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1954-08-20 第19回国会 参議院 文部委員会学校給食法案に関する小委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月二十日(金曜日)    午前九時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     剱木 亨弘君    委員            吉田 萬次君            竹下 豐次君            高田なほ子君            相馬 助治君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門     員       工楽 英司君   説明員    文部省管理局学    校給食課長   岩倉 武嗣君    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    食糧庁業務第一    部長      伊東 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○学校給食法案永井純一郎君外六十  七名発議)   —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは学校給食法案に関する小委員会只今から開会いたします。  本日は学校給食法案に関しまして厚生省環境衛生部長楠本君に来て頂いておりますので、先ず学校給食法案の実施に関しまして厚生省としての御意見を最初に伺いたいと思います。
  3. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 厚生省といたしましては、かねて当委員会におきましてもいろいろ御説明を申上げましたように、学校給食法というものは、学校給食厚生省がかねて意図いたしております食生活改善というようなものに対する最も実践的な基盤を作るものとして全面的に賛成であることは申すまでもございません。従いまして、今後も厚生省立場でできますことならば何なりとお手伝いしたい、かような気持でおることには変りございません。ただこれは過日も申上げた次第でございますが、現在御審議中の法案そのものにつきまして勿論極めて進歩的な、画期的なものだと敬意を表しておるのでありますが、ただ一、二具体的に御研究願いたい点を申上げてみたいと存じます。これは勿論併し厚生省立場でございますから、そのような気持でお聞取りを願いたいと存じます。  先ず現在食生活改善として最も考えなければならん点は、粉食の問題、粉の問題よりも、むしろこれに伴う副食の問題が最も大きい点だと存じます。副食の手当さえ或る程度見通しがつけば、自然に食生活改善はできて行くものと考えております。さてこの副食の問題として考えなきやならん問題は、何といつて牛乳乳製品基盤であると存じます。勿論そのほかにいろいろなものはございましようが、とにかく牛乳乳製品というようなものが一つの有力な基盤であるということにはこれは変りないと存じます。ところが、現在日本酪農、かようなものは極めて不安定な状況にあるわけでございまして、例えますれば本年当初、或いは昨年暮あたりから食生活改善ということが或る程度問題になつて参ります。それに引続いて牛乳消費も殖えて来る。またたくまに農村原料乳買取価格が上つて来て牛乳がたくさん出廻つて来る。と同時に、農村牛乳原料価格が上りますればどんどん牛が殖えて行くという傾向がありました。ところが最近はこれ又或る程度頭打ちをいたしましてむしろ牛乳はあり余り、或いはバターその他の乳製品があり余る現状に至りまして、その滞貨の処理すら困つている現状でございます。従つて農家に対する買取価格というものはどんどん低下しつつあります。それに引続いて折角殖えかかつた牛というものがだんだん減りつつある傾向さえ見えるのであります。これを数字的に申上げますと、本年の当初は約七円程度原料乳価格でありましたが、併し関東地方等においては恐らく来月、再来月頃になりますと四円程度になるのじやなかろうかと考えております。従つて極めて不安定な現状にありますために日本牛乳増産というものはなかなか軌道に乗つて参りません。そこで私どもはかねて何かこの牛乳というものの需要を調節する一つ意味手伝つて学校給食生乳を一部お取上げを願いたいということを先日の当委員会でも申上げた次第であります。勿論価格の点になりますと大分差がございます。例えば一合四円といたしましてもかなりの差等がありますが、併しながらこれらの問題はあとは工夫の仕方によつて解決のつく問題でもあります。又折角牛乳が、脱脂粉乳が高い外貨として流れて行く代り生乳を使うことによつて、むしろその外貨となつて流れるべきものが農村に落ちて、それが又酪農振興に資して行くという循環をいたします。従つてこの辺は政策としてお考え頂きます場合には、どうか脱脂粉乳に偏らず幅を持つてお考え頂きたいということが率直な気持でございます。  なおもう一つ申上げたい点は、現在私ども学校給食法に著るしく大きな期待を持つておりますのは、食形式を逐次改めて行く最も合理的な訓練の場であると、かように考えておるからであります。そうなりますと、勢い日本の真の将来あるべき食形式というものを学童訓練して行くという考え方でなければならんと存じます。従つてどものこれ又かねてお願いをいたしております点は、法律と申しましようか、その中に何らか一つ食形式の基準というようなものをそれぞれ地方実情によつて定めるようにでもして行つてはどうだろうかと、かような趣旨をかねて文部省にもお伝えをしておつたわけであります。この一例を申上げますと、日本食形式の最も一つの険路というものは、主食余りにも厳格に考え過ぎる点にあることは申すまでもございません。米でなければ食べたような気がしないという一つ考え方、これは同時に同じように麦でなければ食べた気がしないという気になつても又行過ぎというものでありまして、やはり主食というものにもつとバラエティを持つて考える、例えば米も主食として十分に主食らしく感ずる、場合によつては麦でもよし、とうもろこしでもよし、いもでもよしというように主食の範囲を広く考えることが極めて大事であろうと存じます。現在のように粉食、これは勿論結構でございますが、併し将来仮にも粉食偏つてもこれ又主食が非常に狭い視野で眺められる、こういう結果になりますので、私どもといたしましては特にこの主食というものの考え方を米でもよし、麦でもよし、うどんでもよし、いもでもよし、豆でもよし、とうもろこしでもよし、それぞれ地方実情に応じ、又その時期の状況によつて考えて行く、かような考え方が必要かと存じます。由来私ども各国主食状況をいろいろ調べてみますると、各国ともこれは主食偏つて考えているところは一つもございません。例えばアメリカのような豊富な国においても、場合によつては御承知のように米も主食代りになるし、とうもろこし主食代りになるし、いももなるし、勿論小安もなつておるわけでございます。さようなわけで、もう少し食形式というものの合理化という点を何らかの形において御研究を願いたい、かような趣旨でございます。なお私先般も当委員会で申上げたわけでございますが、日本で今私ども間食として消費いたします菓子類は二千億を突破いたしております。ところがこれ又一例でございますが、諸外国においては菓子という観念も、やはりこの食事観念の中に包含されております。ところが日本におきましては間食菓子というものと、おやつというものと我々の食事というものは全く切離された恰好になつておりますので、強いて言えば二千億という、二千億余り消費というものが直接食生活に響いて来ないという一つの大きな欠点を持つております。これらの点につきましてもやはり学校給食訓練の場とするならば一つお考えを頂いていいことではなかろうかとかように考えます。  それから第三点は、これは甚だこの厚生省式らしい一つ考え方になるかも知れませんが、現在例えばこの栄養的な見方或いは食品衛生的な見方というようなものは、これはまあ国の経費の足りない点もございますが、もう少しくこの点に一つ御留意頂きまして、少くとも大きな学校給食施設というようなものは、食品衛生の点から申しましても或いはいろいろ栄養的な調理の面から申しましても、一つ施設として充実したものが欲しいという気が、これは慾というものではありましようが、気がいたすのであります。併しこれも余り贅沢になるというようなことは日本食形式訓練の場にふさわしくありません。これは勿論最小限にとどめなければならんことは申すまでもございません。これらに関連いたしまして施設面と同時にこれに従事する職員というようなものを、必ずしも栄養士というような狭い考え方でなくても結構でございますが、何らかこれに関与する職員というようなものの制度もお考え頂きたいと存じます。と申しますのは、従来学校給食ではかねて遺憾ながら学校給食を通じていろいろ食中毒等も出ております。或いは学校給食に従事する人たちがたまたま保菌者であつたために赤痢が流行するというような例も甚だ遺憾ではありましたが、実在しておるわけでございます。かような点を解消する意味におきましても、この点にも若干の御留意を願いたい。  以上三点を申上げましたが、勿論私どもはいずれにいたしましても学校給食というものが、今後日本食生活改善の大きな基盤として重大な問題であるということはよく了解をいたしておりますので、今後何なりとお手伝いをいたして参る立場にありたい、かように考えておる次第でございます。
  4. 須藤五郎

    須藤五郎君 昨日文部省関係とそれから農林省関係の話を開いたのと、今日厚生省関係お話とは大分気持が違つている。厚生省関係の話はやはり私たち気持に近いと思うのです。非常にそういう感じを今受けたのですが、ちよつと今話に出ました牛乳値段の点ですが、私たちもやはり生乳を使うのがいいという見解です。今日本牛乳生産が安定しないという原因がどこにあるのか、もう少し話を聞かして下さい。
  5. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は先ほども申上げましたように、つまり甚だ悪い言葉で申上げますと、現在日本では約年間三百七十万石が消費されております。一日約一万石と考えて頂けばいい。ところがこのうち約八〇%余りはいわゆる乳業四大会社というものによつて支配されております。従つて殆んど日本酪農というものは自主性のない立場に置かれておると言えると思います。こういうことは言つていいかどうか私もよくわかりませんが、まあ実情はそうです。従つて価格の安定というものがなかなかむずかしい実情にございます。例えば本年の当初は七円もしたものが半分ぐらいに下るということは容易に考えられることでございます。従つてやはりここにまあ一方酪農農家自主性の足りない点もありましようが、高くなるとそれ牛を飼え、安くなるとやめたというようなことになつてしまつて、そこに一つ自主性のない点もあろうと存じますが、一つ価格問題というものが、番一つの問題だ。それから第二は、現在日本の牛が何と申しましようか、非常に価格が割高についておるわけです。まあ二十数万円もする、従つてこれを農家として乳牛だけに何十万円もする牛を殖やすことはなかなか困難の実情でございます。ところが最近私どもがいろいろ試験的に実施いたして見ました結果は乳牛でも十分とは申されませんが、役牛として役立つことが逐次わかつてつております。従つて我々の立場からいたしますと、勿論集約酪農ということはこれは結構でございます。これは勿論やらなければいけませんが、同時に現に日本に約二百万頭おります役牛の一部を逐次乳牛に切替えて、乳もとれば畠にも出す、かようなことがやはり農家経済に寄与する点、延いては酪農を奨励する意味になるのではなかろうか、特に現在東北地方或いは寒い地方におきましては役牛稼働日数というものは四十日を越えません。従つて役牛というものは肉牛としての価値はございますが、役牛としては極めて非生産的なものなんです。従つてこれを乳牛に一面切替えれば働くときに働いて、そうでないときには乳を出すというようなことで、而も飼料も無駄にならない、こういうようなことになります。同時に役牛よりは乳牛のほうが堆肥原料としてはこれは御承知のように優秀でありますので、肥料問題も解決して来るという好循環を来たすと思います。ただ役牛や馬に比べますと、乳牛はどうしても能率の点で多少落ちる点がございます。この点はやはり農村機械化というようなことを多少織り込めば、優に、馬、役牛程度のことがなし得られる、かように考えております。従つてども農林省が今主張しておられますような集約酪農、これは勿論結構でございますが、同時に逐次日本役牛の一部を乳牛に切替えて水田酪農或いは平地酪農というようなものを逐次進行して行くというようなことが、一方では酪農を安定させる一つの途じやなかろうかと考えております。
  6. 須藤五郎

