運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-04-01 第19回国会 参議院 補助金等の臨時特例等に関する法律案特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月一日(木曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     松永 義雄君    理事            青柳 秀夫君            伊能繁次郎君            上林 忠次君           小笠原二三男君            武藤 常介君    委員            秋山俊一郎君            石井  桂君            剱木 亨弘君            榊原  亨君            横川 信夫君            島村 軍次君            三木與吉郎君            三橋八次郎君            戸叶  武君            寺本 広作君   政府委員    大蔵省主計局総    務課長     佐藤 一郎君    厚生大臣官房会    計課長     堀岡 吉次君    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    厚生省児童局長 太宰 博邦君    運輸政務次官  西村 英一君    運輸大臣官房会    計課長     辻  章男君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○補助金等臨時特例等に関する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 松永義雄

    委員長松永義雄君) これより特別委員会を開会いたします。  補助金等臨時特例等に関する法律案を議題に供します。  質疑に入る前に、本特別委員会審議日程について昨日の委員長及び理事打合会決定を御報告申上げます。四月一日木曜日午後一時、五日月曜日午前十時、六日火曜日午後一時、八日木曜日午後一時、九日金曜日午後一時、以上の日程決定し、十五日に討論採決の予定ということでございます。  それではこれより質疑を行いますが、厚生省関係について審議を行います。政府から厚生省児童局長太宰博邦君、同公衆衛生局環境衛生部長楠本正康君、厚生省官房会計課長堀岡吉次君、大蔵省主計局総務課長佐藤一郎君。それでは先ず前回委員会において問題になりました資料について政府委員から説明をお願いしまして、厚生省関係について御質疑のあるかたは御発言願います。    〔委員長退席理事青柳秀夫君着席〕
  3. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 御提出申上げました資料について御説明をさして頂きます。  先般性病予防補助金単独診療所に関しまする精算額といたしまして資料を御配付申上げました。ところが甚だ申訳ないことでございますが、この資料歳出額におきましては府県申請額をそのまま記載をいたしました。事業収入額ももとより府県の申請通り書きまして、なお国庫補助額につきましては概算払額記載いたしました。従つてかなりここに大きな矛盾が出たわけでございます。甚だ申訳ございませんが、私どもかような粗雑な資料に基きまして故意に御説明申上げましたために却つて御迷惑をおかけしたことを深くお詫び申上げます。  次に、只今お手許に昭和二十七年度性病予防補助金精算状況という新らしい資料を差上げました。これを一言説明さして頂きます。なお最初にこれらの数字のうち、第一表の終りから二番目の国庫補助基本額宮崎県分の下から二行目及びその合計額並びに国庫補助交付額の同じく宮崎県並びにその合計欄が若干数字が印刷間違いがございますので、御訂正を願いたいと存じます。国庫補助基本額宮崎県の下から二行目は百四十二万円を三十一万八千六百円と御訂正を願います。従いまして、そのトータルは六百五十九万七千三百六十三円と相成ります。次に、国庫補助交付額の下から二行目の宮崎県分は十五万九千三百円と御訂正を願いたいと思います。従いまして、その合計欄におきましては三百二十九万八千六百八十七円と相成ります。甚だ失礼を申上げました。  この資料で御説明を申上げたいと存じます。前回御提示いたしました資料人件費につきましては、県の要求額人件費とこの前の数字と第一行目は全く同様でございます。人件費県要求額府県のこの前お示しいたしました人件費と全く同様でございます。次に、厚生省査定額人件費のうちに付いておりますが、これらはそれぞれ一定基準に則りまして厚生省におきまして査定を加えた額であります。  次に、事業費の欄につきましても同様に県要求額最初に出ておりまして、次に厚生省査定額記載してございます。この厚生省査定額県要求一定基準従つて査定いたしました数字でございます。次に、第五行目事業収入は、これは前回お示し申上げました数字と差はございません。なお国庫補助基本額といたしましては、これはこの査定額から事業収入額を減じましたものを国庫補助基本額といたしてございます。従つてこれに対しまする国庫補助交付額最後の行にお示ししてございます。なおこれは精算額でございまして、この前国庫補助額として概算額をお示し申上げましたものと大差はございませんが、本日お示し申上げましたものが精算額でございます。従つて国庫補助基本額というものは、査定して基本額を算出いたします。と、おおむね二分の一に該当をいたしております。なお第二表の市の分につきましても内容は全く同様でございます。甚だ失礼を申上げました。
  4. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうしてこういうふうに資料出し直しをしたのですか。
  5. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 甚だ失礼を申上げました。先ほどのお詫び申上げましたように、先日つい事務手違いによりまして、歳出額におきましては県の申請額をそのまま記載をいたしました。なお国庫補助額におきましても概算額記載いたしまして甚だ失礼を申上げました。
  6. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじや問題にならないで、黙つておれば前に出た資料資料としてそのまま生きて行く結果になるのですか。
  7. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) たびたびお詫びを申上げますが、かような重大な手違いはたびたびないことでございまして、その点は厚くお詫びを申上げます。めつたにない手違いをいたしまして申訳ございません。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 前の表では精算額とあるんですが、精算額というのもミスプリントで、手違いだとおつしやるのですか。
  9. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 精算額として、実際にはこれは別に嘘の数字ではありませんが、府県からそのまま要求いたしました数字並びに国庫補助におきましても概算額を記入いたしまして、これを精算額と銘を打ちました点は甚だ申訳ございません。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで結果は、人件費県要求額事業費県要求額を合算したものと、それぞれの厚生省査定額を合算したものとの違いですね、差額をここへずつとお示し願いたい。その分が結局は法律以上に地方財政を持出した分になるわけですから、その分をお示し願いたい。
  11. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 後ほど計算いたしまして御提出いたしたいと思います。併しながら如何なる補助執行におきましても一つ基準に則りまして査定をいたします。従いまして、かような結果が出るわけでございます。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そのことは私百も承知しております。けれども補助して事業を円滑に遂行しようということなら、現実と余りに隔離した基準というものは変更さるべきです。だからあなたの意見一つ意見ですが、私の意見一つ意見です。そういう意味でその点お願いしておきます。  次に、清算払とか、概算払とか、さつきからおつしやつていますが、こういう補助金は年間において何回に支払いをするのか、いつ支払つているのか、お尋ねしたい。
  13. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この例につきましては年一回払いでございます。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはいつですか。
  15. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 大体二四半期の初めころ概算をいたします。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではこの二十七年度の請求に対しては、二十八年の何用に支払いが完了しておりますか。
  17. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは書類の整備によつても違いますが、おおむね年度内の三月三十一日までに支払いが完了いたします。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ではこの厚生省査定というのはいつやつた査定でございますか。
  19. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは、この精算書が出揃つたときに逐次精算をいたします。
  20. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だからこの二十七年度のそれは大体いつごろに査定がなされたものですか。
  21. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは県の事情によつても違います。従つて一番遅い場合でも三月三十一日までには完了いたします。併し県の予算編成その他が早く済めばそれより早い分もございます。
  22. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この厚生省査定人件費基準を、これは簡単なことでしようからお示し願いたい。
  23. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 年額十四万四千円を最高額として査定をいたしております。
  24. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 もう少し詳しく何と何がどうなつて十四万幾らか……。
  25. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 二十七年度はこの平衡交付金標準財政需要の額におきまして、人件費平均最高を十四万四千二百六十九円と計算されております。従いまして私どももこの場合二十七年度におきましては、この数字最高額として査定をいたした次第であります。
