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説明員(黒木利克君)
生活保護法の
関係につきましてお答えを申上げます。
先ず第一は、
生活保農法の無
理解と申しますか。或いは実施機関側のいろいろな
理解の足りなさからいろいろ欠陥があるというような御指摘でございましたが、私のほうは
生活保護法の適正な実施をいたしまして、こういうような悲惨な事態が生じないような周到な
措置をとるような通知を出しておりまして、文部省とも協力をいたしまして、文部省のほうからも
教育委員会宛てにこの法の周知
徹底について通知が出してあるような次第でありまして、今後こういう点は私のほうの実施機関の
立場からは勿論、
学校の御当局にも或いは私のほうの民生
委員或いは
役場のかたたちとも是非法の周知
徹底を
お願いいたしまして、特に
保護を受けることが屈辱であるというような考え方を是非ともなくするように今後も啓発
運動を続けて参りたいと思
つております。
次に
保護の
適用の問題でございますが、実は御質問にもありましたように、
教育扶助に二つの種類がございまして、一つは
義務教育に伴
つて必要な教科書代とか、
学校用品、通学用品、こういうようなものの
教育扶助と、もう一つは
学校給食を実施しておる場合に、その
給食費を
扶助する、この二つでございます。ところが後段のほうの
学校給食の
給食費は、
学校給食を実施していない場合にはこれは
適用ができないことになりますから、やはり何よりも先ず
学校給食を実施する。できることならこれは
完全給食といいますか、そういうものを是非とも実施して頂く。そうしますと私のほうはこれは自動的に
給食費が出せると、こういうことになりますから、こういうことを先ず第一に御解決頂きたいというふうに厚生省側としては
お願いをいたしたいのであります。
次にこの
学校給食という場合には、実は家の昼食は
生活扶助費の中でみておる。従
つて学校給食費としては
学校給食として、おやつとか、そういうふうな意味で行われる場合にプラスして昼飯を
生活扶助以外に給付する、こういうような建前に
なつております。そこでそういうような
学校給食を必ず実施するということをやりませんというと、
生活扶助の中で
子供の昼飯はみてある、こういうような建前に
なつておりますから、そういうことを申上げたわけであります。
次に
教育扶助の範囲の拡大或いは枠の拡大、これは準要
保護児童の
対策の問題が、御
要望がございましたが、これとの関連で申上げてみたいと思いますが、これも私
ども絶えずこういうふうな範囲の拡大というようなことを考えておりまして、具体的には
保護基準というのがございまして、厚生大臣が大蔵大臣と相談してきめるのであります。この
保護基準を高くすれば、こういうような準
保護児童といいますか、いわゆるボーダー・ライン階層の人たちが
保護法の対象に
なつて参るわけであります。何よりも先ずやつぱり
保護基準を上げるということが先決になります。ところがこの
保護基準というのは実は働く人たち、日雇労務者の
賃金よりも高くするわけにいかん。日雇労務者のかたの
賃金は普通の
産業、これは各
産業別平均
賃金の大体九割というふうに抑えられております。そこで私のほうはそういうふうな一般の人たちの
賃金、或いは日雇労務者の
賃金以上に
保護基準を上げるわけにいかない。ところが
現実に私
どものほうの
保護基準は一級地、これは都会でございますが、五人世帯で八千二百円余りに
なつております。日雇労務者の
賃金はどのくらいかと申しますと、今東京で平均三百二十四円ぐらいでございますか、これにいろいろ控除されます。保険料とか控除されますから、それと、稼働日数が二十日から二十五日の間のようであります。そうすると、七千円ぐらいにしかならない。そうしますと、私のほうの
保護共準が高いというようなことにもなりまして、この
保護基準を上げることもなかなかむずかしい段階に来ております。そこでやはりどうしても根本的な解決は
学校給食法といいますか、そういうような特別法を作られるのがやはり根本的な解決の方法ではないか。私のほうの
保護法の建前は補完性と申しますか、他の法律がありますと、それが優先いたしまして、そして足りない面を
