレ財政の「しわ」は弱小部門に寄るというのが資本主義下の鉄則であります。この段階において中小企業を救う途はただ一つしかない。即ち、国が独占企業の横暴をチエツクして、中小企業に温かい手を差し延べることであります。今の中小企業対策は申しわけ的に融資をしている程度で、焼石に水の実情であります。足らぬところは自力で賄えといつても、その自力政府独占企業強化政策に邪魔されて十分発揮できないのが真相であります。不渡手形の激増は何を物語つているのでありましよう。その大部分が中小企業から発生している事実に目をそむける政府態度は、国政をあずかる者の資格に欠くるものと断ずるほかはないのであります。(拍手)社会不安と治安の維持を真剣に考える気が若しありとするならば、もつと抜本的な中小企業対策を示してはどうか。政府中小企業者たちが安心するような具体策を持つていないのではないか。この点について愛知通産大臣の御所見を承わりたいのであります。  なお、今回の予算案我が国経済に深刻なる影響を与えるものと考えられますが、特に各種企業なかんずく中小企業に大きくしわ寄せされることは必至であります。つまり財政的要因によつて整理統合が強行されるため、これらの部門から大量の失業者が街頭に放り出されるでありましよう。今度の予算の実施によつて巷に放り出される人たちは、新たに学校を卒業して社会会に出る青少年と共に厖大なる数に上ることが予想されるのであります。そこで、一体この予算で幾ばくの失業者が新たに生ずるのか。この点、小坂労働大臣お尋ねすると共に、それらに対し具体的にどういう対策を準備しているかについて、特に草葉厚生大臣の御所見を求めたいのであります。  最後に第六点として農業及び食糧問題についてお尋ねをいたします。この予算緊縮の煽りを最も受けたのは食糧増産を中心とする農林省関係予算であります。このため食糧増産は停頓し、農家経済が阻害されるであろうというので、全国農民は大いに憂慮ておる実情であります。総理予算編成する前の閣議で、道路の整備や治山治水に力を入れるべきであると言われておるようであります。併し、なぜか食糧増産のことは忘れておられたようであります。ところが予算編成がきまつてから、施政方針演説の中で、あわてて総合的な食糧自給度の向上と言つてもナンセンスであります。このような施政方針演説だからこそ、魂が入つておらんと新聞の社説が一斉に書き立てておるであります。総理はもう増産は十分達成したと考えておられのかどうか。特にここで保利農林大臣に対し一言しなければならないことは、MSA協定に伴つて締結される余剰農産物購入協定は、アメリカ余剰小麦国際市場価格より高価で買入れる協定であります。而も政府はこの割高のMSA小麦を米の食えない中産階級以下の人たちに食わせ、その代金は積立てられて大砲を作ることになるのであります。換言すれば、貧乏人に割高の麦を食わせて、その犠牲において再軍備を強行しようということになるのであります。(拍手)割高の小麦を押しつけられるより、安価につく国内増産を先ずやるべきでありましよう。大幅に食糧世産の経費を削つたのは、食糧増産について政府はもう自信を喪失し、熱意を失つたのではないか。そうでないと抗弁されるかも知れないけれども、この削減予算食糧増産が期待できるはずがないではありませんか。全国農業関係者は、農林大臣予算編成に当つてもつと強くこの問題を主張されんことを期待していたのに、予想外にその態度が軟弱であつたことに非常に失望いたしておるのであります。世間では、山縣前厚生大臣更迭の例に恐れをなしてあなたが当然なすべき主張をしなかつたというような、極めて失礼な批評さえしておるのであります。私はそういう噂は信じたくないのでありますが、この際あなたは、この削減予算で十分やれるという具体的な計画をここに特に示されんことを望むものであります。(拍手)  食糧増産費も削られた。その上、食糧輸入補給金も三百億円を九十億円に削減して、米の輸入を麦に転換する計画になつているのであります。これで一体米食率の確保はできるのですか。農林大臣は飽くまで米食率引下げないと常に言明して来られましたが、これでは引下げは必至ではありませんか。これこそが、この米食率引下げこそが、耐乏生活の一環として、その実態を示すものだと言うのでありますか。農林大臣の御所見を特にお伺いいたしたいのであります。  又農林大臣は、食掛増産費が削られたので、今後外資導入増産を行うと言つておられますが、こんな不見識な言明は全く恐れ入ります。アメリカ資本に頼らなければ日本増産できないと言うのでありますか。外資導入とは、増産に努力して、なお足らないところは補うものだと好意的に解釈しておつたのであります。然るに、予算を大幅に削つて不足分外資だと言うに至つては、言語道断であつて全国消費者農民を、外国資本の箸の上げ下しにまで気を使わせようというつもりなのですか。これこそ政治の貧困極まれりと言うべきでありましよう。これでは農林大臣は要らないじやありませんか。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)今後農林大臣は、不生産的な国の支出を切詰めて食糧増産のための経費を確保する信念がおありですかどうかをお尋ねいたしたいのであります。  食糧管理の問題は今や全く行詰りに来ていますが、これは一貫せざる場当りの、誤まれる自由党政府食糧政策の結果であることは明らかであります。今、政府根本的改正のため協議会を設けて研究しておられます。併し大蔵大臣は、こんな金のかかる管理制度は御免だと言い、農林大臣は、これ以上供出を強化することはできないと言つておられます。この両大臣意見で端的に表現されているように、管理制度改正の方向というものはおのずからすでにきまつていると言うことができるのであります。即ち、超過供出奨励金とか完遂奨励金とかいう、いわば金で農民を釣り、而も富農と貧農の差をますます甚だしくする悪制度をやめ、早場米奨励金以外の各種奨励金は、すべて適正なる基本価格にこれを織込み、強制割当制を廃止し、売先政府一本にした自主供出制度を採用すべきであろうと存ずるのであります。これは又、我々がかねて主張しておつたところでもありますが、現段階において誰が考えても、これ以外の方法があるはずがないのであります。これに対する農林大臣大蔵大臣の考えはどうか。恐らく協議会答申を待ちたいというようなお答えがあるかも知れないけれども、半年も先にならなければ結論がまとまらないような協議会答申を待つておられないのであります。端境期は目の前に来ており、農民は、雪をかぶり、寒風にさらされながら、今年の田植をどうするかと頭を悩ましておるのであります。この際、政府は、そんな呑気なお座なりな答弁ではなく、率直に、意見、抱負を述べて頂きたいのであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手〕    〔「丁寧に国民答えなさい」と呼ぶ者あり〕
  7. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  MSA協定はまだ結論に達しておりません。にもかかわらず、予算は自主的にすでに編成をして、国会に提出いたしております。又、防衛費は、再軍備々々々と頻りに言われますが、しばしば申す通り、再軍備はいたさないことに政府はしばしば申しております。(笑声)これを信ずる信じないは諸君の勝手でありますが、政府方針は、再軍備はいたさない。併しながら、漸増方針で以て行くということは終始一貫して申しておることであります。これを信用するしないは御勝手であります。(笑声)  次に、本二十九年度予算は、主として輿論の趨勢等も考えまして、消費と生産との間のアンバランスを救い、又貿易の伸びにおいて生じておるアンバランスも考え合せて、このアンバランスを救うために、アンバランスに対する適当な処置としてこの予算案編成いたしたのであります。若し政府が現在の諸問題に対して、或いは現在の状況に対して、或いは将来の起るべき問題に対して、これに対して解決する途がない場合には責任を負うべきでありますが、すでに予算を提出して、この予算によつて、現在の窮境と申すか、現在の状況を救うに足るだけのものを出しておるのであります。この予算がいかんという場合には別でありますけれども、政府としては所信を持つて、この現在の事情に処するだけの所信を持つてこの予算案編成いたしておるのであります。故に私は、政府としては直ちに責任を負うべきものではなく、この機会においてますます国政を担当して現国難に処すべきものであると、こう考えております。(「国民耐乏生活はどうするのだ」「耐乏生活答えが出ておらんじやないか」と呼ぶ者あり、拍手)    〔国務大臣小笠原九郎登壇拍手
  8. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 二十九年度予算は、日本の置かれた内外情勢に鑑みまして、従来から膨脹を続けて来たこの傾向に終止符を打ち、(「誰が膨脹さしたのだ」と呼ぶ者あり)そうして今度の予算編成した次第でありまして、なぜこの予算編成したかということは、私がこの演壇から詳しく御説明申上げたから、ここに繰返さないことにいたします。  物価引下げについては五分乃至一割の下落を見込んでおりますが、これは財政の緊縮とか金融の引締めとか、これらを中核とする一体の総合政策によりまして、又一方、税制改正その他の措置、或いは国内消費の抑制とか企業の合理化、そんなようなことをやりまして、この目的を達成する所存であります。  時期についてのお尋ねでありましたが、これは、すぐに予算が通つたから、或いはこの法案が通つたから、即刻効果を生ずるものとは考えませんが、下期に入りますれば相当効果を生じて実現して参ることと信じております。  更に耐乏生活についてのお話でございましたが、これは我々は、我々の生活を国民経済実情に即して刷新し合理化する、こういうことにあると考えております。  それから現在の食糧管理制度について小林議員のお話がありましたが、実はこれは何らかの改善を図るべきものであり、特に政府は買入価格につきましても、お話のように、早場米奨励金を除きまして各種の奨励金は、いわゆる生産者基本価格一本で行くべきであろう、かように実は私どもは考えておるのでありますが、但しこの問題は、農家経済消費者家計のいろいろな影響もありますので、慎重な結論を得るために、先に各界の識者を集めて食糧対策協議会ができておりますので、この結果を待ちたいと思いまするが、二十九年度予算編成に当りましても、米については、実は御質問のように、もう早場米奨励金を除きまして、超過供出奨励金供出完遂奨励金、これを基本価格に織込んだもので編成し、提出いたしておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登段、拍手
  9. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) お答えいたします。  御承知のごとく、例えば五年前に比べまするならば、日本の産業活動は二倍半乃至三倍になつておりまするし、又国民消費生活から申しましても、都市農村を通じて見れば、戦前の一〇〇に対して一〇五というところまで回復しておるのであります。これは先日も指摘いたしましたごとく、かくのごとく生産も消費も増加わした。ただ輸出の伸張が伴わなかつた総理の言われるアンバランスをここに生じた。そこで輸出の努力をここで大いにやりたい。それには物価を下げることは勿論でありますが、内需を抑える、いわゆる過剰な有効需要を抑えるということが、私は基本的に最も必要なことだと思うのであります。従つて対策の根本は財政と金融の引締めということであつて、これが大きなテコになるものと私は考えます。併しながら、ただ単に、これは理論的にばかり行くものではございませんし、又基本的な物資なり動力なりについては合理化もしなければならん、又設備も積極的に殖やさなければならん、こういうものが相当ございます。従つて物価引下げ具体策はどうかというお尋ねでございますが、私どもとしては、基本的には、財政と金融を引締めて有効需要の減退措置を図るが、同時に重要基礎産業に対する重点的な投融資ということは実施いたしまして、その方面からのコストの引下げということにも努力をいたしたい、こういうふうに考えるわけでありまするし、又一方、行政上の問題といたしましては、物価下落を妨げるごとき価格協定の取締を強化する、不況カルテルを安易にこれを認めないというような措置も併せ用いるつもりでおります。かくのごとく諸般政策を総合的にいたしますことによりまして年度間を通じてすれば、五%—一〇%の全体としての物価下落が期待できる、かように私は考えておるわけでございます。  次に、耐乏生活の問題でございますが、これは私は一言にして言えば、国民生活を、国の財政、企業の経理ということを全部併せて合理的な上に打ち立てるということであり、先般も指摘いたしましたごとく、例えば企業におきましても、資本構成が合理的になれば、ひとり経営者のみならず、従業員も労働者も、或いは株主も、本当にその企業内容の実態が把握できて、建設的な運営がやれると思うのであります。そこが根本であろうかと考えるのでありまして、従つて個人の生活におきましても、端的に申しますならば、消費を抑制して大いに貯蓄をする、貯蓄をして頂くというようなことが現在において最も望まれることだと思います。(拍手)    〔国務大臣塚田十一郎君登壇拍手
  10. 塚田十一郎

