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1953-12-21 第19回国会 参議院 文部委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月二十一日(月曜 日)    午前十時三十九分開会   —————————————   委員異動 十二月十日委員川口爲之助君辞任につ き、その補欠として吉田萬次君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     川村 松助君    理事            剱木 亨弘君            荒木正三郎君            八木 秀次君    委員            大谷 贇雄君            吉田 萬次君            杉山 昌作君            高橋 道男君            安部キミ子君            高田なほ子君            深川タマヱ君            長谷部ひろ君            須藤 五郎君   事務局側    常任委員会専門    員       竹内 敏夫君    常任委員会専門    員       工楽 英司君   説明員    文部省初等中等    教育局長    緒方 信一君   —————————————   本日の会議に付した事件教育、文化及び学術に関する一般調  査の件  (愛知県の高等学校人事問題及び山  口県県教育委員会県教職員組合  の問題に関する件)   —————————————
  2. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。  去る一日の委員会におきまして御要望のありました愛知県、山口県の件についての調査の御報告文部当局から承わることにして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 緒方信一

    説明員緒方信一君) それでは私から愛知県、山口県の問題につきまして調査の結果を御報告申上げます。  先ず愛知県の問題でございますが、すでに御承知通り県立古知野高等学校と、それから県立半田高等学校内海分校のこの両校に問題があつたのでございますが、これはいずれも校長或いは又主事非違があるということにつきまして職員殆んど全員がこれを糾明をいたしまして、不信任決議を施行した。こういうような事件でございます。これに関しまして県の教育委員会善後措置を講じて参つたのでありますが、その措置につきまして不利益処分だというので、県の人事委員会不利益処分審査請求がございました。こういうふうな問題があるわけでございます。このことにつきまして順次古知野高等学校の問題のほうから申上げてみたいと思います。  先ずそのいわゆる非違事件についての糾明されましたことにつきまして先ず申上げますが、このことの発端は古知野高等学校職員協議会校長大池誠一に対しまして螢光燈事件その他につきまして究明いたしまして、先ほど申しましたように不信任決議文を手交したことに発しておるわけでございます。そこでその経緯でございますが、昭和二十八年七月二十一日、教頭前田泰治という教諭大池校長に対しまして、翌二十二日に勤務条件、或いは遅刻早退の取扱いについて職員協議会開催申入れをいたしております。その際に学校用螢光燈のうち二個を校長私用に転用した件についても説明を求めるという申入れをいたしております。校長前田教頭に対しまして、学校用のものを転用する意思はなく、自宅用として同時に注文してあつたことを説明をいたしまして、その間の事情を申述べております。そこで翌二十二日午後二時に協議会が開催されまして、あらかじめ用意されました十項目に亘ります校長に対する質問事項につきまして議事が進められております。その一々について若干申上げてみますが、第一は螢光燈の件でございますが、前田教頭がその前日に究明をいたしましたので、校長は前夜前田教頭がその経緯協議会報告する約束をしたではないかということを質しまたところが、これは職員全体が聞きたいと言つているので、その場で究明をするんだということで、校長はその経緯を前日と同じように説明をいたしました。それに対しまして職員からは、これは公私混淆道義的責任があるんじやないかということを追及いたしております。なお学校用のその螢光燈取付けにつきまして協議会の議に付さなかつたということが問題になりまして、協議会無視であるということの問題が取り上げられております。それに対しまして校長は丁度農繁期の休暇中であつたので、理科担当教師に相談してきめたんだ、その点は今後注意したいという回答をいたしております。それから二番目に放送施設の件でございますが、昭和二十七年十二月に学校の内部に放送施設をやることになりました。十二月の十日に同町の古池という商店がこの工事落札をいたしております。ところがその十二月の末に同店から校長に対しまして五千円在中の歳暮を送つてこれを受領したということがございましたので、その放送施設に絡まる不正取得ではないかということが究明されております。校長はこれに対しまして、これはそれとは全然別だという弁明をその場でいたしております。それから三番目の問題としましては出張旅費二重取りの件というのが問題になつております。昭和二十七年の校長名古屋、岐阜の出張、岡崎市における定時制ワークシヨップに出席した、そのときの問題及び名古屋におきまするスポーツ会館或いは認定講習に出席した、そのときの旅費二重取りがあつたのではないかという究明がなされておりまするが、この件は調査の結果正規の支出がなされておるというような結果に相成つておるようでございます。それからその次の第四項といたしまして講師の件がございまするが、これは二つございまして、最初大池校長の妻を課外の茶道それからお花の講師に任命したという件でございます。昭和二十七年四月以降自宅におきまして校長の妻、大池かめゐという人を課外の茶、華道の講師として手当を支給したことが究明されておりまするが、校長はこれに対しまして、夜間生徒の、これは夜間定時制高等学校でありますので、夜間生徒の便を考えた場合、適当な講師を得がたかつた、それから前田教頭クラブ顧問教諭了解を得た、それから学校に出て行つて教えることは子供があるためにできなかつたというようなことを弁明いたしております。  それからなお次の講師兼務の問題といたしまして、昼間の高校への兼務について、人によつて差別的条件を設けることが不都合であるという旨が究明されました。これに対しまして兼務健康管理上、夜間教師でありますから、昼間の兼務につきましては健康管理上注意を要しますので、臨時のものであるかどうかということを判断して定める旨の弁明をいたしております。  