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1954-08-05 第19回国会 参議院 文部委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月五日(木曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            荒木正三郎君            相馬 助治君    委員            田中 啓一君            谷口弥三郎君            中川 幸平君            吉田 萬次君            竹下 豐次君            安部キミ子君            松原 一彦君            長谷部ひろ君   国務大臣    文 部 大 臣 大達 茂雄君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工樂 英司君   説明員    人事院総裁   淺井  清君    文部政務次官  赤城 宗徳君    文部大臣官房会    計課長     内藤譽三郎君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君    文部省大学学術    局教職員養成課    長       前田 充明君    文部省初等中等   教育局地方課長  齋藤  正君   —————————————   本日の会議に付した事件教育、文化及び学術に関する調査の  件  (文部次官通達に関する件)  (教育職員免許法に関する件)  (旭丘中学校問題に関する件)  (大阪市立大学接収校舎に関する  件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それではこれから文部委員会開会いたします。先ず第一に御了解を願いたいと思いますことは、先般とりきめました二十三日から二十七日までの間の委員会開催予定でございますが、その後文部大臣の御出席の都合があつたので二十三日から二十七日までの開会予定を二十五日から二十七日までの三日間の間に開会をいたしたい、こういうことで委員会でとりまとめましたから、どりぞさように御了承願いたいと存じます。  それでは今日はいろいろな細かい問題を先に片付けたいとのことでございますが……、それでは義務教育学校における教育政治的中立の確保に関する臨時措置法ほか一件に関する次官通達に関する件を採上げたいと思います。人事院から淺井総裁が見えておりますから、どうぞ御質疑を願います。
  3. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先日官公労発行いたしておりまする機関誌の中に掲載されておる吉田疑獄内閣を倒すというスローガンが、これが端なくも問題になつておる。文部大臣は、これは国家公務員法を準用する今度の法律適用されるものである。今度の法律違反しておるものである、こういう見解を表明されたわけであります。我々としてはこれについて非常な疑問を持つておるわけなんですが、その疑問を持つておる一、二の点についてこれをお尋ねをしたいと思います。今日はなおほか旨いろいろ質問したいことがありまして、この問題のために今日長時間をとるということは私のほうとしてもちよつとできがたい点かありまするので極く簡単にお尋ねしておきたいと思います。  その一つは、あの機関誌に掲載されていたスローガン、これは議案として配布されたものである、それからごの議案はまあ特定の、その会議出席する人のために用意されたものであるというふうな点から考えて、あれは私は政治的な目的を持つた政治的行為であるというふうに判断しがたい。かように実は考えておるわけなんであります。その点について人事院総裁所見を伺つておきたいと思います。  もう一つは、あそこに地方公務員である佐久間君の署名入り発行されておるわけであるが、併し佐久間君はあれが高等学校教員であるという影響力は全然ないと思います。そういう意味において全官公事務局長としてあれが署名されておる。従つて今度の法律関係のある地方公務員教員としての実際的な影響力は全然ないと、こういうふうに判断しておるのであります。そういう点から考えて、今度の国家公務員法適用するというあの教育公務員特例法改正法に私は直接抵触しないというふうに考えておるのですが、そういう今質問をした二点につい御答弁を願いたいと思います。
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと皆さんお諮りいたしますが、今丁度新たに政務次官に就任なさいました赤城君が見えておりますので、皆さんに御挨拶をしたいそうでございますから、総裁り御答弁の先に御挨拶を頂きたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 堀末治

    委員長堀末治君) どうぞ。
  6. 赤城宗徳

    説明員赤城宗徳君) 委員長のお許しを得まして一言御挨拶を述べさして頂きます、  私赤城宗徳でございます。このたび文部政務次官に就任いたしました。何分不慣れな者でございますが、練達堪能な皆様方の御指導を賜りますようお願いいたします、(拍手)
  7. 淺井清

    説明員淺井清君) 荒木さんにお答えをいたしますが、あの人事院規則法理としては非常に私は明白であろうこ思つております、即ち只今中されました文書があの人事院規則における政治的目的を有する文書であるかどうかこいうとは非常に明確であると思つております。それは政治的目的特定内閣打倒する云々は、明らかにあり規則で定めておる政治的目的であろと思つております。そうしてあの規則には政治的目的を有するという場合ご政治的目的を以てという場合とを明らかに書きわけでございまして、政治的目的を有すると申しまする場合は、有するか有しないかはその文書それ自体客観的判断においてきまることであつてれ当事者判断は入れない。政治的目的を以てと言うならば、その有無は当事者意思を更にはかのほうから研究すると、こういうふうに書きわけてございますので、あの文書政治的目的を持つている文書であるというとは、私は断定できないだろうと考えております。  ただ問題は、これまでああいう事件がなかつたかと申しますると、程度の差こそあれ非常に多いのでございます。官公労新聞或いは旧官労新聞その他組合新聞等におきましては、ああいう事件が非常に多いのでございますが、それはいろいろニユアンスがございまして、ある規則がかかるかかがらないかということは非常にむずかしい問題だろうと考えております。人事院といたしましては、これまで特にああいうことに対して問題にしたことはございません。ただ一度判定として判決をいたしたことかございます。これはのちほど申上げるのでございますが、さて法理としては簡単でございまりるけれども、具体的な只今御提示になりました案件というものは、これは相当むずかしい点だろうと思つております。そこで二つの点をお出しになりましたが、あれは議案であつて、そうしてそれを単に報道したに過ぎないというお考えがあつたのでございますが、併しながらあの文書を見ますと、別に囲んだ欄がございまして、そこにスローガンとして明らかな一つの主張として掲げられておるように我々は見るのでございます。これは判断の問題でございますから。それから普通の新聞があれを掲載いたしますれば、勿論単なる報道でございましようけれども官公労新聞と申しまするものは官公労機関紙でございまするからして、そこに公務員法、延いては人事院規則違反する疑いはあろうかと思つております。曾つて判延における例といたしましては広告を転載いたしました場合でもやはり違反だと判定した例がただ一つございます。それから事務局長影響力云々、つまり資格の問題でございますが、この点に関しましてはやはりその身分国家公務員であるとか、或いは地方公務員であるとかいうことは責任の所在になろうかと考えております。
  8. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いわゆる影響力ですね。佐久間君の身分については確かに人事院規則適用される身分を持つておるわけです、併しあの機関紙事務局長として出しているのであつて、その影響力というのは地方公務員教員としての影響力は全然私はないと思うのですが、全然影響力がないという佐久間君に対して、この人事院規則適用するということは疑義があるのではないかと思うのですが、そういう点を明らかにして頂きたい。
  9. 淺井清

    説明員淺井清君) あの人事院規則についてはいろいろ批判の余地がございまして、あの規則がいいか悪いか、それは別問題でございます。ただ現存する人事院規則を前提としてお話するより仕方がないのでございまするが、やはり私ども見解といたしましては国家公務員、又地方公務員である場合には影響力云々と仰せられましたが、その身分自体として、やはり責任は免れないように考えております。でございますから、只今荒木さんの仰せられました反対の場合をお考え下さればわかるのでございまするが、地方公務員でも国家公務員でもない人、地方公務員と申しますのは教員の場合でございます。そうでない人が発行人である場合には、これは発行人としてあの規則適用することはできないのでございます。その反対考えれば、それが国家公務員であるとか地方公務員であるとか教員というような場合にはやはり責任は免れないように考えております。
  10. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それからもう一つは、先ほど総裁の話の中にありましたが、従来やはり国家公務員関係が組織している組合においてああいう種類の行為といいますか、そういうものは相当私はあつたように思います。これについては私は人事院として、あの人事院規則適用するということについてはいろいろ疑義もあり、慎重にしなければならんという態度から、今日まで問題になつた点は殆どなかつたのではないかと思うのです。今度の場合、あの問題が文部省によつて、取上げられ、そうして新聞に大きく報道された、これは私は若干政治的な意図があるのではないかというふうに考えておるわけなんです。そこで人事院の従来からとつておられる態度、それから今回文部省が或いは文部大臣がとつておられる態度というものとの間にはかなりの懸隔があるのじやないかというふうに感じておるわけなんです。そういう点、人事院総裁としてはどういう所見を持つておられるか。
  11. 淺井清

