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説明員(
緒方信一君) それでは次に山
口県の問題について申上げます。この問題につきましてもあらかじめお断り申上げたいと存じますけれ
ども、
愛知県におきまして丁度申上げましたように、
人事委員会で係争中である問題でありますので、その
調査につきまして非常に困難をいたしましたと同様に、山
口県の問題は
組合の組織の問題でございまして、いろいろと帯にデリケートな情勢にな
つておりますところに
文部省が出かけて行きまして、両者の
意見を徴してやるということは、これは却
つてその
組合の問題につきまして影響を与えるというふうに
考えましたので、行政系統といたしまして、現在の状態では
教育委員会の
報告を聴取する以外に途がございませんと判断いたしましたから、それに基きまして
調査をいたした次第でございます。この点につきましてあらかじめ御了承を頂きたいと存じます。
山
口県の
教員組合の組織の概況でございますが、
山口県教職員組合は
昭和二十八年四月三日現在におきまして
組合員九千六百十九名とな
つております。で、これらは市郡別に支部がございますが、これに対しまして現在玖珂、美祢、豊浦、吉佐等におきまして相当数の脱退者が出ております。この数ははつきりいたしませんけれ
ども、
教育委員会の
報告によりましてもはつきりいたしませんが、二千五百人くらいと言われておるようでございます。これは推定数でございますのでなんでございますが。この脱退の動向につきまして実はこれも非常に
調査が困難でございますけれ
ども、いろいろ出された文書等の
資料によりまして、客観的に
調査をまとめたような次第でございます。その
状況を概略申上げます。
第一に豊浦支部でございますが、これは九月四日に
声明書を出しまして、その内容といたしましては三
項目ございますか、如何なる政党政派にも支配されず、
組合の主体性を堅持しつつ
組合員の生活向上のため合法的に活動することというのが一つ。それから次に真の
組合民主主義の樹立を期し、大同団結による組織の強化によ
つて教育の自主性を確立すること。三番目に特定イデオロギーによる跛行的文化を排撃する等の基本的態度を確認する、こういうことを申しまして、更に四
項目に亘りまして現
組合に対して
質問書を出しております。スローガンに対する見解、闘争方向、
組合の財政、日記帳問題、これに対しまして
質問書を発しております。九月六日に現執行部の不信任を表明して即時総退陣を要求する旨の
声明書を出し、並びに
組合機構の全面的改革に関する
声明書を出しております。
次に下関支部でございますが、九月九日にやはり
声明書を出して、最も中正妥当なる
職員団体を結成する目的を以て、第一回設立準備
委員会を開催する。それからこの
行動が飽くまで自主的判断に基く熟慮の結果であり、純粋に
教育を思う止むに止まれぬ衷情に発するものである、こういう
声明書を出しております。
それから次に十一月二日になりまして防府、大津、豊浦支部代表並びに都濃等五支部の有志の名によりまして、執行部不信任に関する
声明書を出しております。
次にこれに対しまする現
組合の態度でございますが、脱退に対しまする
動きの中には、支配権力の圧迫や策謀によるものが見受けられることが遺憾である。それから
出張所長が
校長に対して脱退を強要したり、身分保障を裏
付けとして脱退を干渉した事実が明白にな
つている。それから本部支部に対策
委員会を作り、
組合の持つ本質的な意義、
組合の置かれている
教育の重要性、
組合の大同団結の必要性、デマ誤解の一掃を徹底的に話合い、組織を守ることを決定するというようなことを八月十二日に
組合に対して訴えております。
それから又前に述べました豊浦支部の
質問書に対しましては八月の十五日に
回答書を出しております。
それから十二月の八日に至りまして、豊浦支部は脱退に関する
声明書を出しております。
以上のような
動きが見られているわけでございますが、この脱退問題につきまして、これらの支部の
動きのほか、小学
校長会、中学
校長会と
組合との関係が相当大きいようでございますので、その点について申上げますと、先ず八月の十日に大島、玖珂、熊毛小学
校長会有志は、最近における
県教組が支部
組合の自主性を認めず、又余りに政治的であり、思想的に中正妥当を欠く諸活動に賛同しかねるので脱退し、新
組合を結成するという
声明書を出しております。
それから又次に、同じ八月十日にこの現
教員組合は学
校長に訴える文書を出しておりますが、その中に脱退が
当局によ
つて強要されていること、日教組の団結を恐れるものが日教組を中傷誹謗し、組織をずたずたにし、
教育を中央集権化する分裂等に乗ぜられるものであり、そのようなことを深く見極めず分裂することは、良心的な
組合を敵に売渡す罪深い
行動であるというようなことをこの文書の中で述べております。
それから中学
校長会でございますが、九月
県教組脱退に関しまする印刷物を出しておりまするが、その内容は脱退決定に至る経過、それから中学
校長会の態度、
県教組執行部に対する不満の点、現在の法律の下においての
教職員組合について等の各項に亘
つて印刷物で大要を述べております。
以上のような
状況でございますが、これに対する
県教育委員会の態度でございますが、
委員会といたしましては、
組合の結成問題に対して不当なる圧迫を
教職員に及ぼした事実はない、こう述べております。ただ
教育内容の問題、
教職員の服務の問題等については指導しておる、こういう
報告を私は受けております。以上でございます。