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1954-04-06 第19回国会 参議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月六日(火曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松永 義雄君    理事            青柳 秀夫君            伊能繁次郎君            上林 忠次君           小笠原二三男君            武藤 常介君    委員            秋山俊一郎君            石井  桂君            榊原  亨君            三木與吉郎君            竹中 勝男君            三橋八次郎君            戸叶  武君            寺本 広作君            千田  正君            鈴木 強平君   政府委員    運輸政務次官  西村 英一君    運輸省海運局長 岡田 修一君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    建設政務次官  南  好雄君   説明員    建設省住宅局住    宅企画課長   前田 光嘉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○補助金等臨時特例等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松永義雄

    委員長松永義雄君) これより特別委員会を開会いたします。  補助金等臨時特例等に関する法律案を議題に供します。  先ず前回に引続き運輸省関係の審議を行いますが、政府から岡田海運局長が出席しております。第二十一条について御質疑のあるかたは御発言を願います。  ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて下さい。
  4. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この前も局長に伺いましたが、これがやつてもやらなくてもいいという程度修正のように、結果としてどうも考えざるを得ない、これは来年になれば又法律上は元に戻るのだという前提ならば、一年だけ開発銀行の犠牲で何とかして置けという程度法案にしかならないようですが、あなたの主張なれば、今の海運事業から言えば、こういう方向はとるべきであるという前提に立つておるようですが、将来の見通しについては、この開発銀行関係利子補給に関する調整というものはどういうふうになつて来るのですか。
  5. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 昨日も申上げましたように、外航船舶建造利子補給法では開発銀行利子補給契約を結ぶことができると、こういう規定でございますので、必ずしもその法律開発銀行利子補給契約を結ばなくても、法律違反とは言えないわけでございます。併しそういう法律があるのに実際上利子補給契約をしないということは、まあ法律を制定した趣旨に反する。従つて法適用潔癖性から言つて開発銀行に対しては二十九年度からは利子補給契約をいたさないことになつておりまするので、従つてここにこの二十一条を挿入して当分の間適用しない、こういうふうなことにいたしたわけでございますが、この当分の間が、これは一年になるか、二年になるか、ともかく政府として、開発銀行は国の機関であるからそれに政府利子補給をするという建前はおかしいという見解をとつて利子補給を停止したわけでございますから、従いまして、この当分の間というのは相当長く続くのではないか、実際の措置は昨日申上げましたように、三分五厘と六分五壇の差の三分は徴収猶予という形で、海運業者の現在の経営の苦しいところを緩和して行こう、こういうことに思つておる次第であります。
  6. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私わからんですが、委員長、これは衆議院のほうの修正はこの内容には何ら手が着いておりませんか。
  7. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 大変うつかりいたしまして申訳ございません。これは政府原案衆議院修正になつて、一年限りと、こういうことになつておるようでございます。従いまして三十年度予算の場合に、又開発銀行利子補給をするかどうかということが問題になるかと存じます。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで仮に国会意思は二十九年度限りだということであれば、当然三十年度からはそのときの政府が何らかの考慮を払わない限りは、現行法にもとることになるわけですが、それで二十九年度は大体開発銀行に対する利子補給をするとなれば、その経費は幾らになるのか、又例えば開発銀行のほうでは、その利益金の中から国庫納付する状況があるとすれば、それらの見込まれる金額はどの程度出て来るのか、その辺のところをお話願いたい。
  9. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 当初開発銀行に対して一分五厘の利子補給をいたすといたしました場合の、まあ二十九年度の所要額でございますが、それは大体十億九千万円程度であつたと思います。これは一分五厘です。これはそのときは大体開発銀行で五分まで、開発銀行自体で下げて三分五厘、その差の一分五厘を利子補給、こういう関係予算を算出をいたしましたところが十億九十万、ところで今度開発銀行で六分五厘に下げて三分五厘、その差三分を猶予するということになりますと、大体その倍の約二十二億近くが徴収猶予ということになるわけです。ところが開発銀行ではすべてそれは徴収が困難なものとして、二十九年度の予算作つておられる、かように承知いたしております。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この間開発銀行総務部長ですか、参考人として呼んだ場合で、開発銀行としては、むしろどつちにどうなつても大して困らない、結局政府助成がないときには開発銀行が国に納めるほうの金を猶予してもらう、そして操作すればやつて行けろというような話でしたが、そういうことはこの二十一条の法案を提出する場合に、政府開発銀行との間に正式な取極めがあつたわけですか。
  11. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 先ほどお話申上げましたように、この二十九年度の予算をきめまする場合に、開発銀行には利子補給をしないで開発銀行自体で賄う、こういうことがきめられました。これはまあ形式的に整えるために、この二十一条の規定が今度の法律に挿入されたわけであります。従いまして二十九年度の予算が決定されました場合に、開発銀行自体でまあ六分五厘にして、三分は徴収を猶予するという話が政府開発銀行との間に話合ができたわけでございます。開発銀行の二十九年度の予算と申しますか、資金運用計画もそれによつて組まれておる、かように私どもはみております。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから補給しないというほうは開発銀行も了解しておるわけですが、補給はしないが、その代り国納むべきほうの金は納めなくてもいい、猶予する、そういうような取引があつたのかどうか、そういうことなんです。開発銀行のかたの公述では、利子の取立を船会社に猶予する分、開発銀行資金操作はやはり影響を受けるけれども、国に返すべき金というものは開発銀行にもある、それを返さなければやつて行けるのだ、返さないことになつておるのだから、どつちになつてもかまわないのだ、こういうような話があつたわけであります。だからそういう関係話合があつたのかどうかということをお尋ねしたい。  それから予算の決定と言いますけれども、それは国会でとやかくいつも言うておる予算ではないようですから、それで政府考え方を明確にしておいて頂きたいと思います。
  13. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 開発銀行で今度こういう措置をとりましたがために、開発銀行の国庫への納付金を減したかどうか、これはちよつと私どもよくその間の事情を存じません。一つ大蔵省のほうから御説明を求めて頂いたらどうかと思います。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは話を進めまして、今まで第九次の造船をやつておるわけですが、第十次以降のそれについては、今の段階では政府としてどういうふうなお考えを持つておられるのですか。
  15. 西村英一

    政府委員西村英一君) 第十次につきましては、百八十五億の予算を以て只今進めたいと思つておりますが、いろいろなことで非常に遅れておるわけであります。併し私たちの運輸省の態度といたしましては、二十八年に四カ年計画を作りまして、百二十万トンの計画造船をするという線を成るべく壊さないようにして行きたいと思つておるわけであります。併し大体その線に沿いまして、例えば海運業者或いは浩船業或いは又金融関係等につきまして、いろいろ今意見を聞いておる最中でございまして、成るべく早くまとめたいと、かように努力しておる最中でございます。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その際にいろいろな今までの経緯に鑑みて各種の批判を取入れられておやりになるでしようが、大筋としては国民の疑惑を受けたいような手続と方法を以てこれを実施しなければならんだろうと思いますが、そういう基本的な対策については御検討になつておられるのですか。
  17. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 十次造船を進めて行きまする上におきまして、一番問題は船会社資産信用状況が布中銀行融資対象になり得ないほど悪くなつておる。これは市中銀行だけではなしに開発銀行自体銀行という性格であります。海運融資対象にできない、こういうところまで行つております。一方造船所状況をみますると、もう六月になりますと、大型の船台五十七のうち五十二までがあいてしまいまして、非常に大きな労働問題或いは社会問題になりますが、私どもは何とか危機を切抜けて、早く十次造船の実施をするように取運びたいというので、只今政務次官から話のあつたように、いろいろ各方面の意向をたたき、協力方を求めておるのでございますが、その市中銀行或いは開発銀行協力を求める前提といたしまして、今後の海運あり方、それから造船の政策のあり方、こういうものを検討しなければならないというので、その面の検討を行い、又経済閣僚の間でも懇談を願つたりしておるわけでございます。その問題点といたしましては、日本の海運業者が非常に多い、これがお互いに競争して経営の安定を欠いておる。こういう面についての経営安定策をどうするか、こういうことです。それからもう一つ市中銀行開発銀行融資対象になり得ないような今日の海運会社経理状況からして、今後どういうような形でやつて行くか、例えばたびたび意見の出ておりますような、もういつそのこと国が造るというようなところまで進むかどうか、或いは国が造るというまでに至らないまでも、何か市中銀行なり、開発銀行協力し得るような方策がないか、こういうことを今いろいろな方法をいろいろな見地から検討をいたしておるのであります。そこで速急に目度を付けまして、今疑獄進展途上でありますから、この途上でなかなかそれに取組み得ませんが、一応疑獄が一段落つけば、すぐにでも発足でき得るというようなところまで持つて行きたいというので、必至の努力をいたしておるのであります。今日ここで、然らばどういう方向に行くのかという具体的な案を申上げるところまで至つておりませんが、今申上げたような次第でございます。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これはちよつと問題になつた点なので、海運局長として答えづらいことだと思いますが、実は昨日の緊急質問に関する石井大臣答弁があつたわけですが、その点について私も昨日委員会質問の途中やめてしまつたので、ちよつとだけお尋ねしておきますが、局長は昨日、それらの問題は検察庁としての取調べの結果明らかになると考えるので、まあ立場答弁したくないというお話でありましたが、成るほどその点は一応そのお立場に立てば御尤もな御意見だろうと私は率直に考えますが、ただそういう問題が起つたときに、お亡くなりになつた御本人が非常に苦慮せられて、而もその苦慮せられておる内容自分自身の問題に関したことではない。そういう状態でああいう不幸な事態を見るようになつたということは、私はやはり監督者と申しますか、上司にも責任があるのではないかというふうに考えております。従つてそういう本人遺族等に対しては、それぞれ十分なお手当をなさるでしようが、自分意思で自殺したかたは、まさか公傷によつて死亡したという取扱いもできないでしようが、その後管理者立場にあるかたがたは遺族等に対する措置はどういうふうにせられたのか。又犬養法務大臣説明によると、検察庁当局取調べ参考人としての取調べで、調整部長饗応、宴会のそれらについて取調べたというのですが、そういう機会調整部長というような職にある人においてあるような、そういうチヤンスが相当回数あるような、そういう何と申しますか、公務員としての行動をしておられたのかどうか、この点だけは立場局長からお伺いしておきたい。
  19. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 雛田英夫君の死は私どもといたしまして深く深く責任を感じておるところでございまして、私どもといたしましては、本人が死の直前まで心にとめておりました遺族に対しまして、私どもまあ非常に微力ではございまするが、私ども考え得る限り、力の及び得る限りの措置をいたしたいと、かように考えて目下その計画考慮中でございます。まあ役所のほうの退職金その他の処置につきましても、できるだけの有利な方法考えて頂きたいということを上司のほうにお願いしておるのでございまして、私どもといたしましては、本人があとに心を残すということのないような措置を十分にいたしたい、かように考えておるのでございます。私といたしましては、雛田英夫君の死に対しまして、もう心からなる責任を感じ、如何ようなる処分をも受ける考えでございます。なお、調整部長が、まあいろいろ饗応その他のために雛田君にかかわり合いを及ぼしたということでございますが、これも目下調整部長検察庁取調べを受けておる最中でございまして、私どもから余り申上げることは如何かと存ずるのでございまして、一つこの点に対する答弁をお許し願いたいと存じます。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の御答弁では、如何かと思われるそうですが、部長上司である局長として、部下の者がどういう行動をしておるかということがわからない、或いは信頼がおけないという状態ではなかろうと思います。それで私としては、そういう事実を知つているのか、知つていないのか。局長としては与り知らないことなのかどうか、その点をお尋ねしているわけです。上司として……。
  21. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) それらの点は只今申しましたように目下取調中でございますから、一つ答弁を御勘弁願いたいと存じます。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は昨日の緊急質問で、犬養法務大臣でさえもが、こうこうこういう事実をその課長補佐であるお方にお尋ねしたんだということを、国会の本議場を通してさえその内容答弁しておるのです。で、私はその内容については検察当局がいろいろな角度から追及せらるるということは他に関連する事情もあつて追及されておるのだろうと思うのです。私はそういう意味の追及をするのではない。私のお尋ねするのは、そういう事実があつたかなかつたかということを、上司であるあなたが監督者立場にあつてお知りになつてつたのか、なかつたのかということをお尋ねしているのです。それでその点については検察当局にお任せしたい。私は知つておるとも知つておらないとも、そういう弁明はしたくない、こういうことなら私は又私ら議員立場に立つてお尋ねしなければならん点もある。私は監督者立場に立つて局長はそういうことについて御承知があつたのかなかつたのか。どこでどうしたなんということは私も知らんし、そんなことを聞こうとは全然思つておりません。
  23. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 先ほどから申上げまする通りでございまして、一つこの問題は今取調最中でございます。むしろ私はそのお取調べなつ法務大臣司法省方面から一つお聞き願いたいと存じます。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 局長のそういうふうにおつしやられる立場十分諒としないわけではございませんけれども、少くとも昨日のようなああいうことが法務大臣から御説明があれば、一般公務員、而もその公務員のうちでも幹部職員である方々は、そういう機会がままあつて、いろいろ業者との附合いもつておるのだなというふうに、それは一般としては考えられるだろうと思う。だから私としては打消してもらいたかつたけれども、その打消す言葉がないということであれば、これはもう止むを得ません。これ以上この問題についてはお尋ねいたしません。ただ本題に戻つて、最後にお尋ねすることは、あなたはこの開発銀行に対する利子補給については、衆議院修正で一年きりになつたことを御承知なくて、当分の間というのはいつまで続くかわからんというお話でしたが、一年きりだとなつた場合、来年度又時の政府が何らかの措置をするであろうということですが、それも御尤もです。けれども海運行政を担当する当局立場としては、来年度どうしたいというお見込みであるか、この点だけは聞いておきたい。
  25. 岡田修一

