運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-07 第19回国会 参議院 法務委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月七日(金曜日)    午後一時四十分開会   —————————————   委員の異動 五月六日委員宮本邦彦君辞任につき、 その補欠として小野義夫君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            上原 正吉君            宮城タマヨ君    委員            青木 一男君            小野 義夫君            中山 福藏君            三橋八次郎君            棚橋 小虎君   政府委員    法務大臣官房調    査課長     位野木益雄君    法務省民事局長 村上 朝一君   事務局側    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  真道君   説明員    法務省民事局参    事官      平賀 健太君    最高裁判所長官    代理者    (事務総局総務    局総務課長)  磯崎 良誉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○国際連合軍隊に関する民事特別法  の適用に関する法律案内閣送付) ○戦犯者釈放等に関する請願(第一  五二六号) ○愛知県豊橋市に名古屋保護観察所支  部設置請願(第一五七三号) ○岐阜県関市に家庭裁判所出張所設置  の請願(第一七一二号) ○津地方法務局富洲出張所存置に関  する請願(第一八五九号) ○千葉地方裁判所佐原支部甲号支部  に昇格の請願(第二一〇六号) ○千葉少年鑑別所建設工事中止に関す  る請願(第一二九七号) ○法務大臣罷免に関する陳情(第四九  三号) ○戦犯者釈放促進に関する陳情(第  五二六号)   —————————————
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 只今から委員会を開きます。  先ず国際連合軍隊に関する民事特別法適用に関する法律案を議題に供します。御質疑のおありの方からどうぞ御質疑を願います。
  3. 中山福藏

    中山福藏君 一つ早速私がお尋ねしましよう。この国際連合軍隊に関する民事特別法適用に関する法律の第一条中のあとから三行目の所に、「第一条にいう合衆国軍隊とみなし、」ということがここに書いてあるんですが、これはどうして「みなし」ということになすつたのでしようか。合衆国軍隊でないという反証が立派に挙げられるというにかかわらず、このみなすという立場をどうしておとりになつたか、一つ説明願いたいと思います。
  4. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 実はこの法律立案いたします立法技術と申しますか、立案の仕方に二通り考えられるのであります。一つ国際連合軍隊につきまして、日米行政協定に基いて駐留しておりますアメリカ合衆国軍隊についてできましたこの行政協定に伴う民事特別法、これと同じ内容法律を作る、或いは民事特別法規定をすべて準用するという形で立案するのが一つ方法、もう一つ方法は、現在あります行政協定に伴う民事特別法適用範囲を拡張する、つまり現在の民事特別法におきましては、アメリカ合衆国軍隊とありますのを、アメリカ合衆国軍隊及び国際連合軍軍隊というふうに、民事特別法適用範囲を拡張するというやり方であります。で、この案は民事特別法適用範囲を拡張するというやり方とつたわけでありまして、つまり民事特別法適用するにつきましては、国際連合軍隊合衆国軍隊と同じものとして取扱つて行くという趣旨合衆国軍隊とみなした、かように規定いたしたのでございます。
  5. 中山福藏

    中山福藏君 大体みなすという法律用語はこういう所に使うべきものじやないと私ども常識的に考えておるんですが、これは国際連合軍隊というものは、各国軍隊が集合して、いわゆる集団的な一つの軍団という形式になつておるんですが、そこまでみなすという字を使わないでも、同一取扱いをするというふうに持つて行くのが本筋じやないかと思うんですがね。おかしいですな、これは……。あなたの言われる民事特別法の拡張した適用をするためにということから、そういうことを無理にこじつけたというような感じを受けるんですが、法律の体裁から言えば「みなし」という字をここに当てはめられたのは、ちよつとおかしいように思うんですが、どうですか。
  6. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 実は適用範囲を拡張する場合にかような用語を用いる例がときどきあります。例えば有限会社法の八十九条に「有限会社ハ商法除クノ外他法律適用付テハヲ商法会社ト看做ス」、つまり他の法律商法会社、即ち、合名会社合資会社、株式会社についての規定適用範囲有限会社まで拡張するという場合に、有限会社商法会社とみなす、こういう表現を用いた例もございますので、その例にならつたわけでございます。
  7. 中山福藏