    説明員淺井清君) 卒直に申上げますけれども、今回は図らずも新聞等において大きく取上げられましたから、この席上におきましても御論議の対象ともなつておりますが、最前も申しましたように従来ああいうことが絶無であつたかと申しますれば、決してそうではないのです。恐らく私の知つておる事例を見ましても数十件に上るのじやないか。程度の差はいろいろございます。又あれ以上とも考えられる場合もございましよう。あれ以下と考えられる場合もございましよう。数十件ございます。これに対しましては、あの人事院といたしましてその甚しきもの一、二の例について注意を与えたことがあつたかと思います。これは記憶が正確でございませんから間違つておれば取消しますが、それ以外別に人事院といたしまして積極的にこれを取締るということはしなかつたのであります。それは人事院態度がルーズに過ぎたと仰せられればそのお叱りは甘んじて受けるのでございまするが、何分にも言論の自由に関することでもございまするし、人事院としては成るべくよくよくの場合でなければこれに対して何かの措置はとらないと、まあこういう考えでございます。こういう考えがいいか悪いかは御批判に任せるよりほかはないのでございまするが、ただ一件ございますのま、判廷としてどうしても判定を下さなければならないというケースがたしか昭和二十五年頃に一件あつたように思つております。この場合には或る広告を転載した事例でございますが、これに対しましては人事院はあの規則違反判定しておるのでございまするが、それ以外に人事院としては別に行政措置等をとつたり、或いはとるべく勧告をするというようなことはやつていないように考えております。  そこで私はここで蛇足ではございますか申上げたいことは、今回図らずも教育法律が成立をいたしまして、地方公務員たる教員にあの人事院規則適用されると申します場合には、余程よく趣旨を先ず徹底させて過ちのないことを期するのが私は適当でないかと考えております。そういたしませんと相当広範囲に禁止規定が亘つておりますために思わず違反を犯す。国家公務員のほうは適用いたしましてから相当の年月も経つておりまするけれども地方公務員たる教員のほうは新らしいことでありますから、この辺には相当の用意が必要ではないかと卒直に考えております。
  12. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題は関係組合といいますか、そういう方面でも可なり専門的に研究されておる。私の聞いておるところでは組合大会等スローガンとして、例えば吉田内閣打倒、こういうスローガンを掲げる。併しそれ自体によつて今度の人事院規則には抵触しないのだ、こういう法律専門家解釈かあるのです。併しこれを例えば教員組合なら教員組合が、教員組合機関紙に報道した場合、そこに初めて問題となるというふうな見解を表明されておるわけです。そういうことで今度の問題にしても可なり検討をさせておつたど私は思うのであります。特に国家公務員に対しては刑事罰の裁判、ところが教職員に対してはその適用はないわけです。ところが文部大臣はですね、非常に重大なる関心をもつて教育委員会処置を注視しておる、こういうふうに言つておられる。それは文部大臣に関することについてお尋ねするということはどうかと思いますが、こういうスローガンを掲げるということ自体でもあの人事院規則に抵触するとお考えになつておられますか。
  13. 淺井清

    説明員淺井清君) それはあの規則の中に言つております吉田内閣打倒ということが、あの規則政治的目的、あるということはこれは明確であろうと思う、即ち特定内閣反対することでございます、併しそれが同時にあの規則に掲げてある行為一つとして現われなければ、これは国家公務員の場合でありますが、これは違反にはならない、こういう建前になつておるのであります。
  14. 相馬助治

    相馬助治君 今総裁説明を聞いて大体了解したのですが、念のためお尋ねしておきたい点が二点ほどあります、国家公務員法が生れて、これには政治運動に対する造反は刑事罰で以て処分されるということになり、そののちに生れた地方公務員法によりますと国家公務員に対する刑事罰という精神地方公務員も律しようとする動きがあつたが、国会においてはこれを行政罰に委ねた、いわば国家公務員法規定をゆるめて、地方公務員法ができた、こういうような立法の歴史的過程を十分参酌されて、従来人事院がこの種の取締りに世上過酷の指弾を受けるようなことが一点もなかつたということに対しては、私どもとしては、人事院がルーズであるとか何とかという考えでなくして、むしろ、これは人事院が良識を持つものとして敬意を払つていたものです。ところが、今般政府原案によりますれば、刑事罰にすべきであるという内容を盛つた教育法案国会に提出され、結論的には刑事罰行政罰に直りましたが、教育法案が生れたわけで、このたび起きた佐久間君の問題というのは一つケースを新らしく作るという意味で私どももこれを重視しておるわけなのです。それで、この佐久間君の教員であるけれども、あの際は官公労事務局長なんであるから云々という意味荒木さんからの質問もありましたが、私はそういう問題を一切離れて、一つあの教育法案における人事院規則適用に関する最終的な判定を一体どこが下すのか、こういうことについて総裁の御見解を伺つておきたいと思います。法律によれば、単独行政委員会である地方教育委員会が、あの法律によつて行政罰にすることは明白なんですけれども現実の問題としては、結局文部省になり、人事院になり、公式に或いは非公式に、この法の適用について見解教育委員が質すように相成ると思うのです。それを一つ証拠付けるものが、今般佐久間君の問題についても、文部大臣千葉教育委員会に命令は筋上できないけれどもこれを重視しておると申しておりまするし、緒方局長説明によりますと、千葉教育委員会も事の性質に鑑みまして、文部省にその指導を受けるべく係官を派しているやに承わつておるのであります。そこで人事院総裁としてのお考えを承わりたいことは、教育委員会人事院に、この種のものを最終的に尋ねて参つたときに、現在の機構の上から申しまして、人事院単独行政委員会である教委に対して、この法の適用に関して示唆を与えることは可能であるか不可能であるか、そのことには指導助言を含めてそれは可能であるか不可能であるか、現実に尋ねられた場合には、淺井総裁としてはこれをどういうようにお取扱いになる御予定であるか、先ずこの一点を伺います。
  15. 淺井清

    説明員淺井清君) 人事院規則解釈は、最終においてはこれは裁判所に行くよりしようがない問題だと思います。併し、それはあれが違法として起訴された場合でございますから、行政処分をいたしまする場合は、任免権者がこれは解釈をして適用する、その行政処分に対して不平がある場合は、いわゆる不利益処分として人事院へ参る、そのとき人事院としては、これについて判定を下す、こういうことでございます。又その判定について、或る場合には更に裁判所に行くことも考えられるかと思いますが、まあ国家公務員の場合は、そのような段階を踏んで参るように思つております。地方公務員の場合は、これは人事院としては関係ございません。でございますから、現に問題になつておりますことに関しましては、いわゆる地方教育委員会において処置をせられるかどうか。それに不平なる場合はそれぞれの争証の手段がある、そういうことでございます。
  16. 相馬助治

    相馬助治君 問題が行政処罰をして、これを不服として本人が訴え出てからのことを尋ねたのでなくて、現実の問題として、教育委員会行政処罰をする場合に、法律的には単独でやられるのですけれども文部省になり、人事院になり伺いを立てるという事態が生ずると思うのです。そういう場合は、人事院として、それは筋が違うから何とも答えられないとおつしやるのか、それとも人事院のきめた規則というものは、こういう精神なのであるから、その事例というものは、甚だこの行政処罰に訴えるのには薄弱であると思うのか、或いはこれは十分根拠があるのじやないかというような積極的な指導助言をもする用意を、現実の問題としてお持ちであるかどうかということを尋ねているのです。ちよつと速記を……。
  17. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  18. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて。
  19. 淺井清

    説明員淺井清君) その点については、只今ちよつと御答弁を留保したいと思うのでありますが、今日までのところ、さような申入れは何も受けておりません。将来そういうことを言つて参りましたときに、これは地方公務員たる教員の問題であるから、人事院としては関知しないと言うか、言わないかということはきめておりません。法律上何ら人事院地方公務員の問題について、さようなる発言をする権限は、国家公務員法上ないように思つております。ただ従来国家公務員法若しくは人事院規則の運用上の問題について、地方公共団体から参考の意見を求められたことは非常にあると思つております。その場合にはこれは公の権限ではございませんけれども、これはこういうふうなものだというようなことを育つた例は、それはあると思いますが、今回の事件をうど考えるかは何もまだきめておりません。
  20. 相馬助治

    相馬助治君 そうすると、こういうふうに了解してよろしいのですか。人事院がそもそも生れたのは、国家公務員ストライキ権があつたものが剥奪されて、そうしてこの国家公務員の利益を守る意味において、特に立法府或いは普通の執行機関である政府との意思と離れて、極めて権威ある人事院というものが設けられた、こういうふうに承知しております。それで本来ならば人事院規則というのは、あれは法律に委ねるべき筋のものでありまするけれども、この権威ある人事院が出した規則として、人事院規則なるものを、我々は国会においてもこれは人事院規則に待つべきであるという規定によつて国家公務員法を成立せしめて、今日に至つているわけです。それで淺井総裁としては、地方公務員である教員までも、この規則を以て律するというような事態を予想もしないし、期待もしていなかつたと思うのですけれども現実にはあなたの手許で作られた人事院規則によつて地方公務員である教職員が縛られることになつております。そこでこれを適用する場合には、任免権者であるところの教育委員会が、念には念を入れて、当然として文部省なり人事院なりに、これを尋ねるという事態が予想されます。従つて正式なルートを通つて人事院にこの種のお尋ねがあつた場合には、人事院としてもそれが筋が違うというので却下することなく、これは地方公務員である教員の立場を守る意味からも、それから教育法案の正しい適用の上からも、一つの積極的な発言をなさる御用意が、場合によつてはあると思いますが、かように了解してよろしいですか。
  21. 淺井清