    政府委員岡田修一君) 実は先ほども申上げましたように、もう造船に対する融資につきましては、開発銀行という性格では融資できないのじやないか。だからむしろまあ開発銀行は成るほど国家機関でございますが、銀行としての性格融資をしておられる。ところがもう担保もありませんし、貸したものもなかなか返らない。で、三十年度以降は開発銀行とは違つた機構、これは政府の金を融資するものになりますか、或いは政府と民間が共有するものになりますか、或いは政府自体作つて、その船を保有する機関になりますか、とにかくそういうふうな機関考えて行きませんと、三十年度以降はもう船が造れないのじやないか、かような考えを持つておるのであります。これはまだ政府考え、或いは運輸省考えというのじやございませんので、私どもずつと海運を見つめて来ておる者、造船考えて来ておる者の、或いは私見というふうにお考えつていいまだ段階かと思つておりますが、そのような考えを持つている次第でございます。従いまして、三十年度以降は全然別途の考え方で進まして頂かなくちやならんじやないか、かように考えております。
  26. 松永義雄

    委員長松永義雄君) ほかに御質疑ございませんか……。ないと認めまして次に移ります。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  27. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて下さい。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この地方鉄道軌道整備法というのは昭和二十八年にできた法律ですが、それまでの間はこういう手当をしておつた地方軌道というようなものはなかつたのですか。どういうふうな経過でこういう法律が出て来たのか、事情を先ず承わつておきたい。
  29. 植田純一

    政府委員植田純一君) 地方鉄道軌道につきましては、随分古くから国家的に助成方法を講じまして、そうして発達をして参つたという歴史を持つておるわけでございます。その沿源を申上げますると、非常にまあ長くなりますので、その古いことは省略いたしまするが、この終戦直後まで地方鉄道補助法という法律がございまして、この法律に基きまして、全国的にこの鉄道助成をやつてつておりましたのでありますが、これが終戦昭和二十二年になりましてこの法律は一応何と申しまするか、補助を打切ることになつたわけでございます。その地方鉄道補助法という法律のものが実は生きておつたわけでございまするが、その補助期限昭和二十二年で打切つたような恰好になつております。ただ北海道に関しましては、北海道拓殖鉄道補助法というのがございまして、この北海道のいわゆる開発のために北海道鉄道に、私鉄に関しましては特にこの営業開始から一定期間一定補助を出すという趣旨でございます。これによりまして北海道鉄道普及発達図つて開発を図つて行く、こういう趣旨でございまするが、この北海道拓殖鉄道補助に関する法律というのが、その後もずつと引続き効力を持つてつたわけでございます。従いまして終戦前までは全国的にございましたが、終戦後は北海道に関してのみそういう補助法律があつたというのが現状でございます。ところがこの私鉄につきましては、もともと全面的に補助されるという趣旨もそこにあつたわけでございまするが、産業開発目的で、産業開発のために地方鉄道というものが、国鉄のみならず、非常に大きな役割を持つておる、こういう鉄道助成をいたしまして、そうしてその国の産業開発を図るという趣旨でございますので、北海道のみならず、内地におきましても特殊の鉄道つきましては、そういう必要があるということは、その後におきましても、その事情は同じようにあつたわけであります。又最近の状況におきまして、自動車がまあいろいろ発達して参りました。そのほか僻陬地におきましては、この輸送量が比較的少いために運賃も相当、殆んど限度まで上りましても、どうも経営維持困難なものがあちこちに出て参つております。勿論この維持困難なものはこれを廃止する、事実廃止しておりますところの地方鉄道もございまするが、これを廃止いたしましても、何か代る交通機関で置換えられるわけであります。或いは又その地方に大して大きな影響も及ぼさないというようなものにつきましては、まあ大した問題はないのでございまするが、地勢やその他の関係で、どうしても鉄道でなければ十分な交通目的を達することができない、かような鉄道も実はございまして、一面におきましてはなかなかその経営上も困難である。が併し一面においては、どうしてもこういう鉄道維持地方民生の安定のために図らなければならんというような鉄道もございまして、こういうような鉄道につきましては、是非何らか国家的の助成によりまして維持を図らなければならんというふうな事情もございまして、実はこういう法律の必要が特に痛感されておつたわけであります。どういう鉄道がそれの対象になるかと申しますことは、この整備法の第三条にございまするが、例えば鉄道では第三条に三つ上つてございまするが、  一 天然資源開発その他産業振興上特に重要な新線  二 産業維持振興上特に重要な地方鉄道であつて運輸の確保又は災害の防止のため大規模な改良を必要とするもの  三 設備の維持が困難なため老朽化した地方鉄道であつて、その運輸が継続されなければ国民生活に著しい障がいを生ずる虞のあるもの  こういうものにつきましては、特に運輸大臣の認定或いは承認を受けたものにつきまして、一定助成をする、かような趣旨なつたわけでございます。なおこの法律ができまして、このうちの同じ趣旨に含まれておりますところの北海道に関します北海道拓殖鉄道補助に関する法律というものは、この法律ができました機会にこの中に吸収いたしまして廃止いたした、かような次第になつておるわけでございます。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしますと、これは大蔵省配付予算関係の資料で言いますと、二十八年度九百八十万五千円というふうな予算でございましたが、二十八年度というのは、要するに北海道拓殖法に基く北海道地方軌道補助をした金だけだ、こう了解していいわけですね。
  31. 植田純一

    政府委員植田純一君) その通りでございます。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから二十九年度予算としまして、本法が通過した暁は二千五百万円だと、こういうふうに予算が出ておるわけですが、従来の考え方で言えば、大体北海道分は一千万円程度、こうしますと他は内地の部分に振向けられて千五百万円程度というふうに常識的には考えられますが、二千五百万円と予算をきめた根拠はどういうところにあるのか、御説明願いたい。
  33. 植田純一

    政府委員植田純一君) 実はこの北海道鉄道におきましても、従来の北海道拓殖鉄道補助に関する法律によりますると、営業を開始いたしましてから一定の期間補助するということになつております。従いまして、その補助期限が切れますると、補助対象にならないわけでございまするが、先ほど申しましたように、いわゆるどうしてもその維持継続地方民生の安定のために図らなければならんという鉄道も今度対象にいたしましたので、その意味におきましては北海道鉄道につきましても、今度の法律におきまして新たに対象となるものもあるわけでございますが、大体におきまして、まあ御承知のように北海道鉄道以外の内地鉄道対象となりましたために、まあこう殖えたと御了承願つていいのじやないかと思いまするが、実はこの法律趣旨に従いまして、運輸省といたしましては予算の要求といたしましてはもつと相当多額を実は要求いたしたのでございます。併しながら今日の財政状態等から見ましても、又この法律趣旨から見ましても非常に新らしく補助を出すということにつきましては、かなり厳重に考えなきやならんということにつきまして、大蔵省は勿論そういう立場をとつておりますし、私どももそういう財政の現状から見まして、そう多くを望むこともできないということで、おおむねこの二千五百万円という大蔵省の査定に同意をいたしたような結果になつております。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、現行法で行けば二十九年度予算額としましては一億六百二十三万円必要であるという計算をされておりますが、無論運輸大臣の認定等があつて、それらのことがまだできておらないところからはりきりしないのでしようが、この数字だけは法律に基いて対象として予想される地方軌道を引抜いて来て、そうしてこの営業なり固定資産なりの状況から積算してこういう計数が出たのかと私は思うのですが、これは適当にやつぱり現行法通りの場合でも、お手盛でこれは計算した数字ですか、一億六百二十三万円という何か根拠がありそうな数字ですが。
  35. 植田純一