    中山福藏君 有限会社の場合は、これは成るほど双方とも会社であつて、いわゆる商法上の規定から流れ出るものでありますから、そういう御説明も一応了承できるわけでありますけれども、それとこれと混同してこの「みなし」という文字をこういう所に御使用になるということは、これは私は国情、人情、風俗その他すべてを異にしておる各国の個々の軍隊というものをこの「みなし」という文字で十把一からげに「みなし」で、すべてのことを処理して行こうということは、これはここにいろいろな無理を伴つて来るということが、実際この裁判の場合に起り得るんではないかということを実は心配をしておるから、そういうふうな御質問を申上げておるわけなんですが、これは「みなす」ということよりも、合衆国軍隊同一取扱いというようなふうに持つて行くほうがいいんじやないかと思うんですが、そういう御議論は起りませんでしたか、それを創案されるときにはそこはどうですか。非常に有限会社とか、普通の商事会社の場合とは違うと思います。だから商法に使つてあるから、ここにも一つ使つてやろうというような簡単なことではこれはいかんのじやないかと思うんですがれ。
  8. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 具体的な条文に当つて説明申上げたほうが御理解を得やすいかと思いますが、民事特別法の第一条に、アメリカ合衆国軍隊の「構成員又は被用者が、その職務を行うについて日本国内において違法に他人損害を加えたときは、国の公務員又は被用者がその職務を行うについて違法に他人損害を加えた場合の例により、国がその損害賠償する責に任ずる。」、こういう規定がございます。この規定適用する場合におきまして、この加害者たる軍人アメリカ合衆国軍隊に属する軍人でなくて国際連合軍隊軍人であつたという場合にも、国がその損害賠償の責に任ずるということになるわけであります。あらゆる関係において国際連合軍隊アメリカ合衆国軍隊とみなすというわけではございませんので、この民事特別法条文適用に関する限り合衆国軍隊とみなして、これは同一に取扱う、或いは中山委員のおつしやるように、同一に取扱うということのほうがよりわかりいいかとも存じますが、従来の法律立法技術の例にならいまして、適用についてはこれこれとみなすという言葉を同じ趣旨に用いたわけでございます。
  9. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつと私この国際連合軍隊地位に関する協定というのを読んでいないからお尋ねしておきますがれ、この国際連合軍隊地位に関する協定といううちに、この民事特別法適用に関して何か協定がこれはついておるわけなんですか。私はまだこれ読んでいないからちよつとお尋ねしておくのですが。
  10. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) この日米関係行政協定に伴う民事特別法は、日米行政協定の十八条に規定してございますが、規定国内法的な裏付けでございます。一方国際連合軍隊地位に関する協定の同じ十八条に日米行政協定の十八条と同じ趣旨規定が入つております。でありますから、国内法的な裏付けとしても同じ内容立法をすることが一つ方法なのでありますが、この法案におきましては、従来あります民事特別法適用範囲を拡張するという形式とつた次第であります。
  11. 中山福藏

    中山福藏君 それならばなお更のことじやないかと思うのですね、私の最初冒頭に申上げたことはですね。やはり国際連合軍隊地位に関する協定からそれが流れ出るものとすれば、やはりみなすというようなことでなくて別個に私はやはりこしらえられるのが筋が通るのじやないかと思うのですがね。これはまああなたのほうの御意見と私のほうの意見と食い違うということにしてけりをつければまあそれまでなんですけれども、頗る物事を簡単にそこへしぼり上げておこうというような、如何にもざつくばらんにやつたというような感じを受けるのですがね、こういう法律の作り方はですね。そして無理やりに合衆国行政協定ですか、或いは民事特別法のうちに持つてつて詰め込む、連合軍まで詰め込んでしまおうという感じを受けるのですがね、如何にも粗雑に取扱うという感じをお受けになりませんか、どうですかね、そこは……。これは国際連合軍というものとアメリカ軍というものは全然別個のものであるということは、誰でも、私が言わんでもあなた方のほうでは十分御存じ通りでありまして、これはやはり二本建にして作るのが本筋じやないかと思うのですがね。
  12. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 非常に細かい点になりまして恐縮でございますが、同じ内容のものを二つ作るということも実は考えてみたのであります。それでありますと例えばアメリカ軍豪州軍の共同の不法行為の場合に、一体どちらの法律によつて責任を負うかというような問題が起きて参ります。それから一方が米軍加害者であり、豪州軍被害者である場合に、日本国責任を負う必要はないわけでありますが、又その逆に豪州軍加害者米軍被害者という場合に責任を負う必要はないわけであります。全然別個法律にいたしますとそれぞれの法律にそのことを謳わなければならない。ここにありますように合衆国の、国際連合軍隊合衆国軍隊とみなし、軍隊構成員軍属及びこれらの者の家族合縦国軍隊構成員軍属及びこれらの者の家族とみなすというような形式でやりますというと、それらの点が極めて簡単に行くのであります。おつしやる通り少し簡単過ぎるという御批評は受けるかも知れません。別々の法律にいたしますと、更にいろいろな条文が必要になつて参るということも考えておるわけでございます。
  13. 中山福藏