保護法で穴埋めをするという建前に
なつております。そこでどうしても特別
保護法、特別な
措置で、優先
保護法でおやりになるというのが根本的な解決ではなかろうかというように考えます。
それから次に
適用の問題で、申請して三カ月経
つても
保護ができないというようなことでございましたが、事実をいろいろ調べてみないとわかりませんが、私のほうの法律の建前は、申請いたしまして二週間以内には必ず
保護の要否の決定を相手に通知しなければならん。そうでない場合にはいわゆる不服申立という制度がありまして、これは裁判所に訴えることができるのであります。従
つて恐らくその三カ月というのは
保護の恐らく
適用ができないが、そういうようなことを口頭で申請なさ
つたものですから、口頭で
保護はできそうにないということであいまいに過ぎたケースではないかと思います。これはやはり文書で申請をして必ず二週間以内に
保護の要否の決定を受ける。こういうようなことを私のほうでも指示いたしますが、現地の側におかれましてもそういうことの
徹底を一つ
お願いをいたしたいと思います。
それからもう一つ、この
保護の決定が厳し過ぎる、人情味のある厳格さが必要だということの御
要望でございましたが、私
どもの大臣の御意図もありまして、人情味ある厳格さといいますか、適正実施と申しておりますが、私
どものほうでは法律の枠がありまして、
保護基準というものがはつきりきめてあります。その
保護基準の中には、例えば勤労をする人たちは勤労控除、或いは母子加算といいまして、尋常六年以下の
子供を持
つていて母親だけの家庭の場合には
扶助の加算をする。或いは
先ほども御質問がございましたが、少額の義捐金品、例えば
給食等について義捐金品がなされたという場合には、本来は
収入として見るべきでありますけれ
ども、一月大体三百円程度のものはこれは
収入として見ない、こういうような
措置をとりましたり、いろいろ法律の枠内でこれはガラス張りの中で運営をいたすような指導をいたしておりますから、法律の枠内でできるだけそういう困
つた子供たちの、人たちの有利なような、法律の枠内では相手の
立場に立
つて十分に実施してあげる、実施する、こういうような方針で目下や
つております。従
つてそういうような三百円程度の義捐金品の控除ということも、そういう
学校給食の場合等には一つ現地において十分に御活用を願
つたらというふうに考えております。
なお
福岡の例で、
福岡のどうも
保護法の
適用が厳し過ぎるのじやないかというような御質問がありましたが、確かにこれは占領中に北欧の出身の軍政官がや
つて来まして、貧乏な北欧からや
つて来て、どうも
福岡の
保護法はあま過ぎるというので、いわば締めたわけであります。大体全国平均で千人のうち二十二人というものは
保護されております。ところが
福岡はこの北欧の軍政官がや
つて来まして、たしか八%から七%ぐらいに、千人に対して七人ぐらいに締めてしま
つたわけであります。その結果いろいろ無理があるのじやないかというので
調査したのでありますが、当時はそういう弊害といいますか、そういうものは現われていなか
つた。終戦後最近になりましてこの
保護率がやはり倍ぐらいになりまして、最近は十人について十四人近く
なつております。だからだんだん適正な実施が行われつつあるのではいかというふうには、数字的には考えられるのでございます。
それからなお
予算の問題に絡んで、
予算がないから
保護を厳しくやるのではないかというような疑いがまああ
つたわけでありますが、実は今回の補正
予算で七十億円余りの追加を要求いたしておりまして、ほぼそれに近い額を補正
予算として
保護費の追加を認められそうでありますから、
予算的にこういうふうに厳しく締めるというようなことは、これは有り得ないことであります。特に
教育扶助は全体の生油
保護費の
予算が三百億円程度なのでありますが、そのうちの十五、六億でありますから、而も
保護費として一本に
なつております全体の中から見れぱ僅かでございますが、
教育費の
扶助を特に締めるようなことは予想はされない、又そういうことがあ
つてはならないというふうに考えております。大体以上でございます。
それからもう一つ、
学校長に直接
教育扶助を渡すという問題は、これは県の任意に任してございます