運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-08-25 第19回国会 参議院 文部委員会 閉会後第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月二十五日(水曜日)    午前十時三十七分開会   ―――――――――――――   委員異動 八月七日委員竹下豐次君及び松原一彦辞任につき、その補欠高瀬荘太郎君 及び有馬英二君を議長において指名し た。 八月十二日委員田中啓一辞任につ き、その補欠として平井太郎君を議長 において指名した。 八月十六日委員平井太郎辞任につ き、その補欠として田中啓一君を議長 において指名した。 八月十七日委員高瀬荘太郎辞任につ き、その補欠として竹下豐次君議長 において指名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    理事            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            荒木正三郎君            相馬 助治君    委員            郡  祐一君            田中 啓一君            谷口弥三郎君            中川 幸平君            吉田 萬次君            竹下 豐次君            安部キミ子君            高田なほ子君            長谷部ひろ君            須藤 五郎君   説明員    文部政務次官  赤城 宗徳君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (義務教育学校教員給与に関する中  央教育審議会答申に関する件)  (教職員定期昇給及び昇格に関す  る件)   ―――――――――――――
  2. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 只今から文部委員会開会いたします。  本日は委員長がやむを得ない事情で出席できませんので委員長の御指名によつて私が委員長の代理を勤めます、御了承願います。  先ほどの理事会におきましてこの三日間の委員会日程を一応決定しましたから御報告いたします。本日は先般中教審中央教育審議会教員給与に関しまする答申がございましたので、それを文部当局から説明を聴取いたします。それからそれが済みましたら、なお学校教職員の昇給昇格問題につきまして、この前から問題になつておりまずので、その後の状況の説明文部当局から聴取いたします。本日の日程はこれでございます。  それから明二十六日は学校給食法案に関しまする小委員長の報告を聴取しまして右に対します質疑、それからそれが済みましたならば、学校給食に関して文部大臣を加えまして質疑応答並びに懇談をいたしたいと存じます。二十七日は大阪市立大学の接収解除問題につきまして調達庁外務大臣文部大臣等を加えまして質疑、その後の経過並びにその後の措置につきまして懇談いたしたいと存じます。なおその中で時間がございましたならば、本日文部当局から説明を聴取します中教審答申に関しまして若し質疑があれば質疑応答を、二十七日に行う、以上大体の日程でございます。それではちよつと速記をやめて頂きます。    〔速記中止
  3. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記を始めて、暫く休憩いたします。    午前十時四十二分休憩    ―――――・―――――     午前十一時七分開会
  4. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) それでは休憩前に引続きまし文部委員会を、再開いたします。  先ず義務教育学校職員給与に関する中央教育審議会答申案につきまして、文部当局からの説明を聴取したいと思います。本日は調査局長都合がございまして、初中局長にその答申につきまして説明をお願いいたします。
  5. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 二十三日の中央教育審議会におきまして、義務教育学校職員給与に関しまする答申が行われました。お手許にお配りしてあると思いますが、この内容につきまして、その席上、これは主査に当たられました東京都の教育委員であります八木澤委員説明されましたところを、私ここでお取次ぎを申上げるということで、その内容について申上げたいと思います。  先ず前段現状についての説明が掲げられております。御覧の通り現在心立学校義務教育教員給与については国立学校教育給与基準として定めるということになつておる関係からして、現状においては、地方公共団体の、特に府県でありますが、府県財政の不均衡からいたしまして、非常にアンバランスが起つておる、又そのほか遅払い昇給等の困難も生じておるということを、前段現状説明として掲げられております。そして二段目にこれに対する対策が一、二、三項目に亘つて掲げられておるわけでございます。それで、この現状説明のところの部分に対しまする補足説明といたしましては、こういうことを八木澤委員が言われました。財政の裕かな都道府県は幾らでも高い給与が出せる、その逆に裕かでないところでは非常に低い給与しか支給されないということは、これは非常に好ましくない。併し現状では、いわゆる富裕府県におきましては一般平均に対して高い給与が支給されている半面に、貧弱府県では昇給困難な事情さえ生じておる。又二、三の県では遂に俸給の遅払いをさえ現出しておる、かような現状分析の結果、この中教審におきましては、総与に関しまする特別委員会におきまして、教員給与制度それ自体の再検討の必要と共に、進んではその基盤をたしておる地方財政整備を図らなければならんということを痛感するに至つたという補足説明がございました。その対策でございますが、第一には、給与制度を折本的に再検討して職員としての職務特殊性に適応した給与制度を樹立するということを第一に掲げられております。これにつきましては、教員というのは一般職員職務とは異なつ特殊性があるから、これを検討して、これに即応するような給与制度を考えてみる必要がある、少なくとも次のようなことが必要であろう、検討そ要があろうということで、少し細かく言われました点は、概略でございますけれども、第一に現行義務教育学校教育給与負担制度について、例えば、国、都道府県、市町村間の負担区分、或いは国庫負担最高限度に関する政令等について検討を要する問題があると考える。それから又義務教育学校教員勤務実態に即応する給与の種目、特に宿日直手当単級複式手当辺地手当退職手当等の諸手当整備充実を図る必要があると思う。或いは又もう一点といたしましては、現在の国立学校教員給与種類と額を基準とするしと、こういう規定教育公務員特例法ではなつておりますが、この規定は漠然とし過ぎておるから、内容的に基準となり得ないものとなり得るものと、これを検討して整理する必要があるというようなことを補足的に説明がございました。それから対策の第二、答申案の第二でありますが、地方財政の困難が教員給与費に不当な影響を与えることのないよう地方財政自体を速かに整備充実して教員給与制度の正常な運営を図るというのが対策の第二であります。これに対しましては、別に細かい御説明はございません。この趣旨のことを別の言葉で少し敷衍して御説明なさつておるわけであります。第三も同様でございまして、給与間額と関連して教員定数を含む学校基準を策定して教員水準維持向上を図る、これもこれだけで明白でございまして、特別に御説明の要はないと思います。大体以上のような趣旨でこの答申答申されたものと了解いたしております。
  6. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 以上の説明で、御質疑がございましたら……。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この答申に関連して二、三質問をいたします。  第一は、この答申文部大臣中教審諮問をした結果出されたものかどうかということです。
  8. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 中教審に対しまして特に義務教育学校職員給与についての諮問はいたしておりません。ただ、中教審といたしては、教育のあらゆる分野につきまして検討されております。順次これを検討されることだろうと思いますが、現在義務教育学校の問題につきまして検討されておりまして、順次問題を取上げて、それについて極討されて、その結果を答申という形で具申をされておるわけであります。そういう経緯でこれは答申されておるわけであります。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 新聞の報道では、何か諮問されたように報道されておりましたから、お尋ねしたわけなんですが……、まあそういう具体的な諮問したことに対する答申ではないと、こういう御説明でありましたが、そこでこの答申に対する文部省の取扱いですね、これは文部省で近くこの答申について検討をされるようなお考えを持つておられるのか、その点を伺つておきたいと思います。
  10. 緒方信一

    説明員緒方信一君) この御意見が出たのでございますが、文部省といたしましては、これにつきまして答申検討をいたさなければならんと考えております。ただまあ具体的には、まだ答申が出たばかりでございますので、如何ような方向でどういう方法でやるかはまだ決定いたして、おりませんけれども、当然検討いたさなければならんと存じております。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 まだ答申が出たばかりでございまして、今御説明があつたように、文部省としても検討した上でないと意見が出ないということはわかります。ただ私がこの際伺つておきたいことは、文部省のほうでも、従来から継続して教職員給与実態調査をしておられる。それは我々のほうにもその調査の結果については数字を頂いておるわけなんですが、私ども教員給与実態調査の結果を見ましても、相当今の給与実態については検討を要する問題がかなりあるように思うのです。この答申の中にも二点について指摘されておりますが、相当研究余地があると私ども思つております。この答申とは別個に従来文部省給与実態調査をせられた、その結果についていろいろ御検討をなさつておると思いますから、そういう点について文部省のほうとしては現状についてどういう所見を持つておられるか、聞いておきたいと思うのです。
  12. 緒方信一