    政府委員植田純一君) 実はこの億云々という数字につきましては、実は私といたしましては説明できかねる数字なんでございます。これは大蔵省におきましても恐らく根拠のある数字だと存じまするが、私どもといたしましては、この数字は説明をいたしかねる数字でございます。と申しますのは、私どもの要求と、第一どういう鉄道対象にするかという対象において少し差がございます。従いまして、この対象において違います関係上、私どもの要求いたしました数字は実はもつとこれよりもまだ多い数字なんでございまして、予算査定上一定対象を想定いたしまして、それについての法律上の規定に基く数字がこの一億六百二十三万円である、かように存じております。従いまして勿論法律上の計算に基く数字であるということは確かでございまするが、その細部につきましては、運輸省といたしましてはちよつと説明いたしかねる数字でございます。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では運輸省がこの現行法を尊重して、そうして補助の条項を勘案して、事務当局としてその対象として選び出した地方軌道は幾つあるのですか。その補助の総金額が六%として幾らになるのかお示し願いたい。
  37. 植田純一

    政府委員植田純一君) 運輸省が一番当初に要求いたしましたのは、新線補助におきまして十九社、欠損補助におきまして三十三社、そのほか改良補助が五社でございましたが、合計におきまして要求額は約六億九千万円であつたのでございます。ところが運輸省といたしましても、実はこの中に例えば昨年の災害関係で被害を受けました会社、その災害の分も実は含んでおりまして、これはどうもやはり災害は災害で別のやはり措置が講ぜられましたので、これはそれも含めて要求するのは少し過当であると、こう考えまして、いろいろ検討いたしまして、その結果最終的に要求いたしましたのは、この対象会社も減りましたが、金額におきまして一億六百万円というものを最終的に要求いたしたわけでございます。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、六億九千万円と一億六百万円の差額は災害関係の資料だつたわけですか。それとも六億九千万という厖大な金を要求したわけですか。
  39. 植田純一

    政府委員植田純一君) いや、実はその点は、災害関係におきまして約三億五千万円くらいがあつたと思います。なおそのほかにおきまして運輸省のいわゆる要求におきましても、若干もう少し検討すべき点もあつたことも事実でございますが、そういうような関係を減らしまして一億六百万円ということにいたしたわけでございます。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうことにだんだんと聞いて来ると、この二千五百万円というのは何らの根拠がない、ただ財政全体の振合上一応割付けたお手盛の金額だとしか私たち認識できませんが、運輸省のほうではどう思つておるのですか。
  41. 植田純一

    政府委員植田純一君) 確かに何と申しますか、二千五百万円という数字につきましては、いろいろと財政上の事情で、どうしてもこの程度に落ち着いたわけでございますが、ただいろいろ折衝の過程におきましても、法律上のいわゆる限度一ぱいの補助ということが財政上どうしても無理であるというような観点から、大体二千五百万円ということも止むを得ないという観点になつたわけでございます。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは議員立法なんですね。国会意思として自発的にその必要を認めてきめた法律です。そして本年初めてこれが実施の段階に来ておる法律なんです。それが未だ実施もしないうちに政府のほうで勝手にというか、理由があつたと申しますか、直しにかかつて来ている、そして相当する金額というものを限度として直したということは、初めに二千五百万というお手盛の予算作つて予算に見合う形にして適当に金をばらまくために「限度として」という字句を挿入したということになつて来た、この立法の精神なり、趣旨というようなものは一切無視されたのだ、而もその議員立法として国会意思した意思が全然政府当局によつて無視された、こういうふうに今までのあなたの答弁によると考えざるを得ない、客観的に結論はそこに行くのですね。私はそういうふうに了解せざるを得ないのですが、いや、そうじやないということであれば御説明を願いたい。と言いますのは、あなたのほうで法律に基いてこれを実施するためには六億九千万円という金が必要である、而もそのうち災害関係が三億五千万円ばかりであつたというならば、少くとも三億四千万円というものは立法の趣旨から言えば出さなければならない金だ、ところがそれを出さない、やめましたというこの法律案ではない。」限度として」と入れて自由自在に補助の率なり、金額を削ることができるようにしてある、そうしたら、法律そのものが生きておつたところで、この法律を作つた精神なり趣旨というものは実際これは何と申しますか、骨抜きにされてしまう、こういうふうに考えざるを得ないですね。「限度として」ということであつて補助は打切つてないのだから法律は生きているのだと言つたところで二千五百万と六億九千万、少くとも災害関係を除いても三億四千万円とでは余りにも開きが大き過ぎる、でたらめな修正だと言わざるを得ない、けれどもこれは局長に聞いてもちよつと答えが出ないだろうと思うのですね。政務次官、でたらめじやないのですか、この法律は……。
  43. 榊原亨

    ○榊原亨君 関連質問先ほど局長お話を承わりますと、四月一日に私どもの手許に来ましたこの資料については、そこはどこかわからんところからやつているのだろうから、説明はできませんということを今おつしやつたのでありますが、それじやこれはあなた方責任を持たずに政府の資料としてお出しになつたのですか。政務次官にちよつとお尋ねしますがね。この運輸省の一局長としての答弁でなしに、政府委員としての御答弁をさつきから私どもは承わつているんでございますが、従いまして政府は一貫した思想統一の下にお答え頂きたいと私は思うのです。ところが先ほどからのお話を承わると、四月一日に出したこの資料は何もそれは私どもは知らないのだ、それは説明するものがあつた説明できるだろうという政府委員答弁に対しては、私ども与党としては非常に困ると思うのですが、思想統一をやつて頂きたい、どうなんですか、政務次官……。
  44. 西村英一

    政府委員西村英一君) 大蔵省から参考資料が出ているようでありますが、その点について運輸省の監督局長もまだ見ておらなかつた、こういうことを今言つたそうであります。思想統一、勿論大蔵省と会議の上に或いは予算もきまつたのでありますから、それで只今の小笠原さんの御質問につきましても、相当の金額とある、それだから結局その法律を遵法しますれば、運輸省といたしましても六分の金額に見合うものを要求するのは当然であります。併し法律では予算の範囲内、とこう謳つているものですから、そこで大蔵省と要求する側の我々との間にいろいろ折衝があるわけでございます。悶着があるわけでございます。或いは二つの矛盾を解くために相当の金額と言えば六分で要求しなければならんから金は大きくなるわけでございますから、それを「限度として」ということが予算の範囲内ということに見合うのではないだろうか、かような趣旨法律案の御審議を願つているわけでありまして、予算も又そういうことで組立てられて、皆様方の御協賛を得るように提出いたしましたわけでございます。このデーターの参考資料の問題につきましては、只今申上げましたように見ておらないというのですから、これは後ほど調べまして御返事を申上げたいと思います。
  45. 榊原亨

    ○榊原亨君 只今の政務次官のお話でよくわかるのでありますが、結局予算折衝というものはいろいろの段階があると思うのであります。その段階を一一ここにおいて幾らを要求したんだけれども、どうこうというのではなしに、最後の予算折衝において政府として一貫できましたその線に沿つて答弁をお聞きしませんと、いろいろなこの矛盾と申しますか、いろいろな差支えができて来ますから、一つその点を十分御考慮の上御答弁をお願いいたしい、こう私は思います。
  46. 植田純一

    政府委員植田純一君) どうも十分意を尽しませんで誤解をお与えいたしまして申し訳ございませんです。なお要求の金額につきましても、実は一番最初に要求いたしました額を運輸省自身といたしましても、まあいろいろと再考いたしました上におきまして、先ほど申上げましたように、運輸省といたしましても過当な点もまあありましたわけで、決してこの数字が自由自在になつたというものではなくして、いろいろ再検討いたしまして、そういうその過当な部分もよく検討し、又対象の会社につきましても、実はまあいろいろと議論があるわけでございますが、これは私どものほうでもよく検討いたしまして、当初の要求におきまして確かに過当であつた、過大であつたという点も認めまして、そういう要求会社につきましてもうんとできるだけ圧縮いたしましてこれは今日の財政状態から見まして当然そういう考え方で当初からあるべきであつたと、かような見地から極力圧縮いたしまして、そういうようなことになりましたのであります。今日そういう数字の異動いたしました点につきましては、さような事情でございますので御了承を頂きたいと思います。
  47. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも話がおかしくなつて参りまして都合がよくないのですがね。今局長は、最初の要求額は過大であつた、過当であつたと申しますが、過当とか、過大とかいうことは、補助の条件に合わないものまでぶち込んで大蔵省から金をとつてやろうと考えたものですか、それとも補助の条件には合うが軽いものまで相当織込んだ、だからまあその程度のものは我慢してもらうのだということでだんだん絞つてつたというのですか。過当であり、過大であるというような計画をあなたたち自身が立てるということはけしからんのじやないですか、どういうことなんですか。
  48. 植田純一

    政府委員植田純一君) その点は、そのことにどういう会社を対象にするか、この法の解釈の問題でございますが、この点につきまして実は当初まあ要求いたしました件につきまして、政府部内におきましていろいろ折衝もしたわけでございます。いろいろ折衝過程におきまして、いろいろとまあ議論いたしてみますると、成るほどそれは運輸省のいわゆる解釈と言いますか、その適用方におきましても無理もあつたという点は、実は折衝過程におきまして、まあ確かにそういう点も認めざるを得なかつた点もあるわけであります。それからいわゆる災害関係によりまして、いわゆる欠損が出たという点、これも欠損補助対象ではないかというふうに考えておつたわけであります。災害関係は災害関係といたしまして、御承知のように別途措置をする法律がございますので、これも一緒にするということは別途の災害補助に関する法律趣旨にも反するというふうに考えまして、そういう点も除外したと、かような関係になつておるわけであります。
  49. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあその点はその程度にしておきますが、一億六百万円というものはぎりぎりの最低線の最終の要求であつたか、そして出て来た予算法律改正によると二千五百万円、こういうことであなたたちがこの法律を実施して行くものの立場に立つて責任がとれますか、責任が持てますか、この立法の趣旨を貫徹することができますか。
  50. 植田純一

    政府委員植田純一君) 今日の財政状態におきまして、特に新規に補助をするということにつきましては非常に困難な事情であるということは私ども認めておりまして、極力この二千五百万円につきまして、この法の精神を生かして行くように処置して行きたい、かように考えておるわけであります。
  51. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 北海道の拓殖法によつて北海道分だけでも昨年は九百八十万円程度予算を見込んでおる。これは決算額はどうなつているかわからんけれども、大体は使い果しておるんじやないかと思うのですが、それが内地のほうまで範囲が拡がつて、而もこの補助の金というものは二千五百万しかない。やるならば一億六百万も必要であるというものが二千五百万になつてしまつたということなら、少くとも北海道の九百八十万という前年度の補助というものは、北海道において本年度減りますか、殖えますか。
  52. 植田純一