その他項目は十項目ほどございますが、或いは自宅購入ソフアの件、公用紙私用に使用した件、酒席で県の職員を接待した件、勤務時間中に帰宅をしたという件、校長自身遅刻は緩であるがほかのものの遅刻に対しては非常に厳であるというような問題、それから組合活動の行き過ぎがあつたという言葉を校長使つたということに関する件、こういう究明が行われた最後に、以上の十項目に関しまして教師側から発言をいたしました、その発言数の多い少いによつて何人に対してもそのことによつて報復手段に川ないということを校長に対して約束をせよという、そういう問題がございまして、以上の十一項目の、最後のものを加えました十一項目説明を摘記いたしましたものに署名を求められましたので、校長はこれに署名をいたしております。更に以上のようなその疑念を職員に抱かせた道義的責任について即時回答を求められましたが、校長は今までずつと話合いとして聞いて来たのであるから、いきなり責任を問われても困るという回答をいたしております。それが翌二十三日に亘りまして、午前二時過ぎであつたということになつております。二十二日の午後二時から始まりまして、二十三日の午前二時過ぎに終つた、その問二時間の休憩があつたようでございます。それから翌二十四日に協議会を更に開きまして、そこで不信任決議文校長に対しまして手交をいたしました。それから又辞表の提出を求めております。翌二十五日に校長は県の教育委員会職員課長にその経過の報告をいたしております。以上のようなことがございまして、県の教育委員会のこれに対しまする処置でございますが、その後委員会事情調査いたしました後、大池校長につきましては、先ほど申しました究明事件のうちの五千円の歳暮を受領したということについての非を認めまして、八月七日に勧告退職をさせております。  それから一方その他の職員に対しましては、協議会当該事件についてとつた行動は不穏当であつて、法を無視したものであるという理由で、次に申しますような措置を行つております。九月四日付け教頭前田泰治、この人を訓戒の上、県立尾北高等学校教諭転勤を命じております。それから九月三十日に教諭上沼八郎、同じく教諭永井清明、この二人の人を勧告退職せしめております。その教育委員会処置に対しまして前田教諭は九月二十二百に県の人出委員会に対しまして、不利益処分審査請求を行なつております。これによりまして、こういうことになりまして、人事委員会におきましては現在この事件審査中でございますが、その審査状況を次に申上げます。  十月十二日に第一回の予備審査をいたしました。同じく十月の二十六日に第二回目の審査が行われております。この第二回目には請求人の、つまり前田教諭請求人処分理由に対する弁駁を聞いております。越えて十一月二十六日第三回の審査が行われましてこれも同じように請求人処分理由に対する弁駁を聞いております。それから十二月の十日に第四回の審査が行われまして、このときにはやはり請求人処分理由に対する弁駁処分者のそれに対する抗弁の審査をいたしております。次回の審査は一月の下旬ということが予定されておるようであります。こういうような経緯に現在なつておるのでありまして、この事件につきまして、これが発生以来、或いはPTAはこの事件の斡旋に乗出していろいろ奔走しておる、或いは声明書を発表いたしたりいたしております。それから教員組合のほうはこれに対しまして処分を受けた側の応援をいたしまして、十一月十一日—十四日の間ハンストが行われております。そういうふうな状態で、まだ事件は解決いたしておりません状況であります。  それから只今のは県立古知野高等学校の問題でございますか、次に県立半田高等学校内海分校の問題でございますか、昭和二十八年八月の十三日、教諭豊島照平丸山法龍馬場久勝、それから事務職員の古森清、この四人の人がPTA会長を訪問いたしまして、PTA会費使途を明らかにすること及び学校民主化について協力方要望いたしております。翌十四日に学校協議会を開催いたしております。その際愛知県の高等学校教員組合委員長、副委員長も来校しておりまして、傍聴の形で会場に出席いたしております。そういう結果になつております。校長竹中忠夫主事千田正春、この二人の人を招いて、次に申しますような項目について質問を行なつております。この質問事項はすでにプリントせられておりまして、会場にはテープレコーダーを使用しております。で、問題になりました点でございますが、最初第一項としましては、千田主事接待費二重取りの件というのか挙げられております。昭和二十七年四月四日、五日の接待費三千円は二重取りであるということが究明されておりますか、千田主事はよく調べて返事をするか、これは書類上の誤りと思うが、二重取りした覚えはないと同等をいたしております。それから第二項としましては、千田主事PTAの醵金か弔慰金を受領したという件について質問が行われております。昭和二十七年十二月に千田主事の親戚に不幸があつて五千円を弔慰金として受領したということでございますか、千田主事は、吉森事務職員会長了解を得て持つて来たので、自分は前例になることを恐れ、一応断わりましたが、会長の好意を謝して受領した旨の答弁を行なつております。その席で、これは申し落しましたが、PTA会長も出席しておりましたので、教職員が気の毒な事情のあつた場合には誰でも差上げると、こういう答えをいたしております。それから次に講師手当校長が横領したということが言われております。山田講師、一月、二月、三月分の手当半額二千七百円、高津講師手当六千円中半額校長が横領したという点について究明が行われておりますが、この点につきましては校長は、職員の慰労に使つたので着服したのではないと弁明いたしております。それからそのほか竹中校長の旅館の支払いの使途があいまいであるという件、それから又不当人事の件、こういうふうな問題につきまして七時間に亘つて究明が行われております。こうして、越えて八月の十七日になりまして協議会の名によつて校長主事に対しまして、不信任決議文を出しております。これに対しまする県の教育委員会処置でございますか、事件調査いたしました結果、竹中校長千田主事を現職に止めることの不適当なことを認めまして、九月四日付け校長竹中忠夫教諭に降任いたしまして、県の教育委員会事務局主事転勤せしめております。それから同じく九月四日付けを以ちまして、千田正春主事に対しまして訓戒の上、県立挙母高等学校教諭転勤を命じております。又一方校長主事に対しまする協議会行動につきましては、古知野高等学校の場合と同様の理由を以ちまして、関係職員につきまして次のような処置を行なつております。  九月四日付丸山法龍教諭に対しましては訓戒の上県立大府高等学校教諭転勤を命じております。それから豊島昭平教諭に対しましては訓戒の上県立猿投農林高等学校教諭転勤を命じております。それから吉森清事務職員に対しましては、同じく訓戒の上、県立刈谷高等学校転勤を命じております。これに対しまして占知野高等学校の場合と同様に人事委員会不利益処分審査請求が出されております。それからなお九月、十日になりまして馬場久勝教諭に対しましては勧告退職をせしめております。これに対しまするPTA教員組合等動きは大体古知野高等学校事件の場合と同様の動きが見られております。それからなお愛知高等学校教員組合執行委員長は九月十六日に講師手当PTA接待費使途につきまして竹中校長千田主事横領詐欺の疑いによつて名古屋地方検察庁に告発をいたしております。これに対しまして十一月二十六日に検察庁では不起訴の処分をいたしております。  大体以上申しましたような経緯がこの問題の発生と、今日までの状況でございます。
  4. 川村松助