    説明員緒方信一君) これはお話通り教育職員給与につきましては常に検討はいたしておるわけでございますけれども、ただ特に現在地方財政の異常なる逼迫の現況からいたしまして、なかなかこれ如何ような方向に改善して行くかということにつきましては非常に困難なのでありまして、まだ私どもといたしましても、はつきり考え方を申上げるような段階に至つておりません。ただ、この答申にもございますように、国立学校教員給与種類と額を基準として公立学校教員給与を定める、これは各地方の条例で定めることになりますから、その場合非常なアンバランス、特に最近のような或る府県におきまして非常な財政困難が起りますると、遅配或いは賃金ストップ等も起りますので、これらの点につきましては非常にこれは困難な問題でございますが、根本的には現行制度をとります限りにおきましては地方財政整備再建ということが先決になつて来ると思いますけれどもが、なおこれらの事態につきましてこの基準とするという点をどういうふうに考えておるかということにつきましては、いろいろと検討を要するであろう、かように考えておる次第でございます。まあいろいろ調査をいたしたり、検討はいたしておりますけれども、ここでまだ申上げる段階に至つておりませんので、この点は御察し願いたいと思います。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この答申の中にもありましたが、各府県において給与水準のデコボコが非常にひどいと言いますか、相当均衡を失つておる実情に来ているのではないか、これはここに指摘されておる問題ですが、これも非常に重大な問題だと思います。それから教員給与にとつては、地域給の問題もこれは前から相当やかましい問題になつております。特に地域給の問題については、教職員人事異動の上に非常に大きな障害を来しているというふうな点も指摘されておるわけです。それから僻地給、これについても僻地指定国家公務員というものがどうしても基本になつて指定がなされておる。そういう点から教員にとつては必ずしも合理的でないというふうな問題もありますし、地域給の額についても非常に不合理な点があるというふうな問題もあります。それから小さなところでは、小さなところというわけではないでしようが、教員超過勤務の問題ですね。これも従来から非常に問題になつていたところであります。それから日宿直手当というような問題、これは他の地方公務員とも権衡がとれていないという実情にあります。そういうふうにいろいろ私は教員給与の問題については問題があると思う。又先般国会通りました給与の三本建の問題にいたしましても、これは政府の提案でなかつたか、国会で成立したのですが、これにも問題があるということで、私はやはり教員給与については全般的に検討を要すべき問題があると思う。これは勿倫地方財政能力とも関連した問題ですけれども、必ずしも全部が関連しているというわけではない。そういう意味においてこれは地方財政の面と関連をして解決しなければなりませんが、関連しなくても解決を要する問題がある、そういう点で教員給与全般について検討を要する、検討を加える、こういう時期に来ているのではないかと私は思うのですが、勿論どれを取上げてみても、非常に他との関係がある問題ですから、容易な問題であるとは思いませんが、併し現状のままで放置するということは非常に教育面においていろいろ好ましくない影響を与えておるというふうに私は考えている。そういう点について私は文部省見解を聞いておきたいと思います。大まかでよろしいですから。
  14. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 只今お述べになりました中で、例えば地減給とか或いは僻地手当地域給のごときにつきましてはこれは何も教職員だけの問題じやなかろうと思います。全般的にこれは今検討されておる段階だろうと思いますが、特に最近内閣に公務制度調査会でございますか、そういうものができて、公務員制度自体につきまして相当根本的な検討がなされておるわけですが、これらの検討の際に教職員の問題につきましても、その特殊性に基きましてその検討が進みました場合には、私のほう、文部省といたしましてもそれに参画をいたしまして意見等を述べるように考えておる次第でございます。これは当局のほうにも中人れをしておるわけでございます。かように公務員全体の問題として検討さるべき問題も多分にあると思います。只今お話になりましたうち地域給等の問題につきましては、これは教職員の問題としましても非常に重大な問題でございます。御承知のように昨日の義務教育職員給与負担金予算の中で若干その基準を高めまして予算要求いたしまして、三割ほど高めた金額予算に計上されておるのでございますが、これらにつきましては私ども今後とも予算要求等につきまして、更にできますならば増額を図つて行くというふうに努めたいと存じます。ただ根本的に申しますと、現在公立学校先生給与府県負担という建前をとつておりますから、どうしても根本的には地方財政の問題と結び付いて参ると考えますが、実績半額国庫負担をして行く、こういう建前でございます。これが若し更に国庫で全額を負担をするというふうになりますと、これは又別な御点から国の財政でそれを賄なつて行くことになりましようけれども、現在では給与費負担する主体都道府県なつておりますから、都道府県財政が健全になつて行きませんと、どうしても快本的には現在の建前をとります限りにおきましては非常に困難な問題だし考えております。併しただ半額にいたしましても、国庫負担しまする、予算につきましては、只今申しましたよりに僻地手当等につきましては国の予算としても増額を図つてつて地方がそれを十分に支弁いたしました場合にその半額十分国庫負担をして行けるという態勢をとる、かように考えております。ほかにいろいろございますけれども、十分検討いたしたいと思います。この答申案先ほど説明を申上げました中にも、いろいろとその給与種類によりましても検討すべきであるという説明があつたのでございます。私どもも一々各種類に応じまして検討をしたいと存じております。
  15. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この中教審答申内容である義務教育学校教員給与については検討をする必要がある、こういうことなんですが、これは私は文部省においても検討を要すべき段階にあると思つて、これは十分検討してもらいたいと思うのです。  それからこれに関連して教員定員の問題ですね。これについても地方財政の窮迫しているところでは、定員が非常に縮減されつつあるのですね、こういう問題はこれは地方財政が窮迫しているからやむを得ないということで放置することは私は許されないと思うのですが、これについての何か対策を御研究なつておられたら御説明を願いたいと思います。
  16. 緒方信一

    説明員緒方信一君) この教員定数の問題も只今申上げましたと同様でありますが、現行制度におきましては飽くまで給与負担都道府県がいたします。都道府県の定めました定数について、国庫実績の半分を負担して行く、かような建前なつていることは御承知通りであります。そこで二十九年度の予算にいたしましても、私どもは二十八年度の実績の上に三十九年度におきまする児童生徒の増に対する教員増の推定をいたしまして、それによりまして、一万人ほどの増員基準といたしまして今予算を組んだ次第であります。ただ現在の実情で、今お話通り都通府県財政都合からかと存じますけれども、二万に達しておりません、たしか一万三千くらいだと考えておる次第であります。ただ併しこれは建前を全然変えて行けば別でございますが、現在の都道府県主体なつ負担をして、その実績の三分の一を国庫負担して行くという現行制度におきましては、やはり府県財政府県定数が確保されるということが基礎なつて行くと考えます。ただ併し国といたしましても、これは先ほど申しましたと同様でございますけれども定数につきましても十分実情に即するような定数基礎として予算を組みませんと、今度は逆に国庫予算がないために地方増員もできないということに相成つてはいけませんので、これは来年度の予算要求に際しましてもその点は十分に考慮いたしまして、来年も相当数児童生徒が殖えるようでありまするが、それに見合いまする増員教員数を十分算定いたしまして、それに基いて予算を組むようにいたしたい、かように考えて今その作業をやつております。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ついでにお尋ねいたしますが、十一億の不足額ですね、これはすでに支払うことを決定しましたかどうか。この前の文部委員会から質問している問題ですが……。
  18. 緒方信一

