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1954-11-19 第19回国会 参議院 文部委員会 閉会後第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十九日(金曜日)    午前十時三十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            荒木正三郎君    委員            大谷 瑩潤君            木村 守江君            剱木 亨弘君            郡  祐一君            中川 幸平君            加賀山之雄君            安部キミ子君            矢嶋 三義君            相馬 助治君            紅露 みつ君            須藤 五郎君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    宮内庁管理部長 鈴本 菊男君    文部大臣官房会    計課長     内藤誉三郎君    文部省管理局長 近藤 直人君    厚生省社会局保    護局長     黒木 利克君    通商産業省石炭    局炭政課長   及川 逸平君    労働省職業安定   局失業対策課長  村上 茂利君   参考人    福岡教育長  中尾荘兵衞君    佐賀教育長  坂井 隆治君    長崎教育委員    会事務局体育保    健課長     吉岡 隆徳君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (北九州炭鉱地帯における学童問題  に関する件)  (文部省関係予算に関する件)   ―――――――――――――
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それじやこれから文部委員会を開催いたします。  北九州炭鉱地帯における学童問題に関する件を議題といたします。本日は参考人として、福岡教育長中尾荘兵衞君、佐賀教育長坂井隆治君、長崎教育委員会事務局体育保健課長吉岡隆徳君、以上三名のかたが御出席されております。先ず参考人かたがたから、北九州炭鉱地帯における児童欠食問題について、その実情をお聞きすることにいたします。甚だ恐縮ですが、時間が余りございませんので、成るべく御発言を十五分以内にまとめて要領よくお話を下さることをお願い申上げます。  それでは福岡県における状況について中尾君から御説明お願いいたします。
  3. 中尾荘兵衞

    参考人中尾荘兵衞君) 参議院文部委員の諸先生には、平素教育機会均等のために格別の御尽瘁を頂きまして誠に感謝に堪えません。又政務御多端の際に北九州炭鉱地帯における教育問題の解決のために、我々を招集して頂きまして説明を御聴取頂きますことを重ねて感謝を申上げます。時間がございませんので、要領を得ないかとも思いますけれども、お手許福岡県の教育委員会要望書を差上げておりますので、それを御覧頂きながらお聞取りを願います。  炭鉱地帯における学校給食がこの炭鉱不況深刻化のために、現実に大きな社会問題を起しておるわけでありますが、この原因の由つて来たるところは、御承知通りに昨年あたりから特別に企業整備、或いは水害が重なつて参りまして、そういうことのために失業者相当に出ておつたわけでありますが、更に昨年秋からの自立経済達成のためのデフレ政策が深刻に影響いたしまして、以下申上げますような情勢を出して来ておるわけであります。  福岡県は御承知のように、石炭産業におきましては全国の四割くらいを生産しておりますし、北九州におきましても、七割二分くらいのパーセンテイジを持つております。そういうことから関係します地方の五市五郡に亘りまして、人口相当大きな分量があるわけであります。現実企業整備或いはデフレ政策のために今日炭鉱失業、休廃坑しておりますのが百二十二ありますけれども、坑口の閉鎖が百十というような状態で、こういうことから貯炭も激増し、失業者も、これは昨年の二月と今日とを比較しますと、まあ失業者と考えられします人員の減少を考えますと、昨年の二月には十八万九千、十九万人ばかりあつたのが、今年の六月には十四万八千人、約四万人からの人が常傭鉱員、或いは職員、臨時夫、請負人なんかを通じまして出ておる、こういうことが先ず失業者が非常に激増しておることの証明だと思います。又投売りをしなければならないような状態でありますので、非常に炭鉱収入減つて賃金従つて遅配、欠配するということも深刻であります。こういうことからそこに資料を差上げてございませんけれどもあとで御覧を頂きたいと思いますが、子供連の問題が起つて来るわけでございます。又福岡県の炭鉱に関連いたしまして、関連産業としての石炭用機器製造業も操短いたしまして、こういうところも石炭難不況影響を受けまして、相当に倒産をしたり、或いは休止をするというようなことから、家庭乃至子供たちに問題が起つて来ておるわけでございます。  又各市町村につきまししても、御承知のような、町村税鉱産税がありまして、その収入なり、炭価なり出炭量が減りまして、今までは、平衡交付金の不交付団体なつておつたのが、今日では非常に困つておるという状況であります。  そこで子供たち状況はそういうことから結果して出て来ておるわけでありますが、就学状態もこれは完全に毎日出て来ておるというものを完全な就学者と考えた場合に、一カ月に一日でも二日でも休んでおる、二十日休んでおるようなものもありますが、こういうふうに完全にずつと出ておるものは八割くらいで、何日か休んであるのが相当あと二割も占めておるような、小学校においても中学校においてもそういう現象を示しております。長欠もなお昨年あたりから比較いたしまして大分増加しております。又給食費納入の困難なものがこれも数字的に滞納が七千五百人九月に出ております。文中食、昼飯を持つて来ない、これは学校給食をやつていない或いは学校給食を完全にやつていないというような学校欠食即ち弁当を持つて来ないのが又だんだん累増して来ておるような現状であります。又生活保護法による保護を受ける者も、これは四月と九月の比較ですから、そう大きくは響いておりませんけれども大分出ておりますし、その生活保護に準ずるような要保護児童もこれ又四月と九月の比較でも相当増して来ております。御承知のように炭鉱失業した場合には失業保険というものが六カ月ありまして、最近非常に深刻化して来たために、又失業後の失業保険をもらつておるというようなことから、まだ子供たち就学まで深刻になつていないような状況でありますが、この暮頃から特にひどくなるというふうに考えられるわけであります。そういうような子供たち状況でありますが、そういう生徒児童健康状態も、栄養の非常に不十分になつたものとか、体位が下つて来たものというようなものが大分出ております。学校給食福岡県は自慢ではありませんが全国的に見ましても普及して来ておるつもりでおります。炭鉱地帯の五市五郡におきましても学校給食をやつているものが七十七校、学校給食をやつていないものが四十校、こういう状態でありますが、こういうところのものをもつと完全に進めて行くような措置をとらなければいけないということを考えております。学校給食のほうの扶助を受けておるもの、それに準ずる保護を必要とするものというのがいろいろ調査をいたしまして大分最近では数が多いわけであります。こういうふうな状態にありますので、福岡県としてはどういうふうなことをやつておるかと申しますと、先ずこういう問題の先頭に立つものはやはり各自が自立態勢に立つて、助けをすべて受けるというようなことではたいようにしなければならんということで生活自立運動というのを展開しております。これはあとで御質問がもれば詳しく御説明申上げます。こうした産業危機突破のためには、石炭だけ考えましても単に学校対策だけでなくて、各石炭産業を如何に持つて行くべきかということから、又不況を打開するための諸般失業対策鉱害復旧とか或いは河川の改修などの事業を起してやるような問題と相関連する必要があるわけでありますが、そういうことのために県に産業危機突破対策特別委員会作つて五、六月頃から非常に熱心に検討を続けておりますが、学校給食対策なんかはその一環をなす問題点であります。それから県としましてはこうしたものを処理するためには科学的な調査の基礎に立たなければならんということで、お手許にありますような児童生徒就学実態というもので最近の四月、九月頃の比較をとつております。それから研究所あたりにおきましても、こうしたものの一環としていろいろの対策も研究しております。  それから次に教育扶助受給については生活保護法がありまして、それによつて大いに利益を受け得るわけでありますけれども、こういうことがまだ非常に徹底を欠いておりますから、これを十分に徹底するようにということ、それから準要保護児童給食費の問題につきまして、今度の十一月二十四日から県会がありますので、準要保護児童というものが概算一万二千五百人ばかりありますので、こういう人に対して暫定的に十二月から二月まで、月に二百五十円かかる給食代半額を県が持つて扶助するということで、市町村あと半額を持つて行くということで四百五十万円の予算を計上しました。これは昨日の朝、知事と交渉しまして決定した問題であります。それから欠食児童給食応急施設の助成として百万円出すように、これは学校給食を実施していない小学校完全給食をなす暫定的な措置として、取りあえじそうした準要保護或いは要保護の必要のある者に対して鍋、釜或いは食器などを揃えさせるということで、そういう経費を六万円くらい考えまして、それの三分の一を県が持ち、これはあとお願いしたいのですが、国が三分の一、市町村が三分の一で応急施設をして、そうして困つておる人を救おうという対策費として百万円、これも昨日の朝、知事と話して決定した問題であります。そのほかに給食費運転資金を折衝しましたが、これは遂に達成できないでおります。この緊急給食物資製造備蓄ということで、学校給食界で非常に困つた人が殖えておりますので、非常の場合に乾パン、乾麺、ビスケツトなんかを給付できるように製造備蓄を今やつております。それから民生部とよく相談しまして、生活保護法徹底を期するような立場で、これはずつと前からやつておる問題であります。それから救援資金を大方各方面からお願いしたいと考えまして、学校長教組或いは社会教育団体PTA、そういうかたがたと一緒にそういう連動を展開して相当に成果を挙げつつあるわけでありますが、地元の西日本新聞社におきましても救援連動資金集め運動を今強力に展開してもらつております。それから生活困窮者高等学校授業料減免につきましても八百万円ばかり資金がありますので、これでかすかにやつておるわけであります。  それから政府に対しまして、国会に対しましても、お手許に写しがあると思いますが、去る八月の九日に九州各県の協議会決議をしまして、この関係お願いを申したわけであります。こういうふうないろいろなことを一応やつております。併し、どういたしましても地方財政現状が非常に困難でありまして、福岡県におきましても現在追加予算をやるというようなことになつておりますが、大分四割節約というようなことまで知事は言われて、そこまでは行つておりませんけれども、二割、三割近くの一般行政費を節約するようなことで追加財源を賄うというようなことまでなつておりますので、なかなかこういう点に隘路があるわけであります。それからこの問題も先ほど申しましたように、諸般の施策と相共同して、総合的に近めて行く必要があると考えられますし、産業危機突破特別委員会という県議会を中心とした運動でやつて行かなければ解決できませんし、又諸般の国策の御援助というものが、又その前提として必要なこと等、お願いしなければならん問題であると思つているわけであります。  そういうふうな立場におきまして最後に絞つてお願いしたいと考えますのは、炭鉱地域における学校給食に対する事項、大体その主要なものでありますが、第一は先ほども申しましたが、そうしてこれは先にこの学校給食法が制定されます際に、参議院におかれましても附帯決議としていろいろ強力な御要望をして頂いております、その事柄に大体関連して来るのでありますが、この学校給食施設設備必要経費をできるだけ国庫で増額してもらいたいということであります。先ほども申しましたように、応急的なことをやつておりまして、施設をやつておりますが、こういうことに対しての御援助を頂きたいと思いますが、要はこうした子供たち学校に完全に来させますためには、結局食生活を安定するということが最大の大事なことだと考えるわけでありますので、先ほど申しましたけれども、この炭鉱地帯においてまだ大分この学校給食を実施していないところがありますが、こういうことも含めまして全国的な立場からも施設設備の問題について、もつと予算を増額して頂きたい、こういうふうに思うわけであります。それと先ほど申しました完全給食になる経過措置として、暫定的な施設をやつておりますが、これに対しても御援助お願いしたい。それから準要保護児童に対しても学校給食に対して国の補助を頂きたい。これも法律制定の際に附帯決議にあるわけであります。それからできますならば小麦粉或いは脱脂粉乳についても、政府におきましてできるだけの補助的な措置をやつて頂きたい。政府におきまして先般来アメリカとの余剰農産物の処理の交渉がされておりますが、こういうことも是非この際確実にこの学校給食措置に活用されますようにお願い申上げたいと、こういうふうに思うわけであります。それから今申上げましたのが学校給食関係でありますが、このほかに生活保護法適用者の範囲の拡大ということでありますが、本県は今まで炭鉱地帯比較的景気がよかつたということもありまして、一般的にはパーセンテージが非常に生活保護法適用を受けている人が少なかつたのでありますが、最近における炭鉱不況に伴いまして、非常に多くの失業者が出ております関係から、県におきましては生活保護法適用について、できるだけ実情に合うような拡張をしなけれぱならんと思いますが、これにはどうしても八割の国庫負担というものがついて来なければできませんので、こういうことも増額を一つお願いいたしたい。それから育英会のほうの該当者の拡充をして頂きたい。これは日本育英会の御配慮で三十名増加割当を頂きましたが、なおこれでは、不足いたしますので、この点も併せてお願いしたい。甚だ、不十分でありますが、以上お願いを申上げます。
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) 有難うございました。  次に佐賀県における状況につきまして、坂井君より御説明をお順いいたします。
  5. 坂井隆治

    参考人坂井隆治君) 佐賀県の教育長坂井でございます。佐賀興炭鉱地帯不況深刻度におきましては、只今福岡教育長から口述がありましたような、同じ国家的な原因の下に、又水害その他の地域的な原因のために非常な深刻の度を増して参つております。現在佐賀県におきましては小山と称する炭坑を含めまして約八十七坑ございますが、十月三十日現在で休坑が三十一坑、廃坑五坑となりまして、現在稼働坑が五十一坑となつております。而も各炭鉱各種保険料とか公租公課或いは資材代電力料などの不払額が十億以上に達しております。又特に各炭鉱賃金払額、それが全産業払額の八〇%に当る一億が炭鉱払額なつておりまして、炭鉱関連産業が非常な又その影響を受けて深刻な不況現象を呈しておるような状態でございます。特に佐賀県におきましては伊万里地区における国見炭鉱山代炭鉱向山炭鉱、或いは唐津炭田厳木地区におきます町切炭鉱岩屋炭鉱新屋敷炭鉱東和炭鉱というような従業員七、八百名から千四、五百名ぐらいのいわゆる中小炭鉱の中で、中級炭鉱等の規模を有しまするものが現在廃鉱或いは休鉱の一歩手前にありまして、これは非常に注目すべき現象でございますが、或る特定の地域に集団的な生活をしている同一の従業員が非常な生活の重圧をこうむつております。年末を控えまして現在社会問題化いたしておりますが、これが発展いたしまして治安問題に発展する危険があるということを非常に我々心配しておるような状態でございます。こうした不況炭鉱の一例といたしまして、唐津炭田にありますこの厳木町の実例は全町の区域にあります炭鉱は、今申しました町切岩屋新屋敷或いは東和炭鉱の中炭鉱のほかに十四の小山がありますが、この中で採炭しているのは小山が六カ所でございます。で、この有業人口が約六千人ございますが、炭鉱従業者は、三千五百四十七人、約五五・三%となつております。このうち町切が昨年六月の水害廃鉱となり、岩屋も本年八月廃鉱のやむなきに至つたのであります。岩屋炭鉱が約一千二百七十人の従業員をかかえております。又新屋敷炭鉱休鉱寸前状態でありまして、このため町の財政昭和二十八年度において調停額三千八百十九万円のうち炭鉱関係が二千百五十九万円、約五六%を占めておりますが、収納額調停額の僅か三一%であります。特に本年十月末の納税成績が二六%でありますが、うち鉱山税調停額が七百万円に対し、僅かに八万円という少額でございます。この町財政が極度の行詰り状態を呈しておりまして、或いは失対事業のために政府から三百万円もらい、町費百方円を裏付けいたしておりますが、僅かに五十人の収容人員しかない。それに三千三百万の借入金の返済が目前に迫つておりまして、役場の吏員の給料すら払えないという状態でありますために、役場自体税金代り石炭を集めまして役場石炭を売つて、山の人とその利益を分けあつて役場収入の一部に加えているというような状態でございまして、町自体学校給食などにも全く手が出ないというような状態でございます。なお失業保険受給者の現況でございますが、最近金融引締め等炭鉱不況のために中小炭鉱の廃山、休山及び企業整備などその影響関連産業にも及ぼしまして、失業保険金支給人員が非常に増加しております。なお支給人員増加する半面、失業保険料滞納状況昭和二十八年度は二十七年度と大して差がなかつたのでありますが、二十九年度一月以降というものはこの滞納が急速度に累積しておる状態でございます。特に私どもとして心配しておりますのは、失業保険受給者満了期でございますが、これが十一月に千七百十六名、十二月に千三十三人、一月に九百五十四人、二月に千百八十五人、そしてこの十一月に非常な満期、満了者を出し、二月で殆んど満了者が出尽すような状態なつております。この年末を控へ又年始めを控えまして失業保険受給満了期を迎えるということは、非常なそこに危機が予想せられるのでありまして、今日まで失業保険で細々と飢えをしのいで来たものが、これから先学校へも行かれないという状態が急速度に参つて来ないかということを非常に我々は憂えております。かくのごとく炭鉱地帯の非常な不況状態学校に如何に影響を及ぼしているかということを欠食教育補助欠席状況或いは学校納入すべきPTA会費学級費等のように分けまして、簡単に御報告申上げますが、本年五月頃から経済界不況の波が学校にも押寄せまして、欠席欠食相次いで起り、中小校学校におきましてはPTAを初め地元各種団体積極的援助にもかかわらず、事態はますます深刻となりまして、義務制側欠食者数は、六月に小学校在籍者が二万飛んで六百七人のうち、欠食者三百七十三人、中学校において在籍者数一万三千五百八十八人のうち欠食者二百二十八人、これが十万になりまして小学校二百四十五人、中学校二百三十七人となつております。六月中小合計六百一人、十月中小合計四百八十二人であります。この六月と十月の欠食状況比較しますれば、中学校においては大した変化はありませんが、小学校において欠食者相当減少しております。これはどういう理由であるかと申しますと、欠席者激増なつて現われておりまして、特に昼食を抜いて弁当学校に持参する、或いは夕食を簡単にして学校弁当を持参する、或いは親が食べなくて子供にだけ弁当を持たしてやるという者、或いは弁当を持たないから欠席するというようなものがありまして、そういう点からいわゆる潜在欠食者と目されるものが非常な数に上るものと想定されております。特に私どもの県におきましては昨年の水害のために政府の御配慮によりまして、ユニセフミルク割当を受けまして、それを本年の十二月まで持ちこたえるように配給いたして割当いたしておりましたが、これが十二月で全く切れるのであります。まあかようなことで、この十二月以後における学校給食につきまして、私どもも非常な憂慮と対策を考えておりますが、なかなか思うに任せず、この点につきましても政府格別の御配慮お願いいたしたいと存じます。特に完全給食法と称せられるものは炭鉱地帯におきまして僅か二鉱でございます。これは半額政府補助でありますが、その半額町村費で裏付けすることができない、或いは完全給食施設を行いましても、あと維持管理或いは雇い入れた人の人件費、そういうものを町村で受け持ちきれないというために、完全給食施設政府補助があることを知りながらも申請しきれないというふうな状態でございます。この点特に文部委員の各先生の御理解を特にお願いいたしたいと存じます。  なお教育扶助でございますが、十月末小学校在籍児童が二万九千百四十人に対し、扶助者は八百五十人でございます。これを四月と比較しますれば二百六十四名の増加をいたしております。中学校においては、三十八名増加なつております。十一月、多数の失業保険受給者満了によりまして、その激増が予想せられるのでありますが、この点につきましてはまだ学校当局なり、教育扶助を受ける条件を持ち、その資格がありながら無理解のために或いは理解が足らないために申請しない、或いは申請を勧奨しない、こういうふうな傾向がございまして、この点私どものほうにおきましても強力にこれが指導啓蒙を行なつている状態でございます。  なお生徒児童欠席状況は、九月末の小学校在籍二万九千二百七十二名に対しまして、二千百六十三名で、約一一%を示しております。四月に比較しますれば七百五十二名の増加なつております。十月末、中学校におきましては在籍一万五千二百八十四名に対し千六百八十七名で約一一%を示しております。これを四月に比較すれば五百六十七名の増加なつております。かくのごとく在籍数は月々減少するに反しまして、欠席者はますます増加しているということは注目すべき現象でございまして、その欠席理由は病気、家事手伝い、貧困の順序になつております。いずれにしても根底にいわゆる経済不況炭鉱不況の一つの一連の基盤、一連の背景が存在していることは見逃しがたい事実ではなかろうかと存じます。  PTA学級費納入状況につきましても年々、毎月殖えるのみでございまして、十月と四月の比較によりますと五百七十一人、小学校でございます、中学校において一千四百四十三人の増となつておりまして、月々増加いたしております。右のような状態でありまして、義務教育に重大な影響を及ぼしていることは見逃すことができないのであります。高等学校におきましても何様でございまして、在籍生徒数、全日一万九千百八十八人のうち授業料滞納者は本年四月から十月まで月平均一千百十二人、このうち炭鉱子弟が五十二人でございます。二カ月以上滞納者が四百十三人、うち炭鉱子弟八十一人、納入見込みの全くないものが二十九人、うち炭鉱子弟が十七人という憂慮すべき状態でありまして、このために県の教育委員会といたしましては六月県会にこれが延納措置をとり、十一月、今月の県会授業料減免条例を提案する予定をいたしております。なお一例を窮迫地区の学童生徒にとりまして申上げますれば、こうしたアンバランスな食生活の問題、或いは住居の問題、又寒さに向つての衣料問題からいろいろ病気が蔓延する状況にございまして、特にトラホーム、或いは鳥目、皮膚病、しらみ、夜尿症、そういうものが小学校児童の間に非常に蔓延しているような状態でございます。これは一つは風呂に殆んど入れない、入りましても多人数一つの風呂に一日、千五百名くらいの人が入るというようなことで、石炭、炭住街でありながら休廃鉱のために風呂を立てることができたい、こういうことで特に子供のほうに栄喪失調的な傾向の上に不衛生な生活環境のため、こうした病気が蔓延するような状態でございます。これにつきましても特に政府の適切なる御施策をお願いいたしたいと存じます。  最後に御存じのように佐賀県は石炭と米を以て県の経済を支えている県でございまして、この石炭かくのごとく不況状態になりますことによりまして、県の経済というものが非常に逼迫しております。県の財政を見ましても、御存じのように十億以上の赤字を抱えております。そして県全体の産業構成が、石炭を中心にいたしまして、それとの関連産業の関連作業たる小企業でございまして、そのために福岡或いは関西地方に依存する植民地経済的な性格を持つておりまして、県自体としての自立的な経済というものが殆んどその根底がないのでございます。県の財政は赤字の累積、そのために炭鉱不況を目前に見ながら、又子供の悲惨な状態を目前に見ながら、県自体でいろいろ工夫し又努力をいたしておりますが、その限界がすでに参つておりまして、どうしても政府の総合的な適切な御施策により、温い愛の手を延べて頂かなければ社会問題、治安問題として今後非常な憂慮すべき事態を惹起するのではなかろうかと非常に憂慮いたしております。この点諸先生方の特に温かき御理解と御協力をお願いいたしたいと存じます。
  6. 堀末治

