運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-04-13 第19回国会 参議院 農林委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月十三日(火曜日)    午後二時一分開会   —————————————   委員の異動 四月十二日委員重政庸徳君辞任につ き、その補欠として白波瀬米吉君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            清澤 俊英君            戸叶  武君    委員            川口爲之助君            横川 信夫君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            松浦 定義君            鈴木 強平君   政府委員    外務政務次官  小滝  彬君    農林省農地局長 平川  守君    農林省畜産局長 大坪 藤市君    食糧庁長官   前谷 重夫君    林野庁長官   柴田  栄君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君   法制局側    参     事    (第三部第一課    長)      村田 育二君   説明員    外務省欧米局移    民課長     石井  喬君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (硫安生産費に関する資料要求に  関する件)  (農業移民に関する件)  (飼料に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは只今から委員会を開会いたします。  先ず硫安生産費に関する資料の件を議題にいたします。本件につきましては、先般お配りいたしておきましたように、当院の正式要求に対して通産、農林両大臣から回答がありましたが、この取扱いについて御審議を願いたいと存じます。ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
  4. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 議院から審査又は調査のために内閣官公署その他に対しまして必要なる報告又は記録提出求めました場合につきましては、国会法百四条にその規定がございまして、書類提出求められたものは、その求めに応じなければならないということになつております。で、これにつきましては、この規定一カ条があるのみでございまして、そのほかに関しまして、制限その他につきましては詳しい規定がございません。そこで関係者の間の説といたしましては、文字通り制限であるという説と、それから何らか最小限度の合理的な制限があるべきだという説と分れているのでございます。一般的に申上げますと、この規定そのものからは直接に制限は勿論引出せませんですが、これに類似した場合といたしまして、議院に於ける証人宣誓及び証書等に関する法律というのがございます。これには、例えば個人秘密に亘る事項で、その証言をした場合に訴追を受ける虞れがあるというふうな場合とか、著しく恥辱に亘る事項とか、それから職業柄他人秘密にかかわる事項に立入る、例えば医師、弁護士その他の特殊な職業にある人は、職務上知り得た秘密に関しては証言を拒むことができる。従つて逆から言いますと、そういう事項亘つて証言求めることができないという制限一つと、それから公務員或いは公務員であつたものにつきまして職務上知り得た秘密でございます。で、これにつきましては、無制限証言又は書類提出求め得るのではなくして、監督庁承認がなければ求めることができない。監督庁承認が拒まれた場合にその理由議院側で是認された場合にはそれでやめますが、更にそれを是認されない場合には、内閣のほうに、その事項国家の重大な利益悪影響を及ぼすという旨の声明要求することができる。それでその趣旨声明があれば、それが記録或いはその証言要求制限になるというふうな一定の事項につきましては制限があり、或いは特に慎重な手続をするというふうな配慮がされております。この法律はその証人を呼びまして、そうしてその証言或いは書類提出求める場合の措置でございますが、まあ事の性質上一般的に申しますと、こういう今申上げましたような、この似たような姉妹法とも申すような類似の法律におきまして規定されておりますような事項につきましては、こちらの百四条の場合にもそういつた制限根抵にあるのではないかという考え方もまあ成立つわけでございます。従いまして規定当身からは一般的には制限がないということが一応言えますけれども、その根抵に何らかの今申上げましたような理由に似た最小限度理由につきまして、議院の側で然るべく御配慮になつて妥当な措置をとられるということも考えられるわけでございます。  それからこの規定によりまして、百四条自身規定によりまして記録提出等が円滑に行かない場合には、法律上許された可能な手段といたしましては、今申上げました証言求め法律のほうに移り変つて、そうして国務大臣なり、何なりを証人として呼ばれまして、こういう所定の手続によつて証言或いは書類提出求めるというふうなより強い方法も可能なわけでございます。まあ私どもの研究しました過程で、はつきりした結論は出ませんですか、そういうところでございますが。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと伺いたいのですが、役所内部において秘密書類として扱つているものがありますが、そういうものは、この国会法のこの第百四条の要求によつてこれはどういう扱いになりますか。
  6. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 百四条みずからは何ら特別の手続を必要とする、或いは特に要求できないというふうな制限は出て来ないわけでございます。ただそれをどこまで要求されるかどうかということを考えられる一つ参考に、今申上げました証言に関する法律のほうで制限となつている事項、或いは特に手続を慎重とすべき事項になつている事項、そういうものを参考にお考えになる程度であると私どもは考えます。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、役所の中で秘密書類として扱つておるそういう部類のものであるから、国王にもこれが秘密であるから出せない……。
  8. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 当然にはそういうことにはならないと思います。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 ならないわけですね。そこで一つ伺いたいのだが、例えば今度硫安生産費の問題で開発銀行に向つて製造会社が融資を申込んでおるわけだ。その場合には原価計算を付けて来るわけだ。その原価計算は当然通産省は通つているわけだ。通産省はこれは秘密書類として扱つておるでしよう。とにかく通産省はこれを知り得ているわけです。それを百四条の規定によつて我々のほから要求した場合に拒む理由がありますか、そういうものを……。
  10. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 個々ケースにつきましては、それによつて、つまり法案審議の上との関連性における必要性でございますね、それとそれによつて仮に通産省のほうで心配されるような弊害がありとすれば、その弊害との国家的見地から見ての比較検討の問題になりますので、むしろ先生方の結局は御判断によると思いますが、法律的にはつきり結論を出しますためには、今申上げましたような価値の大小の比較の問題が絡まつて来ますから、明確にそれを事実可能かということは言えないと思いますが、ただ一般論として申上げられることは、先ほど申上げたような点であります。ただ官庁内部秘密扱いとしているというだけで以て、直ちにこちら側から要求できないという結論は出て来ないという程度でございます。
  11. 江田三郎

    江田三郎君 この百四条の「その求めに応じなければならない。」ということは、これは国会法のほかの条文にも「しなければならない。」といろいろあるわけです。それで今のお話のように「応じなければならない。」となつているが、応じなかつたらどうにもしようがないということになると、ほかの条文についても「しなければならない。」とあるのを、しなかつたらどうなりますか。
  12. 村田育二

    法制局参事村田育二君) それは般的に法律規定には、義務規定の場合にも、それに直接にまあそれを強制する手段がある場合とない場合とがございます。一番端的な強制をする方法は刑罰なり、何なりを付することでございますが、間接にそれに応じないために不利益が出て来るという、事実上の不利益も或る意味では強制手段になるわけでございますけれども、その強制手段がない場合につきましては、これは文字通り単なる義務規定になるわけで、応じなければ何ともしようがないわけでございます。ただ併しそういう場合には法律立案者は、恐らく関係者には法律規定に反して応じないということは先ずないだろうというふうな関係者に対する信頼感が立法の基礎になつておるわけでございます。で、直接に強制、これをせない場合の措置をあらゆる法律について義務規定につきまして書くということは不可能でもありますし、又事柄によりましては、そういうことを一々附けることが適当でないことがございます。そういう場合には、まあはつきり言いますと、その規定限界があるわけでございまして、なお且つ義務規定であるにもかかわらず、応じないというような事態が現実に出て来ますと、それはその規定限界が露呈されたということになるわけでございますから、そういう場合には更にそれを推進されようとされますならば、先ほど申上げました証言に関する法律のほうに乗替えられて、もう少し強い方法証言なり書類提出求められるという方法もあり得るということでございます。
  13. 江田三郎

    江田三郎君 それはあなたの説明が少し飛躍しておるのじやないかと思うのです。さつきの話のように「しなければならない。」という規定が百四条だけでなしにほかにもある。而も別にそれに対してしなかつた場合の罰則とかいうことが書いてないということは、これは国会法で当然これは守られるべきもの、そういう信頼の上に立つているわけでしよう。それが守られないからといつて、直ぐに証人或いは証言というような手続でやる以外にないというのは少し論理が飛躍してはいないか。
  14. 村田育二

    法制局参事村田育二君) それは仰せ通り飛躍でございますが、どうしてもそう行かない場合にはそういう方法もあり得るということでありまして、直ちにこの規定でできなければできないということを是認して次の方法に移るということではございません。「応じなければならない。」と規定されております以上は、仰せ通り確かに応じなければならないのでございまして、相手方が応じない以上強制する手段がない、なくて法律的に何も手段がないという以上は、そういう方法もあり得るということを申上げたにとどまるのでありまして、応じないということを是認した趣旨では決してございません。
  15. 江田三郎

    江田三郎君 ほかにいろいろありますね。例えば今度の逮捕請求の許諾もあるし、「しなければならない。」という規定はたくさんあるのですが、そういうことについてこの「しなければならない。」という義務に反する行動があつた場合、この場合には今あなたは証言或いは証人等手続と言われたが、そのほかの場合は一体どうなりますか。義務規定に反することを政府がやつた場合は……。
  16. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 仮に相手方内閣でございまして、そういう法律違反事項が累積しました場合には、まあ内閣の責任を何らかの形で問われるというふうにならざるを得ないと思います。
  17. 江田三郎

    江田三郎君 そこでこれは一つ具体的にお聞きしますが、特にこれは直接ではないが、さつき説明のように、証人或いは証言の場合、或いは公務員の云々の場合、そういうふうな特別なケースにはこういう求められてもその答えをしないということがあり得ると言われましたが、今具体的に問題になつている硫安生産費については、これは何かその拒否を至極尤もと考えられる点がありますか。
  18. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 証言に関する法律におきましても、監督庁のほうで承認がないという場合に、その承認がないという事実を以て満足されるかどうかということは結局議院の側において判断されることでございます。従いまして証言拒否事由妥当性におきましては、むしろ議院の側で主体的に御判断に具体的な場合につきましてはなるよりかしようがないように存ぜられますが……。
  19. 江田三郎

    江田三郎君 この最後の判断議院がいたしますが、併しそれまでの参考法制局の係りの人としてあなたにお聞きしているわけです。それで今問題になつている硫安生産費というものは、現にここに提案されているこの臨時硫安需給安定法によつても、その第十一条でですよ、生産業者販売価格決定に当つて生産費基準にするということがはつきり出ているわけです。これは別に秘密でも何でもないわけなんです。当然生産費基準にするということになつておれば、審議会法律によつて作られる場合に生産費というものを出さなければならない。ただ現にその生産費調査ができているかできていないかということが問題になる。ところがそれについても先だつて来、通産省説明員は全部に亘つてではないが、若干の会社生産費は自分の手許にあるということを言つているわけです。それを拒否するというのは、何かその拒否を妥当とし得るような条件一つでもありますか。これはあなたは等親的に法律を解釈される人として私はお聞きしている。
  20. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 今伺いましたような事実を前提といたします限りは、積極的に拒否を妥当とするような理由がないかのように思います。御参考に申上げますが、一応行政宜庁の取扱いました事項でありますので、形の上ではまあ職務上の秘密と、例えば証言に関する法律の五条にあります「職務上の秘密」ということに該当するかのように存じますが、併しこの場合におきましても、その第四条の一項におきまして、これは直接には四条一項に職務上の秘密に関する事項について規定しているわけではございませんが、それとは別に証言又は書類提出を拒み得る事項一つといたしまして、先ほど申上げました事由を、例えば個人訴追を受ける虞れのある事実とか、恥辱に亘る事項とか、それから職業他人秘密にかかわるものを知り得た事項等を掲げておりますけれども、その場合に似たような規定民事訴訟にありまして、それを引いているわけでありますが、民事訴訟法にある事項で除いている事項があるわけです。その除いている事項の中に、技術又は職業上の秘密に関する事項というのがあります。その場合に民訴のほうは証言拒否理由になつているのですが、こちらの国会のほうの証人証言に関する法律、それは証言拒否理由にはなつておらない。除外されているという例がございますので、まあ今伺つたようなことが一面では公務上知り得た秘密に属するが、一面では職業上の秘密に類するようにも考えられまするので、その事柄性質としては、この証言に関する法律のほうでむしろ拒否理由から外れているというようなことから考えますると、或る意味では拒否理由としては多少弱いと申しますか、そういうようにも感ぜられます。
  21. 江田三郎

    江田三郎君 拒否理由としては弱いというのとは私違うと思うのですがね。この法律通つた場合には、十一条によつて、先ほど申上げましたように、価格決定について硫安審議会意見を聞く、その価格決定をするのは政令の定めるところにより生産費基準にしということがあるわけなんです。当然審議会には生産費というものが出て来なければならんわけです。業務上の機密も何もあつたものじやない。今のあなたのお説では、拒否理由としては弱いかのようにと言われるが、弱い強いということよりも拒否理由にならないということと違うのですか
  22. 村田育二

    法制局参事村田育二君) この法器の十一条の場合には、生産費を調べろ手段法律上十三条によりましてその根拠規定が設けられておるわけです。従いまして、この法律が施行された後の事情と現在の事情とは若干違うのじやないかと思います。
  23. 江田三郎

    江田三郎君 それはちよつとおかしいですね、法律にこういうことが書いてあれば、当然その審議過程においても生産費ということが問題になるわけでしよう。これが通らなければ、通つたあとでなければと言われますけれども法案審議する上に生産費基準にするという一つの条項があれば、もはや生産費調査求める、生産費についての調べを求めるということは当然であるし、何らそこに機密も何もないと思います。それじや一体生産費基準にすると言いますけれども、どういう生産費になるか、わけのわからんものを基礎にして、それに全然タツチすることなく、全然見当も付かず法案審議するということが一体誠実なる法案審議と言えるかどうか。
  24. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 法案審灘過程において絶対にできないということを申上げたんではございませんで、法律が施行されました暁には、この最高販売価格をきめます一つのフアクターとして生産費ということが明らかでなければいけない、その生産費を調べる、或る程度強制的に調べ得る根拠規定は十三条にもございますので、当然生産費を明らかにする過程法律上保証されておるわけです。ところが現在仮に通産省なり、何なりの手許にある生産費というものが、例えばこれは法相上の根拠がございませんから、任意に資料を出さして役所のほうで調べたものかも知れません。そういうような場合に、或る場合には何らかの条件が付いておるかも知れませんので、この法律が施行された後と施行前とは若干事情が違い得る、その辺は具体的に御判断をなさらなければしようがないわけですか、そういうことを申上げただけなんです。法案審議過程におきまして、この法律案がどうして提案されなければならんかというような事情を詳らかにされますことだとか、内容的に個々規定についていろいろな事情を明らかにされる必要は勿論十分あることと思います。
  25. 江田三郎

    江田三郎君 大体それでよろしい。今のお答えから行くと、ただこの法案が通過した後においては通産省として当然生産費を持つている、今そういうものがあるかどうかわからんということだけれども、それはさつき言つたように、通産省説明員説明で、つまり政府のほうに若干の資料があるということを言われておるわけですが、それを出してくれというのですから、その点は私は法制局のあなたの意見では資料提出拒否した政府の態度には何ら弁護余地がないという結論だと思いますが、そう解釈していいわけでしよう。
  26. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 結論としては仰せ通りですが、その辺の表現の度合ですね、先生の言われました何ら理由はないとまでは申上げかねますが、具体的事情に即して申上げなければわかりません。積極的に拒否する理由はなさそうだということです。
  27. 江田三郎

    江田三郎君 あなたは政府でも通産省でも何でもないんですから、政策を立案するところではないんですから、法律の番人として法律を客観的に解してもらえばいいんですよ。それは私は答えはつきりしていると思うのです。法律を解釈される人の答えというものは、その表現のデリケートとか、ニユアンスとか、へつたくれということは一向必要ないので、弁護余地があるのか、ないのかということだと思うのです。
  28. 村田育二

    法制局参事村田育二君) ただ申上げておきたいことは、一方には法案審議のための必要性ということがあるわけです、それから一方のほうには、これは私はつきりわかりませんけれども、多少ともそれに反対の方向の出しにくい事情が仮にありといたしますると、その両面の事情を彼此勘案いたしまして、結局結論が出ざるを得ませんので、おのずからその相反する価値比較の結果におきまして、はつきり言い得る場合と、若干そこに疑問がある場合とございますので、これは法律判断そのものとして、さして明確にゼロか、百かというふうにはつきりあらゆる場合に法律判断結論が出るわけではないわけでございます。
  29. 江田三郎

