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1954-04-20 第19回国会 参議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第19号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十九年四月二十日(火曜日) 午後一時五十七分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
松永
義雄
君 理事 青柳 秀夫君
伊能繁次郎
君
上林
忠次君
小笠原二三男
君 武藤 常介君
委員
秋山俊一郎
君 榊原 亨君 横川 信夫君
島村
軍次君
三木與吉郎
君 三橋八次郎君
戸叶
武君
寺本
広作君
千田
正君 鈴木 強平君 国務大臣 農 林 大 臣 保利 茂君
政府委員
大蔵省主計局総
務課長
佐藤 一郎君
水産庁長官
清井 正君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
派遣議員
の
報告
○
補助金等
の
臨時特例等
に関する
法律
案(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
松永義雄
1
○
委員長
(
松永義雄
君) これより
特別委員会
を開会いたします。 先ず先般
現地調査
を願いました
議員派遣報告
の件を議題に供します。第一班の
長野調査班
から御
報告
を願います。
戸叶武
2
○
戸叶武
君 それでは
長野班
の
調査報告
をいたします。 一、
参加者
、
特別委員秋山俊一郎
、同じく
寺本広作
、同じく
戸叶武
、
参議院主事指宿清秀
。 二、日程、
昭和
二十九年四月十六日、
東京発長野着
、
長野県庁
にて
調査
、十七日
上田
市
小牧
にて
現地調査
、
普及事業
のうち主として
生活改善関係
、
南安曇
郡
明盛
村にて
現地調査
、
復旧事業
のうち主として
農業改良関係
、十八日帰京。 三、
調査
の概要。一、
県庁
における
調査
。
県庁
においては
林知事
は不在でありましたので、
中村
副
知事
、
西沢総務部長
、
窪田財政課長
、
清水農業改良課長
のほか依田県
会経済委員長
、松
本県
農業委員会長代理
、
清水農業委員協議会長
、(県及び
市町村
の
農業委員協議会
の
会長等
)と面接し、今回の
補助金等
の
臨時特例等
に関する
法律案成立
の際に生ずべき
影響
、なかんずく
農業改良普及事業
に対する
県段階
の
影響
につき聴取検討いたしました。
県当局
によれば、
長野
県は
農業改良助長法実施
以来、
普及制度
による
農業改良
に異常の努力を傾け、国よりの
配付定員
の
不足
を
県費負担
の
普及員
によ
つて
補
つて
来たが、
県費負担
による
普及員
の数は最高時
昭和
二十五年において百五名でありました。その後国よりの
配付定員
の
増加
と共に
県費負担
による
普及員
は漸次その数を減じましたが、現在
者数
は二十九名があり、国よりの
配付定員
四百八名を加えて計四百三十七名の
普及員
を設置しております。而して
農業改良普及員
は各
町村
及び
地方事務所
に配置しているが、
生活改良普及員
は総数僅かに二十四名で、一郡一名の
程度
であり、
町村
、
農民側
から増援の
要望
が極めて強いのであります。県としては本
事業
の
成果
を十分認めており、且つ
農民
の本
事業
に対する支持もありますので、今後ともこの
事業
を拡充したい意向であります。これに要する
経費
については従来とも頭を悩まして来ており、各
町村
の同意の下に一
町村年額
一万円の寄附を受けております。特に今回の
補助率切下
による
県費負担
の
増加
は三分の二の場合と二分の一の場合の
差額
一千二百万円と推定されておりますので、このことも大変苦慮しております。
財務当局者
としては、すでに本年度予定されていた
生活改良関係
の
かま
ど
改良
に対する
利子補給
約一千五百万円、これは一戸五千円に対する利子の五〇%は
県費補給
、
あと
二五%は
町村
、二五%は
施設者
とな
つて
おりますが、この
普及員
の
活動強化手段
であるオートバイの
購入費
、これ又約二百十三万円、三年計画で八十台
初年度分
を考えておりましたが、これを中止しました。なお少くとも
県費負担分
二十九名の現員と現課に対して折衝中の動きであります。
中村
副
知事
初め
県首脳部
によりますれば、ひとりこの
普及事業
のみにかかわらず、
国庫補助
は算定の
基準
が低く
職員
の昇給、諸
手当等
を見込まないことが
県財政
の重圧の
原因
とな
つて
いるとのことです。
額面通り
に来るものは僅かに文部省の
義務教育費
くらいなものだと
言つて
おります。国の
補助
の
基準
と
実情
とが如何に違うか、
普及事業
について国の
負担
が年々減じ、県の
負担
が
増加
しておることについて次のような
資料
を提出し、かかる
事情
の下において
補助率
を
切下
げるということは、一層
地方財政
を圧迫するものであるということを強調されておりました。その
単価
が如何に違うかという
資料
、これは
あと
で表を速記のほうにお渡しすることにいたしますが、その
区分
を
改良普及員
、それから
専門技術員等
の
月額
を比較して見ますと、
国庫補助
の
基準
、
本俸
、
勤務地手当
、
家族手当
、これが
改良普及員
の
月額
が一万一千二百四十七円、
専門技術員
の
月額
が一万二千百五円、これに対して県における実際の
給与
は
本俸
、
勤務地手当
、
家族手当
、これが
改良普及員
においては一万三千十五円、
専門技術員
において二万四千百五十円、それから
国庫
の
補助
のない
期末
、
勤勉
、
寒冷地手当
及び
超過勤務手当
、これが
改良普及員
において二千八百八十円、
専門技術員
において六千四百四十円、この計が
改良普及員
において一万五千八百九十五円、
専門技術員
において三万五百九十円、これを国の査定との差において見ると、
改良普及員
が四千六百四十八円、
専門技術員
が一万八千四百八十五円、こういうことにな
つて
おります。又県の
負担
が年々
増加
することを示す
資料
として、
普及事業
の全
予算
を見ますと、その
区分
を二十七年度の
補助率
三分の二、それから二十八年度の分三分の二、二十九年分の三分の二の場合と二分の一の場合とこれを比較いたしますと、
国庫補助
において二十七年度は四千百八十五万六千六百円、これが四九%、それから二十八年度が四千二百四十万二百五十円、これが四〇%、それから二十九年度の三分の二、これが四千九百十五万八千六百六十六万円、これが四一%、それから二十九年度の二分の一が三千六百八十六万九千円、これが三一%、それから
町村
より
県費
への
寄附金
、これが二十七年度が三百七十六万円で四%、それから二十八年度の分が三百七十六万円で三%、二十九年度の三分の二が三百七十六万円で三%、それから二十九年度の二分の一が三百七十六万円で三%、県の
負担
が二十七年度の分が三千九百三十八万六千二百四十一円、これが四七%、それから二十八年度分六千七十五万二千七百五十円、これが五七%、二十九年度の三分の二が六千五百九十一万八千三百三十四円で、これは五六%、それから二十九年度の二分の一は、これが七千八百二十万八千円、これが六六%、計が、二十七年度が八千五百万二千八百四十一円、これが一〇〇%、それから二十八年度のものが一億六百九十三万三千円、これは一〇〇%、それから二十九年度の三分の二が一億一千八百八十五万七千円、これも一〇〇%、それから二十九年度の二分の一が一億一千八百八十五万七千円、これが一〇〇%、こういうふうにな
つて
おります。なお、
財務当局
としては、今回の
補助率
の
切下
に伴う
交付税交付金
の
増加
については未だ詳細な情報を得ていないが、過去の経験から
平衡交付金
(
交付税交付金
)なるものは枠が増さない以上、県の歳入や
節約可能額
を過大に見積り、定められた枠の中に無理に
押込むための逆算
以外の何ものでもないこと、
昭和
二十七年度三億七千四百万円来るはずのところ、来ないために
県費
で一億三千四百万円持ち出したと強調しております。更に、県としては今回の
普及事業
の
補助率
の突然の
引下
について、過去の例として、この
事業
の前身である
指導農場制度
が開始以来三カ年足らずして
普及事業
に切替えられ、又
普及事業開始
三カ年にして、
農林省改良局
の
普及部廃止案
の出たこと、これは
参議院
で復活しましたが、今又
補助率
を
切下
げようとしていること、三年目々々々ぐらいに出て来る
朝令暮改式政策
の転換は国に対して
不信
を招くものであり、
普及員
の一部には
浮腰
が立
つて
いる気配も見受けられるのは遺憾である。本
事業
のような
農業改良
上の
根本的施策
については、恒久的な、不安のない
政策
が絶対必要であると強調しておりました。 (2)
現地
における
調査
、
現地調査
に際しては、
普及員
の
農業改良
並びに
生活改善
上の実際
活動
を
視察
すると共に、
普及事業
に対する
農民
の評価並びに
町村当局
のこの
事業
に対する
協力調査
に重点を置きました。 (イ)
上田
市
小牧
における
調査
、ここにおきましては、主として
生活改善面
の
視察
を行いました。この
部落
は
上田
市の
南端千曲川
の沿岸にありまして、
戸数
は百五十戸、このうち
農家戸数
が百三戸、一戸
平均耕地面積
五反七畝の純
農村地帯
であります。ここでは古く大正十年頃
簡易上水道
を施設するなど、
生活改善
に古くから踏み出しまして、現在の
小牧
区
むつみ会
を
中心
とする衣食住に亘る
生活改善運動
が展開せられ、これは
普及員
が配置せられて以来特に発達したものであります。目下
渡辺生活改良普及員指導
の下に、
台所
の設備、配置の
改善
、
作業衣
並びに衣類の更生、
洗濯等
の
工夫
のほか、
農繁期用保存食
、
一般調理法
の
工夫等
に加えて、
保健衛生
の
向上
に努めております。数戸の
農家
における
かま
どの
改良
、
台所
の改造、浴室、便所の
工夫
など
実地視察
をいたしましたが、その
工夫
と熱心には感心させられました。説明によりますれば
改良かま
どは築造に一万五千円
程度
かかるけれ
ども
、
燃料
は三分の一で済む由であります。このことは
餅つき
のときに一番よくわかると
言つて
おりました。県の係官の話では、県下の二十三万
農家
のうち、現在十六万
農家
の
かま
どが何らかの
改良
が施されており、そのうち十万戸が従来の三分の一の
燃料
で済むとした場合、
燃料
の節約だけで五億円と推定されると
言つて
おりました。
視察
後公民館の二階で
関係者
と私
たち
が面談いたしましたが、
地方事務所当局
よりは、
普及員
の
勤務
の過重なこと、平均して一月三十時間
程度
の
超過勤務
のあること、このうち県よりは八時間分しか
手当
の支給がないこと、特に
生活改良普及員
は
人員
の
不足
が甚だしく、現在一市四町二十九カ村を持つこの郡において僅かに二人でや
つて
おります。三、四
町村
に一人は是非必要であるということを主張しておりました。又
上田
市
農務課長
、
長久保新町町長
よりは、
町村
としては各
町村年額
一万円を県に
普及事業
の
寄附金
として寄附するほか、
村自体
としては
生活改良
、青少年の
クラブ
の育成、
農業改良用展示資材等
を含めて、
年額
十五万円
程度
を
普及員
の
活動
を応援する意味で支出している旨の開陳があり、更に他
部落
及び
近隣町村
より集まつた
有志主婦たち
からは、
生活改良普及員
の
増員
について熱心な陳情が行われ、今後の問題としては、
中産階級
以下の
人たち
に、
生活改良事業普及
の滲透が困難であることを重ねて強調しておりました。 (ロ)
南安曇
郡
明盛
村における
調査
、ここでは
村長
、
農業委員会長
、
普及員
及び
地方事務所長
、同
経済課長
などから、主として
農業
の
改良普及
についての
事情
を聴取し、
現地
の
状況
を
視察
しました。この村は
松本
市の西北、
日本アルプ
の山麓、標高五百七十から六百十メートル
平坦地
にありまして、南北五
里東西
二里に跨がる村で、総
戸数
は八百四十六戸、
うち農家
が五百五戸いう
農村
であります。
一戸当り
の
耕地
は
水田
六反七畝、畑二反で従来緑肥として「
れんげ
」の栽培は多かつたが、
水田
は単作であり、
あと
は畑の麦、養蚕でや
つて
参りました。最近裏作に麦を入れること及び
酪農化
、
機械化等
も進められようとしているところもありました。県では
農林省
の
補助
の下に
営農試験地
を置いております。この
営農試験地
というのは、数戸の