    委員長堀末治君) 有難うございました。  それでは次に、長崎における状況について吉岡さんより御説明お願いします。
  7. 吉岡隆徳

    参考人吉岡隆徳君) 教育長が病気をいたしましたので、代りまして私から御説明並びに御報告を申上げたいと存じます。  長崎県は六月以来炭鉱不況の深刻化か特に目立つて、その節は国会の先生方には格別の御支援と御教示を頂いたと同時に、政府、文部省におかれましても学校給食方面におきますところの各方面の物心両面に亘りますところの御支援と御援助を頂いて今日まで参りましたことを慎しんでお礼を申上げる次第でございます。六月以来今日まで参りましたその状況とその措置に対しまして概略御報告申上げたいと存じます。  六月以来の長崎県の炭鉱の労務者の推移を拝見いたしますと、昨年の四月四万二千九百八十二名でありましたのが、今年の七月には三万三千十名という減少を示して参りまして中にも中小企業の炭鉱におきましては昨年四月二万三千二百四名でありましたのが、今年四月には二万五千八百九十五名、即ち七千三百九名の減少という事態に立至つたのでございます。又佐世保地帯を含めますれば、今年一月から九月までにおきますところの整理人員は三千三百二十六名という多数に相成つておるのでございます。これを大手筋にいたしますれば一三%四でございます。中小企業炭鉱を対象にいたしますれば三一・四%という現状でございまして、長崎県におきましては主として中小企業の炭鉱の窮状がここに現われたのでございます。これに対しまして失業保険現状を見ますれば、この順序に参りますと十一月、十二月では殆んど失業保険が満了と相成りますので、これに対しますところの財政窮迫がなお一層深刻を増して来ることを考えるのでございます。炭鉱地帯生徒児童につきましては、特に長崎県は北松地帯が中心でございまして、二十五カ町村のうち十一カ町村がその中小企業炭鉱関係いたしますところの町でございます。生徒は二万九千百二十八名その関係の地帯におるのでございますが、その中で特に炭鉱関係直接の児童が一万四千六百四十五名、五〇%に当つておるのでございます。佐世保は北松と若干趣きを異にいたしておりまして、市を中心といたしました郡部の炭鉱にその緒が現われておりますので、佐世保は炭鉱関係の二千五百十三名のうち四百八名という数字をいたしておるのでありますけれども、北松との違つたところが以上の点でございます。  欠食児童実情を六月に見ますと、千四百五十八名でありしたのが、今月十五日に調査いたしましたところ千九百三十六名、即ち四百七十八名の増加を示している現状でございます。欠席実情を見ましても四月には二三%、六月には二七%、九月には、九月下旬でございますが二六・五%という順次欠席の上昇を示しておるような状態でございます。この中で病気と言われますのが四二%、家事手伝いと申しますのが二一%、貧困のためにというのが一四%、その他二二%という実情でございますが、病気、貧困、その他ともこれは炭鉱不況におきますところの深刻さを物語つておるものと推察いたすのでございます。その他PTA会費及び学級費におきましても四月、九月を通しまして逐次増加を示しておる状況でございます。免税におきましても滞納におきましてもいずれとも上昇を示しておるのでございます。生徒児童の不良行為並びに栄養不良につきましては、八月前後の調査におきましては、不良につきましては小学生が二十四名、中学生が八名という実情でございましたか、後刻申上げますような救援対策委員会によりまして助け合い運動の募金運動を展開いたしまして、逐次その方面に経費を配分いたしましたところ、栄養不良、要注意者というものが漸次減少いたしまして、今日ではそ、の緒が現われておらないのでございます。又不良行為につきましては殆んどそういうものが現われないで、むしろ家庭におきましても、児童生徒におきましても、この対策運動の温かい同情に感銘いたしまして、家庭は進んで学校のすべての行事の手伝いをするというような、誠に予期しない結果を得ておりますので、私ども大変うれしく考えているのでございます。教育扶助実情もパーセンテージにいたしましては、炭鉱関係では一・五という誠に低率の状態を示しているのでございますが、これは失業保険等を受けております関係上、教育扶助はそういうことでありますけれども、先刻申上げました一月以降は、これはよほど上昇する傾向を表わしていることはいなめない事実でございます。かような状態から、県、市及び町村のこれに対します対策を御報告申上げます。  県といたしましては炭鉱児童生徒教育対策委員会というものを設置いたしまして、日赤を中心に募金運動を展開いたしたのでございます。只今までその募金運動は三百七十万の募金を頂いているのでございます。なお続々とこの募金の点におきましても温かい御同情を得つつあるのでございますが、これも数限りがございまして、この面は明るい見通しであるということを申上げることができない実情でございます。米麦にいたしまして百三十三俵、その他罐詰、学用品等若干でございますが、只今まで四回の配分を終りまして、第一回が一人当り三百五円、第二回が三百九十四円、第三回が六百八十八円、第四回が九百円という実情でございまして、これによりまして欠食児童に対しまして市価におきますところのパンを与えている実情でございます。  又日赤支部におきましては医療班を設置いたしまして、北松地帯の一般のかた並びに児童生徒に対して医療品の無償配給をいたし、治療をいたして参つたのでございます。又北松地帯におきますところの教育対策委員会というものを特別に作りまして、各方面で資金カンパもいたしまして、着々と学用品等を配給いたしまして、四月のときには学用品がない或いは雨具がなくて欠席いたしましたのが、先刻からの義捐金によりますところの面と併せまして、そういう欠席児童が少くなるという実情でございます。又この地帯の高校生の授業料の免除等につきましても大いに免除をいたしまして、第一次の六月には県下全体で六百三十六名ございましたが、この中で炭鉱地帯も若干含めておつたのでございますが、第二次の措置といたしましては百二名、これは炭鉱地帯の人を限定いたしまして百二名の従業料免除をいたしておる次第でございます。育英会におきましても、第二次には五十名の追加を頂きまして、これに対して万全を期しておる実情でございます。佐世保市は給食実施校でございますので、特に佐世保におきましては貧困児童給食補助金を二百六万を組んでおりまして、欠食いわゆる給食費滞納或いは給食費の困難なものに対しまして逐次手を延ばしておる実情でございます。  以上が県並びに市町村対策でございますが、これから申上げますのは、かようなことをやつて参りまして、それに対しまする隘路はどういう点であるかということを申上げてみたいと存じます。  お手許に差上げました長崎県の「児童生徒の実態調査」の五枚目のところの6というところにその隘路の点を申上げたのであります。これを簡単に申上げますと、先刻から申上げますように、義捐金によりますところの一時的な対策は、もはや将来大きな期待が持てないということは十分お互いに承知いたしておる実情でございます。それ以外に私どもといたしまして特にお願い申上げたいのは、炭鉱不況町村では従来学校給食をやつておりますのは殆んどございません。昨年の風水害におきますところのユニセフミルクを頂戴いたしました学校が数校あるだけで、あとは殆んど実施をいたしておらない実情でございますので、この点生活保護法におきますところの教育扶助の支給が多くは父兄に渡りますが、父兄がそれを適切に学童に渡らないで若干の面に利用されている傾向がございますので、これが給食を実施しておりません学校では教育扶助法の金が校長等に渡りまして、それから授けるようにいたして頂きますれば、これか非常によく運営されるのではなかろうかと考えます。又炭鉱地帯町村といたしましても、鉱産税その他の収入が断たれましたので、特別な給食設備並びに実施をいたそうと思いましても父兄の負担並びに市町村の負担もございませんので、これは殆んど先ず期待が持てないという実情でございました。併し私どもといたしましては、県には学校給食実施要綱というものを設置いたしまして、これによつて全県下に全給食をやらせると同時に北松地帯の方面にも特にその給食をやるべく説得に努めましたところ、二十六校の関係給食学校におきまして六校の給食をやることに相なりましたことは、せめてもこの児童に対しまするところの救援ができることを喜んでおります。なお努めて私といたしましては、そういう地帯に今後ますます給食をやらせるべく努めたいと考えるのであります。  そのほか要望といたしましては、第7にございますので、特別措置といたしましては、炭鉱地帯の中小学校生徒児童に対しまして小麦、ミルク等の無料給食をさして頂くようお願い申上げ、又給食施設の全額国庫負担も是非お願い申上げたいのでございます。又完全給食校における炭鉱子弟の特別な給食費国庫補助、その他教科書、学用品、育英会資金の拡大等、私どもといたしましてはお願い申上げて御善処かたをお願い申上げる次第でございます。簡単でございますが、以上御報告申上げます。
  8. 堀末治

    委員長堀末治君) 有難うございました。  それでは御質疑のおありのかたは順次御発言をお願い申上げます。
  9. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今各の教育長さんから詳細な資料を以て実情の御説明を頂いたわけでありまして、この炭鉱地帯、特に中小炭鉱を中心とする地帯の学校給食その他勤労者の生活が困窮しているということはすでに周知の事実で、更に詳細な資料に亘つて私十分実情を調べて行きたいのでありますが、私伺いたいのは、人から聞き又地元の新聞等調べて見ますと、人身売買ですね、これが非常に多くなつた、中には子供生活を支えるために奥さんを売つた、或いは勤労者の婦女子を特殊飲食店等に周旋することによつて利得を得ようという、いわゆるブローカーが特に嘉穂、飯塚等の筑豊地帯に入り込んでいるということを聞くわけですか、只今の御説明の中には、こういう人身売買等についてはどなたからも御説明がなかつたようでございますが、この点と、それから又非常にどん底に参りまして自殺者等も相当に出て来て社会不安を招いているということも伝え聞いているわけですが、この点についての説明もございませんでしたから、この点もどういう状況にあるか、この際承わつておきたいと思います。  それからもう一点承わりたい点は、実情は困つているということはわかるわけですか、これを如何に解決するかということが問題のポイントだと思います。そういう立場から一応伺うのですが、九月に厚生省から通達が出された、それから十月九日に文部省から教育関係を中心としての通達が出されたわけですね。これによつて如何ように事情が好転したか、その実施状況かくかくなつたが、それは全体から、いえばこの程度しか解決していないという大体の率を以て御説明願いたいと思う。これと類似の問題としては、通産省のほうで幸いにして北九州の炭田地帯は、常磐とか或いは北海道とは違つて、いわゆる鉱害のある地域ですね、特に特別鉱害が随分まだ残つているわけですが、この鉱害復旧とかねて若干なりとも失業者を吸収しようというので、御承知のように約七億円の予算の下に一日一万人の失業者を吸収しようという対策が練られて、たしか十一月から実施されることになつたと思うのです。伝え聞くところによると、その実施にはいろいろ隘路があるということも聞いているわけですが、その実施状況は如何ように進んでおるかということを承わるのと、それからもう一点ついでに承わりますか、先ほど奨学金の枠については十月九日の文部省の通知に基いて、或いは長崎は五十人、福岡は三十人追加増員されたという御説明があつたわけですが、この際大学に関しては一切御説明を承わることができなかつたのですが、勿論あなたがたの所管外ではございますが、今度の北九州中小炭鉱を中心とするところの不況、これは関連産業に大きく影響しているわけですが、九州大学更に長崎大学等の大学生には如何ように影響しているのか、先ずそれらの点について各教育長さんから承わりたいと思います。
  10. 中尾荘兵衞

    参考人中尾荘兵衞君) 人身売買又は自殺者の状況についての御質問でありましたが、私はこの具体的な実例につきましては余り詳細には承知しませんので、なんですが、家庭が失業をしたために非常な貧困になつた、そのためにこれは二、三日前にも山に行つてそういうことを聞いたのですが、最近或いは子供たちを残して主人が家を出てどこへ行つたかわからないというような非常に悲惨なことがあつたということを目の当りに見たわけですが、又学校に行つております子供さんたちが、やはり家庭の経済を援助するために学校に行く途中からどこかに、まあどこかに行くと言うとおかしいのですが、何かやはり稼ぎになるような仕事、例えば山へ山芋を掘りに行くとか、或いは海岸まで貝掘りに行くなどして稼ぎをして学校欠席しているというような話を目の当りに向いたわけです。又学校にやられないで子守にやるというような事柄も相当出ておるようであります。自殺者の関係はやはりこういうふうな塗炭の苦しみからそういのが或る程度出ておることもまま聞いております。その程度で、余り詳しく御説明になりませんが、それから厚生省の社会局長の通達、並びに文部省の局長からの通達に基きましては、我我としましてはこの学校給食の完全な実施といいますか、そういうことを目指して学校給食立場からは生活の要保護立場の人に対しましては、十分に家庭に学校の校長あたりを通じまして保護を受けるように積極的に働きかけるということが第一でありますから、そういう問題につきましては学校長を通じて特に督励をし、又民生委員との連絡もよくやつて進めております。学校給食をやつていないところにつきましてもできるだけこの際進めたいと考えて、先ほど申しましたような学校食の完全に行く段階的な措置として、非常に貧困、要保護の人を中心とした学校給食を実施するために県費をとつてやる立場に立つております。そういうことであります。まあ私たちはの通牒は人体生活保護立場においてやられる程度のことでありまして、要保護以上の準要保護のものの問題が更に問題点としてあるわけでありまして、この関係はこれは生活保護立場でなくて文部省所管の学校給食法の積極政策の意味から取上げて頂きたい、こういうふうに考えまして、暫定的にで十二月から二月までの間一万二千五百人のものについてこういうことを実施する措置を、予算措置としては今四百五十万円とつておるような状態であります。  それからこの北九州鉱害復旧の間につきましては先ほどもお話がありましたように、すでに通産局のほうから割当がありまして、県の鉱害局で各土木事務所のほうに説明いたしまして、十一月の二十日から着工するということで繰上げ事業を二十二カ所、総額四千三百万円、延べ三千三百五十人を収容すると、こういうふうな事柄特別鉱害には三カ所、一般鉱害は県下で七カ所などであります。それから今年度の既定の事業として七十七カ所、一億七千六百万円、六万一千人を吸収する、こういうふうな特別鉱害、一般鉱害の問題があるわけであります。そのほかにも農地関係での特別鉱害の関係で農地の復旧の、鉱害を受けた関係のところをやるようなことになつております。このほかに更に遠賀川の河の改修といいますか、このことも今要求してあることと考えております。それから大学生の育英会の奨学金のとにつきましては、ちよつと所管外でありましたので詳らかにしておりませんが、文部省のほうからでもお聞き頂きたいと思うのです。
  11. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 いや、大学生のことを伺つたのは、やはり炭鉱就労者の子弟で大学に行つている人で休学するとか、或いは退学をするとかいう人が出ているか出ていないか、まあ炭鉱就者のみならず、殆んど福岡県にしても又長崎県の北松地帯にいたしましても、それから佐賀県のようたところについても、殆んどの人が関連産業として生きているわけですから、私は相当大学の学生のほうにも影響しているのじやないかと、こう考えましたので、奨学資金の枠が幾ら拡まつたかどうかという問題ではなくて、高等学校の学生以外にあなたがたの所管外でありますけれども、若し御存じならば、大学の学生には如何ように影響しているかいうことも、この際知らして頂きたいと思つてつたわけです。
  12. 坂井隆治

    参考人坂井隆治君) 矢嶋委員の御質問につきましてお答え申上げます。第一点の人身売買の件でございますが、人身売買につきましては全体的だことは聞きませんが、特定地区、例えば小城地区、それと厳木地区に人妻の身売りが若干あつたことを聞いております。厳木地区では多分四名とか聞いております。小城地区にも一、二のケースがあつたと聞いております。それから、なお、年頃の娘が旅館、料理屋、飲食店、そういう所に出稼ぎに相当つている。又行く傾向が殖えているということを聞いております。人妻で出稼ぎも相当ございます。それと炭鉱従業員の中に後妻をもらつているのか相当おりますが、そういうところで先妻の子供、いわゆる継子との間が非常にまずくなつて、子供が家出するとか或いはその後妻の人が又家出するというふうな家庭不和がよくあるということを聞いております。それから自殺者のことは聞いておりません。ただ生活が極度に困つて、何と申しますか、夜逃げするとか行方不明になるという事例のあることは聞いております。九月の厚生省通達、十月の文部省通達につきましては、いろいろ教育扶助の啓蒙を行なつておりまして、関係小中学校長を招集しまして、その趣旨を徹底し、又、民生委員と連絡しまして漏給がないように指導に努めております。併し、まだなかなか民生部関係の査定が相当厳重でございまして、もう少し緩和して頂くように、又、申請に三カ月もかかるので、できるだけ早目に即決主義で捌いて頂くように極力協議相談をいたしております。なお、文部省通達に関しましては、その趣旨をよく酌みまして、九月の県会で、就学対策費ということで六十二万三千円県費を計上いたしまして、特に給食費を中心として、その他学用品代補助ということで、十月にこれを関係町村に流し、又、関係町村は県から流しました額と同額の町村費を裏付けするという条件で手配をいたしております。文部省の趣旨を酌んでやりました。ただ文部省の通達が国庫予算の裏付がないために六十二万三千円計上いたしましたが、今後県の財政が純県費で、そ、うした県単事業費或いは臨時費の支出が殆んど不可能でございますので、こういう点も一つ政府で御考慮願いたいと思います。なお、鉱害復旧の実施状況につきましては、私承知をいたしておりますのは、東北いわゆる杵島地区の一般鉱害、北方地区、の特別鉱害芦刈、砥川地区の学校学校鉱害、そういうものにつきまして、若干復旧作業に着手するようにいたしておりますが、その他のことにつきましては承知いたしておりませんが、この大学育英会の問題もよく承知いたしませんので、帰りまして至急に文部委員会宛に内容を御報告いたしたと思います。
  13. 吉岡隆徳