    須藤五郎君 私ども地方へ視察に行つたときに感じたことは、日本酪農が折角牛を飼いながらそれがいわゆる明治とか森永とかいう、そういう大きな会社の操作によつて常に牛乳値段が叩かれる、それで算盤が合わなくなるので、結局牛が飼えなくなる、そういうことを実は聞いたわけなんです。それを防止する方法として政府のほうで何かうまい手を考えているかどうか、昨日も話に出たのは今日日本菓子製造に使う牛乳を半減すれば、そうすると学校脱脂牛乳代り生乳が使えるのじやないかという意見吉田委員から出まして、若しもそれが本当に可能ならば、これはやはり考えて見なければならん問題じやないか、そうすることによつていわゆる大きな菓子会社牛乳値段を操作して、そうしてそれで農家をいじめるというようなこともできなくなるし、そうして農家も助かり学童栄養の面から非常にプラスになるということになれば、これは政府としても又国会としても本当によく考えてみなければならん問題ではないか、私はそう考えるのですが、どうですか、何か政府のほうで施策を考えておりますか。
  7. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は全く御指摘の通りでございまして、私どももかねてこれらの点はいろいろ研究をいたしておりますが、なかなかむずかしい点がございます。従つてむしろむずかしい点を一、二申上げてみたいと存じます。現在東京都内牛乳が十六円、消費者価格であります。これが明治森永等メーカーの出しておる価格は十円四十銭です。従つて五円余り、六円近い金が小売マージンとしてとられておる。従つて先ずこれくらい、何というか、マージンの多い商売はない、これを一つ何とか改善したいと考えております。ただこれは明治森永も必ずしもさような小売にしたいというわけじや。ございません。私は牛乳店頭販売をやれ、もう酒屋だろうがパン屋だろうが売らせろ、そうすればずつと下る。ところがそこで困る点は、やはり従来いろいろな大きなメーカーの品物をとつて、いわゆる小売している牛乳配達業というものが相当な売掛金があるわけなんです。明治森永等に対して二、三カ月の売掛金をみんなどこも持つておる。従つてこれに若し逃げられでもしようものなら先ず明治森永はやつて行けないという苦境に立つわけであります。それから一方これを何かもう少し手を着けたいと思いますが、なかなかこの辺はいわゆる昔からの地盤を持つておりまして、配達地区地盤が、例えば千軒配達する地域というようなものが、これが何十万円という金で、権利が売られて行くような実情にあるわけです。従つてこれに手を着けるということはよほどの決心と申しましようかを持つてかからなければならないという点が一つございます。従つていわゆる明治森永というようなものは割合に安く出しておる、そこに小売問題に一つの問題がある。それからもう一つ問題点は、私はむしろ酪農地帯においてはどんどん余つた街頭販売でも何でもしたらどうか、こういうことを主張いたしておるわけであります。併し何分にも牛乳消費というようなものは、やはり現在においては都市が大部分なんです。従つてそんなら一体酪農牛乳街頭販売か何かして、それで都市の或る程度需要が充たし得るものではありません。これはとてもできないという見通しです。これが一つつた点です。  それからもう一つ、現在は極めて小規模な牛乳施設は、これは厚生省としては成るべく認めたくないという立場を従来とつてつたわけです。いわゆる低温殺菌というものを固執しておりました。それでどうしてもそういつた小さな処理業者というものが成り立たない。これは勢い小さな処理業者が成り立たないからして、逆にこれは原料乳供給者に転落して行く、こういうような結果になりつつあります。これらの点も私どもは今大いに改めまして、高温殺菌でも認め得る方法に改めまして実際にいたしておりますが、併しその点は解決するとしてもなかなか都市消費をどういうふうに賄うかということになると、なかなかこれはむずかしい問題だと存じます。併し根本的には日本酪農というものが先生がおつしやるように大きな都市の資本に従属した姿になつておるというところが問題だろうと存ずるわけであります。併し一方では私もいつも酪農方面にも言うのですけれども、これは農村方面の自覚と申しましようか、力も足りない、工夫も足りない点もあるのじやないか、こう考えておりますが、甚だ具体的なことを申上げて申訳ございませんが……。
  8. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。
  10. 須藤五郎

    須藤五郎君 ちよつと伺いますが、酪農のことでもう一つ問題になるのは運搬の問題ですね。現在消費は大体都市で、都市まで運搬して来ることに非常な不都合があつて集荷所をこしらえて、それからトラックで運搬してやつて来るのです。私の友人もやつているのがあるのですが、殆んど皆失敗しているのですね、必ず失敗して破産をしているのです。そうすると一番の問題はやはり運搬の問題、それから大きな商社から買い叩かれて、早晩危くなつて破産して行くというような問題があるのですが、やはり運搬ども、もう少し政府のほうで実際援助をすることが私は必要になつて来るのではないかと思うのですが、それがまだやられていないという点に問題があるのではないかという点が一点。  それからこれは文部省にも聞きたいのですが、精製乳が九月、十月になると一合四円くらいに下るということが言われておる。そうするとこれは若しも六百五十万の学童がこの精乳をずつと一年を通じて使用するとなれば、日本精乳価格というものは安定するだろうと思うのですが、そのときにはどのくらいの値段精乳価格を安定させ得るものか、牛乳一合に対してその価格と、脱脂ミルク使つた場合のやはり同じ容積、分量なら分量価格の差というものはどのくらいの比率になるのか、ちよつと伺いたい。脱脂ミルクー合価格はどのくらいになるのですか。
  11. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) ちよつと申上げますが、脱脂粉乳二十二グラムを一合に溶かすという建前であります。そこでその値段は普通の市場価格で行きますと、一昨年あたり買付けましたときに大体ポンド七十五円、そうしますと一食分が三円八十銭見当になります。そこでその後米国の余剰農産物政府が保有しておりまして、これを日本政府との契約によりまして最近買つておりますが、これは大体市場価格の三分の一見当になつております。従いまして現在は多少高目のものも買うことを予想しまして、ホンド七十五円だつたのを四十円で出しております。これは府県渡し四十円でありますから、学校のほうに行きますと、多少高くなります。学校では大体二円二、三十銭見当で現在飲ましておるものと考えております。なおこの価格につきましては今後安くできることになるだろうというように考えております。そこで市販といいますか、国内産ミルクを昨年あたり使つておる状態を調べたことがございますが、大体六円から七円見当価格で使つております。さてこの価格が今後どうなり事か、いろいろ私も聞いておりますけれども、明確にお答えできませんが、又従つて今後どういうふうに安定するかという見通しにつきましてもはつきりいたしませんけれども、ただ絶対量が足りるかどうかという問題にかかつて来ると思うのです。で、先ほど楠本部長からもお話がありましたように昨年の生産総量は三百七十万石と聞いております。そこで今年は四百五十万石であろうという推定を伺つておりましたけれども、最近の状況からいいまして多少下廻つて来るのじやないかというふうに考えられます。そこで学校給食国内産の生牛乳を使う場合どのくらい要るかということになるわけでありますが、基準的な計算でございますから多少内輪になることを御承知願いたいのですが、大まかに申しまして仮に千八百万の義務教育学校子供たちが使うとしましたら、三百七十万石くらいが年間に要るのじやないか、従いましてそういう量を使う場合を想定しますと、国内産は今後相当に伸びてゆくということを一方に考えながら、それに併せて外国産を用いつつだんだんに振替えるという建前になつて参るわけであります。従いまして六百万ですと大体その三分の一と見てよろしいのですが、それでも現状では国内の需給関係を申しますとなかなか容易ならん状態にございます。まあ大体そんなことでございます。
  12. 吉田萬次