農家
の
協力
を得て、
おのおの
一、二反の
田畑
を
営農試験地
として提供させ、ここで現在までの
試験研究
の結果判明している
技術
を
現地
の
営農
の
実態
に応じて、受入れやすい形で総合的に組合わせて応用し、
農家
と共に
研究
にも役立たせ、又
普及
にも役立たせ、それによ
つて
その
地帯
の
農業
の
改良
を図ろうという狙いのもので、設計するときには
試験場等
の
専門技術
も大いに参加するが、その
あと現地
では
普及員
と
田畑
を提供した熱心な
農家
が共同で進めておりますが、
普及員
はこの
営農試験地
を通じて
食糧増産
に非常な
成績
を挙げており、
村長
も
農業委員会長
も
地方事務所長
も、この
成績
を非常に讃えておりました。昨年はこの村も六十年来の凶作で、その前年までは水稲は
反収
二石七斗くらいだつたものが一石五斗くらいしかとれなかつたそうであります。それなのに
普及員
の
指導
で、この
営農試験地
を担当している
農家
では、平均して二石三斗五升もとれたということであります。そこでこの
成果
が大変な評判とな
つて
、村内、近隣の
町村
はもとより、山梨、新潟、遠いところでは栃木、
茨城等
からも
視察
が来て、昨年の九月などは七千人、多い日は一日七百人も
視察
が殺到したということであります。その上面白いのは、どうしてそうよくとれたのかを聞いてみると、
肥料
などは余り多く使
つて
おるわけではなく、むしろ合理的な設計に基いて窒素など三割くらい減らしているというし、又
安全性
のために
品種
など一
品種
に片寄らず、三
品種
、四
品種
を組合せてやつたということであります、この
地方
でとかくやり過ぎて稲を倒したり、病気が出る
原因
となる「
れんげ
」については、刈出してサイロに詰めて
家畜
の餌にし、そうすることによ
つて水稲
も増収になるし、
家畜
のほうの餌代も助かるということにな
つて
おります。とにかく
営農試験地
にな
つて
いる
田畑
は一見して他の
田畑
と違
つて
おるのでありまして、私
たち
も
現地
まで行
つて
移植した麦というのを見せてもら
つて
、他と比較して成るほど立派な
成績
を挙げていると感心させられました。この
普及員
は長崎君というまだ若い、二十六才で独身だということでしたが、その青年によ
つて指導
せられ、農協や共済の
職員
もこの人を
中心
に
協力
しておるのであります。こういうふうに
成積
が上
つて
いるので、村でも
普及事業
には随分と応援しております。
明盛
村として
昭和
二十八年度に十三万六千三百五十円、今年も十五万六千九百円を出す予定だそうであります。この内容は県の
普及事業費
中に寄附する一万円のほか、
普及員
の
農家
に配る
印刷物
の
費用
とか、よい
品種
だとか、
肥料
のやり方などを実際に示すための
展示圃
の
費用
とか、或いは
講習会
や
畜力利用
の
実演会
の
費用
、
農事研究会
、4
Hクフブ
、
生活改善グループ育成
のための
費用
、
普及員
の自転車の
補修費
、それから
普及員
の県内の他
地方
及び
県外視察旅行おのおの
一回の
費用等
で、県や国の
費用
を補うための必要で、いずれも必要な
費用
だと考えられます。 四、
調査
の詰論 今回私
たち
は
現地
を
視察
し、先ず第一に、
普及員
がよく努力していること、そうして
普及事業
が
食糧増産
についても、
生活改善
についてもよい
成績
を挙げていることを知りました。それから二に、県及び
市町村
の当事者及び
農家
もこれを積極的に支持していることを認めました。三に、
成績
の上
つて
いるのは
農村
にあるいろいろの問題の中でまだ極く一部分でありますが、この一部の成功を更に全体に椎し進めなければならんというふうな
普及事業
のまだ
初期的段階
にあることを知りました。四に、
普及事業
には国の
補助金
及びこれに応ずる県の
義務負担分
のほか純
県費
の持出しも多く、各
町村
も相当多額の
負担
をしている。これらはいずれも
普及事業
上必要な
経費
であるということを知りました。そうして今回の
補助率
の
引下
については、(イ)、県としては
大蔵省
のいう
交付税交付金組入れ
については実質的には国が責任を負うことにはならないとして問題にせず、(ロ)、
補助率
の
引下
に基く
補助金額
の減少に対処しては、
関係計画
の一部を中止すること及び若干の
職員
を
整理
することによ
つて
対処せんとしております。(ハ)、
改良普及員
及び
町村当局
並びに
農民有志
としては、
自分たち
もでき得る限り
協力
をして
普及事業
もやつと軌道に乗りかけたばかりであるのに、国の真意を
理解
できんとして、
普及員
の一部には
浮腰
の空気も出ております。(ニ)、食糧の増産、
農業改良
の
基幹施策
である
普及事業
のごとき長期継続的なものについては転々と
政策
を転換することなく、
関係者
をして安んじてその
事業
を実施させるものでなければ、到底その効果は期し得られないと嘆じていることを知りました。私
たち
としても
補助金
の全部に対してこれを無条件に支持しようとするものではなく、或る
程度
の
整理
は必要だとしても、その
整理
についてはもつと根本的に年月をかけて慎重に
事業
の
実態
、
地方財政
についても検討を加え、
地方
を納得させた上十分な見通しに立
つて
整理
すべきものであると考えます。
普及事業
のごとき長期に亘る
継続的事業
に対しては、特にこのことが重要であ
つて
、徒らに困難を引起したり、
国そのもの
の
施策
に対して
不信
を招くようなことは避けなければならない、こういう結論に達した次第であります。 なお、
長野県庁
の
提供資料
による今回の
法律
の成立の場合
国庫補助金
の減少するものについて、次のようなことを列挙しております。
長野
県分としては
農業改良関係
の千二百二十九万円のほか、
図書館運営関係
が二十万円、
母子手帳関係
が十四万円、
母子相談関係
が十六万五千円、
性病関係
、三十三万二千円、
精神衛生関係
が二百七十六万六千円、以上であります。 以上を以て
報告
を終ります。
松永義雄
3
○
委員長
(
松永義雄
君) 次に第二班の
千葉
県
調査班
の御
報告
を願います。
千田正
4
○
千田正
君 私
ども
上林
、三橋、干田の三名からなる第二班は、
伊能
、
島村
両
委員
の御
参加
も得まして、去る十七日、十八日の
両日千葉
県下を
視察調査
に参りました。その行程は、十七日
県庁
におきまして
千葉
県
総務部長
、
農林部長
その他
各部課長
が参席いたしまして打
合会
を行い、それより山武郡
白里
村に参りまして同
地方
の
秋落地帯
の
改良対策
を
視察
し、同日は
鴨川
に一泊、翌十八日
安房
郡朝
夷地区普及事務所
を訪れ、同
地区
の
普及事業
を
視察
ののち、
本県有数
の
漁港
でありまする
鴨川
、千倉両
漁港
を
視察
しまして、
房総南端
の
安房
郡
神戸
村に
参つて
、その
生活改善普及事業
を
視察
ののち、夕刻帰京した次第であります。 以下
調査
の詳細な点は、県及び
町村
並びに
普及事務所等
より提出されました
資料
によ
つて
御覧願いたいと存じますが、ここに概略を述べまして
報告
に代えたいと存じます。 先ず、
調査
の
主要目的
でありました
農業改良普及事業
の
本県
における
実情
でございまするが、
本県
の
普及員
の
人員
は、
農業改良普及員
二百九十五名、
専門技術員
十五名、
生活改善普及員
二十七名でございます。而して二十八年度
国庫補助率
三分の二による
経費
の
負担割合
は、
総額
において六千八百十一万七百六十五円であり、
国庫補助
はその四九%の三千三百二十八万九千二十四円であります。そのうち県の
義務負担額
が二四%、一千六百六十四万四千五百十二円で、純
県費
は二七%、一千八百十七万七千二百二十九円であります。そうしてこのほかに
市町村
その他が約七百万円の
負担
を負
つて
おる
状態
でございます。この
経費
のうち、
給与
は
総額
五千六百五十万円で、そのうち
国庫補助
のない
期末
、
勤勉
及び
超過勤務手当
は九百七十三万円であります。
本県
も
国庫補助
の
単価
が
実情
に副わず、一人
年額俸給
十四万五千円の
基準額
に対して、実際は二十五万五千二百六十四円で、約十万円の差があるそうであります。県としても国から
本年度緊縮予算
の建前上、
地方公務員
を五・五%
整理
するように言われておるので、特定の部課からはその
整理
はなかなか困難なので、
普及員
の
減員
も止むを得ないと考えておるが、併しこれは
林業改良普及員
、
生活改良普及員等
、全体を見て
支障
を来たさないようにしたいとは申しておりました。この
減員
の点については、仮に
補助率
が現行の三分の二のままと
なつ
たとしても行うのかと聞いて見ましたところ、同様であるとの返事でありました。又今回の
減率
に伴う
差額
は、
自治庁
、
大蔵省
においては、
地方交付税交付金
で見ているから、現状
通り
維持できるのだとい
つて
いるが、その点はどう考えるかと問いましたところ、
県庁当局
の
答え
は、やはり
交付金
の
総額
が実際の
財政需要額
とマツチしていないので、一概にそう言われても現在
通り
には参らないとの
答え
でありました。
本県
においても
普及員
の
人員
が
不足
であることは間違いないことでありまして、一応
県側
では現在は
増員
の必要はない、ただ素質の
向上
を
図つて
、現在員数を確保したい、然し
生活改良普及員
は
増員
したいとは申しておりましたが、私
ども
が
地区
を廻りまして、各
町村長
、
普及員
のかたがたから何とか
増員
を
図つて
もらいたいとの切実な
要望
を受けたのであります。
本県
における
普及員
の
担当区域
は、一人
平均
七百
町歩
、六百五十戸であり、大体一・五
カ町村
乃至二
カ町村
を受持
つて
いる
状況
であります。又最近
農家
も
多角的経営
を行い、
技術
も相当進歩しており、朝
夷地区農業改良普及事務所
において
現地
の
村長
より聴取したのでありますが、同
地方
が
湿田地帯
である半面、気候的に温暖な無
霜地帯
である
関係
から、
水田
はもとより花卉、果樹、煙草、
七島藺
、
酪農等
に及ぶ複雑な
経営
がなされているので、
技術
に卓越した
専門員
を
地区
に設置してもらいたいと
要望
がありました。実際現在同
地方
は花、
酪農
、
夏みかん等
を盛んにや
つて
おり、これらに対して
普及員
は引つ
ぱりだこの状況
なのであります。
普及員
の
重要性
のため、まさに国費で見なければ間違いであるとまで痛感した次第であります。今
全額国庫負担等
とは申しませんが、やはり朝
夷地区
での事例でございますが、この
地区
の
普及員
の
人員
は七名で、二十八年度
町村費
で二十五万五千七百八十円の
予算
を出しているのですが、
事務所
の電話の
維持費
だけでも、三カ月分しかなく、「緑のたより」と称する
普及事業
の
刊行印刷物
を月に二千二百部発行しているが、これでさえ二カ月分で終
つて
しまう
状態
で、又
普及員自身巡回用
の
燃料費
を自費で出しているとのことでございましたが、何とか
末端
の
活動
においてかかることのない十分な
手当
を必要とすると痛感した次第です。 以上
農業改良普及員
の
本県
における
概況
でございましたが、次に、
生活改善普及員
の
概況
を御
報告
したいと存じます。
本県
の
生活改善普及員
の数は、現在二十七名で、県としても以前よりその
不足
であることは十分これを認め、何とか
増員
したいとのことでありました。私
ども
は
県庁
の案内により
安房
郡
神戸
村に
参つて
、同村の
村長
や
普及員
その他
生活改善クラブ
のリーダーの人人と共に
座談会
を開き、親しく意見を聞き、質問もしたのでありますが、ここでも
普及員
は一市八
カ町村
の広汎な
担当
を持
つて
おり、
巡回指導等
は容易でないため、館山市を
中心
に
濃密指導
を行な
つて
おるが、なかなか
農民
のかたくなな
封建的思想
にぶつが
つて指導
も容易でないとのことで、この点
男性側
の深い
理解
が欲しいとのことでございました。同
村民
はなかなか
協同精神
に強く、
農繁期
中の
共同炊事
、冠婚葬祭の
簡素化
、田地の
耕耘等
を
共同作業
で行い、見るべき
成積
を挙げておるそうであります。併しこの
地区
も二十八年度
普及事業費
二十七万円を
町村負担
でもら
つて
いるが、そのうち
生活改善費
としては僅か年間七千円だそうでございます。これは
作業衣
一、二着分にも足らぬ
金額
であり、
折角国
が
生活改善普及
と銘打
つて
行な
つて
いる
施策
も、肝腎な
末端
では
予算
上
麻痺状態
に等しいと
言つて