    委員長川村松助君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  5. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて下さい。
  6. 須藤五郎

    須藤五郎君 私はまだ自分調査をしてありませんし、資料が届いてはおりませんけれども、それをまだ研究する余裕が時間的にありませんので、詳しいことは質問できないのでありますが、一点伺つておきたいことは、文部当局が向うへ参り、そして今日報告した資料はどの方面から入手された資料であるかという点です。即ちあなたが県の教育委員会調査したのか、それともその当事者ですね、校長なり処分された人たちにも会つてその報告を聞いて来られたのか、又県教組組合関係の人にも会つて調べたのか、この三者の報告を今日ここで報告されたのかどうかという点を先ず伺いたいと思います。
  7. 緒方信一

    説明員緒方信一君) この調査につきましては、県の教育委員会報告を本にいたしまして調査をいたしまして、只今報告申上げたのであります。  先ほど申上げましたように、この問題につきましては、県の人事委員会不利益処分審査請求が出まして只今審査中でございますので、その当事者につきまして調べますことは差控えたような次第であります。委員会におきまして恐らく審査の結果は出ると思いますから。
  8. 須藤五郎

    須藤五郎君 どうせそんなことだと僕は思つたのですが、今問題になつたのは県の教育委員会やり方が問題になつておるのです。その委員会やり方が問題になつているから我々調査しなければならんのです。それで文部省報告を一応聞こうということになつたのだが、問題になつている当事者だけの、一つの被告的な立場にあるその人の声だけ調査して来て文部委員会への報告はそれでいいと思つているのでは僕は考え方がおかしいと思うのですが。僕らは文部省のそんな報告を聞くためにあなたを呼んだのではない。実際を、真相を我々知りたいからその三者に互つて調査をして来て、そしてその報告をここで聞こうというのが我々の希望だつた。そんな被告的の立場にある県教育委員会の一方的な調査を、一方的な声をあなたたちは聞いて来て、ここで真相として文部省が得た資料として我々に報告するなんて僕は実に不真面目だと思う。どうですか。
  9. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 愛知県で起きましたその事件に対しまして、文部省のほうからもわざわざお出でを頂きまして御調査頂いた御苦労は本当に有難く思つておるのです。けれどもこの調査というものはやはり双方当事者にお会い頂きまして、両方の言い分をお聞き頂くということが、これが正しいのではないかと思うのです。そこで今御報告を受けましたことをじつと伺つておりましたが、これは私も委員会に参りまして報告を受けましたことと同じなのであります。そこで私も現場にも参りましたし、それから組合のほうにも参りましていろいろ話を聞いたのでございますが、それと委員会報告とそぐわないところがたくさんあるのです。で、そういうところに問題点があるのではないかと思いますか、只今の一方的な御報告ということが今度の事件真相として取上げるということは、私どうかと思うのでございますのですが、これについてどうお考えでしようか。
  10. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 只今申上げましたように上小利益処分審査請求が出ておりまして、人事委員会で取上げましてこれを只今審査中でございます。で、私どもも県の教育委員会言い分と、まあ、それに対しまする反駁等のことにつきましても十分調ぶべきではございましようが、併し県の正当の機関でございまする人事を扱いまする人事委員会がやつておりますので、それを当事者に面接等いたしましてやりますことは、これは適当でないと考えまして、県の報告に基きまして調査いたしまして、只今報告いたしましたような次第でございます。
  11. 高田なほ子

    高田なほ子君 その問題は前に文部委員会に出まして、文部省側調査に出かけるということで私どもは了承しましたが、そのときに、はつきりと私は希望条件として申入れたことは、一方的な見解の調査をするのではなくて、当事者同志調査をしてもらいたい、なかんずく教員組合側主張というものは十分調査をして頂きたい。こういうことを発言をいたしまして、速記録にも載つておるはずでございますが、それはどういうふうに取扱われたのか、委員長の御答弁をお願いいたします。
  12. 川村松助

    委員長川村松助君) 私のほうから取扱つたのを御報告申上げます。  十二月一日文部委員会会議録、それが荒木君から提案されまして、その荒木君の提案に対して、更に高田委員から次のような附帯希望がありました。「それに私は付け足しましてもらいたいということは、人事異動という問題とこの本問題というのは非常に密接な繋がりを持つております。人事異動というものは御承知のように三月になつてからやるのではなくて、もはやもう十二月に入りますれば各官庁あたりにおいて人事操作の問題がよりより協議される問題です。今荒木先生の御発言のように問題のためにいささかでも人事異動が左右されるというようなことは、これは誠に由々しい問題でありますが故に、文部省調査もそれは趣旨としては結構だと思うのですか、ただその調査というだけであとにこういう影響を残すような虞れのあることを恐れますから、どうぞ文部省調査には、ただ単に行政官庁の話を聞いて引下つて来るのではなくて、直接繋がりのある教員の組織の考え方、又その方面の実態、そういうことを抜かりなく調査して頂かなければならない。文部省調査の役に立ちたいと私は思うのです。調査というならば荒木委員の提案された主張調査において果たされる役割をよく考えてもらいたいということが私の附加える条件です。」こういう御要望がありましたので、私のほうから只今高田君の御要望を含めまして荒木君の御発言のように取計つて異議がないかと尋ねましたところが御異議がない。御異議がなければ荒木君の御発言のように取計らいます。こういう手筈を経て文部当局に求めてあるわけです。
  13. 高田なほ子

    高田なほ子君 わかりました。それに対して文部省はどういう理由で私の希望条件を入れられなかつたのですか。
  14. 須藤五郎

    須藤五郎君 遊びに行つたのじやないぞ、調査らしい調査をして帰れ。
  15. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 繰返して申上げますように、当面まあ問題になつておりましてまだ審査中でございますので、文部省が現地で立入つて調査をいたしますることは適当でないと考えましたので、教育委員会報告を求めまして、これに基きまして調査をいたしたような次第でございます。
  16. 須藤五郎

    須藤五郎君 そんな答弁けしからんですよ。ちやんと国会から委託された調査をしないで、ただ一方的なそんなものを聞いて帰るのだつたら電話で話しても済む、教育委員会から書類を提出させたつて済むじやないか。そんなために旅費使つてのこのこ長い間出かける必要があるか。そんな馬鹿な調査、無責任調査で、我々をごまかすのも甚しい。今審議中だつて人事委員会にかかつておるということはちやんとわかつておるのでしよう。何のために名古屋に出向いたか、そんな答弁じや責任を遁れることはできない。それに対して文部省はどういうことを考えておるか。
  17. 吉田萬次