    吉田萬次君 只今環境衛生部長の言われたのを基本にしまして、そうして文部省のお答えから勘案してみますると、それはやはり机上空論のようなものである。実際問題というものはもう少し検討して考えてもらいたい。それはなぜかと言いますると、只今言われたように、二十二グラムの脱脂乳を一合の水に溶かして飲ませる。それが一人一日三円八十銭とおつしやつたが、去年は三円七十五銭でこれが出ております。併しながら今の一合四円で買えるというようなことから考えますると、そこに殆んど同じような価格を以て精乳一合というものが買えるというようなことだつたら、そのカロリーからいつたら問題にならん。むしろどうだといつたら、精乳一合の多少分量減つても、実情においてカロリーの量からいつたら私は精乳使つたほうが遥かに効果があると思う。さような点から考えまして、私はカゼインとか或いは脂肪を含むところの精乳、それから滓になつたような蛋白のみに依存しておるところの脱脂乳というものを比較してみた場合においては、精乳使つたほうが遥かにいい。そこで今文部省のほうのお話によると、一日一合ずつ与えるとすると三百七十万石要る。而も先ほど部長さんのお話によると、三百七十万石の生産であるということになると、学童一人に一合ずつやれば殆んどなくなつてしまうというようなことでありまするけれども、一日一合といつたところで学童は毎日というものじやありません。やはり休暇もあればいろんなことがありまして、大体私のほうの愛知県では一カ月に二十日与えることになつておる、給食が大体十七日半から十八日くらいの日数になつておる。そこで私はいわゆるその三百七十万石というものが全量使わずして半分で補えるということを考えております。先ほど森永或いは明治に対して大変同情があるようなお話でありましたが、私はこの内容は実にけしからんと思う。彼らのやり方というものはどうかというと、本当に従来の資本主義的の傾向を以て、全く営利的な観念から殆んど公共的の意識というものは絶対にありません。私は具体的に実例を以て、どうして彼らが農民の膏血を絞つておるかということを明らかに立証するだけの何を持つておりますけれども、かような場合において私は言う必要がないから言いませんが、彼らの行動というものは実に蛇蝎視さるべきものです。かような点から考えまして政府が英断を持つてこの問題を真に検討しようとするならば、私は打開の道は十分にあると思う。この点はいわゆる私は政治の力によつて解決のできるものである。ただ一片の机上空論において解決のできるものではないと思うのであります。  それからもう一つ先ほど食形式改善とか或いは合理化とかいうようなことをおつしやつたのですが、これもどうぞ机上空論にならんようにしてもらいたい。本当に今日どうだというと栄養教育というものは私は極めて必要だと思う。それでは栄養教育というものをどうして学校で施すかということを考えた場合において、その職員を入れたならば一番いいでしようけれども、併しその職員を入れるということは今日の財政からできません。そうしたらどうしてこの栄養教育というものを行うかということは、いわゆる食事の時間において担当の教員が栄養というものに対する常識的な考えを持つて児童にこれを徹底するように教育したならば私は実に効果的だと思う。併しそれについては現在の学校給食をさせておる児童が食べる時間というものについてはいささか足らん。もう少し給食の時間を長くして、そして当該教員から栄養というものに対する観念というものを植え付けるように私はしたら、これこそ徹底したところの栄養の教育というものは行える。そこで文部省としても栄養教育ということに留意せられるならば、この給食の時間というものに対して如何にしてこれを利用するかということ、又厚生省としてはこの食生活改善或いは栄養教育というものの徹底ということを考えますなら、この給食時間というものに対する利用法というものを十分に考慮し、これに対する。パンフレットでも参考資料でも与えてそうしてこれに従つてつてつたならば私は以外な非常な常識から考えても効果のあるものが生れて来ると思うのであります。この点は是非留意して頂きたい。そこでどうだというと、今日国なり県なりが三百円の金で給食をやらせようとしておるが、これは極めてむずかしい。併しその三百円の金というものは容易に出し得ない金であるというようなことに対して、この問題を掘下げて、そうしてあらゆる方面から検討し、安くものを手に入れるようにし、そして徹底するような方法を考えるということは、これは重大なことであつて、今日国民におけるところの体位の向上というものは、私は恐らくこれがその基本になるだろうと思つておるのであります。従つてかようなことはただ単に口頭禅に終らんように十分に注意してもらいたい。  それから今の森永やそれから明治のやり方というものは実にけしからんのですから、かような方面のことを考慮せずして基本的に農民の酪農組合にいたしましても、あらゆる方面にいたしましても、又高温殺菌の方面から考えて、そしてこれが供給しやすいようになつて来たという点を織込んで、少くとも生産地の児童だけにでも徹底するような方法を考えてもらいたい。私は一合ということを決して固執しない。たとえ五日でもいいから児童に与えるように、それから都市であるから農村であるからというようなことを考えずに、手取り早く配給のできるところからこの問題を実施するように考えてもらつて、それを基本に漸次広めて行つてもらいたい。私はかように考えますが、併し厚生省の衛生部長からの御意見はどうですか。
  13. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 全く同様に考えておりまして、その線に沿つて今後努力いたしたい所存でございますが、ただ前段お話日本酪農に関連していわゆる大メーカーとの調整をどうするかということは極めて重大な問題でもあります。私も決して明治森永に味方をしておるわけでは、ございませんが、ただ今これの小売機構その他をどうやるかということになると極めて重大な問題でございまして、今ここで具体的にこれこれするというようなことの段階でございませんが、併しおつしやる点は全く同感で、その通りでございます。従つて何らかもう少しく日本酪農が発達いたしまして食生活改善が容易にできるような基礎をどうしたらいいかという点を改めて検討いたしまして具体的にはお答えいたしたいと存じます。併し御趣旨の点は全く同感でございます。
  14. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) お答えいたします。先ほどお話の中にありました愛知県での三円七十五銭ということはその通りだと思います。地域によつて多少の差がございますので、大体三円八十銭くらいと申上げました。なお現在は大体二円二十銭くらいであると考えております。  それから生牛乳脱脂粉乳との関係でございますが、二十二グラムを溶かした場合、二十二グラムの中には御承知通り脂肪は大部分は抜けておりますが、動物性蛋白であるとか或いはカルシウム又はビタミン類、これは牛乳の一合四勺乃至五勺に当る量が入つておるように承知いたしますので、果してどちらがどういうふうになりますか、精密な計算はいたしておりませんが、実際の場合には考慮すべき点が残つておると思います。  それからなお使用量はお説の通り週五回ということを基準といたしまして多少内輪に計算したものを申上げたのであります。それよりもなお内輪になることは生牛乳を飲む場合には余りつて来ないのではないか、又そういうことをしなければならんということで申上げたので、多少内輪になるかも知れんということでお答え申上げたつもりでございます。  それからもう一つ給食については先ず全教員が栄養知識を十分に持つということが必要になつて参りますことは当然でございますので、この点が基本的な問題になつて来ると存じております。それから給食の時間の利用でございますが、給食の時間はやはり大体そう長い時間にはしないという方針で考えておりまして、その前後の準備の時間も全部学習の関係に利用するという建前をとつておりますのと、それから給食の時間において子供たちにいろいろと教育を併せて行なつて行くという考え方のほかに、各教課についても関連の事項を呑込ませて、そうして日本の食糧事情なり或いは食生活の実態なり又は先ほど須藤さんもおつしやつたよう食形式のいろいろな事柄についても漸次学年の進行につれて呑込ませて行く、同時に又作法につきましても教えて行くというようなことで、幅広く考えて教育の中に織り込んで行きたいと考えております。又この指導書は一昨年の秋こしらえまして全国の学校給食をやつておる学校は勿論でございまするし、そうでない弁当を持つて来る学校でも大体それに準じた指導をするようにということをいたしております。
  15. 吉田萬次

    吉田萬次君 只今の御答弁で大体了解いたしましたが、実際問題として現在私は一宮ですが、一宮の各小学校給食時間において栄養教育を施しておる効果というものは非常に私は意義のあるものであり、そうして効果的に考えて重要なものだと思います。従つてこれはそういうふうのお考えではなしに徹底いたしますから、これはできるだけこの方針をとつて、そうしてやつて頂きたいという希望を述べておきます。
  16. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほどお話で、役牛が働く日数というものは僅かのものである、乳牛に働かせるということにしたら大変いいというようなお話でした。私もそれができれば大変結構なことだと思いますが、ただ私は全く素人ですから極めて簡単なお尋ねですけれどもちよつと素人として疑問になりますのは、それがために乳の出方が減りはしないかということなんです。実は私など牛乳屋さんから聞いたところによりますと、非常に乳牛というものは敏感なもので、乳を搾つてくれる人のやさしい人か気の荒い人かということによつて大分違うということを聞いておりましたが、二、三年前に私の知つた青年が牧場に行つて働かしてもらいたいから世話してもらいたいというので牧場主にお願いしたのですが、一番先に聞かれたことは、その青年は音楽が好きですかと、こういう質問を受けまして、妙なことを牧場の人はお聞きになるもんだな、それはどういうことですかと言つたら、やはり音楽、殊に歌の上手な人が大変いいんですと、そういう人は優しいのだと、こうおつしやるのですね。これはもう私の牧場では絶対の要件にしております、それはどうです、と、幸いやはり音楽が好きで採用してもらつたことがあります。そんなことしか実は私知らないのですけれども、そんなことを聞いたこともありますので、お話のように両方の仕事をさせて乳の量が幾らか減つても差引勘定得になるというようなことになつたら結構だと思つておりますが、どのくらいの影響があるものか、その辺のお調べはできておりますか。
  17. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は農繁期、つまり田圃に出て働くときは、これはかなり減ります。一カ月なら一ヵ月間農繁期にはこれはかなり減りますが、併し、その他の大部分は農繁期を除いては牛はもう休んでおるのですから、これはもう変りございません。  それからもう一つ。これは勿論品種を、ただホルスタインとかいうふうに一点張りでは参りませんので、それぞれ地方実情に即して使いやすい牛の品種、乳牛の品種を得て行くということも考えればその点は解決するものと考えております。
  18. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 ほかの国の牧場を見ますと、スィッッルあたりのアルプスの牧場にしても、フランスにしても、アメリカにしても牧場にのらりくらりしておつて、あれで土地が広いし、いろんな事情も違いましようから、役牛とかねてやらす必要もないのでそんなことをしているのかも知れませんが、何かほかの国で、かねてやらせている実情などどうでしようか。
  19. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は大体牛を主体といたしておりますのは、アメリカとか、ああいう大きな国でございます。むしろ非常に資源の少いような国はやぎが主体になつております。例えばバルカン半島はやぎが主体になつております。そんなようなことから、必ずしも役牛に使つているところはございませんが、これは日本と耕作の仕方が違うということもございます。併し、例えば私ども長野県の市田村というような村を例にとりますと、これは従来村に三百頭ばかり役牛がおつた。今度は全部それを、殆んど大部分を乳牛に替えまして、今では学校給食なんかも非常に都合がよく行つております。やはり逐次やればできるということでございます。又水田地帯は牛を飼えないということに今まで考えられておりました。併し、今ではやはり水田地帯でも水田酪農と称して、水田地帯でも牛は十分に飼つて行けるというようなことも逐次経験されております。私どもといたしましては今後できるだけ農村指導の一環としてさような点も考慮しつつ進んでおるわけでございます。
  20. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 あなたのその何が本当に専門か知りませんけれども農林省の獣医と申しますか、そういうほうかどつちか知りませんけれども、いろいろ専門的に御研究になつているのだろうと思いますが、今のあなたの御意見とぴつたり合致しているわけなんですか。
  21. 楠本正康

