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1954-05-26 第19回国会 参議院 農林委員会 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十六日(水曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————   委員の異動 五月二十五日委員戸叶武君辞任につ き、その補欠として、山下義信君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            清澤 俊英君            松永 義雄君            松浦 定義君            鈴木  一君            鈴木 強平君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    農林政務次官  平野 三郎君    農林省畜産局長 大坪 藤市君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    農林省農林経済    局統計調査部経    済調査課長   所  秀雄君    農林省畜産局経    済課長     昌谷  孝君   参考人    農林中央金庫理    事       更級  學君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○酪農振興法案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から委員会を開会いたします。  本日は先ず酪農振興法案を議題といたします。昨日の河野委員要求によりまして、参考人として農林中央金庫理事更級學君及び江田委員要求により農林省統計調査部経済課長出席を得ております。  参考人におかれては御多用中御出席を頂きまして厚くお礼を申上げます。河野委員がまだお見えになりませんから、江田委員のほうからお聞き願いたいと思います。
  3. 江田三郎

    江田三郎君 統計調査のほうにお尋ねをするわけですが、この酪農振興法案によつて牛乳等取引契約を文書化すと、こういうふうになつておる。そしてこの文書化して行くときに、協定案を作るときに著しく困難な事態が生れた場合には、農林大臣に対して助言資料提出その他必要な協力を求めることができると、こうなつてつて、その際著しく困難な事態というのは主として価格の問題について起ることが予想されるわけであります。従つてそれに対して助言をするということになると、牛乳生産費幾らであるかということがはつきりしていないというと、助言が適切なものと言えないことになるわけです。それで牛乳生産費について統計調査部のほうで毎年実施しておると、こういうように聞いておるのですが、現在どういう規模でどのような調査をしておられるか、先ずそれをお聞かせ願いたいと思います。
  4. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 牛乳生産費調査方法及び規模についてのお尋ねでございますが、この生産費調査昭和二十六年度から開始いたしたわけでございます。御承知のように統計調査部が本省にございまして、北海道は四つございますが、各府県全体で四十九の事務所がありまして、その下に出張所があるわけでございます。牛乳生産費調査はそのすべての事務所でやつているわけではございませんので、主産地において実施しているわけでございます。具体的に申上げますと、北海道では札幌及び帯広、函館の事務所、それから内地におきましては岩手、千葉、東京、神奈川、静岡及び兵庫の各事務所で実施いたしております。これらの事務所にそれぞれ十戸乃至五戸を割当ていたしまして、代表的な農家を選定して、その農家の主として記帳調査に基いて実施しているわけであります。場合によりましては、統計調査部員の実査又は聞取りで補完することもございます、費目によりましては……。組織は以上のようになつております。  それから調査期間でございますが、これは一頭飼育いたしております農家の場合においては、分娩期間から次の分娩期間、通常一年半程度になつておりますが、それを調査計算期間といたしております。二頭以上におきましては、毎年度四月一日から翌年の三月三十一日まで、つまり一会計年度計算期間として調査をいたしております。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 これはあなたのほうから出た資料じやないのですけれども、畜産局から出た資料によると、現在までそのうち公表されたのは二十六年度についてのみで、近く二十七年度分が出る予定である、こう書いてあるのですが、この通りですか。
  6. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 畜産局から出ました資料は私実は只今拝見いたしたのでございますが、それによりますと、確かに昭和二十六年度についてのみ公表され、二十七年度分については近く公表される予定であるとございますが、昭和二十六年度分及び昭和二十七年度分につきましては、その概要だけを報告公表しております。その概要と申しますのは、年計としての最後公表というのではございませんで、一部特殊な農家を除きまして、まとめたものを指すわけでございます。本当の意味年計として公表いたすものは、二十六年度につきましても、二十七年度につきましても実は未公表でございます。但し二十六年度は極く最近、二十七年度につきましても、そう遠からん機会において年計公表をする予定になつております。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 今後、先ほど申しましたように、協定案を作る場合に農林大臣助言をすると、こうなつて来ると、これは相当新らしいものでなければ役に立たんことになるわけですけれども、それで二十六年なり、二十七年がどうして未公表であるのか、その理由はわかりませんけれども、まあいずれにしても契約を作るのに現在はどうか。それから更に統計調査部でやつておられるところの将来の長期の観測ですね、こういうものが必要になつて来るわけですが、今までやつているこの調査というものは、牛乳生産費調査のために専任職員がおるのかどうか。又現在のままで今申しましたような要望に応える調査ができるかどうか。まあ今の地域として北海道三カ所、内地を五カ所挙げられましたが、今後集約酪農がこうやつて進んで行くと、それだけの所でなしに、もつと地点が我々の要望する調査地点というものは多いのでなければならんと思うのですが、一体そういうような必要に応えることが現状でできるかどうか。できないとしたら、どういうようにしたらいいのだろうか。そういうような点について一つお答えを願いたい。
  8. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 先ず現状について申上げたいと思います。続いて将来の問題を申上げたいと思います。現状は、先ほど申しました通り調査組織方法になつておりますが、この場合、酪農振興資料といたしますには、次のような考慮が必要だろうと思います。只今申しましたように、二十六年度及び二十七年度が最近出るとは申しながら、まだ出ておりません事情は、実は二十六年度に初めてこの調査を開始いたしました関係上、大部分農家は二十六年度の当初に委嘱いたしましたけれども一部二、三カ月遅れたものもあることが一つと、もう一つは、一頭飼養農家の場合は先ほど申しましたように、次の分娩期間までということに計算期間がなつておりますが、調査農家のうちには二十六年度の初めに委嘱いたしましたけれども、次の分娩期間が二十八年の、翌々年の春になつたという農家があるわけでございます。併し年計といたしましては、調査の体系としては、この農家を省くわけには参りませんので遅れましたのです。併し急ぎますので、概算だけはこういう農家を省きまして、先ほど申上げましたように公表いたします。そういう事情で二十六年度は遅れました。二十七年についても同様の事情があるわけでございますけれども、調査開始後二年でございますので、だんだんと年計公表が早くなることは申上げていいと思います。そこでこのような調査の結果を利用いたします場合、今申しましたように、主産地のいわば事例調査統計としてはそういうふうに見るよりほかはございませんので、全国的な推計としては、従つてこれだけの調査では不十分であろうと思います。殊に今度県別にこれを見ようということになりますと、なお更問題があろうと思います。そういう意味で、これを少くとも全国推計数値として読むためには、ほかの、例えば私のほうでやつております物価賃金調査或いは農家経済調査で補完すれば、全国的な傾向としてはこの数字でも読めると私は思います。それから時期的に急ぎます場合の措置としては、現状でありますならば、前年度の原単位費目ごと費消金額がございますね、その費消金額に今年度の、先ほどの御発言がありましたように、今後の物価の見通しとか、或いは現在の、昨年度に対する物価趨勢値、そういうものによつて補正すれば早期に調査がまとまります前に、大体の傾向としてはできるのではないかと思うのです。これはほかの価格政策の場合にも同様の措置を講じております。現状を訂正いたしますには、改善するにはもつと戸数を殖やして、少くとも全国推計可能な設計に改める必要があります。それからその場合には、先ほどのお尋ね専任職員の問題がございますが、牛乳生産費調査のためとしての専任職員只今はございません。併しこれを全国推計可能な数殖にするために相当の戸数を殖やすといたしますならば、そのための必要な措置を講ずる必要があると思います。そういう必要な措置が講じられれば、目的に副う調査ができると思います。
  9. 江田三郎

    江田三郎君 これは先ほど申しましたように、今度の集約酪農地帯だけでなくて、そのほかの一般酪農地帯につきましても、やはりこういうものが今後どうしてもなければ、本当に酪農家生産費を補償したような指導が困難だろうと思うのでして、やはり補正をしようと何をしようと、今ここが欲しいというときに、そこの答えが、ともかくも補正であろうと何であろうと出て来るというようなところまで統計調査機構ができ上らなければいかんと思うのですが、専任職員でないということになると、今のままでも無理をすればやれるということなんですか、それともやつぱりそういう調査地点が殖えたり何かすると現状ではできない。然らばおよそどの程度人員を増加することによつて、そういうような要請に応えることができるということになるのか、そういう点はどうです。
  10. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 牛乳生産費調査は、ほかの例えば農産物、甘藷生産費とか、馬鈴薯生産費というものと比べますというと、かなり複雑なわけでございます。従つて現在の調査でも無論かなりの利用に堪える数値を把握することができると思います。ほかの調査と比べましても、それほどおかしな数字は出ておりません。従つて主産地事例調査としてはかなりの精度の高い数字だと思つております。併しおつしやるようにもつと基礎的なものにするとすれば、これだけの複雑な調査でございますので、少くとも正確にまだそういう準備なり計算をしてはおりませんけれども、私の今の感じとしては、全国推計としてはやはり三百戸か、三百五十戸ぐらいの戸数が必要であると思います。これは現に甘藷馬鈴薯なんかの価格安定の場合にも、その程度戸数調査いたしておりますので、そのくらいの規模にはする必要があろうと思います。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 ちよつと自信のあるようなことを……、今のままでもそうお粗末なものは出さんというようなことを言われましたが、その自信は本当にありますか。例えばこういうようなものが出て来ると、仮に岩手県の岩手山麓生産費はどうなるか、こういうようなことについて助言をしなければならんということが出て来るわけです。そういうことがてきぱきと確信を持つた答えが出るのですか。
  12. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 私が今申しましたのは、何県の何地帯ということではなくて、全国の主産地を通ずる傾向値としてはかなり代表的な数値をつかめる、こういう意味でございます。もう一つ申しますと、例えば餌の単価が、生産費調査農家から出て来た単価幾らであるかというその数値と、私のほうで全国数百ヵ村に亘つて物価賃金調査をやつておりますが、そのほうの単価と比較いたしますと、そんなに大きな食い違いはないわけです。従つて全国的な主産地傾向としてはかなり信頼のおける数値ではないかということが、ほかの調査から推計して見て言えるのではないかと思います。併し今の御質問のように、岩手県のどこの部分ということになりますと、統計的にはこれで何かの結論を出すということは危険であろうと思います。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 だからまあ何というのですか、私専門的な言葉使いはわかりませんが、例えば原単位の表でもあつて、そこへ現場のデーターをはめ込んで行けば一つ答えが出る、こういうようなことになるのかどうか、その辺わかりませんが、仮にそういうことになるとしても、物価調査や何かと違つて、これは非常に草の多いところ、そうでなしに、購入飼料に多く依存しておるところ、或いは種類によつても違いましようし、いろいろ違いがあると思うのです。そういうことに、まあこれは仮空な議論でちよつと具体的になかなかなり得ないのですけれども、我々の言わんとするところはあなた方のほうでもおわかりになると思います。要するにそういうような調査というものが現在の機構でもできる、こういうことなら、それが責任を持つてできるならそれでよろしいし、或いは今の機構ではできないということなら、できるようにして行かなければならんと思いますが、その点今ので大体、私が言うのも余りはつきりしませんから、答えもはつきりできないと思いますけれども、どういうことですか。
  14. 所秀雄

    説明員所秀雄君) おつしやる意味はよくわかります。現在の調査だけから見ましても、例えば北海道内地と比較いたして見ますと、かなり差異がございます。又一頭飼養農家、二頭飼養農家ということによつても相当な違いがあるわけです。従いまして、県別に、地帯別に、或いは飼養方法形態別にということになつて来ますと、現在の調査では、先ほども申しましたように、代表性のある結果ということは申せないと思います。従つてそういうものを調査するためにはそれ相応の戸数にし、それに応ずる必要な職員及び集計の予算とか、或いは農家に対する謝金とか、そういう手当が必要であると思います。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 もう一つ、幸い二十六年度、七年度については未公表ではあるけれども、ほぼまとまつたようなお話でしたが、その答えを要点だけを今お聞かせ願えますか。
  16. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 二十六年の年計の結果と、二十七年の概算の報告は現在持つております。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 その最後答えだけ出ますか
  18. 所秀雄

    説明員所秀雄君) どういう項目でしようか。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 一升の生産費幾らになつておるかということです。
  20. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 全国平均の結果を申上げますと、一升当りで申上げます。この一升当りと申しますのは、脂肪率によつて、標準の脂肪率で換算した一升当りでございますが、その一升当りで申上げますと、全国平均が二十六年度が四十六円八十七銭、三十七年が五十六円二十大銭、かようになつております。北海道内地別を申上げますか……。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 又あとでまとまつたのを頂きますから、それでよろしいが、ちよつともう一点だけ……。そういう生産費調査と並行して、その他の乳業のほうの中間経費とか、販売費とか、そういう調査はされておりませんか。
  22. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 現在はやつておりません。
  23. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) これはあと資料を、どうですかね。あとで……。それから調査要綱というのですかね。それと両方あとでどなたか……。ただ一つだけ。今の平均生産費ですが、自家労力はどういうことになつておりますか、相当値段も違つて来ると思いますが、その点……。
  24. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 自家労働の評価は、その農家のございますまわり、部落或いは村の臨時雇賃金でこれを出しております。
  25. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) その近郊の臨時日雇労賃……。
  26. 所秀雄

    説明員所秀雄君) そうです。
  27. 清澤俊英

    清澤俊英君 今の問題と関連して、養蚕のことでちよつと聞きたい。極く簡単です。一口です。面倒じやないんですが、丁度これと同じで、繭価協定というやつがありますね。あの場合の繭価は、あなたのほうでその材料を、繭価協定の場合の前の生産費の問題で材料等を出しておいでになつているのですか、その点をお伺いしたい。
  28. 所秀雄

    説明員所秀雄君) 繭価協定のための材料を出しているかという御質問でありますが、繭の生産費調査は私のほうでやつておりますが、特に繭価協定のための資料として出すわけではございませんで、調査結果をただ公表していると、こういうことだけでございます。更に繭糸価格安定法に基く必要は組替えの計算、こういうことはやつた結果を審議会提出するということはあります。併し繭価協定のための資料提供ということは特にやつておりません。
  29. 江田三郎

    江田三郎君 今のに答え統計調査課長の言われた御答弁ですね。関連して畜産局のほうへ聞かなければならん。これはまあ局長が見えてからやつたほうがいいと思いますから……。
  30. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それじやもう統計調査のほうはよろしうございますか……。それでは続きまして、農林中央金庫から見えておりますから……。
  31. 河野謙三

    河野謙三君 中央金庫質問もあるのですが、私は畜産局長が同席することが条件ですが、畜産局長どうしたのですか。
  32. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 今丁度衆議院の競馬の法案で、今修正案を練つておるそうでありまして、今ちよつと席が外せないという連絡でありました。
  33. 河野謙三

    河野謙三君 それじや経済課長、よく畜産局長に伝えて下さい。私はこれから中金といろいろと質疑をするけれども、更級さん、私は実はあなたが苦手で、成るべくあなたでないほうがいいということを委員長に申上げておいたのですが、やはりほかの理事が御都合が悪くてあんたでありますが、例によつて言葉がきついかも知れませんけれども、これは懇意の余り言葉がきついのでありまして、ちよつと御了解を先ず……。今度我々の手許で酪農振興法というのが出ているのですけれども、酪農と言いますと、一番我々が大きく考えるのは北海道であります。北海道酪農振興というものは一番重大な影響を持つているのは雪印、クローバー、ところがあなたのほうもその御認識の下に、雪印バターに惚れ込んで、莫大な金を貸しているそうですが、そこで私が調査するよりも、あなたのほうで雪印会社の内容を調査された概要一つあなたから御説明頂きたいのですが、これはよくおわかりになつていると思う。特にあなたのほうは小野さんとかいうかたまでわざわざ重役に出して、いわゆる我々から見ると、銀行管理というところまで雪印をやつておられるようですから、雪印現状並びに今後の見通につきまして一つ御説明頂きたいと思います。
  34. 更級學

    参考人更級學君) 詳しい資料は実は今日は只今つておりませんが、大体のところ私の頭にありますことを申上げたいと存じます。  経過的に申上げますと、この雪印乳業或いは北海道バターというものは、もともと大正十五年に北海道製酪販売組合連合会というものができまして、それが前身になるわけでございます。それは御承知のように、北海道産業組合中心になりまして製酪事業をやる連合会ができたわけであります。中央金庫は当初からこの連合会取引して参つております。又できるだけ北海道酪農の発展のため、或いは酪農家生産の安定のために我々といたしましても応分の、できるだけの協力をいたして参つた団体でございます。以来ずつと取引をして参りましたが、御承知のように、昭和十六年にこれが株式会社北海道興農公社というものに改組されました。これは要するに協同組合と言いますか、産業組合が改組されまして株式会社なつた。これは当時御承知のように、団体統制が強化されまして、一つ統制会社的な形を以て北海道興農公社になりまして、この場合には北海道庁或いは中央金庫といたしましても、これに参幽いたしまして或る程度株式を取得いたしました。北海道全体の酪農振興のために我々も協力いたしたいと存じて参つたのでございます。以来大体会社の運営は順調に行つてつたと存じております。我々もできるだけ株式会社という形をとりましても、もともと公社という名前を付けております。できるだけこれはいわゆる公共的な生産者団体を援護し、生産者団体のためを図つて行く団体であるという形の認識を忘れないように、我々も金融的な立場から指導して参つた次第でございます。併しながら、終戦後になりまして、昭和二十年の十一月に、従来の統制的な形をやめまして、北海道酪農協同株式会社というものに改組いたしまして、まあ一般会社と言いますか、そういう統制的な色彩を除いた会社なつたわけでございます。併しながら、以来我が国は御承知のように連合軍占領下にありまして、御承知のような集中排除法が施行になりました。それでこの北海道酪農協同株式会社も結局集中排除法の適用を受けることになりまして、これを分割しなきやならん、こういうことになりまして、その当時この分割することにつきまして、これをもともとの協同組合と言いますか、産業組合組合組織に直すのがいいか、或いは株式会社的な形で持つて行くのがいいかということはいろいろ論議されたようでございます。我々もいろいろ論議いたしましたが、結局これはやはりこういう生産的な機構といたしましては株式会社組織がいい、而もこれはできるだけ農民の組織する株式会社と言いますか、協同組合的な形を持つた会社にして行くべきだというふうに考えまして、そういうような方向に全体の意思がきまりまして、二つ会社に分れたのであります。御承知のように只今河野先生からもお話がございましたように、一つ雪印乳業株式会社一つ北海道バター株式会社二つに分れましたが、その分れるに当りまして、北海道バターのほうは大体一億二千万円の株式ということにしております。それから雪印のほうは大体三億六千万円、大体三対一の割合で分割されたのであります。その際におきまして、北海道バターのほうは御存じのように、あの酪農地方中心地帯傘下にありまして、それ以外は雪印乳業傘下に入つております。而も従来の統制会社式と言いますか、北海道興農公社といたしまして、北海道酪農を一手に集めまして、御承知のようにバター或いは煉乳そのほか以外の関連産業といたまして、興農公社が或いは製革事業、或いは塗料もやる、或いは農業用資材生産もするというようないろいろな関連産業を持つております。この関連産業が一緒に雪印事業に加えられて分割されたわけであります。でありますから、北海道バターのほうは酪農中心会社としてこれが分離し、雪印といたしましては、只今申上げましたようにいろいろの関連産業を持つて分離したということになつたのであります。ところがその関連産業、必ずしもこういう統制が外れましてうまく行かないような形になりまして、これは我我金融をいたすものといたしまして、できるだけこういう関連産業は断わつて、できるだけ酪農一本にすべきだ。できるだけ酪農家の利益を図つて、そういう関連産業は早く整理するなり或いはこれを分離するという方向に進んで参りたいということを極力指導をし、お願いをして参つた次第であります。会社当局といたしましても、従来の暴騰いたしました人員の整理をすると共に、只今申上げましたような関連産業も整理いたしまして、只今は大体関連産業は全部整理し終つたと聞いております。それでありますので、その関連産業は従来雪印会社経営を相当圧迫しておつたことは事実であります。これに関連しまして、いろいろ雪印乳業経営に関しましての御批判もあつたように存じておりますが、今日のところはそういう関連産業もとれましたので、そういうような憂いは少しもなくなつております。又、昨年以来酪農界も相当好況になりましたので、以来会社の内容も全都整理いたしまして、現在のところは我々のほうで見ましても、従来我々の心配しておつたことは大体解決が付いた。今後酪農一本に進めまして北海道酪農家のために尽すことができるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。で、御承知のようにだんだん会社といたしましても、できるだけ酪農家の利益を図るということは、ただ酪農家から牛乳を集めて生産するばかりでなく、酪農家経営についても相当援助、指導する、こういうことをしなければいかんじやないかということについても我々は意見を申上げて、相当その方面についての努力もいたしているのであります。大体昨年度の売上と申しますか、商いと申しますか、大体昨年度は七十億見当の売上をいたしております。一昨年は大体五十億、昨年で二十億の増加になつております。乳量といたしましては、大体五十万石を取扱うようになつておりますというような工合でありますので、我々といたしましては、今後この会社といたしましては北海道酪農のために一層の尽力をすべき会社であり、又我々といたしましてもできるだけの協力もいたしたいと、こういうふうに考えている次第でございます。
  35. 河野謙三