    江田三郎君 それからちよつと委員部長にお尋ねいたしますが、こういう前例が今までにあつたかどうか。
  30. 宮坂完孝

    参事宮坂完孝君) 第百四条に基く国政調査権資料要求の実例につきましては、現に文部委員会等にもいろいろな問題が引つかかつております。それから前回ここにおられる宮本理事、御記憶でしようが、決算委員会につきましては、銀行預金台帳提出等をめぐりまして非常にデリケートな問題があつたわけでございます。只今法制局のかたの御説明通り、私たちもそういう線に沿つて実際を取扱つて参りましたのでありまするが、これは旧議院法におきましては、政府に対しましてだけ資料要求があつたわけであります。そのときは行政府の権限が強かつたのでありまして、秘密に亘るものはその求めに応じなくてもよろしいという明文の規定がありました。併し新国会におきまして、国会法が新たに議院法から別の名前を以ちまして発足いたしましたときにおきましては、この点を削除いたしまして、その求めに応じなければならない、秘密理由を以てこれを被請求者拒否できないというふうに変つて参つたのでありまして、この点につきましては、衆議院国会法提出のときの議事録、それから当事者の説明等にも明確に書いてあるわけであります。なお現に今度国会法を又改正して行こうという両院の国会法の改正の小委員会等におきましても、この問題が論じられ、なお衆議院の一部では旧議院法のような線に戻そうというような一部の意見もあるのでありまして、皆様のお手許衆議院資料が送付されておりますが、そこにも掲載されておるわけでありますが、こういういきさつで、現在この第百四条につきましては、行政府におきましては、その秘密の故を以てこれを拒絶するということはできないものと、現行法はつきり書いてありますから御了承願いたいと思います。
  31. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと私から法制局にお聞きしたいのですが、国会法第百四条は締めくくり規定はないわけですね。何ら締めくくり規定はないのですが、少くとも証人宣誓及び証言等に関する法律精神にむしろ準拠してやはりやるというふうに解釈していいのですか。
  32. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 第百四条自身につきましては何ら制限はないのでございます。ただ併し具体的にこれを適用して行きます場合に、一般的にその根抵に殆んど同じような法律に先ほど申上げましたような制限はございますのですから、適用の段階にそういう根抵に、そういう条理上と申しますか、そういう制限が一般的にはあり得るということを配慮されることが望ましいと、こういうことでございます。
  33. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) そうすると、証人宣誓及び証言等に関する法律の、少くともこの精神に準拠して政府資料が出せないということをやはり措置をする必要があるわけですか。例えば第五条の二項で公務員職務上の秘密に関する書類監督庁承認を出してはいけないというふうに承認を拒んだときには、その理由を疏明しなければならない、それからその理由を疏明しても、その理由を受諾することができない場合には、その「書類提出国家の重大な利益悪影響を及ぼす旨の内閣声明要求することができる。」、こういう規定がありますが、大体こういうような精神締めくくりをすべきだというような類推解釈をしてよろしいのですか。
  34. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 一々その手続までこの法律通りにやらなければならないということは勿論ございませんので、ただ制限になる事項は大体これで見当が一般的には付くということと、事実上この手続に倣つてやられることは勿論差支えございません。法律上この手続に一々よらなければならんということは、一方のほうに何らそういう規定はないわけですから当然ございません。
  35. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ですから、この法律の解説じやないのですが、今委員部長説明を聞きましても、旧議院法では秘密事項は出さなくてもよろしい、国会法ではそれを削除しておりますから、当然これは全面的に出すべきでありますから、それを出さない場合には、少くとも証人宣誓及び証言等に関する法律精神に準拠して我々は政府措置要求してもいいのじやないかと、こう思うのですが。
  36. 村田育二

    法制局参事村田育二君) その通りでございます。
  37. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それからもう一つ、これはそういう精神で飽くまで政府措置要求する以外に、先の答弁で行くと、もう一つ方法は、今までここで政府政府委員なり、或いは説明員として答弁されたかたに、新たに証人として要求するということになれば、これはもうこの法律で当然行くわけですが、先にそういう、それは次善の策と言いますか、次善の策として、そういうことをとつたらいいだろうというような見解ですか。
  38. 村田育二

    法制局参事村田育二君) とつたらいいと申しますよりも、そういう方法も最悪と申しますかの場合にはあり得るという程度のことでございます。
  39. 江田三郎

    江田三郎君 これはそういう方法もあり得るということであつて、この本筋から行くと、政府が第百四条の義務拒否した、こういうことになつて院議を以て政府を糾弾する、こういうことになるんじやないのですか、その点、委員部長と両方の見解はどうですか。
  40. 宮坂完孝

    参事宮坂完孝君) 第百四条につきましては、法律の実体において、これに対してその求めに応じなかつたときの罰則その他の救済規定のないことは、結局政府は立法府における審査、調査の便宜のために書類を、資料提出することを拒否するようなことはないだろうということを期待して、こういう立法をしたわけでございます。それでその理由は、行政庁が秘密だからということで拒否できない理由は、我我の国会委員会はいろいろなやり方があるわけであります。例えば秘密懇談会にするとか、或いは秘密会にしてその速記を公開しないとか、或いは厳然たる秘密会を開くとか、いろいろなその秘密の保持については国会法にいろいろな規定もございまして、そういう場合についても秘密の保持ということについていろいろな手段を作つているわけでありますから、その点につきましては、行政庁が秘密の故を以て拒否できないという立法の趣旨だろう、こう考えております。
  41. 江田三郎

    江田三郎君 だから、それが秘密の故を以て拒否できないということになつているのを拒否している。その際次に続く措置ということは、今委員長法制局のほうから聞かれたようなことも一つ方法ですが、本筋から言えばそこまで行かなくても、政府は第百四条に違反しているということを院議を以て糾弾するという手続になるのじやないのですか。
  42. 宮坂完孝

    参事宮坂完孝君) 無論いろいろな方法も考えられるわけでありまして、法制局の御説明の疏明に持つて行く手も考えられますが、第一段としては、委員会でそういう御決議になつても結構であろうと思います。
  43. 河野謙三

    河野謙三君 法制局に聞きたいのは、この問題の発端になる当委員会速記ですね、それからこの間通産、農林大臣から来た回答、これは全部あなたが目を通して頂いたのですか。ああいういきさつから行きまして、法の解釈じやなく、具体的の問題でああいういきさつから言つて我々は要求している。それに対してああいう回答が来た、この事実に対してあなたは今度の場合安当と思いますか。
  44. 村田育二

    法制局参事村田育二君) 法律事柄についてお手伝いする立場にあるものとしまして、判断することがどうか存じませんが、今おつしやいましたような事実につきましては、必ずしも政府側に拒否の十分な理由がないように思います。
  45. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    午後二時四十一分速記中止    —————・—————    午後三時四分速記開始
  46. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。それでは只今硫安生産費に関する資料の件はこの程度にいたします。   —————————————
  47. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、農業移民の件に入ります。本件につきまして引続いて御質疑を願います。本日は外務政務次官外務省欧米局移民課長石井喬君及び石黒参事官、農林省平川農地局百長、以上が見えております。
  48. 戸叶武

    戸叶武君 この前にもこの問題は大分審議されたのですが、この移民の問題は我が国の人口問題の解決の上において極めて重要な問題でありまして、それは当然この移民外交を担当するところの外務省と、国内から移民を送り出すところのそれまでの斡旋をしなければならない農林省との共管の性格を持つていると思うのであります。ところが最近は外務省出身の吉田さんが総理大臣であり、外務大臣の岡崎さんも大分幅をきかしているのであつて、この吉田内閣においては外務省の比重というものが非常に強くなつておりまして、内政干渉というわけではありませんが、外政だけではとても間に合わないから、手が余つているからどんどん内政のほうにまで食い込んで来ようというような勢力拡張が行われ、又それに乗じて今までに移民会社なり、或いは外務省を取囲んでいるところの外郭団体の顔役等が、外務省のやはり古い官僚のかた、或いは移民会社において直接の利害関係を持つたところの日本郵船関係の社長なり、前社長というような、そういうかたがた、そういうものを合して、そうして海外協会というようなものをでつち上げ、而も三億三千万円というような巨額の金をその民間団体に託して、この移民関係の仕事をやらせるというようなことは、これは日本の移民政策の上において画期的な出来事であつて、而も外務省の独断においてこういうことがでつち上げられるということになると、今後いろいろな各省においてこういう性質の外郭団体というものを作り上げては、結局は将来問題を起す種を蒔くことになると思うのです。それで今回はここに一つの海外協会並びにこれに結び付いたところのこの外務省を中心とする移民政策の国内への公正な態度というものを、我々は慎重にやはり審議して行かなけりやならないと思うのです。この前外務次官からいろいろとお話を聞いたのですが、この委員会においては誰もその意見というものを納得することができなかつたと思うのです。それでこの前たしか皆さんの意見を聞いて、外務次官はそれを外務省に恐らくは伝達して、外務省の内部において相当私はこの海外協会の行き方がこれでいいのか、或いは移民政策をこういう形によつてつていいのかということが再検討されたと思いますから、そういうところを総括して一つ外務省の意見を改めてお開きしたいと思います。
  49. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 戸叶さんのお話では、外務省で仕事がなくてこういうことに手を出すかのごときお察しのようでありまするが、そういうのではなくして、私から申上げるまでもなく、この移民事務というものは外務省で取扱うように法律でなつておる。それを外務省限りで法律に基いてやつておる事務を勝手に変えるということはできないことはおわかり下さるだろうと存じます。ただこの前の委員会でも御指摘がありましたように、移民に関しましての農業技術という面について、成るほど農林省にも予算がありまするから、そうした面において御協力を願うということは私ども考えておるところであります。が併し御指摘のようにいろいろお話もありましたので、本件につきましては実は私どもは事務的に話合の付くものであるというように考えておりましたけれども、いろいろお説もございまするので、外務、農林両大臣でも話合をしてもらつて十分御期待に副うようにいたしたいと考えます。独断で外務省が、吉田総理や岡崎君がおられるためにやつているというのではなくて、法律に基いてやつているということは是非御了解を願いたいと考えます。海外協会につきましても発足早々でありますから、これは不十分な点は相当あろうと存じますが、弊害の生じないように十分注意をいたしまして、農林省のみならず、或いは厚生省、或いは文部省関係のところも多いことでありまするから、特に農林省には御協力を願いまして過ちなきを期したいと考えております。
  50. 戸叶武

    戸叶武君 その移民関係の仕事は外務省でやるように法律にきめられていると言いますけれども、移民政策限界というものは、やはりその階段々々においていろいろあると思うのです。その移民政策のどこまでか外務省で担当すべきかということはおのずから常識的に判断が定められていると思うのです。この移民の問題は前から、古い時代において拓務省の関係、外務省の関係、いろいろもめた歴史もあるのでありますが、今外務省がこの移民外交だけでなくて、圏内において当然と後の移民というものが、過去の放りつぱなしの移民、移民会社に委託してそうして募集員が金を儲ける、それを更に吸上げて船会社が何とか営業を成立たせるというような自由主義的なアナーキーな移民政策じやなくて、おのずから構想を変えて技術移民的な性格の優秀な農民を海外に送らなければならない段階になつていると思うのです。そういう優秀な移民としての資格者を作つて行く面まで、とにかく外務省がいろいろ育成しなければならんということになると、外務省は農林省をも併呑して、それを兼務して行かなければならないようなところまで行くので、そういうフアンクシヨンの限界というものが明確化されなければ、移民政策の出発から私は間違うと思うのでありますが、どこからどこまでを外務省がやろうとしておるのですか。移民政策に関する限りは、移民たるべきところの資格を持つものを育てたり、それを選択したり、その全部まで外務省がやるというお考えですか。
  51. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 勿論移民政策も大事でありまするが、同時にこれは実行しなければならないのでありますから、外務省の設置法にも「海外における邦人の保護並びに海外渡航及び移住のあつ旋」ということが出ておりまするし、四条には「移住に関しあつ旋保護その他必要な措置をとること。」というように謳われておるのであります。従いまして外務省といたしましては、再三申上げますように、この事業というものは外務省だけでできる事業ではないけれども、そうした事務を実施して行く上の責任をとつております関係上、海外に出て行く先のことだけしかやらないで、そうして而も対外的には責任をとるということになりますれば、募集選考について農林省の御協力を仰ぐ、或いは文部省の御協力を仰ぐ、地方のいろいろの団体の世話になることは結構でありますが、それをただ単に任せきりでおくということになりましては、本当に立派な、今御指摘のような技術移民を出せないと思います。ただ技術について勿論農林省の御協力を得なければなりませんが、若しそれが一々別個の省でやらなければならないということになれば、他の工業技術の面については通産省がやるというようなことになると、そこに一貫性も欠くし、これは人格が外へ出て行く問題でありますから、ただ技術だけの問題じやない、総合的にすべての点がよく行かなければなりませんから、そのまとめ役をするという意味において外務省は最善を尽さなければならないと考えております。
  52. 戸叶武

    戸叶武君 これは例えば農林中金なんかで見られるように、農林省なり、或いは大蔵省なりの協会というような問題もあるのでありますが、移民問題はやはり外務省が主管であると言つても、最も密接なる関係のあるところの農林省と共管的な性格を持つのであつて、自分の主管であるからほかに相談する必要はない、と言つて、今までの移民会社の崩れや、或いは船会社の社長連中や、或いは外務省の外郭団体の顔役、そういうものの民間団体に委託して、そうしてこういう仕事をやらせるというようなやり方というものは非常に冒険であつて、もつとその前に外務省なり、農林省なりの事務当局が慎重に検討して、日本の移民問題、移民政策をどうやつて行くかということを十分審議して行かなければならないと思うのでありますが、そういうことは必要なしという見解の下に外務省ではこういうことを進めて来たのですか。
  53. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 共管ということになりますと、やはり法律にもこれはタツチして来る問題になるだろうと思いますが、併しこの会社とおつしやいますけれども会社でなしに団体で金儲けをするものではございません。そうしてこの首脳部の人の人選につきましても、外務省はすでに前から農林省へも推薦方、御協力方をお願いいたしておるのであります。前には拓務省や農林省がやつたようにおつしやいますけれども、満洲移民につきましては拓務省がやりまして、農林省の御協力を得ておつたと記憶いたしまするが、他の移民については外務省かやり、そうして当時は会社がありましたが、併し会社についてはいろいろ議論もありましたので、今度はこういう各方面のかたを総合したところの協会にやつて頂く、こういう方法にいたしたものでありまして、決して或る特定の人の利益とか、特定の人を以て協会を作つて行こうというのでなしに、総合的にいろいろな方面の人が加わつて来る。事実連合会のほかに現実にこの問題を取扱つております地方の海外協会というものは、府県知事が会長をしておられるところも相当ございますし、その他いろいろの団体もこれに加わるというやり方をしておりますから、決して一部の利益を考えるというような人をこの中に入れる考えはないし、又そういう点がないように十分注意をいたして来ておるのであります。
  54. 戸叶武