    説明員楠本正康君) いや、勿論これは農林省も全く同様に考えておると思いますが、ただ私ども食生活改善というような点を身近かに感じますために、むしろ農林省集約酪農地帯というものを一つの大きな農業経営として感ずる感覚と多少のズレはあろうかと存じますが、併し、これは農林省でも別にその点に対して異議のあらうはずもなし、十分に連絡もしてやつております。
  22. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 その狙いが厚生省農林省が違うということはありますけれども、併し農林省のほうでも農家の経営をよくして行こうということについては一生懸命なんですよ。だから今の問題は、相当に深く研究しておるはずじやないかと、然るにもかかわらず、それが実行に移されてないというのは、何かそれを又反駁するような理窟が百姓側、農家側にあるなり或いは学者、その専門家の間にも反対の意見もあるんじやないかという疑問を私持つわけなんです、ざつくばらんに申しますというと。その点今のあなたの御意見のようになりますれば非常に結構なことで、而もそれが農林省の技師の人たち意見がぴつたり含つているんだということでありましたら我々としても又農林省に対して質問もしてみなければなりませんが、働きかけもしなければならない、かように考えております。実際それが実行されておりませんから、そこに障害のあるのは何故か、或いは学理的に或いは経済的にですね、そういう疑問を持つわけです。
  23. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 農林省もこの方針に毛頭反対はないのでございまして、逐次さような方向に進んでおります。従つて岡山北部或いは鳥取等の、あれは有名な和牛地帯だつたのですが、和牛地帯さえも長い経過を見て行きますと、逐次和牛が乳牛に切替えられつつあることが統計上にも証明されております。従つて直ぐに全部切替えるということはできませんが、逐次その方向に進んでおることについては農林省の努力に待つところだと私どもも考えております。
  24. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうしますと、それが実際できてないということは、農家のほうでやはり長い間の伝統を変えるのがいやなので、なかなかあなたがたの勧奨なり農林省の勧奨にも乗つて来ないというのが今日の実情であるというふうに了解してよろしうございますか。
  25. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は一つ是非農林省にお聞きとりを願いたいと存じますが、勿論そういう点もございましようが、一つにはやはり資金問題がかなり影響があるんじやなかろうかと存じます。
  26. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今は乳牛を持たない農家に新たに乳牛を兼業させる、両方働かせるために乳牛を飼えと言つても、それは資金問題で飼えません。今乳牛を持つている人たちはどうなんですか、それが私わかりませんけれども、やはり役のほうには余り使わないでいるのが相当にあるんじやないかと思いますけれども、そんな事情はございませんか。
  27. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 私農業経営の専門家でございませんので専門的なことは是非農林当局にお問い合せ願いたいと存じますが、私はかように考えております。先ほどもお答え申上げましたように、勿論多少役牛に比べて能率が下ります。その能率の下る点は極めて簡素な農村機械化によつて補うべきものだという点を先ほども申上げたわけでございます。従つてやはり総合的に農業経営というものが合理化されて行くということが伴わなければならんのであります。従つて総合的な農村経営の合理化の一環として役牛乳牛に切替える、こういうふうに一つ御理解を頂きたいと存じます。
  28. 高田なほ子

    高田なほ子君 昨日から食糧庁、それから文部省、そういうかたからの意見を尋ねていますと、予算の面から今審議の対象になつている学童給食というものが、予算の面からだけ考えて来ると非常に実施困難だという結論が出やすいわけです。昨日も、私言うべきではなかつたと思うのですが、食糧庁のかたにも、あなたの答弁は非常に官僚的で冷いと言つた。今日はあなたの御意見を伺うと、非常にこれは血の通つて、実際問題として私たちに非常な希望を持たせるような有益な御意見を開陳して頂いたことに私は満腔の敬意を払うわけです。なぜかと言うと、実際問題としてできないできないということは、日本の底の浅い経済の面から予算だけをとり出せば、それはできないという結論が出るかも知れない、併し食生活改善という実際問題に深く突込んで来ると、これはできないということはどうしても考えられない、こういう観点から敬意を表するわけです。  そこで昨日も問題になつたことですが、食事の内容の問題です。なかんずく脱脂乳の問題については各委員からもいろいろの御意見が出ましたし、本日脱脂粉乳の問題を精乳に変えても操作の方法如何によつて学童精乳を飲まし得ることも可能であり、同時に今日の日本酪農事業そのものを推進する役に立つというような御意見を承つた。私も実際同感だと思うのです。それでここで承つておきたいことは、牛乳だけではなくて、今日農村に参りますとたくさんやぎが飼われでおるわけです。そのやぎは自分の家でしぼつて自分のうちで飲んでいるのもあるし、それから近所にお分けしているのもあるようですが、これは統計的にすぐ出て来ないかと思われますが、今日日本酪農に占めるやぎというものの地位はどういうような地位を占めておるのか、数字的に挙げて頂ければ大変結構だと思うのですが。
  29. 楠本正康

    説明員楠本正康君) やぎの問題は全く御指摘のように日本としては今後考えなきやならん問題だと考えております。やぎは現在約五十万程度かと記憶をいたしております。而もやぎは、これは戦争中でも減らなかつた家畜はやぎだけなんです。これは如何に粗食に堪え又やぎが如何に放つておいてもどんどん成長して行くかということを示すものだと思いますが、なお世界の実情を見ましても、地球上の家畜の数はやぎが一番多い。やぎに優る家畜はないのです。而も貧弱な国においては皆やぎが肉畜であり同時に乳製品の原料になつているわけです。これはつまりやぎというものが非常に飼いやすく、どこでも育ち、粗食に支障のないというような点から勢いそういうことになると存じます。ただ日本ではやぎの非常にむずかしい点は、一つこういう隘路があるのです。まあいろいろありますが、先ず味の問題はこれは第二義的といたしまして、やぎは交尾期が一定しておるのです、時期的に。従つてやぎに頼りますと、その期間、或る期間は全国に乳がなくなつてしまうというような状況がございます。そこで私どもは今これをホルモン注射その他によつていつ何どきでも交尾期が来るようなふうにすればやぎというものは或る程度つまり利用の価値が出て来るわけです。それからもう一つは、やぎはやはり同時に肉畜として考えないと、乳だけだとなかなかやつていけません。そこでやはり一方には肉畜の考え方をしなきやならん。ところがやぎは実際には臭くて食べられない。そこでそれをどうして食べるかということは、これも今私どものほうで研究しておりますが、例えば去勢するとか、まあいろいろの方法でやぎを肉畜として、第一義的には乳、第二義的には肉という利用方法を確立する必要があると存じます。併しこれらの点は目下私どものほうでどうしたらそのような隘路を除けるかという点を技術的に研究をいたしております。従つてやはりこれも今後日本としては乳、乳牛一辺倒でなく、やはり地方実情によつては最も簡単に而も経費が少くて飼えるやぎというものを大いに利用しなきやいかんものと考えております。併し今のところは只今申しましたような隘路がございましてなかなか思うに任せんところがあります。併し御指摘の点は全く同感でございまして、今後一層努力いたしたいと存じます。
  30. 高田なほ子

    高田なほ子君 私はよくこういうことがわからないのですが、例えば或る農村乳牛を餌つておる、乳がかなりたくさん出る、その乳を衛生的に処理する場合に特定な低温殺菌なら低温殺菌という操作のできる工場に持つて行かなければそれを食品として供給することはできないわけでしよう。若しそういうことができるとすれば、農村にあり余つている乳をわざわざ運搬しないでも、その村でとれた乳を直ちに学童給食のほうに廻し得るということになれば、わざわざ高い輸送代を払つたり或いは外国脅わざわざ買込んだりしなくとも、すぐそれが給食のほうに操作できるように思われますが、どうでしようか。
  31. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これも全く御指摘の通りでございまして、現在は知事がこの辺は高温殺菌は認めないと言うと、全部低温殺菌でやらなければならんことになります。従つて現在はむしろ国全体からいうと低温殺菌地帯が多いわけであります。従つて簡単に消毒して商品にするということはなかなか困難な状況にございます。従つてどもも逐次この点は改めたいと努力いたしておりますが、何分にも相当な資本を投じて低温殺菌をやつた業者の政治的な問題が出て参ります。従つてなかなかこの点は思うように高温殺菌を推奨するような段階に至つておりません。併し逐次私どものほうでは御指摘のように高温殺菌も普及するような努力をいたしておる次第でございます。  なお学校給食につきましては近く私どもの考えでは省令を改めまして、学校給食には商品として考えずに、つまり或る一つの極めて簡素な殺菌方法さえすれば学校給食ができるようなふうに、御指摘のようなことが満足できるように、これは厚生省牛乳に関する省令を改めたいと思つて研究をいたしておる次第であります。
  32. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういうことで省令が改まると、そこの村で生産された牛乳が直ちに児童の口に入り得るということが可能になるわけですね。その場合に今度は粉乳に要した費用というものがここで切替つて来るということになれば、給食の実現というものはただ単に予算だけではなくて、そういう面からも実施させることが可能だと、こういうことになつて来ますね。
  33. 楠本正康