    河野謙三君 経過はよくわかりましたが、会社の業態の現状並びにお見通しはどうですか。これはすつかり整理すべきものは整理できて、一般の他の乳業会社と十分に太刀打ができるだけの内容というものを整えるようになつたのか、まだ整理が残つているのか、これらの点について伺いたい。私が聞くところによりますと非常に内容が悪い、現にこれはあなたのほうから出た資料じやありませんけれども、会社自体が我々の手許へ出した表でありますけれども、あなたのほうから現在短期の資金が去年は約三億五千万円であつたものが、現在は五億一千万円の短期資金を中金だけからでも借りておる、こういうことになつていますね。なお聞くところによりますと、非常に不良貸付が多くて、五億からの売掛代金の回収不能のものがあるというようなことも私は聞いている。こういうことを聞いているのですが、若しこういう私が聞いていることが事実とすれば、これはもう少し抜本的に考えを変えなければいかん、こう思うのですが、一体今私が申上げたようなことはこれは単なるデマですか、あなたのほうから小野さんが行つて一切合切会社の内容がわかつているわけですから、これを一つ率直に御説明頂きたいと思います。
  36. 更級學

    参考人更級學君) 只今お話がございました私のほうから雪印乳業に対して貸出をいたしております数字は、只今お話がございましたように、本年の三月三十一日現在で五億一千二百万円でございます。昨年は三億五千八百万円で相当殖えているじやないか、こういう御意見であります。併しこの下にありますように、市中銀行から当時四億四千万円の金が出ておりました。運転資金といたしましてはこれを合せまして大体八億円の運転資金が出ておつた、それが今年の三月では我々のほうの貸出は五億一千二百万円でございまするが、市中銀行の貸出は三千五百万円、合計五億四千七百万円に減少いたしております。それだけ運転資金が市中銀行としては回収になつております。勿論これにつきましてはいろいろ問題もございます。ざつくばらんに申上げますと、会社といたしましても相当の運転資金が余計要る、要る場合にはできるだけ金庫のほうでも面倒を見てくれないかという御要求がございます。従いまして、御承知のように私どもといたしましては、普通の協同組合と違いまして会社組織でございますから、何から何まで全部金を見るわけには行かない。できるだけ北海道のことでありますから、北海道の地元の資金を使うのが北海道産業として適当ではないかということを言いまして、できるだけ市中銀行の金を使つてもらいたいという考えを持つてつたのが従来の方針でございまして、ここにございますように、昨年は三月までには市中銀行のほうが金庫より多かつた、こういう形をとつております。併しながら、ざつくばらんに申上げますと、市中銀行から資金を会社が求める場合には相当の何と言いますか歩積と言いますか、相当の預金がなければならない、預金取引を完了いたしまして資金を借りるということになりますので、相当コストが高くなるというのが会社のほうの訴えでございました。できるだけそういう歩積をなくして、専属取引式に成るべくその取引先を減らして歩積を減らして行きたいというので、できるだけ金庫のほうでも面倒を見てくれないか、こういうお話もありましたので、私どものほうといたしましても、昨年の前半期は大体取引に余裕もありましたので、或る程度はそういうふうに減らしまして会社のコストを安くして、そうしてできるだけ乳価を高くしてやるほうがいいんじやないか。農民のためにそういうような高い金を使うより、安い金を使つて乳価を高く上げてやることはいいことだから、この程度は持ちましようという形でここに現われておるわけであります。併しながら、我々といたしましても、これから九月にかけまして相当資金が窮屈になりますので、我々のほうで秋口の金の余つたときにはできるだけ会社の面倒を見るが、金庫のほうで金の不足するときは、できるだけ市中銀行の金を使つてもらいたいというのが我々の考え方で、会社も大体そういう方針をとつてつておられます。それから会社の市中銀行との取引関連いたしましては、只今申上げましたような事情もございますので、その点は一応お含みを願いたいと存じますが、又お話もございました会社の内容如何ということにつきましては、只今申上げましたように、関連産業を切りまして、或いは先ほどもお話がございましたが、取引先に相当固定債権があるというようなことにつきましても、我々といたしましては極力この点の回収、整理に、何と言いますか、鞭撻を加えまして相当整理をして参つておりますので、今日では相当の整理はできておるものと私信じております
  37. 河野謙三

    河野謙三君 銀行が重役を入れた以上は、いわゆる銀行管理というようなことで、これはもう整理は一応進んでおることは私もわかりますけれども、整理を急ぐの余り、こういう農民の、大部分が農民の資本によつている会社でしよう。そうではありませんか。余り整理を急ぐことによつて、それが全部農民にしわ寄せになるという危険があるわけです、そこで私はそれを伺いたいのと、もう一つは、一体これは見込があるのですか、この公社は……。それを私は伺いたい。見込があるのですか、正常の取引を今後続けて行くことによつて見込みがあるのですか、どうですか、それを私は伺いたい。
  38. 更級學

    参考人更級學君) 会社を整理することによつてそのしわが農民に寄るかどうか、これは私はそういうことはしたくないと思いますし、そういうことはないであろう、できるだけ会社は自分の力によつて整理をいたして行く、或いは合理化するなり、或いは先ほど申上げましたような固定債権がありますならば、できるだけそれを解消するということに努力すべきであつて、それを農民にしわ寄せするということは我々は毛頭考えておりません。又この会社が見込があるかどうか。我々といたしましては見込があるものと考え、又相当発展すべき素地あるものと考えております。又そういうふうに我々といたしましてもできるだけ会社経営に対しましては関心を持ち、又できるだけの協力もいたしたいと、こう考えております。
  39. 河野謙三

    河野謙三君 あなたの気持は、もう生まれたときからの農業人ですよ、あなたの気持は……。農民にしわ寄せしようなんということは考えていないことはわかります。わかりますけれども、何と申しましてもあなたのほうは金融機関でありますからね。これはやつぱり債権を確保するということが私は何と言つたつて優先的に考えられると思う。でありますから、私はこれを見込がなければ放つちやへというのじやないけれども、見込がないものなら根本的に別の方途を以て、例えば農協において再建整備をやるごとく、その方向に持つて行くべきであつて、ただ大して見込のないものを今までの関連上今更引くに引けないということじや私はいかんというのです。よくお互いに若いときにあるでしよう。女に惚れた、附合つている間にだんだんあの女は悪女であつた、女には諦めは付けたけれども、家へ帰つて寝てみると、今までつぎ込んだ金に諦めが付けられない、そうして次から次へと深みへ入つて行く。これは若いときお互いによくある失敗です。それと同じことをやつちやいかんというのが私の考えです。そういう弊害に中金がまさしく陥つておるように私は思う。中金本来から言えば、これは何と言つても員外貸付ですよ。そうじやありませんか。そういう面からも一つ中金はこの際反省しなきやいかんと思う。根本的に中金と雪印の関係というものは考え直さなきやいかんと思いますが、そういう点は万万ございませんか。
  40. 更級學

    参考人更級學君) 惚れ込んだが因縁で、どこまでもくついているのじやないか、こういうような御批判でございますが、私どもといたしましては、まあ惚れちやおります、おりますけれども……。
  41. 河野謙三

    河野謙三君 惚れ過ぎている。
  42. 更級學

    参考人更級學君) 惚れ過ぎておるかどうか、それはまあ皆さんの御批判に任せますが、併しながら、やはり女の根性が悪ければ、これを直すということもやらなければならん。惚れた以上は、どこまでもその女と言いますか、(笑声)相手のとにかく性格を直し、素性も直して行く、そうしてできるだけ、長く附合つて行くようにするのが我々男としての建前じやないかと思うのです。(笑声)そのことは、言葉はどうかと思いますが、併しながら、まあ冗談を申上げて申訳ありませんが、話のついでに、お話がありましたから申し上げますが、そういう気持で以て、勿論先ほど申上げましたように、雪印が戦争中と言いますか、統制時代に公社としていろいろ関連産業をやつて、それで相当会社経営を圧迫しておつたことは事実であります。でありますから、これが二つに分離して雪印がそのあとを引受けたことが或る程度雪印としては重荷になつたと考えております。併しそれはできるだけ早く整理をしなければならん。整理しなければ、結局農民のためにならんじやないかということで、我々ここ数年に亘りまして、会社当局を督励し、できるだけ協力する方針で参つております。お蔭様で整理もできました。只今お話がありましたように、昨年は相当業績もよかつたので、会社の内容も漸次改善されております。これ以上は、先はどお話がございましたように、寝て考えても今後附合つて行つても差支えない、こういうふうに考えております。今後相当心を入替えまして、立派な相手になつて行くものだと私どもは考えております。又そういたしたいと考えております。
  43. 河野謙三

    河野謙三君 やつばり惚れた、はれたということは、本人同士はそういうものですよ。はたから見るとなかなかそうじやない。例えば私は過去の例を申しますが、雪印経営において失敗した二、三を申しましようか。これはついこの頃に始まつたのじやない。先に言つたように、長年に亘つて雪印とあなたのほうは関係がある。あなたのほうは過去十年、十五年に亘つて監督、指導して来られた。その間にどういうことがあつたか、終戦後昨日も私はこの委員会で言つたんだが、内務官僚か顔をきかして、雪印の販売店になつたでしよう。今の建設大臣の戸塚さんはそのメンバーの一人です。これが失敗して雪印は打撃を受けたでしよう。それでその後はどうしたか。黒澤酉藏君の御親戚の草野商店というのが神田にあつて、これが販売権をとつて、これに商売さして、これ又今駄目になつらやつたじやないですか。こういうふうなことをやつていて、私ははたから見て、同じあんたは惚れているけれども、これは悪女なんだ、悪女なんです、私に言わせれば……。それであんたのほうは悪女の深情けに陥つているわけだ。こういうことを考えますと、これがすべて最後には農民にしわ寄せなんです。農民の資本なんだから。七割五分は農民の資本なんだからね。そういうことを過去においてやつておるのであるから、私は今後のことを心配するわけです。私が今申上げた過去の事例の一、二というものはこれは嘘ですか、嘘でないとすれば、果してあんたが惚れている女がこういうことをしてもこれはいいとおつしやいますか。これは惚れ過ぎているとすべての問題は皆よく見える。これは過去の例ですが、こういう事実を以てして私はすでに過去において農民にしわ寄せしているじやないかと、こういうのです。過去のことは追及しないが、今後これからは中金の小野理事行つて、そうして一切やらさせない。又やらさせなくても十分に北海道酪農民の利益を代表して、雪印は健全に発注するような基盤ができたと、こう言われれば、私はあんたのほうと雪印の関係が悪いというのではなくて、洗うべきものは洗つて、直すべきものは直して行くならば私は何も言はない。一体その点はどうでしよう
  44. 更級學

    参考人更級學君) 只今お話のそういう事実があるかないかということにつきまして、私まだ詳しく聞いておりませんが、若しそういうことがありますれば、非常に遺憾でございます。細かいことは存じておりません。併し只今お話のように、過去におきましていろいろ固定した債務があることは聞いております。具体的に私まだ聞いたことはございませんが、併しそういうものはできるだけ早く解決すベきである、又整理すべきであるということの方針を以ちまして、我々のほうも極力会社の内容の合理化を図ると同時に、そういう固定債権の回収も図るべきだということでやつて参りまして、最近のところは只今申上げましたように、大体の整理か安定したのであります。整理して安定したじやないか、こういうように考えておりますので、今お話のように、今後人も増しましす、従来も人が行つております。相当有力な人に行つて頂きまして、只今お話のように、今後そういうような不適当な仕事のないように、できるだけまあ監視をして行きたい、こう考えております。
  45. 河野謙三

    河野謙三君 まあ揚げ足をとるようですけれども、私が今具体的に申上げた事例について、そういうことは知らなかつたと、聞いていないとおつしやるがね、これだけの莫大な金を貸しておつて、業務の直接の担当である更級さんが、そういうことを御存じないということは、これは私は怠慢だと思う。そうじやございませんか。これだけの金を貸している。而も草野商店なんというのは今現在の問題なんです。そういうふうに、一方においては金を貸している。あなたのほうから理事も出している。でありますから、私は余計なことでありますけれども、少し気がもめるから、ここらでそろそろ悪女と手を切つたほうがいいかどうだろうかということを言つておる。私は更に申上げますが、あなたのほうでは農民にしわ寄せしないとおつしやいますけれども、もう一つの事例を申上げると、農林省が年次計画で有畜農家創設事業として家畜導入資金の利子補給をやつていますね、あれは北海道に行きますわ。北海道の農協は農民に金を貸しますね。そうすると、その金を借りた農民は、あなたのほうの出先機関と、中金の出先機関と農協との間で、この金を貸して牛を買つたものは牛乳まで雪印に出さなければいけない。それ以外に出した者は金を回収すると言つておる。私はその雪印北海道の農民の牛乳が全部行くことを念願します。念願しますけれども、それは、農民か自然の形において、農民の理解の上に雪印牛乳が集まるようにしなければならない。雪印が金を貸しておるのではない。あなたのほうが金を貸しておるのではない。政府の利子補給によつて、政府の政策の下に動いているわけです。その金を農民が借りて牛を買つた場合に、この牛から得たところの牛乳というものは雪印にやらなければいかん、こういう条件を付けて来た。ところが農民にすれば雪印は三十八円でしか買わない、雪印が四十二円で買うときにはこつちは四十八円で買うという場合に、借りた金は返せばいい、牛乳を売るのは農民の自由です。これは農民の当然の要求じやないか。この自由を束縛している。農民のほうにしわ寄せしているじやないか。要するに、雪印とあなたのほうとの金融関係、これから言つて、そういうふうな紐付をしておる、この事実はある。私は北海道の新聞を見ましたが、ここにちやんと書いてある。誤解のないように……。私は雪印北海道の農民から自然に、組織的に雪印に全道の牛乳が集まるということを念願している。念願しているが、それはそういう形において力でやるべきものではない、金で縛つてやるべきものではない。これは一体どうですか。あなたのほうの中金の出先機関がそういうことを指導しているのですね。これは農民へのしわ寄せじやないですか、どうですか。
  46. 更級學

    参考人更級學君) 只今お話のように、私のほうとしましては、北海道に一億六千三百万の、これは四月末現在でございますが、有畜農家創設特別措置法に基く資金を融通いたしております。併しお話のように、そういうような条件を付けて私のほうで出している事例はないと思つております。ただ先ほども私が申上げましたように、雪印自体が農家に対しまして更に利子補給をしまして、そうして自分のほうに牛乳を出しなさいというような施設をやつておるようなところもあるようであります。そういうところは雪印に出してもらいたいということを雪印は言つておるかも知れませんが、私のほうでは雪印に出さなければ金を出さない。金を出す以上は雪印に出しなさいということは条件にいたしておりません。
  47. 河野謙三

    河野謙三君 これは本店は知らんことであつて、あなたのほうの出先機関との一問一答、問と答を持つておる。あなたの出先機関がそういうことを言つておる。これはよくあなたは御調査願いたい。同時にそういう事態、事実があることを農林省は知つていますか、知つていれば農林省はそういうことを妥当と思いますか。そういうことを局長に聞いてもらいたかつた。同時にお答えを願いたい。
  48. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) どうしますか、局長が見えましてからにしますか、あとで答弁できれば……。
  49. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) お答えいたします。事実が、そういうことがあるかどうかということについては私どものほうで確認いたしておりませんが、そういう趣旨の陳情なり新聞記事を見たことはあります。それで調査をいたしております。
  50. 河野謙三

    河野謙三君 まあ今頃調査もちつとアンテナもぶち壊れ過ぎておると思うが、若しその調査の結果、そういうことがあつたら農林省はどうしますか。
  51. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) このお答え局長からいたすほうがよかろうかと思いますが、有畜農家創設事業に基く導入は、道庁と相談いたしまして町村別に計画を頂いた上で導入をいたしておる。その牛乳の行先等については、特に融資の条件ということではなしに、一般的に農民の自主的意思によつてやる。お話のような線で従来指導いたしております。こういうふうに特に融資の条件ということではいささか強過ぎる、かように考えております。
  52. 河野謙三

    河野謙三君 だからそこに条件にあらざるものを条件に付けておる事実があなたのほうの調査の結果あつた場合に農林省はどういたしますかということを聞いておる。それに対して農林省がとる措置はどういう措置をおとりになりますか。
  53. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 何分そういう事実があるかどうかについて確認いたしておりませんが、そういう事実があつた場合の措置等についてはまだ結論を得ておりません。併しそういう事実はよもないはずでございます。
  54. 河野謙三

    河野謙三君 いや、ないか否かは私は調べたんだが、あなたのほうで調べたかどうかお聞きしてはおりませんけれども、そういう事実があつた場合には、あんたのほうはどうするかと、こう言つた。これは何も仮定の問ではないでしよう。その事実があつた場合には、あんたのほうはどうするか、何も法律の解釈でも何でもないでしよう。そういうものは妥当でありますか、妥当でありませんかということだけなんです。
  55. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) もとより有畜農家特別措置法の規定によつてつておることでございまするから、融資の条件として、そういうことを、仮にでございますね、そういうことがあれば、そういうものは融資の条件に付けべきものではないと思います。そういうものはいわゆる融資の条件として付けておるというようなことが若しあれば、そういうものは融資の条件でなくするべきだと思います。
  56. 河野謙三