も差支えないと考えられました。併しそれにもかかわらず、ここの
塚田普及員
のごときは献身的な
活動
をしており、
村民
も又
一致協力
、
農家
の
食生活改善
、
住生活
の
改善
、
保健衛生
の
改善等
、模範村と称されるところと察することができたのであります。我々としましても、この女性の
普及員活動
が
予算
上、
経済
上
支障
なく行い得て、
農民
と離反することのないよう、徹底した
普及
活動
可能な
施策
を必要とすると痛感いたした次第であります。 次に、
本県
における
秋落対策
の
状況
を
視察
した結果を簡単に申上げたいと存じます。
本県
の
水田
十万
町歩
中、
秋落
のひどい所が約一万二千
町歩
もあり、
一村中秋落
の所では
反収
一石四斗乃至一石五斗というひどい所があるそうでございます。大体この
秋落地帯
の
平均反収
は二石一斗四升だそうであります。
対策
としては、
山土
を持
つて
来て客土するのが絶対だそうでありますが、
品種
、
耕種改善
、
肥料
の面から克服を考え、
営農試験地
として四百
町歩
の強い
秋落
の所を定めて
品種
や
肥料
を使
つて
改良
に努力している。一叺十二貫、二百五十円のボーキサイトを反当り千円くらい使
つて
、これらのために村費の六割までを食
つて
いるほど実行に当
つて
いるそうでありますが、
普及員
の
活動
と相待
つて
予算
面の十分な
手当
を必要とすると認めた次第でございます。 最後に、水産
関係
について
視察
した概要を申述べたいと思います。 先ず、十三条の
関係
につきましては、
本県
の漁業調整
委員
会は、東京湾海区漁業調整
委員
会ほか三つの調整
委員
会と連合海区漁業調整
委員
会があり、それに
千葉
県内水面漁場管理
委員
会とがありますが、その
委員
の数は、各海区十名、計四海区四十名、連合海区調整
委員
三名、内水面漁場管理
委員
十名、
委員
の
手当
は調整
委員
が
月額
六千円、連合海区調整
委員
二千五百円、内水面漁場管理
委員
三千五百円で、県の説明では、これらの
経費
は現状のままでも持出しとな
つて
おるから、これを今回の改正案のごとく減額となれば或る
程度
仕事を放擲しなければならんと申しておりました。海区間の紛争の絶えない
本県
においては重大な社会問題として前途の不安を痛感すると申しておりました。次に、十五条の水産資源保護法に基く
負担
の分は、
本県
は保護水面の指定がないので
影響
がないとのことでございました。最後に、十六条の漁船損害補償法
関係
の分でございますが、
本県
は漁場が他府県に比べて弱く、湾内では大きな漁船を必要としないため、百トン以上は僅か六隻、それ以外は百トン未満で、隻数においては全国的にも一番ですが、加入
金額
においては雰細なため少い
状況
であります。義務加入制度施行後は施行以前に比較して約二倍に近い
状況
であります。隻数及び
金額
で申しますと、施行前二十六年度の加入隻数四千二百六十二隻、保険料五百十八万八千三百二十六円であつたのが、施行後の二十八年度義務加入隻数八千五百六十八隻、保険料では四百五十一万三千五百三円、
国庫
負担
額百八十三万九千九十二円という
状況
にな
つて
おります。かかる
状況
から、今回の特例法案は相当
影響
するところあり、
鴨川
町にては
鴨川
、千倉、太海の各漁業組合長より、法案についてすでに百トン以下全員加入を終了の後かかる法案の通過は絶対反対する旨の陳情あり、更に漁業の
実態
を聴取いたしましたが、この案件に関して慎重を期して審議すべき必要を痛感した次第であります。 以上簡単でございますが、御
報告
を終ります。
松永義雄
5
○
委員長
(
松永義雄
君) 只今の
報告
に関し、なお
資料
等について御
報告
すべき点がありましたら、これを
報告
の末尾に添付することにいたしまして御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
松永義雄
6
○
委員長
(
松永義雄
君) 御異議ないと認めます。さよう取計らいいたします。 農林大臣がまだ出席して見えませんので、暫時休憩いたします。 午後二時四十七分休憩 —————・————— 午後三時十三分開会
松永義雄
7
○
委員長
(
松永義雄
君) これより休憩前に引続き会議を開きます。
補助金等
の
臨時特例等
に関する
法律
案を議題に供します。 農林
関係
について審議を行いますが、政府から農林大臣、
水産庁長官
が出席せられておりますから、御質疑のあるかたは御発言願います。
千田正
8
○
千田正
君 大体前一回は聞いておりますけれ
ども
、非常にこの問題は重要であ
つて
、腑に落ちない点がありますので、特に農林大臣が御出席にな
つて
おりますから、大臣として御答弁を是非頂きたいと考えます。それは今度の臨時特例法によるところの十六条にありますところの漁船損害補償法の
関係
でありますが、日本の漁業に従事しているところの漁船は現在百十万トン、船価にしまして七百三十億、これが十二億貫の漁獲をなして参りますので、国民の蛋白給源とな
つて
おりますが、更に二百数十億円の輸出をして外貨を獲得しておる
状況
であります。我々は非常にこれは重要な産業であり、又日本の資源の基幹をなすものであるというふうに信じておりますが、そしてこの漁船のうち百トン未満の漁船は六十九万トン、船価にしまして五百二十五億円で、漁船の七六%を占めております。又この漁船によるところの漁獲は実に全生産の九〇%以上を占めておるのでありまして、この百トン未満の漁船中二十トン未満のものが大体において半数の三八%であり、この二十トン未満の漁船に対しましては、
昭和
二十八年度から漸く
国庫補助
の途が開かれましたが、二十トン以上百トン未満の漁船の災害補償に対しましては、従来何らの
国庫補助
の途がなかつたわけであります。今この二十トン以上百トン未満の漁船の従事している漁業、即ち「いわし」揚繰網、「いわし」刺網、「さば」釣、「さば」巾着網、以東底曳、以西底曳或いは「さんま」の棒受、「いか」一本釣、「かつお」の一本釣、「かつお」旋網、いずれも中小漁業の漁業
経営
体中五十六を例にと
つて
経営
調査
をした数字によりまして、この結論を見ますというと、黒字の
経営
体が十六件で二八%五、赤字の
経営
体が四十件で七〇%五ということにな
つて
おります。更にこれらの漁業は沿岸漁業の資源枯渇、米軍の演習によるところの漁場の制限、更に李ライン問題或いはソ連、中共、台湾国民政府等の漁船の捕獲問題、更に最近の水爆事件等、国内問題、国際問題が
原因
とな
つて
、これら二十トン以上百トン未満の漁船による漁業
経営
はますます困難にな
つて
参つて
来たのは当然でありまするが、若しこのままにするにおいては、日本の漁業の中堅層は壊滅すると
言つて
も過言ではないと思います。殊に、
農業
においては各種の
農業
災害に対する国家の財政的援助があるに比しまして、漁業に対してはその災害等に対して国家の援助はただ漁船保険を除いてはないのでありまして、実に漁船保険の補償法というものは漁業にと
つて
は重大なる、いわゆる根幹をなすものと我々は考えるのでありますが、この意味からいたしまして、第十六国会、即ち
昭和
二十八年七月に漁船損害補償法が政府提案で審議された際、衆参両院で全会一致で二十トン以上百トン未満の中小漁船の保険に対して
国庫補助
の途を開いて、日本の漁業の中堅層の壊滅を防ごうとしたのであります。而も
国庫
の
補助
は二十九年度から実施することにな
つて
、その
金額
も僅かに一億円
程度
のものでありますが、これを一度も実施しないのに、
法律
を無視して、二十九年度
予算
編成に当
つて
は政府の独自の考えで削減して、その辻褄を合せるためにこの特例法を提案することに
なつ
たのでありますが、政府の認識も甚だ私は
不足
であると言う以外にないのであります。殊に保利農林大臣は、農林大臣就任の当時から、水産
委員
会におきまして、相当広汎に亘
つて
日本の漁業の進展に関する抱負経綸を述べておつたのでありますが、その施政方針と大いに矛盾しているのじやないかと私は思うのであります。それに対し大蔵大臣は、本
委員
会におきまして同僚議員の質問に対しまして、こんなに重要な問題であつたならば、農林当局がもう少し強く
要望
してくれればよかつた。このように言われたに至
つて
は、実際農林大臣が果してこの問題に対して真剣に考えておられたかどうか。これは農林大臣の責任を我々は追及したいと思うのである。よ
つて
私は農林大臣に特にお願いしたい二つの項目がありますが、第一点は、日本漁船の中堅層であり、又日本の漁業生産の中堅であるところのこの二十トン以上百トン未満のものに対し、財政的援助によ
つて
壊滅から救おうとすることが現在の日本の漁業の
政策
上最も必要であると思うが、この点はどうお考えになられるか、それとも僅か一億か二億円でも財政上困難であるから、日本漁業の中堅層が壊滅しても止むを得ない、こういうふうにお考えになるのかどうか、先ずこれが第一点であります。第二点は、衆議院は、この
法律
案は一年の時限法として修正可決し、更に附帯決議をして、第十五条即ち漁船保険の規定については、本法即ち一年の時限法たるこの
法律
の有効期限にかかわらず、可及的速やかに
予算
措置を講じて、二十トン以上百トンまでの漁船に対しても、二十トン未満一トン以上の動力漁船と同一の取扱いをなすよう政令を改正実施すべきであるという決議はしてありまするが、この附帯決議の趣旨を尊重して政令を改正し、或いは補正
予算
或いは予備費の支出その他で速かに実施する意向を持
つて
おられるかどうか、あるならば一体いつ頃かということと、それとも政府はこの
法律
をも無視して
予算
を削減するのであるから、国会の附帯決議も問題にはならないというので全然突つ放すつもりであるのかどうか。第三点は、この特別法の
成立
するか否かは別として、第十六国会において修正可決しましたところの
法律
は、すでに政府は
昭和
二十八年の八月一日に実施しているのであります。二十九年四月一日から各地の保険組合は二十トン以上百トン未満の漁船に対して掛金或いは加入を慫慂して、国家
補助
があるものとしてすでにもう契約を
開始
しておるのでありまして、こういうような面に対する責任は一体どういうふうにとられるつもりか、まあこの三点であります。この点につきまして農林大臣から懇切な御説明を願いたいと思います。
保利茂
9
○国務大臣(保利茂君) お
答え
いたします。第一問については、何か大蔵大臣が、農林当局が熱心にこれを主張したならばこういう措置はとらなかつたのであろう、若しそういう食言があ
つて
おりますならば、これは私は聞き捨てならんことだと思います。最後まで私は同様の考えにおいて、少くともそれを真に受けて、まともに受けてこれをお
答え
しちや甚だ恐縮ですけれ
ども
、私としましては、只今
千田
議員からお話のような趣意において、ともあれこの水産業の立場からいたしまして、又手続
関係
からいたしましても、
予算
は
予算
として計上し、そして
法律
改正をするならば、
法律
改正案を別途出して、そしてその結果不要にな
つて
来たならば、それだけやはり国費の
節約
はできるわけだから、同時に出すべきではないかということは私は最後までこれは極論いたしておるわけであります。いわんや水産
関係
のみならず、農林
関係
の
補助金
全般についてかなり猛烈な風が吹いたわけであります。私は
農業
及び漁業の本質からして、こういう
補助金
や助成金によ
つて
手を引つぱり足を引つぱるようにしなければ、日本の
農業
なり漁業なりというものは発展するものではないという趣意から、これはまあ結果は私が負けておりますから、決してそれをどうこうという理由、言いわけに使うわけではございませんけれ
ども
、そういう趣意で努力して参つたということだけは、私は良心を以てこれはお
答え
をいたします。それから衆議院のほうで附帯決議にな
つて
おりまする事項につきましては、無論国会の意思を尊重しなければならないことはもう当然のことでございますから、これにつきましては、この法案の
成立
がございますれば、私
ども
としては国会の趣意に従
つて
最善の努力をいたす考えでおります。そういう考えで私はおります。
千田正
10
○
千田正
君 さつき第一点につきましてお
答え
がありましたが、大蔵大臣がこの
委員
会において皆さんから大いに追及された結果ですね、私が今申しました
通り
、それほど重要な問題であつたら、もつと強く農林当局からの要請があれば自分らも考えたはずだというようなことを
言つて
おられる。これは速記録を御覧になればよくわかることであります。誠にその点私
ども
は腑に落ちない、今あなたがおつしやるようにもう極論してまでも、原始産業の一番弱い面のしわ寄せにな
つて
いる
人たち
のために頑張
つて