    戸叶武君 やはり前に満洲移民の問題を拓務省関係でやつたというようなことは、やはり農業移民が多かつたからだと思うのです。今やはり一番問題になつておるのはブラジル移民が主になつて農業移民が多いと思うのです。そういう場合において外務省の行き方というものは、自分のほうの所管だからおれのほうで全部やるという態度だと思います。海外協会のでつち上げというものも、そういう際だから止むを得ないと言えばそれまでですけれども、殆んど外務省関係で人選したのだと思いますが、その人選に対して外務省は当然これは外務省として責任を持つでしようし、我々はこれに対してはいろいろな問題をとにかく内在しておると思つておりますが、そういうことからけちを別に付ける必要はないと思いますけれども、こういうふうな形における海外協会が、仕事を一ぱいに持つておる地方に形式的に押付けてしまつて、そうして仕事をやらせるといつても結局は無責任な体制になると思うのです。而も海外協会に三億三千万円の金を預けて、そうしてこの移民関係の事業を責任を持つてやらせるというようなことは軽々率々にやるべきものじやないと思うのです。この問題においてとにかく将来当然問題が起きると思いますが、問題が起きたときに外務省側にその全責任を負うだけの腹があつてやつたことだと思いますが、私たちは、今までも移民会社というものがあつて移民協会となつたけれども、移民会社のときに実にいろいろに問題を聞いているのです。そういう問題が起きたときに、自分がこれは海外協会に任せておいたのだから、とにかく自分に関係しないなんということの逃げは今度は打てなくなると思う、この海外協会をでつち上げ、人選すべて外務省がやつて、外務省が責任を負う。その責任は外務省の誰が負うかということも、当然明確化しておかなければならないと思いますが、外務省はそれに対しては全責任を負うというだけの一つの態勢を以てこれを作り上げたのですか。
  55. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 先ほどから申しまするように、外務省がこの移民事務を主管いたしておりまする限り、外務省が当然最終の責任を負うものであります。なお満洲のほうは農業移民のほうが主だつたから、それと同じようにやつたらと言いますけれども、(戸叶武君「やつたらと言つたのじやない、言葉をよく聞いていて下さい」と述ぶ)これは農業移民であつて、ブラジルのほうも農業移民であるというお説でありますが、成るほど農業移民でありましようが、満洲国というものと、ブラジルとはよほどその性格を異にしておることは、私から申上げるまでもないと存じます。殊に二の協会を作ります前に、現地の、現地と申しますると、南米方面の意向も聞きましたが、今政府のほうで直接の取計らいをするということは、却つて日本の帝国主義的な考え方に誤解される虞れもあるから、又現地でこうした問題を取扱つたものも帰してあるから、成るべく民間の創意を生かしてやるような方法が適当であるという強い、要望もございましたので協会によることにいたしたのであります。併し協会は今お話のように押付けたものではなくて、極く地方で熱心なかたたちがやろうというので、地方別にできておつたのに対して、何と申しますか、中央に統合するところの連合会というのをこの一月の八日に結成したというようなわけでありまして、御質問の要点である責任に関しましては、決して協会がやつておるから、外務省はそれで以て責任逃がれをしようというような気持は毛頭ございませんことをここて申上げておきます。
  56. 戸叶武

    戸叶武君 この移民の問題に対して、勿論この満洲とブラジルその他の海外移民とはおのずから異なるということはわかる。外務省もこれに果さなければならない役割も非常に多いと思う。で、ここで私たちが考えなければならんのは、経済外交とか、移民外交の場合におきましても、外務省の人たちは語学も上手だし、外国の風俗習慣にも慣れておりますが、残念ながら日本の国内の事情をよく、知らないのでそうして今まで外交をやつているところに上滑りなところがあつたので、今度は腰を落ち着けて、国内の事情も知りたいというのが、今度の移民問題に名をかりて海外協会のでつち上げをしたとも思われたのでありますが、そういう意味において、外務省の人が日本の国内事情を知ることも必要でありますけれども、やはり日本の農民の状況なり、或いは海外移民の問題なり、そういうようなものを一朝一夕に外務省の人たちが、田舎に講演に行つて、地方の有志と会つて、そうして調べたつてそれは片附く問題じやなくて、やはり餅屋は餅屋としての専門の持ち味があるのですから、そういうものに頼んで、そうして問題を片附けるべきであると思うので、海外協会は自然発生的に生まれたその連合体のようなことを言つておりますが、実質上においては、中央から知事やその他に督促してこれは作り上げたものです。半分官製的なでつち上げです。その中における推進力というものは、今までの移民屋と言われた人たちの顔役の人が、外務省と密接なとにかく連絡を以てでつち上げたのです。そういうことは我々にはつきりしているのです。でつち上げもよろしいけれども、少くとも今後の立て直しは、今までの移民屋や、今までやつておつたような移民政策では必らず失敗するし、国内におけるところの農民の風俗、習慣、海外におけるところの、風俗、習慣のギヤツプ、そういうものと結び付けて、慎重に私は各界のやはりその検討を重ねてやつて行くべきだと思いますが、でき上つたこの移民協会の実態というものを見れば、これは移民関係で金儲けができるところの、船会社その他の業者並びに外務省の古手のお役人のかた、並びに移民会社崩れといつちや悪いが、移民会社関係に密接な関係があつたところの顔役、そういうようなものででつち上げて、新らしい構想の下に移民政策を推進するという政策はどこにもないといつていいくらいです。もう少しやはり謙虚に国内の智慧を集めて、移民政策の新らしい出発のために、海外協会をでつち上げるという場合、外務省としては謙虚さがほしかつた。農林省にも言つたが謙虚さがほしかつた、あとはぼやかされておるようでありますが、こういうふうな形で、外務省が独断的な形で、ほかに押し付けるという形だから、ほかではこれに喜んで協力態勢ができないような態勢で押し進めたのじやないかと思いますが、その点の経過を一つ御報告をお願いします。(「ありのままを言つてもらいたいな」と呼ぶ者あり)。
  57. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 誠に仰せ通り、各方面の知識を集め、又各方面の協力を得けなければならないことは勿論であります、ただ日本の実情をよく御存じのかたが募集選考して頂くのは結構でありますけれども、同時にこの人たちは日本で農業をやるわけじやありませんので、外国の風俗習慣というような点も十分考えで選考しなければならない、募集しなければならんという点も御了解を願いたいと存じます。そこで今の海外協会はどういうようにしてできたかということでありまするが、この戦後一時中断しておりました移民事業というものも、だんだんと芽を吹いて来る傾向もございまして、昭和二十二年の頃からアルゼンチン及びブラジルヘの呼び寄せ移民が許可されるようになり、昭和二十七、八年に至りまして、ブラジルへ上塚さんの案、又松原さんの案、これらの二人の作られた案が向うの政府によつて承認されるに及びまして、全国的な移民問題に対する深い関心と、移民事業への熱意等が澎湃として起つて参りました。在外の県人と各府県と連絡がある、その在外の川県人の連絡、呼び寄せ移民の斡旋並びに現地事情の宣伝、啓蒙等を行う団体として海外協会が設立されまして、相当活溌に活動を続けて来たのであります。そうしてこの計画移民の送出が軌道に乗つて参るにつれて、いろいろ地方でもこの問題に関心を持たれて、地方の海外協会のかたから中央、地方を打つて一丸とするような強力な移民取扱機関を設立してもらいたいという要望が起つてつたのであります。そこで昨年十一月に、これら発起人の人によつて財団法人日本海外協会連合会というものの発起人総会が開催されました、次いで外務省にその設立許可申請がありましたので、外務省はこの内容をいろいろよく検討しました結果、先ほども申しましたように、本年の一月にその設立を許可いたしたのであります。連合会の主な業務は、移民の募集、選考、教養、輸送及び援助に関する事業、移民に対する渡航費その他の資金の貸付及びその回収に関する事業、移民に関する啓蒙及び弘報に関する事業、海外移住に関し、主務官庁より命令せられ又は委嘱せられた事業、こういうようなことになつた次第でございます。
  58. 戸叶武

    戸叶武君 最後にあれしますが、とにかくこの四月七日の衆議院農林委員会におきましても、海外農業移民に関する決議がなされておりますが、その要点は、「対外的には移住範囲の拡張及び現地の受入れ定着に関する外交であり、対内的には優良な農民の募集選考及び教育等これが裏付けとなるべき内政である。仍つて政府は移民外交の刷新強化を図るとともに、農業移民については、外務、農林両省緊密に協力し、特に国内における募集より送出に至る間の事務については、農林省が従来の経験並びに施設を寸分活用して事務の効率を挙ぐるが如き体制を整え、もつて本事業の推進に万遺憾なきを期すべきである。」という、この決議がなされておりますが、政府側ではこの決議を余り尊重していないようですが、幾らか尊重するつもりですか。
  59. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 先ほどの答弁の中で申上げたと思いまするが、現に外務、農林両大臣の間でこの問題を適当に、この趣旨ができるだけ徹底するように取計らつてもらうという段取りになつておる次第でございます。
  60. 戸叶武

    戸叶武君 そうしてみると、今の問題に次官が説明した海外協会の仕事の内容というものは非常に範囲が広くて強力なものだと思うのです。恐らくはこの海外協会の役割は、移民に関するところの啓蒙宣伝、それから外務省の人たちと結んでそういうことをやれば、外務省の人も日本の国内を歩いて、幾らか日本の実情にうとくなくなるでしようし、又該博な海外知識によつて日本の普及宣伝に助かりますが、この団体が一面においては三億三千万円からの金を握つて、資金の貸付まで操作するということになると、前の移民会社どころの騒ぎではなくて、非常に絶大な力を振つて、これに頼らざれば、移民関係の引つかかりはできないというほど強力なものになつて、これでは国内において殆んど農林省関係或いは移民関係の仕事をしておつたところの地方の自治団体、県等においてもその仕事が浮き上るようなところまで圧力がかかつて来るので、この海外協会の倉皇の間に作られた、でつち上げられた、而もこの権限の厖大にして強力な作り上げ方について、こういうことについては非常な疑義を持つのですが、国内におけるところのいろいろなお仕事に対しては、外務省は憚かりながら余り経験がない。そういう素人がこういうことをいきなり大胆にやり出して、これでやつて行けると思うのですか、その確信ある御答弁をお願いいたしたい。それからそれにこれだけの非難が出ておるのですから、再編成なり何なり出直す考えがありますか。
  61. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 役人が直接やるというのも一つ方法でありましようが、先ほども説明いたしましたように、それよりも民間の団体のほうがよろしいという、いろいろ海外の事情等を勘案いたしまして結論に達しましたので、協会に委託し、実際的な面を取扱つてもらうということになつております。併しこれは運営につきましては、先ほどから再三申上げますように、地方の団体、都道府県、いろいろの協会、又関係各省の協力を得て、一体となつて協会の仕事が間違いのないように適当に指導して頂くという気持でおりますので、間違いなく立派に協会が仕事をいたしまするように育て上げて行きたいというように考えておるのでありまして、この協会が非常に厖大なる権限を持つておるのではなくて、実際の実務を引受けてやるのであつて、而もその実務もいろいろ府県なり、農林省なり或いは文部省などの御協力を得なければならない面がたくさんございますからして、決してこの協会に独断的な行動をしてもらうという気持は全然ございません。今これを潰して新らしい構想で進むだけの決意があるかというような御質問でございまするが、先ほど申しますように、そういう方法でなしに、この民間の団体をよく育成して行くという方針で進みたいと考えております。
  62. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 ちよつとはずしておりましたので、重復する点があるかも知れませんが、御了承願いたい。その場合は簡潔に願いたいと思います。  先ず、かような問題が出て来ましたに関しましては、外務省の設置法、組織令或いは農林省の組織令、そういうものにおいて、外務省は主になつてやらなければならんという法的根拠をお示し願いたい。
  63. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) この所管事務については設置法の規定があるわけであります。先ほども御答弁申上げましたように、外務省の設置法第三条には、「海外における邦人の保護並びに海外渡航及び移住のあつ旋」、それから第四条に外務省の権限が規定せられておりますが、その十八号として「日本人の海外渡航及び移住に関しあつ旋、保護その他必要な措置をとること。」というようになつておりまするし、更に設置法の第九条、これは欧米局の事務を規定したものでございますが、これは「海外渡航、移住、旅券の発給及び査証に関すること。」というような点も謳つてあります。又第十五条の二には、「神戸移住あつ旋所は、外国に移住しようとする者に対し、移住に必要な教養を与え、及び渡航に必要な手続をあつ旋する機関とする。」というようになつております。農林省につきましては、農林省からお答えがあるかと存じますが、法律には移民のことは出ていないと了解しております。
  64. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 最後の言葉がはつきりしませんでしたが、最後の結論はどういうことですか。
  65. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 今外務省及び農林省のことをお聞きになりましたが、農林省のほうについては農林省からお答えがあると思いますけれども、私の了解しておるところでは、分課規程のようなものは別として、法律そのものには移民の事務を農林省がやるというようには出ていないと私は了解いたしております。
  66. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 その外務省の設置方の規定は、多分去年の秋頃内閣委員会へ出されたのですが、従前からあるのですか。
  67. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 従前からございます。昨年出しましたのは新らしい局の設置について提案いたしました。
  68. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 誰か内閣委員のかたに聞きますと、一年の秋に移民局の設置をお出しになつたけれども、移民局ではその時期にあらず、農林省との関係があるので、移民課ということになつたと聞いておりますが、その経緯はどうでありますか。
  69. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) これは私直接説明に当りましたのでよく記憶いたしておりますが、衆議院においてはこれは通過いたしました。参議院においては内閣委員のかたは本日ここにいらつしやらないようでありますけれども農林省との関係でなかつたことは議事録を御覧になつてもおわかり下さるだろうと存じます。あのときには行政整理の際であるということ、そしてもう一つは移民事務をやるならもつと大きな組織を持つべきだ。こういうけちなただ二つぐらいでは、本当に移民のことを一生懸命に外務省がやつていることを示すものじやないというような点が論議の中心であつたことは当時の記録にも十分出ておるはずでありまして、農林省との関係ではなかつたのであります。
  70. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 その移民局の提案は農林省では通らなかつた。併し近い将来に再び移民局として、外務省の中に移民局を置いてやるというお考えがありますか、提案するお考えがありますか。
  71. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 昨年は、この前の国会におきましては、参議院においては審議未了に終りましたけれども、外務省といたしましては是非移民局を御審議つて承認を願いたいという希望を持つております。
  72. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 いつお出しになるお考えですか。
  73. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 只今準備中でございまして、確実にいつお願いするようになるか確定いたしておりませんけれども、近くこれを提出いたしたいと考えております。
  74. 河野謙三

    河野謙三君 関連して……。農地局長に伺いたいのですが、農地局と申しますか、農林省では海外移民について、外務省と共管事務についての何か打合事項のようなものがありますか、全然ありませんか。
  75. 平川守

    政府委員(平川守君) 一昨年ブラジルの移民が始まりましたときに、外務次官から農林次官に、その募集、選考をやつてもらいたいという依頼がございまして、それに基いて私のほうは募集、選考を各府県の職員に命じて当らせました。農林省といたしましては、これは設置法というのは御承知のよりに各省でどこにも所管しないものがあるということは困りますから、非常に広く書いてあるわけであります。農林省のほうには、例えば農山漁家に対する事項といつたような非常に広いことが書いてあります。それに基礎を置きまして従来の労働移民等の関係もやつておつたわけでありますが、今回もそういう意味でこの設置法に基く組織令の中に、海外に対する移民の募集とか、選考とかいうようなことを書いておるわけであります。外務省との関係はそういう関係で、当初依頼を受けましたのでその募集、選考の問題を行い、又現地における農業事情調査というようなことも、入植地の農業立地条件調査というようなことも是非必要であると考えまして、それらに関する予算を要求したということでございます。外務省との間で事務的にはいろいろのお話がありましたのでありますが、はつきりした書き物のようなものはございません。ただ従来はそういう関係になつておりまして、それに対して本年、二十九年の移民の募集、選考については、外務省のほうから、事務的にはこれは今後海外協会連合会をしてやらしめる、外務省が全責任を持つて海外協会連合会に委託をしてやらせるから、農林省としては直接責任を持つてやることはやめてもらいたい、こういうお申入があつたわけであります。
  76. 河野謙三

    河野謙三君 農林省の予算の中にも海外移民の予算があるわけですね。従つてこれは現実に外務省のほうとしても、農林省の所管事項の中に海外移民の事務は認めておるわけですね。で、これをもつと具体的に言うと、農林省の移民の事務というのは、募集の事務であるとか、講習の事務であるとか、現地調査の事務であるとか、こういうのだと思うのです。それは農林省であつて、それから今度は外務省の移民事務に引継ぐわけですね。この繋ぎ目があるわけですよ。それによつて、私は非常に驚いたんだが、かように外務省と農林省とその事務の接触面についての取扱いの打合せが何にもない。文書にしたものもないというのは私は驚き入つた話だと思うのですがね、ないのですか。若しなければ今後そういうものを至急私は必要とすると思いますが、そういうことも、外務省、農林省の、そういう取扱事務についての画然とした区分を文書にして、後日問題にならんように、後日に備えるという御意思はありませんか。
  77. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 先ずそれでは外務省のほうからお答え申します。河野さんの御指摘の通りでありまして、是非そうしたいと今まで交渉を続けておりましたが、結論に至つておりませんので、先ほども御披露申上げましたように、大臣にもよくこうした点を説明いたしまして、一日も早く仰せのようにはつきりその繋ぎ方、協力方をどうするかということを一日も早く実行いたしたいと考えております。
  78. 河野謙三