  26. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この前にもお尋ねしたので繰返したくないんですが、十四万二千何がしというこの金は、医師一名と看護婦一名の分としてでございますか。
  27. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは予算査定医師一名、看護婦一名と相成つております。併しながら基準でも特に必要のある場合には若干の幅を持たせ得ますので、これらの人件費実情に応じまして若干の幅が持たしてあります。従いまして実際には医師二名というような計算もしてある府県もございます。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私舌足らずのために、質問しておる趣意がわからんようですのでお尋ねしますが、十四万何がしというのは基準財政需要額としての単価だ、それは看護婦一名、医師一名という建前であることは前から再三補助の対象として考えると言つてつたから、財政需要額としてもそうだろうと思うのですね。それが医師二名になろうが、看護婦二名になろうが私の知つたことじやない。十四万二千何がしという金で少くとも医師一名と看護婦一名を雇い入れ得る最低の金として認定するのには余りにも低い金額ではないかという私の考えがあるわけです。それで現実とのギヤツプはそれは地方責任で、国の知つたことでないと言えるかどうかということが私の論点なんです。
  29. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 只今お尋ねでございますが、十四万何がしの金額は一人の金額でございます。先ほど環境衛生部長の申上げましたのは、人件費の一人当り十四万何がしは一年当り一番最高に押えた、そういうふうに考えております。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だからさつきから私は詳しく言つてほしいと言えば、数字ばかり言つてそれが何やらわからない。繰返さないようにして頂きたいのですが、そうしますと、医師一名が一万一千円程度、まあ単価、月収ですね、一万一千円程度で押えられる、こういうようなことを、これは地方自治庁のほうが当事者ですけれども厚生省と協議の上こういうものが決定になるのですが、厚生省がこれでよろしいとした根拠を承わりたい。医師はその程度で雇えるという今の常識ですか。
  31. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは二十七年度でございますから、現在よりは勿論下廻つておりますが、私どもといたしましては、勿論医師の仕事の特殊性に鑑みまして、他の一般分よりも多くなければならんものと考えております。そこでこれらの待遇改善の問題につきましては、例えば保健所等におきましては、別にこの研究費その他の名目で予算を計上しているところもございます。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次にこの県要求厚生省査定の問題ですが、事業費に関してでございますが、事業費算定基準を承わりたい。簡単に一、二の例だけで結構です。
  33. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 事業費は大体府県要求通り見てございますが、大体でございますが、山口県だけは、これはこの人件費を間違えまして、当初事業費の中に含めておりましたが、分離したからこういう恰好になつたのです。なお事業費といたしましては、内容薬品費及び患者費でございます。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 事業費のほうは大体県の要求通り見るというようなことはどういうことなんですか、それだけ事業費のほうの内訳として補助金余裕があるということですか。査定するというのなら、私は基準があつて県の要求丸呑みに殆んどなつているということのほうがおかしいと、こう思つておるのですが、この査定というのはまあそういうことでない、事業費丸呑みにするんだというふうに補助をしているわけですか。
  35. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) この事業費のほうは先ほど申しましたように、薬品費或いは患者費というのでございます。従つて比較的単位計算が極めて楽でありまして、当初から一つ基準が、例えばこういう薬品幾ら幾らで一人の患者に対して何回使うのだというような基準がございますが、これらの基準地方に徹底しやすいのであります。ところが人件費はもともと単価が、実際には医師人件費というものはかなり高いために、この基準との間に差がありますから、結果といたしましては人件費査定が強くなる、こういうことでございます。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 県要求というのは生な事業費トータルだろうと思うのですね。それをあなたがおつしやるように、患者一人当り薬品代幾ら、何が幾らということを積み上げて計算して、その県内の診療所患者数に掛け算をやつた結果がこういうふうにぴちつと尻が殆んど各県とも合うというのはおかしい。そんなことはあなたの言の通りならば不可能なことだと思う。神様でもない限り、生なかかつた金と、或る患者一人当り薬品代幾ら、何が幾らというものを患者数にかけたそのトータルとぴたつと合つて山口県だけが合わないというような資料は私は信じられない。本当にこれはそういう査定の手続を経てきちつと要求額と合つたものですか。
  37. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) つまりこの程度数字ならば予算基準にも合つておりますし、私のほうから積極的に基準に合つている以上呑み込んでいい数字だと考えております。従つて一致いたすわけであります。
  38. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうもあなたのおつしやることはすべて呑み込めないのです。あなたは一定算定基準があるのだ。薬品その他を簡単に算定できるのだということなんです。算定したその計算は生な条件を顧慮しないで、かかつておる費用地方で割るでしよう。それらも含まれて生な地方要求とたまたま山口県を除き合致したということは私呑み込めないのですよ。それは情状酌量の余地もあり予算余裕もあるから、まあその点は全部呑んでもいいということでいろいろのことがあつたけれども、出した金なんだということなら、私ははつきりよくわかる。けれどもあなたのおつしやるのは、論理的に積算してきちつと合うような話をされるから、何だかこの資料インチキじやないかというふうに思うのですよ。
  39. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 申上げましたのは、つまり薬品単価或いは患者一人当りにどのくらい薬を使うかというようなことは比較的府県に徹底させやすいわけであります。従つて先ほど申上げましたことは、これらの基準というものが府県に徹底いたしますからして、従つて出て来る数字も大体その結果としては私どもが呑み込める数字であるということを申上げたわけであります。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じや県の要求して来る数字というものは、もう基準に合わして、実際かかつた経費がそれ以上あつても、大体基準に合うようなものを要求して来る、こういうふうなわけですか。あなたのおつしやるのは、或いは厚生省基準が徹底しておるから、基準以外には薬品も使わないのだし、経費もかからないように診療所はなつておるのだ、こういうことなんですな。どつちかなんですよ、あなたの話なら……。
  41. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 当初基準として示しました範囲内で薬品を買込むというようなことで支障がありませんので、私どもはこれらの数字は県が事業支障ない範囲数字であるというふうに理解をいたしております。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは次にお尋ねしますが、この国庫補助交付額とあるものは精算払いした金額だとおつしやいましたが、その通りですか。
  43. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) その通りでございます。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、今ちよつと県分市分合計が出ておりませんが、約六千四百万ぐらいでしようか、二十七年度の予算額幾らでしたか。
  45. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 二十七年度のお尋ね予算診療所補助金におきましては八百六十五万八千円でございます。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると精算額では残つたわけですね。
  47. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) さようでございます。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 精算額では残つたのですね。残額は幾らですか。
  49. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 二百七十七万四千六百八十九円ですか。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが二十八年度に繰越になつて、又二十八年度の精算払いに使われるわけですか。
  51. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) その金額は八年度、或いは九年度におきまして精算しまして、その金としては国に納付するという形になつております。過払いでありますならば……。それからこちらのほうで支出いたしておりませんならば、それが厚生省予算として不用額として残つておるわけであります。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 不足額計算は出ませんか、トータルでいいんですが、地方不足額は……。大体県分市分を合せて人件費県要求厚生省査定額の差というものは百十二万、大体地方のほうで持出しているという計算になるようですが、それとこの前の資料国庫補助不足額、こういうふうに出ておるものが今度は地方の完全な持出し分になつたわけですから、それが約五百五十万ぐらい、そうすると、結局は地方が国の出すものに見合つて二分の一出したほかに持ち出している金額というものは六百六十万くらい持出しているという計算になります。然るに国のほうは二百七十七万円くらい保留し、それが繰越等になつている。そうして地方は六百六十万もの法律に基く以外の金を持出して、この診療所経営をしているということはこれはもう実態ですね。こういう実態の下に今度二分の一から四分の一に補助率を下げるということは、ますますこの地方費負担というものを激増させる結果になる。こういう点は事実の上で厚生省としてはお認めにならなければならんと思うのですが、如何ですか。
  53. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 御指摘のように、人件費につきましては確かにこの基準というものが実情に合わんところは率直に認めます。殊に医師の場合につきまして、そのことが言えるだろうと存じます。
