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1954-08-03 第19回国会 参議院 文部委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月三日(火曜日)    午前十時二十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     堀  末治君    理事            剱木 亨弘君            加賀山之雄君            荒木正三郎君    委員            郡  祐一君            田中 啓一君            谷口弥三郎君            中川 幸平君            吉田 萬次君            竹下 豐次君            安部キミ子君            永井純一郎君            長谷部ひろ君   説明員    自治庁次長   鈴木 俊一君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   参考人    佐賀県知事   鍋島 直紹君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育、文化及び学術に関する調査の  件  (地方教職員給与に関する件)  (文部省関係予算に関する件)   —————————————
  2. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは只今から委員会を開会いたします。  地方教職員給与問題を議題といたします。  本件については、参考人として佐賀県知事鍋島直紹君が御出席されております。鍋島さんに申上げますが、非常に御多忙のところ又お暑い中をわざわざ御出席願いまして有難く御礼申上げます。どうぞ御遠慮のない御意見を聞かせて頂きまして、今後の審議に大いに参考にいたしたいと思います。  それでは佐賀県における教育職員給与一般状況について御説明を願います。
  3. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 私佐賀県知事をいたしております鍋島でございます。簡単に本県におきまする給与状況につきまして申上げますと共に、先般来御承知通り七月分の給与につきまして分割払いをしなければならないような財政状況になつたのでございます。この点につきましては、私責任者といたしまして、非常に申訳なく且つ責任を痛感いたしてるのでございますが、その状況につきましても併せて申上げたいと考えておるのでございます。  要するに、給料分割払いの点におきまする地方財政の問題に密接な繋がりを持つて来るのでございますが、先ず総括的な問題といたしまして申上げますと、多少数字に亘るかも知れませんが、昭和二十六年度の佐賀県の予算四十二億、うち十三億が教育費でありまして、三一・八%、二十七年度が五十億の予算うちで十二億の教育費でありまして、端数は切捨てます、三三・一%、二十八年度におきまして未曾有の災害がございましたので予算が膨張をいたしまして七十四億、うち二十億が教育費でありまして二八・三%、現在これは節約をする予定ではございますが、二十九年度に八十億の予算を一応組んでおります。うち二十五億が教育費で三一・七%というような、大体三〇%ちよつというのが平均であろうかと考えておるのであります。そういうような状況の中でございまして、二十九年度の四月一日の現在におきまして、児童数学級数で割りました一学級当り生徒人員が、私たちの資料におきましては四四・二に小学校においてなつております。中学校におきまして四六・七六ぐらいになつております。なお教員の配当の面におきましては、予算的には実は一・三程度に一学級当りつておるかと思うのでございますが、実際上の配当は恐らく、私直接の教育委員会事務内容は詳しくわかりませんですが、予算的には一・三に近いのでございますが、実際上は一・二を切つておると思います。一・一八くらいであつたと思います。これは小学校中学校におきましては予算の面から見ますと一・六くらいになつておるかと思います。併し実質の学級当り教員配当率は一・四四か四五くらいになつておるかと思います。この点財政上の影響が非常に強く来ておるのであります。  次に、給与の問題につきましては、只今申上げました学級数の率の問題、或いは一学級当り生徒数問題等につきましては、生徒数の点では佐賀県が或いは全国平均より多少多いのではないかと思います。併し配当率の問題の、実質の配当率の問題につきましては、恐らく全国的な平均より多少下廻るか、その前後であろうかと考えております。  それから次に基本給、学校教職員給与の問題でございますが、小学校におきまして一万四千六百十二円、これは全国の平均に比しまして相当低くなつております。中学校におきましては一万六千八百七十四円、これは二百七十六円、多少上廻つておるんじやないかというふうに考えております。高等学校におきましては一万九千百五十九円、これは全国平均よりちよつと下廻つておる指数ではないかと考えておるのでございます。  そこでそのような状況の中におきまして、それではいわゆる基準財政需要額からどの程度一般県費教員給与に持ち出しておるかということになるわけでございますが、大体二億ちよつとであります。昭和二十六年度におきまして二億から三億の間であります。昭和二十六年度におきまして二億七千万、昭和二十七年度におきまして三億六千万、これは二十七年度に高給の職員が非常にたくさん教育庁になる関係上やめ、恐らく退職金その他が非常に殖えた関係であろうと思います。昭和二十八年度におきまして約二億五千万というものが、実は一般基準財政需要額を超えまして一般財源教育費へ持ち出しておりますところの額でございます。  大体以上のような状況給与がなつております。そこで基本的な私の態度といたしましては、御承知通り義務教育は国家の施策でございますので、飽くまで平均、いわゆる国民全体が同じその施策の恩恵を受けなくてはならない、従つて義務教育にでこぼこがあつてはならない、いわゆる佐賀県の教職員であり、生徒であるがために隣の他の府県から見ると教育程度が下であるとかという形であつてはならない、おのずから限度がございましようけれども、何とか義務教育の面は全国民が同じに施策の恩恵を享受するという形におきましてして行かなければならないということであります。で、そういう意味におきまして、どうしても地方財政というものが如何に苦しくあつて多少ここに赤字の懸念がありましても、やはりこの点は私として責任者といたしましては、自分の県民だけが余りにも間隔のあるところの教育を受けて行つた場合、非常に多くの影響を及ぼすということを第一に痛感いたすのであります。  第二に、そういう教育そのものが、大部分が人件費であり、今のように持出しておるのでありますが、教育そのものの実態が、これはもうすでに教育の御専門家でありますから申上げる必要はないと思いますけれども、一般の県の事業その他に比べまして、人件費そのもの事業費的と言つちや非常に言葉に語弊があるかもわかりません。併し人件費そのもの一般事業費或いは人件費と観念的に分けますものとは違つて教育人件費そのものがやはり事業費的な事業を行う、いわゆる人間に対して人間が教えるのでありますから、人件費がやはりそういつた面事業的な素質を基本的に持つておる、いわゆる教育というものがそういうものだというふうに、多少言葉の語弊がございましようけれども、考えて、教育費の点につきましてはできるだけの予算措置なり何なりを考えて来ておるのであります。で、そういう状況におきまして今日まで実は参つたのであります。ところが御承知通り府県財政赤字原因等につきましては、すでに申上げる必要ございませんが、簡単にいわゆる義務的費用、いわゆる国家政策の全くの根幹でございますところの義務的な費用、いわゆる国庫補助裏付けであるとか、或いは公共事業裏付けであるとか、社会保障事業のいろいろな面におきますところの生活保護費県負担であるとかいうような、或いは給与の問題、いわゆる国家公務員が上りますと、人事院勧告によつて我々もそれに従つてスライドしてべ—ス・アツプをするというような義務的な面、そういうような点のみを取上げて申上げましても、これは多少数字的になりますが、給与改訂費が、昭和二十六年度から二十九年度までの間におきまして約八億佐賀県においてベ—ス・アツプその他の関係において上昇をいたしております。それから生活保護保健衛生伝染病予防といつた真義務的ないわゆる県費を以て国費に裏付けをするいわゆる地元負担をするというのが約四千万、それから現在災害その他におきまして起債をお願いいたしまして、去年十三億、それ以前のものが十八億、合せまして三十一億に亘るいわゆる県の借金を持つております。これの返還金を約二億と合せますと十億くらいのものが、実は昭和二十六年度から九年度までに義務的費用のみを考えましても、必然的に膨脹をいたしておるのであります。これは国家施策の真に根幹に繋がるものでありますと共に、義務的に金を支出しなければならないものでございます。にもかかわりませず、一般財源の伸びは、県税収入におきまして三千万、平衡交付金及び本年度から来ますところの譲与税入場譲与税等を合せましても二十六年度から二十九年度の伸びは五億四千万、合せまして約六億前後、従つて差引四億というものが全くの真に国家施策に繋がり、これはどうしても全国民が平均に享受すべきところの政策そのものにおきましても、私たちのようないわゆる窮之県におきましては四億の持出しをしなければならない、いわゆる義務的な支出の増に対しまして、収入というものは伴つていないという状況になるのでございます。この基本的な問題は、全体予算の中で一三%或いは一五%、その前後を浮動いたしまするところの県税収入であります。そのほかに平衡交付金を合せまして、一般財源といたしましても大体自主的な財源というものは、実に全予算の二割八分前後でありまして、三割をすでに二十八年度切つた、いわゆる七割以上七十数パ—セント国庫支出金、いわゆる国庫にお願いをするというような状況になつて、ここに赤字というようなことに至らざるを得なかつたのであります。この間のいろいろな事務は詳しく申上げませんけれども、昨日地方行政委員会におきまして申上げて実は御批判を頂くべくいたしております。これは最善の策を私としましてはまじめに、放漫であるとか何とかいうことじやなくして、一面節約もいたしましてやつて来た結果が以上のような状況になつておるのでございまして、これは一個人の責任を以てやることでございますから、多くの誤りがあろうと思いますが、率直に一つ御批判を頂きたいと思うのであります。  そこで最後に実は七月分の給料分割払いの点につきまして簡単に申上げます。これはそういつた予算措置赤字というもののほかに、いわゆる県の歳計、現金の資金繰り、いわゆる資金繰りの問題があるのであります。本年度に入りましてから、上四半期資金繰りというものは非常に苦しくなりまして、実は二億五千万余を国からお借りをいたしまして資金操作を行い、六月になりまして約三億五千万の地方交付税を頂いたのであります。ところが佐賀県におきまして警察職員一千三百、それから教職員八千、県庁職員三千二百と思いますが、大体その前後の数の給料が月二億でございます。月二億のほかに六月には期末手当といたしまして〇・七五分一億三千五百万円、これをお払いをしなければなりません。一面におきまして災害復旧或いは一般行政というふうに切り詰めましても、どうしても災害復旧の点に相当の支出をいたしませんと一般業者の面に、或いは中小企業影響を及ぼすというような苦しい中におきまして六月三億五千万円を損いたのでありますが、そのほか国庫補助等々参りましたけれども、どうしても一般支払とそれから雨季前におきます、いわゆる梅雨が降る前におきますところの災害復旧を極度に急いだ関係におきまして、資金繰りにここに非常に窮況に陥つたのであります。そこでこの資金繰り窮況原因の第一といたしましては、去年二十八年度から実質上の赤字、いわゆる支払を了した赤字といたしまして繰越して二十九年度分で払いましたところの二億七千万約三億近い金と、それから次に原因の第二におきまして実は昨年災害が非常に起きておりまして、土木災害のみにおきまして三十億の災害を受けております。ところが当初三割或いは五割というふうな勢いで復旧をいたすような御予定もあり、特別立法等もできたのでありますと共に、私としましては全力を挙げて次の雨季及び次の台風期間前に何とかこれを一応めどのつくまでいたしたい、そういたさなければ農地復旧にしろ道路にしろ或いは橋梁にいたしましても次の堤防の崩れた下の復旧ができないという有機的な関連におきまして実は十二億五千万の工事を去年の夏から強行いたして参つたのであります。ところが本年二、三月になつて予算措置そのほかが明らかになつて参りましたときに、約六億五千万の御予算措置願つただけで、約六億の認証外工事、いわゆる仕越し工事をいたしたことになつたのであります。そこでそれに伴いまして、仕越し工事でございますので、どうしてもこれを二十八年度の金から払いませんと雨委前に何としてもこの工事が終了しないし、業者に迷惑をかけるというような形におきまして、実はこの仕越し工事費六億が大きな一つ財政資金のやりくりに影響を及ぼして参つたのであります。これは私の責任でございます。認証外六億をやつたということがよかつたのであるか悪かつたのであるか。併し私といたしましては、現場の実情なり堤防の実情と次に来たるべき雨季それから梅雨季等を考えますと、どうしても時期的にそれを完遂して来なければ更に大きな惨害を及ぼすということを考えまして実は実行いたしたのでありますが、御批判の余地があろうかと思つております。ただ、本年は幸いに一億近く平年度より少い程度の被害でございましたけれども、その点は多少効果があつたと思つております。  原因の第三番目におきまして、御承知中小企業なり中小炭鉱、特に佐賀県におきましては炭鉱が七十幾つございましたものが現在四十九ぐらいに減つております。而も三千五、六百から四千近い失業者を出しておりますと共に、現在非常に苦しい炭鉱が方々にあるのであります。これの救済のため、いわゆる少くとも飯米或いは味噌ぐらいは何とか県独自の立場からも多少貸出す必要があるのじやないかと、これは経営者に貸出しまして厳重に監督してそうして行くの百でございますが、勿論学童等への遅欠酒も多少起つておりますし、その救済のため或いは中小企業零細企業のため約一億銀行に預託をいたしまして、そうして貸出しをしておるのであります。その資金が動かなかつたこと。  それから第四の原因といたしまして、従来までそういつたいろいろなことは資金繰り関係におきまして一般金融市場が非常に協力をしてくれまして、これはどの県もそうであると思いますが、佐賀県におきましても二億や三億の金は十日とか或いは十五日とかいうふうに国庫補助収入の季節的なズレ或いは地方交付税のズレ、支払等関係におきましていろいろな協力をしてくれまして、実は割合に簡単にスム—ズ資金繰りがついておつたのでございます。ところが遂にどうしてもつかなくなりましたと共に、この一般市中金融が杜絶しまして、殆んどそういう金融の途をやることができなくなつた。更に政府資金引揚げが非常に強化され、短期資金等もお借りいたしておりましても、どうしても返してくれというようなことで、私としましてもお返ししなければ次に貸しても預けませんので、どうしてもお返ししなければならないという、一般金融市場及び政府資金引揚げというようなものが実は総合して原因なつたかと考えております。併しこの点は多少私は見方といたしましては、責任者としましては見方を誤まつてつた、いわゆるもつと深刻にこの点を考えるべきであつたということを実は反省をいたしておるのであります。  以上申述べました四つの原因等が一緒に重なりまして、佐賀県におきまして資金繰りの窮乏の状態に陥つたと思います。特に六億に亘る災害復旧の仕越し工事というものが、実は金融上の資金融資と共に特別な私の県の事情といたしまして浮かんで来るのではないかと思つております。従つて六月の期末手当を一カ月遅らせまして七月十五日に支給いたしました。そうして七月二十一日に払います俸給につきまして何とか全額を払いたい、二億全額を払いたいということで大蔵省との交渉も始め、市中金融との交渉もございましたが、市中金融の交渉が行詰り、大蔵省も多少時期的にお遅れになるというような点がございまして、どうしてもできなかつたのであります。一面教職員組合関係は二十一日から学校が休みになるからその前に給料を渡してくれという要望を受けましたので、実は一日繰上げまして半額だけをそれじやお渡ししよう、そうしたらあと資金がついてから、一週間ぐらい遅れるだろうと思うが、資金がついてからあとの半額をお渡しようというようなことも実は私としてはとらざるを得ないという事態に陥つたのであります。併しその後自治庁大蔵省の御協力を得、御尽力を得ますと共に、実態を御認識頂きまして一億八千万円の政府財政調整資金を七月二十七日でございますか、八日でございますか、即刻とつて頂きましたので、七月分におきましては、ここに一応分割払の点は終了し、無事あとの分を払いまして一般支払も済んで何千万円かを持越して八月に入つた、こういうことになつたのでございます。八月分につきましては地方交付税早期支給等の問題もございますので、更に努力をいたしまして、もう今後かかるようなことのないように私は全力を挙げるつもりでございます。  以上が大体私の県におきます教育関係給与費状況分割払いをせざるを得なくなりましたところの主な原因であろうと考ております。どうかよろしく。
  4. 堀末治