    吉田萬次君 この愛知の問題は、我々はやはり愛知県からておるものといたしまして相当関心を持つて見なければならんという立場から、私は私なりにこの問題について検討してみたのでございます。併しながら只今当局の御説明というものと私はほぼ符節を合せることができると了承いたします。殊にこの問題を最も公平に取扱つて、そうしてその意見を開陳しておるというものは、ここに月刊中京という雑誌がありますが、この十二月二十日の発行によるこの雑誌の冒頭に、この問題を採上げた愛高教事件真相というのがあります。これにはつきり出ておるところによりますると、当局にも手落ちがあるということが書いてありますると同様に、又教員方面真相というもの対してもいろいろ批判を加えてあるのか出ております。私はこの雑誌というもののありかたというもの、方針というものについては、私は公平なものだと大体見ておりまするし、この編集しておる諸君もよく知つております。そうしてこれらの第三者というものが公平な立場において判断したというものにおいては、私は大体において間違いがないと私は想像いたします。私が又調べた教員方面、或いは当局方面から考えましても、大体只今当局説明というものにおいて私は満足はいたしませんけれども、あれくらいのものだと了承いたします。従つて私はこの問題をこれ以上追及せられるということについては、よくお考えを願いたいと思います。
  18. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 只今吉田先先から、満足は行かない調査ではあつたけれども自分調査したこととほぼ同様であるし、月刊中京にもそういう報道をされているので、その調査報告というものを一応認めてもいいのじやないかというふうな御意見でございましたけれども、私はどうしてもそれでは納得できないところがあるのでございます。で、教育委員会のほうの報告によりますと、只今の御調査の御報告と殆んど同様ですが、その中にも一二点違うところがあるのでございます。で、例えば業者から五千円、これは古知野高校の問題ですがね、業者から五千円歳暮を受けたというんですね。これは螢光燈の問題に関連しておるわけなんです。業者から歳暮として五千円校長に贈与して、確かに受領した。これは校長も認めておる点です。これは螢光燈と違うように、今あなたの御報告で私はそう思いました。  それから古知野のほうはまあそれといたしまして、半田高校の内海分校の問題なんですがね、この中に旅館の問題というのが出たわけなんです。で、それからその前に、千田主事接待費二重取りになすつたという点ですね。ここも少し違つたように思います。それからこのことの発端というのが少し違つていると思つたんです。そういうようなところに少し私はわからない問題が出ていると思いますから、私もこれはどちらにも偏らない、本当にどつちにも偏しない考え教育委員会のほうのお話も伺い、そうして組合のほうの話も聞き、そして現地のPTAのかたがたの御意見も聞いたわけです。で、具体的にもつとはつきり言えとおつしやれば申上げますけれども、併し私は私が申上げますよりも、今一度文部省のかたがおいでになつて克明に御調査頂くほうがいいと思いまして、私は一応細かいことは申上げないようにいたしますけれども、御調査の御報告は私は納得の行かないところが多々あるということを申上げるのです。
  19. 吉田萬次

    吉田萬次君 只今長谷部さんのおつしやつた螢光燈に絡んでの五千円の使途、これはその通りだと私も思います。それから料亭のほうの問題につきましては、三千円ずつ二遍六千円とつておるということにつきまして、料亭の領収書でなくして校長の領収書のように私開いております。  それからもう一つ私別の話を承わりますが、この教員の行方につきまして挙母の学校へ赴任すべくせられておつたそれがしは、挙母の地元の反対を受け、そして就任ができないように聞いておりましたが、この結果はどうなりましたかということと、今一つは猿投の高校へ赴任を命ぜられた、転任を命ぜられたそれがしは、校長に聞きますると、受入体制は十分にしておる。従つてその人にいいか悪いか。又悪い点があつたなら自分が薫陶してみたいという気持を以て受入れるべく待機しておるが、併しながら病気欠勤ということで医者の証明書を何回か出してまだ赴任しておらないというように聞いておりましたが、この結果はどうですか。
  20. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 今挙母と猿投に転勤を命ぜられました問題でございますが、調査をいたしました現存におきまして確かに転勤をいたしておつたものと考えまするけれども、この点につきましてははつきりした調査ができおりまんせので、はつきりしたことは申上げかねる次第でございます。
  21. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 先ほどの御報告の中に豊島教諭というのがどちらへ、もう一遍そこをおつしやつて頂きたいと思います。
  22. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 豊島教諭は猿投農林高等学校教諭でございます。
  23. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 それは違いまして猿投高校の藤岡分校なんですがね。藤岡村にあるその猿投両校の分校で本当にさな分校なんです。そこへ参つたはずでございます。それをもう一度。
  24. 吉田萬次

    吉田萬次君 長谷部さんのおつしやる通りに猿投の分校へ行くことになつておるが、まだ赴任しておらんということです。
  25. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 私は赴任しておるということを確かに聞いております。確かに赴任しているはずです。
  26. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど委員の間から質問がありましたが、御調査が十分でないということなんですが、私もこの査について重要な点が欠けておると思います。それは学校内部に起つているいろいろよくない事件を、それを取上げて教職員が問題にして、その結果がいろいろ教育委員会によつて措置されたということなんですが、この教職員学校内部に起こつておるいろいろの不正事件と言いますか、そういうものを取上げた動機です。こういう点については全然触れていないわけなんです。私が一番心配している点は、これは学校だけでなしに各方面にいろいろ題があると思います。そういう問題を取上げて綱紀を粛正し、学校を改草して行こうと、こういうまあ正義感に燃えて教職員が立上つてやつたことか、或いはその他の理由でやつておるのか。そういう点を私は明らかにしたいというふうに考えておつたのです。若し学校を改革して本当に明朗な学校にしようと、こういう正義感に燃えて職員が立上つてつて、そうしてその結果がそういう教職員が退職なり転勤なりさせられる、こういう事態にたつておればこれは教育界の由々しき私は問題だというふうに考えておるわけです。そういう意味から言つて、そういう教職員考え方、そういうものについては全然今日は報告がないわけです。個々の問題も重要ですけれども、我々その問題に、私の最も関心を持つているのはそういう点なんですがね。そういう点全然調査されていないのは、これはやはり教育委員会側だけに調査の手を向けられたということから来ているのではないかと思いますが、そういう点如何ですか。
  27. 緒方信一

    説明員緒方信一君) この問題は先ほどから繰込しますけれども人事委員会におきましてまあ審査中でありますことが一つでありまするが、更に人事の問題でございますので、県の教育委員会人事権がございますので、その措置につきまして、個々の人事措置につきまして、文部省が深く立入りますことは適当でないと、さように考えまして、先ほど申上げましたように県の教育委員会につきまして報告を求めまして、その結果を只今報告申上げたような次第でございます。
  28. 吉田萬次

    吉田萬次君 只今荒木さんからの御質問がありました学校を明朗にするために、或いは学校の将来を考えてというような正義感から起つたものならば、これは由々しい問題だとおつしやつたが、私もその通りだと思います。併しながら私はこの問題の内面において非常な疑点があるということを私はじます。従つて当局としては答弁のできないような問題がありはしないかということを私は考えます。従つてこの問題は極めて十分に検討すべきものだと思います。
  29. 高田なほ子

