○松浦定義君 今局長の御答弁を聞きますと、非常に一々御尤もな御答弁で、我々もそうありたいと思うのですが、然らば
酪農振興法なるものを本年から制定するとしまして、この問題については前回にも北
委員からそれぞれこの
乳牛なるものが
本当にみずから乳を生産し、それが
農業経営の上に影響があるというのは、相当の長い期間を要するというような御質問があ
つたようでありますが、こういう問題は別といたしましても、今
考えておられる集約
酪農地区の設定につきましても、恐らくこの問題が投げかけられまして、
酪農民は言うまでもなく、今日
酪農を主としていない地帯におきましても、こういう制度があるならば、この点を是非この
地域に入れてやりたいという
意見が全国的にあ
つて、恐らく今年等の
地域の設定については、農林省としても相当これを
決定するには面倒な点があるのではないかと思うのであります。
従つて日産百五十石とい
つたような相当大きな
考え方を持つといたしますならば、なかなかそれまで口は一年や二年では到達しない。今申上げましたように、全国の
酪農民の要望に対してほんの九牛の一毛にしか過ぎないような地帯しかやれない。それが今申されたように
法律化して、立派な国の
酪農振興になり、或いは又食糧自給態勢の
基本にもなるとい
つたような大きな看板であるとするならば、私は非常に面倒性があると思うのですが、予算面においては余りはつきりしたことはまだ明確にされていないようであります。ただこれはないよりいいのだということならば別であります。
考え方によ
つては、そのことによ
つて一部の
酪農地帯が非常に急速の進歩をし、一方は進歩しないというようなことになりますと、結果的に見て、
日本全体から行けばさしたる
振興にならなか
つたというような結論になるのではないかということを恐れるわけでありますが、そこで私はこういうことを立法化される前提として、無論農林省は長い商かつの御研究から出たと思うのですが、有しそうだとすれば、私は時期が遅れたと思う。終戦の混乱の中であの食糧の足りないとき、或いは
農民が非常にいろいろの面で困
つておるときに、少しでもこういうような温かい手を差延へることができたならば非常によか
つたと思うのですが、まあ延びて
しまつたということについてはいろいろ
意見かあると思います。併し現実、午前中にも北
委員が申されましたが、業者が不当な買あさりをや
つておる。これが立法化されるということを前提としてこういうことをや
つておるのではないかと
考えられるのであります。そこで私はこの立法化に至るまでの経過として、やはり
酪農業者とい
つたものが早くからそういうことを察知してお
つたのではないか、こういうことが私は観われるわけであります。過去におきましても、例えば麦類の統制が撤廃になるとき、或いはその直前におきましては、製粉業者或いは精麦業者が不当な運動費を使
つて、この統制撤廃の片棒を担いだというようなこともあ
つたわけであります。そういう意味合から
考えて参りますと、この
酪農振興法ができることによりまして非常に
酪農民はそれに熱意を持
つて来る。できるだけのことを
政府は当然やるであろうが、取りあえず乳量においても相当の確保ができ、
従つて戦争前或いは後におきまして、いろいろ企業整備よ
つて締出しを食
つてお
つた。特に問題にな
つておる
北海道における
森永等は、一方的に
森永だけが進出を続けておるのですが、
森永にして見れば、進出じやなくこれは復帰だと
言つておる。これは
戦争中の
一つの犠牲として、我々は撤退を余儀なくされたので、こういう時代にな
つて来たから出て来たのだということを
言つておるが、あたかも現状における
酪農業者、或いはそれを支持してお
つた酪農民の一部におきましても、
森永に対して不当な進出だということを
言つておる。ところが私は、そのことは別といたしましても、すでにこういうような立法化を前提として、そういう業者が進出したということは、いろいろ今後において
政府としても私は責任があるのじやないかと思う。例えば
森永等のごときは、
工場が建
つてしま
つて、いよいよ操業をする、看板をかけるまでは何の
会社かわからないような形でや
つてお
つた。いよいよ看板をかけるように
なつたら、ああ、これは
森永だということにな
つてしまつたということは、はつきりしておる。そういうようなことまでや
つて、業者の間でも
競争した、又
競争するような
目的にあるこの立法化というものが、未然に……、目の前で見ておるというようなことからしますと、これが若し今後
政府として立法化しました後においては、業者と
生産者との間のトラブルというものは、当然私は責任を負うべきであると思う。それで今、先ほど午前中に挙げましたように、こちらが五十円で買えばこちらが五十五円、ちよつと話をすれば五円ずつ上
つたということで、現在ではもうとことんまで行
つておる。
従つて値下りを来たしておるということは、
北海道では、まだこれから建設しようという新らしい地帯に対して、
工場がどんどんできかけておるという
実情から、
牛乳生産者はどつちに行
つたらいいか、もうちよつと待
つていれば高く売れるのだからということで、ただ目先のことだけで非常に苦労しておるようでありますから、そういうことから
考えますと、この立法化というものが、国全体におきまして、先ほど申されましたような、三つの原則が満たされるならいいけれ
ども、ただ単なる、すでにや
つてお
つた者が非常に不振をしておる。その不振挽回の一助にしかならないという形で、若しやられた結果がそういうようになるのならば、私はこれはいろいろ業者擁護のための
振興法であるというような批判を受けても仕方がない、こういうふうに思われるのでありますが、こういう点については全然、業者がそういうような進出をする場合に、何ら
政府としては、無論何ら
関係しなか
つただろうと思うが、放任しておいて、今こういう結果にな
つてしまつた、併し生産面はどんどんとこの
法律を適用された地帯においてはあらゆる手を尽して努力するであろう。併しまあ最後に来ますと、いろいろの情勢等から見まして、
価格の面についてもこれ以上変えられない、どんどんと値下りをする、
工場も閉鎖する、閉鎖するより仕方がないから、まあ安くても出すというような形で、むしろ逆に今度は
酪農民が搾取されるような形になる。牛飼が時間的にい
つても非常に苦労するわけです。私も
乳牛を飼
つた覚えがありますが、このくらい一日中時間を潰してやらなければならんことがあるから、こういう面を十分お
考えにな
つて、立法化に至るまでの
措置として誤りがなか
つたかどうか。こういう点をお伺いしたいと思います。