    説明員楠本正康君) はあ。
  34. 高田なほ子

    高田なほ子君 それからもう一つお伺いしたいことは、菓子の問題が昨日も出たのです。私昨年ロンドンに参つて学童給食を実際食べさしてもらつて来たのですが、そのときに主食がじやがいもつたのですが、それで肉はコールドミートにしたやぎの肉だつた。それで食事の最後に干葡萄を入れた甘い。パンのようなものにたつぷりとクリームをかけたいわゆるお菓子ですね、それが出た。私はなるほどなあ、パンだ米だと騒いでいなくとも、こういうような形にすれば、こういう操作によつて、野菜がふんだんにある日本では内容を改正することによつて予算々々と予算がなくともかなり理想的な学童給食というものができるのじやないかしらということを考えた。それはなぜかというと、今度日本の場合には、北海道に行つて学童給食を頂戴しても、九州に行つて学童給食を頂戴しても、あんまりその内容が変つておらない。誠にこれは幅の狭い学童給食考え方であつて、今前段にあなたが御説明なつたような食形式というものを大幅に改憲研究することによつて必ずしも予算にはこだわらなくとも可能であるというように考えられるのですが、あなたの御意見、お菓子との問題に関連して御意見を……。
  35. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 私も全く御指摘のように考えておりまして、現在画一的な食事を与えるために厖大な予算を使うということよりも、手つとり早くは只今先生の御指摘のように工夫の範囲において必ずしもそれほど大きな経費を使わなくても学校給食のもつと立派なものができるように考えております。なお特に菓子というようなものは二千億余り消費ですから、これをもう少しく有効適切に使うということが私は日本食生活改善の大きな面ではなかろうかと、かように考えております。併し具体的にそんならば一体菓子消費をどういうふうにこれを食事形式に持つて行くかということになると、これは極めて困難な問題でありまして、私は、少くとも私のような年寄りではもう駄目ですが、学校の子供に、もうお菓子を食べても三度の食事を十分に食べたという感じを与えるような訓練が大事で、それがやがて日本の二千億に余る菓子消費というものが食生活改善に生きて来る、こういうふうに考えておる次第でございます。
  36. 高田なほ子

    高田なほ子君 お菓子の問題ですが、三度の食事を十分にカロリーをとつているとお菓子というものを食べたくないのじやないかと思うのですが、それはあなたから伺いたいと思うのですが、十分なカロリーをとつた場合にはどら焼きとかカステラなどというのは欲しくない。これは私の短かい経験ですが、欲しくない。学校あたりでも又家庭でも、本当にカロリーのある食生活、バラエティに富んだ食生活というものに徹底して来れば、菓子というものもだんだんに自然とそういう方面からも解消されて来ると思われますが、学校給食の中に菓子に類したものを或る形に加えて行くというような考え方についてはどういう御意見をお持ちですか。
  37. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 私案は医者でございますが、全く先生の御指摘のように考えております。やはり偏食というようなものは故意に生理的に偏つた空腹感というようなものに現われまして、一層健康を害う結果になるわけでございます。全く先生の御指摘の通りでございまして従つて菓子というような、例えば子供は糖分がどうしてもないと発育盛りでは困ります。もう少し給食の中に糖分というような形のものを与えれば、間食というようなものはそれだけ欲しがらずに済む結果になることは御指摘の通りでございます。
  38. 高田なほ子

    高田なほ子君 それから主食の問題になりますが、寡聞でよくわかりませんが、山梨県下で、とうもろこしのようなものを主食にしておつて、それでもつて十分にカロリーがとれておるということを前にちよつと開いたことがあるわけです。この場合、夏なら夏に農村では非常にとうもろこしがたくさんできますね。そのとうもろこし農村では売り出すためにかなり遠い所へ運搬して、かなり安い値段で叩いて売るわけです。その場合に業者がどうもろこしで儲けておるわけです。東京では一木十五円、ひどいのになると二十円で売られていますが、そういうとうもろこしを三食にしてそれにバランスの取れるような給食をした場合にはこれは学童給食にしてもなり立ち得ると思うのですが、今そういつたような実例を持つておる県がどつかにございますか。
  39. 楠本正康

    説明員楠本正康君) まだ学校給食としてとうもろこし使つたという実例は開いておりませんが、時期と或いは地域的な関係ではとうもろこしというものは主食として十分価値のあることだけはこれは先生の御指摘の通りであります。従つて先ほど申上げましたのも、例えば山梨県のとうもろこしのできるような所では、その地域には学校給食にも主食としてパンばかりでなくたまにはとうもろこし主食にして訓練をすることが必要であろうということを申上げたのであります。優にとうもろこし主食としての価値はございます。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 食生活改善のための政府の機関としてはどういう機関を今持つており、而も学童給食食生活改善研究機関があればどういう形で今取上げられておりますのか、そういう点を……。
  41. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 現在食生活改善に関連しておりますのは、厚生省農林省文部省、この三省があると存じます。厚生省におきましては栄養改善法、或いは栄養士法というようなものを持つておりまして……。
  42. 高田なほ子

    高田なほ子君 栄養士法ですか。
  43. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 栄養改善法、法律ですね。栄養士法、栄養士をどうするという人の面、その二つの法律を持つておりまして、更に栄養審議会というものを省内に設けまして、これによつていろいろ国民の食生活改善の企画或いは指導等をいたしております。なお地方におきましては各保健所に栄養士を配置たしまして、いろいろ保健所において栄養改善指導をいたしておるわけであります。  なお次に農林省は今日お見えになつておりませんから、農林省の範囲を極く簡単に知つている範囲で申上げますと、農林省におきましては……。
  44. 岩倉武嗣

    説明員岩倉武嗣君) 学校給食につきましては、学校給食分科審議会、これは保健体育審議会の分科会になつております。これには昨日もちよつと申上げましたが、厚生省栄養課長さんがお入りになつております。公衆衛生院からも入つておられます。農林省の食糧研究所からもお入りになつておられます。なお先ほど楠本部長からお話がありました栄養審議会の委員の中には管理局長も入つておりますし、又学校給食分科審議会のメンバーが幾人かお入りになつておりますので、それの連絡ば十分つくものと考えております。
  45. 楠本正康

    説明員楠本正康君) ちよつと言い落しましたから附加えさして頂きます。栄養改善のほかに厚生省牛乳、食肉の問題を担当いたしております。食肉関係につきましては、これは単に市販される肉の衛生的な取締り或いは衛生的な指導、屠殺場の問題、殊に屠殺から更にこれが製品化される段階の衛生取締りを担当いたしておるわけでございます。ところが牛乳につきましては、由来単に衛生的な取締りだけでなく、品質面等についても所管として実施をいたしておるわけでございます。従つて牛乳乳製品というものは、生産過程が農林省であり、消費過程が厚生省という関係になつております。強いて言えば、この辺の限界が非常にむずかしいのですが、牛の乳の中に入つておる間は農林省、乳から外へ出ると厚生省というようなむずかしい関係になりますが、併しこれらの点は両省よく相談をいたしまして、食肉につきましても或いは牛乳関係につきまても極めて連絡よく実施をいたしておるわけであります。
  46. 高田なほ子

    高田なほ子君 もう一つちよつと関連して伺います。あの栄養審議会で、近藤局長も入つておられるというお話ですが、ここでは学童給食に対する何か基本的な方針とか、方策というものは考えておられませんですか。
  47. 楠本正康

    説明員楠本正康君) その中に一つ食生活改善部会というものを設けまして、この部会によつて目下いろいろ総合的に食生活改善面を研究をいたしておる次第であります。
  48. 高田なほ子

    高田なほ子君 総合的であるけれども学童給食の面として考えておる部面はありませんか。
  49. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 勿論学童給食食生活改善の大きな基盤でありますから、この点も考えつつ進んでおりますが、併し学校給食をどうしようということは、これはむしろ文部省と連絡をして実施するという立場でございま出す。
  50. 吉田萬次

    吉田萬次君 時間の関係で簡単に質問いたしますが、今の栄養士の問題でありますが、栄養士というものが愛知県では名大にあつて学芸大学にありませんです。全国の学芸大学に栄養士を養成するような方法は講じてもらえんでしようかということを……。
  51. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 現在は私ども栄養士の養成につきましては、できるだけ広くこれを実施して頂くことに考えております。従つてどこでも実施したいという所がございますれば、申請さえして頂いて、その申請の内容が私どもの考えております基準に一致いたしておりさえすれば、どこでもこれは直ちにお認めする、こういう態度であります。
  52. 吉田萬次