  54. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この国庫補助額県分が三百八十五万、それから市分が二百五十八万円ですから、合わせますと六百四十万円くらいでしようか。六百四十万円くらいが国から出してやる金、それに見合つた六百四十万を地方が出しておる。そのほかに六百六十万円くらい地方は余分に出しておる。従つて二分の一補助ということは、実際当時において現行法において三分の一補助なんです、実態から見れば……。それで今度四分の一になるとなれば、実態から言えばこれはどういうことになるか、六分の一かになつてしまう。そういう法律案を認めれば、なおこの診療所事業振興を図れと厚生省責任地方に言えるかということが私の最後に聞きたいところなんです。これは大臣に聞かなければわからんので、部長に聞くのは気の毒ですけれども、一応事務当局の見解を聞いておく。
  55. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 主として只今申上げましたように、医師人件費というようなものが実情に即さない点がございます。従いまして、かような結果になるわけでございます。そこで私どもといたしましては、先ほどもお答え申しげましたように、できるだけ一定の国の俸給基準は別といたしまして、医師のような特殊業務に従事しておりますものにつきましては、別個に研究費或いはその他の諸手当を支給いたすように努力をいたしております。現に保健所の職員のごときものは、国の予算を以ちまして、その特別な手当に対しまして補助を支出いたしておるような次第でございます。従いまして今後私どもは一層この人件費の適当なる額を積算いたしますのに努力いたしまして、かような矛盾は逐次解消いたしたいと考えております。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは大変結構なことですが、ではこの人件費単価引上げるということはいつ頃からおやりになるのですか。
  57. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) いつからこの基本額引上げるかということになりますと、私だけでここでお答えすることはちよつと困難かと存じますが。
  58. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 四分の一補助になると、ますます地方費の持出しが殖える。従つて人件費等積算基準単価引上げる、このことは今早速にやらなくちやらなんことじやないのですか、そんなことがきまつておらないで、まあ今年中は我慢してくれ、検討して将来やると、こういうことですか。
  59. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) ただ、まあ強いて説明をいたしますれば、現在四分の一になりますれば四分の三が地方負担分に相成ります。併しこれらの地方負担分につきましては、先日お見せ申上げました平衡交付金資料に基いてもわかりますように、平衡交付金で見てございますから、理窟を申すならば、この地方負担というものには補助金の面では違いますが、平衡交付金に又別に見込まれておる、こういうことが言えると存じます。
  60. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 性病のそれが平衡交付金で見られておりますか。
  61. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) これは見られております。
  62. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それじや平衡交付金法変つて地方交付税法になるわけですが、この中の単位費用として二十九年度はやつぱり十四万五千二百八十円ですか、これで組まれておりますか。
  63. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 現在までは先ほど申上げました単価でございますが、併しこれらの点につきましては、今後至急大蔵省並びに自治庁とも相談をいたしまして単価の引上を図りたい所存でございます。
  64. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それは二十九年度実施される予算においてですか。
  65. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 単価につきましては、二十七年度のときにお話申上げましたが、二十七年度の予算単価は七万七千円を組んだようになつております。ところでどういうわけで十四万何がしという高いところまで認めるようになつたかという根本の理由は、府県から出ました清算書を見ますというと、収入が我々の見積りよりも非常に多いのであります、府県収入が……。従つて予算上合わないわけです。そこで実行上先生のお話のような点が確かに実情として存在しますので、成るべく高い単価でやりたい。併し高いと申しましても野放しというわけにも行きませんので、一応の基準として……。二十九年度におきましても、実行上恐らく只今申上げましたような問題が出て来るだろうと思います。収入見積り等におきまして清算上府県の収入は当初考えておつたよりも相当額出ておるというような場合には、財源上の余裕ができ得るだろうと思います。それによつて只今申上げましたように、府県に対する補助金基準として性病診療所として単価を上げて行きたい、こういうふうなわけでございまして、これは実行上の問題として研究したい、こう考えております。
  66. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 従来平衡交付金で見る分については、今度は交付税で見るわけですが、これについては関係官庁である厚生省自治庁と協議してきめるというのが私段取りだろうと思う。ところがそのほうの単位費用のほうが未だにきまらない。ということは、ここで言うことでないけれども地方財政計画というものの枠はきめてあつて内容がきまつてないということは、財政計画そのものインチキだということを立証するだけのことなんだ。積算の基礎が不明であつて、全体の枠はきまつていて、それでなお厚生省では交付税で見ているのだ、見ているのだと言つて、四分の三見ているというふうに思いますか。
  67. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) ちよつと今単価はつきり覚えておりませんけれども財政事情につきましては、勿論自治庁におきまして基準単価をきめております。私の申上げましたのは、実行上二十七年度におきましても、七万何がしという単価であつたのを実行上十四万にした。その実行上の問題を二十九年度におきましては、先ほど申上げましたような理由で或る程度財源が殖えるのじやないか。そうした場合は人件費を高めて見て行きたい、こういう意味でございます。
  68. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第九条についてはあとは論議になりますから、事情はわかりましたので、大臣に対する質問を留保してこの条章は終つておきます。
  69. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) それでは第十条に移りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) どうぞ御質疑を願います。
  71. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どうも同じことばかり私聞いて行くことになるのですよ。と言うのは、あとで国と地方の財政計画を財政当局から聞くためにお尋ねしているわけで……。この法律の精神衛生相談所の運営費は従来の規定にかかわらないで、四分の一にしてもいいとお考えになつた理由を承わりたい。
  72. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) どうも苦しい御質問ですけれども、先日もお答え申上げましたように、たとえ四分の一になりましても、一応は平衡交付金地方負担分積算されておる関係もありますけれども、なお私どもといたしましては、できるだけ行政指導その他に努力いたしまして、実績を高めることこそ望み、実績の落ちるようなことを極力避けることといたしまして、努力をいたしまして、それによつて四分の一の補助をカバーいたします。そういたしますれば、国家財政の観点もありますので、私どもとしては我慢をしなければならんのだろう、かようにまあ考えております。
  73. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国家財政の都合上我慢することはいいですが、精神病者が殖えたり、その治療が不完全になることは我慢できないことだ。それで従来の所要経費は四分の一補助として、あとは地方にやらしてでもこの事業は現状通りつて行ける、こういうお見込みでございますか。
  74. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 先ほどお答え申上げましたように、できるだけ行政指導等に努力いたしまして、四分の一になつても実績が落ちない、むしろ伸びることを期待いたしたいと存じます。
  75. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その行政指導というのはどういう妙手を講ずるわけですか。
  76. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 別に妙手というものもございませんけれども、私ども多年仕事をいたしておりまして、ものによりましては非常に補助率が低い、或いは全然補助がない、全部平衡交付金で賄われているような仕事でも、努力の仕方によつて却つて実績を収め得ることも間々ございますし、従いまして、かような点から私ども補助率の低くなりました点を努力によつてつて参りたい、かようなことを申上げたわけでございます。ただ具体的にどういう妙手があるかということになりますが、これらは又それぞれ行政指導の場に臨んで考えなければならんことだと存じます。
  77. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今のお話ですと、従来は行政指導が欠くるところがあつたから二分の一なんという余計な金を出した。これから行政指導を完璧にやるから四分の一になるということで、あなたのほうが怠慢だということをみずから裏書するような答弁ですが、それでようございますか。
  78. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 精神衛生事業も、これは相談事業でございますが、ほかにいろいろな事業がございますが、相談事業は国民の認識というようなものによりまして、積極的によく精神病を理解し、利用することが先決でありますので、このほうに主力を尽してカバーをするという意味でございます。従つてかような相談事業は、多少の補助率の減によつて事業全体に支障がないことを期待いたしておる次第でございます。
  79. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 まあこの程度にして聞いておきますが、じや今度四分の一になりまして補助金予算額幾らになりますか。
  80. 堀岡吉次