    国務大臣(塚田十一郎君) 行政機構改革に関しましては、私から代つてお答えを申上げます。  行政機構の改革は、御指摘のように能率化簡素化に本旨があることは、私もその通りであると考えておるわけであります。その上でなお余剰人員があれば、人員の整理も行うということに、又もう一つの狙いがあると考えているわけであります。従つて今度の行政機構改革におきましは、事務整理をする、機構の簡素化をする、それから事務処理能率の向上を図る、この三つの観点からして、余剰の人間があるならばこれを整理すると、こういうような考え方で運んで参つたわけであります。  細いことは、いずれ別の機会に又委員会等でお答え申上げたいと思つております。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  11. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) 完全失業者の数は、昨年の三月を頂点といたしまして、即ち三月に六十一万人でございましたが、漸次減つて参りまして十一月には三十七万人となつております。これは完全失業者の数であります。なお緊縮予算の執行に伴いまして、雇用に対する影響企業に対するほど直接的且つ瞬間的に現われないのでありますが、その摩擦につきましては、政府といたしましては、職安活動を活溌化いたしまして、この対策に万全を期したいと考えております。  二十八年の三月におきます学校の卒業者は、中学校におきまして二十八万九千人でございました。このうち就職者は九割、九三%に上つております。  なお高等学校の卒業者は十一万六千名でございますが、この就職率は八二%でございます。本年は中学校三十一万七千、高等学校十九万二千名でございますが、中学校において特に本年は出足が早いのであります。で、就職活動の活溌化を期するように職安機構を督励いたしている次第であります。なお国家財政の非常に緊縮されました折にもかかわりませず、二十九年度予算におきましては失業保険費或いは失業対策費を思い切つて増額いたしましたのは、この活酸化の趣旨にほかならないのであります。(拍手)    〔国務大臣草葉隆圓君登壇拍手
  12. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) 失業対策費の問題につきましては大体労働大臣答弁で尽きていると存じますが、ただその中で私のほうに関係いたしまするいわゆる要保護関係に相当影響を来たしている、これに対してどういう処置をとる考えかというのが中心であろうと存じます。併し私はこれに対しましては、要保護世帯が急速に激増するとは考えておりません。但し産業の影響なり或いは人口の増加の影響等によりまして、或いは生活保護世帯の増加ということは当然これは考えて来なければならないのでありますから、明年度予算におきまして、これを考えて、増額をしながら提案をいたして御審議を頂いている次第であります。  更に、これに関連しまして、社会保障、社会保険的な方面の充実を相当強くいたしましてそれが範囲の拡大なり内容の充実なりに努めて改善を加えながら、予算に増額をいたしまして、御審議を頂いているのでありますから、この上ながらこれらによりまして十分な保護を講じたいと考えております。(拍手)    〔国務大臣保利茂君登壇拍手
  13. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) お答えいたします。  来年度食糧増産対策予算が非常に少い。戦後の食糧増産の意義は、この小さい島にこれだけの人間を抱えて足下を見れば食べるものがない。そこで大急ぎで食糧増産をやらなければということで、手の着けられる限りのものを手を着けようとした。総花主義と御批判を受けるほど、あれもこれもという殆んどどれも手を着けるという行き方で予算措置がとられて来ておりましたけれども、即ち総花主義というような批判を受けまするようにその実効が上つて来ない。それは要するに全部手を着けたものを短期間に完成し得るだけの財政力を持たないということの証拠であるわけであります。これが私は総花主義に対する批判であろうと思います。併しながら、それほど食糧増産は国家経済の上から緊急な課題と要請せられておるという問題であるということは、私ども深く認識をいたしておるわけでございます。従いましてこの緊縮予算の中におきましても何とかしてこの緊急の要請にできるだけ応えなければならん。で、食糧増産の根幹をなしておりまする土地改良事業等に対しましては、この苦しい中でありまするけれども、せめて前年並みの予算を計上するようにという趣旨からこの予算も組んでおるわけであります。無論この金額の大小については御批判もあろうと思いますから、これは予算委員会において十分御審議を願いたいと思いますが、この予算によつて大よそ予定計画として立てられますのは、土地改良、干拓、開墾或いは耕種改善等を含めまして、百四、五十万石の増産は可能であろう、かようにまあ考えておるわけでございます。  農林予算の最も大幅な縮減をいたしておりまするのは、お説のように輸入補給金の約二百億の削減でございます。これは端的にこの米食率引下げるための措置ではないかということでございますけれども、今日の国際農産物の過剰状態が示しておりまするように、供給力及び価格の点におきましてかなり変動が来ておりまするので、私どもは必ずしも米食率引下げを前提としてこの予算を掲げておるわけではございませんけれども、併し日本の食糧問題を解決して参りまするためには、昨年暮の衆議院でも本会議で決議せられておりまするその趣意は、少くとも国民が余り米に頼り過ぎてはいけないという趣意があの決議であつたろうと思います。これは社会党の各位も賛成をせられて全会一致で衆議院は決議せられておる。それは国民に対して日本の食糧事情を警告せられた大きな意義かあると思う。そういうわけでございますから、従つてこの米だけで食糧問題を解決して行こうということは、これは何人も考えない。  そこで小林さん無論その趣意ではないと思いますが、麦を食べて下さい、麦食を奨励する、粉食を奨励することが、何か貧乏人に食つてくれというようなふうに聞えるという、そういうふうな言辞は決して食糧問題をまじめに解決して行く途ではない。そういう意味におきまして、乏しき予算ではございますけれども、私どもとしましては、従つて粉食なり麺食なりを奨励して行くその基礎条件を作らなければならん。その裏腹をなすものは、畜産、酪農の振興である。そういう処置につきましては相当大きな処置を講じておるわけでございます。  私どもの趣意としましては、従つて消費者の方々が、米よりも麦を食べたほうが栄養的にも経済的にも有利であるということの認識を持つて頂くような基礎条件を作ることが、私は最も大だと考えておる次第でございます。(「それを画に描いた餅というんだよ」と呼ぶ者あり、拍手)  食糧供出の方法、或いは米価問題に対しての小林さんの建設的な御意見については、私もその線において只今真剣に検討をいたしておる次第であります。
  14. 小林孝平