    説明員緒方信一君) これは今まだ大蔵省との折衝が完結いたしておりません。要するに問題は文部省大蔵省とそれぞれの系統によりまして、二十八年度の決算につきましての実績を十分検討したのでございまして、両方でおのおのその数字を持つておるわけであります。それを十分突き合せまして、十分了解を得た点でこれを確定することになるわけです。どういう点が問題かと申しますと、例えば教育委員会事務局勤務いたしまする教員給与をどうみるかという問題、それから或いは退職金等にも若干問題がございますが、三十七年度の過年度の退職金をどうみるかといつたような問題がまだ十分に調整されておりません。つまり義務教育費国庫負担法対象範囲に属するかどうかという問題、それにつきまして只今逐次大蔵省と話を進めておりまして、今月中には少くとも両者の見解を十分一致させまして金額を確定いたしたい、かように考えております。支払いの段階がその後いつになりますか、これはちよつとまだ見通しがつきませんが、少くとも金額を確定いたしまして地方にこれを示すことが必要であろう。このことが地方に対しまして義務教育費国庫負担制度に対しまする信頼を認識させる、確認させることであろうと考えまして、これは成るべく速かに少くとも今月一ぱいに確定いたしたい、かように考えております。
  19. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 教育委員会事務局等に勤めている教職員ですね、これが半額国庫負担対象になるのかどうかということで意見相違がある、こういうことですが、これは意見相違があるということは私にはよくわからないのですが、たしか教育公務員特例法の中に、現職教員教育委員会事務に従事することができるという規定があると思います。そういう点からいつて疑問の余地はないように思うのですが、ただ私は多数の現職教員教育委員会事務局に働くということについては意見を持つております。かようなことを法律で一応認めていますから、現行法においてはそれは決して間違つておらないと思います。併しこういう方法をとることが今の教育の、そうでなくても定員難で、定員が少くて困つている数行の現状から見て問題があると思う。併しそれはそれとして、教育公務員特例法にはそういう規定があるのですから、これが半額負担対象になるということは明白であると思いますが、これはどういうことになりますか。
  20. 緒方信一

    説明員緒方信一君) お話のように教育公務員特例法に今おつしやつたような規定がございます。ただそれが義務教育に従事しているかどうかという点についての見解、例えば教育委員会で算盤をはじいているという先生が、仮にそういう人があつたといたします。それは義務教育に従事しているという点が問題であると思います。そうじやなくて、明らかに教育指導の仕事に従事しているというものと両方ある。それらの点につきましてまだ若干調整する必要がある、その点のことを申上げたのであります。
  21. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) ほかに……。
  22. 高田なほ子

    高田なほ子君 ちよつと関連して御質問いたしますが、三十八年度の国庫負担金赤字が大体今十一億というようなお話だつたのですが、そうですか。
  23. 緒方信一

    説明員緒方信一君) これは十一億と確定したわけではございません。今御説明いたしましたけれども大蔵省金額につきまして、これは今月中に少くとも金額を確定いたしたいということは、その検討を急いでおるということを今申上げたのであります。
  24. 高田なほ子

    高田なほ子君 義務教育費国庫負担法によると、教員給与実額半額負担するということになつているわけですが、実際問題としては貧困府県に対してのみ教員給与実額半額が支給せられて、その他の府県、つまり基準財政需要額が果の収入額の半ばに達する府県に対しては、国家公務員給与半額を支給していることになつているわけですね。そうしますると実際問題としては教員給与実額の二分の一を国が負担しているということにはならないので、国家公務員給与半額だけが富裕府県には支給されていることになりますから、それだけ赤字が殖えて来ると思うわけですが、その概算した十一億の内容富裕府県とみなされる、つまり政令百六号を適用した計算方法でもつて計算された赤字なつておりますかどうですか、お伺いいたします。
  25. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 只今の御質問でございますが、いわゆる義務教育費国庫負担法第二条でありましたか、特別な事情の場合には、原則的には今お話支出額の、二分の一ですけれども、特別の場合にはそうじやないという規定が但書にあります。それに基きまして政令ができておりまして、いわゆる富裕府県、これは基準財政収入額基準財政需要額を超える、これは従来の平衡交付金、今度の交付税でございますが、それをもらわない、それから更に前の規定でございますけれども収入額平衡交付金の額を超える、いずれにしましても比較的財政力の裕かな府県につきましては、これは国庫負担最高限をきめることができ、こういうことです。でありますから、その単価とそれから定員政令できめてある。それ以上単価定員とをかけ合せたものでございますが、それを限度として、それ以上につきましては国庫が責任を持たないという廼前をとつております。その範囲内において、その限度までの二分の一を国庫負担する、こういう建前なつております。そこで今お話の二十八年度の赤字というものの中には、富裕府県分が入つているかどうかということですが、これは今申しましたように、定額がきまつて参りますので、その二分の一というのは、はつきり金額がきまつております。併しながら二十八年度の予算の支払いの調節をいたしまして、各府県に調節して払いましたから、その意味で富裕府県につきましても、若干払い戻しが含まつておる、かようなことでございます。
  26. 高田なほ子

    高田なほ子君 各都道府県では、非常に教員の数の少いことが問題になつて来たわけですが、これは只今の御答弁で私も了承しているわけですが、そのことをやはり打開するためには、東京とか大阪のような特殊な富裕府県は別としても、鹿児島のような貧困府県と大差ないようなところでも、政令百六号によると、基準財政需要額ちよつとでも余計に収入額が超えたところでは、政令百六号が適用されるわけですから、これに対しては教職員給与の二分の一が国庫から負担されないところに、教員定数減という問題が起つていると私は考える。でありますから、政令百六号の中を拡げるか、若しくは撤回することなしには、この教員給与並びに定員の問題は私は解決できないのじやないかと思うのですが、政令百六号に対して、文部省は今後撤回する意図を持つているのかどうか、それを尋ねてみたいと思います。
  27. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 政令百六号の問題につきましては、いろいろ意見がございます。各府県のほうでもいろいろ意見があるようでございますけれども文部省といたしましては現在のところ、これを全面的に変えて行く気持はございません。ただ併し今度特別に地方税の改正等がございましたし、若干これは技術的にも改正する必要がございますから、その意味では今検討いたしております。併し負担最高限度を全部撤回して行くという考えは、現在のところありません。
  28. 高田なほ子