    政府委員植田純一君) 北海道拓殖鉄道補助に関する法律、その従来ございました法律によりますところの補助は若干減つて参ります。かような状態でございます。
  53. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 北海道では従来当てにしておつたものが減つて来る、内地のほうでは当然措置されようと考えておつたものが措置されない、一度もこの法律が完璧に動かない、そのうちにもうこの法律は直してしまう、こういうようなことでこの法律を実施するのに責任が持てるかどうか、聞かれたら持てないと、努力はしますといつても、金には限度がありますから持てないことだろうと私は思うのですが、政務次官如何ですか。
  54. 西村英一

    政府委員西村英一君) 法律は昨年二十八年度までは北海道補助金はありまして、北海道私鉄はそれによつて竣工ができたわけでございます。併し内地のはこの補助の政策がなかつたわけでございます。それでこの私鉄補助法を作りましたことによつて北海道が別に影響されるわけではございませんので、北海道は含めているわけでございまするが、自然に……。
  55. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 減るのだろう。
  56. 西村英一

    政府委員西村英一君) 自然に減つて来るわけなのでございます。それは補助をするために或る一定の年限が切れる、このために減るということであつて、そのために減るわけではない、内地鉄道といたしましては今まで全然補助がなかつた地方鉄道もその補助がないために潰れて行くというふうな状況を或る程度救うことができるわけでございます。その減るということにつきましては、補助の年限等がありまして、その整理をいたしたためであろうと私は存じます。
  57. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そう言つてしまうなら何も運輸省が一億六百万円を必要とするわけはない、何でそんなものを要求したか。
  58. 西村英一

    政府委員西村英一君) それでありますから、結局予算の範囲内ということと、その限度ということが睨み合いになるので、要求、相当する金額と言えば、そういうような要求になるから、予算との関係、又一方法律予算の範囲内ということを謳つているので、限度においてやろうということに直したほうが今後の運用上適当ではないか、かように考えておるわけでございます。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大体が予算の範囲内であることは、この種のものは初めからその通りなんです、あなたがおつしやる通りです。併し予算の範囲内というのは零円だつて予算の範囲内、一円でも予算の範囲内ですよ。そんなことを予想してこの法律が作られたとあなたはお考えになつていますか、あなたはこの法律をそういうことのために賛成したのですか。
  60. 西村英一

    政府委員西村英一君) いや、そういうことではありません。実質的に地方鉄道が、今まで補助のなかつた地方鉄道が若干の補助を得てそれだけの鉄道でも竣工ができると、減らずに済むということにおいて、その程度で満足するよりほかに仕方がなかつたということであります。それで若干の、この法律の或る程度目的は達しておると私は考えるのであります。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 少くともそうおつしやるならば、少いなら少いなりに二千五百万円というものがどう使われるか、限度としてあるけれども内容としては従来の百分の六というものをこれをどう直すとか、或いは補助の条件をどういうふうに内容的には規制して行くとか、そういう根拠があつて積み重ねて来た二千五百万なら、小さな金でも私は承認する、成るほど御尤もだと思うけれども、全然この二千五百万円というものの根底がない。基礎がない。お手盛なんです。初めからお手盛の二千五百万という予算を置いて、だから、仕方がなかんべえということで、「限度として」という修正をしたということだけはここのいろいろの質問によつて明らかなんです。それを嘘だとあなた強弁はできないはずです。嘘だというならば、二千五百万円は、今の場合にここを認定して、そうしてどういう会社の営業或いは固定資産というものはどこどこだから、これの百分の一・五にして計算をすれば二千五百万円になります。だから本年はそういたしますと、こうおつしやつて頂きたい、それがない限りは、これはお手盛ですよ。そうして勝手に財政の都合という名に隠れて、少くとも議員立法で、まだ日の目も見ないのに一方的にこういう修正を加えて来た。こういう客観的事実は否定できないじやないですか。それが嘘だと言うならば二千五百万円をどう使うのか、資料を出して頂きたい。
  62. 植田純一

    政府委員植田純一君) 勿論予算の二千五百万円という、その査定の基礎はこれはございます。ございますが、この実施上におきましては、例えば欠損補助というようなものにいたしましても、実行上におきましては決算を具体的に見まして、その上で各会社の具体的な数字はきまるわけでございます。予算査定上の基礎は勿論ございまするが、実行上の計画というものにつきましては、これは更に政府部内におきまして協議中でございます。さような状況でございます。
  63. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の局長答弁を聞いてもちつとも私は納得できない。さつぱりわからない。二千五百万円の内容があるというならば、どこでどうして……、同じ限度と言つてもこれは臨時立法ですから、特例ですから、今年度限りのものとして本年幾ら幾らの率を以て補助して行く、そういうような点を明確にして頂きたい。それがなければ何としても私の言う通りお手盛りですよ。そうして而も勝手に議員立法に手を着けて来た。端的にそう言わざるを得ないのですよ。政務次官の腹の中ではそう思つているんでしよう。ただ政府立場があるから、そうではないと言おうとしている。そんならそうでないということを立証するに足る資料を御提出願わなければならない。少くともさつき榊原君も言つたが、局長は、現行法で行つた二十九年度の予算額としては一億六百二十三万円というような数字が出て来たのだが、この根拠は何だと聞いたら、それは大蔵省のほうから出て来たのでわからないと言つているのですよ。わからないというような計数が出て来て、そうして二千五百万円について、それは査定はされたでしよう。客観的な事実です。お手盛であろうが、何であろうが、この金は二千五百万円ときめられた、そういう意味では査定されたでしよう。併しこの内容はわかつていますか。あなたのところでこの内容がわかつているはずなら、一億六百二十三万円というものも、大蔵省との協議で出て来た数字と見ざるを得ない数字ですから、従つてこの内容があなたにはわかつていなくちやならんはずなんです。
  64. 西村英一

    政府委員西村英一君) 大分その御質問に対する私たちのお答えがピントが合つておらないようでありますが、私は申しましたように、この法律を提出したのは「相当する金額」、こう言うと、今建設費、新線建設の場合は六分に見合う金で要求をしなければならない。併し一方又その法律の中には、予算の範囲内でやるということになつているから、そこで要求する側の運輸省或いは大蔵省との間にいろいろな疑義も起るから、それで「相当する金額を限度として」と、そういうことであります。それであなたのおつしやることは、六分に相当する補助という代りに三分にしたらいいじやないか、或いは二分にしたらいいじやないか、そういうことをはつきりその法律に謳つたらいいじやないかということでしようが(小笠原二三男君「いや、そんなことじやない」と述ぶ)そういうことじやないのですか。
  65. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そんなことじやない。この「限度として」という修正を加えるからには、限度としたならば、二十九年度の二千五百万円はどう使うんだという、その計画が私は出ておらなければ、いい加減なことだけ言つてることになるんだと、私の言う議論にそうではないということを立証するためには、二万五百万円というものはどう使われて、それは補助率は下げられる部分もあるでしようし、補助の条件となつているものから、抜かれる会社も出て来るでしようし、そういう具体的な計画もあつて、積算されて二千五百万円と出て来ていなくらやならない、こういうわけなんです、ところがそれがない。而も又一億六百二十三万という現行法通りで実施された暁の二十九年度の予算案というものが資料によつて示されているけれども、これは政府の最終的な決定なんですよ、資料ですから……。それについて当面の責任者である局長は御承知ない。この内容はどういう根拠によつて出て来たかということは御承知ないというのです。御承知がない。当面の責任者が御承知がない数字なら、これは結局大蔵省財政当局が、先ず先ずこの金のいわゆるあなたの言う予算の範囲内で、一応体裁を整えればいいのだということで、二千五百万をきめ、それに見合うように、「限度として」と法律修正して来たのだ、そう言わざるを得ないというふうに私は申上げている。だからそうではないというなら、反対に全部別つくり返して、そうして明快な御答弁を、この一億六百二十三万と二千五百万について内訳を御説明願いたい。
  66. 西村英一

    政府委員西村英一君) それは一一、二千五百万円と天降りに決定してそれを割当するのじやなくて、交渉の過程において積上げた数字でありますから、そのあれはわかつております。今持合せがあるかどうか知りませんが、提出してもよろしうございます。
  67. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この問題は議論の対象になることはわかつているのですから、あるならば、持合せがあるかないかというような、そんな準備粗漏なことではいかん、あつたらお見せ願いたい。あつた一つここで御披露願いたい。
  68. 植田純一

    政府委員植田純一君) 二千五百万円につきましては、勿論査定の基礎はございまするが、ここに……。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 二千五百万円の内訳については、資料があるから持合せておれば出すし、持合せてなければあとで出すような意味合の政務次官のお話ですよ。そういう意味合のものですよ、私の聞いてるのは……。
  70. 植田純一

    政府委員植田純一君) あとからそれじや提出いたしたいと思います。今のところはつきりした資料を持合せておりません。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ないじやないか、資料は……。今のところ持合せていないということは本省に置いているということじやないのですよ。まだ作つていないということなんだ、詳しいものは……。
  72. 植田純一

    政府委員植田純一君) いや、実はこれは大蔵省と折衝の途中でございますけれども、むしろこれは大蔵省のほうから提出して頂いたほうが適当じやないかと私は考えたわけでございますから、それで……。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 語るに落ちてるじやないか。
  74. 植田純一

    政府委員植田純一君) それで実は私のほうにもその資料はございます。ございまするが、私のほうから出しますににつきまして、更に打合せまして後刻出したいと、かように存じます。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 速記を止めて下さい。
  76. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  77. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて。
  78. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どういう会社にどういう補助をするということが積算されて出て来た数字が二千五百万だということを懇談中に政務次官がおつしやいましたが、局長その通りであるならば、その積算の資料をお出し願いたい。
  79. 植田純一

    政府委員植田純一君) 只今もちよつと申上げましたのでありますが……。
  80. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 余計なことは要らんからお出し願いたい。
  81. 植田純一

    政府委員植田純一君) それでは予算の査定の基礎になりました資料を提出いたします。
  82. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 積算されておるのですね、各会社……。そうしたらそういうものはあなたたち文書や何かで綴つてここへ持つて来ているでしよう、見せて下さい。
  83. 植田純一

    政府委員植田純一君) 実は又御質問に受答えするようでございますけれども予算の基礎となる数字は勿論ございます。ただ実際の認定と申しますか、認定会社の各会社の数字とかいうものは、これは最近の会社の決算を見なければ確定いたさないわけでございます。例えば年に二度の決算期を持つておりますものは、二十八年の下期と二十九年の上期とこの最近の一年間の実績を見まして、例えば九月期決算が多いのでありますが、九月期までの決算を見まして、その会社の実際の現実の決算を見た上で、この法律に当嵌めまして各社に幾ら補助を出すという数字が実はきまるわけでございます。
  84. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 きまつてないじやないか
  85. 植田純一