    中山福藏君 大体から言えばその基本協定と申しますか、外国軍隊に関する民事特別法のごとき法律は、本来から言えば国際連合軍というものが主体にならなければならんと思うのです。アメリカというような一国を主体としての立法措置を講じてあるということは、これは国連軍よりもこれを重く取扱つているということになつて来る。国連軍というものは私はそんなものではないと実は感じているのですが、国連軍地位というものはアメリカ一国の軍隊よりも上になくちやならないという考えを持つているのです、本来から言えば……。国連軍と、いわゆる国連軍に関する民事特別法というものが先ずあつてこれは一本でまとまり得る素質のものではないのではないかということも考えて見るのですが、国連軍と言うと、アメリカ軍というものも当然その中に入つておる、本来から言えば……。でこれはアメリカ軍隊に関する民事特別法が先にできたので、こういう御処置をとられたのではないかと実は考えておるわけなんですが、これは建前から行けば、やはり国際連合軍の中にはアメリカ軍も入るというところで、逆にこれはこういう立法措置が講ぜられるのが本当ではないかというように実は考えるのですが、併し国連軍というものをアメリカ軍よりも軽くあしらつてアメリカ軍並にやつて行こうというと、ほかの国は怒りはしませんか、こんなことをしたらどうですか、ここはどうも主客顛倒しておるような感じを受けるのですが、これには……。
  14. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) これはもつと国内法立法形式の問題でございまして、国連軍よりもアメリカ軍を重く見るとか、軽く見るとかいうつもりはもとよりないのでございますが、これによつて国際連合所属国から異議が出るであろうというようなことは、実は立案の際考えなかつたわけでございます。
  15. 中山福藏