    政府委員堀岡吉次君) 二十九年度の、現在御審議つております予算案では五百三十四万九千円が国の負担分として計上してございます。
  81. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちよつと大蔵当局に伺いますが、この精神衛生費補助金というのと、今の「第八条の規定にかかわらず、四分の一とする。」ということと、どういう関係があるのか、御説明願いたい。大蔵省から渡されておる資料には、精神衛生費補助金、二十九年度は二分の一、こういうことで出ているのと、この四分の一の五百三十四万というのとは、どういう関係があるのか。
  82. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) この第八条と申しますのは、条文によりますと、精神衛生相談所関係の条文でございまして、その前に第七条において、都道府県において衛生相談所を設置することができるという条文がございまして、その次の第八条におきまして、それに対して、「政令の定めるところにより、その二分の一を補助する。」というのが従来の規定でございます。それで今回のいわゆる補助率の引下げは、その相談所関係の分だけが対象になつておるわけであります。
  83. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで増になつておるのはどういう理由に基くのですか。
  84. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 精神衛生費の補助と申します中には、いわゆる精神衛生相談所の分と、それからその他の分がございます。その他の分が増加を見ておるのでございます。
  85. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 精神衛生費補助の中には相談所の費用も含まれておるのですか。
  86. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) さようでございます。
  87. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではその前にある精神衛生相談所補助金と別項目で出ているのはどういう関係になりますか。
  88. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 小笠原さんがおつしやつていますのは、先日の補助金等予算額比較表で御覧になつているわけですね、私のほうの差上げましたそれの何頁になつておりますか。
  89. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 四頁に相談所補助金が、厚生省の答弁の通り金額が出ておるのです。
  90. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 出ております。
  91. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 九頁に精神衛生費補助金が出ておる、私の今お尋ねした九頁に出ておる補助金の中に相談所の費用も含まれると言うのですが、どういうものが含まれておるのですか。
  92. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 今厚生省のお答えしましたのは、その表に即して、直接見て答弁されなかつただろうと思いますから、その点或いは行き違いがあつたかも知れませんが、前の四頁のほうが相談所でございます。あとの九頁のほうは、ほかに別の精神衛生関係の補助金のいろんなものが含まれております。
  93. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 相談所は入つていない。
  94. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 入つておりません。
  95. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではあなたのほうが間違つているんだよ、あなたは入つておると……。
  96. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) そうですが、僕は前の四頁のつもりでお答えしたから、訂正します。
  97. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうですか。その他の分が増加した。
  98. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) さようでございます。
  99. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その他の分というと、新規のものですか。そういうカバーするいいものがあるとなれば、相談所のほうの補助率が減るということも我慢できなくはないから聞くのです。
  100. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) ここにありますように、その他の中にこれは含まれているわけです。でありますから、純粋の新規ではございません。従来の系統のもので増加した分があるのです。今厚生省に伺いますと、強制入院の経費とベツドの増加分がここに入るそうであります。
  101. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうしてこの分も交付税のほうで見ることになつていますか。
  102. 楠本正康

