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説明員(
關根小郷君) 先般の当
委員会におきまして、
最高裁判所の
規則を作りますに至ります運営の問題について御
質問がありました。それからなお今度の
法律案が、若し通過するといたしますれば、どういう
内容の
ルールのことを考えているかというお問いがございましたので、一応この
資料を差上げた次第でありますが、先ず
ルールを作ります際におきまして、
最高裁判所があらかじめこの各界の権威を集めまして、そこで御
意見を伺うというために、
最高裁判所の
規則制定諮問委員会を開くわけでありますが、その根拠は、お
手許に差上げてございます
最高裁判所規則制定諮問委員会規則に基くものでございます。でこれは簡単に申上げますと、第二条で
種類がございま正すが、
民事、
刑事、一般と
三つございまして、それぞれ作りまする
規則の
内容におきまして、
当該委員会の
諮問に基いて
規則を作るということに
なつております。
それからその他は大体普通の
委員会と同じでございまするが、この顔振れでございます。でこれはこの
規則の第四条を御覧頂きますと、「
委員及び
臨時委員は、
裁判官、検察官、
弁護士、
衆議院議員、
参議院議員、
最高裁判所事務総長、
裁判所事務官、
法務事務官又は
学識経験者」という、これらの
方々からお選びするわけでありますが、先般も私申上げましたように、
国会側の
委員の
方々にお出まし頂くことにつきましては、
国会法と抵触するということで、実際上お願いできない状態に
なつておりますが、結局法曹と
学識経験者ということになろうかと思います。で現在
最高裁判所の
民事の
関係の
規則を作ります際に
諮問いたします
委員会の名籍は、やはりお
手許に差上げてございます
通りでございます。
それからなお今度の
法律案が若し通過いたしますると、
ルールのほうでどのようなことを考えているのか。これは実はまた正式の
会議を経ておりませんし、我々
事務当局の
一つの
試みの案に過ぎませんので、この点はあらかじめ御了承願いたいと思います。で今度の
法律から
ルールに譲
つて頂くという問題の点は、
調書と
判決の両方の
方式ということでございますが、実はこの
方式の問題につきましては、先般も申上げましたように、約今から六十年前の明治の三十四年から、ずつと引続き同様のものを使
つておりまして、これを改善するためには、どうしても
法律を
改正して頂かなくちやならんということが従来いろいろ検討いたしました結果出て参りまして、それでそういたしまして、今度はその
調書なり、
判決の
方式なりの細かい点につきまして、
国会の御審議を仰ぐということは、
如何にもお忙しい中却
つて如何かと存じますし、それから現在
憲法七十七条がございます以上は、
憲法七十七条の期待しております、まあ一番
中心点と申しますか、その点が
調書或いは
判決の
方式じやないかと思います。それでここで御審議頂くには余りに実際的であり、細かい問題かと思いますが、現在
法律にございますのを
ルールに任せるということの
改正でございますので、一応の構想だけを申上げたいと思います。
で、今申上げました六十年以上古くから使われております
裁判所の
調書というものは、御覧に
なつた方がおありかと思いますが、非常に厚いものでございまして、而もそれは昔から言われております
大福帳式でございます。これを
大福帳式だというのは、あらゆる
書類を
年月日順にただ綴
つているだけでございますので、そこに見出しはございまするけれ
ども、非常に多い。その中を見るのに不便極まるわけでございますし、一々家へ持
つて帰りますのに非常に大きな嵩になる。でそれを今度はできるだけ
合理化いたしまして、
内容ごとの、
内容如何によ
つて編綴するという、いわゆる
事項式な
調書を作りたいという
考え方でございます。それでこれはここにも書いてございますが、二年前から、
事務当局で、在京の
裁判官、
書記官、それから判事さん方お集り頂いて、いろいろ研究したのでありますが、なかなか現在の
民事訴訟法は細か過ぎて、それと抵触する
関係が出て参ります。それで大きく申上げますと、今申上げましたように、
大福帳式を
事項別に改めるということになりますのでございます。お
手許に若しまあ一番改善すればこうもあろうかというものを作りまして、その
バインダー式のもので綴じたものをお
手許に差上げてございますが、これが即ち
事項別の
記録の見本でございます。でこれは
バインダー式でございますので、差入れが自由に
なつておりますし、中を
内容によ
つて区別いたしまして、
主張関係、これは
当事者の申します弁論が主でございますが、その次に
証拠関係、これは御承知の
通り、書証、
書面による
証拠、それから人証、証人による
証拠等を含めるものでございます。それからそのほかに
記録といたしまして
雑書類、これはいろいろ
訴訟が継続いたしますると、訴状の
送達はいつなされたか、それから期日の、呼出しがいつなされたかというような
書類が残りますので、それを併せて
雑書類といたしましたのであります。で、これは細かく申上げますといろいろございますが、非常に大まかな点は大体以上な次第でありまして、これは非常にまあ