    河野謙三君 あとの質問はあとにします。
  79. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 私の先ほどの質問で、農林省側から答えがありませんか、農林省組織令ではどのように謳つておりますか。
  80. 平川守

    政府委員(平川守君) 只今文書を持つておりませんけれども只今申上げましたように、設置法は非常に広く書いてありまして、農山漁家に関する事項といつたような非常に広い範囲になつておるわけであります。それに基きましてその農林省組織令の中で海外の移民に対する募集とか、選考とかといつたようなことが書いてあるわけであります。
  81. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 私の調べによりますと、第三十六条に「海外への入植者の選定及び選出に関すること。」、ですから組織令では明らかに入植者の選定は農林省がやることになつておる。組織令ではこれは明らかになつておる。そこで移民にはどのような種類があるかと申しますと、先ず県内においても或る郡から或る郡に行く移民計嗣がございましよう。県外移民計画もございましよう。北海道に対します移民計画もございます。海外に対する移民計画と、簡単に言つても四つの種類が移民計画にあるはずなんです。このうち、どのようにやつたら海外の移民が円満に行くかということは重大な問題だと思うのです。単に海外協会が出てこれを簡単に募集して海外へ持つて行くというわけには行ないだろうと思う。言換えれば、どのようなものが北海道の移民に適するか、どのようなものが海外の移民に適するか。一体かような線で大最の入植者の選定はどのように考え、六つこれを図られて行つたらよいのか、先ず外務省が少くとも近い将来において移民局を作つて、移民は一手に取受けてやろうというお考えであるのだから、外務省側の説明を先ず何したい。
  82. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 外務省の移民局の構想は近く法律案として出しました際おわかり下さるであろうと思いまするが、一切合財外務省が末端のことも全部やろうという趣旨ではございません。人員を非常に殖やすというようなことは全然考えておりません。できるだけ軽くして而も強力に実行しようという考え方であります。でありますから、人員などを殖やさないで、こうした民間の創意を生かしたものをできるだけうまく活用するという方法で進みたいと考えております。勿論外務省といたしましては、移民の関係の職員も特に一、二名ばかり南米のほうへ出すようになつておりまするし、そうした海外の施策もしなければなりませんが、そういう厖大な組織であらゆるものをやろうというのでなく、最初から申しておりまするよりに、各関係の団体、官庁等の御協力を得まして、国民の全体が一緒になつて移民を遂行して行くという構想の下に進みたいと考えておる次第であります。
  83. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 どうも私は政務次官のお答えは私の質問に対してのお答えではないと思う。私は具体案を挙げて、移民には少くとも四つの種類があると思う。少くともその場合に海外移民に対してはどういうふうに引つこ抜いて持つて行くか、それが海外協会でできるかどうか。全国には全部で協会が二十しかできていない。そういうことで果して海外移民を、四つのうちから取上げてどうしてやつて行くかというような具体案をお尋ねしようと思つたのですが、お話では国民全部の意向で出したいという意見ですから、お答えはそれについては要求しません。併しながら移民計画を国民全部でやるということは一つの輿論喚起だけです。専門家でなくて移民計画はできるはずはありません。ですからこの際お尋ねしますが、少くとも移民計画には年次計画があるはずです。少くとも五年くらいの移民計画なしには海外移民はできるはずはない。年次計画はどうなつておりますか。
  84. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 費用或いは船の関係等もございまして、今年度計画いたしておりまするのは、予算面にも現われておりまする通り三千五百人であります。受人のほうでは相当要求もございまするので、来年度は少くとも五千人、それ以上のものという計画をいたしております。ただ相手のあることでありまするから、一方的に押付けるというわけには参らないのであります。殊に戦後における日本の移民については十分海外の実情を勘案しなければなりません。全部計算いたしますというと、本年度も本当にこちらの送出の態勢ができれば一万人程度は行けるのではないかという調査もございますけれども、確実なところを押えまして三千五百名。併し中には政府の費用を要しないで行く者もございまするから、少くとも本年は二千五百名というものは是非送り出したいというので、現に外務省からも職員を派遣いたしまして南米各地に今調査しに廻つております。現地の大公使も、この問題は南米におる大公使の職務の中で最も重要なものの一つでありまするから、現地の在外使臣とも連絡いたしまして、来年三十年度については更に詳細なる計画を立てて、できるだけ多く立派な移民が出て行くように努力いたす考えでおります。
  85. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 三十年、三十一年、三十二年、三十三年、どのような数字になつておりますか。
  86. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) それは今確実な数字はございません。先ほどから申しまするように、向うの事情もありますので、例えばボリヴイアあたりが本当に動き出すということになれば殖えるでありましよう。それに応じて予算の手配もいたさ、なければなりませんが、現在のところは先ほど申しましたようなところであります。
  87. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 併しながら年次計画はあるべきはずで、我々の知つているところでは、三十年は千九百家族、三十一年は二千二百家族、従つてこれに五人乃至四人をかけたのが移民の数であると開いております。少くとも外務省は海外の移民の計画を立てる以上、今年は今年だけで出せるはずはない。三年なり四年の計画を先に立てて考えたければならない。外務省側に残された仕事がたくさんあると思う。そうした計画を内輪にしておいて、そして国内のほうに手をお伸ばしになるのは結構だと思います。併し手を伸ばし切れないのじやないか。なぜならば、農林省が今日国内の開拓及び移民計画を立てておるわけでありますが、その関係の開拓職員が四千二百人からおるのでございます。全国には六つの農地局もある。そうしてそれらが農民がどのような県内県外の移民に適するか、現在の農林省は戦前の農林省とは全然違つております。今日の農林関係のいわゆる農政というものに関しましては、恐らく誰が見てもこれはまあ国策と称すべきものでしよう。政府政策じやないのです。かようにここに大きな国費を入れてやつておるのであつて、移民が自作農移民であるとか、或いは労働移民であつても、事農業に関することであれば、お説のようにこれから民間団体を起して移民をやつて行くようなことは到底できないと私は思う。さような簡単なものじやないと思う。そういう点について民間団体でなければ外国へ送れないというのはおかしいと思う。これはね、諸外国においても政府でやつているのは多々ございます。政府でやつたからというのでいいわけしやないのですが、いずれにしろ尻は日本に来るにきまつております。何も民間団体でなくちやならないこともないし、これから移民局も法律案も参議院では審議未了になつたら再び移民局の法案を出す。農林省の今日持つておる僅か六百九十万円の予算すら設置法が通れば農林省から外務省に移管しなければならなくなるだろうと思う。そういう点について、政務次官はいろいろお仕事をやつておるのだが、移民に関してはなかなかあなたのお説は納得できないのだが、どうしても移民局の設置法を出すというお考えですか。さように移民はむずかしい問題です。準備をしなければならん。年次計画を立てなければならん。決して二十の足を持つた海外協会連合会あたりぐらいでできるものではありません。そんなことをやつてつたのでは日本の移民計画は板に付きません。そういう点を先ず外務省の意見農林省の自信と、併せて両者のお答えを願います。
  88. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 計画のことが今出ましたけれども、今こういう案があるようだとおつしやいましたのは、勿論我々には試案もあるわけであります。これはまあ防衛計画の問答と同じようなことになりまするが、でありまするが、予算でもその年によつて制約されることもあることは御承知の通りでありまするし、海外の事情によることもありまするので、ここで責任を持つてこういう計画だということは申上げられないのであります。それから実地の仕事について農林省の御協力を得ることも誠に結構でありまして、これを全部外務省が独占してやろうという考えはないし、殊に又先ほども申しましたように、移民局というのは、海外移住局と申しますのは、そういうすべての末端のことをやろうという意味で仕事をしておるものではございません。なお鈴木先生のお調べになりましたのはどういうお調べか存じませんが、外国において直接政府が移民次官というようなものを設けておるのはイタリーのごときございますが、事業を政府がやつておるのはないというのが外務省の調査でございます。
  89. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 農林省からの……。
  90. 平川守

    政府委員(平川守君) 農林省といたましては、この農業移民の問題はやはり村の全体の農家の経営を改善して行く、或いは過小農を適正規模に引上げる、或いは次三男に職を与えるという意味におきましての村の経営規模を適正ならしめる一つの重要なる事項であります。そのために現在海外の閉されておりますような状態の下においては、止むを得ず国内においていろいろな苦労をいたしまして、開拓或いは干拓等の仕事をやりまして、それに対して過小農に増反をさせ、或いは次三男を入植させるということをやつておるわけであります。従つてそういう人々の選考というようなことについては各地方の係官は非常に慣れてもおりまするし、選定いたしまするに当りましても、農家の経営規模その他農民の実力その他審査をいたしまして、或いは新らしい開拓地或いは北海道その他に入植せしめておるわけでございます。私どもといたしましては、この海外移民に対しましても、この選定というものはやはり村のそういう一つの経営規模建直しの一環としてやつて行くべきものじやないか、そういう意味におきまして、非常に慣れたたくさんの職員を擁しておりまするし、農林省が責任を持つて適正なる、適当なる人物を選定する、勿論海外に出ることでありまするから、外務省のほうでそういう人物は困るということであれば、そういう者は勿論排除すべきでありまするけれども、併し大体において内地で立派な農民でありますれば、海外に参りましても評判がいいのであります。外交上の支障になるような人物を農林省が選定する気ずかいはないと確信いたしております。なお団体に関しては或る程度その団体に実務を委託したり、或いはその協力を求めたりすることは結構であると思います。併しやはり飽くまでも政府が責任を持つて選定しなければならんのでございますから、その責任を農林省としても持つのでなければ、本当の責任ある選定はできない。従つてそれに伴う予算或いは経験なんというものを持たなければならない。それでなければ責任は持てない。かように考えております。
  91. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 例えば今年度、二十九年度ですね、約三千五百人の移民計画があるように聞いておりますが、その場合の移民のお仕事の内容、言換えれば自作農の移民であるか、契約労働関係における移民であるか、その比率はどのようになつておりますか。
  92. 石井喬

    説明員(石井喬君) 私から御説明申上げます。この大部分は自作農と申しますか、現地のブラジルの連邦政府の経営しておりまする直営の農場に入る農民でございます。これは現地に参りますと、大体三十町歩乃至五十町歩の土地を無償もらい受けますか、或いは極めて安い価格で買うことになりますが、これは行つて直ぐそういうことになるのではございませんで、五年なり何年なり、或いは一定の面積を開いた場合に所有権を移すという条件で参るのが一番数は多いと思います。その次にいわゆるコロニー契約で参るものが相当におると思います。ただこの場合にはコロニーで参ります主なる場所と申しますれば、ブラジルのサンパウロ及びパラナが中心になると思います。この場合はサンパウロ州及びパラナ州では、まだ日本人を移民として、つまり人種の別ではありませんが、移民として入ることを全然認めておりませんので、今現地でいろいろ向う側と折衝中でございますが、それが認められますれば、サンパウロ、パラナ方面に相当数のコロニー移民を入れることができると思います。その比率はコロニー移民のほうは見通しがはつきり付きませんので申上げかねますが、先ずコロニー移民が十分に動くようになりますれば、三対一くらいの割合で、一がコロニーです。コロニー移民で出せるかと思います。
  93. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 その雇用移民、言換えれば労働契約移民に対しても仕事は恐らくサンパウロに行けば農業関係に従事するのであろうと思いますが、さようでございますか。
  94. 石井喬

    説明員(石井喬君) これは農業関係に従事することになると思います。但しその農業の内容は、日本でやつておりまするいわゆる鍬を持つて耕したり何かすることではございませんで、コーヒー園のコロニーが主でございますから、これは農業と申しますよりも、むしろいわゆる労働というほうのことが主になると思います。ただそういう連中が百姓として独立いたしますれば、それは百姓をやるということになります。
  95. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 今外務省からお答を得たのですが、主たる自作農移民が七割乃至八割を占める、労働契約移民でも仕事がコーヒーその他恐らく綿花であるだろうし、養蚕であるだろり、それはみんな農村、言換えれば農業に関することであると思うのです。そういうことであれば、なお是現在やつている農林省の開拓に関する業務を利用しなかつたならば国家の財政上非常に損ではないか。例えば今年三千五百人を送出するに当りましても海外移民協会では直ぐに間に合わないでしよう。そうして農林省の場合には四千二百人の開拓職員がいる。これを独立さしたなら三千五百人を送るには莫大な費用がかかる。農林省関係であれば予算のほうで六百四十九万しかない、これでできるだろうか。海外移民というものを端的に取上げて、それだけを財政でやつて行つたら莫大な費用がかかる。国家的に非常に損ではないか、外務省はこの点どういうふうにお考えになつておりますか。
  96. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 農林省の御協力を得ることを排除するものでないということは前から申上げた通りであります。
  97. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 若しそういうことであれば、外務省側は従前通り外務省においての年次計画に対してなかなか手も伸びないような情勢でありますから、海外におきまするところのお仕事をやつて頂く。同時に国内におきましては移民に関するいろいろな関係の仕事をやつて頂く。実地の仕事は農林省にやつて頂くということであれば極めて円満であるし、話合が付く。先ほど言いましたように、設置法におきましても、或いは外務省の組織令も、農林省の組織令もおのずから分野ははつきりわかつておる。これを見れば近き将来に移民局を作つて農林省の組織令の海外への入植者の選定及び送出に関する件までを取上げて、現在ある予算までも外務省に包含して何の得るところがあるか、こういうふうに常識的に我我は考えるのでありますが、結論的に外務省としての御意見、今後農林省はこうした海外移民についてどこまで仕事をやつて行きたいかという、この両者の御意見を承わりたいと思います。
  98. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 先ほどから申上げたように、目下両省間でそういう点を話合をするようにいたしております。
  99. 平川守

    政府委員(平川守君) 農林省としましては、先ほど申上げましたように、農家の経営ということと非常に密接な関係がありますので、それを適正に持つて行くために、国内の開拓或いは海外の移民というものの募集、選定或いはこれの訓練、或いはそれの出たあとのいろいろな援護、それから現地における機構的な立地条件調査ということをやつて協力したならば非常にいいだろう、こういうふうに考えております。
  100. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 いろいろ外務、農林の御意見を承わりましたが、この質疑に対しては自分としては意見があるのでありますが、委員長におきましては、機会をみて懇談会等で我々の意見を徴して頂きたいと思いますが、これで私の質問を終ります。
  101. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 承知いたしました。
  102. 江田三郎

    江田三郎君 さつきから海外協会連合会というものは極めてスムースに下から盛上げててきた、こういうお話でしたが、併し小瀧さんのお話の中では、その首脳部の人選については、例えば農林省へ推薦方を頼んでおる。こういうことでどうも下から盛上る団体なら何も外務省がその人選なんかを頼んだりする必要はないと思います。それは私は勝手にお頼みになればいいと思いますが、そういう農林省に推薦を頼んだというのですが、農林省のほうではそれに対してどういうふうにやられたのですか。
  103. 平川守

    政府委員(平川守君) 海外協会の設立に際しましては農林省は何ら相談を受けておりません。最近に至りまして理事の若干名について農業関係の人を推薦してもらいたい、団体の関係から推薦してもらいたいということが来ておりますが、実は外務政務次官からお答えありました両大臣のお話というのがまだ行われておりませんで、事務的にあの程度で御相談いたしましたときは、先ほど申上げましたように、簡単に申せば農林省はこの仕事から手を引いてもらいたいというようなお話でありますので、我々としてはそれは納得できないということで話合いが付きませんために、まだ御推薦をいたしておりません。
  104. 江田三郎

    江田三郎君 その推薦を頼まれたのは外務省から頼まれたのですか、自然発生的にスムースに生れた海外協会連合会から頼まれたのですか、それはどちらなんですか。
  105. 平川守