    高田なほ子君 政令百六号について撤回する意図がないということになりますと、例えば鹿児島県が貧困府県で、教員給与実額の二分の一が国から支給されている。これはいいです。ところが今県の名前を挙げることはちよつと困難でありますが、鹿児島県とほぼ財政規模は同じだけれども政令百六号によつて財政需要額が収入額の半ばよりもちよつと下つているというほんの僅かの差の場合に、教員給与国家公務員給与半額きり支給されないということになると、これは当然結果として、教員の数を減らして行かなければならない、高給者を対象としてこれを首切つて行かなければならない、或いは昇給を、四月、七月といつたような昇給時期に、この昇給をストツブして行かなければならないという事情が起つて来るのは、私は必然だと思う。こういうような、言葉で言えば学童給食でも、要保護児童と準要保護児童すれすれの限界にあるところつておるので、教員給与或いは定員の問題も、県財政が貧困か然らざるかというすれすれの限界にあるところが、非常な差がついておる。つまり教員実額の一分の一を出してもらつておる県と、非常な僅かの違いではあるけれども政令百六号に該当して、国家公務員給与半額きり支給されないということになると、実際には教員定数というものに大きなひびを及ぼして来ると思うので、この辺の調節について、どういうような体臭的な方策をとつて行かれようとするのか、これは現実問題として捨ててはおけない問題だと思う、昇給昇格の問題に絡んで……。これについて文部省としては多分適当な手をお打ちになろうと考えておられると思いますが、それをお尋ねしみたい。
  29. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 只今お話のいわゆる富裕府県であるけれども、併し大して裕かでないという問題についてのお話でございますけれども、これはまあ財政力裕かでありますので、比較的裕かであるということで、どつかで線を引いて、そういう県については国が責任を持つ最高限をきめてか行こうこういう考え方であります。具体的にこの線が、限度としてきめられた線が適当であるかどうかという点はもとよりでありますけれども、その考え方としては、そういう考え方に基いております。その点を変えて行くということは、この際考えておりません。こういうように考えております。ただいわゆる富裕府県、或いは財政力の僅かに裕かな県でありましても、その政令できのました定額定員でありますが、それの相乗積がこの金額なつて現われて来ます。それをはみ出なければ、勿論国家で負担しないわけであります。はみ出た部分については、これは国家が責任を持つ、こういう建前であります。実情といたしましては、現にございますが、収入額が需要額を超える県でありましても、併し国庫が一ぱい一ぱいについて三分の一の負担をするという県がございます。ただ今お話のような県があるのですが、実情といたしましては私はないのじやないかと思います。観念的にはあり得ますけれども只今お話のような県は、現在のところは存在しないように考えております。
  30. 高田なほ子

    高田なほ子君 観念的にはあり得るかも知れないけれども実在しないとおつしやいますけれども、それならば北海道、青森、宮城、茨城、栃木、群馬、もうそれぞれの県が、四月の昇給或いは七月の昇給をストップしておるということは、財政事情が困難であるからストップしておるのであつて、或いは又教員の数を減らして、現実に減らしていますよ、今あなたも御存じのように、各府県に行つてごらんなさいませ。子供が殖えているのに先主がさつぱり殖えていないから、六年まで二部授業をしておる。そういう実情を、私はこの間北信へ行つて見て来ました。そういう実情に立つてみて、而もそれが貧困府県でないから、教員給与実額の半分を国家に負担してもらえないから、仕方なく教員の数を減らしているということは、観念的じやないですか。
  31. 緒方信一

    説明員緒方信君) 私が観念的と申しましたのは、今おつしやつた該当の県は、これは理論上はあると思いますが、併し実際上には今日ないのじやないかということを申上げました。今市上げました青森とか北海道とか、これは全部実績の二分の一を負担しております。これはいわゆる富裕府県に当つておりません。そのことを申上げます。
  32. 高田なほ子

    高田なほ子君 そういうすれすれ、或いは昇給も昇格もできないということは、明らかに教員給与というものの不足額がしわ寄せされて、昇給の場合には八割昇給とか八割五分昇給とかいうことがあるということを文部当局も認めておられる、こういうような場合に、教員給与実額の二分の一を負担し得ないところの、政令百六号に該当する中で極めて困難だと思われる府県に対しては、予算定員の増加ということについて何らかの具体的な手をお打ちになるつもりですか。政令百六号が撤回できないとすれば予算定員を私はむしろ殖やして行かなければ、今日の現状を維持することすら困難だと思うが、予算定員については何らかの考慮がされるのかどうかという問題如何ですか。
  33. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 国庫負担金予算を組みまして大蔵省要求するわけでありますが、その場合に政令県と政令県でない県と両方分けて組んでおるわけです。政令県につきましては、給与の額につきましては、これは国立学校教員給与の額を基準としてそれをそつくりそのままとつております。それから定員につきましては、これは政令のあの規定にきめてあります通り相当何と申しますか、理論的に考えまして定員をきめておるわけでございます。この定員につきましては、私あのきめ方で大体十分じやないかと考えております。  ただ、今おつしやいましたように、これは飽くまで地方が、都道府県給与負担主体でありまして、その二分の一を国庫が追駈けてこれを負担して行く、こういうことであります。併しその場合に、今お話もございましたようにその二分の一の実績負担し得ないような予算の組み方ではこれは困りますので、その点は十分に生徒増に伴う教員増等につきましても考えまして、予算要求をしたいということを先ほど申上げたのであります。ただ政令県につきましては、定員というものが政令できまつておる、定員の算出方法がきまつておりまして、それによつて組むわけであります。その定員の算出方法につきましては今のところ私どもとしては、あれでいいんじやないか、かように考えております。こういうわけでございます。
  34. 高田なほ子

    高田なほ子君 その政令百六号に該当する県は何々県ですか。ちよつと参考のため挙げてもらいたいと思います。
  35. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 六大府県でございます。東京、大阪、京都、それから愛知、兵庫、福岡でございます。
  36. 高田なほ子

    高田なほ子君 それだけですか。
  37. 緒方信一

    説明員緒方信一君) はあ。
  38. 高田なほ子

    高田なほ子君 それだけで政令百六号に該当する。あとの県は全部半額実績負担ですか。そうですか。
  39. 緒方信一

    説明員緒方信一君) その通りでございます。
  40. 高田なほ子

    高田なほ子君 それでは、そうすると今月末に大蔵省と折衝をされて、十一億の赤字というものを中心として政令百六号に該当する県であつて非常に定員が不足であるという面については文部省としては再考慮する余裕があるという御答弁ですが、そう確認してよろしうございますか。
  41. 緒方信一

    説明員緒方信一君) その点はちよつと私申上げ誤りがあつたかと思います。そうじやございません。政令県につきましては、これは国庫負担すべき額というものはさまつておる、定額も定数もこれはきまつております。これは確定して動かない数字であります。ただ先ほどの話は、不足額の払い残しがありはしないかという御質問のように私受取つたものですから、それは若干ありますということを申上げたのでありまして、これは初めから不足額幾らということはきまつておりますから、大蔵省との話合いによつてそれが動くということはございません。
  42. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも私は納得ができないのですが、石川県でしたか、ちよつと県の名前は入れないでもらいたいのですが、先生の数が足りない。子供が殖えた。学校の校舎は建たない。しようがないから六年まで二部授業をしておると、こういうわけですが、なぜ教員がそんなに足りないのにこれで十分だ、十分だと文部省が言うのか、なぜそういうところに誤算が出て来るのか。私はあなたの御答弁を聞くと、まるで私のほうがインチキでも言つてえらくアジつてでもいるように印象付けられることを私は悲しむのですが、各県に行くとやはり先生が足りなくて二部授業をしなければならないというこれは声が大きいわけです。各議員さんがたも多分そういう実情を御承知なつていらつしやると思うのですが、なぜそんなふうになるのか、その点について、どうしてそういうことがあり得るのかということをあなたに私はお尋ねして、自分が錯誤であつたら確めてみたいのです。どうしてなんですか。
  43. 緒方信一

    説明員緒方信一君) その点は、例えば定数の点について申上げますと、先ほどもお答えいたしましたが、二十九年度の国庫負担金予算につきましても二十八年度の教員の実数に対しまして更に二十九年度に殖えまする約百万の児童生徒に応じる教員増分としまして二万人を加えまして、それに基きまして予算を組んでおるのが二十九年度の予算であります。ただ飽くまで先ほどから申しますように教員給与負担主体は、責任者は都道府県であります。従いまして、都道府県が先ず定員をきめましてそれだけの予算を使いました場合に、金を使いました場合に、その決算に対しまして二分の一を国庫負担をして行く、こういうのがこの建前でございます。でございますから、最近のように地方財政が非常に苦しくなりますというと、その面からどうしても制約を受ける、定員の増加につきましても或いは昇給につきましても制約を受ける、こういうことがどうしても現在の制度をとります限りにおきましては、やむを得ないんじやないかということを申上げたのであります。ただ国庫の、国の予算としましては定員につきまして申しますと二万人の予算はとつてあるわけです。二万人の限度におきましては、これは二十九年度におきましては赤字を出すことなく県が二分の一の負担をして行ける、こういうようなことになる。そのことを申上げたのであります。
  44. 高田なほ子