    吉田萬次君 それから給食に対して、今まではパンとかミルクに限られたような質問でありましたが、その三分の一の金額を占めるところのいわゆる副食の問題であります。これは衛生上から考えましても、それから又栄養の方面から考えましても、極めて重大な意義があり、この問題を本当に研究し、そうしてこの問題を活用するならば、私は非常に結構なことだと思う。又予算の方面からこれを見ましても、いわゆるこの問題のために厨婦が必要であり、名古屋では一校に対して三人ずつの厨婦を雇つておる。そのほかの都市でも一・五人の厨婦を雇つておる。或いは農村においては父兄がこれを手伝つておる。或いはPTAの役員がやつておるというようなことで、そしてここで衛生思想というようなものから考えましても、この副食物に対する観念というものが薄らいでおるように思うし、これは第二の問題のように考えておりまするけれども、私も医者ですけれども、やはりそういう点から考えますと、副食というものはカロリーの、画から言いましても、人件費の面から言いましても、極めて重大な意義を持つ。殊に衛生の面については最も重大な関係を持つものと思うのでありますが、これに対しての厚生省の方針というものはどういうふうになつておりますか。
  53. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これ又全く御指摘の通りでございまして私ども先ほど申上げましたように、食生活改善と申しましても、結局粉食はその副食の手当がなければなかなかむずかしい問題でございまして、全くこれは同感でございますが、厚生省といたしましては、いろいろ研究期間等もございますので、そこで最も合理的な副食形式というようなものを附属研究機関にいろいろ工夫させるほか、先ほども申しましたように、生産の取締り面をいたしおります関係で、いろいろ業者、組合等に対しましても逐次合理的な副食形式研究研究面でいたさしておるわけでありますそれから一方指導面におきましては、只今御指摘のように、栄養士を通じ或いはその他の方針といたしまして、いろいろ具体的に講習会を開き、或いは衛生教育その他いろいろな方法を以ちまして栄養士、特に保健所を足場といたしましてこれらの副食の指導を指導面ではいたしておるわけであります。
  54. 吉田萬次

    吉田萬次君 それから砂糖の問題ですが、これは蔗糖というのは非常にカロリーの多いものである、そうして疲労を回復するのに又必要であるというようなことを考えますと、もう一つ味という方面から考えまして、児童の食生活というものに欠くべからざるものだと思うのであります。これを上手に使うということにおいて非常に効果的だと思います。殊にこれに対する免税の点が最も重要だと思いますが、砂糖に関する観点は厚生省としてどんなお考えを持つておりますか。
  55. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これ又御指摘のように、砂糖というものは極めて重要な食糧でございまして、特に発育盛りの子供にとつては極めて重要な要素をもつております。ただこのとり方につきましては、先ほど来申上げましたように、単に間食で著るしく多くの糖分だけをとることは、これは必ずしも万全な措置ではない、むしろ糖分を食生活の中にとり入れてとることが健康的であるという考えを持つておる次第でございます。なお只今免税の点につきましては、かれて私ども大蔵省に交渉したことがございますが、未だその実現を見ておりません。現在単に乳児用のミルクに使いまする果糖、練乳に使います砂糖だけは乳幼児保護の立場から、厚生省といたしましては大蔵省に交渉いたしまして現在免税措置がとられております。ただこれがちよつと横道にそれますが、さつき御指摘のような製菓用の原料に流れて困つておるわけであります。この点は適当な措置をとりたいと考えております。
  56. 相馬助治

    ○相馬助治君 この際楠本さんに希望意見として、こういうことがおやり願えるかどうか、私は考えを述べて御意見を承つておきたいのですが、厚生省としては、国民一般の体位の向上、こういうことについて重大な責任を持つておると思うのです。この学校給食が理想通りに行けば、国民の体位向上に非常にいい結果をもたらすことは、これはもう明らかであります。現在学校給食については、文部省厚生省がそれぞれの立場から所管したような形になつて予算が編成されておりますから、来年度の当初予算編成の準備期に入つておる現在、この際厚生省としては国民保健の立場から、又国家的な政策の食糧問題の解決から、又教育上の問題から、厚生省農林省文部省が打つて一丸となつて学校給食の必要性を何らかの形で力説してこれを閣議等にその意思が反映され、大蔵大臣をして昨年度より幾分でも大きな予算を組ませるようにして行く絶好のチャンスであろうと、こう考えておるわけであります。そこで三大臣を動かすためにも、事務を担当しておるそれぞれの省の事務関係において、特に楠本さんあたりからこういうことを主張して頂いて、学校給食の必要性というものを何らかの形において吉田内閣の大きな一つの来年度の画期的な政策として取上げ、その趣旨に副つた予算が組まれるような方向に一つ御努力をされる用意があるかどうか、又これに対する一般的な見解としてどのようにお考えであるか、この際楠本さんから承つておきたいと思います。
  57. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点は只今御指摘のように、関係する者が三つに跨がつております。従つて従来もよくお互いに連絡をとつて仕事をして参つておりますが、更にこれの連絡或いは総合的な対策をもつと強力に実施するために別なことを考えろというような御指摘のように存じますが、これらの点につきましては後はど関係各省とも相談をいたしまして一つ御返事をいたしたいと存じます。  なお閣議決定その他につきましては、これは事務的な扱いでございます。又そのときのことにして又お答えをいたしたいと思います。
  58. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 先ほどから森永とか、明治とかというようなところの牛乳の買上げの問題が出ておりましたね。そういう問題を、無理な買上げ、買上げと言つちや言葉が悪いですが、買い方などをしないように規則でも法律でも作るということになりますれば、これは厚生省の所管になりますか。値段の一種の統制なんです。
  59. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 現在農林省で今年から酪農振興法というものが出ておりますが、その中に、私はつきり記憶はございませんが、一条買上げ価格の調整を図り得るこ上が規定してございます。従つて、今後はそれらの点を十分実施されれば、恐らくこれは農林省関係で、その辺の調整は或る程度つくのじやなかろうか、かように考えております。
  60. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そうしますと、先ほど部長の御答弁を開いておりますと、こちらの御質問に対して非常に乗り気で賛成の意を表せられておつたようですけれども、今日までのところにおいては、まださつぱり何もしていらつしやらないのです。深くは研究していらつしやらないということですね、今のお答え振りからしますと。それで、私は所管をはつきりしておくということにしないというと、我々としても厚生省のほうに我々の意見を申述べていいのやら、農林省のほうに申述べていいのやら、或いは通産省に誓つていいのやら、それがはつきりしないので、はつきりして頂こうと思つて……。どうもお二人のお話を聞くと法律問題もはつきりしないように聞いたのですが、そこをはつきりして頂いて、そうして我々のほうもよく研究をして御相談をしたいと思います。とりつく島をはつきりしたいと思います。
  61. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この流通機構の主管というものは必ずしもはつきりしておらんのはやむを得ないのじやないかと思います。それぞれの立場から総合的に指導して参る或いは立案して参る、その間に各省の間でいろいろ余りちぐはぐにならんように総合してよく連絡をいたしまして、そうして対策を立てて行くということだろうと思います。
  62. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 そういうことはすべての問題と同じことなんですが、併しどこが中心になるということ表はつきりして置きませんと、我々としてもどこの局長……、ほうぼうぐるぐる廻つて相談するわけには行かないから、その問題はどこを中心にして活動をお始めになりますか、丁度両方お揃いだからいい機会だと思つて、それをはつきりしないと実際困るのです。これは非常にむずかしい問題ですからね。非常にむずかしい問題だから、そう簡単に行かないことは私どもわかつておりますが、併し考えなければならない、研究しなければならない問題だと思います。なお、今二人の相談でもお困りかも知れませんが、お話合いして下さいましてあとでそういう点を、先ず我我どこの省に行つて相談したらいいかということを、あとの機会でいいからお示し願いたいと思います。
  63. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この問題は一つ研究しておいて下さい。  それではお諮りいたしますが、環境衛生部長は十一時までということで来ておりますので、この程度環境衛生部長のほうは終りたいと思います。又たびたびどうもお見えを頂きますので、これから又いろいろ御意見を承わることがあるかも知れませんが、どうも有難うございました。