    説明員淺井清君) その通りでございます。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私が先ほど例を引いた例えば教員組合大会スローガンとして、吉田内閣打倒ということを掲げたという行為と、それから今度全官公機関紙において議案として吉田内閣打倒、これは吉田疑獄内閣となつておりますが、ここにも若干問題があると思いますが、まあ吉田内閣打倒ということを議案として配布した行為とは私は同じ性質だと思いますがね。そこには違いがないと思うのですが。
  23. 淺井清

    説明員淺井清君) あの規則としてはこれは違うものと考えているのであります。つまり不特定人をずつと集めまして、そこで公にやつた場合と、それから政党なり、政治的団体なり、組合なり、特定資格を持つた人ばかりが集つた会とは、これはあの規則では通うようになつております。不特定人を集めて、公のところでやつた場合には、あの規則に触れるようになつていると思つております。それから内輪の会、それはどれほど大きな会であろうとも特定組合員ばかり集つた内輪の会でのことというのは、これは別に取扱つていいんじやないかと、かように考えております。
  24. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ですから教員組合の会合においてスローガンとして吉田内閣打倒を掲げるということだけでは人事院規則には抵触しない。総裁もそういう説明であつたわけであります。我我の研究によつてもそういう結論が出ているわけでありますが、それと今度機関紙議案として、或る特定の人に配布したという行為とは、全然私は性質は同じだと思う。ですからこれは同様な性質であると、人事院規則には抵触しないと、こういう解釈もできる、こういう点です。
  25. 淺井清

    説明員淺井清君) 荒木さんの御解釈は承わるのでありまするけれども、あの規則文書としてこれを発行するということでございますが、この発行というのはこれは印刷と、第一次の頒布行為というものが一緒になつたのが発行でございます。この発行をやりました場合は、そこに一つ公然性があると見て、そうしてこれを罰する。これがあの規則建前でございます。もとより同じものだからそれを罰するのは間違つているというような御批判は、これは別問題でございますけれども、現在の規則解釈といたしましては、それはやむを得ないことだというふうに思つております。
  26. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑はございませんでしようか。
  27. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 淺井総裁に対する質問は私はこれで終ります。ほかに淺井総裁に対して質問があつたら私はちよつと遠慮しますが、ほかの別の問題です。
  28. 堀末治

    委員長堀末治君) 本件に関する以外。……それじや総裁に御質疑ございませんか。それじやあ本件はこの程度にして、次の議題に移りたいと思いますか、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 堀末治

    委員長堀末治君) それじや次に移りたいと思いますが、この際先般来残つておりました地方教職員の給与問題、旭丘中学校に関する問題、教育職員免許法等に関する問題、これらの問題を一括して議題に供しますから、御質疑をお願いいたします。ちよつと速記を中止して。    〔速記中止
  30. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を始めて下さい。
  31. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は細かい問題を先に聞いておきたいと思います。その一つは免許法に関係したものでありますが、この前の国会に免許法を修正可決されたわけであります。免許法は改正されたわけでありますが、その場合に参議院として附帯決議をとしたわけですが、近くに省令をお出しになるということを聞いておりますが、この附帯決議の趣旨が生かされるような省令の内容になるのか、その点を伺つておきたいと思います。今附帯決議の内容は私が申上げるまでもなく文部省のよく御承知のことだと思います。そのときの答弁にも省令を出す場合にこの附帯決議は十分考慮をする、そうして遺憾ないようにしたいと考えている、こういう答弁がありました。従つて近くに出されるはずの省令についてごの附帯決議の内容が十分考慮されておるものと思つておりますが、そういうふうに考えて差支えないかどうか、特に附帯決議の第一項は小学校、中学校の経験年齢数を合算して考える、中学校と高等学校もそう考える、そういうものを、そういう点が十分省令において考慮されているかどうか、この点と、それから免許に関係して認定講習の、従来認定講習に対しては国庫補助が出されておりました。ところが今年からこの国庫補助が全然なくなつておる。併し認定講習は依然として続けられている。どういうわけで国庫補助がなくなつたのか。来年度はどう考えておられるか。これは私は当然国庫補助は従来通り出すべきであると思う。各府県において相当な負担にもなつておりますし、認定講習の性質から考えてもこれは国庫補助をすべきであるというふうに考えますが、そういう点。  それからもう一つはこの間教育予算のうち実行予算として約五%の節約をする、こういう御説明がありました。ところが私どもの聞いているところでは、大分説明と違うのですね。それを挙げますと、大学の予算、そのうちの特に教官の研究費、これは二・五%節約をする。こういう説明であつたわけなんですが、文部省から出しておられる通牒によると天引一〇%、文部省でこの予算を天引して、それから学校当局へ行くと更に一〇%節約を要請されておる。これが私どもの手許に入つている資料です。そうすると大変な節約をしなきやならん。この間大蔵省の説明を聞いても、教育予算の節約については特別な考慮を払われているという説明があつた。ところが実際は他よりもひどい節約を要請されているという点があるのです。こういう点は説明と矛盾するのじやないかということです。それから教官の研究費が大学の事務当局によつて事務当局の旅費に転用されている部面が相当ある、これは決算委員会の報告を見ても明らかです。こういうことをなぜそのまま放任しているかという点ですね、私はその三つを一つお尋ねをしたいのです。
  32. 前田充明

    説明員(前田充明君) 第一の問題でございまするが、この委員会の附帯決議をどういうふうに活かすかというお話でございます。これは只今教職員免許法案を立案いたしましたときに私どものほうの教職員養成審議会という審議会に諮問をいたしました。それで省令につきましてもその委員会に諮問をしておりまして、実は先月三回委員会を開催いたしましてだんだん進んでおります。殊に附帯決議につきましては最初の委員会のときに御説明をいたしまして、こういう点を附帯決議としてきまつたから十分活かして欲しい、こういうことを申しまして、そうしてその後三回に亘つて会合が行われましたのですが、実は省令の一番最初のところが非常に重要な問題がありまして、それでまだ実は個々の高等学校と中学校、中学校と小学校の教職の経験年数を通算するということまで行つておりませんので、審議会の決定が延びておるのでございますが、文部省といたしましても勿論まだ最後的にきめるというところまでは行つておらない実情でございます。
  33. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それはちよつと私おかしいと思うのですがね、これは附帯決議は国会における決議ですよ。ですから審議会のいろいろ具体的に審議会が御検討になる場合に、当然これは優先してこの意思というものは織込まれなければならん性質だと思うんですよ。その審議会において取捨選択を自由にするという性質のものではないと思う。これは法律になつていませんから拘束力ということはないのですよけれども少くとも国会の附帯決議としてきまつている以上、而も文部省としてもこれは省令において活かす途がある、こういう説明があつた以上は当然十分そのことが実現されるように私は措置されるべきだと思うのです。これが予算が必要であるとかいう問題であれば又別個の立場から検討されなければならん性質があると思う。そういう性質のものでもありませんし、文部省もこの附帯決議の趣旨については尤もであるという意味で省令の際に考える、こういうことであつたのです。若し審議会で検討してこれはまあどうでもいいと、そういう取扱いじや工合が悪いと私は思うのです。
  34. 相馬助治

    相馬助治君 連関してちよつと……前田さんに荒木さんの質問に連関してこれを具体的に私は質しておきたいと思うのです。荒木委員がおつしやつた通りなので、この免許法に対しては附帯決議を附して成立せしめました。勿論この附帯決議というものは全面的にこの執行部である政府を拘束することはない、これは勿論であります。ところがこの免許法の場合には省令に委ねる面が大部分である、そこで私どもはあの附帯決議は単に文章を附したというものでなくて、あの精神が生かされることを期待していたわけです。どういう点が省令において可能であり、又あの附帯決議の精神に合致するものであるかということについて一点私は具体的なものを挙げてその精神現実化することを期待する意味質問します。  ごの、学校の小、中、高の別による勤続年数の計算の問題については、一本にしろというのが我々の主張でした。併し現実の問題として我々は内容的に、反対なんですけれども、小、中に対して高等学校の場合には、なかなかさようなわけに行かないのだという説明を聞いて、私どもは納得しがたいことではあつたけれども、一応説明として聞いていたわけなんです。併し小学校と中学校の勤続年数を通算してこれを認めるということは、これはどうしても現実の問題上必要なんです。これは地方の教育委員の先生方に聞いてみればいいわけです。小学校と中学校の免許状が区別されている、ところがその免許状を取る場合に、小学校にいた者が中学校へ転じた場合に、中学校の免許状を今後取る場合に、小学校時代の勤続年数が全然認められないというがごときことは、一つ教育委員会として村に三つか四つしか学校がないような教育委員なんかでは、全然人事交流が不可能になるわけです。小、中学校に対する高等学校の問題とは違うのです。これは単に日教組が要求しているとか、どこどこが反対しているとかいう性質を持つていない、いわば教育の現場にあるものは勿論、この現場の教員の任免権を持つている教育委員会でもひとしく希望しているところなんです。即ち小学校と中学校の勤続年数というものを一本にして見るということは、これは当然なんです。これは分けたことのほうかおかしいのです。分けた現実では人事交流も何もできない、こういうことは前田さんもよく御承知だと思うのであります。そこで私は小、中、高まで一本にして認めろと、あの法案が審議の時に申した自分の意見は暫らくおいて、是非ともこの際省令におい小学校と中学校とを一本に見ろということを要求しなければならない、それも不可能だとするならば、それもいろいろな事情で不可能だとするならば、私は不可能だと思わないけれども、文部当局が不可能だとするならば、せめては前の免許法の施行法の七条によつて規定されていたものが、今般の施行法によつては施行法七条の規定がなくなつたために、小学校と中学校に大きな問題が起きているのですから、差当り昭和三十四年までは小学校と中学校と一本に見て、その後においては別として見るとしても、それまでの分は今までの施行法の精神によつてこれを一本に見るのだ、こういうことを省令できめなかつたら、今日地方の教職員の間においては大混乱が起きます、これは即ち今日中学校にいた者は、将来中学校にいることを運命付けられ、小学校にいたものは小学校にいざるを得ないことを免許法の上から運命付けられなければならない。これは誠に失礼な言い分ですけれども、参議院の文部委員に出ておられる各委員のかたがたにしても、現場のこういう免許法というふうな細かいことはお知りにならないから、この問題に大して問題を感じておられないのですけれども、このことを御説明申上げるならば、これは超党派的に、小学校と中学校の免許法の過去の勤続を通算するということは、これは一本でなければならない、これは当然なんだという声が起きることは、これは明白なんです。従つてこの程度のことは今度の省令によつて何が何でも出してもらわなかつたならば、折角作つた先般の免許法というものは、今日現場の教職員に大きな動揺を与えると思うのです。従いまして荒木さんが申したような意味で私が指摘している点くらいは省令において実現するのかしないのか、する見込みなのかしない見込なのか、これらの点について一つ具体的にお示しを前田課長から願います。
  35. 前田充明