    参考人吉岡隆徳君) 長崎県では人身売買、自殺者は各一件ずつあつたのでございます。これも当初のことでございましたので、今日そういう実情はございません。  教育扶助現状でございますが、厚化省、文部省からの御通牒によりまして、特にこの十月前後、十一月にかけまして多いということは認めませんが、一応北松の炭鉱地帯だけを見ましても、教育扶助を受けておりますのが、二月百五十四名、四月百六十六名、六月が二百十四名、九月が二百十七名ということになつております。これは給食におきますところの教育扶助ではございませんで、一般的な給食以外の教育扶助でございます。給食を中心に考えました教育扶助は、給食実施をやつておりませんので、このところの人員増加していないのでございます。併し十一月から十二月にかけまして、先刻申上げましたように、六校の給食実施校がございますので、これに対して大いに活用して頂きますれば相当の恩典に浴するものだと考えるものでございます。但し、こういうことを聞いておりますので、教育扶助を受けます場合、他から何かの義指金その他がございますと、教育扶助の枠に入らないということを聞いておりますので、恐らく実際問題といたしましては、十二月以降いわゆる救援対策のこの義捐金如何によつて、これが増加を示す傾向にあるんではなかろうかと推則いたしております。それから佐世保地帯におきましては、全生徒三万八千百七名のうちに、教育扶助を受けておりますのは九百六十五名でございます。単給九十八名、併給八百六十七名でございまして、そのほか先ほど申上げましたもの以外の貧困児童に二百六万余を計上いたしておるという実情でございます。育英資金につきましては、私調査いたしませんで存じ上げていないのでございます。
  14. 相馬助治

    ○相馬助治君 十二月以降増加することはないという問題を、ちよつともう少し……。
  15. 吉岡隆徳

    参考人吉岡隆徳君) 十二月増加と申しますのは、義捐金がなくなりまして、いよいよ給食実施いたします児童に対して正式に該当するということを聞いておりましたので、その点を申上げたのでございます。十二月までは先ほど申上げました三百八、九十万のお金がございますので、欠食児童に対しましては、約一人六百円か五百円ぐらいの義捐金がございましたので、そのほうで賄うことができるのでございます。県におきましては、社会保方面の福祉事務所におきましては、そういう義捐金か何か名目のつきますところのお金が入れば、その枠には該当しないということを承わつておるのでございます。
  16. 相馬助治

    ○相馬助治君 そのことはどういうことですか。
  17. 吉岡隆徳

    参考人吉岡隆徳君) これは収入の中に入るということを開いております。個人の収入の中に外部からの援助も入るので、その基準が、支出と収入とになりますと、生活保護法における基準に合わないという、そういう意味でございます。
  18. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この只今の説明で、これは山口県の炭鉱地帯も含むと思うのですが、北九州地帯の炭鉱地帯の窮迫度の深刻さというものは私はよくわかると思うんです。特に福岡県の場合も、ユニセフが切れる、それから各県とも失業保険の交付期間が御説明通り切れるということになると、非常に今の深刻度というものは、更に加わつて来ると思う。そこで私は先ほど皆さん方に救農単といいますか、そういう土木業を中心とする問題をちよつと伺つたわけで、その具体的な政府の施策として鉱害の問題を伺つたわけですけれども、結局この各県の県単事業というものをこれはやれないんじやないか。ということは、不幸にして昨年大災害を受けた県ですし、最近税収というものが非常に減退しているとなると、結局の単独専業等によつて、救農土木事業と呼ばれておりますが、私は救農単土木事業と呼ぶ必要があると思いますが、そういう所はやれないのじやないかという感じがしたのでく、お伺いしたのですが、果せるかな政府が救済策の一枚看板に掲げている鉱害復旧もまた十分な成果を挙げるところまで来ていないということがわかつたわけでございます。私ここでもう一点皆さんがたに直接関係ある問題として伺いたい点は、弁当学校に持つて行けないから学校を休むという子供が多くなつたということを承わりました。従つて潜在欠食児童ですね、これがどのくらいあると思われておられるかという点と、それから福岡県でやられている長欠児童促進学級というものですね、この状況はどうか。それから他の二県ではこういう手は打たれておらないのかどうかという点と、次のは長崎吉岡参考人だけでありますが、先ほどのあなたの説明の中に教育扶助の支給が直接父兄に支払われて児童に支出されないことが憂慮されるという説明があつたのですが、これは曽つて委員会でも問題になり、教育扶助は父兄のところにとどまらないように直接生徒児童に、渡るように、学校長に渡すように私はなつていると思うのですが、これは十月九日の文部次官の通達の中にもそういう趣旨の通達内容が入つていると思うのですが、この点福岡佐賀では如何ように扱われておられるか、承わりたい。
  19. 中尾荘兵衞

    参考人中尾荘兵衞君) 弁当を持つて行けないで、潜在的な扶助の必要な者という御質問でありますが、要保護児童調査をやつたわけですが、この数字が四月は三千八百四十六人か九月には四千七百九十九人、これは小学校です。それから中学校は四月に二千四百三十三人か二千九百四人、こういうふうに上つて来ております。これは只今の弁当関係もこれに繋がるわけでございますが、これが割合に数字が少いのは先ほども申上げましたように、失業保険のまだ切れる前、直前だというようなことが一つの数字が比較的上らないあれじやないかと思つております。欠食の調べをやつておりますが、小学校では十万人の、学校給食をやつてない学校ですね、それから完全給食をやつてない学校を含めて十万人くらいこの炭鉱地帯にいるわけですか、この中で三千八百四十八人ということで、四月から見ますと千四百人ばかり殖えております。それから学校給食費の納入状況ということも滞納者が九月には七千五百五十四人、これは完全給食をやつている所ですが、こういうように殖えております。それから促進学級のことですが、福岡県では或る程度長欠者などの救済策としてこれをやつております。ですが、こういうように生活保護のところまで落ちた困窮者の救済ということになりますと、やはり学校給食をやつていないようなところに対しましては、学校給食を始めて行かなければ、それから又先ほど申上げましたような臨時的な措置学校給食的なものをやるような措置をしたければ、なかなかこれに喜んで来るというようなことにならないと思います。そういう立場で、先ほど申しましたような臨時的な措置をでは至急にやつて行こうという、こういうような考えでおります。  教育扶助学校で大体そういう立場で先達ての文部省からの通牒もそういう趣旨でありましたし、このことは学校にはよく徹底しておりますから、そのつもりでやつていると考えております。なおそうでないものについては、確実にそういうふうにやらせなければならないと思つております。
  20. 坂井隆治

    参考人坂井隆治君) 潜在欠食児童の概数は先ほど御報告しましたが、県で六十二万三千円の配分をいたしましたときに、町村から欠食児童の数を申請さしたのであります。その申請数が千七百二十七人であります。これは炭鉱地区生徒の四%に当ります。それから、長欠児童の促進学級ですが、この学級としては佐賀県ではやつておりません。ただ地域児童福祉審議会或いは民生委員協議会、青少年問題協議会婦人会そういう関係団体の御協力を得まして、長欠児童の家庭と連絡をとり、できるだけ学校に出席するように、又その家庭の生活の実態を関係機関のほうへ連絡して頂くような方法をとりまして、そうして生徒の登校を促進するような方針をとつております。  それから教育扶助につきましては、学校長がもらつております。一括してもらつて捌いております。
  21. 吉岡隆徳

    参考人吉岡隆徳君) 長崎は潜在欠食児童といたしましては、三食以上の児童が千九百三十六名おりますので、家庭の一食当りを附け加えましても、この倍以上の人員が該当することになると思いますので、ここではつきり数字を出せませんけれども、千九百三十六名というのは三食以上というところに限定いたしました人員でございますので、一食を加算いたしますれば、この倍は入ると、こういうように考えております。
  22. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  23. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて下さい。
  24. 安部キミ子

    安部キミ子君 お三人にお尋ねいたすのでございますが、今までの御報告を聞きまして、それぞれの県での事情かよくわかりました。併しお話の内容を承わりますと、主として中小炭鉱のこの助成政策に対する不況の実況であつたと思いますが、極く最近のラジオや新聞を通して聞きまするところでは、大手十社の会社でも出炭の制限をしようということを約束したそうですが、御承知でございましようか、御承知なんですれ。そうなりますと、早晩首切りというようなことも起つて来ると思います。従いまして又失業者も出て参りますが、それに対しましてあなたのほうではどういうふうな用意ができておりますでしようか。それは主として学校関係教育関係についてで結構ですが、各御三者にお尋ねいたしたいと思います。
  25. 中尾荘兵衞

    参考人中尾荘兵衞君) 石炭不況が、特に中小炭鉱にひどいわけですけれども、大手のほうにも操短を実行するようなことだというお話ですが、これは私専門の立場でないですから詳しくは知りませんが、とにかく四千五百万トンくらいのが二百万トンくらい操短し、更に百万トン、四千万トンあたりまで操短をするという話があつて、大手筋と中小炭鉱が協定されて、そういうふうなことに進みつつあるというわけですが、必然的にそういう問題が出て来るのではないかという心配をするわけでございます。学校就学を完全に進めて行こうという立場から考えますと、現在失業されて困窮のどん底におられるようなかたがたに対しましても、いろいろ施策はやらなければなりませんけれども、第一の問題はやはり学校給食というものを完全にやる。そうして要保護の人々に対しては国と地方団体との負担においてやるということにすれば一番いいと思いますし、先ほどもちよつと触れましたが、筑豊炭田は中小炭鉱が三百六十もあつて中小鉱山が多いのですが、大牟田なり、三池炭田等の大手筋が十一社もありますから、そういう方面の完全給食の実施の状況大分つておる面がありますから、実はこの機会に地方財政もなかなか窮乏のどん底にあるものですから、国でこれを助成するという力もありませんから、どうしても先ほども申上げましたが、又学校給食法の実行の際に政府で再研究されまして、給食施設設備に対する法律措置なり、大巾の予算措置をして頂いて、地方団体と共同してやつて行くということにして頂ければ我々はいけると思います。先ほどもその意味でお話し申上けたのであります。
  26. 坂井隆治

    参考人坂井隆治君) 佐賀のほうは今大手筋というものは殆んどありません。三菱一鉱、それから明治鉱業が一鉱、それから住友一鉱、あと地元炭鉱でございます。そうした大手筋の佐賀県にある炭鉱の規模は中流炭鉱に位するような規模であります。併し大手筋の出炭抑制となりますと、やはりそれも影響いたしますが、大体の考え方としましては福岡同様に給食を第一とし、それと就学に事欠かないような教育補助政府で考えてもらいたい。それから出炭制限をする場合、会社自体がそういう面についての配慮をしながら措置をして頂くということを十分県としても事前に申出したいと考えております。
  27. 吉岡隆徳

    参考人吉岡隆徳君) この大手筋の関係でございますが、先刻申上げましたように、長崎県におきましては一三%四という実情を示しておりますので、今後もこの問題につきましても相当関心を持たなければいかんと存じます。そこで県といたしまして学校給食実施要綱というものを作成いたしまして、北松地帯の中小企業のみならず一般的な問題にも関連いたしますので、事前に防ぐために学校給食をやらせるべく促進を続けているような状態でございます。このほか出炭の面につきましては私存じ上げておりませんので……。
  28. 安部キミ子

    安部キミ子君 そこで要望なんですけれども、今後の国の政策がますますこういう方向に追い込むだろうということで皆様のほうでも十分用意をして対処してもらいたい、そういう計算の中でこれからの対策を立ててもらいたい。以上です。
  29. 相馬助治

    ○相馬助治君 各地区の非常に生活の苦しいこと、そうして問題が幾つも伏在しているということが参考人各位のお話でよくわかりました。それで吉岡参考人の話の中に出て参りましたが、生活保護法による教育補助の支給の方法が望ましくない、こういう話も一つここに現われておりますが、新聞その他の報告するところによるというと、一方では人妻が生活の苦境のために常識を以ては律することのできないような行為にまで及ぶ、或いは人身売買がその他にもある。欠食児童がいよいよ多くなつ学校を休む子供が多い。こういうさ中に各省からそれぞれの通達が届き援護の方法が講ぜられているとはいうものの、それらが一元化していないために、時期的にもそれから地区的にも必ずしも適切な援助が差延べられていないということが各新聞等にも報ぜられております。そこでこの席には文部省、厚生省、労働省、通産省等からそれぞれ責任者のかたもお見えになつておりますので、私は三人の参考人のかたのどなたからでも結構ですから、お一人でよろしいですから、次のことをお聞きし、これに対する政府側の考え方もお尋ねしたいと思うのです。参考人のかたにお聞きしたいことは、現在まで補助その他においてこういう点はこういうふうに一元化して頂きたい、そういうふうに希望するような点がありますか、どうか。それから補助その他において各省の縄張争いのようなものが事実表面化して、適切な時期に適切な方法で施策が行われていないというような実例かあるか、どうか。若しないとするならば、現在の制度で満足であるというふうに積極的にお考えであるかどうか。これらについて一つ参考人のかたから隔意ない見解を承わりたい。
  30. 中尾荘兵衞

    参考人中尾荘兵衞君) 補助の一元化という、国からの地方の窮状を御支援頂く施策の一元化ということは、最も望ましいことであり、我々もそれを強く要望しておりますが、別に不統一になつているというようなことは伺いませんが、できますならばこの際こういう特定地域が特別の困難を感じているわけですから、対策委員会のようなものを中央にお作り頂いて、そうして施策面で統一して頂く、強力にやつて頂くということは望ましいことだと思います。でも県議会を中心に経済危機突破特別委員会を作つて議会を中心にやつておりまして、我々もその中でやはり活動しているような立場であります。  それから縄張的な争いがないかということですが、これもそう、そういうことを感ずるわけではありませんが、例えばこの学校給食生活保護との関係に、厚生省とそれから文部省の関係もあります。又こういうことから考えますと、食管特別会計、農林省の関係がありまして、こういうことにつきましてはやはり十分今後とも強く協力して行かなければならんと思いますが、そこで要保護と準保護関係が非常にすれすれのところでむずかしいと問題があるわけで、要保護という生活保護法の対象になれば、厚生省でやられればいいわけで、文部省、又地方立場から考えますと、教育あたり立場からは、問題としてはやらなくてもいいようなことになるわけですか、そこら辺が非常にむずかしい問題、関連事項か深いわけです。それで我々としては、やはり国会で学校給食法を制定なさいます場合に、附帯決議されました生活保護よりも、もう少し生活状態が多少いいというすれすれのところの準要保護家庭の関係ですね、そこらの関係を文部省が担当されることと思いますが、そこら辺につきまして、境目のところの基準をはつきりして頂いて、こちらの文部省関係学校給食法で、準要保護のもの或る程度見てもらうということになると、厚生省の関係では、それではもう要保護のものはずつと抑えるというようなことにもなりますし、何も効果がないようなことになるが、そこら辺の、国としての全国的な立場生活保護法適用学校給食法適用ということの基準というものを設定して頂くと非常にいいと思つておりますし、お願いしたいと思つておりますから、我々も地元で研究して行きたいと思います。
  31. 相馬助治

    ○相馬助治君 具体的にお尋ねしますが、地方の福祉事務所とあなたの所属されている教育委員会の事務局と具体的に連携し、方法を研究し合つてこの施策を行われていたというような面がありますか。それとも関係は非常に稀薄だというふうな立場でございますか。いずれでございますか。
  32. 中尾荘兵衞

    参考人中尾荘兵衞君) そこは福祉事務所、県の民生部の社会課、そちらで基準があり、そこで処理ざれるというなものはこちらも干渉できないような立場にあります。今の状態は向うで自主的にやつている。こちらとしてはそれを教育扶助という立場で考えますと、学校欠席、或いは会合なんかにも関係して、実態面が出て来ますから、それを強くお願いして行くということで、できるだけ保護の対象になるものは漏れなくやつて貰いたいということを要望しておりますが、そういう関係です。お話を聞きますと非常に厚生省の立場からもこれは一面貴重な国費ですから、濫給はいかんということから、そこら辺の保護の対象になるものの捉え方については非常に厳格にやつてあるわけですが、厳格なことも必要でありますが、そこら辺は人情味のある厳格さということは必要である。妥当な基準というものは、本当に末端のところまで徹底するようなふうに厚生省も指導頂いて貰いたいと思うわけであります。
  33. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はここで近藤管理局長と、厚生省の保護課長にお尋ねしたいのですが、さつき委員長は三人の参考人に質問があるかということで、今その段階であると思うので、ここで話をやめますが、許されれば、私は現実に問題が出たところで近藤管理局長並びに保護課長の見解を承わり、そして特殊な地域における特殊な状態に対して、政府は将来どういうふうにして一元化して行つて援助の効を上げる気持になつているかということを尋ねたいと思いますが、そこは一つ委員長においてよろしくやつて欲しいと、私はそういう質問の用意があるということだけ申上げておきます。
  34. 坂井隆治

    参考人坂井隆治君) 只今の御質問につきまして、佐賀県のほうからもお答えと並びにお願いをいたしたいと思います。役所は役所の建前がありまして、それぞれ各省とも関係する部面につきましては、最善の努力を払つて頂いていることは私どもよくわかつております。感謝いたしております。併し今度のこうした特殊地帯における炭鉱不況の問題は、単に行政上の事務的な処理を以て、もはや解決のつきがたいような段階に来ております。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)丁度いわば政治問題化しておるのであります。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)従いまして私どもは各役所ごとにいろいろ陳情しており、要望をいたしましても、なかなかそれが現実足元にそう深刻な現場を見ておりますと、なかなかまどろつこしいような感じがいたしてしようがないのであります。こうした意味におきまして、只今福岡からもお話ありましたように、中小炭鉱救済対策本部というようなものを政府のほうでも設置して頂いて、そうして総合的な救済諸施策を樹立し、強力な実施かたをお順いしてやまないわけでございます。そしてその総合的施策の一環として、教育的見地から炭鉱地帯における学童生徒の救済、就学に対して、万般の措置をとつて頂く。我々もその線に沿つて強力に市町村と相協力し、ここに国と県と市町村か一体となつてこれに対処しなければ、不測の禍いを来たすのではないかということを心配いたしております。こういうふうな意味におきまして、中小炭鉱救済の行政の一元化と、中央における中小炭鉱救済本部というようなものを急速に設置して頂いて、直ちに強力な施策に踏み出して頂きたい。昨年の水害当時に、水害対策本部を設けて頂きましたことを、非常に西日本のほうでは感謝いたしております。この点どうぞよろしくお願いしたいと思う次第でございます。
  35. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は第一点といたしまして、生活保護法適用の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。この生活保護法及び教育扶助適用が円滑に行われているかどうかという問題でございます。これにつきましては吉岡君からは否定が非常に厳重である。それから査定に一カ月も長期の期間がかかる。これでは実際の間に合わない、こういう意味の御説明がございました。これは私非常に意外に感じておる点でありますが、この前の文部委員会で草葉厚生大臣は特別の通達を出して査定については十分この現地の実情を勘案して、そして裕りのある態度で処理するように通達をしてある。それからこの法の適用についても、これは現地限りでできるのであるから、早急にできるのだ。こういう説明があつた。そういたしますと、只今のお話と大分食い違いがあるように思うのです。そこで私は吉岡君にお尋ねをいたしますが、査定が厳重であるということは、どんな査定が行われているのか、少し具体的にお話が願えれば非常に結構であると思うのです。このことは私は厚生省のほうにものちほど御答弁をお願いをいたします。  それから第二点の問題といたしましては、この北九州炭鉱地帯における窮状というものは、生活保護法適用だけではどうしても救済し切れないという深刻なものであると思うのです。そういう意味でこれ以外にいろいろ要望か出ているわけなんですが、その中でやはり私は失業対策の面においてどういう措置がとられているのか。或いは就職斡旋についてどういう措置がとられているか。こういう点について実情を私は伺いたいと思うのです。これについてこれ又政府側の対策、そういうものはどうなつているかということを後刻説明を求めたいと思います。  それから第三点いたしましては相馬委員の御質問にあつた点でございますが、この北九州炭鉱地帯の窮状打開の問題は、私は文部省或いは厚生省或いは労働省、そういう省限りにおいて十分な対策が立つとは考えられない。これはどうしても全部の省に関係して来る問題でないかと思うのです。そういう意味において政府側において統一した対策樹立の考えがあるのか。或いはそういう考えに基いて対策を考究しているのか。そういう点についての政府側の対策、これは私は管理局長から代表して答弁してもらつてもよろしいのですが、政府側の答弁も要求いたします。  主要な点は三点でございますが、なお私は前の文部委員会で、新聞等の記事にあつたので、私は非常に心を痛めた問題がございました。それは先ほど矢嶋委員の人身売買の問題と、もう一つは学童が弁当の盗みをやる、こういう問題があるということを聞いたのです。これは事実であるかどうか。そういう問題が起つておるか。特に吉岡君は社会問題化する傾向がある、或いは治安問題にも発展する傾向がある、こういうお話でございましたが、そういう内容を含んでいるのじやないか。私はそういう感じを持つて聞いておつたのですが、そういう事実が起つているかどうか。これは追加して御説明願えれば結構だと思います。余分なことになるかも知れませんが、私は当文部委員会としてわざわざ北九州の三県の教育関係の責任者においでを願つたのは、当文部委員会としてもこの問題を非常に重視して、何とか皆さんと協力してその打開のために努力したい、こういう考えでございますので、忌憚のない御意見を私は聞かせて頂きたい、かように思います。
  36. 中尾荘兵衞