    政府委員植田純一君) いや、実は北海道の従来の補助もそういうやり方をしておつたわけでございます、具体的には……。勿論予算折衝におきまして、いろいろと予算のきまりました基礎になる計算の根拠は勿論ございます。ございますが、実際に数字が確立いたしますのは、そういう会社の業績をはつきりと見まして、その収支決算を見ました上でないと確定いたさないわけなんでございます。従いまして実は一般的にはこの予算の基礎になります数字は申上げられるわけでございまするが、併し具体的にどの会社が幾らということは、ややもすればこれは誤解を生じやすいわけなんでございます。例えば赤字会社におきましても決算期におきまして、仮に何と申しますか、数字が我々の予想しておりますのとはそう大して違いませんが、勿論若干の狂いはございます、決算におきまして……。そういう場合におきましては、勿論数字が変つて参るわけでございます。そういう意味におきまして、具体的ないわゆる会社別の実行計画というものは、これは従来の例で申しましても、年度の後半に実はなるわけであります。そういう点をお含みの上でございましたならば、この予算の基礎になりました根拠は勿論あるわけでございます。併しこれを余り公表するのは如何かというふうな感じはいたしておるわけでございます。
  86. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私も実際の場合はそうなつて行くと思います。概算払なり、或いは最終的には清算するというような方法はとられるだろうと思います。併し政務次官がおつしやるように、そういう意味合でなくとも、この限度として二千五百万円を査定されるに当つてはどういう会社が少くとも対象となりそうだ、又それらの金額は過去の決算等で調べて見ればどの程度を必要とするようだ、従つて少くともこの程度の金額は必要である、そういう資料が政務次官に言わせればあるというわけだ、だから私は清算額を聞いておるのじやない、きちつときめたものを聞いておるのじやない、どことどことどこが、大体二千五百万円において何社に対して大体こういう方面のことを主とした補助をしなければならん、そういうふうなのがずつと出ていなくちやならん、こう思うわけなんであります。そういうものをお示し願いたい、こういうわけなんです。
  87. 植田純一

    政府委員植田純一君) 勿論今御指摘のような資料はございます。従いまして、その資料は提出いたしたいと思います。
  88. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それから一億六百二十三万についてもありますか。
  89. 植田純一

    政府委員植田純一君) これは実は二千五百万円につきましてはございますが、一億云々というのにつきましては実は私の手許にはございません。
  90. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これは大蔵省というものは非常に勝手なところで、自分自分のほうで計算をし、運輸省のあずかり知らざることとして、そうして国会にこういう資料が政府の提出の資料として出て来るのですか。まあそういう仕組みになつているならなつているで結構です。まあ結構です。
  91. 松永義雄

    委員長松永義雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  92. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて下さい。
  93. 西村英一

    政府委員西村英一君) 打合せまして後ほど御返事いたします。どうぞ御了承願います。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今日は運輸省はこの程度でまあ保留しておきます。
  95. 松永義雄

    委員長松永義雄君) それでは運輸省に対する御質疑はございませんか……。ではこの程度にいたしたいと思います。  次に、建設省関係に移ります。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  96. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて下さい。  政府から建設政務次官南好雄君、それから説明員として建設省住宅局住宅企画課長前田光嘉君が出席しております。説明員説明に対して御異議ございませんか。    〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕
  97. 松永義雄

    委員長松永義雄君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  98. 松永義雄

    委員長松永義雄君) では速記を始めて下さい。  御異議ないと認めます。では質疑に入ります。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国としてこの住宅問題は非常に大きな問題であると考えますが、現在住宅金融公庫法等の一部改正等によつても住宅問題で一番悩み通されておる宅地等の問題を解決しようと政府は努力しておられる。にもかかわらず、こつちのほうはこの公営住宅法では二分の一とあつたものが以内という修正になつて、少くとも修正の意図は二分の一以下の補助にしよう、こういうような考えに立つておると思うのですが、私としてはその間矛盾があるのではないかというふうに考えられるのですが、その点どんなものなんですか。
  100. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。大蔵省が今後補助金等を整理する方針を当初におきまして私拝承いたしましたときには、小笠原先生も御承知通り、たしかこれは建設委員会でも御説明申上げたかとも存じますが、重複したらば御了承願いたいと存じます。何でも大蔵省の考え方は、不特定多数の人の利益を目的とする場合には現在のようないわゆる補助の方針で行く。で、最後はもう一つは特定の人か、或いは特定の財産に対する結局のところその利益になつて行くようなものについては、或る程度第一のものよりも差を付ける、こういう趣旨で国の補助金等を整理するのだ、こういう方針を聞いたのであります。で、考え方といたしましては、いろいろの議論もございましようが、一応の筋も通つているように思つたのであります。例えば道路、港湾或いは河川というような不特定多数な、つまり公共の色彩の強いものについては現行補助率で行く、住宅につきましても、公営住宅などは、これは個人の結局財産になるわけでもないのでありまするが、住んでいる人は特定の一人だ、それから或いは農地のごとく、いろいろ公共の目的は持つているが、帰するとこうは個人の財産になつて行くというようなものについては、道路、港湾、河川と同じような補助率ではどうであろうか、こういう意味で差異を付けるのだ、こういうことを開いたのでありまして、その際におきましてはいろいろ議論がございましよう。見方によつてはいろいろの議論が勿論出て参るのでありまするが、国家財政の現在において一兆円予算というようなものも組まなければならない際においては、建設省の立場といたしましては、いろいろ言いたいこともやまやまあつたのではありまするが、大蔵省の考え方についても全然筋が通つておらんということもないのじやないか。然らば、まあ今まで五割のものを四割にするについても、これは辛抱しなければならんのじやないか。国家財政がもう少し余裕ができる場合においては速かに元に戻るが、国家財政が今日のような状態においては、従来の五割を四割にすることも万止むを得ない、こういう立場において大蔵省の方針を、この分についてのみ止むを得ざる仕儀といたしまして了承いたしましたような次第でございます。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、建設当局としては大蔵省のやつたことを止むを得ざるものとして了承したということですから、建設省としては腹からこういう法案には賛成したわけではないというふうに聞えて来るわけですが、その点はまあ大変結構な答弁で聞いておきたいのですが、さてこの政令で定める第一種公営住宅というのはこれは何を指しておるわけですか。
  102. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 小笠原先生、私より或いは詳しいのじやないかと思うのですが、これは二十九年度からやりまする高層建築三百戸分を指すのだそうでございます。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは「二分の一以内」ということになれば、二十九年度はどれだけの補助率になるのですか。
  104. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 先ほどお答え申上げましたように四割でございます。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういうふうに確定しておつて期限付の特例法であるなら、なぜこれをこの法文でその内容を明確化しないで政令に委ねるのですか。
  106. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。衆議院において直りましたので、ちよつとおかしく或いはおとりになられたのかとも存じますが、原案は「当分の間」ということになつております。そういたしますると、私たちの考え方は国家財政が速かに元に戻れば二分の一に持つて行きたいという希望を持つております。国家財政が現在のようであるならば万止むを得ない、こういうことで四割にいたしたのでありまするが、「当分の間」というのは非常に不明確な言葉でありますが、五割になることもあれば、これはいい場合であります。もつとひどい場合には或いは三割になることがあるかも知れない、こういう意味でそこに大分ゆとりを持たして当分の間二分の一以内ということに私たちは同意したのであります。併しまあ補助金のようなものは、毎年三割になつたり、四割になつたり、五割になつたり、二割になるというようなことは、これは実際理窟の上にはありまするが、具体的の場合には四割にいたしますればその四割がずつと続くので、本年のような特殊の事態が発生しなければ、なかなかそれが下つたりするようなことは実際の行政の状態から申しまするとあり得ないのであります。ただ法律の上においては五割にすることもできれば、或いは三割に万止むを得ずなることもあるというので、当分の間二分の一以内、これは昔の法律は皆こうなつてつたのでございますが、戦争中立法府できめることはあいまいなのはいかん、はつきりしたはうがいいというので二分の一というふうになつたと聞いております。考え方としては私今言つたようにはつきりしておつたほうがいいと思うのですが、場合によつては一々立法の改正の手続をせずに或る程度国家財政と睨み合せまして、御了承を得ますならば、動かし得るような形にしておいても条文においては差支えないのじやないかというような気もいたすのであります。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政務次官は学のあるところの一端までお示し頂いて御答弁つたのですが、そうなれば私は逆に今くらい法律が尊重されないときはないということを指摘したいのです。直したいと思うと、事ごとに実施しておろうがおるまいが逐次法律を直して来る。そういうことから考えたら、この高層住宅四割にするという意味法律規定をしておいても何ら差支えがない。次々と都合によつては直して来ればいいと考える。従つて政令に委ねるということは、この第一種公営住宅といつてもその内容は高層住宅だけでないのだから、財政の都合によつてはこれを拡大して、政令できめる場合も起り得るでしようし、四割というのが三割、二割になる場合もあり得る。政府部内だけで勝手に操作ができるという都合を、便宜を考えて、こうしたのではないかという疑点が私にはあるわけです。そういうことは絶対ございませんか、心にも思つたことはございませんか。
  108. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。御承知通り、この法律の原案は大蔵省が作つたのでございまして、終りになつて我々も共同参加したのでありますが、大蔵省の思惑をここでとやかく何と申しますか、考えますることはどうかとも思うのでありまするが、それほどまで立法府と申しまするか、又勝手にいじることができるためにこういう法律にしたと、私は大蔵省に対しても成るたけ思いたくないのでございます。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では建設省としては絶対高層住宅以外にこうした四割という補助率の適用を拡大して行かないと言明できますか、或いは四割以下に補助率は下らないということも言明できますか。
  110. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 少なくとも私たちが住宅政策というものを考えておりまする限り、はつきり申上げますが、そういうことはいたしたくないと考えております。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いたしたくないと考えているあなたちが思つている法律でも、大蔵省から止むなく押付けられたら、さつきの答弁のように、こういうふうな修正が出て来るのですから、建設省当局がそういうことを幾らお考えになられても、大蔵省から押付けられて来た場合には、それは阻止できないのじやないですか。そのことをこの法律案そのものが立証しているのじやないですか。
  112. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。最初小笠原委員の御質問に私お答え申上げましたように、考え方については全然筋が通つていないわけではないのだ、結局何と申しまするか、公共性の強いものについては現行補助率で行くんだ。それよりもやや公共性の薄いものについては補助率を低くしてもいいのではないかという考え方につきまして、特殊高層建築のようになつて参りますると、構造その他につきましても、今の世間の常識では庶民住宅の小さいものから見ますると高級とも考えられるのでございまして、そういうものについては他のものが五制でありますならば四割でもいいではないかという、つまり何と申しますが、建設省といたしましても、国が十分できるならば五割で行きたいが、どうしてもできないとするならば、何を先ず補助率を下げなければならんか、こういう点で勘案いたしまして、第一次公営住宅に持つてつたわけでございます。そういう趣旨がございますので、今日以上に国家財政が窮迫いたしましたり、或いはそのときどうしてもやらなければならんような事情が突発いたしますれば別といたしまして、現在のような情勢におきましては、少なくとも現在の住宅に対する世の中の考え方が変らん限りにおきましては、私はこの補助率がそう減つてつたり、或いは第一種公営住宅が第二主公営住宅に政令で変るというようなことは、私は到底まあ今のところでは考えられない。又それほど建設省も、何と申しますか、住宅政策を軽く見ておらん、こう申上げたいのでございます。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この高層耐火住宅というのは何階以上を指すのですか。
  114. 南好雄