    小林孝平君 私は自席から再質問いたしたいと思います。
  15. 河井彌八

    議長河井彌八君) 登壇を求めます。    〔小林孝平登壇拍手
  16. 小林孝平

    小林孝平君 私は首相初め各関係大臣がなされました施政方針演説をお聞きいたしまして、その内容の裏付けがわからないから御質問をいたしたのであります。施政方針演説を読んだらわかるということであれば、私は十分読みましたから、もう聞く必要はないのであつて、具体的の裏付けを聞いているのに何らの御答弁がないのは甚だ遺憾であります。この点については今後予算委員会その他において追及いたしたいと存じますが、ただ一つ、私は総理大臣に対しまして、耐乏生活を首相みずからが率先垂範される必要があるのではないかということをお尋ねいたしたのに対しまして、何らの御答弁がありませんので、特に首相からお答えを願いたいと思います。    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  17. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  耐乏生活は読んで字のごときものであります。(笑声拍手)詳細はすでに通産大臣からして説明をいたしました。     —————————————
  18. 河井彌八

    議長河井彌八君) 堂森芳夫君。    〔堂森芳夫君登壇拍手
  19. 堂森芳夫

    ○堂森芳夫君 私は社会党を代表いたしまして、首相初め関係閣僚に対しまして、主として民生安定に関連しまして質疑を行いたいと存じます。  首相は、戦勝国であるイギリスでさえ戦後十年間耐乏生活を続けているのであるから、日本国民もこのたびの緊縮予算に協力してくれと、こう説教しておられるのであります。一千万人以上の人々が援護を必要とする生活困窮者であり、そのうち生活保護法の適用を受けておる者が僅か一八%以下であることを首相は御存じでありましようか。更に、住宅の不足は今日三百万戸を超えており、人口の自然増加による住宅不足が年々累加しつつあることを御念頭に持たれてのお言葉でありましようか。かかる社会情勢を顧慮せずして、単に英国民を賞讃し、緊縮予算に協力をしろと言われましても、国民が納得しなければ絶対に協力しないと思うのであります。果して国民にこのたびの予算に協力せしめる自信がおありかどうか。首相の抱負と確信のほどを承わりたいのであります。私は、たとえ首相が確信がありと言われましても、国民は納得すまいと思うのであります。  何故ならば、第一に、英国民のごとく耐乏せよと言われましても、英国における耐乏と我が国の耐乏とは雲泥の相違のあることを知るべきであります。勿論、国力の差はあるにいたしましても、イギリスには立派な社会保障制度国民の生活を守る盾の一面として確立されておるのであります。吉田内閣が大砲のために社会保障を犠牲にして恬として恥じざる態度とは根本的に異なつておるのであります。全く現内閣のごときは手放しの耐乏論と言わざるを得ないのであります。この点に関して首相にお尋ねいたしまするが、この耐乏生活を要求せられました対象は一体如何なる階層の人々でありましようか。国民の多数の人たちの今日の生活はこれ以上切り詰め得ると思つておられるのであるかどうかを伺いたいのであります。そこで、政府耐乏生活を要望するならば、是非とも積極的な社会保障が必要となるのでありまして、首相初め大蔵大臣厚生大臣、労働大臣お尋ねしたいのであります。予算編成に当り当初大蔵当局は無謀にもこの方面に大なたを振つたのでありまするが、さすがに政府は世論の抗議に屈伏して、社会保障の枠削減問題も大体前年度通りに復活いたしました。尤も、復活しましたとは言え、厚生省予算は前年度なみのぎりぎりの線であります。厚生年金の国庫負担増加、らい対策、孤児奨学資金などは、新規分まで認められたので、社会保障は一歩前進した、予算も前年度より二十億殖えたと、政府は得意然であります。大蔵大臣のごときも、昨日の答弁でそのようなことを得意顔で言つておられまするが、一兆円内の緊縮財政の煽りをくらつて、今後激増を予想されます失業者、困窮者の救済分は全く見込まれていないのであります。生活保護費は保護人員百六十七万人に圧縮して、予算は前年度より約十四億円増加となつておりまするが、この中には前年度赤字二十億と医療単価の値上り分を含んでおるので、実質的には前年度よりもむしろ減つておるのであります。従つて物価値上りに伴う扶助金増額は認められず、又二十九年度に増加を予想されますところの要保護世帯の救済分が今度の予算には計上されていないのでありまして、大きな社会問題を惹起することは明らかであります。大蔵大臣厚生大臣は、この事態を如何にお考えになつておるでありましようか。明確なる答弁を願いたいのであります。  失業対策費は前年度に比較して十億円の増加となつておりますものの、二十九年度のデフレ政策の強行による失業者の増加はおよそ三〇%の予想に対して、如何に対処せられるか。更に又雇用者五人以下の零細企業の従業員たちは失業保険給付の対象から除外されております。まだ悲観材料はございます。満十四才に達するいわゆる新規の労働人口の増加は、二十九年度は八十万と言われております。デフレによる労働市場の閉鎖から、これらの何%かは失業者の側に計算することになるのであるが、これらに対する対策は如何にされるのか。大蔵大臣、労働大臣の明確なる答弁を求めるものであります。昨日も大蔵大臣は補正予算は組まないと言つておられまするが、如何なる事態が起きても、生活困窮者が街頭に溢れても、絶対に補正予算を組まないとおつしやるのでありますか。お伺いしたいのであります。デフレ政策影響によつて労働基準法の改悪、婦人、少年の労働強化とならない保障ができるのか。労働大臣に併せて答弁を願いたいのであります。  国民を疾病から守る制度としての医療保険は、各種保険を合算しておよそ五千万人ほどの適用者となつております。その対象から除外されておりますところの数千万の人たちは、デフレ政策犠牲となるのであるから、生活困窮によつて医療費にも当然事欠くようになるのであります。一日も早く対策が必要であるのにかかわらず、何らの予算措置が講ぜられていない。複雑多岐に亘る医療保険を単純化し、小企業にも社会保険の適用範囲を広め、あまねく全国民に医療を開放すべきと思うが、その対策ありや否や。大蔵大臣厚生大臣に伺いたい。  社会保障こそは、政府国民耐乏を強いる代償としても、経済自立のためにも、最も力をいたさなければならないのであります。国家財政と狭義の社会保障費との比率を、日本と諸外国を比較するならば、イギリスの一七%、西ドイツの二〇%、スウェーデンの二七%、フランスの一五%に比べて、日本予算は僅かに七%であります。而も世界の趨勢は、吉田首相が最も尊敬しておられるところのアメリカにおいてさえも、(笑声防衛費削減して、民生費に振り向ける傾向にあるにかかわらず、ひとり吉田内閣だけが防衛費のみを殖やして民生を圧迫しておるのであります。私は国民の名において強く糾弾いたすものであります。(拍手)私の見るところでは、前年度よりの防衛関係費の剰余金は八百億くらいになると計算いたすのであります。而も本年は防衛費は千三百七十三億、およそ前年よりも百四十億の増となつておりますが、厚生省予算は七百三十二億、およそ二十億の増加となつております。私は吉田内閣政治感覚がすでに十九世紀的の残存物であると断じまして、かかる無謀な予算を組んでおる国は日本以外には断じてないと信ずるものであります。すでに昭和二十五年の十月に社会保障制度審議会の勧告もあり、第十二、第十三国会においても、衆参両院は社会保障推進に対する決議を行なつておるのであります。我々は政府が社会保障制度の実現を急ぐべきことを心から強調いたすものであります。  次に、住宅問題であります。昭和二十七年四月現在、全国住宅不足数は三百万戸であります。右のほかに年年の新規需要増加が三十二万戸であります。然るに戦後の住宅建築数は、昭和二十三年度の七十四万戸を最高として、次第に減少し、二十七年度、二十八年度はおよそ二十七万戸であります。この程度では年々の自然増加を賄うことさえ不可能であります。現在のままでは、数の上から見ただけでも、住宅問題は絶対に未解決であります。住宅の民間自力による建築も二十二年から二十四年にかけて最大の比重を占め、総建築数の約八〇—九〇%を占めておつたのが、その後現在においてはすでに五五%に下つております。今日では住宅不足の焦点がいわゆる借家階層に集中しておることがわかるのでありまして、来年度予算を見ますと、住宅対策費は前年度より三億四千万円減少しておる。而も住宅金融公庫、勤労者更生住宅を合せて国全体で十万三千戸の家が建つことになるのでありますが、このようなことでは全く住宅問題は解決できないのであります。我が党はつとに住宅建設十カ年計画というものを発表しておるのでありますが、然るに政府は無計画に住宅問題を取扱つておるのであります。住宅政策こそは、国民の基本的な生活を守り、生産意欲の培養を図る平和建設の基本的なものであります。建設大臣は如何に住宅問題を考えておられまするか。御答弁を願いたいのであります。昭和二十六年を通じまして東京都内の商業用建築物の内訳を見ますると、銀行だとか、事務所、旅館、待合、料理屋、貸席、娯楽機関などの工事費と、全住宅用建築物の工事費はほぼ同額となつております。