    高田なほ子君 本問題を取上げたことは、私は荒木先生が今言われた通りだと思うのです。これはただ単に愛知県下に起つた問題ではなくて、少くとも私の知る限りにおいても校内の民主化、校内の正しいあり方というものにいて全国的にいろいろ小さなトラブルが起つている。そのトラブルの結果いつでも不利益な処分を受けるのは教職員であつて、正しいことを守らなければならないこの教育の場で、正しいことを主張した者が常に弱者の立場に置かれている。これではいつまで経つて教育の民主化はできない。而も最近の官界或いは政界の不正事件というものがもう人の口の端からこぼれている。こういう風潮がやはり教育の面にも浸透している折柄でありますから、教職員が正しいことのために立上るその立上りを抑える傾向に対して、文部省は私は真向にあなたが盾にならなければならないと思う。その盾をそらして、一方的な調査をして今審議中でありますからという、こういうあいまいな態度をとつていられることに対して非常に私は不満です。これでは教育の民主化はできない。これに対して緒方さんどう思われるのですか。千葉県だつてこういう問題がたくさん起つている。
  30. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 私は先ほど調査の結果を御報告したわけでございまして、その中に簡単であつたかと存じますけれども、そういう協議会が開かれました経緯につきましては若干触れて申上げた次第でございます。今日は意見を申上げたのではございませんので、調査の結果を報告する立場にあるのでございます。
  31. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 今までの皆さんの御意見を承わつておりますると、私どもも根本的な疑問がございます。それは教育委員会法というものの趣旨を御存じあるかどうかという問題であります。皆さんは教育の民主化という問題から、いわゆる教育委員会法を賛成して、今日県教組というものに対しても固くそれを置いて行かれるという考え方を持つておると私存じますが、教育委員会法におきましては、この教育の民主化というのは、その住民によつて直接選挙されました委員によつてその住民からの意思によつて教育する、それがたとえ間違いかあろうがなかろうが、それはそれこそ住民の意思によつてやるのだ、そうしてそれは不当なる、やはり文部省とか国とかいうものがその教育に干渉しないということが、その教育委員会法の立法の趣旨であると私は考えます。今愛知県に起つた教員の問題につきまして、その措置をするかどうかということは、県住民から直接選挙いたしました教育委員会に委ねられておるわけであります。而もその教育委員会が不当なる処置をするかしないかという場合におきましては、今言いました人事委員会に提訴する途を開いておるのであります。若しその人事異動その他について誤りがあるが故に、国が権力を以てこれを是正をしておる、これこそ教育の民主化であるとおつしやるのは、私は教育委員会法の根本趣旨と矛盾するものと考えます。従つて文部省が若し調査をするという場合におきまして、人事委員会に提訴しておる事案について、文部省の者が人事委員会と同じようにいろいろなものを呼び出して調査をするということは、これは恐らく越権行為だと私は考えます。若し、皆さんがこういう事例があるが故に、国の立場から、又国会の立場からこれを是正させるという方法をとろうとするならば、恐らく国会が或る府県の教育委員会の行なつた行政措置について直接にその是正を命ずる権限は私はない、立法を以てこれに臨むよりないのだ。若しそれに不当があれば教育委員会法を改正するなり、国会の正当なる権限に基いてこれを規正すべきである、一々人事委員会なり教育委員会がやつたことを文部省をして干渉せしめるというような立場はおかしいと思う。ただその調査の問題につきまして十分でなかつたということも、それは一面言えるかと思いますけれども、又人事委員会に提訴しておる事実があるのを、これを文部省の役人が行つてそれと同じようなことをやることができるかどうか、この点につきましては、私は今はつきりした結論を持ちません。なお自分として研究してみなければ自分意見は言えませんけれども、併しそのことについても相当な疑問がございます。ただ根本的に今申されておりますように、民主化のためには教育委員会が一方的に悪いことをするならば、それを文部省なり国会が是正するのだ、国権を以てそれを是正するのだという根本的な考え方は、これは教育委員会と私は違うものだと思う。その立場は私はやはり根本的に国会議員としては法を護るという立場から一つ十分御研究を願いたいということを申上げます。
  32. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 私は先ほど来お話を承わつておりまして、調査が一方的ということであつたのでありますが、これは当局のほうも非常に苦心をして、今報告を受けましたような御調査を頂いたのでありまして、今剱木委員がおつしやいましたように、人事委員会に提訴されておる部面に亘つてまで調査をして来いということは、少し現段階においては無理じやないか、こう思うのであります。須藤委員から大分当局に対して激越な言葉で糾弾をなさいますが、それは少し私は酷だと思うのであります。私も愛知県でありますので、非常に関心を持ち、一応の状況調査をいたしております。只今報告になりました点に私は私の承知しておる限りにおきましては間違いないと思つております。又先ほど荒木委員から教職員が校内民主化、又正義のためにやつて、それがこの事件の発端であるということであるならば、これは容易ならざる問題である、これは私も同感であります。併しそれにつきましては、いろいろな経緯があつて、今お話のような理論的に直ちにそうだとは言い切れんような点を聞いておるのであります。いろいろこういう不満が勃発をして、いや、こういう問題が起りましたのにはいろいろなデマも飛んで、そういうようなことが錯綜して事件の発端になつたように私は承知をしておるのであります。こういうことが起つたのは大変遺憾なことでありますが、大体の筋といたしましては、私は県の教育委員会としましても非常な苦心と、実はまあ個人的に申したら何ですが、当時の委員長が労働委員をしておつた人でありまして、今痩せるくらい苦心をしまして処置をいたして参つたその状況をよく承知をして、いろいろ双方不満がありましようけれども、ここまでよく努力をしてくれられたと実は思つておるような状況でありまするので、調査に関しましては、まあこの程度で御了承を願うことがいいじやないかと、かように思うわけであります。
  33. 須藤五郎

    須藤五郎君 どうも我々納得行かないのですね。これは何だか愛知県の教育委員会が引越して来たような感じがしちやうのですが、私は一番問題になる点は、要するに校長処分されておるわけでありますね。校長をやめさせられておる校長も一人あるし、それから転任させられておる校長もあるというのは、校長立場に非点があつたということを認めておると思います。そういう校長立場に、非点があつた校長を、それを正しくないと言つて糾弾した先生たちか何のために三人もやめさせられて、そうして何のために転任をさせられなくちやならんか、それは決して公正な判断じやないと思います。悪くない校長ならやめさせる必要もないし、転任さす必要はない。やはり校長が悪かつた、転任させられるならば、とにかく原因は校長にあるので、悪い種を播いた校長処分しておきながら、それを問題にした先生をなぜ処分しなければならないか、なぜ三人もやめさせなければならないか、そこに無理がある。その点を僕らは明らかにしたい。若しも先生の立場にやめさせられなくちやならないような理由があれば、それはいいのですよ。併しそれを明らかにしなくちやならない、何にも理由がない、何のために悪かつた校長さんをあばいた先生たち処分しなければならない理由がどこにあるのですか。そういうことをすれば教育の民主化が成立たないというのが荒木さんたち意見だと思います。やはり学校も明朗にするためには、そういう場合は明らかにすべきだと思います。文部省としてはどちら側の立場に立つのですか、文部省としては、局長はどういう立場に立つのですか。
  34. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 先ほど剱木委員から御発言があつたのですが、私ども調査を依頼しておるわけであつて、何も教育委員会に国会が圧力をかけてそれを是正させようと、こういう意図をもつているわけじやないのですが、我々はいろいろのことを聞いているから真相調査してもらいたい、こういう調査権はこの間も承認になつたように当然あるわけでありまして、決して越権とか違法とかいうことはないわけなんです。今問題にしているのは調査に若干不十分な点があるのじやないかと、こういうことを言つているわけなんです。それは私が申上げたのと今須藤委員がお話になつた点と同じなんですが、不利益処分を受けた教職員のその理由が明白に述べられていないのです。今の報告には退職或いは転勤させられたと、併しそれがどういう理由でさせられたのか、そのことが明白になつていないわけなんです。私はさつきも申しましたように、これは正義感に燃えてそうして学校を改革して行こうと、こういう気持で起上つている教職員が結果的に退職を命ぜられるというふうなことであれば、これはやはり相当関心を持たざるを得ない問題でございます。併しそういう処分を受けるのに十分な理由があつたのかどうか、その点が明らかになつていないわけなんです。これは調査の不十分だと私は言つているわけなんです。これが人事委員会にかかつているからそういう点は調べることはどうかと思う、こういう御意見でしたが、それも私はやはり一応考慮せらるべき点だと思います。そういう点について調査が十分でないということを言つておるのですから、決して剱木委員の言うように、更に何かあとでしようと、そういう意味ではないということだけは、私はつきり言つておきたい。
  35. 剱木亨弘