    政府委員(南好雄君) まあいろいろ考え方はございましようが、事務当局考え方は、七階以上十二階ぐらいを高層建築と考えたいと、こう言つております。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、六階以下は二分の一補助、従来のまんま、七階になると四割補助、こういうことになるわけですか。
  116. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 当然そういう御質問が出ると思つておりまするが、今何と申しまするか、建設省の事務当局案、それから大体大蔵省あたりとも十分了解を得ておりますのは七階以上を作ることにしております。従つて六階以下を作つておりませんから、又作る方針でございませんので、理窟は確かに、そういたしますると、或いはそういう小笠原さんの御質問のような疑念が出るかとも考えますが、将来も特殊の事情の発生せん限りにおいては七階以上のアパートを建てることになつております。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたが最初御答弁なつた大蔵省の言い分も御尤もであるという点も考えられるという内容として、不特定多数のもの云々という議論でございましたが、現に四階建のものも不特定多数の者に利用されるものである、七階以上もその通り。論理的にそれが四割と二分の一と区別せられる。その理由は財政の都合ということ一点にだけかかつているとしか我々は考えられない。そういう七階という高層建築と四階という建物とで、その性格性質が四割と二分の一に変る根拠理由をお示し願いたい。
  118. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。私先ほど大蔵省の方針をと、こうお答え申上げたのでありまするが、先にも申しましたように、これは衆議院においてもそういうお叱りを受けたのでございますが、大蔵省の説明で、アパートのようなものは高級だと、こういう説明をして、非常に委員の方からお叱りを受けておつたのも聞いておつたのでありますが、普通今の世間の常識では、建設省が今考えておりまするような七階以上十二階見当のそういう高層建築と申しまするか、これは高級でありませんが、高層建築は、他のいわゆる公営住宅のように十五坪とか、十坪とか、そういう小さなものからいたしますると、やや高級のように見られる。そういうような場合には、方針といたしましては公共性が比較的薄い、帰するところは個人の財産になるという、農業の場合の農地というような場合と比較いたしまして、それとそれから現在のいわゆる住宅政策の持つている重さ、こういうものを勘案いたしまして、建設省といたしまして、若し万止むを得ず大蔵省の方針に政府といたしまして協力するためには、どういうものがいいだろうかというので、こういういわゆるモデル・ケースではございますが、高層建築というようなものについて、まあ他のものが五割であるならば四割でもいいではないか、こういう趣旨で、これも国家財政が許すならば、今日の住宅事情から申しますならば、土地の有効利用という点からも高層建築必ずしも贅沢ではないのであるまするが、併し世の中の常識上、七階、十階、十二階というようなアパートを作つて、これが庶民住宅、これが公営住宅であると言うのには、まあモデル・ケースではございますが、少しどうかというような議論もございまして五割のものを四割にした、こういう点で一つ御了承願いたいのでございます。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 少しどうかと思うけれどもとか、何とかということではちつとも住宅政策として一貫していない。私はどうしても腑に落ちません。却つて高層建築になれば、あとでお尋ねしますが、共同施設の使用なり、その他一般の住宅等から見ると金額が嵩んで来るわけです。而も土地の高度化利用ということは建設省の一貫した、是非やり遂げたいということで住宅金融公庫法の一部改正等もやつているのです。あなたのお話で、ただ私の腑に落ちてはつきりした点は、結局大蔵省から攻め立てられて、さてどれを供出しようかなあと選択したところ、残つたものはこの高層建築が、まあちよつと高層は高級に通ずる趣きもあるから、それでまあ止むなく供出いたしました、こういう点だけは誠に腑に落ちてはつきりしたんです。それだけですよ。併し理論的には何ら一貫していない。この点は専門である説明員説明つてもよろしい。こういうやり方は住宅政策として一貫しておりますか。
  120. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) この高層耐火住宅は、公営住宅といたしましては最初のケースでございまして、従来は耐火住宅と申しましても四階以下をやつておりました。ところが何とかして土地の高度利用を図りたいということで、二十九年度から新たに八階以上、先ほど南政務次官の申されました七階というのは間違いでございまして、八階以上と考えております。八階以上の高層住宅を作りたいと思いましていろいろ検討いたしましたが、何分最初のことでございますし、建築費も相当嵩みますので、国の負担という面、でき上り戸数も多くしたいというふうな点も考え併せまして、それに財政の事情もございまして、新規の事業としてモデル・ケースで最初に出発する以上止むを得ない、こう思つて四割の補助率に一応落したわけでございます。
  121. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 御訂正申上げます。先ほど私七階以上と申しまして、隣の字を見損つたのでございます。八階以上でございますから、今説明員説明したのが正しうございます。
  122. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最初我々少し聞いたときには六階以上と言つてつたのですが、それが七階以上になり、今度はそれが八階以上になる。明日、明後日になつたら十二階以上くらいになるのと違いますか。(笑声)まあそれは冗談ですが、そういうふうに不確定な、建設当局としては嫌々ながら押付けられて来た点から、やはり実施の計画もあやふやな点があるのではないかという危惧の念を我々持つておるわけなんです。それでこの数字で出ているところで見ますと、現行法でいわゆる二分の一補助で三百戸を対象としてやる予算だと考えますが、それが一億八千八百七十一万円、それが四割になりまして機械的に一億五千九十六万円、こういうふうな査定になつておりますが、その積算された内容について伺つておきたいのですが、これは一戸当りの坪数は幾ら、そして一坪当りの建築費は幾らに見て御計算になつたのか。それからエレベーターその他の共同施設分はどういうふうに見られたのか。或いはこの補助をしてでき上つたものの家賃はどの程度に見、どういうふうに回収し、或いは個人所有に移して行く御計画になつておるのか、それらを一貫して御説明頂きたい。
  123. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) この高層耐火は現在計画いたしておりますのは、一戸当り十五坪を要すると思つて計算をしております。これには勿論高層になりますのでエレベーターなり、或いは相当程度の広い階段その他をとらなければならないと思つております。で、その建設費は一戸当りに計算いたしまして百二十二万五千円かかります。その内訳を申上げます。主体工事費一戸当り百十二万五千円、それに附帯工事費が四万円、用地費が六万円、計百二十二万五千円と見ております。それからこれの家賃を計算してみますと、現在の公営住宅法によりまして、その限度を計算いたしますと四千八百円ばかりになります。併し具体的には地方のほうの負担しました負担金額との関係もございまして、実際にきめられます家賃はこの限度の以内において適当な価格にきめようと思つております。
  124. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今この一戸当り十五坪の建設費の中に用地費の六万円が入つておるということですが、それが家賃の四千八百円の中にはどういうふうに入つて来ますか。
  125. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 用地費の分は償却費の一部に加えまして家賃の計算の基礎に入つております。
  126. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから幾ら入つておりますか。
  127. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) それは全体といたしまして一定の率で償却を耐用年数に応じまして償却しますので、ここではちよつと幾らか確定はできませんけれども、全体として、この建築費全部におきまして三千七百三十七円だけを家賃の減価償却分として見ております。
  128. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでこれは全体に四割補助になつて、今のような百二十二万も一戸当りの経費がかかるというようなことでこの家賃の限度内で操作ができる。家賃にはこうした補助の下つて来た分というのは転嫁されないということを言明できますか。
  129. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 誠に申訳ないのでございますが、従来の収入基準の最高限は二万五千円程度であつたのでありますが、これもいろいろの見方で或いはお叱りを受けるかも知れませんが大部分、最近労働賃金も上つておりますので、こういう高層アパートに入つて頂けるかたは、その収入の基準の最高限の二万五千円を扶養控除をして三万二千円見当の人に入つて頂くようになるのではないかと考えておるんであります。結局どう説明申上げても五割補助しておつたものを四割にいたしますれば、私は家賃の算定その他について影響しないというほうがおかしいんで、影響あると思います。ありますが、これはモデル・ケースのことでもございまするが、将来この種いわゆる高層……今後はこの大都市附近の住宅政策と申しますものは、私はこれはモデル・ケースではなくて、こういう種類の高層アパートでなければならん、土地の点から考えてみましても、或いは都市の不燃化という点から考えてみましても、こうなるんでありますが、そこまでなかなか財政当局もその気になつて来るには、これから建設省としても相当の何と申しますか、努力が要ると勿論考えてはおりまするけれども、将来はこうなるんだけれども、今の段階におきましては、今まで考えておりましたような二万五千円が三万二千円くらいになることも止むを得ないと、こういうふうに考えておりまする以上、何と申しまするか、或る程度四割にいたしましたことが家賃その他に相当影響がある、五割から四割になれば相当影響があるということは、こういうことは素直に認めなければならないと考えております。
  130. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 従来の二万五千円程度の収入というものは日本の標準賃金を上廻つておる。それさえもなかなか容易でない。住宅の欲しい人は収入の少い人に私は多いと思う。収入の相当ある人は自分でも住宅は何とか処理する途もあるのじやないかと考えておる。それでこの八階以上の高層耐火建築は高級アパート、高級住宅ではないといつてつても、結果としては入る人が標準以上の選ばれた人だけが入るから、その意味においては高級住宅になつてしまう。こういう点は住宅政策としてわざわざこういう土地の高度利用という建前でやつている趣旨から言えば、おかしいことじやないかと思うのです。というふうに思うのです。特定な選ばれた人しかこういう住宅には入れない。そういう住宅を造るんだということ自身が、今度は根本に遡つて変なことになる。今の状態においては住宅を集約して造るために高層建築は非常に必要だ、いいものだとなつて、さてできたものにはめつた一般勤労大衆というものは入り得ない。特定な人しか入れないということであれば、国の住宅政策としてはおかしな結果になつて来ると思う。というふうに私は考える。が、まあその点は議論になりますから一応専門の委員会のほうでやりますが、少くともお尋ねしておきたいことは、あなたは国家財政の見地に立つてこれは止むを得ないということをおつしやいましたが、その場合の国家財政というのは中央の財政ということだけを言つているんです。あなたの言い分は……。中央政府の政財ということだけ。併し国家財政というならば、地方も中央もくるめにして一切を見合つた上で考えられるのが私は国家財政だと思う。そういう点から申しますと、国のほうは四割、地方負担は六割となる。従来からいえば一割一般経費としても負担が殖える。それから現に参考人として呼んだ東京のかたのお話ですと、あなたたちが東京、大阪等にこれは造らせようと意図しておられるはずなんですが、坪当り七万五千円というふうな計算に国のほうではなつているようだが、東京都では九万から十万くらい坪当りの費用がかかるということを公述している。ですから、これは個人にとつてみれば家賃には転嫁される、或いは地方財政に一方的にのしかかつてしわ寄せになる。そういう地方の犠牲を強いることによつて辛うじてこのモデル的な住宅建設をやつて行こう。こういうことになつて来るわけですね。その点については建設省側もその通りだというふうに肯定せざるを得ないと思うのですが、如何ですか。
  131. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。繰返し私先ほどからお答え申しておるのでありますが。もともとこれは三百戸のモデル・ケースでございます。で、建設委員会におきましてもお答えいたしましたように、五大都市とその他の都市の住宅政策というものは、おのずからそこに違いがあつて然るべきであると考えております。これを一緒にやつておりますので、間々非常にむずかしい問題も起きて来るのでありますが、将来やはり五大都市あたりには、私の考えといたしましては、どうしてもこの高層耐火構造住宅というものを普遍化してやつて行かなければならんものだ。そういうことになつて参りますれば、今大蔵省の考えておりまするような四割というような考え方は、これも国家財政をよほど考えてみなければならんのでありますが、住宅政策が今日のように重きをなしておりまする限りにおいては、私はやつぱりできますことなら五割に速かに早い機会のうちに直つて行くべきものと考えております。何と申しましても、小笠原さんが指摘されましたように、国の財政が困るから四割にして地方側に六割持たすというような考え方では、お説の通りやはり地方財政にしわ寄せが来ると思います。勿論これには起債その他でいろいろ裏付をして参りますが、結局借金は安い高いの議論はありましても、利子は払わなければなりませんので、地方村政に或る程度のしわ寄せの行くこともこれは事実でございます。そこでやはり住宅政策というものを五大都市その他と分けまして、そして今後は何といたしましても、五大都市におきまする土地、地価の最近の高騰振りから考えましても、これは八階から十二階、そういうことになつておりますから、そういう点も考えてみなければなりませんけれども、いずれにいたしましても高層耐火構造住宅というものをやつて、土地の不燃化ということにも、何と申しますか、寄与して行かなければなりませんし、そうなつて参りますると、ここで大きな高い建物は今の常識で、大蔵省の係官がつい口を辷らして返事をしたのでありまするが、高級であるから四割にするというような考え方でなくて、場合によつてはこれはむしろ六割にしなければならないというような事態も発生して来るのじやないか、こういうふうに私は考えております。併し現在の世間の常識から申上げますると、モデル・ケースのことでもあり、国家財政も非常に困つておる。どう御覧になつたかは、これは御解釈に任すのでありまするが、この種いわゆるモデル・ケースについては四割でも考え方としては、そう何と申しまするか、行過ぎておらんというような気持において建設省として財政当局協力いたしまして、ここの統一を図つたことを一つ特に御了承おき願いたいのでございます。
  132. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 こういうものは、モデル・ケースだということですが、大いに普及したい、而も大衆化したい、こういう点からモデル・ケースとして取上げるものだと思います。それが地方が食いついて来るような条件も作らないで、そしてこれを普及する、或いはモデル・ケースとして大衆化して行くということではならんのじやないか。当分の間二分の一以内とすることができるのであつて、そうして当分の間それが続くことを我々は前提としてこれを考えなくちやならないのでありますが、来年、再来年になれば国家財政が豊かになるというような、何ら客観的な国際的な経済情勢というものが見通しが立たんのですから、そういう点から言えば、これはあなた方が意図していることは却つて逆な方向に、こういう耐火構造建築というようなものが伸びない方向に、初めからもう予想せられるのではないかというふうに私たちとしては心配せざるを得ないのですが、先ほど起債というような点もありましたが、この二十九年度においては起債の裏付けはどういうことになつておりますか。
  133. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 二十九年度の公営住宅の地方負担分につきましては起債の計画はまだきまつておりません。大体従来の割合で行くものと思つておりますが、その地方負担分の半分ぐらいが起債で行つておる実情でございます。
  134. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもそういう話を聞いても、何か援助するとか、面倒を見るとか、育つてるとか、そういう点にこういう新らしい構想としては欠けているというふうに思わざるを得ない。而もでき上つたものが特定の収入以上のものでなければ利用ができないというような結果になることでは、これは大変なことだと思うのです。それで皆さんおいでにならなかつたから念のために申上げますが、この知事会を代表しての公述によると、本事業の性格上、率の引下げには賛成できない、右による予算の不足額については補正予算において措置すべきである、こういうふうな意見の公述があるわけです。地方側にとつてみれば尤なことなんです。で、これ以上は意見に亘りますから、大臣の御出席等を頂いて一括して各問題をやるとき掘り下げて御質問申上げますが、この三百戸の建設計画については具体的に東京なり、大阪等割付けがなされておりますか、又引受側の状況はどういうことになつておりますか。
  135. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) この耐火住宅は御指摘の通り、特に宅地難の甚だしい住宅問題のむずかしい大都市にやりたいと思いまして、取りあえず六大都市の担当者に相談を進めております。併しお話のございましたように、或るところにおきましては、財政上の都合によつていろいろ今後検討しなければならんというところもありますし、又或る地方におきましては、財政の余裕もあるのでしよう、是非やりたいというところもありますが、まだこの具体的な割当なり計画は目下検討中でございます。きまつておりません。
  136. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 消化し切れないというような事態は起りませんか。
  137. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 三百戸でございますと、大体この建物は一棟あたり七十戸から百戸程度考えられますので、棟数にしまして三棟か四棟でございますので、今の集めました六大都市の皆さんの御要望はむしろ足りないのじやないかと考えております。
  138. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 最後に、先ほど申上げましたが、政令で定める第一種公営住宅というものを高層耐火住宅とし、二分の一以内としているのを四割なら四割とする、こういうふうに最悪の場合当委員会として明文化することについては、建設省として御異議ありませんか。
  139. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 異議はございません。
  140. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 二十三条の一項はこの程度にしておきます。
  141. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  142. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて下さい。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に公営住宅法第二十六条第一項に関しまして指導監督に要する費用の問題でございますが、この全額交付になつてつたものを一部交付に改めるというのが内容のようでございますが、これも先ほど一般的にお述べ頂いた理由にもよるかも知れませんが、この費用を一部交付に直してもいい、止むなくこれも大蔵省側に恭順の意を示した理由を承わりたい。
  144. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。これはこの種事務が各都道府県に共通の一般行政事務であるという性格もございまして、一部都道府県に負担させてもいいのではないかというような考え方から、本年度の予算は昨年からは減つておりませんが、財政当局協力いたしまして、こういう規定に直したのでございます。地方財政が非常に困つていることは勿論考えておりますが、事務の種類によつて地方当局にも費用を考えてもらう、分担してもらう、そのほうが却つて行政事務がスムースに進むものも又あるのじやないか、そういう点も考えまして、この分につきましては或る程度負担させたほうがいいのじやないかというような考えも私個人的に持つておるのでございます。そういう意味合におきまして、今年あたりも非常に困つている国家財政の見地から考えまして、財務当局にも協力したというのが実情でございます。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 従来この交付金の対象にしておつたものは具体的にはどういうもので、そうして私さつき全額交付と申しましたが、これはちよつと言い間違いでございますが、従来はどの程度の交付をしておられて、今度政令で定めるものの一部というのは、どういう程度を見込んでおられるのか、御説明頂きたいと思います。
  146. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) この交付金は二十八年度は九千九百万円ほど交付しております。今年は事業費が殖えましたので、一億一千万円交付金で予定をしております。この費用は都道府県が管下の公営住宅の事業主体である市町村を指導監督するために必要な人件費、物件費その他の費用でございまして、主として地方におきましては人件費のほうを負担をしている、今後もしてもらうつもりでおります。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで一部というのはどの程度のものになるわけですか。
  148. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 市町村を監督するために必要な経費につきましては、その市町村の数なり、或いは事業主体の指導監督のやり方によりまして相当差がございますが、一応考えて基準的に極く限定したものでありますが、基準的な考え方といたしましては、全額につきましては約一億三千万円ぐらい要するのじやないか、こう考えております。そのうちの一億一千万円をこの法律による交付金として交付する、こういう考えでございます。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この公営住宅法に基く指導監督という事務は、これは国の事務ですか、地方の事務ですか。
  150. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 国の事務と一応考えておりますが、公営住宅の性格上、この指導監督は都道府県も相当熱を入れてやつて頂くように期待をしております。
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 熱を入れるということは、国の事務だけれども地方も金を出せということを指しているのですか。
  152. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 地方のほうからも指導監督費を出して頂くことを期待しております。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは従来建設費ですか、それらの百分の〇・三なり一・一なりの部分を交付金として出しておつたのですが、さつきから御説明を頂いてわからん点は、それが「一部を当該都道府県に交付する。」というのですが、その基準はどういうことになりますか。
  154. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) この一億一千万円の予算は建設総事業費の百分の〇・五に当つております。それを配付いたしますのには、その都道府県の区域内の市町村の事業主体の数、それからその事業主体が建設しますところの住宅の戸数等を考慮いたしまして、配付いたしておるのでございます。
  155. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大蔵省から配付になつた資料によると、現行法でも改正後でも同じ一億七百九十六万円というふうに出ておつて総額には変りございませんが、総額に変りがないのにわざわざ「費用の一部を」というふうに都道府県に負担させるというのですが、これは何を負担させるのですか。
  156. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 多少現行法の表現が、地方が負担するものにつきまして疑義を以て考えられますので、そのために現実の事態に合せますようにはつきりと規定したわけでございます。
  157. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、都道府県の状況によつて厚くしたり薄くしたり、手心を加えるということですか、総額の金の中で……。
  158. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) 各都道府県に対しましては、先ほど申しましたように都道府県内の市町村の数と、その市町村が建設する住宅戸数で機械的に計算します。
  159. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じや国が機械的に計算して都道府県に渡すわけですね。そうすると、何もこの「費用の一部を」というような必要はないじやないのですか。
  160. 前田光嘉