二十七年、八年は、不急の建築物は更に激増しておると想像されるのであります。而も延面積は、前者のそれは後者の約三分の一でありまして、この事実は、不急の、而も経済自立に何ら寄与しないものであるが、巨額の資金が浪費されておるのであります。この事実を政府は何と見るのでありまするか。政府は、かかる建築物に強い制約を加える意思がありや。併せて建設大臣答弁を伺いたいのであります。  次に、引揚問題について首相並びに外務大臣お尋ねいたします。昭和二十八年八月一日現在、ソ同盟に一万二千七百名、中国に三万九千四百名、千島・樺太に千七百名、朝鮮に二千六十一名、合計五万六千名の同胞が、生存の資料がある未帰還者として外務省は発表しております。昨年八月以後、中国から六千八百名、ソ同盟から八百十一名の人々が帰つて参りましたが、これらの人々を除いて、なお五万名の人々がこれらの地に生存しておつたということになるのであります。然るにソ同盟赤十字社の発表によりますると、中国に送られました九百七十一名を除いて、戦犯千四十七名がソ同盟に留まつていることが明らかであるが、なおこれらのほかに、一般邦人が如何ほどおるかわからんと言つております。生存の資料があつた人たちだけでも五万余であるが、これらの人々の消息を知るために、政府は如何なる対策を講じておるか、又将来いつ帰つて来るか、その見通しについてお答えを願いたいのであります。中国の人たちの帰国は、日本赤十字社その他の団体の斡旋によるものであり、ソ同盟からの戦犯の諸君の引揚については、大山郁夫参議院議員の訪ソを機会として実現しておるのであります。これらの国からの引揚については、政府は全く無力であつたのであります。(拍手)父や兄弟や息子が、十年の間指折り数えて待つております心情から申しましても、人道上から申しましても、問題は極めて重大であります。国交の回復しないことと未帰還者引揚の問題は、全く別個のものであるべきでありまして、(拍手政府は何らの努力もしていないではないか。ソ同盟から中国に送られた九百七十一名の戦犯の諸君の帰国の問題と重要な関連があり、先に中国からの引揚について尽力を惜しまなかつた中国紅十字社社長李徳全女史の招聘の問題については、一昨日同僚相馬議員から質問いたしましたが、外相の答弁は極めて不誠意であります。一日も早く同女吏を招待するための努力をするというころの明確なる答弁を願いたいのであります。(拍手)私は、首相が引揚問題につきまして如何に具体的に対策を講じて行くか。留守家族の名において答弁を求むるものであります。  二十七年度輸出入を見ますると、およそ八億ドルの赤字がございます。その赤字は特需その他で賄つて来たことは御承知の通りであります。而も輸入の大きい部分を占めるものは食糧でございまして、この食糧問題は我が日本にとりましても重大な問題でございまするが、このただでさえ不足しておる食糧は、而も年々増加いたしまするところの人口増加によるところの不足によりまして、食糧の不足に向つて根本策を立てることが、経済自立のためにも、又民生安定のためにも最大急務であります。二十四年以来、吉田内閣が土地改良、開墾、干拓、耕種改良等に投じて参りました予算は千億に達するのであります。その増産効果は土地改良だけでも三百五十万石と言われておりまするのでありまするが、人口増加や農業災害等があるとは言え、政府の産米の供出割当は減額される。反対に輸入食糧は、二十四米穀年度は砂糖を含めて二百二十万トンであつたものが、二十七年度には三百六十八万トンと増加しております。今日まで昭和二十四年から約一千億の巨額の投資をしながら、増産効果は一体どこに現われておるのでありまするか。この点について農林大臣及び経済審議庁長官の明確なる答弁を求めたいのであります。この巨額の経費を注ぎ込みながら増産効果を挙げ得ないのは、自由党政府農業政策が都市資本の蓄積をやるために、農民には、低米価による供出と過剰人口を背負わせて、農家経済に重圧を加えており、他方、政府食糧政策が全く定見なく、常に動揺し、無定見を暴露しているものと言わざるを得ないのであります。(拍手)更に政府は、現実に米の統制撤廃が不可能であるに拘わらず、今にも統制を外すがごとき無責任な宣伝をして参りました。この無定見極まる政府態度が、多額の国費を食糧増産に注ぎ込みながら、その成果を具体的につかみ得ない結果を招来したもので、政府責任は重大であります。保利農林大臣責任ある答弁を求めたいのであります。  私は今日、従来のような総花的な予算の組み方ではなしに、重点的に而も短期間に完成する耕地の拡張に努力いたすべきだと思うのであります。農林大臣はいろいろ答弁しておられまするが、もつと具体的にあなた方の計画をお示し願いたいのでありまするし、又そのような計画を実行に移す意思ありや否やを承りたいのであります。食糧増産費は、今年度は九十億円の復活が認められましたけれども、それでも、食糧増産費は二十八年度をひどく下廻つております。外資の導入によつて食糧増産費を賄うつもりだと言つておられまするが、果してこの方面に外資の導入は可能であるかどうか。明確に答弁を願いたいのであります。保利農林大臣は、二十九年度予算輸入食糧補給金が大幅に削減されましても、二十九米穀年度においては現行配給量を確保できると言つておりまするが、果してそのような確信がありや否やを承わりたいのであります。併し輸入食糧価格差補給金を二百十億円減少して九十億円にいたしたのでありまするから、従来多量に輸入して参りました外米は大幅に削減しなければならないことは自明の理でありまして、そのようになりましたときに、米を主食とする現在の食生活の実態に鑑みまして、全く準備なくして麦食に移行いたしますことは、大衆の生活に犠牲を要求していることになると思うが、農林大臣は如何なるお考えでありまするか。答弁を願いたいのであります。  次に、物価の問題であります。大蔵大臣経審長官は、来年度は年間平均五%、二十九年度末現在では一〇%の物価引下げを見込んでおられまするが、果してそのような具体策ありや否やを先ず伺いたいのであります。又政府は、電力料金、鉄道運賃の値上げを絶対に行わないつもりであるかどうかもお伺いしたいのであります。併し一月一日からの米の値上げをきつかけに、種々の必需品がうなぎ上りに上つております。更に税制の改正によるところの間接税の増徴となり、今日までにじりにじりと生活物資の値上がりを来たし、家計を著しく圧迫しているのであります。輸出の振興こそは、我が国経済自立のための前提条件であることは勿論であります。而して三、四割の国際価格との差をなくすることでありまするが、果してその具体策ありや否やを承おりたいのであります。このたびの予算を見ますると、種々の基幹産業への財政融投資が著しく削減されております。炭鉱、鉄鋼の近代化はそのために中断の止むなきに至つております。そうして業界に大きな混乱を引き起すことは必定であります。電源開発、ソーダ、合成繊維などのこうした産業の近代化は一体どうなるのでありまするか。設備の近代化を中絶さして、如何なる方法でコストを引下げるかを伺いたいのであります。我が国産業の近代化は、戦後直ちに行わねばならなかつたのに、朝鮮事変の勃発を神風と呼んで、無計画なインフレ政策をとつて来た政府責任は重大であります。(拍手)而も今日になつて、忽然としてデフレ政策に転じ、自己の責任を自覚せず、大衆に無慈悲な耐乏を要求するに至りましては、MSA援助に伴う軍事予算と批判されても一言の弁解もできないではありませんか。若し政治責任を吉田首相が知るならば、当然辞職すべきと思うが、如何でありましようか。  このたびの予算は、保安庁のみがほくそ笑んで、あぐらをかいているということ、そうして吉田内閣が、大衆の犠牲において、再軍備を至上命令としながらも、経済自立の根本策は何もないということを暴露しているのであります。(拍手国民は、吉田内閣が何年も続いて、そのうちに自分の国が亡びたということを我慢することができないのであります。首相は如何に政治責任を感じておられるのかどうか。経済自立に対し如何に見通しておられるかどうかをも伺いたいのであります。  以上を以て私の質問を終るのでありまするが、首相初め関係閣僚の明確なる答弁をお願いするものであります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  20. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  先ほども申しました通り消費と生産のアンバランス国際収支アンバランスを救つて、自立経済の基礎を立てるようにということは、これは国民の要望であります。この国民の要望に副うて、耐乏予算緊縮予算、二十九年度予算編成いたしたのでありますから、この予算の意味合いを国民は了解し、従つて国民の全幅の支持を得ることを私は確信いたします。  社会保障、住宅建設費等については、乏しい予算のうちにもできるだけの処置を講じましたことは、堂森君御自身御承知の通りであります。  引揚げ問題その他につきましては所管大臣からお答えいたします。  政治上の責任或いは政局に対する将来の担当問題につきましては、先ほどお答えをいたした通りであります。(拍手)    〔国務大臣小笠原九郎登壇拍手
  21. 小笠原三九郎