    政府委員(平川守君) 団体のほうから頼んで来ておるのです。
  106. 江田三郎

    江田三郎君 それにしても、そういう頼まれ方をしたけれども、まだ推薦もできていないということでは、一体これで小瀧さんの言われる各関係団体、官庁の総力を挙げてというようなことができるのかできないのか、どうも私ども農業関係の団体に聞いてみても、今のような海外協会連合会では自分らとしては関係を持ちたくないというような、そういう意向も聞きましたが、一体外務省のほうでは海外協会連合会なるもので、さような農民団体をも含めた協力が求められると考えておられますか、その経過はどうなつておりますか。
  107. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 連合会の会いところでは府県知事も協力して来ておるのでありますが、(江田三郎君「農業関係団体」と述ぶ)各地方の海外協会のほうでこの斡旋に当つておりまして、或いは不満足な点もあるかも知れませんが、いろいろ関係団体から協力を得まして、とにかくこの仕事を進めておりまするし、今後だんだん組織も整いましたら、その点も更に改善されて行くであろうというように期待しております。
  108. 江田三郎

    江田三郎君 先だつて何か小平さんが農林関係に出ておられるということでしたが、小平さんというのは農林省の関係……農民団体というよりもあの人は何か移民か何かの関係の人だつたと私は考えているのですが、少くとも今まで農業協同組合その他の農業団体から協力が得られましたか。
  109. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 私どもの了解しておりまするところでは、地方ではそういう団体からは協力を受けておる。(江田三郎君「中央では」と述ぶ)そこで中央では連合会で発足したばかりでありまするので、まだそこまで姿勢が進んでおりません。
  110. 江田三郎

    江田三郎君 地方ではと言つて中央のことばかり言われんで、地方から盛上つた自然発生的にスムースにできる中央の団体で、農業団体から誰も協力をしていないというようなもので、こういう移民の仕事ができるわけのものじやないと私は思うのでして、まあ移民の問題というものはこれは外へ出て行くという問題ですけれども、これはやはり大きく農村の次三男その他の日本の農業をどうして行くかということと緊密な関係があるわけです。例えばどつかの人が移民に出て行く。一体その家財の整理をどうするか、こういうことについても農協からは借金があろうし、或いは残して行くところの田地の処分というようなことになると農地委員会の関係もあろうし、農業委員会の関係もあれば、農業協同組合の関係もあるわけで、そういうような居業団体の協力のない団体が農業移民を取扱うのは少し資格を欠いているとはお考えになりませんか。
  111. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 言葉を返すようでありまするが、成るほど農業団体も関係がありまするが、農業関係以外のいろいろな団体も関係があるということはお認め下さるだろうと存じます。まあ女子青年団とか、或いは教育関係のものとか、府県庁とか、いろいろ関係がたくさんあるのでありまして、そうした団体の協力を是非得たいということは最初から申上げている通りでありまして、そうした協力を是非得たいと考えております。
  112. 江田三郎

    江田三郎君 私この問題を聞いておつて、少し外務省は感情的になつているのじやないかと思えるのでして、成るほどこの農業団体以外の団体もあるだろう。そういうところからの協力も得なければならんと言うけれども、少くとも農業移民について農業団体が協力しないで円滑に行くということは誰が考えたつて考えられんのです。女子青年団が何をしようと、教育委員が何をしようと、或いはコーヒー園で働くので純然たる農業でなくて単なる労働者に過ぎないというので、労働省、労働組合が関係してみたところが、これじや話にならんと思うのです。そういうような何か喧嘩腰というのか、感情的にならないでやつてもらわんと、出て行つた諸君は大変な迷惑をすることになると思うのです。それから一体あなたのほうは先ほど来の話を聞いているというと、これは法律で外務省がやることになつておるのだ。設置法によつてはつきりきまつているのだ、農林省の関係は法律には出ていないと私は了解しているというように言われましたが、一体法律ということをそれほど強く言われるならば、法律を忠実に執行すべきところの内閣が、なぜ一体この移民の募集選考費、移民の現地調査旅費、移民の講習委託費というようなものを農林省所管として二十九年度に提出をされたのか、それは一体どうでしよう。
  113. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) そういう点は、政府側の人間としてお答えいたしますが、政府としては農業に関する部面について予算を盛るということは、これは当然のことでありまするから、移民に関連する外国における農業の調査とか、或いは農業移民に関連した予算がそこに盛られても矛盾はなくて、一方こうした移民するものについての主管が外務省であるという場合においても、それに協力する官庁はあるわけでありまするからして、その協力関係において農業の技術指導というような面において予算が盛られるということは、私は矛盾はないものと考えます。
  114. 江田三郎

    江田三郎君 移民の仕事全体が私ども何も農林省の仕事じやないということはよく知つております。外務省と多くの事務関係があるので外務省が主体になつてつておるということはよくわかつている。併しながら今あなたがお認めになりましたように、移民の募集、選考の費用、移民の現地の調査の費用、移民の講習委託の費用、これがはつきりと農林省の所管ときまつておる、予算ではつきりそうなつておる。然るに先ほど農地局長の答弁を聞くというと、海外移民協会で今年からはやらすからして、直接そういうことには手を出さない、こういう農地局長のほうは答弁をされましたが、そうなると一体どつちがどつちということになる。その点もう一遍二人からお答え願いたい。
  115. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 私から先ずお答えいたします。この点は先ほどから申しまするように、両方の調整を行いまして一日も早く河野さんがおつしやいまするように、話合が付くように最善の努力をしたいと考えております。
  116. 平川守

    政府委員(平川守君) 私どもといたしましては、少くとも二十九年度に関する限りは募集、選考等の事業は農林省が自分の所管事項として予算を頂いておるというふうに了解いたしておりまするけれども、外務省のほうから事務的に、先ほど申しましたようなお話がございまして、これは事務の段階では話が付いておりませんので、従つて両大臣が、この予算が通過したわけでありまするから、早急におきめになることと存じます。
  117. 江田三郎

    江田三郎君 小瀧さんのお答えでは両者の間で早急にその調整を図ると、こう言われるのですが、その調整を図るというのもいろいろの調整の図り方があると思うのです。若しこの農地局長の言われるように、今年からは海外協会連合会でやるんだからと、こういうような線で行かれるとすれば、或いはこの農林省所管になつているところの、先ほど申しました三つの費目というものは、これは外務省へ移管してやるのだというような考え方も出ると思うのです。或いは又国会はつきりと農林省所管の予算としてきまつたものについては、飽くまで国会の意思を尊重して、これはすつきりと国内の募集とか、選考とかは主として農林省が当るのだというような調整の仕方もあるのですが、一体外務省は調整というのはどういう基本的立場で調整をしようというのか、それを承わりたい。
  118. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 私は一方を潰してしまりというようなやり方ではなくして、そうした点について話合が付くものと考えます。募集、選考に関係した費用が六十万円か協会にもあるというように私了解しておりまするが、外務省のほうでもそうした費用を持つておりますので、そこで協力関係というものが生じて来なければならないと思つております。
  119. 江田三郎

    江田三郎君 衆議院農林委員会の決議の趣旨から言つて、先日来この委員会で、只今の鈴木さんの御意見或いは戸叶君の御意見その他からいたしましても、農業移民の問題は、単なるこれは移民という問題だけでなしに、日本の農業、重大な日本の農政の一つなんですね。そういう面もあると思うのです。そうしてやはり本当に過ちなきを期するためには、よほど農業のことに調査研究をしたもの、今まで農業を手がけたもの、農民のことをよく知つているものがやらなければならんというのが、恐らく衆議院農林委員会意見でもあろうし、又この委員会で先般来出ておるところの意見でもあるわけで、私どもは何も我々が農林委員会におるから外務省なんというものは小滝さんの顔をみても胸くそが悪いというのじやないのでありまして、そういう外での仕事は大いに外務省がおやりなさい。併し内では農林省にそういう機関かあるし、今までもやつて来たことであるし、更に二十九年度予算にもはつきり出ておることでありますから、金額の多少は別にして、とにかくはつきり出ておるのだから、もつと国内の募集とか、選者とかいうことは農林省を主体にして、農林省の本当に心からの積極的協力、各農民団体の積極的協力を求めてやらなければできないことだと考えておりますが、その点はそうはお考えになりませんか。
  120. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 江田さんの御意見承わりまして、又十分そういつた点も検討いたしてみたいと思います。
  121. 河野謙三

    河野謙三君 さつき私お尋ねした両省の調整の問題ですが、これは申すまでもなく、日常に即して無理のないところでこの国家的の事業が円満に遂行できるようにと、この線で調整されるわけですね。まあ当り前のことを開くのだが、一つ先ず前提として伺いたい。
  122. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) その通りでございます。
  123. 河野謙三

    河野謙三君 そこでこの実情に即してということですが、私さつき小滝さんのお話、ちよつと私は腑に落ちない点がある。農業団体だけでなくその他の機関もあるということだが、これは選挙をやつたことのない、今あなたの隣りにおられるようなお役人さんにはわかりません、末端のことは……。あなたの県に行こうが、どこの県に行こうが、末端の町村行政をあなたよく御存じでしよう。町村長さんが村の教育行政をやるにしても、農業団体の協力なくしてできないのですよ。農政だけが農業団体の仕事じやないのですよ。町村に入りますと、町村長さんはすべて村政につきましては農業団体の陰に陽に協力を得て、見ようによると町村長さんよりも、農業団体のほうが村の政治を支配するというくらいになつておるのが末端の農業団体の姿なんです。これはお認めになるでしよう。あなたの選挙区はそれは違いますか。
  124. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) 私農業団体の重要性は十分承知しておるつもりであります。でありますから、そうした方面の御協力も得たいと考えております。
  125. 河野謙三

    河野謙三君 それはその通りなんです。それはもうあなたは認めるも認めないもないのであつて、若しあんたが違うと言うのなら、私はあんたの選挙区に行つて見てやる。そうだとすれば、この農業団体の協力を得なければ駄目なんです。農林省が偉そうなことを言つたつて農林省が農政をやつているのじやないのです。ただ農林省は農政の上に乗つかつているだけであつて、この実際の農政を動かしているのは農業団体です。移民の問題にしても然りであります。然るにこの農業団体と遊離して農業移民の問題を考えるということは、これは根本的に違うのですよ。これは何も外務省とか、農林省とか、こんなつまらんことを聞くのじやないのです。この実情はよくお認めになつて、そうして私はおやりにならなければいかん。これは何も政務次官は事務次官とは違うのだから、事務証官が言いそうなことをあなたが言つたつて話にならんですよ、私はここに平川さんがおられるけれども農林省の平出さんの言われることが必ずしもいいとは思わない。やはり農林大臣なり、平野三郎君がいて、事務当局の言うことを政治的に調整するのが政務次官なり、大臣なんです。どうもさつきから小瀧さんのお話を聞いていると、あなたは外務省の出身だそうですが、どうもまだ政務次官の型にはまらないで、依然として外務官僚そのものとしての答弁のように、私は失礼だけれども聞くのだ。そうでなくして、もう小し政務次官としてのお考えで私は御調整を願いたいと思うのです。そこで細かいお話になりますが、意見意見として、連合会の予算というものは一体どうなつているのですか、今連合会の予算は一体どうです。歳入予算の収入支出は一体どうなつているのですか、大体大つかみな計算で結構です。
  126. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) まだ発足したはかりでありまして、詳細は係りから説明すると思いまするが、基金として二千万円、そのうち五百万円ばかりが払われております。そうしていろいろな事務費として六百万円くらいが予定せられております。こういうのでありまして、現在はスタートしたばかりでありまして、まだその趣旨というものははつきりしておらないと思います。詳細石井課長から説明いたします。
  127. 石井喬

    説明員(石井喬君) それでは私から……。連合会は収入と申しますものは、外務省から委託費を受けておりますもの、或いは基本金から生じまする……。
  128. 江田三郎

    江田三郎君 額はどうだ。
  129. 石井喬

    説明員(石井喬君) 委託費は大体七百万円程度二十九年度の予算に組んでおるわけでございます。
  130. 江田三郎

    江田三郎君 基金からの収入というものは……。
  131. 石井喬

    説明員(石井喬君) 基金からの収入額は、御承知のように二千万円を目標にして目下集めておりますが、集まりましたのは五百万円程度でございます。従いまして五百万円からの収入は今のところはまだ二十万円ぐらいだろうと思います。
  132. 江田三郎

    江田三郎君 九十何%外務省の金だ。
  133. 河野謙三

    河野謙三君 六百九十何万円か出ておりますね。これは一体何に使いますか、事務費ですか。
  134. 石井喬

    説明員(石井喬君) これは人件費、事務費、事業費でございます。
  135. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、事業費と事務費と人件費、その枠を……。
  136. 石井喬

    説明員(石井喬君) 只今探しまして……。
  137. 河野謙三

    河野謙三君 私はこういうことじやないか。今の六百何万円の援助金の中に事業費も含まれておれば事務費も含まれている、人件費も含まれている。ところが何か職員が二十名くらいいると言われましたね。そうでしよう。職員が二十名くらいおりますと、一人の職員に大体年間三十万円くらいかかるでしよう。そういたしますと、二十人だと、それだけで殆んどもうなくなつちやうじやないですか。仮にそれが一人二十万円にしても、二十人なら四百万円でしよう。そうしてやろうとすることは、なかなか風呂敷は大きいけれども、六百何万円の補助金を出して、そのほかに何も資金源が殆んどなくして、そうして人件費だけで四百万使つちやつて、あとの二百万円で何をするのです。これは何のことはない外務省のまる抱えですよ。それたら外務省はなぜ自分でやらないか、少し話は飛躍するけれども、小瀧さん聞いてもらいたい。今の内閣は非常に行政整理に対して熱心だ。僕らも非常に共鳴している。ところが一方において行政整理をやりながら、一方において役人の外郭団体を作つて、そこに単を作らせる。直接予算は食わんけれども、間接的に補助金を皆食つている。私は農林省をひいきにしているわけじやない。農林省だつて私の今言う通りの種類の外郭団体が七十もあるのです、何のことはない、一方で首を切つて一方で貸家を作つているわけなんです。外務省でもやはり同じことをやつているのだな、それで民間一体、民間の総意によつてというが、民間一体というのは民商人でも何でもないですよ、よちよちした程度の、大体普通にやつていれば首は切られないのですよ。余り達者でない役人の首を切れないから、その役人を遊ばしておいてもいけないというので外郭団体を作つて、そこへ巣を作らせるわけです。素直に言うとそうでしよう。而もこれだけの重大な使命を持つている団体に六百何万円のものをやつて、そのうち人件費に四百万円も使つちやつて何にもできるわけがないじやないですか。それで、体どうなんですか。やるのならやるというのでもつと予算を出したらいいでしよう。
  138. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) いや、この連合会は何も古い役人を救済するというような点は全然ございません。先ほどから説明しましたような趣旨の、地方の海外協会を連合させてまとめるという役のものでありまして、成るほど交付金は僅かでありまするけれども、できるだけその基金を募集いたしまして、そしてこの活動が十分行くようにして、海外との連絡、又地方の末端との連絡、何と申しまするか、そこの世話役の仕事をさせようというわけの団体であります。
  139. 河野謙三

    河野謙三君 その世話役というのがいわゆるうるさい存在になるのですよ。私はこの問題は納得行きませんから、この次までに二十人の職員の明細を下さい。前歴をすつかり書いて下さい。それから今私が要求しましたこの海外協会連合会の予算書の明細を一つ下さい。
  140. 清澤俊英

    清澤俊英君 関連してちよつと簡単ですから……。この海外協会というものは何か法律根拠があつて、それで作つているのですか、どうですか。
  141. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) これは財団法人でありまして、まあ外務省はその所管事項に関する団体について認可又は許可を与えるという権限がございまするので、それによつて外務省が認可した団体であります。
  142. 江田三郎

    江田三郎君 今、河野君から、この次までの資料要求がありましたが、そのときに併せて出して頂きたい。それはこの前のときに三億二千万円の貸付と回収を海外協会連合会にやらせる、こういう民間団体にやらすのはどうかという質問をしたときに、小瀧さんのほうで、早急に法律措置をとると、こういうお答えがありましたが、その法律措置の構想を大体この次までに出して頂きたいと思います。河野君の資料が出るとき一緒でいいから……。
  143. 河野謙三