    ○剱木亨弘君 調査の問題についてのみ御発言があるならば、私は何も前段を申す必要はなかつたのであります。ただその調査に関連して今も須藤委員は不当にその教員が、校長にも不当があつたので、それをやつたのになぜ悪いのか、こういう意見までも申される状態になれば、これは調査の範囲を逸脱しておる。  それから先に言つた高田委員でありましたか、教育委員会教育の民主化のために文部省はどう思うのだ、これは一つの意見を聞くのでありまして、調査を聞いているのじやない。若しも調査が不十分であつたかどうかという点についてそこまで人事委員会がやつているものを、例えば或る一つの大学なら大学の中で起つた問題について今それが公平であるか、理由があるかないか、不利益処分であるかどうかという判定を今下そうとしていろいろ処置をしておるときに、人事委員会がやると同じようなことを国会がやるのでは人事委員会を置く必要はない。私はそこで人事委員会の結論が若し不当であると国会がお認めになる場合は又別個の処置をとるべきであつて、若し人事委員会が法律上正当な権限として、我々国会においてその法律を作りながら、その人事委員会の結論を国会が先に牽制するようなことをやるということは人事委員会自体を否定するものであつて、国会は自分みずから作つた法律を無視するものである。特にそこに調査の限界とか時期というものについては一定の制限があるべきであつて、それを人事委員会がやつておるのに、それと同時に同じような調査を国会がやるということは、これは非常に疑問があると思う。今直ちにその結論については私は申しませんが、一定のところは、これはいろいろ我々としても研究しないと、そう軽はずみなことは国会としてできないのじやないか。
  36. 吉田萬次

    吉田萬次君 先ほど須藤さんや荒木さんから一方的な処置をとるということは不当でないかというようなお話がありましたが、私は個人としてでありますけれども、先ほど私が疑念を持つ、或いは疑点があるというようなことを言つたということは、私は相当なこれに対する深い関心を持つておるからでありまして、それほどな立派な教職員であつたなら、恐らくPTAといたしましても、又輿論といたしましても、さような教師を私は無慙な境遇に立至るようにして放つておくべきものでないと思います。私は愛知県の今日のその地方の人、或いは識者の間においてこの問題は相当検討せられ、そうしてこれが或る程度まで正当な判断と言わないにしても、それに近いものだという輿論があるということにおいて、私はこの問題に対して不公平な裁断とは考えておりません。
  37. 須藤五郎

    須藤五郎君 我々はその理由を知りたいというので今言つておるわけです。その処分された理由を明らかにしないで、ただ一方的な、処分をしたということだけを報告するから、それでは我々はもの足りない、何のために処分したかということを我々が報告を受けたいというのが我々の言い分です。何も教育委員会やり方が不当だから教育委員会を弾劾しろとか、そんなことまで言つておるのではない。だから教育委員会法を我々は犯しておるとは思わない。校長がこうこうこういうことをした、それをあばいた学校の先生たち処分された、その理由が明らかでない、報告されてない、調査されてないというところに調査の不十分さがある。そうして我々は納得できないということを言つておる。だからそこまで明らかに調査して報告してもらいたかつた、それが我々の要求だつた。それを文部省がやつてないから調査不十分じやないかと言つて我々は文部省を責めているのです。
  38. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 教育委員会から報告を受けております処分理由について申上げます。古知野員校教員上沼八郎教諭に対する理由は、勤務実績を評定した結果、本教育委員会所管の学校教育公務員の職に引続き任用しておくことが適当でないということであります。同じく古知野高校の永井教諭、半田高校内海分校の馬場教諭も同様でございます。それから半田高校内海分校の丸山法龍教諭に対しましては、気分を一新して職務に専心させることが望ましいと認めた。豊島昭平教諭も同様な理由でございます。それから古知野高校、これは教頭でございますが、前田教諭に対しましては、今回の事件に際してとつた態度が教頭として不適当、気分を一新して職務に専念させることが望ましいと認めた。それから半田高校内海分校の吉森事務職員でございます。これは今回の内海分校の問題に対してなされた言論が穏当を欠いた、かような理由に相成つております。
  39. 杉山昌作

    ○杉山昌作君 これは先ほどからお話承わつておりますと、今の問題は教育委員会処置が適当でないということで、人事委員会へ提訴しておる。これは提訴を受けた人事委員会が最も公平にやることであろうと思います。これは人事委員会の裁判にかかつていることに対して、外部からその判断に影響を与えるようなことをすることは、法律的にどうかは知りませんけれども、慎むべきものである。殊に文部省であるとか国会であるとかというような相当権威を持つておるところがその裁判の右になるか左になるかに影響を与えるようなことをやるということは、私は最も慎むべきものではないかと思います。只今聞いておりますと、教育委員会のやつたことは、あれはいいんだということをはつきりおつしやつたかたもあります。或いは悪いとは言わないけれども、非常に疑問があるというふうなことが窺われるようなお話もあつたように思います。こういうことを国会で論議することは私は決して適当なことではないと思う。やはり人事委員会に提訴されておる以上は、そこの公平な徹底した調査判断を静かに待つということが普通じやないかと思います。文部省調査も、我々国会議員として文部省からいろいろ聞くことは無論我々の職責ではありますけれども、今提訴しておるということになれば、文部省がいろいろ立入るということは、今言つたように、同じような意味で人事委員会調査判断に何らかの影響を与えるようなことがあつてもこれは工合が悪いことになりますので、文部省としても控え目な調査しかできないというのが事実じやないかと思うのであります。更に人事委員会の審理の進め工合と関連して、文部省としても、今皆さんから申された不十分な点は更に調査をして頂く必要は是非ありますけれども、これは人事委員会審査の模様とも睨み合せて行くべき問題だと、こういうふうに私は考えて、大体これ以上いいとか悪いとかというふうなことが言外に溢れるような話合いはこの辺でやめたらというような気がいたすものであります。
  40. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 私どうしても納得の行かない点が御報告の中にございますので、これはやはり調査というものは双方を御調査頂くというのが本当だと思います。どうしても、もう一度再調査を私はお願いしたいと思うのでございます。それで、誠にお忙しいのに御苦労様とは思いますけれども、どうぞもう一度調査して頂けないでしようか。
  41. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私も結論的に言えば、杉山さんのおつしやつた御意見に賛成であります。我々がこの際意見を述べて、何らかの影響を与えるという考えはないのですから、そういう点にまで立入るということは私どももよくないと思います。只今長谷部先生おつしやつたように、我々も先ほど述べたのですが、調査それ自身がそういう大きな影響を与えるというふうな調査までは望みませんけれども、やはり今の報告だけでは若干欠けておる点もあると思いますので、これは今後も文部省は注意して、できるだけ調査はしておいてもらう、こういうことにしておいたら私はどうかと思うのです。
  42. 川村松助