    参考人中尾荘兵衞君) 生活保護法適用が円滑に行つているかどうか、査定が厳重かということについての意見でありますが、福岡県は御承知のように人口立場からも東京、北海道、大阪、次いで福岡。大阪と余り変らん人口を持つているわけですが、生活保護法適用につきましては従来占領下におきまして非常に厳格に実施させられました関係から全国でも一審低い線、一・二%くらいの人口に対する割合しかないということを聞いております。ほかの地方では三%、ところによつては四%の人口に対する割合の生活保護法の対象があつたという実情でありますが、それは好景気の時代といいますか、朝鮮動乱頃の景気のよかつた時代には炭鉱地帯なんかには余りそういうことはなかつたかも知れませんけれども、今のように逆に不況のどん底で、全国的にも一審厳しいような状態なつているわけでありますが、こういう態度を従来も相当県としても持つて来たわけでありますから、こういう点につきましては私たち地元では十分に一つ生活保護法の精神に則つた先ほども厚生大臣のお話があつたというようなことを言われましたけれども、そういり立場で実施をして頂きたいということを要望しておるわけです。従つてこういうことから生活保護法の国費の負担というものが相当に本県についてもますと思いますから、この点の御配慮お願いしたいといます。
  37. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちよつと追加して申しますが、厚生大臣は生活保護法による救済については予算面の融通がきくので心配ないくらい金はあると、はつきり言つておられます。
  38. 中尾荘兵衞

    参考人中尾荘兵衞君) それでこれは、今の問題は結局福祉事務所あたりの最末端の担当者の考え方を少し変えるという点もそうですし、それから民生委員あたりかたがたもやはりそういう立場をよく理解してもらつて実施をしてもらわなければならんというふうに考えております。  それからこの生活保護法以外の対策失業対策といいますか、これは政府におかれましてもこの特別鉱害の復旧事業を繰上げてやつてもらうという話も承わつております。皆さんのお力添えによつたことと感謝しておりますが、なおそういうことだけでは到底救えない問題だと思いますので、なお河川工事とか水害復旧のようなことも、もつと繰上げてやつて頂くようなことによつてこれが相当できるのじやないか、こういうことも感ずるわけであります。  それから総合的な対策というものが、政府でもやつて頂くわけなんですが、地元としましてもやはりこの石炭の消費という立場からみますと非常に重油化されたような消費面もありますから、こういうものについてもできるだけ国内炭を使用するような対策というものを中央でもやはりなお勘案して頂くということ、或いは炭鉱のこういう不況状態でありますから貯炭に対する融資をもつと拡充してもらいたい、そういうようなことも合せてお願い申上げたいと思います。  それから弁当を盗み食いするものがあるかということでありますが、私もそういう話はよく聞きます。それでこれはまあどん底の生活までに転落しておるような子供だものですから、そういうことはまあ衣食足つて礼節を知るといいますけれども子供たちの心情からいいますと、そういうことになるのじやないかと、こう思うわけです。これは非常に困つたことですけれどもどうも現実の事態ではこういうことが起ることは或る程度やむを得ん場合もあると思います。これは単純な生活上の訓話的のものでは解決できませんから、どうしても完全給食を実施して、そうして貧困な人には生活保護なり或いは準要保護ということで救済をしてもらうというとでお願いをしたいと思います。
  39. 坂井隆治

    参考人坂井隆治君) 生活保護の査定の問題につきましては福岡県と大体同様でございます。一例を申しますと民生委員、福祉事務所の職員の査定当局者の理解がまだ足りないという点、それから生活保護を受ける側もまだ理解が足りないという点、それに炭鉱地帯の空気も非常に封建的でございまして、生活保護を受けることが恥しいということで尻込みしているようなものが相当ございます。こういう点につきまして、双方の啓蒙が必要ではなかろうかと考えております。  それから失業対策につきましては佐賀県としましてもできるだけ失対事業の枠を頂くということ、それから公共事業のいろいろな農地或いは土木、農業土木その他一般土木につきまして、できるだけ失業者を吸収するような施策を知事側もとつておられますが、なかなか思うように参りません。特に炭鉱地帯失業対策につきましては、根本的には政府の燃料政策の対策を、もう少しはつきりして頂く。そうして国内炭の、今の福岡からのお話みたような、需要を或いは家庭に、もう少し振向ける施策を講ずるとか、いろいろな工夫をして、石炭の需要面を、もう少し拡げるような点を考えて頂きたい、こういうとをお願いしたいと思います。  なお学童の弁当盗みの点は、弁当自体を盗むことは余り聞いておりませんが、芋とかみかん、或いは蔬菜類の盗みは相当、いわゆる畑荒しをやつておることはちよいちよいよく聞きます。それに靴とか運動用具がよくなくなるということ、それからいろいろな金具を盗んで、そうしてそれを売つて金に換えるというようなこともちよいちよい聞いております。昼食を食べに帰宅すると言つて、そうして隅のほうにしよんぼり立つているとか、或いは帰宅しないで畑に行つて、里芋とか唐芋漁りをするというような、そういうこともちよいちよい聞いております。
  40. 堀末治

    委員長堀末治君) 成るべく簡単にどうぞ一つお願いいたします。
  41. 吉岡隆徳

    参考人吉岡隆徳君) 長崎県につきましては、先刻申上げました児童生徒の不良行為でありますが、五、六月当初は、やはり農作物の方面、或いは学用品等の不良行為をやつておりましたのでございますけれども、義捐金等によりまして恵まれた関係上、この点は今は皆無といつてもよい状態でございます。  それから教育扶助の点につきましては、実際問題といたしまして実例を申上げますれば、炭鉱のいわゆる休職中の鉱山労務者には適用ができないということを承わつております。困難であるということを承わつております。それから廃鉱の労務者や整理された業者は、現在失業保険受給いたしておりますが、その点におきまして、生活保護法教育扶助は該当しないということを言つております。  なお給炭をいたしております面も、金券というものを使つておりますので、その点、ものはございますが、お金がないというような実情で、やはり金券というものの査定というものが相当困難ではなかろうか、こういうことも承わつておりますので、そういう点で先刻私が申上げた通りでございます。なお私が申上げました最後の点は、教育扶助給食実施ということに対しましてのことと存じますが、これは給食をやつておりますれば、当然それに対しまする給食費補助を頂くことはできますけれども、義捐金によりまして、その金がやはり一般収入になりますということで、これが私どもの目標では、十二月前後では続けることができると存じますけれども、一月以降は給食という扶助の対象になるということを申上げたのでございます。
  42. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 委員長、議事進行について。格別他の委員に質疑がなければ、あればまあして頂いて、なければ、大体実情がわかつたから、次の段階に移つたらどうか、次の段階とは、すでに参考人の質疑の段階に、相馬委員並びに荒木両委員から、この問題の深刻さと重大段階にある立場から、委員会として出席を要求した関係者当局、これに質疑がなされておるわけであります。これを短時間ここで質疑をして、そうして今朝私が開会前に申上げましたように、委員会として何らかの結論に到達する途を求めたい。それは先ほどから大体出て来たのじやないかと思います。結局文部一省の問題では解決できないというところに、私はやはりポイントがあるのじやないかと思う。従つてそういうふうに昼食時間か来ておりますけれども、短時間やつたら如何ですか。
  43. 堀末治

    委員長堀末治君) 大体予定の時間が来ておるのですけれども、もう十分や十五分はいいのじやないかと思いますので、政府側の答弁を求めたいと思います。  それではこの辺で質疑を打切りまして、政府側の答弁を聞くことにいたします。    〔参考人坂井隆治君発言の許可を求む〕
  44. 堀末治

    委員長堀末治君) あなた御要求は、一番最後で結構です。  速記をとめて。    〔速記中止〕
  45. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。  先ほど坂井君からちよつと要望書が出ておるので、この要望書だけは是非皆さんに聞いて欲しいと思いますから、どうぞ簡単におつしやつて下さい。
  46. 坂井隆治

    参考人坂井隆治君) 堀委員長手許に正式要望書としまして差上げておきましたが、なおお手許に配つております佐賀県の「炭鉱不況に伴う就学対策」の七頁にその写しを書いてございます。これは福岡長崎佐賀三県の協議会を開催いたしまして、三県共通の炭鉱地区の学童生徒に対する就学対策として、政府並びに衆参両議員、国会にお願いいたしたい要望でございます。簡単に結論だけ読上げます。  六項目ございますが、「臨時的措置として炭鉱地帯の中小学校生徒児童に対しミルクとパンの無償給食」をして頂きたい。これが臨時措置として、特に中学校もミルクとパンの給食対象として、取上げて頂きたいということと、ここに全生徒児童としておりますのは、全生徒児童にひとしくやつて頂きたい希望を持つておりますが、若しこれができない場合でも、最低、準保護児童生徒に対してはどうしてもミルクとパンの無償給食をして頂きたいという気持をここに含んでおります。  第二点は「給食施設の全額国庫負担による整備」をして頂きたいことでございます。現在半額国庫補助を頂いておりますが、あと半額町村費でどうしても裏付けできないようた現状でございます。この点特に給食施設の全額国庫補助お願いいたしたいと存じます。  第三点が「完全給食校に於ける炭鉱子弟給食費国庫支弁」をして頂きたい。これも第一と同じように、これは三県共通の要望でございますが、これが困難な場合でも、準保護子供に対しましては、どうしても国庫支弁をして頂きたいことを強く御要望いたしたいと存じます。この三つの点が給食に関する要望でございます。  第四が「教科書、学用品の無償支給」をして頂きたい。昨年までは教科書無償の原則によりまして教科書の無償支給を一学年のほうにして頂いたのでありますが、本年も明年の予算の中にも含まれておりますこうした無償原則が憲法にも保障されております関係もございまして、こういう深刻な炭鉱地区における可哀想な教科書学用品も持ち切らないような生徒児童に対しましては、どうぞ温かいお気持を持つて政府のほうにおかれて教科書学用品の無償支給をして頂きたいということを強くお願いいたしたいと存じます。  第五点は「育英会貸費生の枠の拡大」をして頂きたい。  第六が教育扶助の枠の拡大をして頂きたい。  以上六点をお願いいたしたいと存じます。特に御熱心に教育関係を御審議をお願いいたし、重大な関心を持つて頂いております参議院文部委員会には、何とぞこれが推進力となつて、どうぞ実現できまするように御援助お願いいたしたいと存じます。  又佐賀県の立場から申しますと、同じ炭鉱地帯でございましても福岡長崎、或いは山口、常盤、北海道地区と違いまして、非常に経済の基礎が薄弱でございます。格段の差がありましてなかなか県自体では純県費を以ては如何ともこの対策をいたしがたいような実情でございますので、政府の施策におきましてもこうした最低の佐賀県を基準にし、佐賀県の実態と政府の施策の間に断層ができないように、どうぞ一つ最低の佐賀県を基礎にした施策を一つ樹立し、実施して頂くようにお願いいたしたいと存じます。
  47. 堀末治

    委員長堀末治君) では以上を以て参考人に対する質疑は打切ることにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは参考人のかたに申上げます。本日は非常に御多忙のところわざわざお出かけ下さいまして、長時間に亘つていろいろの御説明を頂いたことは非常に有難く存じます。殊に御丁寧な資料をお持ち下さいましたことは非常に有難くお礼を申上げます。  それでは政府委員の答弁を求めることにいたします。
  49. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) 学校給食を担当いたしておりまする管理局の立場から、この炭鉱不況によつて生じました欠食児童対策につきましてお答え申上げます。  今日までいろいろ手を尽して参りました。先ほどお話がございましたように去る十月に初中教育局長並びに管理局長の連名の通牒を教育委員会並びに都道府の知事に出しまして、その内容といたしましては生活保護法によりまする教育扶助徹底ということが第一でございます。これを十分徹底さしてもらいたいという趣旨でございます。それから何と申しましても学校給食を現に行なつておりまする学校における場合と、全然学校給食を行なつておりません学校における場合とで欠食児童と申しますか、そういつた児童に対する援助の方法が違つて来るわけでありますので、どうしてもこれは学校給食施設をしてもらうことが先決であるという意味合いを以ちまして、その通牒の内容に学校給食施設を速かに設けることを考えてもらいたいという趣旨のことを規定してございます。  それから最後に先ほどお話が出ました授業料減免でありますが、これは高等学校につきまして授業料の払えない生徒に対しましてはこれを減免することも考えるべきであるという趣旨の通牒でございます。只今三県の教育長さんのお話を伺いますと、これらの通牒の趣旨に即しましてそれぞれ適切なる措置がとられておるように伺いまして誠に結構と思うのでございます。ただその際にお話がございましたいろいろ裏付けの問題を質問いたしましたが、この裏付けにつきましては只今まで考えております点につきまして申上げますと、先ず第一に、先ほどちよつとこれも話に出ましたが、政府の公共事業のまあ拡充と申しますか、殊に鉱害復旧事業をこの際臨時に興しまして、それによつて失業者を吸収するという方法がとられておるわけであります。文部省関係におきましても学校の鉱害がございますので、これにつきましてはすでに約四百五十万余りの予算を以ちまして、学校鉱害復旧を繰上げて実施することに決定いたしております。  それから更に学校給食をこの地区に、特にこの三県の中小炭鉱の非常に不況の地区に学校給食施設を設けるという意味合いにおきまして、学校給食施設の開設に関する補助金を約六百万円、校数にいたしまして二十数校になりますか、ほぼそういつた予算の支出を決定いたしております。まだ現金は出ておりませんが、関係の県とは話合いをいたしまして、至急にその措置をとるように準備をいたしております。  以上申上げました点が只今まで私どもにおいてとられておりました措置でございますが、何と申しましても欠食児童を辿つて参りますと、結局その家庭におきまして父親が失業している、炭鉱不況のために失業しているというのが実態でございますので、どういたしましてもこれは生活保護法によります生活保護適用によつてこれを救済するということが、これが根本問題だろうと、かように考えます。又その生活保護適用までには参りませんけれども、その児童が如何ともしがたい事情によつて学校に行けなくなるというようなことも考えられますので、これらにつきましても同じ生活保護法の規定の適用によりましてこれをば救済するという以外に方法はないのじやないかというふうに考えております。いずれにいたしましても厚生当局とも十分連絡をとりまして只今まで対策を講じて参つたのでございます。  それから先ほどちよつとお話が出ましたが、幸いにしてアメリカの余剰農産物のうち千五百万ドル余りのものが学校給食用としてこれは贈与になるように決定してございますが、これらの内容につきましてはまだ決定いたしておりません。今後話合いをすることになろうと思いますが、この学校給食用の物資につきましてこれを活用するという御意見が先ほど出たようでございますが、それらの点につきましても今後なお検討を進めてみたい、かように考えております。只今まで文部省がとつておりました措置につきまして概略御報告申上げます。
  50. 堀末治

    委員長堀末治君) ついで、通産省の炭政課長及川君。
  51. 及川逸平

    説明員(及川逸平君) 石炭局の炭政課長でございます。石炭の面からお答え申上げます。  炭鉱状況は御承知通りデフレの影響を非常に強く受けまして、目下非常に苦境に喘いでおることは御承知通りでございますが、これを具体的に見て参りますと、昨年の昭和二十八年の一月におきましては、炭鉱の数が全国でおよそ八百五十ほどございましたのですが、昨年度におきましては大体百八十程度、本年度になりましてもすでに百四十程度の炭鉱が休廃止いたしておりますが、なおこれに伴いまして労務者の数も極端に減つて参りまして、昨年度の一月にはおよそ三十八万人程度の炭鉱労務者がおつたのでございますが、今年度の八月ぐらいになりますると、それがおよそ二十九万人ぐらいに減少いたしまして、まさに炭鉱から八万人程度の失業者が発生いたしたわけでございます。この炭鉱失業者は普通の場合と異なりまして地域的に固まつております。且つこういう多数のかたがたが一時に離職されました関係上、社会的な問題として非常に大きく、我々も心配いたしておるわけでございます。こういう状況の下におきまして現在我々はどういう対策をとりつつあるかということでございますが、何と申しましても石炭の需要がデフレの関係によりまして非常に減つて参りまして……。
  52. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行について、発言中ですが。私さつき議事進行について発言いたしました内容は、先ほど委員からも質疑があつた点がありますしね、この文部委員会としてポイントめいたものを質疑してお答え願いたいと言つたわけです。今文部省のほうでは今まで文部省がとられた経過をずつと報告された。今度は通産省のほうで通産委員会で言われるような経過から対策全部を言われるし、又労働省がそれをやるんでは時間的にもできないと思うのですが、そういうことは文部委員会がここで附かたくてもいいんじやないかと思うのです。それで委員の質問だけに限つてお答え願えればいいんじやないかと思うのですが、委員長そういうように要望して頂きたいと思います。
  53. 及川逸平

    説明員(及川逸平君) それではそういうことで……。  炭鉱の労務対策といたしまして、先ほどお話のありましたような鉱害の繰上げ工事を早急に実施いたしたわけでございますが、これは大体総額工事量といたしまして七億円の繰上げ工事でございまして、これは目下実施に人つた段階でございます。これによりましておよそ一万人程度の救済が可能ではないかと考えております。それから、今後この鉱害の繰上げだけでは我々としても、不十分であると考えまして、今度補正予算におきまして建設省関係におきまする河川の改修の事業、これは先ほど福岡県のかたからもお話がありましたように、遠賀川の改修工事も当然含んでおりまするが、この改修工事を、大体工事費にしまして六億程度のものがあるように聞いております。それから労働省におきまして特別失業対策事業というものをお考えになつておるようでございますが、こういうふうな事業を、我々といたしましても炭鉱失業対策事業と結び付けて、是非本年度の予算において獲得いたしまして、この救済事業に充てたいというふうに考えております。  なお来年度の問題でございますが、来年度の予算といたしましては、やはり鉱害の復旧事業といたしまして、我我通産省におきましても予算要求をいたしております。なおこの鉱害の復旧事業のほかに、例えば北九州地方におきましては特定総合開発計画というものもございますので、そちらの面から更に予算化を図つて、できるだけ多数の失業対策を実施いたしたいと、かように考えておるわけでございます。  それ以外に、先ほどお話がありましたのですが、炭鉱の融資の問題その他についてお話がありましたのでお答え申上げますが、この問題につきましては、現在貯炭が四百三十万トン程度ございますので、正常貯炭をはるかにオーバーいたしております。これに対して、我々といたしまして何らかの対策を講じたいということで、目下盛んに研究を進めておるのでございます。簡単ですが……。
  54. 安部キミ子

