○剱木
亨弘君
文部大臣と今から話合いをいたしましたことで私議論をしようとは思
つておりませんが、二、三の点についてちよつと違うところがございますから、申上げたいと思います。
これは私
どもが小
委員会で作りました案は三百五十億とか七十億とかいう案ではございません。これだけは、はつきりしておきます。この三百五十億とか七十億というのは、このあれは永井さんの提案しました議員立法の案をそのままで全面的に実施する場合にどのくらいかかるかということを
文部当局が計算した
数字でございます。私
どもがこの小
委員会で議決しましたのは、
小学校だけを第一目標にしておるのでございまして、
小学校を
対象としてやる場合は約三百億という
数字であつたように記憶いたしております。而もこれについて
文部大臣は三年か四年か五年といいますけれ
ども、私
どもは長期における計画を立ててやるということで、差当りすぐ二百億が要るというようなことを申上げた覚えは絶対ございません。これはその点は
一つ誤解があるかと思いますので、今の点は申上げておきます。
それからなお、その際に私はいろいろ話をいたしましたことを
報告から、簡単にするために省いたのでございますけれ
ども、今
文部大臣のおつしやいました議論のことも私
ども一応議論したのでございます。若し全部の学童に対して
無償で小麦粉なり、ミルクだけをやると、これは
学校給食費というのは全額
国庫負担ではございません。その一部の小麦粉を
無償でやるということは観念的にもいけない、
教育上もいけないというのであれば、現在国民の一部分の、いわゆる五百何万人足らずの学童に対して、その而も小麦粉を半額
負担で貧富の差なくしてこれをや
つておる
学校給食は
文部大臣の観念からいえば否定さるべきものじやないか。私は若しその貧富とか、そういうことで
教育的な
学校給食が今
考えられるという、これは貧富の問題から来るものは社会保障の観念であ
つて、私は
学校給食のまともな観念から来るものではないと
考えるのでございます。
学校給食が
教育的にいいという
観点に立つならば、その父兄の
負担を軽減して、そうしてその
給食を全面的にすることができるようにするのが国の方策であ
つて、そこまでする必要がないかどうかということが私は
学校給食に対する必要性の感度の問題だと私は思
つておるのであります。ということは二点でございます。
それから第三点は、私はそのときに我々
文部委員会として全員一致を以てこれをや
つたので、その趣旨としては適当であると我々も
考え、皆異論なくこれにしたのであるが、これに対して
文部大臣が自分の立場で反対されるということは、これは当然なことだ、私
どももそう思います。ただ併し、この小麦粉について全額国庫
補助を講ずるということは、これは先に
法律が通つたときに一応を
国会の意思は決定したということは
文部大臣のおつしやる
通りでございますが、同時にその際におきまして、
委員会の満場一致を以て附帯決議をいたし、これは
委員長報告によ
つて、その附帯決議の
報告を含めた
意味において、私はその参議院の本会議において満場一致この
学校給食案というものは通過したのでございます。従いまして、この附帯決議にあるものは、やはり
政府に対して
相当な私は拘束力を持つものだ、少くとも
政府はそれだけのことは努力するだけの義務をも
つて、私見を差挾まず、これをとやかく論ずべき問題じやないと私は
考えます。而も附帯決議の第三項に、小麦粉について全額国庫
補助の措置を講ずることということを、はつきり明文を以て書いております。従いまして、私
どもはこの
国会の附帯決議に賛成し、これに又
国会全体としてきまつたことに対して、ただ今日それは単に、我々も又及ばずながら
教育上の見地ということは、これは皆さん
文部委員会の人が一人も
教育上の見地を
考えないで
学校給食を
考えている人は私はないと思います。それは単に自分の……、これは全額国用
負担をすべき
国会の決議に附帯決議があつたが、今日の状況でそこまでとても及ばないのだ、こういう御
説明ならば我々も納得いたします。その国家財政の都合から、努力したが駄目だつた、これなら私もわかりますけれ
ども、この
国会が決議した全額
国庫負担するということ自体が
国会が間違
つているのだ、そういうことは
教育上の見地からいけないのだという
見解は、私
ども議員の一人として承服できない問題だと私は思います。そういう
意味合いにおきまして、私
どもはこの問題については、
文部大臣と、とにかく
学校給食というものが、私
どもは、これは国家財政の都合で早急にできないということは、重々知
つております。
従つて財政的な立場から申しまする我々の態度は、保留しているはずです。これははつきり申上げておきます。併しながら趣旨においては、私は是非実現させたいが故に、あえて私
どもは、与党の人間でありながら、これは申上げておるわけであります。特に小
委員会におきまして、各省の事務当局を呼んで参りました場合において、農林省も
厚生省も、これは決して、この趣旨に対して反対の意見は申しておりません。而も
文部省におきましては、
学校給食は、全面的に実施するために、今危機に陥
つておる。それはなにか、それは農村において
学校給食ができないということです。我々は今若し全面的に
学校給食を拡大して行くためには、現在の状況で、半額
国庫負担の小麦粉で、ミルクは全額父兄が持つという
状態におきましては、とうてい農村にまで拡大することが望めない、望んでも僅かなものであるという状況に陥
つておるので、これは全面的にやるのにはどうするかということが少なくとも
学校給食の一部小麦を全額
国庫負担し、ミルクを全額
負担をするということがいいんじやないか。これが又
教育上の見地からだけ私
どもは
考えるべきもんじやないと
考えます。これは別とは言いながら同時に
日本の児童なり、国民の健康をどうして行くか、この白米食によ
つて我々が日に蝕まれていく、国民の健康をどうするかという問題と、よほど大きな問題であるその米の問題、いわゆる米食の問題、米の主食をどうするか、この解決に農村において、麦を食
つて行くということが、どんなに
日本食糧の問題に解決になるか。これだけのものは全然別個のものだと言いながら、
学校給食をやるということによ
つて、
政府が解決に近ずいていくとすれば、これは我々は全面的にや
つて然るべきじやないかという、固い信念をも
つて、二百億という金が現実の問題として、私
どもはこれが若し財政に盛られないと申しますけれ
ども、年々再々米の増産についてその当時の
説明を聞きますと、二千数百億、これがいわゆる食糧増産に支払われる、米の輸入について数百億の金が出されて行く、これを小麦に替えることによ
つてどのくらい国費の節約になるか、それらのものは農林省に向
つて、私
ども一つ計算をして欲しいということで私
どもは
要望しております。そういう
意味合いにおいて、単なるこれは現実の問題として
学校給食を
考えておるのではございません。将来の
日本人の体位の向上を
根本的にこれは
考えておるのでございまして、これはそういう
意味合いにおきまして、もつと
文部大臣におかれましても、誠意をも
つて、今までの
考えは、或る一定の私は角度があろうかと思います。併しこのことについては、
文部大臣も
一つ、お
考え直しを頂いて、なんとか、
文部大臣の御意思を変え得るとは思いませんが、併し本当にこの問題は真剣に取組むべき問題だという
観点に立
つて、
一ついろいろここで御論議をお願いしたいと思います。その点だけ……。