    委員長堀末治君) どうぞ御質疑を願います。
  5. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部委員会ですから、私は地方財政全般の問題についてお尋ねするということは少し差控えたいと思います。主として教育費の問題についてお尋ねします。これは地方財政が最近非常に困窮状態にあるということは全般的な傾向じやないかと思うのです。その中にあつて、いろいろ御苦労なさつている点については、私どももよく了解しておるところでありますが、併し地方財政困窮ということが教育費の面に相当しわ寄せされて来ている実情、これは見逃すことができないというふうに考えております。で、これにどう対処して行くかということについては、やはり根本的に地方財政の確立を図つて行くということ以外には私はないと思いますが、それは暫らくおきまして、二、三の問題についてお尋ねしたいと思います。今知事さんのお話の中にもありましたが、佐賀県は相当炭鉱地帯として北九州炭鉱地帯の一部をなしておる。昨日も高田委員から質問があつたのですが、炭鉱地帯における不況、これが相当広範に生徒児童に非常に気の毒な状態になつておる。特に最近は長期欠席とか或いは欠食児童が相当殖えておる、それから学用品等についても用意できない子供が殖えて来た、こういう問題が起つておるようでありまするが、こういう問題についていろいろ知事さんとしてもお考え頂いておると思うのです。これは知事さんの私は責任であるという意味でお尋ねするわけでじやないのですが、昨日も文部大臣にこの問題について政府としても特別な考慮を払う必要があるのじやないかということで、閣議にこの問題を取上げて、その対策を講ずべきじやないかということを文部大臣に質しましたところ、これは閣議で取上げて、その対策を考えたい、こういうことでありました。従つてこれは佐賀県知事さんの私は責任においてお尋ねする、こういう意味ではありませんが、いろいろこの問題についても御心配頂いておると思いますが、どういうふうな施策をとつておられるか、お聞きしたいと思うのです。
  6. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 実は炭鉱状態につきまして、中小企業関係うち佐賀県が最も炭鉱が酷いのでございます。それで先ほど申上げましたように、七十幾つのものが現在四十九ぐらい動いておりまして、うち二、三まだ相当困難なものがございます。一番酷いのになりますと、四月以降月に三千円、四月に三千円、五月に三千円、それから六月に至りまして千円だけしか坑員に賃金が渡つていない。この遅欠配の総額が約二億になつておりますと共に、失業状態と申しますか、そういう人たちの、全く失業した人たちの別に今のような状態が現出しておりますと共に、特に申上げておきたいと思いますこと。一つが約千五、六百人の新屋敷と申します炭鉱であり、一つが千人くらいの坑員を持ちます岩屋と申します炭鉱であります。そういう大炭鉱になりますと、全く小さい百人、二百人の炭鉱と別の様相を呈して参りまして、関係家族四千人乃至五千人という状態になつて行くのでございます。現在欠食児童或いは長期欠席人たち調査、今教育委員会からの御連絡で大体数字は古いのでございますが、そういう該当したかたがたが今まで五十人乃至百人近く出たのではないかと思つております。なおそのほかに高等学校月謝滞納が相当出ております。この点につきましては、一応先ほど申上げましたように、そういう炭鉱に対しまして県独自の立場から、一面におきましては飯米資金と申しましていわゆる米代、味噌代だけを銀行預託をして経営者が担保を入れて借りまして、厳重な監督の下に労働者かたがた、労務者のかたがた味噌、醤油、飯米だけは確保するという態勢をとつております。併しながら一般的な風潮がその通りでございますので、第一段階として、その町村自体において徹底的に調べまして、そうしてその際は緊急措置をとつて、いわゆる町村或いは何かによつて救う。現在におきましては割合町村関係で一応その点何とか賄つておるというような状況になつております。或る所におきましてそういう事態を発見して直ちに村において飯米なり或いはその他の手配をして済んだというような状況が多いのでございますが、県まで参りましたのが大きな炭鉱の場合に約二件あつたと思います。県のほうは直ちに食糧課そのほか教育委員会連絡をいたしまして即日或いは欠食児童に対しては給食をする、一応PTA会費を立替えてでも給食をするというような形において進めておる次第でございます。なお高等学校月謝の前におきましては、調査の結果数十人でございましたか、減免、免除いたしております。そういうような態勢におきまして実は今日おつて、県に上つたのが一、二件ありましたぐらいで、大体町村関係において措置をせられ、そうして県が負担するところは負担するしやつて行くという態勢をとつております。この点実は県の単独事業或いは単独的な形になりまして、実は県費を出さなければならんというようなことにもなるのでございますけれども、事態が治安問題に関するような状況になつておりますので、私としましては以上のようなことをやらざるを得ない立場にございますので、御了承願いたいと思います。
  7. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 いろいろ御配慮を願つておるということについては、私も非常に心強く感ずるわけでございますが、ただこういう困難な状態を打開して行くのには、私は県の負担では、特に佐賀県のようにお困りの状態では非常に困るのではないか。それについて政府予算の中にも生活保証法による救済費というものは相当額あるわけです。特にその中で生徒児童に対する救済費というものは十五億があるわけです。こういうふうに北九州炭鉱地帯における困難な状態というものは、私は他の一般と同じように論ずることはできないと思います。そういうお意味において国庫予算の中から相当重点的にこの方面に支出すべきではないかというふうな考えを持つておるわけであります。こういう意味にゆいて知事さんのほうから政府に相当強く要請されて私は然るべき問題じやないかと思いますが、こういう問題は如何でございますか。
  8. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) この点につきまして今御質問通り我々は数カ月前から実は御要請を申上げておるのであります。この欠食児童、我々の立場から申しますと教育関係の欠食、長期欠席、或いは月謝滞納というような現象のみならず、今日の石炭対策としては総合的な問題として、その一環の大きな問題として数回石炭県のみの知事会議を開きましたし、或いは九州の石炭関係知事会議も開きました。政府御当局に対しまして何とか地方財政もこのような状況でありますし、全般的な国家的な問題でもございますので、これに対する基本的な対策をお願い申上げたいということを申しておるのであります。現状におきましては、私のまあ個人的私見かもわかりませんが、労働問題というものを実は私の県の場合通り越しまして、もうすでに民生或いは社会保障という基本的な問題にまで今日の炭鉱の情勢は進んでおるとまあ見ておるのでございます。
  9. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これに対するまあ政府側の所見というものは昨日若干お聞きしましたが、なお昨日の要望にあつたように、どういうふうにこの地方の要望に応えるか、これは後ほど聞くことにいたしまして、私はこの点一つ知事さんにも激励をして、これは当然政府から、相当な予算もあるし、これは重点的に配分されなければならんということをこの際激励しておきます。  それから先ほど佐賀県においていわゆる教職員に対する給与の遅払いと申しますか、分割払いを止むを得ずしてやるというお話でございました。それから更に県財政全体が相当な赤字であるので、今後相当額に亙つて節約をしなければならんというお話がありました。これは私は御尤もな御意見であると思うのですが、併しこれによつてやはり教育面にしわ寄せが来るのじやないかということを我々としては心配するわけです。先ほどのお話を伺いますと、教員の定数にいたしましても、或いは教員給与にいたしましても、決して私は全国平均に比べまして高いとかいい条件にあるというふうには判断できないわけです。これは主務省側に私は後ほど編明を求めたいと思いますが、いろいろ従来出されました文部省側の資料と対照いたしまして、佐賀県の教職員の待遇が全国平均に比べていいとは私は言えないと思います。それから定員の問題についても、先ず中間程度にあるのじやないかというふうに判断せられます。こういう状態であるのになお今後赤字財政を克服するために県財政を節減する、こういうことから教育費節約されるということになつて来れば、私は相当教育の効果の面において低下を免がれない事態が起るのじやないか、こういうふうに考えておるわけなんですが、そういう点について知事さんの御見解を伺いたいと思います。
  10. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 只今の点につきましては、私が一審苦しいところでございます。御承知通り、先ほど基本的な態度というものをちよつと申上げたのでございますが、佐賀県の或る所が福岡県に隣り合せ、長崎に隣り合せ、北九州の工業地帯を近くに持つておりながら、殆んど農村的であつて見るべき工業がない、いわゆる都市的形態をしたところがない、こういう状況のために実は今日只今申上げましたようなところに来たのでございます。併し一面先ほど申上げましたように義務的な、いわゆる国家政策根幹であります義務的な面の県の負担分すら事欠くようなことになり、而も税収は十数パ—セントといつたようなことでございまして、再建整備計画等を立てて参ります場合におきましても、結局人件費、或いは税収の増徴ということにしわ寄せされる懸念があるのであります。それ以外に実は収入の途というものを、収入を一面多くするという場合におきましてはこの二つにしわ寄せされる。しわ寄せというか、それが車点になる。一面節減の点はやはり人件費なり何なりに、この支出の面におきましてはなつて行くということになつて参りますときに、この一般的な平均義務教育をできるだけやらせるということと、県の財政実態を再建整備して行く場合どこに影響があるかという点は、両方から挟まれまして非常に苦しい立場になるのであります。そこで、基本的には一応一般財源の面において交付税なり何なり、特殊事情なり、実態を御覧頂きまして、差当りは増額をして頂きますと共に、基本的に地方税、財政制度という形に持つて行くわけであります。これに対しましても、我々としてはやはり地方におりまして政府の御協力を得る以上、それに即応するだけの誠意と熱意を持つて節約すべきところは節約をするということを進めて参らなければならないと思つております。で、その間人件費節約の場合におきまして、やはり教職員教育費の面におきましても或る程度、いわゆるそのどの程度ということは我々は教育委員会とお話を進めて参らなければなりませんし、総額等につきましての内容の具体的な面は教育委員会においてそれぞれなさるわけでありますが、私の立場からは、総額において少くともこのくらいは一つ節約をして頂けんだろうかという御協力を得るべく現在努力をいたしておるのであります。で、その点教育委員会のお立場も尊重いたしまして、私といたしましては、この節減をどうしても或る程度は行わざるを得ないという状況に入つておるということを一つ御了承願いたいと思います。以上でございます。
  11. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この問題については、私自治庁とそれから文部省に対して若干この機会に尋ねておきたい。それは、この前の文部委員会の際にも……。
  12. 堀末治

