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参考人(
新倉文郎君) 御質問の点率直にお答え申上げます。前段のお話中
交通事故を起しまする
自動車の面は、
基礎的
条件は道路でございます。次は車輛でございます。そうして
運転者でございます。これは三つどれが大半かということはその場面によ
つて違いますが、先ず道路
関係が
基礎にな
つておる。あとは車が完全整備をされておるか、今度はそれを運行する操縦者である
運転者が極めて安心平安の状態において操作ができるかできないか、これが
交通事故を起す、起さないというところの
基礎的
条件である、こう見ております。これを改暫する問題は、ひとり
事故の
絶滅とい
つた点ばかりでなしに、事業経営等の見方から見ましても極めて重要なものになります。御質問の点は、過労の結果
交通事故を起し得るのが多いと思うが、その
労働条件の
改善の画から見て、現在の
タクシーが一昼夜交替制と半日交替といいましようか、一日を半分ずつ交替しておるものとどちらが多いか、それに対してどちらかよいか。こういうふうな御
意見たと思うのでございますが、恐らく現在の
タクシーの流し
営業は、これは大部分が一昼夜交替であ
つて、半日で交替しておる、夜昼交替というふうなものはないと思います。あ
つても極めて少いと見ております。これは、若し仮にここに
従業員諸君を集めて、そうしていずれをとるか、こう聞いた場合においては、恐らく
運転者諸君は一昼夜交替をとると私は思う。これは給与の状態等と関連を持
つておりまして、そうして一度
仕事に出て来たらば、その
仕事の状態において一応一
通りの
仕事をしてしまう、こういうことのほうがきまりがつきやすいという考え方もありましよう。又
運転者諸君の収入というものか考えられておりまするから、それが昼間の操作による昼間の就業と夜における就業と収入が違
つて参ります。そういう
点等で、簡単にこれは割切れない問題にな
つております。要は、一日と言いましてもまあ十六時間ぐらいとなりましようが、その間の
仕事のうちで、食事乃至は一番
仕事が暇である午後三時とい
つたようなのは、普通の、春夏秋冬によ
つて違うのでありますが、そういうときに、
ちよつと疲労を覚えた、喫茶に
行つてレコードを聞く。そこで三十分なら三十分お茶を飲んで休んで、そうして本当にすがすがしい
気持にな
つて又ハンドルを握るというふうな、非常にその間給与と労働との
条件が調和しつつ考えてや
つておる
運転者が相当あるわけであります。又夕食等の場合において、いずれの時間を選ぶか、時によ
つて違いますが、夕景日没後ではラツシユアワーになるから、それを避けて、ぐつと八時からその附近に持
つて行つて、金事の時間に大衆食堂に集まる。一連の
諸君で、今日はどうですか、骨が折れた日ですか、今日は工合が悪いなんというような話をして、そこで慰安をとるというような工合でありまして、
ハイヤー等は別でありますが、
タクシー等におきましても、食事、茶を飲む喫茶の時間というようなものかございまして、これは一日交替必ずしも過労ならずと考えております。要は、その間に固定給でどれだけの生活安定を期せるかという問題であります。且つそれに対しては、一たびその会社なら会社に勤めた人が、長年勤めた場合における退職手当等の制度が確立し、これに対する保障が完全についているかいないかという企業体の問題だと思うのであります。要は、この問題は極めて重要な経済的な話に入
つて参
つておりまして、この
取締りとは
ちよつと別にはなりまするが、
取締りの根幹がそこに出て来ると思う。今
委員の皆様方からの御質問は
警視庁に向けられておるようでございますが、曽
つては
警視庁が免許乃至はそれに対する諸
取締りというものを一手に握
つてお
つたわけでありまするから、一面において
警視庁が警視総監の責任においてこれが処断できたわけであります。今日ではこれか運輸省に移りまして、免許可その他の制度上の問題は、全部道路運送法によ
つて地方の陸運局乃至は運輸
事務所においてや
つておるのであります。
警視庁が現在これらに対して何をしているかというと、路上において
事故を防ぐというだけの、これだけの縁の下の力持ちちという状態が現在の姿じやないかと思います。私
どもは
警視庁当局に向
つてもお願いしておりまするし、又陸運当局にもかなり強く申上げ、先般参集両院の満場一致の決議で進みました、例の道路運送法のいわゆる
自動車運送協議会によ
つてかような問題をどこに答を出したらいいかということを今検討中であります。曽
つてタクシーというものを御覧を願
つたかたにはよくおわかりなんですが、東京、大阪等においてはいわゆる指を振
つたわけであります。指三つは三十銭であります。当時は三十銭でどんどん乗れたわけです。よほど遠いところでもまず五十銭で用を便じたのですが、そのときに一体どういう
交通状態であ
つて、どれだけの車があ
つて、どれだけの
電車・
バス或いは
省線等の客を送
つて、そこに血みどろのダンピングによるところの
交通の地上闘争を行な
つてお
つたか。こういうことを考えまするときに、いわゆる
労働条件の
改善の問題については、かか
つて企業体が今の完全車輛の整備をなし得る企業の能力を持つか。そうして
労働者の主張を十分述べることのできる企業体、私は先般衆議院の
委員の
方々からこの問題について御質問を受けたときに、おおむね
労働組合を構成し得る企業単位、こういうものをお答えして、そうしてこれを五十台と申上げたわけであります。それは、一台の車に二人ついておりますと百人以上になりまするから、おおむね百人ぐらいないと
一つの
労働組合という構成ができません。
従つて、
労働者が十分
労働者の
労働条件の給与乃至その他の問題を主張し得るところの企業体に置いて、そうして経営者は完全整備をし、完全な固定給を
中心にするところの
従業員に対する給与が彼これ全きを得るという姿において、企業の自然発進もあり、十分なる経営ができまするようになることの自然の姿においてこれをなすべきである。然るに現在の下において、悪性の
事故その他のものは、主としていろいろな問題がありまするけれ
ども、名義貸しとか、或いはそれに伴うところの大きな搾取から受けるしわ寄せというような問題がそこにいろいろな問題を展開しておるのではないか。それが一万二千を越しておりまする
タクシーのうち三千台はいわゆる名義を貸して、いわゆる陸運局長の薄つぺらの紙の上に、免許の上にあぐらをかいて、そうして初めて来たときに、二十万円の権利金、その次に毎月三、四万の納金、こういうものを取
つて、損をしようと得をしようと、油代が幾らかかろうと、何をしようと、どんなことをしてもそれは向うの勝手である。取るものを取ればいいという親分式の
営業が滔々として行われておる現状を打破すべきものと思
つておるのであります。これらの問題には
労働条件というような問題はございません。かようにして企業の根抵を明確にし、そうして
労働条件を
改善することは、かか
つて企業の安定性でなければならんし、一方は企
業者が車に対して完全に整備をすることでなければならない。それでないと
事故その他の問題は
絶滅できませんとこう申上げておるわけであります。特にそういう
方面につきまして掘下げていずれかの
機会に又私のほうから
資料を差上げたい、こう存じております。