  64. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは昨日の日程に従いまして食糧対策協議会の答申に関係しまして本日は食糧庁の業務第一部長の伊東君がお見えになつておりますの引れ伊東君の御説明を承わりたいと思いますが、ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  65. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは速記をつけて。  それでは只今から食糧対策協議会の答申の件につきまして、食糧庁の伊東業務第一部長がお見えになつておりますから、先ずこの食糧対策協議会の答申の中に食生活改善の問題といたしまして極く僅かではございますが、学校給食改善拡大というような問題を取上げることになつておりますが、なお法律案を一応御覧になつたと思いますが、この学校給食法案は全部の小学校、中学校その他の学校に義務制として学校給食を実施しようという法律案になつておりますが、この法律案を今委員会として審議中でございます。食糧対策協議会においてどのようにこの問題を取上げられたか、又協議会としてはその答申の意味なり学校給食の問題について御意見がありましたら一つ承わりたいと思います。
  66. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私簡単に対策協議会の答申の食生活改善の問題だけを限定いたしまして御説明いたします。  実は対策協議会でございますが、これは昨年の十二月に委員を内閣で依嘱されましてできたのでございますが、できましたときの動機となりましたことは、私推測いたしておりますところでは今統制になつているのは米だけである、併しその米につきましてもなかなか供出制度というものも相当頭打ちになつていやせんか、片方には闇米というものもある、というようなことからして何か供出制度についてこれに代るものか或いはこれを改善するものか、うまい方法はないだろうかということ、或いは去年非常に作が悪かつたものですから配給も都会におきましては内地米が今平均七日になつております。産地ですと今は十五日ですが、こういうふうな日数は一緒でも非常なアンバランスがございますとかいう問題或いは経団連その他でもいろいろ言われたのでありますが、高い外米を買つているよりも割安な麦を食うというようなことを考えたらどうかというようないろいろな御意見がありましたが、これは食糧問題は単に農林省だけの問題といいますよりも、国民全般に関連した問題でありますし、経済、治要の基礎になる問題でありますので、農林省だけでなくて内閣に委員会を作つて、あらゆる角度の有識者に集まつてもらつて、あらゆる方面から議論してもらつたらどうであろうかというような大臣の御趣旨ででき上つたわけでございます。それでまあできました趣旨が、動燃がそういうようなことでございましたので、比較的多く費されておりますのは、実は米の問題が余計書いてございます。それで答申できますまでには、一月二十五日以降十数回開かれましてこの七月の十七日に答申が出たのでございますが、その間対策協議会の会長をやらされました荷見さん或いは農林大臣の御意向もありまして、役所からは一体案は出さない、協議会独自で一つ案を作つてもらうというようなことで進んでおりましたので、その等申案は実はできますまでには農林省その他としましては一切実は案を出しませんで、対策協議会のかたがたが最初から最後まで自身で作られた案になつてございます。それでその中で大体考え方の基調でございますが、まあ米というものは直接統制をしているのだが、やはりこれは自由になることが望ましい。併し自由にするにはいろいろなやはり条件があるということで、そこには政府に手持米がないとか或いは又増産がそこまで行つておらんとか、或いは国際収支が不安なんで米を余計買うというようなこともできないというようないろいろな理由を挙げられまして、この際はまあ自由にするのは無理だ、併し政府では食生活改善するとか或いは増産をして食管制度の改善を図るべきだというような基調に乗つております。その中に食生活改善ということが増産と共にこの食糧制度を改善して行く上の二つの大きな柱の一つに実はなつてございます。それで先ほど申上げましたように、まあ米のことが大分多いのですが、今昔いましたような柱になつておりまして、食生活改善が出て来ますところは、今委員長がおつしやいました項目として一つつておりますほかに、例えば配給の問題等のところにも実は米については大体もう十五日程度でいいじやないか。それでこれは輸入食糧の問題と関連しておるのでありますが、例えば去年の凶作のような場合には百五十万トン、平年は百万トンくらいでございますが、百五十万トンくらい外米を入れまして十五日の辻棲を合わしたのでありますが、そういうことでなくて、もう外米の輸入というものは一定量にしたらいいのではないか。百万トンときめたら百万トンでいい、不作になつても配給日数は維持しなくてもいいじやないか。そうしてむしろ安い麦を入れて米と麦という、ほかにもございましようが、米と麦というものを大体、主要食糧というふうに考えて、それで貼つてつたらいいのじやなかろうかということが、これは一つのはつきり、そのほかの問題ですと余りはつきり書いてないところもあるのですが、今申しました点については、はつきりと書かれてございます。これは外米の輸入を或る程度制限して、麦で食生活改善を図るという趣旨がはつきりそこにけ書かれてございます。それから外米を要らんというような人には麦製品を安く出すということも考えたらどうかというようなことが書いてございます。それからそれに関連して会長の説明では、安いバター等も外米を要らんという人には配るということを研究する価値があるというような会長は説明をしておられます。それからそういう食生活改善に関連いたしまして、やはり今委員長がおつしやいました学童給食が取上げられておるのでありますが、これは出られました委員さん、発言されなかつたかたもありますが、併し委員ざんの大部分の気持としましては、食生活改善ということはいろいろ今まで言われて来たが、なかなか実効が上らん面も多い、それでこれは迂遠な途かも知らんが、やはり学校給食というものを拡大して行くということが食生活改善の正道ではなかろうかというような意見が多かつたと私は思つております。それで外米を切るということも一つのこれは食生活改善になろうかと思うのでありますが、学校給食につきましては酪農振興とかマーガリンの生産品質の改善ということはいろいろございますが、学校給食ということが食生活改善の正道であろうというような意味で取上げられてございまして、委員さん多数の御意見はこれを相当広く拡げて行く、特に農村方面についても米ばかり相当食つておりますので、そつちのほうへも麦食なり粉食というものを出して行くということが、やはり一つ米を又こつちへかなり持つて来れることにもなるのだし、そういうふうに学校給食を拡げて行くということを考えたらどうかというふうな御発言がかなりありまして、そうしてそこに食生活改善一つ考え方としてそういう問題が取り上げられたというふうに私は了解いたしております。そのほかにも問題もございますが、大体食生活改善をしぼつて説明いたしますと簡単でございますが、以上の通りでございます。
  67. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をとめて。    〔速記中止
  68. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めて。
  69. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 農林省にお願いしまして、パンの生産の実績を示してもらいたいとお願いしておいたのですが、そのお調べの表をここに頂いたのです。二十四年から二十九年の五月までの分を頂いておりますが、この前の御説明とこの数字が私食違いがあるように思うのです。と申しますのは、この製造能力が月産四十五万トン、さつきは二十五万トン。
  70. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 大体稼働はそんなものです。
  71. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 こういうようなお話でありました。そうすると、年には三百万トンということになりますね。昨日のお話によるというと、二十五万トンの三割強ちよつとがパンになつておる。こういうような話だつたのです。そうすると九十万トンなくちやならないということになるのですね。そのほかにそれは日本の製粉能力の問題と製パンの能力、それから生産高の話、こういうように私は承わつてつたのですが、日本で製粉されるもののほかに外国から粉になつて来たもので又パンになるものもあるのじやないか。それを加えるというと九十万トンよりも余ほど多くならなければならないはずじやないか、こういう疑問を持つわけなんです。ところがこの表を見るというと、二十七年度が一番多くて六十一万一千トンと、こういうことになつているのです。それで二十九年はまだ五月までしかできておりませんが、幾らか五月の月は多いようであります。まあ大したことはない。二十八年は二十七年よりも少くなつている。こういうことでちよつとその数字がわからなくなつて来たのですが、何か昨日のお話と違いがあつたのだとすれば、それを咎めるわけでも何でもないのです。ここに細かい数字が出ておるから、昨日のが間違いでこれが本当だろうと一応私は了解したいのですが、それで結構でございますか。
  72. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 私作目参りませんでしたので……
  73. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 今私が申したことは、これは皆さんお聞きで、専門員の人も聞いておられて間違いはないと思つております。そうすると、これはアメリカ辺から来た粉で作つたパンと、それから日本で製粉した粉で作つたパンと両方合せた全量ということになるわけですね。
  74. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の御質問でございますが、外国から入つている粉というものは粉で入つているものは殆んどございませんで、これは味の素の原料だけが輸出用のものを作るということで粉で入れておりますが、それ以外は全部原麦で輸入いたしております。
  75. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 パンにはなつておりませんか。
  76. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) ございません。
  77. 相馬助治