    河野謙三君 それはだから条件にあらずる条件だから、要するに不当な条件と、こういうことですな。そうですか、どうでしよう。局長答弁に保留しますか。
  57. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 局長が来るまて待ちましようか。局長の答弁に留保いたします。
  58. 河野謙三

    河野謙三君 次にもう一つ私は中金に伺いたいのですが、中央金庫は今の家畜導入資金というものを、資金源が非常に乏しいということで各県の要求に対して非常に出し渋るのです。そうしてできるだけ単協資金でやるとか、県連資金でやるとか、ということで非常に出し渋る。これは従来過去三年間いつもそうなんです。ところがそうかと思つていると、農林省のその枠の中の金でさえも各府県には出し渋つているにかかわらず、北海道には枠の金は勿論のこと、枠以外に三千五百頭の家畜、乳牛導入資金を中金は出しておるが、これはどういうわけか、これを一つ伺いたい。
  59. 更級學

    参考人更級學君) 私資料を持つておりませんでよくわかりませんが、そういうものは余り出しておらんじやないかと思いますが、いずれよく調べまして、御返事申上げます。
  60. 河野謙三

    河野謙三君 私は初めから申上げておるように、北海道酪農については特殊の扱いをすることは私はこれは認めるのですよ、認めますけどね。一応きまつた制度は制度としてやらなければいけませんよ。又北海道の特殊地帯は特殊地帯として、酪農の特殊地帯として又制度が足らなければ制度を立てればいい。ところが今言うように、家畜の導入資金として資金課長は内地の各府県には非常にあなたのほうが渋つておる。然るに北海道だけあなたは調査すると言われるけれども、更級さん、あなたが知らないのはおかしいと思う。三千五百頭たしか出しておりますよ。これもやはり一つ雪印との結び付なんですよ。これも今申上げますように、この三千五百頭の乳牛を雪印に出さなければならない、こういうこととの結び付なんです。これはあなたは当然知つておられると思うのだが、本当に御存じない……。中金というのはあなたたち理事のかたが知らないでやるのですか。私はどうも更級さんは苦手なんだが、私はあなたのやり方は勘弁しないよ、本当の話は一体どうなんです。
  61. 更級學

    参考人更級學君) 甚だ失礼いたしました。只今審査部長に伺いますと、北海道では雪印への利子補給の下にそういう資金が出ております。私記憶を違いましたので……。それからもう一つ、各府県のほうの、こういう政府の施設に対しての金庫の資金を相当渋つているじやないか、こういう御批判でございますが、これは恐らくこの施設が始まつた当初、この取扱いにつきまして取扱いの方針なり取扱いの手続なりにつきましての認識と言いますか、制度に対する理解が十分でなかつたので、成る程度その資金の枠が残つたり削られたりしたことがあつたのじやないかと思います。最近におきましては、我々のほうといたしましては、できるだけこういう資金は国家のほうといたしましての酪農政策に関連いたしましての立場から、できるだけ資金の供給をいたしたいと考えております。どうぞ御了承願いたいと思います。
  62. 河野謙三

    河野謙三君 仮に渋つてないとしても、とにかく政府のきめた枠以外は各府県には出していないでしよう。北海道には三千五百頭の枠外の資金が出されているなら、内地の府県でも県の割当以外に要求は多い。県によつては十倍もある。そういうものに対しては、北海道が三千五百頭なら内地の各府県に三百頭なり、五百頭の枠外の金をあなたのほうから出したらいいじやないか、要求がないのじやないのですから、そういう偏頗なことをしてはいけないという点、これはよくわかるでしよう。今後そういうふうな扱いをしてくれますか。
  63. 更級學

    参考人更級學君) それはできるだけ現地の御希望に副いまして、私どもといたしましても資金のある限りは努力いたしたいと思います。
  64. 河野謙三

    河野謙三君 それからついでにもう一つ伺いたいのですが、今までの導入資金ですね、去る国会で損失補償が付きまして、損失補償料というようなことで、信連に一分かの口銭をやることになりましたね、ところがあれは最近信連は保証しないということで、又その必要がないということで、然るにその保証の事実はなくなつたにかかわらず、依然として信連に一分やつているのはどういうわけですか。
  65. 更級學

    参考人更級學君) 事務的なことでございますので、どうも失礼いたしました。従来信連の保証をとつて出しておつた例がありまして、信連が保証する場分には年一分の保証手数料を出すのが我々のほうの制度でございます。併しその後いろいろやつておりますうちに、政府の補償があることであるから信連が保証する必要がない、保証がなくてもいいのじやないかということになりまして、最近は信連の保証はとつておりません。とつておりませんが、事実貸出の手続をするいろいろな審査の場合とか、或いは貸出金の回収につきましては全部信連でお手伝い願つております。ですから、そのお手伝いのための手数料と言いますか、その報酬と言いますか、それに対するものとして一分の報奨金と言いますか、手数料を信連に差上げております。
  66. 河野謙三

    河野謙三君 それは理窟にならない。保証をするから保証の用として一分をやつたのであつて、保証しないことになれば、私はその一分というものは当然なくすべきだと思うのですよ。そうじやありませんか。事務というものはもともとあるのですよ。金融機関でも何でも事務のないものはない。事務があるから利息をとつている。保証はしません。今度は保証の手数料の一分というものを、保証はしなくなつたら事務手数料で一割出す、そう簡単に、幾ら金融機関が我がままといつて、も、そう理窟の通らないことはいかんと思う。この利息の一分はそれだけ下げて農民に安い金利で出すわけには行きませんか、当然すべきだと思います。そういう保証の事案がなくなつた場合に、一分はやはり並行してなくなるべきですよ、それだけ農民に安い利子でやるべきですよ、どうですか、保証はなくなつた、その一分は戻すのは嫌だから、今度はその一分は事務手数料だ、そういうふうな勝手なことはいけないと思います。どうですか。信連とか、農協とかというものは、いずれも農民のための組合です、これらはいずれも農民々々と口では言うけれども、口と腹と違うのです。腹はどうしてとつてやろうかと、そればかり考えている。
  67. 更級學

    参考人更級學君) 実は保証手数料という問題なんですが、これは中央金庫ができました当初からこういう制度でありまして、保証手数料というものは中央金庫と農業信連なり漁業協同信用組合連合会がございますので、保証という問題が起つたわけであります。我々のほうといたしましては、できるだけ県内の金融は信連に賄つて頂きたい。こういう立場をとつておりますが、併し信連に金がないときには金庫が信連に金を出しまして、信連が組合に融通する、或いは場合によりましては信連の保証によりまして金庫が直接組合に金を貸す。こういう制度をずつと金庫創立以来三十年間やつているわけであります。ところが保証手数料というものは、今お話のように一分なら一分というものを保証手数料といつておりますけれども、事実は非常に保証ということになると危険負担を伴うのであります。危険負担を伴つた場合は、一分の手数料を果して信連が保証債務を負つてくれるかどうかという問題が起つて来るわけであります。保証手数料というものの、従来の慣習上そういう名前を付けておりますけれども、実際は……、併しこれは債務が完済にならなかつた場合に、信連に代位弁済して頂きますけれども、保証手数料で以て金庫に対して代位弁済するというだけの財源になり得るかどうか。その保証手数料の中に危険負担を含んでいるかどうかということになりますと非常に問題であります。根本問題といたしまして、我々といたしましても、保証手数料の取扱その他の問題につきましては、従来長い間検討いたしておりまして、今後信連と金庫とが組合金融の取扱いをする場合の制度を、どうしたらいいかということについて悩んでいるわけであります。これは信連の方々の御意見も承わり、我々といたしましてもその点をもう少しはつきりした形において進んで行つたらいいじやないかということで目下検討いたしておるのであります。ということで、保証手数料と言いましても、それが保証のための危険負担を伴う手数料であるかどうかということになりますと、むしろ今の場合は貸付に関する信連の手数料、事務的な手数料というような考え方がむしろ多いのじやないかという考えがあるわけであります。でありますから、信連がいろいろお手伝いして頂く場合に、果して一分という手数料で信連の経費が賄い切れるかどうかという問題もあります。でありますから、私どもといたしましては、保証がある場合には勿論保証手数料という形をとりますが、保証がなくなりましても、信連としての経費が出る限りにおいては、今後としてもできるだけ保証申し上げるのがいいのじやないかということで、現状は一分というものを貸出しの取扱いの手数料として差上げております。併しながら、信連といたしましては、一分の手数料でも事務的には、計算的には相当持出しになつて来るのではないか、こういうふうに考えております。
  68. 河野謙三

    河野謙三君 遺憾ながら今の御説明はどこまでも金融機関の更級さんの御答弁、金融人としての域を脱しない御答弁であつて私は納得できません。でありますから、この問題はもう少し詳細なことは委員長初め各委員のかたにも御説明申上げまして、特にここにはそのほうの権威者の森田さんもいるのでありますから、森田さんの意見等も聞きまして、別に私は委員会でこの問題については結論を得さして頂きたい、こう思います。  私は最後にほかの委員のかたからも質問があると思いますから、この雪印の問題と申しますか、北海道の問題について門外漢でありますけれども、一つ意見を申上げますが、それに対してあなたの一つ意見も別に伺いたいと思います。私は冒頭から申上げるように、北海道酪農振興のために、何と申しましても大部分を農民の資本によつているところのこの雪印とクローバー、これは健全な発達を求めなければいかん。ところが現状において、私は如何にあなたのほうでお守りをされましても、根本的に私はいかんと思うのですが、雪印とクローバーというものを二つおくからいかん。一方のクローバーは立地条件が非常によくて、而も現実に全社の内容もいい。片一方はあなたの御説明によると立地条件が非常に悪い。而も内容が悪いというのだが、これは逆であつて雪印は現在内容が悪いけれども立地的に非常に有利な地位を占めている。クローバーのほうは内容はいいけれども立地条件は悪いというので、将来これは今までのように行かん。こういうなら別でありますけれども、今のままおけば雪印はだんだん悪くなる、クローバーはだんだんよくなるということは、私は力の違いというものがどこまでも附いて来ると思う。でありますから、実際にあなたのほうの系統機関ではありませんけれども、あなたのほうと密接不離な両会社のことでありますから、あなたのほうが斡旋されて二つ会社一つにして、もう少し基盤を強固なものにされるというところまで私はあなたのほうが発展的にお考えを直される御意思がありませんか。そうでもしなければ、この二、三年に明治や森永というのが北海道行つて、だんだんこれらを食い荒すというようなことになつたら、どうしても私は太刀打ちできるものではない。雪印、クローバーがそのときにいけなくなつたというときには、同時にそのときが北海道酪農民の悲劇である、こういうことになると思います。そういうことについて何か根本のお考えございませんか。
  69. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 雪印とクローバーを合併させたいということは、これは終戦後無理に離されたものであります。最初は随分離さんようにしてもらいたい。二分化するようなことはしないようにしてもらいたいという農民の希望にぶつかつたのでありますが、到頭二つに分れてしまうと、なかなか今度は幹部の関係その他で合併ができませんけれども、下の農民においては是非一緒にしたいという希望は随分進んでおるのであります。そういうような場合におきまして、今、河野君から五億の貸倒れがある、雪印に五億の貸倒れがあるというようなこと、これは形容詞で言われたんだと思いますから、私は五億円というものを本当に受取つておりませんけれども、併しこういうところで言つたことは、いろいろな文書でこれは終いに農民にまで響いて行く問題であります。そこで合併させるというにも私は邪魔になる。本当に果して五億というような貸倒れがあるかどうか。又信用組合でありますとか、中央金庫が金を貸すのと違いまして、雪印なり、クローバーなりは東京、大阪というような市場で実は商品を全部あれしている。そういうような関係でいろいろ営業資本等の関係で競争しなければならんような場合が出て来ると思います。そういうような場合に、貸倒れが一つもなしになつちやうなんて言つていては営業は一つもうまく行きません。そこで貸倒れは一つもないに越したことはないけれども、そういようなものは見越して行かなければならん問題である。そういうような関係がおりますので、多少の私は貸倒れがないとは言えんと思いますけれども、これが五億円もあるというようなことになりましたら、これは北海道の農民は一遍に雪印から離れてしまう危険性があると思う。そこでこれは本当の貸倒れがどのくらいあるかということを実際に話してもらいたい、こう思うのです。これは聞き捨てならん言葉であると、我々は生産者として、品物を出しているものとして実はただ笑つて聞いているわけに行かん。こう思うのでありまして、どうかそういう点があつた一つ隠さずに正直なるところを一つつてもらいたい。こう言うのです。その点お願いしておきたい。
  70. 河野謙三

    河野謙三君 北さんのおつしやる通りです。自分で捏造した言葉でも何でもない。私にそういうことを言う人があるのですから、その人は私に言うだけでなくて、世間ほうぼうに言つて歩くのでありますから、私もだからそういうことを聞いているのですよ。そういうことを一番知つているのは中金でなければならん。だから中金で五億ということをどこかから聞いたけれども、実は五億はないのだ、五千万円だ、一桁違つたのだ、二桁違つて五百万円だ。こういうことをあなたがここで言われることが、又言つてもらうことが私は望ましかつた。それはそういうことはまだよくわかつていませんが、いずれ調査しましてということは、それはございましよう。先ほどのような御答弁だと、北さんのような私は問題になると思います。私も何も悪意で言つているんじやない。私に言うなと言つても、私に言わなくてもほかの世間じやほうぼうで言つているんだからしようがない。こんなことは秘密保護法で縛られる問題ではない。その問題とからんで、先ほどの一つ私は北海道雪印については、抜本的に何か中金がお考えを持直されなければ、又あなたのほうがこの問題を推進するには、あなたのほう以外には推進する人はない。そういう点についてのお考えどうでしよう。
  71. 更級學

    参考人更級學君) 私は只今お話の貸倒れが何ぼあるということにつきまして、ここでどのくらいあるのかということを詳しく調べてもおりませんので、今ここで申上げることは差控えたいと思いますが、お話のようにそんな大きな問題はないと思つております。又従来だんだん整理をいたしまして、現在は会社経営上少しも心配ないというふうに我々は考えておりますので、数字を以てお答えすることはちよつと困難じやないかと思つております。
  72. 河野謙三

    河野謙三君 合併問題はどうです。
  73. 更級學

    参考人更級學君) 合併の問題につきましては、それは只今北先生からお話でございましたように、恐らく北海道酪農家としてはそういう御意見であろうと思います。又寄り寄り我々もそういうようなお話も聞いております。併しこれは金融機関として果してそういうことを推進するべきものかどうか。これは勿論会社といたしましては、株主があります。又北海道の農民があります。北海道の農民自体がそういうふうにお考えになりまして、そう進まれることが一番好ましいのじやないか、先ほど来河野さんのお話のように、金融機関が余り会社の管理をするとか、会社経営にタツチするということは、これは好ましくないので、会社会社として株主があり、殊に北海道雪印なんかといたしましては、これは会社の形をとつておりますけれども、やはり協同組合と同じ機構であります。でありますから、それを構成するところの農民の方々の気持が一致するならばそれに行くべきである。行くほうが北海道として好ましいのじやないかと考えておりますが、我々といたしましても、そういう事態が来ますれば、そういうふうにできるだけ御協力いたしたいと考えている次第であります。
  74. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 実は、最近におきまして、森永と明治が向うへ進出して火花を散らすような集乳合戦をやつていることは中金においてもすでに御承知のことだと思うのでありますが、そこでこの集乳合戦が、遂に中央に来ていろんな雪印の悪口の誇大な宣伝となる。或いはクローバーの誇大な宣伝になつてもいると思うのであります。さような関係からしまして、農民資本が漸くここまで製品の市場における販売までやるようになつて来た。この組織をこの際にこれを弱めるようなことがあつちや困る。こう思うのでありますが、遺憾ながら農民のまだ組合精神というものが徹底しないというか、高い金を持つて牛乳を買いに来られれば、ここに皆売つちやう。こういう関係が出て来る。いわゆる猿芝居に石を投げつけたような関係で芝居が全部一遍に壊れてしまうというような形になりかけておるのであります。そこで今のような方法で現在においても、例えば百石の工場に五十石しかやつておらん、そこで合理化が十分できておらんというような場合におきまして、そこへ又一つの工場ができて、そして三十石なり二十石なりとつて来ますというと、遂にその工場は合理化どころでない、非常に過剰設備になつて、その過剰設備になつたものはどこへ来るかというと農民に皆しわ寄せが来てしまう。こういうふうになつて来ると思うのであります。そこで私はこれはどうしてもこういうような場合におきまして、北海道雪印の救済をせいというわけではないのでありますが、農民資本が健全に守られるような方途に持つて行かなければならん、こう思うのです。中央金庫としても、こういうような場合、日本にたつた一つしかないこういう農民組織がこういう状況になつておる場合に、ただ見殺しておいてよろしいというような考えで持つて行かれては、これは将来の日本のいわゆる協同組合運動というものの非常な支障になると、こう思うのでありまして、これに無関心でおられるようなことでは私はいけない、この場合自分が危険まで冒してというわけには行かんが、危険でない範囲においてやはり十分中央金庫としては農民資本が生きて行くような方向に考えを持つてもらわなければならんと、こう思うのでありますが、中央金庫としては、どういう考えを持つておりますか。さつき河野委員お話から言うと、大変御返事しずらい問題だと思うのでありますが、併しこれは日本全体の農政策の上から見て重大な問題だと、こういう工合に思うのでありまして、中央金庫の御意見をこの際承つて、ただの常利銀行ではないはずだと、こういう工合に思うのでありますが、その点をお伺いしたいのであります。
  75. 更級學

    参考人更級學君) 先ほども申上げましたように、この会社の伝統と言いますか、歴史と言いますか、我々はこの形は株式会社の形をとつておりますけれども、我々の気持といたしましては、普通の株式会社という考え方を持つておりません。やはり農民の組織であり、協合組合会社と申しますか、協同組合的なものである、協同組合であると考えてもいいのじやないか、そういうつもりで考えております。而もこの構成から見ましても、只今お話がありましたが、北海道の場合は九〇%が農民の資本である、株式である、而もその集めるものは農民の生産した牛乳であるということになれば、これはすべてが農民のものであります。又我々のほうから融通いたします資金も農民の資金である、農民の資金で成立つて、農民の資材で以てこの会社を運営して行くという場合に、この会社の悪くなることを我々は願うものはないと思います。我々はこれをできるだけ強力に育て上げて、そうして酪農というものが安定して、而もそのできた牛乳が合理的な価格によつて販売されて行くということを希う以外に、ほかに何もありません。又我々もそういう方面に対してのできるだけの御協力を申上げたいと、こう考えております。
  76. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 今度の酪農振興法によりますと、いわゆる集約地帯における牛乳の製造工場、これをどうしてもその地帯に造らなければならんことになつておるのでありますが、これは是非一つ、私は昨日からも主張しておるのでありますが、営利業者に任せて置かずに、最初から協同組合若しくは、現在の協同組合じや困りますが、いわゆる牛を飼つている人がほんの僅かしかない、全農民のうちの一割或いは五分というような協同組合組織じや困りますが、その全員に近い人が協同組合員になつたときにはそれでよろしいのですが、実際においてはいわゆる製酪式の協同組合ができなければならない、そういうような協同組合が皆最初から一億五千万円もかかるような大きな工場ができるはずはないし、又こしらえてもしようがないのですが、初めから北海道の製酪組合の連合会がやつたごとく、一つの小さい製酪工場を作つて、そしてそこで自分らの牛乳を処理して行くという行き方をさせ得なければ本当の問題は解決しない、営利業者に任せておいて、いや、価格の調整がどうだとか、或いは向うの受取り方がどうだつたとかと言つているようなことでは、これは牛乳は発達しない、それで今度は集約酪農地帯の工場に対しては、最初から小さいながらもこの酪農協同組合式の行き方をさせるべきだ、こういう工合に考えるのでありますが、中央金庫はそういうような場合はこれにやはり同じような援助をなさるお考えがあるかどうか、北海道の組合にはやつたけれども、内地で今からできるものに対してはやられないのだ、これは営利会社に任してしまうのだというようなことは恐らくなかろうと思うのでありますが、こういうものに対する貸付の御方針はどうなのか。そうすれば一つ農民資本による製品のこの製造から販売まで一つやらすべきだというようなお考えをお持ちであるか、それによつて今度の酪農振興法が本当に動くものになるかならんかの境だと思うのであります。中央金庫の御方針を一つ承わつておきたいと思います。
  77. 更級學