    委員長堀末治君) ちよつと荒木さん、それでは鍋島さんにはお帰り願つてようございますか。
  13. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 知事さんにはまだもう少し……。
  14. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは成るべく知事さんの質問を先に……。
  15. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 どうも今の知事さんの答弁を聞くと、この際文部省と自治庁に聞いておかなければ要領を得ないという点があるのです。
  16. 堀末治

    委員長堀末治君) それではどうぞ御質問下さい。
  17. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでは初めに文部省に聞きたいと思うのですが、この佐賀県の教育費は、これは私は決して贅沢な使い方をしておらんと思うのです。むしろ非常に切詰めてやつておられるというふうに見るのですがね。併し、今の知事さんのお話ではどうしてもこれは若干の節減をせざるを得ない状態にある、こういうお話である。そういうことになれば、私は教育上その効果の上において相当教育効果の水準が低下する虞れがある。これは非常に大事な問題であると思う。この問題は私は佐賀県だけの問題でないと思います。京都にも起つておるし、それからその他にも起つておる。今後も起ると思います。こういうことに対して文部省としては、こういう事態に対してどういうふうにせられるかという問題。  それから、自治庁に対しては、この間の説明なり、地方自治団体に発した通牒などは、教育費を出し過ぎているから赤字が出ていると、まあ簡単に言えばこういう大体考え方のようなんですが、これは僕は自治庁としてのいろいろお考えはあると思うのですが、これは非常に教育を軽視した考え方が基本になつているのじやないかと思います。で、大体佐賀県においても、これは文部省が決定した基準に比べて決して高くないのです。そういう状態にあつて教育費が多いと、こういうふうな見方をするということは、私は教育を軽んじていると思う。こう言わざるを得ないと思います。そういう点について、自治庁としては行き過ぎではないかと、私はこういうふうに思う。そういう点御答弁願いたいと思います。
  18. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 只今の御質問地方財政の面から来ます教育費の削減の問題でございますが、これは非常にむずかしい問題であると思います。お話の通り佐賀県の先ほどの御実情を承わりましても、これは決して現在の全国平均の実績を上廻つているとは考えておりません。定数にいたしましても、一学級当り児童数にいたしましても、全国平均を上廻つているとは考えません。ただ併し、先ほど知事さんからお話があつた、全般的な地方財政、県財政の建前からしてあらゆる面において節約せざるを得ないということでありますが、然らばその節約が果して教育水準を割るかどうかということであります。又言い換えますと最低の教育水準をどの辺に抑えたらいいか、かような問題と思うのでありますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、これは全国平均をとつて見ますと、先ほど申しましたようになるのでありますが、ただ私どもといたしまして、県の財政の面からいたします只今のお話に対しまして、これは別個の観点から考えなければならないのですが、その県の財政の面からいたします経費節約の面からいたしまして、これは財政全般の問題でございますから、教育だけの面からはちよつと申上げることはむずかしい問題じやないかと考えます。
  19. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 自治庁から先般地方に対しまして経費の節減についての通知を出したわけでございますが、その点について何か教育費を軽視するような考え方に立つているのではないかという御心配の御質問でありますが、特にそういう教育費についてだけそのような感覚を以て考えるということは全然ございません。自治庁といたしましては、国の予算の実行につきまして、今年度は相当大幅に緊縮を行い、又投融資計画におきましてもこれを相当大幅に圧縮せざるを得ない。こういうような事情でございまして、過般その趣旨が閣議で決定せられたのでございますが、自治庁といたしましては、そういうような国の予算節約或いは投融資計画の圧縮によりまして、その国の予算或いは投融資計画等において充たないところを地方が更にこれをプラスしてみなければならんというようなことになりますと、いわゆるしわが地方財政に寄ることになりますから、そういうようなことがないようにしてもらいたいということを最も強く考えているわけでございます。と同時に、国があのような予算なり投融資計画におきまして緊縮を行うということでございまするならば、地方公共団体といたしましてもやはりその趣旨に即応いたして、地方財政の運営において節減を能う限り考えてもらう、こういうことはどうしても公の財政の問題としては相通じて考えなければならんことと考えますので、そういう趣旨を先般閣議で御決定になり、その趣旨を実は自治庁から地方に連絡いたしたわけでございます。この中には例えば歳入につきましても、できるだけその徴収の確保を図つてもらいたい、いろいろ事業の経費につきましても、極力圧縮してもらいたい、或いはいわゆる冗費が地方に相当にあると思われておりますが、そういうような種類はもう全くこれはなくしてもらいたい、いわゆる大名旅行というものは勿論これはやめてもらいたいといつたような、各種のことを列記いたしまして要望いたしました中の一つといたしまして、人件費給与費等につきましても、やはりできるだけこれを合理化してもらいたい、こういう意味のことを言うているわけでございます。これは特に教育費についてどうこうということを申しているわけではないのであります。自治庁といたしましては、地方財政全体としてやはりこれは緊縮をし節減して頂きたい、こういう趣旨のことを先般通達をいたしたのであります。
  20. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の問題については、なおこの前の質問の続きとして若干残つておりますので、あとでお伺いいたします。  それからもう一つ知事さんにこの際お尋ねしておきたいのは、人件費とからんで事業費の節約という問題が起つて来るのじやないかと思うのです。そこで学校の場合ですね、事業費を節約するということになると、これは従来の例から考えまして、この負担がPTAのほうへ肩代りされるのじやないかというふうに私どもは考えるのであります。そういうことになれば、県財政の上からは節約ということになりますが、これが父兄の負担として形を変えて出て来る、こういうことになれば、その節約というものは意味をなさないことになつて来るというふうに考えるわけなんですが、こういう点について知事さんのお考えを伺いたいと思います。
  21. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 今御質問通りでありまして、事業費を特に制限をして行きます場合、学校運営というものは先ほど申上げましたようなやはり一般の県の事業と違つた面があるのであります。そこでそういう点は教育委員会との私の立場から申しますと話合いでございますので、実際の財政措置の場合、教育事業費及び一般事業費というものの性質を多少分けまして、そうしてできるだけ教育事業費について肩を入れるべく、実は今日まで当初予算の査定から恐らく、内容をちよつと具体的には今資料がございませんが、教育関係事業費のほうがずつと有利に、ずつとと言うほどでもございませんでしようが、苦しい中でも有利のように査定もし、縮減もお願いするつもりであります。ただPTAの肩代りの問題につきましては、御承知のような財政状況でございますので、やはり今日多少PTAにこれから加重するということは考えられないにしても、今日では相当PTAの御厄介を受けておるということは私率直に認めざるを得ないと考えております。この負担をできるだけ軽くするように、私としましても、苦しい中で努力をして、そうして一般事業費と教育関係事業費というものを分けて、教育関係のほうにできるだけよくするという態度はとつておるのでございます。  なおそのほかに実は佐賀県の特殊事情として附加えますが、高等学校の営繕の問題があるのであります。実は全般的に見まして、最低の基準坪数から見ましても、佐賀県は恐らく一万何千坪が文部省の最低基準から見て不足をいたしております。その中に実は五十年以上の老朽校合があり、この戦争の際に佐賀以は被害を実質上受けておりませんので、実際上の老朽校舎というものが多くなつておりまして、恐らくそういうものの緊急に何とかしなければならんというものが一万坪近くあつたのじやないかというふうに考えております。従つてこの営繕の問題、これは県の単独補助の問題になつて、やはり県費が要ることになるのでございますが、こういつた特殊性というもの、いわゆる県のこの老朽校合、非常に危険な校舎も相当あるわけでございまして、これの営繕、結局県の単独事業ということになつて参りますが、この点をも何とか……何も国におすがりしておかしいようでありますが、この際のことでありますから、国家においてお認め頂いて御協力を頂くならば、高等学校の営繕の分だけでも、いわゆる教育一般事業という面だけでも廻せることができるのじやないか、非常に本県において特殊事情かもわかりませんが、負担が多くなつておることを申上げたいと思います。
  22. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 今の知事さんのお話では、事業費の節約に伴い若干のPTAの負担の加重は免れないのじやないか、こういうお話がありましたが、これは一つ極力避けてもらいたいと私は文部委員立場として特に申上げたいと思うのですが、それから今お話になつ高等学校の老朽校合の問題ですね、これは確かに私は国庫補助の対象になつておらないという点に、相当政府としても考慮すべき問題があると思うのです。これは後の問題といたしまして、要するに地方財政赤字のために今後そのしわ寄せが教育費に来るということは、知事さんの説明を通しても大体窺えると思うのです。併し一面佐賀県の教育費が決して贅沢には使われておらない、全国の他県に比べて見ましても決して多いほうでない、そういう点を少し考えて頂いて、私は教育費において圧縮されないように一つ最大の努力を払つて頂きたい、そういう意味において当文部委員会としてもやはり教育を守るという立場から、これは皆さんに協力して頂ける問題じやないかというふうに考えるわけです。そういうことを申上げて私の質問を終つておきます。
  23. 中川幸平