    安部キミ子君 今の通産省の説明に対して質問……。
  55. 堀末治

    委員長堀末治君) 全部説明を一つ終つてから、説明を全部先に聞きましよう。  労働省の失業対策課長村上君、今聞いた通りで、ポイント、ポイントを掴えて一つ簡単に……。
  56. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) お答えいたします。この石炭関係を中心とする失業問題につきましては労働省としましても非常に関心を払つてつたのでありますが、特に本年の八月の労働省が主唱いたししまして経済審議庁に労働対策連絡協議会というものを設置して頂きまして、関係各省は全部それに参加して進めるということにして、爾来協議して参つたのでございますが、その協議会の一つの成果といたしまして、先ほど来お話に出ました鉱害復旧事業七億というものが生れて参つたのであります。石炭そのものについての対策は、鉱害復旧事業ではございますが、  それ以外に私どもといたしましては失業対策事業をこの炭鉱地帝に重点的に実施するという考えを持つております。率直に申しまして炭鉱関係地区から失業対策事業の要求が出て参つた場合は殆んどその要求に近い割当を行なつております。これは福岡佐賀長崎、山口、いずれも同様でございますが、ただ私どもといたしましては、この失業情勢の推移を見まして適切にその枠の操作を行いたい、かような考えからいたしまして第二四半期、それから第三四半期、現在でございますが、その両四半期におきましては当初割当のほかに期の途中において失業者がずつと出て参つたという場合には臨時に追加する、こういう処置を特に炭鉱地帯については取つてつたわけであります。この失業対策事業は労働省固有の事業でございますが、それ以外に先ほど炭政課長からも話がございましたように、鉱害復旧事業とか、その他一般の公共事業がございます。それに失業者を吸収する、こういうことが今度は労働省の仕事になつて来るわけでございます。公共事業が起されましても肝心の失業者が吸収されるのでなければ、これは折角のこういう公共事業も本来の機能を発揮しないわけでございますので、私どもといたしましてはできるだけ失業者を円滑に公共事業に吸収したいという見地から、先月職業安定局長が福岡に参りまして、関係各省の出先機関並びに鉱害関係の五県でございますが、五県を中心といたしまして担当課長に集まつて頂きまして、如何にして鉱害復旧事業その他の公共事業失業者を吸収するか、円滑に吸収するかという点について現地で打合せを行なつた次第でございます。そういうような方策を現段階までにとつてつたのでございます。実は只今炭政課長から労働省で特別失業対策事業を考えておるというお話がございました。特別失業対策事業を考えておりますが、ただ如何なる形になりまするか、まだ結論は出ておりませんが、何らかの形でそういうものを実現いたしたい。その場合には炭鉱地帯にももとよりその事業を実施いたしたい、かように考えておる次第でございます。簡単でございますが……
  57. 堀末治

    委員長堀末治君) 続いて厚生省の保護課長黒木君。
  58. 黒木利克

    説明員(黒木利克君) 生活保護法関係につきましてお答えを申上げます。  先ず第一は、生活保農法の無理解と申しますか。或いは実施機関側のいろいろな理解の足りなさからいろいろ欠陥があるというような御指摘でございましたが、私のほうは生活保護法の適正な実施をいたしまして、こういうような悲惨な事態が生じないような周到な措置をとるような通知を出しておりまして、文部省とも協力をいたしまして、文部省のほうからも教育委員会宛てにこの法の周知徹底について通知が出してあるような次第でありまして、今後こういう点は私のほうの実施機関の立場からは勿論、学校の御当局にも或いは私のほうの民生委員或いは役場のかたたちとも是非法の周知徹底お願いいたしまして、特に保護を受けることが屈辱であるというような考え方を是非ともなくするように今後も啓発運動を続けて参りたいと思つております。  次に保護適用の問題でございますが、実は御質問にもありましたように、教育扶助に二つの種類がございまして、一つは義務教育に伴つて必要な教科書代とか、学校用品、通学用品、こういうようなものの教育扶助と、もう一つは学校給食を実施しておる場合に、その給食費扶助する、この二つでございます。ところが後段のほうの学校給食給食費は、学校給食を実施していない場合にはこれは適用ができないことになりますから、やはり何よりも先ず学校給食を実施する。できることならこれは完全給食といいますか、そういうものを是非とも実施して頂く。そうしますと私のほうはこれは自動的に給食費が出せると、こういうことになりますから、こういうことを先ず第一に御解決頂きたいというふうに厚生省側としてはお願いをいたしたいのであります。  次にこの学校給食という場合には、実は家の昼食は生活扶助費の中でみておる。従つて学校給食費としては学校給食として、おやつとか、そういうふうな意味で行われる場合にプラスして昼飯を生活扶助以外に給付する、こういうような建前になつております。そこでそういうような学校給食を必ず実施するということをやりませんというと、生活扶助の中で子供の昼飯はみてある、こういうような建前になつておりますから、そういうことを申上げたわけであります。  次に教育扶助の範囲の拡大或いは枠の拡大、これは準要保護児童対策の問題が、御要望がございましたが、これとの関連で申上げてみたいと思いますが、これも私ども絶えずこういうふうな範囲の拡大というようなことを考えておりまして、具体的には保護基準というのがございまして、厚生大臣が大蔵大臣と相談してきめるのであります。この保護基準を高くすれば、こういうような準保護児童といいますか、いわゆるボーダー・ライン階層の人たちが保護法の対象になつて参るわけであります。何よりも先ずやつぱり保護基準を上げるということが先決になります。ところがこの保護基準というのは実は働く人たち、日雇労務者の賃金よりも高くするわけにいかん。日雇労務者のかたの賃金は普通の産業、これは各産業別平均賃金の大体九割というふうに抑えられております。そこで私のほうはそういうふうな一般の人たちの賃金、或いは日雇労務者の賃金以上に保護基準を上げるわけにいかない。ところが現実に私どものほうの保護基準は一級地、これは都会でございますが、五人世帯で八千二百円余りになつております。日雇労務者の賃金はどのくらいかと申しますと、今東京で平均三百二十四円ぐらいでございますか、これにいろいろ控除されます。保険料とか控除されますから、それと、稼働日数が二十日から二十五日の間のようであります。そうすると、七千円ぐらいにしかならない。そうしますと、私のほうの保護共準が高いというようなことにもなりまして、この保護基準を上げることもなかなかむずかしい段階に来ております。そこでやはりどうしても根本的な解決は学校給食法といいますか、そういうような特別法を作られるのがやはり根本的な解決の方法ではないか。私のほうの保護法の建前は補完性と申しますか、他の法律がありますと、それが優先いたしまして、そして足りない面を保護法で穴埋めをするという建前になつております。そこでどうしても特別保護法、特別な措置で、優先保護法でおやりになるというのが根本的な解決ではなかろうかというように考えます。  それから次に適用の問題で、申請して三カ月経つて保護ができないというようなことでございましたが、事実をいろいろ調べてみないとわかりませんが、私のほうの法律の建前は、申請いたしまして二週間以内には必ず保護の要否の決定を相手に通知しなければならん。そうでない場合にはいわゆる不服申立という制度がありまして、これは裁判所に訴えることができるのであります。従つて恐らくその三カ月というのは保護の恐らく適用ができないが、そういうようなことを口頭で申請なさつたものですから、口頭で保護はできそうにないということであいまいに過ぎたケースではないかと思います。これはやはり文書で申請をして必ず二週間以内に保護の要否の決定を受ける。こういうようなことを私のほうでも指示いたしますが、現地の側におかれましてもそういうことの徹底を一つお願いをいたしたいと思います。  それからもう一つ、この保護の決定が厳し過ぎる、人情味のある厳格さが必要だということの御要望でございましたが、私どもの大臣の御意図もありまして、人情味ある厳格さといいますか、適正実施と申しておりますが、私どものほうでは法律の枠がありまして、保護基準というものがはつきりきめてあります。その保護基準の中には、例えば勤労をする人たちは勤労控除、或いは母子加算といいまして、尋常六年以下の子供を持つていて母親だけの家庭の場合には扶助の加算をする。或いは先ほども御質問がございましたが、少額の義捐金品、例えば給食等について義捐金品がなされたという場合には、本来は収入として見るべきでありますけれども、一月大体三百円程度のものはこれは収入として見ない、こういうような措置をとりましたり、いろいろ法律の枠内でこれはガラス張りの中で運営をいたすような指導をいたしておりますから、法律の枠内でできるだけそういう困つた子供たちの、人たちの有利なような、法律の枠内では相手の立場に立つて十分に実施してあげる、実施する、こういうような方針で目下やつております。従つてそういうような三百円程度の義捐金品の控除ということも、そういう学校給食の場合等には一つ現地において十分に御活用を願つたらというふうに考えております。  なお福岡の例で、福岡のどうも保護法の適用が厳し過ぎるのじやないかというような御質問がありましたが、確かにこれは占領中に北欧の出身の軍政官がやつて来まして、貧乏な北欧からやつて来て、どうも福岡保護法はあま過ぎるというので、いわば締めたわけであります。大体全国平均で千人のうち二十二人というものは保護されております。ところが福岡はこの北欧の軍政官がやつて来まして、たしか八%から七%ぐらいに、千人に対して七人ぐらいに締めてしまつたわけであります。その結果いろいろ無理があるのじやないかというので調査したのでありますが、当時はそういう弊害といいますか、そういうものは現われていなかつた。終戦後最近になりましてこの保護率がやはり倍ぐらいになりまして、最近は十人について十四人近くなつております。だからだんだん適正な実施が行われつつあるのではいかというふうには、数字的には考えられるのでございます。  それからなお予算の問題に絡んで、予算がないから保護を厳しくやるのではないかというような疑いがまああつたわけでありますが、実は今回の補正予算で七十億円余りの追加を要求いたしておりまして、ほぼそれに近い額を補正予算として保護費の追加を認められそうでありますから、予算的にこういうふうに厳しく締めるというようなことは、これは有り得ないことであります。特に教育扶助は全体の生油保護費の予算が三百億円程度なのでありますが、そのうちの十五、六億でありますから、而も保護費として一本になつております全体の中から見れぱ僅かでございますが、教育費の扶助を特に締めるようなことは予想はされない、又そういうことがあつてはならないというふうに考えております。大体以上でございます。  それからもう一つ、学校長に直接教育扶助を渡すという問題は、これは県の任意に任してございます
  59. 相馬助治

    ○相馬助治君 私や荒木委員から指摘したように、この問題は各種の行政事務の円滑化ということが必要だが、もつと広汎な抜本的な政治的な立場からの一元化が行われなければならない。政府で今どうしておるのだ、今後どうするのだ、これを近藤局長が代ましてでもいいから御答弁下さいということを言うたはずですが、政府のほうでに誰もそのことに触れていないようですが、この際近藤局長からその点を明確に答弁して欲しいと思います。その上で質問があつたらします。
  60. 堀末治

    委員長堀末治君) 局長に伺いますが、局長の責任においてそういう重大な答弁ができますか。
  61. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) できません。
  62. 相馬助治

    ○相馬助治君 なお委員長に言うのですが、聞いてみると次官会議でもこの問題は、北九州炭鉱地区の学童の問題は、単に学童の問題ではなくて広汎に一つ考えよという話が出ておるやに承わつておりますし、従つて私は局長の責任で話することを要求しておるのであつて、それ以上のことは言えとも何とも言つておりません。従つて委員長において政府側の答弁を抑制するような発言は一つおやめ下さつて、答弁をさせて頂きたいと思います。
  63. 堀末治

    委員長堀末治君) お答えしますが、私は抑制する、重大問題だから果して局長あたりが答弁できるかどうかという疑念を持つておるのです。それよりもむしろそういう重大なものを聞くならば、大臣を呼んで聞くというほうがよいのではないかと思います。
  64. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 そこで私は内閣官房副長官の出席をさつき委員長を通じて要求したわけたのです。これは国家行政組織法に基かない協議会というものは内閣には幾らもあります。先ほど参考人も言われたように、昨年の風水害対策中央本部とか或いは最近の北海道の災害に対する災害連絡会議、或いは最近の問題になつておる反民主主義活動対策協議会というようなものは、いずれも国家行政組織法に基かない行政部内の問題として、事実上の委員会として設けられているわけです。そこで今質問が出ているわけなのですが、これは結局今給食の問題がここで取上げられておりますけれども、この問題は非常に大きいわけで、又及ぶ範囲も広いわけで、主管庁はどこかといえば、これは私は通産省だと思います。従つて私はこれに関連して及川炭政課長に伺います。それは主管庁である通産省はこの問題は通産省だけでは解決できない。各省に跨がつているから、他の案件と同様に通産省の当局から或いは次官会議を通して、或いは内閣の総理府に対して、この炭鉱危機突破のための、名前は何でもよろしいが、総合行政の調整をやるところの対策協議会を設けて欲しいということを、通産省からそういう意思表示をするお考えはないかどうか、そういうことをしなくても、通産省の責任において、今のこの中小炭鉱を主とするところの重大問題になつておる炭鉱行政を十分やつて行けるという自信の下におられるのかどうか、この点答弁を求めます。答弁できないことはありません。
  65. 堀末治

    委員長堀末治君) 矢嶋君にお答えいたしますが、あなたの官房副長官を呼べということがあつたのですが、それで私はこれは総合関係のものですから、あなたさんが官房副長官を呼べとおつしやつた、これは尤もだ、それで早速連絡した。連絡しましたけれども、官房長官はさつきまで閣議が続いて、その閣議の連絡の関係上今すぐ出席はできない。委員会への都合は今後改めて御相談しますという情報が来ておる。それからこの会議が済んだらすぐ理事会を開いて欲しい。こういう御要求もありますから、私はこの問題はあなたがたもおつしやる通り要するになかなか重大問題で、あなたがたの御質問の内容も広汎に亘つておりまして、一課長、一局長に聞くよりも、むしろ或いは大臣或いは官房長官乃至は進んで副総理に聞くほうが私は問題が速かに解決するであろう、私はかように思います。従つて理事会を開いて理事会できめるほうが仕事が早く済んでいいのじやないか、私はかように思うのでありまして、むしろこの際は要するに炭政課長あたりに対する質問はやらないでおかれるほうがよろしいと思います。
  66. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは委員長としての御見解で官房副長官が出席できないということは了承いたします。ただ所管の課長である炭政課長さんはその必要かあるというようにお考えになつていらつしやるかどうかというだけは……。
  67. 堀末治

    委員長堀末治君) よいでしよう。
  68. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 これば答弁できると思う。炭鉱の件については責任もあり、又その問題をよく知つておられるかたですから、そういう必要を認めておるかどうかということの答弁を願いたい。
  69. 及川逸平

    説明員(及川逸平君) 現存失業対策も含めまして労務対策の問題につきましては、現在経済審議庁を中心といたしまして関係各省を集めました協議会がこの経済審議庁の中に作られておるのでありまして、この中で各省からいろいろ所管の問題を全部持ち寄りまして、各省間でいろいろ協議もいたしますし、協力しながら問題を解決いたしております。  なお通産省の関係といたしましては鉱害関係では農林省、建設省、労働省その他の省と非常に関係があるのでございますが、これはその都度常に密接な関係をとつておりまして、この限度に関する限りにおきましては私は現在のところでは十分にその機能を果しておるのではなかろうか、これは協議会という正式な名前は付いておりませんが、鉱害に関しましては相当の効果を挙げ得ると、かように考えております。
  70. 相馬助治

    ○相馬助治君 先ほどより私いろいろ意見を拝聽いたしましたが、今の委員長の御説明で積極的な意思を以て本委員会がこの問題の抜本的な解決のために考究する用意があるということがわかりましたので、委員長の今の説明は全面的に了解いたします。私の発言に一部不穏当な点があつたことを謝します。
  71. 安部キミ子

    安部キミ子君 最後に通産省のかたに伺います。私が心配いたしておりますのは先ほどの公述人のおつしやる通り実情であります。この段階で中小がこのように悲惨な状態でありますのに、更に大手筋の出炭制限ということになりますと、ますます事態が混乱して来るのじやないか。そこでそういうような事態になつて各省から集まつて対策を立てるということも結構なんですが、その事態になる前にそのようなことが起らないような処置がなされないものかどうか。従いまして通産省ではこの出炭制限について大手筋のこうした出方に対してどのような対策を立てておられますかどうか、そうしてそういうことになつたら今度はどういうふうな事態になるだろうかという見通しを持つておられるかどうかお尋ねいたします。
  72. 及川逸平

    説明員(及川逸平君) お答えいたします。出炭制限のことにつきましては先日新聞その他で伝えられております。私たちもその点につきしましては、かねがね話は聞いておつたのでございますが、具体的にこれをいつ実施するのか、或いは又これをどういう形で実施して行くのかというような点につきましては、これは非常にむずかしい問題があるのでございまして、まだ詳細、私自身といたしましては詳しく申上げる段階には至つていないのでございますが、仮にあの話が進行いたしますと、今お話のように、大手筋のほうにおきましては、特に出炭制限による余剰人員というものが一応考えられるのでございますが、その場合に、我々としましては、先ほども申上げましたように、今後失対事業なり或いは又河川の改修事業なりというような事業を起すことによつて、できるだけ多数の失業者をその方面に吸収するということが、取りあえずの大きな問題として我々全力を挙げなければならんじやないかというふうに実は考えておるのでございます。
  73. 安部キミ子

    安部キミ子君 ちよつと簡単に。私は先日北海道の室蘭製鋼へ行きましたか、ああいうふうな事業なつてもまた問題を解決しないのです。室蘭製鋼が今日如何にみじめかということは、これは労働史上にもめずらしいことでありますし、要するに私はこの責任も通産省なりがもう少し誠意を持つて最初から善処なされなかつたところに原因があるのじやないかと思う。そこで私今日の通産省の行き方を、私文部委員でございますので、おこがましいように思いますけれども、全体として日本の今日の経済のあり方を考えてみまして、根本的な対策、国の対策というものが計画的に立たれていない。例えは外交の問題でも、外国船が幾らでも修理してほしいというようなことでも、ちつとも本気で政府にぶつかつて行こうとなさらないというふうなところに、要するに通産省の熱意が足らないんじやないか。病人を出したあとなつてから医者を呼んたり、氷を集めたりするというようなことよりも、病人を出さないということの措置をもう少し熱心になさらなきやいけないんじやないかというふうに考えるのです。そこで私は重ねて申しますが、今あなたは失業対策の面を逃げ口上のようにおつしやいましたけれども、私はあなたの立場とすれば、そういうふうに持つて行かないということの信念を持つてお答え頂くことを私は期待して今質問をしたのです。で、強く要請したいことは、そのような事態にならんように、あなたの所管で解決して頂きたい、こういうふうに考えますので、あなたの所管でもこの問題をもう一度十分検討して頂きたい、こういうふうに要望いたします。
  74. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 ちよつと簡単に。ぜひ急なことで聞いておかなければいかんのですか、簡単にやりますから、労働省の方に一つ。それは先ほどから聞いてわかりましたように、失業保険の交付金の六カ月の満期が迫つているわけですよ。これは一月頃へ来てから非常に深刻化するわけです。従つて全般に交付金を一年延ばすということはむずかしいかもしらないが、ああいう中小炭鉱のどん底になつているところのああいう離職者だけにでも、取りあえず臨時的に更に六カ月処ばすというようなことは考えていないかどうか。  それから通産省に一点伺いますが、それは特別鉱害の復旧です。これは私記憶にはたしか最初あなたのところでは十九億ぐらいを計画したと思うのです。ところが予算更正を経なければできないというので、七億で約一万人の吸収を企図されているわけです。それが焼石に水だということははつきりしていると思う。今丁度補正予算の編成期にあるわけですか、これは当初の計画通りに現存の七億を上廻る補正を今考えておるのか、おらないのか。おらなければ、どういうわけでその方針を変えたのか、簡単に重点的に答弁して頂ければよろしいから、両君から答弁を承わり、質問を終ります。
  75. 村上茂利