    参考人更級學君) 金庫といたしまして、これは私の個人的な意見であるかも知れませんが、現在私の一番まあ心配しておりますことは、現在こういうふうに政府が酪農政策のために家畜の導入或いは飼料安定と、いろいろなものによつてたくさんの牛を飼わせる、或いは家畜を飼わせた場合に、殊に酪農の場合のできた牛乳をどう処理するかいうことが一番問題であると思います。併し営利会社というものは儲かるときにはやりますけれども、儲からないときはやりません。魚を釣るときと同じことで、魚の多い所に竿をたれるだけであります。これでは本当の安定した酪農政策はできない、やはりそれは協同組合的な形によつて、農民自体がそういう機構を持つて、できた牛乳をできるだけ合理的な価格で以て販売して行く、これは高いときは高い、安いときは安くてもいいのであります。こういうような施設をできるだけ設けて行かなければ、折角政府がここで家畜を導入して見たところで、いつの間にか家畜は分散してなくなつてしまうというのが従来の例ではなかつたかと思うのであります。それにつきましては、我々といたしましてもできるだけ安定した資金を供給する、これは勿論私のほうは金融でございますので、全部が全部金融機関の金ということは行きませんが、できるだけ農民資金を集め、勿論金融機関としての資金も導入いたしまして、そうしてできた製品をできるだけ安定した方法で以て販売して行きたいと考えております。
  78. 河野謙三

    河野謙三君 私は中金に対しては一応これで質問をやめます。更級さんじやできませんから終ります  あと酪農関係についての質問局長出席になるまで暫時保留いたします。
  79. 関根久藏

    ○関根久藏君 今酪農のほうには大分資金をお出しになるようなお話をされたのですが、会社等に出す場合の、例えば内容の是非は別問題として、かような金を出すことは法律的に中央金庫ではどういう根拠があるのですか。
  80. 更級學

    参考人更級學君) 会社に出す場合には中央金庫法の第十五条ですか、いわゆる系統外の貸付になつております。而も短期金融資金に限つており、なおその上に農林、大蔵両大臣の認可が要る、而も金庫の資金の余裕金のあるとき……。
  81. 関根久藏

    ○関根久藏君 まあ雪印のような場合には短期資金とは申さず、とにかく十年から十五年間も連続して……。
  82. 更級學

    参考人更級學君) 短期資金と言いますと回転するわけです。併し年間として見ればずつと寝ているわけです。それは一応政府の御認可を得ている。
  83. 関根久藏

    ○関根久藏君 一々これは認可を得てやつているんですか。
  84. 更級學

    参考人更級學君) やつております。政府の認可を受けてやつております。
  85. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは中金に対する御質疑は大体終つたと思いますが、本会議に議長から御督促がありますので、秘密保護法の投票が終りましたら又御参集願いたいと思います。一暫時休憩いたします。    午後三時二十分休憩    —————・—————    午後五時五分開会
  86. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは委員会を再開いたします。  酪農振興法案につきまして質疑を続行いたします。
  87. 河野謙三

    河野謙三君 先ほど局長が止むを得ざる理由で御欠席の際に、中金の金融に対して、これは北海道の場合ですが、中金の出先機関が付けてはならないところの紐付条件を出していることについての農林省の見解を伺つたのですが、これは課長からあなたにお言づけがあつたはずですが、あなたからそのお答え一つ伺いたいと思います。
  88. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 北海道にきまする有畜農家創設特別措置法に基きます資金の融通に関しまして、中央金庫並びにその系統機関が融資につきまして特別の条件を付けているというような陳情を二、三北海道関係のかたより承わつたのであります。その点につきましては、勿論陳情でありまして、私どもといたしまして現実に調査いたしました結果ではないのでありまするから、直ちにそういう現実に事態が起きているということにつきましては、まだ確信を得ておりませんので、目下調査中であるのであります。若し然りといたしますれば、これはいろいろ有畜農家創設特別措置法の精神に照しまして、妥当なりや否やということにつきましては、これは研究を要することに相成るのではなかろうかと思うのであります。御承知のように、政府といたしまして特に法律を設けまして、その上に財政的にも五分の利子補給をいたしている、こういうようなものでありまするので、有畜農家創設特別措置法の精神に従いまして、無畜農家解消という立場から融資をいたしておりますので、無畜農家解消というような線に支障を来たすということに相成りますれば、そういうことのないように私どもといたしましては措置をしなければならない、こういうふうに考えるのであります。その点につきましては、実情は目下道庁を通じまして調査をしているのであります。
  89. 河野謙三

    河野謙三君 なおその問題で私は附加えますが、この金融措置は農民として一定の条件が当嵌つて牛を飼う以上は、農民はどういう条件も、農民の側から見れば金融機関から付けられるべきものじやないのです。でありますから、今あなたは検討とおつしやいますけれども、検討の余地はないのです。でありますから、これは速かに調査の結果、若しそういう事実があるとするならば、適正な初めからきめられたようにお取運び願いたい。ただこの際に私は申上げておきますが、そういうようなことが起つておるということは、酪農振興措置においてまだ農林省が足らん点がある。例えば商業資本に対して何らかの抑圧の措置を別の方法でとらなければいけない。そういうことにおいて欠けている点があるわけです。で、私は午前中申上げましたが、今申上げていることは、何も北海道雪印牛乳が入ろうが入るまいが、それはかまわんというのじやないのです。これは農民の資本によつてつている会社でありますから、普通に行けば当然農民自体が雪印に率先して、クローバー牛乳でも何でも出すのが当り前なんです、でありますけれども、当り前のことを農民がやれないということは、そこに何らかの欠陥があるわけです、そういう問題について原因を究明して適正な措置をおとりになつたらどうか、こういうのが私の言わんとするところでありますから、どうぞその意味合におきまして、十分この北海道の問題は原因を追及して、そうしてそれに対して適切な措置をおとりになることを私は強く要望いたします。それから次に伺いたいのは、この酪農振興法によりますと、取引の公正化ということがありますけれども、取引の公正で一番大事なことは、この間から申上げておりますように、売手、買手を同等の地位に置くということです。ところが取引の条件の中で一番大きな、農民の側からみれば一番大きな条件であるところの検査規定について、一方的に買手検査に任しておるのは一体どういうわけでしよう。この酪農振興法において、検査の点につきまして取引の公正ということを謳つておりながら、検査の規定におきましては、これは何ら解れないで、従来通り買手検査に任しておる点は、これは手落ちじやありませんか。この間も申上げましたが、米や麦のような、手にとれば一見してわかるようなものを国営検査にしておつて牛乳のようなものを、これを買手検査ということは私は手落ちだと思います。私は技術君でありませんけれども、牛乳の脂肪検査あたりはアルコールをちよつと手加減すればどうにでもなるでしよう。特にこの頃のように小企業、もつと極端に言うとインチキの業者がたくさん出て来て、非常にこの検査につきましては現実に不公平な検査が行われている、この点につきまして、この酪農振興法に検査の規定において不備を局長はお認めになりませんか。
  90. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 牛乳取引につきまして、売方と買方、これが少くとも平等の地位に立つことが最も必要であるという点は、まさに御意見の通りだと思うのであります。検査制度につきましては、すでに各地におきまして、自治的に検査を施行いたしておるところもありますし、又地方庁におきまして検査員等を設けまして検査をいたしておる地方もあるようであるのであります。で、今後牛乳取引につきましては、いわゆる団体契約による文書化契約によりまして、その場合にできるだけいわゆる検査制度の活用というものも、そういう場合を通じまして励行するように奨励をして参りたい、かように存ずるのでありまするが、本制度を全面的に、而も制度として実行いたしまする場合には、人員なり、或いは機構なりというものにつきまして徹底した措置をとらない限りにおきましては、逆に名のみありまして実が伴わない。而もそれが特定の業者等に利用されるというような、逆な弊害も起きて来るのであります。これにつきましては、御意見の点はまさにその通りと思うのでありまするが、機構人員、経費、そういう点につきましてのもつと徹底した措置をとるということが前提をなすと考えられるのでありまして、私どもといたしましては、その段階に行きまするまで、行政的な措置によりまして、できるだけ各地にそういうことを自治的に行い得るよう地方庁を通じまして努力して参りたい、かように存じておるのでありまして、今直ちに政府といたしまして、そういうことにいたしまする段階にまで到達していないという意味合において御了承願いたいと思うのであります。
  91. 河野謙三

    河野謙三君 今の局長の御答弁によりますと、いわゆる公正な第三者検査の必要は認めておる。そういうお言葉はお使いにならんけれども、そういうふうに私は受取りました。但し第三者検査をやる場合には、それに所要の人員なり予算というものが相当要り、取りあえずの間に合わないのであるから、これは後日に譲つた、こういうことでありますが、然らばこの法案を出す以上は、おつけ臨時国会なり、通常国会には、その問題について員体的な成案を得て臨まれますかどうか、どうでしようか、これを伺いたい。
  92. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 行政措置といたしまして文書化契約、それに関連いたしまする団体契約におきまして、できるだけ検査制度というものを自治的に活用する措置をとつて、参りたいと考えるのでありまして、その結果を見まして全国的に、而も全面的にそれを組織的に運用し得るというような見通しが立きますれば、お説の通り私どもといたしましては予算機構その他の点を整備いたしまして実施して参りたい、かように考えるわけであります。
  93. 河野謙三

    河野謙三君 あなた大臣じやありませんから、ここで通常国会に必ず成案を得て臨みますという答弁は無理かも知れませんけれども、あなた自体はその必要を感じ、そういう措置をとりたい、こういうふうにお考えになつておりますか。
  94. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 牛乳取引の点につきましては、第三者の公平な検査、而もそれが厳格に公正に且つ全面的に行われるということは、これは必要じやないかと思うのでありまして、できることならばそういうような制度を設けて参りたい、かように考えるわけであります。
  95. 河野謙三

    河野謙三君 然らばその間において、そういう成案を得るまでの間において適当な行政措置指導して行くとおつしやいますが、適当な行政措置とは具体的にはどういうことでしようか。
  96. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 文書化契約の内容をなす問題かと思うのでありまするが、それらにつきましては売手、買手、その契約の場合に検査員等の問題が当然起きて来ると思うのでありまして、経費等の面もあると思うのでありまするが、府県の検査或いはその双方の協定になる第三者としての検査員の採用、こういうような問題にかかつて来るかと思うのでありまして、そういうような検査員による検査というような点を励行するような恰好に持つて行きたい。
  97. 河野謙三

    河野謙三君 その間は契約の内容によつて文書で行きたい、こういうことですね。併しそこまでお考えになつておるなら、折角ごの法律をお出しになつたのでありますから、何らかこの法律に第三者検査の趣旨を生かすような方法をお考えになつたらどうでしよう。この法律はこのままにしておかないで、行政措置とおつしやいますけれども、仮に行政措置にしても、行政措置をとりいいように、自動的に行政措置がとれるように、この法律を何とかお考えになる、そのようなお気持はありませんか。
  98. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御尤もの御意見と思うのでありまするが、現在のところ政府といたしまして、予算につきましても、或いは人員につきましても、特別の措置をとられておらない関係上、法律の規定といたしまして、そういうようなことを実施して参るということにつきましては如何かと存じまして、差控えた次第でございます。
  99. 河野謙三

    河野謙三君 私はそういう第三者検査について消極的な態度というものは、この現在行われている買手検査の弊害というものを非常にあなたのほうでは寡少に評価しておられる。これは決してそういうような小さな問題じやないのです。でありますから、これは一つ我々のほうも考えますが、あなたのほうでも更に御再考願いたいと、こう思うのです。他にいろいろ御質問のかたがあるようでありますから何んですが、昨日からいろいろ御質問申上げまして私があなたの御答弁でまだ納得の行かない点がありますから、繰返してお尋ねしますが、この酪農振興法による措置、これと従来行なつておりますところの有畜農家創設のもろもろの施設、こういうものと絶対に相食むことはございませんか。これは従来の有畜農家創設の方針、これはこの今度の酪農振興法による集約酪農地域として、それに伴う補助援助、こういうものと有畜農家創設の方法、方針、これと全然これは抵触しませんかどうか。私は抵触しないということをここで言明を願わない限り、こちらを捨ててこちらを取るのでは何もならないので、この線をはつきりしておいて頂きたい。資金の面におきましても、牛の面におきましても、言葉を換えれば物の面も金の面も、これは従来の有畜農家創設の既定方針には何ら抵触するものではない。既得権はどこまでもこれは認めるということでありますかどうか、それをお尋ねしたいと思う。
  100. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 有畜農家創設特別措置法と本酪農振興法に基きまする隻約酪農地域の設定につきましては、これが既定方針といたしまして、相反するものでないということは御意見の通りであり、私どももそういうふうに考えておるのであります。ただ既得権と申しますと、既得権という言葉の解釈の問題かと思うのでありますが、要するに有畜農家創設特別措置法の精神を基盤といたしまして、酪農につきましては、特に集約酪農地域を設けまして、有畜農家創設特別措置法と一体になりまして、当該地域につきましては、酪農を主体にして無畜農家の有畜化を図つて行くというように私どもは考えておるのであります。
  101. 河野謙三

    河野謙三君 私は昨日から申上げている。例えば今年度に約一万九千頭の家畜導入計画がある。これは従来の有畜農家創設の方針に基いて立てられたものですね。ところが今度酪農振興法によつて集約酪農地域の指定ができた。あなたのほうは徐々にやるというけれども、一応この建前から言えば、これが五十カ所であつて、一カ所三百頭ということになると、そこに一万五千頭行つてしまうじやないか、そうすると、こららのほうはあいてしまうじやないか、これを私は心配している。ところがあなたの御説明は、これは従来のものの中に集約酪農地域の指定ができるのであつて、これは全然地域から見れば別のものじやない、こういう説明ですね。それはそうでしよう。そうでしようけれども、何と申しましても集約酪農地域に指定すれば、非常にこれにウエイトがかかる。この法律ができれば、いわばこちらのほうが軽くなつて来る。そうして一万九千頭のうち、一万五千頭を集約酪農地域に持つて行かないでしようか。ここに五千頭なり、七千頭のものが割かれることは間違いない。そうすれば、従来の有畜農家創設の主軸をなしている家畜導入というものは非常に一般地区は大きな支障を来たす。中金が七億ということをあなたはおつしやつたが、こういうものは何もこの法律を目当てに公庫が予定しているものではない。あなたの御説明によると、七億というものは従来の有畜農家創設の制度に備えて、これは公庫には七億という金を予定した。そうすると、今度法律によつて集約酪農地域に対する金はそつちに行かなければならない。牛も行かなければならない。而もこつちにウエイトがかかるといけないので、あなたのほうで、この際はつきりとそれとこれとは別であるから、従来の有番農家創設のほうの事業には一切これは抵触しない。一切これは無関係である、こういう御言明を願わないと、これは私のほうは納得ができないのです。どうしても納得できない。それはくどいようでありますけれども、間違いありませんね。物の面も、牛の面も……。
  102. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 無関係と申しますか、有畜農家創設特別措置法によりまするやり方というものにつきまして、乳牛の場合におきましては、すでに過去におきましても大体府県ごとに特定の地域というものを設けまして、集中的に導入するよりな措置をとつているのであまりす。そのうち特に酪農振興に適しておりまする地帯を更に本法によりまして抽出いたしまし、て、その地域にきつまして集約酪農地域を設定いたすのでありますから、従来におきましても、大体におきまして当核地帯におきましては、乳牛の導入が府県を通じまして強く現在におきまして要請せられておるのであります。で、その土地につきまして、本法によりまして特別指定地域を作るから、今までやつておりますことを更に強化して参るというようなことに相成るのでりあまして、従つてその間におきまして年々予算を幾ら投下するか、或いは自然に乳牛がどのくらい増加して参るかということとも関連して参るのでありますが、私どもといたしましては、全国的にもできるだけ有畜農家創設特別措置法によつて無畜農家の解消ということを実行して参りたいということを考えております。これらの点と有畜農家、この本法に基く集約酪農地域の調整の問題につきましては、これは遺憾のないように措置をして参りたい、かように考えておるのであります。
  103. 河野謙三

    河野謙三君 同じことを幾度も繰返しても、これはしようがございませんが、これは要するに結論として、従来の有畜農家創設の制度というものに影響を及ぼさないように努力するというのではなくて、影響を及ぼさないということをはつきりお約束できますね。
  104. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 従来の線を強化して参りたいと考えておるのでありまして、それに相反するというようなことはないと考えるわけであります。
  105. 河野謙三

    河野謙三君 もつと具体的に言うと、各県別に昨年はそれぞれあなたのほうの調査の結果、乳牛を例えば埼玉は三百もらつたとか、千葉は五百もらつたとか、茨城は幾らもらつたとか、この数字は仮定ですが、あるわけです。従つてそれらの実績あるところは続いて条件が変つていないのでありますから、二十九年度も全体の枠が二十八年度と同じなら、そのぐらいのやはり導入の枠はもらえるだろうと、こう期待していますよ、これは期待するのが当り前だ、間違つていない。そういう各県の要求というものは正しい、正当な要求なんです。そういうものに対して去年まではそうやつたけれども、今度は酪農振興法によつて集約酪農地域、このほうに優先的に金を割かなければならんから、去年は三百頭、今年は百頭、百五十頭、こういう結果になりやしないか、私はこういうことを恐れておるのです、然るに今御答弁頂いておりますと、そういうことにはならん、こうおつしやいますので、絶対になりませんね、そういうことは……。
  106. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今の御質問の点につきましては、これは過去の実績と申しまするか、府県の計画等もありますので、これを著るしく変更するというようなことはできないと思うのであります。勿論全国を通じまして乳牛の導入計画をどうするかということにつきましては、年々これを計画いたしておりますので、調整はとるべきであると思うのでありまするが、著るしく事態を変更せしめまして、府県の計画を阻害せしめるというようなことはいたしつこない、又いたしてはならないと、かように考えておるわけであります。
  107. 河野謙三