    政府委員楠本正康君) 地方負担分交付税で見ることに相成つております。
  103. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからここで、他にも例のあることですから、ちよつと伺つておきますが、これによる地方財政法の十条の一項六号をどういうふうに直していますか、念のためにちよつとお知らせ願いたい。    〔理事青柳秀夫君退席、委員長着席〕
  104. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これはいわゆる補助率を引下げておるだけでございまして、全然これから削除する関係がありませんから……。
  105. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 手を付けないのですか。
  106. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 手を付けておらないわけです。
  107. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからついでですから、第十一条に関係するほうはどういう表現になつていますか。
  108. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) ちよつと……。今の御質問は地方財政法の十一条の意味ですか。
  109. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いやそうではない。この十一条の母子相談員のほうは地方財政法の十条の指示の関係ではどういうようになつていますか。
  110. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは全部母子相議員の分は削りますからして、そうなりますと、削除に相成つております。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 削除になる法案になつているわけですか。
  112. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) これは今回母子相談員の設置の分は全額これを落しまして、地方に廻すことにいたしましたから、削除するということで、地方財政法で改正が行われているはずであります。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで又同じことを繰返すようですが、「当分の間、適用しない。」ということで、地方財政法のほうは消えてしまうものなんですか。
  114. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 地方財政法におきましては、本法の趣旨に対応いたしまして、全然削りつ放しという書き方はちよつと困難でありますので、やはりこれに対応いたしましてれ当分の間ということで一応の提案をいたしました。でありますからして、そういうような提案が地方行政委員会に出ております。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 当分の間適用しないということが附記されたわけなんですか。
  116. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) そういうふうな表現で出ております。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私は又削除になつたというから聞いているのです。では私は十条はよろしうございます。
  118. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 厚生省に関する十条に関して御質疑ございませんか……。ないと認めまして第十一条に移ります。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 第十一条は御承知のように議員立法ですが、この議員立法になつたときは厚生省も大いに側面的にですか、内面的、裏面的にですか、御援助になつたのか、運動したのかおやりになつたそうでありますが、厚生省としては、その当時どういうお考えでこの母子福祉資金の貸付等に関する法律をお考えになつておられたのですか。
  120. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 母子福祉対策というものを要望する声が相当強くありまして、国としても極力何らかの形でこれを実現したいという努力はして参つております。併しこの法律制定は御指摘の通り議員立法でございまして、その際に厚生省としてどういうお願いをしたとかいうふうなことは正式にはなかつたのでございます。
  121. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 全然タツチしておりませんでしたか。
  122. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 私はその当時この地位におりませんでしたので、今の記憶で申上げておるのでございますが、正式には政府はタツチしてないと存じます。
  123. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これが全然当分の間適用せられないということについては、どういうお考えをお持ちですか。
  124. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは母子相談員の人件費などを主とした条文でございまして、大体今までの例によりましても、かような府県の職員に対して国が負担すると申しますか、そういうような場合においては、見ようによつて地方の人事権に国がタツチするようなことにもなりますので、成るべくこういうものは交付金制度のほうに廻して、地方の自主権を尊重したほうがいいのじやないかというような一般的意向が従来からありまして、大体今回これが交付金制度のほうに繰入れられましたのも、大体従来の考えと統一した同じ考えで来ているのではないかと、かように了承しております。
  125. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 母子相談所というものが全国にあるわけですか。
  126. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 母子相談所というものはございません。大体社会福祉事務所、あそこに駐在するというのが建前になつております。
  127. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 母子相談所の経費というものは従来なかつたわけですか。
  128. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) その通りでございます。
  129. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、社会福祉事務所の一般経費で母子相談員に関する人件費以外の経費を賄つてつたわけですか。
  130. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 母子相談、母子福祉の事務はやはり社会福祉事務所の経費で従来やつてつたのであります。
  131. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 全国に社会福祉事務所が何カ所あるのですか。
  132. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 八百二十五カ所でございます。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 八百二十五カ所のうち母子相談員のあるところは何カ所ですか。
  134. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) こちらの指示通りでございますれば、大体そこに母子相談員が一人当てには駐在しておるはずでございます。
  135. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから現在はそれでは八百二十五カ所に全部駐在しておるというのですか、それともその域に至らず何人だけ何カ所におる、こういうことですか。
  136. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 昨年の十月の統計によりますと、実際に配置しましたのは七百八十九人でございます。ですから若干そこにまだ定員との間に差があるわけでございます。併しその後恐らくこちらで奨励しておりまするから、今の感じでは八百二十五人は大体配置されているものと私は考えておるわけです。それからその配置は大体社会福祉事務所を中心にして置けというふうに言つておりまするから、大体府県も社会福社事務所単位に置いているものと私は考えます。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 社会福祉事務所というのは、県内ではどういう基準でどういうところに置いてあるのですか。
  138. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは大変恐縮ですが、社会局の所管でございますから、今直ぐお答えいたしかねますけれども、御承知の通り社会福祉事務所というのは、生活保護法、それから身体障害者福祉法、それから児童福祉法、この三つの法律を施行いたしますために設置せられた地方事務所でございまして、大体全国で八日二十五カ所ございまするから、一県で言いますと、平均二十カ所足らずになりますが、そのうちで市には必らず福祉事務所を置く。それから郡部のほうには大体二郡くらいに一カ所、これは県の状況でございますから、そういう見当で配置されております。市のほうの福祉事務所は市が設置している、郡部のほうの福祉事務所は県が設置している、こういうふうになつています。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、一応は郡に一カ所くらいですか。
  140. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 郡に一カ所まで行きません。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 市のほうと言いましても大きい市はどういうことになりますか。
  142. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 勿論市と申しましても、六大都市みたいに大きなところもございますし、それから小さな市もございますから、市は必ずしも一カ所だけということはないと思います。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは県の設置しておるほうの郡部について考えてみますと、一部当り一カ所というわけにも行かない。それ以上の管轄区域を持つているということが常識だろうと思いますが、そこから見てこれはどういうことになりますか。相談員一人が相談の対象として取扱うのに、その管轄区域はこなすことができるかどうかという問題なんです。それでそれを明らかにして頂くためには、従来置かれたものの一人当りの一年間取扱つている件数等がわかれば、相当はつきりすると思うのですが。
  144. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) お話の通り、必ずしも郡部などにおきましては一郡に一カ所というわけにも行かないと思つております。従いまして母子相談員がそういうところに一人でありましたならば、その母子相談員一人で全部やるということになれば相当に重荷でございます。併しながら母子福祉のいろいろな事務につきましては、母子相談員だけがやるのじやございません。実はこの法律が制定せられます前におきましても、その福祉事務所に配置されておりまする職員というものも当然そういう仕事をやつておりますし、又御承知の民間の民生委員兼児童委員というものが各市町村にこれはたくさん配置されております。そういう人たちの手助けも借りてやつておるわけでございます。そこでこの法律制定の際に、なお母子家庭のいろいろな悩みの問題については、もう少し親身になつて相談する人を置いたらどうかというような御趣旨だつたと存じますが、母子相談員という制度が新たに制定せられたわけでございます。従いまして母子相談員以外にも母子家庭のいろいろな相談に応ずるような態勢にあるわけでございます。それで母子相談員だけとして考えまするということも、なかなか仕事が重荷であるというようなことも聞えますが、さような意味で両者の間に、旧来からある職員との間に連絡を保ちながらやるように、こういう指導をしておるわけでございます。母子相談員の取扱の件数でございますが、これは二十八年の四月から九月末までの一例で申上げますが、当時は約七百五十人ほどの母子相談員で取扱つた件数が十二万二千件、そういうような一応の報告が参つております。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで厚生省当局としては、母子相談員は非常に実績の上がる、効果の上がるものだという御認識ですか、それともまあまあという程度のものだとお考えですか。
  146. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは御承知の通りまだ実際に出発しましてから日も浅いことであります。で、私どものほうといたしましては、これを極力立派なる実績を挙げてもらうように目下いろいろな点からも指導をし、それから会議等を開いたりして府県の指導のやり方についても指導をして行く、又現在はそういうような段階でございます。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 育成強化して行こうという方向にある、そうして又芽が出て来たところだという点のお話で、御尤もだと私らも思いますが、そういう芽を摘み取るように、何ら紐も付かない補助金負担金をやめてしまう、あとは交付税というもので、一般財源のほうでどう使われるかわからないものに任せるということで、母子相談員が現状或いは現状以上に確保できるとお考えですか。
  148. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 先ほど申上げましたように、大体人件費関係のものについては、成るべく地方の自治を尊重するという建前から、交付金のほうに繰入れております。そういう例に大体倣つてこれもやつたわけでございますが、その場合において母子相談員の経費がどこかに使われてしまつて、母子相談員の動きが後退する、こういう御懸念かと存じますが、これは私ども地方をそう何でもかでも疑つてかかるということもどうかと思いますので、やはり或る程度信頼をいたしまして、又同時にかような地方の当局の動きというものに対しまして、やはり一番大きな影響を与えますのは、その地方の輿論と申しますか、国民が母子福祉対策に対してどれほどの関心を持ち、どれほどの動きを示すか、かような点が県政などに反映して来ることだと存ずるのであります。私ども只今までの感じでは、最近母子福祉対策というものがお蔭様で非常に進展して参りまして、世間の関心も高まつておりまするので、仮にこれがどういう地方の自治権を尊重するという建前から、交付金制度に入つたからといつて、直ちに府県でもこれを後退させるような措置はとらないものと私どもは信じており、勿論ただ心配ばかりでなしに、さようにさせないような努力をいたすことは当然でございます。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 一応この八百二十五カ所に一人ずつ置くとして八百二十五人、これの一人当り交付税交付の単位費用は総額幾らになるのですか。
  150. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これは単価は前年度と同様でございまして、相談員手当が年額でございますが、九万円、それから旅費は年額一万円、それからその他の庁費と言いますか、職務を行うのに要する事務費としまして年額六千円、かような積算の基礎で組んでおります。
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 総額幾らですか。
  152. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) 八千八百五万六千円でございます。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが今度地方財政計画に入る財政需要額ですね。それから先ほどお話になりましたが、母子相談員のほかに民生委員なり或いは一般職員もいることだから、共同操作でやつて行くのだから、管轄区域内の未亡人関係のこれらについて、相当の手当ができるというお話でしたが、実情は生活にまで深く食込んで親身になつて世話するというふうな関係から言つて、非常にこの母子相談員は激務であり、又件数も多い。従つてこの今芽ばえて来たこういういい施設をやめてしまう、地方に任せきりにされてしまうということでは、これは育成強化ということについては大きな疑問がある、絶対反対だという先日のこの方面の団体の責任者のかたから強い意見が公述として述べられたのですが、そういう方面の意見も十分参酌した上で、なお第十一条のような形にせざるを得なかつたというわけでございますか。
  154. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) まあいろいろ立場々々で意見は出るものと存じますが、政府としてはこの方針で行く所存でございます。
  155. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで政府としては議員立法というものを如何ようにお考えになつているのですか。
  156. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) これはまあ議員立法であろうと、或いは政府提案の立法であろうと、いやしくも法律として国会の審議を経まして制定されたとするならば、政府は極力その線に沿つて行政をして行くということは当然でございます。
  157. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 立法の趣旨からこういう形にして、これで行かなければこの事業が円滑に推進しないということは当時から十分わかつているはずであります。而も今芽ばえておつて、今後の問題として大いにこれは育成しなければならないという立場で、こういう状態のとき、若しも国会の意思に反して、政府の財政都合であるからといつて、そういうことのためにだけこういう立法措置を講ずるということについて、政府としてどういう御所見をお持ちですか。
  158. 太宰博邦