    説明員(前田光嘉君) その交付金のみを以てしては都道府県が必要とする指導監督費を全部賄い切つておりませんので、残余の分につきましては、地方の負担にお願いしたいという意味でございます。
  161. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちよつと私もわからなくなつて来たのですが、じや従来は国が機械的に計算をしたものを出してやつたほかに、又この公営住宅法という法律の根拠に基いて何らか措置されておつた金があるのですか。
  162. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。ありように、率直に御了解を求めなければならんないのじやないかと思つておりますが、只今企画課長から御説明申上げましたように、従来は機械的に町村の数と、それから事業の量で補助金を出しておつた、ところが住宅政策に非常に熱心なところではその費用以上に出しておる県もあつたわけです。そういたしますると、この法律によつてこれに必要な経費は全部国費で以てしなければならんとなつておりますので、必要以上に人間を置くような場合の、これは向うの補助を受ける府県から申しますると、必要以上でなくて、必要最小限度の人間だと言うし、国のほうから申上げますと、これ以上の他の府県は他の府県の事業量その他から勘案して、例えて申しますならば三人でいいはずだと、こう言いますし、五人置いてある県は五人全部置くということにつきまして多少のいざこざもあつたようにも聞いております、率直に……。そこで今度は一定の基準で人件費のほうを主として見て行く、で、若しこの国の住宅政策というものに都道府県が協力するならば、いわば人件費につきましても、事業費につきましても、より以上に経費を持つて頂いても法律違反にならんように、一部というふうに直しておいたほうがむしろ本当の実情に合うのじやないかというので、こういう趣旨に直したのでございます。
  163. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは交付金ということになつているので、一般補助金のように適宜な措置を加えることができない、併し地方では従来規定による交付金以上に地方費を持出してこの方面に金を使つてつたけれども、それは止むを得ない措置としてごまかしておつたのだ、それより以上金をやれなかつたのだ、それをただ良心的にこの際明文化したんだ、そういうことですか。
  164. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 大体のところさように私たちも考えております。
  165. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大体のところは、そこはそうならば、正体のところは何なんですか。
  166. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 先ほど小笠原さんは調べものをしておいでになつたようでありますが、これはなかなかむずかしい問題で、ありように率直に申せばと言つてお断わりして御了解を願つているんですけれども、大体こういう種の事務につきましては、一定の基準で大体これだけの人間が要るだろうということにいたしておきましても、住宅政策というものは非常にその地方においてやかましくなつております場合には、三人の基準人員でも五人おくこともございましよう。そういう分につきまして残り二人のものが、この法律で申しますれば、全部国がしなければならんような、そういう一応の解釈も出て参ります。そういうことについて交付金でございますから、任意にやるようなこともなかなかできかねるために、いろいろ何と申しますか、そこにいざこざが従来あつた、そこでこれは一定基準で出して、そうして熱心なところには幾らかでも経費を出してもらうようにしたほうが、むしろ現実の事態に合うのじやないかというので、こういうふうに直したのでございまして、それなら何と申しますか、今までそれでは法律違反をやつてつたのじやないかというような議論が当然起きて来ることも考えているのでありますが、大体交付金制度につきましては、そういうような交付金の出し方をするよりほか方法がないものでございまして、むしろこの際法律規定を直したほうがいいというので、大蔵事務当局、建設事務当局が一致してこういうふうに直したような次第でございます。
  167. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほどは企画課長はこの法案が通過して改正になつたあとでも、都道府県に対しては国としては機械的に従来のように配分するんだとおつしやつたんですよ。だから私はこういう質問をしておるわけで、どこでやり繰り算段し、操作するのですか。あなたの言うほうは、熱意のあるところには厚く、熱意のないところには薄く手心を加えるんだという御説明なんです。それでどこの段階でこれは手心を加えるのですか。国が手心を加えるんでなくて都道府県のほうが手心を加えるなら、こういう文章表現はないと思うのですね。で、企画課長の言うほうが本当なのか、政務次官の言うほうが本当なのか、わからんのですわ。どつちが手心を加えるんです。
  168. 南好雄