    説明員(前田充明君) 只今のお話でございますが、非常に技術的な問題でございますが、新らしい免許法の別表四というところにある問題でございまして、この表の中の第三欄にこういうふうに書いてあるのであります。「第二欄に掲げる各免許状を取得したのち、第一欄に掲げる学校教員として良好な成積で勤務した旨の所轄庁の証明を有することを必要とする最低在職年数」こういうふうに書いてございまして、基礎的にはこれは改正前からこの通りな条文になつておりまして、やつてつたのでありますが、問題は、今度改正によりまして単位と経験年数とが換算されるという問題から今の問題が起きて来たわけでございますが、最初のほうの問題の最低在職年数に関しましてはこれは法律で決定してございますので、一応決定的な問題ではないかと思うのであります。ただその後の換算される年数の問題になつて来るかと存じますが、それが施行法第七条の人、即ち昔の学校の卒業、学校の先生をした人、この人については施行法がこの別表四のところへ来たからそれを通算すべきであるという御趣旨だと思うのでありまして、それでそれはどういうふうに通算するかという問題でございますか、私ども考え方としては只今おつしやつたことと全く同じなんでございますが、ただ技術的にほかと不公平が起きたり或いは法律の趣旨に反するように点も出て来てはいけないので、その辺のことを考えながら研究をしておるのが実際の実情でございます。それで具体的に施行法第七条のものは何かと、こういう御意見でございますが、方向的にはそういう方向で考えおります。ただいろいろなほかのとの釣合い、そういうようなことも考えなければなりませんので、最後的に決定をすることはまだできない実情でございます。
  36. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  37. 堀末治

    委員長堀末治君) 速記を起して。
  38. 相馬助治

    相馬助治君 今の前田課長説明によると、他の釣合い云々ということを申しておりますが、これはどういうことですか、重ねて説明して下さい。
  39. 前田充明

    説明員(前田充明君) 釣合いと申しましたのは、施行法七条で引つかからない人、それから中学校と申しましても中学校でも幾つも免許状がございます。小学校は一本ですが、中学校は幾つもあるということの問題それからもう一つの問題はこれは新らしい人の問題になるのでありますが、小学校の先生をしておると、知らない間に中学校のほうは上つて行く。三級から二級になる場合でございますね。小学校の先生を十五年しておつたらば中学校のほうはもう一級になつておる、こういう現状が起きる可能性があるわけでございますね。それでまあその辺のことも考えておるのでございます。ただ私どもは御趣旨の点はよくわかつておるのでありまして、そうして実際に教育委員会或いは実際に教員をしておられるかたがたの御意見もいろいろ出ておりまして、その御趣旨は十分わかつてどもも全く賛成なんでございます。従つてそういうふうにできるだけやりたいという考えは持つております。
  40. 相馬助治

    相馬助治君 では細かいことはこれ以上申しません。どうか一つ附帯決議の精神を十分具体化して、そうして省令を一日も早く出して下さい。そうでないと、夏休みで認定講習をやつておりますけれども、一体どのような単位を取つたほうがよいのか困つていて、教員の中には認定講習に出ても、省令によつてその単位が要らなくなるか、知らないから、俺は出ない、こういうような人がおる。又まじめな者は、いや、勉強しただけ得だからといつて出ておる。そうしてこのまじめな勉強した者があとで馬鹿をみるようなことがあつてはこれは気の毒ですから、先ず第一は、省令を一日も早く出すことと、その出す省令には参議院の与党自由党を含めて超党派的に作られたこの附帯決議の趣旨を盛ること、この二つを私は強くこの際要請しておきます。
  41. 内藤譽三郎