    河野謙三君 局長、十分この調整について今まで毎年御苦労なさつておるように、各県の要求に対してあなたのほうは削減するに苦労して来られた。従つて例えば、千頭要求があつたところに五百頭、三百頭ということでやつて来た。その削減するときに、今年一年は待て、その代りに来年何とかするからということで来て、おられるわけです。でありますから私が今申上げることは、各県で相当真剣な問題なんです。でありますから、この点を特に私はくどくど伺つておるわけなんです。それからもう一つ伺いたいのは、一体集約酪農地帯というもの、これはこの法律を我々まだ審議していないけれども、各県からおれの県には何カ所あるからこれを指定してくれ、こういう希望が殺到しておるわけです。聞くところによると百五十カ所、二百カ所も来ておるという話でありますが、これは各県から隻約酪農地帯の指定をしてくれという希望というものは何カ所ぐらい来ておりますか。
  108. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 集約酪農地域に対しまする各府県の申込と申しまするか、希望は、現在までのところ今お手許に資料として配付いたしておりまするが、百二十四カ所で、あるのであります。そのうちすでにジヤージー地区として指定しておりまする地域が六カ所ありますので、百十八カ所が新規地区として指定してもらいたいという御希望ということに相成るわけであります。
  109. 河野謙三

    河野謙三君 いや、その表のはわかつておりますが、その以後において更にその希望が殖えておりませんか。
  110. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) これは多少その後殖えておると思います。又同時に取消と申しまするか、地域変更をして来たよう地区もあるようでありまして、全体の数字といたしましては多少殖えておるかと、かように考えております。
  111. 河野謙三

    河野謙三君 その中で、これはまあ要求ですね、今度は立場を変えて、農林省のほうでその百十何カ所のうち、これは農林省が技術的に調査した結果、まあ調査の過程でありましようけれども、農林省から見てこれは集約酪農地帯として適当であると判断が下せるのは何カ所ありますか。
  112. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、現在のところ申出のところを書面で審査しておる過程でございまして、とのぐらい具体的に適地であるかという点とつきましては的確なる判断を持つておりません。今後よく調査いたしまして適地を選定いたしたい、かように考えておるのであります。
  113. 河野謙三

    河野謙三君 私はなぜこういうふうに伺うかというと、過日の委員会でも問題になりましたように、あのジヤージーの指定で、岡山であるとか、やれ静岡であるとか、四カ所ほどきめましたね。あれは局長は政治的にきめたのじやないとおつしやいましたけれども、非常にあの指定は政治的な要素が含まれておると思う。今までのは大して間違いはないと思いますけれども、今後数多くの集約酪農の指定地を決定する場合に、はつきりと今から農林省のほうの条件というものをきめておきませんと、これは私はえらい、今度こそ政治問題化すると思うのです。特に私は御注意申上げますが、大体私は全国的に各県にどこにも一カ所ずつやろう、又余裕ができたら二カ所にしよう、三カ所にしよう、各県ごとに平等に置くよりという考えは私は非常に不平等だと思う。酪農の適地というものは、日本のように北から南に長い所で、概括的に言えば北のほうが適地であつて南のほうは不適地だと思う。それは南のほうであつても高い山もある、必ずても九州に適地がないとは言いませんけれども概括的に北が適地であつて南は不適地だと思う。こういうような国柄において、あなたのほうが若し各県別にどこの県にも大体一カ所から三カ所ぐらいやらなければ収まりが付かないというお考えであるなら大変な間違いであつて、これはもう政治的にきめるものじやなくて、どこまでも技術的良心に基いてきめるべきものだと思いますが、例えば五十カ所あるから各県に大体一カ所ずつという原則ですか。そうでなくて、私が今申上げるように、どこまでも技術的な立場から、北を中心にして、私は南は絶対にいかんというのじやないが、酪農の適地を中心にしてこれを指定するというお考えですかどうか、これをお伺いしたい。
  114. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 集約酪農地域の選定につきましては、本法において、予定いたします通り、自給飼料の面或いは農業労働力の面、そういうような面を勘案いたしまして、最も酪農に適した地域を選定するというようなことでありますので、これは飽くまで技術的見解に基きまして決定すべき問題だと思うのでありまして、府県の分布と申しまするか、そういうような府県に一カ所を設けるというような筋合のものじやなかろうと存ずるのであります。
  115. 河野謙三

    河野謙三君 そういう御方針だとすると、結果的には北海道を第一として、大体北のほうに指定地が片寄つて、南のほうは指定地が少いという結果に私はなると思う。今ここでどこの県がどうとは言いません。そういう結果に私はなると思いますが、そうじやありませんか。私は今からこういうことを言うのは、あなたが非常にそういう御方針で、あなたの部下の技術者を大いに鞭撻されましても、政治的に必ず私は各県に一カ所かニカ所要るということにさせられはしないかと思うのですが、そうだとするならば、そういう結果に陥るならば、酪農振興どころの騒ぎじやない。これは局長、毅然たる態度で今あなたが北から出発して酪農の適地の順にやるという御方針に間違いはございませんか。
  116. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 北のほうを中心にすると申しますか、その点につきましては、各地におきましてもいろいろ特色があるのでございまして、必ずしも北に集中するとは考えられないのでありまするが、地域の選定につきましては、飼料事情その他の事情を勘案いたしまして、技術的な適地基準を選定いたしまして決定して参りたい、かように考えるわけであります。
  117. 河野謙三

    河野謙三君 これ以上それに対してお尋ねすることは局長を疑うことになりますから、私はこれで伺いませんが、どうぞ先ほどの御言明のように、どこまでも技術的におきめになるのであつて県別であるとか、政治的配慮によつてきめるんでないという再々の御言明でありますから、私はそれを信じますが、若しそういうふうなことに対して、あなたの良心というものに対して圧迫が加わるようなことがあるならば、私は今からお約束いたしますが、私のみならず、ここにおいでの委員は率先してあなたの技術的良心に基いて行うところの措置を応援すると思いますから、あなたは、私はそう思つたけれども、どうも偉い人が来てどうにもならなかつたというような結果を私のほうに報告しないように、そういう問題があつたら事前に我々のほうに御連絡願いたい、我々は大いにあなたを叱咤勉励するものでありますから、それをお願いいたします。
  118. 清澤俊英

    清澤俊英君 これは只今河野さんの、言われる適地の問題について、指定条項として、労働条件並びに耕作条件として第三条第四項を御指摘になりましたが、なお、これに対する足鹿君の政令等による指定基準的な政令ですかを参考として要求しておられますね。それに対してのこの書類によりますと、有畜農家創設特別措置法の解説の四十四頁から四十六頁の間にあるのであります。こういうものを昨日ちよつと経済課長に一部分をお伺いしましたところが、相当改正してある所もあると、こう言うのです。それでこれでは余り雑駁であり、而も指定地域としての基本条項として非常に重要でありますので、この四十四頁から四十六頁の間における、ここに丁度書類が出ておりますので、この中のどことどこをどういうように改正したか、改正した所があるか、私はちよつと昨日一、ニカ所聞きましたら、これはこういうふうに改正してある、これでは問題になるませんので、改正した所はどことどこで、あとは全部この条文通り、そうすれば我々は全部の資料を頂かんでもはつきりしますので、その書いたものを明日それを先ず頂戴したいと思います。できますか。
  119. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) お手持ちの基準につきましては、それは外国から輸入して参りまするジヤージー種を導入しまする場合の基準であつたのでございまして、今回行いまする集約酪農地域につきましての基準につきましては、別にお手許に資料を御配付を申上げているわけであります。多少ジヤージー種を導入いたしました場合の基準よりも、全体といたしまして条件が緩和されているというような恰好になつているわけであります。
  120. 清澤俊英

    清澤俊英君 だからあなた方のほうで公式に出されたもので、足鹿君の要求に対して集約酪農地域の指定基準に関する政令及び現行の集約酪農地域建設要綱を参考として出している。それに対してあなたのほうでは、別冊有畜農家創設特別措置法の解説、四十四頁から四十六頁を参照してくれ、こうなつておるだけですから、このうちの入用な所は、どことどこですか。
  121. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) それは足鹿委員のほうは、今までやりましたジヤージー種の導入基準を出せということでありましたので、それにつきましては、そういうような趣旨でお出しいたしたのであります。
  122. 上林忠次

    ○上林忠次君 先ほどの河野氏の質問に対しまして、北のほうが適地じやないか、そこへ集まるんじやないかというような質問に対しまして、そういう工合になるんじやないかというような御返答がありましたけれども、生乳を、供給する地域の選定、これは成るべく消費地を控えた所でまとまつた条件の揃つた所があるなら、そういうような生乳の増産ということを考えて行かなければいかんじやないか。そうすると先ほどのお話は、ジヤージー種の集団地域ということについては納得できますが、生乳が栄養から考えても、或いは利用から考えても一番いいという、生乳の今の足らん状況から考えて、これは全国的に消費の層がある所に、而も条件の揃う所があつたら、そういう所にはどんどん集約地を作つて行かなければならんじやないかというのですが、先ほどの御返答あれでいいんですか。
  123. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点は私は北のほうに集中するんじやないか、こういうような御意見でありましたが、これは必ずしも北のほうに集中するということは、よく審査して見なければわからない、かように申上げておるつもりでございます。或いは審査の結果北のほうに集中するということが起り得るかも知れませんが、それは飽くまで審査の結果でなければわからない、かように考えておるのであります。同時に集約酪農地域の建設につきましては、市乳地帯というものも、これは原料乳地帯と同様に、草資源なり、或いは飼料事情なり、労力条件なりが適しておりまする場合には、これは原料乳地帯と同様に認めて行く方針であるのでありまして、市乳地帯における市乳を対象といたしました酪農地帯を設定しないというような考え方は全然ありません。その点は御了承願いたいと思います。
  124. 上林忠次

    ○上林忠次君 ずつとここで聞いておりますところによりますと、どうも農林省は生乳に対して熱意が少いんじやないか、大体生乳の値段が、これは生乳の生産者の値段、生産者のコスト計算、これと原料乳の生産地のコスト計算、どつちがどれほど儲けになるのか、どいうような状態になつているか、朝の話を私は聞かなかつたのでダブつているかも知れません、どういうような工合になつておりますか。小売価格については、これは配給の費用とか、いろいろマージンが入つておりますために、これ聞いてもわからんと思いますが、生産省の販売価格から見てどつちが利益になるか。
  125. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 市乳地帯と原料乳地帯、これは勿論地帯によりまして多少の相違はあると思いまするが、原則といたしまして市乳地帯におきまする生産者の手取りが多いということに相成つておるのであります。勿論この点につきましては、原料乳地帯はおおむね山間僻地の交通不便な所が多いのでありまして、従つて自給飼料等に多く頼つておるという関係もあるわけでありまするが、手取りの金額自体としては市乳地帯のほうが多いのでありまするが、農家の側から見ました場合に、それが再生産費というものと睨み合せます場合に、どちらのほうが純粋にプラスの面について多いかという点につきましては、これはいろいろと問題があろうかと思うのでありますが、絶対額といたしましては市乳地帯のほうが多い、こういうことになつております。
  126. 上林忠次

    ○上林忠次君 絶対額を聞いているんじやなくて、ネツト収入がどちらが多いか、私がこういうことを聞くのは、この間もお話しておりますように、大体シテイ・ミルクの値段が安いんじやないか、抑えられているんじやないか、まあこれは腐るもので、而も配給というような仕事があるために、なかなか商社に対抗して生産者がこれを適当にさばくことができないというような弱点があるために、案外この値段が抑えられているんじやないか。それと市場街地を一応中心にして、生活程度の高い、民度の高い所でそういうようなものが生産されている。そうすると生産コストは余り違わない、余つて高く売れる生乳が案外安く抑えられている。それほど生乳の地帯生産者は困つてしまうのじやないか。而も今粉食の奨励に伴なつて生乳の生産をせにやいかん、もつと上げてやるならもつと増産できるのじやないか、それを手放にしてああいうような乳業者に任しておるという点で、この生乳の地帯は相当抑えられておる。これによる利益が結局北海道あたりで、ああいうような北海道バターとか、クローバーだとか、或いは雪印だとか、ああいうような連中と有利に競争しているのじやないか。その競争できる因は生乳地帯の乳業者がいい地位に置かれている、その利潤で以て北で楽な競争をし得るのだというようなところまで考えるのですが、それでもつと高く買えるのじやないかという点をつかみたいために、先ほどのようなネツト・インカムがどのようになつているか、ネツトあたりの利益がどつちがどういうふうになつているかということを聞くわけです。
  127. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 市乳地帯におきましては、交通関係等からいたしまして、牛乳取引価格は原料乳地帯よりも相当程度平均的に言いまして高い価格に決定をせられております。これは私どもといたしましては、勿論牛乳といたしましては生乳のまま消費するということが最も合理的であると思うのでありまして、できるだけ今後市乳地帯における酪農振興につきましても努力をして参りたい、かように考えておるのであります。農家のネツト計算ということになりまするというと、これは原料乳地帯におきましても、市乳地帯におきましても、どちらの側におきましても、いろいろの問題があろうかと思うのであります。乳牛の飼育が非常にまばらに飼育されておりまして、集乳に非常な多頭の経費を要する。或いは処理工場といたしまして極めて少量の牛乳しか集荷できないといような場合におきましては、これは原料乳地帯におきましても、市乳地帯におきましても、単価当りの中間コストと申しますか、経費と申しますか、そういうような点を多額に要しまするので、自然とそれが農家のほうにしわ寄せされるという関係があるのであります。私どもといたしましては、それらの点に鑑みまして、できるだけ集約酪農地域等の運用によりまして乳牛の飼育の密度を上げて参りたい。これは原料乳地帯におきましても、市乳地帯におきましても平等に強く要請される問題かと思うのでありまして、さような点につきましては、今後農家の純手取りというような点を増加して参るように措置して参りたいと考えております。
  128. 上林忠次

    ○上林忠次君 集約酪農地帯を作るときに、生乳の隻約酪農地帯を作るということになりましても、結局これがまあ乳業者に売られ、自分で配給できないだろうということになりまして、今の乳業者が横暴をしている、割安に集乳ができてこつちで楽な経営をやつている、これが又北海道行つて生産者の資本と有利な地位で競争するということがますます強くなるのじやないか。このシテイ・ミルクを生産するための集団酪農地帯に、それに対しましてどういうようなことを考えておられますか。これはやはり乳業者に売るのだという建前で行くのか、農林省はもつとほかに煉乳と競争できるような何とか政府のパツクを考えておられるか、どの程度のことを考えておられるか、ただ契約してどんどん売つて行くということになりますと、やはり乳の弱味、生乳をつかんでいる弱味のためにどうしても抑えられ、結局乳業者の資本をますます厖大ならしめるということになるのじやないか。
  129. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 市乳地帯と原料乳地帯との関連でありますが、現在におきましては市乳の消費が極めて伸長をいたしておりまするので、そのために市乳の奪い合いと申しますか、そういうような現象が起きておりまして、市乳は割高に一応取極められておるような実情があるのであります。併しこれは勿論全地域に亘りましてそうというわけではありませんが、地域によりましては相当な激甚な競争と申しまするか、それによりまして相当割高に取引されておるような現象もあるわけであります。今後の問題といたしまして、集約酪農地域におきまするいわゆる乳業の問題でございますが、これは先ほど来問題になりました通り集約酪農地域におきまする酪農振興計画を設定いたします場合に、酪農振興計画の一環といたしまして、集乳関係並びに集乳いたしました牛乳の処理計画というものを具体的に立てる予定であるのでございまして、その場合におきまして、いわゆる生産者の団体等による集乳並びに牛乳処理計画というものが現実に必要であり、且つ又それができるということになりますれば、それらの点につきましては、私どもといたしましては可能な限り予算、資金等の運用によりまして、これが助成をして参りたい、かように考えるわけであります。
  130. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと申上げますが、まだ質疑はあるとは思いまするが、大分質疑が進行していると思うのですが、大臣も見えておりますので……。
  131. 河野謙三

    河野謙三君 もう一言……。今私の酪農適地の質問途中に関連質問が出て、中途になつたのですが、もう一遍結論として質問申上げてあなたの御答弁を頂きたいのですが、酪農適地というものは全国どこにもあるわけじやない、そう私はさつき申上げたのです。適地を指定して、これを基盤に酪農振興をして行こうというわけでしよう、振興の目的を果すか、否かということは、指定が適正であるか、否かということに一番大きな問題がある、根本があるのです。その場合に日本の全土を大別すると、北のほうが適地であつて、南のほうが北に比較しては不適地である、こういう私は結論になると思うが、どうかということを申上げたので、これは畜産局長自身お調べになつたように、私は何も根拠なく言つているのじやない、あなたのほうの家畜の疾病障害の統計を見て御覧なさい、特に乳牛の疾病障害の統計を見て御覧なさい、この統計によつて地域別にどこが適地で、どこが適地でないかということははつきり出ている。そうして北が適地であつて、比較的南が不適地であるという結論が出て来る。そういうことについてお尋ねするのであつて、私はこういつたわかりきつたことをなぜあえて聞くかというと、今度たまたま集約酪農地域を五十カ所作るという、五十カ所というと大体北海道一つ二つ、それであと取りあえず各県に一カ所だというような計算が出て来る、そういうような政治的な配慮で五十カ所というようなことを考えておられると、これはとんでもない間違いである。真剣に酪農振興をしようという考え方じやない、真剣に適地を指定しようという考え方じやないのだというふうに私は思いますので、仮に五十カ所を指定する場合に、県別に一カ所とか、そういうような不平等な考え方でなくて、真に平等の見地に立てば、北を中心にして適地から随時やるべきだ、こういうふうに思うのですが、それに間違いありませんか、どうかということを伺つたのです。ところが関連質問で上林委員質問によると、何らまだ……、そこの語尾がちよつと濁つて来たようでありますから、重ねてもう一遍伺つて、大部委員長も荒れているようでありますから(笑声)私はこの辺で質問を終ります。
  132. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御意見の通りであります。
  133. 江田三郎

    江田三郎君 この際大臣に三点お聞きしたいと思うのですが、これは今までの質問の中で政府委員のほうからは答えられたのですが、先だつて砂糖の問題についても政府委員答えられたことが、大臣によつてそのまま認められんというような前例もありますので、今後は重要な問題は必ず大臣に聞くということでなければならん、こういう考え方でいるのですが、大臣もこの衆議院の修正案には賛成である、こういうことでありましたが、この修正案の第一条によりますというと、単にこれは葉約酪農地域の振興ということたけでなしに、広く酪農振興、更に又農家経営の安定ということを目的にしているわけです。そうしますと、この目的とこの法案の内容とは大分違つて来るわけで、本法案の内容というものは依然として集約酪農地域の振興ということ以上に出ていないと思うのです。それについてこの目的と内容との食違いをどうするかということについては、衆議院のほうの修正者も、それから畜産局長も、これは今後目的に副うように補正予算の機会があれば補正予算により、或いは来年度の予算によつてこの内容を充実して行くのだと、こういう答えがありましたが、これは大臣も同じ考えでございますか。
  134. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 酪農振興と打つて出まする以上は、考えられる理想体系で出発することができれば、これはもう申分ないわけでございますけれども、当面の財政事情等はもう御承知通りでございますから、漸を追うて、又振興の度合に応じて、我々としましてはできるだけ努力を払いまして、そして酪農振興法案の目指しているところを着実に一つ実現して参るように今後とも努力をいたして参る考えであります。
  135. 江田三郎

