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政府委員(寺内祥一君)
只今お尋ねになりました二十九生糸年度の最高価格、最低価格をきめようと思いまして、これは御
承知の
通り法律によりますると、原則として三月中にきめろと書いてありますが、三月の二十九日に審議会を開催いたして協議いたしたのでございまするが、そのときの各
委員の御意見といたしまして、後に御
説明いたしまする繭糸価格安定法の改正案というものを
只今審議中、協議中でありますので、これがどうなるかという問題が
一つと、それからその他たまたま糸価が多少変動いたして参りましたので、これを見究める必要ががあるというので暫らく延期ということになりまして三月二十九日の一審議会は答申を得られずにしま
つたわけでございまして、
法律によりまして、経済事情その他の事情がある場合には四月又は五月にきめろと、こう書いてありますので、我々の考えといたしましては、御
承知の
通り静岡県下の一番早い春繭が五月の下旬に出廻りますので、四月中にはさめようといたしまして、
只今考究中でありまするし、なおその二十九日の審議会のときに、いろいろ
生産費の
計算の
方法でありますとか、各項目の審査の
方法等についていろいろ異論がありましたので、そういう
生産費の
計算の仕方或いは
調査の
方法等について、各
委員の意見を伺うために小
委員会を作り、又専門
委員というものを委嘱いたしまして、
生産費の
内容について細かい検討をいたして頂いております。その結果、二十二日に小
委員会を開きまして、その
生産費の問題についての協議の
結論を得まして、それに基きまして今月末にもう一度審議会を開きまして、そこで答申を得まして最高価格、最低価格をきめて参りたい、こう考えております。それから第二の繭糸価格安定法の改正の問題でございまするが、これはいろいろのいきさつがありましたが、この前にここでたしか御
説明したことがあると思うのでありますが、その後多少の修正をいたしまして、繭につきましても生糸の最高価格、最低価格に見合うように繭の最高価格、最低価格をきめる。それから糸価が最高価格を超える虞れがあります場合には製糸業者のほうに
協定を認め、そうして養蚕団体と団体協約をしてもらいまして、最高価格の範囲内で繭の価格の
協定をしてもらうというような制度を作りますと同時に、糸価が最高価格を超えました場合には
政府が全部最高価格で買入れまして、国内へは市場価格を見合いまして売渡す。それから海外へは輸出可能な価格によりまして最高価格以下の価格で売渡す。それから第三点といたしましては、繭にそういう最高価格をきめますから、最低価格をきめると同時に、これを維持する方策を考えたわけでありまして、現行の糸価安定法によりますると、第十一条で
政府が糸を最低価格で買上げても、繭価がなお且つ暴落いたします場合には必要なる処置をとると、こう書いてあるだけでありまして、その具体的
方法がきめてないのであります。この際繭の最高価格をきめる以上は、最低価格を保証しなければ養蚕農家に安心して繭の増産に励んでもらえないという御意見がありまするし、我々も御尤もと思いましたので、そういう際には最低価格で
政府が生糸を買入れます場合に、その相手方である製糸業者が、繭を最低価格以下で買叩いたような製糸業者からは糸を買わない。これは御
承知の
通り農産物価格安定法で澱粉の買上についてと
つておる
方法でありますので、その
方法を先ずとる。それでもなお且つ繭の価格が下る虞れがあります場合には、協同組合で自主的に乾繭保管をしてもらいまして、これに対する損失補償をして行こう、こういう案を考えまして、自由党の政調会のほうの御了解を得まして、大蔵省と
事務的折衝をいたしてお
つたのでありまするが、
政府が最高価格で生糸を買入れまして、国内へは高く売り、国外へは最高価格より安く売るというような、いわゆる二重価格制を
政府みずからやるということに対して大蔵省が頑強に反対いたしまして、為替政策上そういうことをされては困るという意見でごさいました。まあいろいろ細かい点について反対意見もあ
つたのでありまするが、我々努力いたしまして、最後のぎりぎりの点が、どうしてもそこが反対だということであ
つたのでありまするが、そこで
農林省といたしましては、いろいろ私も上司と協議いたしたのでありまするが、そういう二重価格制については、成るほどこの点については大蔵省の為替政策上の問題もあろうと考えましたので、これは一応折れることにいたしまして、その代りに別途の方策を考えるということになりまして、
只今その代案として考えておりますものは、繭の最高価格をきめることはやめまして、これは
協定によ
つて繭価をきめてもらう。但しその
協定によ
つてきめます場合に、糸の最高価格を超えないような範囲内できめてもらいたいという制限規定を置くわけであります。そうして糸につきましては、最高価格以上に市価が出てお
つた場合には、製糸業者に一定の段階でその超過部分を積立ててもらう、いわゆる共同積立金というような制度を考え出したわけでありますが、それで最低価格の保障は繭と同じであります。尤もそういうことになりましたから、最低価格という言葉は変えまして、支持価格程度のことにいたしたいと
思つておりまするが、要するに最低価格の保障のやり方については、先ほど御
説明したと同じような
方法の案を
一つまとめたわけでございます。まあこれにつきましては、大蔵省側と大体話合が付きそうなところでありまするけれ
ども、今度は問題は法制的な問題になりまして、
只今法制局と交渉中でありまするが、その共同積立金をいたします場合に、そういう共同積立を、先ず原則として業界の
協定でや
つてもらいたいと
思つておるのでありまするが、アウトサイダーに強制的な積立をさせるということにつきまして法制上
一つの疑義がありまして、
只今法制局と相談中でありますが、法制局の意見も
相当強硬でありまして、ここ二、三日その相談を
只今や
つているという状況でございます。