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安部キミ子君
文部大臣にお尋ねいたします。先ほどから
教育の
中立性ということについて大変議論が沸騰しております。そこで私は現場の
先生が、どのように
教育の
中立性を理解しているかについて非常に混乱するだろうと思うのであリます。で、最もわかりやすく私が具体的に、私は曾
つて長い間教壇に立
つておりましたし、それから現在も小さな子供を扱
つておりますので、子供の
教育というものは実に偽りのないものであると私は信じております。そういう
意味において、先ほど
文部大臣が教壇の問題だと、こうした事実に基いて言われたことに対しては、私は敬意を表したい。ただお役人さんというようなかたたちが、観念的にこうであるべきだというような指令を
出したり
通牒を
出したりなさいますと、実際の場合に実に困ることが多いのであります。今例を中
学校の三年生、二年生を御覧になりますと、非常に時事問題とか或いは
新聞、ラジオ、あらゆる
報道機関に
関心を持つものであります。恐らく今頃の中
学校、高等
学校、或いは
小学校でも、相当頭の進んだ子供であれば、今日問題にな
つておりますところの保全経済会の問題だとか、或いは造船疑獄の問題だとかというふうなもの、或いはラジオを通していろいろな批判がなされておりなす。
新聞を通してもやかましくいろいろな
立場でいろいろ議論させております。こういうことを早速教室に持込んで参ります。そこで
先生に、
先生、自由党の代議士が召喚される可能性があるというふうないろいろの事実をそのまま、生のままで
先生に持
つて来て
質問します。そうしてそれはどういう
意味ですかと、こういう
質問をしましたときに、その
先生は一体どういうふうに答えたらいいのですか。これは自由党の代議士であります。そうしてどういうことをしたということが
新聞の
報道を通してだけの観察だけでも一応
先生は子供に答えなければならない。そういうことになりますと、その
先生は
教育の
中立性を保持することができなか
つた事例として挙がる可能性もある。もつと私が一番記憶に生々しい問題で、道義の高揚ということを
文部大臣はじめ総理
大臣も言われます。併しその道義の高揚が総理
大臣の口から出ながらも、自由党ではこのようないろいろなスキャンダルが各
委員会で問題にな
つております。過日内灘の問題でこの前一度
大臣にも
お話をしたことがありますが、私が昨年の七月十九日の基地
反対の大会に参りまして、雨の降る中を現地視察に参りました。その数日前に内灘の婦人会が、あれは外務
大臣との約束では、あの内灘の基地の接収は三月三十一日を期限としての約束であ
つたから、もうその日も過ぎましたから返して下さいと、この
通り証書も漁業会には出ております。それなのに
政府は嘘をつかれるというようなことで大変揉めました。そうしていろいろないきさつがございましたが、とにもかくにも押付けのような行き方でとにかく婦人たちに与えた、或いは村民に与えた観念、
気持とすれば、
政府は約束を守らない、嘘つきだということにな
つてしま
つておる。この事実は
学校では今度は子供の間で、何か子供が一人嘘を間違
つて言いますと、お前は
政府だというようなことで、間違
つて言、いますとお前は
政府だ、嘘つきだ、
政府だ、
政府嘘つきだ、こういうふうなことにな
つて来る。そういうふうなことになりますと、
先生は道義の高揚、嘘を言うてはならない、こういうふうなことを教えますのに、どうしても
政府ということになり、自由党ということになりますので、自由党がそういうことをすれば悪いんです、
政府がそういうことをすれば悪いことですと言わざるを得ない事実があるわけなんですね。そういうふうなことが、まあ今私
ちよつ
出したけでもいろいろな問題が数々出ますが、こういうふうなことを、
教育の
中立性というこのことまで物差で計
つて行こうとする、そこで規制して行くということになりますと、
文部大臣は一体この
教育の
中立性ということはどういう
意味にな
つて行くのでございますか、それがお聞きしたいのです。