おられる農林大臣の意思が大蔵大臣に私は反映しなかつたという結論だと思うのであります。ですから、そういうことに対しては通つたことはしようがない、こういうことではしようがないのでありまして、第二点におけるところの、やはりこの衆議院において附帯決議をしたところの件における政令その他について何らかこれを救う途はないか、まあこれは今あなたは極力善処するよう考える、こういうお
答え
でありますが、それに第三点の問題につきまして、我々日曜にもかかわらず、漁村その他を
調査
して来ておるのでありますけれ
ども
、漁民の大部分はもう四月一日から漁船保険の加入ができて実施の時期に入
つて
いるのだという考えを持
つて
いるし、一カ年据置かれた間にこの弱い漁民の
人たち
を何とかして救おうというので、県の
担当
している係官並びに各漁業組合長、そういう
人たち
が懸命にな
つて
加入を慫慂して、漸く納得させて、そうしてまあ加入させておる間において、全員加入しておられるところもあるわけでありますが、ところが先般これは
水産庁長官
の内達、通達によりまして、ちよつと待
つて
くれ、四月一日からということにな
つて
おるのだが、ちよつとその手続は待
つて
くれ、これは
水産庁長官
としては、現在こういうような
法律
が審議中であるから、手続上間違
つて
はいけないからという老婆心から、そういう通達を出したのだろうと思います。漁民のほうは一カ年据置きの間に、懸命にな
つて
とにかくこういうことに加入するということで、お前
たち
の財産であるところの船、陸上で言えば自分らの家屋と同じであります。これを何とかして損害から救う一つの手立てとして国は考えてあげるのだからというので、殆んど強制加入に等しいほどに説いて、頑固な漁民の
人たち
を入れて漸く発足というようなときに、この法案が出て来るということになると、これはすでに加入した
人たち
の漁民に対する意欲を失うし、又その間に懸命にな
つて
努力したところの
人たち
は絶望のどん底に追いやられる、一体こういうことに対してはどういうふうにまあ考えておられるのか、
法律
はもうすでにあれですよ、二十八年の八月からもう発表にな
つて
お
つて
、実施は二十九年四月一日ということにな
つて
いるのですから、もう四月の一日は通過しておる、もう過ぎております。だから漁民の大部分というものはすでにもう加入している、こういう現況に対してどういうふうに考えられますか。
保利茂
11
○国務大臣(保利茂君) その点はお
答え
を落しまして甚だ恐縮に存じますが、第一は、この手続上において、私
ども
としては見解を異にしましても、併しながら、一面要請せられておるところの
補助金
整理
乃至は財政の緊縮という大きな線に則
つて
、ともあれ私
ども
の責任において提出をいたして、
予算
もそういう
予算
にな
つて
一応今日の
予算
はそういうことで出発をいたしているわけであります。で、お話のように、
法律
のほうはこれに伴わずして、只今まあ審議中で、この
成立
を私
ども
としましては是非
予算
の調子に合せてとにかくここは御賛成を願いたい、願わなければならんと考えておりますが、併し
法律
は明らかに四月一日からそういう措置を講ずるということをきめておるわけでございますから、御質問の趣意は、これは当然起り得ることなのでございまして、従いまして水産庁といたしましては、先ずこういう保険措置をとらなければならないけれ
ども
、一応この措置は当分の間延ばして行く、でその上に立
つて
予算
措置を講じておりますので、無論国会における法案に対する最終的御意見がきまらないうちは、現行法が厳然として存立しておることは申すまでもございませんけれ
ども
、一面
予算
を編成し、そうしてその
予算
編成に伴う必要の、この法案もその一環でございますが、この法案を出しておりますから、この法案の成否の見通しが立ちますまでは、現行法によ
つて
の契約と申しますか、加入措置を待
つて
もらいたい。ということは、折角加入手続をとつた、それが駄目に
なつ
たというようなことにな
つて
、いやが上にも混乱を引起すというようなことになりましては誠に申訳のないことになりますから、一応只今の
水産庁長官
の令達を以て当座の間の事務を運ばないようにという措置をと
つて
おるわけでございます。
千田正
12
○
千田正
君 非常にそこで重大なのでありますが、これは
水産庁長官
の令達が先か、大臣も御承知の
通り
、漁業というものは一日も休めない、天候の如何によ
つて
は直ちに出漁して、そうして操業するわけでありますから、殊に今のような
状況
においては、何とかして稼がなければならないから出漁すると、不幸にしてこの法案が
参議院
を通過しない前に遭難をしたり、或いは災害に遭つたりして、どうしても今の保険の問題にかか
つて
来るような問題が起きた場合においては、一体
法律
上から言えば、四月一日からすでに発足しているはずなんですから、これはやはり責任を負わなくてはならないと思うのですが、やはりそれは手続上から
水産庁長官
の令達のほうを重く見て、そういう手続をしたのだからということでおやりになるか、或いは飽くまで法的な根拠に基いて、本院を通過しない限りは、この法案は
成立
しないものとみて、国が責任を以てこの保険に対して契約を履行するつもりなのか、その点はどういうふうに考えておりますか。
清井正
13
○
政府委員
(清井正君) 私からお
答え
申上げます。先ほど
千田
委員
からお話があつた点でありますが、
千田
委員
の御質問の点は、私が先般出しました通牒の問題と絡みまして、業界において百トンまでの義務加入の
法律
はすでに先頃公布せられました。そこで当然この四月一日から施行になるわけでありますが、その施行を見越しまして任意加入を勧奨する。で、四月一日からは強制加入になるのだから、半額
国庫
負担
になるから今のうちにどんどん加入しておけというので非常に苦労をして、そのつもりで任意加入をされたかたが相当ある。従
つて
保険の加入組合にいたしましても、そういう意味合において
指導
しているのにかかる
法律
が出るということは非常に困る、
関係者
のみならず漁業組合の人としましても非常に困る、こういう点があるのではないかと思うのであります。その点はまさに私
ども
も同様に感じておるのであります。私は各方面から実はそういう趣旨のお話を聞いておるのであります。この点は私
ども
といたしましても誠に残念に考えておるのでありますが、昨年
法律
が改正になりまして、当然そのときには四月一日から強制加入になる、従
つて
半額
国庫
負担
になるということであつたわけであります。私
ども
もそのつもりでおつたのでありますが、従
つて
業界におきましても、そういう意味合において四月一日を目標として頻りに任意加入を勧誘して相当の
成績
を見ておつたということも確かにあると思います。それが今般かかる
法律
を御審議願うということになりました点は、事志と違いまして誠に残念であります。又そのこと自体が大変業界の期待に反しまして御迷惑をかけて、いる点も確かにあると思うのでありますが、この点につきましては私
ども
といたしましても、今後必ず加入につきましては、この
法律
の結果如何によりまして又適当に善処いたさなければならんことになると、こういうふうに実は考えておるのであります。 なおこの
法律
に伴いまして、私
ども
において三月末に通牒を実は出しまして、この
法律
が御承知の
通り
四月一日から一応施行になるということで、只今
参議院
のほうに御審議をお願いしておるのであります。無論
参議院
としてもまだ御決定にな
つて
おりませんので、どういうことになるか先のことは予測できませんけれ
ども
、一応四月一日ということもありますので、又一方
予算
が執行されておるというような
関係
もありますので、いづれにしろこの
法律
の最後的な御決定の結果を見なければ、これは俄かに
指導
いたしますと、非常な混乱を生ずるというようなことを事務的に考えましたので、一時事務的な取扱いは待つようにということを先月の末に
関係
の方面に通知を出しまして、事務的な混乱をあらかじめ防ごう、こういうように実は考えておる次第でありますので、私
ども
の出しました通牒の趣旨につきましては御了承願いたいと考えております。
千田正
14
○
千田正
君
水産庁長官
の令達は、それは勿論こういうような
法律
が出るから慌てて加入しても困るということなんでしようが、そのあなたのお
答え
は了承しますけれ
ども
、私が聞いているのは、
法律
は現存している、四月一日以降実施することにな
つて
おるのだ、それに対して
予算
の裏付がない。併しながら
予算
の裏付の辻褄を合せるために、こういう臨時立法が今当
委員
会にかか
つて
おるのですが、これがいつ通過するかはわかりませんけれ
ども
、仮に五月になるか、或いは今国会が五月七日まであるとして、五月七日に仮に通過するとしましても、その間においていわゆる保険の対象となるような事故が起きた場合におきましては、一体どういう措置をするのか、
法律
においては四月一日から実施することにちやんときま
つて
おるのです。そのほうは改正もされていない、撤廃もされていない、にもかかわらず、現実の問題としては、遭難が起つたら百トン未満の八十トンなら八十トンというものは、遭難のために漁船保険としての国家の補償をしてやらなくちやならない、こういうような問題が現実に出た場合においては一体どうするのか、
予算
の裏付がないから出せないということで済まされないと思うのですが、この
法律
がある以上はこの法的な考え方について、どういうふうに政府は仮に請求された場合においてはやるか、この点を私は聞いているのです。
清井正
15
○
政府委員
(清井正君) 私
ども
の解釈といたしては、現在におきましては確かに百トンまでの船が義務加入にな
つて
おるのであります。ただ実際問題といたしまして、仮に四月一日になる前に、いわゆる二十トン以上百トンまでの今度
法律
において拡張される部分のかたが任意加入しておられる、このままの
状態
で四月一日を迎えたという現状におきましては、どういうふうに
法律
を解釈しなければならんかという問題になると思うのであります。私
ども
部内におきまして打合せをいたしました解釈といたしましては、成るほど只今は任意加入のままにな
つて
おるのでありますが、それが四月一日になりましても、そのままの形でこれは強制加入、従
つて
半額
国庫
負担
という形にはならない、従
つて
四月一日になりまして、この
法律
が施行になると同時にやはり二十トン以上百トンまでのかたは、従来の二十トン以下のかたがなさると同様に、やはり加入の手続をいたしまして、そうして今までの二十トン未満のかたが義務加入したと同じ手続によりまして、改めて加入の意思表示をしなければならん、加入の意思表示をしまして、それによ
つて
任意加入のかたが加入の申込をするという、一般の今までの二十トン未満のかたが加入をすると同時に同様な手続を経なければ義務加入にならない、こういうような考え方をと
つて
おるのであります。これは私
ども
さように考えて監督方面とも相談した結果、そういうことになると実は考えておるのであります。従いまして、四月一日になりましても当然にそうなるのではなくして、なりましてから該当のかたが二十トン以下のかたと同じような手続によ
つて
義務加入の手続をする。その結果によ
つて
いわゆる各個々の該当のかたが加入手続をいたしまして、そうして初めて義務加入半額
国庫
負担
ということになるわけであります。手続が済まないうちに仮に事故がありましても、任意加入の今まで
通り
のようなことでやるしか方法がない、こう考えております。
秋山俊一郎
16
○
秋山俊一郎
君 只今の御説明で義務加入のものを通達によ
つて
抑えておる、こういうお話でありますが、この通達は何に基いてこれは出るのでございますか、漁船損害補償法の第九十一条に、「組合は、組合員又は組合員たる資格を有する者から保険の申込があつたときは、正当な理由がなければ、これに対して保険の引受を拒むことができない。」、こういう条文があります。この
法律
を通達で抑えることができるものでしようか、義務加入というものは先ほ
ども
千田
委員
からお話がありました
通り
、昨年八月一日からこの
法律
は公布されまして、二十九年四月一日から実施されるということがはつきりしておりますために、御承知のように義務加入は簡単にすぐにはできない、その間において四月に間に合うように相当
地方
では準備をして、四月に
なつ
たらとたんに加入しようという準備ができているところも相当あつたろうと思うのです。ところがそれを通牒で抑えてしまうということは、これは正当の理由と言えるでしようか、その御見解はどうですか。
清井正
17
○
政府委員
(清井正君) 私
ども
といたしましては、
法律
上の問題もございますけれ
ども
、先ほど御説明申上げました
通り
、この
法律
がこういう
状態
において
参議院
でも目下御審議願
つて
おるということでございますし、而も一方衆議院の御決定では四月一日から施行するということにな