    ○中川幸平君  一、二知事さんにお尋ねしておきます。実は石川県でもあなたの県のお話と殆んど同一であることを県の当局のかたが語つたこともありますが、今のお話を聞きますと、国の政策について知事としていろいろ苦心をしていらつしやる、御尤もでありまするが、公共団体も一個の経営体でありますから、如何に国家の政策でありましても県の財政で国策に準拠できない場合もあることであります。只今の小学校の一万六千なんぼ、中学校の一万七千なんぼ、高等学校の一万九千なんぼ、これは現実には過大ではないというお話でありますけれども、大体我々ちよつと調べてみましても、国家公務員よりも地方公務員のほうがどうも上廻つておる形勢があるようであります。その点についてお伺いしたい。  いま一つは、年々の予算をお話になりましたが、災害復旧費は別といたしまして、そんなに急速に膨張した理由がちよつとわかりにくいと思いましたから、その点を一つ。  いま一つ炭鉱の窮状の問題をお聞きしますと、無論それらの従業員の学童などの救済はこれはやつて頂かなければならんが、ここに至つたということについてよほどこれは反省しなければならん問題がありはしないか。実は一カ月前ほどに我々自由党の政調会のほうへ炭鉱業者の陳情がありました。我々仲間で傍聴しておつて、どうもあとでいろいろお話して批判がありました。ということは、昨年、一昨年あたりの好況時代に経営者は贅沢のし放題、労働者は仕事をしないで賃金引上げにばかりかかつてつたということで、悪い炭も高くなかつたら納めないということから、成る人は基盤を変えて重油を輸入したり、外国炭を入れたり、そのたたりが今日に来ておるのじやないか。こういうデフレ下においては中小企業者は労使協調しなければ一つも立つて行かんのじやないかということを非常に痛切に感じておるので、それらの点について知事さんはどういうふうにお考えになつておるか、一つその点もお聞きしたい。
  24. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) 只今の第一番目の点でございますが、国家公務員及び地方公務員の給与の問題でございますが、これは基本的には国家公務員と地方公務員の給与が差がある、地方公務員が非常に或る意味では高いのではないかというようなことがすでに言われております。私どもとしましては、当初ありましたものから人事院勧告によるベ—ス・アツプをスライドして参つて来ておりまして、それ以上の昇給なり或いは昇格なり、いわゆる規定せられたもの以外には実はやつていないつもりでございます。又現に私の県などは窮乏いたしておりまするので、実質上においてこの点特に佐賀県独自の立場におきまして公務員の給与を上げておるというような点は、実は余り私としましては殆んど、いろいろ御批判はございましようが、ないと考えております。なお全国的な問題としてそういうものが今日までいろいろあつたのでございますが、実際上御調査頂いた結果、この調査の方法もいろいろあつて、多少多かつたという結果を大蔵省方面ではお出しのようであります。従つてその分だけ実は差引いて私たちのほうに経費をお出し頂く、我々のほうも実際の調査においてそういう点があればよく反省をいたしまして、或いは調節をとるというような形において今日まで来ておるのでございます、併しながらやはりこの点は今日まで全国知事会議とそれから政府御当局と、特に大御当局との見解の相違が実はまだ残されておりますので、私としましてはその精細なる調査、これは非常にむずかしい調査でございます。学歴から年齢、勤務年数等でいろいろありますので、私たちとしては殆んどそういう特に給与がいいというような形においては考えておりませんが、精細な御調査の結果、その反省すべきところは反省いたしたいというように考えておる次第でございます。なお佐賀県の立場は先ほど申上げましたように、非常にすぐ隣りに福岡県の北九州工業地帯を控えて、この又お隣りの県が非常にまあ非常にと言うことは失礼でございましようが、或る程度地方財政の面がよろしい、そういつたものと比較対象されて、すぐ隣りにあるという点で私の立場から見ますと県の境を異にするために極端な差ができておるという点は非常に又いろいろな問題をここに起しておるような次第でございますが、独立した県であります関係上、そういう県財政事態を眺めてそうして行きたいと思います。なお国家公務員と地方公務員の給与の点は、これは大きな問題として全国知事会議対自治庁及び大蔵省とのいろいろな御見解の中に現在その結論がまだ出ていないというような状況にあります。  それから第二の財政膨脹の点でございます。これは財政膨脹の率の表があるのでございますが、大体順次膨脹をして参りました率は、表によりますと全国の膨脹率より、いわゆる国家予算の膨脹率、これは殆んどの事業公共事業であり、国庫補助事業であり、更に教育関係があつて国家に繋がる面が非常に多いのであります。なお県税の収入が先ほど申上げましたように、一割なんぼしかない。あと平衡交付金、乃至地方交付税で頂いておる。従つて国家政策の進め方によつて国家予算の膨脹と佐賀県の予算の膨脹とが、大体佐賀県のほうが多少少いのじやないかというように実は表の面では出ておるのでございます。併し二十四年度に厖大な水害を受け、それから昨年度厖大な水害を受けまして、実は水害関係復旧の起債だけでも実は十三億頂いておるというような状態になつておりますので、二十八、九年度におきましては、只今御指摘の通り非常な、多少膨脹が極端に出ておるということは私認めていいと存じますので、この点一つ御了承願いたいと考えております。  それから第三番目の炭鉱の問題でございまして、只今いろいろ御指摘のありました点、そういう見方も勿論あるかと思います。ただ私たちとしましては、現実に県内に起つて参りまするこの実態を見ながらできるだけの問題として救つて行く以外に、過去のことそのものもございます。例えば私自身この県内の貯炭が余りにございますので、大手筋或いは大消費者等に伺つて何とか県の窮況を訴えまして、いわゆる貸金遅欠配なりの窮状を訴えまして、そうしてここまで申上げてはおかしいかと思いますが、うちの県の石炭を買つて頂きたいということを言つた場合、只今申上げましたような理由、或いは非常にその消費者のかたが窮乏した場合において、そういつた生産者のかたがた、会社なり何なりが道義的にこの石炭をよこされなかつた。非常に困つたときにはまあ値段を吊り上げてみたり、或いは何やかやということでどうしてもよごされなかつた。今困つたからと言つて貯炭を誰も、知事が頼みに来ても、実際本当に困つてつて先に道義的に救われたところから買つているので、とてもあなたのほうから買えないというお断りを実は私再三受けたような状況でございます。併しながらいろいろのいきさつを抜きにいたします。現実の賃金遅欠配の実態炭鉱の窮状ということになりますと、いわゆる県全般の政策という面から、できるだけのことを今日只今私としては責任者といたしまして最低の施策ということ、社会保障の施策ということはしなければならないというような態度をとつておる次第でございます。
  25. 中川幸平

    ○中川幸平君 お隣りの県と比較していろいろ御苦心の点もありましようけれども、やはり一個の経営体でありますから、それらの点については、公務員にしてもそれから又教職員にしても或る程度理解も要すると考えます。いろいろ御苦心なさることと思います。  なおこの機会に別の問題ですけれどもちよつとお尋ねいたします。教育委員会のあり方についてどういうお考えをお持ちになりますか。と申しますことは、一昨年の行政整理の際に、国家として行政委員金は殆んど廃止したのであります。これは民主的で非常にいい点もありますが、やはり内閣は政党内閣で責任政治ですから、行政は内閣に一元化する。但し諮問機関として委員会を残すという程度にして、ひとり教育委員会のみそのままになつたわけです。これは自由党で問題にしておるわけでもありませんが、これらはやはり県に一元化して、県或いは市町村に諮問機関としての教育委員会を置いて然るべきじやないか、これは私一個の考えですが、どうお考えですか。
  26. 鍋島直紹