    中山福藏君 私はこの点はこれくらいにしておきます。幾ら申上げても同じことですから……。
  16. 青木一男

    青木一男君 関連して……。今中山さんの御意見がありましたが、私も立法技術として、アメリカに関する立法を、あとからのものにこれを適用するということは、立法の順序から見てもただ自然の成り行きであつたと思うのです。ただみなすという用語ですが、ちよつと中山委員の言われた通り、どうも今までの日本の諸法上の用い方等については、今の場合までは余り使つていなかつたんじやないかと思う。大体二つのものが本筋が似ている、一々立証その他において面倒はかけずとも、法律で以て同じものに扱うというのがみなすということの本来の用語であつてアメリカ兵隊国際連合兵隊はつきり別なものであることは明かですから、私はそういう場合には、今までの法令から言えば適用規定を準用するとか、そういうような用い方のほうが穏当ではないか、こう思うのです。勿論意味はわかります。併し立法技術としては中山さんと同じように不適当ではないかという感じを持つておるということを、私も感じておるのです。今後立法されるについては一つ注意をしてもらいたいと思うが、非常に、余りに濫用ということまでは行かんかも知れないが、どうも立法技術としては妥当を欠いておるというように私どもは考えておるのですが、その点の御所見は……。
  17. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 御意見よく今後の立法の際には考慮いたしたいと思つております。
  18. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ちよつと伺いたいのでありますが、従来における国連軍関係事故発生状況についてのお調べが、ございましようか。あればちよつと説明して頂きたいと思います。
  19. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) 平和条約発効後今日までの間に国連軍関係につきましても呉市を中心として若干の事故が発生しております。その中には軍当局被害者の間で示談解決しておるよのがあるのでありますが、今後処理しなければならないものが調達庁調査によりますと、約七百件くらいと推定されるのであります。これらの事故による損害賠償につきましては、国連軍に関する協定の十八条が遡及して適用されることになるわけであります。米駐留軍関係事故の場合と同様に公務上の事故の場合であれば、日本国派遣国に代つて損害賠償する、これに要した費用の四分の三を派遣国から償還を受けるということになるわけであります。なお又国連軍要員公務外不法行為の場合でありますと、日本国当局が事実を調査して賠償額を認定し、これを関係派遣国に通知いたしますと、その派遣国のほうで被害者に対して慰藉料を払うということになるわけであります。これらの損害賠償に関する事務アメリカ駐留軍の場合と同様に調達庁が取扱うことになりますので、只今のところ調達庁におきましてこの国連軍協定発効後速かに過去の事故についても賠償措置を講ずることができるように英連邦軍当局協力の上、事実関係調査その他の準備を進めておるように伺つております。
  20. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記をとめて。    〔速記中止
  21. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。
  22. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとお尋ねしますが、あなた、ここに国際連合軍というのが書いてありますが、これは何ですか、範囲は限定されておりますか、現在……。これは国際連合に入つておる国がこちらに派遣したら全部派遣された国の軍隊が入るのですか。又最初から、頭から連合軍というような、こういう国々が入つておるのだというその範囲はきめてあるのですか。これはアメリカのほうではなく、本部のほうでとりきめました国々だけをこれは指すのですか、どういうふうになつておりますかそこは……。
  23. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) この法案の第一条で日本国における国際連合軍隊地位に関する協定にいう国際連合軍隊」、こういうふうに表現してございますが、この協定にいう「国際連合軍隊」の意味は、この協定の第一条で定義を挙げております。
  24. 中山福藏

    中山福藏君 それは国が全部入つておりますか、国連は……。
  25. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) この場合の「国際連合軍隊」と申しますのは、派遣国の陸軍、海軍又は空軍で国際連合の諸決議従つて行動に従事するために派遣されておる国という定義があつただけでありまして更にこの派遣国というものにつきましては、派遣国とは国際連合の諸決議従つて朝鮮軍隊を派遣しており又は将来派遣する国で、その政府国際連合の諸決議従つて朝鮮軍隊を派遣しておる国の政府としてこの協定の当事者であるものをいうと、こういうふうに定義が出てございますので、国際連合所属国である限り、すべて入るというわけではございません。
  26. 中山福藏

    中山福藏君 そうするとそのニユーヨークのレークサクセスで大体きめて、お前さんの国はこれだけの軍隊を派遣せよと言われた新たなる国の軍隊も、やはりその決定従つて派遣されたものはことごとくこれに入ると、こうなるわけですか、そこは……。
  27. 村上朝一

    政府委員村上朝一君) この「日本国における国際連合軍隊地位に関する協定」の当事国とならなければならない。日本国との間に別に協定が必要なわけであります。
  28. 中山福藏