つて
おるのであります。
予算
も通
つて
おります
関係
上、如何なる御決定を本院で見るかということについては私
ども
予測はできませんので、その間の事務の混乱を防ぐために事務的の
指導
といたしまして、これは通牒を出したのであります。これは飽くまでも私
ども
のいたす行政上の事務
指導
であります。
法律
的な効果と言いますよりも、こういう措置をしたらどうかという趣旨でございます。
秋山俊一郎
18
○
秋山俊一郎
君 それではこの間に若し義務加入によ
つて
加入の受付をしておつたといたしますれば、もうすでに今日、四月は二十日を過ぎておりますが、この間にこれが今実施されましても二十日というものはどうしても
法律
によ
つて
措置しなければならないということになると思う。御承知のように保険は加入したときに保険料を払うのであ
つて
、
あと
から払うのではありません。加入したときに払うのだから二分の一
国庫補助
があるという見込で加入したが、それがなく
なつ
たから、保険を取消して掛金を皆損にするということはできないから、その二分の一を
あと
から
自分たち
が追加して行かなければならない、こういう恰好になると思います。それに対しまして国はどういう責任をとられるつもりでありますか。
清井正
19
○
政府委員
(清井正君) そういう問題と申しますよりも、仮にそういうことが
法律
上ありましたならば、これは
法律
上有効だと思います。従
つて
これは私
ども
のほうは単なる
指導
でございます。併しながら
法律
は現に施行されておるのでありますから、この
法律
に基いて民間でかかる措置をと
つて
おりますならば、それは
法律
上有効だと思います。仮にそういうことが行われた場合に、その保険料の
負担
問題或いはその義務
負担
の問題につきましては、
法律
上のいろいろの見解を十分はつきりしなければならない点であろうと思います。その点につきましては、私
ども
政府部内におきましても、かかる事態において
法律
上の解釈並びに加入者の取扱いについて今打合せをいたしておる最中でございます。
秋山俊一郎
20
○
秋山俊一郎
君 解釈は解釈といたしまして、私は今お話のように、これはどうしても
法律
は有効であるということならば、そういう場合には
予算
措置がなければならん、現在
予算
はない。そうすると予備費からでも出されるおつもりでありますか。
清井正
21
○
政府委員
(清井正君) そういう事態については、仮にありましたならば、そういうことになるわけでありますが、
法律
上当然
国庫
支出義務があることになれば、何らかの
予算
措置をとらなければならんことになるのじやないか、かように考えておりますが、この点は具体的事態に即しまして、
大蔵省
とも相談をいたさなければならん、かように考えております。
秋山俊一郎
22
○
秋山俊一郎
君 もう一遍、少し
あと
に戻りますが、今の通達で以て
法律
の規定を抑えて行くということに対して生ずるところの損害でございますね、それはこの通達を出すときは何らお考えになりませんでしたか。
清井正
23
○
政府委員
(清井正君) 損害ということにつきまして、別段このときは考えていなかつたのでありますが、私が心配いたしました点は、これが四月一日に遡
つて
適用になるのじやないかということが私の考えの中にあつたのでありますが、四月一日に遡
つて
適用にると、元も子もなくなるのでありまして、仮に施行期日が
あと
になりますれば又問題が違
つて
来ますが、仮に、
予算
も御決定にな
つて
いることでもありますので、そういつた意味合でこれが四月一日に遡
つて
適用になるというようなことになりますと、折角これが強制加入で二十トン以上八十トンまでのものが入りましても、無効にな
つて
しまうというような虞れがある、そういうことを心配いたしましたので、私
ども
としましては待
つて
もらいたいという
指導
を実はいたしたというようなことであります。
秋山俊一郎
24
○
秋山俊一郎
君 私はこの第十六条に限
つて
は、一応延びるのは別問題といたしまして、今日すでに二十日も過ぎておるのに、遡
つて
これを実施するということはできない性格のものじやないかと思います。先ほ
ども
申上げましたように、保険に加入する場合に、保険金を払わなければ加入したということになりません。加入した場合には保険金を払うのですから、払つたときには、二分の一というものはもう予定して払
つて
いるわけです。それを遡
つて
施行するということは、私は性格上できない問題だろうと思いますが、御見解はどうですか。
清井正
25
○
政府委員
(清井正君) その点はいろいろ
法律
的には問題が実はあろうかと思うのでありますが、建前が確かに二分の一
国庫
負担
、こういうことになりますが、同時に又一方強制加入という性格を持
つて
いるのであります。強制加入をする代りに二分の一を
国庫
負担
するということでありまして、
法律
的に申しますと、強制加入というものが先にな
つて
、強制的に加入させた代りに、二分の一
国庫
負担
ということになると思うのであります。これは単に
法律
的な理窟になるわけでありますけれ
ども
、そういうようなこともありまして、私
ども
のほうも事務的にいろいろ考えてみたのでありますが、遡
つて
適用されるということもないということを私
ども
心配したのでありまして、いずれにしろ、国会の御意思の決定するまで暫らく措置を見合せておいたほうがいいのじやないか、こういうことを考えて、実は
指導
したようなわけであります。
秋山俊一郎
26
○
秋山俊一郎
君 若し義務加入の用意ができてお
つて
、申込んで行つた場合に、こういう通牒が来ているから暫らく義務加入は見合せろ、これは事実でありませんよ。私はそういうことはあり得ると考える。そういう通牒があつたから受付けない、組合がその義務加入を受付けない、そのためにその船は加入をせずにおつたところが、損害を受けたというようなこともあり得る。保険に入
つて
いれば保険金はとれるのだが、入
つて
いなかつたばかりに丸損をしたということもあり得るわけです。これはいつこの
法律
が実施されることになるか今後わかりませんが、そういつたようなこともあり得るわけです。遡
つて
実施するということは私は
法律
の性格上できない。そうすれば、仮にこれを遡及してやるということを議決するにしましても、その間に現在の
法律
が生きている間に生ずる損害に対しては責任を負うという一項がなければならん。裸でこれが遡及はできないものと私解釈しています。ただこういう通牒があ
つて
いるから、そういう必要はないという御見解に私は少し疑問がある。若しこの
法律
を厳格に言うならば、受付けるときに正当な事由と見るかどうかということを先ほどお尋ねしたのですが、正当な事由でない、これは単なる
指導
であるということならば、必ずしも正当な理由としてこれを撥ねつけるわけに行かんものだ、その撥ねつけるわけに行かないものを撥ねつけておつた、それがために加入ができなかつた、加入ができなかつた間に損害を受けたということが若しあつたとするならば、これは何とか政府は見なければならんものじやないか、
法律
的に考えまして……。従
つて
それを遡及してやるということはこれは非常におかしい。仮にその間に
法律
があるのだから、そんなものは正当な理由にならないという見解において受付けることもできるじやないか。まあ善意にこれは
水産庁長官
の通達もあるから、今受付けんと
言つて
、そうですかと
言つて
引込んでおればいい。理窟を言えばそういうことになる。従
つて
ただこれはまあ先になれば果して受付けておつたか、受付けておらなかつたかということはわかるでしよう。けれ
ども
全国的にみると果して現在わか
つて
いるかどうか。受付けたところがないとも限らない。これはなぜかと言いますと、昨年の八月以来準備をしておつたはずです。そこで
法律
を決定する場合に、裸でこのまんま遡及するということには非常な不都合が生じて来やせんか。
法律
的に考えてそういうことはできないのじやないかと思いますが、それはどうですか。
小笠原二三男
27
○
小笠原二三男
君 関連して……。私もついでに答弁をお願いします。
水産庁長官
は少くとも外局の長官として責任のあるお方ですが、
法律
解釈について今のようなお話をすることは誠に奇怪至極だ。あなたは公務員として
法律
適用をそういうふうにお考えになるということなら、これは重大だと思う。少くともこの現行法によ
つて
利益を受ける国民がある。この利益を受けておるものを又
法律
によ
つて
利益を受け得られるものを
法律
を遡及してその利益を剥奪するというような、そんな
法律
遡及が今日でき得ると、国会においてもやればやれるんだ、そんなお考えが一部にでもあつたということなら、これは由々しき問題です。そんなことがあんた
たち
法律
専門家として公務員として考えられたということであれば、私はこの面からこの問題を問題としなければなりません。
法律
を遡及して適用するなんということは今日の憲法下において特殊なる本当に限られた条件のものなんであ
つて
、何事にでもそういうことがなし得られる、それは解釈のしようなんだというようなあいまいなことでは私は許せない問題だと思う。あなたはそうしてこの
法律
について遡及するということをやられればやられる余地があるなどと考えてこの
法律
の運用をや
つて
おつたんですか、はつきりこれは御答弁を併せて願
つて
おきたい。
清井正
28
○
政府委員
(清井正君) これは私が遡及できるということをはつきり申上げ たのではないのでありまして、そういうことも考えの中に入れたということを申上げたのであります。無論これは国会の御意思によ
つて
きまることでありまするから、私
ども
としてはどうなるかということの予想は付かないのでありまするけれ
ども
、一方に
予算
が御決定にな
つて
おる次第もありますし、衆議院では四月一日で御決定に
なつ
たということもありますし、そういうような
事情
と見合
つて
、そういうふうになることも予想し得るという考慮の一端に入れたのであります。そこで若しそういうことになりますというと遡及するということになりますし、事は非常に事務的に面倒にな
つて
関係者
に御迷惑をかけることになりますので、我我といたしましては暫らくこれは取扱いを待つようにという
指導
をいたしたということであるのであります。
秋山俊一郎
29
○
秋山俊一郎
君 その遡及することになると考えられることがおかしいのじやありませんか、少し……。(「行政措置としては権限外だ」と呼ぶ者あり)保険というものの性格上、先ほど私が申上げるように、そのとき払
つて
行くんですからね。それを
法律
的に考えて抑えてはならんものを抑えて行つたということによ
つて
遡及したときに困るからという考えも少し矛盾しやしませんか。
清井正
30
○
政府委員
(清井正君) 仮に遡及になりますと、二十トン以上八十トンまでのかたが強制加入になりましたことが。なくな
つて
来ることになるのじやないかというふうに想像されるのであります。そうなりますというと、一旦きめましても、これは却
つて
又決議が無効ということになるのじやないかというようなことも当然考えなきやならんというふうに実は考えておるのであります。その他一般的に申しますというと、やはりこれは当然に加入になるのでなくして、四月一日になりましたならば二十トン以上八十トンの方々が、今までと同じような形で加入の手続をするということも必要であるのであります。そういたしますというと、手続にも相当な時間がかかるというようなことがありますし、その間いろいろ問題が起
つて
参りますので、これは事務の混乱を防ぐためにいま暫らく強制加入の手続は待つたほうがよろしいという実は
指導
をいたしたのであります。
小笠原二三男
31
○
小笠原二三男
君 関連して……。あなたは
法律
の解釈として遡及施行になる
法律
規定もあり得るということではなくて、国会の意思によ
つて
はそういうふうになる場合もあると予想せられて通達を出した、これは自分の解釈ではない、国会のそういうふうにもなる場合を予想して手を打つたのだというふうな御答弁に今聞きましたが、そういうことであれば、この
法律
運用の上からい
つて
あんたは行政措置として適法な措置をとつたのではない、余計なことをやつた、端的に言えばそう言わざるを得ない、行政措置として適法な範囲を超えています。あんた自身が
法律
解釈或いは運用の上でとつた措置ではないのですから、国会の意思がそう
なつ
た場合のことを考慮して云々ということだ。併し国会の意思というものは、与党を問わず野党を問わず遡及してこの
法律
を適用するということはこれはできない。時の
予算
があるとかないとか、
予算
案に賛成した者はこの
法律
は遡及して適用するようにしなければ辻褄が合わん、こういうような論理はどこにもない。この
法律
の性格上からい
つて
遡及施行はできない
