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国務大臣(
大達茂雄君) この法案について申上げますと、この、御
承知の
通り教育の中立
確保に関する
法律案というものは
衆議院で修正にな
つております。原案は三条に一項と三項というものを付けてあ
つた。そこで三条一項に書いてあるのは「特定の政党等を支持させ、又はこれに反対させる
教育」こういう字を使
つてあ
つたのであります。そしてその場合にこれを、これは罰則を以て規制される行為でありますから、無論拡張解釈は許されるべきものでない。厳重に、いやしくも拡張をしないで解釈しなければならない。狭く解釈するということになります。そこでこの支持させ、又は反対させる
教育ということを狭く解釈する場合には、特定の政党の名前を出してそれではつきりとこの政党を支持させる
教育、反対させる
教育、こういうことになれば、これは典型的な場合であります。併しそれだけではいわゆる
偏向教育の是正にはならない。そこでこの支持させ、反対させる
教育という
言葉の中には、特定政党を支持、又は反対させる、反対するに至らしめるに足りる
教育と、こういう場合もこのうちには含まれておるのだということを二項に断り書を付けたわけであります。その
意味はたとえ政党の名前をはつきり打出さなくとも、その
教育の
内容が
子供に特定の政党を支持、又は反対させるような先入感、それを与えてその実態を
子供に把握させて、そして
子供に政党の意識というものが頭に入
つて来た場合には、自然にそれに結付くようなそういう
教育というものもこれに含むのだということを原案には書いたわけであります。それが
衆議院において修正にな
つて、二項が削られて、そして一項の中に「ための」という字が入
つた。支持させ、反対させるための
教育、それで私
どもとしてはこの二項が削られましたけれ
ども、この「ための」という字が入
つたために、二項とができたと、かように私
どもとしては解釈しております。そこでこれはいわゆる
教育基本法の八条の二項に書いてあると大体同じ書き方にな
つたわけであります。もともとが
教育の中立性の問題は八条の二項が元にな
つておりますから、その書き方と同じ書き方に戻
つて来たわけです。そこでこの「ための
教育」ということはどういうことであるかということを言うと、特定の政党を支持させ、又は反対させるような先入感、素地を
子供の頭に、頭脳に印して、
印象付けて、そして自然に
子供の頭をその一方の政党にのみ傾くようなふうに、
子供の頭をそういうふうにさせる、そういう
教育、つまり大きくな
つたら、つまり一般の
政治的な批判力、
判断力というものが、それで阻害をさせて、極く一方的な頭に
子供をしてしまうような、特定の政党というものに固まらせてしまうような
教育、こういうように私
どもは解釈しております。でありますからして、普通の場合において個々の政党のそのときそのときに掲げるところの政策であるとか、それの当否を
子供に教えて聞かせる、或いは又そのときそのときにおける政党の党としての行動、或いは党員の、
只今のような党員の動静と言いますか、様子というか、あり方というか、そういうことを教えたからとい
つてそれが否応なしにその党に結付くような
教育だとは私
どもとしては解釈しておりません。これは
教育の問題ですからそのときそのときで、例えば
自由党がどういう政策をと
つたとか、或いは再軍備の問題なら再軍備の問題として改進党は再軍備をするということをに規定する場合はこれをカバーすることができた、かように私
どもとしては解釈しております。そこでこれはいわゆる
教育基本法の八条の二項に書いてあるとだいたい同じ書き方にな
つたわけであります。元々が
教育の中立性の問題は八条の二項が元にな
つておりますから、その書き方と同じ書き方に戻
つて来たわけです。そこでこの「ための
教育」ということはどういうことであるかということを言うと、特定の政党を支持させ、又は反対させるような先入観、素地を
子供の頭に、頭脳に印して、
印象づけて、そして自然に
子供の頭をその一方の政党にのみ傾くようなふうに、
子供の頭をそういうふうにさせる、そういう
教育、つまり大きくな
つたら、つまり一般の
政治的な批判力、
判断力というものが、それで阻害をさせて、極く一方的な頭に
子供をしてしまうような、特定の政党というものに固まらせてしまうような
教育、こういうように私
どもは解釈しております。でありますからして、普通の場合において個々の政党のそのときそのときに掲げるところの政策であるとか、それの当否を
子供に教えて聞かせる、或いは又そのときそのおきにおける政党の党としての行動、或いは党員の、
只今のような党員の動静と言いますか、様子というか、あり方というか、そういうことを教えたからとい
つてそれが否応なしにその党に結付くような
教育だとは私
どもとしては解釈しておりません。これは
教育の問題ですからそのときそのときで、例えば
自由党がどういう政策をと
つたとか、或いは再軍備の問題なら再軍備の問題として改進党は再軍備をするということを言
つておる。
社会党ではそれは反対しておる。こういうようなことをそのときに言
つても或いは先生の意見として軍備をしたほうがいい、しないほうがいい、こういうことを言
つても、それがすぐ再軍備に仮に賛成だからとい
つてすぐ改進党にどうでもこうでも入らなけりやならんという性質のものではありません。ただ政党のよ
つて立つものの性格と言いますか、基盤というものを
子供に与えて行く。
子供の場合でも一般の人でもそうでありますが、そうしてその政党の他の政党と比べて全く特徴付けられている本質的なものを
子供に教え込む場合には、これは特定政党を支持させる
教育ということになるけれ
ども、個々の場合の政党の動き或いは政策、そういうものについて
論議をするようなことをしても、それがすぐその政党に入るとか入らんとかいう問題にはならないものでありますから、そこでそういうふうなものはいわゆる
偏向教育とは
考えられない。本質的にその政党と結付くような
教育をする場合がいわゆる
偏向教育である。若しくははつきりとその政党の名前を出してこの政党でなければいけない。理屈を言わなくても、
子供ですから理窟を言わない場合もあります、ほかの政党はみないけない、この政党でなければいけないと、こういうようにはつきりしたことをする、これは
偏向教育になる。そういうはつきりした言い方をしないで、実質的にその政党でなければならんというふうな
教育が、これが
偏向教育、こういうふうに解釈しております。そこで先ほど来のことはその見地で申上げたものですから、そこでこれをお聞きにな
つて個々の場合の問題と本質的な問題との間に私
どもの頭で申上げて、或いは、御了解頂けなか
つた点があ
つたのではないかと、こう思
つております。