    江田三郎君 第二の点は、この法案というものが、どうも従来の政府のやり方から行くというと、酪農家振興して行くというのでなしに、むしろ乳業資本の振興になるのじやないか、というのは、例えば飼料の問題についても河野委員からもいろいろ質問がありましたが、どうも本当に農民の立場に立つているように思えない。そういう点で、例えばこの施設の問題につきましても、これが均衡を得るという姿が結局においては買手の市場になつて農民のためには不利になるのじやないかと、こういう意見もありましたが、私はそういう点について一番大事な点は、修正の第十九条の2にある、この協定案価格の協定をする場合には、こんな事態が出たときには、農林大臣に対して助言なり、資料の提示その他必要な協力を求めることができると、こういう協力を求められたときに、農林省が一体どういう答えをするのか。この答えの仕方というものを聞けば大体農林省の考え方ははつきりわかる。こういう点で畜産局長にもお尋ねしたし、又修正案の提案者にもお尋ねしたわけですが、この際協定案を作る場合に、一番大事になるのは酪農家生産費を補償して行くという原則をはつきりと貴いて行くのかどうかという点なんです。そこで例えば現在のあなた方のほうから出された資料によつて見ますというと、これは二十六年、二十七年しかありませんが、この生産者の原価というものは統計調査によりますというと、二十六年が全国平均で四十六円八十九銭になつている。それを東京で生産者が売つている相場が四十三円六十二銭だと、四十六円八十九銭という生産者原価は全国平均ですから、東京ではもつと高いわけです。それが四十三円六十二銭にしか売れない。同じく二十七年は五十七円二十六銭についておるものが、東京ではもつと高くつくのに、これが僅かに四十六円九十八銭にしか売れないということで、明らかに酪農経営者としては赤字経営をやつている。これは私が言うのじやない。あなたのほうから、政府から出された統計資料によつてこういう答えが出るわけです。更に乳価の、市乳の価格構成をあなたのほうから出された資料で見ますというと、例えば五十石を扱うところの市乳の業者の場合には、この一合当りの利益が一円二十四銭、五十石だと大体六万二千円一日に儲けているという勘定になるわけです。ところが小売業者の利潤は何ぼかというと一円七銭、卸売の業者が一円二十四銭で、小売業者が一円七銭、生産農家に至つては赤字と、こういうような現状をそのまま肯定されて、この助言をするということでは、これは全く酪農振興にも何にもならんわけです。そういうときに本当に生産農家生産費を償うだけの原則をはつきり確立して、助言なり資料なりを提供されるかどうかということ、同時にそういうような助言なり、資料の提示をされるということになりますと、これはやつぱり相当はつきりとした調査機関というものを政府のほうで持たなければなりませんので、それについては統計調査のほうで、現在全国北海道と都府県につきまして、一県に五軒乃至十戸の農家を選定して調査をやつておるということですけれども、これではとても適切な力強い助言にも、資料にもならんと思うので、そういう点をこの統計調査がもつと権威のある数字が出るように機構の拡充をなさる御意思があるかどうか、この二つの点です。
  136. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) この酪農振興を私ども強く希黒いたしますゆえんは、今日の食糧事情からいたしまして、どうしても乳製品と蛋白脂肪の供給源を豊かにする、豊富且つ安いものを供給できるようにする。それは同時に又今日の零細化されている農家経済に強靱性と申しますか、安定性と申しますか、これはもう実証的に申上げられるわけでございますから、これを広く普及し、且つ振興して参したいという趣意でございます。さらばその目指すところは、僅かばかりのバターが入つて来て、それで大騒ぎをするというような形では私は真の酪農振興ということは、これは無論当面は大事なことでございますけれども、将来はやはりこの少々のバターが海外から来るというような状態においても、十分これと対抗して行き得るようなところに行かなければ、真の日本の農家の安定というようなことをもたらし得ないのじやないか。これはどうも将来のことでございますけれども、目指すところはやはりそれは持つて行かなきやならんのじやないか。そういう意味から私どもとしましては、或いは江田さんとはお考えが違うかも知れませんけれども、農家生産費はこれこれだ、中間マージンはこれこれだ、そこでそれをすつぱり割切つて行けば、まあ国で管理するというような形にならなければ、これは割切れるものではないと存じまするけれども、私どもとしましては、できるだけ生産者の生産条件をよくして、そして又不当に中間の搾取的なマージンがそこにもたらされないように措置して参るということが一番必要じやないかと、そういうふうに考えておるわけでございますが、御議論は江田さんの御議論の通りだと存じます。そこで斡旋のために提供すべき資料等のその調査が、今日まあお話のように、例えば今御指摘のように生産費が四十六円かかるのに四十三円しかやつておらん。それでは一体今日の酪農が維持できるものでは私はなかろうと思いますけれども、そういうふうなところにまあ調査のまだ不十分な点もある。事実はそういう場合もありましようし、調査の不完備の点もあるだろうと存じます。でございますから、江田委員の言われまするように、国が少くとも基礎的な調査資料を十分整えておくということは、これはいわゆる統制にしましても、自由にいたしても、国政全般に関連して確固たる基礎資料を国が持つということは、如何なる場合にも私は必要だと思います。そういう意味におきましては、農林省の調査機関をより拡充して行かなければならんということは、ひとり乳牛の生産費調査のみならず、そのほかの面にも痛感をいたしておるわけでございます。そういう点につきましては、先ほど申しまするように、今日の状態が御承知通りな状態でございますから、どこまで実現し得るかということは私はお約束はいたしかねますけれども、私もとにかく少くともこの農林施策を推進して行くため、もつと整備せられた基礎資料を持たなければならんということはもう痛感しておりまするから、そういう意味では何分今後共努力をいたして行くつもりであります。
  137. 江田三郎

    江田三郎君 調査機構の拡充強化ということは今の答えでよろしいのですが、その前段の生産費を補償してやるという原則で行くのかどうかということについては、何かこういう、大臣少しあいまいにされましたが、何もこれは社会党の言う計画経済ということでなくても、これは生産費を補償するといつても、実際にやつてみると生産費の出し方は非常に困難です。併し少くとも農林省として、酪農振興する農林省としては飽くまで生産費を補償するのだという原則が確立されておらなければならんと思うのです。その場合は繭にしても然り、米にしても然り、あらゆる問題について同じことだと思うのでして、そういう点もう一遍はつきりとお聞かせ願いたい。これはまあ大臣が答えられんでも、当然農林省はそうだと思いますけれども、併し例の飼料需給安定法の第七条発動あたりを見ておると、どうも少し頼りないのじやないかという気がしますし、もともと大臣は政府委員の答弁だけじやちよつとあとで否定される虞がありますから、念のために……。
  138. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私どもとして農家がいろいろの産物を出されますのは、それが再生産をなし得ないと、もう翌年はやめてしまうというようなことになつては大変だと、まあむずかしい言葉で再生産を補償するというようなことになるのか存じませんけれど、とにかくもうこういうものは引合わんからやめたというような形にならないように持つて行かなければならん、こういうふうに考えております。
  139. 江田三郎

    江田三郎君 最後にもう一つ。今大臣が言われますように、日本の酪農振興するのには、こういうけちな議論でなしに、少々値が下つてもやつて行けるように強力な計画をちやんと立てて行かなければならんと、私はこう思う、それについて一つ念のためお聞きしておきたいのですが、近頃バターが入りましたが、更にアメリカの過剰農産物処理にからんで二百万ポンドのバターが入るのではないかということがちよちよい新聞に出ますが、若しさようなものが平然と言うか、悠然と言うか、何か知らんけれども、どつと入つて来るということになると、これはやはり今日本の酪農にとつては大変なことになると思うのですが、そういうようなことを大臣はどうお考えになつていますか。二百万ポンドのバターの輸入ということについてお考えになつているのですか、どうですか。
  140. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私は今二百万ポンドを入れなければならんという考えは持つておりません。併し昨年秋の衆議院、参議院を通じての多数の御意見として、或いは衆議院等におきましては、決議、院議まで決定せられておるわけですが、いわゆる日本の食糧事情に基いて食生活改善を急速にやらなければいかんじやないかという点、それにはその改善をなし得る条件が非常に欠けておる、それはまあ例えばいわゆる牛乳であるとか、バターとかの生産が供給に伴わないのみならず、価格が割高である、従つて幾ら粉食と言つてみたところで、そういう条件が整わずして、ただ食えでは誰も食うものはおらないので、そういうことが私は両院を通じての多数の御意見であつたと存じますが、そういう上から、それではその安い外国製の乳製品を、そういうふうな大きな国民的要請に応えるために、多少の摩擦を忍んでもバター等を大量に輸入してやるということも、或いは大きな見地から言えば一つの行き方であろうかとも考えますけれども、併しながら、何と言いましても内地酪農振興ということは、先ほど申しますような両面からの、将来永久に亘る食糧政策に大きな関連を持ち、農業政策に大きな関連を持ちますから、その芽を摘んでしまうような措置は、これはもう断じてなすべきではないのである。従つて今後ともそういう必要がある場合には、又輸入等をいたしまする場合には、国として内地酪農を圧迫せざる用意を整えた上でなければ簡単にいたすべきものはない。私はまあそういうふうに考えているわけでございます。今具体的に幾ら入れるというような考えは持つておりません。
  141. 河野謙三

    河野謙三君 関連して……。大臣は先ほど少しばかりのバターを入れて農家がばたばたするようでは困るとおつしやいましたが、それは農家におつしやつたのですか、誰におつしやつたのですか、誰に対する言葉ですか。少しばかり入れて農家がばたばたするようではいかんというのは……。
  142. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私はまあ言葉が悪ければ、お耳障りであれば、どういうところで耳障りになつておるか存じませんけれども、要するに内地酪農が十万ポンドか、二十万ポンドのバターが入つて来て、それで大騒ぎしなければならないというような底の浅い、脆弱な形に困るのではないか、それを今どうこうできるものではございません。
  143. 河野謙三

    河野謙三君 私は勿論そういうふうなばたばたすることでは困ると思う、内地酪農民がそういうことでばたばたしないような条件を整えるのは農林大臣の責任ですよ。そういうことが願わしいのです。農家の、これは米の生産者であろうと、麦の生産者であろうと、乳の生産者であろうと、農民心理というものは、売るものは安くなつてもいいから、買うものを更に安くしてもらいたいというのが真の農民の叫びです。決して乳を高く売りたい、米を高く売りたいというのが全国の農民の叫びではございません。米を安く売りたい、麦も安く売りたい、乳も安く売りたいけれども、もつと飼料を安くしてくれ、餌を安く提供してくれ、税金を安くしてくれというのが農民の真の叫びです。併しこれは過日来申上げておるように、僅かに二十二万ポンドのバターでありますけれども、今全国酪農民の最悪の事態が来ているときに、決してこれはバターを入れる適当な時期ではないと思う。過日来申上げておるように、全く乳牛を飼つておる農家は逆ざやに今なつており、そういう際に今バターを入れることは、これは私は決して適当でないと思う。ところがそのバターを入れるについては、これは農林大臣の同意なくして入れられないはずでありますが、大臣はこういうふうな乳製品のストツクは殖える、餌は上る、その他いろいろな条件が、悪い条件が重なつているときに、このバターを入れたことは、これは大臣は人ごとのようにお考えになつているのは、とんでもない間違いであると思います。今の僅か二十二万ポンドのバターでありますけれども、この今入つたバター全国酪農家の経済条件に鑑みて適当な時期であつたと、これはお思いになりますか。これは私は大臣でありませんけれども、これは酪農振興に関係ありませんが、この間バターを二十二万ポンド入れた。これはどういう手を通して輸入して、この入つたバターはどういう手を通して売つて、この差額というものはどういうところに金が行くのだというこういう資料要求しましたが、これは酪農振興法と関係はありませんが、明日までそれを御提出願いたいと思います。
  144. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私の考えは先ほど江田さんに申上げた通り、御意見は伺つておきます。
  145. 河野謙三

    河野謙三君 意見じやないですよ。今全国酪農家は条件が非常に悪い。非常に逆ざやになつておる。こういう事実を事実としてお認めになる。その際に僅か二十二万ポンドでもハターが入つたことはですよ、適当な時期に適当な数量のバターが入つたという御認識をお持ちですか、どうかということを伺つておる。
  146. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 必要を感じまして入れることにいたしたわけでございますが、それにつきましてはいろいろ御礼見もあろうかと存じまするが、必要を感じまして入れたのでございます。
  147. 河野謙三

    河野謙三君 これは適当な措置であつたと、こういりふうにおつしやるのを私がどうこう言うわけに行きませんが、そうだとすれば、先ほど江田さんが、将来のバターの輸入についての御心配がありましたが、それに対して大臣は慎重な措置をとるとおつしやいましたけれども、こういうふうな最も一、二年来ないところの悪条件まで追込まれておる酪農家の状態を見て、而も二十二万ポンドのバターを入れるということは、将来もつともつと余計にバターを入れることを大臣はお考えになつていると、こういうように見て私は差支えないと思いますが、そういうことですか。いや、大臣、あれは今のようなですよ、乳がだんだん安くなつて酪農製品がストツクが殖えて、そうしていわゆる餌が高くなつて、これほど悪い条件はないでしよう。そういうときに、現に牛乳は下つているのですよ。生産者の販売価格は下つているのですよ。更にこれで引下げようとしているのです。本当はバター酪農品は上るべきじきなんです。例年同じなんです。上るべきときに逆に牛乳価格は叩かれているのです。そして餌は高い。ストツクは殖えている。こういうときにさえもあえてバターを、輸入する。これは非常に私は適当な時期ではないと思うのですが、バターの輸入を私は根本的に排斥するものではありません。ありませんけれども、おのずと時期なり、方法というものがある。これは大臣は時期なり、方法は適当な時期に適当な方法でやつたと言われますが、そうだとすれば、今後まだまだあなたはバターの輸入について計画をされておると、これは考えて少しも間違いないと思いますが、そうすると、先ほどの江田さんに対する御答弁と食違うのですが、どうでしようか。
  148. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私は別に計画しておりません。先ほど江田さんにお答えをいたした通り慎重に考えます。
  149. 河野謙三

    河野謙三君 くどいようでありますけれども、それは私は計画されていないとすれば、今のような悪条件のときにバターの二十二万ポンドを入れられるなら、私はバターの輸入は円地の酪農民の条件が整つたときに入れられる。それはいいのだ。先のことだから見通しが付かんから今具体的に何も持つていない。ところがそうおつしやいますけれども、現実に我々の目の前に最も悪条件に追込まれているところの酪農民を目の前にして二十二万ポンドのバターを入れた。而もそれが適当な措置であつたと、こういうことをはつきりおつしやる大臣に対して私は疑いを持たざるを得ない。疑いを持つのは当り前でしよう。そうではありませんか。
  150. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 先はどからお答えいたしておる通り、別にお答えすることはございません。
  151. 河野謙三

    河野謙三君 私はこれ以上聞きません。
  152. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今バターの二十万ポンドの輸入の問題でありまするが、御承知通り昨年の秋から暮にかけまして、一面におきましては国を挙げまして粉食の奨励、こういうことが強く叫ばれ、国会等におきましてもそれが議決になつたような次第であるのであります。同時に他方バターの面につきましては、それは一時的な困難ではありましたが、市中から姿を消す。又価格も抱き合せ販売というような事態まで現出いたしたのでありまして、これらの事情を勘案いたしまして、これは一般消費者でなしに、酪農に関係しておられる業者におきましても、この際相当数量の輸入をいたすべきではないかと、こういりような声が業者からも起つたのであります。その当時におきましては、二十万ポンドどころか、五十万ポンド以上の数量を輸入すべきであるというような声が強かつたのでありまするが、御承知通り我が国の酪農業界は非常に底が浅いのでありまするので、五十万ポンドというような大量のものを一時に輸入するにつきましては、これは我が国の酪農業界を混乱に陥らしめるというような趣旨を以ちまして、差当り二十万ポンドだけを輸入するということにいたしたのでございます。而もそのやり方につきましては、これは一時に市場に出廻り、又酪農業界を混乱せしめることのないような措置をとりたいと、こういうような構想の下に措置をいたしたのでございまするが、御承知通り外国との取引でありまするので、それが相当時期的にずれまして、一カ月近く前に内地のほうにそれが到着いたした。こういうような事情にあるのであります。この品物、バターにつきましては、なおまだ市中に出廻つていないようでありまして、これらの今後の措置につきましては、これはできるだけ内地の相場に一時的に影響を及ばさないような方法をとつて参らなければならんと思うものでありますが、すでにこれの機構等につきましては、これが直接的な影響を及ばさないような措置につきましては、予測いたしました場合に相当考慮いたしておるつもりでございますので、これを強力に実施いたして参りたい。かように考えておるのであります。結論的に、結果的に見ました場合においては、相当時期がずれました関係で、御意見の通りのような結果になつたというようなことにつきましては、これは率直に認めざるを得ないじやないか。かように考えます。
  153. 河野謙三