    委員長川村松助君) 只今荒木さんの御意見がこの場合極めて適当だと思いますが、皆さんの御意見はどうですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 長谷部ひろ

    長谷部ひろ君 只今の御発言の中に、適当な場合とおつしやいましたが、私はやはり早急にやつて頂いたほうがいいと思うのです。
  44. 川村松助

    委員長川村松助君) ちよつと速記をとめて下さい。    午前十一時五十四分速記中止    —————・—————    午後零時十二分速記開始
  45. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記を始めて下さい。愛知県に関する件はこの程度で質疑を打切つて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 川村松助

    委員長川村松助君) 御異議がなければさよう決定いたします。  次に山口県の件についての御報告を願います。
  47. 緒方信一

    説明員緒方信一君) それでは次に山口県の問題について申上げます。この問題につきましてもあらかじめお断り申上げたいと存じますけれども愛知県におきまして丁度申上げましたように、人事委員会で係争中である問題でありますので、その調査につきまして非常に困難をいたしましたと同様に、山口県の問題は組合の組織の問題でございまして、いろいろと帯にデリケートな情勢になつておりますところに文部省が出かけて行きまして、両者の意見を徴してやるということは、これは却つてその組合の問題につきまして影響を与えるというふうに考えましたので、行政系統といたしまして、現在の状態では教育委員会報告を聴取する以外に途がございませんと判断いたしましたから、それに基きまして調査をいたした次第でございます。この点につきましてあらかじめ御了承を頂きたいと存じます。  山口県教員組合の組織の概況でございますが、山口県教職員組合昭和二十八年四月三日現在におきまして組合員九千六百十九名となつております。で、これらは市郡別に支部がございますが、これに対しまして現在玖珂、美祢、豊浦、吉佐等におきまして相当数の脱退者が出ております。この数ははつきりいたしませんけれども教育委員会報告によりましてもはつきりいたしませんが、二千五百人くらいと言われておるようでございます。これは推定数でございますのでなんでございますが。この脱退の動向につきまして実はこれも非常に調査が困難でございますけれども、いろいろ出された文書等の資料によりまして、客観的に調査をまとめたような次第でございます。その状況を概略申上げます。  第一に豊浦支部でございますが、これは九月四日に声明書を出しまして、その内容といたしましては三項目ございますか、如何なる政党政派にも支配されず、組合の主体性を堅持しつつ組合員の生活向上のため合法的に活動することというのが一つ。それから次に真の組合民主主義の樹立を期し、大同団結による組織の強化によつて教育の自主性を確立すること。三番目に特定イデオロギーによる跛行的文化を排撃する等の基本的態度を確認する、こういうことを申しまして、更に四項目に亘りまして現組合に対して質問書を出しております。スローガンに対する見解、闘争方向、組合の財政、日記帳問題、これに対しまして質問書を発しております。九月六日に現執行部の不信任を表明して即時総退陣を要求する旨の声明書を出し、並びに組合機構の全面的改革に関する声明書を出しております。  次に下関支部でございますが、九月九日にやはり声明書を出して、最も中正妥当なる職員団体を結成する目的を以て、第一回設立準備委員会を開催する。それからこの行動が飽くまで自主的判断に基く熟慮の結果であり、純粋に教育を思う止むに止まれぬ衷情に発するものである、こういう声明書を出しております。  それから次に十一月二日になりまして防府、大津、豊浦支部代表並びに都濃等五支部の有志の名によりまして、執行部不信任に関する声明書を出しております。  次にこれに対しまする現組合の態度でございますが、脱退に対しまする動きの中には、支配権力の圧迫や策謀によるものが見受けられることが遺憾である。それから出張所長が校長に対して脱退を強要したり、身分保障を裏付けとして脱退を干渉した事実が明白になつている。それから本部支部に対策委員会を作り、組合の持つ本質的な意義、組合の置かれている教育の重要性、組合の大同団結の必要性、デマ誤解の一掃を徹底的に話合い、組織を守ることを決定するというようなことを八月十二日に組合に対して訴えております。  それから又前に述べました豊浦支部の質問書に対しましては八月の十五日に回答書を出しております。  それから十二月の八日に至りまして、豊浦支部は脱退に関する声明書を出しております。  以上のような動きが見られているわけでございますが、この脱退問題につきまして、これらの支部の動きのほか、小学校長会、中学校長会と組合との関係が相当大きいようでございますので、その点について申上げますと、先ず八月の十日に大島、玖珂、熊毛小学校長会有志は、最近における県教組が支部組合の自主性を認めず、又余りに政治的であり、思想的に中正妥当を欠く諸活動に賛同しかねるので脱退し、新組合を結成するという声明書を出しております。  それから又次に、同じ八月十日にこの現教員組合は学校長に訴える文書を出しておりますが、その中に脱退が当局によつて強要されていること、日教組の団結を恐れるものが日教組を中傷誹謗し、組織をずたずたにし、教育を中央集権化する分裂等に乗ぜられるものであり、そのようなことを深く見極めず分裂することは、良心的な組合を敵に売渡す罪深い行動であるというようなことをこの文書の中で述べております。  それから中学校長会でございますが、九月県教組脱退に関しまする印刷物を出しておりまするが、その内容は脱退決定に至る経過、それから中学校長会の態度、県教組執行部に対する不満の点、現在の法律の下においての教職員組合について等の各項に亘つて印刷物で大要を述べております。  以上のような状況でございますが、これに対する県教育委員会の態度でございますが、委員会といたしましては、組合の結成問題に対して不当なる圧迫を教職員に及ぼした事実はない、こう述べております。ただ教育内容の問題、教職員の服務の問題等については指導しておる、こういう報告を私は受けております。以上でございます。
  48. 川村松助