    説明委員内藤譽三郎君) 荒木先生の御質問の第二点は、認定講習の旅費の補助の点だと存じますが、昭和二十九年度におきまして認定講習の旅費が削減されました理由は、第一に認定講習がすでに数年に亘つてなされておつたということと同時に免許法の改正に伴いまして経験年数を、換算いたしまして、修得単位を減少した。こういう点で教員の負担が非常に軽減された。その上に一兆円予算で補助金整理という政府の方針によりまして削減されたのであります。こういう点から考えまして、来年度も一兆円予算の方針が堅持せられると思いますので、来年度においてもこの復活は非常に困難ではないかと思うのであります。  それから第二点の大学の経費でございますが、若し私聞き違えておりましたら、あとでお教え頂きたいのでありますが、旅費の節約については、本年度は庁費の関係の分が五%の節約でございますので、旅費の節約はいたしておりません。  それから研究費、その他につきまして十割の節約があるというお話ですが、それは予算の執行面におきまして、大体当初配当といたしましては、大学の経費は非常に細かに細分されておりますが、大体細かい経費は予算通り、積算通り配当しておりますが、大きな費目につきましては、当初配当は大体九割程度を配当いたしまして、その後の学校の実情に応じまして最後に追加配当をいたす、こういうふうに従来いたしておりますので、個々の学校の実情によつてそれは更に追加配当を行う。こういう建前になつております。そこで教官研究費等の系統につきましては、実はこれは節約の場合には全部一割でしたか、学校については五%、そのうち更に教官研究費等の系統は、これは各省には累を及ぼさないということで、特に大蔵省に交渉いたしまして二・五%にとどめて頂いたということはこの前申上げた通りでございます。
  42. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この認定講習の旅費等について国庫補助をするということになつた経緯は内藤課長はよく御存じだろうと思うのですね。この認定講習については教職員の相当多額な負担という上で行われた。それが非常に問題になつて、この当文部委員会でもこの問題のために非常な論議があつたわけなのです。その結果認定講習を実施することについて、できるだけ教職員の負担を軽くしようというふうな結論が出て、それで認定講習というものが大体うまく行くようになつたのです。ところが今日急にこの補助を打切るということになれば、又再び教職員の負担というものが非常に被さつて来る。これでは又私は問題が再発する虞れもあると思う。そういう意味においてこの問題はやはり既定方針通りやるべきである、従来の方針通りやるべきであると思うのです。ただ補助の打切りが相当大幅に行われている、だからやむを得ない、こういうことでは私はよくならんと思う。これが教職員の負担がそう重くならないで認定講習が続けられるというならば、私は特別には申しません。まあ過去の経緯から考えて、これは相当十分配慮されなければならん私は問題だと思う。あの当時教育界に非常に大きな問題を起した、そういう経緯から考えて、特別に配慮せられたい。  それから今大学に対して御説明がありました教官研究費、学生経費等については、一〇%の天引予算が各大学に配付されている。あとの天引された一割は、追つてあとから払う、こういうことですか。そういうことであれば私はいいと思うのです。併しそれをあとあとまでも渡さないのだ、こういうことになれば、私は説明とは矛盾している、こう言つている。それから教官の旅費ですね。これは二〇%天引して渡されている。で、これもあとで渡すのかどうかですね。文部省で手心を加えて渡したり渡さなんだりするのか、そういう点があるのか。そういう点をまあ伺つてみたい。これは各大学では相当私は天引したのをどこかプールして学校へ渡らないのじやないかという懸念が相当あると思う。  それからもう一つは、説明がありませんでしたが、この教官旅費が事務職員によつて流用されている、これはこの前の文部委員会で指摘したわけです。これは余り好ましくないと思う。それは決算報告において、前の決算報告では二五%から流用がなされておる。そうでなくても教官旅費は非常に少いのですから、研究のための出張旅費というものが非常に少い。それがほかへ流用されて、而もそれが認められている、今後も認められるというのであれば、私はよくないと思います。こういうことに対する文部省考え方、そういう点は説明なかつたのですが……。
  43. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) 最初の認定講習の旅費の補助につきましては、荒木先生から御指摘の通り、当初の計画は正にその通りであつたと思うのですが、ただ二十五年から五、六、七、八と、四年間に、相当当初の計画以上に認定講習の単位数は、各県が非常に御努力されまして、実際は予定以上に修得単位が進んだわけであります。そうして残る単位数が少くなつたことと、それから今一つは、先程申上げましたように、免許法の改正によりまして、経験年数を大巾に取入れるという点から考えまして、教員の負担は、当初皆さん方に非常に御心配頂きました事情とは大分趣きを異にしておる。それで、それと今一兆円という相当厳しい枠がきまりましたので、やむを得ず落ちたわけでありまして、それなら来年度これが復活するかという点になりますと、なかなか困難であるというこを申上げたいと思います。  それから大学の経費ですが、どこかヘプールしておいて、これを使わないでおくということは全然考えておりませんので、大学の個々の実情がございますので、丸抱えのいわゆる国立学校の経費でございますから、一律に配当しても、いろいろな個々の事情がございまして、そういう意味から或る程度調整をしなきやならん、そういう意味で、いずれはこれは還元配当をされるものでありまして、この金は文部省では一文も使うことはできない経費でございますから、学校に全部配当いたします。  それから旅費の点も同様でございます。これも全部学校に配当する予定でありまして、どこかにプールしてそれをほかへ使うということは許されておりませんです。  それから最後にこの教官研究旅費の事務職員の流用でございますが、これはまあ御指摘になつた年度については特別の理由が、プラス・アルフアー等の理由があつたと思うのですが、全体としてそう大きな流用額を認めているわけではございませんが、教官研究旅費も非常に少いし、私どもも、できるだけ増額に努めて参りたい、今後も努める方針でおりますが、そこで事務職員の旅費でございますが、この事務職員旅費の中には、学長とか、学部長、こういうものが全部入つておりまして、教授と一本になつておりますから、或る程度はどうしても学長、学部長は出張等もございますので、それから就職の斡旋旅費ですね、こういうものがどうしても足りないのです。ですから、そういうものを職員旅費で出す建前になつておりますから、或る程度の流用は、或る程度はやむを得ないのじやなかろうかと思うのですが、勿論事務職職員旅費については、教官研究旅費以上に厳しい査定を受けておりまして、たびたび大巾な節約を受けておりますが、恐らく前年、昭和二十七年度に比べまして、半減されていると思うのであります。事務職員旅費は、これは国会修正のたびに旅費が槍玉に上りますので、その場合に研究旅費のほうは若干は付けてもらつておる、こういう事情でございますけれども、好ましい傾向では絶対ないのでございますが、若干のものはやむを得ない。併し今後こういうことのないように、必要な職員旅費は職員旅費として認めるように努力して参りたいと思います。
  44. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 事務職員の旅費が就職斡旋等によつて必要であるというならば、その考え方から増額すべきです。これをそのままにしておいて教官旅費を食うということは、これは研究に重大な支障を来たす。そういう意味で私は流用は悪いと思う。だから事務職員のほうの旅費がそれが実際必要やむを得ざるものがあるとするならば、当然それを増額をして流用を避けるべきであると思う。そうしないと教官研究旅費が非常に困つて来る。こういう事態になる。これは注意しなければならんと思う。
  45. 相馬助治

    相馬助治君 昨年の決算書を見ると文部省の国立大学における予算の使い方には、不正ではないけれども明らかに不当なものがあつたと思う。それはどういうことかというと、人件費を廻して事務職員の出張旅費に充てているというような問題です。そのことについては今荒木委員が指摘した通りですから、必要なものならやむを得ないから事務職員の旅費を増す以外に手はないと思うのです。それはそのまま削りし放にしておいて実際はどこかから持つて来てカバーするという、その姑息なやり方自身か予算の使用が不正ではないが不当だと言いたい。そこで荒木さんの衝いたところによると研究費は文部省だけが一〇%とつているということで、そのことだけ衝いたのですが、実際は大学へ行くと大学の本部がとつているのですね、又。そうするとさなきだに少い研究費を文部省からぴんはねされて、言葉は誠に恐縮ですが、(笑声)本部が又共通費用としてとつておる。私は四、五日前これを宇都宮大学に行つてもらつて来た、そうしますと、具体的に申してみますと、附属の中学校の先生が研究費として文部省から頂く単価は九千円、いわゆる文部省が国からもらつた単価は九千円だといいますのですね。ところかそれが手許に渡つたときには驚くなかれ五千百三十六円。ここに詳細な資料がありますからお見せします。これじや全く研究費と申しても気の毒だと思う。非常に問題なのは、御承知だと思いますが附属の中学校、小学校の先生というのは一般の町の先生より二号俸くらい下です。御存じですね。併し研究費がもらわれるからというので諸君はこれに期待している。ところが五千百三十六円或る人に説明したら、これは月かといつたのですが、これは年です。こういうことを見ると、私は文部省に聞いておきたいことは、文部省が一〇%とつた理由はわかりました。あとで還元するということはわかりましたか、又本部がとつている約一〇%近いこの金というものは、文部省がこういうことを指導しているのですか、それとも各大学が勝手にこういうことをやるのですか。
  46. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) これは国立大学の予算の各日を見て頂かないと詳細に御説明困難でありますが、考え方といたしましてはいわゆる校費なんでありまして、校費をどういうふうに見るか。大きく見ますと、教官一人当りの校費とそれから学生一人当りの校費、こういう二つの系統で予算が流れるわけであります。それ以外に教官研究費、昔は教官研究費の中で設備費等を見ておりましたが、設備費等は別の項にいたしたわけであります。そうしてこういうものがいわゆる大学の校費でございますから、その場合に例えば実験実習をいたします光熱水料をどこで払うかということになりますと、これは当然本部で払うでしよう。紙を買つたり消耗費の関係、電話の関係、こういうものも本部で支払わなければならん。光熱水料、通信、運搬、製本印刷というような関係は相当厖大な額になりますので、それを全都本部でやるか或いは学部でやるかとごういことによつて又遠つて来ると思う。それは教官の研究費と学生経費と両方合せてまあ何とか学校の運営をしておるわけであります。その中から、実験実習費に使い、残つた分で教官の研究に使う最小限度の研究費になると思うのであります。この場合に今申しましたように各大学の特色によりまして、どういうふうな機構でやるかは各大学の自治に任してあります。そこで大きな大学ですと二割なり或いは三割のところもあるかと思いますが、要するにそれは本部がどういう事務を分担するかという問題に帰着すると思うのです。文部省としてはどうしろこうしろということは指図いたしておりませんです。
  47. 相馬助治

    相馬助治君 具体的に指図しないことはわかりましたが、宇都宮大学の非実験、即ち人文科学でしようね、非実験科の教授の研究費というのは単価が六万八千三百八円です。手許に渡るものは二万七千六百九十八円です。これはどうしても、私どもは詳しいことはわからないのだが、数字の上からおかしいと思うのです。教授が七万に近い金を国から頂いているわけです。ところが手に受取るのは二万七千円、これは削られるにしても少し度がきつ過ぎると思う。いろいろ理由はあると思う。そこで私は理窟を言うのではなくて一つこういう事態文部省でもよく認識されて、こういうものは成るべく教授それ自身の手に渡るように将来御考慮願いたいと思います。
  48. 内藤譽三郎

    説明員内藤譽三郎君) これは非常に予算の出方の問題でございまして、教官研究費というものはいわゆる校費でございまして、校費の中心が教官一人当り幾らというふうに積算されているのでございます。それは教官が何か自由に使える研究費という意味ではないわけなんであります。ですから教官一人当り幾ら、学生一人当り幾らというふうに大学予算の積算の基礎でございまして、これは学校運営費なんですから、この運営の場合にどうしても必要な光熱水料とか、通信運搬費というものは優先的にどうも天引きせざるを得ないだろうと思うのです。ですから今お話のように成るべく実質を上げるためには私どもも成るべくほかのほうに食われないように、まあ光熱水料のほうの経費を余計見るとか、できるだけ実質的に殖やすように今後努力いたしたいと思います。
  49. 相馬助治

    相馬助治君 それは結構です。ここに資料がありますから、あなたのほうでちよつと見て下さいね。
  50. 堀末治

    委員長堀末治君) これらの問題に対しまして御質疑がなければ松原先生の質疑を許したいと思いますが……。
  51. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 ちよつと委員長、非常に申訳ないのですが、この際決議案の御審議を願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  52. 堀末治

