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説明員(平賀健太君) 現在地代家賃統制令というのがあるのでございまして、この地代家賃統制令の適用を受けます
土地、建物については
権利金は取
つていけないことにな
つておるのでございます。取りますと刑罰も、制裁もあるのでございますが、実は地代家賃統制令の第二十三条におきまして、この事務所だとか店舗だとか、こういう建物及び敷地、これにつきましては全然統制令の適用がないのであります。なお
昭和二十五年の七月十一日以後新築されましたところの建物とその敷地につきましては、やはり地代家賃統制令の適用がないのでございます。この三条の
関係を見ますと、これは
条文からは必ずしもその点明文上はつきり出ておりませんけれ
ども、
接収期間中に
借地権が存続
期間の満了によ
つて終了する、消滅するという場合を
考えますと、これは建物がありますと消滅するということは
考えられないのでございます。その
借地権者所有の建物があるわけであります。これは建物がありますと
接収中でありましても、
借地権の更新の請求ができますし、
接収中だから更新請求をしても無駄だというので黙
つておりますと
期間が参るわけでございますが、その際におきましても
借地権者所有の建物は依然としてあるわけでやはり
借地権者としては
土地の使用を継続しておるわけで、地主のほうからも何も異議を言わないでいる、そうな
つて参りますと法定更新で申しますと、当然
借地権が更新されるのでございますから、建物がございます限りは
借地権は
期間の満了によ
つて消滅するということはないのであります。皆これは更地にな
つておる状態でございます。そうな
つておりますのでこれは新たに建物を所有する目的で賃借するということにな
つておりますので、本法施行はそうなりますと
昭和二十五年七月十一日以後やはり建物を建てることになるのでございますから、この
土地につきましては地代家賃統制令の適用は全然ない、
権利金も自由に取れるということに相成るのでございます。で地代、家賃統制令
違反という問題は、全然起る余地はありません。
それから借地条件の
解釈でございますが、今
裁判所の
判例は私
ちよつと詳しく記憶していないのでございますが、罹災都市
借地借家臨時処理法の二条におきましても、やはり地上権という
言葉があるのでございまして、この
解釈も従来はそういう
権利金は含まないという
解釈にな
つているのでございます。それからなおこの借地法以前からございますのは、借地法の四条なんか見ますというと、
借地権の更新の請求の
規定があるのでございますが、「
借地権消滅ノ場合ニ於テ
借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ
借地権ヲ設定シタルモノト看做ス」で建物でありますと
期間満了が近付きますと、契約の更新を請求する、請求しますと、前契約と同一の条件を以てということにな
つているのでございます。仮に前契約において
権利金を払
つておりましても、更に更新しました
権利金を払うということは出て来ないのであります。結局、やはり地代は幾ら、地代の返済期はいつ、或いは
期間はいつ、そういう本来の賃貸借契約、或いは地上権の設定契約の内容それ自体を言うのであります。やはり
裁判所の問題になりましても、いわゆる借地条件の中に
権利金も含ませるということは
ちよつと無理であろう、将来の問題としても無理であると
考えるのであります。それからなおこの借地条件の中に
権利金が含まないとしても、この借地条件の中に地代をきめる場合に、
権利金も織込んできめたら、きめるということも一応
考えられるわけであります。殊に借家の場合なんかは現在でも慣行といたしまして、
権利金がない代りに家賃が高いという例もございすし、借家の場合はその点は比較的何とかなると思うのでございますが、
土地になりますと、借地の問題になりますと、殊に今のこの
法律が
通りますと問題になりますのは、やはり
東京の例えば伊勢丹の横の空地であるとか、或いは芝浦の海岸とか非常に地価の高い所がやはり問題になりますので、地代の中に
権利金を織込むには余りにも高い
権利金なんでございまして、いずれ
当事者間で話がつきませんと
裁判所の問題になるわけでありますが、
裁判所で高い一般の相物に準じた高い
権利金を地代の中に含めたそういう借地条件を鑑定
委員会がきめられるということは、
ちよつと
考えられないのじやないかと思う次第でございます。