    委員長川村松助君) お諮りいたします。この問題はこのまま続行いたしましようか、それとも休憩いたしましようか。    〔「続けてしまつたほうがいいと思います」と呼ぶ者あり〕
  49. 川村松助

    委員長川村松助君) それでは御質疑願います。
  50. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 これは私は愛知の問題はあんまり詳しく聞いておらなかつたので、今ちよつと聞きたいと思います。山口県教組の問題は、私は今の調査では非常に不十分だというふうに感じております。私は国会にしても、文部委員会にしても、脱退しようが、分裂しようが、組合の自主的な行動に対してとやかく言う考えは全然ない。ただ調査して貰いたいと言つたのは、いわゆる教育委員会組合員に対して権力を以て或いは利益を以て、そういうふうに働きかけた事実があるのかないのか、こういう点を調査してもらいたいと言つているわけなんです。そういう点については殆んど調査報告がないわけなんです。で、私はいろいろ聞いているが、それは事実かどうかわからないのです。だから調査して貰いたいと言つているのです。私が聞いている事例を挙げても、教育委員会教職員に渡すべき旅費を渡さないで、その金を使つて教育委員会主事学校ごとに派遣して、そうして利益或いは職権を以て組合を脱退しろ、或いは第二組合を作れという働きかけをしたということを聞いております。この金が四十万円使われて、その処分に困つて、これは盗難にかかつたという届出をしておるという事実を聞いております。これは事実かどうか、こういう重要な点がてんで調査されていない。ただ教育委員会組合に対して弾圧をしたことがない、この一言じや調査してもらつた私は理由がないと思います。これは現に現場の教員の中には僕らにもらう旅費というものがどつかへ使われてしまつたかも知れん、これが組合の分裂のために使われたのだということで、非常な不満を持つておる人もあるということを聞いておるのです。これは私は単に聞いておるので、果して事実であるかどうかはわからないのです。そういう点が全然調査されていないのですね。誰が調査されたのですか。私はそういう点に限つて調査を依頼しておるわけです。組合の自主的な今のやり方が悪いとか良いとか、そういうことはみずから決定してよい問題です。我々は批判しようとは思わない。その教育委員会のやつた事柄については全然調査されていないじやないですか。これも何か今検察庁の問題になつておるとかどうとかというようなことも聞いておりますが、事実ですか。
  51. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 私申上げましたのは、現在の段階で調査が非常にしにくいということを申上げたのでありまして、名古屋の問題は人事委員会に係争中で、こつちの問題は只今お話のように組合の脱退とかというような問題でございますので、これは文部省が現地に行つて個々に当つてやるということは非常にむずかしい問題であります。少くとも誤解を生むような虞れがありますので、その点については調査をしておりますが、むずかしいということは言えると思います。
  52. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私が申したことは新聞にも出ておる。だからそういうことは事実であるかどうか調査しないで頬冠りするということはどうですか、こんなことは組合の微妙な問題でも何でもないと思う。ちよつと返事してもらいたい。
  53. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 従いまして教育委員会からの報告、これは行政ルートでございますが、教育委員会からの報告を徴しまして、これに基いて調査をいたしたわけであります。ただいろいろ言われておりますが、私どもといたしましては今申しましたような理由で、大体客観的に調査できる範囲においてやらなければなりませんので、今いろいろ出されております文書等について申上げた点はそのためでありますので、現組合のほうではそういうことが言われており、又片方ではそういう事実はないということを申しております。教育委員会もそういうことはないと申しております。今お話の盗難事件等については新聞に出ておりますので、私も気がつきましたので、この点については調査報告を聴取いたしましたが、そういう事実がないという報告を受けております。
  54. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 そうすると四十万円の盗難届をしたということは事実無根ですか。それから教職員に対して全部旅費が支給されたかどうか、それをちよつとお聞きします。
  55. 緒方信一

    説明員緒方信一君) その全体の問題として、組合の問題につきまして教育委員会が如何なる立場をとつたかということについて調査をいたしたわけであります。旅費の問題等につきましては調査いたしておりません。
  56. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それが問題の核心になるのですよ。新聞紙にも報道されたというふうに私は聞いているのです。教職員に与えるべき旅費を渡さないで、その金を使つて組合の分裂を策する費用に充てたというふうに伝えられているわけなんです。私はこういうことが事実であれば、これは私は何人が考えても教育委員会のとつた態度というものは非難されるべきであると思う。併しそういうことが事実であるかどうかわからないから調査してもらいたい、こう言つているわけです。それを全然触れないで調査というものは私はないと思うのですがね。そんなことを頬冠りして教育委員会のただ報告を、組合を弾圧したことはない、こういう報告だけの報告なら、そんなものは求める必要はないと思うのですがね。
  57. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 私どもはそういう具体的な事実は存じておりません。問題になりました事実、ここで問題になつておることを私は存じませんでした。このお示し願いましたのは、速記録にもそういう点が出ておりませんので、その点を特に調査いたしませんでした。ただ全体の問題につきましては、その組合の分裂問題に対しまし教育委員会が如何なる立場をとつたかということを調査したわけであります。個々の問題につきましては調査をいたしておりません。
  58. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 私は一々具体的な事例を挙げて調査を依頼はいたしません。反当文部委員会もそういうことはいたしておりませんが、そういう具体的な問題を調査しなかつたら私は調査した効果がないと思います。で、これは全然わからない問題でなしに、相当表面に出ている問題なんですからね。あの先ほどちよつと触れられた四十万円の盗難事件というのは事実無根なんですか。事実無根のようにおつしやつたんですが、そうですか、局長。
  59. 緒方信一

    説明員緒方信一君) 私記憶が、数字がはつきりいたさんかも知れませんけれども、三都市、これに二十万円だつたと思いますが、盗難事件があつたという記事が出ております。それにつきまして聴取いたしましたところでは、盗難事件はそこの点がはつきりいたしませんけれども、少くとも言われておるようにそれが組合の問題になつたという事実はないと、こういう報告でございました。
  60. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 盗難事件はあつたわけですね。
  61. 緒方信一

    説明員緒方信一君) その点は確めて御報告したいと思います。
  62. 荒木正三郎

    荒木正三郎君 それから旅費が支給されたかどうか。
  63. 緒方信一

    説明員緒方信一君) それは調査いたしておりません。
  64. 川村松助

    委員長川村松助君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  65. 川村松助

    委員長川村松助君) 速記をつけて下さい。  只今荒木君の御発言にありました旅費の件、盗難の問題、こうしたことについて事実の有無を調査してもらうということに決定して御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 川村松助

    委員長川村松助君) ではそういうことに決定いたします。  あと御発言なければ、本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 川村松助

    委員長川村松助君) では本日はこれで散会いたします。    午後零時四十四分散会