法律
なんだ。あんたのとつた、あんたの部下ですか、あんたがとつた行政措置は適法だとお考えですか、その限りにおいて……。
清井正
32
○
政府委員
(清井正君) これは私がとりました措置であります。でありますから誰の責任でもありません。私が自分でとつた措置であるのでございます。ただ。只今国会の御意思云々ということを申上げましたが、国会の御意思に転嫁したようなふうにお聞きに
なつ
たのかも知れませんが、私はそういうつもりで申上げたのではないのであります。私の申上げた気持は、成るほど御議論があるかも知れませんけれ
ども
、
法律
的に申しますというと、これが遡及して適用されるということもあり得ると私自身実は考えたのであります。(
小笠原二三男
君「そんならさつき質問している
通り
に
答え
りやいい」と述ぶ)従いまして、又国会で
予算
が御通過にな
つて
おるというようなこともあります。衆議院の御意思が四月一日から適用するというようにな
つて
おるというようなことも考え、同時に又私が先ほど申上げたように考えておりましたので、今回
法律
の最後的な決定の御意思があるまで暫らく加入の手続を見合わしたほうがいい、こういう
指導
の通牒を私の責任において出したのであります。
小笠原二三男
33
○
小笠原二三男
君 漁船損害補償法によ
つて
利益を受ける者がある、漁船の損害があることを予想せらるるものが強制加入されて、そのものの損害が補償せられることを目的とした
法律
の運用にこれが遡及適用にな
つて
その利益を受けることを制限せられる、或いは取上げられる、こういう性格になるような
法律
を施行し得るとあなたは
法律
を締めくく
つて
いる立場の人としてお考えに
なつ
たのだとあれば、さつき私申上げた
通り
重大だと思うのです。あなたはその所管の責任者として、そういうようなことが立法
技術
の上でこの
法律
においてでき得るとお考えに
なつ
た根拠を示して頂きたい、それなら……。
清井正
34
○
政府委員
(清井正君)
法律
上の根拠と申上げましても、ちよつと申上げにくいのでありますが、とにかく今回の事態に即応いたしまして、そういうふうに遡及して適用されるということがあり得ると私は実は考えたのであります。
小笠原二三男
35
○
小笠原二三男
君 だからあなたが考えたということはいいんですが、あなただ
つて
行政府にお
つて
、
法律
をいじく
つて
いるかたなんでしよう。そのかたがこの
法律
は遡及されて適用される場合もあり得るとお考えになれる余地があるなら、そのお考えになれる根拠をお示し願いたい。そういうものができるんですか。仮に例を挙げればはつきりすることですよ。強制加入がきま
つて
おるそれらの人々がどんどん加入するものを、この
法律
を
あと
からきめて遡及させて加入したものの利益を守らない。こんな
法律
が今日の憲法下においてでき得るとあなたがお考えにな
つて
おられるとすれば、その根拠をお示しを願いたいというのです。
清井正
36
○
政府委員
(清井正君) その点は確かに先ほ
ども
ちよつと秋山
委員
の御質問に対して触れたのでありますが、これは御議論のあるところであると思いますが、私
ども
の考えましたのは、確かにこれは強制加入になりますというと、半額が保険料
負担
になるのでありまして、当該加入者にとりましては、いわゆる保険料の半額分だけ非常に
経済
的な利益があるわけであります。併しながら一方に
法律
的に申しますと強制加入になるのであります。三分の二以上のかたが発起人となりまして同意いたしまして、それ以外のかたが加入の手続をするということによ
つて
義務加入になるという、やはり
法律
上は強制加入の建前にな
つて
おります。強制加入をする代りに二分の一の保険料の
負担
をするという建前にな
つて
おりますということも、この解釈をいたすについての一つの私
ども
のよりどころであつたのでありますが、ともかくにも私
ども
といたしましては、かかる特殊な事態でありますから、暫らくこの事態のはつきりいたしますまで強制加入の手続をとることを見合わすようにという通牒をいたしたのでありまして、その背後といたしましては、只今のようなことを申上げたのでありますが、それも一つの理由でありまするけれ
ども
、とにもかくにもこの特殊事態でありますから、この
法律
の規定が遡及して適用されることもあり得るのじやないかということを私は考えたのであります。
小笠原二三男
37
○
小笠原二三男
君 あなたのおつしやることが、実は私のそういうことができないのだという理由そのものなんです。あなたの理由とした点が私のほうでもそれを理由としてあなたに申上げておるのです。少くとも強制加入によ
つて
加入すべきものを、あなたの通達によ
つて
それを阻止する何らの強制力もないのです。あなたのは
指導
的な建前をとつた通牒なんですから、そういうものなんです。そんなものを聞かないとい
つて
入れば入れるのです。加入はできるのです。そういう加入したものに対してその利益が守られないという立法措置を法案改正の場合にとり得るとあなたがお考えに
なつ
たということは、どういうわけかということをさつきから尋ねておるのです。その利益を保証する、守
つて
やるという
法律
が遡及して保証しないという
法律
に変り得る、こういうふうにあなたがお考えに
なつ
たという根拠をお示し願いたい。
清井正
38
○
政府委員
(清井正君) 私が考えましたのは、これは
法律
的に申しますと、いろいろ実は問題があるところだと思うのでありますけれ
ども
、ころいうような特殊な事態における立法でございまして、現にこれは百トンのものまでが強制加入にな
つて
おるようであります。私の通牒いたしましたのは
指導
通牒でありますから、これはこういう通牒にもかかわらず、こういうような措置をとることもこれは形式的にあり得るのであります。併しながら一方私
ども
といたしましては、これが遡及して適用するということも
法律
上考えられる、こういうことも私考えましたので、若しもそういうことになりますというと、折角加入をいたしましたものが無効になるということを心配いたしまして、事務的な混乱を防ぐために右申上げたような通牒を出した次第であります。
小笠原二三男
39
○
小笠原二三男
君 遡及して適用することもあり得ると考えられたというその考え方そのものが私はもう違法だと、そんなことはあり得ないのだという前提に立
つて
おるのです。ところがあなたはいろいろの議論のあるところだと、こうおつしや
つて
おるから、私はこれ以上申上げませんが、そういうこともあり得るなどというかたが責任者にな
つて
、漁民なりその他を守
つて
やるのだというようなことでは誠に遺憾だと思う。
法律
上もそういうことは万が一にもあり得ない性格を持つ
法律
だとして、あなた
たち
としては措置せられなければならない立場のこれは
法律
ではないかということを私
たち
としては主張するところなんです。けれ
ども
これは
あと
で政府のこの方面の責任者にお尋ねしますが、ここでは
関係
がありませんけれ
ども
、新入学児童に対する教科書の無償配給の
法律
ですか、この法案にやはり出て来ておりますが、これにつきましても同じようなケースがある、そのときにな
つて
私は政府側にお尋ねしたいのですが、関連しておりますから一つの例として挙げますが、二月八日付を以て文部省初等中等教育局長から、二十九年度は
予算
の都合によ
つて
実施せられないことに決定に相成りました、決定いたしましたと断定しておるのです。よ
つて
教育
委員
会その他は然るべくこれを扱うようにして頂きたいと、こういう通達が出ておる。現行法が厳然として生きておるのに、行政措置として文部省の一公務員が
予算
の都合上これは実施せられないことに決定いたしたなどという断定的な通達ができるか、あなたの場合にはそうなる見込みというような気持の通達のようですから、まだそれは悪いとしても罪が軽いけれ
ども
、文部省あたりのほうはもう決定せられました、
予算
も何も
通り
もせん、その二月八日付を以て通達を出しておる、そういう一連のものの考え方は立法府というものを何と考えておるか、又政府はそういう遡及しても
法律
改正ができるのだという解釈を持
つて
おるというようなことなどは、一連したこれは立法府の軽視と申しますか、立法府に対する挑戦ですよ。そんなことは
法律
の運用なり或いは
法律
上の適法な行政措置などとは断じて私は考えられない。あなたの出した通達というのはどういう権限に基いてやつたものなんですか、
法律
的に解釈してお示し願いたい。本省からそれぞれに通達として出されるものは何によ
つて
何の根拠を以て出すのか、そういう点もお示し願いたい。単なる行政措置でしようか、そうしたら法に基いてやることなんでしようか、あなたにそういう措置をとれということを法が命じていますか。
清井正
40
○
政府委員
(清井正君) 只今御質問がありました点でありますが、これは無論
法律
に基いた措置ではないのでありまして、こういう事態に即応いたしまして、私
ども
が事務的な混乱を避ける意味において、私の責任においてやりました行政上の
指導
に過ぎないのであります。
小笠原二三男
41
○
小笠原二三男
君 行政上の
指導
助言ならば、そういうことは立法府との
関係
においては行過ぎであるとお認めになりませんか。
清井正
42
○
政府委員
(清井正君) 行過ぎではないかという御意見でございますが、私は先ほど申上げた
通り
の趣旨によ
つて
、遡及されることも予想されるというふうに考えましたので、私はこの措置はこの場合においては止むを得ない措置であると考えております。
小笠原二三男
43
○
小笠原二三男
君 そういう行政措置を
水産庁長官
がとるに当
つて
、農林大臣との
関係
はどういう
関係
にな
つて
そういう措置がとられるのですか。
清井正
44
○
政府委員
(清井正君) これは私は大臣には御相談申上げなかつたのであります。私の個人の判断で私の責任において通牒いたしたのであります。
小笠原二三男
45
○
小笠原二三男
君 それは私個人の判断で私の責任でということは、
水産庁長官
としての責任において、
水産庁長官
としての判断においてそういう措置をとつたものですか。
清井正
46
○
政府委員
(清井正君) 個人と申上げたのは語弊がありますが、
水産庁長官
としての判断であります。
小笠原二三男
47
○
小笠原二三男
君 混乱が生ずるとか、生じないとかいうことについて、あなたの責任で、あなたの権限でそういう措置をとるということは行過ぎでないとおつしやるのですか。その場合においては、あなたは
水産庁長官
でなくて、何と申しますか、農林大臣くらいの権限を持つたような形で判断しているのじやないのですか。
清井正
48
○
政府委員
(清井正君) これは私の判断だけでやり得ることだと私自身が判断いたしましたので、私の責任においていたしたのであります。
小笠原二三男
49
○
小笠原二三男
君 私もうこの人とはこれ以上お話しません。併しこれは私は何と申しますか、言葉の表現が悪いけれ
ども
、平たい言葉で申しますと、適切なる措置としては何らか欠陥がある、欠けておるとだけは何としても思います。立法府との
関係
において、行政府の而もそれが外局の一長官がそういう自己の判断によ
つて
一つの行政措置をせられたということは適法でないと私さつき申しましたが、適法でないということは言い過ぎかも知れません、妥当でないと
言つて
おいたらいいのでございましようが、いずれこれはたびたびあることではないけれ
ども
、やり方としては私は何と申しますか、適正でない、そういうふうに主張を飽くまでも申します。この点については私もいろいろ院における法制
関係
のほうと
研究
して、私も素人ですから、もう一度一連のものとして、こういう我我から言えば勝手な通達が一個の出先の判断でそれぞれの方面に出されたという問題については、政府の責任のある御答弁を求める措置をとりたいと思う。本日は私はこの問題ではあなたに対しては水かけ論みたいになりますからやめておきます。
上林忠次
50
○
上林
忠次君 強制加入の手続をと
つて
地方
では入
つて
おる人があるんではないか。そういうような通達があ
つて
も、現行法がこうな
つて
おるから強制加入でや
つて
いる船があると思いますが、これに対しては勿論この
法律
が改訂されることがありましても、遡及は勿論できない、現行法で行くべきだと思いますが、折角長い間準備してこの現行法によ
つて
享受し得る漁船の保有者が、あなたの通達によ
つて
こういうような今年の加入をやめた、やめたために享受し得ない折角
法律
が守
つて
くれているこの恩典に浴し得ない、こういうようなことがあなたの行政措置でやられた結果、そういうような損害を受けている、この損害に対してはどういう工合にお考えになりますか、相当な責任があるのではないんですか。現行の
法律
によ
つて