    国務大臣小笠原九郎君) 今回の予算編成に当りまして、国力に応じた自衛力漸増を行うことにいたしておりまするけれども、他面、生活保護或いは失業対策その他の社会福祉関係諸費におきましても、二十八年度に比べまして三十八億円を増加する等、いろいろのことをやつておりまするし、中小企業金融の円滑化を図るための各種措置もとつており、更に又低額所得者の租税負担の軽減を図るというようなことをやつておりまするので、私どもはこの点、懸念なきものと存じております。  更に、今の数字的なお話がございましたが、失業保険につきましても、これは前年度に比べまして五分の増加を見込みまして二百六十三億五千万円計上しておることは御承知の通りでございます。更に失業対策事業費補助におきましても、吸収人員をやはり五分の増加を見込みまして、百十一億円を計上しております。更に職業紹介機関につきましても、この機能の活溌化のために約一割を増加しております。中小企業対策或いは医療対策につきましては、すでに述べられた通りであります。なお、この医療施設補助費としては十二億円計上してあります。更に住宅対策は、これは十分とは申されませんが、百三十四億円を計上しておるのであります。  更に、物価引下げについてのお話がございましたが、これはどうも日本経済自立のために、どうしても日本商品の国際競争力を力付けるために、現在の日本が課せられている国際収支均衡の関係上これをやるのでありまして、ほかに他意があるわけではございません。  財政投融資は如何にもこれを減少いたしましたけれども、併しこれは開発銀行の貸付の枠は縮小されているが、政府においては長期信用銀行等の資金を重点的に振り向ける等、十分指導しますると共に、殊に企業の自己資金の増加を図りますために、今度資産再評価の促進による内部保留の増加とか、配当金の一部損金算入ができることとかいうような措置をとること等で、自力の充実を図らせるようにいたしておりまするので、御懸念のごときことは万なきものと信じております。(拍手)    〔国務大臣草葉隆圓君登壇拍手
  22. 草葉隆圓

    国務大臣(草葉隆圓君) 社会保障はどうだという御質問でございますが、只今総理並びに大蔵大臣からも御答弁申上げましたように、一兆円予算の全体を御覧頂きますると、最もその道で権威者でおありになりまする堂森君によく御承知頂けると、最も政府が力を注いでいる一つであることは御承知を頂けると思います。  そこで具体的に、要保護世帯の増加が相当あるのではないか。それに生活保護が、むしろ赤字の補填を入れているので、実質的には減少ではないかという意味の御意見のように拝聴いたしました。ところが御案内のように、生活保護は年々大体四半期ごとに前金で、この実施機関でありまする市長並びに府県知事に前払をいたしまして、そのあとで、その実施の状態によつて清算をいたすのであります。従いまして、三月までの使いました金は明年度の四月以降に支払うという、決算によつて支払うということに相成る。こういう関係でありまするから、年々いわゆる何がしかの金は前年度支払がそこへ出て来るわけであります。本年度予算におきましても当然従つてそういうふうにいたしております。ただ、先ほど小林君の御質問にもお答え申上げましたように、或る程度の増加等を見込みまして、後半大体月十七万人ぐらいは増加しても、この生活保護法によつて処置し得る予算を計上いたしていることを御承知を頂きたいのであります。  赤字があるために生活保護、医療保護等が打切られるのではないかというような懸念がありまするならば、只今申上げましたような事情でございますから、よくその懸念のないように、十分、現在受けている人が理由なしに打切られるということはございませんから、御安心なすつて治療を受けられるようにお願いを申上げたいと思います。  なお、医療の保障の徹底は不十分ではないか。これはお説の通りだと存じます。或いは国民健康保険等におきましては、なお全国的に普及徹底しておるとは存じておりません。従いまして、本年に引続きまして明年度におきましても国庫負担を同様負担をいたしまして、普及徹底をすることを期しておる次第でございます。  以上を以てお答えといたします。(拍手)    〔国務大臣小坂善太郎君登壇拍手
  23. 小坂善太郎

    国務大臣(小坂善太郎君) お答えを申上げます。  我が国の人口が年間百二十五万人から増加しておりまするが、約九十万からも労働力人口がこれ又殖えておるわけであります。併し失業情勢は先ほど申上げましたようにそれほど悪化していないのでありまして、ここに我が国の特殊なる経済事情が存すると思うのであります。非常に弾力性があるという特性が存すると思うのであります。併しこうした経済の弾力性というものはそのままに放置することはできないので、やはりその弾力性のある間に国際的にも健全な経済自立をなし得る態勢をとらねばならんと考えまして、そこに今回の均衡予算の意義があると思つておるのであります。そこで明年度のことにつきましては、政府としましては、先ほども申上げたように特にこの関係の予算を重視しております。即ち、数字的に申上げますれば、失業対策費は十一億円ばかり殖えております。失業保険費につきましては、本年の給付の実際額が月二十億円程度でございまするから、この給付の実際類からいたしますると、予算総領では五%増でありまするが、実際額から見ますると一割増になつておりまして、なお予備費もございまするから、この点については絶対に御心配はないのであります。なお労災病院等につきましても前年度四億四千万円であり、本年度は十一億円計上しております。失業保険福祉施設等につきましては、前年度一億四千万円でございましたのを本年度は四億円計上しております。又労働者住宅につきましても、これは建設大臣の御所管でございますが、前年度が二十五億を三十七億円と増加しております。こういうふうに特段の配慮をしておることを御承知願いたいと思うのであります。なお労働基準法についていろいろお話がございましたが、この基準法というよりも、基準法の施行令につきまして労働省としては厖大な諸規則がございまして、これが実に複雑を極めておりまするので、関係者が非常に迷惑をしておるという声を聞くのであります。従いまして、労働省としましては、これらの諸規則につきまして全面的に再検討いたしまして、法律に根拠のない、或いは根拠が薄弱であると認められる諸規程はこれを廃止すると共に、許可認可等の手続が極めて煩瑣を極め、これが我が国経済社会の実情に副わない点につきましては、努めてこれを簡素化いたしまして、特に中小企業につきましては積極的に負担の軽減を図るよう、そうした方針で準備中でございまして、逐次その改正を実施いたしたいと考えております。但し、労働者の身体生命に直接危害を及ぼし、或いは国際水準を下廻るというような改正をいたすというようなことは避けたいと考えておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣戸塚九一郎君登壇拍手
  24. 戸塚九一郎