    参考人鍋島直紹君) これは私の県の教育関係その他をやつておりますことから考えまして実態を申上げ、私個人の意見として申上げたいと思います。私たちが現在困つておりますことは給与権、人事権、いわゆる行政権というものが非常に教育関係においては複雑である。従いまして知事給与権を持つておると共に、県の教育委員会に全般的な義務教育の面をお話申上げます。併しながらとことんまで行けば人事任免権は地方教育委員会に負われてございますので、県教委のみではいけないといつたような状況になり、従つてその辺に行きますと、財政権と人事権というものが全くばらばらになりまして、私としましてどこにどうお話をお進めしていいかわからない。例えば知事自身が、これは極端な例を申しますと、教育費の削限なり節約なりを強硬に知事に御命令になり、知事もこれはどうしても節約しなければならんということで問題を持出しました場合、県教育委員会はとことんまで参りますと、実は人事権は地方教育委員会にあるから、できるだけの協力を得てそれを実行するが、地方教育委員会の人事権に対してはタッチできない、地方教育委員会のほうでは、極端な例を言いますと、知事給与権があるのだから、自分の独自の立場において人を任免し或いは配当人員を減らしてくれと頼まれても減らせないというようなことになりますと、そこで私たち予算節約の面におきましても実際上壁にぶつかるわけであります。そういうことが現に私の県に実はあつたのでございます。この点今日の教育制度の問題で、いろいろな点に私たちとしてはやはりにくい困難な点が一面においてある。そういう困難な点があることによつて教育の独立ということが保たれると思いますけれども、実質上非常にむずかしい問題になつて来るのであります。で、私としましては、この給与権、人事権といつたようなものがやはり一元化しておる、少くとも或る程度の力を持つて財政を見ながら人事或いは行政をおやりになる、これは私はどこでもよかろうと思います。或る意味におきまして知事に全部統轄しなければならんとは考えません。教育委員会でおやりになるならば、教育委員会御自身の財政において一つその財政を見ながらできるだけの教育行政、人事をなさればよい。そこに責任分担が妙になつておりますので、非常にやりにくい。だから知事にすれば、独裁的なことになるかも知れませんが、少くとも人事権と在政権、行政権というものが或る程度マツチしたもの、同じところにあるものという形において教育行政が行われますればスム—ズに行くのじやないかと私は考えております。
  27. 堀末治

    委員長堀末治君) 他に御質疑ございませんでしようか。それでは佐賀県知事さんにお帰り願つても差支えございませんね。それではどうも長い間有難うございました。   —————————————
  28. 堀末治

    委員長堀末治君) 次に前回に引続きまして文部省関係予算について御質疑をお願いいたします。
  29. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は地方自治庁と文部省に伺いたいと思います。今のお話を伺つても、赤字財政で困つているところはどうしても教育費節約して行かなければならん、こういう傾向が出て来ていると思うのです。ところが赤字財政で困つているというような府県は、やはり教育費も従来からできるだけ節約されていると私は思います。そういうところは教育給与にとつて割合水準が低いというのが実際じやないかと思います。ところが最近のように非常に赤字財政で窮迫を告げているというような事情になつて来ると、貧弱府県といいますか、こういう言葉は悪いかも知れませんが、財政能力の低い府県ですね、そういうところはどんどん教員給与なども下げて行かなければならない、下げなければしようがないと、こういう事態になつて来て、これを全国的に見ると、教員給与のアンバラスが今後非常にひどくなるということが予想されるのです。こういうことは非常に好ましくないことだと思いますが、これは文部省のほうから所見を伺いたいと思います。  それから先ほど自治庁にお伺いしたのですが、教育費を圧縮するというようなことは言つていないというのですが、併しながら個々には教育費がかなり多いから減らせと、こういう御注意をしておられるように私は聞いておるのです。そういうところは大抵教員給与も低いのです。そういうところは又圧縮せいということになると、ますますこれはひどくなると思うので、これは自治庁だけの赤字財政を克服するというような立場でこの問題を進めて行つたら、日本全体の教員給与のアンバランスというものが非常に私はひどくなると、こういうふうに考えます。そういう意味で両者から御弁答を願いたいと思います。
  30. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 特にいわゆる貧弱府県におきまして財政節約のしわが非常に寄せられて来たということでありますが、先ほど佐賀県知事のお話を伺いましたが、佐賀県におきましては、私が先ほど申上げましたように、全国の二十九年度の五月一日の指定統計でありますが、これによりますと実績とこれとは懸隔がないようであります。従いまして非常に低いということはありませんが、併しながら全国平均より上廻つているということは言えると思います。併し県によりましては、或いはこれは一応御承知のように、教育公務員特別法によりまして、いろいろの国の基準で一応の水準は保つて行こうという規定によりまして、国の基準と比較して見ますと非常に高いところもあるのであります。併しながら私どもといたしましては、教育立場から申しますと、府県財政一般の問題が教育費の面にしわ寄せされるということは非常に遺憾に思います。そういうことがないようにお願いしたいと思うのであります。御承知のように国庫義務教育に対します、国庫負担いたします責任は実績の半額負担ということになつております。地方財政におきまして事実上地方におきまして支出されました半額国庫負担して行く、かようなわけでありますが、併しあと半額というものはこれは府県一般財政負担されるということになりますので、この面の影響が事実上及びますことは或る程度止むを得ないのじやないか。そういう結果、今お話のように府県間にアンバランスが遡ることは遺憾なことであります。一応国の基準といたしましては、法律上は国の基準によると、かようなことでありまして、そこで各県におきまして先ほど申上げましたように、国の基準を相当上廻る府県におきましては一時抑えようということも或いは出て来ようかとも思いますが、文部省の立場としては、成るべく給与水準は、現在よりも引下げたくないことを希望いたします。先ほど申しましたように、府県財政一般から来る問題でありますので、実際の問題としてはこれはなかなか困難な問題かと思います。
  31. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 何と申しましても最近の地方財政状況は、その原因を尋ねますといろいろございますが、とにかく二十八年度の地方団体の決算を今自治庁で集計中でございますが、当初三百六十億程度にとどまるのではないかと思つておりましたが、どうも若干それより殖えて四百億程度になるのではないかと今のところ考えられるのであります。これにはいろいろ理由がございます。殊に府県におきましては人件費と申しますものが非常に多い。地方公務員は財政計画上の人数が百三十五万でございます。そのうちの約半数を占める教育公務員は府県負担する。今回新たに警察公務員十六万程度府県負担に加わり、府県一般公務員がその他に二十五、六万というようなことで、全部で百万を超える人件費府県が背負つておるわけでございますが、府県の出しまするところの経費を人件費と物件費と申しますか、或いは事業費というものに分けますと、やはり人件費のごときいわゆる消費的経費、非投資的経費といつた種類のものが非常に多いのでございます。それでとかく人件費が多過ぎるという非難を、一般の経済界で能率主義の見地から人件費の多いのはいかんということと同じ考え方で非難される向が多いのでありますが、これは教育にいたしましても、警察にいたしましても、さような人的施設を維持すること自体が一つ事業なのでございますから、これをただ人件費が多いということで非難されるのは私は当らないと思うのであります。併しながら何と申しても、かように多くの人件費を抱えてましおる府県財政におきましては、この人件費を合理的に処理して行くということがやはり財政運営上最も大きなめどになると思うのであります。いろいろ先ほども地方公務員の給与が高いというようなお話もございました。これは確かに高いところもあるのであります。併し同時に又低いところがあります。高いか低いかということは、学歴なり勤続年数なり或いは勤務地手当というような関係もいろいろ考慮して参り、更に扶養家族の関係も考慮して参る、それらを総合いたしませんと高いか低いかという本当の結論は出て来ないのであります。併し大観をいたしますと、高いところもあり、低いところもあるというのが実際でございます。そこでそのように高いところがあり、低いところもあるというようなことは、地方自治体でございますから止むを得ないわけでございますが、国の財政計画の基礎としてとりますところの給与費につきましては、人員も一定の基準にとり、給与も高過ぎると思われるところは、それまで全部中央で財政計画において見るのではなくて、それは頭を切る、又現実の財政計画の線まで給与費支出しておりませんでも、これをほかのほうに廻してもそれはいたし方ないということで、要するに財政計画としては一つの基準をとり、又その財政計画に基きまして定めました地方交付税、今までの平衡交付金を配分いたしまする際には、これ又全国的に一つのきまつた基準財政需要額を見て出して行く、こういう形にいたしておりまするので、どうしても国としては必要以上のものを見ているわけではございませんのでありますが、現実に府県におきましてはそれ以上に出しており、或いはそれ以下にしか出さない、こういうことが今の地方自治の建前としては当然予想されるわけであります。教育公務員につきましては、国家公務員給与を基準として定めるという制度になつておるわけでございますが、そういう基準というものにはやはりおのずから或る程度の弾力性はあるのではなかろうかと思うのであります。国の給与法規をそのまま適用するということとは違うのでございますから、その違いだけは少くとも弾力性がございますので、上下の幅がそこにどうしても或る程度出て参ると思つております。これでは給与政策としては、そういうことは教育の機会均等から困るのだということならば、これは給与体系というものを国、地方全部を通じて一貫して定める、こういうことにならん限りは、どうも今の建前では困難と私どもは考えております。そこで地方といたしましては、そういう弾力性のあるということ、又給与費府県財政においては特に非常に大きなウエイトを持つているということ、こういうようなことから他の例えばいわゆる冗費と思われておりますようなものについては徹底的なメスを加える、又事業費などにつきましても相当にこれを圧縮するということをやりますと同時に、最も財政の上でウエイトの高い給与費については全然手を触れない、こういうことはやはり財政を緊縮するという場合におきましてはあり得ないことでございます。そういうところからいたしまして、人件費につきましてもいろいろと地方自体におきましてもいろいろと工夫をこらすわけでございます。自治庁といたしましても、地方から要望がございましたところに対しましては現地調査をいたします。又自治庁自体といたしましても、多額の交付金を交付いたしておるわけでございますから、地方財政が果して合理的に運営されておるかどうかということを実地について計画的にこれも調査いたしております。自主的に或いは自治庁から調査をいたしました結果に基きまして個々の地方団体に対しましてはいろいろといわゆる助言、勧告をいたしております。その助言、勧告の際に例えば同じような規模の地方団体、同じような事情の地方団体に対して、例えばここは少し人件費が多いのではないか、或いはここは単独の事業を少し余計やり過ぎておるのではないか、或いは歳入の見積りがここは非常に杜撰であるというような実際について見た結果に基づきましていろいろ助言、勧告をいたしております。その勧告はこれをとるか、とらないかは地方団体の自由でございますから、自治庁といたしまして、やはり合理的に能率的に地方の財政が運営されるということは、地方自治を健全に発達せしめる上からいつて必要であると考えますので、そういう意味で勧告をいたしております。その際に教員と申しますか、教育費などもやはりその教育費だけは全然別で一言も触れない、こういうことは当然考えられないことでございまして、他のあらゆる経費と同じような考え方を以て教育費についても全国的な基準というようなものと比較して、或いは同様類似の性格、規模の団体の教育費と比較してどうであるか、こういうことをそれぞれの際に勧告、助言をいたしておるのか事実でございます。
  32. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 一つの問題として定期の昇給、昇格の問題があるわけであります。これはひとり教職員だけでなく地方公務員全般について言える問題じやないかと思います。この定期の昇給、昇格は半分しかぐらいしかできていないいというのが実情ではないか、これに対して自治庁はどういうお考えですか。
  33. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 最近いろいろな面で経費の節減を地方も本当に考えなければならんということで、従来赤字責任は中央の財政計画が悪い、中央の財源措置が悪いのだ、こういうことのみを非常に強調して来られたようなこともございまして、私どももそういう点が多々あると思うのでありまして、その点を直すことに更に自治庁といたしましては今後も大いに努力をしなければならんと思いますが、そういう声を強くする余り自主的な財政運営の健全化ということについては、どうもやや熱意が乏しかつたように思つてつたのでございますが、最近は非常にその点の考え方が何と言いますか、着実になつた地方団体がたくさんございまして、やはり自分の力で財政を健全化し合理化して行く熱意が次第に高まつて来ているように思うのでございます。併しこれに対して更にいろいろ制度的の裏打ちその他が必要であると思うのでありますが、とにかくそういう熱意が高まつて参りました。そういう考えからいたしまして、今年度の当初予算の編成に当つては、従来からの予算編成の仕方において例えば非常に過大な起債の額を見積るとか、或いは過大な歳入として交付金を見積るとかというような傾向がだんだん減つてつて来ております。と同時に歳出の面においても、給与費等につきまして従来最も合理化を要望されていながら、而もなかなか合理化することの困難であつたようなことについても或る程度これから合理化しようという気持が出て来たのであります。御指摘の昇給をストツプする、これは公務員の給与という点から考えまして、そういうことは非常な措置でございまして、自主的に給与は決定する建前になつておりますから、そういうような給与の条例を改正いたして、これを作るということは、これは法律上できないことはないと思います。そういう一面公務員の給与の地位といいますか性格と又半面地方の財政の健全化、こういう二つの要請を睨み合わした上でどうしても問題が昇給というようなものについて或る程度調整をしなければならんというところに考え至つて、これを予算の上において、或いは条例等の措置において、今日行なつている団体が御指摘のように半分とも私ども考えておりませんが、相当の団体において出て来ております。これはその現在の給与の水準それ自身が非常に低い。低いのにかかわらずなお且つ昇給のストツプをするというようなところは、これはよくよくの団体でございまして、やはり何といいますか、先ほど申上げましたような同様の基準の地方団体と比較して、比較的給与の水準が高いというようなところで今お話のようなことが私どもは起つているように思うのであります。これはまあ定数の場合につきましても同じような問題があろうかと思いますが、とにかく数なり給与水準なりというものについて自主的に合理化しよう、こういうような努力が出て来たことは、これは事実でございます。
  34. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは比較的給与水準が高いところにおいて昇給なり昇格をストツプされておる、そういう傾向にあるのだというお話でありますが、これは私全般的に言つて逆じやないかと思うのであります。むしろ割合に低いところ、そういうところに来ているのが今の実情じやないかと思うのであります。これは県財政を健全化するというふうなことによつて、県財政の非常に困つておる。そういうところに定期の昇給、昇格というのがストツプされておる、こういう実情に私はあると思うのですが、これはやはり一つ資料を示してもらわないと、私ちよつと納得しがたいのです。それで自治庁のほうでは県財政を健全化しよう、これは非常に結構なことだと思うのであります。そういうことのために定期の昇給、昇格までストツプしなければならん、而もそれは今お話にあつたこととは逆に、割合に低い、そういうところでもストツプしなければならん、こういう実情にあるところが一般的に言つて私はそういう傾向にあるのではないかというふうに判断しております。この点は教職員の場合、文部省はどういう見解をとつておられますか。この間定期の昇給、昇格についておらない府県のいわゆる資料が提出された。私はあれを見て低いところだ、一般に高くないところだ、こういうふうに判断しております。
  35. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 先般私のほうから資料をお目にかけましたが、これはお話のように必ずしも低いところだけが昇給が遅れておるという実情でもないように存じます。今お話のストツプの意味が、条例を作つてストツプしたというところであれば、これは僅かであろうと考えております。昇給を定期にできなくて延びておる、いずれ今後実施するであろうというところが相当あると思うのであります。必ずしも低いところだけがそうであるというふうに私どもは観測いたしておりません。
  36. 堀末治