    委員長堀末治君) それではどうぞ。
  53. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは甚だ僭越でございますが、皆さんの御了解を頂きまして大阪市立大学校舎接収解除に関する決議案について御提案を申上げたいと思います。初めにその内客を読み上げますと、    大阪市立大学校舎接収解除に関する決議  大阪市立大学の校舎は、昭和二十年十月以来実に九カ年の長きに亘つて米軍の接収するところとなり、現在漸くその一部の解除を見たに過ぎない。  これがために大学の蒙つている教育上の障害は誠に言語に絶するものであるが、更に引いては、大阪市立大学が現在大阪市内の数箇の小学校を使用しているため、これが義務教育に及ぼす影響も又極めて深刻である。  本委員会は、政府に対し、本問題解決のため更に一層の努力を傾注し、速かに全面的接収解除の実現を期すべきことを、強く要望する。   右決議する。    昭和二十九年八月五日        参議院文部委員会  なおこの決議案の趣旨については私から説明を申上げるまでもなく、昨日の文部委員会において十分御審議を頂いたところでございまして、従来参議院の文部委員がこの種の問題に対しまして各党を超えて教育優先という立場に立つて少からず努力をいたしていたところでございます。今度の市立大学の問題につきましても、同様な趣旨に基いて参議院の超党派的な協力によつてこの接収されている校舎が速かに解除されることを衷心から希望して、政府に対してその意思を表明し、政府の努力を促したい、こういう考えでございます。どうか全員の皆さんの御賛同を頂いて、この決議案が成立するようにお願いを申上げます。
  54. 堀末治

    委員長堀末治君) 只今荒木さんから御説明のございました決議案につきまして御異議がございませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 堀末治

    委員長堀末治君) 御異議がないと認めて本決議案は決定いたしました。  つきしましては決議の伝達先はこんなことでいいかと思いますが、お諮り申上げます。文部大臣、外務大臣、国際協力局長、調達庁長官で御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 堀末治

    委員長堀末治君) それではさように決定いたします。   —————————————
  57. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは松原先生、あなたの先ほどの御質疑をお願いいたします。
  58. 松原一彦

    ○松原一彦君 私は過般教育法案の審議をしましたる責任上、その後における影響が非常に大きいであろうという全国からの警告を受けているのであります。何千通の電報、手紙でこの法案が行われたならば教育界における損失は計り知れないものがあるという夥だしい警告を受けつつあの法案の審議に当つたものであります。従つてその責任上私はあの直後から東京市内の学校、先般は九州に帰りまして私の郷里の方面における十数校、又その間東京でも地方でも多数の教育実際家に寄つてもらいまして、この法律によつてその後に現われたる影響を実は知ろうと努めて参つておるのであります。まだ結論を得ませんから御報告申上げかねますが、この文部次官通牒の中にも二ページの二項の終りの所にそのことが申されておる。「なお、この法律教育職員の一切の政治的言動を禁止するものであるかの如く誤り伝えられ、ひいては教育職員に不安を与えている向もあるようであるが、法の趣旨を関係者に周知徹底せしめ、その勤務につき無用に萎縮し、ひいては教育の沈滞を来すことのないよう努められたきこと。」ということが印されておりますが、この点につきましてその後に現われたる具体的な御調査がありますかどうか。そうして如何なる萎縮の事実があるか。不安の状態が現われておるか等につきまして承わりたいと思う。私も精々これからも責任を以てその実態を知り、そうして善処すべきものがありますならば私はあえて面目に拘泥せず日本のために又日本の教育のために考えなければならんと思います。丁度この際初の適用が行わるるかという見出しを以ての千葉県における高等学校教員である佐久間君が官公労機関紙の署名者として起しました問題、これなどは私はその大きな一つの現われだろうと思うのでありますが、この問題は波及するところが非常に大きいと思います。こういう問題は原則としてはつきりしておいたほうがいい。はつきりしておかないというと、うやむやの間において非常に不安を内蔵すると思います。どういうような事例が各方面に起りつつあるのか、又ないのか、その辺について文部省が現に次官通牒を以て示されておるような、無用に萎縮し、延いては教育の沈滞を来すことのないように努められておる現実についての御意見を伺いたいのであります。
  59. 緒方信一

    説明員緒方信一君) いわゆる教育二法の実施の影響の問題でございますが、私ども最も注意を要すると考えますことは、この法律の趣旨が地方におきまして正しく解釈されて、これを運用する教育委員会の側におきましても、或いはこれを守る立場にありまする教育公務員の側におきましても正しく解釈されることが一番大事だと思うのでございます、そこで只今の御質問にありましたどういう影響が具体的に起つておるかということでございますけれども、萎縮を甚だしくしているといつたような実情はまだ私どもは存じておりません。恐らくさような事実は現在のところ現われていないじやないかというように考えております。只今申上げましたように法の正しい解釈の周知徹底ということがこの際最も大事なことであると考えますので、文部省といたしましては各地方になるべく担当官……局長、課長、担当事務官等が出向きまして、関係者の、これは教育委員、大体県の教育委員会の催しとして行われておりますけれども関係者の出席を得まして説明会を行なつております。その説明会の席上におきまして十分に正しい解釈を周知徹底させるというふうに努力をいたしておるような次第でございます。ただこれはこの次官通達の中にもありますように、只今松原委員のお話の中にございましたように、一部全く先生がたが政治的な言動を封殺されてしまつた、こういう考え方が若しありとするならば、これは誠に間違つたことでございます。又半面これは私ども地方に参りましてまま耳にしたことでございます。全国的な風潮であるかどうかは存じませんけれども、まま所によつて聞きましたところによりますと、今度法律ができたけれどもこれは大して意味がない、従来と変るところはないんだといつたような考え方、何といいますか、考え方が大分地方の先生がたの間なんかでこれはまじめに考えていられるんじやないかというお話を聞いたことがございます。これも又困つたことでございます。法律国会によりまして成立いたしたんでありますから、法律におきましてきめられました規制の限度というものは厳として成立したんだ、この限度につきましては十分に先生がたに守つてもらうし、又先生がたのみならず中立確保の法律におきましては第三者である国民一般も守つてもらう、こういうことに相成つております。そこで要はやはりこの法律の正しい解釈が十分に徹底をすることであろうと考えます。特に人事院規則等は相当複雑な規定でもございますので、まだ十分にわかつていないという点もあるかも知れません。併しながら只今私が申しましたように、一部におきまして人事院規則解釈等についても大したことはないのだという考え方はこれは困ると思います。やはり法律のきめました限度は十分ございますから、そこは十分理解してもらつてこれを守つて頂きたい、かようなふうに考える次第でございます。又お尋ねの地方におきまする現実の影響というものはまだ法律施行後日も浅いことでありますし、只今ども現実に気が付きましたのは、只今問題になつております官公労機関紙、これだけであります。そのほかのことにつきましてはまだ……。
  60. 松原一彦

    ○松原一彦君 私の見て参りました只今までのところでは、割合に多数の教員はこの法案に対しては無関心であります。又さように教員仲間で申しておりますが、知つて無関心であるのかというと、実はよく知らない。知らないで無関心であり、或る者は従来通りだからして何も心配するな、従来通りにやつて行け、こういう指導をしておる者もある。又よほど注意しなけりやいけないぞというて指導している君もある。まあここに一つの流れはできておらんように思われますが、併し第一線の五十万と称する教職員現実は、無関心であるというものの、曾つて自由党の諸君が機関誌等で言われたように、私は混乱もしておらなければ、偏向もしておらんというふうに認めて参つておるものであります。但し、教職員が一般に非常に憂えておりますものは、個人々々の教員の政党政派に対する好悪とか、或いは支持、非支持といつたようなことについては大した影響のあるものじやない。これを団体として一つの政党を支持するかのように中央で以て押付けられることは非常に迷惑だという空気が満ち満ちておるように私は思う。現に教職員に左派の支狩者もあるけれども、右派の支持者も相当多い。事実においては私は右派の支持者が非常に多いと思う。にもかかわらず、その集められたる組合費は左派のほうに流れておるといつたようなことに対する不満も相当私は聞いて参つておる。又中には、現に保守系の人を支持しておるものもおる。地方では政党というよりもむしろ人物中心の動きも少からずある。かような場合において、個人の政党所属若しくはその支持を問題にするよりも、個人を含めたる全体的団体が一党一派に偏向する二とをひどく恐れておる声もたくさん聞いて参つたのであります。さような場合に、今回佐久間君が官公労の署名者として責任を今問われようとしていることに対する事柄、態度などは、文部省は相当御研究の上に、はつきりしておいて頂きたいと思う。こういうことは、中央と同様に、各府県でも行われるのであります。各府県でも労働組合評議会等ができておる。それに教職員組合が入つておる。その教職員組合責任者がその主な役職を分担いたしておる。つい名前も出るであろうと思う。従来は慣例として、淺井総裁も言われたように、不問に付せられておつたものも、今回の法律が出ましたことによつて、それは新たなる問題として検討せられることになる、その結果が平地に波瀾を起して、多数のものに及ぼす影響、殊に教職員に及ぼす影響等が大きくなりはしないかということを私は恐れる。だから日教組の諸君についても、私どもは私的にも懇意にいたしておりますから、よく意見を聞き、且つ私の考えも述べてみたいと思うのでありまするけれども、団体として、かような偏向的な事柄が大多数の教員に及ぼす影響を思うときに、これはよほど考えなきやならんと思う。特に先般相馬氏が触れられましたが、この中に佐久間官公労事務局長の意見として、人事院は我々に好意的だし、千葉県教育委員会も教組出身者が圧倒的に優勢なのだから問題にはなるまいと言われておる言葉には私は不満を持つ。さようなふうにものを考えることは私はよろしくないと思う。自分の味方が多数あるというが、味方が多数でない教育委員会もあると思うのです。そういうときに、やはり相馬氏が心配しておられるように、甲の県においては不問に付せられ、乙の県においてはこれが問題になる、そうなるというと、かねて文相の言われておつた一つの基準を刑事罰へ持つて行かなきやならんというところにおのずから問題が進んで行くと思うのです。我々は、教育者であるが故に自粛し、反省して、そうしてかようなことはないということをば高調してあの修正を行なつたのでありますが、こういうところにあいまいなものがあり、且つ便宜的に考えられるようなことになりまするというと、教育界に及ぼす影響が非常に大きいということを私は心配するのであります。そういう余りに只今のような質問をいたしたのでありますが、私は、文部省はまだ多くの調査をしておいでにならんと言いますからお尋ねはいたしません。私もこれから実際に当つてみようと思いますので、結論はいずれそのうちに出て来ると思いますが、どうかそのような問題点が現われましたならば、いい加減にして置かないで、ぴしりと筋を立てて、全国の諸君に迷いを持たせず、不安にならないようにお取計らいを願いたい。これを希望いたします。
  61. 安部キミ子