    国務大臣(戸塚九一郎君) お答え申上げます。  只今住宅対策としてやつておりまするのは、御承知のように、公営住宅、それから住宅金融公庫によるもの、その他公務員住宅、勤労者厚生住宅、これだけ全部で二十九年度が十一万戸になるはずであります。公営住宅につきましては、御承知のように二十七年度から三年計画で第一期の建設計画を進めておるのでありまするが、二十七年度の当初のときに割合少なかつたのでありまするので、その後、二十八年度、それから来年度といたしましても、当初の計画通りには参らないことになりまして、大体七〇%ぐらいと予定せられておるのでありまするが、殊に二十九年度におきましては、その残余をもつと多くという考えを持つてつたのでありまするが、御承知のように前年度程度、つまり災害住宅を入れて五万三千戸ということに相成つたのであります。それから住宅金融公庫によるものは、財政投融資の非常な縮減の結果、やむを得ず前年度より減少いたしました。併し財政投融資の事業の範囲としては相当重点を置いてやつておるのであります。なお、勿論これで住宅対策がよろしいと考えているのではありませんので、今後十分努力をいたしまして万全を期して参りたい、かように思うのであります。  なお次に、大規模建築について規制をすることを考えないかというお話でありましたが、お話のうちにありましたように、二十六年には朝鮮動乱ののちでブーム状況を呈したと言つてもいいのかと思いますが、相当この辺の建築が多くなつたようでありました。併し二十七年度には大規模建築としては二十六年の三分の一程度に減少しております。それから二十八年もほぼその同様の傾向を辿つているのでありまして、一応平静に帰つたのではないかと、かように見ております。なお勿論この問題については十分今後の動向を注意いたしまして善処いたしたいと、かように考えます。(拍手)    〔国務大臣岡崎勝男君登壇拍手
  25. 岡崎勝男

    国務大臣(岡崎勝男君) 引揚の問題についてのお話でありますが、政府はこの問題を怠つているようなことは絶対にありません。反対にあらゆる手段を尽してこれを促進しようといたしております。ただ相手方のほうでは、何らか政治的考慮があるのですか、どうですか、故意に政府を忌避して、いわゆる人民管理的な方式を我が国民に押付けようとするきらいもあるので、この点は誠に不可解でありまするが、併し政府としては未帰還者の立場も考慮しまして、日本赤十字等を通じて善処いたしているような次第であります。なおこの問題につきましては、我が国のみならず、ドイツとか、イタリアとかにも同様な問題がありますので、一方においては国際的な輿論によることも適当であると考えておりますので、国連捕虜特別委員会、又は世界赤十字を通じても努力をいたしております。更に俘虜とか抑留者を帰還せしむることは、これは各国とも当然なすべき人道上の処置でありまして、例えばこの中共の紅十字関係者日本に招待すれば引揚ができるとか、しなけりや引揚を阻害されるとか、こういうことはどうも私には理解できないのであります。(拍手、「人民外交を邪魔するな」と呼ぶ者あり)    〔国務大臣保利茂君登壇拍手
  26. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 終戦後、今年度までに食糧増産のために投じられました財政投融資は、お話のように約一千億に達しているかと思います。そこでこの二十七年度までの集計を見ますと、土地改良等による受益面積はこれによりまして約八十七万町歩、開墾、干拓、農地造成が新たにせられましたものが四十四万町歩という、かなり大きな数字を示しております。なお折角のこの増産対策をやつたにもかかわらず、増産効果が十分行つてないんじやないか。これは個々についてはいろいろの御批判もあろうかと思いますが、全体として見ますと、戦前、昭和九年——十一年頃の反当収量は一石八斗台であつたと思います。それが最近は二石一斗台に全国平均としては上つて来ている。これはむしろこれだけではなく、農家の非常な努力或いは生産条件のいろいろの進歩、変化によつてもたらされて来ているとも思いますけれども、一番大きなものはやはり土地改良の効果であると私どもは考えているわけであります。そこで本年度の窮屈な増産予算をどう使うか、お話のように重点的に効率的にやる考え方か、それは全くその通りでございますが、実際問題になりますと、これはもう堂森さんもよく御承知のように、福井県だけの例をとりましても、重点的にということになると非常に困難ではありますけれども、困難ではありましても、この予算を効率的に使いますためには、どうしても重点的にやつて行かなきやならん、こういうふうにまあ考えております。併し、なおこの食糧増産について先ほど小林さんからの御質問もあつて答弁を漏らしておりましたが、外資導入の関係を申しておられました。私どもの考えとしましては、とにかくこの食糧増産というものは、幾ら金を注ぎ込んでも、とても当座これだけでいいという形になるというところまで漕ぎつけ得るということは、私は殆んど不可能だと思う。そんなに日本の財政力というものは余裕のあるものじやない。あるどころでなしに、非常に窮屈、それでもとにかく財政の許す限りは食糧増量を急がなきやならん。併しどうしてもそれで間に合わない。一面、世界の投資銀行になつております世界銀行に対しては、日本もこれは出資参加をしておるわけでありますから、その世界銀行の資金を食糧増産の事業、例えば愛知用水でありますとか、大規模の干拓に投資を受け得ることができますならば、私どもとしては喜んでこれは受けたい。又昨年来朝せられました世界銀行調査団の報告によりましても、日本食糧増産には投資価値ありという報告をされておるわけでありますから、私どもとしては何とかこれを実現するように努力をいたしたいと考えておる次第であります。  なお、米食率の問題は、先ほどの小林君の御質問にもお答えいたしましたが、私はこの米穀年度の配給は現行配給量を維持する方針を固くとつております。なお、来米穀年度につきましても、一応の予算措置は百十四万トンの外米輸入をするという計画の下に予算は立てておりますけれども、これは願くは、一つこういう外米輸入が、この圧縮した中からでも、更に圧縮するように努力をして行かなければならんというように考えておる次第であります。(拍手)    〔国務大臣愛知揆一君登壇
  27. 愛知揆一

    国務大臣(愛知揆一君) 私への御質問は主として財政投融資の関係かと存じまするので、その点を簡単にお答え申上げます。  申すまでもございませんが、今回の予算に伴いまして、財政投融資の計画は、二十八年度三千三百八十九億円に対しまして二千八百五億円と、約五百億円の減少になつております。併しながら、そのほかに各準政府機関等におきましては自己資金等も相当持つておりまするので、実際の貸付の計画で申しまするならば、例えば最も今回の措置によつて影響を受けやすいと思われまする中小企業対策として、中小企業公庫においては、二十八年度百五十億円の貸付計画でありましたのに対しまして、二十九年度は百九十億に増額をいたしております。又電源会社等におきましても、昨年度二百億に対して二百六十億の資金計画になつております。これは一、二の例でございまするが乏しいうちにおきましても、いわゆるデフレ的な政策をとりまする場合に必要と思われる措置は十分に配意をいたしておりますつもりでございます。(拍手)     —————————————
  28. 河井彌八