    委員長堀末治君) 自治庁に対する御質問、この程度で打切つてもよろしゆうございますか。
  37. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は一応……、ほかの人があると思いますから。
  38. 堀末治

    委員長堀末治君) では大蔵省が見えておりますが、如何でございますか。この間から大蔵省の問題があるのでありますが、大蔵省に対する御質問一つ……。
  39. 中川幸平

    ○中川幸平君 この委員会でお尋ねする問題でもありませんけれども、とかく県の公共団体をちよつと自治庁が甘やかしている、こういう感じがするのですね。まあ赤字が出ていれば国のほうでどうにでもしてくれるというようなふうに我々には見えるのですが、知事公選になつて以来非常に公務員のほうが甘やかしている。知事の交際費なんかでもなかなか大きい。我々県会におつた時分から見ると、県自体を非常に甘やかしておるという点を感じますね。地方公務員が国家公務員に対して非常に高いという、ただその筋だけから申上げておるのではなくて、全部でもありませんけれども、地方公務員は昔から住み馴れた家から通勤できる、教職員にしてもですね、国家公務員なら転々としている。住み馴れた家から通勤できるといいますと、少くとも家族の者は野菜を作るとか田を作るとか、そういうふうにして非常に生計が楽だ、そういう点からデフレの今日中小企業者が、我々地方を廻つて見ますると、こういう際にはなぜ公務員の給与を、少くも地方公務員は一割くらい下げたらいいじやないかと言うのですが、そこから初めてなにしてくれなければ、中小企業者の経営が成り立たないというようなことを聞くのです。ということでまあ今日県の財政上ストツプも止むを得んじやないかというようなことを言いたいのですが、そういうようなことで自治庁としては、これらの点について少し甘やかし過ぎておりやせんかということをお尋ねするのです。これはまあ文部委員会としての問題じやないかも知れませんが……。
  40. 鈴木俊一

    説明員(鈴木俊一君) 少し地方団体を甘やかしていないかという話でございますが、先ほどから申上げますように、現在の地方財政状況はよく御承知のごとくでございまして、併しながら半面地方団体に対して赤字である或いは使い方が非常にル—ズのため運営上非常に不手際な点が多い。だから何といいますか、膺懲的に少し苦しめてやつたらいいのではないか、そのほうが本当に愛児に鞭打つて立直りを早からしめる、自覚を要するに早からしめる、こういうようなことも一つの見解としては考えられるのでありますけれども、併し現在の全体の制度の建前といたしましては、国が処置をいたすべきことはいたす。即ち、例えば給与などにつきましては、国がベ—ス・アツプをするという場合においては、やはり同じような公務に従事しておる地方公務員に対してもベ—ス・アツプするに要するだけの一つの最低度の経費はみてやる、こういうような恰好にすることが今日の給与制度或いは公務員制度の上から申しまして、又地方財政のいわゆる標準的な経費を見て行くというような建前から申しまして、これはどうしても出て来る結論だと思うのでございます。そういうわけで、例えば昨年のベ—ス・アツプの際におきましても、国と同じような基準で地方公務員に対してもベ—ス・アツプできるようなそういう経費を見て行つたわけであります。にもかかわらず例えば京都市のようなところでは今日もべ—ス・アツプをやろうと思つてもできない。その他従来から町村などにおきましては、相当多くの町村において必ずしもベ—ス・アツプをしていない。そういうふうにこれはやはり各地方団体が給与を自主的に決定する建前になつておるものでございますから、必ずしもそういうものを給与費に使わないで、他の事業者とかその他にこれを利用しておる、こういうことがあるわけでございます。その際にそういう給与費を割くようなものは、これを事業費に有効に使うべきものと思うのでございます。又事実多くの場合はそうなつておると思うのでありますが、それがそうでない方面に廻つておるというようなことがあるとすれば、これは非常に遺憾であるわけでありまして、どうもそういう経費全体に対して、地方団体でありますから、すべて全面的にこれを監督をする、又財政計画で定められる通りにこれを使う、こういうことにはなつていないわけでございます。要するに有効に経費が使われるなら私は結構だと思うのでございますが、どうもいろいろと冗費の面が多いように言われますので、それでどうも全体として非常に不合理な使い方をしておりやせんかという批判が多いと思うのであります。自治庁といたしましても、先ほど来申上げましたように、調査、現地調査ということを徹底してやりまして、殊にこの府県につきましては本年は赤字団体を集中して全面的に調査をいたし、それぞれの団体に対して適切なる助言、監督を行なつてこれを指導して行きたい、現在の態勢としてはそういう方法によつてこれを指導して行くということが許された唯一の途でございまして、そういうふうに持つてつてできるだけ御心配のようなことがないように一つして参りたいというふうに考えるのであります。
  41. 安部キミ子