    中山福藏君 それを一つ確めておきますが、いろいろ朝鮮の実情から判断してみますと、この国際連合に入つておる国で、その決定を受けない、受けた国以外の国の人が相当に入つておるということを聞いておりますが、その扱いはどうなるのですか。やはり外国人で戦争に行つた者は……。それはどういう規定適用を受けるのです、そういう人の場合は……。
  29. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 御質問趣旨を或いは誤解しておるかも知れないと思うのでございますが……。
  30. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつとそれじやもう少しわかりやすく私納得して頂くために申上げますが、結局レークサクセス国際連合本部でこの国際連合に加入しておる国に対して、お前さんのほうで何千名何百名の兵隊を派遣しろと言われる場合は、はつきりわかるんですね。その派遣軍朝鮮戦場に赴いたということになるからわかる。ところがいろいろ調査してみると、あの国際連合というものの中には、その派遣決定を受けない国の義勇軍的兵士というものが相当混じつております。ですからこの義勇軍に、例えば朝鮮に在留しておつて国際連合できめていない国の国民である、つまり義勇軍のような人々戦場に出ておるということは、たくさん私は聞いておるのですが、そういう人が万一日本にやつて来て、俺は国際連合軍だと言うておる場合に、それが事実上国際連合決定された国以外の国民だつたら、これはどうなるかという質問をしておるわけです。同じ取扱いを受けておるのか、或いはみなすというような言葉でそのまま入り込んでしまうのですか。どうも今の御説明では入らんように思うのですがどうですか。
  31. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 国連決議は或る特定の国に、お前の国から軍隊を何百名差し出せというような決議ではないので、ございまして、極東の平和と安全を保護するために警察行動国連としてとりたいと、それで関係各国協力を求めるということで、ございまして、それぞれの国がやはりその決議に従いまして自発的に軍隊を出すことになるわけでありまして、ここにいわゆる国際連合軍隊というのは、その決議に従いましてそれぞれの国が正式に朝鮮軍隊を派遣しておる。その軍隊を言うのであります。でありますから個人が国家の命令に従わないで義勇軍として朝鮮に行つておるというのは、派遣国の派遣した軍隊ではないのでございますので、というのは本協定に言う国際連合軍隊に入りませんのです。従つて法律案におきましても国際連合軍隊構成員であるとか、或いは軍属になるということはないと思つております。
  32. 中山福藏

    中山福藏君 それはそうでしよう。私の質問はそれを先ず第一の基準として打立てておいて、その基準に入らないものは一切この法律保護を受けることができないか、或いはこの法律適用されないとすれば、そういう場合に対するこの日本政府の考え方としては、いわゆる保護の面においてですよ、如何なる保護を与えるか、これは事実上の問題ですがね、全然そんなものは外国人であつても取りあわんということになるのか、或いは又現実の問題としてまあ特別に保護してやろうということができるのか、そういう点については何もこれは御協議はなかつたのですか。これはあなたの言われる通りなんですよ、法律建前から言うと……。併し例外的な場合をお尋ねしておるわけですから、そういう人は一切もう取りあわんという建前になつているのでしようか、どうでしようね。相当義勇軍が行つているのですよ。私が調べて見ると……。
  33. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 仰せのようた国際連合軍隊構成員、或いは軍属に入らない人、これは全く一般外国人と同じでございますので、この国連軍協定適用も受けませんし、従つてこの民事特別法適用するという場合は起らないわけであります。たとえて例を申上げますと、国連軍軍人軍属でありますと、日本に入国するにつきましても入国管理令適用を受けないとか、或いは外国人登録法適用を受けないとか、いろいろの特別扱いがあるわけでございます。それから又そういうものが公務上で不法行為をしますと、日本政府が代つて、一応立替えて損害賠償するということになるわけでございますが、今仰せのような、そういう義勇軍の人が日本に入るとしますと、入国管理令適用を受けますし、又外国人登録法適用も受けましようし、又不法行為をすれば、一般外国人日本国内不法行為をした場合と同じようにその者がやはり責任を負うということになるのでございまして一般外国人と全く同一取扱いを受けるということになるわけでございます。
  34. 中山福藏

    中山福藏君 これは入国管理令をおつしやいましたが、入国管理令は仮上陸とかいろいろできまして、仮保釈もできることになつておりまして、仮に密入国したとしましても、この義勇軍の場合は恐らく現地配給軍服、或いは装備というもので来ているわけです。これが日本に入つて来るとき、一一お前さんはいわゆる入国許可証があるかとか、出国許可証があるかとかいうようなことを細かに調べるというのはないのです。同じ軍隊、例えばアメリカ軍隊義勇軍として入るものはアメリカ軍服をつけてそうして武装しているわけです。一々日本の官憲がこれに手を出して調べるというようなことはないのです。あなたのおつしやるようなことは、場合は十中八、九起つて来ない。外面的にこの人々を見ますと、あたかも米国兵であるというように見えるわけですね、事実上……。従つて入国管理令適用されるという範囲は恐らくそういう場合にはないんじやないかとこう考えるのです。そういたしますと、これが非常に日本一般の法規上、国内法取扱い受けるとか何とかということはまあ考えられんのですが、これはやはりそういう場合は、一応戦場に馳駆いたしまする場合には、これは国連派遣軍と同じような立場をとつて彼らは戦闘に従事しているのでありますから、実質的にはこの国連軍保護するという意味から行けば、仮にこれが只今御提案になつている法律の範疇の中に入らないでも、何とかそこに救済の方法というものを考えておく必要があるのじやないか。そういう点につきましては、この法条を立案するそのときには何も詮議されたことはないのですかと、まあこういう、そのことを尋ねているわけなんです。
  35. 平賀健太