    議長河井彌八君) 野本品吉君。    〔野本品吉君登壇拍手
  29. 野本品吉

    ○野本品吉君 一昨日来、同僚議員諸君の熱心な御質問と、これに対する政府の御答弁によりまして、私どもは当面しております問題の所在と、政府のこれに対するお考えとの大体を承知することができたのでありますので、ここに同じ問題を繰返すことを避けまして、残されたと思う若干の問題につきまして御質問申上げたいと思います。  第一に、私は吉田総理に対しましてお伺いいたしたいと思いますが、いわゆる国力に応じました自衛力漸増ということが、警察予備隊から保安隊になり、保安隊からやがて自衛隊になるという、そうして又その装備も新聞等の報ずるところによりますというと逐次著しい変化を来たしておる。かような事実を目の前にいたしまして、国民は殆んどすべてが自衛力漸増の方向がいずれの方向にとられておるかということについて、一応の見通しを付けているわけであります。私は今更再軍備問答或いは戦力論議というようなことをするつもりはありません。ただ、かような国民の気持が別な問題として考えられなければならない重要な点を持つておるということを申上げてみたいのであります。それは、政府或いは総理の御説明と現実との余りにも大きい食い違いを目の前にいたしまして、国民の心の中には、どこかに一体これはどうしたことであるかという懐疑の念が起りつつあることであります。私は、この国民の懐疑の念が、いわゆる再軍備の問題を離れまして、政治そのものに対する懐疑になつて来るということがあつたらば、これは由々しいことであると、かように考えておるのでございます。即ち、私は政治に対する国民の懐疑は、如何なる政党が政治をとるにいたしましても、政策の滲透推進への協力を阻みますところの無言の抵抗になつて来るということであります。憲法は改正しない、再軍備はしないという総理の一貫しました方針と現実との喰い違いが、かような国民心理へと動きつつあるこのことに対しまして、若しも国民に誤解ありとするならば、その誤解を解き、国民の懐疑が疑うべからざるものを疑つておると言うならば、この点についてこれを一掃するの努力と誠意とを示さなければならんと思うのであります。この点につきまして、総理はどのようなお考えになられておりますか、伺いたいのであります。  第二の点は、このたびの施政方針演説におきまして、特に政府我が国経済自立の基盤としての総合的な食糧自給度を高めますために、国の関心をより強く北海道に注がれることを明らかにされましたことは、誠に時宜を得た措置として私は賛意を表するにやぶさかでないのであります。現在置かれております北海道のことを考えますときに、私は、政治的にも、経済的にも、又外交的にも、幕末から明治維新にかけての北海道の様相とその位置、使命を思い起し、同時にあの当時の困難を非常な努力を以て克服されて、偉大な業績を挙げましたところの当時の先人に対しまして、心から敬意を表するものでございます。そこで私がお伺いいたしたいと思いますことは、今後の北海道開発のことも容易なことではないと思いますが、私はこの際、新らしく北海道開発の専任大臣としての責任を持たれました大野大臣の北海道開発に対する抱負と具体的な経綸とをお聞かせ願いたい。(拍手)  同時に、この北海道開発の問題を推進いたしますためには、道路、交通その他の面におきまして幾多の大きな仕事を片付けて行かなければならんと思うのでありますが、私は、現在相当配置されておると思います保安隊の人力及び機械力をこの北海道開発のためにできるだけ動員いたしますことが、北海道開発の経済的、効率的な解決といたしまして、極めて効果的であり必要であると思うのでありますが、この点に関しまして木村保安庁長官はどのようなお考えを持つておられますか、お伺いいたしたいと思います。  次に行政改革に関してでございますが、行政改革に関しましては、先にリツジウェイの占領下諸法令の再検討を認める声明によりまして、内閣に政令諮問委員会を設けられて、次いで二十七年法令整理本部ができた。更に又行政管理庁に行政審議会ができた。而うして昨年の八月には、内閣全体の政治力を傾けてこれに当るべきであるという固い決意の下に、臨時行政改革本部が設けられて、行政改革に対する熱意を示されたので、国民も又これに対しまして相当大きな期待をかけておつたわけであります。然るにだんだん聞くところによりますというと、この長年に亘る懸案、而も政府が非常な熱意を傾けてとりかかりました行政改革が、その意に反しまして予期のような結果に到達しておらんということを承わりまして、私どもは実に遺憾に思つておるわけであります。行政改革には当然職員の整理というようなことも伴いますが、戦後処理対策として何が何でもやらなければならんという認識の上に立つ限りにおきましては、もつとこの問題が合理的に効果的に処理されるようにということを願つてやまないわけであります。私はこの点におきまして、行政管理庁長官は、問題の隘路、難関がどこにあつたのか。そしてその隘路、難関の克服と将来の目的達成に対してどのようなお考えをお持ちになつておられるか。又緒方副総理に対しまして、この目的を達するためにより強力な超党派的な、例えばかのフーヴアー委員会のようなものをお作りになつて、根本的に検討をされた結果を断固として行うというようなお考えはないかどうかを承わりたい。  次に農林大臣にお伺いをいたしますが、これは私が申上げるまでもなく米価政策の面におきましても、供出制度の面におきましても、食糧管理の問題が壁に突き当つておる。この事実を認められて農林大臣がいろいろと苦慮されておりますことはかねがね承わつております。そこで私の聞きたいと思いますことは、細かい点は別といたしまして、この問題の対策といたしまして、自由への方向をとるか或いは統制への方向を依然として辿つて行くつもりであるか、この大方針について農林大臣の御所見を伺いたいと思うのであります。  なおこの際附け加えてお伺いをいたしたいと思いますことは、昨年の冷害によりまする米の異常な減収、この減収の当然の結果といたしまして、いろいろ農林大臣の御心配等もありまして供出割当が非常に減つた。この供出割当が、非常に減つたということの結果が、農業協同組合の経済的な面に非常な打撃を与えておる。即ち集荷手数料の激減、倉庫料の激減、これらによりまして米作地帯の農業協同組合は非常な苦難に陥つておりますことは、多分御承知のことと思います。私はかような事柄によりまして、日本農民組織の中核体であり又日本の農政を健全に推進して行きますための農業協同組合が動揺するようなことがあつては、これは大変である。このことに関連いたしましての農林大臣の、農業協同組合の擁護と申しまするか育成に関しまして、どういうふうにお考えになつておるかをお伺いいたしたいのであります。  なお最後に生糸の輸出問題につきましては、昨日も同僚飯島君の質問お答えがございましたが、承わるところによりますというと、南方ジヤワ、キユーバ島の砂糖の輸入日本からの生糸の輸出、これをリンクして、糸価の維持と申しますか、蚕糸価を保護しようとするような方策を考えられておるそうでありますが、その構想の概要、実施の時期等につきまして私はお伺いいたしたいと思います。  以上極めて簡単でありますけれども、関係各大臣の御親切な御答弁を期待いたしまして私の質問を終ります。(拍手)    〔国務大臣吉田茂登壇拍手
  30. 吉田茂

    国務大臣吉田茂君) お答えをいたします。  政府政策について国民が懐疑心を持つということは由々しきことであるという御意見であります。私もその通りに考えます。故に政府としては防衛問題につきましても、国力に応じて漸増するという方針を繰返し申述べておるのであります。又その故に再軍備はいたさない、又再軍備をいたさないから再軍備のために憲法を改正する必要はないということも、繰返し繰返し申して政府の意のあるところ、政策の趣意を徹底いたしたいと考えて繰返し申すわけであります。最も政府政策を簡明に正直に政府としては常に説明することは要諦と考える趣意から、右のような措置をとつておるのであります。  その他の問題については主管大臣からお答えいたします。(拍手)    〔国務大臣緒方竹虎君登壇拍手
  31. 緒方竹虎

    国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたします。  行政機構の改革につきましては、只今お話のありましたように、昨年の八月でありましたか行政機構改革本部というものを政府内に設けまして、政令或いは機様或いは人員等につきまして検討して参り、更に今後もまだ検討を続けるつもりでおります。この点につきましては、新たに今御指摘になりましたような例えばフーヴアー委員会というような特別な機関を設けるつもりはありませんが、更に平常におきましても一応この行政機構改革本部の仕事が終りました後も、行政管理庁を中心にいたしまして始終検討を続けて参る必要があろうと考えております。ただ今お話のような、御意見のような新たな機構を作るようか考えは今のところは持つておりません。(拍手)    〔国務大臣塚田十一郎君登壇拍手
  32. 塚田十一郎