    安部キミ子君 過ぐる七月の二十八日に山口県では、文部省から係りのかたがいらつしやいまして、この二法案に対する説明会がございました。その際に、例の官公労佐久間事務局長の例を引かれまして、このような事例もあることだから、今日集まつておられる教育委員会及び教育長は十分な注意をしてもらいたい、こういうふうな意向を漏らされたということを聞いております。ということは、結局文部省は、この佐久間氏を教育二法に違反しておるものだというはつきりした断定のもとにごのような発言がなされたかどうか。それから山口県に行かれましたかたはどなたでありましようか、ちよつとお名前をお聞きしたいと思います。
  62. 齋藤正

    説明員(齋藤正君) 山口県に過般文部省が主催しております都道府県並に市の教育委員会の事務局職員の研修会がございまして、その機会を利用して、山口県の教育委員会から教育法律の施行に関して説明をしてくれ、こういう要求がございましたので、課長補佐である犬丸事務官を派遣いたしました。
  63. 安部キミ子

    安部キミ子君 それで私が第一点に質問しましたように、佐久間氏は違反しているというはつきりした断定に立つておられるかどうかということですね。
  64. 齋藤正

    説明員(齋藤正君) あの文書が先ほど人事院からもお答えがありましたように、政治的目的を有する文書である、このことがまあ文部省としては問題になつたわけでございますから、こういう規則に触れるようなものが公然と配布をされ、発行をされる、こういうことが規則に触れる行為であるので、この点は十分に注意をしてもらいたい、こういうことがございますので、私犬丸君からは聞いておりませんけれども、その個々の諸君がこうであるとかどうであるとかというようなことを申上げたのではないと思います。
  65. 安部キミ子

    安部キミ子君 質問の焦点がそれたと思いますが、私は佐久間さんの個人の断定を聞いておるのです。今一番問題になつているのはそれが問題なんです。それで佐久間さんは確かに二法案違反しているのだ、こういうふうに考えておられるかどうかをお聞きしたいのです。
  66. 緒方信一

    説明員緒方信一君) この問題につきましての文部省見解は、前々回でありますか、この委員会で御質問がありまして、私どもからお答えいたしたのであります。あの機関紙政治的目的を持つ文書であり、而もその発行者が地方の公立学校教育公務員の身分を持つということになりますと違反をするものである、かように解釈をいたしております。これはこの前の委員会で御説明を申上げましたと同じ見解であります。
  67. 安部キミ子

    安部キミ子君 先ほど松原委員からお話がありまして、現場の先生たちは萎縮していない、こういうふうにいい意味で私はお話を承わつて、成るほど先生の判断はさようであつたかと思いまして幾らか心を明るくしたものでありますが、少くとも、私も曾つては先生でありましたし、又私は教育委員でもありましたので、そういう繋がりがありましていろいろの御意見も率直にお聞きしておるのでありますが、何と言つても私は萎縮しておると思うのです。これが違反になるぞと、こういうふうに強く文部省のほうでお出になればなおのことです。それから知らないからそういうことは何も関心を持つていない、だから心にとめていないのだ、こういうふうに私は考えている。私はむしろ知らせたくないくらいに率直に言つて考えているのです。というのは、余りに萎縮し過ぎているのです。現場の先生はとつても何かこう恐れをなして、子供にも本当のことが言えない、夏休みの注意か何かをするのでも、何か一言生徒や父兄に挨拶をするにでも、私どもの曾つてないほど神経を使います。それがああして地教委ができておりますので、地方教育委員のかたもおられましようが、一般の父兄のかたもいらつしやる。それで、本当にこの教育二法を理解しているかたはなくて、もうひよつとしたら、むしろ悪い方向に、何々先生はこういうふうなことを言われたが、あれは教育法案違反したのじやありませんかとわざわざ教育員会のかたに申し出て行くというふうな事例もありまして、実に恐ろしい法案だというふうに一般的に伝えられております。尤も山口県は、例の山口日記というふうなものも出ておりまして、山口県といたしましては至つて県民が神経を尖らせております。そこで、私はこの二法案の扱い方について、余りに文部省説明会などで強く違反になる、こうこうしたら違反になるというようなことを事細かに事例などを出されて説明なさいますと、現場の先生は一体何を言つていいかというふうなことになり、又自分が折角研究のテーマを以て何か山口県の教育界に残しておきたいというのでしおられることでも、いろいろ歴史や何かにぶつかりますと、そのことが、自分の主観で、それの判断なんかというものを書き残すというふうなことまでも、学術的な研究にまでも支障を来たしているというふうな私意見も聞いておる次第でありまして、私とすれば、文部省考えておられるような楽観はできない実情であります。それは成るほど文部省のかたが教育委員会などにおいでになりますと、教育委員会の事務当局は割に当局に、文部省に迎合したような態度をなさることを私はよく見ております。今までだつて私が教育委員会におるときもそうであつた。ですから、あなたがたが本当の姿というものを見ることができなくて、いろいろ報告を聞いておることが、或いはいろいろなんとかというふうなことをおつしやいますけれども、本当の姿、ヴエールを被らないところの事実というものを私は果して見ておいでになるかどうかということを心配するものでありまして、これの扱い方につきましては十分配慮頂きたい、こういうふうに考えております。
  68. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 先ほどの御質問に対しまして私が答えましたように、これは二つの法律のために地方の教育が必要以上に萎縮したり、萎靡油滞したりすることは、これは最も成しむべきことであることは申すまでもございません。ただ併しながら、これもちよつと先ほど触れましたけれども法律が成立いたしまして、その規制の限度というものは厳として法律にきめられてあるのでございまして、その法律に触れないような戒心は、これは十分してもらわなければならんと、かように考えます、だから先ほど申上げましたように、法律の正しい解釈を、先生方にも、或いは運用に当る教育委員会にも十分徹底をするということが必要であろうと考えます。
  69. 松原一彦