    高田なほ子君 そうすると二万人の予算定員をとることによつて六年或いは四年、そういつたような、これの二部授業を完璧に解消し得るという自信を持つていらつしやるわけですか。
  45. 緒方信一

    説明員緒方信一君) これは繰返して申上げますように、実績の三分の一を国が負担をするのでございますから、二十八年度の教員数ということを、先ず実績を、これは動かさない実数として抑えまして、それに対しまして、児童が殖えますので、それに対して学級が実際にどれだけ殖えるであろうか、それからそれに対しまして先生が何人殖えたらよかろうかということを算定をいたしまして、これは予算でございますから算定であります。こちらで、まあ或る部分推定額があることはやむ得ませんが、そういうことをきめましてその数を出して予算をきめる、こういうことであります。で、まあ私どもお話のように、三十八年度の規模の上に三十九年度に増加する児童教育につきまして二万人の教員があつたらよかろうということで組んでおるわけであります。そういうことになるわけです。
  46. 高田なほ子

    高田なほ子君 どうも確信を得ない御答弁だし納得もできませんが、時間を費やすことを恐れて、文部当局としては今確信のある御答弁はできないでしよう、すべてにおいて矛盾している教育財政でありますから、それは私もお察し申上げます。御苦労のほどをお察し申上げますが、どうぞして予算定員を、直ちにそれが現場に配置される適正なる教員配置であるというような錯覚を起させないように、どうぞしてますます殖えて行く二部授業を解消すべく、文部当局としては地方財政の三百億の不足額を如何にして打開するかという問題についても、一つ強力なる御発言と、それから御検討を頂きますよう、特に新赤城政務次官もお見えになりました席でありますから、私からこの点については特にお願い申上げます。
  47. 緒方信一

    説明員緒方信一君) ちよつと今の点について申上げますが、これは飽くまで、甚だ繰返すようでありますけれども、飽くまで実績の二分の一でございますから、負担をして行くという建前でございますから、府県がその二部授業解消のために、仮に現在相当あるとしまして、解消のために人を殖やす、或いは経費を注ぎ込んで行きますならば、それに対しまして二分の一の国家が負担をするわけであります。ただ予算としては二十八年度の実績と二十九年度に増加すべき教員数を見込んで、それでもつて予算を組んでおる。それで私どもは一応大丈夫だと考えております。併し若しそれを上廻つて府県が更に金を使つて行く、先生を殖やして行くことになれば、その二分の一は更に又これは後年度におきまして補正予算等でこれは負担をして行く。これはもうその原則には変りはない。ただ予算としましては私どもは二万人ということで組んで、これで大丈夫だと考えておる、このことを申上げたのであります。
  48. 相馬助治

    ○相馬助治君 さつき荒木委員質問に答えて局長からは文部省答申を求めたものでは別にないと、こういうふうなお話ですけれども、私ども承知しているところでは、文部大臣の最高諮問機関である中央教育審議会が去年の九月から第二特別委員会というものを設けて、特に教員給与問題を審議して教員給与制度の再検討をするという使命を与えられて種々検討中であると、こういうふうに聞かせられていたわけです。従つてどもはこの答申には大まかにいつて二つのものを期待しておりました。それは現在のその半額国庫負担法というものが誠にあいまいな法律で、今の高田委員質問にも明らかに現われているように、高田委員の言つていることもその通りなんだ。緒方局長の言つていることもその通りだ。あなたが詭弁を弄しているのでも何でもない。ところが現実には地方財政の実値よつていろいろなことがなされていて、教員が足らなかつたり、或いは又無下に女教員の首切りが行われたり、文部省の与かり知らないところでいろいろな給与の矛盾から来る現実が起きて今日に至つているわけです。従つてこの答申書の中には抜本的に教員給与の基本的なるものについて私は答申が行われると、こう期待しておりました。ところがこの答申書を見て、誠に抽象的であり、こういう答申書をもらつた文部省自身もこれは御迷惑をなさるんではないかと思うような答申書で、審議会の答申書に立法府の我々がとやかく言うべき筋ではないけれども、甚だどうもこの答申に期待していた者にしてみると裏切られたと、こう率直に言わざるを得ないわけです。  そこで私は局長に一点お尋ねしておきたいことはこの答申というものについては全く中央教育審議会が独自の立場から答申したと思うのだが、さように了解してよろしいか。即ち何らかの政治的な圧力があつたのかどうか。そんなもう理想的なことを言つても仕方がないのだ、この辺でやめておいてくれとかいうようなことを言つたのかどうか。  それから第二は、地教委それから三本建の問題、これを根本的に考えなくては教員給与の再検討はあり得ない。ところがこれほどの答申書の中に給与三本建がいいとも悪いとも書いてない。いいならいいでいいのです。いいならいい、又悪いならこれは悪い、又いいとか悪いとかいう最後的断定は下せないけれども将来給与法のこの三本建については基本的にはこうなくちやならないというような示唆された面が当然出て来るべきであるにもかかわらず、さようなるものが出ていない。私は実はこの委員なつている或る人にこのことについて尋ねたのです。ところがその人はこういうことを申したのです。つい先だつて立法府である国会において十分審議の上給与二本建法なるものを作つたのだから、今これについてあれこれ言うというのも如何かというので、今度の答申ではそれについて具体的なことに触れなかつたと、かようなことを言うておるわけです。従いまして文章に現われたこの答申書には三本建のことや地教委には言及していないけれども、この答申書に附加して委員意見乃至は小委員長答申が口頭によつてでも結構であるから、これらの問題について触れていたかどうか、全然こういうものには触れていなかつたのか、このことを先ず基本的な問題としてこの辺の事情を明確にして欲しいと思います。お尋ねいたします。
  49. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 今のお尋ねの中の私の答え得る点につきましてお答え申上げます。  諮問をしたかしないかという点、お尋ねがあつたかどうかちよつと聞きそこないましたが……。
  50. 相馬助治

    ○相馬助治君 諮問があつたかということについては荒木委員から質問した。
  51. 緒方信一

    説明員緒方信一君) これは先程申上げました通りで、具体的に義務教育学校教員給与についての諮問は出しておりません。  それからあとの審議の過程で何かあつたんじやないか。これは私関知いたしません。何か圧力があつたんじやないか、何か話があつたんじやないか……。
  52. 相馬助治

    ○相馬助治君 私圧力があつたという前提に立つてつておるのでなくて……。
  53. 緒方信一

    説明員緒方信一君) それは私わかりません。これは審議会のほうにお尋ね願います。勿論そういうことはあるべきものじやないと考えております。  それから最後の点は、給与三本建の問題について何か触れられたかどうかということ、口頭ででも触れたかどうかということでありますが、その点につきましては先ほども最初に御説明を申上げました八木澤委員から、これは主査に当られましたが、口頭でその問題につきまして、これはたしか質問があつてお答えになつたものだと思いますが、それを言われましたことを要約して申上げます。その答申案対策の一で述べているように教員給与制度の再検討を行う、これは職務特殊性をはつきり掴むことが前提である、これが明らかになれば教員としての特殊な給与方法も定められてある、この検討の過程において必要があれば三本建の問題も触れることになるであろう、他の問題と切り離してひとり三本建だけを採上げてその是非を論ずることはいけないという結論、教員給与制度全体の問題の検討の中に含まれるものであるという考えに落着いたんだと、こういう趣旨の御説明がありました。そういう説明でいわゆる三本建の問題にも触れられたということでございます。
  54. 相馬助治