    ○相馬助治君 私は伊東さんに二点、これはやはり希望的意見を添えて意見をお聞きしてみたいと思うのですが、先ず第一点は、この食糧対策協議会の答申書は実に見事にできているのです。特にこの食生活改善については米穀の需要を減少して食生活改善するということが日本では急務であつてそのために積極的に手段を講ずると、こういうこと、いわゆる米食偏重をやめて粉食に積極的に手段を講じて指導して行くと、こういうためにはこれはもう学校給食という方法が一番いいし、この学校給食をどんどん助けて行かなければなるまいということは異論がないと思うのです。そこであなたたち立場からしてこの予算編成期に当つては単にこれは文部省が管轄している給食だとか、やれ国民体位の上から厚生省が管轄している給食だなどというのでなくて、国の基本の政策に触れる食生活改善という立場からもあなたたちのほうで音頭をとつて学校給食の必要性というものを、さつきも楠本さんに言つたことと同じことになるのですけれども吉田内閣の閣内の問題として先ずこれを取上げて、その方向に予算編成をしてもらいたいというのが希望なんです。これに対して積極的に是非事務当局の範囲内ではありますけれども、お働き願いたいのです。これについての見解を承わりたい。これが第一点です。  それから第二点は、粉食を奨励するといつても、それは麦粉だけ与えれば可能なのじやなくて、必ず牛乳というものがこれに加わつて行かなかつたならば粉食の奨励ができないことは、これは伊東さんもよくおわかりの通りであります。いわゆる牛乳と麦粉との調和がとれて学校なり或いは一般民間に安く配給になれば、恐らく黄変米なんどということで外米が威かされているさ中でもありまするから、私は今年あたりは翕然として粉食に国民の食生活が向いて行くと思うのです。従つてこの牛乳及び乳製品、これに対して食糧庁の立場からどのような助成を本年度はやられて行くのか、こういうことについて私は承わつておきたい思うのです。実はさつき同僚竹下委員の質問に応じて楠本さんと伊東さんと何かお話になつておるようでしたが、この問題はどこがどういうふうに管轄するのだか必ずしも判然としていないというふうなことだつたらなおのこと、これは一つそういう所轄ははつきりして強力に主張して行かなければなりませんので、この点について伊東さんとしてはどのように考えるか、この二点について御意見を承わつておきたい思います。
  78. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 第一点でございますが、まあ従来学校給食の予算につきましては、文部省と御相談申上げ、農林省文部省で大蔵省に当つておるというふうなのが現状でございます。それでまあ御承知のように、学校給食を拡大して行きます上にもすぐにその予算の問題に突当りますので、農林省としましては、これはもう文部省も当然そう考えておると思うのでありますが、やはりこれは拡大して行くというような予算を作つて関係省と一緒に財務当局へ交渉するということは当然私はやらなければならん問題だろうと思います。どの程度の規模にし、どういうふうにするかということは、これは又いずれ関係省と御相談しなければならん問題ですが、農林省としましては、これを拡大、改善して行くことには賛成でございます。この答申につきましても、答申が出ました場合にも大臣は成るべくこの答申を尊重して、食糧政策をやつて行きたいということを副総理も、うちの大臣も、はつきり言つておられますので、私は、今御質問のような点は極力事務当局としましても積極的に推進して行きたいというふうに考えております。  それから第二点の牛乳なり乳製品の問題でございますが、これはその答申にありますことは酪農振興でありますとか、マーガリンの品質改善というようなことが書いてございます。牛乳の問題でございますが、これは先ほど楠本さんからもいろいろお話があつたのですが、実は今年はどういうことをやるのかという御質問でありますが、これは農林省の内部のことを申上げて恐縮ですが、畜産局のほうで酪農振興法を作りまして牛乳並びに乳製品生産増強に努めておりまして、これは二、三年前は乳牛は二十万頭台でありましたのが四十万頭台になつておるような状態でございます。畜産局のほうで極力酪農振興ということを実は予算も計上しましてやつております。食糧庁としましては牛乳なり乳製品なり脱脂粉乳なりを予算その他の両で直接今年はこうやるということはやつておりません。今申しましたように畜産局のほうでそういうような仕事をいたしております。これは勿論何局と言わず、農林省としまして牛乳並びに乳製品の確保ということは当然やつて行くべきことだろうと思つております。  それからちよつと触れましたマーガリンの問題ですが、これは食糧庁でも僅かでありますが、委託費を出しまして、脱脂とか精製というようなことの研究をいたして、おります。今は天然バターは四千トンぐらい出ております。マーガリンは三万九千トンから四万トン出ておりますから、マーガリンのほうは十倍ぐらい出ております。これは鯨油が相当採れますので、これを主な原料にしまして脱脂、精製、品質改善の問題につきまして僅かの金でございますが、応用研究費というほうから委託費を出しまして研究をしておるような実情でございます。
  79. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちよつと私から、学校給食改善拡大ということが答申の中に書いてありますが、昨日から問題になりましたのは今学校給食が約六百五十万の学童に大体実施されておる。これが一応文部省意見としましては頭打ちになつておるのじやないか、これ以上の拡張ということは非常に困難だ。その一構大きな理由は農山漁村ですね、これのほうに学校給食というものは現在の状態において拡大するのは非常に困難である、それは費用負担の問題もありましようし、それから現実に小麦粉を買つて食べなくても米があるというような問題から、農村のほうに学校給食を拡大することは極めて困難で、これ以上の拡大ということは非常に現在の状態では困難ではないかということが一つ言われておるわけであります。そして食生活改善という面から見ると、私どもは何としても農山漁村の者に食生活改善をする必要が最も多いのじやないかと思うので、ここに文書としては、学校給食改善、拡大ということは如何にもいい主張のようでございますけれども現状のままにおいて改善、拡大ということはすでに頭打ちをしておる、それではこれをどういう意味において拡大するかということが問題点だと思いますが、この点が対策協議会では問題にならなかつたかどうか、それでこれにつきましては我々の今審議しておる法案は小麦粉なりミルクを全額政府負担で、義務制で実施しているという狙いの一つは、農山漁村に行われるためにはこれよりほかには方法がないではないかという一つの結論を得てこれが法案が立案されたものと解釈しておりますが、こういう点について義務制にするということが対策協議会において問題にならなかつたかどうか、又ならなかつた場合におきまして、農林省のほうで、勿論予算問題は別としまして、この問題を理想的に、食生活改善するのには、やはり拡大強化するためには、これよりほかにないという結論かどうか、その御意見を卒直に伺いたいと思います。
  80. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の御質問でございますが、対策協議会におきまして出ました意見は、その改善というほうで出ましたことは、今の学校給食をやつておるが、パンがまずいとか副食物がどうだとか、そういう意見、特に消費者の船田委員からそういう意見が出まして、もつと質の向上を図るべきだという御意見が一方出たのであります。それからもう一つ、もつと拡めようという御意見が出ましたのは、正田委員等から出たのでございますが、今おつしやいました農村方面にこれを拡めなければいかんということで正田委員が言われましたのは、法律を作つて義務的にということまでは実は対策協議会ではそういう具体的な問題は出なかつたのであります。現在まあ相当米で補給金を使つておる、ところが小麦は逆に食管会計が儲けておるという形になつておるのです。そこでこの小麦をもつと入れて、安い小麦があるのだからこれから出て来る益を一つ米の補給金を減らすというようなことじやなくて、学校給食のほうへ使つたらどうか、こういう補給金が何十億麦で浮くはずだから、そういうものを使つて安くやつて行くべきではないかというようなことが具体的な意見としては出たわけでございます。我々実は昨年ちよつと農村行つて見まして、まだ麦は伸びるのじやないかと思つたことは、東北、北陸地方に押麦を安くしまして実は農村に出したのです。供出促進用という銘を打つて安い押麦を相当量実は出したわけでございます。ところが東北、北陸の単作地帯では案外この麦が売れまして、我々が計算しました以上に米が出て来た。東北、北陸の県等におきましては県当局だけではなく、経済団体でありますとか、或いは婦人関係の団体等が麦食い運動というものを大分東北、北陸地方ではやつておるわけであります。そういうことをしまして農村地帯に押麦が入つて来たというようなこともありますので、私は価格が相当程度低くなれば、やはり学校給食というものもこれは伸びて行くのではなかろうか、その辺は私の主観が入りますが、そんなふうに考えます。
  81. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) その点でございますが、現在農林省のあれで小麦粉については普通の米よりも安い小麦粉が半額国庫負担になつているわけですね、学校給食の粉は。ですから押麦を安く農村に出したというよりも、なおこれは実際問題としては学校給食用の麦はどうなりますかわかりませんが、ずつと安いものじやないかと思うのですが、併しこれは現実にやはりその半額は父兄負担になつている。父兄が農村において品物を持つておるものを金を出して給食しなければならん、受けなければならんというところに非常に難点がある。だから単に安い小麦粉を出しただけでは、なかなか価格だけで解決できないのじやないかと私ども考えるのですが、この点どうでしようか。
  82. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) その点でございますが、農村農家の収入も御承知のように約三割くらいは農外収入になつております。それで最近のようにデフレ状態になりますとやはり農外収入に、外に出て働くという、そういう就労のチャンスも大分減つて来ますし、デフレのような状態になつて来ますと、やはり安いものを食つて有利に売れるものは売つて行こうということが私は相当出て来るのじやないかと思つております。去年押麦を出して案外米が出たというのも、私はやはりそういう面の一つの現われじやないか、こういうふうに見ております。今おつしやいましたことでございますが、父兄が持出しになるわけでありますが、この点はやはり米を売つてその代金を持出すという形になろうと思いますが、そういうふうなやはり家庭経済にこういう事態になつて来れば、ますますデフレ時代になりますと、農家もそういうことの必要性を感じて来るのではなかろうかと思いますので、持出しになるから全然伸びないのじやないかという……、これは判断になりますが、私はそういうふうに一概に考えなくてもいいのじやないか、これは私見でございますが、そう思います。
  83. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それからもう一点だけ……、この答申案では食糧対策としまして米だけが現在統制になつておるので、これをできるだけ自由にするという原則は認めて、現在はそれを早くやろうということなんですが、米の統制を撤廃して自由販売にするかどうかということは、これは各党なりいろいろ政治的立場で論議があると思いますが、答申としてはそういうふうになつておる。そこで仮に自由販売ということを考えました場合に、その価格調整ということは是非必要であつて、その際には米が消費者に対して高くなるという場合には、政府米を安く売出すとか或いは麦を安く出すということをしなければならないということが関連して起つて来る。そこで自由販売にするということに関連して、いわゆる食糧対策の一環としてそういう際に政府が仮に食糧の価格調整の関係から学校給食だけでも無料で小麦粉を放出するということは、相当に私は自由販売のときに影響があるのじやないかと思うのでありますが、単に食生活改善というだけでなしに、食糧対策として小麦粉を無料で学童に食べさせるということが、どういう影響を持つとかということを昨日実は新沢部長に私は研究してもらいたいということをお願いしておいたのですが、現にそういうことのお考えを研究されておるならば承わりたいし、若し又そういう点について将来研究されることは十分我々にも、その点もまあお教え願いたいと思います。
  84. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の御質問は実はまだそこまでの研究はいたしておりませんが、食糧対策協議会の答申の基調は今委員長がおつしやいましたように自由な取引が望ましいというのだが、この際には、といつていろいろ条件を挙げられて、まだそういうふうにすぐに根本的にやることは無理だというようなことがそれに書いてございます。いつからというようなことは実は時期的には書いてございません。で、今委員長がおつしやいましたそういう際に学校給食というものが単に食生活改善ということだけの目的でなくて、自由販売はどういう機能を果すだろうかという御質問でございますが、これはまだそこまでの実は研究はいたしてはおりませんが、自由販売をいたしますときの条件というのはやはり政府でこれは相当量のいわゆる内地米或いはこれに類する準内地米を持たんとできないと思います。実はこれは今のところ殆んど零でございますが、私は自由にしました場合の価格の高下を学校給食で或る程度防げるかという御質問ですが「私はそういう場合の学校給食価格に相当影響して高下を抑えて行くという機能は、そう私は学校給食ということに期待できんのじやなかろうか、私は学校給食の目的はそういうことではなくて、やはりさつき御説明しました、これは遠い、迂遠な道でありますが、これは食生活改善の問題は、これは大きな国の経済の問題にも繋がる問題でありますが、そういうことが一番大きな機能であろう。今、委員長がおつしやいましたような機能は実はないのじやなかろうか、今、現在委員長に聞かれまして私はそう思いますが……。
  85. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ほかにございませんか。
  86. 相馬助治

    ○相馬助治君 今のお答えは、これは食糧庁の部長としては当然そういうふうなお答えになるとは思うのですけれども委員長のおつしやつておるような意味で、一方においてどんどん学校給食というものが拡大して、而もこれが非常に安い父兄の負担で全国的な規模でなされるということになれば、それはそのすきつ腹に飯を食つたような影響を米価のほうには持たないけれども、総合した一貫の効果としてはあろうと思うので、又あらせたいと思うから、伊東さんとしては若干の利益はあるものだという意味から、学校給食の拡大について、そういう面からも一つ御協力願いたいと私は思うのです。伊東さんの御意見としてはよくわかるのですが……。
  87. 伊東正義

    説明員(伊東正義君) 今の点は卒然として今ここで質問されましたので、どういう機能かということはそういう面からも検討はいたしてみます。
  88. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  89. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記をつけて。本日はこれで散会いたします。    午後零時九分散会