    河野謙三君 ちよつと、資料要求じやありませんけれども、この次のこの問題の審議のときに大蔵省当局を呼んで下さい。
  144. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 承知しました。
  145. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私は大体もう皆さんの御意見が出ちやつたから別にございませんが、ただ一点だけ、これはもう小瀧さんは外交事で余り御存じないのじやないかという気持もするものだから、お尋ねかたがた申上げてみたいのですが、農業移民というのは、元来もう時代が違つているのじやないか、この前のブラジル移民の時代の農業移民と、今日の時代の農業移民というものの性格が非常に違つておると思う。そういうことを最近私自分個人では移民の問題は相当勉強しているつもりです。恐らく移民の問題については、私は今から二十年くらい前からブラジル移民の問題を、現地へは行つておりませんけれども、随分研究しております。で、そういつた感覚からしまして、私の今日のブラジル移民という場合の最も大事な点はどういうことかというと、やはり外務省の人たちがもう少し勉強してもらうことじやないか。特にいわゆる外務省的な外交官としての問題でなくて、もつと現地に行つて本当にブラジルの農民に慣れるということの問題じやないか。これはどういうことかというと、言換えれば、やはり農業的な確信を持つた技術というか、知識というか、経験というか、そういうものが大事じやないか。で、この点について外務省の関係の人たちがよく言うのです。これははつきり表面的に見ればブラジル移民というのは日本の農業とは違うのだ、こういうことをさつきもおつしやいました。これは全く大間違いなんだ、はつきり言つて……。ブラジル農業だつて、日本の農業だつて、どこの農業だつて、技術というものに立脚しないような農業というものはあり得ないということなんです。で、この問題は、ちよつと私いつも外務省のかたがたも軽率に考えておられるのじやないか。拓務省というものができたときに、初めの拓務省が余り成績がよくなかつた、そのときに拓務省に技術官が入つて初めて拓務省というものが動き出したということを私どもつているんです。こういう意味において、外務省の人員が余り今日増加できないというようなお話があつたのですが、私は海外協会も結構だ、若しこの海外協会を本当にお育てになるなら、はつきりしたそういつた技術的な農業を、技術的な感覚のある人、これを強力に、団体の中で働らかれるよう大人が入つていなければできないということなんです。この点だけは私確信を持つております。そこで私は、政務次官がどうも行政機構のいろんな問題で以てこれ以上外務省を大きくすることができないというような考えでございますけれども、私は日本の海外移民というものは強力にやらなければいかんと思うのですよ。この際に、やはり今日できないでも政務次官として何らかの形で以て、将来強力にやれるような御構想を研究しておいでになるかどうかということを承わつておきたい。
  146. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) この技術者のかたがたが中に人られるということは必要であるということは誠に御尤もでありまして、でき得れば是非そういうふりにいたしたいと考えます。移民につきまして、今の構想が非常に小さいものであるということを申しましたのは、御承知のように、今年度の行政機構の簡素化、又予算の面から見まして、本年度はそうした私どもの希望は達成できませんけれども、日本として移民というものは非常に重大である、重要性があるということは、十分認識しているつもりでありまして、是非御趣旨に副うような施策をいたしたいと考えております。
  147. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 政務次官も十分私の申上げる趣旨はわかつておいでのようでございます。そういう意味合で以て、本当の意味の海外移民、特に農業移民、漁業移民というようなものを成功させるような御方針をお立てになるならば、私ども及ばずながら海外移民に対しては双手を挙げて御協力申上げたいと思います。どうぞそういつたがつちりした態勢で、つまらん私どもこの委員会で以て行政官庁の縄張り争いのようなことをこの委員会ではやりたくない、はつきり言つて、そういうことを抜きにして、本当に日本の移民政策ということをお考えになつてつて下さるなら、私どもも御協力申上げることにやぶさかでない、今後こういう縄張り争いのような問題は、委員会に成るべく持込まないように御協力のほどを私は政務次官にお願い申上げておきます。
  148. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) この問題は、本日はこの程度にいたします。   —————————————
  149. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、大分延びておりましたが、家畜飼料の件を議題といたします。
  150. 松浦定義

    ○松浦定義君 私幸い外務政務次官が来ておられるので、この問題とは別でありますが、あとの議案に支障がなかつたら今日ちよつと一言きつかけを作つておいて、又あとで十分お尋ねしたいと思います。
  151. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは簡単に願います。
  152. 松浦定義

    ○松浦定義君 幸い政務次官がおいでになつておりますので、一応お尋ねしたいと思つておつたんですが、実はかねてから問題になつておりまする北海道に駐留軍の演習場を設けるということで、いろいろまあ地方民が非常に重大だというので反対の運動をやつておられるようであります。特に私はこういう問題につきましては、曽つて内灘問題その他内地府県に往々起つておりますような見にくい運動をすべきものでないというようなことから考えまして、政府の根本的な方針はどの辺にあるかということをお聞きしたいのです。実は日高の門別地区に上陸演習のために演習場を是非設置したいという要求があつた。農林省のほうではそれに対しましてどの程度の回答をされましたか、詳細のことは私は知りませんが、少くとも昨年日高門別へ設置を要求され、その後十勝の大津へそれが変更になつた。併しその場合も一月頃に設定になるというのが今日まだ決定しない、私は決定しるとか、しないとかいうのじやないのですが、そういう意味でどうしても北海道の一地区にそういうものが必要であるかどうかということを先ずお聞きしたいのでありますが、時間もありませんから私はずつと申上げます。すでにそういうような状態の中におきまして、恐らく外務省はアメリカ当局との話合は相当進んでおると思います。若し進んでおりまするならば、今農耕地を、更に又漁業等につききましては相当この問題については重大な問題として考えておるようでありますから、そういう点をこの際一つはつきりして頂きたい。それからもう一つ、御承知のように先般のビキニの水爆の実験の結果によりまして、恐らく駐留軍がそのようなことを今後やらなくても、アメリカの目的を達するようなことは私はできるのじやないか、そういり意味合から日本のこの国内におきまして、そういうような最も地方民をあらゆる面から犠牲にするようなことは、この際外務省としてははつきり断わつて頂きたい。私はこういう見解を申上げたいのでありますから、こういうような点について、どうしても北海道にはそういうようなケースのものが要るのだというようなことでお進めになるのか。今申上げましたような線によつて、これはまあ一つ今後外務省としてはこういう問題については余り希望を持てないというような考えであるならば、その後の処置をどうされるか、こういう方針について簡単に一つ説明を願いたいと思います。
  153. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) あらかじめお断わり申上げておきたいのは、勿論合同委員会としては外務省関係がございますけれども、この種の問題は昨年の十二月から調達庁が取扱つておりまするので、極めて最近の進行状態は私率直に申しまして承知いたしておりません。最初門別地区ということになりましたけれども、ここは非常に被害が大きい。是非とも別の場所を見出したい。どうしても必要なら別のところにしてもらいたいという強い現地側の要求もありましたので、御指摘のように十勝、大津という地域を実は北海道庁ともよく話合いまして、あそこのほうが比較的害が少い。経済的或いは社会的影響が少いであろうというので、これは決して外務省だけでなしに、現地とも話合の上であそこを想定いたしたのであります。ところがいざこの問題が具体的に進められようとすると、現地の村長さんたちには話しておらなかつたというような問題がありまして、いろいろ被害が大きいということもわかつて参りましたために、アメリカ側では是非この大津のほうを大至急きめてくれというのを今日まで頑張つて来たわけであります。お説のように、現在の戦争の態勢においては、こういうものは必要はないのだという点も一応考えられまするが、駐留軍側といたしましては、北海道の戦略的な重要性にも鑑みまして、なかなかこちらの言い分を聞かないというので引つかかつておるのでありまして、極めて最近の発展はわかりませんが、この点について詳細を御質問になりますといたしますれば、調達庁長官の福島君、又はあの調達庁のほうで極めて最近の事情を承知していると存じます。私のこれまで了解しているところは以上申上げたような次第でございます。
  154. 松浦定義

    ○松浦定義君 時間がありませんから、私はあとから詳しくいろいろ調達庁のほうへも質問したいと思うのですが、結果的には調達庁は一応そういう協定に基いて外務省の代行的な形で進めているのであつて、最終段階はやはり外務大臣が決定をするのじやないですか。
  155. 小滝彬

    政府委員(小滝彬君) この分課規定が変更になりまして、調達庁がやることになりまして、大臣は、それについては労働大臣の主管でありまするけれども、合同委員会は外務省の主管でありますから、その意味において又対外関係でありまするので、外務省としても勿論重大な関心を持たなければならん次第であります。そこでこの合同委員会の中に施設調達委員会というのがありまして、福島君がそこの委員長をしております。そこで円満に話合が付かない場合は合同委員会、又それでも、合同委員会でやつたところが非常に面白くないという場合においては、勿論外務省は更に外交的な筋を通しましてアメリカ側へ申入をしなければならないと考えます。こういうようなわけでありますから、先ず実態をよく把握いたしまして、その上で適当に必要に応じてはそうした外務省の取計らいもしなければならなくなる場合もあるかと考えます。
  156. 松浦定義

    ○松浦定義君 大体話はわかりましたので、これは話がまとまるというようなことは絶対ないのですから、最終段階はやはり外務大臣が責任を負われて解決されるものと、こういうふうに了承しまして、次の機会に又私はこの質問を保留しておきたいと思います。
  157. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは飼料の件に入ります。
  158. 河野謙三

    河野謙三君 餌の問題につきましては、私は今から一カ月半も前から今日あることを憂えまして、政府に餌についての対策如何ということを伺いたかつたのでありますが、たまたま食糧庁長官、畜産局長がお忙しいために御出席がなかつたのでありますが、いよいよ私が申すまでもなく、御両者には昨日非公式にお話しましたが、餌の価格につきましては重大な段階に人つておりますが、これに対して何ら政府が対策を持たない。一方農林大臣は粉食の奨励とか何とか、ばかの一つ覚えのよりに、まるで日蓮様が南無妙法蓮華経でもやつているようにほうぼうで粉食奨励をやつている。粉食とは私が言うまでもなく畜産が主体である。然るに一体今の餌の価格は何だ、農家か「ふすま」が八百二十円、三十円、麦「ぬか」が六百五十円、これで一体粉食奨励にもならなければ、食生活の改善にもならなければ、畜産の十カ年計画にもならなければ、何にもならないと思うのですが、改めて私は今日畜産の関連において最も重大な餌についての今後の対策を一つこの際簡単に伺いたいと思います。
  159. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) お説のように昨年三月十五日に施行を見ました飼料需給関係法を運用いたしまして、「とうもろこし、」麦、大豆その他「ふすま」、合せまして約二十万トンほどの外国産の飼料を購入いたした次第であるのであります。一年間の足取りを見てみまする場合に、「とうもろこし」につきましては、おおむね現在まで、価格の面におきましても、需給の面におきましてもほぼ順調な足取りを辿つております。「ふすま」につきましては、本年の一月頃まではほぼ大体私どもの想定をいたしておりました線に順調な足取りを辿つてつたのでありまするが、二月の中頃から需給にアンバランスを生じたのでありまするから、或る程度価格が値上りいたしまして、私どもの期待いたしておりまする価格よりも現存のところ約百二、三十円ほど高いような価格になつておる次第なのであります。これにつきましては、食糧庁ともいろいろ相談いたしまして、できるだけ速かに外国産の、法律規定に基きまして飼料を購入いたしたい、「ふすま」を勝人いたしたいという希望を持つているのでありますが、外国産の飼料を購入するような価格の面におきましても、数量の面におきましても、なかなか引合ができないような事情であるのでございまして、なお又現存におきましては、政府におきましては法律の関係もありまして、「ふすま」を直接手持をするような外国産の飼料を買う以外にはないような事情であるのでございますが、今後におきましては、政府所有の小麦等の操作等につきましては寄り寄り食糧庁と相談をいたしておるような次第であるのでありまして、なお今後は一応生草時期にも入りますので、そういうような点もいろいろ勘案いたしまして、食糧庁とも相談いたしまして、その措置を講じたいというふうに考えております。
  160. 河野謙三

    河野謙三君 まあ生草の時期であるとか、こういうことをやつているとか言われるけれどもね、相場は先が高いのですよ、今は先高です、御存じのように……。これは結局政府に対策なしという手の裏を見られているわけなんです。私はまあ今日まで来たことについて、時間がありませんから今とやかく言いません。言いませんが、これからどうするかということを聞きたいのです。そこでその問題と同時に私は最もこの問題で憎むのは、全くこれは自由経済によつて、企業努力によつて製粉業者が儲けているならいいのです。そうじやないでしよう。麦は政府が管理をしておる。政府か払下げる。その場合に政府は粉は幾らであるべきであるか、「ふすま」は幾らであるべきか、こういう価格を想定して製粉業者の払下価格をきめているわけです。その場合も政府が製粉会社原価計算をして、それで払下げる場合も「ふすま」の価格というものは、五百五十円でしよう、工場渡しが五百五十円でしましよう、それの荷造りをして運賃をかけまししても、農家には当然どんなに高くても六百五十円で立派に袋に入つたものが農家の手に届けられるわけです。而もそれが八百二十円、三十円です。これはどういうことです。なぜそういうふうな不当な価格が生まれて不当な利益を一部の製粉業者がとつているか、こういうことに対してなぜ措置がとれないのです。これを私は伺いたいと思う。これは食糧庁長官から……。
  161. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今河野委員の御指摘のように「ふすま」の価格が高騰をいたしておりますので、目下畜産局といろいろその対策について検討中でございますが、只今の御指摘の点につきましては、我々といたしましても、まあ食糧管理の面からいたしまして、小麦粉の価格という点について一定の原価計算に基きまして、その副産物収入でございます「ふすま」についても一応の目安を付けておるわけでございます。これは麦の払下価格が御承知のように一年間通した一本価格になつておりますので、時期的に多小の差がありましても、年間平均としてはそういうところに落着くべき筋合のものだというふうに考えておるわけでございまして、幸い小麦粉につきましては、予定いたしました価格より低く目になつて現在安定いたしておると思うわけでございますが、御指摘の「ふすま」の点につきましては、本年二月の中旬から高騰を来たしている、この原因につきましては、いろいろあろうと思います この原因を大ざつぱに申上げますれば、米「ぬか」の本年度における減少、つまりその基でありますところの米の減少という点も大いにこれに作用いたしているのではなかろうかというふうに考えているのでございます。我々といたしましても、この畜産の重要な資源、原料でございまする「ふすま」の価格については、食糧政策との調整面と合せまして、何とか対策を講じたいということで考えているわけでございまして、ただ製粉工業に対してこの利益を保護するという建前から問題を考えているのではないのでございまして、食糧管理の面と、それから畜産の面との調整という問題を如何にするかということで目下いろいろな検討をいたしている次第でございます。
  162. 河野謙三

    河野謙三君 私は食糧庁長官なり、畜産局長が何にも心配していないとか、サボつているなどとは私は解釈しない、非常に心配されているということはわかつております、わかつておりますが、今のお話のように粉の価格は安定している、これが若し騰ると都会の連中が騒ぐと、だから粉の価格については大臣も注意を払つて、それに対しては大体対策を講じてその対策も成功していると、然るに「ふすま」のほうは今私が申上げたように、畜産局長は予定価格よりも百二、三十円高いと、それは違いますよ、これは今八百二十円にして御覧なさい、六百五十円と八百二十円の差額百七十円、百七十円高いじやないですか。百七十円でなく、仮に予定価格より百円騰つても大変な価格ですよ、六百五十円のものが百円も百五十円も違うと大変な価格ですよ。とこるがこれは農家は少しは高くても、少しは高いものを売つても農家は騒がないのでかまわない、こういうことではないのですか。そういうことを通産省が言うのならいいが、農林省がそういうことを言つているのはどういうことですか。さつきも肥料の問題が出たが、通産省は肥料会社に儲けさせれば肥料は高くてもいいがと言うが、これは通産省がやることで、農林省は、食糧庁長官であろうが、畜産局長であろうが、農林省の人は都会のほうに関係するものには細心の注意を払つてもらわなければいかない。「ふすま」のほうは少しは騰つても百姓のばか野郎大したことはないという、こういうようなことではいけませんよ、私はそういう不満を持つている。そこで一つ問題を、今日のうちに片付けてもらいたいという問題として提案する。前谷さんのほうで毎月一万トンずつ学校給食用として麦を払下げていますね、やつていますね、これから出る「ふすま」二千五百トン、この「ふすま」はどうされていますか、これは予算も何にも要らない、これはどうされていますか。
  163. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、この学校給食の麦につきましては、大体政府で以て委託加工をいたしておるわけでございます。委託加工をいたします場合におきまして、その副産物収入を考えまして、そうして委託加工賃を支払うということで副産物収入は委託加工賃の計算の基礎に入つて参りますが、これにつきましては、現在政府が買人等の措置をとつておらないわけでございます。
  164. 河野謙三