    ○相馬助治君 この答申書の第一点にそのことが抽象的には盛られておるようです。教員給与制度を根本的に再検討するためには教員職務特殊性に適応した云々と書いてある。この職務特殊性というのは私は二つの概念を含んでいると思う。それは他の職務を持つ、公務員としてはひとしいけれども、教職でない職務を持つ公務員との関連における特殊性というのが一つだと思うのです。それから今度は教職の中において学校種別による、幼稚園の先生と高等学校先生とではこれは又それぞれの特殊性がある、或いは僻地における先生と大都市における先生とではこれ又地域的にそれぞれの特殊性がある、かように教職の内部における特殊性というのと二つあると、かように考えているわけです。そこで今の局長の説明でわかつたのですが、三本建の問題はそうすると教職の実態を調べてその三本建の根拠が職務特殊性から割出されて来ればこのまま実施するもよし或いは廃止するもよし、考えるべきであつて、ただ単に三本建がいいか悪いかと、かようなることは考えるべきではないのだ、かようなることを八木澤委員が言つておるんですか。
  55. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 丁度そのときに私は審議会に出ておりませんが、今御説明いたしましたような趣旨のことを言われたという記録になつておりますので、それを今申上げたわけでありまして、その詳しいことにつきましては私も十分存じておりません。ここで申上げることは、誤解を惹起してはいけませんので、差控えさして頂きます。
  56. 相馬助治

    ○相馬助治君 非常に慎重な答弁ですから、そのことは私はよく了解いたしますが、ただ今後この中央教育審議会において問題のある三本建は十分に考えて、いずれ答申するというのか、それともこれだけの答申をしたら、あとは文部省においてよく考えて、文部省自身が結論を出せとするのか、その辺は必ずしも明確でないので、いずれこれは目を改めてその見解をお尋ねし、同町に私は必要があれば中央教育審議会の第三特別委員会の主査八木澤善次君をこの場所にお呼びして意見を聴取しなければならないと、かように感じております。今そのここへ出て来ることを要求することは保留しておきまするけれども、そういう必要ができるのではないかということを私自身考えているということだけ申上げておきたいと思う。  それから次に局長にお尋ねしたいのは、非常に大きなことをここで言つておるわけです、この答申書では。具体策として職階制を考慮し、それから給与国庫負担についてその一部を市町村に持たせてよいのではないかと、こういう意味のことを言うておる。これは八月二十三日の夕刊の読売です。あなたからもらつた資料には書いてないのです。この1を敷衍して説明して、さようなることを言うておるやに聞いておりますが、この新聞の報道が間違いであるかどうか。間違いでないとすれば、教員職務特殊性研究した結果、職階制が必要だとか市町村に教員給の一部を負担させていいとか、いわば全く教員職務特殊性を理解せざる具体案が出て来たことは私は甚だ異とするものであつて、これは如何ようなことになつておるのか、一つ説明して頂きたいと思います。
  57. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 先ほど申上げましたように私も正確に説明の……これは御覧のように答申案の中には、そういうことは一つも出ておりません。職階制或いは市町村が負担をするということは一つも出ておりませんので、その説明の中にあつたかどうか、私も先ほどから申上げますように、正確にその説明を把握しておりませんので、正確なことを申上げることは差控えます。ただこういうことであろうと考えております。教員給与特殊性検討して職階制を作れ、作らなきやならんということじやないんじやないかと考えております。むしろその逆の意味じやないか。職階制ということはこれは教員に当てはめにくいわけですから、そのことも言われたのじやないか。これは果して説明にあつたかどうか。私ここでちよつと説明申上かねます。そのことが第一点と、それから市町村に負担さすべし、こういう結輪は、恐らくそういう結論的なことは由されなかつたと思います。ただ教員給与負担について根本的に検討するというのでありますから、現在のように国庫半額負担制度にするか、そのほかいろいろその負担方法がありましようから、そのことを国或いは都道府県或いは市町村で負担するかどうか、そういう抽象的な意味で説明の中にふつたのではないかと、かように考えます。
  58. 相馬助治

    ○相馬助治君 私たちが局長をお呼びしたのは、答申に至るまでの経緯その他についてはあなたは委員じやないのだから、しつこいことを聞く気はなかつたけれども答申された結果については明確に内容を把握し、これに対しては、文部省自身としてコンクリートされた見解はないまでにも、初等中等局とし或いは局長としての一応の見解はあるものと期待してここにお呼びしてものを尋ねているわけなのであります。私が今質問しておりますことは、八月二十三日の夕刊を見ました場合に私自身首をかしげたのですが、朝日、毎日、それらの新聞には載つていないけれども、読売には明らかに次のように説明が付いておる。実にこれは重要な問題を含んでおる。それは今朝もらつた書類の1の「教員給与制度を根本的に再検討し、教員としての職務特殊性に適応した給与制度を樹立すること。」「具体策としては職階制を考慮し、また給与国庫負担が国、府県で五、五の比率となつているがその一部を市町村に持たせてよいのではないか。さらに最高限を定めた政令を再検討すること。養護、へき地、宿直、日直、退職手当など給与の種目を勤務内容に応じて考慮すること。」局長今このことは述べておる。「公立校の給与教育公務員特例法により国立学校基準とすることになつているがばくぜんとしているため府県によりアンバランスなつている。この不合理を是正すること」これも局長述べられておる。そこで私はこの読売新聞がヨタを書いたと思えない。どこからかこういう資料が出て来てこれを書いたと思つておる。従つて文部当局が知つているかということを私は尋ねたわけでして、余りよく知らん。余りよく知らん人にものを聞いてみてもこれは意味がない。併し問題が極めて重要なことがここに書いてあるから私は先ほどから言葉を重ねて聞いておる。一つ赤城次官もおいでになりますが、これらの点についてはこれは新聞誤報でございましようか、それとも今何とも答えられないというならよく相談をしてその上でお答え願えましようか、如何ですか。
  59. 赤城宗徳

    説明員(赤城宗徳君) 私も結論を出す席におつて八木澤小委員長からの話を聞いておりました。教員給与については職階制というものを作ることが非常に困難だ、それが教員給与特殊性だ、こういう話はあつたのであります。職階制を設けるということは、私は聞いておらないのであります。それから負担部分を町村にも持つてもらおうかということも私がいる間には聞いておりませんから、それは何かちよつと誤伝でもあつたのじやないかと、こういうふうに考えております。今おつしやる通り、朝日、毎日等にはそれが載つておらなかつたのでありますが、特に読売にだけ職階制を設けるというふうに強く出ておりまして、これは逆のように私は感じております。
  60. 相馬助治

    ○相馬助治君 御承知のように、赤城次官が読んでいられたようですが、「教員給与に職階制を」というのがタイトルなんです。見出しなのです。四段見出しなのです。それで全国の心ある教員は眼をばちばちしておるわけです。どういうことになるだろうかと。併し今次官の説明を聞いてわかりました。「具体策としては職階制を考慮し、」考慮するという中には廃止するというものもあるのですから、そういうことはわかりましたが、この新聞の報道はそうなつておりませんので、聞いたので、一つこの問題は次官もう一度念を入れて確かめられて、今の答弁は食違いないと思いますが、ある場合には又本委員会に次官の見解を披瀝して頂いてその上で答弁を要求します。
  61. 赤城宗徳