    説明員(村上茂利君) 失業保険の問題は直接私の所管ではありませんけれども、知る限りにおいて御答弁さして頂きたいと思います。失業保険納付期限の延長の問題でございますが、この問題は実は総評から政府に対して要望もありまして、検討いたしたのでございますが、簡単に申しまして、二つの点からこれは無理じやないかと思います。第一の問題は保険経済の点からでございます。現在すでに保険経済は赤字を相当出しておりまして、補正予算において約三十億程度の補正をしなければならん、こういうような段階になつておるのです。仮に保険の給付期限を延長いたしますとするならば、一方においては保険料の引上げという措置が考えられなくちやいけない。そうなりますと、現在でも保険料の滞納がかなり殖えて来ておるということからいたしまして、それは実施が困難ではなかろうか。御承知のように失業保険は労、使、政府、三者負担でございますので、保険料の引上げは使用者側にも、それから労働側にも負担を過重にするということでございますので、そういつた点からかなり問題ではなかろうかということでございます。  それから第二の問題は、現在殆んど世界各国とも失業保険の給付期間は四カ月乃至六カ月、大体六カ月が多いようであります。六カ月が常識になつております。これは保険経済というのは、一定の過去の経験率に基いて計算いたしております。で、一定の仕組がございまして、その仕組に立つて考える場合には、六カ月が妥当であろう、こういうふうに考えられるわけでございます。その給付期間を更に延長するということになりますと、その根本的な成立ちそのものを再検討しなければいかんという非常に困難な問題がございますので、早急に実現はできないと思うのであります。  それからお尋ねは炭鉱地帯だけに限つて特にやつたらどうか、こういう問題でございますが、若し仮にそういたしますと、造船関係失業者が出る、或いは鉄鋼関係で出たという場合に、そのときどきに特殊な対策を施すかどうかという問題になりまするが、これはやはり労、使、政府三者負担の一定の保険失業率というものを見て考えて、このバランスのとれた一つの社会保障制度でございますので、特に炭鉱失業者のみにそういう特典を考えるということは、現在のところむずかしいのではなかろうかというように存じます。私、所管ではございませんので、知つているところをお答え申し上げました。
  76. 及川逸平

    説明員(及川逸平君) 先ほどお話がありましたような、特別鉱の繰上げ事業につきましては、当初我々十九億の予算を考えたのでございますが、結論におきましては七億の程度にとどまりまして、現在は補正予算としては要求いたしておりません。これは鉱害の内容を見ますと、鉱業権者の負担分もございます。それから地方公共団体の負担分も相当ございます。それから又鉱害の内容の復旧計画そのもののあれも、鉱害の復旧の内容も非常に複雑でございまして、我々としましてはこの問題を本年度は七億にとどめ、それ以外の点は来年度にその分を含めた要求をすることにしたほうがむしろいいのではないか。ところが一方におきまして、労働者の失業状態は又放置できないというような関係から、我々としましては鉱害はこの程度にとどめるが、それ以外の河川改修その他の、一般鉱害以外の事業のほうで予算を取つたほうがむしろ取りやすいというような考え方から、先ほど申しましたような建設省その他のほうにお願いいたしまして、そちらのほうで主とした失業対策事業予算を取ろうということで、目下話を進めておるわけでありますから……。
  77. 堀末治

    委員長堀末治君) これにて暫時休憩いたします。    午後一時四十分休憩    ―――――・―――――    午後三時五分開会
  78. 堀末治

    委員長堀末治君) 午前に引続いて委員会を開会いたします。  矢嶋さんから発言御要求がございました。宮城拝観について幸い宮内庁から鈴木管理部長が見えておりますから、御質問をお願いいたします。
  79. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は先般の委員会で、相模湖事件を機会に修学旅行の問題について文部省に要望もいたし、又所見も述べたわけですか、その後文部省のほうで如何ように処理され、又どういう研究をされたかということの回答を求めたいということを委員長を通じて要求したわけです。それと関連して、宮内庁の拝観の件を丁度修学旅行シーズンでございますので、関連事項として承わりたいと思つて出席を要求したわけですか、修学旅行に関する文部省の回答がありませんうちに、逆になりますけれども、只今担当官がお見えになつているそうでありますから簡単に伺います。  それは修学旅行児童生徒を対象として伺うわけでありますが、実は私先般郷土から参りました小中学校生徒が皇居内の拝観をするというので、どういうふうにして皇居内を拝観させるのかを見たいと思つて、一生徒なつたつもりで一緒に拝観いたしました。そのときから私伺いたいと思つたのでございますが、伺いたい点は、皇居の拝観については随分と生徒児輩も、勿論一般の拝観者も非常に希望もし、又期待もして上京して来るようです。併しその許可は相当に窮屈のようであります。これは皇居警察の署員の関係もあると思いますが、そういうことはさておいて、私は拝観コースの内容的なものを伺いたい。それは皇居内の国民が拝観したい場所、そういう所は一切通させないわけですね。具体的に申上げますが、例えば乾門から入つて、そうして宮中雅楽の練習所のあるあの附近、それから畠のある所を通り、潮見坂を下りて、そして馬場の自動車の車庫、あの附近を通して宮内庁の前を通つて、そして表宮殿の焼跡の所へ行つて、そして二重橋の所に一歩も足をかけさせない。そうして引返して又乾門から出て行く、こういうコースなんですね。これは言葉は適当でないかも知れませんが、これは皇居内の下町であつて、何ら皇居内の様子というものはそれではわからないと思う。私は相当制限もして拝観させることであれば、乾門から入つたならば、今のコースから二重橋を通して、そうして日清日露の戦役の、もとの戦利品を入れていた倉庫ですね、あれから天皇陛下がお田植えをなさるところの田畑がある、あの地域からあの生物学研究所ですね、あれを通つて、そうして乾門の並木路に出る、この程度のコースは私は折角拝観を許可して入れたならば、して何ら差支えないと思う。もつと大きく言えば、最近も問題になつていますが、吹上御苑を除いては国民に開放してもいいじやないかくらい思つているのですが、それはさておいて、一つの書類で請願し、そうして許可を与え、厳重な注意をして拝観させるとならば、私ははるばる来るところの拝観希望者に対してはそのくらいのことはしても何ら支障ないと思うのですが、どういうわけでそういうところの拝観を許さないのか。私はこれはおこがましいようですが、拝観を希望するところの国民に代つて伺いたいと思うのです。これが一点。  それから子供たちと一緒に入つて痛感したのですか、私は、乾門を入つて数分間整列させておいて、ものの十五分間くらい皇居内のことを詳しく説明いたします。その説明は結構ですが、地図一つなく、何にもないのにどこに行つてどうで、左がどうで右がどうだというように説明をしていますが、こんなことは無意味だと思うのですよ。あの説明してやるということは非常に私は結構なことたと思いますが、そうたとすれば、あの門の内側のとこかに板か何かで大きな皇居内の図でも掲示して、その図に基いて現地はここだ、皆さん方が今から拝観するのはこことここですよというように説明するのはこれは親切でもあるし、又皇居内に対する理解も深まると思うのですが、そういう処置を何らされていないので、私は子供と一緒に廻つて本当に子供は気の毒だという感じを持つたわけです。これが第二点。  それから次は最近拝観希望者というものはどの程度あり、又そのどれくらいを拝観許可されているのか、これが第三点。  それから最後のはちよつと大きいかも知れませんか、吹上御苑を除いた他の地域ですね、そういうところは常時開放或いは一定期間を限つて国民に開放するというようなそういう考え方はないのか、検討されてはいないのかどうかという四点について承わりたいと思います。
  80. 鈴本菊男

    説明員(鈴本菊男君) お答え申上げます。第一点のこの参観コースの問題でございますが、これは実はこの制度を始めます際にいろいろなコースを考慮いたしたわけでございます。大体皇居の中の重点は、やはり何と申しましても二重橋を渡りましたところの只今は皇居広庭と申しておりますが、もとの宮殿の焼跡でございます。元来終戦後に皇居の参観ということが始まりましたのは、やはりもとの宮殿の焼跡を見たいという国民の希望と申しますか、そういう要求から始つたことでございまして、ところがあそこに参りますのにいろいろな門があるわけでございますが、大体あそこまで参りまして、只今御指摘のような先ず最短コースと申しますか、そういうコースといたしましても、約千人以上の方々が行列を作つて歩かれますと、どうしても一時間以上時間がかかるわけであります。極く小さい方、未成年の方は一般には御遠慮願つておるわけでございますが、遺族の子弟でございますとか、或いは修学旅行の高等学校生徒であるとかというような人々は特別に参観をお取計らいしているわけなんでありますが、そういつた高等学校生徒は別といたしまして、極く小さな子供たち、或いはお年寄りが相当多いのであります。そういう方々は現在でもちよつとそのコースが無理であるというようなことで時々省略して、ただ焼跡への最短距離を御案内するというような便宜も計らつております。午前の十時からどうしても約十二時近くまでかかるわけであります。午後は遺族の方を扱つておりますが、これも一時半から始まりまして、これも又やはり三時近くまで、只今お述べになりましたようなところを更に延長して御案内するというようなことになりますと、これはどうしても二時間以上かかるということになりまして、やはり何か或る場所は乗物を利用するとかなんとかいうようなことにいたしませんことには、ちよつとあれだけの大部隊が参観するコースとしては長過ぎると思うわけでございます。のみならず宮中にはいろいろな行事がございまして、その間を縫つてやはり差支えないような場所と時間を選んで案内をするということになりますと、おのずから場所的に制約も生じてくるようなわけでございまして、御指摘のもう少し内部の国民の本当に参観いたしたいと思われる場所についても何とかいたしたいものであるということは、いろいろ考慮をいたし研究をいたしたわけでございますが、取りあえず只今のところそのコースでもつてつてみているようなわけでございます。  次に説明の点でございますが、これも誠に御尤もでございます。これも随分いろいろ苦心をして考えたところなんでございますが、何せ千人以上の人に説明をしますのに、よほど立札と申しますか、掲示板のような大きなものを出しまして、それに地図をかけますといたしましても、一カ所では到底それはできませんし、やはり数カ所以上設けなければならず、ところがあそこはやはり皇居の出入口でございますので、常時そういう地図をそこに野ざらしにしておくというわけにも行かず、地図の点も十分考えたのですが、結局こういうことにいたしたわけであります。それは参観許可証の裏にコースの地図を刷り込むということにいたしまして、それを見ながら一つ歩いて頂く、或いは説明のときにもそれを御利用頂くということにいたしたわけなのでございます。ところが一般の方々ですと、十人以上ということでありまして、大体十人くらいの方々ですから、それで多少ともお役に立つと思うのですけれども、修学旅行とかいうようなことにたつて相当大勢の団体では、一枚の許可証の裏に刷つて地図ではちよつと御覧になるということはできないと思いますが、そういう点につきましては、引率の先生方にお願いして、できるだけ予備知識と申しますか、そういうようなことを生徒にして頂くように願いたいと思つております。  それから第三点は、参観の状況でございますが、六月の十五日から始めたのでありますが、六月は半月で約一万九千名、具体的に申しますと、一万九千五十九名ということでありましたのですが、その後七月、八月、九月、十月、大体毎月四万乃至五万というような数字を示しております。一番多いのは九月中でありまして、五万三千八という数字でございます。  それから参観希望者の申込の状況でございますが、これは一般の分が大体今年いつぱい、満員になつております、十二月三十一日まで。それから遺族のほうは、これは十一月三十一日まで十一月中だけ満員になつております。大体そういう状況でございます。  それから最後に皇居の開放の問題でございますが、これはいろいろ御意見もあることでございまして、ただ問題はやはり現在国家国民の象徴たる天皇の御住居でございますので、やはりその御住居としての機能を十全に発揮しながら開放するということになるわけでございまして、その開放の問題もそのことと両立しなければならないという点がございます。別に只今のところ具体的にこの場所を開放したいというような計画は持つておりません。
  81. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 簡単にもう一回伺います。  今のあなたの説明、私は納得できないことばかりです。  第一のコースですね、これは時間がかかり過ぎるからとおつしやいますけれども、あの二重橋のところからバツクしてこう行く時間と、あの二重橋を渡つてから生物学研究所のところを通つて並木路に出るのと時間は迷いませんよ。距離は違いませんよ。だから時間がかかり過ぎる云々ということは問題にならない。それからお年寄とか小さい者云々と申されますが、それでは高等学校とか元気な人は、こちらのコースを見せて頂きたいと言えば見せて頂けますね。  それからもう一つ宮中の行事云々と言われますが、賢所、宮殿あたりの行事のあるときは、あらかじめちやんときまつておる。だからそういう行事があるときは今日は行事があるからだめだととめたらいい。ないときはよろしいと言つたらいい。従つて第一のコースについては、これは差しとめるところの理由そのものは一つもないと思います。従つて私は重ねて要望してお尋ねをしますが、お年で歩けない人とか、或いは小さい者で歩けない者はともかくとして、私先ほど申上げましたコースを是非とも拝観さして頂きたい。あなた先ほど表宮殿の焼跡を見たいという国民の希望から始まつたというが、これは冗談でしよう。表宮殿の焼跡を見たい、そんな気持で国民は皇居を拝観に行つておるのではない。そうしてあの焼跡はちやんと整備できておるのですから、あの焼跡を見たい云々という気持で皇居拝観希望者を解していたら大きな間違いである。  それから第二の地図の問題、これは数カ所なんかは要りませんよ。あの乾門の前に並べておいて説明しておるでしよう。あの所に広告塔みたいなでかいものを外部から見えないように一つこしらえれば何でもない。簡単に解決できる問題です。  それからもう一つ皇居の、国家の象徴である天皇の住居云々と申されますが、だから先ほど私は吹上御苑を申上げた。囲いもちやんとありますし、それから皇宮警察官も守つておるわけであります。その皇居内の陛下のお住いの所に一歩も入ろうというわけじやないのです。又危険ということも考えられないわけですから、この第三点のあなたが話された点も私は納得させることにならない。以上私の要望と、それから質問申上げたのですから、もう一回一つ答弁して頂きたい
  82. 鈴本菊男

    説明員(鈴本菊男君) コースの点でございますが、只今のところ参観の案内に当つております者は二人でございます。これも現在の定員を増加することなく、相当無理をしてその二人の仕人を参観の案内に当てておるのでございます。これを二様にも三様にも御案内をするというようなことは、事実上現在のところちよつといたしかねるわけでございます。コースのことにつきましての御意見でございますので、これは又よく御意見として伺い、研究はしてみたいと思います。  それから今の開放の問題等につきましては、これは又非常に大きな問題でございますので、私からここで更に御答弁申上げることは差控えたいと存じます。
  83. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 地図をこしらえますか。簡単ですよ。こしらえなさいよ。
  84. 鈴本菊男

    説明員(鈴本菊男君) それから地図でありますか、これは千人のあれにわかるような、地図ということがまあどういう大きさのどういうものでありますか、ちよつと私の今のあれではちよつと頭に浮んで来ないのでありますが、これも一つ御意見として伺いまして、よく具体的に検討してみたいと思います。
  85. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 今日はそういうお尋ねをするつもりじやなかつたのですが、滅多に宮内庁の方は見えませんから、私ちよつと伺つておきたい点があるのですが、宮内庁に雅楽がありますね。あれは僕は日本の文化財としてやはり貴重なものだと思つているのです。でいつか、一昨年でしたか、私はあれは一度見せてもらつたことがあるのですが、非常にいいものだと思うのです。あれは宮内庁に閉じ込めておくには私は余りに勿体ないと思うのですね。ですから、もつと広く国民に開放すべき性質のものだと思うのです。ですから、折角国費を以て維持されている雅楽として、やはりあれを国民のものというような立場で広く国民の前に公開するような方法とつてもらいたい。それに対するあなたの意見と、それからこれも昨年でしたか、桂離宮をやはり同じ文化財として私たちは見に行つているわけです。ところが行つてみてその手続をしますと、京都の出先で宮内庁のやはり条件が付くのですね。それには官庁ならば係長以上とか、それから会社員だつたら資本金何千万円以上の会社の人で、そうして係長以上、そういう実にくだらない条件が付いている。そうして今日本当に文化を愛する人たちがそれを自由に見ようと思うと、そういう条件が付けられて青年たちは見に行くことができない。私は幸いに国会議員であつたためにそれを見ることができたのです。こういう条件を付けろことは甚だ私はおかしいと思うのです。やはりあれも国費を以て維持されている記念物ですから、これも国民が等しく誰でも見たい者は見れるような方法をとるべきだと思うのです。ただやたらと大勢出かければこわれるおそれもありますから、人数の制限をすることはいいと思うのですね。人数の制限は必要になつて来ると思うのですが、人数の制限を会社なら課長級以上とか、又官庁なら係長以上とか、又会社の資本金にまで至つて云々するというようなことは、これに宮内庁の封建性丸出しで、話にならないと思います。やはりこれに対する意見。私はこれは公開すべきものだと思う。私も実に拝見して立派なのに驚いて、すばらしいものだと思つてつて来ているわけです。こういうようなものは桂離宮にとどまらないと思う。今年私はやはり国会議員として正倉院を見ることができた。これはやはり国会議員であつたために私は見れたので、これが長年見たいと思つても見ることができなかつた。ところが見たいと思う人はたくさんあるわけですね。ですからこれもやはり方法をとつて公開すべきものだ。資格などつけるべき性質のものではないと思う。而も私は桂離宮に行つて非常に不愉快に感じたのは、道具屋か茶人か知らないが、そういうボスがおつて、私たちに人数を制限しておきながら、そうでもないような人たちももぐりでどんどん見せているのです、そういうボスがどんどん中に入つてつて。そういうことを実に私は不愉快に思つた、そのときに私はすぐどなりつけようと思つたけれども、ああいうところへ行つて又共産党が荒立てるようなことを言うというようなことを言われたのでは心外なので(笑声)私はじつとこらえて帰つて来ましたが、ああいうことは甚だ不愉快千万なことです。そういうことをあなたはどういうふうに処置しようとしているのか。  それからこれは今矢嶋委員から皇居の参観の問題でいろいろ質問をされましたが、私は少し違つた観点から、皇居の拝観の問題が天皇制復活に利用されているという点が私は多々あると思う。なぜ皇居の拝観を積極的にやろうとしているかというと、それは私は学校の指導者がやはり天皇制復活と結びつけてやつているのではないかというふうに私は考えているのです。この問題に対して私は今ここで議論しようとは思いませんが、ただ遺族と普通の学生とをやはり区別しているという点はどういうところに根拠があるのか、そこらに何かおかしい問題が、やはり宮内庁としてやはり考えがあるのではないかと思うので、その三点について一つ簡単に御答弁して下さい。
  86. 鈴本菊男

    説明員(鈴本菊男君) お答えいたします。雅楽の公開の点でございますが、これは本年も芸術祭に参加いたしまして、本丸の屋外の大広場で公開をいたしました。たしか五千人以上の人が午前午後、ですから合計すると一万人以上になると思いますが、はつきりした数字はわかりませんが、そのくらいの方が見えられました。  それから桂離宮、正倉院の参観のことでございますが、これは御指摘のごとくできるだけ国民に広く希望のある限り参槻をさせたいということは我々も十分考えているところでございますが、併し桂なども、正倉院も一様に、ああいう場所柄から申しましても、それから物自体が相当年を経ておりまして、大勢の人の参観には耐えないのでございますから、おのずからその一日の人数を、例えば桂で申しますと二百人というような制限をして……。
  87. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはわかつているのです、それは。
  88. 鈴本菊男

    説明員(鈴本菊男君) そのうちでまあできるだけ歴史、或いは庭園といつたような、その道の専門的な造詣のある人たちの希望をやはり第一次に考えねばなるまいというようなわけで、それに重点を置いているわけでございます。御指摘の、会社の資本金の問題とか何とかいうことは、ずつと前の終戦前の拝観内規にはあつたことがあつたかもしれないと思うのでございますが、今はそれに非常にとらわれているというわけではなく、むしろその方面の専門の人たちの希望を第一に考えているというような状態だと思います。  それからボスが入つているというようなことでございますが、これは事実現地につきましてよく取調べてみたいと思いますが、そういうことのないようにということは常々注意しているところであります。  それから遺族について、これは遺族と申しましても、別に全然コースを変えるとか、それから特別な扱いをするというわけではないのでございますが、遺族の方はよく団体を組んで地方から来られます。それでこの方々のために午後の枠を一応千人という扱いをとつているというだけのことでございまして、これは今までのこの制度の始まります六月十五日前までの形式をやや蹈襲しているような形でございます。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 わかりました。
  90. 鈴本菊男