享受し得べき権利を侵害しているんじやないかと私は考えるのですが、この点に対してどうお考えになりますか。
清井正
51
○
政府委員
(清井正君) 権利を侵害しておることになるかどうかにつきましては、ちよつとはつきりもうちよつと検討さして頂かないとわかりませんが、とにかくこれは通達でございまして、若しも
法律
上所要の手続を経ておるものがありますれば、これはその間につきましては当然もう一遍保険料につきましてもお話を承わらなければならんことは
法律
ではつきりいたしております。ただ行政上の
指導
、民間の
指導
において強制加入になることを予想して実は通達しておつた。それが四月一日以降切り替
つて
当然加入になるように手続きしようとしたところが、こういう通牒が来たので、ちよつと暫らく待
つて
くれということになるわけでありますが、果してそれが具体的なこれは
法律
上の損害に該当するかどうか、この問題につきましては、私
ども
具体的な問題に当
つて
見ませんと、ちよつとはつきりお
答え
申上げかねるのでありまして、どうしても若し国が
負担
しなければならんというような、これは賠償義務がありますれば、そのときに又
大蔵省
と相談してみたいと思います。
上林忠次
52
○
上林
忠次君 重大問題と思いますが、すでに加入しておる問題を超えて、加入せんとしておるものを通牒によ
つて
インターフエヤーしておる。加入できなかつた。折角今認められておる享受し得べき
法律
があるのですから、それを通牒で放棄しておるのじやないか、個人の自由意思を妨害しておるのじやないか、これに対してどういうふうな責任を感ずるか。普通ならば皆加入したのだというのを一片の通牒によ
つて
やめた、これは大きな水産庁の責任があるのじやないかと考えますが。
清井正
53
○
政府委員
(清井正君) 確かにそういうことは現実問題としてはあると思いますが、率直に
言つて
、私
ども
も四月一日から百トン以上は強制加入になるものだということで規定いたしたのでありますが、ところがこういう事態になりまして、それが予期に反しまして、前々から四月一日から強制加入になる、従
つて
半額
国庫
負担
になり得るであろうという予想の下に任意加入しておつたところの二十トン以上百トン未満の漁船につきましては、それが相当各地にはあるということも私
ども
聞いております。事実そういうことがあるだろうと思うのであります。そういう方々がその通牒が出なければ、義務加入の手続きとして当然二分の一
国庫
負担
が得られるだろうが、国の通牒が出たために暫らくストツプされておるということによ
つて
損害を受けたものでありますということになるわけでありますが、その点は私
ども
といたしましても、そういうようなことは予想はいたしておつたのでありますが、先ほど来しばしばお
答え
申上げました
通り
、これはこういうような
法律
が出ます特殊事態に即応いたしまして、一方に
予算
もああいうように確定をいたしておるというようなことがありましたので、一般的にこういう義務を負わせることによ
つて
、却
つて
あと
から
関係者
のかたがたに迷惑をかけるようなことがあ
つて
は相成らんという一念から、事務的な取扱いといたしましては変つた措置をいたしたのであります。従いまして、このことによりまして、
関係者
のかたがたが或いは損害を受けたのじやないかというように相成るのかもわかりませんが、果してそれが
法律
上の損害になり得るかどうかということにつきましても、私
ども
今ここではつきり御返事ができないのでありますが、この点につきましては、もう少し私
ども
といたしましても考えさして頂きたいと、こう思います。
小笠原二三男
54
○
小笠原二三男
君 議事進行として………。私はあなたは自分のとつた措置は妥当である、行き過ぎではないと突つ張られるから、それなら水かけ論になるからこの次に一つ仕上げをしてやろうと思つたのですが、今の答弁は確かにそう言われれば責任があると考えます。ただ私の一念からこうこうこういう理由から出たところである、こういう話なんです。責任があるということはあなたのとつた措置が全く正しいものだと言い切れないということなんです。私に対する答弁と食い違いがある。私の行き過ぎだとか、行き過ぎでないとかいうことは、要するに義務加入として義務付けられた、反対給付としては与えられた権利なんです。それが損害を補償せいとか、何とかいうことは、加入をしていないのにそういうことが行政訴訟の上でできるかどうかということは、我々も疑問があるし、損害補償なんということが適法に行われるかどうかそんなことは考えません。私自身は併し加入しておつたならば利益を受けられるものが、一片の行政措置によ
つて
その利益を受けられない事態も起り得る、そういう可能性についてはあなたも否定できない。そういう意味合において私はあなたのとつた行政措置というものは適切でない、妥当でなかつたのではないかということを申上げておるのに、あなたは、いやそういう考えも、私の考えも成り立つし、妥当である、適切である、こういうことなんです。そんなことを廻り廻
つて
何度言われてもさつぱりあなたの真意がわからん。で、これ以上私申上げると言葉が何と申しますか、適切でない表現になると思われますのであれですが、こういうような答弁をされてこんな
委員
会の審議はできませんよ。
委員長
、もう少し
水産庁長官
としても御
研究
にな
つて
、今の御答弁の中にあつたように、答弁を暫時待たせて頂きたいというような部分もございましたが、
研究
して頂いてから答弁して頂くようにお願いしたい。これは単に漁船損害補償法というようなものにかかわらず、一般的な例として重要な問題なんです。時間も時間ですから、
委員長
において適宜な措置をとられるようにお願いします。
清井正
55
○
政府委員
(清井正君) 私が申上げましたのは、これは今まで水産庁で
指導
をしておつたことが、この際違つたようなふうに
指導
されておるということで、
関係
のかたがたに非常に迷惑をかけておるということに対して、誠にその点は同感に感ずる部分があるということを申上げたのでありまして、私が先ほど小笠原
委員
に対してお
答え
申上げた気持は変らないのであります。ただ現実に今まで当然四月になりますと、強制加入になるだろうというような予想をいたしまして、業界のかたも
指導
し、又漁船の業者もそういう予想の下に今まで進んで参つた。それが四月一日にな
つて
から思うように行かなく
なつ
たということに対しましては、又
関係者
の方々に対しては甚だお気の毒であるということを、私はそういう意味で表現をいたしたのでありまして、私が考えておることがあやふやである。こういう意味で私が申上げたのでありませんから、その点は一つ御了承願いたいと思います。
小笠原二三男
56
○
小笠原二三男
君 右と言えば左と言い、あなたは牛若丸の生れ変りかもわからんですけれ
ども
、ちつとも何を
言つて
おるのかわからん。事の根源は、農林大臣はどう御答弁に
なつ
たか知らんけれ
ども
、現行法は現行法としてそれに基いて
予算
措置をし、
法律
は
法律
として改正案を出して、
法律
修正に伴
つて
予算
に計上せられているものの不用分が出たら不用分は保留する。そういうような措置をとれば何らこれは問題にならないし、あなたもそういう行政措置をとる必要はなかつた、多分私は農林当局としてはそういう意向が強かつたのではないかと思う。それが裏腹に、
予算
はこうする。従
つて
辻棲を合せて
法律
案はこう絶対しなければならん。一つの
法律
案の改正をすることを前提として
予算
ができて来ておる。その
予算
が通過はしたが、
法律
案のほうでどうなるかという問題にな
つて
、その行政措置が結果として適切であるとか、ないとかいう論議にな
つて
来たわけなんです。だから根源に立至るならば、
予算
と結んだこの法案の仕方、一連のこのやり方に政府として問題があり、責任があるはずなんです。それを単に一長官の責任として行政措置をせざるを得なかつた。結果としては何とかの、私適切な表現を知りませんが、前後の食い違いから、あなたのとつた措置が適切であつたと思われるものが適切でないという
状態
を生み出すに至つた。そういう点についてあなたがはつきりと明快な御答弁があれば我々としても了承するのにやぶさかでない。然るに前提にな
つて
おるような点は全部
自分たち
の適正なものだと認め、そうしてでき上
つて
来たこの食い違
つて
おる部分もこれは妥当である、適切であるとし、又被害を受けるものがあることの考慮如何と言えば、それについては責任を感ずると言い、責任を感ずるというならば、そういう措置をとつたことについて適切妥当と言えないのじやないかと言えば、その点については、先ほどから小笠原
委員
に御答弁した
通り
だと言うのですから、それは適切だと言う。あなた何を
言つて
おるのかわからん。根本のこういう論議に
なつ
た
原因
というものはどこにあるとお考えですか、あなたが適切だとお考えにな
つて
おるならば、それは時間的な経過から食い違つただけなんであ
つて
、根本はその食い違いが出て来たということは、法案と
予算
案の提出の仕方そのものにあるとあなたはお考えになりませんか。そういうことをあなたに聞くことはこれは適切でないと思うから私は黙
つて
おつたのですけれ
ども
、これは政府の責任者に質すことだと思
つて
聞いておつたのですけれ
ども
、あなたはどうお考えになるのですか。この質問をすれば又長くなるので、先は議事進行を言うたのですから、一つ意見としてだけ聞いて頂いて、
委員長
が適切な措置をと
つて
頂きたい。
秋山俊一郎
57
○
秋山俊一郎
君 長官は今日でもこの法案が遡及されると考えておられますか。
清井正
58
○
政府委員
(清井正君) されるということははつきり私が確信しているわけではないのでありまして、そういうこともあり得ると私は思います。
秋山俊一郎
59
○
秋山俊一郎
君 そうすると、この通牒は今でもお取消しになる、或いは停止するお考えはございませんか。
清井正
60
○
政府委員
(清井正君) 私はこれを取消又は停止する考えは持
つて
おりません。
三橋八次郎
61
○三橋八次郎君 今通牒の問題が大変問題にな
つて
おりますが、その通牒を一つ
資料
として
委員
会に御提出願いたいと思います。
千田正
62
○
千田正
君 さつき農林大臣に質問したのですが、途中から
水産庁長官
が代
つて
答弁して、関連質問が今まで長く
なつ
たのですが、農林大臣は今お聞き及びの
通り
、この問題は非常に重大な問題なんです。というのは、いわゆる当初考えた頃は、恐らくこの前の政府の提案理由の説明のうちに、十六条はまだ実施されないのだから
影響
するところが少いだろうというので、この臨時特例法案に政府は盛つたはずだ。ところか現実においてはそのような煩雑ないわゆる利益を享受すべき漁民が、この
法律
がこのようにな
つて
いる
関係
上非常な不都合と迷惑を受けているわけです。農林大臣としましては、今まで皆さんの質問の内容をお聞きにな
つて
おるでしようが、一体この法案が適当な法案だと思
つて
おられるかどうか。この法案の内容の中に盛られておるところのいろいろな問題はそう簡単な問題じやないと我々は思いますが、一体現在に至
つて
は、この問題については農林大臣はどう考えておられますか、最初からちつとも変りないと……。
保利茂
63
○国務大臣(保利茂君) 私は冒頭に申上げました
通り
の考えでございますから、今にな
つて
これが適当でないとかいうことを繰返すようなことは改めて申上げるということは、法案を提出いたした責任ある政府の一員として申上げることは私としては御遠慮いたしたい。併しながら提案に至る経過につきましては、冒頭申上げましたところで御了承頂きたいと思います。先刻来の御質疑につきましては、これは私も
水産庁長官
から処置をいたした
あと
で、こういう取りあえず処置をいたしたという
報告
を受けまして、それは結構でしたということを
言つて
、その通達を承認をいたしております。と申しますのは、これはもう初めからこの法案は相当に衆参両院で問題になり、特にこれはそこらは少しえらい失言になるかと存じますけれ
ども
、私といたしましては、この法案に盛り込まれている農林漁業
関係
の助成金、
補助金
を
引下
げるということに対しては、今日の農林漁業の
実態
からいたしまして、進んでみずからが責任を以て、みずからの提案として出すという勇気はもとよりないのみならず、いずれも必要な助成措置であるという考え、従
つて
この法案が通過する、
成立
するというためにはよほど財政当局者が熱心でない限りはなかなか通るものじやないということは、そういうことを私はこの席で申上げるということは非常に失言であろうかと存じまけれ
ども
、そういうふうに考えております。然るに先ほどお話のような、まるで我々が熱心でないから、こういう法案が出たのだというようなことを言われるに至
つて
は、これは私としては実に奇怪千万と申上げざるを得ない。従
つて