    説明員(赤城宗徳君) 承知しました。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それに関連してちよつと要求しておきます。この中教審の小委員長の報告は、私は速記録にとどめられておると思います。そういう建前なつております。で、我々も参考にしたいと思います。相馬君も指摘しましたように、この審申は非常に具体性を欠いております。それでこれだけ見ては何が何だかわからないのです。そこで小委員長の総会における報告、この速記録を私ども参考にしたいと思いますから、明後日までに一つ委員には出してもらいたいと思います。別にそれを論議するという意味ではありません。参考として研究したいと思います。委員長、それをちよつと諮つて下さい。
  63. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) ちよつと速記をやめて下さい。    〔速記中止
  64. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記を始めて下さい。  只今荒木君の要求がありましたのは、正式に中教審にかかりました小委員長説明書を本委員会に提出させることにいたしました。御了承願います。
  65. 相馬助治

    ○相馬助治君 先ほどからの質問で明らかであるように、非常に大切な点に至ると局長の答弁も正鵠を得ていないで、現実の問題としては詳しく承知していないというようなことで甚だ遺憾です。  それから今の次官のお話で、新聞が一部誤報であるかも知れないということですから、この新聞を材料とした質問は私も一時保留します。ただ私は事の重大性に鑑みて八木澤善次君をこの委員会に呼んで意見を聴取したいと思つたのですが、それは今荒木委員から資料提出の要求があつて委員長からの答えを私も了解いたしましたから、そのことは次の機会で開くとして、この八本澤君の意見をもう一度確かめて報告して下さるということですから、それに関連して初中局長に二点はつきり一つ念を押して尋ねて置きたいと思いますことは、先ほど申しましたように、教員給与に関してはどうしても地教委とそれから現在高等学校等において問題になつておる三本建の問題についての基本的な見解を、もう少し具体的にして欲しいということが一点。  それから第二点は、教員の仕事の特殊性並びに地域における特殊性というようなことを考えて、地域給を初めとする各種手当についてはどのようにして行くべきであるか、ということが具体的検討にされて結論が出ていたら、是非それをお聞きしたい、こういうことです。  それから八木澤君にはつきり確かめて、こららに報告してもらいたいことはそのことですが、次官にこの際に要求しておきますが、こういう答申が行われたのですから、いつ頃までにこの答申に対して文部省は態度を決定するか、改めて態度を決定するということはないとするのか。要するに文部省の立場をこの際明確にしておいて欲しいと思うのです。私の質問は以上です。
  66. 赤城宗徳

    説明員(赤城宗徳君) 給与種目等についての整備充実を図るという答申でありまして、具体的にはどういう方向に持つて行くというまでには答申がありませんでした。ただ地域給の問題ですが、地域給だけは先ほど局長がお話ありましたように公務員全体の問題でもありますし、地方公務員にも勿論関係深いので、これはこの席で申上げるのもどうかと思いますが、衆参両院の人事委員会におきましても検討を加えておりまして、将来はこれをなくして行きたい、なくして行くとしても現在の既得権を損わないような方向で考えて行きたい、こういうことで人事院とも協議中でございます。  それからこの答申につきまして文部省としていつまでにこの答申に副うたような案を整理して行くか、こういうお尋ねでありましたが、今までも答申案につきましては答申の線に沿うて文部省としても政策を立て実行に移すというようなことになつております。併しその時期の問題につきましては、今何日頃までということには御答弁申上げる段階におりませんけれども、成るべく早くまとめて行きたい、こういう気持ちであります。
  67. 加賀山之雄

    ○加賀山之雄君 赤城政務次官にちよつとお聞きします。  御就任早々でまだ根本的に考えもおまとまりになつておらないかも知れませんが、この答申で非常に微温的であり、あいまいだと言われるのは、根本的には地方財政整備充実だということでみんな逃げているわけなんです。ところが私の考えている地方財政整備充実するということは急にはなかなか困難なんです。これはしなければならんのでしようが、貧乏な府県が急に常総になるというわけでもないし、又教育問題になりますと、富裕県と言われておる、例えば京都のような所でも非常に困つておる。而も府県財政の中でも非常に大きな部分を教育が占めているのですね。ですから教育費は叩かれているということじやなくて、かなり府県は非常に大きな負担をしておる。それにもかかわらずそれでも足りない、今のように人は減らさなければならん、定員は足りない義務教育は行わなければならん。折角優秀な教員であつて給与が高くなつているからこれをやめさせなければならん。これは教育水準の向上にならない。そういうような非常に矛盾したことが起る。これはいろいろな理論もあましようが、私が考えた場合に、根本的にやはり義務教育というものは国がすつかり持つのだ、いわゆる義務教育を国が負担して、もう国の財政の中で賄うんだというぐらいのあれができないと、如何にこんな答申文部省が取組まれてもなかなか名案ができないと思う。名案ができて特殊性に適応した教育制度が立つたとする、又或いは教員定数を含む学校法準が策定されたとしても、これは空文になつて実際は実施されまいと思う。そういう点について政務次官は一体どういうお考えを持つていられるか、お伺いしたいと思います。
  68. 赤城宗徳

    説明員(赤城宗徳君) 今のお話のように義務教育の無償の原則があるのですから、そういう方向へは持つて行きたいと考えておりますけれども、いろいろ財政上の睨み合せもあると思いまして、今直ちに抜本的にこれを改めて行くということにはちよつとむずかしいと思います。併しそういう方向には持つて行きたいと考えております。
  69. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) ちよつとお諮りいたします。中教審答申につきましては、先ほどの理事会で二十七日に多少の時間を置いて、若し必要があればなお質疑応答したらどうかという申合せをしたのですが、一応中教審答申に対する説明なり質疑応答はこの程度にいたしまして、本日の日程にいたしました次の問題に移りたいと思いますが如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕   ―――――――――――――
  70. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) それではこの前の文部委員会で問題になりました教職員の昇給昇格問題につきまして、その後の府県の状況につきまして緒方局長から説明を聴取いたします。
  71. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 前回刷物で御報告を申上げましたが、その後の実情につきまして私のほうでわかつている点につきまして申上げますと、四月の定期昇給を実施いたしました県が三十一県になつております。それからまだ準備中でありまして実施の手続はまだ終つておらん、併しこれは近く実施するというところまで行きましたのが九県でございます。それから全然まだ見通しがついていないというところが六県でございます。前回の御報告からいたしますと、実施済みがこの前二十八県ということになつておりましたから、三県ほどその後実施をした。それから全然見通しがつかんという県が十県前回の御報告にありましたのが、大県減つて、四県は実施したか或いは手続を今準備中だというところまで参つております。それから七月の昇給につきましては、これも的確にまだ集まつておりませんけれども、すでに実施をいたしましたというのが二県殖えております。前回大県でございましたが八県になつております。ただ、四月の昇給をやつてしまつたところ、それから準備中というところは、相次いで七月につきましても順次実現されるだろうという状況にあるようでございまして、大体以上のような状況になつております。
  72. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 実施の見通しがつかない県の名前を言つて下さい。
  73. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 青森、岩手、秋田、山形、福島それから島根、六県でございます。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは大部分東北大県のうちの五県なんですが、何か特別に東北六県に事情があるのかどうか。申合せでもしておるのか。
  75. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 各府県実情はまだ詳しくは把握できておりませんけれども、別に東北だけがやらんという恰好じやないだろうと思います。やはり県の財政都合からしてこういうことになつておるようでございますので、まだ昇給財源が見つからん、まあ大体財源の都合で遅れておるということのようでございます。
  76. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この定期昇給の問題は私は重要な問題であると思いますので、単に報告を求めて十分実情がわかる場合はそれでいしと構うのですか、そうでない場合はやはり実地に出張してでも正確な調査を私はしてもらいたいと思う。これは僕は嫌味を言うわけじやないのですけれども、ほかの問題ですと、まあ非常に詳細にいろいろお調べになるんですよ。又不必要なことまで文部省はいろいろおつしやることもあるのです、例は挙げませんが。併しこういう大事な問題は余り積極的じやないんですね。ですからこれは私調査をすると共に、文部省教育委員会と協力して、こういう定期昇給などは、特に年度初めの四月、大事な昇給は協力して実施できるように、よりより協力してもらいたいという気持さえ持つているわけです。だからこいつは一つ、よそ事のように考えてはおられないでしようが、一つ親身になつてやつてもらいたいと思うのです。
  77. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 私どもは決して放つておるわけではございませんので、例えば給与関係のブロック会議等を各地で開きますと、それに必ず出かけて行つていろいろ相談しております。これは実情でございます。それでいろいろ相談もいたしますし、こちらもよりく相談いたします。ただこれは何と申しましても県の財政の問題でございまして、これは今申上げましたような県におきましても、単に教員の昇給だけが遅れておるわけではございません。そのほかの一般の県庁の職員につきましても同じような状況になつております。結局解決策といたしましては、実際問題といたしましては府県財政の問題に帰着いたしますので非常にむずかしい問題でございます。併し決して私ども無関心で放つておるというようなことはございません。今も申しましたように、会議等を各地で行いまして、いろいろと相談に乗るし、実情につきましてもいろいろ打合せをいたしたい、こういう実情でございますので、御了承を願います。
  78. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の六県の報告を聞いて、私たちが恐れていたことがいよいよ事実となつて現われているということを感ずるわけです。というのは、これらの青森、岩手、秋田、山形、福島、島根などというのは、全国でも有名な教員の給料の低い所です。低い所の県が、父この四月に定期昇給を実施していなかつたというところに非常に大きな意味があるし、将来の慮れがあるわけです。従いまして荒木委員からも念を押されましたが、是非文部当局におかれてはこれを調査すると同時に、適切なる指導、監督をされて、全国の教員給与アンバランスがいよいよ深まることのないように格段なる御努力を願いたいと思います。
  79. 高田なほ子

