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政府委員(
佐藤一郎君) 私から申上げます。まあこれにつきましては、一応従来の経過を御
説明した上でないと十分御納得が行かない点があると思いますが、御承知のように、
昭和二十四年の六月からいわゆる国鉄が従来の特別会計が公社に変
つたわけであります。二十三年に国鉄公社法ができまして、その公社法を二十四年の六月から施行する、こういうことにな
つてお
つたわけであります。従いまして、その二十四年の六月以降の
予算には、若しもこの
負担金を
負担すべしということが確定いたしておるものでありますれば、当然
予算の
要求があり、
予算が計上されて然るべきであ
つたわけでありますが、私も過去のいきさつをつまびらかにしませんが、調査いたしますと、二十四年に国鉄公社が六月に発足したときから一度も
予算が今日まで載
つたためしがないのであります。それでその間運輸省におきましても、御
要求があ
つたのが二十六年度と今度の二十九年度の二回でございます。その間においては
要求自体がすでになか
つた。国鉄の公社法が発足し、公社が発足したその目からすでにこの
予算というものは計上されておらないわけであります。それで勿論
政府といたしましては、忠実に憲法並びに
法律を実施する義務を背負
つているわけでありますからして、いやしくも
法律蹂躪するというような
予算の計上のいたし方というものは考えられないのであります。或る
一定の解釈に立
つて、まあこれならばいわゆる
法律の違反にはなるまいという
一定の解釈に立
つて今日まで
予算が取扱われて来ておるはずなのであります。それで二十九年度に運輸省からこの
予算の
要求がございました。それで実質論といたしましては、いわゆるひとしく公社でありながら、専売公社並びに電々公社につきましては、かかる規定がございません。司令部時代には一体どういういきさつでその公社等の制定がなされたのであるか、つまびらかにいたしませんが、そういうような関係で、従来から大蔵省といたしましては、実質的なバランス論から当然国鉄だけにこの共済組合の
事務費を面倒見てやる必要はあるまい、こういういわゆる実質論としての
意見が
予算論としてあ
つたわけでございます。それで、併しながら二十九年度の
予算を編成いたします際に、やはり運輸省としましては、
只今お話がありましたように、この規定に基きまして一応の
要求がなされて来たわけであります。然るにすでに公社が発足いたしましてから、一度も計上されておらないという事実と考え合せまして、従来の解釈というものは、即ち国鉄法の五十八条並びに五十七条によ
つておるわけでありますが、その、五十七条、五十八条は国家公務員共済組合法の六十九条を採用いたしております。そうしてその第二項によ
つて、これらの
経費は
予算の定めるところによる、こういう規定があるわけでございまして、これらの一連の規定によりまして、一応解釈といたしまして、やはりこれは
予算で定めるのである、即ち
予算に委任されておるのであるからして、
予算においてこれを零にすることも可能であるという解釈に立
つてこれをや
つておるものというふうに、まあ私
どもも考えておるわけであります。これはまあ法制局等にも確かめましたところが、そういう解釈は可能であるというお話であります。まあ併しながら運輸省のお立場もあり、運輸省としてはこれによ
つて要求をなさる、現に二十九年度も
要求されたわけであります。そういうような解釈上疑義があるようでは困るので、少くともこの二十九年度の
予算編成の際には態度を
はつきりすべきではないかということの考え方に基きまして、他の公社並みにこの規定を削
つてほしいという申入をいたしまして、今回この
法律に合せて御提案申上げた、こういうわけであります。