    政府委員太宰博邦君) いろいろ御見解はあろうかと存じますが、先ほど申上げましたように、この補助職員の人事に関しますような点につきましては、従来とも成るべく地方の自治権を尊重するという建前かと存じますが、交付金制度に入れております。そのために今回も政府としては、そちらの線に沿つてこれを交付金に入れるようにしては如何かと、こういうので実は法律案、改正案を出しまして御審議を煩わしておるような次第でございます。
  159. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ここからは議論になるところで、大臣でないとどうも質疑はやれないと思うのですが、実態が一応わかりましたから、この点はこれでやめておきます。
  160. 松永義雄

    委員長松永義雄君) ほかに厚生省に対する御質疑ございませんか……。ないと認めまして、一応本日は厚生省関係に関する質疑はこの程度にしておきたいと思います。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  161. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて下さい。  次に、運輸省関係の質疑に移ります。政府から運輸大臣官房会課長辻章男君、運輸省鉄道監督局長植田純一君、以上は政府委員、次に説明員として日本国有鉄道厚生局長吾孫子豊君、運輸省船舶局関連工業課長安藤英二君、同鉄道監督局国有鉄道部労政課長鈴木大三君、同じく民営鉄道部財務課長原山亮三君が出席されております。質疑のある方は御発言をお願いいたします。なお運輸政務次官西村英一君が出席せられておりましたが、ちよつと又退席せられたようであります。速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  162. 松永義雄

    委員長松永義雄君) では速記を始めて下さい。運輸政務次官西村英一君が出席されました。
  163. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 どういうわけでこの日本国有鉄道法の一部改正、第十九条のごとき内容の改正をしようとするのですか。
  164. 植田純一

    政府委員(植田純一君) この国有鉄道法によりまして共済組合の事務費が国庫負担ということになつておるわけでございます。運輸省といたしましては、二十九年度予算におきましても、この条項によりまして予算要求を実はいたしたわけでございますが、折衝におきましてこの予算化が認められなかつたわけでございます。実はこの点につきまして従来とも予算化されておりませんで、又この点につきましては、まあいろいろ論議もあるかと思いまするが、いずれにいたしましても、他の公共企業体におきましても実はこういう条項がございませんので、はつきりとこの点につきまして、今回のような改正によりましてこういう従来いろいろ疑義がございました点につきまして、はつきりするという意味におきましてこの改正案が起案されたわけであります。運輸省といたしましては、まあそういうようないきさつがございまするが、従来とも予算化されておりませんので、こういう点につきまして、はつきりする意味におきましてこの点に同意いたしたような次第でございます。
  165. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 法律はつきり規定しているものに疑義があつたというのはどういう点でございますか。
  166. 植田純一

    政府委員(植田純一君) まあちよつと言葉が不十分でございましたが、飽くまでも法律に規定してございます条項によりまして、私どもは飽くまで予算化してもらうべきものであるということは従来の主張でございます。これが現実におきましては予算化されていなかつたのが現状でございます。こういう点につきまして、私どもといたしましては法律の建前上予算化が当然ではないか、かように考えておるわけであります。まあ予算化しなくても必ずしも違法ではないというような解釈もあるようでございます。こういう点につきましてのことを申上げたわけでございます。
  167. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、運輸省側としては予算要求をし、予算化したいと思つてつたというのですから、そのほうの側では法律解釈上は疑義がなかつたわけですね。
  168. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 勿論国有鉄道法の条項を見まして、これは予算化されるべきものであるという解釈を実はとつておるわけでございます。ただこの国家公務員共済組合法が全面的に準用されておりますから、その規定の当然解釈によるわけでございます。国有鉄道法といたしましては、この条文にも明確にございますように、国有鉄道法の解釈といたしましては予算化さるべきものである、かように考えておつたのであります。
  169. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それが予算化されないというのは、疑義がある向きがあつて予算化されなかつたと、こういうことですか。
  170. 植田純一

    政府委員(植田純一君) この点につきましては、政府部内におきまして大蔵省との折衝におきまして話が合わなかつたわけでございます。まあ政府部内の解釈におきましても、必ずしも違法でないという解釈もあるようでございます。かような意味におきまして、私どももこの法律の解釈につきまして多少はつきりしない点が実はあつたことも事実でございます。
  171. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私たちはそういうことに巻添えを食いたくないからはつきり聞いているんですが、先ほどはあなたは予算要求すべきものと考えている、国有鉄道法によると、これは予算要求するべきものと考えておるという点は、いわゆる解釈上疑義があなたの側においてはないということを明確に御答弁になつたものと考えて、私次にお尋ねしたわけです。そこで政府部内なり、どこなりで疑義がある点があるということを肯定しましよう。してもいいが、今の御答弁だと、又あなたのほうも疑義があつたような話なんですが、それでは私たちにはさつぱりわからんので、先ずあなたたちのほうの建前はどうだ、もう一回開き直します。
  172. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 勿論国有鉄道法の条項によりまして、予算化さるべきものであるという考えに基きまして予算要求をしたわけであります。
  173. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、運輸省並びに国鉄公社等においては解釈上の疑義はない、これが正当である、そういう措置をとるのが正当であると今でもお考えになつておられますか。
  174. 植田純一

    政府委員(植田純一君) そういうつもりで予算要求をいたしたような次第でございます。
  175. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、政府部内で疑義があるというのはどこですか。
  176. 植田純一

    政府委員(植田純一君) 実は運輸省といたしましては、先ほど申しましたような立場で要求いたしたわけでございます。現実予算化されておらない、予算化されなかつたわけでございます。従いまして、こういう点につきまして、法律の適用におきまして法律に反するのではないかというふうな実は考え方も起きたのでございますが、必ずしもそうでもないという解釈もあるということを申上げたわけでございます。その点は現実におきまして予算化されておらないのをどういうふうに見るかと、こういう点であります。
  177. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、予算化されておらなかつたということは、解釈上予算化しなくてもいいという考えが政府の正規の考えであつて予算化されなかつたというのか、財政の都合で予算化されなかつたというのか、たまたま忘れておつて脱落しておつたというのか、そのうちのどれですか。
  178. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 日本国有鉄道法が制定になりまして現行法では政府負担になつておるということは明文化されておるわけでございますが、従いまして運輸省といたしましては、これは当然予算要求をやる。併しその間のいろいろ折衝におきまして、他の公社等につきましては、共済組合の事務費は政府で持つておらないところもあるからということで、大蔵省との間にいろいろ交渉が行われた、過去においてずつと、二十三年公社ができましてから交渉が行われて来たのでありまするが、まあこれは大蔵省に責任をなすりつけるわけではございませんが、相談の結果、調整権は大蔵省にあります。従来この事務費を政府から出していなかつた、まあこういうふうになつて来たのでありまして、慣行と申しますと、甚だこれは悪いのですが、そういうような経過を辿つておるのであります。今般の改正はそういうことは不都合であるからということで、大蔵省との間に合意でこれを改正をお願いしたい、まあかようになつておるわけでございます。
  179. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今度改正になつた理由として、従来やつて来たような措置は不都合であるから、それで改正をしてはつきりしたものにしようと、こういうことですか。
  180. 西村英一