    ○松原一彦君 今安部さんから、第一線の実際の教育者は安定しておるといつたようなふうにお聞きだつたようですが、私は実は結論は得ていないのでありまして、無関心である者が多いと、こう申したのであります。その無関心が、知つておる無関心か知らないでの無関心かというと、実は私から言うと、不安な無関心、知らないが、一般の教員はいろいろな観点から見られますけれどもが、やはり自己保全ということに非常に急でありますから、それで成るべくこういう問題に触れたくない、それで無関心をよそおつておるという者も私はあると思います。又日教組関係からの繋がりから来る分会の委員等の指揮等を受ける場合に非常に私は割切れない気持を持つておることを見ます。不安なら不安で訴えるか、割切つてそこで以てこれに対する批判をするかというと、そういうところは避けておる。そうして蔭では何か不安があるかのごとく訴える者もないではない。こういう点から、いろいろ私は考えさせられるものの多くを見て参つたのでありますので、決して安定しておるとか、健全そのものであるとかいうことを申すのではございませんが、大体は私は健全だと、大多数のものは熱心に教育の第一線に立つて努めておる、それほど文部大臣に御心配は要らないと申上げたいものを持つてつております。併し、只今私の懸念しましたような問題につきましては、文部省のほうでもいいかげんにこれを扱わないで、割切つて欲しいと思う。一応筋だけははつきり立てて欲しい。例えば現教職員であるものがかような雑誌等における罪名者になることはいけなければいけないということをはつきりしておいて頂きたい。そうすればその点だけではもう救われるのです。なつていいのか悪いのかわからないという不安が私はいけない、そのことを申上げただけであります。
  70. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私もこの二法案関係して次官通牒についてはお尋ねいたしたい点があります。併し今日は時間がありませんので次に譲りたいと思いますが、前からあの質問要綱としてお出ししております中に旭丘問題がある、私若干伺います。  その一つはこの旭丘問題について、文部省が京都市の教育委員会に対して何らかの指示を与えた、こういうことが報じられております。そこでどういう指示を与えられたのか御説明を頂きたいということが一つ。  それからもう一つは今回旭丘問題によつて三名の教員が馘首されております。この人たちが地方裁判所でしたかに対しまして執行停止の訴えを起した。これに対しまして内閣総理大臣が仮処分停止の申請に対して異議申立をしたということであります。これは私はこの問題は裁判所の決定に委ねて差支えがないと思う。特別に異議申立をする必要が了解できないのです。その二点について御説明を頂きたいと思います。
  71. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 旭丘中学事件に対しまする文部省が指示をした、これは御承知のように、問題が起りまして、学校が不法に占拠をされ、赤旗をあれしたというような事態が起りました。いわゆる組合が管理運営を行うそういう事態に当面いたしました。教育管理というようなことであります。そういう事態に当面いたしましたので、これは五月の十三日でございますか、丁度社会党の声明が出たのと大体同じだつたと思います。次官名を以ちまして京都市の教育委員会に対しまして通達をしたのであります。この趣旨は、この今度の事件は正常な学校教育を阻害し、生徒に対して教育上甚しい悪影響を及ぼすものと考えられるので、市の委員会においては事態を収拾するために適切な措置を講じてもらいたい、そして速かに正常な教育の秩序、教育行政の運営の確保を図つてもらいたいということでございます。そして具体的に三点通牒をいたしました。第一点が学校施設の不法な占拠及びいわゆる自主管理等による授業の継続などを速かに排除して秩序の回復に努めてもらいたいということが第一点であります。  それから第二点は生徒を事件の渦中に巻込まないようにできる限りの配慮を加えてもらいたい。それに附加えましてなお今後も休校による学習の渋滞に対する補充について万全の措置をさ  それから第三項としまして事件関係した職員についてはその責任を明らかにし、これに対し適切な措置を講じてもらいたい。この三点を申上げたのです。で、これに対しまして同じようなこれの写しを付けまして、府の委員会に対しましても文書を出しております。これは御承知のように転任命令が行われ、それを聞かないというので懲戒処分が行われました。それに対しましてああいうふうな事態が起つた、いわゆる闘争が起つた、その事態を早く収拾してくれというような意味で、五月十三日に指示を、通達を出しております。こういう事情でございます。  それから第二点のお尋ねの、この指示問題に対しまして転校を命ぜられ、又懲戒免になりました三人の教諭から裁判所に出訴されております。行政事件訴訟特例法という法律がございまして、これに基いて処分の取消しを出訴した。それに附帯いたしまして執行の停止の申立がございました。そこでこれに対しまして総理大臣の異議の申立てがございました。これは理由といたしましては丁度あのときあの事件に対しまして府の教育委員会等の努力によりまして斡旋人が入つたりいたしまして事件が解決の方途に向つた、そのときに懲戒処分或いは転任命令の執行停止が行われますとその影響又その事件に及ぼしまして重大な事態に立至る、かように考えたからであります。もう一つは市の教育委員会の人事権の問題、これに対して執行停止が行われますと今後の教育委員会の運営上の問題がある、かように考えましてやつたのであります。
  72. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 三人の教員に対しまして転任の辞令が出た、そうしてそれに対して聞き入れられなかつたといいますか、その通りにならなかつたので懲戒免職をした、この措置が旭丘事件を起した一つの理由になつておると私は思います。この措置について文部省は何らかの指示をしておらないか。
  73. 緒方信一

    説明員緒方信一君) その転任命令なり或いは懲戒処分の命令に対しましては全然指示いたしておりません。只今申しましたようにその結果ああいうふうな不祥事態が起りました。不祥事態に対処いたしまして教育委員会のとるべき措置というものを勧告いたした次第であります。
  74. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は、今までにこういう例があるかどうか、転任命令に対してそれが守られなかつたために懲戒免職になつたというような事例が従来あるかどうか。この懲戒免職というのは容易ならんまあ最も高い教員に対する処罰だと私は思うのですが、こういう措置は例があるかどうか。
  75. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 只今お尋ねの党につきましては、ちよつと的確に、私今資料を持合せませんので、何か一、二事例があつたのじやないかと考えますが、はつきり申上げられません。
  76. 中川幸平

    ○中川幸平君 議事進行。只今荒木委員から旭丘中学の三人の教員のことについていろいろ質問がありました、荒木委員はこの三人の先生たちは非常に頭のいい教員であるということを頻りに言つておりますが、とかく革新的思想を持つた人は頭のいいものでありますから、頭がいいから中等学校教員として適格であるかどうかということは別問題で、この三人の人たちが任命権者である教育委員会から転任命令かあつたにもかかわらず赴任もしないで、そんなことで果して社会の秩序が保てるかどうか、のみならず学校を占拠してそうして勝手に学校を管理して、かような全国民に例のない大紛擾を起した人であります。それが今回懲戒免職になつてこれが裁判所に提訴した。この北小路君は曾つて荒木正三郎君「議事進行は何ですか」と述ぶ)文部委員会の偏向教育事例の証人に出た際にでたらめの証言をして帰つておる。その際私は国会の権威にかけてもこれは偽証として告発すべきであるということを主張したのでありますけれども、社会党の諸君からも余り賛成がなかつたようであります。のみならず、(「議事進行」と呼ぶ者あり)この三人の人たちが内灘へ旅費を使つて視察に行つておる何の必要があつて中等学校の先生が内灘に視察に行つたか、それらの一点を併せてあなたがたが、そういうこの問題を又蒸返して言われるなら、私は文部委員の一人として偽証として告発することをお認めを願いたい、その点について一つ考えを頂きたい。
  77. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は旭丘問題について三つの点を質問をいたしておるわけであります。今日は時間が遅いから次回に廻したらどうかと、こういうことであれば又私も考えますが、そういう意味でもございませんでしたので、簡単に打切ります。併し今の点ですね、私はこの間……。    〔相馬助治君「議事進行」と述ぶ〕
  78. 堀末治

    委員長堀末治君) 今発言中です。
  79. 相馬助治

    相馬助治君 それでは乱れてしまう……。  中川さんから議事進行の発言委員長に要求になつ関係上、議事進行は発言中であろうが何であろうが、賢明な委員長はこれは大体許可慣例になつておる、というのは、委員長に協力する発言だからです。中川さんのおつしやつたことは議事進行じやなくて一つの提案を含んでおる。即ち北小路君のいつかの問題は偽証として成立しないように当文部委員会でなりましたけれども荒木君がそこまで又そういう問題を蒸返すならこれは偽証罪としてやらなければならない、こういうことをおつしやつたのですが、これは委員会に要求したのでしようか、それとも荒木君を威嚇しただけなのですか、威嚇しただけなら私はかまわない、そうでなくて、ここに提案したのですと、先ずこのことからはつきりして行かないと荒木さんの質問は続けられないと思うので、それをはつきりして下さい。
  80. 堀末治

    委員長堀末治君) 大分時間もたちましたし、この問題は頗る複雑ですし、さつき荒木さんもやれば大分長いからということでしたし、今日は午後から御承知の通り予定もある、これをやめて午後改めてやるというなら別ですけれども、大分複雑な問題ですし、大分委員諸君も減つていますから今日はこれで打切つて、又朝からゆつくり皆さんお揃いのところでやつて頂くということにしたらどうですか。
  81. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そういう趣旨なら私も十分考えなければいかんと思いますから、締括るために申しておきますが、旭丘問題については当文部委員会としても視察調査しているわけです。その結果報告されているわけです。ですからこの問題について我々も関心を持つているわけです。中川さんがおつしやつたように私はそういう意見を述べていないのです。ただ指示したことについて指示したのかどうか、そういう質問をしているわけです。それから内閣総理大臣が異議申立てしたということについてその理由を伺いたいわけなんです。この問題は緒方局長は非常にうまく片付いて行つていると、こういう判断をしておられますが、この間報告のあつたように、そういう事情では私はない、そう言い切れないと考えております。それから又従来文部省判断しておつたところも私の見解から言えば相当間違つた点がある、こういうふうに考えておりますので、この点はかなり私は質問をしなければならない点が残つております。けれども今日は時間が今おつしやつたようにございませんので、一応打切つて次回に廻すことにいたします。
  82. 堀末治

    委員長堀末治君) それじや本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会