    河野謙三君 私は事志と違つた。こんなにバターの輸入が多くなろうとは思わなかつた。同時に今頃こんなに餌が上つて、こんなに酪農製品のストツクが殖えて、牛乳が春先に生産価格が叩かれるとは思わなかつた。そこで事志と違つたということならば、私はあえて何にも言いません。そんなことは私は追及しようとは思つていないのです。局長はそうおつしやいましたが、いわゆる私の言うところの役所というところは、猫のきんたまというので、あとからばかり見えるけれども、先が見えないのでは問題にならない。それを率直にお認めになるならいいけれども、入つたところが何ら間違いがなかつた。自分の方針通りのようなことをおしやるから私は異論を申上げる。私は大臣の答弁を求めません。求めませんけれども、そういうような局長お話であるけれども、何も私は保利農林大臣とは敵同士じやありません。だから過ちは過ちとして、将来に再びこの過ちをなさないように私は大臣に一つお約束を願いたかつた。ところが大臣は、どこまでもこの事実を間違わないということで肯定されておられるから私は異論があつたのでありますが、今局長お話では私も大抵そうだと思つたから、又役所にはこういう例があることですよ。今始まつたことじやもりませんから、私はあえて申上げません。
  154. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私は先ほど江田さんにお答えいたしておりますのは、今後ともバターの輸入ということはあり得ないことではない、必要によれば入れなければならん、入れる場合には御非難のような事態が起らないような措置をとらなければならんということを申上げているわけでございます。二十万ポンドの輸入をいたしました、そのときの必要性はこれはもう今申上げた通りでございますから、結果は成るほど御指摘の通りになつているということは、事務当局でそう申しまする以上はもうその通りでございましよう。
  155. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて。    午後六時三十一分速記中止    —————・—————     午後六時五十五分速記開始
  156. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それではなお御質疑の向きがあるそうでございますから質疑を続行いたしまするが、成るべく簡潔にお願いをいたしたいと存じます。
  157. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はちよつと体が悪いものだから、いろいろ質問をしたいと思つてつたけれども、ずつと誰かやるかと思つておりましたが、残されておるものが少しありますので、一、二質しておきたいことがあるのであります。  第三条の二項の第三に「生乳の生産者の共同集乳組織の整備及び乳業の合理化に関すること。」等を酪農審議会としてしなければならん。このためには第八条で「国は、毎年度、予算の範囲内において、都道府県に対し、」云々という条項が出ておりますが、これに対して何とかするであろうと言われておりますが、この部分に対するもつと具体的などれくらいの補助金が出るか、或いは貸付をするために農林漁業金融金庫にどれくらいのものを、どういう国の予算を廻すとか、それはどういう条件において貸出すとかいうようなことがもつと明確に規定せられておりませんならば、これは非常に空文化する虞れがありますので、そういうものをもつと砕いたものにして、何か出される意思があるのかないのか、それをお伺いいたします。
  158. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 提案いたしておりまする酪農振興法案の第八条によりまして「国は、毎年度、予算の範囲内において、都道府県に対し、第三条第二項の酪農振興計画を実施するためいたしているのであります。第二項には「国は、第三条第二項の酪農振興計画を実施するために必要な資金の融通のあつ旋その他必要な奨励措置を講ずるよう努めるものとする。」、こういうふうに規定いたしておりまして、これは国家の意思といたしまして集約酪農地域を設定し、酪農振興を強力に推進して参る関係からいたしまして、国は予算の範囲内におきまして、事情の許す限りできるだけ多額の経費というものを、本振興計画を実施するために必要な措置として経費を支出すべきであるという国家の政策の向うところを強く指示しているのでありまして、私どもといたしましては、本案が成立いたしました暁におきましては、本条の趣旨といたしておりまするところを遵守いたしまして、できるだけ予算の獲得その他に努力いたしたい、かように存ずるのであります。第二項につきましては、資金の需要の面につきましては、これは法律の明文によつて、国はそういうような資金の斡旋に努むべきものであるということを強く要請いたしておりますので、これも本案成立の暁におきましては、酪農振興計画実施のために支障を来たさないような資金の獲得に努力いたしたい、かように考えておるのであります。
  159. 清澤俊英

    清澤俊英君 それはもう今あなたのお話は、この法案に書いてある通りでありまして、従つて私のお聞きしているのは、大体助成金等の利子などをどういうふうに考えておられるか。それをもつと具体的なものとして何か適当な機会に出される意思があるのかないのか、こういうことを聞いているのです。できまするならば、私はこの際有畜農家創設特別措置法の補助並びに融資額等の取扱等のようなものの大体の標準ぐらいなものはお伺いしたいと思つておるのです。それも無理だとするならば、そういうようなものを大体いつ頃出されるか、これは重大な問題だと思う。計画して行く上に、補助金はくれるのだろうか、国はこういう考えだろうかというが、大体どれくらいくれるのだか、これくらいのものか、どうなるのかということは、わけもわからんかつたらどうもできないものだ。而も公共事業費がぐんくんと減らされておる今日、くれようと思つてもありませんからと言われればそれきりなんです。非常に不安が多いと思うからそれをお伺いしているのです。どれくらいのものを大体補助しようと考えておられるのか。
  160. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) この点につきましては、この第八条の精神は、できるだけ多額の経費を支出し、或いは資金の斡旋に努むべきであるという趣旨でありますから、今後の問題といたしまして、現にあるものは勿論といたしまして、今後の問題といたしまして、或いは補正予算、或いは本予算、或いは資金の割当計画、こういうような問題は、機会あるごとに私どもといたしましては本条の精神を実現すべく努力すべきものと思うのであります。勿論資金の面にいたしましても、予算の面にいたしましても、これは現下の財政事情なり、或いは資金事情なりありまするので、私どもがこうあつて欲しいというものにつきまして、全面的に承認を願うというようなことにつきましては、或いは困難かと思うのでありますが、本八条の精神を実行するために最大の努力をいたして参りたい、かように考えるのでありまして、条件等につきましては、そのときどきに応じまして、この法案の本条の精神を体しまして、できるだけ多額の経費につきまして、条件等につきましても本案の精神を生かすような条件にいたして参りたい、かように考えるのでありますが、具体的に融資金額をどういうふうに定めるかということにつきましては、今後の問題として処理をして参らなければ、これはいたし方ない、かように考えております。
  161. 清澤俊英

    清澤俊英君 少くともこういう非常な緊急にして雄大な法案をお出しになるのですね。こういうものを出して、而も場所は大体五十カ所を見込んでいる。而も、頭数は大体三百頭ぐらい一カ所について見込んでおる。そういうようなものは見込んでおられるが、それをするに大体どれくらいの予算がかかつて、どれくらいの補助をしておつたらよかろうというようなことぐらいは、大体あらかじめ頭の中になければ、この法案を出したところで何にもならん話なんです。あるのじやないかと思われる。何も面倒なことはないと思うのです。少くともこの法案を出すときは、施設に対してこれくらいのものを補助してやる、これくらいのものを融資してやる、或いは乳牛を引入れるには、有畜農家創設措置法の額ぐらいのものは、一つ牧野融資をしてやろうということが大体腹できまつているのじやないですか。その大体の腹の見積りはどこらにあるのか、こういうのです。
  162. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 二十八年度算につきましては、例えてこれを申上げますれば、本法に関連いたしまして(「もつと簡明に答えてもらいたい」と呼ぶ者あり。)五十地区につきましてはすでに六地区につきまして千八百頭、二億六千万円かの見当でありまするが、それだけの金額がすでに決定いたしておるのであります。それから有畜農家創設事業といたしましての乳牛導入資金につきましては、総額といたしまして二十一億円でありまするが、そのうちの乳牛導入資金がすでに申上げました通り、九億三千万円見当でありまして、そのうちの相当の部分集約酪農地域にも導入される、かような恰好に相成つて参ると思うのであります。なお五十地区と一応予予算に予定いたしておりまするが、一千六百万円見当の自給飼料の経営のための特別の助成施設をして参りたい、かように考えておるのであります。と同時に、今回二十九年度予算におきましては、集約酪農地域におきまする牧野の改良というものを徹底的に実行いたして参りまするために、全国四国立種畜牧場に牧野改良の機械を導入いたしまして、技術員は牧場の職員を使いまして、牧野の改良を図つて参りたいと思いまするが、それに関連いたしておりまする予算が五千万円見当であるのであります。その他今後の問題に対しましては、それを基盤といたしまして、集約酪農地域におきまして、草資源の開発の問題或いは更に有畜農家創設特別措置法によりまする家畜導入につきましての資金枠の増加、こういうような点につきましては機会あるごとにその増加を努力して参りたい、かように考えたわけであります。(「あなたの説明は懇切丁寧じやなくて昏迷になるよ、懇切じやないよ」と呼ぶ者あり)
  163. 清澤俊英

    清澤俊英君 そうしますと、第三条の規定によりまして酪農振興計画を出しておる。それに許可が出て、そういう今言われるような補助金の相当の見積りなども立ててやられることになつておる。然るに十二条で新たに今後そういうものを作りたいというような場合に、これを許可するとか、しないとかいうことは大して必要ない問題だと思う。あらかじめ何かはここで出してきめておかなければならん計画になつておる。わざわざそれを第十二条で以て、知事の専決で以てこれを許可するとか、しないとかいうことはどうもおかしい話じやないか、こう思われる。参考書類中、足鹿君の計画に対する地区指定の参考箇所などを見てみましても、在来の工場等を中心として云々となつているので、何かそこに中心があるのに、何も十二条で知事が許可を新たに言うて出るのを許すとか、許さんとかいうようなことを言うて出る余地もなさそうに考えられるし、そういうものは大して必要ないのじやないか。あらかじめそういうものの処理ができなかつたならば許可をしなければいい話で、そういう許可をして地区を許した限りにおいては大体の目安は付いているので、十二条というものは、そう大きい比重を持たないと思いますが、その点どうなりますか。
  164. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) これは先ほど来議論がありましたように、集約酪農地域につきましては、すでに集約酪農地域の酪農振興計画に自給飼料の問題でありますとか、乳牛の導入の問題でありますとか、或いは牛乳処理の問題が具体的計画として設定をされるはずであるのでありまして、その設定には、勿論申上げました通り集約酪農地帯におきまして、関係者の意見を土台として決定するということになると思いますが、そういう計画があります場合に、その計画を実行するための第十二条てあるのであります。従つて規定の恰好から申上げますと、こういうような恰好になつて参ると思いますが、これはその裏には具体的計画といものがありまして、それを実行して参りまするために知事の承認というような制度をとつている、こういうふうなことであると御理解願いたいのであります。
  165. 清澤俊英

    清澤俊英君 これはいろいろありますから、あとでその修正の問題はきまる際にもう少しお聞きしたいと思いますが、第十六条の契約の問題ですが、何か私の見方が悪いのかも知れませんが、第十六条の「代金の受渡の方法その他その契約並びにこれに附随する契約の内容を明らかしなければならない、」何かこれは地区内に工場ができた場合に、指定地区の生産農民と書状取引を開かなければならないというように見ておりますが、これはしないでもいいですか。
  166. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御質問の御趣旨或いは聞取り違いかと思いますが、第十六条におきましては、これは牛乳取引に関しまして取引の内容を具体的に且つ明瞭にいたしまするために、継続供給契約は文書契約を以てやるということを原則にいたしておるのであります。従いまして、その内容といたしましては、できるだけ詳細にこれを規定をするということになると思いまするが、勿論これは私どもといたしましては団体契約が原則であり、殆んど団体契約になると思つておりますので、各側々の生産者が牛乳業者と契約を締結するというような場合は、実際問題としてはなかろうと、かように考えておるわけであります。
  167. 清澤俊英

    清澤俊英君 ただ問題は、団体契約をする場合に、この法案で見た上からというと、そこにある工場等を中心にして一つの地区ができ上る、こういう場合ができております。その際にその地区を指定されたから団体契約が本旨だということで、まあ義務的に書面契約をして行かなければならないのか、拠約は随意なのか、これを外した場合、お前は団体と関係がないのだからというので虐待を受けるようなことはないのか、これは如何ですか。
  168. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) これは契約自由と申しまするか、契約につきまして、契約そのものを拘束するというような考え方は持つていないのであります。ただ団体取引をいたしまする場合におきましては、団体団体員の関係におきましては、丁度組合法その他団体の構成法規の中でおのずからこれは処理せらるる問題であるのでありまして、そのほうの面の拘束は受けると思いまするが、勿論契約そのものを拘束するような考え方は持つておりません。
  169. 清澤俊英

    清澤俊英君 自由ですな。
  170. 上林忠次

    ○上林忠次君 ちよつと簡単に……。先ほど会社の設立許可の件ですね、これは何ですか、まあ生産面に応じて設備を許すということでしようか。それは従来会社経営している工場がある。ここで生産者自身が自身の資本の工場を作るというときには自由なんですか。すでに設備があるから、それを伸ばしてやるということになるのか、それはどうなんですか。生産者自身の設備をする……。
  171. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その問題につきましては、酪農振興計画な樹立いたしまする場合に。現に既存の工場がある場合におきまして、新たに工場を作る計画をいたしますことが、当該地方の合理的な酪農振興計画になるか、ならんかということが具体的問題として検討されると思うのであります。その場合におきましては、本案で御修正願つております通り、関係の農業協同組合或いは農業委員会、地元の市町村、そういう関係者の意見を十分聞いて酪農振興計画を立てる、その場合に酪農振興計画の一環といたしましての工場設置計画ということになりますから、新らしく工場を作るということが合理的であるということになれば、当然そういうふうな工場計画が織込まれると、かように考えるわけであります。勿論そういう場合におきましては、多くの場合、生産者の共同による新らしく工場を作るというような場合が多かろうと思うのでありまして、その場合におきましては、合理的なものである限りこれは地方長官として当然承認すべきものであると、かように考えるのであります。
  172. 清澤俊英

    清澤俊英君 ちよつと、二十二条だと思いますが、酪農審議会ですか、これの構成員に生産者の団体の代表となつておりまするが、この酪農生産者の団体というしつかりしたものがまだないと思うのです。酪農だけのこれは農協の団体等を生産者団体と見られるのか、見られないのか、酪農生産者のしつかりした団体がないとしても、不完全ながらそれらに命じて適当な生産者の組織内からでも推薦してやらせる御意向なのか。生産者の団体代表というのはどういう範囲で……。
  173. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業協同組合等は当然生産者の団体と考えて支障ないものと思うのであります。勿論末端と中央との構成の関係もいろいろありまするが、とにかく全国を区域といたしまする農業協同組合連合会或いはそれに関連いたしました団体は当然生産者の団体認識すべきものと、かように考えます。
  174. 清澤俊英

    清澤俊英君 私はそれがどうも一つの疑問になるのですがね、仮に糸価安定法によつて審議などの際の繭の生産者の団体としては養連などがあります。ところがこの農業協同組合は大体米を中心にしたものができているのであつて酪農には余り、直接自分がやつておるというような余り関係の深い人が出ておらない。従つてそれで今の養連にも問題が始終起きておる。養連のようなものを作つてみても問題が出て来ているのです。今も聞きますと、生産者団体からもバターを入れてくれという要求があつた、これらは私は恐らく生産農民の考え方とは全く考え方が別なのじやないかと思われる。そんなものは入れてもらつちやかなわないという考えであるにもかかわらず、只今生産者の団体からそういう要求がありましたと、あなたがおつしやる通り生産者の団体という中でそういうようなことを言う人を代表に入れられたら、これはとんでもない問題になるのであつて従つて私は少くとも不完全ながらも酪農生産者団体というものが全国的なものがあると思うのです、不完全ながら……。まだ完全なものはできておらないと思うのです。だが併しそれでもいいから。そういうものから出すのが本当じやないかと、こう私は考えるので、特別にお伺いしたいと思います。
  175. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) これは相当具体的な問題になるかと思うのでありますが、生産者団体認識されまする団体は、現在畜産に関しましても或る程度の数があるのであります。これを例えて申上げますれば、全国の販売農業協同組合連合会でありまするが、これは当然、現に当該団体におきましても酪農工場を持つているというような事情もあるのでありまして、これは当然に生産者団体の中の一つじやないか、かように考えられるのであります。
  176. 河野謙三

    河野謙三君 先ず私はお断わりしますがね、何も議事引延しなんということは毛頭考えていない。一つの証拠が、私はあなたのほうに要求している資料でまだ手許へ来ていないのがあるのです。それさえも私はこういう皆さんに御迷惑をかけちやいかんと思うから要求していない、それは今度の酪農振興法の当初政府の作つた原案と我々の手許に来ておるのとは大分違うのです。紆余曲折があつたことは事実です。その中に看過することのできないのは、あたかも酪農資本によつて、この圧力によつてこの箇所が修正されたと思うようなところもあるのです。でありますから、かねて政府の当初のはら案と今度の我々の手許へ来たのと比較対象して少しそれに対する疑問も質したい、こう思つたんですが、これさえも、私はこの際大事な問題であると思うけれども、あえてお尋ねしていないのです。決して私は何も議事進行の引延しをしようとは思つておりませんよ。この点は御了解頂きたいと思います。若し今から皆さんの許しを願えるなら、これは重大だと思うから、今から資料を頂いて質問したいと思います。併しあえて私は申しませんし私が先ほどから第三節のことを言つているのは、なぜ修正をしなければいかんかということは、これに対しての私の疑問が畜産局長の答弁では一つも氷解しないのです。今、清澤さんなり、上林さんの質問でも、企業許可に対してあなたの御説明はいつでもその指定された当該地区の合理的、合理的とこういつておられる。そういう合理的という言葉でこの行政権限を府県知事が任されて府県知事はどうしてやれますか、その合理的とは一体何か、例えばこの指定地区に百石の牛乳が出る。この百石の牛乳が出る指定地区において、その地区におけるところの乳業の能力というものは、あなたは百石対百石の能力が合理的とおつしやつておるのか、百石対百三十石が合理的とおつしやつておるのか、その合理的な内答を知事にお示しにならなければ知事は運用が付きませんよ、私はこれを伺つておるのだけれども、どうしてもその具体的な御答弁がない。知事は行政権の幅が非常にある。或る場合には牛乳資本の味方をして、当然農民の声として起つて来るところのその地区の協同組合の処理機関、こういうものを新設しようと思つたときに、現在ここにもうすでに百石の生産能力に対して、森永の工場が百石の処理能力があるから、これはお前は農業協同組合であるけれども、農民の要求であるけれども、これは許可できない。これは不合理だからいけない、こういうふうにされる虞れがあると思う。これを大別すると、北海道の場合には例の雪印の場合が既得権があるわけなんです。内地に来ますと、殆んど協同組分の処理機関で成功しているのはない。協同組合が若しやるとすれば、これから起つて来る問題をここでこういう法律によつて内地協同組合牛乳の処理をやろうという場合に、この法律によつて、知事権限によつて抑えられる危険があるわけなんですよ。そういう危険は私の杞憂でしようか。そういうことについて具体的に知事に権限を任すなら任すで、百石の生産能力に対しては、その地区においては百五十石までの能力を認めるのだろうか、二百石までの能力を認めるのだろか、これを私は伺つている。この場合時間の関係上私の考え方を申しますと、百石の牛乳生産能力があるならば、その地区におけるところの牛乳の処理能力というものは、常に百石をオーバーした百三十石なり、百五十石なりなければ農民は売手市場が維持できない。百石対百石というものは決して農民の立場からいつて合理的じやない。特に農林省では畜産の十カ年計画を立てて、将来日本の牛乳を百万トンにしようと計画を進めている。これから殖える一方です。殖える一方なら処理能力を一歩先に進めて、常に処理能力を幾らか過剰な形に置いておかなければ酪農振興にならない。そこで第三節の問題は非常に関係が深いのですよ。この運用を誤まれば酪農振興どころじやない。これは集約酪農じやなくて醜悪酪農法になりますよ、私はそう思うのです。その点を具体的に伺つている。それさえ、私はあなたから具体的に御答弁があるならば、あえて何もこの三節について云々言いませんけれども、どうしてもその問題に私は非常な危険を感ずるからお尋ねするのです。特に先ほど上林君のお尋ねのように、農業協同組合の場合には、これは優先的に、仮にそこにですよ、過剰処理能力があつても農業協同組合があえてそれをやろうというなら、これはあえてこの農業協同組合の分は優先的に認めるというのかどうか、こういう点も私は伺いたい
  177. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業協同組合につきましては、これは農業協同組合が共同して牛乳を消化し、又それに更に一段進みまして処理、加工をするという点は最も望ましいことじやないかと思うのであります。従いまして、酪農振興計画を設定いたしまする場合に、そういうようなことをやることが適当であり、且つ本条第十二条の四の「酪農振興計画に適合する」、こういうふうなことで、それらの計画になりまする場合におきましては、これは当然農業協同組合に承認すべきものじやないかと、かように存ずるのであります。
  178. 河野謙三