    政府委員(西村英一君) さようでございます。
  181. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そういう不都合なことを誰が……。不都合だと政府が認定しながらも予算化しなかつたことこそが不都合じやないか。うまくないことだということは御認識になつてつて予算化しておらなかつたということであるならば、これは政府として義務違反じやないですか。
  182. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 只今も申しましたように、運輸省としては要求はいたしておつたわけでありまするが、大蔵省との折衝におきまして、そういうふうになつたのであります。
  183. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから大蔵省との折衝でそうなつたにしても、そうなつたことを不都合だと政務次官は御認識になつておられる。政務次官は政府です。政府として御認識になつておられたからこういう改正法案を出したのだと、こういうことであれば、それは過去において、吉田内閣は法律を厳格に執行するということにおいて義務違反だ、怠慢であるということになりませんか、義務違反というよりは憲法違反じやありませんか。憲法では、政府も或いは国家公務員も法律がどういうふうにされなけりやならないかということは明記されておる。国会の立場で私はそういうことをお尋ねするのです。
  184. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 只今も申しましたように、運輸省といたしましてはこの法律に基いて折衝はする。大蔵省との折衝の過程においてそうなつたのであります。併しそれは又予算上の枠でやるということでございますので、これはまあ不都合と言えば不都合であるというふうに解釈できるのであります。そういう不都合を直そうということでございます。
  185. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 不都合ということは法律違反だということと同義語ではないですか。
  186. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 法律違反をしておつたというわけじやないと思います。
  187. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 運輸省側が予算を出さなくちやならん、組合の事務に要する費用の全額は政府がこれを持たなければならない、こう考えておつたという、そう考えておつたあなたのほうから言えば、それは取りも直さず予算化しなかつたから法律違反というお考えを持たなくちやならんじやないですか。
  188. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 大蔵省との折衝の経緯を私から簡単に御説明申上げようと思います。
  189. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ちよつと待つて下さい。折衝の経緯や技術やで私はものを言つているのではない。そういうことでものを言つているのじやない。予算化すべきものと心得る運輸省側の考えがあるなら、その考えの成立つている基礎は予算化しないという状態においてはそれは法律が履行せられない、法律違反であるという御認識がおあり一になるだろうとお伺いしておるのです。政務次官に聞いているのです。
  190. 辻章男

    政府委員(辻章男君) その結論を申上げますと……。
  191. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 政務次官に聞いておるのです。あなたに聞いてはいない。
  192. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 私只今申上げましたように、予算範囲内でやるということでありますから、まあ法律違反ということじやなかろうと、こう思つておるわけでございます。大蔵省との折衝においてそうなつたのであります。
  193. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 予算範囲内になれば出しても出さなくてもいい法律だと、こういう御認識が運輸省におありになつたのですか、又遡つてもう一度お聞きしたい。
  194. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 運輸省といたしましては要求はいたしたようなわけであります。
  195. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 要求はしましたが、それが予算化されないということも、それは予算範囲内なんだから仕方がないことだ、法律には違反していない。そういう解釈をこの五十七条第一項というもので運輸省も解釈しておられたのですか。そうして取れるものなら取つてやる、取れなかつたら仕方がない。こういう予算範囲内だという御認識を例年持つておられたのですか。それなら先ほどの監督局長のお話とは私は違うと思います。
  196. 西村英一

    政府委員(西村英一君) 調整権が大蔵省にありますので、いろいろ折衝しましてそうなつたということを私は申上げておるのであります。
  197. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これは予算範囲内で適宜斟酌して出したり出さないでもいいという筋合ではない。運輸省としては法律に明記されている通り費用の全額を政府が持たなければならない、こういう建前にあつて、而も折衝してものにならないから仕方がないと泣寝入りをしておつただけだ、こういうことなんですか。
  198. 西村英一

    政府委員(西村英一君) まあそういうことになるかも知れません。
  199. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これはくどいようですけれども、結局運輸省としては法律に明記されておる予算範囲内などということを言う筋合でなくて、明記されている通り全額負担しなきやならんものだ。だから予算化してくれという建前で例年要請しておつたけれども、大蔵省の見解或いは財政等の都合で切られて来ておつた現状である。今でも運輸省としてはそういう態度には変りがないけれども予算化される見込みもないからこの際明らかにこれは取外してしまう、真意はそこにあつたというふうに了解してよろしうございますか。
  200. 西村英一

    政府委員(西村英一君) さようでございます。
  201. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは大蔵省として、これは予算化しないということになつたその折衝の経緯を、会計課長先ほど答弁されるような様子でしたが、答弁して頂きたい。特に大蔵省側の見解、この法律に対する解釈というものを的確によくお知らせ願いたい。
  202. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 運輸省の見解は先ほど鉄道監督局長が申した通りであります。そういう法律解釈に基きまして予算要求をいたしたのでございますが、大蔵省側の御見解としては、必らずしもこの法律に基き義務費的に国が持たなければなければならないという……、持たなくてもいいという解釈も成立ち得るということが第一点。それから第二点といたしまして、これは法律解釈問題ではございませんが、専売公社、それから電々公社の共済組合の事務費につきましては国庫から負担をしていないという、何と申しますか、バランスの問題、その二点からこの予算に計上することはやめてもらいたいということで、まあ私のほうも了承した次第でございます。
  203. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 只今二つお挙げになつた理由のうち、後者については、これは単に政府部内の便宜的な考え方なのであつて、この法を左右する何らの根拠がない、この法律予算化することを命じておるものとすれば、そんなことは問題にならない。問題になるのは前者の部分でしよう。その前者の部分の解釈というものは、そういう解釈も成立ち得るというこの根拠はどういうところにあると大蔵省はおつしやるのですか。
  204. 辻章男

    政府委員(辻章男君) まあ予算折衝の時期になりますと、法律解釈の問題よりも、何と申しますか、現実予算化されるかされんかという点に頭が主に働らいておつたものでございますから、私どももただ大蔵省の省議その他の解釈が、統一された大蔵省の正式の見解としてそういう見解だということで、その明細は伺つておりません。
  205. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは二十六年以降予算化されておらないという実情にあるようですが、そういうことは法律の解釈の問題でございますが、次官会議等まで持出して統一的な見解を政府として二十六年度において持つたことがありますか。
  206. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 私二十六年の五月から会計課長をいたしておりますが、私の在任中におきましては、お話がございましたような、次官会議等において法律解釈を統一したような事例はないと記憶いたしております。
  207. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 では運輸省としては、過去三年間この解釈論について統一的な見解を政府として打出すべきであるという努力をしたことはないわけですか。
  208. 辻章男

    政府委員(辻章男君) まあ例年予算の時期に予算要求すべきかどうであるか、どこまで突張るかというふうなことにおきまして部内でそういう議論をいたしまして、大蔵省に折衝はいたしておりますが、それ以外には特にこの問題について法律解釈をどうすべきかというふうなことはなかつたと記憶いたしております。
  209. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、政府部内において幾多の解釈や論議がある中で、予算折衝というただその一点にだけにかかつて、この法律の条項が無視されて来たという経過であるというふうに了解してよろしうございますか。
  210. 辻章男