    説明員(鈴本菊男君) 遺族に特別の扱いをしているわけではございません。
  91. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは意見になるかわかりませんが、雅楽を公開してほしいという意味は、私はもつと広い意味を言つておるのです。一年に一ぺんくらい五千人の人に見せたところで、日本の人口は八千万もあるのですから、五千人に見せたところでこれは問題にならないので、私が公開しろと言うのはもつと広い意味で、もつと常時……雅楽の人たちは一年に一ぺん五千人の人の前でやつたあとは遊んでいるということになるのだから、そうではなく、もつと歌舞伎座なら歌舞伎座、公会堂なら公会堂に出向いて、そうしてそこで長期に十日間なりやるとか、何とかいうことで、あの折角残された立派な芸術品なんですから、それをもつと国民に親しく見せる。こういう五十人に限られたのでは問題にならない。私の言う公開はそういう意味の公開です。桂離宮は私の行つたのは昨年で、事務所へ行つて条件を聞いてみた。事務所で、こういう条件ですということを聞きまして、私は非常に不愉快だつた。ですからその通り守られているかと思つたら、現場で道具やのおつさんみたいなのが大きな面をして人を入れているのを見たのでそういうことを申上げたので、これは早速どういう人でも、人数の制限はそれはしようがないと思う、数の制限は。併しそうでなく身分の制限、こういう国家の文化財に身分の制限、課長以上でないと見せないとか、そんなばかげたことはおかしい。誰でも見たい人は申込めば順番が来れば見れる。今日青年たちは非常に昔の文化財を鑑賞したいという熱望が高いのですから、そういう方法をとるべきだと思う。それに対してあなたはどういうふうな処置をとられるか、もう一ぺん簡単に答えて下されば結構です。
  92. 鈴本菊男

    説明員(鈴本菊男君) 雅楽の点につきましては所管事項でもございませんので、御意見として承つて伝えることにいたします。それから桂離宮等の参観の資格と申しますか、その点につきましては私が先ほど申上げましたように、決して或る杓子定規の資格というようなことは考えておるのではないので、できるだけ多数の希望者の中からよくわかる方々に先ず第一にというつもりで考えておるのでございまして、只今の京都での何か内規をお聞きになつたということにつきましては、又いずれ取調べてみたいと思いますが、戦前にはたしかにそういうことがあつたかと思います。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一点、「よくわかる人」というのは、ここに非常に問題かあると思う。よくわかりたいのです、青年は皆。国家に残された文化財を鑑賞したいのですよ。わかりたい、理解したいという熱情をもつて希望する。あなたが今、よくそういうことを知つている人に優先的に見せると言われたが、それは私は非常に意見が違つて来る。これからの若い人たちに見せなければならん。それから「わかる人」と言うとやはり資格とか何とかいうことがついて来る。そこに物の考え方に違いがあるのではないか。誰でも見たい人には見せるという方針が一番私はましいと思う。人数の制限はこれは止むを得ない。それは私もわかる。たた青年だつて学生だつて、誰だつて見たい。見たい人には見せたらいいじやないか。それからどうぞ京都にそういうことをよく言つて下さい。昔の古い形を京都の事務所は主張していたようでありますから、その点あなたから一つよく通達でもして下さい。   ―――――――――――――
  94. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと皆さんに御報告申上げます。先ほど休憩中に理事会を開きまして、委員会の運営について協議をした次第でありますが、その結果、明日は午前九時開会して、文化財保護行政に関する件を審議する予定になつておりましたが、これを変更いたしまして、明日は午前十時から北九州炭鉱地世における学童問題、並びに文部省関係予算に関する件を審議することと変更いたした次第であります。従いまして、先にお知らせ申しておきました明日日光視察の件はこれを中止いたしまして、二十二日に有志の方々においでを願うということに決定いたしました。さよう御承知を願いたいと存じます。
  95. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 只今の報告を了承いたします。併し北九州の問題を明日改めてやるとなれば、本日私が要求いたしました官房長官或いは副官房長官の出席も、明日になるなら副総理の出席を委員長お願いいたします。
  96. 堀末治

    委員長堀末治君) 承知いたしました。早速そういう手続きをとります。連絡しておきます。  それでは文部大臣がおみえになりましたから、荒木委良から提出の案件について御質問を続行いたしたいと存じます。
  97. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 昨日に引続きまして、予算関係して文部大臣にお尋ねをいたしたいと思います。今日は僻地教育の振興についてお伺いします。が、前の国会におきまして、僻地教育振興法が成立をいたしまして、なお参議院文部委員会では付帯決議を付して、今後の政府の努力について要請するところがあつたわけでありますが、まず振興法の精神に基いて文部省としては来年度の予算においてどの程度の予算化を図ろうと考えておられるかということが第一点でございます。  それから二点といたしましては、僻地教育の振興については教員の確保ということが重要な問題になつてくると思うのです。これは先般当文部委員会から北海道に派遣をされた委員諸君の報告の中にもあつたわけでございますが、僻地教育において優良教員を確保するということが非常に困難であるという報告かございました。そしてその困難な理由はいろいろございますが、その中で地教委という存在がこれを困難ならしめている大きな理由なつているということでありました。私もそのことを認める一人でございますが、地教委があるために人事交流ができない、そういう点から僻地に適当な教員を得ることが困難であるという実情は私は率直に認めなければならんというふうに考えておるわけなんです。そういう点から僻地における教員の確保と地教委の関係、こういう問題について文部大臣はどういう所見を持つておられるか、お聞きしたいと思います。  それから教員養成の面からも僻地教育の振興については考える必要があると思うのです。そういう点について何らか文部省のほうで考えがあればこの際おつしやつて頂きたいと思うのです。大体僻地教育の振興については、以上申上げたように来年度の予算化の問題と、それから教員確保の問題こういう問題について大臣から一つ御答弁願いたいと思います。
  98. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 二番目のお尋ねの僻地教員の確保、御承知通りこれが僻地教育の一つのむずかしい点になつておるのでありまして、なかなか一口に言うと、そういう不便な所へ行くことは先生としてもあまり希望しないこれも無理のないことであります。そういう実情でありますので、いろいろな方法を講じて僻地の教員を確保したい、けれどもこれはまあ無論僻地手当の従来ありますものを更に増額をしたいとも思つておりますし、いろいろな関係でこの問題を解決したい、こう努力しておるわけでありますが、併しこれはなかなか実情困難な問題であります。教員の養成につきましても、地方によつては特にこれは経費の貸与でありますか、給与でありますか、そういう制度を地方でとつて、そうして僻地教員の養成、まあ卒業したらそちらへ義務的に行くというような制度をこれは地方教員でとつておる所もあるようであります。いろいろと研究をいたしまして、できるだけ僻地教員の確保に努めたいと思つております。  地教委との関係でありますが、これは人事の交流について人事権が地教委にあります関係上、交流の場合にいろいろむずかしい問題が起る。殊に只今申上げるように僻地の場合においてはその関係が一層面倒になる、こういう実情は確かに認めざるを得ないのであります。文部省としましては、事務的に人事交流、つまり人事権の運営の問題についてできるだけ円滑にこれが運ばれるようにということでいろいろ研究をいたしております。研究をいたしておりますけれども、これは実際はなかなかむずかしい問題のようであります。現存の地方教育委員会制度というものを存置するという建前でこの問題を解決するということもこれは給与の問題、いろいろな問題と絡まるものですから、実際においてもなかなかむずかしいことでありますが、併しできるだけ事務的にはその円滑を期することに何らかの方法を、地方によつてこれはいろいろの方法をとつておる所があるように聞いておりますが、この点は荒木委員もよく御承知通りだと思います。できるだけこれが法律的にも改善せられて行くような方法を折角検討しております。併しこれはなかなか実はむずかしい問題であります。併し、であるからといつてこの地教委というものを、そのために廃止するというようなことは無論本末顛倒でありますから、そういうことにはなかなか結論か出ませんし、又地教委から人事権をなくするというようなことも、これはやはり人事権を持つておるということが教育委員会のやはり本質的な問題でありますから、これもそういう方法がとり得れば或る程度非常に楽になるのでありますが、これは又地牧委制度の本質からいつても簡単にそういう結論が出しにくいのでありまして、できるだけ一面制度の上に改善の余地ありや否やの検討を続けると共に、現実の面においてはいろいろな、例えば僻地手当の増額、或いは特別な報酬の制度、いろいろな点を考えて僻地教育の充実といいますか、振興を図りたい、かように考えております。  それから僻地教育振興のために来年度における予算の計画といいますか、只今文部省で考えております諸点につきましては、政府委員からお答え申上げます。
  99. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 特に僻地教育振興法の精神及び当委員会の付帯決議の線を尊重いたしまして、全体で大体六億数千万の要求をいたしております。そのうち僻地手当の関係で約二億、そのほかに金額の大きいものでは、僻地の小中学校施設整備の関係でこれは前年度約一億入つておりますが、これを早急に整備するということで三億数千万要求しております。そのほかに僻地の設備が特に悪いというので冬期分校場の設備とか、或いは自家発電の設備、或いは医療の、特に救急な医療施設に必要な設備等を約五千万程度要求しております。そのほかに教員の問題といたしましては、先ほど大臣からお話がございましたように、教員の臨時養成施設を約倍程度増設いたしたい。そういう関係で前年四百万のものを八百万程度、それから宿舎の関係で、特に教員の住宅がございませんので、取りあえず学校の校内におりますところの教員の宿舎を整備いたしたいと考えまして、約五千万程度要求しております。このほかに子供の寄宿舎の整備費等が三千万程度入つております。大体以上でございます。
  100. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 議事進行……、この前の委員会で、結果から考えて、会計部長は只今答弁される前に本委員会に答弁せられることが私はあると思うのですが、委員長から答弁を求めて頂きたい。それは先般の委員会で今会計課長が持つて説明された資料の件について、予算審議に入る前にいろいろ問題があつたはずです。で、そのときに私からいろいろと希望もし、追及もしました。その際に会計課長は検討して明日改めて、云々ということを言われた。その明日は昨日のはずだつたのですが、昨日は大蔵省と予算折衝のため会計課長はお見えにならなかつたのです。そういう態度は委員長も了解されて昨日終つているわけですから、今答弁される前に、一昨日の私から提起した問題について一言の答弁があつて然るべきだと私は考えます。
  101. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと私ははつきり記憶がないのですが……。
  102. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは明白ですよ。
  103. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  104. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  105. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 教員賛成の問題については御答弁がなかつたのですが、これは後ほど願います。  文部大臣の声明の中に人事権の問題が出ました。私もこの問題については文部大臣の意向を確めたいと実は考えておつたのです。というのは、町村単位に設けられている地教委に人事権があるということは、これは実際上非常に障害になつているということは私は事実だと思うのです。これがかなり広い市というくらいになると、あまり大きな障害にはなつていないようです。併し町村においては、町村教育委員会に人権があるということは、相当人事交流の上から障害になつているということは私は事実だと思うのですね。従つてこういう小範囲の教育委員会においては人事権を府県の教委に委譲すると、こういう措置をとることが私は実際的な処理の仕方ではないかと思うのです。教育委員会からこの人事権をとるということは教育委員会の本質を失うものである、こういうような大臣は見解を持つておられるようでありますが、これは私は必ずしもそういうふうに解釈しなくても済むと思うのです。この人事権というのは給与の問題とは非常に深い関係にあります。給与の問題については府県が面倒を見ておる、人事については地教委が権限を持つていると、ここにも相当のちぐはぐがあるわけです。ですから地教委が府県の教委に人事権を委譲するということは、私は差支えないのじやないかとうのです。人事権がなければ教育の民主化なりその他のことができないということに言われないと思うのです。そういう意味で、これは相当考慮する必要があるのじやないか、或いは検討に値いする問題であると私は考えておるのですがね。この点重ねてお尋ねしたいと思うのですが……。
  106. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 御指摘の通りに、給与権が県にある、人事権がそれぞれの地域教育委員会にあるということから来る、何と言いますか、事務的に言つても困難な点を生ずる。それから他の公務員と違つて教員は昔から始終町村相互の間において交流が行われておる。その点は普通の町村の公務員とよほど趣きを異にしておる関係があります。これは従来からそうなつておる。その従来の行き方が自然に行われますから、その際においてそれぞれの人事権が分立しておるということに、交流の上で円滑に行かないという点が生ずる、こういう点はお話の通りであります。でありますから、私どもとしてはできるだけその点の円滑に運ぶように何らか検討をしたい、又改善の余地があれは改善したい、こういうことを考えて研究を進めておることは先ほど申上げた通りであります。ただ教育委員会そのものの建て方から言うと、御承知通り、県の教育委員会は県立学校の管理運営に当る行政機関であります。地方教育委員会市町村学校の管理運営に当る機関であります。従つてその間上下の関係はないのであります。成るほど一時出発が遅れた等の関係もあり、又給与権が県にあるというような点から見て、或る程度上級機関というような感じがそこにまあ何と言いますか、そういうにおいが出ていることも事実であります。例えば指導、助言、監督をするというような点はあります。けれども本来の性質はこれは並立しておるものであつて、要するに県が設置者である学校は県の教育委員会がやる。それから市町村が設置者になつておる学校市町村教育委員会がその管理運営に当る、その教育行政を担当する、こういう建て方でありますから、人事権のような特に重大な権限を県の教育委員会に委譲すると言いますか、その点は県の教育委のほうへ持つて行くということは、公立学校市町村学校先生の人事を県の教育委員会がやるということは、その点から見ると、やはりそう簡単に解決のできない問題であるとこう私は思つております。そのにむずかしいところがあるのでありまして、勿論この教育委員会法の趣旨から申しても、又教育委員というものはいわゆる一般直接選挙による構成であります。従つて民衆から直接選挙せられた人によつて構成せられる機関が他の機関から規制せられるということは、これは常識から考えてもないことであろう。従つてこの上下の関係に立つておらんものですから、その辺に問題のむずかしさがあると思います。こういう点はなお十分検討して、できるだけ改善したい、こういうふうに考えておりしますことは先ほど申上げた通りであります。
  107. 安部キミ子