    安部キミ子君 大蔵省にお伺いいたします。御承知のように、今年度は大変緊縮予算でございまして、かようにしわ寄せがあらゆる階層に、あらゆる部門に恐ろしい結果になつて現れております。勿論文部行政のほうでも私どもが予期しないところに悪い結果が出ておりますが、一体二百億もの多額の実行予算を切り詰めておいでになつたという大蔵省の目的は何にあるかということを聞かして頂きたい、この点が一点。  それからその中で文部省へのしわ寄せが九億五千三百万円という結果になつておりますが、この九億五千三百万円はどうしてもあなたが努力なさつてもどうにもならなかつたかどうかということ、それに対して文部省はあなたのほうへどのような働きかけをしたかということについて、ありのままの御報告を頂きたいと思います。
  42. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) お答え申上げます二百億の実行節約の御趣旨につきましては、先般簡単に申上げたのでありますが、只今の御質問でございまするから重ねて申上げますが、実は国会におきまして御承知のように予算の修正が行われたのでありまして、そのために予備費がすでに五十億歳出増の財源に充当されておることは御承知通りでございます。その後入場税或いは繊維消費税或いは定員法、補助金特例法等の法案の審議未了又は修正等がございまして、歳入歳出におきまして、歳入の減少或いは歳出の増加、これが大体二百億ということでありまして、それだけのものはどういたしましても一兆予算を実行いたして行きます上におきまして行政府といたしまして自粛をいたし、歳出の抑制を図つて参らなければならないと辻褄が合わないことに実はなつてつたのでございます。その関係でまあすでに五十億の予備費を使いまして、予算が修正されましたときに、政府においてこれは予算の実行上適当な処置を講じようというふうな趣旨でございました。そういうことから私どもとしてはどうしてもやらなければならないということで、政府部内におきまして一応閣議決定という形で各省各庁の予算につきまして百九十九億、大体二百億の自粛的に歳出を引締めて参ります、こういうことを実はきめました次第でございます。併しながらこれはもとより最終的には予算を国会において御議決を願つて初めて予算が正式に補正をされるということに相成るのでございまして、只今の段階はいわば政府部内におきまする自粛的な申合せによつて予算を実行いたしておる、こういうことなのでございます。  以上が一応国会との関係におきまする私どもの公式の説明でございまするが、更にもう小し実質的にいわゆる一兆予算の考え方から今日の自粛的な実行二百億ということの考えにどうして繋がつておるかという点に触れさして頂きたいと存じますが、これは御承知のように一兆予算を組みましたのも、国際貸借を改善して行くために日本の国内の物価を下げて参る、国際競争力を付けて参るということは申すまでもございません。そこで政府は最も大きいいわば国内における購買者でございます。いろいろの需要資材を政府が三割とか或る物は六割とかいうふうな大きな需要をいたしておるのでございます。そこで政府といたしましては、国会のそういう一兆予算に対する御意図というものをさらに忠実に履行して参りたいという所存から、政府の調弁いたしまするところの物の価格につきまして、経済審議庁を中心にいわゆる調弁価格及び方式の改善の連絡協議会を設けまして、あらゆる重要な資材につきまして、この際政府がその買い方を改善いたし、合理化いたすことによりまして、更にいわゆる低物価政策を推し進めて参りたい、こういうことを現実にやつておるのでございます。この面からすでに卸売物価が総合指数におきまして七%強の低下を見ておることは御承知通りでございます。大体政府といたしましては、年度を通じまして五%から一割の物価の引下げを図らなければならんということは当初から申上げておつたのでございますが、今日まですでに卸売の段階におきましては平均七、八%の低下を見ておる、こういうことでございます。そこで予算節約に当りましても、いわゆる物件費を主にいたしまして、大体原則は一割、その物価が現在すでに七、八%の低下でございますから、更に今後低物価を推進して行くということで、大体一割のものはこれは節約ができるという見込を立てまして、全体として経費の一割を節約いたす、これが原則でございます。そうして大体先ほど申上げたのが、いわば節約の必要性でございます。只今申上げました物価の関係から一割ぐらいのものを節約いたしましても、予算の実行におきまして事業量はこれはもとより或る程度の圧縮を図らなければならんのでございますが、国会の御議決を、更にその御意図を履行して行くという方向において物件費の節約を図つて行くならば、根本的な食い違いというものはない範囲で予算が実行できるという見通しが立つたのであります。これが即ちいわば可能性でございます。そういう必要性と可能性の両面から睨み合せまして、大体二百億の節約閣議におきまして決定を見た次第でございます。ただこの前も申上げましたように、一律一割ということは非常に無理がございますので、原則は一割でございますが、先ず公共事業につきましては、前申上げました物価の、現在までの物価の七%強低下というところの目安に合せまして、一割を一応保留いたしておきますが、今後大災害が起らないということでございますれば、このうち三%だけは解除して、御承知のように公共事業はいろいろ重要な災害防止その他の施設に使われますものですから、実行上三%を解除しよう。即ちネツトの節約七%程度にいたそうということを閣議においても申合せができております。  それから公共事業よりも更にもつと優遇いたしておるのが文教施設費であります。これは最初から五%ということにいたしておるのでございます。これはこの前も申上げたのでございますが、そういうことでこれは文部大臣も非常に閣議においてもいろいろ文教の重要性について強調されました結果、こういうことに相成つたように拝承いたしておるのであります。そこでこれは属僚の解釈でございますが、仮に七、八%の物価が本当に今日下り、文教のいろいろの調弁単価がそれだけ引下げられるといたしますれば、五%の節約でございますので、これは逆に事業量は殖えて参るわけであります。私どもといたしましては、一兆予算で物価を下げるという狙いを打ち出したのてございますから、更に節約によりまして、物価の下落を一層促進して、全体としての単価は極力これを引下げることによりまして、結果的にはむしろ予算よりも事業の量は逆に殖えるような事態が招来されることこそ望ましいことであるというふうに考えております。少くとも一部災害地等におきまして相当のブ—ムが見られるのでありますが、今日全国的に相当の低物価の空気、機運が醸成されておりますが、一部におきましては、例えばセメントのごとき非常に品がすれの状況で、なお今日下落を見ておりません。これらにつきましては、政府におきましてもなお努力をいたしておりますが、更にこれは政府の調弁方式、或いは契約方式或いは単価の折衝のやり方等におきまして一層の努力をいたし、国会が国民の血税を厘毛といえども無駄に支出してはいけないということは、我々は常に考えておるのであります。予算の実行の面におきまして、そういう努力を一層重ねて行くことこそ役人に課せられた重要な責務であろうと考えております。文教予算につきましては、只今申上げましたように、非常に私は政府としても当委員会等の御意向をも十分拝し、このことについて大きな重点を置いておることは、以上申上げたことによつても御了解が頂けることと思うのでありますが、この点につきましては、実行の面におきまして文教当局と一緒になりまして、私どもの出先をも督励いたしまして、調弁単価の引下げ、調弁方式の合理化に一層努力を重ねて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  43. 安部キミ子

    安部キミ子君 今のお話聞いておりますと、予算の修正から来た結果、歳入と歳出のバランスをとるためにこういうふうな結果になつたというふうな解釈でございますけれども、そして又そのよりどころ、大蔵省のほうは物価の値下りによつて、これが当然立証されているというふうに私は解釈しておるのでありますが、併し先日も私は農業団体の組合の人たちと話合いましたところが、農具、除草機は、田舎では去年より百円上つておる。それから宇部窒素の肥料の単価について、一体硫安はどれくらいになつているのだとこう聞きましたら、八百七十五円より、これは基礎単価がそれだから今年度もどうしても九百円以上になつて消費者の手に渡るようになるだろう、こういうふうなことを私は労組のかたから、それは宇部窒素の資本家のかたと、それから労働組合のほうのかたとの話合いでそういうふうになつたということを聞いております。ということになりますと、あなたが机上でいろいろ何%くらい下つたと、七%幾ら下つたら大変今度は楽になる、又そういう機運が見えて来た、醸成されつつある、いろいろなことをおつしやいますけれども、或る一部のものは、或いは材木などは僅かに下つた傾向はありますけれども、それでも田舎のほうは実際材木なんかでも下つていないのです。私のほうの材木屋が言つておりますけれども、材木は決して品が少いから下げて売るわけに行かないとこう申しております。こういうふうなことになりますと、あなた方が机上でプランをお立てになつていることと、現場の国民の生活とは少々私はギヤツプがあるのじやないかと思うのです。そこに非常に問題があるし、又文教費にいたしましても、先ほど佐賀県の知事がおつしやいましたように、又山口県でもそうですが、PTAの負担は去年より相当多くなつている。三%以上も、多いところは五%から一〇%もPTAの負担が多くなつている。結局一般大衆のこの負担というものが多くなつているということになりまして、こういうことになりますと、あなたのほうではこれは合理化されたもので、合理化しなければならないと、成るほどお話だけ聞いておりますと。一応国民もそうかと思つて私はだまされるのではないかと思うのです。もう少し現実というものを、それは教育の行政に当つてもそうですが、私は先日来大達大臣に現場をよく見て下さいと、現場の声を聞かないで、現場を見ないで、机上だけでいろいろな情報はこうだ、こういうデ—タが出ている。そのデ—タの取りようそのものにも問題があるのでありまして、もう少し本当の姿を私は見てもらわなければ立派な答えは出ないのじやないかとこういうふうに考えます。何しろ二百億円の節約予算ということとになりますと、これは相当な金でありまして、私どもが各地に参りまして講演しますとき、あと必ず懇談会を持ちますが、どこでももう悲鳴を挙げているところばかりです。農村の人、商売人の人、先生、漁村、何一つこの頃は大変暮しがよくなりましたという声は誰一人、百人話して一人も聞くことができないのです。これでもあなた方はこの二百億円の節約予算を支障ないと、国民の生活には一向支障はないという御自信がおありになるのですかどうですか、その答えを聞きたい。
  44. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) お答え申上げます。只今安部先生御指摘の点は、いわゆる、私先ほど申上げましたのは、卸売物価の指数について申上げたのですが、現在までの段階においては、小売物価は僅かな下落の程度でございまして、卸売物価、これは経済審議庁の指数でございますが、卸売物価につきましては、私のいろんな品物を総合いたしました平均値で、先ほど七、八%ということを申上げておるのです。一審下落の甚だしいのは繊維でございます。これは御承知通りでございます。繊維の卸売物価、これは小売も相当しておることは御承知通りであります。それから建築材料、木材についてお話のような点があつたようでございますが、一部には相当下つておるように聞いておりまして、少くとも経済審議庁の指数にははつきりと繊維が一五・八%、建築材料は、これはセメントなんかも入つておるのですが七・八%、いろいろございまして、食糧で九・三%、平均で七・一%、これはすでに我々の手許にある数字でございますから、私の机上の空論ではないわけでございます。はつきりした資料に基いております。問題は、只今御指摘のように、消費者、まさに私どももその一人でございますが、勤労者の家庭、いわゆる消費者の小売価格CPIというような面にまでデフレの傾向が浸透していないということは安部先生と同じように考えております。ここでデフレが打切られたのでは、勤労者はかなわないのです。一部におきましては、一部の石炭業界は、失業保険に頼らざるを得ない、或いは生活保護法に頼らざるを得ないというのが出ておるのであります。誠に気の毒な犠牲者でありまして、併しこれに対しては、国家としては当然厚生省関係関係において対策を講ぜられなければならないのですが、更にデフレが一周り浸透しますと、小売価格の段階におきまして下落が起つて来るのです。そうなりますと、これは健全な企業において、健全に賃金の支払を受けておる勤労者にとつては、今度は逆に実質的に給料が改善されて来る段階が来るのです。今は過渡的な段階にあるように私は考えております。我々自身も、いわば一つの谷間に追い込まれておるような状況下とも申上げて差支えないと思います。ここで一つ、いわば折角国会が一兆予算ということを御議決になりまして、とにかく、日本の産業を合理化して、国際的な競争力を作るために、国内の物の値段が朝鮮ブ—ム以来非常に上り過ぎておつた、国際的に見て三割とか四割割高になつておる、そういうものを下げて行くという大きな狙いを打ち出されておるのですから、ここでやはりその大きな目標に向つて私どもとしても最善の努力をして行かなければならん、その過程におきまして、今のような時間的なズレが起つて参りますと、それは一部に非常に苦しいことが起る、現にまさにその通りです。それを一つ我慢をして、いろいろ消費、小売物価が下るという時代を招来するまでやはり頑張つて行かなければならんということが、これは国会において真剣に御議論になつた点だろうと思います。そういう意味で只今御指摘のように、漁網とか或いは肥料とかにつきまして、なお消費者の段階まで物が下つていないということがあるように私ども確かに拝聴いたしております。これは一層そういう面で努力して行かなければならん。そこで私ども予算を使つて行く立場に立ちました者といたしましては、個々の消費者よりも、国民の税金を頂きまして大口に物を買つておるのが政府です。この政府が現在の価格のままで、のんべんくらりと買つたのでは申訳ないと思います。どのくらいコストがかかるかということをよく、例えば石炭が相当下つておるのは御承知通りでございますから、石炭を原料にした肥料というものは下らなけれいけない、一部資本家を儲けさしては本当に申訳ないので、そこのところ大口需要者としてはよく考えて、そういう肥料はどうだとか、薬の品はどうだということをよく考えて、政府の歳出を、できるだけ不要不急の物は切り詰め、そして無駄を省いて行くということが、こういう努力をすることが私どもの義務かと考えております。そういう考え方から私どもいたしたのでありますが、文教につきましては、先ほど申したように、除外例として特別の率が適用されておるわけであります。ここのところは、私ども何も切つて不自由をすればいいのだという感じじや毛頭ございませんので、国会の御意図がどこにあるかというような点には心を配りながら、而も大きな目標を見つめてそれに正しく歩んで行くのにはどうすればいいかという考え方から出たことなのでありまして、この施策が一切駄目になつてしまえば、これはおつしやる通り節約したことが或いは非常な誤りだつたということになろうかと思うのでありますが、私どもはそういうような途中で挫折してはいけない、飽くまでもこれは国会で御議論になつたように、二十九年度予算というものは低物価を推し進めて行く方向において実行されて行くべきであるという認識でおることを重ねて申上げます。
  45. 安部キミ子