    政府委員(南好雄君) 企画課長も手心を加えるとは申しておらんのであります。私も手心を加えるとは申しておらんのでありまして、交付金の性質上勝手に厚薄を付けてはならないんだから、そこには一定の基準と申上げますが、都道府県の中にありまする市町村の数、それからやつておりまする事業量によつて一つの算式基準を作りまして、それによつて機械的に交付金をきめます。併しながら、その県の中において非常に住宅問題のやかましい県については、それ以上に経費を使うところもあります。といつて、そういう場合においては法律規定が監督の事務については全部持つようなふうに解釈もできますので、従来においてはいざこざを間々聞いたと、そこで疑いを避けるためにこの際は改正しなければならず、且つこの種事務は国の事務とは申しますものの、共通の一般行政事務であるという点から考えてみましても、何と申しまするか、全体の費用の一部を国が持つというようなふうな規定にしたほうがいいというので、こういう趣旨の改正にいたしましたと、こうお答え申上げたようなわけであります。
  169. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、国としては、さつきも私はこれ聞いたんですよ。国としては従来の法律であろうが、改正された法律であろうが、計算の基準或いは配分額等においては変りはないんだ。ただ地方が従来使つてつた分も、よくくれくれといざこざが起つて来たから法律的に明快にしただけなんだ。それでこれは国の財政の都合ということではないのだ。ただこの際何と申しますか、全額を、指導監督に要する費用では国が負担することになつておるものを、それを実情に合うように一部としたので、ただ金額的には従来の法律と同様なんだ、こういうことですか。
  170. 南好雄

    政府委員(南好雄君) その通りでございます。
  171. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは、この一部地方に負担してもらう部分については、財源的な裏付けを国がするわけですか、しないのですか。
  172. 南好雄

    政府委員(南好雄君) これはむずかしい問題になるんでありますが、大蔵当局との事務の打合せによりますると、やつておりまする残りの金の出し方でございますね。交付金を差引いた残りの実際使つている金、それはやはり何と申しまするか、一定のやはり基準で地方交付金ですか、あの中から見ることになつておるそうであります。併しこれも一定基準でございますから、いわゆる全費用をカバーするかどうかは、これはちよつと私らのほうにもそこまで確めてないのであります。併しこれはむずかしい問題であります。地方のほうはこの種の仕事にこれだけの金が要るんだからと、地方財政は赤字だからと言うし、中央のほうでは一定の基準以上は出せない、こういう点でいつもそこにむずかしい問題が起るんでありまして、一部と、こうやりましても全然それ以外は見ないと言うのじやなくて、なお残りの一定部分につきましては、地方交付金という中で算定して頂くように大蔵省と了解ができております。
  173. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは地方交付税法で見れば、従来の平衡交付金法を改正してそういう税法になるわけなんですが、二十九年度は、確かにあなたがおつしやるように平衡交付金法によるのと同様の内容を持つて一般的に地方の財政の裏付けをするようであります。併し来年度以降になりますと、これは配付税の性格が強くなつて来るわけです。国税の、国が徴収する税額の一定割合だけを出すのであつて、それは地方の財政計画そのものが先に積算されて来て、国が基準財政需要額と収入額との差額を以て見て行くというような行き方ではだんだんなくなるわけです。或る限度の金だけをただ渡すだけのことであつて地方はそうした意味においては国の施策に伴うところの裏付けがちやんとできておらないと困つて来るわけです。今年のはそれでいいかも知れません。併し今年の地方交付税でも、或いはさまざまな譲与税でも、或いは地方税、起債、これら引つくるめて考えても、地方財政としては財源はやはり従来から見るというと困つておるわけです。財源的には困つておるわけです。まして交付税なり、譲与税の合算額というものは、従来の平衡交付金額よりは下廻つておる。下廻つてつて、ただ口では見るのだ、見るのだと言つたところで、それを見れるかどうかはもつと先のことだと思うのですね。それで見るのだとおつしやつておるが、じやその単位費用は幾らに見て、どれだけ地方財政計画の中に入つておるのかお示しを願いたい。
  174. 南好雄

    政府委員(南好雄君) どの程度つておるかと申しますことは、これは金額的に建設省においてはわかつておらんのでありますが、要するにこの一部交付金として一部を出す、足らん分は地方交付金の中に勘案して出してもらうことにする。僕は地方財政の問題につきましては、ここで小笠原さん議論になるから……。
  175. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いいですよ、しても……。
  176. 南好雄

    政府委員(南好雄君) いや、私のほうが困りますので申上げませんが、冒頭においても申上げましたように、むずかしい問題でございまして、私のほうは余るという県はなかなかないのでございます。そこでむずかしい問題に戻つて来るのでありますが、要はこの種行政事務につきましては、府県においても一部費用を分担してもらう。その分担してもらうものについては基準財政需要額ですか、その中に一部勘案して頂く。そういう事務的の打合せをしておるのでありますが、なおそれ以上使う場合には、これは虫のいいことになるかも知れませんが、他の費用でも節約して頂いて、この種の行政事務の執行に支障のないように県に協力して頂く、こういう建前でまあ進んでおるようなわけでございます。
  177. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これも高層耐火建築同様、地方財政についてはしわ寄せになつて行くということを率直に建設当局としてはお認めになつたわけですね。
  178. 南好雄

    政府委員(南好雄君) お答え申上げます。この二十三条の第一項と違いまして、この二項、三項の場合は、私これは率直な考えでありまするが、御指摘のように、地方財政にしわ寄せになるというほどまでは私考えておらんのであります。地方財政も、中央、地方につきましても、まだいわゆる考え方によつては節約の余地も残つておりますので、本当に住宅政策などを真剣に取上げて取つ組んで行こうとする場合におきましては、それは今の何と申しまするか、第一項につきましては、これは私個人でありまするが、まだ建設当局といたしましても十分とは決して思つておりません。併し二項、三項につきましては、この種行政事務につきましては地方も当然或る程度分担してもらう。それは基準財政費用の中からですか、その中からも出そうし、他の部門も節約してもらつてつて行く、こういうような行き方をしなければならんものと、こういうふうに私は考えているようなわけであります。で、結論を申上げますと、第一項とちよつと違つて、二項、三項はそう御指摘のように地方財政にひどくしわ寄せをするというようなつもりでこういう打合をしたのではない、こう素直に申上げておるわけであります。
  179. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ただ筋としては論理的にはあなたは再三むずかしい、むずかしいとおつしやつていましたが、基準財政需要額で見る単位費用等も、地方の要望を充たすだけでないということを御承知になつているからそういう話になると思う。で、現実の問題として国が財源的な裏付けをする分が足りない、地方が純粋に持出す分が必ずあるのだ、こういうことを認める限りは、その意味においてそれは地方財政にしわ寄せになる、これは国の施策なんだ、公営住宅法は……。そしてこの地方財政法の第十条の二或いは第十条の三、これらにおいて国が全部或いは一部を見ることになつている。そして見ない分は平衡交付金で見たりしておる分もあつたりしたわけだ。それは現実にはやはり事業を遂行して行くのには金が足りないのだ、従つて単位費用が過小評価されておる、或いはこの全額交付の百分の〇・三なり、百分の一なりというものの見積額が率が低いというようなところから問題が起つて来ているわけです。そういう意味ではそれはしわ寄せですよ。そういう意味で申しておるので、政府をこの部分ぐらいのことで攻撃する意味で私は申しておるのではない。しわ寄せであるくらいはお認めになるのでしよう。
  180. 南好雄

    政府委員(南好雄君) そういう趣旨ならば認めます。
  181. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じやいいです。
  182. 松永義雄

    委員長松永義雄君) それでは本日はこの程度を以て散会いたします。    午後四時四十四分散会