    河野謙三君 その副産物取入として委託加工賃から差引く場合に幾らで差引いておりますか。
  165. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 委託加工をいたします場合におきましては、これはそのときの払下げます麦の品質と申しますか、種類によつて多少違つておりまするが、大体基準価格を中心にして考えております。
  166. 河野謙三

    河野謙三君 そこが私はいかんと言うのです。あなたでも畜産局長でも御存じのように、農家が八百円なり、八百二十円なり、八百三十円の「ふすま」を買つている。これを製粉工場の工場渡し価格にすれば七百三十円なり、三十円なりです。この市場価格で製粉会社が現に売つておる。それをその現実の相場を知りながら、何で製粉会社に五百五十円の基準価格で、而も政府が学校給食として委託加工するところの、一万トンから出る二千五百トンの「ふすま」を、何で製粉会社にそういうことをやらなければならん理由がありますか。私はそれが不思議でならない、これは速かに価格を直されますか。
  167. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今御指摘がございましたように、我々といたしましては、「ふすま」の価格についても年間やはり一定の我々が所期いたしました価格に安定することを希望いたしておるわけでございまして、最近におきましての御指摘のような「ふすま」価格でありますので、これについては現状を以て放任するというふうな考え方はないわけでございます。これについては先ほども申上げましたように、畜産局ともいろいろその対策について打合せをしておるわけでございまして、食糧庁といたしましても、先ほどのお話のように、小麦粉が安定すればよいという立場のみでなく、畜産の関係も十分考慮して、そうしてよく担当部局と相談いたしまして対策を講じて参りたいというふうに考えております。
  168. 河野謙三

    河野謙三君 その一般の小麦の払下につきましては、その基準価格以下になることもあるし、又今のように基準価格を非常に上廻ることもあるから、一々それに対してその都度価格をきめるわけにはいかん。これはわかりますよ。併し一般の払下の中から見れば僅か一万トンの学校給食の委託加工について、それから発生する「ふすま」くらいはちやんと抑えたらいいじやないですか。価格も抑えたらいいじやないですか。若しやりつ放しならやりつ放しのように、じかに売つたらいいじやないですか。併し今は二千五百トンという「ふすま」はなかなか大変な「ふすま」でありますから、委託加工の一万トンから出る二の「ふすま」を、予算も何も要らない。委託加工させるのなら粉も「ふすま」もあなたのものです。それをなぜ二千五百トンを抑えて、畜産局のほうに連絡して、この二千五百トンで多少でも市場価格のコントロールになることをなぜおやりになりませんか。今までのことは私は責めません。明日からそれはやりませんか。
  169. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今の委託加工の問題でございますが、我々といたしましては、政府の売却の問題、委託加工の問題、併せていろいろ検討いたしたいと思います。ただ只今御指摘の、現在の学校給食は大体玄麦にいたしまして八万トンくらいでございますが、これは御承知のように学校給食の建前からいたしまして、粉の委託加工は一カ所に集中いたしておりませんで、学校の所在の、最も近いもよりの製粉工場に委託いたしておるわけでございます。これはできるだけ運賃を学校給食の負担にかけないために分散しております。従いまして、この分につきましては、非常に地方的に又工場別に数量が分散いたしております。従いまして、これで以て、それは勿論役立たんとは私も申しませんが、更にそれだけで以てやりますることは、非常な数最のものが各工場別に分散しておるという形になつておりますので、やはりそういう点を考えますると同時に、全体的にはもう少し考えなければならんのではないかというふうな意味合において検討いたしておるわけでございます。
  170. 河野謙三

    河野謙三君 私は東京や川崎や鶴見の、いわゆる麦工場でそういうものが発生するよりも、細かくてもいいから地方に分散されているほうがいいと思うのです。御承知のように、「ふすま」は何も都会の人が食べるのではない。百姓が使うのでありますから、私はこれは学校給食のために分散するというなら、同時にそれは「ふすま」もむしろ分散されたほうがいいと思う。その数量が少ければいけない。少くて困るとおつしやるけれども、そういうことは私は受取れませんよ。今あなたのほうで紐付きでやつているでしよう。体紐付きのものが、これはむしろ畜産局長に聞きたいのですが、紐付きのものが完全に農家にあの価格で届いておると思つておられますか。
  171. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 紐付きの「ふすま」につきましは、私ども農業団体のほうに条件を付けまして、着駅価格を指定いたしておりますので、或いはそういう御指摘の点も全然ないということを私ここで申上げるわけには参らんと思いますが、原則としてそういうような価格で参つておるというふうに思つております。
  172. 河野謙三

    河野謙三君 それはそういうふうなことをお考えになつているから、私はも、少し田舎を廻つてもらいたいと思うのです。例えに、私は何も神奈川県だから神奈川県のことを言うのじやないが、一つ神奈川県の例を申しましようか、神奈川県は紐付の「ふすま」が一カ月に百五十トン来たのです。これは紐付にしては神奈川県は多いほうです。ところが神奈川県に八万戸の農家がある。零細といえども八万戸の農家がある神奈川県に百五十トンの「ふすま」が来て、これを末端の酪農組合なり、単位農協に行つて、これを村で分けようがありますか。一つの村に三十俵だ、五十俵だというのが来て分けようがありますか。分けようがないから、仕方がないから酪農組合でも、単位農協でも、その他の市場のものと合せて売るのです。これがせめて紐付のものが半分で、市場のものが半分ならまだいいのです。一つの村に三十俵か二十俵来てどうして分けるか。これは必ずしも農業団体が悪点じやないのです。分けようがないのです。紐付のものと百五十円も違うものを、これは紐付のものがお前さんに一俵、お前さんに一俵というなら分けられる。お前さんに五百匁だ、お前さんに一貫匁だというのでは分けようがないでしよう。だから一般の市場の八百何十円のものと一緒にやるのですよ。でありますから、紐付でやるのは結構です。私は反対じやない。やるのならやるように、もう少し末端で、一つの酪農組合なり、一つの農協が組合員にせめて三貫匁でも五貫匁でも、まとまつて分けられるだけの数量をやらなければ駄目ですよ。それをただ紐付のものをやつた、それは自働的に農家のほうに届いていると思うのは大きな間違いです。そういうことを、農林省は末端のことを知らない。さつきも外務省の人に言つたんだが、末端のことを何も知らないで海外移民だなんて聞いてあきれる。あなたたちもお聞きになつたと思う。今の紐付の……。どうです。どうもいつも言うけれども、あなたも単位農協の組合長になつて御覧なさい。一回に単位農協の組合員に分けるのに、十トンか、二十トン要るのです。その中で三トンや四トン紐付のものが来てどうしますか、分けようがないでしよう、そこらのことを考えて、食糧庁も考えなければ困る。そういう場合に、今紐付のあるものでは足らないから、学校給食から出て来る二千五百トン、これにぶち込もう。それでもいけなければ需給安定法の第七条を発動して、そうして製粉会社から更に製粉会社の手持のものを非常用としてこの際納めてやろうということを、単位農協なり、末端の酪農組合がせめて農家に分けられる単位のものをまとめてやらなければいけないですよ。そういう点についてどうです。何か対策がありますか。それとも私が今申上げた末端の事情はあなたのお耳に入つているのと違いますか。私もあなたにも言つたけれども、一昨日、日曜日に酪農村五カ村くまなく廻つた。そうして調べたのです。併しあなたが、畜産局長がそれは神奈川県の河野君のところだけであつて、日本全国は広い。神奈川県だけであつてほかの県はそうでない、こうおつしやいますか、どうです。
  173. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今、御指摘の点で、例えば一町村に非常に少い数量しか参らないというのは、或いはその通りかとも思うのは、実は一時に大量に放出するのは私どもの手持のマニトバ五号の関係で、そういうたくさんの数量を一時に放出するわけには参らんのでございます。それが末端に参ります場合に、全国にばらまかれるというような関係がありますので、末端に参りました場合に、或いはそういり事情に入つているかとも思うのでございますが、この点につきましては今後とも検討をいたしたいと思います。
  174. 河野謙三

    河野謙三君 私は強いて申しませんけれども、あなたは或いはなんて言つているような段階じやないですよ。これはね、実際問題として分けようがないですよ。でありますから、これは真剣に、而も急速に考えてもらいたいと思います。それで話が戻りますけれども食糧庁長官、学校給食の二千五百トンは私が申上げておるようにすべきだと思うのですが、これは政府がね、粉と同時に「ふすま」も政府のものとて畜産局とよく連絡してこれはなすべきだと思いますが、それをやるには何か支障がありますか。それとも製粉会社に対しましても五百五十円で今まで通りやらなければならん義理がありますか。あなたは……。
  175. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。只今河野さんのお話のよりに、私もその点については検討いたしたいと思います。と申しますのは、実は学校給食の場合におきましては、我々一応委託加工の形式をとつておりますけれども、小麦粉の払下価格は半額ということできめております。が併し、御承知のよりに、政府原価計算及びそれに速きまする玄麦の払下は全国プールで、一つのまあ中或いは大を標準にいたしておるわけでございます。ところが学校給食の場合には、先ほども申上げましたように、学童の負担をできる限り少くする、こういう意味におきましてできるだけ分散的にやつて行く。而もその場合におきまする加工賃等の点につきましては、その工場の玄麦の立地条件と申しますか、玄麦の払下の場所とその工場との立地の関係等によつて画一的に参らない場合があると思います。そういう点も十分事務的に検討いたして、同時にお話がございました学校給食のみならず、私としても現在の飼料事情から見まして、現在政府価格抑制をしようといたしまして、委託加工いたしておる予定もあります。そういうものを併せて、できるだけ餌料の価格の抑制に役立つよりに至急に検討いたしたい。この学校給食のみならず、我々といたしましては、委託加工の他の部分もございますから、併せてできるだけそういう方向で検討いたしたい、かように考えております。
  176. 河野謙三

    河野謙三君 私は他のことについてもいろいろ意見がありますが、これは甚だ非公式でありますが、昨日申上げましたから、その点には触れておきませんが、学校給食の分については、私は私の申上げることは何にも筋が違つていないと思う。又今の飼料界の実情から言つて私は即時にやるべきだと思う。これに対していろいろ検討すす余地はないと思うのですがね。私はこの問題につきましては、一般の払下の分まで、今私の申上げることを範囲を拡げて第七条というものを適用して云々ということになると、これはまあいろいろ問題があるでしよう、これには私は一週間か、十日の余裕を与えなければならんと思う。又大坪さんとの関係も飼料審議会の議を経るということもあるから、飼料審議会にも学識経験者がおるのだから、その意見も聞いたらいいでありましよう。いいでありましようけれども、学校給食に関する限りは、長庁があなたの腹一つでできるのですよ。私はそれをやるべきだと思う。仮に餌の関係がない場合でも、今あなたのおつしやるように学校の子供にできるだけ安い粉を食わそうというたら、せめて「ふすま」を時価で売つたらいいじやないか。それを製粉会社へは七百五十円の「ふすま」を五百五十円で売つておる。学校の子供に安い粉を食わせると言いながら、そのほうには粉を安くしないで、製粉会社には七百五十円で売れる「ふすま」を五百五十円でやつているのは、どう考えたつてこれはおかしいですよ。おかしいと思う。これは長官はこの頃忙しいから、こういう一々細かいことまで手が付かんでしようけれども、これは何と言つたつてあれはよく厳重に監視してもらいたいと思う。あなたのほうの、食糧庁の下のほうは、少し業者の気持になり過ぎていますよ、この頃……。この点は長官においては十分下の者に訓示してもらいたいと思う。それで私は今くどく申上げますけれども、学校給食の問題はすぐやつて下さい。
  177. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 私も只今のお話、又飼料の状態からして、その線に沿つて考えたいと思います。ただ只今も申上げましたように、地域的に非常に分散いたしておりますから、まあこれの渡す方法なり、或いはその学校給食も、これは月に一度の加工ではございませんで、或る程度学校とその附近の製粉工場というものが特定いたしておりますから、そこで資金の関係等もございますので、徐々にやつておるわけでございます。従いまして、これに対する受入組織と申しますか、そういうものもやはり考えなければいけない。そういう意味において、これを若しやるとすれば効果的に考えなければいかん、こういう意味において十分畜産局長と相談して、その方向で一つ河野さんのお話のような方向で私は考えたいと思います。
  178. 河野謙三

    河野謙三君 畜産局のほうでは、今学校給食二千五百トンを仮に地方に分散されても、現在の受入態勢には支障は何もないと思う。これは速かに相談して実施してもらいたい。そこで最後に私は、これはやはり非公式に話したことですが、大事なことでありますから、特に私は速記にとどめておきたいと思うのですが、私たちは、私に限らずこの委員会としては、餌に限らず砂糖でも何でも、実需団体というものを非常に尊重するわけです。そうして実需団体にすべて指名の入札をやる、こういうことをやつて来ましたが、さて実需団体と一口に申しましても、我々は実需団体を額面通り買えないのです。その実需団体が商人あたりのような横流しをやつたり、売惜しみをやつたりいろいろやる。今度の砂糖の場合でも、餌の場合でも、そういうような実需団体が若し政府の意図する価格なり、方向に向つて経済行為をやらなかつた場合には、将来この実需団体は実需団体として認めない、指名はしない、こういう一札を私は是非とつてもらいたいと思う。我々実需団体を非常に尊重し、実需団体を育成して行きたいということには非常に私は人後に落ちず主張しておる立場から、この実需団体を若し世間の、特に商人側からの非難を受けるよう大行為があつた場合は我々の立場はなくなる。これは私たちの立場だけではない。農民を搾取するところの農業団体というものは、これは商人以上に憎むべきものです、そういう意味において実需団体に対して、農林省はこの際今申上げたような、違法とは申しませんが、政府の意図に反して経済行為を行なつた場合には、これを実需団体として認めないという一札を私はとつて頂きたいと思いますが、とる御意思がありますか。これは一つ注意をしなければいけません。今までのようにまじめにやれよ、正直にやれよというような注意だけではいけません。若しその注意を怠つた場合には認めない、こういう罰則規定に類するような一札をとつてもらいたいと思いますが、とれますか。若しとれないなら、とれない理由一つ聞かせて下さい。
  179. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点につきましては、飼料の場合におきましては、特に飼料需給安定法の第六条によりまして明文がある次第でありますので、当然そういう措置はとれると思います。
  180. 河野謙三

    河野謙三君 それは安定法の明文は末端まで行つていない、でありますから、安定法の六条はいいが、それとは別に、末端の価格までを自主的に実需団体が保証するように、その一札をとつてもらわなければ困るが、それはとつて頂けませんか。
  181. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 趣旨といたしましては、末端に的確にこちらの意図した規格で配給するということが本来の趣旨でありますので、実需一体として政府の対象となる団体は当然そういうことをやるべき義務があると思いますので、御趣旨の線に沿いたいと思います。
  182. 河野謙三