    政府委員(辻章男君) 先ほど申上げましたように、運輸省といたしましては、これは当然出すべきじやないかという解釈でございますが、大蔵当局のほうでは必らずしもそこまで義務的に考えなくてもいい解釈が成り立ち得るということでございまして、私といたしましては、どちらが正しい判断であるか、今のところちよつと自信がございません。
  211. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 解釈が政府部内において未だ統一的に出ていない、まちまちな状態である。又現在の状態においてもまちまちである。こういうような形で大蔵当局がこの支出を肯んじなかつたというようなことであると、大蔵省というものは国会や何かよりも非常に大きな権力者であるというふうに私たち受取らざるを得ないのですが、私大蔵省というのはそれだけの権力者でもあるわけでないし、それだけの権限を与えられているものとも思わない。法律はたつた一つ法律を守る義務は政府並びに公務員も与えられておる。で、どうも今のお話を聞いても私は腑に落ちない、この点は……。それで義務的に支出しなくてもよろしいという見解が成り立ち得るというその解釈がどこから出て来るのか、それを大蔵当局にお聞きしたい。
  212. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 私から申上げます。まあこれにつきましては、一応従来の経過を御説明した上でないと十分御納得が行かない点があると思いますが、御承知のように、昭和二十四年の六月からいわゆる国鉄が従来の特別会計が公社に変つたわけであります。二十三年に国鉄公社法ができまして、その公社法を二十四年の六月から施行する、こういうことになつてつたわけであります。従いまして、その二十四年の六月以降の予算には、若しもこの負担金を負担すべしということが確定いたしておるものでありますれば、当然予算要求があり、予算が計上されて然るべきであつたわけでありますが、私も過去のいきさつをつまびらかにしませんが、調査いたしますと、二十四年に国鉄公社が六月に発足したときから一度も予算が今日まで載つたためしがないのであります。それでその間運輸省におきましても、御要求があつたのが二十六年度と今度の二十九年度の二回でございます。その間においては要求自体がすでになかつた。国鉄の公社法が発足し、公社が発足したその目からすでにこの予算というものは計上されておらないわけであります。それで勿論政府といたしましては、忠実に憲法並びに法律を実施する義務を背負つているわけでありますからして、いやしくも法律蹂躪するというような予算の計上のいたし方というものは考えられないのであります。或る一定の解釈に立つて、まあこれならばいわゆる法律の違反にはなるまいという一定の解釈に立つて今日まで予算が取扱われて来ておるはずなのであります。それで二十九年度に運輸省からこの予算要求がございました。それで実質論といたしましては、いわゆるひとしく公社でありながら、専売公社並びに電々公社につきましては、かかる規定がございません。司令部時代には一体どういういきさつでその公社等の制定がなされたのであるか、つまびらかにいたしませんが、そういうような関係で、従来から大蔵省といたしましては、実質的なバランス論から当然国鉄だけにこの共済組合の事務費を面倒見てやる必要はあるまい、こういういわゆる実質論としての意見予算論としてあつたわけでございます。それで、併しながら二十九年度の予算を編成いたします際に、やはり運輸省としましては、只今お話がありましたように、この規定に基きまして一応の要求がなされて来たわけであります。然るにすでに公社が発足いたしましてから、一度も計上されておらないという事実と考え合せまして、従来の解釈というものは、即ち国鉄法の五十八条並びに五十七条によつておるわけでありますが、その、五十七条、五十八条は国家公務員共済組合法の六十九条を採用いたしております。そうしてその第二項によつて、これらの経費予算の定めるところによる、こういう規定があるわけでございまして、これらの一連の規定によりまして、一応解釈といたしまして、やはりこれは予算で定めるのである、即ち予算に委任されておるのであるからして、予算においてこれを零にすることも可能であるという解釈に立つてこれをやつておるものというふうに、まあ私どもも考えておるわけであります。これはまあ法制局等にも確かめましたところが、そういう解釈は可能であるというお話であります。まあ併しながら運輸省のお立場もあり、運輸省としてはこれによつて要求をなさる、現に二十九年度も要求されたわけであります。そういうような解釈上疑義があるようでは困るので、少くともこの二十九年度の予算編成の際には態度をはつきりすべきではないかということの考え方に基きまして、他の公社並みにこの規定を削つてほしいという申入をいたしまして、今回この法律に合せて御提案申上げた、こういうわけであります。
  213. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 二十四年以降載つておらない、予算化されておらない、或いは二十六年に予算要求があつたが、その後予算要求がない、そういう過去の事実が予算化されておらないからということで、本年法制局等の意見も聞いて解釈的に予算化しないことも成り立ち得る、こういうふうになつて来て、今度は明文化しようという話のようですが、非常にそういうことになるとインチキだと思うのです。過去においてはそういう解釈等ははつきりしておらない。はつきり解釈がしておつて予算化されなかつたのではない、公社発足以来予算化されておらない。だからここに二十六年に要求があつたときにも、まあそれを蹴飛ばして予算化していない。恐らくあなたがおつしやるような、法律を忠実に守るという建前であるならば、少くとも二十六年度において一回そのチヤンスはあつたわけですね、解釈を統一するチヤンスは……。そうしてそのことも成り立ち得るという見解を政府として統一するチヤンスはあつたわけです。従つて大蔵省側の解釈が昔からそういう解釈だということであるならば、運輸省として二十九年度突如として予算要求するわけはない。だからただこういう十九条でやめてしまうということになつて来て、国会の論議等も起つて来て、いろいろその解釈上の疑点を聞いて、それでよろしいということになつたのではないのだろうか、私はそう思う。この間大蔵大臣に質問した場合にも、びくつとした、あとでほつとした、こう言うのですから、その点は明々白々だと思う。要するにあなたが予算化されてなかつたから、予算に載つてなかつたからというふうに、過去の事態として客観的にお述べになつてつたけれども予算に載つていなかつたというのは、これは能動的に言うならば、大蔵省としては予算に載せなかつたんですよ。まあひと事のように載つてなかつたからなんというのは話がおかしいじやありませんか。予算というものだから零銭でも、零円でもいいんだという、そういう解釈というものは二十四年以降政府部内にあつたのですか。今年そういう解釈が初めて統一されたのですか。この法案提出に当つて実態論の上からだけ、他の公社等のバランスその他というようなことでこの予算化を抑えて来たというのが大蔵省の実情ではないですか。
  214. 佐藤一郎

    政府委員佐藤一郎君) 私もその過去のいきさつは詳しく存じませんが、勿論法律がありまして、それから現に運輸省、国鉄においてもこの規定があることを知つて今日まで来られておるわけであります。それでその都度やはりそういう解釈上の問題で論議があつたものと思いますし、毎年あつたか、或いは或る年は前の年の経過で諦らめてしまつて議論が出なかつたかは別といたしまして、それから又或いはこれの非常に次官会議或いは閣議のような段階まで行つたか、或いは事務当局同士の話合のその場において出たか、そこらのところは必ずしもつまびらかでございません。おつしやつたような見解も成り立つものと私も考えますが、少くとも本日までにこういう規定が前提になつて、そうして行為が起されておるわけでありますから、これについての論議に伴つてそういう議論が出たことと思います。まあ私どもはおつしやいますように、これについては運輸省からも一定意見が出てはおるわけでありますから、そういうような意見が必ずしも合致しないで議論が出るというようなことでも困ります。そういう意味で以て今回これを改正いたしたい、こう思うのであります。まあ成るほど過去において、いわゆるその解釈が妥当であつたかないか、いろいろ御議論もあることと思いますが、何分にも今日までそういう状況であつた。一方においてこの経費負担を一般会計がいたしません。半面におきましていわゆる国鉄の予算自体において、国鉄がこれをみずから負担するという予算が本日まで同様にずつと議決されて参つたわけであります。勿論これは細かい審議がなされなかつた。国会においてお見落しがあつたということはこれは勿論あり得るわけでございます。その前に事務当局がこれについて十分の措置をしなかつたじやないかということになるかも知れませんが、まあ過去の問題については、いわば国鉄自身がそういうふうに負担するということで本日まで参つて来ておるわけであります。非常に解釈上無理な解釈ではないかという御議論が出て参ることについては、私たち自身も一面非常に御尤もだという感じを持つております。まあ今回これを、この経費を落します際には、そういうような解釈上の無理であるという指摘を避けたい、疑義を避けたいという、こういう意味で以てまあ御提案を申上げたわけでありますからして、その点は一つ御了解願いたい、こう思うのであります。
  215. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 従来の解釈が無理であるというような点もお認めになつて今回立法上明らかにしようせられたという御答弁の半面は、無理な解釈、疑義のある解釈等を以て法律を忠実に守ることを怠つたと客観的には言わざるを得ないと思いますが、又国会もこの法律が忠実に履行せらるることについて、監督すると申しますか、監視する面においてこれは不十分であつた。我々にも予算化されないのをそのまま認めておつたという不明な点もありますから、これ以上事務当局同士には申上げませんが、併し私の直観ですけれども、各省の要求というものを、随分無理な解釈をしてまで財政当局というものは抑えるということになれば、強引に抑えるものだと考えて敬意を表せざるを得ない。まあ事務当局には十九条はこの程度にして置きます。
  216. 松永義雄

    委員長松永義雄君) ほかに御質疑がございませんければ、順次お進めして頂いても結構であります。  ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  217. 松永義雄

    委員長松永義雄君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ、本日はこれを以て散会いたします。    午後四時八分散会