こういう法案の提案の形式からいたしましても、一連のまとまつたこういう異常の取扱いとして出ておりますゆえんも、そういう沿革から私は出ておると了解をいたしておるわけであります。併しながら、すでに私
ども
として今日の
予算
のあり方からして、又国の財政力からいたしまして、できるだけ各面に亘
つて
公平な財政緊縮を
図つて
行くということの必要は、これはもう当然考えなければならないわけでありますから、私
ども
としましても、
協力
のできる最大限という意味においてこの承認をいたしたわけであります。それで果して衆議院においても非常に難航し、論議が集中しましたけれ
ども
、結局こういうふうな修正を受けて通過をいたして、当院に回付された
予算
も、この法案の立て方は大いに問題がありますけれ
ども
、この法案に副
つて
現に執行をせられておる
予算
も編成せられており、そこで
水産庁長官
としても、私といたしましても、国民の受くる
法律
上の保障というもの、これは何人も侵すことはできないわけでございますが、併しすでにこの法案が衆議院で通
つて
来て、相当問題が当院においてもこれはあるべきが当然であるが、何とか
成立
はするように我々も努力しなければならん、そう長い日
たち
を要しないでも行くのではなかろうかというような見込を立てますのも、これもまあ御了解を頂きたいと思うわけであります。この間に処して、四月一日から施行すべき現行法が施行しないという建前の言わば改正
法律
案とそれに伴う
予算
を出してお
つて
、併しこの法案の見通しが我々にと
つて
望まざる方向に行くということになれば、これは別個の問題でございますけれ
ども
、これは相当大事な問題ですから議論は相当ありましようけれ
ども
、いずれその結論は
参議院
におかれてもお付けになる、その間において現行法に基いて強制加入はさした、直ぐこれがやめに
なつ
たというようなことで、
関係者
に又非常な迷惑をかけるというようなことは、行政当局者として、これは事前に図り得る限りにおいては、できるだけ
関係者
に迷惑の少くなるようにということで処置をいたしたわけでございまして、そのほかには何らの他意はございません。併しながら私も素人でございますから、
法律
上の効力の問題等につきましては、これは差控えますけれ
ども
、
法律
により保障せられているところの国民の権益というものは、これは侵してならん、侵さるべきものでないということは当然のことだと思います。従いまして今日はすでに四月二十日に及んでおりますれば、相当善後措置について慎重に考慮をしなければならん、こういうふうに考えております。
千田正
64
○
千田正
君 そこで当然あなた方としては通るであろうという仮定の下に、手続上、老婆心を以てこういうものを出しておるということなんでしようが、実際においていろいろな問題が起きて来て、当然受くべき国民の享受が受け得なかつたという問題が起きて来る虞れも又一方にある、それに対しては十分考えなければならない、そういうことに対する
農林省
の水産当局としては十分何らかの用意があるのですか。例えばそういう問題が現実に発生して来た場合において、予備金から支出するとか、或いは何らかの方法によ
つて
二十トン以上の問題を解決するような案があるのですか。衆議院としては附帯決議で何とかしろと
言つて
いますけれ
ども
、現実において何か立案してあるものがあるのですか、その点はどうですか。
清井正
65
○
政府委員
(清井正君) 只今の点につきましては、まだ大蔵事務当局と別段具体的な打合せをしていないのでございます。ただ問題といたしまして、この
法律
が片方は施行にな
つて
おり、片方においてこういつた事態が起
つて
おるということにおいて、その間において何らか
予算
措置をしなければならんという問題が起りますれば、当然これは我々は事務局において出すべきものは出さなければならんと思いますが、要するにこの経過においてのいろいろな具体的な事態に即しまして、適当に考慮をしなければならんというふうに考えております。
松永義雄
66
○
委員長
(
松永義雄
君) 先ほどの三橋
委員
の要求の
資料
、通達ですが、あれを一つ提出されることをお願いします。
小笠原二三男
67
○
小笠原二三男
君 農林大臣は、国民の享有すべき保障というのは如何なる形でも侵害することができないとおつしやいましたが、私
たち
その点御尤もだと思います。そうしますと、その表現はこの法の建前から
言つて
遡及して適用はできるという御認定にな
つて
おると思うので、
水産庁長官
のお考えとは食違
つて
おる、この点は如何でしよう。
保利茂
68
○国務大臣(保利茂君) 小笠原
委員
の先ほど来の
水産庁長官
に対する御質問はよく伺
つて
おりましたが、これは権利の場合も義務の場合もあると思います。いずれといえ
ども
同じだと思いますが、この法案が遡及するか、遡及しないかという……、遡及せられる措置をとられるのか、とられないのか、これは私
ども
の判断の外であろうと思います。これは国会においてどういうふうな措置をおとり頂けるか、これは国会の御措置を待つほかはないわけでございますが、
水産庁長官
が申しておりますのは、どの場合ということを私も一一具体的に申上げませんけれ
ども
、四月一日から実施ということで出した法案が四月一日過ぎて議決せられる場合に、この
法律
は四月一日から施行するという事例は今日までたくさん作られていると、たくさんということは誤弊でございますが、私はしばしばあつたように記憶をいたします。従
つて
予算
も四月一日から措置をと
つて
おりまするし、政府としては四月一日からこういう措置をと
つて
行きたい、衆議院においてもそういう措置を……、いろいろ附帯決議その他ございますけれ
ども
、修正の結果修正せられる際には四月一日の施行を予想しておきめ頂いている、そういうわけでございますからして、
参議院
におかれて万に一つ遡及措置をおとりにならないということはまだ断定しがたい、こういう意味におとり頂ければよろしかろうと存じておるわけでございます。
戸叶武
69
○
戸叶武
君 この問題は簡単な問題でなくて、
あと
でやはり前例を作る問題だから、各
委員
からやはり慎重な態度で検討いたされているのだと思いますが、
法律
案がともかく通過して、而も
予算
の裏付けが完成されないうちに、それを闇に流すというような形、これは丁度子供が生れて来て、それにお乳も餌もやらずに、それをともかく餓死させると同じような形で、これは人間
関係
においては人道上における殺人行為になるので、この例が一番適切にわかると思うのですが、いやしくも
法律
案と
予算
案の関連性においてこういう前例を作られると、問題がやはり複雑にして深刻になると思うのです。私は昨年の国会の救農国会と言われる時分から、大蔵大臣に対して特に追及していた点はこの問題なんですが、
予算
案の発案権なり、提出権の問題、それから
法律
案の発案権なり、提出権の問題というようなものを政府側じや非常にごつちやにしているので、この新憲法における解釈というものは、事実上非常にむずかしい問題にな
つて
いるのでありますが、イギリス憲法とアメリカ憲法とがごつちやに入
つて
来た、この混血児的性格が若干あるところの日本人の憲法解釈というところに非常に昏迷が出て来ているのですけれ
ども
、この問題に対して政府が統一的に
研究
して行かなければいけないと思うのです。少くとも政府は
予算
案の発案権と提出権に対してはアブソリユートな一つの責任感というものを持たなければならないのでありまして、而も国会において我々が審議し修正する権限を持
つて
おりまするけれ
ども
、その我々の国会におけるところの修正に政府が応じたときにおいては、それに同意したものと認めなければならないので、それがイギリス憲法の中においてでも、イギリス憲法においては増額修正ができないのでありますが、国会において
予算
案を削減した場合においても、その政府の同意というものが責任内閣制におけるところの重点なのです。閣議を開いて三党から出した修正
予算
案でも何でもそれを呑んだというときに、もう政府は万端の態勢を整えて慎重な態勢でそれを呑まなければならないのであり、そういうようなときにおいてでも、政府がその修正は国会の意思によ
つて
なされたものだから、
自分たち
の責任ではないというようなことを
言つて
去年の、とにかく
参議院
においても修正者の代表としての三浦一雄君に説明させようとしたようなでたらめな面というものが出て来るのは、そういうところにあるのです。国会はとにかく審議権を持
つて
、修正権を持
つて
おりまするけれ
ども
、修正に応じたときには政府に、同意を与えた政府においてそれは責任というものが移
つて
おるべきであ
つて
、国会が
予算
審議に対して絶対権を持
つて
いるからと
言つて
、修正に応じた場合においては政府にすでに責任というものは一貫して流れておるのですが、そういう点がいつでもあいまいにな
つて
おる、今度の場合においても、一兆円の
予算
に緊縮しなければならないというこの絶対要請というようなものを、とにかく池田、ロバートソン会談以来政府は背負い込んで来ておると思う。それがために
大蔵省
のほうからぶつた切
つて
しま
つて
、そうしてこうこうこういう形でやれと
言つて
も、そういう或る絶対要請を受けましてこれをや
つて
来たので気の毒な面があり、特に私ら今まで保利さんのことばかり随分非難しておりましたが、成るほどいろいろだんだん聞いてみると、保利さんは相当努力してみたんだが、これはどうしようもないところにまで
農林省
が押込められて来て、だけれ
ども
、それを受けたときにはすでに
農林省
が責任があるので、政府自身がもつと
予算
案の問題、
法律
案の問題、それから新憲法に対するところの解釈、それから立法府と行政府との
関係
、こういう
関係
を統一的にまとめて来て、ここで以ていろいろ説明しないと、今の水産庁の長官のような非常な使わなくてもいいような二枚舌、三枚舌を使わなければならないことになると思うのです。
水産庁長官
が悪いのでなくて、根本がはつきりしていないのであ
つて
、この問題はやはり我々が個々の問題として具体的に政府が出したものだから、これは検討を加えていますけれ
ども
、最後にやはりぶち当る問題はこの問題だと思うのです。それが今のようなやたらに時間をつぶして答弁さえしていればいいとい
つて
も、これは時間を無駄につぶすだけであ
つて
、而も悪慣例を今回これで以て残して行くと、将来こういうことがやたらになされて、而も行政府というものが立法府を無視して、一片のこの
水産庁長官
の通達なるものによ
つて
法律
は破壊されておるというような形においては、立法府の権威というものは保てなくなるのです。そこで行政府と立法府とのここに対立が来たので、ここらで少し水を入れて、しつかりこの行政府のほうでも頭を冷やしてから、理念統一をや
つて
ここに出て来なければ、このままで行けば正面衝突になる危険性があるから、その辺をどうぞ衆智を集めてまとめた見解を出し、そうしてここに臨んで説明をしてくれないと、だんだんこんがらか
つて
来るばかりで、枝葉の道へ入
つて
私はとめどがなくなると思うのでありますが、それに対して政府側の御見解を承わりたい。
保利茂
70
○国務大臣(保利茂君) 頭を冷やすまでもなく、(笑声)先ほどからの御論議の課題になりましたのは、
水産庁長官
から出しました通達の問題、これはすんなり考えて頂きますれば、相当問題のある
法律
案ではあるが、併し一面
予算
措置はこの
法律
案に即応して
予算
措置をと
つて
ある。その
予算
は
成立
しておる。それから衆議院においても相当論議はありましたけれ
ども
、ともかく修正可決にな
つて
当院に回付されておる。当院で相当の審議に時日を要するであろうことは何人も考えますけれ
ども
、併しながら、先ずそういうふうな経過からいたしまして、何とかの結着は当院において付けて頂けるだろう、その間において行政当局者として
関係者
に迷惑をかけて加入させた、それはすぐ取消さなければならん。或いは失効するというようなことになることは、これは
関係者
に対していやが上にも迷惑をかけて行くことになるから、どうかできるだけ迷惑をかけることが少いようにという配慮から、こういう措置をとつたのでありまして、この措置は私は行政当局者としては或る場合には当然やらなければならん措置ではないか、それが当否はこれはもういろいろ御意見があろうかと存じますけれ
ども
、私といたしましては、この措置をとつたことが先走
つて
おるというようには私は考えていないわけであります。
小笠原二三男
71
○
小笠原二三男
君 いずれ、さつきから扱いをお願いしておるのですから、
委員長
のほうで……。
松永義雄
72
○
委員長
(
松永義雄
君) ちよつと速記を止めて下さい。 〔速記中止〕
松永義雄
73
○
委員長
(
松永義雄
君) 速記を始めて下さい。 本日はこれを以て散会いたします。 午後四時五十九分散会