    安部キミ子君 それではもう一度聞きたいのですが、それではいつ頃小売値段が下落しますか、その見通しを一つお伺いいたします。それから、先ほほど節約という言葉が出まして、それは国民もそういう段階になつたら止むを得ないかとも思いますが、大蔵省やらその上のほうでなすつていらつしやることが、果して節約しておいでになるかどうか。今日の黄変米でも、あんな腐つた米を一体誰が買わしたのですか。あれは一体誰があんなふうになさつたのですか。みんな国民の税金じやないですか。そうでしよう。麻袋事件にいたしましても、随分政府のほうで無駄なことをたくさんやつておる。而も五万円や十万円の差額じやないのですよ。そんな無駄なことをなすつておいて、僅か文教費を十億か五億切下げて、小学校の子供の一年生に教科書もやれんようなことをなさる政府、そのことに対して私はあながたが幾ら国民に御弁解なさつても、もう国民は、私どもがどこの講演会に行つても弁解のしようがありませんよ。まだありますでしよう。私どもは、汚職や収賄やそんなことは今言いたくないのですけれども、こういうことも大蔵省責任を持つて国民に立派に弁解できるような措置をとつてもらいたい、こういうふうに考えるので。それができたら、十億ぐらいは、それは止むを得なければ一応私どもも納得しますけれども、政府の大きなミスをしておいて、こういう僅かな文教費を削除するということは、私どもは納得できないのですがね。それで一体先ほど申上げましたように、小売値段はいつ頃からはつきり大衆が利益をするような値段になるか、その見通しをお伺いします。
  46. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) 最初に小売価格の見通しでございますが、今日すでに或る程度のものは、先ほど申上げたように微額でございますが、下落の傾向にあることは御承知通りであります。私どもは、先ず政府が自粛をいたしまして、国民の血税を使わして頂いておる政府として努力をいたして行くならば、小売価格の下落の傾向に拍車をかけることができるというふうな考え方をいたしております。御指摘のように、いろいろ政府予算支出について不当事項がありまして、決算委員会においては毎度お叱りを受けておるのであります。これは誠に私どもとしては、財政関係をいたす者として申訳なく存じております。それぞれのいわゆる責任者がおるのでありますが、なかなか十分その責任が完遂されておらないという点につきましては、検査院或いは国会において折に触れて御叱責を頂き、又それによつて政府としても適当な措置を講じておることは御承知通りであります。これとそれとはやや私は別な問題かと思うのでありまして、今回の節約はいわば一つの大きな予算の実行の方針でございますし、遺憾な事件は、これはいわば偶然に起つて来るところのいわゆる病理的な現象でございまして、予算の実行は正常な政治的活動であるから、私どもは旺盛なエネルギ—を持つて低物価政策を進めて参りまして、そうしてそういう不健全な病理的な現象を払拭するように進めて参りたいと思つております。
  47. 安部キミ子

    安部キミ子君 これとあれとは別問題ということは、何をおしやるのですか、もう一度はつきり言つて下さい。大蔵省から金を出しておらないとおしやるのですか。例えば昨年の造船利子補給のあの増額に対しても、大蔵省の金じやないとおしやるのですか。それをはつきり言つて下さい。
  48. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) 私は、申上げました通りに、国民の血税は正しく使われなければならない、それがたまたま不正な使われ方をしたようなことが決算委員会等においても指摘されておることを申上げております。併し、今回の節約は正しいことを更に正しくするという意味においてやられておることでございまして、不正なこととは別だと、こういう意味で申上げたのであります。
  49. 吉田萬次

    ○吉田萬次君 私は正示さんにちよつと希望だけ申しておきます。成るほどあなたは雄弁で、滔々と述べられたことを実は拝聴いたしましたが、今日の国家財政といたしまして、又デフレ—シヨン政策を遂行するという上から、このやり方というものは当然だろうと私は了承いたします。併しながら又、一兆円の予算の枠の中でこれを実行して行こうとせられるところに非常な御努力があるということも応じております。従来の国家予算というものは、自然増収というものが見てあつて、そうしてそれがすべての方面に対して相当意義のある使用がせられておる。今年は蔵相のお話によつて、こういうデフレ—シヨン政策をやる、而も昭和三十年度を以て一応実行したいという御意思を以て、自然増収というものが入つておらんと、国民所得というものはこれは毎年増加して行くものであります。自然増収というものがあつて、そうして必要欠くべからざるものに対する支出というものはせなければならんによつて、それによつて行うということを言つておられたように私は予算委員会で聞いております。そういう点から考えまして、今度の奢侈繊維税八十億と入湯税の百二十億、いわゆる二百億に対する節約というものは、一兆円の予算の枠の中において更にその中に含まれたということは、これは社会の趨勢、今日の情勢からいつて止むを得ざるものと思うのであります。併しながら事教育に対する問題に対しては、それは人件費が相当な額を占めておると言いますけれども、又これは相当重大な問題がたくさんありますので、ほかの省においての節約というものと文部省においての節約というものはそこにおのずから異なるものがあるということを十分御了承になつて、そうして文部省からの要求というものは、成るべくあなたがたのお考えになつておる点から、又過去の経験から割出して尤もだということであつたなら、この方面に対して十分な御考慮を払つて頂きたい。聞くところによると、すでに今日においてこの自然増収その他の収入によつて七百億からの金ができたということを聞いておりますし、その使途が如何ようにせられるかということは、これは別の問題ですし、今日の実情からいつて、日本を救うために利用せられるということについては、いろいろ言う必要はありませんけれども、併し少くとも文教、教育においてのその必要というものは、ほかの省と違うということだけは御了承願つておきます。
  50. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 昨年度義務教育半額国庫負担の不足分ですね、大体十一億と聞いておりますけれども、これはまだ結着はついていないということですが、これは私は地方としても相当困つているのではないかと思うのですが、いつ頃結着をつけてこの不足分を支払うということになつているのですか。
  51. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 二十八年度義務教育費の不足額でございますが、これにつきましては、先般文部省、大蔵省両方におきまして、各地方の府県実情調査いたしまして、大体調査の結果がまとまつておりまして、現在大蔵省とその数字を照合いたしまして、今交渉いたしておる次第でございます。成るべく速かに払えるように交渉いたしておる次第であります。
  52. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 文部省と大蔵省とどういう点で見解が違うのですか、大蔵省のほうから一応伺いたいと思います。
  53. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) この点につきましては、先ほど来も御議論がございましたが、一応国の基準によつてやるということになつておりまして、大音な線の食い違いはないと思うのでありますが、やはり私のほうといたしましては、先ほど来御指摘の点もございまして、最終的に決定の責任を負わされておるものでありますから、よくこの実績等につきましては、大体いつもチエツクする方法といたしましては、現場の官庁、即ち文部省のほうでは教育委員会その他からの資料をお出しになる、私どものほうといたしましては、大体それをチエツクする資料といたしまして、やはり財務局の系統の資料を一応取るということにいたしております。そういう資料とのつき合せをいたしまして間違いないという認定を下すことに相当の時間が実はかかるわけであります。これはいろいろの団体の規模等によつても違うわけでありますが、そういう初めから食い違つておるということではございませんので、いわばチエツクをするための時間的な、そのために或る程度時間的余裕を頂きたいと、こういうことでございます。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 国の基準ということとは全然関係がないと思う。その金は実績の半額負担すると、こういうわけですから、国の基準とは関係がないと思うのです。
  55. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) 国の基準ということは、少し言葉が足りなかつたかと思うのでございますが、教育職員国家公務員給与を基準としてと、こういうことで支給されておることは御承知通りでありますが、そういうふうなことでやつておるので大きな食い違いはないと、こういうことを申上げたのであります、
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それでもわからない。基準として地方団体の教職員給与はきめられておるわけです。けれども半額負担は、そういうものによつて負担されるのではなしに、実績の半額負担される。だから基準ということは関係がないわけなんです。それを関係付けるということは、私はおかしいと思う。
  57. 正示啓次郎

    説明員(正示啓次郎君) これは法律的には実績の二分の一ということは、私もよく承知をいたしておるのでありますが、たしかあれは政令で特別の富裕府県等については最局限をきめることができたと思います。基本的に地方公共団体の教職員のかたの給与は、これは国家公務員給与を基準にして出しておられるので、そこで私どもとしては、そういう大きな筋から言いまして、そう見込違いがあるわけはございませんと、そういう意味で申上げたので、ですから、大体の予算は立つわけでございますが、併しはつきりとした実績を、二つのル—トから来たデ—タをつき合せまして最終的にきめて、その上で措置をきめたいと、そういう意味で申上げたのであります。
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それで、いつ頃大体結着つきますか、見込ですね。
  59. 緒方信一

    説明員(緒方信一君) 今大蔵省からも御答弁がありましたように、只今つき合せておるわけでありまして、私どもといたしましては、成るべく速かにその金額を決定いたしまして、少くとも金額の決定を急いで頂きたいということを大蔵省に申上げておるわけでございます。いつ頃と申しますと、いつまでということははつきり申上げかねますけれども、私どもとしては極力急いでおる次第であります。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 この前もそういうお話であつたのでありますが、あれは五月末で地方の決算を締切つて報告があるわけですね、それから六、七、八と三月目にかかつているのですよ。もうできなくちや、非常に地方は困つているのですよ。これはまあいつということは言えなければ、早くやつてもらいたい。
  61. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 堀末治

    委員長堀末治君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会