合理化したものかどうか、検討を仰ぐ次第でありますけれ
ども、こういうふうにいたしますると、或いは
主張関係書類、或いは
証拠関係書類によりまして
形式的に記載する
要件、例えば
裁判官の
名前とか、
当事者の
名前とか
弁護士さんの
名前とかは、或る場合にはこれを記載しなくてもいい。例えば
事件の番号だけを書いておけばいいというようなことが出て参ります。これなどは細かい
ルールにおきまして規定すべきことかと存じます次第であります。
それからなお
裁判書の
方式の問題でありますが、これは現在の
裁判所の
裁判はどちらかと申しますと、暫くほうが主に
なつておりまして、
考え方によりますれば、書くことによ
つて頭に整理されて、いい
判決ができたのだということも考えられないわけではございませんが、それが行き過ぎますると、むしろ
如何に
判決書を作り上げるか、まあ極端な
言葉で申上げれば芸術的な
判決というようなことを言われておりますが、そうい
つた方向に行き過ぎまして、そのために
判決の言い渡しが遅れてしまう。で、これはやはり
事案によ
つては
判決の
合理化、
判決書の
合理化ということも考えられるのじやないかということが従来から論ぜられたわけでございます。元来この
判決はスピーキング・ロー、
法律を話すことだと言われておりますが、今ではこれを書くこと、ライテイング。ローとまで言われている次第でありまして、何とかごの
判決の
内容自体を、
言渡の際に
内容のいいものを言い渡すとい
つた方向に向けたいという
考え方でございます。
それで若し今度の
法律案が通過いたしますると、それでは
ルールの案はどんなことか、これも最後的の
決定のものではございません。一応の
試みの案に過ぎませんが、この
事案によりましては
裁判書に
当事者が出ております
準備書面を引用するということも考えられるのではないか。これは現在
刑事訴訟法の
関係では
規則でこういうことに
なつております。
それからもう
一つは、この
事案によりましては例えて申上げますと、
原告が訴え出しましても
被告のほうで全然それに乗
つて来ずに
欠席してしまう。
欠席いたしますると、
原告の
請求が大体において勝つわけでありますが、そういうときにおきましても克明に
裁判書を作りまして言い渡すという現在の
法律に
なつておりまするが、それなどはむしろもう即決の
裁判ができるようにして、むしろその
裁判の
内容を
調書に載せて行く。
判決に代る
調書というものを、
判決書に代る
調書ということを考えて行
つたらどうか。これも
刑事訴訟のほうではすでに
刑事訴訟規則におきまして認められておりまして、現在それに対する
非難は聞かないのでございます。で、この
欠席判決の
割合がどのくらいあるかと言いますと、地方
裁判所に例をとりますると、大体百件のうち四十件は
欠席、相手方が
欠席して
裁判がなされるという
数字が出ておりますので、せめてそうい
つた欠席判決などにつきましては
調書判決ということを考えていいじやないか。
それからもう
一つは、先般こちらの
委員会におきまして
最高裁判所の
小林裁判官が
参考人としてお述べになりましたのですが、どうも
裁判書の体裁が一定していない。そのために非常に読みにくいものがある。例えば
原告は
請求原因としてと始ま
つて、と述べたりというのが何ページもありまして、どこで区切るのかわからんというようなことを申されておりましたですが、これはあに
最高裁判所の
裁判官の不便のみならず、
当事者の方にとりましても、
判決書をもらいまして何が何だかわからない。
勝つた、負けたということだけしかわからんというような感じを受けるものがなきにしもあらず。こういう点はやはり
形式を、いわゆるフオームをきめまして、それに当てはめて行くようにして行
つたらどうかということが考えられるかと思います。これは現在
英米等におきましてはいわゆるフオーマル・ジヤージメントという、
形式の
判決を直訳すればそうなりますが、
判決書の
不動文字で書きました様式がきま
つておりまして、それに書き入れるように
なつております。これなどは
事案によりましてでありますが、そうい
つた方策をとり得れば、非常に
当事者のほうにもわかりやすいことが考えられる。
裁判所としても非常に能率を上げることができるのではないかということが顧慮されるわけでございます。
それからなおもう一点、すでに
刑事訴訟法におきましては
刑事訴訟法から譲られました
刑事訴訟規則におきまして、
判決以外の
裁判、これは
決定とか命令とかいう
種類の
裁判でございますが、これなどにつきましては
裁判官が一々筆をと
つて自分で書名する代りに記名捺却でいい。判を捺すだけでいいということに
なつておりまして、この点はいずれ実際を御覧頂くとおわかりかと思いますが、
最高裁判所の
裁判官にいたしましても、
決定に署名される
事件が非常に多いのであります。毎日役所においでになりまして署名の練習をするような工合に実に数が多い。これなどは記名ということにして頂きますとどんなに能率が図られるかわからない。これはやはり
刑事ですでにそう
なつておりますので、
民事でもそうして頂きたいということが我方の熱望するところでございます。
非常に簡単でございますが、お
手許に差上げました
資料に基きまして御
説明いたした次第でございます。