    高田なほ子君 委員長関連して……私は文部省の御答弁で腑に落ちませんが、七月中に実施するものが漸くだんだん実施できるようになつて、何県同県と今挙げられたわけですが、定期昇給というのは法律が定めた昇給期間であつて、四月に上げるべきものを七月に上げ、四月に上げるものを七月にも上げないで今になつて昇給になつたということになると、それは明らかに法律で以て擁護されている権利と言うと固くなりますが、権利を国が或いは地方がといつてもいい、とにかくそうして非常な損害を与えたことになる、そういうような損害の総額というものは、文部省のほうで法律に照らした損害の総額というものは、これは当然御計算になつて、然るべき参方法で以てこの損害の穴埋めをするという建前でなければ、私は法治国家の文部行政機関としての責任が果せないと思う。法律に規定された昇給期間を、国の財政規模の問題或いは地方財政規模の問題で先のほうに延ばすということは、その法律に定められた権利を侵害することになりますが、これに対する法的な措置というものも当然私は文部当局としては考慮されていい問題じやないかと思いますが、その点如何ですか。
  80. 緒方信一

    説明員緒方信一君) この地方公務員の昇給につきましては、それぞれの団体の条例できめることになつておりまして、条例で昇給期間もきめたいと考えております。大体今問題になつております昇給の遅れております所の中では、昇給期間を条例で延ばしたという所もあり、併し大体の府県はまあ遅れておりますけれども、その昇給は効力は遡及して四月から効力を発生して、その差額は遡つて支払うということになつておるのが通常のように考えております。そうなりますと、遅れた間もいろいろな損害があるかも知れませんが、全額的に遡及して払いますというと、その損害は、一応補填をされるということになると思います。
  81. 高田なほ子

    高田なほ子君 四月から遡及して払うというような所もあるでしようし、そうでない所も出て来ておると思うのです。そうでない所もあると思いますけれども、例えば八割昇給とか八割五分昇給ということをよく聞くので、あなたの御答弁のように、四月から遡及して払うことが建前であつて、その措置が当然国としても考慮されなければならない、こういうことであれば、まあ私は了承するのでありますけれども、ややともすると、教員給与は条例に基くものである、成るほどその通りかも知れない、その通りかも知れないのですが、条例を矛にとつて教員給与が条例、条例ということで適当にごまかされて行くというようなことになつては、これは大変なことになるので、果してこの四月から明確に遡及する措置を国としても手を延ばして行くということについて、積極的な意図をお持ちになつておるのか、お持ちになつていないのか、それをお伺いをしておきたい。
  82. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 勿論国といたしましては実質的の半額負担いたします。四月から遡及して支払う昇給分についても半額は当然負担することになります。
  83. 高田なほ子

    高田なほ子君 こういう問題は今始まつたことじやない、かなり前から我我は問題にしておるわけでありますが、文部省としては、あれですか、各都道府県に対しては四月から遡及してできるだけ払えるようにという、昇給のこの問題に対す何かアドバィスをしておられますか。
  84. 緒方信一

    説明員緒方信一君) これは先ほどから繰返しますように、ただ教員給与だけの問題ではございませんので、職員全般の問題でございます。従いまして現実に文部省だけで施策を講ずると申しましても、要はやはり現実のこれは金の問題でございますので、それで第一こういう状況が今年起りましたことは、まあいろいろ原因がございましようけれども、一つはいろいろと検討されておりまする通りに、地方団体の資金の行詰り、年度当初における資金の行詰りということが一つの大きな原因でございます。従いましてこれは自治庁等で、国全体の施策としてでございますが、或いはいろいろな融資を地方にするということで漸次その問題を解決するような努力をしておると思います。ただ文部省といたしましては、いろいろ相談に乗つたり、アドバイスをしたりいたしますけれども、この現実の解決はどうしてもその団体に対しまする現実に資金を与えるということでございますので、これは文部省の力ではできませんので、それらの点につきましては各関係方面と連絡をしてやつて行くということをいたしておるのであります。
  85. 高田なほ子

    高田なほ子君 教員だけの問題ではないとおつしやいましたが、全くその通りだと思うのですが、私たちは文部委員であり、あなたは文部省側の初等中等教育局長で、教員に対する一つの大きなサービスの省だと常々申上げるのでありますから、教員だけの問題でないと、そう木で鼻を括つたようなことではこれはお話にならないと思うのです。自治庁からは先般各地方公共団体に宛てて教員給与の問題についても若干の参考資料としてストップするような意味を含めた資料が流れているように実は聞いておるわけなんです。これに対して文部省が国全体の問題だからといつて手を拱ねておられたのか、そういう自治庁の参考資料が流れたことに対して、文部省としてはどういう手を打たれたのか、その辺も私は参考のために承わつておきたい。
  86. 緒方信一

    説明員緒方信一君) この自治庁の通牒なるものでございますか、これはこの前からこの委員会におきましても自治庁の次長がお答えしております通りに、決して教員給与についてのみこれを削減するといつたようなことは出ていないわけでございまして、ただ財政の立直しのために、まあ財政の緊縮を図つて行くというふうなことは、自治庁から指導助言をいたしておるようでございます。教員給与だけにつきましてこれを削減をして行くといつたようなことは全然出ていないようであります。
  87. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  88. 剱木亨弘

    理事剱木亨弘君) 速記を始めて。  それでは本日は委員会をこれにて散会いたします。    午後零時五十三分散会