    国務大臣(塚田十一郎君) お答え申上げます。  私は行政機構改革というものが国民が非常に熱心に要望しておられるということを考える場合に、本質的な隘路というものはあるとは考えておらないのであります。ただいろいろどういう工合にするかということを現実に担当いたします場合に、例えば機構の場合でございますと、全体を考える立場と局部を考える立場で、若干意見の食い違いがあるわけであります。例えば水産機構をどうするかという場合には、国全体としては、この程度の機構でいいのではないかという一応の考え方が出ましても、水産行政に携わるもの若しくは水産界の人たち意見と若干の食い違いがある。又全体として国の出先機関を整理するという考え方については反対はないが、それではどこのどういうものを廃止するかということになると、地域的に、やはり局部的に意見の食い違いがある、そういうものの調整に若干の困難があるということであります。又人員の場合につきましても、全体として見れば確かに冗員はある、そういうように考え、又誰もそれに対して異論はないのでありますが、さてそれもどの省のどの部局にどのくらいあるかということを掴み出して、検討し出して、そこを整理の対象にするということに若干の困難さがある、こういうように感じられるわけであります。そういう面をいろいろ検討しながら、なお困難を克服して、是非ともこの問題は国民の要望に応えられるように完遂を期して参りたいと、こういうように考えております。(拍手)    〔国務大臣大野伴睦君登壇拍手
  33. 大野伴睦

    国務大臣(大野伴睦君) お答えいたします。  私はつい最近北海道を受持つことと相成つたのでありますが、北海道は私は曾遊の地であり、よく存じておりますが、実は自分が責任者となつて北海道の開発に当るということは、今日まで夢にも考えておりませんでしたから、私に対する抱負とか識見とか言われても、直ちにお答えすれば、大野が駄ぼらを吹いたように或いはお感じになるかもわかりませんが、いささか経綸も抱負も持つておりますが、例えば、如何せん今年度予算は、御承知の通り、北海道開発費は百五十億に満たない。この少額を以てしては、どうしてもあの広大な北海道の開発は、私は不可能であると申上げても差支えない。けれども、大いに私は今後でき得べくんば外資まで入れて、一つ開発をいたしたい。然らば何によつて外資が来るか。天北地方の油田は非常に有望である。現に昨年でありましたか一昨年でありましたか、帝国石油がアメリカの指導によつてボーリングをいたしたそうでありますが、これは不幸にして数億の金をかけたけれども、たつた一本で結局失敗に終つたそうでありますが、しかしアメリカの技師はなおその希望に燃えている。少し国家が、或いはアメリカ民間会社みずからが来て、ボーリングを下せば、相当の金が要るそうですが、私がこの間聞いたところによると、本当に徹底的にボーリングを入れると、一本掘るだけに十億を要するようなことを申しておりましたが、そうやつて五十か百やれば、大きな油田が発見されるであろう。こうまで言うておりましたが、なかなか現在の国家財政、今年の予算が僅か百五十億に満たないという、そういう少額を以て、あの広汎な北海道がどうして開発できるか。ここに私は大いに検討を加えなければならないと思うのでありますが、この間施政方針演説総理が、今後は北海道開発に大いに力を入れるために専任者をおいたのだと仰せられたので、来年の予算は私は非常に期待しておりますが、今年は如何せん百四十六億余でありまして、これはどうも今年どうすることもできませんが、併しでき得べくんば、民間資本或いは外資を導入して、大いに開発をいたしたい。私の聞くところによると、開墾ができる未開発地帯が百万町歩もあるというのですから、今やかましい次男坊、三男坊の対策は、この一つでもできるだろうと思うのでありますが、これも要は予算の問題であります。金の問題であるということに結論ずけられるであろうと思うのであります。併しこの乏しい予算の中から、御承知の通り今年は苫小牧工業港に、相当の金を大蔵大臣も奮発いたしまして、あそこに大きな人工港を作りまして、一大工業地帯にしようというような考えも持つております。今後折に触れ、抱負経綸を申上げ、何分にも経費が足りないのですから、来年の予算は大いに諸君の御協力を期待いたして答弁に代えます。(拍手)    〔国務大臣木村篤太郎君登壇拍手
  34. 木村篤太郎

    国務大臣(木村篤太郎君) お答えいたします。  お説の通り北海道の道路の開発は、治安の面から見ましても又産業の開発の面から見ましても、最も重大であると考えております。そこで昨日も申上げました通り保安庁法第八十一条において、保安隊は国又は地方の公共団体の土木工事を引き受け、これを実施することができるようになつております。従いまして将来この規定の活用によりまして、北海道の道路の改修或いは開発に大いに援助いたしたい、こう考えている次第であります。(拍手)    〔国務大臣保利茂君登壇拍手
  35. 保利茂

    国務大臣(保利茂君) 食糧管理の方向は自由への途を行くか、統制への途を行くか。私どもは食糧管理をいたして以来の過去の変遷と、今日流通過程の面における極めて不円滑な状態にも鑑みまして、やはり自由への途をとることが正しいと考えておりますが、但し現在の食糧事情並びに消費家計の状態を無視した処置は、断じてとらない考えでおります。米の供出に伴つて、これを取扱う農業協同組合の経営が非常に困難になるじやないか——大体は取扱手数料や保管料の改正をいたしておりますから、全体といたしましては収入減にならないように処置いたしておりますけれども、個々の供出の著しく減つた組合は相当経済上困難を伴つて来るであろうと存ぜられますから、これらにつきましては、農林中金の特別融資等によつて、経営を維持して行くように処置をして行くつもりでおります。  蚕糸の問題につきましては、昨日もお答えいたしましたように、非常に困難な状態にありますけれども、とにかく大事な輸出材料でありますから、これを多少の工夫をいたしましても、無理をしても、できるだけ輸出に持つて行くようにすることが国益を図るゆえんであると存じまして、これはできるだけ速かに、近日中にこの処置を講ずる考えでおるわけであります。具体的にはいずれ他の機会において申上げることにいたします。(拍手
  36. 河井彌八

    議長河井彌八君) これにて質疑通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      —————・—————
  37. 河井彌八

    議長河井彌八君) 日程第二、昭和二十七年度及び昭和二十八年度参議院予備金支出の件を議題といたします。  先ず委員長の報告を求めます。議院運営委員会理事加藤武徳君。    〔加藤武徳君登壇拍手
  38. 加藤武徳

    ○加藤武徳君 只今議題となりました昭和二十七年度及び二十八年度参議院予備金支出の件について報告をいたします。  支出額は、二十七年度に属する分が四百九十九万九千九百七十四円、二十八年度に属する分が九十三万六千円、合計五百九十三万五千九百七十四円でありまして、昭和二十八年度分につきましては昨年十二月九日までに支出をされたものであります。  ところで、参議院の予備金は二十七年度、二十八年度ともにその予算額は合計五百万円でありまして、二十七年度分については二十六円が不用額となつたわけであります。  支出済となつた金額の内容を簡単に申上げますと、二十七年度におきましては、第一に、職員の超過勤務手当として、一般経費の不足を補うために支出をされた金額二百五十三万九百九十一円、第二に、議案類印刷のため、一般経費の不足を補うために支出をされた金額二百四十六万八千九百八十三円であります。又二十八年度分といたしましては、故議員工藤鐵男君の遺族に対する弔慰金として歳費一カ年分相当額九十三万六千円であります。従つて昭和二十八年度予備金は今国会の当初においてはなお四百六万四千円の支出未済額を残している計算となつておるのであります。  なお、以上の支出については、いずれもその都度議院運営委員会の承認を経たものでありますが、ここに国会予備金支出に関する法律第三条の規定により報告をいたす次第であります。何とぞ御審議の上御承認あらんことを希望いたします。(拍手
  39. 河井彌八

    議長河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。本件を問題に供します。本件は委員長報告通り承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて本件は承諾することに決しました。      —————・—————
  41. 河井彌八

    議長河井彌八君) この際日程に追加して土地調整委員会委員の任命に関する件を議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 河井彌八

    議長河井彌八君) 御異議ないと認めます。  去る二十六日、内閣総理大臣から、土地調整委員会設置法第七条の規定により、諸橋襄君を土地調整委員会委員に任命することについて本院の同意を求めて参りました。本件に同意することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  43. 河井彌八

    議長河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て同意することに決しました。  本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十四分散会      —————・————— ○本日の会議に付した事件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件(第四日)  一、日程第二 昭和二十七年度及び昭和二十八年度参議院予備金支出の件  一、土地調整委員会委員の任命に関する件