    安部キミ子君 関連して……。只今の大臣のお話を聞きますと、制度ということに余りに重きを置き過ぎられて、現実教育行政ということ、又教育効果ということを、一の次に考えておいでになるように思います。私も実際委員会におりましたときでも、県一本の人事行政が行われるときには割にスムーズに全体がよく行つてつたのです。ところが地方教委ができてから非常にもうトラブルかあちらこちらにできまして、収拾のつかないくらいに問題が起きて参りまして、で、私は問題は教育を如何に立派に作り上げて行くかということが主眼であつて、そのために障碍になるものであれば当然私は廃止するなり、或いは必要なものであれば設置するなり、こういうふうに行くのが私は今日の政治じやないかと思います。今日都道府県の合併問題にいたしましても、従来のような行き方ではだめだというので、町村合併などの問題も見ておりまして、今までは町は町、村は村であつたから、こういう建前でどこまでも町村合併なんかする必要がないということになれば、やはりこの時代に副わないと思うのです。ですから大臣のおつしやいます気持はわかりますけれども、問題に現実ということが大事じやないか。その現実に立つて制度を考えて行かなきやならん。悪いことであつたらやめるがいい、大臣自身も教育の人事交流については非常に障害がある、いろいろな点で障害があるということはお認めになつておるのでもりますので、この点をもう一度、私は自分がそういう経験で強く感じております、矛盾を感じておりますから、これは大臣に再考をお願いしたいと思う次第なんですが、実際現場の先生たちも、そして教育委員会自身も、地方教委の責任問題なんぞが方々に起きて、教育委員のリコール問題なんかも起つておるのです。山口県でもたくさんあります。でございますので、やはり現実に立つた教育行政を私はやつてもらいたい。こういうふうに考えております。
  108. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) つまり行政はできるだけ実情に即して行われるということは、勿論御指摘の通り大切なことであろうと思います。その点から言えば御尤もに考えるのでありますが、これもまあ何と、言いますか、そういう便宜主義ということも必要であるが、それだけで又きめるわけにもいかない。やはり教育委員会制度の基本理念というものがありますから、その基本理念というのはできるだけやはり生かして行かなきやならん。そこにまあ何と言いますか、理想と現実の矛盾というか、ということがまああり得ると私は思うのであります。そこで教育委員会制度というものも、殊に地教委の制度のごときは施行されてまだ間もないことであります。でありますから、できるだけこの教育委員会設置の制度の理念というものを生かして、そしてこれを育てて行くという見地に立つならば、いわゆるできるだけの障害を除去することにして、そし一応はその方向で努力するのが筋ではないか、こう思つております。併し実情ということもこれは実際において極めて大切なことでありますから、それらの点におきましては、できるだけ実情に即し得るように考慮したい。お話の点はその点において御尤もと思いますが、只今も申上げますように、それらの両者の関係を見て、そしてできるだけいい案ができるように折角研究しております。
  109. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 この質問の第一点ですね。それは人事に支障があるということのために、従つてそれを具体的にどういうふうにやつているかというと、例えば校長ですね。どの人を校長に新採用するかとか、或いは校長の異動というものは都道府県教育委員会で発表している地方が多うございますね。で大臣の先ほどからの説明を承わつておりますと、これは好もしくないという立場が出ていると思います。でそれをどう……、各都道府県でやつている校長の人事権は、都道府県教育委員会でやつているそういうのを成るたけやめるような助言と指導をなされるのか。これが一点。  それから第二点は、先ほどから都道府県教育委員会市町村教育委員会を並立してあなたの所見を承わつたわけですが、一部新聞に伝えられるところによると、都道府県教育委員会というものを廃止して、市町村教育委員会一本で行くのが大達文相の考え方だということが伝えられておりますが、果してそうか。そうだとするならば、都道府県立学校教育行政というものは今後如何ようにしてどういう機関でやられようとしているのか。その二点を関連して……。
  110. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 市町村学校の校長の任免の人事を都道府県の教育委員会で行うということは、これはまあ実際から言うとそういう事例もあろうかと思います。併し制度上から言えばこれはまあそういうことにはならない、これは権限の逸脱だと思います。
  111. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 やれないか言つているのです。
  112. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) だから私のほうで事実は……これはまあ私も実情はよく存じません。むしろ矢嶋さんのほうがよく知つておられると思いますが、或いは県の教育委員会の例えば出張するというようなところでその地域内の人事についてのまとめをするとか、或いは地方教育委員会のほうの何というか、連絡機関のようなものができて、その構成についての話合いをするとか、地方々々でいろいろのことでこの間の事務的なぎごちない点をカバーしておるということではないかと思います。そういう関係で何とか地方教育委員の自主性というものを破壊しないで適当な方法があれぱということが、先ほどから申上げている点であります。制度上から言えば、無論都道府県の教育委員会が校長の人事をするということには、制度から言えば然るべからざることは当然であろうと思います。ただそこをやかましく言えないのが実情であろう、そこが困難がある、何とか適当な方法で打開したい、又教育委員会の制度そのものが今申上げたように発足間もないことであるから、おのずから地方実情というものから無理のない慣行というものが熟しつつあるというふうにも見得ると思うのであります。そういうことになれば、又それを制度化するということも考えられるのではないかと思いますが、只今のところでどちらかにきちんと片付けてしまうというところまでは、私どもの考えがそこまでは行つていない、こういうふうに御承知を願いたいと思います。  それから、その次の地教委だけを残しての教育委員会をやめろ、こういうことは私ども実は考えておりません。従つてその地方の県の教育委員会の仕事を誰がするかというようなことは、私どもとしては全然考慮の余地を置いておりません。
  113. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 新聞に出たのは誤伝ですね。
  114. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 新聞に私の意見として、地教委を残して県教委を廃止する、こういう意見が出ましたか。私はまだ見ないのです、そういう新聞は。
  115. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 日本の大新聞に出ましたよ。
  116. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 大新聞に出ましたかね。(笑声)私は見ないが、併しそれはそういう私の談として出たのですか。それは何か観測でしよう。私についてはいろいろ観測記事が……。
  117. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなたの一挙手一投足が、今の日本の新聞では関心の的ですよ。
  118. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) いろいろ観測した記事が出ますから、これはそのほうの新聞記者のほうにお聞き下さらんと、私がそれを一々答弁するわけにはいかない。
  119. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 それは御尤もです。あなたの所見さえわかれは結構です。只今僻地教育に関する予算の質疑を行なつている段階でありますけれども地方教育委員会のことはその程度にいたしまして、先ほど説明に基いて荒木君がいないから代つて私お伺いしたい点も簡単に伺います。  先ほど僻ち手当の予算に約三億を負担金として予算化しようとしているという課長説明でございますが、この内容を概略承わりたいのが一つと、それからそれとも関連があるのですが、それは僻地教育の振興に当つてはともかく教育者を得ることが大事だということは申すまでもございません。ところが給与の問題、住宅の問題もありますが、結局給与の問題が一番大きな隘路でこの人を得ることができないわけでございますが、最近ですね、最近と言つても一カ月前ですが、人事院の事務当局では今の僻地手当の定額給与のこれを都市の地域手当と同様に、その月の総収入の最低五%から最高二五%の五段階で僻地特殊勤務手当制度と改めたい、こういう事務当局で研究の結論が出て、浅井人事院総裁も誠に妥当だという立場で、人事官会議で通つたものと私は聞いている。それで私はこれは法律の事項でなくて政令事項でございますので、閣議に持ち込んで閣議決定をされれば直ちに実施される性質のものであると思います。で僻地に勤務している公務員は地方公務員、特に教職関係の公務員が一番多い。従つて僻地手当の問題については私は文部大臣としては、国務大臣において最も関心と努力を払われなければならない立場にあるのではないか、こういうふうに私は考えます。そこでそういう人事院のほうから閣議にそういう内容が持ち込まれたかどうか。持ち込まれていないとするならば、予算面において若干交渉がもつれておるのではないかといますが、文部大臣としてはこの実現のために努力して頂くことはできないかどうか。御所見を承わりたいと思うのです  なお、これとも関連しますが、その際に、現在の公務員を相手とするところの人事院における僻地手当の支給基準というものは、やや人情に副わないどころか、非常に過酷なものでございます。従つてこの基準の緩和をこういう点においても私は国務大臣として閣議で強力な御発言をして頂いて、そして僻地教育関係者に適正なる給与を与える、それによつてよりよい教育者を確保することによつて僻地教育の振興ふ図るということが私は非常に大事なことではないかと思いますので、会計課長予算要求とも関連いたしましてお伺いいたし、まず文部大臣のほうからこれをお伺いいたします。
  120. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 人事院のほうで研究せられて、その研究の結果はまだ閣議には出ておりません。予算関係等で別にもつれておるとか、話合いがあるとかいうことも実は私よく承知しておりません。閣議に若し出た場合には、その内容についての詳細な説明を聞いた上で私の考えをきめたい、こう思つております。  それからこれは一般の僻地というか、一般の公務員の給与の問題でございますが、それとは別途に教育公務員についての僻地手当などにつきまして、やはり一般の僻地の場合に実情に副わない点があるというようなことは、成るほど私どももしばしば僻地の教員の側から陳情を聞きました。成るほどそうであろうと思うような点はございます。この点につきましては、いわゆる僻地手当というものとして、できるだけその欠陥を補つて改善をいたしたい、こういう考えでおります。まあ幸いにこの僻地の予算を今度相当お願いをしておるわけでございますが、これが認められるということになれば、その点は相当改善ができるであろう、こう思つております。僻地手当の予算要求の内容につきましては、政府委員からお答えをいたします。
  121. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 只今の僻地手当につきましては、手当のほうと二つございまして、僻地手当は御承知通り五段階になつておりますので、それの最高が今千二百円になつております。それを大体僻地手当は倍額の要求をいたしたい。それから単級学級と複式学級手当がございますので、それが現在四百円乃至三百円になつておりますので、それは大体三倍程度の引上げでありまして、総額において大体ベースの二割ぐらいが手当となるように考えております。
  122. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 会計課長に伺いますか、そのときに支給地域の基準ですね、これはもう少し緩和されるお考えを持つておられないかどうか。その点と、先ほど私が申上げました人事院の事務当局の結論ですね、これをあなた御承知なつておられるかどうか。更にこの促進について部外者ではありますが、あなたのところとは非常に関係の深い問題だから、この推進に御努力願いたいと思うのですが、御所見如何でしよう。
  123. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 予算的には地域の問題につきましては、現行の地域をとつておりますが、御承知通り地方が負担したものの実績の二分の一を見るということでございますので、地域指定そのものか相当基準では……基準がございますので、府県の実情によつてできるだけ緩和している府県もあるし、相当厳格にしておる所もございまして、この基準について相当今検討をしておりますが、予算的にはまだ織り込んでおりません。  それからいま一つの人事院の勧告につきましては、私どももベースの何割というふうにきめたほうが望ましいとは考えておりますが、これについては正式にまだ問い合せが私のほうに来ておりませんし、決定したということも聞いておりませんが、若しそういうことが提案されますならば、できるだけ努力したいと考えております。
  124. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その点についてあなたに要望申上げておきたいと思います。  それは、これはかなり重大なんですが、というのは各都道府県の実情が違いますので、それぞれ僻地手当の支給の基準等違うわけですね。県の教育委員会によるというと、非常に県当局と困難な折衝を続けて、僻地教育の振興の一環として相当の成果を挙げられている県がおられるわけなんですね。ところが一方人事院が国家公務員を相手にして一つの基準を出して実施すると、こうなりますと、習わしとして地方公務員も国家公務員に準じてやるということになりますので、都道府県人事委員会が県議会等の予算面からの圧力によつて人事院が出した国家公務員に対するものに準じてやりますと、全都道府県の教育委員会が非常に骨を折つて確保しているところの実績よりは下るというような場合も起り得るわけです、理論的にですね。従つてそういうことのないように会計課長さんとしては注意を払つてつて頂きたいと、こういうことを要望いたしておきます。
  125. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと私から。僻地教育の問題は私も北海道で、北海道は御承知通り僻地教育は非常に多いのですが、これについて一つ大臣にお願い申上げたいと思います。  いわゆる北海道あたりは、あの通り僻地なものですから、なかなか先生が得られない。今承わるというと、僻地教育手当の一番最高が千二百円と言つておりますけれども、北海道で私が聞いたのは三千円、そうしますと、北海道は大分張り込んで出しておりますが、それでも今の若い諸君は三千円では行きたがらない、これは無理ないと思うのです。最近は電気のついたところはラジオが聞かれますから結構ですけれども、新聞は二日もおくれる。無灯村が多いところですからラジオも聞かれないというと、殆んど文化から切り離されたところで子供教育をして行かなければならないということで、今の青年の血の気の多い者はやり切れない。従つて、どこに行つて先生が足らない。これを二部教授とか、合併を一年、二年、三年、四年というふうにして教育をしているところが相当ある。それの拡充のためには政府のほうで教育養成所を作つておいてやることは大変結構だと思います。日本で十二カ所のうち北海道で二カ所あるということを聞いておりますが、そのうち文部省の助成がすこぶる足らないのですね。これはこの前もあなたに申上げたと思うのですが、稚内のごとき北海道庁から九十万円くれる、文部省は僅かに十五万よりくれない。ああいう遠い所ですから、要するに先生が通うのにもその費用なんかなかなか多い、泊つてもらうにもその費用の負担が多い、こういうことで非常に市として経費がかかる。然らば市の先生のために自分が市費を多分に図つているかというと、市はどうにか先生に不自由しない程度、それで田舎のほうに廻すために市が多大の経費を張り込んでやつている。こういうことで、是非ともこれは市としてもやり切れないし、僻地教育も十分でないから、いわゆる教員養成所に対してもう少し文部省では助成をしてほしいということを切々と訴えられましたし、私もお願い申上げてあるのでありますが、これらに対してその後どういう一つの措置を講じておられますか。できることならこの機会にお聞かせ願つたらありがたいと思います。
  126. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) これは僻地という、その僻地というものは、そのものの性質上地域々々によつて程度においても又実際の状態においても非常にそれぞれ違うと思うのであります。でありますから、非常に僻地の中でも、又その又僻地というものもあり、殊にまあそういう点から言うと、北海道であるとか或いは離れた島であるとかは又特別な関係もあろうかと思います。でありますから、何分御承知通り僻地教育の振興ということは比較的最近になつてやかましい問題になつている。これは実はやはり戦後六三教育を発足、従つてこれが非常に実際の準備も整わないうちに出て来たものでありますから、そのほうの充実に何とかそこに全力を傾注せざるを得ない。無論今日でも非常に不十分でありますけれども、漸くそのほうが幾らか格好がついたので、近頃僻地教育の振興であるとか、或いは盲聾唖その他の特殊学校教育の振興であるとか、そういうまあ比較的今まで忘れられたというわけではないが、勢い不遇であつた方面の教育に世間の関心も向けられ、又それに対する、国会その他の御要望も強まり、それに伴つて漸次これが充実振興の緒につきかかつたというのが今日の実情であると思う。でありますから、従来僻地教育の振興については非常に遺憾の点が多かつたと思うのであります。幸いに今年国会において僻地教育振興法というのも成立し、又国会において特に予算も増額した修正がありました。まあ私どもの希望としてはこの盲聾とか僻地とか精薄とか、比較的今まで不遇であつた方面にやはり教育のうるおいを早く及ぼしたいということで、予算相当に僻地に限らず、実情に応じてできるだけまあ強い言葉で言えば、気持から言えば痒いところに手の届くような内容を持つた予算をできるだけ進めて参りたい、こう思つておりますので、今委員長の言われた点も、これは北海道は特にそういう実情があると思います。他の地域においてもそれはあるのでありますが、予算相当我々の希望するような規模において成立をすれば十分この充実に努めて参りたい、こう思つております。  それから今の矢嶋さんの指摘された点も、これは私の県のことを言つてはおかしいのですけれども、高級県のような海岸が幅の狭い所で、それですぐ山になつている。これはそこでその省線の駅から何キロ離れた所が僻地である、こういう標準をうまく作られると、何キロきちつと入ると隣の県に行つてしまう、幅が狭いから。(笑声)そこで海洋に近くもう険峻の山がずつとあつて、それが距離が近くても、その基準にはまらんでも途中がえらい山坂、谷があつてどうにもしようがない所があるのですよ。そういう点からいうと、さればといつて全体的な基準でそれにすぐそつくり即応するような基準を作るということはこれは不可能です。私どもの希望としては、何も私の県をよくする意味はありませんけれども、自分としては特に単級複式の学校というものは大体それに当るものですから、事実はそういう点についての何が特にいわゆる僻地という基準に入らんでも、そういう点でまあ考えてみると、この点は事実相当困難だけれども、これは一つ研究して、実情にできるだけ副うて、そういう山の中で一生懸命教育しておられる先生方の労に報いたい、こういう気持は持つておるわけであります。
  127. 木村守江

    ○木村守江君 只今の会計課長説明のうちにも奇宿舎の整備三千万円、この寄宿舎は恐らく新制中学校の季節分校、特に積雪地の一年のうち五カ月乃至半年季節分校を作つて一人の先生が五カ月間、英語も算数も国語も教えるというような学校のところを救う意味だと思うのですが、これは実際小学校のように学級担任だつたら或いは季節分校というような学校も要ると思いますけれども、新制中学校で一カ年のうちの五カ月、一人の先生で何もかも担当するというような教育は、これは新制中学の教育じやないと思うのです。そういう点からいいまして、これは昨年度もこの予算は請求したと思うのですが、昨年度だめだつたのですね。まあ今年はこの予算を折角二千万円組んで頂いたので、非常にこれは積雪地にとりましては、殊に新制中学校教育についてはまあ非常な恩典だと思うのです。こうしなければ新制中学校作つても新制中学の教育ができない状態ですから、この予算を通してもらうように格段の御努力を願いたいと思うのです。これは僻地の、特に積雪地の僻地教育の振興ということは一番もう大事な問題というように考えるので、特段の御努力を願いたい。
  128. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 私は僻地はこの秘境にとどめて、次に進むならば、私はこの前の続きとして施設関係について許されれば質問したいと思います。  時間が迫つておるようでありますから答弁も一つ明確に願います。質問も簡単に明確にいたしますから。  施設関係で先ず第一番、先般の災害についての本委員会に報告されたのでは、国立施設が一億七千万、公立施設が二十五億三千万、公立社会教育施設が五千二百万と損害額を報告されておりますが、これについて先ず第一番、この数字はその後変つたか変らないか。  それから第二番、この復旧計画は四、六で二カ年でいくのか、それとも一年でいくのか。  第三番、答弁してもらいますよ。査定は終了しているか終了していないか。終了していなければいつ頃する見込みですか。それから応急措置はどの程度に進んでいるか、こういうこと。  それから大きい第二番としましては老朽校舎の件でありますが、先般の委員会でもちよつと出ましたように、今まで老朽校舎の補助小学校に限つてつた。今度は法を改まして高等学校にも補助適用いたしたい、これは又強い地方要望でもあります。従つて、私は新聞で見たのですが一応六億六千万の要求を文部省はしていると聞いておりましたが、この見通しと、大臣の決意と、それから屋内体操場についても積雪寒冷地に限つてつたのを、法の改正をして全的に屋内運動場を設けられるように補助の対象とする、法の改正をして予算化するということを言われておりましたが、これは是非やつてもらいたいと思いますが、その見通し。大きくこの三つを重点的に伺います。  最後にそれと関連してでありますか、従来私はよく皆さんのほうで不正常授業、或いは基準未満の施設を何カ年計画で解決するということをよく言われますが、その数字がはつきりしない。数的根拠がはつきりしない。従つて資料を出してほしいと要求したわけですが、その資料が先般委員会が終つたあと我々に配られました。併しこの資料はあとほど説明を承わりますが、私が要求した資料とは似ても似つかんものなのです。この資料はただ三十年から三十四年度の五カ年間に子供が幾ら殖えるかということを示しただけであつて、私はこういうものを要求したのではなくて、三十年度か子供が幾ら殖える。幾ら不足か、老朽校舎は幾らあるか、三十一年度になればそれが幾らになるのか、三十二年度、三十三年度、三十四年度、極く最近の五カ年の間に要するに施設の不足というものは戦災もありましよう、老朽もありましよう。そういうものも併せて何坪と組んでいるのか、そういうことをはつきりしなければ五カ年計画というものは立たないのじやないか、そういう資料を出して頂きたいと要望したのですが、そういう資料が出ていないので、どうしてそういう資料か出ていないのか、最後に答弁を求めたいのです。
  129. 内藤誉三郎

    説明員内藤誉三郎君) 災害の被害額につきまして、只今集計して正式に報告しておりますものは約二十四億六千万でございます。そのうち国立が一億八千万、それから公立が二十二億数千万です。残りが文化財関係であります。で、或いは先般お出しした数字と若干違いがあるかと思うのです。査定につきましては、まだ現地査定が済んでおりませんです。只今大蔵省と折衝しております段階では、取りあえずどの程度出すかということで、全体の一兆円の枠に見合つて財源の許す範囲ということで、大体四、六ぐらいには行くんではなかろうかと考えております。  それから第二点の老朽校合につきまして、義務教育以外に高等学校まで改築をするという点につきましては、お話の通り六億六千万の改築に要する経費を要求しております。  それから第三点の屋内体操場のことにつきましては、現在は御承知通り寒冷湿潤地帯でございますが、来年度要求といたしましては、中学校の分につきましては、その他の地域を含めて要求しております。
  130. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 その高等学校の老朽校舎と中学校の屋内体操場というのは、小さいようで又或る意味ではこの問題は大きいと思います。これは大臣の政治力というものを相当期待しなければならないと思いますが、大臣はどういう御所信でおられるか、大臣の御答弁を求めます。  それと、災害の関係で、まだ査定が済んでいないのは、これは文部省に限らない、どの省でもそうですがね、どうしてまだ済まないのですか。一体いつ済むのですか。それから公立学校関係は、つなぎ融資その他で若干廻つているかと思うのでありますが、国立学校に対しては、取りあえずどういう応急復旧の予算措置をなされておられるのか、重ねて伺います。
  131. 大達茂雄

    ○国務大臣(大達茂雄君) 高等学校の老朽校舎、これにつきましては、殊に最近地方財政が逼迫しておる関係もあるかと思いますが、地方要望非常に強いものがあります。私どもとしては、勿論実情から言つても、高等学校の老朽校舎に補助の途が開かれるようにということを希望はしております。実際これはいろいろ理窟がありまして、相当困難だと、こういうふうに私どもは見ておりますが、併し施設の改築の補助でありますから、どうしても金額が相当にかさばることになります。その点から見て、これはよほどふん張らないというと要求を通すことは相当困難だろうと思いますけれども、併しこれはできるだけ努力いたすつもりでおります。  それから屋内体操場の積雪寒冷湿潤地帯以外の地域も、これも最近は屋体というものは非常に要望が強いのでありまして、これも何とか努力して、少しでもその途が開けるようにしたいと思います。
  132. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) 査定の計画でございますが、現にもう査定を了しまして帰つて来たものもございますが、なおまだ査定中のものもございます。大体最終の時期は十一月二十六日に完了する予定でございます。  それからつなぎ融資でございますが、これは一応大蔵省と話合いができまして、通牒を去る十月二十六日に発しまして、申請書を提出するように申し送つております。只今それぞれ申請が参つておりますので、今日一日中のうちに恐らく大蔵省のほうで査定額がきまると思います。
  133. 安部キミ子

    安部キミ子君 これは只今、公立校が主のお話ですが、私は老朽校舎に関連して、私立の学校もこの予算について考えてもらいたいと思います。日本でも私立の有名なような早稲田とか慶応とかいうような一流大学は立派にやつて行かれておりますけれども地方の私立の高等学校というふうなものの校舎が実にもう危険状態になりまして、私の知つている限りは六十件もある。山口では、中学校もまだできていない、いわゆる学校という名の付くときに一番先に私立として生まれたというふうな学校がそのまま今あります。それを見ますと危くてしようがないんです。これが若し事故でも起したら、これが問題になるかも知れないと思いますけれども、そういうことがない限り、日本の今の政治というものは放つてあるんです。そこで私は公立学校予算も大変むずかしい、お話の中に又私立をこういうふうに持ち込むことは大変負担が重くなると思いますか、これらのことも老朽校舎に関連して、何とか私立の高等学校なり中学校、曽つては非常に教育的に多く貢献した人たちのこの学校の歴史を考えてみましても、又今後私立学校の果す将来の教育の責任を考えましても、やはり公立と同時に私立の学校の助成に十分なる考慮を払つて頂きたいと思つておりますが、今私立の扱いをどういうふうにしておいでになるんでしようか。
  134. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) 私立学校の老朽につきましては、これは近く振興会の貸付金を以ちまして、改築するということで、予算昭和三十年分といたしまして十五億要求してございますが、その中に老朽校舎の改築分も含めてございます。若しそれができますれば、老朽分の改築に充当できるということになつております。これは私学から非常な要望がございまして、振興会といたしましても具体的な調査をいたしまして、漸次改築をして行くということでございます。
  135. 安部キミ子

    安部キミ子君 もう一つ、地方行政がこういうふうに財政が逼迫しておりますので、地方のほうでこれを相当負担しなければならない義務もあるわけでございますが、併し今年度で見ましても、地方は放つたらかしにしている状態でございます。そうなりますと、国が相当本気で見てやらないと、これらの学校ももう倒れなければならないというのが実情なつておりますので、この際何とかふん張つて頂きたい、重ねて要望しておきます。
  136. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 資料に対する答弁が残つております。この前要求して、閉会中提出された資料についての答弁を求めます。
  137. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) この前御要求の資料は、人口増加による不足坪数の資料と思いまして提出したのでございますが、只今矢嶋委員からのお話によりますと、更にそれに老朽も不正常も加えるというようなことでございますので、それでございますれば、又改めて作り直して御提出いたしたいと思います。
  138. 矢嶋三義

    ○矢嶋三義君 あなた耳が悪かつたんですよ。私があれだけくどく言つたのでわかるでしよう。三年計画、五年計画というが、計画がわからんじやないかと言つて、私はあのとき失礼ながらやかましく言つたはずです。こんなものなら十分ぐらいでできますよ。それに年次ごとに不足が幾らずつ累加して行くか、それを見極めておいて計画を立てなければならんという立場で私は要求申上げたわけで、今おわかり頂いたようですから、更に近い機会にその資料を一つこしらえて御提出願います。
  139. 近藤直人

    説明員(近藤直人君) 承知いたしました。
  140. 堀末治

    委員長堀末治君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十分散会