    河野謙三君 それからさつきの合理的とおつしやるその合理的の内容、基準ですね、これをお示し願いたい。これは私が仮に知事になつた場合に、今のようなあなたの御説明のようなことだと知事の運用というのは困りますよ、非常に困りますよ。生産能力に対して、先ほどからたびたび申上げているように、その地区の処理能力というものは幾つ対幾つがあなたは合理的とおつしやつておるのか、これを伺わないと困るのです。若しその幅をここでぴつちりと百石百石とか、百三十石とかいうことを入れないとすれば……私は言えないと思うのです。そのときどきの経済条件がいろいろ違うから言えないと思うから、そこで私は第三節において、若し何だつたら異議の申立があつた場合には、農林大臣の意向によつて中央に酪農審議会を作るのだから、酪農審議会に諮問して、農林省で運用の過らないようにするという穴をあけておいたらどうかと思うのてす。そんなことは無理じやないと思うのです。今の農業協同組合を優先的に認めるとういことも、初めから農業協同組合なら何でもかなわないから許可するというわけにいかんでしよう。そこにはおのずからその気持はあつても運用において限度があるでしよう。そういう場合も農林大臣に異議の申立をして、そうしてやるということにしたほうが私は運用が楽になるのじやないか、知事もそのほうが楽です。大体各県に行つて御覧なさい。畜産というのは一番ボスが多い。私のほうの神奈川県の農林部長は家畜の数と畜産ボスの数は一致すると言われたことは名言だと思う。豚のボス、雛のボス、馬のボス、山羊のボスとおるそうだ。このくらいうるさいものですよ、各県というのは、畜産については……。そういう点について知事が非常に困るのです。良心的な知事は非常に困るのです。ですから私はこれを申上げるこれについて具体的とは一体どうかということを聞いておる。決して無駄な質問じやないと思う。
  179. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) この集約酪農地域につきまして知事の承認の基準、これに関連いたしまして、不承認の場合に農林大臣に更にその措置を何と申しまするか、異議の申立ができるようにしたらどうかという御意見は、実は具体的の意見といたしましては初めて拝聴いたしたような次第でありまして、それらの点につきましては、私どもとしては一応通牒等によりまして、そういうような場合の措置をして参りたい、かように一応は考えておるわけであります。併しながら、法律の明文によつて、そういうようなことをやれるというようなことでありますれば、これは御意見と思いまするが、それらの点につきましては、私どもといたしましては、行政的措置と申しますか、通牒等の点で一応目的を達成し得るのじやないか、かように考えておるわけであります。
  180. 河野謙三

    河野謙三君 それわね、その政府原案を畜産局長みずから、それは御尤でありますから、そういうふうに直したほうがいい、こういうことをおつしやることは、それは無理でしよう。私はそういうことをあえてあなたに答えてもらいたいとは思いませんけれども、若し政府原案でどこまでも行くのであれば、合理的というものは、生産量対処理能力は幾つと幾つの比率においてこれを合理的と称するのだという一つの基準を与えなければ、これは非常に悪用されますよ。それを私はお示しを願うならば、あえて私はこれは修正しなくてもいい。それの基準を示さないで、ただあなたが、言う通り、合理的合理的というのでは、知事によつては百対百が合理的だと、こういうことを言われれば、その土地の酪農振興しませんよ、そうでしよう。処理能力のないところに生産が起りませんよ。そういう点で修正を若ししないのならば、あなたのほうで基準を一体具体的にお示しになるか、具体的に基準を示すことは、そのとき、そのときの経済事情が非常に違つておるから基準は示しにくいとおつしやるのなら、私は一応その話は知事に任せるけれども、万一の場合に備えて、農林大臣に異議の申立ができるという穴をあけてもらわなければ危険です。
  181. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 私からお答えをいたしますのもどうかと思いますけれども、これは殆んど紙一重の違いじやないかと思つておるのでありますけれども、行政措置河野さんの御懸念の点は十分満たし得るのじやないか、と申しますのは、許可を府県知事がなさらない場合には、事前に本省のほうに協議を申出てくれという措置をとりたい。そういたしますれば、この申請に対しては、かくかくの事情で承認しがたいということを、更に本省で検討をいたして、そして立地条件やいろいろの要素を審査しまして、それは尤もである或いはいや、それは違うじやないか、やつてもいいじやないかというような調整は十分可能であろうかと存ずるのでございまするから、この点は河野さんの御意見も非常に御尤のように、私も拝承いたしますが、このままでも十分御趣旨は達し得るように考えますので、御賛成を願えれば非常に仕合せであると思います。
  182. 河野謙三

    河野謙三君 私は何も天邪鬼で、何でも私は反対するわけじやないのですけれども、農林大臣も国会議員ですよ、我々も国会議員ですよ。立法府の一員です。立法府におきましてこの法律を審議する場合に、余り行政措置のほうで幅を広く持つて行くよりも、事前に起り得るいろいろな危険というものを予想されれば、それも大変な法律の改正なら別でありますけれども、私は法律改正ですつきりすると、こう思うのです。大臣は行政措置とおつしやいますけれども、例えば如何に農林大臣が、精励恪勤であつても、すべてあなたの目が届くわけではない。私はあえて自説を固持するわけではありませんけれども、そう大した修正ではないので、而も事の内容は極めて、大臣も御承知かと思いますが、大事なものです。現にこういう問題があるのです。これは私は迷惑でしようが、具体的に申上げます。神奈川県は北海道を抜けば内地第一の酪農県です。私はそこで酪農の工場が平塚にあるが、もう一つ明治の工場でもできれば農家は非常に助かる。普通集乳費が四円か、五円かからないのに、集乳費が十円も十五円もかかる計算でやつておる。要するに乳牛の連中にすれば非常に中間マージンに余地があるのです。要するに競争が少ないから、そこで明治の工場でも平塚へ持つて来てくれたら、こういうことでありますが、明治と森永というものは横綱同士でありますから、そんな変な喧嘩はできません。内容はどうか、地盤協定をしておるのです。こういう問題もあるわけです。それが少なくとも森永の工場のほかに明治の工場がそこへできれば、神奈川県の牛乳というものはすぐ二円や三円上ります。そういういろいろな具体的な問題がからみますと、これは第三節の運用というものは非常に農家に直接及ぼす影響が大きいので、それは直接県知事に任せないで、農林大臣の目の届く範囲に、私は全部とは言いませんけれども、万一の場合に、農林大臣の目の届く範囲に私は置いて頂くことが安心ではないかと思う。私はこれは決して自説を固持するわけではありませんけれども、大臣も率直に一つお考えを願いたいと思います。
  183. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 工場の承認の場合に、農林大臣が不承認な場合には、その異議の申立をするというような余地を残すべきじやないかというような点につきましては、御尤もな意見かと存ずるのでありまするが、集約酪農地域につきましては、先ず集乳計画或いは処理計画につきましては、具体的に計画を立てるのでありまして、その計画自体は農林大臣の承認を得るということに相成つておるのであります。従つて農林大臣が具体的な計画を立てて、新たな承認を出すのでありますから、それによりまして、どういうような集乳計画と処理計画をするかということは、計画の場合にきまるのでありまして、而もそれにつきましては農林大臣の承認を受けると、こういうような恰好に相成つておるわけであります。なお不承認の場合におきましては、只今も申上げましたように、通牒等によりまして、事前に打合せをするというか、かように一応は考えておるわけです。
  184. 河野謙三

    河野謙三君 私は畜産局長から、あなたの本当の気持を私は聞きたいのは、一体合理的というのは地区によつて違うでしようけれども、大体大ざつぱに集約酪農地帯の場合に、生産量に対してその土地の牛乳の処理能力というものは幾つぐらいをお考えになつておりますか、どこまでも百対百ですか。それとも百対百三十ですか、百五十ですか、二百ですか。これはどうもこの間から伺つておると、あなたのほうの合理的というのは、牛乳が百石できるのなら処理能力が百でいいじやないか、百対百が合理的だという基本観念がおありのような気がしてならない。私は人の顔色を見るのが下手です。従つて出世もしないのだが、あなたはその点を率直にお話願いたい。
  185. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 私も表現が非常に下手なんじやないかと思いますが、能力といたしましては、能力に関連いたしましては、一工場の一集約酪農地域については、一工場一経営主体であるか、数経営主体であるかということが非常に大きな問題じやないかと思うのであります。一工場経営主体ということになりますれば、全くその集乳と申しまするか、その数量にマツチいたしましたものが、一番合理的であると、かように考える。勿論これは日の経つに従いまして、その能力というものは、当然伸展し、数量が多くなつて参らなくちやならんと思うのでありますが、そこいらの点が複数制であるか、単数制であるかという点が非常に違うと思うのでありまして、これは具体的に地方々々によりまして違うと思うのでありますが、白紙に絵を描くというようなわけには参らんじやないかと思うのでありまして、地方によりまして複数の経営主体を認めて行くというような場合もありましようし、又農業協同組合一本で行くというような場合もこれはあるかと思うのでありまして、処理能力自体といたしましては、経営主体の数を離れた考え方或いは経営主体が複数である場合の考え方、これは地方々々によつてつて参るかと、かように考えられるのでございまして、その当該地方においてどういう数の経営にして、どれくらいの処理能力を持つて行くかということにつきましては、地方の実情に合いますように、最も合理的という言葉を使つておりまするが、それらの点を勘案して決定すべきではないかと考えておるのであります。
  186. 河野謙三

    河野謙三君 あなた、がそういうようなお考えだからもう一遍聞かなければならないのですが、一単位であろうと、複数単位であろうと、その地区の共通した処理能力というものは、これは同じである。そこであなたは基本的に、私が想像いたしますのに、一対一にお考えになつておるようだが、そうだとすると、工場の機械が壊れた、ストライキが起つた、そういう場合にこの間申上げましたように、一体酪農家はどうしますか、酪農家というものは冷蔵庫を持たない氷屋のようなものが酪農家であります。でありますから、こういう非常に弱味のある酪農業というものに対しては、処理能力というものは平常の場合であつても、常に百に対して百三十、百四十なければバランスはとれないのです。そういうことを私は前提にしなければいかんと思う、併しこれはあなたが御共鳴なさらないから、これ以上やつて、おると長くなりますから、私はあなたのお考えが非常に誤まりであるということを申上げまして、江田さんから御注意もありましたから、それでやめます。
  187. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 私は生産者みずからが乳製品を作る、或いは生産者の団体が乳製品を作るというような場合には、知事の許可が要らないのだという僕は解釈をしておるのですが、例えば自分の作つた米を自分が精米するのに何も当局の許可を得る必要はない、それと同じように取扱うべきであると、そういう解釈をすべきであると思う。現に北海道でも例えば町村とか、宇都宮とかいうところは、自分の生産した乳を自分だけで工場を作つておるのがたくさんある。そういうことは許可を要しないという解釈をすべきではないかと思うのでありますが、どうですか。
  188. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) この点につきましては、具体的計画でそれを決定して参るのでありまして、当然生産者等の処理はみずからやるというような形になつて来るのでありまして、知事の承認、これは形式的には必要と思いまするが、とにかく自分でやるということになればもう問題はないわけで
  189. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 自分でやる意味ですが、生産者の団体がやる場合においてもそういう解釈ができるのじやないかというわけです。
  190. 河野謙三

    河野謙三君 例えば北海道雪印会社がそういうものをやる場合どうしますか。そういうことをはつきり聞いておかないと危いのだよ。
  191. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農民がみずからのものをみずからがやるものにつきましては別問題でありますが、協同組合等の団体がやります場合には、当然府県知事の承認を要するものと思います。
  192. 上林忠次

    ○上林忠次君 大体そういうような現在工場があるものについては、これを継続させてやるというようなことになりますと、本当の産地に役に立つような乳業者が発達しないと思うのでありまして、私といたしましては、これはもうフリーで行く、勿論知事の認可を得るということになりますならば、経営能力に相当堪能な人、或いは資本的に十分な会社というような、そういうような条件を付けて行くでしようが、誰でも大体経営させる、乳量と、それから工場とのマツチしたというようなことを考えずに自由にやらすということがいいじやないか。これは勿論酪農産地の発展のためには経営能力のまずいような会社があつては困るので、この点は知事の認可を必要とするというようなことにして自由にする、その程度の権限は知事に与えて、あとは自由だということにしないといかんと思いますが、こういうようなことで既存の工場を、たとえそれが不適当な工場であろうと、それを維持して行こうというようなことでは、乳業産地のためにならんと思いますが、どういう工合にお考えになりますか。
  193. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 集約酪農地域におきまする乳牛計画につきましては、これは先ほども申上げております通りに、具体的な計画で決定をして参るわけでありまして、何も既存の工場をどうこうという筋合のものではありません。計画におきまして従来の工場を使つたほうがよいという場合には、その工場でやることになりましようし、又新たに工場を作つたほうがよろしいということになりますれば、従来の工場と並行して新規の工場を認めて参る、こういうふうになろうと思います。その基本については具体的な振興計画によつて決定して参りたい、こういう工合に考えております。
  194. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  195. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは速記を始めて下さい。  質疑は終つたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、質疑は終局したものと認めます。  ちよつと速記を止めて下さい。    午後七時五十八分速記中止    —————・—————    午後八時十一分速記開始
  197. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお修正意見がございましたら、修正案文及びその修正理由を討論中にお述べを願います。
  198. 河野謙三

    河野謙三君 本法はおおむね妥当な、ものと認めますけれども、ただ第三節におきまして、企業の許可の点におきまして少しく疑いを持ちますので、その点年次のように改正したい希望を持つております。なお、ついでに申しますが、本法におきまして最も重点を置いております取引の公正という点におきまして、取引の公正には検査の問題が非常に大きな問題と思いますが、現在のように一方的に会計検査に任しておるということでは少しくこの点も私は不満であります。さような意味合から、第三節並びにその取引の公正を期する意味におきましての条項につきまして、以下のように修正したいと思いますので、御賛同頂きたいと思いましす。修正案文を朗読いたします。   酪農振興法案に対する修正案   酪農振興法案の一部を次のように  修正する。   目次中「第十五条」を「第十八条」に、「第十六条—第二十一条」を「第十九条—第二十四条」に、「第二十二条・第二十三条」を「第二十五条・第二十六条」に、「第二十四条—第二十六条」を「第二十七条—第二十九条」に改める。   第二十六条を第二十九条とする。   第二十五条を次のように改める。  第二十八条第二十五条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第二項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、三万円以下の過料に処する。   第二十三条及び第二十四条をそれぞれ第二十六条及び第二十七条とする。   第二十二条の見出しを「(報告及び検査)」に改め、同条に次の三項を加え、同条を第二十五条とする。  2 農林大臣又は都道府県知事は、生乳等の取引の公正を確保するため必要があるときは、その職員をして生乳の生産者又は集乳事業若しくは乳業を行う者の事務所、事業所等に立ち入らせ、業務の状況又は帳簿書類その他必要な物件を検査させることができる。  3 前項の規定により立人検査をする職員は、その身分を証する証票を携帯し、関係人の要求があるときは、これを呈示しなければならない。  4 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。  第二十一条中「第十九条第一項」を「第二十二条第一項」に改め、同条を第二十四条とする。   第十六条を第十九条とし、以下第二十条までを三条ずつ順次繰り下げる。   第二章第三節中第十五条の次に次の三条を加える。  (農林大臣に対する不服の申立)  第十六条第十二条第一項又は第十四条第一項の規定による都道府県知事の承認に関する処分に対し不服のある者は、当該処分を受けた日から六十日以内に、書面をもつて、当該都道府県知事を経由し、農林大臣に不服の申立をすることができる。  2 都道府県知事は、前項の規定による不服の申立があつたときは、不服申立書を受け取つた日から十日以内に、意見審及び関係書類を添えて、これを農林大臣に送付しなければならない。  3 農林大臣は、特にやむを得ない理由があると認めたときは、第一項の不服の申立の期限を経過した後においてもその申立を受理することができる。  (農林大臣の裁決)  第十七条 農林大臣は、前条第二項の規定による不服申立書の送付を受けたときは、必要な審査を行い、不服の申立が理由がないと認めるときは、裁決をもつて、これを却下し、不服の申立が理由があると認めるときは、裁決をもつて、都道府県知事の処分を取り消し、又は変更すべき点を指示して、事件を都道府県知事に差し戻さなければならない。  2 農林大臣は、前項の規定による裁決をしようとするときは、あらかじめ、酪農審議会の意見を聞かなければならない。(手続)  第十八条 前二条に規定する外、不服の申立、審査及び裁決の手続については、政令で定める。   附則第一項中「第十九条第三項、第二十三条」を「第十七条第二項、第二十二条第三項、第二十六条」に改める。  以上であります。
  199. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 本法案に対して附帯決議案を付けたいと思います。    酪農振農法案に関する附帯決議案  一、本法の目的の拡大修正に即応して、所期する「酪農の急速なる普及発達及び農業経営の安定」の真の成果が達成し得られるよう、政府において、予算の確保及び乳製品の輸入の調整その他各般の事項に亘つて遺憾なく措置すること  一、政府において、集約酪農地域の育成に急にして一般有畜営農の育成発達を苟しくも疎かにすることのなきよう万善を期すること  一、生乳等の取引契約に当つて生乳生産者の自主性(生産者団体による共同販売の徹底、生産者による自己検査の確立、生乳の集団飲用の促進)を確保し、更に進んでは生乳生産者の資本による乳業施設を育成するよう、政府において適切な措置を講ずること  一、国内における草(特に野草及び飼料木)資源の改良涵養及び利用増進について、政府において速かに飛躍的且つ根本的な施策を実施すること  一、政府において速かに公正なる生乳検査の徹底について適切な措置を講ずること  一、政府において優良廉価なる飼料の豊富円滑なる供給を図ること。  なお、この際、飼料需給安定法第七条の発動について考慮すること  一、政府において、牛乳生産費を償う乳価の維持に万全を期すること。なお、牛乳生産費調査の完璧を図ること  以上であります。
  200. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御発言ございませんか……。他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。酪農振興法案について採決をいたします。先ず討論中にございました河野委員修正案を議題に供します。河野委員提出修正案に賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  202. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致であります。よつて河野委員提出修正案は可決されました。  次に、只今採決されました河野君の修正にかかる部分を除いて、内閣提出にかかる酪農振興法案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  203. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて本案は全会一致を以て修正議決されました。  次に、討論中にございました北委員提出の附帯決議案の採決をいたします。北委員提出の附帯決議を附することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  204. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 全会一致でございます。よつて附帯決議を附することに決定いたしました。なお修正案につきまして、字句等に修正の箇所がありましたならば、その修正は委員長に御一任願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) なお、本会議における委員長の口頭報告の内容等、事後の手続きは、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないものと認めます。  次に、本案を可とされましたかたは、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     江田 三郎  清澤 俊英     河合 義一  松永 義雄     北 勝太郎  河野 謙三     松浦 定義  上林 忠次     鈴木  一  横川信夫     雨森 常夫  軍政 庸徳     佐藤清一郎  宮本 邦彦     川口爲之助  関根 久藏     森田 豊壽
  207. 保利茂

    ○国務大臣(保利茂君) 酪農振興法案の御審議に関しまして、当委員会におかれまして、連日御熱心なる御審議を頂き、只今議決を了せられましたことに対しまして厚く感謝の意を表する次第であります。  只今議決せられました決議の趣意につきましては、一々御尤もに思いますので、政府といたしましても、決議の趣意に従いまして、最善の努力を払う所存でございます。
  208. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本日はこれにて散会いたします。    午後八時二十四分散会