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高田なほ子君 私は
社会党第四
控室を代表いたしまして、
只今審議されておりまする
学校給食法案に対しまして、
高橋道男委員御提出の附帯決議を付しまして
賛成の意を表するものでございます。
憲法第二十六条はすべて国民はその能力に応じて
教育を受ける権利を有する、このような精神の下に
教育の機会均等を
規定しております。学童
給食の精神は、明らかにこの憲法二十六条の精神を旨として
教育の機会均等の実現の一環としてこれが行わなければならないことは
大臣の御答弁の中にも明確に示されておる
通りでございます。併しながらこの
過程において、国民の
食生活改善という問題も出て来るのでありますが、要は
児童の心身の発達を
教育的に守
つて行く、ここに主眼が置かれなければならないのでございますが、ややともすれば今日までの学童
給食の経過から考えまして、こうした精神が逐次後退していることを甚だしく遺憾に思うものでございます。併しながら今日国民各位は漸く
教育に対する関心を深め、なかんづくその中で最も国民的関心を深めているものはこの学童
給食問題でございます。国民の大多数は、無
条件に学童
給食に
賛成する数は、一部の
統計によれば八四%という高率を示していることは、これは忘れることのできない私は
数字であろうかと思うのでございます。今日の学童
給食は、ただ単に一部の貧困
児童を対象にしたり或いは特定の者を対象にしたりするのではなくて、
日本の生産の基礎になるもの、その基礎こそがこの学童
給食の中に織込れているという
日本再生産の基礎をここに求めるという非常に大きな問題であればこそ、今日各員の中にはこの未熟なる
政府提案の
法案に対して、真剣なる論議が交わされたということは論を待たないところであろうと思うのでございます。私はしみじみここに七年前のことを思い出すのでございますが、
大達文部大臣はややともすれば
教員組合に対して冷い批判をされて参りました。敗戦後のあの
食糧事情の困難な中において学童が如何にみじめな状態において学習し、教師が如何に困難な
食糧事情の中に
児童を守
つて来たか、当時私は教壇の一教師として
教員組合を通して初めて
日本に学童
給食実施の呱々の声をあげた張本人の一人として、今日この
法案に向いまして思い新たなるものがございます。ここにお見えの
荒木委員も、当時
教員組合の
委員長をされてお
つたのでありますが、なかんづく二十五万の婦人教師は、本当に子供のためにすべてを忘れまして何とかして子供たちの心身を守り抜きたいと全国的な
署名運動を起したことは、私は今でも胸の熱くなるような思いがしてなりません。マッカ—サ—のおられる所へ直接参上をし、バンカ—大佐に会いまして、我々は体当りを以てガリオア
物資を獲得した。この歴史を我々は忘れてはならないと思う。併しそれからのち六年、七年たちましても、依然として学童
給食は発展せず、その間国民の熱烈な運動に支えられて、漸く消さば消えなんとするような学童
給食が今日まで続けられて来たことは、本当にこれは国民の熱意がここにあるのだということを
文部当局は三省、四省して、この
法律の
提案を機会にして心を締めて国の声に耳を傾けてもらいたいものだと私は思うのです。私は昨年ヨ—ロッパ並びに北ヨ—ロツパの各国の学童
給食の実情を視察して参りました。或るところは無償であり、或るところは有償でありました。けれ
ども学童
給食の問題についてはいずれの国といいましてもすべて誠心誠意
児童の心身の発達のために、その国の真の独立のために、深い愛情と誠意がここに注がれているということを私はこの眼を以て見てと
つて参
つた。併し振返
つて見るときに、今日の
日本の学童
給食の問題を単なる一枝葉末節の問題としてきり取上げられておらない。即ちこういう精神の持ち方によ
つて出て来ました本
法案でありますから、科学的な基礎も持たなければ、現実問題を解決しようという熱意もなければ、ただ単に我々の参議院としての良識がここに心からなる附帯決議が出されたというのに過ぎないということは誠に私は申訳ない次第であると思うのでございます。今日国民の運動が盛んになるにつれて、本
法案の提出を心から願う各位は今日も本
委員会に参られまして、どうぞ一時間も早く上げてと仰せられておりますけれ
ども、つらつら考えてみれば、誠にこの
内容はプアなものである、チンドン屋の広告と余り違わないという私は悪態をつきましたけれ
ども、我々学童
給食運動の実施に当
つて参りました者は、そういう誠に言いようもない憤りの気持を以てそういうことを言わざるを得なか
つたのであります。附帯決議はややともすれば
法案が通過するときお体裁的に作られる場合が多いのです。而もこの附帯決議が完全に実施されたという例を私は不幸にして知らないのです。どうぞ
日本の二千万の
児童のためにこの学童
給食法案に附けられました附帯決議は国民の声としてこれが実際に実施されまするよう、特に私は僻地
教育並びに定時制高校の恵まれない谷間にある
児童をどうぞ念頭において、これが将来閣僚一致の盛り上
つた気運の中に、子供のためによい解決が得られるということに一縷の期待を託しながら
討論を終ります。