    説明員平賀健太君) この法案では、結局国内公務上の不法行為があつた場合を中心にして規定いたしておりますので、今仰せの点はこの法案とは余り関係がなくて、もつと広い広汎な問題であろうと思うのでございまするがそういう関係で以ちまして、この法案立案いたします際には、そういう義勇兵というようなそういうもののことまでは細かく実は検討はいたしておりません。
  36. 中山福藏

    中山福藏君 ちよつともう一つお尋ねしておきますが、合衆国駐留軍又はこの国連軍の行動に起因する事故被害者国連軍のいずれかの派遣国又はアメリカ合衆国であるときは、日本国損害賠償責任がない、こうなつておるのですが、その国連軍の行動に起因する事故という文字、これはこの判定はどちらがするのですか。それが若しわからないうというような場合が生じた場合には、日米立会いの上で如何なる原因に基くかということを判定するということになるでしようがね、それがどうもわかりにくいというときは、どちらのほうが指導的な、或いは優位にこれを決定ずけるということができるのですか。その場合は鑑定でもさせて、その原因がどうであるかどういうことはおきめになるのですか。
  37. 平賀健太

    説明員平賀健太君) 結論から申上げますと、果して国連軍加害者であるかどうかという点について問題が生じました場合の最終的な決定権は日本国が持つておるわけでございます。それは日米行政協定の十八条も同じでございますが、こういう損害賠償問題につきましては、日本国が丁度日本の国の公務員が他人損害を与えた場合と同様に日本国国内法の例によつて日本国調査をする。そうして日本国が代つて賠償をするというふうに協定のほうでなつておりますので、最終の決定権は日本国が持つ、日本国決定がものを言うということになつております。
  38. 中山福藏

    中山福藏君 それでその日本国決定するということはこれは至当でしよう、日本国内に起る事故ですから……。だけどもそれに承服しないというときにはどうなるのですか、相手が……。
  39. 平賀健太

    説明員平賀健太君) この協定建前といたしましては、向うは承服しないとは言えないことになつております。ただ、今までのアメリカとの関係の問題でございますが、向うの軍隊のことでございますので、日本側としては事情がよくわからん場合もございまするので、向うと協定いたしまして共同で事実の調査をいたしますし、そういう関係で以ちまして、こちらの決定に向うが従わないというような事例は殆んどないのでございます。共同で調査をいたしましてやるわけでございますから、建前日本国決定が最終的だという建前になつておりますけれども、こちらの決定したのに向うが不服を言う、それで争いが起るというような事例は、ございません。
  40. 中山福藏

    中山福藏君 その共同で事実を調査する場合、今まで一件もありませんか、向うのほうで文句を言うた事柄は……。両方でその事件の原因を調べる場合に、今まで向うが抑えつけるというような場合は皆無であつたという御意見ですか。大体向うに引きずられているのではないのですか。そういう場合はどうですかね。
  41. 平賀健太

    説明員平賀健太君) そういうことは一切ございません。こちらでも十分自主性を以ちましてやつておりますので、向うの意見に引きずられるというような懸念は全然ございません。
  42. 中山福藏

    中山福藏君 結構です。
  43. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記をやめて。    〔速記中止
  44. 郡祐一

    委員長郡祐一君) それじや速記を始めて。国際連合軍隊に関する民事特別法適用に関する法律案の御質疑は本日はこの程度にいたし、引続き請願陳情を議題に供します。速記中止。    午後二時二十五分速記中止    —————・—————    午後三時四十七分速記開始
  45. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 速記を始めて。本日はこの程度で散会いたします。次回は明八日午前十時より開会いたします。    午後三時四十八分散会