○
説明員(正
示啓次郎君) お答え申上げます二百億の実行
節約の御趣旨につきましては、先般簡単に申上げたのでありますが、只今の御
質問でございまするから重ねて申上げますが、実は国会におきまして御
承知のように
予算の修正が行われたのでありまして、そのために予備費がすでに五十億歳出増の
財源に充当されておることは御
承知の
通りでございます。その後入場税或いは繊維消費税或いは定員法、補助金特例法等の法案の審議未了又は修正等がございまして、歳入歳出におきまして、歳入の減少或いは歳出の増加、これが大体二百億ということでありまして、それだけのものはどういたしましても一兆
予算を実行いたして行きます上におきまして行
政府といたしまして自粛をいたし、歳出の抑制を図
つて参らなければならないと辻褄が合わないことに実はな
つてお
つたのでございます。その
関係でまあすでに五十億の予備費を使いまして、
予算が修正されましたときに、
政府においてこれは
予算の実行上適当な処置を講じようというふうな趣旨でございました。そういうことから私どもとしてはどうしてもやらなければならないということで、
政府部内におきまして一応
閣議決定という形で各省各庁の
予算につきまして百九十九億、大体二百億の自粛的に歳出を引締めて参ります、こういうことを実はきめました次第でございます。併しながらこれはもとより最終的には
予算を国会において御議決を願
つて初めて
予算が正式に補正をされるということに相成るのでございまして、只今の段階はいわば
政府部内におきまする自粛的な申合せによ
つて予算を実行いたしておる、こういうことなのでございます。
以上が一応国会との
関係におきまする私どもの公式の
説明でございまするが、更にもう小し
実質的にいわゆる一兆
予算の考え方から今日の自粛的な実行二百億ということの考えにどうして繋が
つておるかという点に触れさして頂きたいと存じますが、これは御
承知のように一兆
予算を組みましたのも、国際貸借を改善して行くために日本の国内の物価を下げて参る、国際競争力を付けて参るということは申すまでもございません。そこで
政府は最も大きいいわば国内における購買者でございます。いろいろの需要資材を
政府が三割とか或る物は六割とかいうふうな大きな需要をいたしておるのでございます。そこで
政府といたしましては、国会のそういう一兆
予算に対する御意図というものをさらに忠実に履行して参りたいという所存から、
政府の調弁いたしまするところの物の価格につきまして、経済審議庁を中心にいわゆる調弁価格及び方式の改善の
連絡協議会を設けまして、あらゆる重要な資材につきまして、この際
政府がその買い方を改善いたし、合理化いたすことによりまして、更にいわゆる低物価政策を推し進めて参りたい、こういうことを現実にや
つておるのでございます。この面からすでに卸売物価が総合指数におきまして七%強の低下を見ておることは御
承知の
通りでございます。大体
政府といたしましては、
年度を通じまして五%から一割の物価の引下げを図らなければならんということは当初から申上げてお
つたのでございますが、今日まですでに卸売の段階におきましては
平均七、八%の低下を見ておる、こういうことでございます。そこで
予算の
節約に当りましても、いわゆる物件費を主にいたしまして、大体原則は一割、その物価が現在すでに七、八%の低下でございますから、更に今後低物価を推進して行くということで、大体一割のものはこれは
節約ができるという見込を立てまして、全体として経費の一割を
節約いたす、これが原則でございます。そうして大体先ほど申上げたのが、いわば
節約の必要性でございます。只今申上げました物価の
関係から一割ぐらいのものを
節約いたしましても、
予算の実行におきまして
事業量はこれはもとより或る
程度の圧縮を図らなければならんのでございますが、国会の御議決を、更にその御意図を履行して行くという方向において物件費の
節約を図
つて行くならば、根本的な食い違いというものはない範囲で
予算が実行できるという見通しが立
つたのであります。これが即ちいわば可能性でございます。そういう必要性と可能性の両面から睨み合せまして、大体二百億の
節約が
閣議におきまして決定を見た次第でございます。ただこの前も申上げましたように、一律一割ということは非常に無理がございますので、原則は一割でございますが、先ず
公共事業につきましては、前申上げました物価の、現在までの物価の七%強低下というところの目安に合せまして、一割を一応保留いたしておきますが、今後大
災害が起らないということでございますれば、この
うち三%だけは解除して、御
承知のように
公共事業はいろいろ重要な
災害防止その他の施設に使われますものですから、実行上三%を解除しよう。即ちネツトの
節約七%
程度にいたそうということを
閣議においても申合せができております。
それから
公共事業よりも更にもつと優遇いたしておるのが文教施設費であります。これは最初から五%ということにいたしておるのでございます。これはこの前も申上げたのでございますが、そういうことでこれは
文部大臣も非常に
閣議においてもいろいろ文教の重要性について強調されました結果、こういうことに相成
つたように拝承いたしておるのであります。そこでこれは属僚の解釈でございますが、仮に七、八%の物価が本当に今日下り、文教のいろいろの調弁単価がそれだけ引下げられるといたしますれば、五%の
節約でございますので、これは逆に
事業量は殖えて参るわけであります。私どもといたしましては、一兆
予算で物価を下げるという狙いを打ち出したのてございますから、更に
節約によりまして、物価の下落を一層促進して、全体としての単価は極力これを引下げることによりまして、結果的にはむしろ
予算よりも
事業の量は逆に殖えるような
事態が招来されることこそ望ましいことであるというふうに考えております。少くとも一部
災害地等におきまして相当のブ—ムが見られるのでありますが、今日
全国的に相当の低物価の空気、機運が醸成されておりますが、一部におきましては、例えばセメントのごとき非常に品がすれの
状況で、なお今日下落を見ておりません。これらにつきましては、
政府におきましてもなお努力をいたしておりますが、更にこれは
政府の調弁方式、或いは契約方式或いは単価の折衝のやり方等におきまして一層の努力をいたし、国会が
国民の血税を厘毛といえども無駄に
支出してはいけないということは、我々は常に考えておるのであります。
予算の実行の面におきまして、そういう努力を一層重ねて行くことこそ役人に課せられた重要な責務であろうと考えております。文教
予算につきましては、只今申上げましたように、非常に私は
政府としても当
委員会等の御意向をも十分拝し、このことについて大きな重点を置いておることは、以上申上げたことによ
つても御了解が頂けることと思うのでありますが、この点につきましては、実行の面におきまして文教当局と一緒になりまして、私どもの出先をも督励いたしまして、調弁単価の引下げ、調弁方式の合理化に一層努力を重ねて参りたいというふうに考えておる次第であります。