    河野謙三君 義務は勿論あるのですよ。義務があつても怠るのがこの頃の常識だから……。それが世間なんだ。併し今度のような大事な外貨を割いて農民のために輸入したところの餌ですよ。これを而も商人系統をオミツトして実需団体に流しておる。而もその実需団体が特典の上に特典をむさぼつて暴利を取り、農民を搾取するというようなことが仮りにあつた場合には、私が申上げておるように、当然農林省は実需団体に要求して然るべきものだと思う。これを拒む理由は何もないと思う。それを何で躊躇なさるか、これを私は必ずとりますということをここで御答弁して頂きたいのだ。
  183. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御意見通りやりたいと思います。
  184. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今河野さんがお伺いされたよりに、これは新潟県でも中部地区だけの狭い地区ですが、需給法による飼料の問題を調べてみましたところ、豆粕がたまに少しばかり来ているだけで、全く「ふすま」などは一遍でも来た覚えかない、こういうことを中部地区の組合の書記が訴えておる。それで資料一つ頂載したいのは、大体どれくらいの量をどういう機関を通じて新潟県等は流れておるのか、一つ一カ年の資料を頂載したいと思うのであります。それから第二番目には、これは畜産局長に特にお伺いしたいのですが、大分最近ではMSAの農産物の買入の協定の影響等ではないかと思いますが、それに酪農振興法であるとか、或いは粉食の奨励だとかというような、いろいろ末端の整備のできないうちの刺戟材料が中心になつたのかどうかはわかりませんが、人体乳牛の値段か非常に高騰して、搾乳のできるような乳牛ならば大体二十万以下のものは一つもない、二十二、三万からそれ以上のものに上つているし、小牛一頭でも七、八万円、それ以上のものに上つている。そこへ持つて来て飼料は棒上りに上つて八百四、五十円、「ふすま」が八百四、五十円というような恰好になつておりますので、生乳の価格というものがこういうことに刺戟せられて、順次生乳の使用せられるところは価格が上つて消費者に迷惑をかけている、こういう形が出ている半面、バターなどが最近値下りになつて約三百円内に又落込んで来ている、こういうような関係ができました関係上、新潟県などにおきましても、今まで飼つておりました小牛を大体関東地区へ逆売捌きしておつたのか、最近関東地区においても買人を中止して様子を見るという恰好になつて非常に困つておりますが、こういう状況がただ小さい地区の、我我中小地域から見た傾向なのか、全国的に見た傾向なのか、それらの点を一つ畜産局長からよく御説明を願いたいと思います。若しこれが本当の様子であるとしますならば、これは畜産行政上の重大な問題であると同時に、しばしば局長に申上げる通り、いろいろ政府が考えていろいろの施策をせられるが、そのことが農民を最後には困らせるようなことにならんようにというお願いをしばしばしておりますが、こういう状態が続きますならば、終いには折角勃興しつつある酪農農業も崩壊に瀕する危機が又到来しやせんかと思う。そういう実情の中に困難を乗切つても、今言われるような学校給食の「ふすま」を何とかする等のことが、私は少くとも食糧庁長官によつて万難を排してあなたの御希望通り明日からでもできるように努力しますというくらいのことは、いろいろ数回の論議の結果言われるようなことじや、これは重大な問題だと思いますので、そういう点に対しまする心構えというのですが、腹構えというのですか、という点をいま一度食糧庁長官からお聞きして、一日も速かに、この間から私は個人的には廊下などでぼつぼつ言うておるのですが、なかなかそうは上つていないだろうと言つてちつとも受取られませんが、実際行つて調べて見ればここまで来ている、これは間違いないだろうと思う。乳製品を作つておる乳菓会社を中心にして、その牛につきまして約六百の酪農組合を中心にして私は調べて来た。だからそう違つたものは出ておらんと思いますが、どうですか。
  185. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今清澤委員より乳牛の価格が相当高騰し、乳価も上り、バター等も相当上つたが最近にはやや低落する傾向がある。特にバターについて価下りを来たした。これはその通りだと思います。御承知のように昨年の十月の終りでございましたか、一時雑品輸入として入つておりましたバターを、一時中止いたしました関係で非常な市場の混乱を来たしまして、市場からバターが姿を消したというような事態があつたのでございますが、価格も相当高騰を見たのであります。各方面にいろいろ紛議を醸しまして、強く各方面から希望がありまして、前後二回に亘りまして約二十万ポンドずつ外国から輸入をいたしたのであります。その経過をずつと見てみますと、先月の大体中頃あたりから、やや頭打と同時に下落の傾向を見せて参つたのであります。先般来すでにMSAの問題或いは過剰農産物の問題で、各方面から農林省としては相当この際思い切つて外国のバターを輸入すべきじやないかという議論が非常に強く叫ばれておつたのでありますが、私どもといたしましては、そういうような情勢が必ず来るという想定の下にこれを拒み続けて参つたのでありますが、現実にすでにそういう徴候が現われて来ましたので、この際は特に脱脂粉乳につきましては別といたしまして、バター等につきましては、特別の輸入は絶対に出してもらいたくないということを各方面に強く申しておりなす。この点は日本の酪農振興の重大な問題でありますので、そういう認識を農林省内において徹底させますと同時に、各方面にも必ずしもこのバターの価格というものは、今までのようないわゆる上昇傾向じやなしに、逆に下降傾向にあるということを私ども考えておりますし、又そういう場合におきましては、大酪農工業は別にいたしまして、中小の酪農工業が真つ先に打撃を受けるような状況でありますので、その点につきましては、外国産のバターの輸入につきましては非常に慎重な態度を以て対処して参る、かように存じております。
  186. 江田三郎

    江田三郎君 関連して……、今の答弁の中で過剰農産物援助によるバターの輸入は絶対にしないようにと、こういうお話でしたが、これは関係各省会議では、この次の一億ドルの過剰農産物について二百万ポンドのバターの輸入が計画に載つて意見の一致を見た、こういうような工合に伝わつておりますが、それは誤報なのですか。
  187. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 脱脂粉乳は一応酪農製品ということになつておりまして、私どもといたしましては、バターはできるだけこれを入れないで犢育成用の脱脂粉乳を振替えて参りたい、かように考えております。勿論酪農製品全体といたしましては一応の枠はございます。併しその場合の輸入操作につきましては犢育成用の脱脂粉乳を輸入したい、かように考えております。
  188. 江田三郎

    江田三郎君 その脱脂粉乳になつた場合の予定は、金額で言うとどの程度になるのかということと、又今の畜産局長の言われることは食糧庁長官はそのまま肯定せられるのか。
  189. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 過剰農産物の問題は、事務的な連絡でどういう物資が対象になるかということを検討いたしまして、どうして方法論といたしまして、どういう品物がどの程度国内の状態からして可能か、こういう検討をいたしたわけでございます。実は御承知のようにMSA以外は過剰農産物についてはどういう条件で以てどういう形でそれが処理されるか、目下法案が約三つくらいそれぞれに付いて出て、審議されているような状態でありまして、先方側の条件なり態勢というものがはつきりいたしておりません。従いまして、それがはつきりいたしました場合における心構えとして、こういうものが対象になり得るのではないかという研究はいたしておりますが、最終的にどういう数量をどういうふうに何するかということは、向うの条件と言いますか、出す態勢がはつきりいたさないと、これを明確にはし得ないのではないかという工合に考えております。只今の畜産局のお話は、酪農製品として一定の数量を日本側としてもとつていいのではなかろうか、こういう議論は打合せの場合に出ておつたことは承知いたしております。
  190. 江田三郎

    江田三郎君 だから向うの出方でどうなるかわからんということですが、大体向うのほうでは過剰なものを援助の形で外に出すということはさまつたことでして、こちらで脱脂粉乳といつたところで、そういうことになるかどうかわからんのですが、その点向うの事情がどうであろうとも、向うの要請が何であろうと、この過剰農産物処理というか、援助というか、その中でバターは来ないということをはつきり明言されたものと受取つていいのですか。
  191. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 只今の向うの過剰農産物は処理するという大体のあれは出ているわけですが、御承知のように、このMSAの五百五十条に代るシステムといたしまして、例えばMSAにつきましては或る程度通常の取引とか、いろいろの制限があるわけでございます。又それを円でやるのか、或いは又ダラントがどういうような形になるのかというようなことは、MSAの場合においてはきまつておりますが、過剰農産物の場合にはまだ全然その点ははつきりいたしておらないわけであります。我々といたしましては、国内の必要量を、外貨を要せずして有利な条件でならば入手することが必要であろう。併しその条件如何によつては数量なり、金額なりは当然変り得るものではないか。これは私見に亘るかも知れませんが、我々はそういう考え方でおるわけであります。従いましてバターを入れるか入れないかということは、バターが過剰農産物の対象になるかどうかという問題が一つと、それからそれを日本側が入れるかどうかということは、これは畜産行政の立場から十分考えらるべきじやなかろうかというふうに考えております。
  192. 江田三郎

    江田三郎君 私が聞いているのは、バターは入れないということを畜産局長は言われるのだが、それは畜産局長がそう言われるのだから間違いなかろう。食糧庁長官もバターは入れないということをはつきり言われるのか。
  193. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) この品物は一応畜産局で所管いたしておりますので、我々としては直接食糧庁の関係をやつておりますか。それぞれ個別の打合せをいたしておるわけであります。従いまして畜産局長がそういう御方針でおられますれば、それはその御方針通りにやるべきだと思つております。
  194. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 絶対入れないとか、何とかという問題ではなしに、需給並びに加工、勿論これは年間を通じての問題でありますから、そのときどきの需給状態をよく勘案いたしまして、現在のような状態でありますればこれは入れないほうがよろしいと思つております。併し昨年の十一月のような場合でありますと、或いは数量を限つて入れるという問題が起きて来ると思うのでありまして、私どもといたし出しては、できるだけ現在のところ、特に育成用のものを振替えて当分は入れたくないという考えを持つております。酪農製品として全体で五百万トン、こういうふうな考え方でいるわけであります。
  195. 江田三郎

    江田三郎君 今局長の言われたことは、酪農製品に大きな影響を与えるような輸入はしない、こう受取ればいいわけですね。
  196. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その通りであります。
  197. 清澤俊英

    清澤俊英君 先ほど聞きました牛乳の価格が上つたということをお認めになつているのですか、それと同時にバターが下つて飼料が上つて、そうして乳牛が上つたという事実は、現に関東地方、殊に埼玉附近が一番強いそうですが、すでに乳牛を殖やすという線がとまつたとい点も御承認になるか……、これは私らのほうは埼玉県から相当乳牛をもらつて来たのです。それが最近は逆に入つて来たのです。乳価の関係上逆に新潟県よりは埼玉県のほうへ売付けをやつてつたのが、最近は埼玉県でももうこれだけ高い乳牛を、先の見込みを付けるともう買手が出ないというので、買付を止めたということなんです。これは重要な内容を持つていると思うのです。酪農事業自体の上に……。
  198. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 只今の御意見でありまするが、現在の乳価なり、バターの価格で乳牛の移動に支障を来たすような、或いはその移動の形体が、そういうふうな乳価並びに乳牛の価格事情によつて変動を来たすような状態には、私はまだ参つていないのじやないか、かように存じておりますが、或いはそういう事情は、何かはかの原因から参つているのじやなかろうかと思いますが、若しそういうような事情でもありますれば、よくそういう点は研究いたしたいと、かように存じます。
  199. 清澤俊英

    清澤俊英君 よほど気を付けてもらいませんと、東京あたりは何か市乳は九円ぐらいで来ているのです。ところが田舎へ参りますと、局長が言われておる通り、大体市乳を使うものはきまつておりますから、余つたものはバターにする、加工品にする、その加工品は中小加工業は非常に弱いものですから、そこにバターなどが下つて参りますれば、それはひとりでに成立たんという問題が出て来るので、折角興つて来た酪農というものの熱がさめるという結果になる、一旦さめたら又興すのに四、五年かかるということになりますから重大問題です。ですから私はお伺いするのです。それに対するはつきりした対策を立てて頂かなかつたら、これは対策ということは飼料から価格の点まで、そうひどい変動と矛盾のないように、全農林省が一致した態勢で整えて行かなかつたら、これは大問題だと思います。
  200. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 乳牛につきまして最も効果的なものは、生乳で処理してもらうのが一番いいわけでございまして、その意味合におきまして市乳の奨励と申しますか、市乳を豊富に供給することも非常に重大でありまするが、同時に本当の酪農適地に、本当の意味の農業と一体となりました酪農を植え付けるということが、日本の根本的な酪農振興から言つて最も基礎的な問題であるのでありまして、そういうような意味合から、都会地を離れました山間地帯或いは畑地帯、こういうようなところに酪農の振興を図りたいと、こういうような考え方から酪農振興法を提出いたしたいと、かように存じておるのでありまするが、そういう地帯におきましては、御承知のように市乳半分、酪農製品半分というようなことに相成ると思うのでありますが、酪農製品が、特にバターなり或いは粉乳なりが下りますというと、只今お話のように、一旦植え付けました酪農が又逆転をするというような事情になりますので、バターの輸入等の問題につきましては、そういう意味合におきまして、特に山間地帯或いは市乳を目的としない地帯の酪農という意味から非常に重大な問題だと、かように私ども存じますので、バターの輸入その他につきましては、特にそういう御意見の点もありますので、慎重にやつて行きたいと、かように考えております。
  201. 河野謙三

    河野謙三君 畜産局長と食糧庁長官と二人おいでになるから……。一体「ふすま」の価格は、これはあなたのほうの自由になるものじやございません。併し一応役所として「ふすま」の価格を幾らであるべきか、幾らまで下げなきやいかんかというあなたのほうの一応の努力目標をどこにおいておりますか。七百円と言うか、七百五十円と覆うか、取りあえず今の一体八百円以上の「ふすま」を幾らまで下げなきやならないか。そのためには勿論手段が要りますが、手段はあなたのほうで御指導願えばいいのです。どういうふうにお考えになつているのですか。古い証文を出せば、たしか去年の夏あなたはこの委員会で、私が七百円以上の「ふすま」についてあなたは責任を持つかと言つたら、絶対責任を持ちます。七百円以上にいたしませんということを言つておる。そんなことを私はとやこう言つておるのじやないけれども、今の八百円というようなものをここ十日なり、十五日なり、二十日なりの間に一応七百五十円まで取りあえずしたいと、七百三十円、七百円にしたいという目標がなくてはいけませんよ。その目標がなくちやあなたのほうの手段方法というものは立たない。今のようなことで行けば、畜産局の飼料課なんかこれは要りませんよ。飼料課というのは何です。これは飼料課長がいるのですが、飼料会社の面倒を見るための飼料課なんて要りませんよ。飼料の価格を安定させ、飼料の供給量を殖やすというのが飼料課の仕事です。遺憾ながら私は結果的な批判でありますけれども、今の飼料課なんというのは要りませんよ。これは全く無為無策じやないか。何故かというと、飼料会社の面倒を見るだけだ。飼料会社が潰れたらその第二会社を作つてみたり、そんなことをやるのがせいぜいだ。私はいろいろな不満があるのであるけれども、とにかく一応どこに努力目標を置いてあなたのほうの役所の作業をされますが、これを一つ答え願いたい。
  202. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 餌の価格につきましては、御承知のように飼料需給安定法によりまして、畜産の振興に寄与するような価格でなくちやならないというような規定があるのでありまして、その意味合におきまして、我々といたしましても畜産の再生産に見合うような価格に持つて行きたい、かように考えておるのでありまして、然らばその価格を具体的にどの価格に持つて行くかという点につきましては、いろいろ原価採算という問題が、地域的に或いは家畜の種類によりまして非常にまちまちでありまして、その点は極めて困難でありますが、一応の考え方といたしましては、現在只今御指摘のように、政府が小麦を売渡す場合の「ふすま」の織込価格原価採算は五百五十円でありますが、これは御承知のように工場渡しの裸の価格でございます。それに一定の包装と積込費その他を込めますというと、大体六十円から七十円ぐらいになるのじやなかろうか。従つて一応工場渡しの価格といたしまして六百十円から二十円ぐらいのところが、いわゆる政府が考えておりまする工場渡しの価格。従つてそれが末端に参ります場合、相当速くに参りましても七百円を超えないという消費者の末端価格という点があるのじやなかろうか。従いまして私どもといたしましては、工場渡しの貨車乗せ価格としては六百一、二十円、最終末端価格といたしましては七百円、こういうところに我々といたしましては一応努力目標を置くべきものじやなかろうか、かように一応存じております。
  203. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十五分散会